画像形成装置
【課題】 温度を検知するセンサと他のセンサとを設けた構成としても、信号線の数をセンサの数よりも少なくする。
【解決手段】 像形成手段1Y、1M、1C、1Bkと、セラミックヒータ1104を有する定着器16と、このセラミックヒータ1104の温度を制御するためにセラミックヒータ1104の温度を検知するサーミスタ1040bと、セラミックヒータ1104の端部の温度を検知するサーミスタ1040cと、サーミスタ1040cに接続される電気抵抗と、サーミスタ1040bの電圧Vmが目標電圧となるようにセラミックヒータ1104への電力供給量を制御し、電圧Vmがしきい値以下となるとセラミックヒータ1104の発熱を停止させるCPU521とを有し、CPU521は、1040cの電圧Vbが所定値よりも高くなると、加圧ローラの回転速度を加速させる信号を出力する。
【解決手段】 像形成手段1Y、1M、1C、1Bkと、セラミックヒータ1104を有する定着器16と、このセラミックヒータ1104の温度を制御するためにセラミックヒータ1104の温度を検知するサーミスタ1040bと、セラミックヒータ1104の端部の温度を検知するサーミスタ1040cと、サーミスタ1040cに接続される電気抵抗と、サーミスタ1040bの電圧Vmが目標電圧となるようにセラミックヒータ1104への電力供給量を制御し、電圧Vmがしきい値以下となるとセラミックヒータ1104の発熱を停止させるCPU521とを有し、CPU521は、1040cの電圧Vbが所定値よりも高くなると、加圧ローラの回転速度を加速させる信号を出力する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置の定着ヒータの温度制御に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置は、原画像に応じて感光体を露光することで形成される静電潜像を、トナーを有する現像剤を用いて現像し、記録材上に転写することで、原画像に対応するトナー像を形成する。このトナー像を記録材に定着させるため、未定着のトナー像を担持した記録材は、定着器へと搬送される。
【0003】
定着器は、ヒータを内蔵した定着部に加圧ローラを圧接させることで形成される定着ニップ部に、未定着のトナー像を担持した記録材を通過させることにより、定着ニップ部の熱と圧力を用いて、未定着のトナー像を記録材に溶融定着する。ここで、定着器には、この定着器の温度を検知するサーミスタが設けられており、定着ニップ部の温度がトナー像を記録材に定着させる定着温度となるように、サーミスタによって検知された温度に応じてヒータへの電力供給が制御される。また、封筒等の小サイズ紙を連続して定着ニップ部へ通紙させた場合、定着ニップ部において小サイズ紙と接触しない定着部の領域の温度が定着部を故障させてしまうような異常温度まで昇温してしまうことが、ヒータの幅方向の端部側に設けたサーミスタによって検知される。
【0004】
また、定着器は、画像形成装置本体に着脱できる構成となっているものがある。このような定着器を有する画像形成装置は、定着器に搬送される記録材の有無を検出するフォトインタラプタ等のセンサを定着器側に配置することで、センサが故障した場合や異常を発生した場合であっても定着器を取り外すことで容易にセンサを交換することができるという利点がある。しかし、このような構成とする場合、ヒータの温度を検知するためのサーミスタからの信号線に加え、フォトインタラプタからの信号線を設ける必要があり、信号線の数が増加してしまう。
【0005】
ここで、複数のサーミスタから出力されるヒータの温度に応じたアナログ信号をデジタル信号に変換し、このサーミスタ毎のデジタル信号を、1本の信号線により、シリアル通信で制御装置に送信する構成が知られている(特許文献1参照)。特許文献1によれば、サーミスタ毎に検知されるヒータの温度に応じたデジタル信号を、シリアル通信によって順次、制御装置に送信することで、この制御装置に入力される信号線の数をサーミスタの数よりも減少させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−170841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1では、シリアル通信を行うための新たな回路を設ける必要があり、ヒータの温度に応じた信号を制御装置に送信するための回路が複雑な構成となってしまうという問題があった。具体的には、フォトインタラプタやサーミスタなどのセンサ毎の出力信号を、各センサと関連付けて制御装置へ送信する構成や、制御装置に入力される信号がどのセンサからの信号であるかを特定する構成を設けなればならない。
【0008】
そこで、本発明の目的は、熱源の温度に応じた信号と、熱源の異常昇温を検知する信号と、記録材の有無を検出した結果に応じた信号とを、通信するための回路を複雑な構成とせずに、センサの数よりも少ない信号線を用いて、熱源の異常昇温を抑制しつつ、熱源の温度を精度良く制御することができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の画像形成装置は、トナー像を形成する像形成手段と、供給される電力に応じて加熱される加熱部を有し、前記像形成手段により形成されるトナー像を前記加熱部の熱によって記録材に定着させる定着手段と、温度に応じて抵抗値が変化し、前記定着手段が所定のサイズの記録材にトナー像を定着させる際、前記所定のサイズの記録材に接触する前記加熱部の第1の位置に設けられる第1の温度検知素子と、温度に応じて抵抗値が変化し、前記定着手段が前記所定のサイズの記録材にトナー像を定着させる際、前記所定のサイズの記録材に接触しない前記加熱部の第2の位置に設けられる第2の温度検知素子と、記録材の有無を検出すると共に、記録材を検出している状態で前記第2の温度検知素子に印加される電圧が、記録材を検出していない状態で前記第2の温度検知素子に印加される電圧よりも所定値以上高くなるように前記第2の温度検知素子に接続される記録材検出手段と、前記第1の温度検知素子と第1の信号線で接続され、前記第1の温度検知素子に印加される電圧が目標温度に応じた第1の電圧となるように前記加熱部に供給する電力を制御すると共に、前記第2の温度検知素子と前記記録材検出手段との接点に第2の信号線で接続され、前記第2の信号線を介して検出される前記第2の温度検知素子に印加される電圧が、前記目標温度よりも高い所定温度に対応する第2の電圧以下となると、前記加熱部への電力供給を停止する制御手段と、前記第1の信号線を介して検出される前記第1の温度検知素子に印加される電圧が前記第1の電圧となっている状態で、前記第2の信号線を介して検出される前記第2の温度検知素子に印加される電圧が所定値以上増加することに応じて、前記記録材検出手段が記録材を検出したと判定する判定手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、熱源の温度に応じた信号と、熱源の異常昇温を検知する信号と、記録材の有無を検出した結果に応じた信号とを、簡易な構成且つ少ない信号線で通信することにより、熱源の異常昇温を抑制しつつ、熱源の温度を精度良く制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】画像形成装置の概略断面図
【図2】定着器の概略断面図とサーミスタの取り付け位置を示す図
【図3】サーミスタの温度特性図
【図4】排紙センサの要部斜視図
【図5】制御ブロック図
【図6】セラミックヒータへの電力供給を制御する信号値の変化を示す図
【図7】排紙センサが記録材を検出した場合の信号値の変化を示す図
【図8】ループセンサが記録材のたわみを検出した場合の信号値の変化を示す図
【図9】画像形成装置の画像形成処理を示すフローチャート図
【図10】セラミックヒータの温度調整制御を示すフローチャート図
【図11】排紙センサの記録材検出処理を示すフローチャート図
【図12】ループセンサのたわみ検出処理を示すフローチャート図
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は本実施形態の画像形成装置100の概略断面図である。本実施形態では、各色成分のトナー像を形成する4つの像形成部1Y、1M、1C、1Bkが1列に配列された画像形成装置を用いる。
【0013】
各像形成部は、1Yがイエローのトナー像を形成し、1Mがマゼンタのトナー像を形成し、1Cがシアンのトナー像を形成し、1Bkがブラックのトナー像を形成する。
【0014】
各像形成部1Y、1M、1C、1Bkは同様の構成であるため、以下ではイエローのトナー像を形成する像形成部1Yについて説明し、他の像形成部1M、1C、1Bkについての説明を省略する。ここで、矢印A方向は、各像形成部1Y、1M、1C、1Bkの感光ドラム2a、2b、2c、2dが回転する方向である。
【0015】
像形成部1Yは、イエローの色成分のトナー像を担持する感光ドラム2aと、この感光ドラム2aを帯電する帯電器3aと、感光ドラム2a上に形成された静電潜像をトナーを有する現像剤を用いてトナー像として顕像化する現像器4aを有している。なお、感光ドラム2a上の静電潜像は、感光ドラム2aが帯電器3aによって帯電された後、レーザ露光装置7からイエローの色成分に対応した光で感光ドラム2aが露光されることにより形成される。
【0016】
さらに、像形成部1Yは、感光ドラム2a上のトナー像を後述の中間転写ベルト8に転写する一次転写ローラ5aと、トナー像を転写した後に感光ドラム2a上に残留したトナーを除去するドラムクリーナ6aも有している。
【0017】
前述の中間転写ベルト8は、各像形成部1Y、1M、1C、1Bkで形成された各色成分のトナー像が重ねて転写されることでフルカラーのトナー像を担持できる。中間転写ベルト8は、この中間転写ベルト8を矢印B方向へと回転駆動させるテンションローラ11と、二次転写対向ローラ10とに掛け回されている。中間転写ベルト8の周囲には、二次転写対向ローラ10と中間転写ベルト8を介して対向する位置に二次転写ローラ12が配設されている。
【0018】
トナー像を転写させるための記録材Pは、給紙ユニット17に格納されており、搬送パス18を通って、二次転写対向ローラ10が二次転写ローラ12に押圧されることによって形成される二次転写ニップ部へと搬送される。さらに、二次転写ニップ部においてトナー像が転写された記録材Pは、二次転写対向ローラと二次転写ローラ12とによって、搬送パス34を通って定着器16に搬送される。この定着器16は、記録材P上のトナー像を、この記録材Pに定着させるものであり、その詳細については図2を用いて後述する。
【0019】
次に、本実施形態の画像形成装置100が、不図示のPCやスキャナ等から入力される画像データに対応する印刷物を出力する画像形成動作について説明する。
【0020】
像形成部1Yにおいて、先ず、帯電器3aが感光ドラム2aを一様に帯電し、レーザ露光装置7が感光ドラム2aに画像データのイエロー成分に応じた露光光を照射することで、感光ドラム2a上に画像データのイエロー成分に対応する静電潜像が形成される。次いで、感光ドラム2a上の静電潜像は、現像器4aがイエローのトナーを用いて、イエローのトナー像を現像する。
【0021】
感光ドラム2a上のイエローのトナー像は、この感光ドラム2aの矢印A方向への回転に伴い、一次転写ローラ5aが中間転写ベルト8を介して感光ドラム2aを押圧する一次転写ニップ部N1aへ搬送される。この一次転写ニップ部N1aにおいて、感光ドラム2a上のイエローのトナー像は一次転写ローラ5aから一次転写電圧が印加されることにより、中間転写ベルト8上に転写される。また、感光ドラム2aに残留したトナーは、ドラムクリーナ6aによって除去される。
【0022】
中間転写ベルト8に転写されたトナー像は、二次転写ローラ12が中間転写ベルト8を介して二次転写対向ローラ10を押圧する二次転写ニップ部に搬送される。一方、記録材Pはタイミングを調整されて、中間転写ベルト8上のトナー像と接触するように二次転写ニップ部に搬送されると、二次転写電圧が印加された二次転写ローラ12により、中間転写ベルト8上のトナー像が記録材P上に転写される。また、二次転写ニップ部で記録材Pに転写されずに中間転写ベルト8に残留したトナーは、不図示のベルトクリーナによって除去される。
【0023】
トナー像を担持した記録材Pは定着器16へと搬送され、後述の定着動作に未定着のトナー像を担持した記録材に熱と圧力を加えることより、未定着のトナー像を記録材Pに溶融定着される。
【0024】
次に、図2の定着器16の概略断面図とサーミスタの取り付け位置を示す図に基づき、定着器16の構成について説明する。
【0025】
図2(a)は、定着器16の概略断面図である。二次転写ローラ12と二次転写対向ローラ10とが二次転写ニップ部N2で記録材Pを挟持しながら、この記録材Pを搬送する。
【0026】
定着ベルト1101は、耐熱性の高い円筒状のベルト状部材であり、その表面に弾性層を有する。この定着ベルト1101は、トナー像を定着する際の定着温度よりも高い温度(例えば、330[℃])であっても熱変形しない。加圧ローラ1102は、芯金部1102aと弾性層のゴム部1102bから構成される。ヒータホルダ1103は耐熱性部材であり、加圧ローラ1102の軸線方向と平行な方向が長手方向となっている。また、ヒータホルダ1103の下面には、熱源としてのセラミックヒータ1104が装着されている。本実施形態では、セラミックヒータ1104と加熱される定着ベルト1101とが定着手段に相当する。
【0027】
図2(b)は、図2(a)の矢印S方向からセラミックヒータ1104を見た時の要部概略図である。セラミックヒータ1104は、記録材Pが定着ニップ部N3を通過する場合、この記録材Pが搬送される方向に直交する方向が長手方向となる。また、セラミックヒータ1104は、その長手方向の長さを画像形成装置100が搬送可能な最大サイズの記録材の幅よりも長い。
【0028】
セラミックヒータ1104には、セラミックヒータ1104の温度を検知する温度検知素子としてのサーミスタ1040a、1040b、1040cが、セラミックヒータ1104の長手方向の異なる位置に3つ設けられている。図2(b)のように、サーミスタ1040bは、セラミックヒータ1104の長手方向で中央の領域の温度を検知する。ここで、セラミックヒータ1104の長手方向で中央の領域は、加熱部材の第1の位置に相当する。サーミスタ1040aとサーミスタ1040cとは、図2(b)のように、セラミックヒータ1104の長手方向で、画像形成装置100が搬送可能な最大サイズの記録材の幅内で、且つ、搬送可能な最小サイズの記録材の幅よりも外側の領域の温度を検知する。ここで、画像形成装置100で搬送されることが許可されている最小サイズの記録材が所定のサイズの記録材に相当する。また、最小サイズの記録材の幅よりも外側の領域で、セラミックヒータ1104の一方の端部が第2の位置に相当する。
【0029】
図2(a)において、加圧ステー1106および加圧バネ1107は、ヒータホルダ1103を、定着ベルト1101を介して加圧ローラ1102の軸線方向に沿って一様な圧力で押圧することにより、定着ニップ部N3を形成する。この定着ニップ部N3に記録材Pが搬送されると、記録材Pは、セラミックヒータ1104から加えられる熱と、加圧ステー1106および加圧バネ1107により加圧ローラ1102を介して加えられる圧力とにより、記録材P上の未定着のトナーが溶融定着される。また、図2(a)において、矢印Cは記録材の搬送方向、矢印R1は定着ベルト1101の回転方向、矢印R2は加圧ローラ1102の回転方向である。定着ベルト1101は、加圧ローラ1102の駆動に従動して回転することで、定着ニップ部N3において記録材Pを矢印C方向へ搬送しながら、この記録材Pに未定着のトナーを定着させることができる。
【0030】
図2(a)のフラグ1121は、定着ニップ部N3を通過した記録材Pを検出する排紙センサ161(図4)の一部である。排紙センサ161(図4)は、発光ダイオード161aとフォトトランジスタ161bとからなる公知のフォトインタラプタである。フラグ1121は、不図示のバネによって、発光ダイオード161aからフォトトランジスタ161bに照射される光を遮る位置(遮光位置)にとどまっている。このフラグ1121は、記録材Pの先端に押されて遮光位置から退避し、記録材Pの後端が通過し終えると不図示のバネの力によって遮光位置に復帰する。排紙センサ161(図4)は、フラグ1121が遮光位置から退避し、フォトトランジスタ161bが発光ダイオード161aからの光を受光している間、このフォトトランジスタ161bに電流が流れる導通状態となる。本実施形態では、排紙センサ161(図4)のフォトトランジスタ161bが導通状態となると、電圧Vaの値が変化し、記録材Pがフラグ1121の位置を通過していることが検知される。以降、記録材Pが搬送される搬送路中で、フラグ1121が記録材Pを検知する位置を、定着器16の所定の位置と称す。
【0031】
本実施形態では、排紙センサ161の発光ダイオード161aが発光部に相当し、排紙センサ161のフォトトランジスタ161bが受光部に相当する。
【0032】
図2(a)のフラグ1122は、記録材Pのたわみ状態を検知するループセンサ162の一部である。ループセンサ162は、発光ダイオード162a(図5)とフォトトランジスタ162b(図5)とからなる公知のフォトインタラプタである。フラグ1122は、不図示のバネによって、発光ダイオード162aからフォトトランジスタ162bに照射される光を遮る位置(遮光位置)にとどまっている。このフラグ1122は、記録材Pが所定量以上たわむことによって、この記録材Pに押されると遮光位置から退避し、記録材Pのたわみが所定量よりも小さくなることによって、この記録材Pから離間すると不図示のバネの力によって遮光位置に復帰する。ループセンサ162(図5)は、フラグ1122が遮光位置から退避し、フォトトランジスタ162bが発光ダイオード162aからの光を受光している間、このフォトトランジスタ162bに電流が流れる導通状態となる。本実施形態では、ループセンサ162(図5)のフォトトランジスタ162bが導通状態となると、電圧Vbの値が変化し、記録材Pが所定量以上たわんでいることが検知される。
【0033】
本実施形態では、ループセンサ162の発光ダイオード162aが発光部に相当し、ループセンサ162のフォトトランジスタ162bが受光部に相当する。
【0034】
本実施形態では、記録材Pが定着ニップ部N3を通過する速度を、中間転写ベルト8がトナー像を搬送する速度よりも遅くしている。これは、二次転写対向ローラ10及び二次転写ローラ12が記録材Pを搬送する速度と、加圧ローラ1102が記録材Pを搬送する速度との差によって記録材Pが引っ張られることで、この記録材Pが破損することを防止するためである。しかしながら、加圧ローラ1102が記録材Pを搬送する速度が二次転写対向ローラ10及び二次転写ローラ12が記録材Pを搬送する速度よりも遅すぎると、定着ニップ部N3で記録材Pが搬送不良を起こしたり、出力される画像の品位を低下させてしまう。そのため、本実施形態では、ループセンサ162によって記録材Pが所定量撓んだことを検出すると、加圧ローラ1102の回転速度を増加させる構成とする。
【0035】
なお、本実施形態では、定着ベルト1101及び加圧ローラ1102よりも記録材Pが搬送される方向で上流の、二次転写ローラ12及び二次転写対向ローラ10が搬送部に相当する。
【0036】
次に、サーミスタ1040a、1040b、1040cの温度に応じた抵抗値の変化(温度特性)を図3に基づき、説明する。
【0037】
