説明

画像読取り装置、及び該装置に用いられる画像読取り方法

【課題】環境の明るさの変化に円滑に対応できるようにする。
【解決手段】このスタンド型の画像読取り装置では、原稿台20上の画像取得が行われ(ステップC1)、この後、ユーザの手22の画像が検出されたとき(ステップC2,C3)、取得画像から背景色の部分が除去され(ステップC4)、また、取得画像からユーザの手22の画像を除去する処理が行われる(ステップC5)。取得画像から手22の画像が検出され、かつ、手22の領域以外に背景色以外の画像が検出されている場合(ステップC6)、ユーザが画像取得を指示したものと判断し、手22の画像及び背景色以外の領域を取得すべき原稿として、その部分の画像について明るさ設定する処理が行われる(ステップC7)。この後、画像取得で取得画像からユーザの手22の画像が検出され、かつユーザの手22の領域以外に背景色以外の画像が検出されるまでの間、設定された明るさが保持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像読取り装置、及び該装置に用いられる画像読取り方法に係り、特に、原稿をイメージセンサに密着させずに画像を入力するスタンド型装置に適用して好適な画像読取り装置、及び該装置に用いられ、同イメージセンサの光電変換素子数を増やさずに高解像度の画質を得るのに好適な画像読取り方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像読取り装置には、読取り部に密着された原稿の画像を走査して取り込む密着型の他、原稿を読取り部に密着させずに画像を取り込むスタンド型のものがある。スタンド型の画像読取り装置では、イメージセンサの光電変換素子数を増やさずに画質を向上させるために、画素ずらし方式が用いられているものがある。画素ずらし方式では、2次元に配列されている光電変換素子(たとえば、電荷結合素子、Charge Coupled Device 、CCD)を物理的に微動させ、1画素に3つのデータが取り込まれる。これにより、3CCDと同等の高画質の画像取り込みが可能となる。
【0003】
この種の関連技術としては、たとえば、次のような文献に記載される技術が知られている。
特許文献1に記載されたイメージスキャナ装置では、原稿画像が読み取り部に密着することなく、非接触型で間接的に読み取られる。同装置では、光電変換素子として1次元のイメージセンサが用いられ、副走査装置と組み合わせることにより、2次元画像が取得される。
【0004】
特許文献2に記載された撮像装置では、エリアセンサを画素配列方向に基準位置から画素配列間隔の1/N(Nは整数)だけ(N−1)回移動させるための機構が設けられ、基準位置から画素配列方向に画素列間隔の1/Nだけ移動させた位置におけるエリアセンサの読出しラインの出力信号及び(N−1)個のエリアセンサの読出しラインの出力信号を読み出して合成する信号処理手段が設けられている。この撮像装置では、原稿がエリアセンサの画素配列方向の異なる位置で撮像され、これらの複数の撮像出力が合成処理されて高解像度が得られる。このため、エリアセンサで取得される画像の解像度が画素ずらし方式によって向上する。
【0005】
特許文献3に記載されたイメージスキャナでは、ユーザは、表示装置に表示された画像を見ながら、原稿又は一次元イメージセンサの位置を操作するだけで、読取られた画像の位置を最適な範囲の位置に調整することができる。最適な範囲の位置調整時では、ユーザは、停止命令受付手段により停止命令を行うだけで作業が終了できるため、繰り返し読取り及び表示開始のための命令を装置に与えることなく読取り及び表示ができ、原稿の位置合わせ作業を容易にできる。また、停止命令が受け付けられるまでは通常の読取りよりも高速の読取りが行われる。
【0006】
特許文献4に記載された文書画像取得装置では、手の画像を検出して手の領域を除去する手段が設けられ、手の動き及び文書の動きを検出して文書のページを捲る動作の可否が判定される。そして、画像が静止したことが検出され、そのときの画像が文書画像として切り出される。
【0007】
特許文献5に記載された画像入力装置では、被写体からの光が光学系によって光電変換手段の入射面に結像される。同光学系によって結像される画像位置は、画素ずらし手段により相対的に移動し、同一の被写体の画像が複数回撮像されて合成される。また、同画像入力装置における震動を検知する震動検知手段が設けられ、同震動検知手段が外部から与えられた震動を検知したとき、禁止手段により撮像が禁止される。また、震動の影響により、画素ずらしの前後での画素のずれ量が不適切である場合、あるいは現時点で取り込んだ画像と前回取り込んだ画像とのずれ量が不適切な場合には、禁止手段により撮像が禁止される。このため、正常な画像のみが取り込まれ、解像度が向上する。
【0008】
特許文献6に記載された画像読取装置では、スイッチが押下された後、CCDエリアセンサのもつ画素数から得られる低精細度の画像に基づいて静止判定が行われ、静止判定条件が成立すると、自動的に画素ずらし方式から得られる高精細度の画像の読取りが開始される。このため、読取りに時間を要する高精細度の読取りに対して読取り時間が低減され、読取り作業の効率が向上する。
【0009】
【特許文献1】特開平11−313193号公報(第1頁、図1)
【特許文献2】特開昭57−031258号公報(第1頁)
【特許文献3】特開平08−154153号公報(第1頁、図1)
【特許文献4】特開2000−308045号公報(第1頁、図1)
【特許文献5】特開平07−177424号公報(第1頁、図4)
【特許文献6】特開2002−199189号公報(第3頁、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記従来の各装置では、次のような問題点があった。
すなわち、特許文献1に記載されたイメージスキャナ装置では、連続して画像取得を行う場合、ユーザは画像取得を行うことを決めてから次の画像取得を行う作業にできるだけ速やかに移行する必要がある。画像取得に時間がかかる場合、その間に原稿の上方を別の作業によって原稿とは関係のない物体(たとえば、次の原稿を運ぶための手や腕など)がイメージセンサを遮ることがないようにする必要がある。また、このイメージスキャナ装置は、スタンド型であるため、原稿面の明るさが周囲の明るさによって決定される。このため、設置時など、画像取得作業の開始前にユーティリティソフトが起動され、明るさに対する調整が行われる。ユーティリティソフトは、通常、設置時、照明の配置が変化したとき、あるいは部屋のシャッタやカーテンなどが開閉されたときに起動され、明るさ調整を行うためのものであるが、同イメージスキャナ装置は、画像を取得するたびに明るさ調整が行われるようにはなっていない。このため、周囲の明るさの変化が激しい(たとえば、分刻みで変化するような状態)場合では、明るさ調整が追従しきれず、取得された画像に不具合が生じるという問題点がある。
【0011】
