説明

画像監視システムおよびカメラ

【課題】ネットワーク網を構築できない場所でも運用でき、可搬性に優れた画像監視システムを提供する。
【解決手段】昼間や明るい場所を撮像する場合、カメラ10は近赤外線カットフィルタを装着して被写体を撮像し、カラー画像を出力する。一方、夜間や暗い場所を撮像する場合、カメラ10は近赤外線カットフィルタを取り外し、LED照明11はカメラ10のシャッタースピードに同期して近赤外線光を被写体に照射し、カメラ10は被写体に反射した近赤外線光を撮像し、モノクロ画像を出力する。カメラ10から出力された画像は、専用のケーブルを介して記録装置に入力される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラと記録装置を所望の場所に持ち運んで設置し、画像を撮像・記録する可搬型の画像監視システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像監視システムは、ホテルやビル、コンビニエンスストア金融機関、ダムまたは道路等といった様々な公共施設等において、犯罪抑止や事後検証、事故防止等の目的で設置されている。従来の一般的な画像監視システムでは、カメラ等で監視対象エリアを撮像し、撮像された画像を管理事務所や警備室等の監視センタに伝送し、監視者が、伝送されてくる画像により監視対象を監視し、目的や必要に応じて注意や警告をしたり、画像を記録・保存したりするものであった。近年は、監視カメラの画像をデジタル化し、インターネットに代表されるネットワークを介して、画像を伝送し監視を行うネットワーク型の画像監視形態が普及してきている。以下に従来のネットワーク型の画像監視システムを説明する。
【0003】
図10(A)は従来のネットワーク画像監視システムのブロック図である。100は撮像した画像をネットワークへ出力するIPカメラ、101はインターネット等のネットワーク、102はIPカメラ100が撮像した画像を記録する画像記録装置、103はカメラ100や記録装置102を制御したり画像を閲覧したりするPCである。
【0004】
IPカメラ100は被写体を撮像して、画像をネットワーク101に出力する。出力された画像は画像記録装置102やPC103に入力され、画像記録装置102では画像が記録され、PC103では画像を表示する。
【0005】
また、昼間や明るい場所の撮影時にはカラーカメラとしてカラー画像を撮像し、夜間や暗い場所の撮影時には近赤外線カメラとしてモノクロ画像を撮像するカメラを用いて、昼夜明暗を問わず監視画像を取得する画像監視システムも普及している。以下に、従来の昼夜明暗を問わない画像監視システムについて説明する。
【0006】
図10(B)は従来の昼夜明暗を問わない画像監視システムのブロック図である。104は近赤外線カットフィルタを着脱させてカラー画像とモノクロ画像を撮像するデイ/ナイトカメラ、105は近赤外線光を照射するLED照明、106はデイ/ナイトカメラが取得した画像に所定の画像処理を施す画像処理装置、107は画像処理後の画像をネットワークに適した信号に変換して出力するエンコーダ、108はインターネット等のネットワーク、109はデイ/ナイトカメラ104が撮像した画像を記録する画像記録装置、110はデイ/ナイトカメラ104や記録装置109を制御したり画像を閲覧したりするPCである。
【0007】
デイ/ナイトカメラ104は、カラーカメラとして使用する時には、赤外線をカットするために近赤外カットフィルタを用いて、入射光から赤外線をカットして可視光領域の入射光を撮像する。これは、撮像部には可視光領域と近赤外線領域に感度を持つものが多く、可視光と近赤外線光の双方を同時に撮像すると正常なカラー画像を取得できないためである。近赤外線カメラとして使用する場合には、近赤外線カットフィルタを取り外して、赤外線領域の入射光を撮像する。近赤外線カメラとしてカメラを使用する場合には、感度や照明の関係上、近赤外線光を照射するLED照明105を使用することがある。
【0008】
昼間や明るい場所を撮像する場合、デイ/ナイトカメラ104は近赤外線カットフィルタを装着して被写体を撮像し、カラー画像を出力する。一方、夜間や暗い場所を撮像する場合、デイ/ナイトカメラ104は近赤外線カットフィルタを取り外して、LED照明105はデイ/ナイトカメラ104のシャッタースピードに同期して発光し、デイ/ナイトカメラ104は被写体を撮像し、モノクロ画像を出力する。デイ/ナイトカメラ104から出力された画像は画像処理装置106で所定の画像処理が施され、エンコーダ107でネットワークに適した信号形式に変換されてネットワークに出力される。出力された画像は画像記録装置102やPC103に入力され、画像記録装置102では画像が記録され、PC103では画像が表示される。
