説明

画像読み取り制御装置、画像読み取り装置及びプログラム

【課題】キャリブレーションスキャンが指示された場合に、画像読み取り結果に対して、キャリブレーションスキャンに特化した信号変換を行う。
【解決手段】画像読み取り装置のスキャナ処理部200において、スキャナ制御部201は、モード判別部202により、指示されたスキャンの動作モードを判別する。動作モードが通常スキャンである場合は、画像読み取り結果に対して、通常スキャン用LUTに基づき色変換を行う。また、動作モードがキャリブレーションスキャンである場合は、画像読み取り結果に対して、キャリブレーションスキャン用LUTに基づき色変換を行う。このとき、キャリブレーションスキャン用LUTとしては、通常スキャン用LUTのシャドウ部及びハイライト部の階調が出ないように設定された部分を、線形性を有するように設定したものを用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読み取り制御装置、画像読み取り装置、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
色補正係数を装置自身で算出できるようにする技術は知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1では、色補正用パターンデータを記録部から出画し、これを読取り部1で読み込み、この読み込んだデータと、色補正用パターンデータとの色差の誤差が最小となるように最小自乗法を用いて色補正係数を算出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−149279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、調整用画像読み取りが指示された場合に、画像読み取り結果に対して、調整用画像読み取りに特化した信号変換を行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、画像読み取りの指示に応じて、当該画像読み取りが、媒体に印刷される画像の濃度を調整するための調整用画像読み取りであるかどうかを判別する判別手段と、前記判別手段により前記画像読み取りが前記調整用画像読み取りでないと判別された場合には、当該画像読み取りで得られた入力信号を第1の変換定義に基づいて出力信号に変換するよう制御し、前記判別手段により前記画像読み取りが前記調整用画像読み取りであると判別された場合には、当該入力信号を当該第1の変換定義とは異なる第2の変換定義に基づいて当該出力信号に変換するよう制御する制御手段とを備えたことを特徴とする画像読み取り制御装置である。
請求項2に記載の発明は、前記第1の変換定義及び前記第2の変換定義は、第1の濃度よりも低濃度で第2の濃度よりも高濃度の領域において、前記入力信号の値が大きくなれば前記出力信号の値も大きくなるように定義されており、前記第1の変換定義は、第3の濃度よりも低濃度で前記第1の濃度よりも高濃度の領域及び前記第2の濃度よりも低濃度で第4の濃度よりも高濃度の領域において、前記入力信号の値が大きくなれば前記出力信号の値も大きくなるように定義され、当該第3の濃度よりも高濃度の領域において、前記出力信号の値が最大濃度値となるように定義され、当該第4の濃度よりも低濃度の領域において、前記出力信号の値が最小濃度値となるように定義されており、前記第2の変換定義は、前記第1の濃度よりも高濃度の領域及び前記第2の濃度よりも低濃度の領域において、前記入力信号の値が大きくなれば前記出力信号の値も大きくなるように定義されていることを特徴とする請求項1に記載の画像読み取り制御装置である。
請求項3に記載の発明は、前記第2の変換定義は、前記第1の濃度よりも高濃度の領域及び前記第2の濃度よりも低濃度の領域において、前記入力信号の値の変化に対する前記出力信号の値の変化が線形性を有するように定義されていることを特徴とする請求項3に記載の画像読み取り制御装置である。
請求項4に記載の発明は、前記制御手段は、前記判別手段により前記画像読み取りが前記調整用画像読み取りでないと判別された場合には、第1の速度で当該画像読み取りを行うよう制御し、前記判別手段により前記画像読み取りが前記調整用画像読み取りであると判別された場合には、当該第1の速度よりも遅い第2の速度で当該画像読み取りを行うよう制御することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の画像読み取り制御装置である。
請求項5に記載の発明は、原稿に対して光を照射する照射手段と、前記原稿から反射された光を受光する受光手段と、前記原稿からの画像読み取りの指示に応じて、当該画像読み取りが、媒体に印刷される画像の濃度を調整するための調整用画像読み取りであるかどうかを判別する判別手段と、前記判別手段により前記画像読み取りが前記調整用画像読み取りでないと判別された場合には、前記照射手段及び前記受光手段による当該画像読み取りで得られた入力信号を第1の変換定義に基づいて出力信号に変換するよう制御し、前記判別手段により前記画像読み取りが前記調整用画像読み取りであると判別された場合には、当該入力信号を当該第1の変換定義とは異なる第2の変換定義に基づいて当該出力信号に変換するよう制御する制御手段とを備えたことを特徴とする画像読み取り装置である。
