説明

画像表示の信号処理方法及び画像表示装置

【課題】動画表示の際に発生する色割れやぼやけを低減することができる画像表示の信号処理方法及び画像表示装置を提供する。
【解決手段】1フレーム期間を複数個に分割したサブフィールドのうち、連続する3つのサブフィールドにおいて、R,G,Bの各光源が1つ以上発光するフィールドシーケンシャルカラー表示方式による画像表示の信号処理方法であって、前記3つのサブフィールドが、少なくともG光源が発光する第1のサブフィールドと、少なくともR光源が発光する第2のサブフィールドと、B光源が発光する第3のサブフィールドとからなり、前記3つのサブフィールドにおいて、画像入力信号に応じた前記光源の発光時間を決定する決定ステップと、決定された前記発光時間に応じて前記画像出力信号を生成する生成ステップと、生成された前記画像出力信号に基づいて、前記画像表示を行う表示ステップとを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィールドシーケンシャルカラー表示方式により画像を表示するための信号処理方法及び画像表示装置に関し、動画表示の際に発生する色割れやぼやけを低減させる技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的な液晶ディスプレイでは、1画素を3つのサブピクセルに分け、赤(R)、緑(G)、青(B)(以下、各色を「R」、「G」、「B」という。)のカラーフィルタを用いてカラー表示を行っている。これに対してフィールドシーケンシャルカラー表示方式(色順次表示方式)は、サブピクセル構成をとらず、例えば1TVフィールド(映像入力信号の1フレーム期間と同義)を3つのサブフィールド(SF:sub field)に分け、第1サブフィールドではRの光源を発光させ、それに同期して映像入力信号のR成分を表示装置から出力し、第2サブフィールドではG光源を発光させ、それに同期して映像入力信号のG成分を表示装置から出力し、第3サブフィールドではB光源を発光させ、それに同期して映像入力信号(以下、「画像入力信号」という。)のB成分を表示装置から出力することで、入力された映像の表示を行う。すなわち、フィールドシーケンシャルカラー表示方式は、1TVフレーム内の同一位置で各色成分が順次映し出される。これにより、表示された各色が目の網膜で知覚され合成される。
【0003】
フィールドシーケンシャルカラー表示方式は、上述した方式によりサブピクセル構成をとらないためカラーフィルタを必要とせず、表示装置の製品開発にかかるコストの削減、また高輝度化や高解像度化などの表示装置の性能向上に有効な表示方式として注目されており、現在、液晶ディスプレイの他にプロジェクタなどにも用いられている。
【0004】
しかし、フィールドシーケンシャルカラー表示方式には、動画表示の際に発生する色割れによる画質劣化や動画ぼやけ(以下、「ぼやけ」という)の低減効果の低さという問題点がある。
【0005】
図10(a)には、従来のフィールドシーケンシャルカラー表示方式におけるバックライト(光源)の発光シーケンスの一例が示されている。図10(a)に示す例では、1TVフィールドが期間Tの3つのサブフィールドに分けられており、全体の発光期間はt1となる。
【0006】
図10(b)には、表示画面上を動く白色パターンを目が追従する場合の「発光の時間軌跡」(b-1)と網膜の「網膜上の輝度分布」(b-2)の一例が、横軸を網膜上の位置として示されている。図10(b-1)に示すように、白色パターンが移動することにより、各サブフィールドにおける色成分の発行タイミングに時間的ズレが生じる。これにより、図10(b-2)に示すとおり、R,G,Bの発光タイミングの時間的ズレが空間的なズレとして網膜で知覚され、白色の左側にBとシアン(C)、また右側にRやマゼンタ(M)と言った白色以外の色が現れて「色割れ」が生じる。また本来表示されるべき幅(R,G,Bの各光源が発光し、網膜で白色(無彩色)として知覚される間)より広がった刺激分布となり「ぼやけ」が生じる。このように、色割れやぼやけの原因となる刺激分布(広がった刺激分布)の幅を「ぼやけ幅」と言い、ぼやけ幅は、白色パターンの移動速度をVとすると、1TVフィールドにおける光源の全発光時間tをVに乗算した(V*t)となる。すなわち、(V*t)の値が大きいほど、色割れやぼやけが網膜で知覚されやすくなる。
【0007】
これらの問題に対して、特許文献1及び2には、1TVフィールドを4つ以上のサブフィールドに分けて、R,G,Bの純色に加えて、黄(Y),シアン(C),マゼンタ(M)と言った中間色を出力する表示装置が開示されている。また特許文献3には、3次元色刺激空間に基づいて決定した各色成分R,G,Bによる3色の映像を、第1から第3の各サブフィールドにおいて表示する表示装置が開示されている。
【0008】
このように、従来技術では、サブフィールドにおいて、R,G,Bの以外の中間色を表示装置から出力し、表示画像の表現色をぼかすことにより、色割れが目立たなくなる(網膜上で知覚されにくくなる)。
【特許文献1】特許3977675号公報
【特許文献2】特開2003―241714号公報
【特許文献3】特開2003―284088号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記従来技術では、色割れに対して一定の効果があったとしても、R,G,Bの純色を表現できないことから、表示された際の色純度が落ちてしまうと言う問題がある。
【0010】
また、フィールドシーケンシャルカラー表示方式には、動画表示の際に発生する色割れのほかに、画質向上のために解決しなければならない、上述したぼやけに関する問題があり、上記従来技術はこの問題を解決していない。
【0011】
