説明

画像記録装置、その装置による電力遮断処理方法及びプログラム

【課題】導電性インクによる記録処理において、ノズル列のノズル内部で絶縁不良が生じても、この絶縁不良と導電性インクとによって生じる更なる不具合進行を未然に防止することが可能な画像記録装置、その装置による電力遮断処理方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】回復機構8は、複数のノズルにより形成されたノズル列13におけるインクの詰まり、若しくは汚れを回復させる回復処理を行うための回復部33を少なくとも有する。搬送機構4は、搬送経路の上流側より搬送されて受け渡しされる記録媒体を下流側へ載置して搬送する。電力制御部9は、複数のノズルから吐出されるインクによる記録処理の過程おいて、記録媒体の載置搬送に異常が生じたとき、若しくは回復処理の過程において、ノズル列13の回復のために回復部33をノズル列13に当接させるとき、ノズル列13を駆動するノズル列駆動部12への電力の供給を遮断する制御を制御部2に行わせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像記録技術に関し、特に、導電性インクを用いて画像を記録する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
紙等の記録媒体に対して画像を記録する画像記録装置のひとつとして、インクジェット方式のフルライン型カラープリンタが知られている。フルライン型カラープリンタには、ノズル列(記録ヘッド)が、記録媒体を搬送する方向(副走査方向)に所定の間隔に離間してインク色毎に配設されている。このノズル列は、インク吐出のための複数のノズルが、当該副走査方向に対して直交する方向(主走査方向)に記録媒体の幅以上の長さに亘って形成されるように配設されている。
【0003】
このような画像記録装置(カラープリンタ)では、ノズル列が記録媒体に対向するように配設されており、各色ノズル列における複数のノズルからインクを記録媒体に向け吐出することで所望の文字や画像の記録を行う。
【0004】
このようなノズル列(記録ヘッド)に関する技術としては、例えば特許文献1にインクジェットヘッドが開示されている。特許文献1には、圧電部材(PZT)から成る基板に多数の溝を形成してインク室を並設すると共に、これらインク室の内面に電極を形成しておき、この電極に電圧を印加してインク室の容積を変化させることでインクを吐出させる構成が示されている。
【0005】
また、この特許文献1には、インクジェットヘッドの製造技術として、圧電部材(PZT)である基板を加工して第一の溝(インク室)と第二の溝とを形成すると共に、当該基板に個別電極と共通電極とを形成する形成手順が開示されている。更に、特許文献1は、従来のインクジェットヘッドの説明として、一部が圧電部材(PZT)による側壁により形成されるインク室と、各インク室間に設けられた空間と、個別電極と、共通電極と、各インク室に連通するノズル(インク吐出口)を形成するノズルプレートとを有するインクジェットの構成例も開示している。
【0006】
ところで、近年画像記録装置に使用されるインクにおいては、環境問題等の配慮から、従来の顔料インクに代わって水性インクの需要が増加している。しかし、水性インクの使用を想定した画像記録装置には、水性インクが導電性を有するが故に、顔料インクのような非導電性インクを使用していた場合にはなかった新たな課題が存在する。
【0007】
図7は、導電性インクの使用を想定した従来の記録ヘッドの構造を模式的に示した断面図である。
記録ヘッド43は、図7に示されるように、ベース基板45が複数の溝であるインク室37を形成しており、各インク室37の間において空間41を設けている。インク室37の側面には、前述した圧電部材(PZT)から成る側壁44が形成されており、インク室37と空間41とを隔てている。このインク室37の下方には、ノズル38aを形成するノズルプレート38が設けられている。なお、このノズルプレート38は、インク室37内のインクがノズル38aに連通するように設けられている。
【0008】
また、側壁44のインク室37側には、個別電極42が設けられており、この個別電極42を絶縁膜40で覆う構成としている。また、個別電極42には、駆動ケーブルが接続されており、ドライバ回路39によって生成された駆動信号が印加される。
【0009】
また、側壁44の空間41側には、共通電極46が設けられている。この共通電極46には、共通ケーブルが接続されており、ドライバ回路39における例えばグランド側(0ボルト)と導通している。
【0010】
このように構成された記録ヘッド43の各インク室37には、インク供給系(不図示)から供給される導電性インク37aがそれぞれ貯えられる。このときにドライバ回路39は、個別電極42と共通電極46との間に電位差(駆動信号)を与えると、圧電部材(PZT)から成る側壁44が変形してインク室37の容積が変化することにより、インク室ノズル38aから導電性インク37aが吐出される。
【特許文献1】特許第3506356号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
記録ヘッド43は、図7に示されるように、ドライバ回路39の制御によって変形する側壁44の個別電極42上を絶縁膜40が覆っている。従って、絶縁膜40は、側壁44の変形の影響を受けるため、経年変化等により剥離等の不具合が生じる虞がある。個別電極42は、絶縁膜40に剥離が生じた場合、個別電極42と導電性インク37aとは導通してしまう。
【0012】
次に、画像記録装置が画像記録に必要なジョブ情報を上位装置から受信して画像記録を開始するときの画像記録装置の動作について説明する。
