説明

画像投影装置

【課題】視認を許された人が視認可能となり、それ以外の人が視認困難となる画像を表示させることができる画像投影装置を提供する。
【解決手段】画像投影装置10は、スクリーン32に第一の画像と重ね合わせて投影することによって、スクリーン32に投影される画像を第一の画像とは異なる第二の画像とするための第三の画像を生成する。画像投影装置10は、第一の画像と第三の画像とを、少なくとも異なる偏光特性として又は時分割して、重ねて投影することによって、スクリーン32に第二の画像を視認可能に表示させる。眼鏡18は、第二の画像から第一の画像を視認可能に抽出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像投影装置に関するものであり、特に、光を投影面に投影することによって所定の画像を表示させる画像投影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像投影装置には、光を投影面に投影し、所定の画像を表示させるプロジェクタなどが含まれる。このようなプロジェクタをはじめとする画像投影装置には、光を出射する光源や、その光源の制御を行う制御部などが含まれている。
【0003】
具体的には、液晶表示装置やDMD(Digital Micromirror Device)表示素子等からなる電気光学素子を内蔵した画像投影装置が普及している。この種の画像投影装置は持ち運びが手軽であり、例えば、特許文献1に示すように、携帯性の優れた携帯電話等の携帯機器に、光を投影させる投影手段を設けたものが開示されており、小さな装置によって、大きな画像を視認可能に表示させることができ、簡便である。
【特許文献1】特開2003−235037号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したような画像投影装置では、表示された画像をユーザ自身などが視認するのはよいが、視認されたくない人が視認することは、プライバシーの問題や、個人情報の漏洩などの原因となりかねない。また、例えば、投影面にホログラムスクリーンを採用することも可能であるが、ユーザなどの視認したい人の画像の視認角度が少し変わるだけで、画像が視認し難くなるだけでなく、高価となるおそれもあった。
【0005】
本発明は、上述したような課題に鑑みてなされたものであり、視認を許された人が視認可能となり、それ以外の人が視認困難となる画像を表示させることができる画像投影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上のような目的を達成するために、本発明は、以下のようなものを提供する。
【0007】
すなわち、請求項1記載の本発明では、光を投影面に投影することによって所定の画像を表示させる画像投影装置において、前記投影面に第一の画像と重ね合わせて投影することによって、前記投影面に投影される画像を当該第一の画像とは異なる第二の画像とするための第三の画像を生成する画像生成部と、前記第一の画像と前記第三の画像とを、少なくとも異なる偏光特性として又は時分割して、重ねて投影することによって、前記投影面に前記第二の画像を視認可能に表示させる投影部と、前記第二の画像から前記第一の画像を視認可能に抽出する画像抽出部と、を備えたことを特徴とするものである。
【0008】
また、請求項2記載の本発明では、請求項1に記載の発明において、前記画像抽出部は、視認者の眼の前方に配置されることを特徴とするものである。
【0009】
また、請求項3記載の本発明では、請求項1又は2に記載の発明において、前記第二の画像は、静止画像であることを特徴とするものである。
【0010】
また、請求項4記載の本発明では、請求項3に記載の発明において、前記第二の画像は、均質な白色の画像であることを特徴とするものである。
【0011】
また、請求項5記載の本発明では、請求項3に記載の発明において、前記第二の画像は、所定の模様又は所定のパターンの画像であることを特徴とするものである。
【0012】
また、請求項6記載の本発明では、請求項1から5のいずれかに記載の発明において、前記第三の画像の各画素は、前記第一の画像の対応する画素の補色であることを特徴とするものである。
【0013】
また、請求項7記載の本発明では、請求項1から6のいずれかに記載の発明において、前記投影部は、前記第一の画像と前記第三の画像とを、異なる偏光特性として重ねて投影する機能を有することを特徴とするものである。
【0014】
