説明

画像情報処理装置

【課題】 USBメモリの中には、通常のデータ処理を中間状態としてのみ保存し、アンマウント処理の際に正規のデータを生成するものがある。このような場合、ユーザーがアンマウント処理を実行せずにデバイスを抜くと、USBメモリ内に所望のデータが残っていないことがある。
【解決手段】 ファイル操作のAPIがコールされるときに、ユーザー操作に関係なくアンマウント処理と再マウント処理を実行しておき、ユーザーがアンマウント処理をせずにデバイスを抜いた場合でも、USBメモリ内に所望のデータが残るよう制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像情報処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、コピー機等の画像情報処理装置においては、メモリデバイスの低価格化等に伴い、USBメモリ等の外付けストレージへ画像データを格納する機能が搭載されている。
【0003】
それに伴い、通常制御のみではなく、各デバイスに応じ、異常時における処理も考案・実装されている。
【0004】
例えば特開2004-070799号公報では、停電等による障害が発生した後に、不揮発性メモリのデータを修復する提案がなされている。
【特許文献1】特開2004-070799号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
脱着可能なストレージデバイスを利用する際の処理は、
(1)デバイスの装着
(2)ファイルシステムへのマウント
(3)R/W等の操作
(4)ファイルシステムからのアンマウント
(5)デバイスの脱
からなる一連の制御が必要となる。
【0006】
具体的には、
(1)ユーザーがデバイスを装着する。
(2)機器側がデバイスを検知し、マウント処理を行う。
(3)ユーザーの利用に応じて、デバイス内のデータを更新する。
(4)利用が終わると、ユーザーがアンマウント操作を行う。
(5)ユーザーがデバイスを取り外す。
となる。
【0007】
しかしながら、このうちの(4)に示される「ユーザーによるアンマウント操作」をユーザーが実行しないケースが多いことが問題となる。
【0008】
例えば、(3)の処理中に(5)を行われると、USBメモリ内の管理情報が破壊され、二度と使用できなくなるケースもある。
【0009】
また、デバイスによっては、(4)の処理が行われる際に(3)の操作結果を正常なファイル操作に置き換えて処理するものもあり、(4)が省かれると(3)の結果がUSBメモリ内に残らないケースが生じるものもある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本提案は、(3)に示されるデータ更新作業が終了する度に、(4)が飛びぬかされて(5)が実行されることに備え、ユーザーの操作によらずに(4)と同等の処理を行うことで、上記問題が発生しないようにするものである。
【0011】
同時に、ユーザーが再び(3)データ更新を行う場合に備え、その場合には、(4)を先行実施する前の状態に戻すものである。
【発明の効果】
【0012】
以上の実施例にて説明したように、本発明は、省電力モードの前後のみテーブルへのアクセスを行い、それ以外はまったくテーブルを用いないための簡便な方法を提供するものである。
【0013】
これによって、省電力モード時にスリープモードのCPUと電源断のCPUとが混在するシステムにおいて、省電力モードからの復帰後に正しい資源管理を行う。
【0014】
また、テーブル等への余分なアクセスを繰り返す必要が無く、CPUキャッシュへの影響を抑え、CPUの処理速度を高速に保つことが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、本発明の詳細を実施例の記述に従って説明する。
【0016】
本発明の実施の形態について説明する。
【0017】
図1は本発明にかかる画像処理システム構成例を示すブロック図である。この画像処理システムは、オフィス10とオフィス20とをインターネット104で接続された環境で実現する。オフィス10内に構築されたLAN107には、MFP100、MFP100を制御するマネージメントPC101、クライアントPC(外部記憶手段)102、文書管理サーバ106、そのデータベース105およびプロキシサーバ103が接続されている。LAN107及びオフィース20内のLAN108はプロキシサーバ13を介してインターネット104に接続される。MFP100は本発明において紙文書の画像読み取り部と読み取った画像信号に対する画像処理の一部を担当し、画像信号はLAN109を用いてマネージメントPC101に入力する。マネージメントPCは通常のPCであり、内部に画像記憶手段、画像処理手段、表示手段、入力手段を有するが、その一部をMFP100に一体化して構成されている。
【0018】
図2はMFP100の構成図である。図2においてオートドキュメントフィーダー(以降ADFと記す)を含む画像読み取り部110は束状の或いは1枚の原稿画像を図示しない光源で照射し、原稿反射像をレンズで固体撮像素子上に結像し、固体撮像素子からラスター状の画像読み取り信号を600DPIの密度のイメージ情報として得る。通常の複写機能はこの画像信号をデータ処理部115で記録信号へ画像処理し、複数毎複写の場合は記録装置111に一旦一ページ分の記録データを記憶保持した後、記録装置112に順次出力して紙上に画像を形成する。
【0019】
一方クライアントPC102から出力されるプリントデータはLAN107からネットワークIF114を経てデータ処理装置115で記録可能なラスターデータに変換した後、前記記録装置で紙上に記録画像として形成される。
【0020】
MFP100への操作者の指示はMFPに装備されたキー操作部とマネージメントPCに入力されるキーボード及びマウスからなる入力装置113から行われ、これら一連の動作はデータ処理装置115内の図示しない制御部で制御される。
【0021】
一方操作入力の状態表示及び処理中の画像データの表示は表示装置116で行われる。尚記憶装置111はマネージメントPCからも制御され、これらMFPとマネージメントPCとのデータの授受及び制御はネットワークIF117および直結したLAN109を用いて行われる。
【0022】
図3はUSBの電気仕様を示すIF口の図である。
【0023】