【0009】
なお、カメラの画像を、ネットワークを介して送信し、記録装置に記録および表示装置に表示させるネットワーク画像監視システムが開示されている(特許文献1参照)。
【0010】
また、昼間や明るい場所の撮影時にはカラーカメラとしてカラー画像を撮像し、夜間や暗い場所の撮影時には近赤外線照射部を用いてモノクロで近赤外線カメラとしてモノクロ画像を撮像するカメラにおいて、近赤外線照明部の付近に白色光照明部を設置し、赤い発光を目立たなくする技術が開示されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2009−100208号公報
【特許文献2】特開2005−049719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記の様な画像監視システムの場合、ネットワーク網を構築し、都度夫々のIP機器にIPアドレスを振り当て、カメラと記録装置は固定された場所に設置することが通常であり、ネットワーク網を構築できない場所では運用出来ない問題がある。また、設置場所を度々変更して運用したい場合に、機器の撤去、搬送、設置に多大な負荷がかかる。
【0013】
本発明はこの様な問題を解決するためになされたもので、ネットワーク網を構築できない場所でも運用でき、可搬性に優れた画像監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の画像監視システムは、被写体を撮像して画像を出力する撮像部と、前記画像を暗号化する暗号化部と、前記撮像部および暗号化部を制御する制御部と、を備えるカメラと、前記カメラで取得した画像を記録する着脱可能な記録媒体と、前記記録媒体を制御する制御部と、を備える記録装置と、から構成され、前記カメラと前記記録装置とはケーブルで接続されることを特徴とする。
【0015】
また、上記画像監視システムは、前記カメラでは、取得した画像は前記暗号化部において秘密鍵を用いて暗号化され、前記記録装置では、前記暗号化された画像を複数纏めて1のファイルとして前記記録媒体として記録することを特徴とする
【0016】
また、本発明のカメラは、被写体を撮像して画像を出力する撮像部と、赤外線カットフィルタを着脱するフィルタ部と、複数の発光体を備え、近赤外線光を照射する照明部と、前記撮像部、前記フィルタ部および前記照明部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、明るい時には、前記赤外線カットフィルタを抜去して画像を取得する様に制御し、暗い時には、赤外線カットフィルタを挿入し、前記撮像部のシャッタータイミングに合わせて前記照明部を発光させる様に制御することを特徴とする。
【0017】
また、上記カメラは、前記制御部は、前記カメラと前記被写体との距離に応じて、前記照明部の前記複数の発光体の発光量または指向性を制御することを特徴とする。
【0018】
また、上記カメラは、前記照明部から照射される光の波長は約875nmであることを特徴とすることを特徴とする。
【0019】
また、上記カメラは、前記照明部には可視光カットフィルタが装着されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
したがって、本発明によれば、ネットワーク網を構築できない場所でも運用でき、可搬性に優れた画像監視システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施例である監視システムのブロック図である。
【図2】本発明の一実施例である監視システムのカメラの内部ブロック図である。
【図3】本発明の一実施例である監視システムの記録装置の内部ブロック図である。
【図4】本発明の一実施例である監視システムの画像暗号化の様子を示す模式図である。
【図5】本発明の一実施例である監視システムの画像閲覧画面である。
【図6】本発明の一実施例である監視システムの動体検知設定画面である。
【図7】本発明の一実施例である監視システムのカメラの斜視図である。
【図8】本発明の一実施例である監視システムのカメラの断面図である。
【図9】本発明の一実施例である監視システムの記録装置の斜視図である。
【図10】従来の監視システムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1は本発明の一実施例である監視システムのブロック図である。
【0023】
