説明

画像生成システム、プログラム及び情報記憶媒体

【課題】プレーヤが理解し易い操作環境を提供できる画像生成システム等の提供。
【解決手段】画像生成システムは、キャラクタの動作を制御する動作制御手段と、一方のキャラクタが第1の動作を行った時に他方のキャラクタが第2の動作を行った場合には第1の動作を行った一方のキャラクタを他方のキャラクタに比べて有利に設定し、一方のキャラクタが第2の動作を行った時に他方のキャラクタが第3の動作を行った場合には第2の動作を行った一方のキャラクタを他方のキャラクタに比べて有利に設定し、一方のキャラクタが第3の動作を行った時に他方のキャラクタが第1の動作を行った場合には第3の動作を行った一方のキャラクタを他方のキャラクタに比べて有利に設定する動作設定手段と、第1、第2、第3の動作の攻防に関する属性パラメータを変化させるパラメータ変化手段と、画像生成手段を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像生成システム、プログラム及び情報記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、仮想的な3次元空間であるオブジェクト空間内において仮想カメラ(所与の視点)から見える画像を生成する画像生成システム(ゲームシステム)が知られており、いわゆる仮想現実を体験できるものとして人気が高い。格闘ゲームを楽しむことができる画像生成システムを例にとれば、プレーヤは、ゲームコントローラ(操作手段)を用いて自キャラクタ(モデルオブジェクト)を操作し、相手プレーヤやコンピュータが操作する敵キャラクタと対戦することでゲームを楽しむ。
【0003】
さて、これまでの3次元格闘ゲームでは、3次元ゲームであるのにもかかわらず、いわゆる2次元格闘ゲームの延長としての要素が根強く残っていた。例えば、自キャラクタと敵キャラクタの攻防において、どちらのキャラクタの攻撃が勝ったのかを決める場合にも、2次元格闘ゲームで親しまれてきた手法で攻防の優劣が決定されていた。このため、キャラクタがオブジェクト空間内で自由に動き回ることができるという3次元格闘ゲームの特色を今ひとつ生かすことができず、プレーヤが理解し易い好適な操作環境を提供できなかった。
【特許文献1】特開平8−182860号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、プレーヤが理解し易い好適な操作環境を提供できる画像生成システム、プログラム及び情報記憶媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、画像生成を行う画像生成システムであって、複数のプレーヤの各プレーヤの操作入力に基づいて、複数のキャラクタの各キャラクタの動作を制御する動作制御手段と、一方のキャラクタが第1の動作を行った時に他方のキャラクタが第2の動作を行った場合には、第1の動作を行った一方のキャラクタを他方のキャラクタに比べて有利に設定し、一方のキャラクタが第2の動作を行った時に他方のキャラクタが第3の動作を行った場合には、第2の動作を行った一方のキャラクタを他方のキャラクタに比べて有利に設定し、一方のキャラクタが第3の動作を行った時に他方のキャラクタが第1の動作を行った場合には、第3の動作を行った一方のキャラクタを他方のキャラクタに比べて有利に設定する動作設定手段と、前記第1、第2、第3の動作の攻防に関する属性パラメータを変化させるパラメータ変化手段と、キャラクタを含む複数のオブジェクトが配置されるオブジェクト空間において仮想カメラから見える画像を生成する画像生成手段とを含むことを特徴とする。また本発明に係るプログラムは、上記手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする。また本発明に係る情報記憶媒体は、コンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体であって、上記手段としてコンピュータを機能させるためのプログラムを記憶(記録)したことを特徴とする。
【0006】
本発明によれば、キャラクタの第1の動作(移動、モーション)が第2の動作に対して有利になるように設定され、第2の動作が第3の動作に対して有利になるように設定され、第3の動作が第1の動作に有利になるように設定される。従って、キャラクタを操作するプレーヤは、どの動作をキャラクタに行わせれば、相手よりも優位になるのかを、この三角関係を頭に思い浮かべるだけで直ぐに把握できるようになり、プレーヤが理解し易い好適な操作環境を提供できる。
【0007】
また本発明に係る画像生成システム、プログラム及び情報記憶媒体では、前記パラメータ変化手段は、前記第1、第2、第3の動作の1つの動作の攻防に関する属性パラメータを変化させた場合に、他の動作の攻防に関する属性パラメータを変化させることを特徴とする。
【0008】
また本発明に係る画像生成システム、プログラム及び情報記憶媒体では、前記属性パラメータは、一方のキャラクタの前記第1、第2、第3の動作である攻撃動作のヒットエリアの大きさのパラメータであり、前記パラメータ変化手段は、前記第1、第2、第3の動作の1つの動作についてのヒットエリアの大きさを変化させた場合に、他の動作についてのヒットエリアの大きさを変化させることを特徴とする。
【0009】
また本発明に係る画像生成システム、プログラム及び情報記憶媒体では、前記属性パラメータは、一方のキャラクタの前記第1、第2、第3の動作である攻撃動作が有効となる攻撃有効期間のパラメータであり、前記パラメータ変化手段は、前記第1、第2、第3の動作の1つの動作についての攻撃有効期間の長さを変化させた場合に、他の動作についての攻撃有効期間の長さを変化させることを特徴とする。
【0010】
また本発明に係る画像生成システム、プログラム及び情報記憶媒体では、前記属性パラメータは、一方のキャラクタの前記第1、第2、第3の動作である攻撃動作が他方のキャラクタにヒットした時に、他方のキャラクタの動作が不能になる動作不能期間のパラメータであり、前記パラメータ変化手段は、前記第1、第2、第3の動作の1つの動作についての動作不能期間の長さを変化させた場合に、他の動作についての動作不能期間の長さを変化させることを特徴とする。
【0011】
また本発明に係る画像生成システム、プログラム及び情報記憶媒体では、前記属性パラメータは、前記第1、第2、第3の動作である攻撃動作を行う一方のキャラクタの向きを他方のキャラクタの方向に向ける軸追従補正量のパラメータであり、前記パラメータ変化手段は、前記第1、第2、第3の動作の1つの動作についての軸追従補正量を変化させた場合に、他の動作についての軸追従補正量を変化させることを特徴とする。
【0012】
また本発明に係る画像生成システム、プログラム及び情報記憶媒体は、キャラクタの前記第1の動作は、攻撃方向が垂直面にほぼ沿っている縦属性攻撃であり、キャラクタの前記第2の動作は、攻撃方向が水平面にほぼ沿っている横属性攻撃であり、一方のキャラクタが縦属性攻撃を行った時に他方のキャラクタが横属性攻撃を行った場合には、縦属性攻撃を行った一方のキャラクタを他方のキャラクタに比べて有利に設定することを特徴とする。
【0013】
このようにすれば、一般的に勝つ確率が高い横属性攻撃をプレーヤが多用する事態を防止でき、ゲーム展開が単調になるのを防止できる。
【0014】
また本発明に係る画像生成システム、プログラム及び情報記憶媒体は、一方のキャラクタの縦属性攻撃の第1のヒットエリアと他方のキャラクタの横属性攻撃の第2のヒットエリアとがヒットした場合に、攻撃を受けたことを表す動作を他方のキャラクタに行わせる又は所与の期間だけ他方のキャラクタを動作不能状態に設定することを特徴とする。
【0015】
このようにすれば、一方のキャラクタの縦属性攻撃により、他方のキャラクタが、攻撃を受けたことを表す動作を行ったり所与の期間だけ動作不能状態になり、一方のキャラクタを有利に設定する処理を実現できる。
【0016】
また本発明に係る画像生成システム、プログラム及び情報記憶媒体は、前記第1のヒットエリアが、一方のキャラクタの縦属性攻撃の攻撃軌道により特定されるヒットエリアよりもエリアが大きな第1の疑似ヒットエリアであり、前記第2のヒットエリアが、他方のキャラクタの横属性攻撃の攻撃軌道により特定されるヒットエリアよりもエリアが大きな第2の疑似ヒットエリアであることを特徴とする。
【0017】
このようにすれば、縦属性攻撃と横属性攻撃の同時発生時に互いの攻撃が頻繁にヒットし合う画像を表現できるようになり、生成される画像の演出効果を高めることができる。
【0018】
また本発明に係る画像生成システム、プログラム及び情報記憶媒体は、キャラクタの前記第2の動作は、攻撃方向が水平面にほぼ沿っている横属性攻撃であり、キャラクタの前記第3の動作は、オブジェクト空間内で任意の方向にキャラクタが移動する移動動作であり、一方のキャラクタが横属性攻撃を行った時に他方のキャラクタが移動動作を行った場合には、横属性攻撃を行った一方のキャラクタを他方のキャラクタに比べて有利に設定することを特徴とする。
