説明

画像管理システム、画像管理方法、プログラム及び記憶媒体

【課題】会議で使用した板書などを撮影した画像を撮影装置から直接に共有サーバへ短時間で確実にアップロードできる画像管理システム、画像管理方法、プログラム、記憶媒体を提供する。
【解決手段】画像評価装置と、前記画像評価装置に撮影画像と撮影時の情報を送信する撮影装置とを有する画像管理システムであって、前記撮影装置が、撮影画像などのデータの送受信を行う無線通信装置と、前記撮影装置で画像を撮影した際の絶対位置を取得する絶対位置取得装置とを有し、前記画像評価装置が、前記撮影装置から送信された画像を受信する画像受信部と、前記受信された画像に対して撮影位置情報と撮影時刻情報に基づいてアクセス権限を設定するアクセス権限設定部と、ユーザ情報を保有するとともに、グループ情報を保有するユーザ管理部と、アクセス権限を関連付けて管理された画像を保管する画像蓄積部とを有する構成となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、会議で使用した板書などを画像に撮影して保存・回覧したりするための画像管理システム、画像管理方法、プログラム、記憶媒体に関し、特に会議で使用した板書などを撮影した画像を撮影装置から直接に共有サーバへ短時間で確実にアップロードできる画像管理システム、画像管理方法、プログラム、記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、デジタルカメラやデジタルビデオカメラの普及により、会議で使用した板書などを画像に撮影して保存・回覧したり、会議自体を映像として保存したりすることがしばしば行われている。そして、それらの画像・映像を共有サーバへアップロードし、メンバーのみがアクセス可能であるように、ファイルもしくはフォルダにアクセス制限をかけて運用することが行われている。
なお、従来技術としては、特許文献1として、電子カメラが撮影した画像データに識別情報を付けて、インターネット上の画像サーバにアップロードするとともに、電子カメラが撮影時に撮影画面中の被写体となる人物の所持する携帯電話等の電子機器と交信を行い、画像データをアップロードした画像サーバのアクセス情報と画像データの識別情報を電子機器側に伝え、受信したアクセス情報と識別情報に基づき、電子機器は個別に画像サーバから画像データをダウンロードして利用する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2003−179840公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ここで、撮影者が画像を共有サーバへアップロードするのを忘れることを防ぐためには、会議中もしくは会議終了直後に画像を共有サーバへアップすることが最適である。
しかしながら、一般には、共有サーバへ画像をアップロードする作業はPCから行われており、そのような場合、カメラからPCへ画像を転送し、そしてアクセス制御を保有しているフォルダにファイルを移動するなどの作業を行わなければならず、大変手間がかかり、会議中に行うと会議の進行の妨げになったり、撮影者が会議の議論に参加できなくなったりするなどの問題があった。
本発明は、上記従来の問題点を鑑みてなされたものであり、その目的は、会議で使用した板書などを撮影した画像を撮影装置から直接に共有サーバへ短時間で確実にアップロードできる画像管理システム、画像管理方法、プログラム、記憶媒体を提供することである。
本発明の他の目的は、アップロードされた画像に対して、適当なアクセス制限を自動的に付加することにより、ユーザが気軽に画像を共有サーバへアップロードできる画像管理システム、画像管理方法、プログラム、記憶媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上述の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、画像評価装置と、前記画像評価装置に撮影画像と撮影時の情報を送信する撮影装置とを有する画像管理システムであって、前記撮影装置が、撮影画像などのデータの送受信を行う無線通信装置と、前記撮影装置で画像を撮影した際の絶対位置を取得する絶対位置取得装置とを有し、前記画像評価装置が、前記撮影装置から送信された画像を受信する画像受信部と、前記受信された画像に対して撮影位置情報と撮影時刻情報に基づいてアクセス権限を設定するアクセス権限設定部と、ユーザ情報を保有するとともに、グループ情報を保有するユーザ管理部と、アクセス権限を関連付けて管理された画像を保管する画像蓄積部とを有することを特徴とする。