ここで、ジョブ情報を上位装置から受信した画像記録装置は、まずノズル列の対向位置で記録媒体を載置して搬送する搬送機構を、例えば搬送機構昇降部の駆動により記録処理(画像記録)位置へ移動させる処理を行う場合がある。画像記録装置は、例えば記録処理が所定時間以上行われないまま放置された際に、搬送機構のインク汚れ防止の処理として、搬送機構をノズル列下方へ退避させると共に、ノズル列のノズルから滴るインクを受滴部で受滴させる処理を行うためである。
【0013】
従って、画像記録装置は、搬送機構を記録処理(画像記録)位置へ移動させる処理が完了した後、記録媒体の搬送経路上流側から搬送される当該記録媒体を搬送機構が載置して搬送する過程で記録処理を行っている。
【0014】
なお、このような搬送機構は、一般に画像記録装置の筐体に接地(アース)されている。
画像記録装置は、高画質な画像を得るために、ノズル列(記録ヘッド)から吐出されたインクが記録媒体に対して着弾する際の着弾位置の精度を確保するための措置として、できる限りノズル列と記録媒体との距離を近づけることが一般的には良いとされる。しかし、このような位置で記録処理を行う画像記録装置では、例えば湿度等の理由によって記録媒体に反りが生じた場合、あるいは搬送機構の搬送部材上で記録媒体に浮きが生じた場合、記録媒体を正常に搬送できない紙詰まり(ジャム)等の不具合が起こることがある。画像記録装置は、このような不具合が生じたまま記録処理が行われると、記録媒体のノズル列に接触により導電性インクが記録媒体を伝わり流れることで、搬送機構の通常はインクが付着しない位置に流れ落ちてしまう虞がある。このような不具合は、単に搬送機構を汚すだけにとどまらず、例えば前述したノズル列内のインク室において個別電極の絶縁膜に剥離等が生じていた場合には、画像記録装置の電気系が導電性インクを介して短絡する等、更なる不具合(故障)を生じさせることもあり得る。
【0015】
また、画像記録装置では、ノズル内におけるインクの増粘防止、吐出口の詰まりを防止するため回復処理を実施することが一般的である。
画像記録装置の回復機構には、このような回復処理によりインクによって装置内が汚れることがないように、排出されたインクを受滴するための受滴部や、ノズルより滴るインクを払拭するための払拭部などが備え付けられている。
【0016】
なお、このような回復機構は、一般に画像記録装置の筐体に接地(アース)されている。
画像記録装置の回復処理においては、ノズルを回復させるための部材をノズル列に当接させて行うことが一般的であるため、例えば前述したノズル列内のインク室において個別電極の絶縁膜に剥離等が生じていた場合、画像記録装置の電気系が導電性インクを介して短絡する等、更なる不具合(故障)を生じさせることもあり得る。
【0017】
そこで本発明は、前述した課題に鑑みてなされてものであり、導電性インクによる記録処理において、ノズル列のノズル内部で絶縁不良が生じても、この絶縁不良と導電性インクとによって生じる更なる不具合進行を未然に防止することが可能な画像記録装置、その装置による電力遮断処理方法及びプログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前述した目的を達成するために、本発明の態様のひとつである画像記録装置は、複数のノズルにより形成されたノズル列及び当該ノズル列を駆動するノズル列駆動部を有して成る少なくとも1つの記録ユニットと、搬送経路の上流側より搬送され複数のノズルから吐出される導電性のインクによって記録処理がなされる記録媒体を載置搬送する搬送機構と、を有する画像記録装置において、ノズル列におけるインクの詰まり、若しくは汚れを回復させる回復処理を行うための回復部を少なくとも有する回復機構と、ノズル列駆動部への電力の供給を制御する電力制御部と、を少なくとも備え、電力制御部は、記録処理の過程において搬送機構による記録媒体の載置搬送に異常が生じたときに、若しくは回復処理の過程においてノズル列の回復のために回復部を当該ノズル列に当接させるときに、ノズル列駆動部への電力の供給を遮断する制御を行う、ことを特徴とする。
【0019】
また、本発明の別の態様のひとつである電力遮断処理方法は、複数のノズルにより形成されたノズル列及び当該ノズル列を駆動するノズル列駆動部を有して成る少なくとも1つの記録ユニットと、搬送経路の上流側より搬送され複数のノズルから吐出される導電性のインクによって記録処理がなされる記録媒体を載置搬送する搬送機構と、を有する画像記録装置の当該ノズル列駆動部への電力の供給を遮断する電力遮断処理方法であって、記録処理の過程において搬送機構による記録媒体の載置搬送に異常が生じたか否か、及びノズル列におけるインクの詰まり若しくは汚れを回復させる回復処理が開始されるか否かの判定を行い、判定において搬送機構による記録媒体の載置搬送に異常が生じたと判定したときに、ノズル列駆動部への電力の供給を遮断し、判定において回復処理が開始されると判定したときに、当該回復処理の過程においてノズル列の回復のために回復部を当該ノズル列に当接させるか否かの判定を行い、更にこの判定において当該回復部を当該ノズル列に当接させると判定したときに、ノズル列駆動部への電力の供給を遮断する、ことを特徴とする。
【0020】