特許文献2に記載された撮像装置では、画像の読込みを行うための命令の後に1枚目の画像が取得され、画素ずらしの動作の後に2枚目の画像が取得され、この後に画像の合成処理が行われる。このため、画像の読込みの命令の後から画像の合成処理が終了するまでの時間は、1枚の画像を取得する場合に比較して長くなるという問題点がある。また、1枚目の画像に原稿画像が入力されていたとしても、画素ずらしの後の画像では、ユーザによる次の作業のための手の画像が入ってしまうことがあり、画像を合成する処理において正しい画素ずらしの合成ができないという問題点がある。また、原稿以外の物が読み込まれない場合でも、画像取得の前と後では、取得された画像を用いて認識や識別などの様々な処理が行われることがある。たとえば、この撮像装置では、画像が取得された後に画素ずらし処理が行われるため、画像取得後の演算処理を行う処理部の負荷が重くなり、処理が遅くなるという問題点がある。
【0012】
特許文献3に記載されたイメージスキャナでは、1枚の原稿画像を取得するたびに停止命令を受け付けたか否かが検出されるが、停止命令の受け付けの確認終了の直後に停止命令を受け付けたとき、最悪の状態として、普通に1枚の画像取得をする場合と同じ時間がかかってしまう。また、高速の読取りを行う場合も、ユーザの停止命令に基づいて新規に高解像度の画像を読み込むため、結局高解像度の画像を読み込む時間が必要となる。しかも、画素ずらし動作が行われないので、光電変換素子以上に高い解像度が得られないという問題点がある。
【0013】
特許文献4に記載された文書画像取得装置では、常に画像が取得され、静止画像で、かつ、手の画像が除去された場合にのみ、既に取得された最新の画像が取り出される。この場合、一般に用いられる数百万画素クラスのエリアセンサでは、同エリアセンサから全画素の信号を取り出す際、高解像度のモードとして、連続する複数の画素から全画素を出力するフレームモードが使用され、同エリアセンサを用いてフレームモードで画像を取得する場合には、同文献には記載されていないが、メカニカルシャッタが用いられることが多い。メカニカルシャッタは、1フレームが2フィールドから構成されてイメージセンサが一方のフィールドの画素を出力しているとき、同イメージセンサに対して原稿の画像を遮断する。また、同文献では、特に画像モード(フレームモード又は間引きモード)を切り替えることに対しては記載されていないが、常に画像を取得しておき、必要な場合に取り出すような手法をとる場合、フレームモードで画像を取得するとき、画像取得のたびにメカニカルシャッタが動く必要がある。ところが、一般に、メカニカルシャッタは、稼動部分を含むため、摩擦や変形などがあり、同装置内部にあるイメージセンサの各素子、処理回路、及びレンズなどと比較して寿命が短い。また、稼動部分に摩擦があるので、動作時に騒音が生じる。このため、静かな環境では、ユーザにとってメカニカルシャッタの動作音が喧騒に感じられるという問題点がある。
【0014】
また、この文書画像取得装置では、画像の位置が変化した状態でも、原稿が静止していれば切り出しが行われ、ユーザの意図しない原稿の動きに対して読込み画像が更新されてしまうという問題点がある。また、用紙から画像を切り出して認識をかける方式では、手の領域を除去すると、画像を円滑に切り出せないという問題点がある。すなわち、原稿の画像が帳票やオフィス文書などの場合、この原稿の形状は長方形又は長方形に近いものである。このため、一般的な画像処理では、読み込んだ画像のうちの必要な部分だけが切り出され、その部分の認識処理が行われる。そして、切り出しの部分の形状を限定することにより、処理の高速化と処理量の軽減が図られているが、帳票のエッジの部分と手とが重なっているとき、手の領域を除去すると、同帳票のエッジの部分の画像も除去されてしまので、同エッジの部分が直線ではなくなり、同帳票を長方形とみなすことができなくなるため、同帳票に専用の切り出しアルゴリズムが必要となり、処理速度の低下や処理量が増大するという問題点がある。
【0015】
特許文献5に記載された画像入力装置では、原稿にユーザの手が誤って接触してずれた場合や、周囲の空気の動きによって原稿がずれた場合、ずれが震動検知手段で検出されずに画像が入力され、解像度が向上しないという問題点がある。また、画素のずれ量が適切であるか否かを判定する処理が必要となり、画像入力処理の速度が低下するという問題点がある。
【0016】
特許文献6に記載された画像読取装置では、静止状態の判定だけで画像入力を行うと、原稿を置く「手」の画像が入ったまま静止している場合でも、画像の入力処理が行われることがある。また、原稿台上に原稿が載置されてないときの背景についても、静止状態と判定され、この場合にも、画像の入力処理が行われることがある。このため、無用なデータが入力されるという問題点がある。また、スイッチが押下された後に静止状態を判定するための画像が取得され、静止判定がなされた後に高精細度の画像処理が行われるため、装置全体の動作を高速化できないという問題点がある。
【0017】
この発明は、上述の事情に鑑みてなされたもので、設置環境の明るさの変化に円滑に対応することができる画像読取り装置、及び該装置に用いられる画像読取り方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するために、この発明の第1の構成は、複数の光電変換素子が所定の間隔でマトリクス状に配列されてなるイメージセンサと、読取り対象となる原稿の画像を上記イメージセンサの撮像面上に結像させる結像部と、上記原稿から上記イメージセンサまでの距離を所定値に保持する保持機構と、取得された上記原稿の画像から背景色を検出する背景色検出手段と、取得された上記原稿の画像からユーザの手の画像を検出する手検出手段と、取得された上記原稿の画像の明るさを設定する明るさ設定手段とを備えてなる画像読取り装置に用いられる画像読取り方法に係り、取得された画像から上記ユーザの手の画像が検出され、かつ上記ユーザの手の領域以外に背景色以外の画像が検出されている場合、画像全体の明るさの設定を行い、以降の画像取得で取得画像から上記ユーザの手の画像が検出され、かつ上記ユーザの手の領域以外に背景色以外の画像が検出されるまでの間、上記設定された明るさを保持することを特徴としている。
【0019】
この発明の第2の構成は、複数の光電変換素子が所定の間隔でマトリクス状に配列されてなるイメージセンサと、読取り対象となる原稿の画像を上記イメージセンサの撮像面上に結像させる結像部と、上記原稿から上記イメージセンサまでの距離を所定値に保持する保持機構と、取得された上記原稿の画像からユーザの手の画像を検出する手検出手段と、同一の紙厚及び略白色系の紙色を有する原稿群に対して同一の識別子が記載された白基準原稿の白基準値と取得画像の白部分の濃度値とを比較する比較手段と、取得された上記原稿の画像から上記識別子を検出する識別子検出手段と、上記識別子が検出されたとき、取得された上記原稿の画像の明るさを上記比較手段による比較結果に基づいて設定する明るさ設定手段とを備えてなる画像読取り装置に用いられる画像読取り方法に係り、取得された上記原稿の画像からユーザの手の画像が検出され、かつ上記識別子に基づいて上記原稿が上記白基準原稿であることが検出された場合、画像全体の明るさの設定を行い、以降の画像取得で取得画像から上記識別子が検出されるまでの間、上記設定された明るさを保持することを特徴としている。