本発明では、上記従来技術の問題点に鑑み、フィールドシーケンシャルカラー表示方式において、動画表示の際に発生する色割れやぼやけを低減することができる画像表示の信号処理方法及び画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の信号処理方法は、1フレーム期間を複数個に分割したサブフィールドのうち、連続する3つのサブフィールドにおいて、R、G、Bの光源が1つ以上発光するフィールドシーケンシャルカラー表示方式による画像表示の信号処理方法であって、前記3つのサブフィールドが、R、G、Bの光源のうち、少なくともG光源が発光する第1のサブフィールドと、R、Bの光源のうち、少なくともR光源が発光する第2のサブフィールドと、B光源が発光する第3のサブフィールドとからなり、前記3つのサブフィールドにおいて、入力された画像入力信号に応じた前記光源の発光時間を決定する決定ステップと、前記決定ステップにより決定された前記発光時間に応じて、前記画像出力信号を生成する生成ステップと、前記生成ステップにより生成された前記画像出力信号に基づいて、前記画像表示を行う表示ステップとを有することを特徴とする。
【0013】
また、上記目的を達成するため、本発明の信号処理方法は、前記決定ステップにおいて、入力された前記画像入力信号から、前記光源を調光する調光係数を算出し、算出された前記調光係数に基づいて発光時間を決定し、前記生成ステップにおいて、決定した前記発光時間から、前記光源から網膜上に届く光の量を調整する透過率を算出し、算出した前記透過率に基づいて前記画像出力信号を生成することを特徴とする。
【0014】
また、上記目的を達成するため、本発明の信号処理方法は、前記3つのサブフィールドにおいて、前記第1のサブフィールドで、G成分の画像入力信号に基づいて、前記第1のサブフィールドにおける緑光源の調光係数を決定し、決定した前記緑光源の調光係数に応じて、前記第1のサブフィールドの透過率を決定し、次いで、前記第1のサブフィールドにおける第1の赤光源の調光係数及び第1の青光源の調光係数を、決定した前記前記第1のサブフィールドの透過率に応じて決定し、前記第2のサブフィールドで、R成分の画像入力信号に基づいて、前記第2のサブフィールドにおける第2の赤光源の調光係数を決定し、決定した前記第2の赤光源の調光係数に応じて、前記第3のサブフィールドで、前記第2のサブフィールドの透過率を決定し、次いで、前記第2のサブフィールドにおける第2の青光源の調光係数を、決定した前記第2のサブフィールドの透過率に応じて決定し、B成分の画像入力信号に基づいて、前記第3のサブフィールドにおける第3の青光源の調光係数を決定し、決定した前記第3の青光源の調光係数に応じて、前記第3のサブフィールドの透過率を決定することを特徴とする。
【0015】
また、上記目的を達成するため、本発明の信号処理方法は、前記3つのサブフィールドにおいて、前記第2のサブフィールド及び前記第3のサブフィールドにおける前記光源の発光期間が、前記第1のサブフィールド寄りとなるように発光タイミングを制御することを特徴とする。
【0016】
これによって、本発明の信号処理方法は、1TVフィールドを複数個に分割したサブフィールドのうち、R、G、Bの光源が1つ以上発光する連続した3つのサブフィールドにおいて、3つのサブフィールドが、R、G、Bの光源のうち、少なくともG光源が発光する第1のサブフィールドと、R、Bの光源のうち、少なくともR光源が発光する第2のサブフィールドと、B光源が発光する第3のサブフィールドとからなる場合に、サブフィールドごとに、画像入力信号に基づいて各色の光源発光時間を制御し、制御された発光時間に基づいて出力輝度を補正した画像出力信号を生成し、生成された画像出力信号により所望する画像を表示する画像表示の信号処理手順としたことで、動画表示の際に発生する色割れやぼやけを低減することができる。また、1TVフィールドの全発光時間を短縮できることから、当該画像表示装置における光源発光にかかる消費電力を削減することもできる。
【0017】
上記目的を達成するため、本発明の画像表示装置は、光源を有し、1フレーム期間を複数個に分割したサブフィールドのうち、連続する3つのサブフィールドが、R、G、Bの光源のうち、少なくともG光源が発光する第1のサブフィールドと、R、Bの光源のうち、少なくともR光源が発光する第2のサブフィールドと、B光源が発光する第3のサブフィールドとからなるフィールドシーケンシャルカラー表示方式により画像を表示する画像表示装置であって、前記サブフィールドごとに行う、入力された画像入力信号に応じた前記光源の発光時間を決定する決定手段と、前記決定手段による前記発光時間の決定と同時に、前記発光時間に応じた画像出力信号を生成する生成手段と、前記生成手段により生成された前記画像出力信号を基に前記画像を表示する表示手段とを有することを特徴とする。
【0018】
これによって、本発明の画像表示装置は、1TVフィールドを複数個に分割したサブフィールドのうち、R、G、Bの光源が1つ以上発光する連続した3つのサブフィールドにおいて、3つのサブフィールドが、R、G、Bの光源のうち、少なくともG光源が発光する第1のサブフィールドと、R、Bの光源のうち、少なくともR光源が発光する第2のサブフィールドと、B光源が発光する第3のサブフィールドとからなる場合に、サブフィールドごとに、画像入力信号に基づいて各色の光源発光時間を制御し、制御された発光時間に基づいて出力輝度を補正した画像出力信号を生成し、生成された画像出力信号により所望する画像を表示する構成としたことにより、動画表示の際に発生する色割れやぼやけが低減された画像表示機能を提供することができる。また、1TVフィールドの全発光時間を短縮できることから、光源発光にかかる消費電力が削減された表示装置を提供することもできる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、フィールドシーケンシャルカラー表示方式において、動画表示の際に発生する色割れやぼやけを低減することができる画像表示の信号処理方法及び画像表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の好適な実施の形態(以下、「実施形態」という。)について、図面を用いて詳細に説明する。