請求項6に記載の発明は、コンピュータに、画像読み取りの指示に応じて、当該画像読み取りが、媒体に印刷される画像の濃度を調整するための調整用画像読み取りであるかどうかを判別する機能と、前記画像読み取りが前記調整用画像読み取りでないと判別された場合には、当該画像読み取りで得られた入力信号を第1の変換定義に基づいて出力信号に変換するよう制御し、前記画像読み取りが前記調整用画像読み取りであると判別された場合には、当該入力信号を当該第1の変換定義とは異なる第2の変換定義に基づいて当該出力信号に変換するよう制御する機能とを実現させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明によれば、調整用画像読み取りが指示された場合に、画像読み取り結果に対して、調整用画像読み取りに特化した信号変換を行うことができる。
請求項2の発明によれば、調整用画像読み取りが指示された場合に、本構成を有していない場合に比較して、画像読み取り結果の精度を向上することができる。
請求項3の発明によれば、調整用画像読み取りが指示された場合に、画像読み取り結果の精度をより一層向上することができる。
請求項4の発明によれば、調整用画像読み取りが指示された場合に、本構成を有していない場合に比較して、画像読み取り結果の精度を向上することができる。
請求項5の発明によれば、調整用画像読み取りが指示された場合に、画像読み取り結果に対して、調整用画像読み取りに特化した信号変換を行うことができる。
請求項6の発明によれば、調整用画像読み取りが指示された場合に、画像読み取り結果に対して、調整用画像読み取りに特化した信号変換を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施の形態が適用される画像読み取り装置の構成例を示した図である。
【図2】キセノン照明の照度特性を示したグラフである。
【図3】電源オン直後からのスキャナの読み取り値の変動を示したグラフである。
【図4】CCDの暗時出力電圧特性を示したグラフである。
【図5】電源オン直後からのスキャナの主走査方向のプロファイルの変動を示したグラフである。
【図6】電源オン直後からのスキャナの主走査方向のプロファイルの変動(白変動補正後)を示したグラフである。
【図7】本発明の実施の形態におけるスキャナ処理部、信号処理部等の機能構成例を示した図である。
【図8】本発明の実施の形態におけるスキャナ制御部の動作例を示したフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態におけるスキャナ制御部の通常スキャン時の動作例を示したフローチャートである。
【図10】本発明の実施の形態におけるスキャナ制御部のキャリブレーションスキャン時(モード1)の動作例を示したフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態におけるスキャナ制御部のキャリブレーションスキャン時(モード2)の動作例を示したフローチャートである。
【図12】本発明の実施の形態で用いる通常スキャン用LUT及びキャリブレーションスキャン用LUTを示したグラフである。
【図13】本発明の実施の形態で用いる通常スキャン用LUT及びキャリブレーションスキャン用LUTを示したグラフ(シャドウ部及びハイライト部を拡大)である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態が適用される画像読み取り装置110を示した図である。この画像読み取り装置110には、積載された原稿束から原稿を順次搬送する原稿送り装置10、スキャンによって画像を読み込むスキャナ装置70、画像読み取り装置110全体の制御等の処理を行うスキャナ処理部200、読み込まれた画像信号を処理する信号処理部300に大別される。また、図には、厳密には画像読み取り装置110を構成するものではないが、信号処理部300からの出力に対して出力用の画像処理を施す画像処理部400、画像読み取り装置110を含むシステム全体を制御するシステム制御部500、紙等の記録媒体に画像を形成する画像形成部600も示している。ここで、画像形成部600における画像形成方式としては、感光体に付着させたトナーを記録媒体に転写して像を形成する電子写真方式を採用してもよいし、インクを記録媒体上に吐出して像を形成するインクジェット方式を採用してもよい。
【0009】
原稿送り装置10は、複数枚の原稿からなる原稿束が積載される第1原稿積載部11と、第1原稿積載部11を上昇及び下降させるリフタ12とを備えている。また、リフタ12により上昇された第1原稿積載部11上の原稿を取り出して搬送する取り出しロール13と、取り出しロール13により搬送された原稿を更に下流側まで搬送するフィードロール14と、取り出しロール13により搬送された原稿を1枚ずつ捌くリタードロール15とを備えている。また、原稿が搬送される原稿搬送経路31には、一枚ずつに捌かれた原稿を下流側のロールまで搬送するテイクアウェイロール16、原稿を更に下流側のロールまで搬送すると共にループ作成を行うプレレジロール17が設けられている。
【0010】
更に原稿搬送経路31には、一旦停止した後にタイミングを合わせて回転を再開し原稿読み取り部に対してレジストレーション調整を施しながら原稿を供給するレジロール18が備えられている。また、原稿搬送経路31には、読み込み中の原稿搬送をアシストするプラテンロール19と、読み込まれた原稿を更に下流に搬送するアウトロール20が設けられている。更に、原稿搬送経路31には、搬送される原稿のループ状態に応じて支点を中心として両方向に回転するバッフル41が備えられている。また、プラテンロール19とアウトロール20との間には、原稿上の画像を読み取る画像読み取りユニット50が設けられている。更にアウトロール20の下流側には、読み込みが終了した原稿が積載される第2原稿積載部40が設けられているとともに、この第2原稿積載部40へ原稿を排出する排出ロール21が設けられている。
【0011】