サーミスタ1040a、1040b、1040cは、セラミックヒータ1104が目標温度である230[℃]となると、その抵抗値が4.7[kΩ]となり、セラミックヒータ1104が300[℃]となると、その抵抗値が2.0[kΩ]となる。つまり、サーミスタ1040a、1040b、1040cは、セラミックヒータ1104の温度が上昇すると抵抗値が減少する温度特性を有する。ここで、本実施形態の定着ベルト1101は、セラミックヒータ1104の温度が230[℃]となると定着可能となり、セラミックヒータ1104の温度が330[℃]となると定着不良を発生し得る。
【0038】
具体的には、セラミックヒータ1104の温度が330[℃]を超えると、定着ニップ部Nに搬送される記録材Pに担持された未定着のトナーを定着ベルト1101に付着させてしまう。定着ベルト1101にこびりついたトナーは、後続の記録材が定着ニップ部Nを通過する際に、この記録材を汚してしまう虞がある。そこで、本実施形態では、セラミックヒータ1104の温度が300[℃]となると、セラミックヒータ1104への電力供給が強制的に遮断され、セラミックヒータ1104の温度が300[℃]以上に昇温しない構成となっている。
【0039】
次に、本実施形態の排紙センサ161について、図4の排紙センサ161の要部斜視図に基づいて説明する。図4(a)は、排紙センサ161によって記録材Pが検出された状態を示している。図4(b)は、排紙センサ161によって記録材Pが検出されていない状態を示している。
【0040】
排紙センサ161は、発光ダイオード161a、フォトトランジスタ161b、L字型のフラグ1121から構成されている。記録材Pが排紙センサ161を通過すると、フラグ1121はこの記録材Pと接触し、押されることで、発光ダイオード161aからの光がフォトトランジスタ161bに受光されるような位置に移動させられる。一方、記録材Pが排紙センサ161を通過し終えると、フラグ1121は、不図示のバネにより、発光ダイオード161aからの光を遮る位置に移動させられる。これにより、フォトトランジスタ161bは発光ダイオード161aからの光を受光できなくなる。
【0041】
また、ループセンサ162は、排紙センサ161と同様、記録材Pが所定量以上撓むことで、撓んだ部分がフラグ1122に接触することでフラグ1122が移動し、発光ダイオード162aからの光がフォトトランジスタ162bに受光される構成となっている。ループセンサ162は、記録材Pの撓みが所定量よりも小さくなると、フラグ1122が、発光ダイオード162aからの光を遮る位置に移動し、フォトトランジスタ162bは発光ダイオード162aからの光を受光できなくなる。
【0042】
次に、本実施形態の回路構成について、図5の画像形成装置のブロック図に基づき説明する。
【0043】
電圧ユニット404は、セラミックヒータ1104へ供給される電力を制御するゲート制御式半導体スイッチ510と、セラミックヒータ1104への電力供給を遮断するためのリレー回路512およびトランジスタ511を有している。
【0044】
リレー回路512は、Relay信号Bがハイレベルの場合にオン状態となり、Relay信号Bがローレベルの場合にオフ状態となる。リレー回路512はオン状態となると、セラミックヒータ1104に電力が供給できる状態とし、リレー回路512がオフ状態となると、セラミックヒータ1104に電力が供給できない状態とする。
【0045】
ゲート制御式半導体スイッチ510は、ゲートGにパルス状のHeater信号Bが入力されると、そのタイミングに応じて、電源から入力される交流波形が調整され、セラミックヒータ1104に供給される電力(電力供給量)が制御される。ゲート制御式半導体スイッチ510は、リレー回路512がオン状態で、セラミックヒータ1104に電力を供給する。これにより、セラミックヒータ1104が電力供給量に応じた発熱量で発熱する。また、ゲート制御式半導体スイッチ510は、リレー回路512がオン状態で、Heater信号の出力が停止されると、セラミックヒータ1104への7電力供給を停止する。これにより、セラミックヒータ1104の発熱が停止する。
【0046】
また、定着器16には、図2のセラミックヒータ1104と、このセラミックヒータ1104の長手方向で中央部の温度を検知するためのサーミスタ1040b、この長手方向で両端部の温度を検知するためのサーミスタ1040a、1040cが設けられている。さらに、定着器16には、排紙センサ161とループセンサ162とが設けられている。
【0047】
サーミスタ1040bは、セラミックヒータ1104の長手方向で中央部の温度に応じた電圧Vmを、信号線を介して後述のコントローラ403へ出力する。なお、サーミスタ1040bは、後述のコントローラ403に具備された4.7[kΩ]の電気抵抗を介して3.3[V]の入力電圧で駆動される。
【0048】
電圧Vmは、サーミスタ1040bによって検知される温度が230[℃]であれば、1.65[V]となり、サーミスタ1040bによって検知される温度が300[℃]であれば、約0.98[V]となる。なお、サーミスタ1040bが第1の温度検知素子に相当し、サーミスタ1040bとコントローラ403とを接続する信号線が第1の信号線に相当する。
【0049】
サーミスタ1040aは、排紙センサ161のフォトトランジスタ161bを介して、4.7[kΩ]の電気抵抗と直列に接続されている。また、排紙センサ161のフォトトランジスタ161bとサーミスタ1040aとは、その接点が信号線によって後述のコントローラ403に接続されている。なお、サーミスタ1040aは3.3[V]の入力電圧で駆動される。
【0050】
これにより、サーミスタ1040aは、フォトトランジスタ161bが非導通状態となると、セラミックヒータ1104の長手方向で一方の端部の温度に応じた電圧Vaを、信号線を介して後述のコントローラ403へ出力する。ここで、記録材Pが定着器16の所定の位置を通過していない場合、排紙センサ161のフォトトランジスタ161bは、フラグ1121によって排紙センサ161の発光ダイオード161aの光が遮蔽されることで非導通状態となる。
【0051】
フォトトランジスタ161bが非導通状態であれば、電圧Vaは、サーミスタ1040aが、後述のコントローラ403に具備された4.7[kΩ]の電気抵抗を介して3.3[V]の入力電圧で駆動されたときのサーミスタ1040aの電圧となる。そのため、電圧Vaは、サーミスタ1040aによって検知される温度が230[℃]であれば、1.65[V]となり、サーミスタ1040cによって検知される温度が300[℃]であれば、約0.98[V]となる。
【0052】
また、サーミスタ1040aは、フォトトランジスタ161bが導通状態となると、セラミックヒータ1104の長手方向で一方の端部の温度に応じた電圧よりも高い値の電圧Vaを、信号線を介して後述のコントローラ403へ出力する。ここで、記録材Pが定着器16の所定の位置を通過している場合、排紙センサ161のフォトトランジスタ161bは発光ダイオード161aの光を受光することで導通状態となる。
【0053】
排紙センサ161のフォトトランジスタ161bが導通状態であれば、電圧Vaは、3.3[V]の入力電圧がサーミスタ1040aと2.35[kΩ]の合成抵抗とで分圧されることによって、サーミスタ1040aに印加される電圧となる。なお、2.35[kΩ]の合成抵抗とは、フォトトランジスタ161bに接続される4.7[kΩ]の電気抵抗と、コントローラ403に具備された4.7[kΩ]の電気抵抗とが並列に接続されたときの合成抵抗である。
【0054】
そのため、記録材Pが検出された状態での電圧Vaは、記録材Pが検出されていない状態での値よりも所定値以上高くなる。具体的には、サーミスタ1040aによって検知される温度が230[℃]であれば、電圧Vaが約2.2[V]となり、サーミスタ1040cによって検知される温度が300[℃]であれば、電圧Vaが約1.52[V]となる。
【0055】
サーミスタ1040cは、ループセンサ162のフォトトランジスタ162bを介して、4.7[kΩ]の電気抵抗と直列に接続されている。また、ループセンサ162のフォトトランジスタ162bとサーミスタ1040cとは、その接点が信号線によって後述のコントローラ403に接続されている。なお、サーミスタ1040cは3.3[V]の入力電圧で駆動される。
【0056】
これにより、サーミスタ1040cは、フォトトランジスタ162bが非導通状態となると、セラミックヒータ1104の長手方向で他方の端部の温度に応じた電圧Vbを、信号線を介して後述のコントローラ403へ出力する。ここで、記録材Pが所定量以上たわんでいない場合、ループセンサ162のフォトトランジスタ162bは、フラグ1122によってループセンサ162の発光ダイオード162aの光が遮蔽されることで非導通状態となる。
【0057】
フォトトランジスタ162bが非導通状態であれば、電圧Vbはサーミスタ1040cが、後述のコントローラ403に具備された4.7[kΩ]の電気抵抗を介して3.3[V]の入力電圧で駆動されたときのサーミスタ1040cの電圧となる。そのため、電圧Vbは、サーミスタ1040cによって検知される温度が230[℃]であれば、1.65[V]となり、サーミスタ1040cによって検知される温度が300[℃]であれば、約0.98[V]となる。
【0058】
また、サーミスタ1040cは、フォトトランジスタ162bが導通状態となると、セラミックヒータ1104の長手方向で他方の端部の温度に応じた電圧よりも高い値の電圧Vbを、信号線を介して後述のコントローラ403へ出力する。ここで、記録材Pが所定量以上たわんでいる場合、ループセンサ162のフォトトランジスタ162bは発光ダイオード162aの光を受光することで導通状態となる。
【0059】
ループセンサ162のフォトトランジスタ162bが導通状態であれば、電圧Vbは、3.3[V]の入力電圧がサーミスタ1040cと2.35[kΩ]の合成抵抗とで分圧されることによって、サーミスタ1040cに印加される電圧となる。なお、2.35[kΩ]の合成抵抗とは、フォトトランジスタ162bに接続される4.7[kΩ]の電気抵抗と、コントローラ403に具備された4.7[kΩ]の電気抵抗とが並列に接続されたときの合成抵抗である。
【0060】
そのため、記録材Pが検出された状態での電圧Vbは、記録材Pが検出されていない状態での値よりも所定値以上高くなる。具体的には、サーミスタ1040cによって検知される温度が230[℃]であれば、電圧Vbが約2.2[V]となり、サーミスタ1040cによって検知される温度が300[℃]であれば、電圧Vbが約1.52[V]となる。
【0061】
なお、サーミスタ1040aは第2の温度検知素子に相当する。さらに、排紙センサ161と、この排紙センサ161に接続された4.7[kΩ]の電気抵抗とは、記録材Pの有無を検出する記録材検出手段として機能する。サーミスタ1040aとフォトトランジスタ161bとの間の接点と、コントローラ403とを接続する信号線が第2の信号線に相当する。ここで、本実施形態では、サーミスタ1040aと電気抵抗との間に排紙センサ161のフォトトランジスタ161bが接続されている構成としたが、サーミスタ1040aとフォトトランジスタ161bとの間に電気抵抗が接続されている構成としてもよい。この構成とする場合、サーミスタ1040aと電気抵抗との間の接点と、コントローラ403とを接続する信号線が第2の信号線に相当する。
【0062】
また、ループセンサ162と、このループセンサ162に接続された4.7[kΩ]の電気抵抗とは、記録材Pの有無を検出する記録材検出手段として機能する。サーミスタ1040cとフォトトランジスタ162bとの間の接点と、コントローラ403とを接続する信号線が第2の信号線に相当する。ここで、本実施形態では、サーミスタ1040cと電気抵抗との間にループセンサ162のフォトトランジスタ162bが接続されている構成としたが、サーミスタ1040cとフォトトランジスタ162bとの間に電気抵抗が接続されている構成としてもよい。この構成とする場合、サーミスタ1040cと電気抵抗との間の接点と、コントローラ403とを接続する信号線が第2の信号線に相当する。
【0063】
また、コントローラ403は、画像形成装置全体を制御する制御回路であるCPU521を搭載した制御基板である。ROM700には、画像形成装置で実行する各種処理を制御するための制御プログラムが格納されている。また、RAM800は、CPU521が処理のために使用するシステムワークメモリである。像形成部1Y、1M、1C、1Bk、及び、レーザ露光装置7は図1において説明しているため、ここでの説明を省略する。インターフェース部600は、スキャナやPCから画像データが入力されると、この画像データをCPU521に送信する。表示部900は、画像形成装置100に設けられた液晶画面であり、画像形成装置の状態をユーザに報知する。
【0064】
また、モータ410は、加圧ローラ1102を駆動させるDCブラシレスモータであり、モータ411は、二次転写対向ローラ10及び二次転写ローラ12を駆動させるステッピングモータである。モータ410は、CPU521からの加速命令に応じて不図示の駆動回路がモータ410に印加する電圧を制御し、モータ410の回転速度を制御することができる。
【0065】
CPU521と安全回路525とには、電圧Vm、Va、Vbがそれぞれ入力される。
【0066】
安全回路525は、コンパレータ522、523、526を有している。
【0067】
コンパレータ522は、サーミスタ1040bの電圧Vmが、0.98[V]以下となると、ローレベルの信号を出力する。ここで、0.98[V]とは、セラミックヒータ1104の温度が300[℃]のときのサーミスタ1040bの電圧である。
【0068】
コンパレータ523は、サーミスタ1040aと排紙センサ161のフォトトランジスタ161bとが接続されている接点の電圧Vaが、0.98[V]以下となると、ローレベルの信号を出力する。ここで、0.98[V]とは、セラミックヒータ1104の温度が300[℃]のときのサーミスタ1040aの電圧値である。
【0069】
コンパレータ526は、サーミスタ1040cとループセンサ162のフォトトランジスタ162bとが接続されている接点の電圧Vcが0.98[V]以下となると、ローレベルの信号を出力する。ここで、0.98[V]とは、セラミックヒータ1104の温度が300[℃]のときのサーミスタ1040cの電圧値である。
【0070】
AND回路527は、コンパレータ523から出力される信号とコンパレータ526から出力される信号との両方がハイレベルであれば、ハイレベルの信号を出力し、それ以外ならばローレベルの信号を出力する。
【0071】
AND回路528は、CPU521から出力されるRelay信号AとAND回路527から出力される信号との両方がハイレベルであれば、ハイレベルのRelay信号Bを出力し、それ以外ならばローレベルのRelay信号Bを出力する。すなわち、AND回路528は、セラミックヒータ1104の長手方向で端部の温度が300[℃]以上となると、ローレベルのRelay信号Bを出力し、後述の電圧ユニット404によるセラミックヒータ1104への電力供給を禁止させる。
【0072】
また、AND回路529は、コンパレータ522から出力される信号がハイレベルであれば、CPU521から出力されるHeater信号AをHeater信号Bとして出力し、それ以外ならばHeater信号Bの出力を禁止する。すなわち、AND回路529は、セラミックヒータ1104の長手方向で中央部の温度が300[℃]以上となると、Heater信号Bの出力を禁止し、後述の電圧ユニット404によるセラミックヒータ1104への電力供給を停止させる。
【0073】
次に、コントローラ403が、セラミックヒータ1104への電力供給を制御する方法を図6のタイミングチャートに基づいて説明する。なお、図6において、電圧Vm、Va、Vbは、排紙センサ161及びループセンサ162が記録材Pを検出していない状態で出力される電圧である。また、セラミックヒータ1104の電力供給量はゲート制御式半導体スイッチ510(図5)にHeater信号B(パルス信号)を所定のタイミングで入力することによって、電源から供給される電力(電力供給量)を制御している。
【0074】
先ず、コントローラ403がハイレベルのRelay信号Bを出力すると、リレー回路512がオン状態となり、セラミックヒータ1104への電力供給が可能となる。この状態で、コントローラ403がゲート制御式半導体スイッチ510を電力供給量100[%]で駆動させると、セラミックヒータ1104が電力供給量に応じた発熱量で発熱する。ここで、電源からの交流電圧をそのままセラミックヒータ1104に印加した場合の電力供給量を100[%]とする。セラミックヒータ1104の温度が上昇すると、サーミスタ1040a、1040b、1040cの抵抗値が下がるので、電圧Vmと電圧Vaと電圧Vbが低下する。
【0075】
本実施形態では、サーミスタ1040bの電圧Vmが、このサーミスタ1040bによって検知される温度が230[℃]となったときに出力される1.65[V]となるように、セラミックヒータ1104に供給される電力が制御される。ここで、1.65[V]は、セラミックヒータ1104の長手方向の中央部の温度が230[℃]となったときにサーミスタ1040bから出力される第1の電圧に相当する。
【0076】
次いで、コントローラ403は、電圧Vmが1.65[V]以下、即ち、第1の電圧以下となると、ゲート制御式半導体スイッチ510に入力するHeater信号Bのタイミングを調整して、セラミックヒータ1104への電力供給量を所定量だけ低下させる。なお、セラミックヒータ1104の長手方向で中央部の温度が230[℃]以上となると、電圧Vmが1.65[V]以下となる。ここで、所定量は、例えば、10[%]とする。コントローラ403は、電力供給量を所定量低下させた後、所定時間経過しても電圧Vmが1.65[V]以下であれば、再度、電力供給量を定量だけ低下させる。ここで、所定時間とは、例えば、1[sec]とする。
【0077】
コントローラ403は、電力供給量を所定量ずつ低下させていくことにより、電圧Vmが1.65[V]よりも高い電圧となると、ゲート制御式半導体スイッチ510に入力されるHeater信号Bのタイミングが調整され、電力供給量を所定量だけ増加させる。ここで、所定量は、例えば、10[%]とする。
【0078】
コントローラ403は、電力供給量を所定量ずつ増減させながら、電圧Vmが1.65[V]で安定すると、セラミックヒータ1104の温度が230[℃]で安定したと判定し、排紙センサ161およびループセンサ162による検知を可能な状態とする。なお、本実施形態では、セラミックヒータ1104の温度が230[℃]以上235[℃]以下の範囲となった状態を温度安定領域と称す。
【0079】
また、小サイズの記録材に連続して画像を定着させることで、電圧Va、Vbのいずれか一方が0.98[V]以下となると、コントローラ403は、ローレベルのRelay信号Bを出力することによってリレー回路512をオフ状態とする。これによってセラミックヒータ1104への電力供給が遮断され、このセラミックヒータ1104の発熱が禁止される。なお、本実施形態では、セラミックヒータ1104の長手方向で中央部の温度が230[℃]以下であるにも拘らず、この長手方向で少なくとも一方の端部の温度が300[℃]以上となった場合を端部昇温と称している。
【0080】
また、CPU521が暴走することによりHeater信号Aを制御不能となり、電圧Vmが0.98[V]以下となると、AND回路529がHeater信号の出力を禁止する。これによってセラミックヒータ1104への電力供給が禁止され、このセラミックヒータ1104の発熱が停止される。
【0081】
次に、温度安定領域において排紙センサ161が記録材Pを検出した場合の電圧Vaの変化について図7に基づいて説明する。
【0082】