また、本発明の更なる別の態様のひとつであるプログラムは、複数のノズルにより形成されたノズル列及び当該ノズル列を駆動するノズル列駆動部を有して成る少なくとも1つの記録ユニットと、搬送経路の上流側より搬送され複数のノズルから吐出される導電性のインクによって記録処理がなされる記録媒体を載置搬送する搬送機構と、を有する画像記録装置の当該ノズル列駆動部への電力の供給を遮断する電力遮断の制御を演算処理装置に行わせるためのプログラムであって、記録処理の過程において搬送機構による記録媒体の載置搬送に異常が生じたか否か、及びノズル列におけるインクの詰まり若しくは汚れを回復させる回復処理が開始されるか否かの判定を行う判定処理と、判定処理において搬送機構による記録媒体の載置搬送に異常が生じたと判定したときに、ノズル列駆動部への電力の供給を遮断する処理と、判定において回復処理が開始されると判定したときに、当該回復処理の過程においてノズル列の回復のために回復部を当該ノズル列に当接させるか否かの判定を行い、この判定において当該回復部を当該ノズル列に当接させると判定したときに、ノズル列駆動部への電力の供給を遮断する処理と、を演算処理装置に行わせる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、導電性インクによる記録処理において、ノズル列のノズル内部で絶縁不良が生じても、この絶縁不良と導電性インクとによって生じる更なる不具合進行を未然に防止することが可能な画像記録装置、その装置による電力遮断処理方法及びプログラムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
なお、以下の説明においては、記録媒体の搬送方向(副走査方向)をX方向と称することとし、記録媒体の搬送方向に直交する方向(主走査方向)をY方向又は記録媒体の幅方向と称することとし、更にXY平面に直交する方向をZ方向と称することとする。
【0023】
図1は、本発明に係る画像記録装置の実施形態の構成例を概念的に示す図である。
また、図2は、本発明に係る画像記録装置の実施形態の配置例を模式的に示す側面図である。
【0024】
更に、図3は、本発明に係る画像記録装置の実施形態の配置例を模式的に示す上面図である。
画像記録装置1は、図1に示されているように、制御部2と、画像記録部3と、搬送機構4と、第1の媒体検出部5と、第2の媒体検出部6と、回復機構8と、を少なくとも備えている。
【0025】
ここで、制御部2は、画像記録装置1全体の制御を司るものである。画像記録部3は、記録媒体に記録処理を行う。搬送機構4は、記録媒体を画像記録部3の下方へ搬送する。第1の媒体検出部5は、搬送されている記録媒体の端部を検出してその検出情報を制御部2へ通知する。第2の媒体検出部6は、画像記録部3による記録処理(画像記録)中、若しくは画像記録部3による記録処理(画像記録)終了後の記録媒体の先端を検出した際に、その検出情報を制御部2へ通知する。回復機構8は、インクによる詰まりや汚れからノズル列を回復させる機構である。
【0026】
なお、画像記録装置1は、この他に、記録媒体を搬送機構4に供給する給送部なども備えているが、図示を省略している。
前述した画像記録装置1の各構成要素について、更に詳細に説明する。
【0027】
制御部2は、例えば制御機能及び演算機能を有するMPU(microprocessor unit:演算処理装置)と制御プログラムを格納するROM(read only memory)等とからなる処理回路と、画像記録装置1の制御に関する設定値等を保存しておく不揮発性メモリと、を少なくとも有しており、画像記録装置1の各構成要素の制御を行う。
【0028】
制御部2は、電力制御部9を少なくとも備えている。電力制御部9は、画像記録装置1の後述する状態に基づいて、記録ユニット7−1乃至7−nのノズル列駆動部12−1−1乃至12−n−mに対する電力の供給/停止を行う。なお、本実施形態においては、電力制御部9を、例えば制御部2のMPUが読み出す制御プログラムとしてROMに予め記憶し、この制御プログラムをMPUが実行することで、電力制御部9として機能させる。
【0029】
なお、本実施形態においては、電力制御部9を、例えば制御プログラムを含む信号処理回路とし、この信号処理回路の制御プログラムをMPUが実行することで、電力制御部9として機能させてもよい。
【0030】
画像記録部3は、記録ユニット7−1乃至7−nを少なくとも備えている。
記録ユニット7−1乃至7−nは、ノズル列駆動部12−1−1乃至12−n−mと、ノズル列13−1−1乃至13−n−mとを備えており、図2及び図3に示されているように、これらがキャリッジ34に支持される形態で配置される。記録ユニット7−1乃至7−nは、ノズル列駆動部12−1−1乃至12−n−mが制御部2からの指令を受け取ると、ノズル列13−1−1乃至13−n−mを駆動してインクを吐出させる。記録ユニット7−1乃至7−nは、このようにしてインクを吐出させることにより、制御部2から受け取る画像データと記録媒体の位置情報とを用いて記録媒体に記録処理(画像記録)を行う。
【0031】
回復機構8は、回復部33と、少なくとも1つ以上ある受滴位置検出部21と、少なくとも1つ以上ある払拭位置検出部22と、加圧部19と、負圧生成部20と、回復部移動部23と、廃液回収部24と、を少なくとも備えている。ここで、回復部33は、受滴部11−1−1乃至11−n−mと、払拭部10と、回収部18−1乃至18−nと、を少なくとも備えている。
【0032】
なお、回復機構8は、静電気対策等のため、画像記録装置1の筐体に接地(アース)されているものとする。
受滴部11−1−1乃至11−n−mは、インクによる詰まりや汚れからノズル列13−1−1乃至13−n−mを回復させる回復処理を画像記録装置1で実行する場合に、各記録ユニット7−1乃至7−nに対向配置されて、ノズル列13−1−1乃至13−n−mから吐出されるインクを受滴する。受滴部11−1−1乃至11−n−mは、図2及び図3には図示していないが、回収部18−1乃至18−nで支持されている。
【0033】
払拭部10は、ノズル列13−1−1乃至13−n−mから吐出されるインクを払拭するものであり、図2及び図3に示されているように、キャリッジ34に配設されている。
回収部18−1乃至18−n及び払拭部10は、画像記録装置1が記録処理を行う際、どちらもその記録処理の動作を妨げることのない位置に待避している。
【0034】