また、請求項8記載の本発明では、請求項7に記載の発明において、前記投影部は、前記第一の画像に対応する第一の光と、前記第三の画像に対応する第三の光とを時分割で重ねて出射する光学系を有することを特徴とするものである。
【0015】
また、請求項9記載の本発明では、請求項8に記載の発明において、前記光学系は、光を出射する光源と、前記光源からの光を変調して映像光を出射する光変調素子と、前記光源からの光を異なる偏光特性として出射させるとともに、所定の色として透過させる複数の領域が設けられた可動体と、前記可動体の変位制御を行う可動制御部と、を有し、前記可動制御部は、前記可動体を変位させる制御を行うことによって、前記光変調素子によって変調された前記第一の画像に対応する第一の光と、前記第三の画像に対応する第三の光とを、異なる偏光特性として時分割で重ねて投影させる機能を有することを特徴とするものである。
【0016】
また、請求項10記載の本発明では、請求項8に記載の発明において、前記光学系は、所定の色の光を出射する光源と、前記光源からの光を変調することによって、前記第一の光と前記第三の光とを時分割で出射する光変調素子と、前記光源からの光を異なる偏光特性として出射させる偏光板と、を有し、前記偏光板は、前記光変調素子によって時分割で変調された前記第一の画像に対応する第一の光と、前記第三の画像に対応する第三の光とを、異なる偏光特性として重ねて投影させる機能を有することを特徴とするものである。
【0017】
また、請求項11記載の本発明では、請求項1から10のいずれかに記載の発明において、前記投影部と前記画像抽出部との間で同期信号の送信又は受信を行う通信部を備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0018】
請求項1又は2に記載の発明によれば、投影面に第一の画像と重ね合わせて投影することによって、投影面に投影される画像を第二の画像とするための第三の画像を生成し、第一の画像と前記第三の画像とを、少なくとも異なる偏光特性として又は時分割して、重ねて投影することによって、投影面に第二の画像を視認可能に表示させ、第二の画像から第一の画像を視認可能に抽出する。従って、第二の画像を視認可能に表示させるとともに、第二の画像から第一の画像を抽出することによって、第一の画像を視認可能に表示させることができ、視認を許された人が視認可能となり、それ以外の人が視認困難となる画像を表示させることができる。
【0019】
また、請求項3に記載の発明によれば、第二の画像は、静止画像である。従って、第三の画像を生成し易くなる。
【0020】
また、請求項4に記載の発明によれば、第二の画像は、均質な白色の画像である。従って、第三の画像を生成し易くなる。また、第二の画像としては最も自然な違和感のない画像である。
【0021】
また、請求項5に記載の発明によれば、第二の画像は、所定の模様又は所定のパターンの画像である。従って、第三の画像を生成し易くなる。
【0022】
また、請求項6に記載の発明によれば、第三の画像の各画素は、第一の画像の対応する画素の補色である。従って、第三の画像を生成し易くなる。
【0023】
また、請求項7に記載の発明によれば、第一の画像と第三の画像とを、異なる偏光特性として重ねて投影する。従って、第一の画像を抽出し易く、画像抽出部により抽出される場合には第一の画像を視認可能に、抽出されない場合には第二の画像を視認可能に表示させることができ、視認を許された人が視認可能となり、それ以外の人が視認困難となる画像を表示させることができる。
【0024】
また、請求項8に記載の発明によれば、第一の画像に対応する第一の光と、第三の画像に対応する第三の光とを時分割で重ねて出射する光学系を備えた。従って、第一の画像を抽出し易く、画像抽出部により抽出される場合には第一の画像を視認可能に、抽出されない場合には第二の画像を視認可能に表示させることができ、視認を許された人が視認可能となり、それ以外の人が視認困難となる画像を表示させることができる。
【0025】
また、請求項9に記載の発明によれば、光を出射する光源と、光源からの光を変調して映像光を出射する光変調素子と、光源からの光を異なる偏光特性として出射させるとともに、所定の色として透過させる複数の領域が設けられた可動体と、を有し、可動体を変位させる制御を行うことによって、光変調素子によって変調された第一の画像に対応する第一の光と、第三の画像に対応する第三の光とを、異なる偏光特性として時分割で重ねて投影させる。従って、光源が一つであっても、可動体の変位によって、所定の色としてだけでなく異なる偏光特性でも透過可能であり、複数の光源がなくても、カラー画像等、各種の画像を簡易に表示可能となる。