ここで、取り出しロール13は、待機時にはリフトアップされて退避位置に保持され、原稿搬送時にニップ位置(原稿搬送位置)へ降下して第1原稿積載部11上の最上位の原稿を搬送する。またフィードロール14は、取り出しロール13により搬送が開始された原稿を更に下流側へと搬送する。またプレレジロール17は、停止しているレジロール18に原稿先端を突き当ててループを作成する。レジロール18では、ループ作成時にレジロール18に噛み込んだ原稿先端をニップ位置まで戻している。このループが形成されると、バッフル41は支点を中心として開き、原稿のループを妨げることのないように機能する。また、テイクアウェイロール16及びプレレジロール17は、読み込み中におけるループを保持している。このループ形成によって、読み込みタイミングの調整が図られ、また、原稿のスキューが抑制される。
【0012】
一方、スキャナ装置70は、上述した原稿送り装置10を装置フレーム71によって支え、また、原稿送り装置10によって搬送される原稿の画像読み取りを行っている。このスキャナ装置70は、装置フレーム71の上部に、画像を読み込むべき原稿が静止させた状態で載せられる第1プラテンガラス72A、原稿送り装置10によって搬送中の原稿を読み取るための光の開口部を形成する第2プラテンガラス72Bを有している。尚、本実施の形態では、画像読み取り装置110の奥側に設けられた支点を中心として原稿送り装置10が回転できるようになっている。そして本実施の形態では、原稿送り装置10をこの支点を中心として上方に回転させることで原稿送り装置10が上方に移動し、第1プラテンガラス72Aの上に原稿がセットできるようになっている。
【0013】
またスキャナ装置70は、第2プラテンガラス72Bの下に静止し、及び第1プラテンガラス72Aの全体に亘ってスキャンして画像を読み込むフルレートキャリッジ73を備えている。またスキャナ装置70は、フルレートキャリッジ73から得られた光を像結合部へ提供するハーフレートキャリッジ75を備えている。フルレートキャリッジ73には、原稿に光を照射する照射手段の一例としての照明ランプ74、原稿から得られた反射光を受光する第1ミラー76Aが設けられている。またハーフレートキャリッジ75には、第1ミラー76Aから得られた光を結像部へ提供する第2ミラー76B及び第3ミラー76Cが設けられている。またスキャナ装置70は、第3ミラー76Cから得られた光学像を光学的に縮小する結像用レンズ77、結像用レンズ77によって結像された光学像を光電変換する受光手段の一例としてのCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ78を備えている。そして、CCDイメージセンサ78によって得られた画像信号は信号処理部300に送られる。
【0014】
ここで、第1プラテンガラス72Aに載せられた原稿の画像を読み取る場合には、フルレートキャリッジ73とハーフレートキャリッジ75とが、2:1の割合でスキャン方向(矢印方向)に移動する。このとき、フルレートキャリッジ73の照明ランプ74の光が原稿の被読み取り面に照射されると共に、その原稿からの反射光が第1ミラー76A、第2ミラー76B、及び第3ミラー76Cの順に反射されて結像用レンズ77に導かれる。結像用レンズ77に導かれた光は、CCDイメージセンサ78の受光面に結像される。CCDイメージセンサ78は1次元のセンサであり、1ライン分を同時に処理している。このライン方向(スキャンの主走査方向)の1ラインの読み取りが終了すると、主走査方向とは直交する方向(副走査方向)にフルレートキャリッジ73は移動し、原稿の次のラインが読み取られる。これを原稿サイズ全体に亘って実行することで、1ページの原稿読み取りが完了する。
【0015】
また、原稿送り装置10によって搬送される原稿を読み取る場合には、原稿送り装置10によって搬送される原稿が第2プラテンガラス72Bの上を通過する。このとき、フルレートキャリッジ73とハーフレートキャリッジ75は、図1に示す実線の位置に停止した状態にある。そして、原稿送り装置10のプラテンロール19を経た原稿の1ライン目の反射光が、第1ミラー76A、第2ミラー76B、及び第3ミラー76Cを経て結像用レンズ77にて結像され、CCDイメージセンサ78によって画像が読み込まれる。
【0016】
そして、1次元のセンサであるCCDイメージセンサ78によって主走査方向の1ライン分が同時に処理された後、原稿送り装置10によって搬送される原稿の次の主走査方向の1ラインが読み込まれる。その後、原稿の後端が、第2プラテンガラス72Bの読み取り位置を通過することによって、副走査方向に亘って1ページの読み取りが完了する。尚、本実施の形態では、CCDイメージセンサ78により原稿の第一面の読み取りを行うときに、同時に画像読み取りユニット50によって、原稿の第二面の読み取りを行うこととしている。このようにすることで、原稿を何度も搬送することなく一回の搬送で原稿の両面を読み取ることが可能となる。ここで、上記の「同時」とは、時間の完全一致を意味するものではなく、原稿の同一の搬送時に、という意味である。
【0017】
ところで、このような画像読み取り装置110を用いて、プリンタキャリブレーションを行うことがある。ここで、プリンタキャリブレーションとは、画像形成部600を構成する部材の経時変化や環境変化に伴い、画像形成部600で形成される画像の濃度に変動が生じるので、そのような変動を抑制する目的で行われる調整動作である。
【0018】
この画像読み取り装置110を用いたプリンタキャリブレーションは、計測器を用いたプリンタキャリブレーションに比べると、簡易かつ短時間に補正できるが、読み取りの安定性が悪い(経時劣化がある)という第1の問題点と、精度が悪い(高濃度が読み取れない、階調が出ない)という第2の問題点とがある。
【0019】
このうち、第1の問題点は、画像読み取り装置110で用いられるデバイスの特性によって引き起こされる。