一方、画像記録装置1が回復処理を開始する際には、回復部移動部23が、制御部2からの指令を受け取ると、後述する回復処理の種別(回復モード)に応じた適切な位置へ受滴部11−1−1乃至11−n−m及び払拭部10を移動させる。なお、この回復部移動部23による移動動作は、受滴位置検出部21(図2及び図3においては受滴位置検出部21a、21b、21c)による受滴部11−1−1乃至11−n−mの位置検出情報、及び、払拭位置検出部22(図2及び図3においては払拭位置検出部22a、22b)による払拭部10の位置検出情報に従って行われる。制御部2は、この移動が完了した後に、後述する回復モードに応じて加圧部19及び負圧生成部20を制御してノズル列13−1−1乃至13−n−mからインクを吐出させる。このとき吐出されたインクは、回収部18−1乃至18−nで回収されて廃液回収部24へと送られる。
【0035】
搬送機構4は、搬送情報生成部14と、搬送部材15と、搬送駆動部16と、搬送機構昇降部17と、を少なくとも備えている。
なお、搬送機構4は、静電気対策等のため、画像記録装置1の筐体に接地(アース)されているものとする。
【0036】
搬送部材15は、図2において、不図示の給送部により給送されて受け渡される記録媒体を載置して搬送する無端ベルトを有する。この搬送部材15は、駆動ローラ31と、従動ローラ32a、32bとに架設されており、プラテン30の上面を摺接しながら回動するように設けられている。
【0037】
駆動ローラ31には、搬送駆動部16が接続されている。駆動ローラ31は、搬送駆動部16が制御部2の指令を受け取ると駆動される。
従動ローラ32aには、搬送情報生成部14における例えばロータリエンコーダが設けられている。搬送情報生成部14は、搬送部材15の移動量に対応したパルス信号を生成して制御部2に通知する。
【0038】
なお、搬送機構4は、搬送機構昇降部17で支持されており、画像記録装置1内で上下方向(Z方向)に移動可能な構成を有する。搬送機構昇降部17は、制御部2の指令を受け取ると、記録処理を開始するための適正な位置に搬送機構4を上下移動させる。この搬送機構4の上方における対向位置には、記録媒体の搬送方向(X方向)に対して直交する記録媒体の幅方向(Y方向)に亘りノズル列13−1−1乃至13−n−mの各ノズルが配置されるように記録ユニット7−1乃至7−nが配設されている。ノズル列13−1−1乃至13−n−mをこのように配置することにより、単色のインクに対応した長尺なラインヘッドが擬似的に構成される。
【0039】
第1の媒体検出部5は、搬送機構4へ載置される記録媒体の検出を行う。第1の媒体検出部5は、記録媒体の搬送経路において記録ユニット7−1乃至7−nよりも上流の所定の地点に配設されており、少なくとも、記録媒体の搬送方向の先端が当該所定の地点に到達した際の検出情報と、記録媒体の搬送方向の後端が当該所定の地点に到達した際の検出情報と、を検出して制御部2に通知する。
【0040】
第2の媒体検出部6も搬送機構4へ載置されている記録媒体の検出を行う。第2の媒体検出部6は、記録媒体の搬送経路において記録ユニット7−1乃至7−nよりも下流の所定の地点に配設されており、少なくとも、記録処理の終了した記録媒体の搬送方向の先端が当該所定の地点に到達した際の検出情報と、記録処理を終了し記録媒体の搬送方向の後端が当該所定の地点に到達した際の検出情報と、を検出して制御部2に通知する。
【0041】
ここで、各構成要素の符号に付記されたn,mにおいては、n(nは2≦nの整数)が記録ユニット7の個数に対応し、m(mは2≦mの整数)が受滴部11、ノズル列駆動部12及びノズル列13の個数に対応している。
【0042】
次に、画像記録装置1の主な動作について説明する。
例えばホストコンピュータである上位装置50より画像記録に必要なジョブ情報を受信した制御部2は、記録ユニット7−1乃至7−nへ電力の供給を開始すると共に、不図示の給送部から搬送機構4へ記録媒体を給送するように指令する。不図示の給送部は、この制御部2の指令を受け取ると、記録媒体を搬送機構4へ1枚ずつ受け渡し搬送する。
【0043】
制御部2は、第1の媒体検出部5による検出情報と搬送情報生成部14の情報とに基づき、記録ユニット7−1乃至7−nに対向する位置に記録媒体が到達したと判定した場合、記録ユニット7−1乃至7−nのノズル列駆動部12−1−1乃至12−n−mにノズル列13−1−1乃至13−n−mの駆動を指令して、その対向位置に到達した記録媒体に対し記録処理を行う。この対向位置を通過し、記録処理が終了した記録媒体は、第2の媒体検出部6による検出情報に基づき、搬送機構4から不図示の排出部に排出される。
【0044】
なお、制御部2は、搬送情報生成部14、第1の媒体検出部5、及び第2の媒体検出部6から得られる情報に基づき、記録媒体の搬送機構4からの排出が正常になされていないと判定した場合、記録処理を停止して搬送不良が発生したことを不図示の報知部でユーザに報知する。この場合に、ユーザは、搬送不良により搬送機構4に残留した記録媒体を取り除いた後に、記録処理の再開を画像記録装置1に指示する。
【0045】
また、制御部2は、ユーザからの指示や所定時間の経過、あるいは所定の枚数の記録処理の完了等の諸条件に基づき、ノズル列13に対して回復処理を開始する必要があると判定した場合、受滴位置検出部21a,21bと払拭位置検出部22bとの検出情報に基づき、待避させていた払拭部10及び受滴部11−1−1乃至11−n−mを適正な位置へ移動させる。そして、制御部2は、この移動後に、各ノズル列13−1−1乃至13−n−mに対する回復処理を開始する。この回復処理が終了した場合には、再び受滴位置検出部21cと払拭位置検出部22aとの検出情報に基づき、払拭部10及び受滴部11−1−1乃至11−n−mを待避させ、その後の記録処理再開に備える。
【0046】