【0026】
また、請求項10に記載の発明によれば、所定の色の光を出射する光源と、光源からの光を変調することによって、第一の光と第三の光とを時分割で出射する光変調素子と、光源からの光を異なる偏光特性として出射させる偏光板と、を有し、偏光板は、光変調素子によって時分割で変調された第一の画像に対応する第一の光と、第三の画像に対応する第三の光とを、異なる偏光特性として重ねて投影させる。従って、偏光板を用いることによって、第一の光と第三の光とを、異なる偏光特性として容易に出射させることができる。
【0027】
また、請求項11に記載の発明によれば、投影部と画像抽出部との間で同期信号の送信又は受信を行う通信部を備えた。従って、投影部と画像抽出部との間で同期が取れるため、偏光を行わない場合であっても、時分割のみで、画像抽出部により抽出される場合には第一の画像を視認可能に、抽出されない場合には第二の画像を視認可能に表示させることができ、視認を許された人が視認可能となり、それ以外の人が視認困難となる画像を表示させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下に、本発明に好適な実施形態について図面に基づいて説明する。
【0029】
[画像投影装置の構成]
本実施形態における画像投影装置の概観について図1を用いて説明する。
【0030】
画像投影装置10は、画像光を投影面に投影することによって所定の画像を表示させる装置である。この画像投影装置10は、図1に示すように、本体部12と、その本体部12からの画像光が出射する出射部14と、画像投影装置10の制御操作を行う制御パネル16と、から構成されている。本体部12には、画像光を投影するための光学系20(図2参照)が内蔵されており、光源からの光を変調させることによって、画像光を生成し、出射部14に導く。出射部14は、本体部12において生成された画像光を出射し、画像光を投影面に投影することによって、画像光に基づく所定の画像を表示させることとなる。
【0031】
[投影光学系の構成]
本体部12に内蔵されている光学系について具体的に図2を用いて説明する。
【0032】
図2に示すように、光学系20には、赤色、青色、緑色の光源22R,22G,22Bと、それら光源22R,22G,22Bからの照明光を光変調素子26に導く照明光学系24と、照明光学系24によって導かれた照明光が照射される光変調素子26と、照明光学系24と光変調素子26との間において光を偏光させ、その偏光特性が切替可能な偏光板28と、光変調素子26からのオン光を画像光として、スクリーン(投影面)32に向かって投射する投射レンズ等の結像光学系30と、が含まれる。尚、このスクリーン32としては、光の拡散が少ないものが好ましい。
【0033】
光源22R,22G,22Bには、赤色、青色、緑色のLED(Light Emitting Diode)が採用されており、それぞれ、照明光学系24を介して、光変調素子26に対して照明することとなる。つまり、本実施形態において、光源22R,22G,22Bは、赤色、青色、緑色等の所定の色の光を出射することとなる。
【0034】
照明光学系24は、3つの光源22R,22G,22Bのそれぞれから照明される光を集光するためのレンズ24R,24G,24Bと、2つの光源22G,22Bのそれぞれから照明される光を光変調素子26に向かって反射させるミラー24A,24Cと、を含む構成である。尚、ミラー24Aは、光源22Rからの光を透過するとともに、光源22Gからの光を反射させ、ミラー24Cは、光源22R,22Gからの光を透過するとともに、光源22Bからの光を反射させる。
【0035】
光変調素子26には、DMD表示素子が採用されている。この光変調素子26は、半導体基板上に微細なマイクロミラーを2次元配置しており、画像信号に応じて各マイクロミラーの傾斜角度を変化させる制御を行うことによって、入射した光を異なる二方向に反射させ、その一方向の反射光のみを画像光として形成する。つまり、この光変調素子26は、光源22R,22G,22Bからの光を画像信号に応じて変調して映像光を出射することとなる。
【0036】