【0019】
このようにすれば、横属性攻撃は移動動作に対して強いということを表現でき、プレーヤが不自然さが感じないリアルな画像を生成できる。
【0020】
また本発明に係る画像生成システム、プログラム及び情報記憶媒体は、一方のキャラクタが横属性攻撃を行った時に他方のキャラクタが移動動作を行った場合には、一方のキャラクタの向きを他方のキャラクタの方向に向ける補正量を、他の攻撃動作よりも大きな値に設定することを特徴とする。
【0021】
このようにすれば、一方のキャラクタの向きが他方のキャラクタの方向に向き易くなり、一方のキャラクタを有利に設定する処理を実現できる。
【0022】
また本発明に係る画像生成システム、プログラム及び情報記憶媒体は、キャラクタの前記第3の動作は、オブジェクト空間内で任意の方向にキャラクタが移動する移動動作であり、キャラクタの前記第1の動作は、攻撃方向が垂直面にほぼ沿っている縦属性攻撃であり、一方のキャラクタが移動動作を行った時に他方のキャラクタが縦属性攻撃を行った場合には、移動動作を行った一方のキャラクタを他方のキャラクタに比べて有利に設定することを特徴とする。
【0023】
このようにすれば、移動動作は縦属性攻撃に対して強いということを表現でき、プレーヤが不自然さが感じないリアルな画像を生成できる。
【0024】
また本発明に係る画像生成システム、プログラム及び情報記憶媒体は、一方のキャラクタが移動動作を行った時に他方のキャラクタが縦属性攻撃を行った場合には、他方のキャラクタの縦属性攻撃が一方のキャラクタにヒットしたと判定された場合にも、ヒット判定をキャンセルすることを特徴とする。
【0025】
このようにすれば、他方のキャラクタの縦属性攻撃が一方のキャラクタに当たったというヒット判定がなされた場合にも、このヒット判定がキャンセルされるようになり、一方のキャラクタを有利に設定する処理を実現できる。
【0026】
また本発明に係る画像生成システム、プログラム及び情報記憶媒体は、他方のキャラクタの縦属性攻撃が一方のキャラクタにヒットしたと判定された場合にも、他方のキャラクタの向く方向を含む所与の角度範囲の外に一方のキャラクタが位置する場合には、ヒット判定をキャンセルすることを特徴とする。
【0027】
このようにすれば、他方のキャラクタの正面方向に一方のキャラクタが位置するのにもかかわらず他方のキャラクタの縦属性攻撃のヒットがキャンセルされてしまい不自然が画像が生成されてしまうという事態を防止できる。
【0028】
また本発明に係る画像生成システム、プログラム及び情報記憶媒体は、ヒット判定がキャンセルされた場合には、ヒット箇所が仮想カメラから見えないように、仮想カメラの位置又は方向を変更することを特徴とする。
【0029】
このようにすれば、ヒット判定がキャンセルされているのにもかかわらず他方のキャラクタの縦属性攻撃がヒットして見えるという矛盾のある画像が、プレーヤから見えてしまう事態を防止できる。
【0030】
また本発明に係る画像生成システム、プログラム及び情報記憶媒体は、ヒット判定がキャンセルされた場合には、リプレイ画像の生成時において、他方のキャラクタの縦属性攻撃が一方のキャラクタにヒットしていないように見える補正画像を生成することを特徴とする。
【0031】
このようにすれば、ヒット判定がキャンセルされているのにもかかわらず他方のキャラクタの縦属性攻撃がヒットして見えるという矛盾のある画像が、リプレイ画像として生成されてしまう事態を防止できる。
【0032】
また本発明に係る画像生成システム、プログラム及び情報記憶媒体は、前記第1、第2、第3の動作のいずれか1つの動作の攻防に関する属性パラメータを変化させた場合には、他の動作の攻防に関する属性パラメータも連動して変化させることを特徴とする。
【0033】
このようにすれば、攻防の優劣関係のバランスが崩れてしまう事態を防止でき、攻防の優劣関係のバランスを維持したまま、種々のゲームバランス調整を実現できるようになる。
【0034】
また本発明は、画像生成を行う画像生成システムであって、複数のプレーヤの各プレーヤの操作入力に基づいて、複数のキャラクタの各キャラクタの動作を制御する動作制御手段と、一方のキャラクタが、攻撃方向が垂直面にほぼ沿っている縦属性攻撃を行った時に、他方のキャラクタが、攻撃方向が水平面にほぼ沿っている横属性攻撃を行った場合には、縦属性攻撃を行った一方のキャラクタを他方のキャラクタに比べて有利に設定する手段と、キャラクタを含む複数のオブジェクトが配置されるオブジェクト空間において仮想カメラから見える画像を生成する手段とを含むことを特徴とする。また本発明に係るプログラムは、上記手段としてコンピュータを機能させることを特徴とする。また本発明に係る情報記憶媒体は、コンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体であって、上記手段としてコンピュータを機能させるためのプログラムを記憶(記録)したことを特徴とする。
【0035】
本発明によれば、キャラクタの縦属性攻撃が横属性攻撃に対して有利になるように設定される。これにより、一般的に勝つ確率が高い横属性攻撃をプレーヤが多用する事態を防止でき、ゲーム展開が単調になるのを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本実施形態について図面を用いて説明する。
【0037】
なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を何ら限定するものではない。また本実施形態で説明される構成の全てが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0038】
1.構成
図1に、本実施形態の画像生成システム(ゲームシステム)の機能ブロック図の一例を示す。なお同図において本実施形態は、少なくとも処理部100を含めばよく(或いは処理部100と記憶部170を含めばよく)、それ以外のブロックについては任意の構成要素とすることができる。
【0039】
操作部160は、プレーヤが操作データを入力するためのものであり、その機能は、レバー、ボタン、マイク、センサー或いは筺体などのハードウェアにより実現できる。
【0040】
記憶部170は、処理部100や通信部196などのワーク領域となるもので、その機能はRAMなどのハードウェアにより実現できる。
【0041】
情報記憶媒体180(コンピュータにより読み取り可能な媒体)は、プログラムやデータなどを格納するものであり、その機能は、光ディスク(CD、DVD)、光磁気ディスク(MO)、磁気ディスク、ハードディスク、磁気テープ、或いはメモリ(ROM)などのハードウェアにより実現できる。処理部100は、この情報記憶媒体180に格納されるプログラム(データ)に基づいて本発明(本実施形態)の種々の処理を行う。即ち情報記憶媒体180には、本発明(本実施形態)の各手段(特に処理部100に含まれるブロック)としてコンピュータを機能させるためのプログラム(各手段をコンピュータに実現させるためのプログラム)が記憶(記録、格納)される。
【0042】
なお、情報記憶媒体180に格納される情報の一部又は全部は、システムへの電源投入時等に記憶部170に転送されることになる。また情報記憶媒体180には、本発明の処理を行うためのプログラム、画像データ、音データ、表示物の形状データなどを含ませることができる。
【0043】
表示部190は、本実施形態により生成された画像を出力するものであり、その機能は、CRT、LCD、或いはHMD(ヘッドマウントディスプレイ)などのハードウェアにより実現できる。
【0044】
音出力部192は、本実施形態により生成された音を出力するものであり、その機能は、スピーカなどのハードウェアにより実現できる。
【0045】
携帯型情報記憶装置194は、プレーヤの個人データやゲームのセーブデータなどが記憶されるものであり、この携帯型情報記憶装置194としては、メモリカードや携帯型ゲーム装置などを考えることができる。
【0046】
通信部196は、外部(例えばホスト装置や他の画像生成システム)との間で通信を行うための各種の制御を行うものであり、その機能は、各種プロセッサ、或いは通信用ASICなどのハードウェアや、プログラムなどにより実現できる。
【0047】
なお本発明(本実施形態)の各手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム(データ)は、ホスト装置(サーバー)が有する情報記憶媒体からネットワーク及び通信部196を介して情報記憶媒体180に配信するようにしてもよい。このようなホスト装置(サーバー)の情報記憶媒体の使用も本発明の範囲内に含まれる。
【0048】
処理部100(プロセッサ)は、操作部160からの操作データやプログラムなどに基づいて、ゲーム処理、画像生成処理、或いは音生成処理などの各種の処理を行う。この場合、処理部100は、記憶部170内の主記憶部172をワーク領域として使用して、各種の処理を行う。
【0049】