なお、不図示の報知部は、本発明の構成例において示されていない画像記録装置1に備えられているユーザ操作パネルの表示部に設けられているものでもよく、また、画像記録装置1と別構成としてもよい。
【0047】
次に、画像記録装置1での電力遮断動作のうちのひとつである、記録媒体搬送不良が発生した際に行う電力遮断の手法について説明する。
図4は、画像記録装置1に記録媒体の搬送不良が発生した状態を模式的に示している。
【0048】
画像記録に必要な情報を上位装置50から受信した制御部2は、搬送機構昇降部17に対して指令し、搬送機構4を上下に移動して画像記録するための適切な位置へ移動させて画像記録に備える。制御部2は、搬送機構4の移動が完了すると、不図示の給送部から搬送機構4へ記録媒体を1枚ずつ給送させて、搬送機構4に搬送させる。そして、第1の媒体検出部5による検出情報と搬送情報生成部14の情報とに基づき、記録ユニット7−1乃至7−nに対向する位置に記録媒体が到達したことを検出すると、制御部2は、記録ユニット7−1乃至7−nのノズル列駆動部12−1−1乃至12−n−mにノズル列13−1−1乃至13−n−mの駆動を指令し、その位置に到達した記録媒体に対し記録処理を行う。
【0049】
ところが、記録媒体35は、例えば図4に示されるように、湿度等を原因として反りが発生した場合や、記録処理の過程における搬送中に搬送部材15に対し浮きが発生した場合に、当該記録媒体35がノズル列13に接触し、不図示の排出部に排出されなくなる場合がある。本実施形態に係る画像記録装置1の制御部2は、第1の媒体検出部5、第2の媒体検出部6、及び搬送情報生成部14から得られる情報により、記録媒体35が搬送機構4から排出されなくなったと判定した場合、画像記録装置1での記録処理を停止させる。このとき、電力制御部9は、ノズル列駆動部12−1−1乃至12−n−mへの電力を遮断し、以降、搬送不良によって搬送機構4に残存した記録媒体35の除去の通知を受け取るまで、この電力の供給を停止する。こうすることにより、前述した画像記録装置1における不具合の更なる進行が防止される。
【0050】
なお、本実施形態に係る画像記録装置1の制御部2は、記録媒体35が搬送機構4から不図示の排出部に排出されなくなったとの判定を、例えば記録媒体35の搬送方向の先端を第1の媒体検出部5が検出した時点から所定時間経過後に、当該記録媒体35の搬送方向の先端を第2の媒体検出部6が検出したか否かの時間監視により行う。
【0051】
次に、画像記録装置1での電力遮断動作のうちの別のひとつである、回復処理動作を実施する際に行う電力遮断の手法について説明する。
図5A、図5B、及び図5C、は、いずれも、画像記録装置1での回復処理動作の各態様を模式的に示したものである。ノズル列13−1−1乃至13−n−mには、これらの図において、当該ノズル列13−1−1乃至13−n−mを駆動してインクを吐出させるためのノズル列駆動部12−1−1乃至12−n−mが各々接続されている。また、ノズル列13−1−1乃至13−n−mは加圧部19と接続されており、受滴部11−1−1乃至11−n−mは、負圧生成部20及び廃液回収部24と接続されている。
【0052】
図5Aは、回復処理動作の第一の態様(モードA)を示している。このモードAにおける回復処理動作は、ノズル列13−1−1乃至13−n−m内のインクを受滴部11−1−1乃至11−n−mの側から負圧生成部20が吸引することで、ノズル列13−1−1乃至13−n−mにおけるインクの詰まりを回復させるものである。
【0053】
回復部移動部23は、モードAによる回復処理動作のために回復部33を移動させる指令を制御部2から受け取ると、まず、受滴位置検出部21aによる検出情報に基づき、受滴部11−1−1乃至11−n−mを待避位置からノズル列13−1−1乃至13−n−mの対向する位置へ移動させる。次に、回復部移動部23は、受滴位置検出部21bの検出情報に基づき、受滴部11−1−1乃至11−n−mをノズル列13−1−1乃至13−n−mに当接するように移動する。その後、制御部2は、負圧生成部20に指令してノズル列13−1−1乃至13−n−m内のインクの吸引を開始させる。
【0054】
このモードAの回復処理動作では、受滴部11−1−1乃至11−n−mとノズル列13−1−1乃至13−n−mとを当接させるため、電力制御部9は、ノズル列駆動部12−1−1乃至12−n−mへの電力を遮断して回復処理が終了するまで電力の供給を停止し、前述した画像記録装置1における不具合の更なる進行を防止する。
【0055】
図5Bは、回復処理動作の第二の態様(モードB)を示している。このモードBにおける回復処理動作は、加圧部19がノズル列13−1−1乃至13−n−m内のインク室内に対し加圧を行ってインクを吐出させ、吐出されたインクによるノズル列13−1−1乃至13−n−mの汚れを払拭部10が払拭してノズル列13−1−1乃至13−n−mを回復させる。
【0056】
回復部移動部23は、モードBによる回復処理動作のために回復部33を移動させる指令を制御部2から受け取ると、まず、受滴位置検出部21aによる検出情報に基づき、受滴部11−1−1乃至11−n−mを待避位置からノズル列13−1−1乃至13−n−mの対向する位置へ移動させる。次に、回復部移動部23は、払拭位置検出部22a及び22bの検出情報に基づいて払拭部10をノズル列13−1−1乃至13−n−mに摺接させて記録媒体の幅方向に移動させることでノズル列13−1−1乃至13−n−mを払拭させる。
【0057】
このモードBの回復処理動作では、払拭部10をノズル列13−1−1乃至13−n−mに当接させるため、電力制御部9は、まず、ノズル列駆動部12−1−1乃至12−n−mへの電力を遮断し、その後に、制御部2が、ノズル列13−1−1乃至13−n−mを加圧するように加圧部19へ通知すると共に、払拭部10に払拭動作を行わせるように回復部移動部23へ通知する。電力制御部9は、この回復処理が終了するまで、ノズル列駆動部12−1−1乃至12−n−mへの電力の供給を停止し、前述した画像記録装置1における不具合の更なる進行を防止する。