図1において、10は昼間や明るい場所で使用する場合には可視光を撮像してカラー画像を出力し、また、夜間や暗い場所で使用する場合には近赤外線光を撮像してモノクロ画像を出力するカメラ、11は夜間や暗い場所で使用する場合に近赤外線光を被写体に向けて照射するLED照明、20はカメラ10で撮像した画像を記録する画像記録装置、24はHDD(Hard disk drive)やSSD(Solid State Drive)等の着脱可能な大容量の記録部である。ここでカメラ10は、有効画素数の多い撮像部を使用したメガピクセルカメラであることが望ましい。なお、カメラ10は路上等に設置された柱・標識や民家のベランダ等に画角を調整して取り付けられ、記録装置20はケーブルの届く範囲に設置される。なお、ここでは照明をLEDとして説明するが、近赤外線光を照射することができれば他の光源でも良い。
【0024】
昼間や明るい場所を撮像する場合、カメラ10は近赤外線カットフィルタを装着して被写体を撮像し、カラー画像を出力する。一方、夜間や暗い場所を撮像する場合、カメラ10は近赤外線カットフィルタを取り外し、LED照明11はカメラ10のシャッタースピードに同期して近赤外線光を被写体に照射し、カメラ10は被写体に反射した近赤外線光を撮像し、モノクロ画像を出力する。カメラ10から出力された画像は、専用のケーブルを介して記録装置に入力される。ここで、専用のケーブルや通信形式、信号形式はどの様なものが用いられても良く、TCP/IPが用いられても、独自のプロトコルが用いられても良い。画像記録装置20は画像を受信し、記録部24に記録する。
【0025】
以上の様に、画像監視システムをカメラと画像記録装置のみで構成し、それぞれを直接専用ケーブルで接続することでシステムを最小限にできるため、ネットワーク網を構築できない場所でも運用でき、可搬性に優れた画像監視システムを提供できる。
【0026】
また、図1において、30および50はPC、31および51は専用のビューアソフト、40はネットワークである。本システムでは、記録部24を取り外し、専用のビューアソフト31がインストールされたPC30と接続することで、記録された画像を閲覧することができる。
また、専用ケーブルを分配し、ネットワーク40に接続することで、通常のネットワーク型の監視システムと同様に専用のビューアソフト51がインストールされたPC50でネットワークを介し
て記録装置20に記録された画像を閲覧することができる。
【0027】
図2は本発明の一実施例である監視システムのカメラの内部ブロック図である。
11は上述したLED照明、12はカメラ10の各部を制御する制御部、13はレンズ、14は近赤外線カットフィルタの着脱または近赤外線カットフィルタと可視光カットフィルタを切り替えるフィルタ部、15はレンズ13およびフィルタ部を通過した被写体からの光を受光して画像を出力する撮像部、16は撮像部15から出力された画像を所定の圧縮形式で圧縮する画像圧縮部、17は圧縮された画像を所定の方式で暗号化する暗号化部、18は外部と信号をやり取りするネットワークI/Fである。なお、近赤外線カットフィルタの切り替え機構は、レンズ内に設けられていても良いし、レンズとは別に撮像部の前に設けられても良い。
【0028】
昼間や明るい場所を撮像する場合、制御部12の制御によりフィルタ部14では近赤外線カットフィルタが挿入され、レンズ13を介して被写体からの光が入射し、フィルタ部14で近赤外線光がカットされて撮像部15に可視光のみが入射し、カラー画像を出力する。
【0029】
一方、夜間や暗い場所を撮像する場合、制御部12の制御によりフィルタ部14では近赤外線カットフィルタが取り外され、または、近赤外線カットフィルタと可視光カットフィルタが切り替わり、撮像部15のシャッタースピードに合わせてLED照明11は近赤外線光を被写体に照射する。レンズ13を介して被写体からの光が入射し、フィルタ部14では入射光がそのまま通過して、または、可視光カットフィルタで可視光がカットされて撮像部15に入射し、モノクロ画像を出力する。
【0030】
撮像部15から出力された画像は画像圧縮部16に入力され、JPEG(Joint Photographic Experts Group)等の圧縮方式で画像圧縮される。このとき、圧縮方式としては、画像の証拠性を重視するならば、PNG(Portable Network Graphics)やGIF(Graphics Interchange Format)等の、圧縮前のデータと圧縮・展開の処理を経たデータが完全に等しくなる可逆圧縮方式を用いることが望ましい。
【0031】
圧縮された画像は暗号化部17に入力され、所定の方式で暗号化される。暗号化された画像はネットワークI/Fで専用ケーブルに適した形式の信号に変換され、出力される。
【0032】