まず、画像読み取り装置110の照明ランプ74としてよく用いられるキセノン照明の特性について説明する。
図2は、キセノン照明の温度と照度の関係を示したグラフである。横軸は、環境温度及び自己発熱による素子の温度を含む周囲温度を示しており、縦軸は、基準温度における照度を100としたときの相対照度を示している。
このグラフから分かるように、一般にキセノン照明は、環境温度及び自己発熱による素子の温度が上昇するにつれて照度が低下するという特性を有する。
また、画像読み取り装置110の照明ランプ74としてよく用いられるLED(Light Emitting Diode)照明も同じような特性を有する。
【0020】
そのため、同じ原稿を電源オン直後から繰り返して読み取る場合は、照明ランプ74が安定状態に達するまでにかなりの時間を要する。
図3は、電源オン直後からの照明ランプ74の変動を示したグラフである。横軸は、電源オンからの経過時間を示しており、縦軸は、キセノン照明から特定のコピー用紙に光を当てたときにCCDで得られた信号レベルを8ビットで表した信号値を示している。
このグラフでは、電源オンから約400秒が経過すると、R、G、Bの値の変動が小さくなっている。従って、照明ランプ74が安定状態に達するには約400秒を要することが分かる。
【0021】
次に、画像読み取り装置110のCCDイメージセンサ78におけるCCDの特性について説明する。
図4は、CCDの暗時出力電圧特性を示したグラフである。横軸は、環境温度及び自己発熱による温度を含む周囲温度を示し、縦軸は、暗時出力電圧を示している。
このグラフから分かるように、CCDは、環境温度及び自己発熱による素子の温度が上昇するにつれて出力電圧が上昇するという特性を有する。
【0022】
そのため、CCD素子が実装されるプリント基板上の温度分布が偏っていたり、光学系に温度特性があったりすると、スキャナの主走査方向のプロファイルに差が生じてしまう。
図5は、電源オン直後からのスキャナの主走査方向のプロファイルの変動を示したグラフである。横軸は、主走査方向の画素の並びを示しており、縦軸は、CCDで得られた信号レベルを8ビットで表した信号値を示している。
図3では、キセノン照明の特性により信号値は電源オン直後から安定状態へと徐々に小さくなっていくので、このグラフでも、電源オン直後に比べて安定後は信号値が小さくなっている。
【0023】
そこで、一般的には、電源投入時に、スキャナの主走査方向のプロファイルのデータ(以下、「シェーディングデータ」という)を採取し、それを用いて読み取りデータを補正し、更にスキャン直前にセンタ基準で光量劣化を補正する白変動補正を実施している。
図6は、図5に示した安定後のスキャナのプロファイルを、白変動補正を考慮して移動させたときの状態を、電源オン直後のスキャナのプロファイルと比較して示したグラフである。
スキャナの主走査方向のプロファイルには差があるので、図5では、電源オン直後と安定後とでプロファイルの形状が異なっていた。従って、電源オン直後のシェーディングデータで補正し、白変動補正を行ったのでは、図から分かるように、センタにおける値は一致するものの、読み取りデータ全体は重ならない。即ち、プロファイルの形状変化は補正できない。
【0024】
また、第2の問題点は、通常のコピー、スキャン、ファクシミリ送信のための画像読み取りで用いるLUT(LookUp Table)を、キャリブレーションのための画像読み取りでも用いていることによる。通常のコピー、スキャン、ファクシミリ送信のための画像読み取りで用いるLUTは、ノイズ防止のためシャドウ部で階調が出ないように、かつ、裏写り防止のためハイライト部で階調が出ないように設定されている。従って、これをキャリブレーションのための画像読み取りで用いると、要求される階調が出せず、精度が悪くなる。
【0025】
以上述べたような問題点を考慮すると、キャリブレーションのための画像読み取り(以下、「キャリブレーションスキャン」という)は、通常のコピー、スキャン、ファクシミリ送信のための画像読み取り(以下、「通常スキャン」という)で使う動作モードとは異なる動作モードを使って動作を行うのが望ましい。
【0026】
そこで、このような動作を実現する画像読み取り装置110の機能構成について説明する。
図7は、画像読み取り装置110のうち、スキャナ処理部200、駆動部90、照明ランプ74、CCDイメージセンサ78、信号処理部300、画像処理部400、システム制御部500、画像形成部600を含む部分の機能構成例を示したブロック図である。
【0027】
まず、スキャナ処理部200について説明する。
図示するように、スキャナ処理部200は、スキャナ制御部201と、モード判別部202と、パラメータ保持部203と、LUT切り替え部204とを備えている。
【0028】
スキャナ制御部201は、画像読み取り装置110の画像読み取り動作における各部の制御を行う。本実施の形態では、制御手段の一例として、スキャナ制御部201を設けている。
モード判別部202は、スキャンが指示されたときに、動作モード及び計測モードを、例えばシステム制御部500からの通知によって判別する。動作モードは、指示されたスキャンがキャリブレーションスキャン(調整用画像読み取り)であるか通常スキャンであるかを示すモードである。この動作モードは、例えば、図示しないUI(User Interface)からシステム制御部500に伝えておくとよい。また、計測モードは、キャリブレーションスキャン時の照明ランプ74の点灯後の待ち時間を規定するモードである。この計測モードは、例えば、前回のスキャンからの経過時間、前回のスキャンで読み取った紙の枚数、又は、これらの組み合わせよって設定するとよい。具体的には、前回のスキャンからの経過時間が短い場合や、前回のスキャンで読み取った紙の枚数が多い場合は、安定状態に近いので、待ち時間が短い計測モードとし、前回のスキャンからの経過時間が長い場合や、前回のスキャンで読み取った紙の枚数が少ない場合は、安定状態から遠いので、待ち時間が長い計測モードとするとよい。本実施の形態では、判別手段の一例として、モード判別部202を設けている。