【0058】
図5Cは、回復処理動作の第三の態様(モードC)を示している。このモードBにおける回復処理動作は、ノズル列駆動部12−1−1乃至12−n−mがノズル列13−1−1乃至13−n−mを駆動してインクを吐出させる動作を一定間隔で断続的に行うことで、加圧部19、負圧生成部20、及び払拭部10を用いることなく、ノズル列13−1−1乃至13−n−mにおけるインクの詰まりを回復させる。
【0059】
回復部移動部23は、モードCによる回復処理動作のために回復部33を移動させる指令を制御部2から受け取ると、まず、受滴位置検出部21aによる検出情報に基づき、受滴部11−1−1乃至11−n−mを待避位置からノズル列13−1−1乃至13−n−mの対向する位置へ移動させる。しかし、このモードCによる回復処理動作では、ノズル列13−1−1乃至13−n−mに受滴部11−1−1乃至11−n−m及び払拭部10のどちらも当接させないので、電力制御部9は、ノズル列駆動部12−1−1乃至12−n−mへ電力の供給を停止しなくても、前述した画像記録装置1における不具合の更なる進行が生じることはない。その後、制御部2がノズル列駆動部12−1−1乃至12−n−mを制御して、ノズル列13−1−1乃至13−n−mからインクを吐出させる動作を開始させ、ノズル列13−1−1乃至13−n−mの回復処理を開始させる。なお、このとき、ノズル列13−1−1乃至13−n−mと受滴部11−1−1乃至11−n−mとの距離は、ノズル列13−1−1乃至13−n−mから導電性インクが吐出したときに、回復機構8との間で電流リークが発生しない程度の距離を保持するようにする。
【0060】
以上の回復処理動作の各モードは、例えば回復処理動作の実施時に、例えば前述したユーザ操作用パネルからユーザにより選択される。
次に、前述したノズル列13−1−1乃至13−n−mへの電力供給の遮断動作を実現するために画像記録装置1の電力制御部9により行われる電力遮断制御処理について説明する。図6は、この電力遮断制御処理の処理内容をフローチャートで示したものである。
【0061】
図6に示した電力遮断制御処理は、制御部2のMPUが、ROMに予め格納しておいた制御プログラムを読み出して実行することで電力制御部9として機能することにより、実現される。
【0062】
制御部2は、図6に示す電力遮断制御処理が開始されると、まずステップSa1において、予め定義されている2つのフラグである記録媒体残留フラグと回復処理中フラグとを共に「OFF」に設定する処理を行う。ここで、記録媒体残留フラグは、記録媒体搬送不良の発生状況を示すためのものであり、記録媒体搬送不良の発生が検出された場合、記録媒体35の除去の通知を受け取るまでの間、後述する処理によって「ON」に設定される。また、回復処理中フラグは、回復処理動作の実行状態を示すためのものであり、回復処理動作の実行期間中において後述する処理によって「ON」に設定される。
【0063】
次に制御部2は、ステップSa2において、回復部33による回復処理を開始させようとしているか否かを判定する処理を行う。制御部2は、回復処理を開始させようとしていると判定したとき(判定結果がYes)、ステップSa3へ処理を移す。一方、制御部2は、回復処理を開始させようとはしていないと判定したとき(判定結果がNo)、ステップSa7に処理を移す。
【0064】
次に制御部2は、ステップSa3において、回復部33によりこれより行われる回復処理が、ノズル列13−1−1乃至13−n−mに受滴部11−1−1乃至11−n−m、若しくは払拭部10を当接させて行う処理であるか否か、すなわち、前述したモードA若しくはモードBによる回復処理動作を行うか否かを判定する処理を行う。制御部2は、これより行われる回復処理がノズル列13−1−1乃至13−n−mへの当接を行う処理であるとき(判定結果がYes)、ステップSs4へ処理を移して回復処理中フラグを「ON」に設定する処理を行い、その後はステップSa11へ処理を移す。一方、制御部2は、これより行われる回復処理がノズル列13−1−1乃至13−n−mへの当接を行わない処理であるとき(判定結果がNo)、すなわち、前述したモードCによる回復処理動作を行うとき、ステップSa5へ処理を移して回復処理を開始させる処理を行い、その後はステップSa6へ処理を移す。
【0065】
次に制御部2は、ステップSa6において、ステップSa5の処理により開始させた回復処理が終了したか否かを判定する処理を行う。制御部2は、回復処理が終了したと判定したとき(判定結果がYes)、この電力遮断制御処理を終了する。一方、制御部2は、回復処理が終了していないと判定したとき(判定結果がNo)、回復処理が終了するまで、このステップSa6の判定処理を繰り返す。
【0066】
次に制御部2は、ステップSa7において、当該制御部2が記録処理(画像記録)に必要なジョブ情報を上位装置50より受信したか否かを判定する処理を行う。制御部2は、ジョブ情報を受信したと判定したとき(判定結果がYesのとき)、ステップSa8へ処理を移して記録処理を開始させる処理を行い、その後はステップSa9へ処理を移す。一方、制御部2は、ジョブ情報を未だ受信していないと判定したとき(判定結果がNo)、ステップSa2へ処理を移して前述した処理を繰り返す。
【0067】
次に制御部2は、ステップSa9において、記録媒体35が搬送機構4内に残留したか否かを判定する処理を行う。制御部2は、記録媒体35が残留したと判定したとき(判定結果がYes)、ステップSa10へ処理を移して記録媒体残留フラグを「ON」に設定する処理を行い、その後はステップSa11へ処理を移す。一方、制御部2は、記録媒体35が残留していないと判定したとき(判定結果がNo)、ステップSa14へと処理を移す。