ここで、処理部100が行う処理としては、コイン(代価)の受け付け処理、各種モードの設定処理、ゲームの進行処理、選択画面の設定処理、オブジェクト(1又は複数のプリミティブ)の位置や回転角度(X、Y又はZ軸回り回転角度)を求める処理、オブジェクトを動作させる処理(モーション処理)、視点の位置(仮想カメラの位置)や視線角度(仮想カメラの回転角度)を求める処理、マップオブジェクトなどのオブジェクトをオブジェクト空間へ配置する処理、ヒットチェック処理、ゲーム結果(成果、成績)を演算する処理、複数のプレーヤが共通のゲーム空間でプレイするための処理、或いはゲームオーバー処理などを考えることができる。
【0050】
処理部100は、動作制御部110、動作設定部116、ヒットチェック部118、画像生成部120、音生成部130を含む。なお、処理部100は、これらの全ての機能ブロックを含む必要はない。
【0051】
ここで動作制御部110は、プレーヤが操作するキャラクタの動作(移動、モーション)を制御する処理を行うものであり、移動処理部112とモーション処理部114を含む。
【0052】
移動処理部112は、キャラクタ(モデルオブジェクト、移動オブジェクト)の移動を制御する処理を行う。
【0053】
より具体的には、移動処理部112は、キャラクタをオブジェクト空間(ゲーム空間)で移動(並進移動、回転移動)させる処理を行う。そして、このキャラクタの移動処理は、操作部160からの操作データ(プレーヤからの入力データ)や前のフレーム(1/60秒、1/30秒等)でのキャラクタの位置、回転角度(方向)等に基づいて、現在のフレーム(インター)でのキャラクタの位置、回転角度を求めることで実現できる。例えば(k−1)フレームでのキャラクタの位置、回転角度をPk-1、θk-1とし、キャラクタの1フレームでの位置変化量(速度)、回転変化量(回転速度)を△P、△θとする。するとkフレームでのキャラクタの位置Pk、回転角度θkは例えば下式(1)、(2)のように求められる。
【0054】
Pk=Pk-1+△P (1)
θk=θk-1+△θ (2)
モーション処理部114は、キャラクタ(モデルオブジェクト)にモーション(アニメーション)を行わせる処理(モーション再生、モーション生成)を行う。そして、このキャラクタのモーション処理は、キャラクタのモーションを、モーションデータ記憶部176に記憶されているモーションデータに基づいて再生することで実現できる。
【0055】
より具体的には、モーションデータ記憶部176には、キャラクタのスケルトンを構成する各骨(キャラクタを構成するパーツオブジェクト、関節、モーション骨)の位置又は回転角度(親の骨に対する子の骨の3軸周りの回転角度)等を含むモーションデータが記憶されている。モーション処理部114は、このモーションデータを読み出し、このモーションデータに基づいてキャラクタのスケルトンを構成する各骨(パーツオブジェクト)を動かすことで(スケルトン形状を変形させることで)、キャラクタのモーションを再生する。
【0056】
なお、モーションデータ記憶部176に記憶されるモーションデータは、現実世界の人にセンサをつけてモーションキャプチャを行うことで作成したものであることが望ましいが、モーションデータを、物理シミュレーション(物理計算を利用したシミュレーション。擬似的な物理計算でもよい)やモーションブレンドなどによりリアルタイムに生成してもよい。
【0057】
また、少ないモーションデータ量でリアルなモーションを再生するために、インバース・キネマティクス等を用いてモーション再生を行ってもよい。
【0058】
動作設定部116は、キャラクタが行う動作に関する各種の設定を行う。より具体的には、例えば、一方のキャラクタ(第1、第2のプレーヤのいずれか一方のプレーヤが操作するキャラクタ)が第1の動作(移動、モーション等)を行った時(同時又はほぼ同時)に他方のキャラクタ(他方のプレーヤが操作するキャラクタ)が第2の動作を行った場合には、第1の動作を行った一方のキャラクタを、対戦における攻防又はゲーム条件等において有利に設定する。また、一方のキャラクタが第2の動作を行った時(同時又はほぼ同時)に他方のキャラクタが第3の動作を行った場合には、第2の動作を行った一方のキャラクタを、対戦における攻防又はゲーム条件等において有利に設定する。また、一方のキャラクタが第3の動作を行った時(同時又はほぼ同時)に他方のキャラクタが第1の動作を行った場合には、第3の動作を行った一方のキャラクタを、対戦における攻防又はゲーム条件等において有利に設定する。
【0059】
この場合、第1の動作としては例えば、キャラクタの攻撃方向(攻撃面)が、垂直面(オブジェクト空間における垂直面又はキャラクタのローカル座標系における垂直面等)にほぼ沿っている縦属性攻撃(攻撃方向が垂直面に対して少なくとも+45度〜ー45度以内の攻撃)を考えることできる。
【0060】
また、第2の動作としては例えば、キャラクタの攻撃方向(攻撃面)が、水平面(オブジェクト空間における水平面又はキャラクタのローカル座標系における水平面等)にほぼ沿っている横属性攻撃(攻撃方向が水平面に対して少なくとも+45度〜ー45度以内の攻撃)を考えることできる。
【0061】
また、第3の動作としては、オブジェクト空間内で任意の方向(プレーヤが操作入力により指示した方向)に移動する移動動作(走り動作又は歩き動作等)を考えることができる。
【0062】
ヒットチェック部118は、一方のキャラクタの攻撃が他方のキャラクタにヒットしたか否かをチェックする処理を行う。即ち、一方のキャラクタが攻撃動作を行った場合に、その一方のキャラクタの手や足などの部位又は武器が、他方のキャラクタの体や武器にヒットしたか否かをチェックする。そして、ヒットした場合には、他方のキャラクタは、攻撃を受けたことを示すモーション(ブレークモーション、やられモーション、被ヒットモーション)を行うことになる。
【0063】
なお、キャラクタの形状や、キャラクタの部位(手、足)、武器などが描く軌道を簡略化して擬似的に表した疑似ヒットエリア(簡易オブジェクト、ヒットボックス、ヒットボリューム)を用いて、ヒットチェックを行うようにしてもよい。
【0064】
画像生成部120は、処理部100で行われる種々の処理の結果に基づいて画像処理を行い、ゲーム画像を生成し、表示部190に出力する。例えば、いわゆる3次元のゲーム画像を生成する場合には、まず、座標変換、クリッピング処理、透視変換、或いは光源計算等のジオメトリ処理が行われ、その処理結果に基づいて、描画データ(プリミティブ面の頂点(構成点)に付与される位置座標、テクスチャ座標、色(輝度)データ、法線ベクトル或いはα値等)が作成される。そして、この描画データ(プリミティブ面データ)に基づいて、ジオメトリ処理後のオブジェクト(1又は複数プリミティブ面)の画像が、描画バッファ174(フレームバッファ、ワークバッファ等のピクセル単位で画像情報を記憶できるバッファ)に描画される。これにより、オブジェクト空間内において仮想カメラ(所与の視点)から見える画像が生成されるようになる。
【0065】
音生成部130は、処理部100で行われる種々の処理の結果に基づいて音処理を行い、BGM、効果音、又は音声などのゲーム音を生成し、音出力部192に出力する。
【0066】
なお、本実施形態の画像生成システムは、1人のプレーヤのみがプレイできるシングルプレーヤモード専用のシステムにしてもよいし、このようなシングルプレーヤモードのみならず、複数のプレーヤがプレイできるマルチプレーヤモードも備えるシステムにしてもよい。
【0067】
また複数のプレーヤがプレイする場合に、これらの複数のプレーヤに提供するゲーム画像やゲーム音を、1つの端末を用いて生成してもよいし、ネットワーク(伝送ライン、通信回線)などで接続された複数の端末(ゲーム機、携帯電話)を用いて生成してもよい。
【0068】
2.本実施形態の特徴
次に本実施形態の特徴について図面を用いて説明する。なお、以下では、格闘ゲームに本実施形態を適用した場合を主に例にとり説明するが、本実施形態は、格闘ゲーム以外の他のゲームにも広く適用できる。
【0069】
2.1 攻防の優劣関係
さて、これまでの3次元格闘ゲームでは、3次元ゲームであるのにもかかわらず、2次元格闘ゲームで親しまれてきた手法で攻防の優劣が決定されていた。
【0070】
例えば図2(A)において、キャラクタCH1(第1のプレーヤが操作するキャラクタ。以下の説明でも同様)がキャラクタCH2(第2のプレーヤが操作するキャラクタ。以下の説明でも同様)を攻撃した場合には、キャラクタCH2は、しゃがみ、立ちガード、しゃがみガードなどの動作で、この攻撃を防御する。
【0071】
即ち、キャラクタCH1の上段攻撃に対しては、立ちガード、しゃがみ、しゃがみガードなどで防御する。また、キャラクタCH1の中段攻撃に対しては、立ちガード、しゃがみガードなどで防御する。また、キャラクタCH1の下段攻撃に対しては、しゃがみガードなどで防御する。
【0072】