また請求項2記載の発明は、前記アクセス制限設定部が、前記撮影装置で画像を撮影した人の位置情報に基づきアクセス制限を設定することを特徴とする。
また請求項3記載の発明は、前記画像評価装置が、さらに、前記アクセス制限設定部により得られたアクセス可能なユーザに対して、ファイルまたはファイルへのリンクを送信するリンク情報送信部を有することを特徴とする。
【0005】
また請求項4記載の発明は、画像評価装置と、前記画像評価装置に撮影画像と撮影時の情報を送信する撮影装置とを有する画像管理システムにおける画像管理方法であって、前記画像評価装置の画像受信部により、前記撮影装置から送信された画像が受信されるステップと、前記画像評価装置のアクセス権限設定部により、前記受信された画像に対して撮影位置情報と撮影時刻情報に基づいてアクセス権限が設定されるステップとを有することを特徴とする。
また請求項5記載の発明は、前記アクセス制限を設定するステップが、前記撮影装置で画像を撮影した人の位置情報に基づきアクセス制限を設定することを特徴とする。
また請求項6記載の発明は、画像管理方法が、前記アクセス制限設定部により得られたアクセス可能なユーザに対して、ファイルまたはファイルへのリンクを送信するステップを有することを特徴とする。
また請求項7記載の発明は、コンピュータに請求項4に記載の画像管理方法を実行させるためのプログラムを特徴とする。
また請求項8記載の発明は、請求項7に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、会議で使用した板書などを撮影した画像を撮影装置から直接に共有サーバへ短時間で確実にアップロードできると共に、画像をサーバにアップロードしただけで、アクセス制限が付与されるようになる。そのため、ユーザは気軽に画像をアップロードすることができる。
また、本発明によれば、画像が撮影された場所や時間により、その画像にアクセスできるべき人物を推定することができる。
また、本発明によれば、画像が撮影されたときに、その場にいた人を獲得することができる。
また、本発明によれば、サーバに蓄積されたファイルが膨大に存在する場合でも、ユーザが簡単にファイルを利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に添付の図を参照してこの発明の実施形態を詳細に説明する。
図1は、本発明による画像管理システムを示す図であり、(a)は画像管理システムの第一実施形態の概略構成ブロック図であり、(b)はサーバ1の一構成を示す図である。
図1(a)に示すように、この画像管理システムは、画像評価装置としてのサーバ1と、サーバ1に撮影画像と撮影時の情報を送信するデジタルカメラ3からなり、デジタルカメラ3は、内蔵された無線LAN5と絶対位置取得装置7を有している。それにより、無線LAN5を用いて撮影画像などのデータの送受信を行うことが可能であり、絶対位置取得装置7により、デジタルカメラ3で画像を撮影した際の絶対位置を取得することができる。ここで、絶対位置は、画像を撮影したデジタルカメラ3の絶対位置あるいはデジタルカメラ3によって画像を撮影した人の絶対位置となる。すなわち、画像が撮影された場所や時間により、その画像にアクセスできるべき人物を推定することができ、画像が撮影されたときに、その場にいた人を獲得することができる。
ここで、絶対位置取得装置7の例としては、GPS装置が挙げられ、より高精度の絶対位置を取得する必要がある場合は、高精度の装置を用いる。この場合、高精度の装置で利用するサーバ(サーバ1とは異なる)で取得した位置をデジタルカメラ3側に送信する必要がある。また、絶対位置取得装置7は、デジタルカメラ3に内蔵しても良いし、別途接続するようにしても良い。
【0008】
サーバ1側は、画像受信部9、アクセス権限設定部11、ユーザ管理部13、画像蓄積部15等を有しており、画像受信部9は、デジタルカメラ3から送信された画像を受信する。本実施形態ではデジタルカメラ3から画像情報を受信する場合に関して述べているが、PCや、PDAからの画像を受信するようにすることもできる。なお、サーバ1は、図1(b)に示すように、CPU16、メモリ17、ハードディスクHD18を有しており、サーバ1における画像受信部9、アクセス権限設定部11、ユーザ管理部13、画像蓄積部15による画像管理処理動作は、サーバ1側のハードディスクHD18に記憶されたプログラムによってCPU16によって実行される。なお、ハードディスクHD18に記憶されたプログラムは、記憶媒体からインストールするようにすることもできる。