【0068】
次に制御部2は、ステップSa11において、ノズル列駆動部12−1−1乃至12−n−mへの電力供給を停止する処理を行う。
次に制御部2は、ステップSa12において、記録媒体残留フラグが「ON」に設定されているか否かを判定する処理を行う。制御部2は、記録媒体残留フラグが「ON」に設定されていると判定したとき(判定結果がYes)、この電力遮断制御処理を終了する。一方、制御部2は、記録媒体残留フラグが「OFF」に設定されていると判定したとき(判定結果がNo)、ステップSa13へ処理を移す。
【0069】
次に制御部2は、ステップSa13において、回復処理中フラグが「ON」に設定されているか否かを判定する処理を行う。制御部2は、回復処理中フラグが「ON」に設定されていると判定したとき(判定結果がYes)、ステップSa5へ処理を移し、前述したように回復処理を開始させる処理を行い、その後はステップSa6へ処理を移す。一方、制御部2は、回復処理中フラグが「OFF」に設定されていると判定したとき(判定結果がNo)、ステップSa14へ処理を移す。
【0070】
次に制御部2は、ステップSa14において、ステップSa8で開始させた記録処理が終了したか否かを判定する処理を行う。制御部2は、記録処理が終了したと判定したとき(判定結果がYes)、この電力遮断制御処理を終了する。一方、制御部2は、記録処理が継続中であると判定したとき(判定結果がNo)、ステップSa9へ処理を移し、前述した処理を繰り返す。
【0071】
以上までの処理が電力遮断制御処理である。制御部2は、この処理を実行することにより、画像記録装置1で記録媒体35の搬送不良が発生した際に、若しくは回復処理を実施する際に、画像記録装置1において不具合が更に進行することがないように、ノズル列駆動部12−1−1乃至12−n−mへの電力を遮断する。
【0072】
以上説明したように、本発明によれば、記録媒体35の搬送不良が発生した際に、若しくは画像記録装置1で回復処理を実施する際に、ノズル列駆動部12−1−1乃至12−n−mへの電力を必要に応じて予め遮断するので、導電性インクによる記録処理において、ノズル列13のノズル内部で絶縁不良が生じても、この絶縁不良と導電性インクとによって生じる画像記録装置1の更なる不具合進行を未然に防止できる。
【0073】
以上、本発明の実施形態についてそれぞれ説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良・変更が可能である。
【0074】
例えば、画像記録装置1において記録媒体搬送不良が発生した際や回復処理の実施の際における電力遮断の手法に示される全体構成からいくつかの構成要素を削除してもよいし、更に異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。例えば、制御部2は、電力制御部9の制御内容の変形により、ノズル列駆動部12−1−1乃至12−n−mへの電力の供給を停止するタイミングを、回復処理動作の動作モードの種別に応じ、回復部33の移動が開始された時点で停止するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明に係る画像記録装置の実施形態の構成例を概念的に示す図である。
【図2】本発明に係る画像記録装置の実施形態の配置例を模式的に示す側面図である。
【図3】本発明に係る画像記録装置の実施形態の配置例を模式的に示す上面図である。
【図4】図1に示した画像記録装置に記録媒体の搬送不良が発生した状態を模式的に示す図である。
【図5A】図1に示した画像記録装置での回復処理動作の第一の態様を模式的に示した図である。
【図5B】図1に示した画像記録装置での回復処理動作の第二の態様を模式的に示した図である。
【図5C】図1に示した画像記録装置での回復処理動作の第三の態様を模式的に示した図である。
【図6】電力遮断制御処理の処理内容をフローチャートで示した図である。
【図7】導電性インクの使用を想定した従来の記録ヘッドの断面を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0076】
1 画像記録装置、
2 制御部
3 画像記録部
4 搬送機構
5 第1の媒体検出部
6 第2の媒体検出部
7,7−1乃至7−n 記録ユニット
8 回復機構
9 電力制御部
10 払拭部
11,11−1−1乃至11−n−m 受滴部
12,12−1−1乃至12−n−m ノズル列駆動部
13,13−1−1乃至13−n−m ノズル列
14 搬送情報生成部
15 搬送部材
16 搬送駆動部
17 搬送機構昇降部
18−1乃至18−n 回収部
19 加圧部
20 負圧生成部
21,21a,21b,21c 受滴位置検出部
22,22a,22b 払拭位置検出部
23 回復部移動部
24 廃液回収部
30 プラテン
31 駆動ローラ
32a,32b 従動ローラ
33 回復部
34 キャリッジ
35 記録媒体
37 インク室
37a 導電性インク
38 ノズルプレート
39 ドライバ回路
40 絶縁膜
41 空間
42 個別電極
43 記録ヘッド
44 側壁
45 ベース基板
46 共通電極
50 上位装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のノズルにより形成されたノズル列及び当該ノズル列を駆動するノズル列駆動部を有して成る少なくとも1つの記録ユニットと、搬送経路の上流側より搬送され前記複数のノズルから吐出される導電性のインクによって記録処理がなされる記録媒体を載置搬送する搬送機構と、を有する画像記録装置において、
前記ノズル列における前記インクの詰まり、若しくは汚れを回復させる回復処理を行うための回復部を少なくとも有する回復機構と、