【0021】
[第1の実施形態]
<色割れやぼやけを低減する表示方式の概要>
まず、本実施形態に係るフィールドシーケンシャルカラー表示方式が、どのような方法によって色割れやぼやけの問題を解決しているのかについて、図1を用いて説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係るフィールドシーケンシャルカラー表示方式の特徴を示す図である。図10と同様に、図1(a)には、フィールドシーケンシャルカラー表示方式におけるバックライト(光源)の発光シーケンスの一例が示されている。また、図1(b)には、表示画面上を動く白色パターンを目が追従する場合の「発光の時間軌跡」(b-1)と網膜の「網膜上の輝度分布」(b-2)の一例が示されている。
【0022】
本発明では、ぼやけ幅(V*t)に着目し、1TVフィールドにおける光源の全発光時間tを短縮することでぼやけ幅を狭くし、色割れやぼやけを低減するものである。
【0023】
そこで、本実施形態では、R,G,Bの各色成分のうち、少なくとも1つ以上の色成分に対応する光源が発光可能な連続したサブフィールドにより1TVフィールドを構成している。例えば、図1(a)に示すように、1TVフィールドが、R,G,Bの各光源のうち、少なくともG光源が発光するサブフィールドと、R,Bの各光源のうち、少なくともR光源が発光するサブフィールドと、B光源が発光するサブフィールドとが、所定の順序で連続する3つのサブフィールドで構成される。
【0024】
例えば、図1(a)に示すように、1TVフィールドが連続した3つのサブフィールドにより構成される場合には、各サブフィールドにおける光源の色成分は、第1サブフィールドではRとBが、第2サブフィールドではR,G,Bの全てが、第3サブフィールドではBが割り当てられる。
【0025】
このような割り当てがなされる理由は、色ごとに網膜上で知覚される感度が異なるためである。R,G,Bにおいて感度の高い順から並べると「G→R→B」となる。このことから、動画表示の際に発生する色割れやぼやけについて考えてみると、感度の一番高いG光源を発光可能なサブフィールドを、1TVフィールドの中央に配置し、感度の低いRやB光源を発光可能なサブフィールドを、1TVフィールドの両端に配置する構成とするのが望ましい。なぜなら、色割れやぼやけの原因となる箇所は、1TVフィールドの全発光時間の両端(エッジ付近)に位置するためである。よって、1TVフィールドの全発光時間の両端に位置する各サブフィールドは、その時間的配置を入れ替えても問題はない。すなわち、連続する3つのサブフィールドにおいて「R→G→B」の順に発光する場合、その順番を「B→G→R」をしてもよく、感度が最も高いG成分以外の色成分については、発光順序を入れ替えることができる。
【0026】
上記のように連続するサブフィールドに割り当てられた各色成分に対応する光源の発光時間は、調光係数により発光時間が短くなるようにPWM(Pulse Width Modulation)制御される(発光時間短縮処理)。また、本実施形態では、発光時間を短くしたことで出力輝度が低くなるため、液晶表示素子の透過率(液晶シャッターの絞り)により画像出力信号を出力輝度が低下した分だけ大きくする(画像出力信号補正処理)。すなわち、調光係数が小さければ透過率を大きくし、調光係数が大きければ透過率を小さくすることで画像出力信号の補正を行う。
【0027】
更に、本実施形態では、連続した各サブフィールドにおける光源発光タイミングを、1TVフィールドの全発光時間の両端に位置する各サブフィールドの光源発光時間を、中央に位置するサブフィールド寄りとなるように制御する。例えば、図1(a)に示すように、1TVフィールドが連続した3つのサブフィールドにより構成される場合には、第1サブフィールドの発光を第1サブフィールドの後半寄りに、第2サブフィールドの発光を第2サブフィールドの中心寄りに、第3サブフィールドの発光を第3サブフィールドの前半寄りとなるように、各サブフィールドにおける光源の発光タイミングを制御する。
【0028】
その結果、本実施形態は、図1(b-2)と図10(b-2)との網膜上の輝度分布比較からも明らかなように、1TVフィールドにおける光源の全発光時間が短縮される(t<t)。
【0029】
ここで、上述した各サブフィールドの光源発光タイミングについて補足しておく。図1(a)に示すように、第1サブフィールドでは後半寄り、第2サブフィールドでは中央寄り、第3サブフィールドでは前半寄りと設定するのが、全発光時間を短縮するのに最も効果的である。しかし、本実施形態では、第1サブフィールドではRの他にBを発光させ、第2サブフィールドではGの他にRとBを発光させるため、上記発光時間調整を行わなくても、従来の第1サブフィールドにおけるR成分や第3サブフィールドにおけるB成分の輝度に比べて低くなるため、図1(b-2)に示すように、視認画像の両端に発生する色割れの輝度が低く、目立たなくなる。
【0030】
<ハードウェア構成>
本実施形態に係る画像表示装置100のハードウェア構成について、図2を用いて説明する。図2は、本発明の第1の実施形態に係る画像表示装置100のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0031】