アクセス権限設定部11は、画像に対して撮影位置情報と撮影時刻情報に基づいてアクセス権限を設定する。ユーザ管理部13は、ユーザ情報(ユーザIDとユーザ名とメールアドレスの組)を保有するとともに、グループ情報(グループ名とグループを構成するユーザのID)を保有している。画像蓄積部15は、アクセス権限を関連付けて管理された画像を保管する。
【0009】
次に、図2のフローチャートを用いて、図1に示す画像管理システムの動作を説明する。図2は、図1に示す画像管理システムの動作フローチャートである。
まず、図2のステップ101において、デジタルカメラ3より送信された画像Aを画像受信部9が受信する。本実施形態では、デジタルカメラ3で撮影された画像および撮影時刻情報および撮影位置情報は、exifファイル(exchangeable Image File Format)に代表される撮影画像情報と撮影時の撮影条件を一つのファイル(以後画像ファイルと呼ぶ)として管理されている。すなわち、画像Aは、撮影時刻情報および撮影位置情報を含む。
そして、画像受信部9によって受信された画像Aは、アクセス権限設定部11に送信され、アクセス権限設定部11では、図3に示すようなアクセスマップ情報を保持する。図3は、アクセス権限設定部11で保持されるアクセスマップ情報の一部を示す説明図である。アクセスマップ情報は、エリアに対して、エリアID、エリア名、空間情報、利用者情報が関連付けたもので構成されている。図3ではそのうちの2つのエリアのみを含んだアクセスマップ情報を記述している。
【0010】
図3に示すアクセスマップ情報を、上側のデータ(エリアA)を基に説明する。エリアAには、エリアID0000001というIDが割り振られ、“○×社第一会議室”というエリア名が設定されている。エリア名は、人間がアクセスマップ情報を利用する際に容易なように設定されている。ここで、エリアは空間情報とも関連付けられている。空間情報とは、エリアと対応する3次元空間を記述したもので、エリアが占める領域を表現している。空間情報は、主に、ある座標が与えられた時に、ある座標がどのエリアに属するか判定するために利用される。
本実施形態では、空間情報は、床面と天井面の高さ(単位mm)により記述されている。具体的には、図3における上側(エリアA)では床面が(0,0,0)、(10000,0,0)、(10000,10000,0)、(0,10000,0)と設定されている。これは○×社第一会議室の床面上の、4角の三次元座標を表しており、この4頂点を結んだ多角形の境界および内部が、○×社第一会議室の床面であることを示している。また、天井高さは3000である。
【0011】
ここで、エリアAの空間情報を用いて、ある座標がエリアAの領域内に属するか否か判定する方法を述べる。例えば、座標B(5000,5000,1000)が与えられたとしよう。まず、床面のx,y座標に注目する。床面のx,y座標は、0≦x≦10000,0≦y≦10000とも表現できる。よって座標Bのx,y座標はエリアAに含まれる可能性がある。
次に、座標BとエリアAに関連する空間情報のz座標を比較する。エリアAの高さは0≦z≦3000、また座標BのZ=1000であるので、Z座標もエリアAに含まれる。よって座標BはエリアAの内部に属すると判定できる。また、同様の計算を行うと、座標C(−1000,4000,1000)はエリアAに属していないと判定することができる。なお、空間情報の表現方法は、ポリゴンモデルで記述する方法も考えられる。ポリゴンモデルで記述した場合、より複雑なエリアの設定を行うことができる。
【0012】
最後にエリアと関連付けられている利用者情報について説明する。利用者情報とは、エリアを利用する権利を持つユーザもしくはグループに関する情報である。図3に記載の“07/02/01/13/00/00部署A”は、2007年2月1日13時0分0秒から部署AがエリアAと対応する空間、すなわち○×社第一会議室を使用開始することを表している。また、“07/02/01/17/00/00―”は、2007年2月1日17時0分0秒から、開始する人間もしくはグループが存在しないことを表している。つまり2007年2月1日13時〜17時まで部署Aが○×社第一会議室を使用しており、17時以降は誰も使用していないことを表している。