前記ノズル列駆動部への電力の供給を制御する電力制御部と、を少なくとも備え、
前記電力制御部は、前記記録処理の過程において前記搬送機構による前記記録媒体の載置搬送に異常が生じたときに、若しくは前記回復処理の過程において前記ノズル列の回復のために前記回復部を当該ノズル列に当接させるときに、前記ノズル列駆動部への電力の供給を遮断する制御を行う、ことを特徴とする画像記録装置。
【請求項2】
前記電力制御部を有する制御部を更に備えており、
前記制御部は、演算処理装置と当該演算処理装置に実行させる制御プログラムが予め格納されている記憶部とを少なくとも備えて構成され、当該演算処理装置で当該制御プログラムを実行させることにより前記電力制御部として機能する、ことを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
前記搬送経路における前記搬送機構の上流側に配設され、前記記録媒体の端部を検出する第1の媒体検出部と、
前記搬送経路における前記搬送機構の下流側に配設され、前記記録媒体の端部を検出する第2の媒体検出部と、を更に備える、ことを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項4】
前記回復部は、前記ノズル列に摺接させて当該ノズル列を払拭する払拭部と、前記ノズル列から吐出された前記インクを少なくとも受滴する受滴部と、前記払拭部が払拭し若しくは前記受滴部が受滴した前記インクを回収する回収部と、を備え、
前記回復機構は、前記記録処理において前記ノズルから吐出した前記インクを前記記録媒体へ到達させるために退避する位置と、前記受滴部を前記ノズル列に当接させる位置と、前記払拭部を前記ノズル列に摺接させる位置と、に前記回復部をそれぞれ移動させる、ことを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項5】
前記回復機構は、前記回復部を移動させるための回復部移動部を有する、ことを特徴とする請求項4に記載の画像記録装置。
【請求項6】
前記回復機構は、前記ノズル列におけるインクの詰まりを前記受滴部の側から吸引するための負圧生成部を有する、ことを特徴とする請求項4に記載の画像記録装置。
【請求項7】
前記回復機構は、前記負圧生成部が吸引した前記インクを回収するための廃液回収部を有する、ことを特徴とする請求項6に記載の画像記録装置。
【請求項8】
前記回復機構は、前記ノズル列内のインク室内を加圧して当該ノズル列におけるインクの詰まりを排出させるための加圧部を有する、ことを特徴とする請求項4乃至7のうちのいずれか1項に記載の画像記録装置。
【請求項9】
複数のノズルにより形成されたノズル列及び当該ノズル列を駆動するノズル列駆動部を有して成る少なくとも1つの記録ユニットと、搬送経路の上流側より搬送され前記複数のノズルから吐出される導電性のインクによって記録処理がなされる記録媒体を載置搬送する搬送機構と、を有する画像記録装置の当該ノズル列駆動部への電力の供給を遮断する電力遮断処理方法であって、
前記記録処理の過程において前記搬送機構による前記記録媒体の載置搬送に異常が生じたか否か、及び前記ノズル列におけるインクの詰まり若しくは汚れを回復させる回復処理が開始されるか否かの判定を行い、
前記判定において前記搬送機構による前記記録媒体の載置搬送に異常が生じたと判定したときに、前記ノズル列駆動部への電力の供給を遮断し、
前記判定において前記回復処理が開始されると判定したときに、当該回復処理の過程において前記ノズル列の回復のために前記回復部を当該ノズル列に当接させるか否かの判定を行い、更にこの判定において当該回復部を当該ノズル列に当接させると判定したときに、前記ノズル列駆動部への電力の供給を遮断する、ことを特徴とする電力遮断処理方法。
【請求項10】
複数のノズルにより形成されたノズル列及び当該ノズル列を駆動するノズル列駆動部を有して成る少なくとも1つの記録ユニットと、搬送経路の上流側より搬送され前記複数のノズルから吐出される導電性のインクによって記録処理がなされる記録媒体を載置搬送する搬送機構と、を有する画像記録装置の当該ノズル列駆動部への電力の供給を遮断する電力遮断の制御を演算処理装置に行わせるためのプログラムであって、
前記記録処理の過程において前記搬送機構による前記記録媒体の載置搬送に異常が生じたか否か、及び前記ノズル列におけるインクの詰まり若しくは汚れを回復させる回復処理が開始されるか否かの判定を行う判定処理と、
前記判定処理において前記搬送機構による前記記録媒体の載置搬送に異常が生じたと判定したときに、前記ノズル列駆動部への電力の供給を遮断する処理と、
前記判定において前記回復処理が開始されると判定したときに、当該回復処理の過程において前記ノズル列の回復のために前記回復部を当該ノズル列に当接させるか否かの判定を行い、この判定において当該回復部を当該ノズル列に当接させると判定したときに、前記ノズル列駆動部への電力の供給を遮断する処理と、を前記演算処理装置に行わせる、ことを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図2】
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【図3】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【公開番号】特開2008−238731(P2008−238731A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−85357(P2007−85357)
【出願日】平成19年3月28日(2007.3.28)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】