しかしながら、このような攻防の優劣関係は、2次元格闘ゲームの慣例から引き継がれてきたものであり、3次元格闘ゲームに用いるものとしては理想的ではない。即ち、3次元格闘ゲームにおいては、図2(B)に示すようにキャラクタCH1、CH2はオブジェクト空間内で自由に動き回ることができる。従って、このような3次元ゲームの特質を生かした攻防の優劣関係を実現できることが望ましい。
【0073】
そこで本実施形態では、キャラクタの動作間の攻防の優劣関係を、以下に説明するような手法で決定している。
【0074】
即ち図3(A)に示すように、キャラクタが行う動作としてA1、A2、A3があったとする。この場合に、例えばキャラクタCH1が動作A1(第1の動作)を行っている時に、それと同時又はほぼ同時にキャラクタCH2が動作A2(第2の動作)を行うと、動作A1を行っているCH1が有利に設定されてCH1が勝つ。
【0075】
一方、キャラクタCH1が動作A2を行っている時に、それと同時又はほぼ同時にキャラクタCH2が動作A3(第3の動作)を行うと、動作A2を行っているCH1が有利に設定されてCH1が勝つ。
【0076】
また、キャラクタCH1が動作A3を行っている時に、それと同時又はほぼ同時にキャラクタCH2が動作A1を行うと、動作A3を行っているCH1が有利に設定されてCH1が勝つ。
【0077】
このように図3(A)では、動作A1は動作A2に勝ち、動作A2は動作A3に勝ち、動作A3は動作A1に勝つというように、三角関係で攻防の優劣関係が決められている。
【0078】
従って、キャラクタを操作するプレーヤは、どの動作を行えば敵に勝てるのかを、図3(A)の三角関係を頭に思い浮かべるだけで直ぐに把握できる。即ち、プレーヤは、図3(A)の三角関係を頭に思い浮かべることで、自分が動作A1の時は、敵がA2なら勝ちでA3なら負けであるということを直ぐに認識できる。同様に、自分が動作A2の時は敵がA3なら勝ちでA1なら負けであり、自分が動作A3の時は、敵がA1なら勝ちでA2なら負けであるということを直ぐに認識できる。従って、プレーヤが理解し易い好適な操作環境を提供できる。
【0079】
さて本実施形態により実現するゲームが、刀(剣)などの武器を用いた武器格闘ゲームである場合には、図3(B)に示すように、図3(A)の動作A1、A2、A3は、各々、縦属性攻撃B1、横属性攻撃B2、移動動作B3であることが望ましい。
【0080】
ここで、縦属性攻撃B1とは、縦のカテゴリーに分類された攻撃(縦切り攻撃等)であり、攻撃方向が垂直面にほぼ沿っている攻撃である。この場合に、縦属性攻撃B1は、攻撃方向が完全に垂直面に沿っている必要はなく、垂直面に対して少しだけ斜めの攻撃(少なくとも垂直面とのなす角度が+45度〜−45度以内の面に沿った攻撃)でもよい。
【0081】
また、横属性攻撃B2とは、横のカテゴリーに分類された攻撃(横切り攻撃等)であり、攻撃方向が水平面にほぼ沿っている攻撃である。この場合に、横属性攻撃B2は、攻撃方向が完全に水平面に沿っている必要はなく、水平面に対して少しだけ斜めの攻撃(少なくとも水平面とのなす角度が+45度〜−45度以内の面に沿った攻撃)でもよい。
【0082】
また、移動動作は、オブジェクト空間内で任意の方向にキャラクタが移動する動作である。即ち、操作入力を用いたプレーヤの移動指示(レバー入力)の方向にキャラクタが移動する動作であり、例えば、走り動作、歩き動作などを含む。
【0083】
2.2 縦属性攻撃と横属性攻撃
さて図3(B)の攻防関係では、一方のキャラクタが縦属性攻撃を行った時に他方のキャラクタが横属性攻撃を行った場合には、縦属性攻撃を行った一方のキャラクタが有利に設定される。
【0084】
より具体的には、図4において、キャラクタCH1は縦属性攻撃(縦切り攻撃)を行っており、これとほぼ同時にキャラクタCH2は横属性攻撃(横切り攻撃)を行っている。
【0085】
この場合には、図5、図6に示すように、縦属性攻撃を行っているキャラクタCH1が有利に設定されて勝つことになる。即ち、キャラクタCH1からの攻撃を受けたCH2は、武器(狭義には刀)が打ち落とされるブレークモーションややられモーション(広義には攻撃を受けたことを表す動作)を行う。また、攻撃を受けたキャラクタCH2は、所与の期間だけ動作不能状態に設定される。
【0086】
なお、ここで動作不能状態とは、CH2を操作するプレーヤがCH2を動作させる操作入力を行った場合にも、その操作入力が受け付けられず、CH2が一定期間だけ動作不能になる状態(硬直状態)である。
【0087】
武器格闘ゲームにおいては、縦属性攻撃を繰り出すよりも、横属性攻撃を繰り出す方が、一般的に勝つ確率が高い。その理由は、横属性攻撃では攻撃面(刀の軌道)が水平面になるため、攻撃を逃れるためにはキャラクタは大きく移動しなければならないのに対して、縦属性攻撃では攻撃面が垂直面になるため、少しだけキャラクタの体をずらすだけで攻撃を逃れることができるからである。従って、プレーヤは、勝つ確率が高い横属性攻撃を多用するようになり、ゲーム展開が単調になってしまうという問題がある。
【0088】
そこで本実施形態では、図4〜図6に示すように縦属性攻撃と横属性攻撃が同時発生した場合には縦属性攻撃が勝つようする手法を採用することで、上記のような問題を解決している。即ち、このような手法を採用すれば、横属性攻撃を繰り出しても敵が縦属性攻撃を繰り出すと負けてしまうため、プレーヤは安易に横属性攻撃を多用しなくなる。この結果、お互いのキャラクタが種々の攻撃を繰り出すようになり、多様なゲーム展開を実現できる。
【0089】
なお、縦属性攻撃と横属性攻撃のヒットチェックは、縦属性攻撃のヒットエリア(ヒットボリューム、ヒットボックス)と横属性攻撃のヒットエリアがヒットしたか否か(重なり合ったか否か、交差したか否か)で判断することが望ましい。
【0090】
この場合に本実施形態では、縦属性攻撃と横属性攻撃のヒットチェックでは、通常のヒットエリアではなくて、擬似的なヒットエリア(ヒットボリューム、ヒットボックス)を用いている。
【0091】
即ち図7(A)に示すように、通常のヒットチェックでは、キャラクタCH1が持つ武器AR1の現在の位置と前のフレームでの位置に基づいて、扇形のヒットエリアHA1を形成する。そして、このヒットエリアHA1が敵キャラクタCH2にヒットしたか否かを判定することで、ヒットチェックを実現する。
【0092】
しかしながら、この手法によると、武器AR1とAR2がヒットする状況が生じるのは極めて希であるため、縦属性攻撃と横属性攻撃の同時発生時に武器AR1とAR2がぶつかり合って跳ね返るというような画像表現をなかなか実現できない。
【0093】
そこで本実施形態では図7(B)に示すような擬似的なヒットエリアVHA1、VHA2(ヒットボリューム、ヒットボックス)を用いて、縦属性攻撃と横属性攻撃のヒットチェックを行っている。
【0094】
この疑似(近似)ヒットエリアVHA1、VHA2は、図7(A)のような実際の武器AR1、AR2の軌道を厳密に計算して形成したヒットエリアHA1、HA2(攻撃軌道により特定されるヒットエリア)とは異なり、これらのHA1、HA2よりも大きな(広い)擬似的なエリアである。例えば、図7(B)では、武器AR1、AR2の振り始めの位置(振りモーションの開始位置)と想定される線と振り終わりの位置(振りモーションの終了位置)と想定される線を対向する2辺とする扇形の板を、疑似ヒットエリアVHA1、VHA2に設定している。
【0095】
このようにすれば、これらの疑似ヒットエリアVHA1、VHA2は、1フレーム分の大きさしかないヒットエリアHA1、HA2に比べて大きくすることができる。従って、武器AR1とAR2のヒットも、図7(A)の場合に比べて頻繁に起こるようになり、縦属性攻撃と横属性攻撃の同時発生時に武器AR1とAR2がぶつかり合って跳ね返るというような画像が頻繁に生成されるようになり、画像の演出効果を高めることができる。
【0096】
なお、このような疑似ヒットエリアVHA1、VHA2としては、種々の形状のものを考えることができる。例えば図7(C)に示すように、疑似ヒットエリアVHA1、VHA2を、キャラクタCH1、CH2及び武器AR1、AR2を包含するような立体形状(球、円柱又は角柱等)にしてもよいし、武器AR1、AR2又はその軌道を包含するような立体形状(球、円柱又は角柱等)にしてもよい。
【0097】
また、疑似ヒットエリアの大きさを可変に制御することで、縦属性攻撃と横属性攻撃のヒットの頻度を調整するようにしてもよい。
【0098】
また、縦属性攻撃と横属性攻撃のヒットのタイミングは、図8に示すような手法で判断できる。即ち、キャラクタCH1の攻撃動作(攻撃モーション)が開始してから終了するまでの間に、攻撃が有効となる期間T(ヒット期間)を設定する。そして、この攻撃有効期間Tの間に、疑似ヒットエリアVHA1とVHA2がヒットしたと判断された場合に、縦属性攻撃と横属性攻撃のヒットイベントが発生したと判断する。そして、キャラクタCH2を、ヒットイベントが発生してから期間TNだけ動作不能状態(硬直状態)に設定することで、キャラクタCH1をCH2に比べて有利に設定できる。
【0099】
2.3 横属性攻撃と移動動作