【0029】
パラメータ保持部203は、キャリブレーションスキャン時の動作シーケンスの情報、特に、照明ランプ74が安定状態に達するまでの計測モードごとの待ち時間を示すパラメータを保持する。
LUT切り替え部204は、キャリブレーションスキャンが指示されたときに、通常スキャンで用いられるLUT(以下、「通常スキャン用LUT」という)を、キャリブレーションスキャンで用いられるLUT(以下、「キャリブレーションスキャン用LUT」という)に切り替える。ここで、通常スキャン用LUT及びキャリブレーションスキャン用LUTは予め作成されて、図示しないメモリに格納されているものとする。
【0030】
尚、これらのうち、パラメータ保持部203は、例えば不揮発性メモリにより実現してもよい。また、スキャナ制御部201、モード判別部202、LUT切り替え部204は、例えばCPUがROMに記憶されたプログラムをRAMに読み込んで実行することにより、実現してもよい。
【0031】
また、駆動部90は、図1には示さなかったが、スキャナ装置70におけるモータを駆動してフルレートキャリッジ73及びハーフレートキャリッジ75によるスキャン動作を制御したり、原稿送り装置10におけるモータを駆動して原稿の搬送動作を制御したりする。
尚、照明ランプ74及びCCDイメージセンサ78については、図1を参照して説明したので、ここでの説明は省略する。
【0032】
次に、信号処理部300について説明する。
図示するように、信号処理部300は、サンプルホールド回路301と、ゲイン調整回路302と、オフセット調整回路303と、A/D変換回路304と、シェーディング補正回路305と、白データ保持部306と、黒データ保持部307と、色変換部308とを備える。
【0033】
サンプルホールド回路301は、CCDイメージセンサ78から出力されたアナログ画像信号をサンプリングする。
ゲイン調整回路302は、照明ランプ74の点灯状態で白色板から反射した光に基づいてCCDイメージセンサ78から出力された電圧がA/D変換回路304の最高入力電圧に近い値となるように調整する。
オフセット調整回路303は、照明ランプ74の消灯状態でCCDイメージセンサ78から出力された電圧がA/D変換回路304の最低入力電圧に近い値となるように調整する。
A/D変換回路304は、オフセット調整回路303から出力されたアナログ画像信号をデジタル画像信号に変換する。
【0034】
シェーディング補正回路305は、A/D変換回路304から出力されたデジタル画像信号に対し、シェーディングデータを用いて、CCDイメージセンサ78の感度バラツキ等による濃度ムラの補正(シェーディング補正)を施す。本実施の形態では、状態情報の一例として、シェーディングデータを用いている。
白データ保持部306は、シェーディング補正回路305で用いるために取得されたシェーディングデータ及び白基準データを保持する。
黒データ保持部307は、シェーディング補正回路305で用いるために取得された黒基準データを保持する。
色変換部308は、シェーディング補正回路305から出力されたデジタル画像信号をLUTに基づいて変換し、変換後のデジタル画像信号を画像処理部400に出力する。
【0035】
尚、画像処理部400、システム制御部500、及び画像形成部600については、図1を参照して説明したので、ここでの説明は省略する。
【0036】
次に、本実施の形態における画像読み取り装置110の動作について説明する。
図8〜図11は、スキャナ制御部201の動作例を示したフローチャートである。
図8に示すように、画像読み取り装置110を含むシステムの電源がオンされると、まず、スキャナ制御部201は、照明ランプ74を点灯させて安定するまで待つ(ステップ221)。そして、駆動部90によりモータを駆動し、CCDイメージセンサ78により白色板を読み取り、ゲイン調整回路302に対するゲイン調整を実施する(ステップ222)。
また、スキャナ制御部201は、照明ランプ74を消灯して安定するまで待つ(ステップ223)。そして、オフセット調整回路303に対するオフセット調整(又は黒データ採取)を実施する(ステップ224)。
更に、スキャナ制御部201は、照明ランプ74を点灯させて安定するまで待つ(ステップ225)。そして、CCDイメージセンサ78によりシェーディングデータ及び白基準データを採取し、白データ保持部306に出力する(ステップ226)。
【0037】
その後、スキャナ制御部201は、照明ランプ74を消灯する(ステップ227)。そして、スキャン指示があったかどうかを判定する(ステップ228)。スキャン指示がないと判定されれば、ステップ228を繰り返すが、スキャン指示があったと判定されれば、モード判別部202により、指示されたスキャンの動作モードがキャリブレーションスキャンであるかどうかを判定する(ステップ229)。
その結果、動作モードがキャリブレーションスキャンでないと判定された場合、つまり、通常スキャンである場合の処理については後述する。
一方、動作モードがキャリブレーションスキャンであると判定された場合、スキャナ制御部201は、モード判別部202により、キャリブレーションスキャンにおける計測モードがモード1であるかモード2であるかを判定する(ステップ230)。尚、計測モードは幾つ用意してもよいが、この動作例では、モード1とモード2の2つの計測モードを用意している場合を例にとって説明する。計測モードがモード1であると判定された場合の処理、及び、計測モードがモード2であると判定された場合の処理についても後述する。