時間t1において、記録材Pとの接触によりフラグ1121が遮光位置から退避し、排紙センサ161のフォトトランジスタ161bが発光ダイオード161aからの光を受光すると、電圧Vaが1.65[V]から2.2[V]まで増加する。CPU521は、電圧Vaが0.5[V]以上増加したため、記録材Pが排紙センサ161の定着器16の所定の位置に進入したと判定し、不図示のカウンタによるカウントを開始する。なお、本実施形態では、電圧Vaが0.5[V]以上増加することによって、記録材Pが搬送される方向で、この記録材Pの先端が定着器16の所定の位置に到達したと判定する構成とした。
【0083】
幅が狭く坪量の大きい用紙が通紙され続けると、セラミックヒータ1104の端部の温度が所定温度よりも上昇してしまう。これにより、セラミックヒータ1104の中央部の温度が温度安定領域に保たれているにも拘わらず、セラミックヒータ1104の端部の温度が上昇し、電圧Vaが1.65[V]以下となってしまう。
【0084】
時間t2において、フラグ1121が再び遮光位置に戻ると、排紙センサ161のフォトトランジスタ161bが発光ダイオード161aからの光を受光できなくなり、電圧Vaが2.0[V]から1.3[V]まで減少する。CPU521は、電圧Vaが0.5[V]以上減少したため、記録材Pが定着器16の所定の位置を通過し終えたと判定し、不図示のカウンタによるカウントを終了する。なお、本実施形態では、電圧Vaが0.5[V]以上低下することによって、記録材Pが搬送される方向で、この記録材Pの後端が定着器16の所定の位置を通過したと判定する構成とした。
【0085】
本実施形態では、電圧Vaが0.5[V]以上変動することに応じて記録材Pが、定着器16の所定の位置を通過したことを判定している。これは、記録材Pにトナー像を定着させる際に、記録材Pのサイズによらず、この記録材Pがセラミックヒータ1104の長手方向で中央部を通過するためである。電圧Vmが温度安定領域であるにも拘わらず、電圧Vaが0.5[V]以上増加した場合、セラミックヒータ1104の長手方向で端部の温度は、電圧Vaに応じた温度まで低下することがない。つまり、CPU521は、記録材Pにトナー像を定着させるために記録材Pを定着器16に搬送させたことで、電圧Vaが0.5[V]以上増加した場合、記録材Pが定着器16の所定の位置に到達したことを識別することができる。ここで、0.5[V]は記録材Pが定着器16の所定の位置に到達したことを識別するための所定値に相当する。
【0086】
また、CPU521は、電圧Vaが0.5[V]以上増加した後、電圧Vmが温度安定領域であるにも拘わらず、電圧Vaが0.5[V]以上減少した場合、記録材Pが定着器16の所定の位置を通過したことを識別することができる。ここで、0.5[V]は記録材Pが定着器16の所定の位置を通過したことを識別するための所定値に相当する。
【0087】
以上の説明において、CPU521は、記録材Pが定着器16の所定の位置に進入してから、この所定の位置を通過するまでの時間を計時することができる。本実施形態では、記録材Pが定着器16の所定の位置に進入してから、この所定の位置を通過するまでの時間が所定時間よりも長ければ、記録材Pが定着器16の定着ニップ部N3に挟持された状態で異常(ジャム)が生したと判定される。
【0088】
時間t5において、電圧Vaが0.98[V]を下回ると、CPU521はローレベルのRelay信号Aを出力することで、リレー回路512にセラミックヒータ1104への電力供給を禁止させる。
【0089】
また、CPU521が暴走し、ハイレベルのRelay信号Aを出力し続けたとしても、AND回路528によってRelay信号Bがローレベルとなるため、リレー回路512がセラミックヒータ1104への電力供給を禁止する。これによって、端部昇温が発生した場合であっても安全にセラミックヒータ1104の発熱を停止させることができる。
【0090】
ここで、記録材Pが定着器16の所定の位置に到達している状態で、電圧Vaが0.98[V]を下回った場合について述べる。この場合、端部昇温が検出されるサーミスタ1040cの抵抗値は約1[kΩ]である。この抵抗値をサーミスタ1040cが検出した温度に換算すると約330[℃]となる。本実施形態では、セラミックヒータ1104の温度が330[℃]となっても、素早くセラミックヒータ1104への通電を遮断することができるため、記録材Pが発火してしまうような温度となる前に、安全にセラミックヒータ1104の発熱を停止させている。
【0091】
本実施形態では、排紙センサ161とサーミスタ1040aとの接点に接続された1本の信号線を介して出力される電圧Vaに基づいて、セラミックヒータ1104の長手方向で端部の温度を検知すると共に、記録材Pが定着器16の所定の位置を通過していることを検出することができる。そのため、コントローラ403と排紙センサ161とが接続される信号線と、コントローラ403とサーミスタ1040aとが接続される信号線とを兼用させることができ、これらセンサからの信号線の数をセンサの数よりも少なくすることができる。
【0092】
次に、温度安定領域においてループセンサ162が記録材Pを検出した場合の電圧Vbの変化について図8に基づいて説明する。なお、本実施形態の加圧ローラ1102は、直径が30[mm]となっており、記録材Pが所定量よりも多いしきい値以上撓んでいなければ、140[rpm](210[mm/sec])で回転駆動される。
【0093】
時間t6において、記録材Pとの接触によりフラグ1122が遮光位置から退避し、ループセンサ162のフォトトランジスタ162bが発光ダイオード162aからの光を受光すると、電圧Vbが1.65[V]から2.2[V]まで増加する。CPU521は、電圧Vbが0.5[V]以上増加したため、記録材Pが所定量以上たわんでいると判定し、不図示のカウンタによるカウントを開始する。これは、定着ベルト1101と加圧ローラ1102とが記録材Pを搬送する速度が、二次転写対向ローラ10と二次転写ローラ12とが記録材を搬送する速度よりも遅いためである。なお、記録材Pは、そのサイズがA4サイズの場合、ループセンサ162によって記録材Pが所定量以上撓んでいることが検知されてから、この記録材Pの搬送方向の後端が二次転写ニップ部N2を抜けることで撓みが解消されるまでの時間が1秒未満となっている。そこで、本実施形態では、ループセンサ162によって記録材Pが所定量以上撓んでいることが検知されてから1秒以上経過しても、撓みが解消されていなければ、記録材のサイズがA4よりも大きいと判定され、加圧ローラ1102の回転速度が増加される。これにより、記録材Pが所定量以上撓んでいる状態を解消させることができる。
【0094】
ここで、幅が狭く坪量の大きい用紙が通紙され続けると、セラミックヒータ1104の端部の温度が所定温度よりも上昇してしまう。これにより、セラミックヒータ1104の中央部の温度が温度安定領域に保たれているにも拘わらず、セラミックヒータ1104の端部の温度が上昇し、電圧Vbが1.65[V]以下となってしまう。
【0095】
時間t7において、フラグ1122が再び遮光位置に復帰し、ループセンサ162のフォトトランジスタ162bが発光ダイオード162aからの光を受光できなくなると、電圧Vbは2.0[V]から1.3[V]まで減少する。このとき、サーミスタ1040cに印加される電圧は、セラミックヒータ1104の端部の温度に応じた値となる。CPU521は、電圧Vbが0.5[V]以上減少したため、記録材Pの撓みが解消されたと判定し、不図示のカウンタによるカウントを終了する。
【0096】
本実施形態では、電圧Vbが0.5[V]以上増加することに応じて記録材Pが撓んだと判定し、電圧Vbが0.5[V]以上減少することに応じて記録材Pの撓みが解消されたと判定している。これは、記録材Pにトナー像を定着させる際に、記録材Pのサイズによらず、この記録材Pがセラミックヒータ1104の長手方向で中央部を通過するためである。電圧Vmが温度安定領域であるにも拘わらず、電圧Vbが0.5[V]以上増加した場合、セラミックヒータ1104の長手方向で端部の温度は、電圧Vbに応じた温度まで低下することがない。つまり、CPU521は、記録材Pにトナー像を定着させるために記録材Pを定着器16に搬送させたことで、電圧Vbが0.5[V]以上増加した場合、記録材Pが撓んだことを識別することができる。ここで、0.5[V]は記録材Pが所定量以上撓んだことを識別するための所定値に相当する。
【0097】
また、CPU521は、電圧Vbが0.5[V]以上増加した後、電圧Vmが温度安定領域であるにも拘わらず、電圧Vbが0.5[V]以上減少した場合、記録材Pの撓みが解消したことを識別することができる。ここで、0.5[V]は記録材Pの撓みが解消したことを識別するための所定値に相当する。これにより、CPU521は、記録材Pが撓んでいる時間を計時することができる。
【0098】
時間t8において、記録材Pとの接触によりフラグ1122が遮光位置から再び退避し、ループセンサ162のフォトトランジスタ162bが発光ダイオード162aからの光を受光すると、電圧Vbが1.1[V]から1.9[V]まで増加する。CPU521は、電圧Vbが再び0.5[V]以上増加したため、記録材Pが所定量以上たわんでいると判定し、不図示のカウンタによるカウントを開始する。
【0099】
時間t9は、記録材Pが撓んでいることを判定してから所定時間が経過した時間である。ここで、本実施形態では、記録材Pが撓んでいる状態が所定時間以上続いた場合、二次転写ニップ部N2と定着ニップ部N3とに挟持された記録材Pがしきい値以上撓んでいると判定する構成とした。
【0100】
時間t9において、電圧Vbが1.75[V]である。時間t8において、電圧Vbが0.5[V]以上増加したときの値が1.9[V]であるため、電圧Vbが0.5[V]以上減少していない。本実施形態では、記録材Pが撓んだ状態が所定時間以上続いている場合、この記録材Pがしきい値以上撓んでいると判定される。
【0101】
そこで、CPU521は、モータ410の回転速度を140[rpm]から150[rpm]に変更することで、記録材Pの撓みによる不良画像の出力を抑制する。つまり、CPU521は、二次転写対向ローラ10と二次転写ローラ12が記録材を搬送する速度と、定着器16が記録材Pにトナー像を定着させながら搬送する速度との速度差が小さくなるように、加圧ローラ1102の回転速度を増加させている。これにより、撓んだ記録材Pが定着ベルトなどに接触することで、記録材P上の未定着のトナーが飛散することを防止している。
【0102】
時間t10において、フラグ1122が再び遮光位置に戻ると、ループセンサ162のフォトトランジスタ162bが発光ダイオード162aからの光を受光できなくなり、電圧Vbが1.7[V]から1.0[V]まで減少する。CPU521は、電圧Vbが0.5[V]以上減少したため、記録材Pの撓みが解消されたと判定し、不図示のカウンタによるカウントを終了する。さらに、CPU521は、モータ410の回転速度を150[rpm]から140[rpm]に変更する。
【0103】
以上の説明において、CPU521は、記録材Pが撓んでいる時間が所定時間よりも長ければ、記録材Pを搬送する定着ニップ部N3の加圧ローラ1102の回転速度を、目標とする速度よりも早い速度に変更している。
【0104】
時間t11において、電圧Vbが0.98[V]を下回ると、CPU521はローレベルのRelay信号Aを出力することで、リレー回路512にセラミックヒータ1104への電力供給を禁止させる。
【0105】
また、CPU521が暴走し、ハイレベルのRelay信号Aが出力され続けたとしても、AND回路528によってRelay信号Bがローレベルとなるため、リレー回路512がセラミックヒータ1104への電力供給を禁止する。これによって、端部昇温が発生した場合であっても安全にセラミックヒータ1104の発熱を停止させることができる。
【0106】
本実施形態では、ループセンサ162とサーミスタ1040cとの接点に接続された1本の信号線を介して出力される電圧Vbに基づいて、セラミックヒータ1104の長手方向で端部の温度を検知すると共に、記録材Pが所定量以上撓んでいることを検出することができる。そのため、コントローラ403とループセンサ162とが接続される信号線と、コントローラ403とサーミスタ1040cとが接続される信号線とを兼用させることができ、これらセンサからの信号線の数をセンサの数よりも少なくすることができる。
【0107】
次に、図9は、本実施形態の画像形成装置100が画像を形成する際のCPU521(図5)の動作を説明するフローチャートである。以下、本実施形態のセラミックヒータ1104の画像形成処理を図5のブロック図と、図9に表すフローチャートを用いて詳細に説明する。なお、図9のフローチャートの処理はCPU521がROM700に格納されたプログラムを読み出すことにより実行される。
【0108】
先ず、CPU521は、画像形成装置100の主電源がオンされると、インターフェース部600を介して画像データが入力されるまで待機する(S100)。ステップS100において、画像データが入力されると、CPU521は、後述の図10に示す温度調整制御の割り込み処理を開始させ(S101)、温度安定領域となるまで待機する(S102)。ステップS102において、後述の温度調整制御において温度安定領域であることを示す温度安定フラグFが1であれば、CPU521は、後述の図11に示す排紙センサによる検知と、図12に示すループセンサによる検知とを開始させる(S103)。なお、温度安定フラグFは、ステップS102において、温度調整制御が開始される前に0が入力される。
【0109】
次いで、CPU521は、前述の画像形成動作に基づいて画像の形成を行い(S104)、画像形成すべき全ての画像の形成が終了したか否かを判定する(S105)。ステップS115において、画像形成すべき全ての画像を形成している場合、CPU521は、後述の図10に示す温度調整制御を終了させる(S106)。ステップS106において、CPU521は、Heater信号Aの出力を停止し、Relay信号Aをローレベルとすることによって、セラミックヒータ1104の発熱を停止させる。
【0110】
次いで、CPU521は、後述の図11に示す排紙センサによる検知と、図12に示すループセンサによる検知とを終了し(S107)、ステップS100へ移行する。
【0111】
また、ステップS105において、入力される画像データに応じた画像を全て形成していなければ、ステップS104へ移行し、次の画像を形成する。つまり、インターフェース部600を介して入力される画像データに対応する画像を全て形成した後、温度調整制御を終了させ、排紙センサとループセンサによる記録材の検出を終了させる。
【0112】
前述のステップS101において開始される割り込み処理として、図9のステップS101からステップS106までの処理と並行して行われる温度調整制御処理を図10のフローチャートに基づいて説明する。本実施形態では、温度調整制御を開始するタイミングでCPU521がハイレベルのRelay信号Aを出力すると共に、サーミスタ1040a、1040b、1040c、排紙センサ161、ループセンサ162を駆動させる3.3[V]の電源をオンさせる。
【0113】
図9のステップS101において、割り込み処理が開始されると、CPU521は、Heater信号Aを電力供給量が100[%]となるように出力し、セラミックヒータ1104を最大熱量で発熱する(S200)。次いで、CPU521は、サーミスタ1040bの電圧Vmが1.65[V]以下、即ち、セラミックヒータ1104の長手方向の中央部の温度が230[℃]以上となるまで待機する(S201)。
【0114】
ステップS201において、セラミックヒータ1104の長手方向の中央部の温度が230[℃]以上となると、CPU521は、Heater信号Aを制御して電力供給量を10[%]減少させる(S202)。これにより、セラミックヒータ1104は最大熱量よりも少ない値で発熱する。
【0115】
次いで、CPU521は、時間カウンタtをリセットし(S203)、時間カウンタtの値が10であるか否かを判定する(S204)。本実施形態では、時間カウンタtの値を100[msec]毎に1増加させる構成とする。すなわち、ステップS204において、CPU521は、Heater信号Aを変更してから1[sec]経過したか否かを判定している。
【0116】
ステップS204において、時間カウンタtの値が10でなければ、セラミックヒータ1104の長手方向の端部の温度が300[℃]以上であるか否かを判定する(S205)。ステップS205において、CPU521は、少なくとも電圧Vaと電圧Vbとのいずれか一方が0.98[V]以下となっていれば、セラミックヒータ1104の長手方向の端部の温度が300[℃]以上であると識別する。ステップS205において、電圧Vaと電圧Vbとが共に0.98[V]以上であれば、CPU521は、時間カウンタtの値を1増加させ、(S206)、ステップS204へ移行する。
【0117】
一方、ステップS205において、少なくとも電圧Vaと電圧Vbとのいずれか一方が0.98[V]以下であれば、CPU521は、Heater信号Aの出力を停止し(S207)、画像形成動作を中止する(S208)。ここで、300[℃]が目標温度230[℃]よりも高い所定温度に相当し、0.98[V]が第2の電圧に相当する。ステップS207において、CPU521は、少なくとも電圧Vaと電圧Vbのいずれか一方が第2の電圧以下となると、CPU521がセラミックヒータ1104への電力供給を停止している。
【0118】
さらに、CPU521は、後述の排紙センサ161の検知、及び、ループセンサ162の検知を無効にし(S209)、端部異常昇温を報知し(S210)、セラミックヒータ1104の温度調整制御、並びに、画像形成動作を終了させる。本実施形態では、ステップS210において、CPU521が、表示部900に端部昇温が発生した旨のメッセージを表示させることで、ユーザに端部昇温の発生を報知している。
【0119】
ここで、本実施形態では、後述の図11及び図12でセンサの検知が有効となっているか否かを判定するために有効フラグVを用いる構成とする。有効フラグVが1であればセンサの検知が有効であり、有効フラグVが0であればセンサの検知を無効とする。よって、ステップS209において、CPU521は、有効フラグVに0を設定する。なお、有効フラグVは、温度調整制御が開始されると0に設定される。
【0120】
次に、ステップS204において、時間カウンタtの値が10となった場合について述べる。ステップS204において、時間カウンタtの値が10であれば、CPU521は、セラミックヒータ1104の長手方向の中央部の温度が235[℃]よりも高いか否かを判定する(S211)。ステップS211において、CPU521は、電圧Vmが1.6[V]よりも低ければ、セラミックヒータ1104の長手方向の中央部の温度が235[℃]よりも高いと判定する。
【0121】
ステップS211において、CPU521は、セラミックヒータ1104の長手方向で中央部の温度が235[℃]より高ければ、温度安定フラグFが0となり、セラミックヒータの長手方向で中央部の温度が300[℃]以上であるか否かを判定する(S212)。ステップS212において、CPU521は、電圧Vmが0.98[V]よりも高ければ、セラミックヒータ長手方向で中央部の温度が300[℃]よりも低いと識別し、ステップS202へ移行する。つまり、セラミックヒータ1104の長手方向で中央部の温度が235[℃]よりも高く、且つ、300[℃]よりも低ければ、CPU521がHeater信号Aを制御してセラミックヒータ1104の熱量を減少させるために、電力供給量を減少させている。
【0122】