図3(B)に示すように本実施形態では、一方のキャラクタが横属性攻撃を行った時に他方のキャラクタが移動動作(走り)を行った場合には、横属性攻撃を行った一方のキャラクタが有利に設定される。
【0100】
より具体的には、図9において、キャラクタCH1は横属性攻撃(横切り攻撃)を行っており、これと同時又はほぼ同時にキャラクタCH2は移動動作を行っている。
【0101】
この場合には、図10、図11に示すように、横属性攻撃を行っているキャラクタCH1が有利に設定されて勝つことになる。即ち、キャラクタCH1の横属性攻撃がキャラクタCH2にヒットし、キャラクタCH2はやられモーションを行うことになる。また、攻撃を受けたキャラクタCH2は、所与の期間だけ動作不能状態に設定される。
【0102】
このようにすることで、攻撃面が水平面になる横属性攻撃の場合には、キャラクタを移動させてもなかなか攻撃を逃れることができず、横属性攻撃は移動動作に対して強いということを表現できるようになる。これにより、プレーヤが納得することができるリアルで自然なゲーム画像を生成できる。
【0103】
なお、この場合に本実施形態では、横属性攻撃を行ったキャラクタCH1の方の軸追従補正の量を大きな値に設定している。
【0104】
ここで、軸追従補正とは、図12(A)、(B)に示すように、キャラクタCH1の向く方向DC1を、敵であるキャラクタCH2の方向D12に向ける補正である。この軸追従補正の量を大きくすると、キャラクタCH1の向く方向DC1の、キャラクタCH2の方向D12への追従度が強くなり、キャラクタCH1の攻撃がキャラクタCH2に当たりやすくなる。この軸追従補正の量は、各フレームにおいて方向DC1を方向D12の方に向ける角速度と、軸追従補正を行うフレーム数(軸追従補正を行う期間)とにより決められる。
【0105】
そして本実施形態では、横属性攻撃を行っているキャラクタCH1の軸追従補正量を、他の攻撃動作(例えば縦属性攻撃)の軸追従補正量よりも大きな値に設定している。従って、横属性攻撃を行っているキャラクタCH1の向く方向DC1がCH2の方向D12に追従し易くなる。この結果、キャラクタCH1の攻撃がCH2に当たりやすくなり、CH1の方を有利に設定できる。
【0106】
2.4 移動動作と縦属性攻撃
図3(B)に示すように本実施形態では、他方のキャラクタが縦属性攻撃を行った時に一方のキャラクタが移動動作を行った場合には、移動動作を行った一方のキャラクタが有利に設定される。
【0107】
より具体的には、図13において、キャラクタCH2は縦属性攻撃(縦切り攻撃)を行っており、これと同時又はほぼ同時にキャラクタCH1は移動動作(逃げる動作)を行っている。
【0108】
この場合には、図14、図15に示すように、移動動作を行っているキャラクタCH1が有利に設定されて勝つことになる。即ち、キャラクタCH2が縦属性攻撃を行っても、キャラクタCH1は上手く上体をかわして、CH2の縦属性攻撃を逃れることができる。
【0109】
このようにすることで、攻撃面が垂直面になる縦属性攻撃の場合には、少しだけキャラクタの体をずらすだけで攻撃を逃れることができ、移動動作は縦属性攻撃に対して強いということを表現できるようになる。これにより、プレーヤが納得することができるリアルで自然なゲーム画像を生成できる。
【0110】
なお、この場合に本実施形態では、図16(A)に示すように、キャラクタCH2の縦属性攻撃がキャラクタCH1にヒットしたと判定された場合にも、そのヒット判定をキャンセルするようにしている。
【0111】
例えば、キャラクタCH2の縦属性攻撃のヒットチェックは、図7(A)に示すようなヒットエリアを用いて行う。即ち、図16(A)のキャラクタCH2の武器AR2のヒットエリアが、キャラクタCH1とヒットした場合(重なり合った場合、交差した場合)に、攻撃が当たったと判定する。
【0112】
しかしながら、キャラクタCH2が縦属性攻撃を行っているのと同時又はほぼ同時に、キャラクタCH1が移動動作を行った場合には、このヒット判定をキャンセルして無効化する。これにより、キャラクタCH1を有利に設定できるようになる。
【0113】
なお、キャラクタCH2の縦属性攻撃のヒット判定を単にキャンセルするだけでは、CH2の武器AR2がCH1にめり込んでいるのに、ヒットしなかったことになってしまう事態が生じ、プレーヤが不自然さを感じるおそれがある。従って、この場合には、図14に示すように、上半身だけ横に体をそらす動作(モーション)をキャラクタCH1に行わせる。これにより、プレーヤが不自然さを感じる事態を防止できる。
【0114】
或いは図16(B)に示すように、キャラクタCH2の向く方向DC2を含む角度範囲(方向DC2を基準として、プラス側に第1の角度、マイナス側に第2の角度となる範囲)の外にキャラクタCH1が位置するという条件を満たした場合に限り、ヒット判定をキャンセルするようにしてもよい。
【0115】
例えば、キャラクタCH2の真正面にキャラクタCH1が位置するのにもかかわらず、CH2の縦属性攻撃のヒット判定がキャンセルされてしまうと、非常に不自然な画像を生成されてしまう。
【0116】
これに対して図16(B)の手法では、キャラクタCH2の真正面にキャラクタCH1が位置する場合には、CH1は角度範囲(方向範囲)RG内に位置すると判断され、ヒット判定はキャンセルされない。
【0117】
一方、キャラクタCH1がキャラクタCH2の真正面に位置せずに、真正面からずれた方向に位置する場合、即ちCH1が角度範囲RGの外に位置する場合には、図16(B)の手法ではヒット判定がキャンセルされる。そして、このような場合にヒット判定をキャンセルしても、キャラクタCH1がぎりぎりでCH2の攻撃を逃れたかのように見えるため、プレーヤはそれほど不自然さを感じない。従って、プレーヤがそれほど不自然さを感じない画像を生成しながらも、キャラクタCH1の方を有利に設定できるようになる。
【0118】
また、例えば図14において、ヒット判定がキャンセルされているのにもかかわらず他方のキャラクタの縦属性攻撃がヒットして見える画像が生成されてしまうと、プレーヤが矛盾を感じてしまう。
【0119】
そこで、このような事態を防止するためには、例えば図14に示すように、ヒット判定がキャンセルされた場合には、キャラクタCH1のヒット箇所(ヒット部分)が仮想カメラVCから見えないように、仮想カメラVCの位置又は方向(VD)を変更することが望ましい。
【0120】
より具体的には、キャラクタCH2が障害物になってキャラクタCH1のヒット箇所が見えなくなるように、仮想カメラVCの位置や方向を設定する。そして、この場合には、キャラクタCH1とCH2の位置関係に応じて、仮想カメラの位置や方向を変更すればよい。なお、キャラクタCH2以外の他のオブジェクト(血しぶきなどのエフェクトオブジェクトや、建物、壁などのオブジェクト等)が障害物となって見えなくなるように、仮想カメラVCの位置や方向を設定してもよい。
【0121】
また、ヒット判定がキャンセルされているのにもかかわらず縦属性攻撃がヒットして見える画像が、リプレイ画像の生成時に見えてしまうと、プレーヤは更に不自然さを感じる。
【0122】
従って、このような事態を防止するためには、ヒット判定がキャンセルされた場合に、リプレイ画像の生成時において、他方のキャラクタの縦属性攻撃が一方のキャラクタにヒットしていないように見える補正画像を生成することが望ましい。
【0123】
より具体的には、リプレイ画像生成のために、キャラクタCH1、CH2、仮想カメラVCの座標(例えばワールド座標系での絶対座標)等を、リプレイ情報として記憶手段に順次記憶しておく。また、ヒットキャンセルフラグ(ヒット判定のキャンセルがあったことを示す情報)についても、リプレイ情報として記憶しておく。そして、リプレイ時には、この記憶した座標やヒットキャンセルフラグに基づいて、補正画像を生成する。より具体的には、記憶しておいたキャラクタCH2の座標(絶対座標)を、例えば図14のQ1に示すようにずらす補正を行い、リプレイ補正画像を生成する。このようにすることで、実際にはヒットしていたにもかかわらず、実はヒット判定がキャンセルされていたということを、リプレイ時にプレーヤに気づかれてしまう事態を防止できる。
【0124】
2.5 属性パラメータの調整
さて、図3(A)、(B)に示すように攻防の優劣関係を設定した場合には、キャラクタの動作の攻防に関する属性パラメータ(難易度設定パラメータ、ハンディ設定パラメータ)の調整についても重要になる。
【0125】
即ち、例えば図3(A)の動作A1の属性パラメータを変化させた場合に、動作A2、A3の属性パラメータを変化させないと、攻防の優劣関係のバランスが崩れてしまうおそれがある。
【0126】
そこで本実施形態では図17(A)、(B)に示すように、第1、第2、第3の動作(縦属性攻撃、横属性攻撃、移動動作)のいずれか1つの動作の攻防に関する属性パラメータ(攻防の優劣関係のバランスに影響を与えるパラメータ)を変化させた場合には、他の動作の属性パラメータも変化させるようにしている。
【0127】