偏光板28は、光源22R,22G,22Bからの光を偏光させる機能を有する。また、偏光板28は、例えば、液晶素子などによって構成されており、その偏光特性が切替可能に制御される。特に、この偏光板28は、偏光特性を垂直方向に切替可能である。このように偏光特性が切替可能であるため、詳しくは後述するが、第一の画像と第三の画像とを異なる偏光特性で表示することによって、第一の画像が抽出可能に表示されることとなる。つまり、偏光板28は、光源22R,22G,22Bからの光を異なる偏光特性として出射させることとなる。また、偏光板28は、第一の画像に対応する第一の光と、第三の画像に対応する第三の光とを、異なる偏光特性として重ねて投影させることとなる。
【0037】
[画像投影装置の電気的構成]
本実施形態における画像投影装置10の制御回路を示すブロック図を図3に示す。
【0038】
画像投影装置10は、図3に示すように、制御部42、制御パネル16、映像信号入力回路44、光源制御回路46、画像処理回路48、光変調素子ドライブ回路50、偏光板ドライブ回路52、上述した光源22R,22G,22B、照明光学系24、光変調素子である光変調素子26、偏光板28、結像光学系30、が含まれる。
【0039】
制御部42は、CPU、ROM(読み出し専用メモリ)、RAM(読み書き可能メモリ)等から構成され、画像投影装置10全体を制御する機能を有する。特に、制御部42は、制御パネル16からの操作信号に応じて画像を表示させる場合には、光源制御回路46に、所定周期(例えば、1/180秒など)で、各色の光源22R,22G,22Bを入れ替わりに発光させる指示等を行う。また、制御部42は、制御パネル16からの操作信号に応じて第一の画像と第三の画像とを異なる偏光特性で表示させる場合には、偏光板ドライブ回路52に対して、偏光板28を稼動させる指示や、所定周期(例えば、1/60秒など)で偏光特性を垂直方向に切り替える指示を行う。また、制御部42は、画像処理回路48に、画像を表示させる旨の指示や、光源22R,22G,22Bの発光タイミング、偏光板28の切替タイミングと同期を取るための同期指示を行う。
【0040】
制御パネル16は、操作者の操作に応じて制御部42に操作信号を供給する機能を有する。
【0041】
映像信号入力回路44は、画像投影装置10の外部から入力される映像信号が入力され、その映像信号を画像処理回路48に出力する回路である。
【0042】
画像処理回路48は、制御部42からの指示に応じて、映像信号入力回路44からの映像信号に基づく画像処理を行う回路である。特に、この画像処理回路48は、光変調素子ドライブ回路50に対して、各種の指示信号を供給することによって、スクリーン32に画像を表示させる制御を行う。
【0043】
この画像処理回路48は、画像データを記憶するメモリを有しており、受け取った映像信号に基づく第一の画像をフレーム毎(例えば、1/30秒毎)に記憶する。具体的な第一の画像の一例としては、図4に示すように、夜空に三日月が昇っている画像に相当する。また、画像処理回路48におけるメモリには、予め第二の画像データが記憶されている。この第二の画像データは、図4に示すように、均質な白色の静止画像に相当する。
【0044】
また、画像処理回路48は、入力された映像信号に基づく第一の画像と、予め記憶されている第二の画像と、に基づいて、第三の画像を生成する。この第三の画像は、図4に示すように、第一の画像と時分割で表示させることによって第二の画像を視認可能に表示させるための画像であり、第一の画像に対応する補色となる。具体的には、第三の画像の各画素は、図5に示すように、第二の画像の各画素におけるそれぞれの色成分(赤色成分、緑色成分、青色成分)と、第一の画像の各画素における色成分と、の差であり、第一の画像データに基づく画像光と、第三の画像データに基づく画像光が所定周期(例えば、1/60秒など)で時分割に投影されることによって、第二の画像データに基づく画像光が視認可能に表示されることとなる。つまり、画像処理回路48は、スクリーン32(投影面)に第一の画像と重ね合わせて投影することによって、スクリーン32に投影される画像をその第一の画像とは異なる第二の画像とするための第三の画像を生成することとなる。このように生成することによって、第三の画像を生成し易くなる。また、第二の画像としては最も自然な違和感のない画像である。尚、本実施形態において、このような処理を実行する画像処理回路48は、画像生成部に相当する。
【0045】
また、画像処理回路48は、第一の画像に基づく第一の画像データや第三の画像に基づく第三の画像データに対応して、光変調素子26を制御するための指示を行う。これによって、第一の画像と第三の画像とを、異なる偏光特性として、かつ、時分割して重ねて表示させる場合には、所定周期(例えば、1/60秒など)内で、第一の画像データに基づく表示指示と、第三の画像データに基づく表示指示と、を交互に行うこととなる。