ここで、ステップS211において、セラミックヒータ1104の長手方向で中央部の温度が235[℃]以下である場合について述べる。ステップS211において、CPU521は、セラミックヒータ1104の長手方向で中央部の温度が235[℃]以下であれば、セラミックヒータ1104の長手方向の中央部の温度が230[℃]以上であるか否かを判定する(S213)。ステップS213において、CPU521は、電圧Vmが1.65[V]以下であれば、セラミックヒータ1104の長手方向の中央部の温度が230[℃]以上235[℃]以下であると識別し、温度安定領域であると判定する(S214)。ステップS214において、CPU521は、温度安定領域であると判定すると、温度安定フラグFを1とし、前述の図9の画像形成処理のステップS103以降の処理が開始される。
【0123】
次いで、CPU521は、排紙センサ161およびループセンサ162の検知を有効にし(S215)、ステップS203へ移行する。ステップS215において、CPU521は、有効フラグVに1を設定する。
【0124】
ここで、ステップS213において、セラミックヒータ1104の長手方向の中央部の温度が230[℃]よりも低い場合について述べる。ステップS213において、電圧Vmが1.65[V]よりも高ければ、CPU521は、温度安定フラグFを0とし、後述の排紙センサ161の検知、及び、ループセンサ162の検知を無効にする(S216)。ステップS216において、CPU521は、有効フラグVに0を設定する。
【0125】
次いで、CPU521は、Heater信号Aを制御して電力供給量を10[%]増加させ(S217)、ステップS203へ移行する。つまり、セラミックヒータ1104の長手方向で中央部の温度が230[℃]よりも低い場合、CPU521はHeater信号Aを制御してセラミックヒータ1104の熱量を増加させるために、電力供給量を増加させている。
【0126】
一方、ステップS212において、セラミックヒータ1104の長手方向で中央部の温度が300[℃]以上である場合、即ち、電圧Vmが0.98[V]以下である場合、CPU521は、Heater信号Aの出力を停止する(S218)。次いで、CPU521は、像形成部1Y、1M、1C、1Bkとレーザ露光装置7とによる画像形成動作を中止し(S219)、後述の排紙センサ161の検知、及び、ループセンサ162の検知を無効にする(S220)。ステップS220において、CPU521は、有効フラグVに0を設定する。
【0127】
次いで、CPU521は、セラミックヒータ1104が異常昇温していることをユーザに報知し(S221)、セラミックヒータ1104の温度調整制御、並びに、画像形成動作を終了させる。本実施形態では、ステップS221において、CPU521が、表示部900にセラミックヒータ1104の長手方向で中央部の温度が300[℃]以上となっている旨のメッセージを表示することで、ユーザに異常昇温の発生を報知している。
【0128】
前述のステップS103において開始される割り込み処理として、図9のステップS103からステップS107までの処理と並行して行われる排紙センサ161の記録材P検出処理を図11のフローチャートに基づいて説明する。
【0129】
図9のステップS103において、割り込み処理が開始されると、CPU521は、電圧Vaを検知し(S300)、センサの検知が有効となるまで待機する(S301)。ステップS301において、CPU521は、前述の温度調整制御において説明した有効フラグVに1が設定さればセンサの検知が有効であると識別する。
【0130】
ステップS301において、有効フラグVに1が設定されていれば、CPU521は、電圧Vaを検知する(S302)。次いで、CPU521は、ステップS302で検知された電圧Vaが、ステップ300で検知された電圧Vaよりも0.5[V]以上増加したか否かを判定する(S303)。ステップS303において、電圧差が0.5[V]以上増加していなければ、ステップS301へ移行する。なお、本実施形態では、ステップS301からステップS303までの処理が500[msec]毎に繰り返される。
【0131】
一方、ステップS303において、電圧Vaが0.5[V]以上増加している場合、CPU521は、排紙カウンタCaの値を0に設定し(S304)、センサの検知が有効となるまで待機する(S305)。ステップS303において、排紙センサ161のフォトトランジスタ161bと、このフォトトランジスタ161bに接続された電気抵抗とは、記録材Pが定着器16の所定の位置に到達すると、電圧Vaを所定値以上増加させる。これにより、CPU521は、記録材が所定の位置を通過したことを検出する。ここで、CPU521は記録材が検出されたことを識別する識別手段として機能する。また、ステップS305において、CPU521は、ステップS301と同様に、有効フラグVに1が設定されているか否かを識別する。
【0132】
ステップS305において、有効フラグVに1が設定されていれば、CPU521は、電圧Vaを検知する(S306)。次いで、CPU521は、ステップS306で検知された電圧Vaが、ステップ302で検知された電圧Vaよりも0.5[V]以上減少したか否かを判定する(S307)。ステップS307において、電圧Vaが0.5[V]以上減少している場合、CPU521は、記録材Pが定着器16の所定の位置から退避したと判定し、ステップS301へ移行する。
【0133】
一方、ステップS307において、電圧Vaが0.5[V]以上減少していなければ、CPU521は、排紙カウンタCaの値を1増加し(S308)、排紙カウンタCaの値が10以上であるか否かを判定する(S309)。ステップS309において、排紙カウンタCaの値が10よりも小さければ、ステップS305へ移行する。ステップS304からステップS309までの処理は、例えば、100[msec]で行われる。
【0134】
一方、ステップS309において、排紙カウンタCaの値が10以上であれば、CPU521は、排紙センサ161によって記録材Pが定着器16の所定の位置にとどまった状態で1[sec]経過したと判定し、Heater信号Aの出力を停止する(S310)。ステップS310において、CPU521は、電圧Vaが所定時間内に所定値以上増加してから、1[sec]経過しても、この電圧Vaが所定時間内に所定値以上減少しない場合、セラミックヒータ1104への電力供給を停止する制御手段として機能する。
【0135】
次いで、CPU521は、画像形成動作を中止し(S311)、排紙異常を報知して(S312)、排紙センサ161による検知、ループセンサ162による検知、セラミックヒータ1104の温度調整制御、画像形成動作を終了させる。ステップS312において、表示部900は、電圧Vaが所定値以上増加してから、1[sec]経過しても、この電圧Vaが所定値以上減少しない場合、記録材Pの排出異常(ジャム)が発生したことを報知する報知手段として機能する。
【0136】
前述のステップS103において開始される割り込み処理として、図9のステップS103からステップS107までの処理と並行して行われるループセンサ162の記録材P検出処理を図12のフローチャートに基づいて説明する。
【0137】
図9のステップS103において、割り込み処理が開始されると、CPU521は、電圧Vbを検知し(S400)、センサの検知が有効となるまで待機する(S401)。ステップS401において、CPU521は、前述の温度調整制御において説明した有効フラグVに1が設定さればセンサの検知が有効であると識別する。
【0138】
ステップS401において、有効フラグVに1が設定されていれば、CPU521は、電圧Vbを検知する(S402)。次いで、CPU521は、ステップS402で検知された電圧Vbが、ステップ400で検知された電圧Vbよりも0.5[V]以上増加したか否かを判定する(S403)。ステップS403において、電圧差が0.5[V]以上増加していなければ、ステップS401へ移行する。ここで、ループセンサ162は、図8において説明した通り、記録材Pがたわんで所定量撓んだことが検出されると電圧Vbを0.5[V]以上増加させる。なお、本実施形態では、ステップS401からステップS403までの処理が500[msec]毎に繰り返される。
【0139】
一方、ステップS403において、電圧Vbが0.5[V]以上増加している場合、CPU521は、ループカウンタCbの値を0に設定し(S404)、センサの検知が有効となるまで待機する(S405)。ステップS403において、ループセンサ162のフォトトランジスタ162bと、このフォトトランジスタ162bに接続された電気抵抗とは、記録材Pが所定量以上たわむと、電圧Vbを0.5[V]以上増加させる。これにより、CPU521は、記録材が所定量以上撓んでいることを識別する。ここで、CPU521は記録材が検出されたことを識別する識別手段として機能する。また、ステップS405において、CPU521は、ステップS401と同様に、有効フラグVに1が設定されているか否かを識別する。
【0140】
ステップS405において、有効フラグVに1が設定されていれば、CPU521は、電圧Vbを検知する(S406)。次いで、CPU521は、ステップS406で検知された電圧Vbが、ステップS402で検知された電圧Vbよりも0.5[V]以上減少したか否かを判定する(S407)。ステップS407において、電圧Vbが0.5[V]以上減少している場合、CPU521は、記録材Pの撓みが解消したと判定し、ステップS401へ移行する。
【0141】
一方、ステップS407において、電圧Vbが0.5[V]以上減少していなければ、CPU521は、ループカウンタCbの値を1増加し(S408)、ループカウンタCbの値が10以上であるか否かを判定する(S409)。ステップS409において、ループカウンタCbの値が10よりも小さければ、ステップS405へ移行する。ステップS404からステップS409までの処理は、例えば、100[msec]で行われる。
【0142】
一方、ステップS409において、ループカウンタCbの値が10以上であれば、CPU521は、ループセンサ162によって記録材Pがしきい値以上撓んでいると判定し、モータ410の回転速度を150[rpm]に変更する(S410)。また、ステップS410において、CPU521は、モータの回転速度を140[rpm]から150[rpm]に変更すると、このモータ410によって回転駆動される加圧ローラ1102の回転速度を所定量増加させる。ここで、回転速度の増加分は、例えば、15[mm/sec]とする。つまり、ステップS410において、モータ410は、二次転写対向ローラ10及び二次転写ローラ12が記録材Pを搬送する速度と、定着ベルト1101及び加圧ローラ1102が記録材Pを搬送する速度との速度差を小さくし、記録材Pのたわみを抑制している。
【0143】
次いで、CPU521は、センサの検知が有効となるまで待機する(S411)。ステップS411において、CPU521は、ステップS401やステップS405と同様に、有効フラグVに1が設定されているか否かを識別する。
【0144】
ステップS411において、有効フラグVに1が設定されていれば、CPU521は、電圧Vbを検知する(S412)。次いで、CPU521は、ステップS412で検知された電圧Vbが、ステップS402で検知された電圧Vbよりも0.5[V]以上減少したか否かを判定する(S413)。ステップS413において、電圧Vbが0.5[V]以上減少している場合、CPU521は、モータ410の回転速度を140[rpm]に変更し(S414)、ステップS401へ移行する。
【0145】
本実施形態では、記録材Pがしきい値以上撓んだ状態となると、加圧ローラ1102の回転速度を増加させ、ループセンサ162により識別される記録材Pの撓みが解消すると、回転速度を元の速度に戻すように制御している。
【0146】
また、本実施形態の排紙センサ161は、記録材Pが定着器16の所定の位置を通過する時間が予め決められた時間よりも長ければ、記録材Pの排出異常(ジャム)が生じたことを検知する構成としたが、この構成に限定されない。例えば、記録材Pが定着器16の所定の位置に到達すべきタイミングに排紙センサ161が記録材Pの到達を検出できなければ、画像形成装置100が記録材Pの搬送異常(ジャム)を生じていることを検知する構成としてもよい。この構成とする場合、画像形成動作が開始されてから記録材Pが定着器16の所定の位置に到達するまでのカウント数を記憶しておき、記憶されたカウント数となっても電圧Vaが所定時間内に所定値以上変動しなければ、異常が発生していることを検知すればよい。
【0147】
また、本実施形態では、所定時間内に増加する電圧Vaの値が、自然放熱によるセラミックヒータ1104の温度低下による電圧Vaの増加分よりも十分に大きい値となっている。そのため、CPU521は、セラミックヒータ1104の温度が目標温度に制御された後、電圧Vaが所定時間内に0.5[V]以上増加した場合、排紙センサ161によって記録材Pが所定の位置に到達したことを検知したと判定する構成としてもよい。
【0148】
また、本実施形態では、所定時間内に増加する電圧Vbの値が、自然放熱によるセラミックヒータ1104の温度低下による電圧Vbの増加分よりも十分大きい値となっている。そのため、CPU521は、セラミックヒータ1104の温度が目標温度に制御された後、電圧Vbが所定時間内に0.5[V]以上増加した場合、ループセンサ162によって記録材Pが所定量以上撓んだことを検知したと判定する構成としてもよい。
【0149】
以上の説明より、本実施形態では、セラミックヒータ1104の温度を検知する複数のセンサと、記録材Pの有無を検出するセンサとを有する場合であっても、コントローラ403側を複雑な構成とせずに、信号線の数をセンサの数よりも減少させることができる。
【符号の説明】
【0150】
1Y イエローの像形成部
1M マゼンタの像形成部
1C シアンの像形成部
1Bk ブラックの像形成部
16 定着器
1040a サーミスタ
1040b サーミスタ
1040c サーミスタ
1104 セラミックヒータ
1121 排紙センサ
1122 ループセンサ
521 CPU
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置の定着ヒータの温度制御に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置は、原画像に応じて感光体を露光することで形成される静電潜像を、トナーを有する現像剤を用いて現像し、記録材上に転写することで、原画像に対応するトナー像を形成する。このトナー像を記録材に定着させるため、未定着のトナー像を担持した記録材は、定着器へと搬送される。
【0003】
定着器は、ヒータを内蔵した定着部に加圧ローラを圧接させることで形成される定着ニップ部に、未定着のトナー像を担持した記録材を通過させることにより、定着ニップ部の熱と圧力を用いて、未定着のトナー像を記録材に溶融定着する。ここで、定着器には、この定着器の温度を検知するサーミスタが設けられており、定着ニップ部の温度がトナー像を記録材に定着させる定着温度となるように、サーミスタによって検知された温度に応じてヒータへの電力供給が制御される。また、封筒等の小サイズ紙を連続して定着ニップ部へ通紙させた場合、定着ニップ部において小サイズ紙と接触しない定着部の領域の温度が定着部を故障させてしまうような異常温度まで昇温してしまうことが、ヒータの幅方向の端部側に設けたサーミスタによって検知される。
【0004】
また、定着器は、画像形成装置本体に着脱できる構成となっているものがある。このような定着器を有する画像形成装置は、定着器に搬送される記録材の有無を検出するフォトインタラプタ等のセンサを定着器側に配置することで、センサが故障した場合や異常を発生した場合であっても定着器を取り外すことで容易にセンサを交換することができるという利点がある。しかし、このような構成とする場合、ヒータの温度を検知するためのサーミスタからの信号線に加え、フォトインタラプタからの信号線を設ける必要があり、信号線の数が増加してしまう。
【0005】
ここで、複数のサーミスタから出力されるヒータの温度に応じたアナログ信号をデジタル信号に変換し、このサーミスタ毎のデジタル信号を、1本の信号線により、シリアル通信で制御装置に送信する構成が知られている(特許文献1参照)。特許文献1によれば、サーミスタ毎に検知されるヒータの温度に応じたデジタル信号を、シリアル通信によって順次、制御装置に送信することで、この制御装置に入力される信号線の数をサーミスタの数よりも減少させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−170841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1では、シリアル通信を行うための新たな回路を設ける必要があり、ヒータの温度に応じた信号を制御装置に送信するための回路が複雑な構成となってしまうという問題があった。具体的には、フォトインタラプタやサーミスタなどのセンサ毎の出力信号を、各センサと関連付けて制御装置へ送信する構成や、制御装置に入力される信号がどのセンサからの信号であるかを特定する構成を設けなればならない。
【0008】
そこで、本発明の目的は、熱源の温度に応じた信号と、熱源の異常昇温を検知する信号と、記録材の有無を検出した結果に応じた信号とを、通信するための回路を複雑な構成とせずに、センサの数よりも少ない信号線を用いて、熱源の異常昇温を抑制しつつ、熱源の温度を精度良く制御することができる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の画像形成装置は、トナー像を形成する像形成手段と、供給される電力に応じて加熱される加熱部を有し、前記像形成手段により形成されるトナー像を前記加熱部の熱によって記録材に定着させる定着手段と、温度に応じて抵抗値が変化し、前記定着手段が所定のサイズの記録材にトナー像を定着させる際、前記所定のサイズの記録材に接触する前記加熱部の第1の位置に設けられる第1の温度検知素子と、温度に応じて抵抗値が変化し、前記定着手段が前記所定のサイズの記録材にトナー像を定着させる際、前記所定のサイズの記録材に接触しない前記加熱部の第2の位置に設けられる第2の温度検知素子と、記録材の有無を検出すると共に、記録材を検出している状態で前記第2の温度検知素子に印加される電圧が、記録材を検出していない状態で前記第2の温度検知素子に印加される電圧よりも所定値以上高くなるように前記第2の温度検知素子に接続される記録材検出手段と、前記第1の温度検知素子と第1の信号線で接続され、前記第1の温度検知素子に印加される電圧が目標温度に応じた第1の電圧となるように前記加熱部に供給する電力を制御すると共に、前記第2の温度検知素子と前記記録材検出手段との接点に第2の信号線で接続され、前記第2の信号線を介して検出される前記第2の温度検知素子に印加される電圧が、前記目標温度よりも高い所定温度に対応する第2の電圧以下となると、前記加熱部への電力供給を停止する制御手段と、前記第1の信号線を介して検出される前記第1の温度検知素子に印加される電圧が前記第1の電圧となっている状態で、前記第2の信号線を介して検出される前記第2の温度検知素子に印加される電圧が所定値以上増加することに応じて、前記記録材検出手段が記録材を検出したと判定する判定手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、熱源の温度に応じた信号と、熱源の異常昇温を検知する信号と、記録材の有無を検出した結果に応じた信号とを、簡易な構成且つ少ない信号線で通信することにより、熱源の異常昇温を抑制しつつ、熱源の温度を精度良く制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】画像形成装置の概略断面図
【図2】定着器の概略断面図とサーミスタの取り付け位置を示す図
【図3】サーミスタの温度特性図
【図4】排紙センサの要部斜視図
【図5】制御ブロック図
【図6】セラミックヒータへの電力供給を制御する信号値の変化を示す図