図7(B)、(C)で説明した、属性パラメータの1つである疑似ヒットエリアの大きさを例にとれば、1つの動作(例えば縦属性攻撃)についての疑似ヒットエリアを大きくしたり小さくした場合には、他の動作(例えば横属性攻撃)についての疑似ヒットエリアも、これに連動して大きくしたり小さくする。
【0128】
また図8で説明した、属性パラメータの1つである攻撃有効期間や動作不能期間を例にとれば、1つの動作(例えば縦属性攻撃)についての攻撃有効期間や動作不能期間を長くしたり短くした場合には、他の動作(例えば横属性攻撃)についての攻撃有効期間や動作不能期間も、これに連動して長くしたり短くする。
【0129】
また図12(A)、(B)で説明した、属性パラメータの1つである軸追従補正量を例にとれば、1つの動作(攻撃、移動)についての軸追従補正量を大きくしたり小さくした場合には、他の動作(攻撃、移動)についての軸追従補正量も、これに連動して大きくしたり小さくする。
【0130】
また図16(B)で説明した、属性パラメータの1つである角度範囲RGを例にとれば、1つの動作(攻撃、移動)についての角度範囲を広くしたり狭くしたりした場合には、他の動作(攻撃、移動)についての角度範囲も、これに連動して広くしたり狭くする。
【0131】
以上のように属性パラメータを調整することで、攻防の優劣関係のバランスを維持したまま、種々のゲームバランス調整を実現できるようになる。
【0132】
3.本実施形態の処理
次に、本実施形態の処理の詳細例について、図18、図19、図20のフローチャートを用いて説明する。
【0133】
図18は、敵の横属性攻撃を縦属性攻撃で打ち落とす処理(図4〜図8参照)に関するフローチャートである。
【0134】
まず、プレーヤの操作入力を受け付け、それに従い自キャラクタの動作を設定する(ステップS1)。
【0135】
次に、自キャラクタの攻撃フラグがオン(攻撃中)か否かを判断し(ステップS2)、オンではない場合には通常のヒットチェック処理(ステップS9)に移行する。一方、オンの場合には、自キャラクタの攻撃が縦属性攻撃か否かを判断し(ステップS3)、縦属性攻撃ではない場合には通常のヒットチェック処理に移行する。
【0136】
縦属性攻撃である場合には、縦属性攻撃の有効期間内か否かを判断し(ステップS4。図8参照)、有効期間内ではない場合には通常のヒットチェック処理に移行する。一方、有効期間内である場合には、敵キャラクタが横属性攻撃中であるか否かを判断し(ステップS5)、横属性攻撃中ではない場合には通常のヒットチェック処理に移行する。
【0137】
横属性攻撃中である場合には、自キャラクタの縦属性攻撃の疑似ヒットエリアと敵キャラクタの横属性攻撃の疑似ヒットエリアとがヒットしたか否かを判断し(ステップS6。図7(B)、(C)参照)、ヒットしていない場合には通常のヒットチェック処理に移行する。一方、ヒットしている場合には、通常ヒットチェック処理で無駄な処理が行われないように、自キャラクタ及び敵キャラクタの攻撃中フラグをクリアする(ステップS7)。そして、敵キャラクタの動作をブレイクモーション(横属性攻撃が打ち落とされた動作)に設定すると共に、敵キャラクタを所与の期間だけ動作不能状態に設定する(ステップS8。図5、図6、図8参照)。そして、通常のヒットチェック処理に移行する。
【0138】
このように本実施形態では、一方のキャラクタが縦属性攻撃を行っている時(攻撃有効時間内)に他方のキャラクタが横属性攻撃を行うと、図7(B)、(C)のような疑似ヒットエリアVHA1、VHA2(第1、第2の疑似ヒットエリア)に基づくヒットチェックが行われる(ステップS6)。そして、この場合、攻撃中フラグがクリアされることで(ステップS7)、通常ヒットチェック処理(ステップS9)において図7(A)のようなヒットエリアHA1、HA2(第1、第2のヒットエリア)に基づくヒットチェックは行われないようになる。一方、疑似ヒットエリアVHA1、VHA2によるステップS6のヒットチェックが行われない場合(縦属性攻撃と横属性攻撃の同時発生の条件が満たされない場合)には、ステップS9の通常ヒットチェック処理においてヒットエリアHA1、HA2に基づくヒットチェック処理が行われるようになる。
【0139】
図19は、敵の移動動作に対して横属性攻撃を有効に働かせる処理(図9〜図12(B)参照)に関するフローチャートである。
【0140】
まず、プレーヤの操作入力を受け付け、それに従い自キャラクタの動作を設定する(ステップS11)。
【0141】
次に、自キャラクタが攻撃中か否かを判断し(ステップS12)、攻撃中ではない場合には通常のヒットチェック処理(ステップS15)に移行する。一方、攻撃中である場合には、自キャラクタの攻撃が横属性攻撃であるか否かを判断し(ステップS13)、横属性攻撃ではない場合には通常のヒットチェック処理に移行する。
【0142】
そして横属性攻撃である場合には、自キャラクタの軸追従補正量を大きく設定して、自キャラクタの動作制御を行う(ステップS14。図12(A)、(B)参照)。そして、通常のヒットチェック処理に移行する。
【0143】
図20は、敵の縦属性攻撃を移動動作により逃れる処理(図13〜図16(B)参照)に関するフローチャートである。
【0144】
まず、自キャラクタのヒットキャンセルフラグがオンか否かを判断し(ステップS21)、オンの場合にはステップS26に移行する。一方、オンでない場合には、自キャラクタが、やられ動作中か否かを判断し(ステップS22)、やられ動作中である場合には、通常のヒットチェック処理(ステップS28)に移行する。
【0145】
やられ動作中ではない場合には、敵キャラクタの攻撃が縦属性攻撃であるか否かを判断し(ステップS23)、縦属性攻撃ではない場合には、通常のヒットチェック処理に移行する。一方、縦属性攻撃である場合には、自キャラクタの走り動作を指示する操作入力が行われたか否かを判断し(ステップS24)、走り動作の指示が行われていない場合には、通常のヒットチェック処理に移行する。
【0146】
走り動作の指示が行われている場合には、自キャラクタのヒットキャンセルフラグをオンに設定する(ステップS25)。
【0147】
次に、敵の攻撃がヒットしているのにもかかわらず、ヒット判定がヒットキャンセルフラグによりキャンセルされたか否かを判断し(ステップS26。図16(A)、(B)参照)、キャンセルされた場合には、自キャラクタの動作を、敵の縦属性攻撃をかわす動作に設定する(ステップS27。図14、図15参照)。そして、通常のヒットチェック処理に移行する。
【0148】
4.ハードウェア構成
次に、本実施形態を実現できるハードウェアの構成の一例について図21を用いて説明する。
【0149】
メインプロセッサ900は、CD982(情報記憶媒体)に格納されたプログラム、通信インターフェース990を介して転送されたプログラム、或いはROM950(情報記憶媒体の1つ)に格納されたプログラムなどに基づき動作し、ゲーム処理、画像処理、音処理などの種々の処理を実行する。
【0150】
コプロセッサ902は、メインプロセッサ900の処理を補助するものであり、高速並列演算が可能な積和算器や除算器を有し、マトリクス演算(ベクトル演算)を高速に実行する。例えば、オブジェクトを移動させたり動作(モーション)させるための物理シミュレーションに、マトリクス演算などの処理が必要な場合には、メインプロセッサ900上で動作するプログラムが、その処理をコプロセッサ902に指示(依頼)する。
【0151】
ジオメトリプロセッサ904は、座標変換、透視変換、光源計算、曲面生成などのジオメトリ処理を行うものであり、高速並列演算が可能な積和算器や除算器を有し、マトリクス演算(ベクトル演算)を高速に実行する。例えば、座標変換、透視変換、光源計算などの処理を行う場合には、メインプロセッサ900で動作するプログラムが、その処理をジオメトリプロセッサ904に指示する。
【0152】
データ伸張プロセッサ906は、圧縮された画像データや音データを伸張するデコード処理を行ったり、メインプロセッサ900のデコード処理をアクセレートする処理を行う。これにより、オープニング画面、インターミッション画面、エンディング画面、或いはゲーム画面などにおいて、MPEG方式等で圧縮された動画像を表示できるようになる。なお、デコード処理の対象となる画像データや音データは、ROM950、CD982に格納されたり、或いは通信インターフェース990を介して外部から転送される。
【0153】
描画プロセッサ910は、ポリゴンや曲面などのプリミティブ(プリミティブ面)で構成されるオブジェクトの描画(レンダリング)処理を高速に実行するものである。オブジェクトの描画の際には、メインプロセッサ900は、DMAコントローラ970の機能を利用して、オブジェクトデータを描画プロセッサ910に渡すと共に、必要であればテクスチャ記憶部924にテクスチャを転送する。すると、描画プロセッサ910は、これらのオブジェクトデータやテクスチャに基づいて、Zバッファなどを利用した陰面消去を行いながら、オブジェクトをフレームバッファ922に高速に描画する。また、描画プロセッサ910は、αブレンディング(半透明処理)、デプスキューイング、ミップマッピング、フォグ処理、バイリニア・フィルタリング、トライリニア・フィルタリング、アンチエリアシング、シェーディング処理なども行うことができる。そして、1フレーム分の画像がフレームバッファ922に書き込まれると、その画像はディスプレイ912に表示される。