本実施形態に係る画像表示装置100は、画像信号を一時記憶する記憶装置11と、画像入力信号(画像情報)21に対して所定の画像処理を行う演算装置12と、画像処理後の画像信号に対して所定の信号処理を行い、液晶表示素子17を制御するコントローラ13(発光時間を決定する決定手段と画像出力信号を生成する生成手段に該当)と、バックライト(光源)18の発光を制御するバックライト制御装置14と、液晶表示装置のソース線を駆動するソースドライバ15と、液晶表示装置のゲート線を駆動するゲートドライバ16と、液晶表示装置が有する液晶表示素子17(画像を表示する表示手段に該当)と、光源であるバックライト18とから構成されている。
【0032】
入力端子(非図示)より入力された画像入力信号(画像情報)21は、各画素の信号値を1画面分記憶可能な記憶装置11に一時保持される。そして演算装置12は、記憶装置12に保持された画像入力信号21を読み出す。演算装置12は、読み出した画像入力信号21に対して、γ補正などの出力画質向上のための画像処理を行う。その後、演算装置12は、画像処理後の画像信号をコントローラ13へ渡す。
【0033】
コントローラ13は、演算装置12より受け取った画像信号に応じてソースドライバ15及びゲートドライバ16に対して制御信号を出力するとともに、バックライト制御装置14に対しても、バックライト18の制御信号を出力する。このとき、コントローラ13は、受け取った画像信号を基に発光時間短縮処理及び画像出力信号補正処理を行い、その処理結果(調光係数や透過率)に応じた制御信号を各装置へ出力する。
【0034】
ソースドライバ15及びゲートドライバ16は、コントローラ13から受け取った制御信号に基づいて液晶表示素子17の液晶シャッターを制御する。これにより、液晶表示素子17の液晶シャッターは、画像出力信号補正処理により算出された透過率に従った絞りとなる。
【0035】
バックライト制御装置14は、コントローラ13より受け取った制御信号に基づいて、バックライト18を発光させる。これにより、バックライト18は、発光時間短縮処理により算出された調光係数に従った発光時間となる。
【0036】
このように、本実施形態に係る画像表示装置100では、上記各機能を有するハードウェア構成により、動作表示の際に発生する色割れやぼやけを低減する表示装置を実現している。
【0037】
<画像表示機能>
次に、これまで説明を行ってきたハードウェア構成を踏まえ、本実施形態に係る画像表示装置100が有する「動作表示の際に発生する色割れやぼやけを低減する画像表示機能」について、図3から図12を用いて説明する。
【0038】
図3は、本発明の第1の実施形態に係る画像表示装置100が有する機能構成の一例を示す図である。
【0039】
<<機能構成の概要>>
本実施形態に係る画像形成装置100は、バックライト18の全発光時間を短縮する発光時間短縮部31と、発光時間短縮による出力輝度の低下に対して画像出力信号を補正する画像出力信号補正部32とから構成されている。これらの機能部は、コントローラ13で実行されることで実現する機能である。
【0040】
まず、上記各機能部について説明を行う前に、画像入力信号21(R,G,B)と、バックライト18の輝度(L)と、バックライト18の発光時間を示す調光係数(K)と、液晶表示素子17の透過率(T)との関係は、以下に示す式で表すことができる。
【0041】
R=Lr*Kr*T ・・・ (式1)
G=Lg*Kg*T ・・・ (式2)
B=Lb*Kb*T ・・・ (式3)
このことを踏まえ、以下に上記各機能部について説明する。
発光時間短縮部31は、画像入力信号21(R,G,B)を基に、1TVフィールドにおけるバックライト18の全発光時間が短縮されるような、R,G,Bの各光源の発光時間を、上記(式1)から(式3)により算出する。
【0042】
バックライト18は、R,G,Bの各光源の発光出力が一定であることから、バックライト18の輝度(Lr,Lg,Lb)の値は予め決まっている。このような特性を有するバックライト18の調光は、上記(式1)から(式3)に示すように調光係数(Kr,Kg,Kb)の値を変化させることによって行う。よって、調光係数(Kr,Kg,Kb)は、R,G,Bの各光源の発光時間となる。
【0043】
これにより、発光時間短縮部31は、以下に示す式を用いて、R,G,Bの各光源の調光係数(Kr,Kg,Kb)を算出する。
【0044】
Kr=R/Lr*T ・・・ (式4)
Kg=G/Lg*T ・・・ (式5)
Kb=B/Lb*T ・・・ (式6)
その後、発光時間短縮部31は、算出された調光係数(Kr,Kg,Kb)に基づいて、バックライト制御装置14へ出力する制御信号を決定し、決定した制御信号(調光係数を基にPWM制御された信号)を出力する。
【0045】
このように、発光時間短縮部31は、調光係数(K)が発光時間となることから、各色成分に対応する光源の調光係数(Kr,Kg,Kb)を制御することで、1TVフィールドにおけるバックライト18の全発光時間を短縮することができる。
【0046】
画像出力信号補正部32は、発光時間短縮部31により、1TVフィールドにおけるバックライト18の全発光時間が短縮されたことによる出力輝度の低下に対して、低下した分だけ画像出力信号を大きくする。
【0047】
画像出力信号の大きさは、液晶表示素子17の液晶シャッターの絞りによって決まる。このような特性を有する液晶シャッターの絞りの制御は、上記(式1)から(式3)に示すように透過率(T)の値を変化させることによって行う。
【0048】
これにより、画像出力信号補正部32は、以下に示す式を用いて、液晶表示素子17の透過率(T)を算出する。
【0049】
T=R/Lr*Kr ・・・ (式7)
T=G/Lg*Kg ・・・ (式8)
T=B/Lb*Kb ・・・ (式9)
また、ここで算出される透過率(T)は、R,G,Bの各色成分が合成され出力された信号の大きさを制御するための値であることから、調光係数(Kr,Kg,Kb)と異なり、色成分との依存関係はない。そのため、上記(式7)から(式8)のうち、いずれか1つの式を用いて算出すればよい。