【0046】
光変調素子ドライブ回路50は、画像処理回路48からの指示に応じて、光変調素子26の駆動制御を行う。特に、光変調素子ドライブ回路50は、画像処理回路48からの指示に応じて、所定周期(例えば、1/60秒など)内で、第一の画像データに基づく制御と、第三の画像データに基づく制御と、を交互に行うこととなる。これによって、光変調素子26は、光源からの光を変調することによって、第一の光と第三の光とを時分割で出射することとなる。
【0047】
光源制御回路46は、制御部42からの指示に応じて、所定周期(例えば、1/180秒など)で、各色の光源22R,22G,22Bを発光させる制御など、光源22R,22G,22Bの発光制御を行うこととなる。
【0048】
偏光板ドライブ回路52は、制御部42からの指示に応じて、偏光板28を稼動させるとともに、所定周期(例えば、1/60秒など)内で偏光特性を垂直方向に切り替える制御を行う。つまり、偏光板28は、光源22R,22G,22Bからの光を異なる偏光特性として出射させることとなる。また、偏光板28は、第一の画像に対応する第一の光と、第三の画像に対応する第三の光とを、異なる偏光特性として重ねて投影させることとなる。
【0049】
このように、制御部42、光源制御回路46、画像処理回路48、光変調素子ドライブ回路50、偏光板ドライブ回路52の制御によって、光源22R,22G,22Bから時分割で照射された照射光が、光変調素子26、偏光板28等によって、第一の画像データに対応する第一の光、第三の画像データに対応する第三の光として、異なる偏光特性として、かつ、時分割として出射されることとなる。また、照明光学系24や結像光学系30によって、第一の光と第三の光とが重ねて投影されることによって、スクリーン32に第二の画像が視認可能に表示されることとなる。このような光源22R,22G,22B、照明光学系24、光変調素子26、偏光板28、結像光学系30を含む光学系20は、第一の画像と第三の画像とを、少なくとも異なる偏光特性として、かつ、時分割して、重ねて投影することによって、スクリーン32に第二の画像を視認可能に表示させることとなる。尚、本実施形態において、このような光学系20は、投影部に相当する。
【0050】
そして、このようにスクリーン32に時分割(例えば、1/60秒など)で表示された第一の画像と第三の画像とは、第二の画像として視認可能であるが、例えば、図6に示すように、第一の画像における偏光特性のみを透過する眼鏡18が用いられることによって、第二の画像から第一の画像が視認可能に抽出され、第二の画像としてではなく、第一の画像として視認可能となる。従って、第二の画像をスクリーン32に視認可能に表示させるとともに、眼鏡18などにより第二の画像から第一の画像を抽出することによって、第一の画像を視認可能に表示させることができ、視認を許された人が視認可能となり、それ以外の人が視認困難となる画像を表示させることができる。また、このような構成において第一の画像を抽出し易くなる。また、偏光板28を用いることによって、第一の光と第三の光とを、異なる偏光特性として容易に出射させることができる。尚、本実施形態において、このような眼鏡18は、視認者の眼の前方に配置される画像抽出部に相当する。
【0051】
尚、上述した実施形態においては、偏光板28の配置位置を、光源と光変調素子との間に設けたが、これに限らず、例えば、結像光学系とスクリーンとの間に配置してもよい。
【0052】
[第二の実施形態]
尚、上述した実施形態においては、3つの光源22R,22G,22Bと偏光板28とを用いることによって、第一の画像と前記第三の画像とを、異なる偏光特性として、かつ、時分割して、重ねて投影させたが、これに限らず、例えば、1つの光源を用いた構成であってもよい。
【0053】
具体的な一実施形態について図7から図9を用いて説明する。尚、上述した実施形態と同じような構成については理解を容易とするための説明を省略する。
【0054】
この画像投影装置10は、図7に示すように、1つの光源22と、その光源から照射される光をカラーホイール60へ導くライトパイプ62と、ライトパイプ62から光が照射され、複数色の透過領域を有するカラーホイール60と、カラーホイール60を介した光を光変調素子26に導く照明光学系24と、照明光学系24によって導かれた照明光が照射される光変調素子26と、光変調素子26からのオン光を画像光として、スクリーン(投影面)32に向かって投射する投射レンズ等の結像光学系30と、が含まれる。