なお、図3では利用者情報が3つの時刻に関してしか表現されていないが、実際には、過去の分から未来の分まで多くの利用者情報が保存されていることに注意する。
これら図3のデータは理解しづらいので、グラフィカルなマップと時間軸を用いて表現すると、図4に記載されているようなマップ情報を表現しているものとほぼ同等になる。図4は、グラフィカルなマップと時間軸を用いて表現したアクセスマップ情報の一部を示す説明図である。
【0013】
次に、実際にアクセスマップ情報を使って、画像0010にアクセス情報を設定する方法を説明する。まず、画像0010から撮影位置情報0011(x0,y0,z0)、撮影時刻情報0012(y1/m1/d1/h1/m’1/s1)を読み取る。そしてアクセスマップ情報と比較することにより、アクセス権限を設定する。
入力情報が撮影位置情報0011と撮影時刻情報0012であった場合を考える。まず、ユーザ管理部13により、アクセスマップ情報を利用して、撮影位置情報0011から対応するエリアのエリアID0013を探し出す(図2のステップ103)。ここで、対応するエリアID0013が見つからない場合、アクセス制限を“全員”して、ステップ107に進み、アクセス権限設定部11によりアクセス権限の設定が行なわれる。対応するエリアID0013が見つかった場合、ステップ105に進む。
ステップ105では、エリアID0013の持つ利用者情報0014と、撮影時刻情報0012を比較することにより、利用グループ0015を探索する。そして利用グループ0015をアクセス権限保有者として画像0010に関連づけ、画像蓄積部15に保存する(ステップ109)。
【0014】
ここで、例えば、撮影位置情報0011が(5000,5000,1000)で撮影時刻情報0012が(07/02/01/15/00/00)の例を考える。まず、アクセスマップ情報の全てのエリアIDの空間情報と比較演算することにより、撮影位置情報0011が含まれるエリアID、0000001を得る。次に、エリアID0000001と関連付けされている利用者情報と、撮影時刻情報(07/02/01/15/00/00)を比較することにより、利用者“部署A”を獲得する。そして、画像0010にアクセス権限“部署A”を関連づけて、画像蓄積部15に保存する。
なお、“部署A”がどのようなユーザから構成されているかは、ユーザ管理部13に記述されており、ユーザが画像蓄積部15に保存されている画像0010にアクセスするときは、ユーザ認証が行われ、部署Aに属するユーザがアクセスしている場合に限り、画像0010にアクセスすることが可能になる。
【0015】
次に、図5を参照して、本発明による画像管理システムの第二実施形態について説明する。図5は、本発明による画像管理システムの第二実施形態の概略構成ブロック図である。
図5に示すように、この画像管理システムは、画像評価装置としてのサーバ23と、サーバ23に撮影画像と撮影時の情報を送信するデジタルカメラ21からなり、デジタルカメラ21は、内蔵された無線LAN25と絶対位置取得装置27を有している。それにより、無線LAN25を用いて撮影画像などのデータの送受信を行うことが可能であり、絶対位置取得装置27により、デジタルカメラ3で画像を撮影した際の絶対位置を取得することができる。
ここで、絶対位置取得装置7の例としては、GPS装置が挙げられ、より高精度の絶対位置を取得する必要がある場合は、高精度の装置を用いる。この場合、絶対位置取得装置27の絶対位置座標の算出はサーバ31にて行われる。そして、算出された絶対座標を無線LAN25を通じてデジタルカメラ21に返す。また、絶対位置取得装置27をデジタルカメラ21に内蔵してもよい。
【0016】
サーバ23側は、画像受信部33、アクセス権限設定部35、ユーザ管理部37、画像蓄積部39、リンク情報送信部41等を有しており、画像受信部33は、デジタルカメラ21から送信された画像を受信する。本実施形態ではデジタルカメラ21から画像情報を受信する場合に関して述べているが、PCや、PDAからの画像を受信するようにすることもできる。
アクセス権限設定部35は、画像に対して撮影位置情報と撮影時刻情報に基づいてアクセス権限を設定する。ユーザ管理部37は、ユーザ情報(ユーザIDと関連付けられたユーザ名とメールアドレスとユーザの現在位置)を保有している。画像蓄積部15は、アクセス権限を関連付けて管理された画像を保管する。リンク情報送信部41は、アクセス権を有するユーザに対して、画像蓄積部39に蓄えられた画像へのリンク情報を送信する。