【0050】
その後、画像出力信号補正部32は、算出された透過率(T)に基づいて、ソースドライバ15及びゲートドライバ16へ出力する制御信号を決定し、決定した制御信号を出力する。
【0051】
画像出力信号補正部32は、画像出力信号の大きさを、液晶表示素子17の液晶シャッターの絞りによって決定することから、液晶表示素子17の透過率(T)を制御することで、本来の画像出力信号に補正することができる。
【0052】
ここで、透過率(T)について補足しておく。表示装置を含む出力装置には、そのハードウェア特性や画像を表示する仕組みにより入力信号に対して出力輝度が非線形となる場合がある。そこで、このような出力装置では、非線形となった出力輝度を補正するためにγ補正を行う。そのγ補正では、入力信号と出力輝度の誤差を補正するための出力信号とを予め対応付けておいたLUT(Look up Table)に基づいて行うものがある。すなわち、入力信号を基にLUTを参照することで、理想とする出力輝度を実現するための出力信号を決定する。このことから、上記透過率(T)を決定する方法は、上記に挙げた計算式を用いて算出する方法の他に、予め計測しておいた出力輝度特性から、入力信号と出力輝度を補正するための透過率(T)とを予め対応付けておいたLUTを用いて行う方法であってもよい。
【0053】
<<各機能部による画像入力信号に対する信号処理の概要>>
図4は、本発明の第1の実施形態に係る各サブフィールドSFの発光シーケンスの一例を示す図である。
【0054】
本実施形態では、上記各機能部において行われる信号処理(発光時間の短縮と画像出力信号の補正)を1TVフィールドにおいて表示される1画面毎に行う。本実施形態では、図4に示すように、1TVフィールドが、RとBの光源が発光可能な第1サブフィールド1SFと、R,G,Bの光源が発光可能な第2サブフィールド2SFと、Bの光源が発光可能な第3サブフィールド3SFとから構成されているため、上記各機能部によって、各サブフィールドSFにおけるバックライト18の調光係数(K)と液晶表示素子17の透過率(T)を算出する。すなわち、図5に示すような処理手順を1TVフィールド毎に行う。
【0055】
図5は、本発明の第1の実施形態に係る信号処理に関する基本処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0056】
本実施形態に係る信号処理では、まず、第2サブフィールド2SFにおける調光係数(K)を発光時間短縮部31により算出し、透過率(T)を画像出力信号補正部32により算出する(ステップS1)。
【0057】
続いて、第1サブフィールド1SFにおける調光係数(K)を発光時間短縮部31により算出し、透過率(T)を画像出力信号補正部32により算出する(ステップS2)。
【0058】
最後に、第3サブフィールド3SFにおける調光係数(K)を発光時間短縮部31により算出し、透過率(T)を画像出力信号補正部32により算出する(ステップS3)。
【0059】
上記処理手順が、「第2サブフィールド2SF→第1サブフィールド1SF→第3サブフィールド3SF」の順になっているのは、網膜上で知覚される感度の高い色成分の順(G→R→Bの順)に従って処理を行っているためである。このような処理手順により、感度の高い色成分を基準として各サブフィールドSFにおける調光係数(K)と透過率(T)を算出する。
【0060】
<<各機能部による画像入力信号に対する信号処理の詳細>>
ここからは、図5に示す処理手順に従って実行される信号処理の詳細について説明する。なお、以降の説明では、図6に示すような画像入力信号21が異なる2つの画像領域A(R=0.2,G=0.8,B=0.9)とB(R=0.3,G=0.4,B=0.2)とから構成される1TVフィールドにおいて表示される画面例を例に説明を行う。また、その中の処理手順における算出結果は、画像入力信号値の範囲を0から1とし、バックライト18の輝度値(Lr=1,Lg=1,Lb=1)及び液晶表示素子17の最大透過率(T≦1)とを基にした結果である。よって、上記の値や値の範囲は、本実施形態に係る信号処理の説明を分かり易く行うためのものであって、本発明は、これらの値や値の範囲によって限定されるものではない。
【0061】
(手順1)第2サブフィールドにおける調光係数(K)と透過率(T)を算出
まず、図5のステップS1において簡単に説明した調光係数(K)と透過率(T)とを算出する処理手順について、図7を用いて詳細に説明する。図7には、図6に示す値を基にした調光係数(K)と透過率(T)の具体的な算出手順の例が示されている。
【0062】
図7に示すように、本実施形態に係る信号処理では、まず、発光時間短縮部31によりG成分の調光係数(Kg)を算出し、画像出力信号補正部32により第2サブフィールド2SFにおける透過率(T)を算出する。
【0063】
発光時間短縮部31は、記憶装置11に一時保持されている1TVフィールドにおいて表示する1画面分の画像入力信号のうち、全画素のG成分の信号値(G(x,y))から最大信号値(Gmax(x,y))を検出し(ステップS101)、検出したG成分の最大信号値(Gmax(x,y))と、G光源の輝度(Lg=1)と、第2サブフィールド2SFの最大透過率(T=1)とを基に、(式5)を用いてG成分の調光係数(Kg=Gmax(x,y)・・・図中(a))を算出する(ステップS102)。
【0064】
画像出力信号補正部32は、ステップS102において算出したG成分の調光係数(Kg)と、G光源の輝度(Lg=1)とを基に、(式8)を用いて画素ごとの透過率(T(x,y)=G(x,y)/Kg・・・図中(b))を算出する(ステップS103)。
【0065】
次に、本実施形態に係る信号処理は、発光時間短縮部31によりR成分とB成分それぞれの調光係数(KrとKb)を算出する。