【0020】
また、この発明の第3の構成は、複数の光電変換素子が所定の間隔でマトリクス状に配列されてなるイメージセンサと、読取り対象となる原稿の画像を上記イメージセンサの撮像面上に結像させる結像部と、上記原稿から上記イメージセンサまでの距離を所定値に保持する保持機構と、取得された上記原稿の画像から背景色を検出する背景色検出手段と、上記背景色の領域の面積の変化を検出する面積変化検出手段と、取得された上記原稿の画像の明るさを設定する明るさ設定手段とを備えてなる画像読取り装置に用いられる画像読取り方法に係り、上記背景色の領域の面積が取得画像全体の面積に対して予め設定した割合を超えて増大している場合、上記取得画像から上記背景色の領域を除いた領域を用いて画像全体の明るさの設定を行い、以降の画像取得で上記背景色の領域の面積が取得画像全体の面積に対して予め設定した割合を超えて増大するまで上記設定された明るさを保持することを特徴としている。
【0021】
また、この発明の第4の構成は、複数の光電変換素子が所定の間隔でマトリクス状に配列されてなるイメージセンサと、読取り対象となる原稿の画像を上記イメージセンサの撮像面上に結像させる結像部と、上記原稿から上記イメージセンサまでの距離を所定値に保持する保持機構と、取得された上記原稿の画像から背景色を検出する背景色検出手段と、上記背景色の領域の面積の変化を検出する面積変化検出手段と、同一の紙厚及び略白色系の紙色を有する原稿群に対して同一の識別子が記載された白基準原稿の白基準値と取得画像の白部分の濃度値とを比較する比較手段と、取得された上記原稿の画像から上記識別子を検出する識別子検出手段と、上記識別子が検出されたとき、取得された上記原稿の画像の明るさを上記比較手段による比較結果に基づいて設定する明るさ設定手段とを備えてなる画像読取り装置に用いられる画像読取り方法に係り、上記背景色の領域の面積が取得画像全体の面積に対して予め設定した割合を超えて増大し、かつ上記識別子に基づいて上記原稿が白基準原稿であることが検出された場合、上記取得画像から上記背景色の領域を除いた領域を用いて画像全体の明るさの設定を行い、以降の画像取得で上記背景色の領域の面積が取得画像全体の面積に対して予め設定した割合を超えて増大し、かつ上記原稿が白基準原稿であることを検出するまで上記設定された明るさを保持することを特徴としている。
【0022】
この発明の第5の構成は、複数の光電変換素子が所定の間隔でマトリクス状に配列されてなるイメージセンサと、読取り対象となる原稿の画像を上記イメージセンサの撮像面上に結像させる結像部と、上記原稿から上記イメージセンサまでの距離を所定値に保持する保持機構と、取得された上記原稿の画像からユーザの手の画像を検出する手検出手段と、表面に識別子のみが記載された均一な略白色の影除去用白基準原稿に設定された白基準値と取得画像の白部分の濃度値とを比較する比較手段と、取得画像から上記識別子を検出する識別子検出手段と、上記識別子が検出されたとき、取得画像の明るさを上記比較手段による比較結果に基づいて部分的に調整して影を除去する明るさ調整手段とを備えてなる画像読取り装置に用いられる画像読取り方法に係り、取得された画像から上記ユーザの手の画像が検出され、かつ上記識別子に基づいて上記原稿が上記影除去用白基準原稿であることを検出した場合、上記影除去用白基準原稿から上記識別子の部分を除いた領域の明るさを上記設定された白基準値とするための乗率を上記明るさ調整手段で記憶し、以降の画像取得で取得画像から上記識別子が検出されるまでの間、上記設定された明るさを保持することを特徴としている。
【0023】
また、この発明の第6の構成は、複数の光電変換素子が所定の間隔でマトリクス状に配列されてなるイメージセンサと、読取り対象となる原稿の画像を上記イメージセンサの撮像面上に結像させる結像部と、上記原稿から上記イメージセンサまでの距離を所定値に保持する保持機構と、取得された上記原稿の画像から背景色を検出する背景色検出機能と、取得された上記原稿の画像からユーザの手の画像を検出する手検出機能と、取得された上記原稿の画像の明るさを設定する明るさ設定機能とを有する制御部とを備えてなる画像読取り装置に係り、上記制御部が、取得された画像から上記ユーザの手の画像が検出され、かつ上記ユーザの手の領域以外に背景色以外の画像が検出されている場合、画像全体の明るさの設定を行い、以降の画像取得で取得画像から上記ユーザの手の画像が検出され、かつ上記ユーザの手の領域以外に背景色以外の画像が検出されるまでの間、上記設定された明るさを保持する構成になされていることを特徴としている。
【0024】
また、この発明の第7の構成は、複数の光電変換素子が所定の間隔でマトリクス状に配列されてなるイメージセンサと、読取り対象となる原稿の画像を上記イメージセンサの撮像面上に結像させる結像部と、上記原稿から上記イメージセンサまでの距離を所定値に保持する保持機構と、取得された上記原稿の画像からユーザの手の画像を検出する手検出機能と、同一の紙厚及び略白色系の紙色を有する原稿群に対して同一の識別子が記載された白基準原稿の白基準値と取得画像の白部分の濃度値とを比較する比較機能と、取得された上記原稿の画像から上記識別子を検出する識別子検出機能と、上記識別子が検出されたとき、取得された上記原稿の画像の明るさを上記比較機能による比較結果に基づいて設定する明るさ設定機能とを有する制御部とを備えてなる画像読取り装置に係り、上記制御部が、取得された上記原稿の画像からユーザの手の画像が検出され、かつ上記識別子に基づいて上記原稿が上記白基準原稿であることが検出された場合、画像全体の明るさの設定を行い、以降の画像取得で取得画像から上記識別子が検出されるまでの間、上記設定された明るさを保持する構成になされていることを特徴としている。
【0025】
また、この発明の第8の構成は、複数の光電変換素子が所定の間隔でマトリクス状に配列されてなるイメージセンサと、読取り対象となる原稿の画像を上記イメージセンサの撮像面上に結像させる結像部と、上記原稿から上記イメージセンサまでの距離を所定値に保持する保持機構と、取得された上記原稿の画像から背景色を検出する背景色検出機能と、上記背景色の領域の面積の変化を検出する面積変化検出機能と、取得された上記原稿の画像の明るさを設定する明るさ設定機能とを有する制御部とを備えてなる画像読取り装置に係り、上記制御部が、上記背景色の領域の面積が取得画像全体の面積に対して予め設定した割合を超えて増大している場合、上記取得画像から上記背景色の領域を除いた領域を用いて画像全体の明るさの設定を行い、以降の画像取得で上記背景色の領域の面積が取得画像全体の面積に対して予め設定した割合を超えて増大するまで上記設定された明るさを保持する構成になされていることを特徴としている。
【0026】