【0055】
カラーホイール60は、回転軸を中心に回転可能に制御される。このカラーホイール60は、図8に示すように、6つの透過領域に区切られている。これら6つの透過領域は、所定方向の偏光特性を有し、赤色光として透過する領域60RA、緑色光として透過する領域60GA、青色光として透過する領域60GBと、所定方向とは垂直方向の偏光特性を有し、赤色光として透過する領域60RB、緑色光として透過する領域60GB、青色光として透過する領域60GBとから構成されている。このため、カラーホイール60が回転されることによって、カラー画像の表示を可能とするとともに、第一の画像と第三の画像とが偏光特性が切り替えられ、異なる偏光特性で重ねて表示されることとなる。つまり、カラーホイール60は、光源22からの光を異なる偏光特性として出射させるとともに、所定の色として透過させる複数の領域が設けられた可動体に相当する。また、図8に示すように、カラーホイール60の回転変位に対応して、カラーホイール60の中心(回転軸)に向かって、所定方向(水平方向)、所定方向とは垂直方向(垂直方向)に偏光特性が設定されている。
【0056】
また、画像投影装置10は、図9に示すように、カラーホイール60の回転駆動の制御を行うカラーホイールドライブ回路54が配置されている。このカラーホイールドライブ回路54は、制御部42の指示に応じて、カラーホイール60を所定周期(例えば、1/30秒で1回転など)で回転制御させる。つまり、カラーホイールドライブ回路54は、カラーホイール60を変位させる制御を行うことによって、光変調素子26によって変調された第一の画像に対応する第一の光と、第三の画像に対応する第三の光とを、異なる偏光特性として時分割で重ねて投影させることとなる。尚、本実施形態において、カラーホイールドライブ回路54は、可動制御部に相当する。また、光源制御回路46は、制御部42からの指示に応じて、光源22を発光させる制御を行う。
【0057】
このように、制御部42、光源制御回路46、画像処理回路48、光変調素子ドライブ回路50、カラーホイールドライブ回路54の制御によって、光源22から照射された照射光が、光変調素子26、カラーホイール60等によって、第一の画像データに対応する第一の光、第三の画像データに対応する第三の光として、異なる偏光特性として、かつ、時分割として出射されることとなる。また、照明光学系24や結像光学系30によって、第一の光と第三の光とが重ねて投影されることによって、スクリーン32に第二の画像が視認可能に表示されることとなる。このような光源22、照明光学系24、光変調素子26、結像光学系30、カラーホイール60を含む光学系20は、第一の画像と第三の画像とを、少なくとも異なる偏光特性として、かつ、時分割して、重ねて投影することによって、スクリーン32に第二の画像を視認可能に表示させることとなる。このように、光源が一つであっても、可動体の変位によって、所定の色としてだけでなく異なる偏光特性でも透過可能であり、複数の光源がなくても、カラー画像等、各種の画像を簡易に表示可能となる。
【0058】
尚、上述した実施形態においては、結像光学系30とスクリーン32との間にカラーホイール60を配置したが、これに限らず、例えば、光源22と光変調素子26との間に配置してもよい。また、上述した実施形態においては、円形状のカラーホイール60を採用したが、これに限らず、例えば、矩形状のカラーホイールを採用してもよい。
【0059】
[第三の実施形態]
尚、上述した実施形態においては、1系統の照明光学系を用いて第一の画像と第三の画像とを投影させたが、これに限らず、例えば、複数系統の照明光学系を用いて第一の画像と第三の画像とを投影させてもよい。
【0060】
具体的な実施形態について図10及び図11を用いて説明する。尚、上述した実施形態と同じような構成については理解を容易とするための説明を省略する。
【0061】
図10及び図11に示すように、第一の光学系は、光源22X(3つの光源22XR,22XG,22XB)と、照明光学系24X(レンズ24XR,24XG,24XB、ミラー24XA,24XC)と、偏光板28Xと、を含む構成であり、第一の画像に基づく照明光が光変調素子26に照射されることとなる。一方、第二の光学系は、光源22Y(3つの光源22YR,22YG,22YB)と、照明光学系24Y(レンズ24YR,24YG,24YB、ミラー24YA,24YC)と、偏光板28Yと、を含む構成であり、第三の画像に基づく照明光が光変調素子26に照射されることとなる。また、上述した偏光板28Xと偏光板28Yとは、異なる偏光特性を有し、偏光板28Xは、偏光板28Yの偏光特性と垂直方向に異なる偏光特性である。また、第一の光学系における第一の画像に基づく第一の画像光と、第二の光学系における第三の画像に基づく第三の画像光と、が、所定周期(例えば、1/60秒など)毎に切替が行われる。このように、第一の画像を表示させる第一の光学系と、第三の画像を表示させる第二の光学系と、が配置されることによって、異なる偏光特性を実現可能である。