【0066】
発光時間短縮部31は、ステップS103において算出した透過率(T(x,y))と、R光源の輝度(Lr=1)とを基に、(式4)を用いて画素ごとのR成分の調光係数(Kr(x,y)=R(x,y)/T(x,y)・・・図中(c))を算出し、また、透過率(T(x,y))と、B光源の輝度(Lg=1)とを基に、(式6)を用いて画素ごとのB成分の調光係数(Kb(x,y)=B(x,y)/T(x,y)・・・図中(c))を算出する(ステップS104及びS105)。
【0067】
最後に、発光時間短縮部31は、ステップS104において算出したR成分の調光係数(Kr(x,y))から、最小の調光係数(Krmin(x,y))を検出し、検出した調光係数(Krmin(x,y))の値を、R成分の調光係数(Kr=Krmin(x,y)・・・図中(d))とする。また、発光時間短縮部31は、G成分の調光係数(Kr)においてもR成分と同様の処理(Kb=Kbmin(x,y)・・・図中(d))を行う(ステップS106及びS107)。
【0068】
このようにして、本実施形態に係る信号処理は、上記(手順1)により、第2サブフィールド2SFにおける各色成分に対応する各光源の調光係数(Kr,Kg,Kb)と透過率(T(x,y))とを算出することができる。
【0069】
(手順2)第1サブフィールドにおける調光係数(K)と透過率(T)を算出
図5のステップS2において簡単に説明した調光係数(K)と透過率(T)とを算出する処理手順について、図8を用いて詳細に説明する。図8には、図6に示す値を基にした調光係数(K)と透過率(T)の具体的な算出手順の例が示されている。
【0070】
図8に示すように、本実施形態に係る信号処理では、まず、発光時間短縮部31によりR成分の調光係数(Kr)を算出し、画像出力信号補正部32により第1サブフィールド1SFにおける透過率(T)を算出する。
【0071】
発光時間短縮部31は、第2サブフィールド2SFにより表示されるR輝度成分と、1TVフィールドで表示されるべきR輝度成分との差分である残りのR輝度成分(ΔR(x,y)=R(x,y)―Kr*T・・・図中(a))を画素ごとに算出し、その算出結果の中から最大のR輝度成分(ΔRmax(x,y))を検出する(ステップS201)。
【0072】
発光時間短縮部31は、ステップS201において検出した最大のR輝度成分(ΔRmax(x,y))と、R光源の輝度(Lr=1)と、第1サブフィールド1SFの最大透過率(T=1)とを基に、(式4)を用いてR成分の調光係数(Kr=ΔRmax(x,y)・・・図中(b))を算出する(ステップS202)。
【0073】
画像出力信号補正部32は、ステップS202において算出したR成分の調光係数(Kr)と、R光源の輝度(Lr=1)とを基に、(式7)を用いて画素ごとの透過率(T(x,y)=ΔR(x,y)/Kg・・・図中(b))を算出する(ステップS203)。
【0074】
次に、本実施形態に係る信号処理は、発光時間短縮部31によりB成分の調光係数(Kb)を算出する。
【0075】
発光時間短縮部31は、画素ごとに残りのB輝度成分(ΔB(x,y)=B(x,y)―Kb*T・・・図中(d))を算出し、最小のB輝度成分(ΔBmin(x,y))を検出する(ステップS204)。
【0076】
発光時間短縮部31は、ステップS203において算出した透過率(T(x,y))と、ステップS204において検出した最小のB輝度成分(ΔBmin(x,y))と、B光源の輝度(Lb=1)とを基に、(式6)を用いて画素ごとのB成分の調光係数(Kb(x,y)=ΔB(x,y)/T(x,y)・・・図中(e))を算出する(ステップS205)。
【0077】
このようにして、本実施形態に係る信号処理は、上記(手順2)により、第1サブフィールド1SFにおける各色成分の調光係数(Kr,Kb)と透過率(T(x,y))とを算出することができる。
【0078】
(手順3)第3サブフィールドにおける調光係数(K)と透過率(T)を算出
図5のステップS3において簡単に説明した調光係数(K)と透過率(T)とを算出する処理手順について、図9を用いて詳細に説明する。図9には、図6に示す値を基にした調光係数(K)と透過率(T)の具体的な算出手順の例が示されている。
【0079】
図9に示すように、本実施形態に係る信号処理では、まず、発光時間短縮部31によりB成分の調光係数(Kb)を算出し、画像出力信号補正部32により第3サブフィールド3SFにおける透過率(T)を算出する。
【0080】
発光時間短縮部31は、第1サブフィールド1SFと第2サブフィールド2SFにより表示されるB輝度成分と、1TVフィールドで表示されるべきB輝度成分との差分である残りのB輝度成分(ΔB(x,y)=B(x,y)―Kb*T―Kb*T・・・図中(a))を画素ごとに算出し、その算出結果の中から最大のB輝度成分(ΔBmax(x,y))を検出する(ステップS301)。
【0081】
発光時間短縮部31は、ステップS301において検出した最大のB輝度成分(ΔBmax(x,y))と、B光源の輝度(Lb=1)と、第3サブフィールド3SFの最大透過率(T=1)とを基に、(式6)を用いてB成分の調光係数(Kb=ΔBmax(x,y)・・・図中(b))を算出する(ステップS302)。
【0082】
画像出力信号補正部32は、ステップS302において算出したB成分の調光係数(Kb)と、B光源の輝度(Lb=1)とを基に、(式9)を用いて画素ごとの透過率(T(x,y)=ΔB(x,y)/Kb・・・図中(c))を算出する(ステップS303)。
【0083】
このようにして、本実施形態に係る信号処理は、上記(手順3)により、第3サブフィールド3SFにおけるB成分の調光係数(Kb)と透過率(T(x,y))とを算出することができる。
【0084】