絶対位置取得装置29は、ユーザ管理部37で管理されているユーザIDを保有している絶対位置取得装置である。サーバ31は、絶対位置取得装置27のみならず、絶対位置取得装置29の絶対位置の算出も可能である。絶対位置取得装置27の絶対位置は、デジタルカメラ21に送信したが、絶対位置取得装置29の絶対位置はサーバ23へ送信する。
【0017】
次に、ユーザ管理部37で管理されているユーザ情報に関して説明を行う。ユーザ管理部37では、ユーザデータを図6に示すような状態で管理している。図6は、ユーザ管理部37において管理されるユーザデータを示す説明図である。つまり、ユーザIDと、ユーザ名、ユーザアドレス、現在位置を関連付けて管理している。現在位置は、ユーザが最後に検出された座標が属するエリアIDで表現される。エリアIDが存在しない座標でユーザが検出された場合はNGと記述される。エリアIDに関しては次章アクセスマップ情報にて記述する。
次に、アクセス権限設定部35に保存されているアクセスマップ情報を説明する。アクセスマップ情報とは、多数のエリアで成り立っており、各エリアは、エリアID、エリア名、空間情報、利用者情報リストから構成されている。図7ではそのうちの2つのエリアに関するアクセスマップ情報のみ記述している。図7は、記述されているアクセスマップ情報を示す説明図である。
ここで、アクセスマップ情報を図7の上側に記述されているエリアAのデータを基に説明する。エリアIDは0000001が割り振られ、エリア名は“○×社第一会議室”と設定されている。エリア名は、人間がアクセスマップを利用する際に容易なように設定されている。また、エリアAの三次元領域が空間情報として記録されている。空間情報とは、エリアと対応する3次元空間を記述したもので、エリアが占める領域を表現している。ある座標が与えられた時に、ある座標がエリアに属するか否かを判定するために利用される。
【0018】
空間情報は、本実施形態では、床面と天井面の高さ(単位mm)により記述されている。具体的には、図7の上側では床面が(0,0,0)、(10000,0,0)、(10000,10000,0)、(0,10000,0)と設定されている。これは○×社第一会議室の床面上の、4角の三次元座標を表しており、この4頂点を結んだ多角形の境界および内部が、○×社第一会議室の床面であることを示している。また、天井高さは3000である。
ここで、エリアAの空間情報を用いて、ある座標がエリアAの領域内に属するか否か判定する方法を述べる。例えば、座標B(5000,5000,1000)が与えられたとした場合、まず、床面のx,y座標に注目する。床面のx,y座標は、0≦x≦10000,0≦y≦10000とも表現できる。よって座標Bのx,y座標はエリアA含まれる可能性がある。
次に、座標BとエリアAに関連する空間情報のz座標を比較する。エリアAの高さは0≦z≦3000、また座標BのZ=1000であるので、Z座標もエリアAに含まれる。よって座標BはエリアAの内部に属する、と判定できる。また、同様の計算を行うと、座標C(−1000,4000,1000)はエリアAに属していないと判定することができる。なお、空間情報の表現方法は、ポリゴンモデルで記述する方法も考えられる。ポリゴンモデルで記述した場合、より複雑なエリアを記述することができる。
【0019】
最後にエリアAと関連付けられている利用者情報リストについて説明する。利用者情報リストとは、エリアを利用しているユーザに関する利用状況のリストである。図7の上に記載の“07/02/01/13/00/00 07/02/01/15/00/00 1000001”は、2007年2月1日13時0分0秒から2007年2月1日15時0分0秒まで、ユーザID1000001を持つユーザが、○×社第一会議室にいたことを表している。同様に、“07/02/01/13/03/00 07/02/01/14/58/00 1000002”は、2007年2月1日13時3分0秒から2007年2月1日14時58分0秒まで、ユーザID1000002を持つユーザが○×社第一会議室にいたことを表している。なお、“07/02/01/17/00/00―1000005”のように、利用終了時刻が書かれていないデータは、現在利用中であることを表している。
【0020】
次に、図8を参照してアクセスマップ情報の更新方法を説明する。図8は、アクセスマップ情報の更新方法のフローチャートを示す図である。