【0062】
尚、上述した実施形態においては、異なる偏光特性であり、かつ、時分割により、第一の画像と第三の画像とを、所定の偏光特性の画像光を抽出する眼鏡18により分別可能なように表示したが、第一の画像と第三の画像とから第一の画像を抽出可能であればこれに限らず、例えば、第一の画像と第三の画像とが時分割しない構成であってもよい。また、例えば、第一の画像と第三の画像とが偏光特性が同じであってもよい。つまり、第一の画像と第三の画像とを、少なくとも異なる偏光特性として又は時分割して、重ねて投影することによって、スクリーン32に第二の画像を視認可能に表示させるように構成できればよい。
【0063】
具体的には、第一の画像と第三の画像とを相互に独立した光学系を用いて、時分割することなく同時に出射させる場合であっても、異なる偏光特性であれば、眼鏡18で第一の画像を抽出可能となる。この場合においては、光変調素子を2系統備えることが好ましい。
【0064】
また、図12に示すように、画像投影装置10(投影部)と画像抽出装置19(画像抽出部)とは、ケーブル17などで通信可能に接続されており、それらの間で同期信号の送信又は受信を行えるよう構成されている。そのため、画像抽出装置19では、受信した同期信号に基づいて第一の画像と第三の画像の各表示タイミングを決め、液晶シャッタなどを用いて、第一の画像を表示しているタイミングのみ視認可能とし、第三の画像を表示しているタイミングにおいては視認困難とすることができるようになる。従って、偏光を行わない場合であっても、投影部と画像抽出部との間で同期が取れるため、時分割のみで、画像抽出部により抽出される場合には第一の画像を視認可能に、抽出されない場合には第二の画像を視認可能に表示させることができ、視認を許された人が視認可能となり、それ以外の人が視認困難となる画像を表示させることができる。このような画像投影装置10や画像抽出装置19は、互いに通信可能な通信部を備えている。
【0065】
尚、上述した実施形態においては、光変調素子としてDMD表示素子が採用されているが、これに限らず、例えば、液晶表示素子などを採用してもよい。
【0066】
尚、上述した実施形態においては、カラー画像の第一の画像と第三の画像とを重ねて表示させたが、これに限らず、例えば、モノクロ画像の第一の画像と第三の画像とを重ねて表示させてもよい。
【0067】
尚、上述した実施形態においては、第三の画像の各画素は、第一の画像の対応する画素の補色としたが、これに限らず、補色でなくてもよい。
【0068】
尚、上述した実施形態においては、投影面に視認可能に表示される第二の画像として均質な白色の画像を採用したが、これに限らず、例えば、図13に示す市松模様(チェック柄)のように、所定の模様又は所定のパターンの画像であってもよく、第三の画像を生成し易くなる。
【0069】
尚、上述した実施形態においては、眼鏡18や画像抽出装置19など、視認者が直接的に視認するための装置を用いたが、これに限らず、例えば、第一の画像のみを撮像する撮像装置を用いて、間接的に視認するための装置を用いてもよい。
【0070】
以上、本発明の実施の形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の一実施形態の画像投影装置における概観を示す外観図である。
【図2】本発明の一実施形態の画像投影装置における光学系を示す説明図である。
【図3】本発明の一実施形態の画像投影装置において構成される電気回路を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態の画像投影装置において表示される画像に関する概念を示す説明図である。
【図5】本発明の一実施形態の画像投影装置において表示される画像に関する概念を示す説明図である。
【図6】本発明の一実施形態の画像投影装置において表示される画像に関する概念を示す説明図である。
【図7】本発明の一実施形態の画像投影装置における光学系を示す説明図である。
【図8】本発明の一実施形態の画像投影装置におけるカラーホイールを示す説明図である。