USBは従来のインターフェースであるRS-232CやIEEE1284に置き換わるIFとして考案された。
【0024】
RS-232CやIEEE1284は、コネクタやケーブルが大きく、またPCやデバイスの高速化により、転送速度の遅さが顕著になってきた。
【0025】
加えて、ネットワーク化の進行に伴い、PCと電話を相互接続するニーズが高まった。
【0026】
こういう環境の中で、PCメーカー(ソフト/ハード)が主導して標準化を進めた新しいシリアル通信規格の一つである。
【0027】
1996:USB1.0
1998:USB1.1
2000:USB2.0
というふうに規格が定まった。
【0028】
RS-232CやIEEE1284と比較したUSBの特徴は、
(A)高速伝送−最大480Mbps(ケーブル長:5m)
(B)バス給電−最大500mA/5V
(C)Hotplug可能
(D)最大127台のデバイスを接続可能
(D−1)ハブ経由で最大7層までスタック可能
(D−2)一台のホストに複数台のデバイスが繋がる形態
(D−3)デバイスにはハブとファンクションが存在する
となる。
【0029】
USBの転送速度は、
(ア)Low Speed(LSモード):1.5Mbps(183KB/s)
(イ)Full Speed(FSモード):12Mbps(1.5MB/s)
(ウ)High Speed(HSモード):480Mbps(57MB/s)
の3種類がある。
【0030】
USB1.0は(ア)、USB1.1は(ア)と(イ)、USB2.0は(ア)と(イ)と(ウ)をサポートしている。
【0031】
図4は転送されるデータのパケット形式を表したものである。
【0032】
トークン、データ、ハンドシェイク用のデータが図示された順序でパケットを構成している。
【0033】
詳細な説明は割愛する。
【0034】
図5はUSBトポロジーを示す図である。
【0035】
デバイスはハブを介した階層形式でホストに接続される。
【0036】
図6はUSB相互接続図である。
【0037】
ホスト上のクライアントソフトは、デバイスが提供するファンクションを利用する。
【0038】
USBデバイスは「デバイスクラス」により分類され、固有のインターフェースを公開している。
【0039】
以下はデバイスクラスの例である。
・USBメモリ、HDD等向けのMass Storage Class
・キーボード/マウス向けのHuman Interface Device Class
・プリンタ向けのPrinter Class
・スキャナ/デジカメ向けのImage Class
共通インターフェースを実装するクラスドライバにより、異なるベンダのデバイスに対して統一した操作を実現する。
【0040】
例えば、USBメモリは、メーカーによらず、共通のMass Storage Class Driverを介して操作が可能である。
【0041】
異なるメーカー間で共通インターフェースによる操作を実現するため、USBデバイスの認証テストがいくつか実施されている。
・USB2.0コンプライアンステスト−USB Forumが規定する認証テストで、合格するとロゴを使用することができる。
・WHQL HCT11.2テスト−互換性テストに合格するとドライバ署名が貰え、ドライバインストール時に警告が出なくなる。製品にロゴをつけることができる。
【0042】
図7は従来のトラブル例を示したフローである。
【0043】
USBメモリの中には、データの操作を中間状態としてのみ保持し、unmount処理が指定された場合に最終データとして整合をとるものがある。
【0044】
このような場合、ユーザーがunmount処理を実施せずにUSBメモリを抜くと、ユーザーの操作結果がUSBメモリに残らないことになる。
【0045】
図8は本提案のフローである。
【0046】
ユーザーがUSBメモリへデータを格納するたびに、unmount処理を行うことで、上記のようなUSBメモリの中に正しいデータが残るようにする。
【0047】
また、次にユーザーが使用できるよう、unmount処理の後に再びmount処理を行う。
【0048】
このように制御することで、ユーザーがunmount処理を実施せずにUSBメモリを抜いた場合でも、USBメモリ内にユーザーの操作結果を残すことを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】画像処理システム構成例を示すブロック図。
【図2】MFP100の構成図。
【図3】USBの電気仕様を示すIF口の図。
【図4】転送されるデータ・パケットの形式を表した図。
【図5】USBトポロジーを示す図。
【図6】USBの相互接続図。
【図7】従来例のフロー。
【図8】本提案のフロー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像情報を処理して外付けストレージへ格納する手段と、
外付けストレージへ画像データを格納する際に、一定の処理毎に、
使用者から指定される可能性のある処理を先実施する手段と、
使用者が継続して処理するための再処理手段と、
を備えることを特徴とする画像情報処理装置。
【請求項2】
前記一定の処理が、データのWRITEシステムコールであることを特徴とする請求項1に記載の画像情報処理装置。
【請求項3】
前記一定の処理が、ファイルのCLOSEシステムコールであることを特徴とする請求項2に記載の画像情報処理装置。
【請求項4】
前記先実施する手段が、外付けストレージに対するアンマウント処理であることを特徴とする請求項1に記載の画像情報処理装置。
【請求項5】
前記再処理手段が、外付けストレージに対する再マウント処理であることを特徴とする請求項2に記載の画像情報処理装置。
【請求項6】
前記再処理手段が、外付けストレージに対するシステムコールの処理前に行われることを特徴とする請求項1に記載の画像情報処理装置。
【請求項7】
前記外付けストレージに対するシステムコールが、WRITE、READ、OPENのいずれかであることを特徴とする請求項6に記載の画像情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−224846(P2009−224846A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−64182(P2008−64182)
【出願日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】