ここで、一般的に可視光と呼ばれる光の波長域は、JIS−Z8120の定義によれば、おおよそ360nm〜830nmであり、620nmより長い波長の可視光は人間の目に赤く見える。また、近赤外線と呼ばれる光の波長域はおおよそ700〜2500nmであり、可視光と近い性質を持っている。LED等の照明においては、近赤外線領域である例えば850nmにピーク値を持つ波長の光を照射すると、プラスマイナス100nm程度の波長の光も照射されるため、少なからず可視光も同時に照射されてしまうことになる。すなわち、例えば違反車等に気付かれない様に照射して隠し撮りしたいのに、赤色の光が見えてしまう場合があり、気付かれて証拠画像を撮像できない等の問題がある。かといって900nmや950nmにピーク値を持つ波長の光を照射すると、一般的にCCDの最も良い感度は700nm程であり、これ以降は波長が長くなるほど感度が悪くなってしまうため、赤色光低減と感度とのバランスが取れた波長の光を使用する必要がある。
【0033】
このため、夜間や暗い場所で使用する場合に、LED照明11の赤色光を低減し、良好なモノクロ画像を得るために、(イ)LED照明11の照射する光の波長を長くする方法と、(ロ)可視光カットフィルタを挿入して可視光を除去する方法の2通りの方法が考えられる。
【0034】
(イ)従来、例えば850nmにピーク値を持つ近赤外線LED照明の照射する近赤外線光を、例えば875nmにピーク値を持つ近赤外線LED照明に変更することで、含まれる可視光の量は1/4程度に減少し、赤色光はほとんど視認できなくなり、875nmが赤色光低減と感度とのバランスが取れた波長の光であるといえる。
【0035】
(ロ)LED照明11の照射する近赤外線光の波長はそのままに、LED照明11または後述するLED照明窓82に可視光カットフィルタを装着する。例えば、830nm以下の波長の可視光を除去する可視光カットフィルタを設け、850nmにピーク値を持つ照明光を照射すると、830nmより波長の長い近赤外線光のみが被写体に向けて照射されることになる。これにより、LED照明11から照射される光が可視光カットフィルタを通過する際に可視光が除去され、近赤外線光のみが被写体に照射され、赤色光はほとんど視認できなくなる。
【0036】
以上に説明した様に、(イ)または(ロ)の方法で近赤外線光を照射することで、被写体から視認できる赤色光を低減し、被写体に気付かれにくくなるため、証拠画像として良好なモノクロ画像を取得できる可能性が高くなる。
【0037】
また、LED照明11は複数のLEDが配置されて一斉にまたは順番に発光する様に制御される。このとき、カメラ10と撮像したい範囲および被写体との距離に応じて発光量を調節することが望ましい。例えば、LED照明11には全部で77個のLEDが取り付けられているとして、以下の表に示す様に距離に応じて3つのモードL,M,Hが設定される。モードLでは、カメラ10からの距離10〜15mを照らすために35個のLEDを発光させる。モードMでは、カメラ10からの距離15〜20mを照らすために49個のLEDを発光させる。モードHでは、カメラ10からの距離20〜25mを照らすために77個のLEDを発光させる。この様にカメラと撮像したい範囲や被写体との距離に応じてモードを切り替えることで、より自由度の高いシステムの設置・運用が可能となる。
【0038】
【表1】

【0039】
または、LED照明11に印加する電力の大きさを制御することによっても発光量を調整することができる。遠くを撮像したい場合は電力を高く、近くを撮像したい場合は電力を低くすればよい。
または、LED照明11の照射範囲を集束/拡散させることで照射距離を調整することも可能である。この場合、集束/拡散を調整するためには種々の方法が考えられ、一例として、LEDの周囲に反射板を設けてLEDの位置を前後させる機構とすることで調整できる。
【0040】
なお、以上に示したモードはあくまで一例であり、モードの数はいくつに設定しても良く、対応距離と対応LEDの個数も任意に設定できる。また、照射範囲についても任意に設定することができる。
【0041】
図3は本発明の一実施例である監視システムの記録装置の内部ブロック図である。21は外部と信号をやり取りするネットワークI/F、22は画像記録装置20の各部を制御する制御部、23は画像記録装置20の状態をその発光状態で表示するLED発光部、24は上述した記録部、25は記録部24に記録された画像を閲覧するための着脱可能なモニタ、26は入力されたAC電源をDC電源に変換して画像記録装置20の各部へ供給する電源部、27は電源部26への電源供給が遮断された際に電源部26に代わって画像記録装置20の各部または特定の部位に電源を供給する無停電電源部である。
【0042】