【図7】排紙センサが記録材を検出した場合の信号値の変化を示す図
【図8】ループセンサが記録材のたわみを検出した場合の信号値の変化を示す図
【図9】画像形成装置の画像形成処理を示すフローチャート図
【図10】セラミックヒータの温度調整制御を示すフローチャート図
【図11】排紙センサの記録材検出処理を示すフローチャート図
【図12】ループセンサのたわみ検出処理を示すフローチャート図
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は本実施形態の画像形成装置100の概略断面図である。本実施形態では、各色成分のトナー像を形成する4つの像形成部1Y、1M、1C、1Bkが1列に配列された画像形成装置を用いる。
【0013】
各像形成部は、1Yがイエローのトナー像を形成し、1Mがマゼンタのトナー像を形成し、1Cがシアンのトナー像を形成し、1Bkがブラックのトナー像を形成する。
【0014】
各像形成部1Y、1M、1C、1Bkは同様の構成であるため、以下ではイエローのトナー像を形成する像形成部1Yについて説明し、他の像形成部1M、1C、1Bkについての説明を省略する。ここで、矢印A方向は、各像形成部1Y、1M、1C、1Bkの感光ドラム2a、2b、2c、2dが回転する方向である。
【0015】
像形成部1Yは、イエローの色成分のトナー像を担持する感光ドラム2aと、この感光ドラム2aを帯電する帯電器3aと、感光ドラム2a上に形成された静電潜像をトナーを有する現像剤を用いてトナー像として顕像化する現像器4aを有している。なお、感光ドラム2a上の静電潜像は、感光ドラム2aが帯電器3aによって帯電された後、レーザ露光装置7からイエローの色成分に対応した光で感光ドラム2aが露光されることにより形成される。
【0016】
さらに、像形成部1Yは、感光ドラム2a上のトナー像を後述の中間転写ベルト8に転写する一次転写ローラ5aと、トナー像を転写した後に感光ドラム2a上に残留したトナーを除去するドラムクリーナ6aも有している。
【0017】
前述の中間転写ベルト8は、各像形成部1Y、1M、1C、1Bkで形成された各色成分のトナー像が重ねて転写されることでフルカラーのトナー像を担持できる。中間転写ベルト8は、この中間転写ベルト8を矢印B方向へと回転駆動させるテンションローラ11と、二次転写対向ローラ10とに掛け回されている。中間転写ベルト8の周囲には、二次転写対向ローラ10と中間転写ベルト8を介して対向する位置に二次転写ローラ12が配設されている。
【0018】
トナー像を転写させるための記録材Pは、給紙ユニット17に格納されており、搬送パス18を通って、二次転写対向ローラ10が二次転写ローラ12に押圧されることによって形成される二次転写ニップ部へと搬送される。さらに、二次転写ニップ部においてトナー像が転写された記録材Pは、二次転写対向ローラと二次転写ローラ12とによって、搬送パス34を通って定着器16に搬送される。この定着器16は、記録材P上のトナー像を、この記録材Pに定着させるものであり、その詳細については図2を用いて後述する。
【0019】
次に、本実施形態の画像形成装置100が、不図示のPCやスキャナ等から入力される画像データに対応する印刷物を出力する画像形成動作について説明する。
【0020】
像形成部1Yにおいて、先ず、帯電器3aが感光ドラム2aを一様に帯電し、レーザ露光装置7が感光ドラム2aに画像データのイエロー成分に応じた露光光を照射することで、感光ドラム2a上に画像データのイエロー成分に対応する静電潜像が形成される。次いで、感光ドラム2a上の静電潜像は、現像器4aがイエローのトナーを用いて、イエローのトナー像を現像する。
【0021】
感光ドラム2a上のイエローのトナー像は、この感光ドラム2aの矢印A方向への回転に伴い、一次転写ローラ5aが中間転写ベルト8を介して感光ドラム2aを押圧する一次転写ニップ部N1aへ搬送される。この一次転写ニップ部N1aにおいて、感光ドラム2a上のイエローのトナー像は一次転写ローラ5aから一次転写電圧が印加されることにより、中間転写ベルト8上に転写される。また、感光ドラム2aに残留したトナーは、ドラムクリーナ6aによって除去される。
【0022】
中間転写ベルト8に転写されたトナー像は、二次転写ローラ12が中間転写ベルト8を介して二次転写対向ローラ10を押圧する二次転写ニップ部に搬送される。一方、記録材Pはタイミングを調整されて、中間転写ベルト8上のトナー像と接触するように二次転写ニップ部に搬送されると、二次転写電圧が印加された二次転写ローラ12により、中間転写ベルト8上のトナー像が記録材P上に転写される。また、二次転写ニップ部で記録材Pに転写されずに中間転写ベルト8に残留したトナーは、不図示のベルトクリーナによって除去される。
【0023】
トナー像を担持した記録材Pは定着器16へと搬送され、後述の定着動作に未定着のトナー像を担持した記録材に熱と圧力を加えることより、未定着のトナー像を記録材Pに溶融定着される。
【0024】
次に、図2の定着器16の概略断面図とサーミスタの取り付け位置を示す図に基づき、定着器16の構成について説明する。
【0025】
図2(a)は、定着器16の概略断面図である。二次転写ローラ12と二次転写対向ローラ10とが二次転写ニップ部N2で記録材Pを挟持しながら、この記録材Pを搬送する。
【0026】
定着ベルト1101は、耐熱性の高い円筒状のベルト状部材であり、その表面に弾性層を有する。この定着ベルト1101は、トナー像を定着する際の定着温度よりも高い温度(例えば、330[℃])であっても熱変形しない。加圧ローラ1102は、芯金部1102aと弾性層のゴム部1102bから構成される。ヒータホルダ1103は耐熱性部材であり、加圧ローラ1102の軸線方向と平行な方向が長手方向となっている。また、ヒータホルダ1103の下面には、熱源としてのセラミックヒータ1104が装着されている。本実施形態では、セラミックヒータ1104と加熱される定着ベルト1101とが定着手段に相当する。
【0027】
図2(b)は、図2(a)の矢印S方向からセラミックヒータ1104を見た時の要部概略図である。セラミックヒータ1104は、記録材Pが定着ニップ部N3を通過する場合、この記録材Pが搬送される方向に直交する方向が長手方向となる。また、セラミックヒータ1104は、その長手方向の長さを画像形成装置100が搬送可能な最大サイズの記録材の幅よりも長い。
【0028】
セラミックヒータ1104には、セラミックヒータ1104の温度を検知する温度検知素子としてのサーミスタ1040a、1040b、1040cが、セラミックヒータ1104の長手方向の異なる位置に3つ設けられている。図2(b)のように、サーミスタ1040bは、セラミックヒータ1104の長手方向で中央の領域の温度を検知する。ここで、セラミックヒータ1104の長手方向で中央の領域は、加熱部材の第1の位置に相当する。サーミスタ1040aとサーミスタ1040cとは、図2(b)のように、セラミックヒータ1104の長手方向で、画像形成装置100が搬送可能な最大サイズの記録材の幅内で、且つ、搬送可能な最小サイズの記録材の幅よりも外側の領域の温度を検知する。ここで、画像形成装置100で搬送されることが許可されている最小サイズの記録材が所定のサイズの記録材に相当する。また、最小サイズの記録材の幅よりも外側の領域で、セラミックヒータ1104の一方の端部が第2の位置に相当する。
【0029】
図2(a)において、加圧ステー1106および加圧バネ1107は、ヒータホルダ1103を、定着ベルト1101を介して加圧ローラ1102の軸線方向に沿って一様な圧力で押圧することにより、定着ニップ部N3を形成する。この定着ニップ部N3に記録材Pが搬送されると、記録材Pは、セラミックヒータ1104から加えられる熱と、加圧ステー1106および加圧バネ1107により加圧ローラ1102を介して加えられる圧力とにより、記録材P上の未定着のトナーが溶融定着される。また、図2(a)において、矢印Cは記録材の搬送方向、矢印R1は定着ベルト1101の回転方向、矢印R2は加圧ローラ1102の回転方向である。定着ベルト1101は、加圧ローラ1102の駆動に従動して回転することで、定着ニップ部N3において記録材Pを矢印C方向へ搬送しながら、この記録材Pに未定着のトナーを定着させることができる。
【0030】
図2(a)のフラグ1121は、定着ニップ部N3を通過した記録材Pを検出する排紙センサ161(図4)の一部である。排紙センサ161(図4)は、発光ダイオード161aとフォトトランジスタ161bとからなる公知のフォトインタラプタである。フラグ1121は、不図示のバネによって、発光ダイオード161aからフォトトランジスタ161bに照射される光を遮る位置(遮光位置)にとどまっている。このフラグ1121は、記録材Pの先端に押されて遮光位置から退避し、記録材Pの後端が通過し終えると不図示のバネの力によって遮光位置に復帰する。排紙センサ161(図4)は、フラグ1121が遮光位置から退避し、フォトトランジスタ161bが発光ダイオード161aからの光を受光している間、このフォトトランジスタ161bに電流が流れる導通状態となる。本実施形態では、排紙センサ161(図4)のフォトトランジスタ161bが導通状態となると、電圧Vaの値が変化し、記録材Pがフラグ1121の位置を通過していることが検知される。以降、記録材Pが搬送される搬送路中で、フラグ1121が記録材Pを検知する位置を、定着器16の所定の位置と称す。
【0031】
本実施形態では、排紙センサ161の発光ダイオード161aが発光部に相当し、排紙センサ161のフォトトランジスタ161bが受光部に相当する。
【0032】
図2(a)のフラグ1122は、記録材Pのたわみ状態を検知するループセンサ162の一部である。ループセンサ162は、発光ダイオード162a(図5)とフォトトランジスタ162b(図5)とからなる公知のフォトインタラプタである。フラグ1122は、不図示のバネによって、発光ダイオード162aからフォトトランジスタ162bに照射される光を遮る位置(遮光位置)にとどまっている。このフラグ1122は、記録材Pが所定量以上たわむことによって、この記録材Pに押されると遮光位置から退避し、記録材Pのたわみが所定量よりも小さくなることによって、この記録材Pから離間すると不図示のバネの力によって遮光位置に復帰する。ループセンサ162(図5)は、フラグ1122が遮光位置から退避し、フォトトランジスタ162bが発光ダイオード162aからの光を受光している間、このフォトトランジスタ162bに電流が流れる導通状態となる。本実施形態では、ループセンサ162(図5)のフォトトランジスタ162bが導通状態となると、電圧Vbの値が変化し、記録材Pが所定量以上たわんでいることが検知される。
【0033】
本実施形態では、ループセンサ162の発光ダイオード162aが発光部に相当し、ループセンサ162のフォトトランジスタ162bが受光部に相当する。
【0034】
本実施形態では、記録材Pが定着ニップ部N3を通過する速度を、中間転写ベルト8がトナー像を搬送する速度よりも遅くしている。これは、二次転写対向ローラ10及び二次転写ローラ12が記録材Pを搬送する速度と、加圧ローラ1102が記録材Pを搬送する速度との差によって記録材Pが引っ張られることで、この記録材Pが破損することを防止するためである。しかしながら、加圧ローラ1102が記録材Pを搬送する速度が二次転写対向ローラ10及び二次転写ローラ12が記録材Pを搬送する速度よりも遅すぎると、定着ニップ部N3で記録材Pが搬送不良を起こしたり、出力される画像の品位を低下させてしまう。そのため、本実施形態では、ループセンサ162によって記録材Pが所定量撓んだことを検出すると、加圧ローラ1102の回転速度を増加させる構成とする。
【0035】
なお、本実施形態では、定着ベルト1101及び加圧ローラ1102よりも記録材Pが搬送される方向で上流の、二次転写ローラ12及び二次転写対向ローラ10が搬送部に相当する。
【0036】
次に、サーミスタ1040a、1040b、1040cの温度に応じた抵抗値の変化(温度特性)を図3に基づき、説明する。
【0037】
サーミスタ1040a、1040b、1040cは、セラミックヒータ1104が目標温度である230[℃]となると、その抵抗値が4.7[kΩ]となり、セラミックヒータ1104が300[℃]となると、その抵抗値が2.0[kΩ]となる。つまり、サーミスタ1040a、1040b、1040cは、セラミックヒータ1104の温度が上昇すると抵抗値が減少する温度特性を有する。ここで、本実施形態の定着ベルト1101は、セラミックヒータ1104の温度が230[℃]となると定着可能となり、セラミックヒータ1104の温度が330[℃]となると定着不良を発生し得る。
【0038】
具体的には、セラミックヒータ1104の温度が330[℃]を超えると、定着ニップ部Nに搬送される記録材Pに担持された未定着のトナーを定着ベルト1101に付着させてしまう。定着ベルト1101にこびりついたトナーは、後続の記録材が定着ニップ部Nを通過する際に、この記録材を汚してしまう虞がある。そこで、本実施形態では、セラミックヒータ1104の温度が300[℃]となると、セラミックヒータ1104への電力供給が強制的に遮断され、セラミックヒータ1104の温度が300[℃]以上に昇温しない構成となっている。
【0039】
次に、本実施形態の排紙センサ161について、図4の排紙センサ161の要部斜視図に基づいて説明する。図4(a)は、排紙センサ161によって記録材Pが検出された状態を示している。図4(b)は、排紙センサ161によって記録材Pが検出されていない状態を示している。
【0040】
排紙センサ161は、発光ダイオード161a、フォトトランジスタ161b、L字型のフラグ1121から構成されている。記録材Pが排紙センサ161を通過すると、フラグ1121はこの記録材Pと接触し、押されることで、発光ダイオード161aからの光がフォトトランジスタ161bに受光されるような位置に移動させられる。一方、記録材Pが排紙センサ161を通過し終えると、フラグ1121は、不図示のバネにより、発光ダイオード161aからの光を遮る位置に移動させられる。これにより、フォトトランジスタ161bは発光ダイオード161aからの光を受光できなくなる。
【0041】
また、ループセンサ162は、排紙センサ161と同様、記録材Pが所定量以上撓むことで、撓んだ部分がフラグ1122に接触することでフラグ1122が移動し、発光ダイオード162aからの光がフォトトランジスタ162bに受光される構成となっている。ループセンサ162は、記録材Pの撓みが所定量よりも小さくなると、フラグ1122が、発光ダイオード162aからの光を遮る位置に移動し、フォトトランジスタ162bは発光ダイオード162aからの光を受光できなくなる。
【0042】
次に、本実施形態の回路構成について、図5の画像形成装置のブロック図に基づき説明する。
【0043】
電圧ユニット404は、セラミックヒータ1104へ供給される電力を制御するゲート制御式半導体スイッチ510と、セラミックヒータ1104への電力供給を遮断するためのリレー回路512およびトランジスタ511を有している。
【0044】
リレー回路512は、Relay信号Bがハイレベルの場合にオン状態となり、Relay信号Bがローレベルの場合にオフ状態となる。リレー回路512はオン状態となると、セラミックヒータ1104に電力が供給できる状態とし、リレー回路512がオフ状態となると、セラミックヒータ1104に電力が供給できない状態とする。
【0045】
ゲート制御式半導体スイッチ510は、ゲートGにパルス状のHeater信号Bが入力されると、そのタイミングに応じて、電源から入力される交流波形が調整され、セラミックヒータ1104に供給される電力(電力供給量)が制御される。ゲート制御式半導体スイッチ510は、リレー回路512がオン状態で、セラミックヒータ1104に電力を供給する。これにより、セラミックヒータ1104が電力供給量に応じた発熱量で発熱する。また、ゲート制御式半導体スイッチ510は、リレー回路512がオン状態で、Heater信号の出力が停止されると、セラミックヒータ1104への7電力供給を停止する。これにより、セラミックヒータ1104の発熱が停止する。
【0046】
また、定着器16には、図2のセラミックヒータ1104と、このセラミックヒータ1104の長手方向で中央部の温度を検知するためのサーミスタ1040b、この長手方向で両端部の温度を検知するためのサーミスタ1040a、1040cが設けられている。さらに、定着器16には、排紙センサ161とループセンサ162とが設けられている。
【0047】
サーミスタ1040bは、セラミックヒータ1104の長手方向で中央部の温度に応じた電圧Vmを、信号線を介して後述のコントローラ403へ出力する。なお、サーミスタ1040bは、後述のコントローラ403に具備された4.7[kΩ]の電気抵抗を介して3.3[V]の入力電圧で駆動される。
【0048】
電圧Vmは、サーミスタ1040bによって検知される温度が230[℃]であれば、1.65[V]となり、サーミスタ1040bによって検知される温度が300[℃]であれば、約0.98[V]となる。なお、サーミスタ1040bが第1の温度検知素子に相当し、サーミスタ1040bとコントローラ403とを接続する信号線が第1の信号線に相当する。
【0049】
サーミスタ1040aは、排紙センサ161のフォトトランジスタ161bを介して、4.7[kΩ]の電気抵抗と直列に接続されている。また、排紙センサ161のフォトトランジスタ161bとサーミスタ1040aとは、その接点が信号線によって後述のコントローラ403に接続されている。なお、サーミスタ1040aは3.3[V]の入力電圧で駆動される。
【0050】
これにより、サーミスタ1040aは、フォトトランジスタ161bが非導通状態となると、セラミックヒータ1104の長手方向で一方の端部の温度に応じた電圧Vaを、信号線を介して後述のコントローラ403へ出力する。ここで、記録材Pが定着器16の所定の位置を通過していない場合、排紙センサ161のフォトトランジスタ161bは、フラグ1121によって排紙センサ161の発光ダイオード161aの光が遮蔽されることで非導通状態となる。
【0051】
フォトトランジスタ161bが非導通状態であれば、電圧Vaは、サーミスタ1040aが、後述のコントローラ403に具備された4.7[kΩ]の電気抵抗を介して3.3[V]の入力電圧で駆動されたときのサーミスタ1040aの電圧となる。そのため、電圧Vaは、サーミスタ1040aによって検知される温度が230[℃]であれば、1.65[V]となり、サーミスタ1040cによって検知される温度が300[℃]であれば、約0.98[V]となる。
【0052】
また、サーミスタ1040aは、フォトトランジスタ161bが導通状態となると、セラミックヒータ1104の長手方向で一方の端部の温度に応じた電圧よりも高い値の電圧Vaを、信号線を介して後述のコントローラ403へ出力する。ここで、記録材Pが定着器16の所定の位置を通過している場合、排紙センサ161のフォトトランジスタ161bは発光ダイオード161aの光を受光することで導通状態となる。
【0053】
排紙センサ161のフォトトランジスタ161bが導通状態であれば、電圧Vaは、3.3[V]の入力電圧がサーミスタ1040aと2.35[kΩ]の合成抵抗とで分圧されることによって、サーミスタ1040aに印加される電圧となる。なお、2.35[kΩ]の合成抵抗とは、フォトトランジスタ161bに接続される4.7[kΩ]の電気抵抗と、コントローラ403に具備された4.7[kΩ]の電気抵抗とが並列に接続されたときの合成抵抗である。
【0054】
そのため、記録材Pが検出された状態での電圧Vaは、記録材Pが検出されていない状態での値よりも所定値以上高くなる。具体的には、サーミスタ1040aによって検知される温度が230[℃]であれば、電圧Vaが約2.2[V]となり、サーミスタ1040cによって検知される温度が300[℃]であれば、電圧Vaが約1.52[V]となる。