<<各サブフィールドSFにおける光源発光タイミング>>
本実施形態では、1TVフィールドの全発光時間をより効果的に短縮するために、第1サブフィールド1SFの発光を第1サブフィールド1SFの後半寄りに、第2サブフィールド2SFの発光を第2サブフィールド2SFの中心寄りに、第3サブフィールド3SFの発光を第3サブフィールド3SFの前半寄りとなるように、各サブフィールドSFにおける光源の発光タイミングを制御する。
【0085】
発光時間短縮部31は、上記(手順1)から(手順3)において算出したサブフィールドSFごとの各色成分の調光係数(K)に基づいて、バックライト制御装置14へ制御信号を出力することで、バックライト18の調光を行う。このときの制御信号の出力タイミングで光源発光タイミングを制御する。
【0086】
例えば、図1(a)に示すように、第1サブフィールド1SFのR光源の発光タイミングを制御する場合には、発光時間短縮部31は、第1サブフィールド1SFの発光可能期間と、R成分の調光係数(Kr)との差分時間に基づいて発光させる。すなわち、第1サブフィールド1SFの発光可能期間開始から差分時間経過したタイミングでR光源を、調光係数(Kr)分だけ発光させる。このようにして、発光時間短縮部31は、第1サブフィールド1SFの発光を発光可能期間の後半寄りとなるように発光タイミングを制御し、1TVフィールドの全発光期間の開始を遅らせることができる。
【0087】
また、第2サブフィールド2SFのG光源の発光タイミングを制御する場合には、発光時間短縮部31は、第2サブフィールド2SFの発光可能期間の半分と、G成分の調光係数(Kg)の半分との差分時間に基づいて発光させる。すなわち、第2サブフィールド2SFの発光可能期間開始から差分時間経過したタイミングでG光源を、調光係数(Kg)分だけ発光させる。このようにして、発光時間短縮部31は、第2サブフィールド2SFの発光を発光可能期間の中央に配置することができる。
【0088】
更に、第3サブフィールド3SFのB光源の発光タイミングを制御する場合には、発光時間短縮部31は、第3サブフィールド3SFの発光可能期間の開始時間に基づいて発光させる。すなわち、第3サブフィールド3SFの発光可能期間開始からB光源を調光係数(Kb)分だけ発光させる。このようにして、発光時間短縮部31は、第3サブフィールド3SFの発光を発光可能期間の前半寄りとなるように発光タイミングを制御し、1TVフィールドの全発光期間において最短の終了時間を設定することができる。
【0089】
<まとめ>
以上のように、本発明の第1の実施形態によれば、本実施形態に係る画像表示の信号処理方法は、1TVフィールドを複数個に分割したサブフィールドのうち、R,G,Bの各光源が1つ以上発光する連続した3つのサブフィールドにおいて、3つのサブフィールドが、R,G,Bの各光源のうち、少なくともG光源が発光するサブフィールドと、R,Bの各光源のうち、少なくともR光源が発光するサブフィールドと、B光源が発光するサブフィールドとからなる場合に、サブフィールドごとに、画像入力信号に基づいて各色の光源発光時間を制御し、制御された発光時間に基づいて出力輝度を補正した画像出力信号を生成し、生成された画像出力信号により所望する画像を表示すると言う方法である。
【0090】
これによって、本実施形態に係る信号処理方法は、動画表示の際に発生する色割れやぼやけを低減することができる。また、1TVフィールドの全発光時間を短縮できることから、当該画像表示装置における光源発光にかかる消費電力を削減することもできる。
【0091】
また、本実施形態に係る信号処理が実行可能な構成を有する画像表示装置100においても、上記に挙げた同様の効果を奏することができる。
【0092】
ここまで、上記第1の実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、本発明は、第1の実施形態において説明を行った液晶表示素子17を有する画像表示装置100に限定されるものではない。例えば、DMD(Digital Micromirror Device)素子を用いた表示デバイス(プロジェクター)などであってもよい。第1の実施形態において説明を行ったように、1TVフィールドを構成するサブフィールドSFにおいて各色成分の輝度が個々に制御可能であればよいことから、例えば、有機EL(electroluminescence)表示デバイス、プラズマディスプレイパネル(PDP:Plasma Display Panel)、フィールドエミッションディスプレイ(FED:Field Emission Display)など、フィールドシーケンシャルカラー表示方式を用いた画像表示装置であれば、同様の効果を奏することができる。
【0093】
また、第1の実施形態では、1TVフィールドを構成する3つのサブフィールドSFを例に説明を行ったが、本発明は、サブフィールドSFの数に限定されるものではない。例えば、黒(Bk)を加えた4つ以上のサブフィールドSFであってもよく、1TVフィールドを構成する連続した複数のサブフィールドSFであれば適用可能である。
【0094】
最後に、上記第1の実施形態に挙げた形状に、その他の要素との組み合わせなど、ここで示した要件に、本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るフィールドシーケンシャルカラー表示方式の特徴を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る画像表示装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る画像表示装置が有する機能構成の一例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る各サブフィールドの発光シーケンスの一例を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る信号処理に関する基本処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る入力画像信号の一例を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る第2サブフィールドにおける調光係数と透過率の算出手順の一例を示す図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係る第1サブフィールドにおける調光係数と透過率の算出手順の一例を示す図である。