また、この発明の第9の構成は、複数の光電変換素子が所定の間隔でマトリクス状に配列されてなるイメージセンサと、読取り対象となる原稿の画像を上記イメージセンサの撮像面上に結像させる結像部と、上記原稿から上記イメージセンサまでの距離を所定値に保持する保持機構と、取得された上記原稿の画像から背景色を検出する背景色検出機能と、上記背景色の領域の面積の変化を検出する面積変化検出機能と、同一の紙厚及び略白色系の紙色を有する原稿群に対して同一の識別子が記載された白基準原稿の白基準値と取得画像の白部分の濃度値とを比較する比較機能と、取得された上記原稿の画像から上記識別子を検出する識別子検出機能と、上記識別子が検出されたとき、取得された上記原稿の画像の明るさを上記比較機能による比較結果に基づいて設定する明るさ設定機能とを有する制御部とを備えてなる画像読取り装置に係り、上記制御部が、上記背景色の領域の面積が取得画像全体の面積に対して予め設定した割合を超えて増大し、かつ上記識別子に基づいて上記原稿が白基準原稿であることが検出された場合、上記取得画像から上記背景色の領域を除いた領域を用いて画像全体の明るさの設定を行い、以降の画像取得で上記背景色の領域の面積が取得画像全体の面積に対して予め設定した割合を超えて増大し、かつ上記原稿が白基準原稿であることを検出するまで上記設定された明るさを保持する構成になされていることを特徴としている。
【0027】
さらにまた、この発明の第10の構成は、複数の光電変換素子が所定の間隔でマトリクス状に配列されてなるイメージセンサと、読取り対象となる原稿の画像を上記イメージセンサの撮像面上に結像させる結像部と、上記原稿から上記イメージセンサまでの距離を所定値に保持する保持機構と、取得された上記原稿の画像からユーザの手の画像を検出する手検出機能と、表面に識別子のみが記載された均一な略白色の影除去用白基準原稿に設定された白基準値と取得画像の白部分の濃度値とを比較する比較機能と、取得画像から上記識別子を検出する識別子検出機能と、上記識別子が検出されたとき、取得画像の明るさを上記比較機能による比較結果に基づいて部分的に調整して影を除去する明るさ調整機能とを有する制御部とを備えてなる画像読取り装置に係り、上記制御部が、取得された画像から上記ユーザの手の画像が検出され、かつ上記識別子に基づいて上記原稿が上記影除去用白基準原稿であることを検出した場合、上記影除去用白基準原稿から上記識別子の部分を除いた領域の明るさを上記設定された白基準値とするための乗率を記憶し、以降の画像取得で取得画像から上記識別子が検出されるまでの間、上記設定された明るさを保持する構成になされていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0028】
以上説明したように、この発明の構成によれば、ユーザがほとんど意識することなく、取得画像の明るさの設定が行われるので、短時間のうちに周囲の明るさが変化するような場合でも、取得画像が明るさの変化の影響を受けることを回避でき、環境の明るさの変化に円滑に対応できる。また、手の画像を検出してその領域の切り貼りを行うことなく、手の画像がない状態の画像を用いるため、原稿画像の切出しのための特別なアルゴリズムが不要となる。また、影除去用白基準原稿を用いて識別子の部分を除いた領域の明るさを設定して影を除去するようにしたので、スタンド型の画像読取り装置に発生しやすい設置環境による影の影響を低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
この発明の実施形態の概要について述べる。この発明の実施形態に係る画像読取り装置は、取得された画像からユーザの手の画像が検出され、かつユーザの手の領域以外に背景色以外の画像が検出されている場合、画像全体の明るさの設定を行い、以降の画像取得で取得画像からユーザの手の画像が検出され、かつユーザの手の領域以外に背景色以外の画像が検出されるまでの間、設定された明るさを保持する構成になされている。
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態及び参考例(関連技術)について説明する。
【参考例1】
【0030】
図1は、この発明の第1の参考例(関連技術)である画像読取り方法を実施するための画像読取り装置の電気的構成を示す図である。
この形態の画像読取り装置は、同図に示すように、画像読取り部1と、画素ずらし駆動回路2と、メカニカルシャッタ駆動回路3と、イメージセンサ制御処理回路4と、制御部5とから構成されている。画像読取り部1は、エリアイメージセンサ11と、画素ずらし機構12と、レンズ13と、メカニカルシャッタ14と、レンズ15とから構成されている。エリアイメージセンサ(以下、「イメージセンサ」という)11は、たとえばモノクロ画像に対応するものであり、複数の光電変換素子(たとえば、CCD)が所定の間隔でマトリクス状に配列され、たとえば500万画素クラスに構成されている。画素ずらし機構12は、イメージセンサ11の位置を各CCD間のピッチに満たない範囲内でずらす画素ずらしを行う。この場合、イメージセンサ11が搭載されている基板11aを、たとえば圧電素子及び板バネを用いて物理的に微動させる。レンズ13,15は、原稿台20上の読取り対象となる原稿21の画像をイメージセンサ11の撮像面上に結像させる。メカニカルシャッタ14は、複数枚の遮光板が高速で開閉し、イメージセンサ11の撮像面上の結像を制御する。
【0031】
画素ずらし駆動回路2は、画素ずらし機構12を駆動することにより、イメージセンサ11が搭載されている基板11aを微動させる。メカニカルシャッタ駆動回路3は、メカニカルシャッタ14を所定のタイミングで駆動する。この場合、連続する複数の画素から全画素を出力するフレームモードの動作では、1画素おきの画素をまとめて1フィールドとして1フレームを2フィールドから構成し、イメージセンサ11が一方のフィールドの画素を出力しているとき、メカニカルシャッタ14が閉じて同イメージセンサ11に対して原稿の画像を遮断する。イメージセンサ制御処理回路4は、イメージセンサ11に対してクロックの送出やモードを設定して駆動し、同イメージセンサ11から出力される画像信号を処理する。
【0032】
制御部5は、この画像読取り装置全体を制御するためのCPU(中央処理装置)5a、及び、この実施形態の画像読取り方法を同CPU5aに実施させるための画像読取り制御プログラムが記録されたROM(リード・オンリ・メモリ)5bを有している。特に、この実施形態では、制御部5は、画素ずらしを行う前に取得した原稿21の画像からユーザの手22の画像を検出する他、画素ずらしを行う前の画像と画素ずらしを行った後の画像とを所定の方法で処理して処理前よりも高解像度の画像を生成する。
【0033】
図2は、図1の画像読取り装置の外観の一例を示す斜視図である。
この画像読取り装置では、同図2に示すように、アーム機構31により、原稿21から画像読取り部1のイメージセンサ11までの距離が所定値に保持されている。また、制御装置32には、図1中の画素ずらし駆動回路2、メカニカルシャッタ駆動回路3、イメージセンサ制御処理回路4及び制御部5が内蔵されている。
【0034】
図3は、図1の画像読取り装置の動作を説明するフローチャート、図4、図5及び図6が画素ずらしの原理を説明する図である。
これらの図を参照して、この形態の画像読取り方法の処理内容について説明する。