【0055】
サーミスタ1040cは、ループセンサ162のフォトトランジスタ162bを介して、4.7[kΩ]の電気抵抗と直列に接続されている。また、ループセンサ162のフォトトランジスタ162bとサーミスタ1040cとは、その接点が信号線によって後述のコントローラ403に接続されている。なお、サーミスタ1040cは3.3[V]の入力電圧で駆動される。
【0056】
これにより、サーミスタ1040cは、フォトトランジスタ162bが非導通状態となると、セラミックヒータ1104の長手方向で他方の端部の温度に応じた電圧Vbを、信号線を介して後述のコントローラ403へ出力する。ここで、記録材Pが所定量以上たわんでいない場合、ループセンサ162のフォトトランジスタ162bは、フラグ1122によってループセンサ162の発光ダイオード162aの光が遮蔽されることで非導通状態となる。
【0057】
フォトトランジスタ162bが非導通状態であれば、電圧Vbはサーミスタ1040cが、後述のコントローラ403に具備された4.7[kΩ]の電気抵抗を介して3.3[V]の入力電圧で駆動されたときのサーミスタ1040cの電圧となる。そのため、電圧Vbは、サーミスタ1040cによって検知される温度が230[℃]であれば、1.65[V]となり、サーミスタ1040cによって検知される温度が300[℃]であれば、約0.98[V]となる。
【0058】
また、サーミスタ1040cは、フォトトランジスタ162bが導通状態となると、セラミックヒータ1104の長手方向で他方の端部の温度に応じた電圧よりも高い値の電圧Vbを、信号線を介して後述のコントローラ403へ出力する。ここで、記録材Pが所定量以上たわんでいる場合、ループセンサ162のフォトトランジスタ162bは発光ダイオード162aの光を受光することで導通状態となる。
【0059】
ループセンサ162のフォトトランジスタ162bが導通状態であれば、電圧Vbは、3.3[V]の入力電圧がサーミスタ1040cと2.35[kΩ]の合成抵抗とで分圧されることによって、サーミスタ1040cに印加される電圧となる。なお、2.35[kΩ]の合成抵抗とは、フォトトランジスタ162bに接続される4.7[kΩ]の電気抵抗と、コントローラ403に具備された4.7[kΩ]の電気抵抗とが並列に接続されたときの合成抵抗である。
【0060】
そのため、記録材Pが検出された状態での電圧Vbは、記録材Pが検出されていない状態での値よりも所定値以上高くなる。具体的には、サーミスタ1040cによって検知される温度が230[℃]であれば、電圧Vbが約2.2[V]となり、サーミスタ1040cによって検知される温度が300[℃]であれば、電圧Vbが約1.52[V]となる。
【0061】
なお、サーミスタ1040aは第2の温度検知素子に相当する。さらに、排紙センサ161と、この排紙センサ161に接続された4.7[kΩ]の電気抵抗とは、記録材Pの有無を検出する記録材検出手段として機能する。サーミスタ1040aとフォトトランジスタ161bとの間の接点と、コントローラ403とを接続する信号線が第2の信号線に相当する。ここで、本実施形態では、サーミスタ1040aと電気抵抗との間に排紙センサ161のフォトトランジスタ161bが接続されている構成としたが、サーミスタ1040aとフォトトランジスタ161bとの間に電気抵抗が接続されている構成としてもよい。この構成とする場合、サーミスタ1040aと電気抵抗との間の接点と、コントローラ403とを接続する信号線が第2の信号線に相当する。
【0062】
また、ループセンサ162と、このループセンサ162に接続された4.7[kΩ]の電気抵抗とは、記録材Pの有無を検出する記録材検出手段として機能する。サーミスタ1040cとフォトトランジスタ162bとの間の接点と、コントローラ403とを接続する信号線が第2の信号線に相当する。ここで、本実施形態では、サーミスタ1040cと電気抵抗との間にループセンサ162のフォトトランジスタ162bが接続されている構成としたが、サーミスタ1040cとフォトトランジスタ162bとの間に電気抵抗が接続されている構成としてもよい。この構成とする場合、サーミスタ1040cと電気抵抗との間の接点と、コントローラ403とを接続する信号線が第2の信号線に相当する。
【0063】
また、コントローラ403は、画像形成装置全体を制御する制御回路であるCPU521を搭載した制御基板である。ROM700には、画像形成装置で実行する各種処理を制御するための制御プログラムが格納されている。また、RAM800は、CPU521が処理のために使用するシステムワークメモリである。像形成部1Y、1M、1C、1Bk、及び、レーザ露光装置7は図1において説明しているため、ここでの説明を省略する。インターフェース部600は、スキャナやPCから画像データが入力されると、この画像データをCPU521に送信する。表示部900は、画像形成装置100に設けられた液晶画面であり、画像形成装置の状態をユーザに報知する。
【0064】
また、モータ410は、加圧ローラ1102を駆動させるDCブラシレスモータであり、モータ411は、二次転写対向ローラ10及び二次転写ローラ12を駆動させるステッピングモータである。モータ410は、CPU521からの加速命令に応じて不図示の駆動回路がモータ410に印加する電圧を制御し、モータ410の回転速度を制御することができる。
【0065】
CPU521と安全回路525とには、電圧Vm、Va、Vbがそれぞれ入力される。
【0066】
安全回路525は、コンパレータ522、523、526を有している。
【0067】
コンパレータ522は、サーミスタ1040bの電圧Vmが、0.98[V]以下となると、ローレベルの信号を出力する。ここで、0.98[V]とは、セラミックヒータ1104の温度が300[℃]のときのサーミスタ1040bの電圧である。
【0068】
コンパレータ523は、サーミスタ1040aと排紙センサ161のフォトトランジスタ161bとが接続されている接点の電圧Vaが、0.98[V]以下となると、ローレベルの信号を出力する。ここで、0.98[V]とは、セラミックヒータ1104の温度が300[℃]のときのサーミスタ1040aの電圧値である。
【0069】
コンパレータ526は、サーミスタ1040cとループセンサ162のフォトトランジスタ162bとが接続されている接点の電圧Vcが0.98[V]以下となると、ローレベルの信号を出力する。ここで、0.98[V]とは、セラミックヒータ1104の温度が300[℃]のときのサーミスタ1040cの電圧値である。
【0070】
AND回路527は、コンパレータ523から出力される信号とコンパレータ526から出力される信号との両方がハイレベルであれば、ハイレベルの信号を出力し、それ以外ならばローレベルの信号を出力する。
【0071】
AND回路528は、CPU521から出力されるRelay信号AとAND回路527から出力される信号との両方がハイレベルであれば、ハイレベルのRelay信号Bを出力し、それ以外ならばローレベルのRelay信号Bを出力する。すなわち、AND回路528は、セラミックヒータ1104の長手方向で端部の温度が300[℃]以上となると、ローレベルのRelay信号Bを出力し、後述の電圧ユニット404によるセラミックヒータ1104への電力供給を禁止させる。
【0072】
また、AND回路529は、コンパレータ522から出力される信号がハイレベルであれば、CPU521から出力されるHeater信号AをHeater信号Bとして出力し、それ以外ならばHeater信号Bの出力を禁止する。すなわち、AND回路529は、セラミックヒータ1104の長手方向で中央部の温度が300[℃]以上となると、Heater信号Bの出力を禁止し、後述の電圧ユニット404によるセラミックヒータ1104への電力供給を停止させる。
【0073】
次に、コントローラ403が、セラミックヒータ1104への電力供給を制御する方法を図6のタイミングチャートに基づいて説明する。なお、図6において、電圧Vm、Va、Vbは、排紙センサ161及びループセンサ162が記録材Pを検出していない状態で出力される電圧である。また、セラミックヒータ1104の電力供給量はゲート制御式半導体スイッチ510(図5)にHeater信号B(パルス信号)を所定のタイミングで入力することによって、電源から供給される電力(電力供給量)を制御している。
【0074】
先ず、コントローラ403がハイレベルのRelay信号Bを出力すると、リレー回路512がオン状態となり、セラミックヒータ1104への電力供給が可能となる。この状態で、コントローラ403がゲート制御式半導体スイッチ510を電力供給量100[%]で駆動させると、セラミックヒータ1104が電力供給量に応じた発熱量で発熱する。ここで、電源からの交流電圧をそのままセラミックヒータ1104に印加した場合の電力供給量を100[%]とする。セラミックヒータ1104の温度が上昇すると、サーミスタ1040a、1040b、1040cの抵抗値が下がるので、電圧Vmと電圧Vaと電圧Vbが低下する。
【0075】
本実施形態では、サーミスタ1040bの電圧Vmが、このサーミスタ1040bによって検知される温度が230[℃]となったときに出力される1.65[V]となるように、セラミックヒータ1104に供給される電力が制御される。ここで、1.65[V]は、セラミックヒータ1104の長手方向の中央部の温度が230[℃]となったときにサーミスタ1040bから出力される第1の電圧に相当する。
【0076】
次いで、コントローラ403は、電圧Vmが1.65[V]以下、即ち、第1の電圧以下となると、ゲート制御式半導体スイッチ510に入力するHeater信号Bのタイミングを調整して、セラミックヒータ1104への電力供給量を所定量だけ低下させる。なお、セラミックヒータ1104の長手方向で中央部の温度が230[℃]以上となると、電圧Vmが1.65[V]以下となる。ここで、所定量は、例えば、10[%]とする。コントローラ403は、電力供給量を所定量低下させた後、所定時間経過しても電圧Vmが1.65[V]以下であれば、再度、電力供給量を定量だけ低下させる。ここで、所定時間とは、例えば、1[sec]とする。
【0077】
コントローラ403は、電力供給量を所定量ずつ低下させていくことにより、電圧Vmが1.65[V]よりも高い電圧となると、ゲート制御式半導体スイッチ510に入力されるHeater信号Bのタイミングが調整され、電力供給量を所定量だけ増加させる。ここで、所定量は、例えば、10[%]とする。
【0078】
コントローラ403は、電力供給量を所定量ずつ増減させながら、電圧Vmが1.65[V]で安定すると、セラミックヒータ1104の温度が230[℃]で安定したと判定し、排紙センサ161およびループセンサ162による検知を可能な状態とする。なお、本実施形態では、セラミックヒータ1104の温度が230[℃]以上235[℃]以下の範囲となった状態を温度安定領域と称す。
【0079】
また、小サイズの記録材に連続して画像を定着させることで、電圧Va、Vbのいずれか一方が0.98[V]以下となると、コントローラ403は、ローレベルのRelay信号Bを出力することによってリレー回路512をオフ状態とする。これによってセラミックヒータ1104への電力供給が遮断され、このセラミックヒータ1104の発熱が禁止される。なお、本実施形態では、セラミックヒータ1104の長手方向で中央部の温度が230[℃]以下であるにも拘らず、この長手方向で少なくとも一方の端部の温度が300[℃]以上となった場合を端部昇温と称している。
【0080】
また、CPU521が暴走することによりHeater信号Aを制御不能となり、電圧Vmが0.98[V]以下となると、AND回路529がHeater信号の出力を禁止する。これによってセラミックヒータ1104への電力供給が禁止され、このセラミックヒータ1104の発熱が停止される。
【0081】
次に、温度安定領域において排紙センサ161が記録材Pを検出した場合の電圧Vaの変化について図7に基づいて説明する。
【0082】
時間t1において、記録材Pとの接触によりフラグ1121が遮光位置から退避し、排紙センサ161のフォトトランジスタ161bが発光ダイオード161aからの光を受光すると、電圧Vaが1.65[V]から2.2[V]まで増加する。CPU521は、電圧Vaが0.5[V]以上増加したため、記録材Pが排紙センサ161の定着器16の所定の位置に進入したと判定し、不図示のカウンタによるカウントを開始する。なお、本実施形態では、電圧Vaが0.5[V]以上増加することによって、記録材Pが搬送される方向で、この記録材Pの先端が定着器16の所定の位置に到達したと判定する構成とした。
【0083】
幅が狭く坪量の大きい用紙が通紙され続けると、セラミックヒータ1104の端部の温度が所定温度よりも上昇してしまう。これにより、セラミックヒータ1104の中央部の温度が温度安定領域に保たれているにも拘わらず、セラミックヒータ1104の端部の温度が上昇し、電圧Vaが1.65[V]以下となってしまう。
【0084】
時間t2において、フラグ1121が再び遮光位置に戻ると、排紙センサ161のフォトトランジスタ161bが発光ダイオード161aからの光を受光できなくなり、電圧Vaが2.0[V]から1.3[V]まで減少する。CPU521は、電圧Vaが0.5[V]以上減少したため、記録材Pが定着器16の所定の位置を通過し終えたと判定し、不図示のカウンタによるカウントを終了する。なお、本実施形態では、電圧Vaが0.5[V]以上低下することによって、記録材Pが搬送される方向で、この記録材Pの後端が定着器16の所定の位置を通過したと判定する構成とした。
【0085】
本実施形態では、電圧Vaが0.5[V]以上変動することに応じて記録材Pが、定着器16の所定の位置を通過したことを判定している。これは、記録材Pにトナー像を定着させる際に、記録材Pのサイズによらず、この記録材Pがセラミックヒータ1104の長手方向で中央部を通過するためである。電圧Vmが温度安定領域であるにも拘わらず、電圧Vaが0.5[V]以上増加した場合、セラミックヒータ1104の長手方向で端部の温度は、電圧Vaに応じた温度まで低下することがない。つまり、CPU521は、記録材Pにトナー像を定着させるために記録材Pを定着器16に搬送させたことで、電圧Vaが0.5[V]以上増加した場合、記録材Pが定着器16の所定の位置に到達したことを識別することができる。ここで、0.5[V]は記録材Pが定着器16の所定の位置に到達したことを識別するための所定値に相当する。
【0086】
また、CPU521は、電圧Vaが0.5[V]以上増加した後、電圧Vmが温度安定領域であるにも拘わらず、電圧Vaが0.5[V]以上減少した場合、記録材Pが定着器16の所定の位置を通過したことを識別することができる。ここで、0.5[V]は記録材Pが定着器16の所定の位置を通過したことを識別するための所定値に相当する。
【0087】
以上の説明において、CPU521は、記録材Pが定着器16の所定の位置に進入してから、この所定の位置を通過するまでの時間を計時することができる。本実施形態では、記録材Pが定着器16の所定の位置に進入してから、この所定の位置を通過するまでの時間が所定時間よりも長ければ、記録材Pが定着器16の定着ニップ部N3に挟持された状態で異常(ジャム)が生したと判定される。
【0088】
時間t5において、電圧Vaが0.98[V]を下回ると、CPU521はローレベルのRelay信号Aを出力することで、リレー回路512にセラミックヒータ1104への電力供給を禁止させる。
【0089】
また、CPU521が暴走し、ハイレベルのRelay信号Aを出力し続けたとしても、AND回路528によってRelay信号Bがローレベルとなるため、リレー回路512がセラミックヒータ1104への電力供給を禁止する。これによって、端部昇温が発生した場合であっても安全にセラミックヒータ1104の発熱を停止させることができる。
【0090】
ここで、記録材Pが定着器16の所定の位置に到達している状態で、電圧Vaが0.98[V]を下回った場合について述べる。この場合、端部昇温が検出されるサーミスタ1040cの抵抗値は約1[kΩ]である。この抵抗値をサーミスタ1040cが検出した温度に換算すると約330[℃]となる。本実施形態では、セラミックヒータ1104の温度が330[℃]となっても、素早くセラミックヒータ1104への通電を遮断することができるため、記録材Pが発火してしまうような温度となる前に、安全にセラミックヒータ1104の発熱を停止させている。
【0091】
本実施形態では、排紙センサ161とサーミスタ1040aとの接点に接続された1本の信号線を介して出力される電圧Vaに基づいて、セラミックヒータ1104の長手方向で端部の温度を検知すると共に、記録材Pが定着器16の所定の位置を通過していることを検出することができる。そのため、コントローラ403と排紙センサ161とが接続される信号線と、コントローラ403とサーミスタ1040aとが接続される信号線とを兼用させることができ、これらセンサからの信号線の数をセンサの数よりも少なくすることができる。
【0092】
次に、温度安定領域においてループセンサ162が記録材Pを検出した場合の電圧Vbの変化について図8に基づいて説明する。なお、本実施形態の加圧ローラ1102は、直径が30[mm]となっており、記録材Pが所定量よりも多いしきい値以上撓んでいなければ、140[rpm](210[mm/sec])で回転駆動される。
【0093】
時間t6において、記録材Pとの接触によりフラグ1122が遮光位置から退避し、ループセンサ162のフォトトランジスタ162bが発光ダイオード162aからの光を受光すると、電圧Vbが1.65[V]から2.2[V]まで増加する。CPU521は、電圧Vbが0.5[V]以上増加したため、記録材Pが所定量以上たわんでいると判定し、不図示のカウンタによるカウントを開始する。これは、定着ベルト1101と加圧ローラ1102とが記録材Pを搬送する速度が、二次転写対向ローラ10と二次転写ローラ12とが記録材を搬送する速度よりも遅いためである。なお、記録材Pは、そのサイズがA4サイズの場合、ループセンサ162によって記録材Pが所定量以上撓んでいることが検知されてから、この記録材Pの搬送方向の後端が二次転写ニップ部N2を抜けることで撓みが解消されるまでの時間が1秒未満となっている。そこで、本実施形態では、ループセンサ162によって記録材Pが所定量以上撓んでいることが検知されてから1秒以上経過しても、撓みが解消されていなければ、記録材のサイズがA4よりも大きいと判定され、加圧ローラ1102の回転速度が増加される。これにより、記録材Pが所定量以上撓んでいる状態を解消させることができる。
【0094】
ここで、幅が狭く坪量の大きい用紙が通紙され続けると、セラミックヒータ1104の端部の温度が所定温度よりも上昇してしまう。これにより、セラミックヒータ1104の中央部の温度が温度安定領域に保たれているにも拘わらず、セラミックヒータ1104の端部の温度が上昇し、電圧Vbが1.65[V]以下となってしまう。
【0095】
時間t7において、フラグ1122が再び遮光位置に復帰し、ループセンサ162のフォトトランジスタ162bが発光ダイオード162aからの光を受光できなくなると、電圧Vbは2.0[V]から1.3[V]まで減少する。このとき、サーミスタ1040cに印加される電圧は、セラミックヒータ1104の端部の温度に応じた値となる。CPU521は、電圧Vbが0.5[V]以上減少したため、記録材Pの撓みが解消されたと判定し、不図示のカウンタによるカウントを終了する。
【0096】