【0154】
サウンドプロセッサ930は、多チャンネルのADPCM音源などを内蔵し、BGM、効果音、音声などの高品位のゲーム音を生成する。生成されたゲーム音は、スピーカ932から出力される。
【0155】
ゲームコントローラ942(レバー、ボタン、筺体、パッド型コントローラ又はガン型コントローラ等)からの操作データや、メモリカード944からのセーブデータ、個人データは、シリアルインターフェース940を介してデータ転送される。
【0156】
ROM950にはシステムプログラムなどが格納される。なお、業務用ゲームシステムの場合には、ROM950が情報記憶媒体として機能し、ROM950に各種プログラムが格納されることになる。なお、ROM950の代わりにハードディスクを利用するようにしてもよい。
【0157】
RAM960は、各種プロセッサの作業領域として用いられる。
【0158】
DMAコントローラ970は、プロセッサ、メモリ(RAM、VRAM、ROM等)間でのDMA転送を制御するものである。
【0159】
CDドライブ980は、プログラム、画像データ、或いは音データなどが格納されるCD982(情報記憶媒体)を駆動し、これらのプログラム、データへのアクセスを可能にする。
【0160】
通信インターフェース990は、ネットワークを介して外部との間でデータ転送を行うためのインターフェースである。この場合に、通信インターフェース990に接続されるネットワークとしては、通信回線(アナログ電話回線、ISDN)、高速シリアルバスなどを考えることができる。そして、通信回線を利用することでインターネットを介したデータ転送が可能になる。また、高速シリアルバスを利用することで、他の画像生成システムとの間でのデータ転送が可能になる。
【0161】
なお、本発明の各手段は、その全てを、ハードウェアのみにより実現してもよいし、情報記憶媒体に格納されるプログラムや通信インターフェースを介して配信されるプログラムのみにより実現してもよい。或いは、ハードウェアとプログラムの両方により実現してもよい。
【0162】
そして、本発明の各手段をハードウェアとプログラムの両方により実現する場合には、情報記憶媒体には、ハードウェア(コンピュータ)を本発明の各手段として機能させるためのプログラムが格納されることになる。より具体的には、上記プログラムが、ハードウェアである各プロセッサ902、904、906、910、930等に処理を指示すると共に、必要であればデータを渡す。そして、各プロセッサ902、904、906、910、930等は、その指示と渡されたデータとに基づいて、本発明の各手段を実現することになる。
【0163】
図22(A)に、本実施形態を業務用ゲームシステム(画像生成システム)に適用した場合の例を示す。プレーヤは、ディスプレイ1100上に映し出されたゲーム画像を見ながら、コントローラ1102などを操作してゲームを楽しむ。内蔵されるシステムボード(サーキットボード)1106には、各種プロセッサ、各種メモリなどが実装される。そして、本発明の各手段を実現するためのプログラム(データ)は、システムボード1106上の情報記憶媒体であるメモリ1108に格納される。以下、このプログラムを格納プログラム(格納情報)と呼ぶ。
【0164】
図22(B)に、本実施形態を家庭用のゲームシステム(画像生成システム)に適用した場合の例を示す。プレーヤはディスプレイ1200に映し出されたゲーム画像を見ながら、コントローラ1202、1204などを操作してゲームを楽しむ。この場合、上記格納プログラム(格納情報)は、本体システムに着脱自在な情報記憶媒体であるCD1206、或いはメモリカード1208、1209などに格納されている。
【0165】
図22(C)に、ホスト装置1300と、このホスト装置1300とネットワーク1302(LANのような小規模ネットワークや、インターネットのような広域ネットワーク)を介して接続される端末1304-1〜1304-n(ゲーム機、携帯電話)とを含むシステムに本実施形態を適用した場合の例を示す。この場合、上記格納プログラム(格納情報)は、例えばホスト装置1300が制御可能な磁気ディスク装置、磁気テープ装置、メモリなどの情報記憶媒体1306に格納されている。端末1304-1〜1304-nが、スタンドアロンでゲーム画像、ゲーム音を生成できるものである場合には、ホスト装置1300からは、ゲーム画像、ゲーム音を生成するためのゲームプログラム等が端末1304-1〜1304-nに配送される。一方、スタンドアロンで生成できない場合には、ホスト装置1300がゲーム画像、ゲーム音を生成し、これを端末1304-1〜1304-nに伝送し端末において出力することになる。
【0166】
なお、図22(C)の構成の場合に、本発明の各手段を、ホスト装置(サーバー)と端末とで分散して実現するようにしてもよい。また、本発明の各手段を実現するための上記格納プログラム(格納情報)を、ホスト装置(サーバー)の情報記憶媒体と端末の情報記憶媒体に分散して格納するようにしてもよい。
【0167】
またネットワークに接続する端末は、家庭用ゲームシステムであってもよいし業務用ゲームシステムであってもよい。そして、業務用ゲームシステムをネットワークに接続する場合には、業務用ゲームシステムとの間で情報のやり取りが可能であると共に家庭用ゲームシステムとの間でも情報のやり取りが可能なセーブ用情報記憶装置(メモリカード、携帯型ゲーム装置)を用いることが望ましい。
【0168】
なお本発明は、上記実施形態で説明したものに限らず、種々の変形実施が可能である。
【0169】
例えば本実施形態では、第1、第2、第3の動作が、各々、縦属性攻撃、横属性攻撃、移動動作である場合について説明したが、第1、第2、第3の動作の種類はこれに限定されない。例えば、第3の動作を移動動作と異なる動作にすることもできる。
【0170】
また、一方のキャラクタを有利に設定する手法も、本実施形態で説明した手法に限定されず、種々の変形実施が可能である。
【0171】
また、縦属性攻撃を行ったキャラクタを、横属性攻撃を行ったキャラクタよりも有利に設定する手法では、攻防の優劣関係は、必ずしも図3(A)に示すような三角関係になっていなくてもよい。
【0172】
また、本発明のうち従属請求項に係る発明においては、従属先の請求項の構成要件の一部を省略する構成とすることもできる。また、本発明の1の独立請求項に係る発明の要部を、他の独立請求項に従属させることもできる。
【0173】
また、本発明は種々のゲーム(格闘ゲーム、シューティングゲーム、ロボット対戦ゲーム、スポーツゲーム、競争ゲーム、ロールプレイングゲーム、音楽演奏ゲーム、ダンスゲーム等)に適用できる。
【0174】
また本発明は、業務用ゲームシステム、家庭用ゲームシステム、多数のプレーヤが参加する大型アトラクションシステム、シミュレータ、マルチメディア端末、ゲーム画像を生成するシステムボード等の種々の画像生成システム(ゲームシステム)に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0175】
【図1】本実施形態の画像生成システムの機能ブロック図の例である。
【図2】図2(A)、(B)は、格闘ゲームにおける従来の攻防の優劣関係について説明するための図である。
【図3】図3(A)、(B)は、本実施形態の攻防の優劣関係を決める手法について説明するための図である。
【図4】キャラクタCH1が縦属性攻撃を行いキャラクタCH2が横属性攻撃を行っている場面のゲーム画像例である。
【図5】キャラクタCH1が縦属性攻撃を行いキャラクタCH2が横属性攻撃を行っている場面のゲーム画像例である。
【図6】キャラクタCH1が縦属性攻撃を行いキャラクタCH2が横属性攻撃を行っている場面のゲーム画像例である。
【図7】図7(A)、(B)、(C)は、疑似ヒットエリア等を用いたヒットチェック手法について説明するための図である。
【図8】攻撃の有効期間やキャラクタの動作不能期間について説明するための図である。
【図9】キャラクタCH1が横属性攻撃を行いキャラクタCH2が移動動作を行っている場面のゲーム画像例である。
【図10】キャラクタCH1が横属性攻撃を行いキャラクタCH2が移動動作を行っている場面のゲーム画像例である。
【図11】キャラクタCH1が横属性攻撃を行いキャラクタCH2が移動動作を行っている場面のゲーム画像例である。
【図12】図12(A)、(B)は、軸追従補正について説明するための図である。
【図13】キャラクタCH1が移動動作を行いキャラクタCH2が縦属性攻撃を行っている場面のゲーム画像例である。
【図14】キャラクタCH1が移動動作を行いキャラクタCH2が縦属性攻撃を行っている場面のゲーム画像例である。