ネットワークI/F21は、専用ケーブルを介してカメラ10から送信された画像を受信し、信号形式を変換して記録部24へ画像を出力する。記録部24では、制御部22の制御により、受信した画像を複数枚ごとにランダムに合成して記録する。この記録方法については後に詳述する。記録された画像を閲覧する場合は、制御部22にモニタ25を接続し、専用のビューアソフトを用いて合成された画像を分解して閲覧する。また、制御部22は画像記録装置20の各部の状態を監視し、その状態に応じてLED発光部23を制御し、LED発光部23は状態に応じて発光する。例えば、ここでは電源のオン/オフ状態や残量、記録部24の残り記録容量に応じて色の変化や点灯・点滅・消灯で表示する。また、電源部26は、外部から供給されたAC電源をDC電源に変換し、記録装置10内の各部に供給するとともに、専用ケーブルを介してカメラ10に供給する様にしても良い。この場合にはカメラ10には別途外部電源入力部を設ける必要はないが、カメラ10に外部電源入力部を設けて記録装置20からの電源供給なしで運用されても良い。なお、電源部26は蓄電池や太陽光発電器等であっても良い。また、無停電電源部27は、電源26の故障や外部からの電源供給が遮断された場合に、記録装置20内に電源を供給するために設けられ、各部に供給される様にしても良いが、最低限維持が必要な構成のみに供給する様にしても良い。無停電電源部27により、各機器の故障や記録画像の損失を防ぐことができる。
【0043】
図4は、本発明の一実施例である監視システムの画像暗号化の様子を示す模式図である。
【0044】
カメラ10により取得された画像は、カメラ10内の暗号化部17にて8bitの秘密鍵を事前に設定して暗号化される。暗号化された画像は記録装置20内で複数枚ごとにランダムに合成されて、画像Aとして記録部24に記録される。本実施例では、例えば9枚ずつ順番をバラバラにして合成される。そして、専用のビューアソフトがインストールされたPCで閲覧する際に、合成された画像Aは元の9枚の画像に分離され、さらに8bitの公開鍵を入力し、復号化され画像が表示される。これにより、専用のビューアソフトがインストールされていないPC等で画像を閲覧しようとしても画像を表示することができず、高い秘匿性を実現することができる。
【0045】
図5は本発明の一実施例である監視システムの画像閲覧画面である。ここでは(A)(B)2通りの画面を例示するが、基本的な機能は変わらない。図5において、60は閲覧画面、61は画像を表示する画像表示部、62は日付や時刻を指定して所望の画像を検索するための検索操作部、63は選択された画像が表示される選択画像表示部、64は検索操作部62で入力された条件に従って検索された結果の画像がサムネイル表示される検索結果表示部、65は再生、一時停止、早送り、巻き戻し、スキップ等の操作を行う再生指示ボタン、66は画像の拡大、縮小を操作するズーム倍率変更ボタン、67は動体検知結果を表示する検知ボタン、68は画像をスナップショットとして保存するためのスナップショットボタン、69は画像を取得した時間を調整することで画像表示部61に表示される画像を切り換える時間送りボタンである。
【0046】
(A)において、検索操作部62にはカレンダーと時間軸が表示されており、記録画像がある日には背景が着色されている。この日付を選択すると、時間軸に記録画像がある時間が表示され、また、検索結果表示部64には時系列でその日の記録画像がサムネイル表示される。検索結果表示部64の所望の画像を選択すると、選択画像表示部に対応する画像が表示される。画像表示部61には選択された記録画像が映像として再生される。再生映像は再生指示ボタン65により再生、一時停止、早送り、巻き戻し、スキップ等の操作が可能で、ズーム倍率変更ボタン66でポインティングした所望の位置をズームアップ、ズームアウトすることができる。また、再生映像は、検知ボタン67により、再生映像中に動体がある場合に枠で囲う等して動体を示し、スナップショットボタン68により、所望のタイミングの映像をスナップショットとしてキャプチャして記録することができる。
【0047】
(B)において、検索操作部62にはカレンダーが表示されており、記録画像がある日には背景が着色されている。この日付を選択すると、画像表示部61にはその日の記録画像が表示され、再生指示ボタン65により映像として再生、一時停止、早送り、巻き戻し、スキップ等の操作が可能である。また、時間送りボタン69により、左右の矢印をクリックまたは中央の選択時間を表す部分をドラッグ・アンド・スクロールすることで、操作された時間の記録画像が画像表示部61に表示される。また、スナップショットボタン68により、所望のタイミングの映像をスナップショットとしてキャプチャして記録することができる。その他に、再生したい日時の始点と終点を指定して再生させることも可能である。