本実施形態では、電圧Vbが0.5[V]以上増加することに応じて記録材Pが撓んだと判定し、電圧Vbが0.5[V]以上減少することに応じて記録材Pの撓みが解消されたと判定している。これは、記録材Pにトナー像を定着させる際に、記録材Pのサイズによらず、この記録材Pがセラミックヒータ1104の長手方向で中央部を通過するためである。電圧Vmが温度安定領域であるにも拘わらず、電圧Vbが0.5[V]以上増加した場合、セラミックヒータ1104の長手方向で端部の温度は、電圧Vbに応じた温度まで低下することがない。つまり、CPU521は、記録材Pにトナー像を定着させるために記録材Pを定着器16に搬送させたことで、電圧Vbが0.5[V]以上増加した場合、記録材Pが撓んだことを識別することができる。ここで、0.5[V]は記録材Pが所定量以上撓んだことを識別するための所定値に相当する。
【0097】
また、CPU521は、電圧Vbが0.5[V]以上増加した後、電圧Vmが温度安定領域であるにも拘わらず、電圧Vbが0.5[V]以上減少した場合、記録材Pの撓みが解消したことを識別することができる。ここで、0.5[V]は記録材Pの撓みが解消したことを識別するための所定値に相当する。これにより、CPU521は、記録材Pが撓んでいる時間を計時することができる。
【0098】
時間t8において、記録材Pとの接触によりフラグ1122が遮光位置から再び退避し、ループセンサ162のフォトトランジスタ162bが発光ダイオード162aからの光を受光すると、電圧Vbが1.1[V]から1.9[V]まで増加する。CPU521は、電圧Vbが再び0.5[V]以上増加したため、記録材Pが所定量以上たわんでいると判定し、不図示のカウンタによるカウントを開始する。
【0099】
時間t9は、記録材Pが撓んでいることを判定してから所定時間が経過した時間である。ここで、本実施形態では、記録材Pが撓んでいる状態が所定時間以上続いた場合、二次転写ニップ部N2と定着ニップ部N3とに挟持された記録材Pがしきい値以上撓んでいると判定する構成とした。
【0100】
時間t9において、電圧Vbが1.75[V]である。時間t8において、電圧Vbが0.5[V]以上増加したときの値が1.9[V]であるため、電圧Vbが0.5[V]以上減少していない。本実施形態では、記録材Pが撓んだ状態が所定時間以上続いている場合、この記録材Pがしきい値以上撓んでいると判定される。
【0101】
そこで、CPU521は、モータ410の回転速度を140[rpm]から150[rpm]に変更することで、記録材Pの撓みによる不良画像の出力を抑制する。つまり、CPU521は、二次転写対向ローラ10と二次転写ローラ12が記録材を搬送する速度と、定着器16が記録材Pにトナー像を定着させながら搬送する速度との速度差が小さくなるように、加圧ローラ1102の回転速度を増加させている。これにより、撓んだ記録材Pが定着ベルトなどに接触することで、記録材P上の未定着のトナーが飛散することを防止している。
【0102】
時間t10において、フラグ1122が再び遮光位置に戻ると、ループセンサ162のフォトトランジスタ162bが発光ダイオード162aからの光を受光できなくなり、電圧Vbが1.7[V]から1.0[V]まで減少する。CPU521は、電圧Vbが0.5[V]以上減少したため、記録材Pの撓みが解消されたと判定し、不図示のカウンタによるカウントを終了する。さらに、CPU521は、モータ410の回転速度を150[rpm]から140[rpm]に変更する。
【0103】
以上の説明において、CPU521は、記録材Pが撓んでいる時間が所定時間よりも長ければ、記録材Pを搬送する定着ニップ部N3の加圧ローラ1102の回転速度を、目標とする速度よりも早い速度に変更している。
【0104】
時間t11において、電圧Vbが0.98[V]を下回ると、CPU521はローレベルのRelay信号Aを出力することで、リレー回路512にセラミックヒータ1104への電力供給を禁止させる。
【0105】
また、CPU521が暴走し、ハイレベルのRelay信号Aが出力され続けたとしても、AND回路528によってRelay信号Bがローレベルとなるため、リレー回路512がセラミックヒータ1104への電力供給を禁止する。これによって、端部昇温が発生した場合であっても安全にセラミックヒータ1104の発熱を停止させることができる。
【0106】
本実施形態では、ループセンサ162とサーミスタ1040cとの接点に接続された1本の信号線を介して出力される電圧Vbに基づいて、セラミックヒータ1104の長手方向で端部の温度を検知すると共に、記録材Pが所定量以上撓んでいることを検出することができる。そのため、コントローラ403とループセンサ162とが接続される信号線と、コントローラ403とサーミスタ1040cとが接続される信号線とを兼用させることができ、これらセンサからの信号線の数をセンサの数よりも少なくすることができる。
【0107】
次に、図9は、本実施形態の画像形成装置100が画像を形成する際のCPU521(図5)の動作を説明するフローチャートである。以下、本実施形態のセラミックヒータ1104の画像形成処理を図5のブロック図と、図9に表すフローチャートを用いて詳細に説明する。なお、図9のフローチャートの処理はCPU521がROM700に格納されたプログラムを読み出すことにより実行される。
【0108】
先ず、CPU521は、画像形成装置100の主電源がオンされると、インターフェース部600を介して画像データが入力されるまで待機する(S100)。ステップS100において、画像データが入力されると、CPU521は、後述の図10に示す温度調整制御の割り込み処理を開始させ(S101)、温度安定領域となるまで待機する(S102)。ステップS102において、後述の温度調整制御において温度安定領域であることを示す温度安定フラグFが1であれば、CPU521は、後述の図11に示す排紙センサによる検知と、図12に示すループセンサによる検知とを開始させる(S103)。なお、温度安定フラグFは、ステップS102において、温度調整制御が開始される前に0が入力される。
【0109】
次いで、CPU521は、前述の画像形成動作に基づいて画像の形成を行い(S104)、画像形成すべき全ての画像の形成が終了したか否かを判定する(S105)。ステップS115において、画像形成すべき全ての画像を形成している場合、CPU521は、後述の図10に示す温度調整制御を終了させる(S106)。ステップS106において、CPU521は、Heater信号Aの出力を停止し、Relay信号Aをローレベルとすることによって、セラミックヒータ1104の発熱を停止させる。
【0110】
次いで、CPU521は、後述の図11に示す排紙センサによる検知と、図12に示すループセンサによる検知とを終了し(S107)、ステップS100へ移行する。
【0111】
また、ステップS105において、入力される画像データに応じた画像を全て形成していなければ、ステップS104へ移行し、次の画像を形成する。つまり、インターフェース部600を介して入力される画像データに対応する画像を全て形成した後、温度調整制御を終了させ、排紙センサとループセンサによる記録材の検出を終了させる。
【0112】
前述のステップS101において開始される割り込み処理として、図9のステップS101からステップS106までの処理と並行して行われる温度調整制御処理を図10のフローチャートに基づいて説明する。本実施形態では、温度調整制御を開始するタイミングでCPU521がハイレベルのRelay信号Aを出力すると共に、サーミスタ1040a、1040b、1040c、排紙センサ161、ループセンサ162を駆動させる3.3[V]の電源をオンさせる。
【0113】
図9のステップS101において、割り込み処理が開始されると、CPU521は、Heater信号Aを電力供給量が100[%]となるように出力し、セラミックヒータ1104を最大熱量で発熱する(S200)。次いで、CPU521は、サーミスタ1040bの電圧Vmが1.65[V]以下、即ち、セラミックヒータ1104の長手方向の中央部の温度が230[℃]以上となるまで待機する(S201)。
【0114】
ステップS201において、セラミックヒータ1104の長手方向の中央部の温度が230[℃]以上となると、CPU521は、Heater信号Aを制御して電力供給量を10[%]減少させる(S202)。これにより、セラミックヒータ1104は最大熱量よりも少ない値で発熱する。
【0115】
次いで、CPU521は、時間カウンタtをリセットし(S203)、時間カウンタtの値が10であるか否かを判定する(S204)。本実施形態では、時間カウンタtの値を100[msec]毎に1増加させる構成とする。すなわち、ステップS204において、CPU521は、Heater信号Aを変更してから1[sec]経過したか否かを判定している。
【0116】
ステップS204において、時間カウンタtの値が10でなければ、セラミックヒータ1104の長手方向の端部の温度が300[℃]以上であるか否かを判定する(S205)。ステップS205において、CPU521は、少なくとも電圧Vaと電圧Vbとのいずれか一方が0.98[V]以下となっていれば、セラミックヒータ1104の長手方向の端部の温度が300[℃]以上であると識別する。ステップS205において、電圧Vaと電圧Vbとが共に0.98[V]以上であれば、CPU521は、時間カウンタtの値を1増加させ、(S206)、ステップS204へ移行する。
【0117】
一方、ステップS205において、少なくとも電圧Vaと電圧Vbとのいずれか一方が0.98[V]以下であれば、CPU521は、Heater信号Aの出力を停止し(S207)、画像形成動作を中止する(S208)。ここで、300[℃]が目標温度230[℃]よりも高い所定温度に相当し、0.98[V]が第2の電圧に相当する。ステップS207において、CPU521は、少なくとも電圧Vaと電圧Vbのいずれか一方が第2の電圧以下となると、CPU521がセラミックヒータ1104への電力供給を停止している。
【0118】
さらに、CPU521は、後述の排紙センサ161の検知、及び、ループセンサ162の検知を無効にし(S209)、端部異常昇温を報知し(S210)、セラミックヒータ1104の温度調整制御、並びに、画像形成動作を終了させる。本実施形態では、ステップS210において、CPU521が、表示部900に端部昇温が発生した旨のメッセージを表示させることで、ユーザに端部昇温の発生を報知している。
【0119】
ここで、本実施形態では、後述の図11及び図12でセンサの検知が有効となっているか否かを判定するために有効フラグVを用いる構成とする。有効フラグVが1であればセンサの検知が有効であり、有効フラグVが0であればセンサの検知を無効とする。よって、ステップS209において、CPU521は、有効フラグVに0を設定する。なお、有効フラグVは、温度調整制御が開始されると0に設定される。
【0120】
次に、ステップS204において、時間カウンタtの値が10となった場合について述べる。ステップS204において、時間カウンタtの値が10であれば、CPU521は、セラミックヒータ1104の長手方向の中央部の温度が235[℃]よりも高いか否かを判定する(S211)。ステップS211において、CPU521は、電圧Vmが1.6[V]よりも低ければ、セラミックヒータ1104の長手方向の中央部の温度が235[℃]よりも高いと判定する。
【0121】
ステップS211において、CPU521は、セラミックヒータ1104の長手方向で中央部の温度が235[℃]より高ければ、温度安定フラグFが0となり、セラミックヒータの長手方向で中央部の温度が300[℃]以上であるか否かを判定する(S212)。ステップS212において、CPU521は、電圧Vmが0.98[V]よりも高ければ、セラミックヒータ長手方向で中央部の温度が300[℃]よりも低いと識別し、ステップS202へ移行する。つまり、セラミックヒータ1104の長手方向で中央部の温度が235[℃]よりも高く、且つ、300[℃]よりも低ければ、CPU521がHeater信号Aを制御してセラミックヒータ1104の熱量を減少させるために、電力供給量を減少させている。
【0122】
ここで、ステップS211において、セラミックヒータ1104の長手方向で中央部の温度が235[℃]以下である場合について述べる。ステップS211において、CPU521は、セラミックヒータ1104の長手方向で中央部の温度が235[℃]以下であれば、セラミックヒータ1104の長手方向の中央部の温度が230[℃]以上であるか否かを判定する(S213)。ステップS213において、CPU521は、電圧Vmが1.65[V]以下であれば、セラミックヒータ1104の長手方向の中央部の温度が230[℃]以上235[℃]以下であると識別し、温度安定領域であると判定する(S214)。ステップS214において、CPU521は、温度安定領域であると判定すると、温度安定フラグFを1とし、前述の図9の画像形成処理のステップS103以降の処理が開始される。
【0123】
次いで、CPU521は、排紙センサ161およびループセンサ162の検知を有効にし(S215)、ステップS203へ移行する。ステップS215において、CPU521は、有効フラグVに1を設定する。
【0124】
ここで、ステップS213において、セラミックヒータ1104の長手方向の中央部の温度が230[℃]よりも低い場合について述べる。ステップS213において、電圧Vmが1.65[V]よりも高ければ、CPU521は、温度安定フラグFを0とし、後述の排紙センサ161の検知、及び、ループセンサ162の検知を無効にする(S216)。ステップS216において、CPU521は、有効フラグVに0を設定する。
【0125】
次いで、CPU521は、Heater信号Aを制御して電力供給量を10[%]増加させ(S217)、ステップS203へ移行する。つまり、セラミックヒータ1104の長手方向で中央部の温度が230[℃]よりも低い場合、CPU521はHeater信号Aを制御してセラミックヒータ1104の熱量を増加させるために、電力供給量を増加させている。
【0126】
一方、ステップS212において、セラミックヒータ1104の長手方向で中央部の温度が300[℃]以上である場合、即ち、電圧Vmが0.98[V]以下である場合、CPU521は、Heater信号Aの出力を停止する(S218)。次いで、CPU521は、像形成部1Y、1M、1C、1Bkとレーザ露光装置7とによる画像形成動作を中止し(S219)、後述の排紙センサ161の検知、及び、ループセンサ162の検知を無効にする(S220)。ステップS220において、CPU521は、有効フラグVに0を設定する。
【0127】
次いで、CPU521は、セラミックヒータ1104が異常昇温していることをユーザに報知し(S221)、セラミックヒータ1104の温度調整制御、並びに、画像形成動作を終了させる。本実施形態では、ステップS221において、CPU521が、表示部900にセラミックヒータ1104の長手方向で中央部の温度が300[℃]以上となっている旨のメッセージを表示することで、ユーザに異常昇温の発生を報知している。
【0128】
前述のステップS103において開始される割り込み処理として、図9のステップS103からステップS107までの処理と並行して行われる排紙センサ161の記録材P検出処理を図11のフローチャートに基づいて説明する。
【0129】
図9のステップS103において、割り込み処理が開始されると、CPU521は、電圧Vaを検知し(S300)、センサの検知が有効となるまで待機する(S301)。ステップS301において、CPU521は、前述の温度調整制御において説明した有効フラグVに1が設定さればセンサの検知が有効であると識別する。
【0130】
ステップS301において、有効フラグVに1が設定されていれば、CPU521は、電圧Vaを検知する(S302)。次いで、CPU521は、ステップS302で検知された電圧Vaが、ステップ300で検知された電圧Vaよりも0.5[V]以上増加したか否かを判定する(S303)。ステップS303において、電圧差が0.5[V]以上増加していなければ、ステップS301へ移行する。なお、本実施形態では、ステップS301からステップS303までの処理が500[msec]毎に繰り返される。
【0131】
一方、ステップS303において、電圧Vaが0.5[V]以上増加している場合、CPU521は、排紙カウンタCaの値を0に設定し(S304)、センサの検知が有効となるまで待機する(S305)。ステップS303において、排紙センサ161のフォトトランジスタ161bと、このフォトトランジスタ161bに接続された電気抵抗とは、記録材Pが定着器16の所定の位置に到達すると、電圧Vaを所定値以上増加させる。これにより、CPU521は、記録材が所定の位置を通過したことを検出する。ここで、CPU521は記録材が検出されたことを識別する識別手段として機能する。また、ステップS305において、CPU521は、ステップS301と同様に、有効フラグVに1が設定されているか否かを識別する。
【0132】
ステップS305において、有効フラグVに1が設定されていれば、CPU521は、電圧Vaを検知する(S306)。次いで、CPU521は、ステップS306で検知された電圧Vaが、ステップ302で検知された電圧Vaよりも0.5[V]以上減少したか否かを判定する(S307)。ステップS307において、電圧Vaが0.5[V]以上減少している場合、CPU521は、記録材Pが定着器16の所定の位置から退避したと判定し、ステップS301へ移行する。
【0133】
一方、ステップS307において、電圧Vaが0.5[V]以上減少していなければ、CPU521は、排紙カウンタCaの値を1増加し(S308)、排紙カウンタCaの値が10以上であるか否かを判定する(S309)。ステップS309において、排紙カウンタCaの値が10よりも小さければ、ステップS305へ移行する。ステップS304からステップS309までの処理は、例えば、100[msec]で行われる。
【0134】
一方、ステップS309において、排紙カウンタCaの値が10以上であれば、CPU521は、排紙センサ161によって記録材Pが定着器16の所定の位置にとどまった状態で1[sec]経過したと判定し、Heater信号Aの出力を停止する(S310)。ステップS310において、CPU521は、電圧Vaが所定時間内に所定値以上増加してから、1[sec]経過しても、この電圧Vaが所定時間内に所定値以上減少しない場合、セラミックヒータ1104への電力供給を停止する制御手段として機能する。
【0135】
次いで、CPU521は、画像形成動作を中止し(S311)、排紙異常を報知して(S312)、排紙センサ161による検知、ループセンサ162による検知、セラミックヒータ1104の温度調整制御、画像形成動作を終了させる。ステップS312において、表示部900は、電圧Vaが所定値以上増加してから、1[sec]経過しても、この電圧Vaが所定値以上減少しない場合、記録材Pの排出異常(ジャム)が発生したことを報知する報知手段として機能する。
【0136】
前述のステップS103において開始される割り込み処理として、図9のステップS103からステップS107までの処理と並行して行われるループセンサ162の記録材P検出処理を図12のフローチャートに基づいて説明する。
【0137】
図9のステップS103において、割り込み処理が開始されると、CPU521は、電圧Vbを検知し(S400)、センサの検知が有効となるまで待機する(S401)。ステップS401において、CPU521は、前述の温度調整制御において説明した有効フラグVに1が設定さればセンサの検知が有効であると識別する。
【0138】