【図9】本発明の一実施形態の画像投影装置において構成される電気回路を示すブロック図である。
【図10】本発明の一実施形態の画像投影装置において表示される画像に関する概念を示す説明図である。
【図11】本発明の一実施形態の画像投影装置において構成される電気回路を示すブロック図である。
【図12】本発明の一実施形態の画像投影装置における概観を示す外観図である。
【図13】本発明の一実施形態の画像投影装置において表示される画像に関する概念を示す説明図である。
【符号の説明】
【0072】
10 画像投影装置
22 光源
26 光変調素子
28 偏光板
48 画像処理回路
60 カラーホイール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を投影面に投影することによって所定の画像を表示させる画像投影装置において、
前記投影面に第一の画像と重ね合わせて投影することによって、前記投影面に投影される画像を当該第一の画像とは異なる第二の画像とするための第三の画像を生成する画像生成部と、
前記第一の画像と前記第三の画像とを、少なくとも異なる偏光特性として又は時分割して、重ねて投影することによって、前記投影面に前記第二の画像を視認可能に表示させる投影部と、
前記第二の画像から前記第一の画像を視認可能に抽出する画像抽出部と、を備えたことを特徴とする画像投影装置。
【請求項2】
前記画像抽出部は、視認者の眼の前方に配置されることを特徴とする請求項1に記載の画像投影装置。
【請求項3】
前記第二の画像は、静止画像であることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像投影装置。
【請求項4】
前記第二の画像は、均質な白色の画像であることを特徴とする請求項3に記載の画像投影装置。
【請求項5】
前記第二の画像は、所定の模様又は所定のパターンの画像であることを特徴とする請求項3に記載の画像投影装置。
【請求項6】
前記第三の画像の各画素は、前記第一の画像の対応する画素の補色であることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の画像投影装置。
【請求項7】
前記投影部は、前記第一の画像と前記第三の画像とを、異なる偏光特性として重ねて投影する機能を有することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の画像投影装置。
【請求項8】
前記投影部は、前記第一の画像に対応する第一の光と、前記第三の画像に対応する第三の光とを時分割で重ねて出射する光学系を有することを特徴とする請求項7に記載の画像投影装置。
【請求項9】
前記光学系は、
光を出射する光源と、
前記光源からの光を変調して映像光を出射する光変調素子と、
前記光源からの光を異なる偏光特性として出射させるとともに、所定の色として透過させる複数の領域が設けられた可動体と、
前記可動体の変位制御を行う可動制御部と、を有し、
前記可動制御部は、前記可動体を変位させる制御を行うことによって、前記光変調素子によって変調された前記第一の画像に対応する第一の光と、前記第三の画像に対応する第三の光とを、異なる偏光特性として時分割で重ねて投影させる機能を有することを特徴とする請求項8に記載の画像投影装置。
【請求項10】
前記光学系は、
所定の色の光を出射する光源と、
前記光源からの光を変調することによって、前記第一の光と前記第三の光とを時分割で出射する光変調素子と、
前記光源からの光を異なる偏光特性として出射させる偏光板と、を有し、
前記偏光板は、前記光変調素子によって時分割で変調された前記第一の画像に対応する第一の光と、前記第三の画像に対応する第三の光とを、異なる偏光特性として重ねて投影させる機能を有することを特徴とする請求項8に記載の画像投影装置。
【請求項11】
前記投影部と前記画像抽出部との間で同期信号の送信又は受信を行う通信部を備えたことを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の画像投影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−165077(P2008−165077A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−356604(P2006−356604)
【出願日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】