【0038】
次に、ステップ229で動作モードが通常スキャンであると判定された場合のスキャナ制御部201の動作について説明する。
図9に示すように、まず、スキャナ制御部201は、照明ランプ74を点灯させて安定するまで待つ(ステップ241)。そして、色変換部308に通常スキャン用LUTを設定するようLUT切り替え部204に指示する(ステップ242)。また、CCDイメージセンサ78により白変動補正で用いるデータを採取する(ステップ243)。
その後、スキャナ制御部201は、駆動部90によりモータを駆動し、CCDイメージセンサ78により第1プラテンガラス72A又は第2プラテンガラス72B上の原稿の画像を読み取る(ステップ244)。
こうして原稿の画像が読み取られると、スキャナ制御部201は、照明ランプ74を消灯する(ステップ245)。そして、駆動部90によりモータを駆動し、スキャンバックを行い(ステップ246)、図8のステップ228へ戻る。
【0039】
一方、ステップ244で原稿から読み取られた画像データは、サンプルホールド回路301、ゲイン調整回路302、オフセット調整回路303、A/D変換回路304、シェーディング補正回路305、色変換部308、画像処理部400を経由して、システム制御部500に転送される。このとき、ゲイン調整回路302は、ステップ222で取得した情報を用いてゲイン調整を行い、オフセット調整回路303は、ステップ224で取得した情報を用いてオフセット調整を行い、シェーディング補正回路305は、ステップ226で取得した情報を用いてシェーディング補正を行うと共にステップ243で取得した情報を用いて白変動補正を行い、色変換部308は、ステップ242で設定された通常スキャン用LUTを用いて色変換を行う。
そして、システム制御部500は、画像形成部600に画像データを転送し、画像形成部600は、画像データに基づいて紙等の媒体に画像を形成する。
【0040】
次いで、ステップ230で計測モードがモード1であると判定された場合のスキャナ制御部201の動作について説明する。尚、ここでは、端末装置(図示せず)がテストチャートの元となる画像データを、プリントサーバ(図示せず)及びシステム制御部500を経由して画像形成部600に送信し、画像形成部600がテストチャートを出力し、これを画像読み取り装置110で読み取るものとする。
図10に示すように、まず、スキャナ制御部201は、照明ランプ74を点灯させ、パラメータ保持部203でモード1に対して保持された時間だけ、照明ランプ74が安定するのを待つ(ステップ261)。そして、駆動部90によりモータを駆動し、CCDイメージセンサ78により白色板を読み取り、ゲイン調整回路302に対するゲイン調整を実施する(ステップ262)。
また、スキャナ制御部201は、照明ランプ74を消灯して安定するまで待つ(ステップ263)。そして、オフセット調整回路303に対するオフセット調整(又は黒データ採取)を実施する(ステップ264)。
【0041】
更に、スキャナ制御部201は、照明ランプ74を再度点灯させ、パラメータ保持部203でモード1に対して保持された時間だけ、照明ランプ74が安定するのを待つ(ステップ265)。そして、CCDイメージセンサ78によりシェーディングデータを採取し、白データ保持部306に出力する(ステップ266)。また、スキャナ制御部201は、色変換部308にキャリブレーションスキャン用LUTを設定するようLUT切り替え部204に指示する(ステップ267)。
その後、スキャナ制御部201は、駆動部90によりモータを駆動し、CCDイメージセンサ78により第1プラテンガラス72A又は第2プラテンガラス72B上のテストチャートの画像を読み取る(ステップ268)。
こうしてテストチャートの画像が読み取られると、スキャナ制御部201は、照明ランプ74を消灯する(ステップ269)。そして、駆動部90によりモータを駆動し、スキャンバックを行い(ステップ270)、図8のステップ228へ戻る。
【0042】
一方、ステップ268でテストチャートから読み取られた画像データは、サンプルホールド回路301、ゲイン調整回路302、オフセット調整回路303、A/D変換回路304、シェーディング補正回路305、色変換部308、画像処理部400を経由して、システム制御部500に転送される。このとき、ゲイン調整回路302は、ステップ262で取得した情報を用いてゲイン調整を行い、オフセット調整回路303は、ステップ264で取得した情報を用いてオフセット調整を行い、シェーディング補正回路305は、ステップ266で取得した情報を用いてシェーディング補正を行い、色変換部308は、ステップ267で設定されたキャリブレーションスキャン用LUTを用いて色変換を行う。
そして、システム制御部500は、プリントサーバ(図示せず)に画像データを転送する。プリントサーバは、画像データを解析して、テストチャートから読み取られた画像データにおけるパッチごとのR、G、Bの値を取得する。また、プリントサーバは、テストチャートの出力時に、テストチャートの元となる画像データにおけるパッチごとのR、G、Bの値を取得し、保持している。そこで、プリントサーバは、これらR、G、Bの2つの組を突き合わせることにより、画像形成部600に相応しい濃度補正値を算出し、システム制御部500経由で画像形成部600に濃度補正値を設定する。
【0043】
次いで、ステップ230で計測モードがモード2であると判定された場合のスキャナ制御部201の動作について説明する。尚、ここでも、端末装置(図示せず)がテストチャートの元となる画像データを、プリントサーバ(図示せず)及びシステム制御部500を経由して画像形成部600に送信し、画像形成部600がテストチャートを出力し、これを画像読み取り装置110で読み取るものとする。