ステップS401において、有効フラグVに1が設定されていれば、CPU521は、電圧Vbを検知する(S402)。次いで、CPU521は、ステップS402で検知された電圧Vbが、ステップ400で検知された電圧Vbよりも0.5[V]以上増加したか否かを判定する(S403)。ステップS403において、電圧差が0.5[V]以上増加していなければ、ステップS401へ移行する。ここで、ループセンサ162は、図8において説明した通り、記録材Pがたわんで所定量撓んだことが検出されると電圧Vbを0.5[V]以上増加させる。なお、本実施形態では、ステップS401からステップS403までの処理が500[msec]毎に繰り返される。
【0139】
一方、ステップS403において、電圧Vbが0.5[V]以上増加している場合、CPU521は、ループカウンタCbの値を0に設定し(S404)、センサの検知が有効となるまで待機する(S405)。ステップS403において、ループセンサ162のフォトトランジスタ162bと、このフォトトランジスタ162bに接続された電気抵抗とは、記録材Pが所定量以上たわむと、電圧Vbを0.5[V]以上増加させる。これにより、CPU521は、記録材が所定量以上撓んでいることを識別する。ここで、CPU521は記録材が検出されたことを識別する識別手段として機能する。また、ステップS405において、CPU521は、ステップS401と同様に、有効フラグVに1が設定されているか否かを識別する。
【0140】
ステップS405において、有効フラグVに1が設定されていれば、CPU521は、電圧Vbを検知する(S406)。次いで、CPU521は、ステップS406で検知された電圧Vbが、ステップS402で検知された電圧Vbよりも0.5[V]以上減少したか否かを判定する(S407)。ステップS407において、電圧Vbが0.5[V]以上減少している場合、CPU521は、記録材Pの撓みが解消したと判定し、ステップS401へ移行する。
【0141】
一方、ステップS407において、電圧Vbが0.5[V]以上減少していなければ、CPU521は、ループカウンタCbの値を1増加し(S408)、ループカウンタCbの値が10以上であるか否かを判定する(S409)。ステップS409において、ループカウンタCbの値が10よりも小さければ、ステップS405へ移行する。ステップS404からステップS409までの処理は、例えば、100[msec]で行われる。
【0142】
一方、ステップS409において、ループカウンタCbの値が10以上であれば、CPU521は、ループセンサ162によって記録材Pがしきい値以上撓んでいると判定し、モータ410の回転速度を150[rpm]に変更する(S410)。また、ステップS410において、CPU521は、モータの回転速度を140[rpm]から150[rpm]に変更すると、このモータ410によって回転駆動される加圧ローラ1102の回転速度を所定量増加させる。ここで、回転速度の増加分は、例えば、15[mm/sec]とする。つまり、ステップS410において、モータ410は、二次転写対向ローラ10及び二次転写ローラ12が記録材Pを搬送する速度と、定着ベルト1101及び加圧ローラ1102が記録材Pを搬送する速度との速度差を小さくし、記録材Pのたわみを抑制している。
【0143】
次いで、CPU521は、センサの検知が有効となるまで待機する(S411)。ステップS411において、CPU521は、ステップS401やステップS405と同様に、有効フラグVに1が設定されているか否かを識別する。
【0144】
ステップS411において、有効フラグVに1が設定されていれば、CPU521は、電圧Vbを検知する(S412)。次いで、CPU521は、ステップS412で検知された電圧Vbが、ステップS402で検知された電圧Vbよりも0.5[V]以上減少したか否かを判定する(S413)。ステップS413において、電圧Vbが0.5[V]以上減少している場合、CPU521は、モータ410の回転速度を140[rpm]に変更し(S414)、ステップS401へ移行する。
【0145】
本実施形態では、記録材Pがしきい値以上撓んだ状態となると、加圧ローラ1102の回転速度を増加させ、ループセンサ162により識別される記録材Pの撓みが解消すると、回転速度を元の速度に戻すように制御している。
【0146】
また、本実施形態の排紙センサ161は、記録材Pが定着器16の所定の位置を通過する時間が予め決められた時間よりも長ければ、記録材Pの排出異常(ジャム)が生じたことを検知する構成としたが、この構成に限定されない。例えば、記録材Pが定着器16の所定の位置に到達すべきタイミングに排紙センサ161が記録材Pの到達を検出できなければ、画像形成装置100が記録材Pの搬送異常(ジャム)を生じていることを検知する構成としてもよい。この構成とする場合、画像形成動作が開始されてから記録材Pが定着器16の所定の位置に到達するまでのカウント数を記憶しておき、記憶されたカウント数となっても電圧Vaが所定時間内に所定値以上変動しなければ、異常が発生していることを検知すればよい。
【0147】
また、本実施形態では、所定時間内に増加する電圧Vaの値が、自然放熱によるセラミックヒータ1104の温度低下による電圧Vaの増加分よりも十分に大きい値となっている。そのため、CPU521は、セラミックヒータ1104の温度が目標温度に制御された後、電圧Vaが所定時間内に0.5[V]以上増加した場合、排紙センサ161によって記録材Pが所定の位置に到達したことを検知したと判定する構成としてもよい。
【0148】
また、本実施形態では、所定時間内に増加する電圧Vbの値が、自然放熱によるセラミックヒータ1104の温度低下による電圧Vbの増加分よりも十分大きい値となっている。そのため、CPU521は、セラミックヒータ1104の温度が目標温度に制御された後、電圧Vbが所定時間内に0.5[V]以上増加した場合、ループセンサ162によって記録材Pが所定量以上撓んだことを検知したと判定する構成としてもよい。
【0149】
以上の説明より、本実施形態では、セラミックヒータ1104の温度を検知する複数のセンサと、記録材Pの有無を検出するセンサとを有する場合であっても、コントローラ403側を複雑な構成とせずに、信号線の数をセンサの数よりも減少させることができる。
【符号の説明】
【0150】
1Y イエローの像形成部
1M マゼンタの像形成部
1C シアンの像形成部
1Bk ブラックの像形成部
16 定着器
1040a サーミスタ
1040b サーミスタ
1040c サーミスタ
1104 セラミックヒータ
1121 排紙センサ
1122 ループセンサ
521 CPU
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を形成する像形成手段と、
供給される電力に応じて加熱される加熱部を有し、前記像形成手段により形成されるトナー像を前記加熱部の熱によって記録材に定着させる定着手段と、
温度に応じて抵抗値が変化し、前記定着手段が所定のサイズの記録材にトナー像を定着させる際、前記所定のサイズの記録材に接触する前記加熱部の第1の位置に設けられる第1の温度検知素子と、
温度に応じて抵抗値が変化し、前記定着手段が前記所定のサイズの記録材にトナー像を定着させる際、前記所定のサイズの記録材に接触しない前記加熱部の第2の位置に設けられる第2の温度検知素子と、
記録材の有無を検出すると共に、記録材を検出している状態で前記第2の温度検知素子に印加される電圧が、記録材を検出していない状態で前記第2の温度検知素子に印加される電圧よりも所定値以上高くなるように前記第2の温度検知素子に接続される記録材検出手段と、
前記第1の温度検知素子と第1の信号線で接続され、前記第1の温度検知素子に印加される電圧が目標温度に応じた第1の電圧となるように前記加熱部に供給する電力を制御すると共に、前記第2の温度検知素子と前記記録材検出手段との接点に第2の信号線で接続され、前記第2の信号線を介して検出される前記第2の温度検知素子に印加される電圧が、前記目標温度よりも高い所定温度に対応する第2の電圧以下となると、前記加熱部への電力供給を停止する制御手段と、
前記第1の信号線を介して検出される前記第1の温度検知素子に印加される電圧が前記第1の電圧となっている状態で、前記第2の信号線を介して検出される前記第2の温度検知素子に印加される電圧が所定値以上増加することに応じて、前記記録材検出手段が記録材を検出したと判定する判定手段と、を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記記録材検出手段は、前記定着手段に搬送される記録材を検出することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記第1の信号線を介して検出される前記第1の温度検知素子に印加される電圧が前記第1の電圧となった後、前記像形成手段によりトナー像が形成された記録材が前記定着手段に到達すべきタイミングとなっても、前記第2の信号線を介して検出される前記第2の温度検知素子に印加される電圧が前記所定値以上増加しなければ、前記加熱部への電力の供給を停止することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記像形成手段は、前記第1の信号線を介して検出される前記第1の温度検知素子に印加される電圧が前記第1の電圧となった後、前記像形成手段によりトナー像が形成された記録材が前記定着手段に到達すべきタイミングとなっても、前記第2の信号線を介して検出される前記第2の温度検知素子に印加される電圧が前記所定値以上増加しなければ、画像の形成を停止することを特徴とする請求項2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
画像形成装置は更に、前記第1の信号線を介して検出される前記第1の温度検知素子に印加される電圧が前記第1の電圧となった後、前記像形成手段によりトナー像が形成された記録材が前記定着手段に到達すべきタイミングとなっても、前記第2の信号線を介して検出される前記第2の温度検知素子に印加される電圧が前記所定値以上増加しなければ、記録材の搬送異常を報知する報知手段を有することを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記第2の信号線を介して検出される前記第2の温度検知素子に印加される電圧が前記所定値以上増加した後、記録材が前記定着手段を通過するために要する時間が経過しても、前記第2の信号線を介して検出される前記第2の温度検知素子に印加される電圧が前記所定値以上減少しなければ、前記加熱部への電力の供給を停止することを特徴とする請求項2乃至5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記像形成手段は、前記第2の信号線を介して検出される前記第2の温度検知素子に印加される電圧が前記所定値以上増加した後、記録材が前記定着手段を通過するために要する時間が経過しても、前記第2の信号線を介して検出される前記第2の温度検知素子に印加される電圧が前記所定値以上減少しなければ、画像の形成を停止することを特徴とする請求項2乃至6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
画像形成装置は更に、前記第2の信号線を介して検出される前記第2の温度検知素子に印加される電圧が前記所定値以上増加した後、記録材が前記定着手段を通過するために要する時間が経過しても、前記第2の信号線を介して検出される前記第2の温度検知素子に印加される電圧が前記所定値以上減少しなければ、記録材を排出できない異常が発生したことを報知する報知手段を有することを特徴とする請求項2乃至7のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
画像形成装置は更に、前記定着手段が記録材を搬送する方向で、前記定着手段よりも上流に設けられ、前記定着手段が記録材を搬送する速度よりも速い速度で前記定着手段に記録材を搬送する搬送部を有し、
前記記録材検出手段は、前記定着手段と前記搬送部との間で記録材が所定量以上撓んだことを検出することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記定着手段と前記搬送部との少なくとも一方は、前記第2の信号線を介して検出される前記第2の温度検知素子に印加される電圧が前記所定値以上増加した後、所定時間経過しても、前記第2の信号線を介して検出される前記第2の温度検知素子に印加される電圧が前記所定値以上減少しなければ、前記定着手段が記録材を搬送する速度と、前記搬送部が記録材を搬送する速度との速度差を小さくすることを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記記録材検出手段は、光を発する発光部と、前記発光部の光を受光する受光部と、前記受光部に接続される電気抵抗とを有し、
前記受光部は、前記発光部からの光を受光している間、前記電気抵抗を導通させることによって前記温度検知素子に印加される電圧を前記所定値以上増加させることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項1】
トナー像を形成する像形成手段と、
供給される電力に応じて加熱される加熱部を有し、前記像形成手段により形成されるトナー像を前記加熱部の熱によって記録材に定着させる定着手段と、
温度に応じて抵抗値が変化し、前記定着手段が所定のサイズの記録材にトナー像を定着させる際、前記所定のサイズの記録材に接触する前記加熱部の第1の位置に設けられる第1の温度検知素子と、
温度に応じて抵抗値が変化し、前記定着手段が前記所定のサイズの記録材にトナー像を定着させる際、前記所定のサイズの記録材に接触しない前記加熱部の第2の位置に設けられる第2の温度検知素子と、
記録材の有無を検出すると共に、記録材を検出している状態で前記第2の温度検知素子に印加される電圧が、記録材を検出していない状態で前記第2の温度検知素子に印加される電圧よりも所定値以上高くなるように前記第2の温度検知素子に接続される記録材検出手段と、
前記第1の温度検知素子と第1の信号線で接続され、前記第1の温度検知素子に印加される電圧が目標温度に応じた第1の電圧となるように前記加熱部に供給する電力を制御すると共に、前記第2の温度検知素子と前記記録材検出手段との接点に第2の信号線で接続され、前記第2の信号線を介して検出される前記第2の温度検知素子に印加される電圧が、前記目標温度よりも高い所定温度に対応する第2の電圧以下となると、前記加熱部への電力供給を停止する制御手段と、
前記第1の信号線を介して検出される前記第1の温度検知素子に印加される電圧が前記第1の電圧となっている状態で、前記第2の信号線を介して検出される前記第2の温度検知素子に印加される電圧が所定値以上増加することに応じて、前記記録材検出手段が記録材を検出したと判定する判定手段と、を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記記録材検出手段は、前記定着手段に搬送される記録材を検出することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記第1の信号線を介して検出される前記第1の温度検知素子に印加される電圧が前記第1の電圧となった後、前記像形成手段によりトナー像が形成された記録材が前記定着手段に到達すべきタイミングとなっても、前記第2の信号線を介して検出される前記第2の温度検知素子に印加される電圧が前記所定値以上増加しなければ、前記加熱部への電力の供給を停止することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記像形成手段は、前記第1の信号線を介して検出される前記第1の温度検知素子に印加される電圧が前記第1の電圧となった後、前記像形成手段によりトナー像が形成された記録材が前記定着手段に到達すべきタイミングとなっても、前記第2の信号線を介して検出される前記第2の温度検知素子に印加される電圧が前記所定値以上増加しなければ、画像の形成を停止することを特徴とする請求項2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
画像形成装置は更に、前記第1の信号線を介して検出される前記第1の温度検知素子に印加される電圧が前記第1の電圧となった後、前記像形成手段によりトナー像が形成された記録材が前記定着手段に到達すべきタイミングとなっても、前記第2の信号線を介して検出される前記第2の温度検知素子に印加される電圧が前記所定値以上増加しなければ、記録材の搬送異常を報知する報知手段を有することを特徴とする請求項2乃至4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記第2の信号線を介して検出される前記第2の温度検知素子に印加される電圧が前記所定値以上増加した後、記録材が前記定着手段を通過するために要する時間が経過しても、前記第2の信号線を介して検出される前記第2の温度検知素子に印加される電圧が前記所定値以上減少しなければ、前記加熱部への電力の供給を停止することを特徴とする請求項2乃至5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記像形成手段は、前記第2の信号線を介して検出される前記第2の温度検知素子に印加される電圧が前記所定値以上増加した後、記録材が前記定着手段を通過するために要する時間が経過しても、前記第2の信号線を介して検出される前記第2の温度検知素子に印加される電圧が前記所定値以上減少しなければ、画像の形成を停止することを特徴とする請求項2乃至6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
画像形成装置は更に、前記第2の信号線を介して検出される前記第2の温度検知素子に印加される電圧が前記所定値以上増加した後、記録材が前記定着手段を通過するために要する時間が経過しても、前記第2の信号線を介して検出される前記第2の温度検知素子に印加される電圧が前記所定値以上減少しなければ、記録材を排出できない異常が発生したことを報知する報知手段を有することを特徴とする請求項2乃至7のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
画像形成装置は更に、前記定着手段が記録材を搬送する方向で、前記定着手段よりも上流に設けられ、前記定着手段が記録材を搬送する速度よりも速い速度で前記定着手段に記録材を搬送する搬送部を有し、
前記記録材検出手段は、前記定着手段と前記搬送部との間で記録材が所定量以上撓んだことを検出することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記定着手段と前記搬送部との少なくとも一方は、前記第2の信号線を介して検出される前記第2の温度検知素子に印加される電圧が前記所定値以上増加した後、所定時間経過しても、前記第2の信号線を介して検出される前記第2の温度検知素子に印加される電圧が前記所定値以上減少しなければ、前記定着手段が記録材を搬送する速度と、前記搬送部が記録材を搬送する速度との速度差を小さくすることを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記記録材検出手段は、光を発する発光部と、前記発光部の光を受光する受光部と、前記受光部に接続される電気抵抗とを有し、
前記受光部は、前記発光部からの光を受光している間、前記電気抵抗を導通させることによって前記温度検知素子に印加される電圧を前記所定値以上増加させることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−97057(P2013−97057A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237523(P2011−237523)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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