図8のステップ201において、サーバ31が、ユーザの絶対位置(ユーザID0030、ユーザ位置0031、位置データ取得時刻0032)を取得する。すると、サーバ31は、ユーザID0030とユーザ位置0031位置データ取得時刻0032をユーザ管理部37に送信する。ユーザ管理部37では、ユーザID0030と、管理されているユーザIDとの照合を行い、得られたユーザIDをユーザID0033とする。ユーザIDを関連付けられた現在位置0034に対し、ユーザ位置0031が現在位置0034に含まれるか否かを判定する(ステップ203)。現在位置0034はエリアIDを示しているので、アクセスマップ情報から対応するエリアID0035を探し出し、エリアID0035と関連付けられた空間情報0036に含まれるか否かを判定することで行われる。
そして、ユーザ位置0031が現在位置0034に含まれるならば処理終了し、含まれない場合、エリアID0035の持つ利用者情報リストには、終了時刻の記述されておらず、かつ、ユーザID0030を持つ利用者情報が存在するので、その終了時刻に位置データ取得時刻0032を書き込む(ステップ205)。
次に、ユーザ位置0031を含むエリアID0037を、各エリアIDの空間情報と比較することによりアクセスマップ情報から検索し(ステップ207)、エリアID0037が探索できなかった場合、ユーザ管理部37の保持しているユーザID0030の現在位置に“NG”と記入する。エリアID0037が探索できた場合は、利用者情報に、位置データ取得時刻0032を開始時刻とし、終了時刻“―”、ユーザID0030の組を利用者情報に追加し、ユーザ管理部5007の保持しているユーザID0030の現在位置に対応するエリアID0037を記入する(ステップ209)。
【0021】
最後に、デジタルカメラ21から画像が送られてきた場合の動作を、図9のフローチャートを用いて行う。図9は、デジタルカメラ21から画像が送られてきた場合の動作ローチャートを示す図である。
まず、図9のステップ301において、デジタルカメラ21より送信された画像0050を画像受信部33が受信する。本実施形態では、デジタルカメラ21で撮影された画像および撮影時刻、および撮影された絶対位置は、exifファイル(exchangeable Image File Format)に代表されるように、撮影画像情報と撮影時の撮影条件を一つのファイル(以後画像ファイルと呼ぶ)で管理されているものとする。すなわち、画像0050は、撮影時刻情報0051および撮影位置情報0052を含む。
そして、画像受信部33によって受信された画像5020は、アクセス権限設定部35に送信され、アクセス権限設定部35では、前述したアクセスマップ情報を用いて、撮影位置情報0052が属するエリアID0053を検索する(ステップ303)。ここで、対応するエリアID0053が見つからなかった場合は、画像0050へのアクセス権を“ユーザ全て”として、画像を画像蓄積部39へ保存する(ステップ313、315)。
【0022】
対応するエリアID0053が見つかった場合は、エリアID0053に対応する利用者情報リスト0054から、撮影時刻情報0051に、エリアID0053に属していた利用者のユーザIDリスト0055を抽出する(ステップ305、307)。例えば、撮影時刻情報0051が07/02/13/30/00で、撮影位置情報0052が(5000,5000,2000)であったとき、抽出されるユーザIDリスト0055は、1000001,1000002,1000003から構成される(図7に記載のアクセスマップ情報を参照)。
そして、画像0050をユーザIDリスト0055にのみ、アクセス権限を与え、画像蓄積部39へ保存する(ステップ309)。そして、最後に、ユーザIDリスト0055と、画像蓄積部39へ保存された画像0050へのリンク情報0056をリンク情報送信部41に転送する。リンク情報送信部41は、ユーザIDリスト0055を用いて、ユーザ管理部37からユーザIDリスト0055に対応するメールアドレスリスト0057を取得し、メールアドレスリスト0057に対して、リンク情報0056を送信する(ステップ311)。
【0023】
なお、本実施形態では、建物内での動作を中心に記述したが、屋外で使用することもできる。例えば、屋外で記念写真を撮影したときに、メンバーに画像のリンクを送信することができる。