原稿台20上の画像取得がたとえばフレームモードで行われ(ステップA1)、ユーザの手22の画像の検出処理が行われる(ステップA2)。この後、ユーザの手22の画像が検出されたか否かが判定され(ステップA3)、検出されたとき、ステップA4へ進む。原稿台20上の画像取得がたとえばフレームモードで行われ(ステップA4)、取得画像からユーザの手22の画像を検出する処理が行われ(ステップA5)、ユーザの手22の画像が検出されたか否かの判定処理が行われる(ステップA6)。この場合、取得画像から一旦ユーザの手22の画像が検出された場合、手22の画像が検出されなくなるまで、ステップA4に戻って画像取得が繰り返し行われる。手22の画像が検出されなくなるまで、ステップA4に戻って画像取得が繰り返し行われる。また、ステップA3において、手22の画像が検出されなかった場合、ステップA1に戻って再び画像取得が繰り返し行われる。
【0035】
一旦、ユーザの手22の画像が検出され、次に手22の画像が検出されなくなった場合、画素ずらし駆動回路2により画素ずらし機構12が駆動されて画素ずらし動作が行われ(ステップA7)、画素ずらし後の画像取得がたとえばフレームモードで行われる(ステップA8)。この画素ずらし動作では、たとえば、図4に示すように、画素ずらし前の181dpi(1ピッチ;140ミクロン)の画像が斜め45度の方向にずらされ、図5に示すように、画素ずらし後の255dpi(1ピッチ;100ミクロン)の画像が得られる。この画像は、図6に示す255dpiの参考画像と同等のものである。この後、画素ずらし前の手22の画像が検出されなくなった画像と、画素ずらし後の画像とを用いて画素ずらし方式に対応した画像処理の演算が行われ(ステップA9)、画素ずらしを行わない場合の画像よりも高解像度の高解像度画像データが得られる(ステップA10)。画素ずらし機構12は、再び画素ずらし前の画像を取得するために画素ずらし戻し動作を行う(ステップA11)。
【0036】
以上のように、この第1の参考例によれば、ユーザの手22の画像の有無の判定結果に基づいて画素ずらし動作が行われるため、画素ずらし方式による高解像度化の利点を損うことなく、原稿21の画像の読み込みが高速化される。
【参考例2】
【0037】
図7は、この発明の第2の参考例(関連技術)である画像読取り方法を実施するための画像読取り装置の電気的構成を示す図であり、第1の参考例を示す図1中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
この形態の画像読取り装置では、図1中の制御部5に代えて、新たな機能が付加された制御部5Aが設けられている。制御部5Aは、制御部5の機能に加え、イメージセンサ11に対して、連続する複数の画素から規則的に画素を間引いて出力するドラフトモードの動作、又は全画素を出力するフレームモードの動作を行うように制御する。他は、図1と同様の構成である。
【0038】
図8は、図7の画像読取り装置の動作を説明するフローチャートである。
この図を参照して、この形態の画像読取り方法の処理内容について説明する。
画素ずらしを行う前にイメージセンサ11においてドラフトモードによる原稿台20上の画像取得が行われる(ステップB1)。このドラフトモードでは、イメージセンサ11は、連続する複数の画素からたとえば1画素おきに画素を間引いて出力するように制御される。ユーザが原稿21を原稿台20上に置くと、繰り返し取得している画素ずらし前のドラフトモードによる画像中にユーザの手22の画像が検出される(ステップB2,B3)。引き続き、画素ずらし前のドラフトモードの画像取得が繰り返して行われる(ステップB4)。
【0039】
取得画像から手22の画像が検出されなくなったとき(ステップB5,B6)、一旦、画素ずらし前の状態でフレームモードの画像取得が行われる(ステップB7)。そして、画素ずらし動作が行われ(ステップB8)、画素ずらし後のフレームモードの画像取得を行うことにより、2枚のフレームモードの画像が取得される(ステップB9)。この後、画素ずらし前のフレームモード画像と画素ずらし後のフレームモード画像とを用いて画素ずらし方式に対応した画像処理の演算が行われ(ステップB10)、画素ずらしを行わない場合の画像よりも高解像度の高解像度画像データが得られる(ステップB11)。一方、ユーザが次の原稿の画像を読み取らせる準備をするために、画素ずらし戻し動作(ステップB12)によってステップB1に戻り、再びドラフトモードで繰り返し画像取得が開始され、ユーザの手22の画像を検出する状態となる。
【0040】
また、前記ステップB2などにおいてユーザの手22の画像を検出する場合、図示しないメモリに予め手22の色を記憶させておき、取得された画像から類似色の部分について、それぞれの類似度(色としてどれだけ離れているかを表す)及び同類似度における画素数が計数される。手22の検出の判定では、たとえば、各類似度に重みを付け、各類似度における画素数と重みとの積が計算され、この積が予め決めておいた値以上になった場合に手22が検出されたものと判定される。
【0041】
また、高解像度で比較的安価なエリアセンサとして、インターライン型のCCDがあるが、同CCDでは、受光部から光電変換で溜まった電荷を取り出すために、1画素おきの画素をまとめて1つのフィールドとし、全画素を読み出すフレームモードでは合計2つのフィールドの画像信号が出力される。この場合、2つのフィールドに分割して読み出すために、画素間の干渉を低減させて読み出すことができる一方で、少なくとも片方のフィールドを読み出している間はメカニカルシャッタによってCCDに光が入らないようにする必要がある。また、スミア(smear)を抑制するためにも、メカニカルシャッタが用いられる。
【0042】
一方、前記インターライン型のCCDのドラフトモードでは、間引き画素に対して読み出しを行い、1つのフィールドで画像の読み出しが行われ、スミアの影響が少ない場合には、メカニカルシャッタは必ずしも必要でない。この実施形態では、エリアセンサの被写体は、紙、帳票、写真など、用紙に印刷あるいは書かれた原稿であるので、直射日光、スポットライト、蛍光管などの光源、又は鏡面反射による光源などのような比較的強い光を読み込むことは想定されない。このため、スミアの影響は考慮する必要は少なく、ドラフトモードではメカニカルシャッタ14の駆動は不要である。よって、この実施形態では、画素ずらしを行って高解像度画像を得るときにメカニカルシャッタ14を使用してフレームモードで画像を取得し、手22の画像を検出する場合にはメカニカルシャッタ14を使用しない。
【0043】
以上のように、この第2の参考例によれば、フレームモードの画像取得及び画素ずらしを行うことにより、高解像度の画像を常に用意しておく必要がないので、画素ずらしの処理で占有されるデータの処理量を低減することができ、その分、他の処理を多く行うことができる。また、常にフレームモードで画像を取得する必要がないので、メカニカルシャッタ14の使用頻度が低くなり、長寿命かつ低騒音化される。
【実施形態1】
【0044】
図9は、この発明の第1の実施形態である画像読取り方法を実施するための画像読取り装置の電気的構成を示す図であり、第1の参考例を示す図1中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