【0048】
なお、(A)においても(B)においても、画像表示部61には操作により現在取得しているライブ映像を表示しても良い。
【0049】
図6は本発明の一実施例である監視システムの動体検知設定画面である。図6において70は動体検知設定画面、71は画像表示部、72は動体検知のオン/オフを切り替える検知ON/OFF設定部、73は動体検知するエリアを設定する検知エリア設定部、74は検知エリア設定部73で設定したエリアごとに検知感度を設定する検知感度設定部、75は動体検知結果の表示方法を設定する検知表示設定部である。
【0050】
検知ON/OFF設定部72では、動体検知するか否かを“ON”“OFF”をプルダウンで選択し、設定ボタンを押下することで条件を適用する。検知エリア設定部73では、画像のエリアを所望の範囲に設定し、エリアごとに検出の有効/無効を設定する。さらに画像表示部71に設定したエリアとエリアごとの検出有効/無効を表示する。本実施例ではエリアを7つに分割設定しているが、エリアはいくつに設定されても良く、その大きさも様々に変更できる。検知感度設定部74では、検知エリア設定部73で設定した動体検知エリアの検知感度を設定する。検知表示設定部75では、検知エリアの画像への重畳表示方法と表示持続時間をプルダウンで選択し、設定ボタンを押下することで条件を適用する。
【0051】
なお、記録方法としては、常時記録し続ける連続記録としても良いし、動体検知に連動した記録としても良いし、通常時には低いフレームレートで記録し、動体検知時には高い記録レートで記録する様にしても良い。
【0052】
図7は本発明の一実施例である監視システムのカメラの斜視図である。なお、(A)はカメラ部(レンズと撮像部)とLED照明を水平に配置した際のカメラで、(B)はカメラとLED照明を垂直に配置した際のカメラである。図7において、81はカメラ10内部のレンズ13に光を取り込むためのカメラ窓、82はカメラ10内部のLED照明11から発せられる光を透過するためのLED照明窓82、83はカメラ10を持ち運ぶために掴む取っ手部である。
【0053】
カメラ10には、上面から側面にかけて日除けカバーが設けられており、不要な光(太陽からの直接の光や街灯などの照明光)がカメラ窓81に入射しない様になっている。また、カメラ10の左右の側面および底面には放熱フィンが設けられており、内部で発生した熱を効率よく放熱することができる。また、カメラ10の天井面には取っ手部83が設けられており、持ち運ぶのに便利である。
【0054】
なお、カメラ窓81およびLED照明窓82には結露防止のためにヒータガラスが用いられても良く、LED照明窓82には可視光カットフィルタが装着されても良い。
【0055】
図8は本発明の一実施例である監視システムのカメラの水平断面図である。図8において、84は背面の扉を開くための取っ手部、85はカメラ10外部と信号や電力をやり取りするためのケーブルを接続するコネクタ部、86はLEDが設けられた基板の熱を放熱する放熱フィン、87は放熱フィン86に向かって風を送るファンである。
【0056】
カメラ10は密閉構造となっているため、内部に熱が籠り易い。そのため、特に発熱が大きいLEDが設けられた基板の裏側に放熱フィン86を取り付け、さらにファン87によって放熱フィン86に向かって風を吹き付けることで放熱効果を高めている。吹き付けられた風は放熱フィン86に当たって熱を吸収し、カメラ10内部の上下方向へ向かって流れ、さらに後方へと流れ、再びファンに吸収されて排出されることで循環する。このとき、熱を持った風はカメラ10の内側の壁面に熱を伝達しながら循環することで風が冷却され、カメラ10の壁面に伝わった熱は外気へと放熱される。さらにこのとき、カメラ10の外側の壁面に放熱フィンが設けられていることで、効率の良い放熱が可能となる。
【0057】
なお、このカメラ10の内部構成は図7の(A)(B)の双方に対応する。
【0058】
図9は本発明の一実施例である監視システムの記録装置の斜視図である。図9において91は記録装置筺体、92は記録装置の筺体を開閉するための扉部、93は記録装置20を持ち運ぶために掴む取っ手部、94はLED発光部23を覗き込めるLED表示窓、95は扉部92を閉じたときに他人に開かれないようにするための錠部、96は記録装置20を立て置きする場合に記録装置20を支える脚部、97は記録装置20外部と信号や電力をやり取りするためのケーブルを接続するコネクタ部、98は記録装置20を寝かせておく場合に記録装置20を支える脚部である。
【0059】