しかし、実際に屋外で使用するときには、エリアID内にメンバー以外の人が混じる場合がある。そのメンバーとメンバー以外を区別するために、デジタルカメラに方位センサをつけ、撮影時のカメラの向きを獲得しておく。また同時に、デジタルカメラに付随の測距センサによりメンバーまでの距離を獲得しておく。これらの情報を利用することにより、エリアID内にメンバー以外の人が混じった場合でも、メンバーとメンバー以外を区別することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明による画像管理システムを示す図であり、(a)は画像管理システムの第一実施形態の概略構成ブロック図、(b)はサーバ1の一構成を示す図である。
【図2】図1に示す画像管理システムの動作フローチャートである。
【図3】アクセス権限設定部11で保持されるアクセスマップ情報の一部を示す説明図である。
【図4】グラフィカルなマップと時間軸を用いて表現したアクセスマップ情報の一部を示す説明図である。
【図5】本発明による画像管理システムの第二実施形態の概略構成ブロック図である。
【図6】ユーザ管理部37において管理されるユーザデータを示す説明図である。
【図7】記述されているアクセスマップ情報を示す説明図である。
【図8】アクセスマップ情報の更新方法のフローチャートである。
【図9】デジタルカメラ21から画像が送られてきた場合の動作フローチャートである。
【符号の説明】
【0025】
1…サーバ、3…デジタルカメラ、5…LAN、7…絶対位置取得装置、9…画像受信部、11…アクセス権限設定部、13…ユーザ管理部、15…画像蓄積部、16…CPU、17…メモリ、18…HD、21…デジタルカメラ、23…サーバ、25…LAN、27…絶対位置取得装置、29…絶対位置取得装置、31…サーバ、33…画像受信部、35…アクセス権限設定部、37…ユーザ管理部、39…画像蓄積部、41…リンク情報送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像評価装置と、前記画像評価装置に撮影画像と撮影時の情報を送信する撮影装置とを有する画像管理システムであって、
前記撮影装置が、撮影画像などのデータの送受信を行う無線通信装置と、前記撮影装置で画像を撮影した際の絶対位置を取得する絶対位置取得装置とを有し、
前記画像評価装置が、前記撮影装置から送信された画像を受信する画像受信部と、前記受信された画像に対して撮影位置情報と撮影時刻情報に基づいてアクセス権限を設定するアクセス権限設定部と、ユーザ情報を保有するとともに、グループ情報を保有するユーザ管理部と、アクセス権限を関連付けて管理された画像を保管する画像蓄積部とを有することを特徴とする画像管理システム。
【請求項2】
前記アクセス制限設定部が、前記撮影装置で画像を撮影した人の位置情報に基づきアクセス制限を設定することを特徴とする請求項1に記載の画像管理システム。
【請求項3】
前記画像評価装置は、前記アクセス制限設定部により得られたアクセス可能なユーザに対して、ファイルまたはファイルへのリンクを送信するリンク情報送信部を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像管理システム。
【請求項4】
画像評価装置と、前記画像評価装置に撮影画像と撮影時の情報を送信する撮影装置とを有する画像管理システムにおける画像管理方法であって、
前記画像評価装置の画像受信部により、前記撮影装置から送信された画像が受信されるステップと、
前記画像評価装置のアクセス権限設定部により、前記受信された画像に対して撮影位置情報と撮影時刻情報に基づいてアクセス権限が設定されるステップとを有することを特徴とする画像管理方法。
【請求項5】
前記アクセス制限を設定するステップが、前記撮影装置で画像を撮影した人の位置情報に基づきアクセス制限を設定することを特徴とする請求項4に記載の画像管理方法。
【請求項6】
画像管理方法が、さらに前記アクセス制限設定部により得られたアクセス可能なユーザに対して、ファイルまたはファイルへのリンクを送信するステップを有することを特徴とする請求項4又は5に記載の画像管理方法。
【請求項7】
コンピュータに請求項4に記載の画像管理方法を実行させるためのプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−65279(P2009−65279A)
【公開日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−229353(P2007−229353)
【出願日】平成19年9月4日(2007.9.4)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】