【図15】キャラクタCH1が移動動作を行いキャラクタCH2が縦属性攻撃を行っている場面のゲーム画像例である。
【図16】図16(A)、(B)は、ヒット判定をキャンセルする手法について説明するための図である。
【図17】図17(A)、(B)は、属性パラメータを連動させて調整する手法について説明するための図である。
【図18】本実施形態の処理の詳細例について示すフローチャートである。
【図19】本実施形態の処理の詳細例について示すフローチャートである。
【図20】本実施形態の処理の詳細例について示すフローチャートである。
【図21】本実施形態を実現できるハードウェアの構成の一例を示す図である。
【図22】図22(A)、(B)、(C)は、本実施形態が適用される種々の形態のシステムの例を示す図である。
【符号の説明】
【0176】
CH1、CH2 キャラクタ
A1、A2、A3 第1、第2、第2の動作
B1、B2、B3 縦属性攻撃、横属性攻撃、移動動作
AR1、AR2 武器(刀)
HA1、HA2 ヒットエリア
VHA1、VHA2 疑似ヒットエリア
T 攻撃の有効期間
TN 動作不能期間
RG 角度範囲
100 処理部
110 動作制御部
112 移動処理部
114 モーション処理部
116 動作設定部
118 ヒットチェック部
120 画像生成部
130 音生成部
160 操作部
170 記憶部
172 主記憶部
174 描画バッファ
176 モーションデータ記憶部
180 情報記憶媒体
190 表示部
192 音出力部
194 携帯型情報記憶装置
196 通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像生成を行う画像生成システムであって、
複数のプレーヤの各プレーヤの操作入力に基づいて、複数のキャラクタの各キャラクタの動作を制御する動作制御手段と、
一方のキャラクタが第1の動作を行った時に他方のキャラクタが第2の動作を行った場合には、第1の動作を行った一方のキャラクタを他方のキャラクタに比べて有利に設定し、一方のキャラクタが第2の動作を行った時に他方のキャラクタが第3の動作を行った場合には、第2の動作を行った一方のキャラクタを他方のキャラクタに比べて有利に設定し、一方のキャラクタが第3の動作を行った時に他方のキャラクタが第1の動作を行った場合には、第3の動作を行った一方のキャラクタを他方のキャラクタに比べて有利に設定する動作設定手段と、
前記第1、第2、第3の動作の攻防に関する属性パラメータを変化させるパラメータ変化手段と、
キャラクタを含む複数のオブジェクトが配置されるオブジェクト空間において仮想カメラから見える画像を生成する画像生成手段と、
を含むことを特徴とする画像生成システム。
【請求項2】
請求項1において、
前記パラメータ変化手段は、
前記第1、第2、第3の動作の1つの動作の攻防に関する属性パラメータを変化させた場合に、他の動作の攻防に関する属性パラメータを変化させることを特徴とする画像生成システム。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記属性パラメータは、一方のキャラクタの前記第1、第2、第3の動作である攻撃動作のヒットエリアの大きさのパラメータであり、
前記パラメータ変化手段は、
前記第1、第2、第3の動作の1つの動作についてのヒットエリアの大きさを変化させた場合に、他の動作についてのヒットエリアの大きさを変化させることを特徴とする画像生成システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかにおいて、
前記属性パラメータは、一方のキャラクタの前記第1、第2、第3の動作である攻撃動作が有効となる攻撃有効期間のパラメータであり、
前記パラメータ変化手段は、
前記第1、第2、第3の動作の1つの動作についての攻撃有効期間の長さを変化させた場合に、他の動作についての攻撃有効期間の長さを変化させることを特徴とする画像生成システム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかにおいて、
前記属性パラメータは、一方のキャラクタの前記第1、第2、第3の動作である攻撃動作が他方のキャラクタにヒットした時に、他方のキャラクタの動作が不能になる動作不能期間のパラメータであり、
前記パラメータ変化手段は、
前記第1、第2、第3の動作の1つの動作についての動作不能期間の長さを変化させた場合に、他の動作についての動作不能期間の長さを変化させることを特徴とする画像生成システム。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかにおいて、
前記属性パラメータは、前記第1、第2、第3の動作である攻撃動作を行う一方のキャラクタの向きを他方のキャラクタの方向に向ける軸追従補正量のパラメータであり、
前記パラメータ変化手段は、
前記第1、第2、第3の動作の1つの動作についての軸追従補正量を変化させた場合に、他の動作についての軸追従補正量を変化させることを特徴とする画像生成システム。
【請求項7】
複数のプレーヤの各プレーヤの操作入力に基づいて、複数のキャラクタの各キャラクタの動作を制御する動作制御手段と、
一方のキャラクタが第1の動作を行った時に他方のキャラクタが第2の動作を行った場合には、第1の動作を行った一方のキャラクタを他方のキャラクタに比べて有利に設定し、一方のキャラクタが第2の動作を行った時に他方のキャラクタが第3の動作を行った場合には、第2の動作を行った一方のキャラクタを他方のキャラクタに比べて有利に設定し、一方のキャラクタが第3の動作を行った時に他方のキャラクタが第1の動作を行った場合には、第3の動作を行った一方のキャラクタを他方のキャラクタに比べて有利に設定する動作設定手段と、
前記第1、第2、第3の動作の攻防に関する属性パラメータを変化させるパラメータ変化手段と、
キャラクタを含む複数のオブジェクトが配置されるオブジェクト空間において仮想カメラから見える画像を生成する画像生成手段として、
コンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項8】
請求項7において、
前記パラメータ変化手段は、
前記第1、第2、第3の動作の1つの動作の攻防に関する属性パラメータを変化させた場合に、他の動作の攻防に関する属性パラメータを変化させることを特徴とするプログラム。
【請求項9】
請求項7又は8において、
前記属性パラメータは、一方のキャラクタの前記第1、第2、第3の動作である攻撃動作のヒットエリアの大きさのパラメータであり、
前記パラメータ変化手段は、
前記第1、第2、第3の動作の1つの動作についてのヒットエリアの大きさを変化させた場合に、他の動作についてのヒットエリアの大きさを変化させることを特徴とするプログラム。
【請求項10】
請求項7乃至9のいずれかにおいて、
前記属性パラメータは、一方のキャラクタの前記第1、第2、第3の動作である攻撃動作が有効となる攻撃有効期間のパラメータであり、
前記パラメータ変化手段は、
前記第1、第2、第3の動作の1つの動作についての攻撃有効期間の長さを変化させた場合に、他の動作についての攻撃有効期間の長さを変化させることを特徴とするプログラム。
【請求項11】
請求項7乃至10のいずれかにおいて、
前記属性パラメータは、一方のキャラクタの前記第1、第2、第3の動作である攻撃動作が他方のキャラクタにヒットした時に、他方のキャラクタの動作が不能になる動作不能期間のパラメータであり、
前記パラメータ変化手段は、
前記第1、第2、第3の動作の1つの動作についての動作不能期間の長さを変化させた場合に、他の動作についての動作不能期間の長さを変化させることを特徴とするプログラム。
【請求項12】
請求項7乃至11のいずれかにおいて、
前記属性パラメータは、前記第1、第2、第3の動作である攻撃動作を行う一方のキャラクタの向きを他方のキャラクタの方向に向ける軸追従補正量のパラメータであり、
前記パラメータ変化手段は、
前記第1、第2、第3の動作の1つの動作についての軸追従補正量を変化させた場合に、他の動作についての軸追従補正量を変化させることを特徴とするプログラム。
【請求項13】
コンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体であって、請求項7乃至12のいずれかのプログラムを記憶したことを特徴とする情報記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2006−51382(P2006−51382A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−298765(P2005−298765)
【出願日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【分割の表示】特願2001−253496(P2001−253496)の分割
【原出願日】平成13年8月23日(2001.8.23)
【出願人】(000134855)株式会社ナムコ (1,157)
【Fターム(参考)】