記録装置筺体91と扉部92とは互いに一辺で蝶番等を用いて接続され、接続した辺を軸にして回動させることで扉部92を閉じ、密閉される。さらに錠部95で鍵を閉めることで他者に記録装置20を開けられることはなくなる。また、記録装置20の天井面には取っ手部93が設けられており、持ち運ぶのに便利である。
【0060】
なお、カメラ10および記録装置20の筺体は、例えばアルミニウム、ステンレス、銅材、プラスチック等で形成される。
【0061】
上述してきた監視システムの説明では、カメラと画像記録装置を想定した場合の効果を一部説明したが、赤外線カットフィルタを切り替えるデイ・ナイトカメラの他にも通常のカメラ等に用いることももちろん可能であり、その構成及び動作とその内容についても本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々に変形して実施できる。
【0062】
要するに本発明は、上記各実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、各実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0063】
10:カメラ、11:LED照明、12:制御部、13:レンズ、14:フィルタ部、15:撮像部、16:画像圧縮部、17:暗号化部、18:ネットワークI/F、20:記録装置、21:ネットワークI/F、22:制御部、23:LED発光部、24:記録部、25:モニタ、26:電源、27:無停電電源部、30:PC、31:ビューアソフト、40:ネットワーク、50:PC、51:ビューアソフト、60:閲覧画面、61:画像表示部、62:検索操作部、63:選択画像表示部、64:検索結果表示部、65:再生指示ボタン、66:ズーム倍率変更ボタン、67:検知ボタン、68:スナップショットボタン、69:時間送りボタン、70:動体検知設定画面、71:画像表示部、72:検知ON/OFF設定部、73:検知エリア設定部、74:検知感度設定部、75:検知表示設定部、81:カメラ窓、82:LED照明窓、83:取っ手部、84:取っ手部、85:コネクタ部、86:放熱フィン、87:ファン、91:記録装置筺体、92:扉部、93:取っ手部、94:LED表示窓、95:錠部、96:脚部、97:コネクタ部、98:脚部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像して画像を出力する撮像部と、前記画像を暗号化する暗号化部と、前記撮像部および暗号化部を制御する制御部と、を備えるカメラと、
前記カメラで取得した画像を記録する着脱可能な記録媒体と、前記記録媒体を制御する制御部と、を備える記録装置と、から構成され、
前記カメラと前記記録装置とはケーブルで接続されることを特徴とする画像監視システム。
【請求項2】
請求項1に記載の画像監視システムにおいて、
前記カメラでは、取得した画像は前記暗号化部において秘密鍵を用いて暗号化され、
前記記録装置では、前記暗号化された画像を複数纏めて1のファイルとして前記記録媒体として記録することを特徴とする画像監視システム。
【請求項3】
被写体を撮像して画像を出力する撮像部と、
赤外線カットフィルタを着脱するフィルタ部と、
複数の発光体を備え、近赤外線光を照射する照明部と、
前記撮像部、前記フィルタ部および前記照明部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、明るい時には、前記赤外線カットフィルタを抜去して画像を取得する様に制御し、
暗い時には、赤外線カットフィルタを挿入し、前記撮像部のシャッタータイミングに合わせて前記照明部を発光させる様に制御することを特徴とするカメラ。
【請求項4】
請求項3に記載のカメラにおいて、
前記制御部は、前記カメラと前記被写体との距離に応じて、前記照明部の前記複数の発光体の発光量または指向性を制御することを特徴とするカメラ。
【請求項5】
請求項3に記載のカメラにおいて、
前記照明部から照射される光の波長は約875nmであることを特徴とするカメラ
【請求項6】
請求項3に記載のカメラにおいて、
前記照明部には可視光カットフィルタが装着されていることを特徴とするカメラ


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−65312(P2012−65312A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−179447(P2011−179447)
【出願日】平成23年8月19日(2011.8.19)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】