この形態の画像読取り装置では、図1中の制御部5に代えて、新たな機能が付加された制御部5Bが設けられている。制御部5Bは、制御部5の機能に加え、取得した原稿の画像から背景色を検出する他、取得した原稿の画像の明るさを設定する機能を有している。この場合、制御部5Bは、原稿を置く部分(原稿台20)の背景色を図示しないメモリに記憶させておき、ユーザの手22、及び背景色と異なる画像が検出されているとき、ユーザが原稿画像を読み取らせようとしているものと判定する。そして、このときの周囲環境の明るさを検出し、その検出結果を用いて取得画像に補正をかける。また、制御部5Bでは、制御部5の画素ずらしを行う機能は省略されている。他は、図1と同様の構成である。
【0045】
図10は、図9の画像読取り装置の動作を説明するフローチャートである。
この図を参照して、この形態の画像読取り方法の処理内容について説明する。
原稿台20上の画像取得が行われ(ステップC1)、この後、ユーザの手22の画像が検出されたとき(ステップC2,C3)、ステップC4へ進む。取得画像から背景色の部分が除去され(ステップC4)、また、取得画像からユーザの手22の画像を除去する処理が行われる(ステップC5)。取得画像から手22の画像が検出され、かつ、手22の領域以外に背景色以外の画像が検出されている場合(ステップC6)、ユーザが原稿21を原稿台20に載せることにより画像を装置に取得させるための作業が行われたものとみなし、手22の画像及び背景色以外の領域を取得すべき原稿として、その部分の画像について明るさ設定する処理が行われる(ステップC7)。この後、画像取得で取得画像からユーザの手22の画像が検出され、かつユーザの手22の領域以外に背景色以外の画像が検出されるまでの間、設定された明るさが保持される。明るさの設定が終了した後に他の処理が必要であれば(ステップC8)、その処理に移る(ステップC9)。なお、前記ステップC3においてユーザの手22の画像が検出されないとき、ステップC8へ進む。
【0046】
また、前記ステップC7における明るさの設定は、設定された乗率を取得画像全体に掛けることにより行われる。この乗率は、取得した原稿画像のうちの印刷されていない地の部分のレベル値を予め設定されたグレーレベル値に引き上げるか又は引き下げるものである。たとえば、原稿画像中の最も白いレベルを255、最も暗いレベルを0、地のグレーレベル値を240と設定する。そして、取得画像のうちの印刷されていない地の色部分レベルの最頻度レベル値が160、印刷部分の最頻度レベル値が20となっている場合、地の色部分の最頻度レベル値160をグレーレベル値(240)に引き上げる。この場合、乗率は1.5となり、取得画像全体にこの乗率を掛ける。この結果、取得画像の印刷部分の最頻度レベル値は30、地の色部分の最頻度レベル値160が240となる。
【0047】
以上のように、この第1の実施形態によれば、ユーザが原稿21を原稿台20上に置いたとき、周囲環境の明るさを検出し、その検出結果を用いて取得画像に補正をかけるので、ユーザがほとんど意識することなく明るさの設定が行われ、短時間のうちに周囲の明るさが変化するような場合でも、取得画像が明るさの変化の影響を受けることを回避できる。
【実施形態2】
【0048】
図11は、この発明の第2の実施形態である画像読取り方法を実施するための画像読取り装置の電気的構成を示す図であり、第1の参考例を示す図1中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
この形態の画像読取り装置では、図1中の制御部5に代えて、新たな機能が付加された制御部5Cが設けられている。制御部5Cは、制御部5の機能に加え、同一の紙厚及び略白色系の紙色を有する原稿群に対して同一の識別子が記載された白基準原稿の白基準値と取得画像の白部分の濃度値とを比較すると共に、取得した原稿の画像から識別子を検出する機能を有している。また、制御部5Cは、前記識別子が検出されたとき、取得した原稿の画像の明るさを前記した比較による比較結果に基づいて設定する機能を有している。また、制御部5Cでは、制御部5の画素ずらしを行う機能は省略されている。他は、図1と同様の構成である。
【0049】
図12は、図11の画像読取り装置の動作を説明するフローチャートである。
この図を参照して、この形態の画像読取り方法の処理内容について説明する。
原稿台20上の画像取得が行われ(ステップD1)、ユーザの手22の画像の検出処理が行われる(ステップD2)。この後、ユーザの手22の画像が検出されたとき(ステップD3)、ステップD4へ進む。同一の紙厚及び略白色系の紙色を有する原稿群は、たとえば銀行などで使用される白色系の帳票であり、同一の識別子が印刷され、白基準原稿として用いられる。そして、白基準原稿、前記識別子に対応した白基準値、及び取得画像から識別子を検出する(ステップD4)。
【0050】
前記白基準値と取得画像の白部分の濃度値とが比較され、前記識別子が白基準の識別子であるとき(ステップD5)、取得画像の明るさが設定される(ステップD6)。明るさの設定値は、この後の画像取得(ステップD1)で取得画像から手22の画像が検出され(ステップD2,D3)、かつ、取得画像から識別子が検出されるまでの間、保持される。また、手22の画像及び識別子が検出されない場合、つまり単に画像を取得する際には、設定された明るさの設定値を用いて取得画像の明るさ設定が行われる。この後、他の処理が必要であれば、その処理に移る(ステップD7,D8)。
【0051】
ステップD6における明るさの設定は、たとえば、第1の実施形態と同様に行われ、乗率が1.5となる。この値は、後に手22の画像が検出され、かつ予め決められた識別子を有する原稿画像が検出されない限り、取得画像に掛ける処理に用いられる。この結果、予め決められた識別子を有する原稿画像については、画像の印刷部分の最頻度レベル値は30、地の色部分の最頻度レベル値160は240となる。また、識別子のない別の原稿画像についても、地の部分のレベルを左右する紙の厚みや紙の色が同じであれば、地のレベル値は240の近傍となる。
【0052】
以上のように、この第2の実施形態によれば、同一の紙厚及び略白色系の紙色を有する原稿に対して、第1の実施形態と同様の利点がある。
【参考例3】
【0053】
図13は、この発明の第3の参考例(関連技術)である画像読取り方法を実施するための画像読取り装置の電気的構成を示す図であり、第1の参考例を示す図1中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
この形態の画像読取り装置では、図1中の制御部5に代えて、新たな機能が付加された制御部5Dが設けられている。制御部5Dは、制御部5の機能に加え、取得した原稿の画像から背景色を検出する他、取得した原稿の画像の明るさを設定する機能を有している。他は、図1と同様の構成である。
【0054】
図14は、図13の画像読取り装置の動作を説明するフローチャートである。
この図を参照して、この形態の画像読取り方法の処理内容について説明する。