【図9】本発明の第1の実施形態に係る第3サブフィールドにおける調光係数と透過率の算出手順の一例を示す図である。
【図10】従来のフィールドシーケンシャルカラー表示方式の特徴を示す図である。
【符号の説明】
【0096】
11 記憶装置
12 演算装置
13 コントローラ
14 バックライト制御装置
15 ソースドライバ
16 ゲートドライバ
17 液晶表示素子
18 バックライト(光源)
21 画像入力信号
31 発光時間短縮部
32 画像出力信号補正部
100 画像表示装置
SF サブフィールド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1フレーム期間を複数個に分割したサブフィールドのうち、連続する3つのサブフィールドにおいて、赤(R)、緑(G)、青(B)の光源が1つ以上発光するフィールドシーケンシャルカラー表示方式による画像表示の信号処理方法であって、
前記3つのサブフィールドは、
赤(R)、緑(G)、青(B)の光源のうち、少なくとも緑(G)の光源が発光する第1のサブフィールドと、
赤(R)、青(B)の光源のうち、少なくとも赤(R)の光源が発光する第2のサブフィールドと、
青(B)の光源が発光する第3のサブフィールドとからなり、
前記3つのサブフィールドにおいて、
入力された画像入力信号に応じた前記光源の発光時間を決定する決定ステップと、
前記決定ステップにより決定された前記発光時間に応じて、前記画像出力信号を生成する生成ステップと、
前記生成ステップにより生成された前記画像出力信号に基づいて、前記画像表示を行う表示ステップとを有することを特徴とする信号処理方法。
【請求項2】
前記決定ステップは、
入力された前記画像入力信号から、前記光源を調光する調光係数を算出し、算出された前記調光係数に基づいて発光時間を決定し、
前記生成ステップは、
決定した前記発光時間から、前記光源から網膜上に届く光の量を調整する透過率を算出し、算出した前記透過率に基づいて前記画像出力信号を生成することを特徴とする請求項1に記載の信号処理方法。
【請求項3】
前記3つのサブフィールドにおいて、
前記第1のサブフィールドでは、
緑(G)成分の画像入力信号に基づいて、前記第1のサブフィールドにおける緑光源の調光係数を決定し、決定した前記緑光源の調光係数に応じて、前記第1のサブフィールドの透過率を決定し、次いで、前記第1のサブフィールドにおける第1の赤光源の調光係数及び第1の青光源の調光係数を、決定した前記前記第1のサブフィールドの透過率に応じて決定し、
前記第2のサブフィールドでは、
赤(R)成分の画像入力信号に基づいて、前記第2のサブフィールドにおける第2の赤光源の調光係数を決定し、決定した前記第2の赤光源の調光係数に応じて、前記第2のサブフィールドの透過率を決定し、次いで、前記第2のサブフィールドにおける第2の青光源の調光係数を、決定した前記第2のサブフィールドの透過率に応じて決定し、
前記第3のサブフィールドでは、
青(B)成分の画像入力信号に基づいて、前記第3のサブフィールドにおける第3の青光源の調光係数を決定し、決定した前記第3の青光源の調光係数に応じて、前記第3のサブフィールドの透過率を決定することを特徴とする請求項2に記載の信号処理方法。
【請求項4】
前記3つのサブフィールドにおいて、
前記第2のサブフィールド及び前記第3のサブフィールドにおける前記光源の発光期間が、前記第1のサブフィールド寄りとなるように発光タイミングを制御することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の信号処理方法。
【請求項5】
光源を有し、
1フレーム期間を複数個に分割したサブフィールドのうち、連続する3つのサブフィールドが、赤(R)、緑(G)、青(B)の光源のうち、少なくとも緑(G)の光源が発光する第1のサブフィールドと、赤(R)、青(B)の光源のうち、少なくとも赤(R)の光源が発光する第2のサブフィールドと、青(B)の光源が発光する第3のサブフィールドとからなるフィールドシーケンシャルカラー表示方式により画像を表示する画像表示装置であって、
前記サブフィールドごとに行う、
入力された画像入力信号に応じた前記光源の発光時間を決定する決定手段と、
前記決定手段による前記発光時間の決定と同時に、前記発光時間に応じた画像出力信号を生成する生成手段と、
前記生成手段により生成された前記画像出力信号を基に前記画像を表示する表示手段とを有することを特徴とする画像表示装置。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図1】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−134156(P2009−134156A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−311200(P2007−311200)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(504133110)国立大学法人 電気通信大学 (383)
【Fターム(参考)】