図11に示すように、この場合のスキャナ制御部201の動作は、図10に示したスキャナ制御部201の動作と略同じである。図10のステップ261及びステップ265では、パラメータ保持部203でモード1に対して保持された時間だけ、照明ランプ74が安定するのを待っているのに対し、図11のステップ281及びステップ285では、パラメータ保持部203でモード2に対して保持された時間だけ、照明ランプ74が安定するのを待っている、という点が異なるのみである。
また、ステップ288でテストチャートから読み取られた画像データに対する処理の流れも、図10に関して説明した流れと同じである。
よって、図11に関する動作についての詳しい説明は省略する。
【0044】
尚、本実施の形態では、照明ランプ74を点灯又は消灯した後の待ち時間として、計測モードごとに複数の待ち時間を設定する。例えば、電源オン直後は長くし、電源が投入されてからある程度の時間が経過した後は短くする、というように待ち時間を切り替え可能とする。ここで、待ち時間は、システム制御部500からの指示によって切り替えるものとし、不揮発性メモリに記憶することで変更可能とする。
【0045】
また、キャリブレーションスキャンにおける画像読み取りは、通常スキャンにおける画像読み取りよりも低速で行うようにしてもよい。そうすることにより、CCDに入る光の量を多くし、S/N比をアップさせ、それに合わせた専用のENL(Equivalent Neutral Lightness)を用意することで精度よく画像読み取りを行うことが可能となる。
【0046】
ここで、図9のステップ242で設定される通常スキャン用LUT、及び、図10のステップ267や図11のステップ287で設定されるキャリブレーションスキャン用LUTについて説明する。
図12及び図13は、これら2つのLUT(γカーブ)を重ねて示したグラフである。横軸は、入力信号値を示しており、縦軸は、出力信号値を示している。また、破線で通常スキャン用LUTを示し、実線でキャリブレーションスキャン用LUTを示す。
【0047】
このうち、図12は、シャドウ部からハイライト部までの全領域における通常スキャン用LUT及びキャリブレーションスキャン用LUTを示したグラフである。このグラフから分かるように、通常スキャン用LUT及びキャリブレーションスキャン用LUTは、シャドウ部及びハイライト部以外では重なっており、単調増加の形状を有している。具体的には、第1の変換定義の一例である通常スキャン用LUT及び第2の変換定義の一例であるキャリブレーションスキャン用LUTは、第1の濃度の一例である点Aの濃度よりも低濃度で第2の濃度の一例である点Bの濃度よりも高濃度の領域において、入力信号の値が大きくなれば出力信号の値も大きくなるように定義されている。
【0048】
また、図13(a)は、シャドウ部における通常スキャン用LUT及びキャリブレーションスキャン用LUTを拡大して示したグラフである。このグラフから分かるように、シャドウ部における通常スキャン用LUTは、高濃度の部分では階調が出ないように設定されており、それ以外の部分では単調増加の形状を有している。また、シャドウ部におけるキャリブレーションスキャン用LUTは、線形形状を有している。具体的には、通常スキャン用LUTは、第3の濃度の一例である点Cの濃度よりも高濃度の領域において、出力信号の値が最大濃度値の一例である「0」となるように定義されており、点Cの濃度よりも低濃度で点Aの濃度よりも高濃度の領域において、入力信号の値が大きくなれば出力信号の値も大きくなるように定義されている。また、キャリブレーションスキャン用LUTは、点Aの濃度よりも高濃度の領域において、入力信号の値の変化に対する出力信号の値の変化が線形性を有する。
或いは、シャドウ部におけるキャリブレーションスキャン用LUTは、線形形状ではなく、単調増加の形状を有するものであってもよい。具体的には、キャリブレーションスキャン用LUTは、点Aの濃度よりも高濃度の領域において、入力信号の値が大きくなれば出力信号の値も大きくなるように定義されていてもよい。
【0049】
更に、図13(b)は、ハイライト部における通常スキャン用LUT及びキャリブレーションスキャン用LUTを拡大して示したグラフである。このグラフから分かるように、ハイライト部における通常スキャン用LUTは、低濃度の部分では階調が出ないように設定されており、それ以外の部分では単調増加の形状を有している。また、ハイライト部におけるキャリブレーションスキャン用LUTは、線形形状を有している。具体的には、通常スキャン用LUTは、第4の濃度の一例である点Dの濃度よりも低濃度の領域において、出力信号の値が最小濃度値の一例である「255」となるように定義されており、点Dの濃度よりも高濃度で点Bの濃度よりも低濃度の領域において、入力信号の値が大きくなれば出力信号の値も大きくなるように定義されている。また、キャリブレーションスキャン用LUTは、点Bの濃度よりも低濃度の領域において、入力信号の値の変化に対する出力信号の値の変化が線形性を有する。
或いは、ハイライト部におけるキャリブレーションスキャン用LUTは、線形形状ではなく、単調増加の形状を有するものであってもよい。具体的には、キャリブレーションスキャン用LUTは、点Bの濃度よりも低濃度の領域において、入力信号の値が大きくなれば出力信号の値も大きくなるように定義されていてもよい。
【0050】
このように、本実施の形態では、キャリブレーション専用のLUTを有し、かつ、キャリブレーション専用の速度で読み取るようにした。例えば、キャリブレーション時に最小自乗法を用いて色補正係数(LUT)を作成する方法では、計算用メモリや計算時間が必要となるが、本実施の形態では、“短時間に”かつ“精度よく”キャリブレーションを実施することが可能となる。