原稿台20上の画像取得が行われ(ステップE1)、画素ずらしを行う前の画像にユーザの手22の画像が検出されたとき(ステップE2,E3)、取得画像から背景色の部分が除去され(ステップE4)、また、取得画像からユーザの手22の画像を除去する処理が行われる(ステップE5)。そして、ユーザの手22の領域以外に背景色以外の画像が検出されている場合(ステップE6)、画像全体の明るさ設定が行われる(ステップE7)。この後、画素ずらしを行う前の画像が繰り返して取得され(ステップE8)、取得された画像からユーザの手22の画像が検出されなくなったときに(ステップE9,E10)画素ずらしが行われ(ステップE11)、画素ずらしを行った後に画像の取得が行われる(ステップE12)。そして、画素ずらしを行う前のユーザの手22の画像が検出されなくなった画像と画素ずらしを行った後の画像とを用いて高解像度の画像が取得される(ステップE13,E14)。この後の画像取得で取得画像からユーザの手22の画像が検出され、かつユーザの手22の領域以外に背景色以外の画像が検出されるまでの間、設定されている明るさが保持される。再び、画素ずらしを行う前の画像が取得され、画素ずらしを行う前の画像に手22の画像が検出されているか否かが検出される(ステップE15)。
【0055】
以上のように、この第3の参考例によれば、第1の参考例及び第1の実施形態と同様の利点がある。
【実施形態3】
【0056】
図15は、この発明の第3の実施形態である画像読取り方法を実施するための画像読取り装置の電気的構成を示す図であり、第1の参考例を示す図1中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
この形態の画像読取り装置では、図1中の制御部5に代えて、新たな機能が付加された制御部5Eが設けられている。制御部5Eは、制御部5の機能に加え、取得した原稿の画像から背景色を検出する他、同背景色の領域の面積の変化を検出する機能を有している。また、制御部5Eは、取得した原稿の画像の明るさを設定する機能を有している。また、制御部5Eでは、制御部5の画素ずらしを行う機能及びユーザの手22の画像を検出する機能は省略されている。他は、図1と同様の構成である。
【0057】
図16は、図15の画像読取り装置の動作を説明するフローチャートである。
この図を参照して、この形態の画像読取り方法の処理内容について説明する。
原稿台20上の画像取得が行われ(ステップF1)、取得画像から背景色の部分が検出され(ステップF2)、この背景色の領域の面積が取得画像全体の面積に対して予め設定した割合を超えて増大している場合(ステップF3,F4)、取得画像から背景色の領域を除去した領域に対して画像全体の明るさ設定が行われる(ステップF5,F6)。この後、画像取得で背景色の領域の面積が取得画像全体の面積に対して予め設定した割合を超えて増大するまで、設定されている明るさが保持される。この後、他の処理が必要であれば、その処理に移る(ステップF7,F8)。
【0058】
前記ステップF4における「予め設定した割合」は、たとえば、次のように設定される。すなわち、背景色の領域の面積の変化とは、原稿21を原稿台20上に置くことによって背景色の領域の一部が原稿21の占める領域に変化することであるから、たとえば、A4サイズの帳票を原稿21として置くとすれば、取得画像の面積からA4サイズの面積を差し引いた面積を取得画像の面積で割ったものが「予め設定した割合」の限界値となる。実際には、帳票の画像に背景色と同じ印刷色が表れることに配慮し、この値よりも若干(たとえば1割程度)低い値に設定する。
【0059】
以上のように、この第3の実施形態によれば、取得画像から背景色の領域を除去した領域に対して画像全体の明るさ設定が行われ、この後の画像取得で背景色の領域の面積が取得画像全体の面積に対して予め設定した割合を超えて増大するまで、設定されている明るさが保持されるので、制御部5Eにおけるデータの処理量を低減することができる。
【実施形態4】
【0060】
図17は、この発明の第4の実施形態である画像読取り方法を実施するための画像読取り装置の電気的構成を示す図であり、第1の参考例を示す図1中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
この形態の画像読取り装置では、図1中の制御部5に代えて、新たな機能が付加された制御部5Fが設けられている。制御部5Fは、制御部5の機能に加え、第3の実施形態の制御部5Eと同様に、取得した原稿の画像から背景色を検出する他、同背景色の領域の面積の変化を検出する機能を有している。また、制御部5Fは、第2の実施形態の制御部5Cと同様に、同一の紙厚及び略白色系の紙色を有する原稿群に対して同一の識別子が記載された白基準原稿の白基準値と取得画像の白部分の値とを比較すると共に、取得した原稿の画像から識別子を検出する機能を有している。また、制御部5Fは、前記識別子が検出されたとき、取得した原稿の画像の明るさを前記した比較による比較結果に基づいて設定する機能を有している。また、制御部5Fでは、制御部5の画素ずらしを行う機能及びユーザの手22の画像を検出する機能は省略されている。他は、図1と同様の構成である。
【0061】
図18は、図17の画像読取り装置の動作を説明するフローチャートである。
この図を参照して、この形態の画像読取り方法の処理内容について説明する。
原稿台20上の画像取得が行われ(ステップG1)、取得画像から背景色の部分が検出され(ステップG2)、この背景色の領域の面積が取得画像全体の面積に対して予め設定した割合を超えて増大し(ステップG3,G4)、かつ、識別子に基づいて白基準原稿であることを検出した場合(ステップG5,G6)、取得画像から背景色の領域を除去した領域に対して画像全体の明るさの設定が行われる(ステップG7,G8)。この後、画像取得で背景色の領域の面積が取得画像全体の面積に対して予め設定した割合を超えて増大し、かつ識別子に基づいて白基準原稿であることが検出されるまで、設定されている明るさが保持される。この後、他の処理が必要であれば、その処理に移る(ステップG9,G10)。前記ステップG4における「予め設定した割合」については、第3の実施形態と同様に設定される。
【0062】
以上のように、この第4の実施形態によれば、第2及び第3の実施形態と同様の利点がある。
【参考例4】
【0063】
図19は、この発明の第4の参考例(関連技術)である画像読取り方法を実施するための画像読取り装置の電気的構成を示す図であり、第1の参考例を示す図1中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
この形態の画像読取り装置では、図1中の制御部5に代えて、新たな機能が付加された制御部5Gが設けられている。制御部5Gは、制御部5の機能に加え、予め登録されている特徴を検出する機能を有している。この場合、予め登録しておく特徴は、たとえば、ユーザが手袋を着けている場合であれば、手袋の色や濃度である。他は、図1と同様の構成である。
【0064】
図20は、図19の画像読取り装置の動作を説明するフローチャートである。
この図を参照して、この形態の画像読取り方法の処理内容について説明する。