以上により、本実施の形態における画像読み取り装置110の動作についての説明を終了する。
【0051】
ところで、本実施の形態では、通常スキャンの場合とキャリブレーションスキャンの場合とで、色変換部で用いるLUTだけでなく、ゲイン調整、オフセット調整、シェーディング補正で用いる情報の取得タイミング、画像読み取りの速度等も異なるようにした。しかしながら、色変換で用いるLUTのみが異なるようにしてもよい。
【0052】
尚、本実施の形態を実現するプログラムは、通信手段により提供することはもちろん、USBメモリ又はCD−ROM等の記録媒体に格納して提供することも可能である。
【符号の説明】
【0053】
74…照明ランプ、78…CCDイメージセンサ、90…駆動部、110…画像読み取り装置、200…スキャナ処理部、201…スキャナ制御部、202…モード判別部、203…パラメータ保持部、204…LUT切り替え部、300…信号処理部、301…サンプルホールド回路、302…ゲイン調整回路、303…オフセット調整回路、304…A/D変換回路、305…シェーディング補正回路、306…白データ保持部、307…黒データ保持部、308…色変換部、400…画像処理部、500…システム制御部、600…画像形成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像読み取りの指示に応じて、当該画像読み取りが、媒体に印刷される画像の濃度を調整するための調整用画像読み取りであるかどうかを判別する判別手段と、
前記判別手段により前記画像読み取りが前記調整用画像読み取りでないと判別された場合には、当該画像読み取りで得られた入力信号を第1の変換定義に基づいて出力信号に変換するよう制御し、前記判別手段により前記画像読み取りが前記調整用画像読み取りであると判別された場合には、当該入力信号を当該第1の変換定義とは異なる第2の変換定義に基づいて当該出力信号に変換するよう制御する制御手段と
を備えたことを特徴とする画像読み取り制御装置。
【請求項2】
前記第1の変換定義及び前記第2の変換定義は、第1の濃度よりも低濃度で第2の濃度よりも高濃度の領域において、前記入力信号の値が大きくなれば前記出力信号の値も大きくなるように定義されており、
前記第1の変換定義は、第3の濃度よりも低濃度で前記第1の濃度よりも高濃度の領域及び前記第2の濃度よりも低濃度で第4の濃度よりも高濃度の領域において、前記入力信号の値が大きくなれば前記出力信号の値も大きくなるように定義され、当該第3の濃度よりも高濃度の領域において、前記出力信号の値が最大濃度値となるように定義され、当該第4の濃度よりも低濃度の領域において、前記出力信号の値が最小濃度値となるように定義されており、
前記第2の変換定義は、前記第1の濃度よりも高濃度の領域及び前記第2の濃度よりも低濃度の領域において、前記入力信号の値が大きくなれば前記出力信号の値も大きくなるように定義されていることを特徴とする請求項1に記載の画像読み取り制御装置。
【請求項3】
前記第2の変換定義は、前記第1の濃度よりも高濃度の領域及び前記第2の濃度よりも低濃度の領域において、前記入力信号の値の変化に対する前記出力信号の値の変化が線形性を有するように定義されていることを特徴とする請求項3に記載の画像読み取り制御装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記判別手段により前記画像読み取りが前記調整用画像読み取りでないと判別された場合には、第1の速度で当該画像読み取りを行うよう制御し、前記判別手段により前記画像読み取りが前記調整用画像読み取りであると判別された場合には、当該第1の速度よりも遅い第2の速度で当該画像読み取りを行うよう制御することを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の画像読み取り制御装置。
【請求項5】
原稿に対して光を照射する照射手段と、
前記原稿から反射された光を受光する受光手段と、
前記原稿からの画像読み取りの指示に応じて、当該画像読み取りが、媒体に印刷される画像の濃度を調整するための調整用画像読み取りであるかどうかを判別する判別手段と、
前記判別手段により前記画像読み取りが前記調整用画像読み取りでないと判別された場合には、前記照射手段及び前記受光手段による当該画像読み取りで得られた入力信号を第1の変換定義に基づいて出力信号に変換するよう制御し、前記判別手段により前記画像読み取りが前記調整用画像読み取りであると判別された場合には、当該入力信号を当該第1の変換定義とは異なる第2の変換定義に基づいて当該出力信号に変換するよう制御する制御手段と
を備えたことを特徴とする画像読み取り装置。
【請求項6】
コンピュータに、
画像読み取りの指示に応じて、当該画像読み取りが、媒体に印刷される画像の濃度を調整するための調整用画像読み取りであるかどうかを判別する機能と、
前記画像読み取りが前記調整用画像読み取りでないと判別された場合には、当該画像読み取りで得られた入力信号を第1の変換定義に基づいて出力信号に変換するよう制御し、前記画像読み取りが前記調整用画像読み取りであると判別された場合には、当該入力信号を当該第1の変換定義とは異なる第2の変換定義に基づいて当該出力信号に変換するよう制御する機能と
を実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−104881(P2012−104881A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−248986(P2010−248986)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】