原稿台20上の画像取得が行われ(ステップH1)、画素ずらしを行う前の画像にユーザの手22の画像が検出され(ステップH2)、この画像中に予め登録されている特徴(たとえば、手袋の色や濃度)が検出されているとき(ステップH3)、画素ずらしを行う前の画像が繰り返して取得される(ステップH4)。取得された画像から予め登録されている特徴が検出されなくなったときに(ステップH5,H6)画素ずらしが行われ(ステップH7)、画素ずらしが行われた後に画像の取得が行われる(ステップH8)。そして、画素ずらしを行う前の予め登録されている特徴が検出されなくなった画像と画素ずらしを行った後の画像とを用いて高解像度の画像が取得される(ステップH9,H10)。この後、画素ずらし戻し動作が行われ(ステップH11)、再び、画素ずらしを行う前の画像が取得され、画素ずらしを行う前の画像に予め登録されている特徴が検出されているか否かが検出される。
【0065】
以上のように、この第4の参考例によれば、予め登録されている特徴の有無の判定結果に基づいて画素ずらし動作が行われるため、第1の参考例と同様に、画素ずらし方式による高解像度化の利点を損うことなく、原稿21の画像の読み込みが高速化される。
【参考例5】
【0066】
図21は、この発明の第5の参考例(関連技術)である画像読取り方法を実施するための画像読取り装置の電気的構成を示す図であり、第2の参考例を示す図7中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
この形態の画像読取り装置では、図7中の制御部5Aに代えて、異なる機能を有する制御部5Hが設けられている。制御部5Hでは、制御部5Aにおけるユーザの手22の画像を検出する機能に代えて、第4の参考例の制御部5Gと同様に、予め登録されている特徴を検出する機能を有している。他は、図7と同様の構成である。
【0067】
図22は、図21の画像読取り装置の動作を説明するフローチャートである。
この図を参照して、この形態の画像読取り方法の処理内容について説明する。
画素ずらしを行う前にイメージセンサ11においてドラフトモードで画像取得が繰り返し行われる(ステップJ1)。繰り返し取得されている画素ずらし前のドラフトモードによる画像に予め登録されている特徴が検出されている場合には(ステップJ2,J3)、引き続き繰り返して画素ずらし前の画像がドラフトモードで取得される(ステップJ4)。取得された画像から予め登録されている特徴が検出されなくなったときに(ステップJ5,J6)フレームモードの画像取得が行われ(ステップJ7)、この後、画素ずらしを行って画素ずらしを行った後のフレームモードの画像取得が行われる(ステップJ8,J9)。そして、画素ずらしを行う前の予め登録されている特徴が検出されなくなったフレームモードの画像と画素ずらしを行った後のフレームモードの画像とが所定の方法で処理されて処理前よりも高解像度の画像が取得される(ステップH10,H11)。この後、画素ずらし戻し動作が行われ(ステップH12)、再び、画素ずらしを行う前の画像がドラフトモードで取得され、画素ずらしを行う前の画像に予め登録されている特徴が検出されているか否かが検出される。
【0068】
以上のように、この第5の参考例によれば、第2及び第4の参考例と同様の利点がある。
【実施形態5】
【0069】
図23は、この発明の第5の実施形態である画像読取り方法を実施するための画像読取り装置の電気的構成を示す図であり、第1の参考例を示す図1中の要素と共通の要素には共通の符号が付されている。
この形態の画像読取り装置では、図1中の制御部5に代えて、新たな機能が付加された制御部5Jが設けられている。制御部5Jは、制御部5の機能に加え、表面に識別子のみが記載された均一な略白色の影除去用白基準原稿を用い、この影除去用白基準原稿に設定された白基準値と取得画像の白部分の濃度値とを比較し、取得画像から前記識別子を検出する。そして、識別子が検出されたとき、取得画像の明るさを前記比較の結果に基づいて部分的に調整して影を除去する機能を有している。また、制御部5Jでは、制御部5の画素ずらしを行う機能は省略されている。他は、図1と同様の構成である。
【0070】
図24は、図23の画像読取り装置の動作を説明するフローチャートである。
この図を参照して、この形態の画像読取り方法の処理内容について説明する。
原稿台20上の画像取得が行われ(ステップK1)、取得された画像からユーザの手22の画像が検出され(ステップK2,K3)、かつ、識別子に基づいて影除去用白基準原稿であることが検出された場合(ステップK4,K5)、この影除去用白基準原稿から識別子の部分を除いた領域の明るさを前記設定された白基準値とするための乗率が制御部5Jに記憶される(ステップK6)。この後の画像取得で取得画像から識別子が検出されるまでの間、前記乗率に基づいて設定された明るさが保持され、影が除去される。この後、他の処理が必要であれば、その処理に移る(ステップK7,K8)。
【0071】
以上のように、この第5の実施形態によれば、影除去用白基準原稿を用いて識別子の部分を除いた領域の明るさを設定して影を除去するようにしたので、スタンド型の画像読取り装置に発生しやすい設置環境による影の影響が低減する。
【0072】
以上、この発明の実施形態を図面により詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更などがあっても、この発明に含まれる。たとえば、各実施形態における画像読取り装置の画像読取り部1では、レンズ13,15は、装置の規模や構成に応じて任意の数で良く、また、装置の規模や構成に応じて反射ミラーを設けても良い。
また、イメージセンサ11は、各実施形態ではモノクロ画像に対応するものであるが、カラー画像に対応するものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】この発明の第1の参考例(関連技術)である画像読取り方法を実施するための画像読取り装置の電気的構成を示す図である。
【図2】図1の画像読取り装置の外観の一例を示す斜視図である。
【図3】図1の画像読取り装置の動作を説明するフローチャートである。
【図4】画素ずらしの原理の一例を示す図である。
【図5】画素ずらしの原理の一例を示す図である。
【図6】画素ずらしの原理の一例を示す図である。
【図7】この発明の第2の参考例(関連技術)である画像読取り方法を実施するための画像読取り装置の電気的構成を示す図である。
【図8】図7の画像読取り装置の動作を説明するフローチャートである。
【図9】この発明の第1の実施形態である画像読取り方法を実施するための画像読取り装置の電気的構成を示す図である。
【図10】図9の画像読取り装置の動作を説明するフローチャートである。
【図11】この発明の第2の実施形態である画像読取り方法を実施するための画像読取り装置の電気的構成を示す図である。
【図12】図11の画像読取り装置の動作を説明するフローチャートである。
【図13】この発明の第3の参考例(関連技術)である画像読取り方法を実施するための画像読取り装置の電気的構成を示す図である。
【図14】図13の画像読取り装置の動作を説明するフローチャートである。
【図15】この発明の第3の実施形態である画像読取り方法を実施するための画像読取り装置の電気的構成を示す図である。
【図16】図15の画像読取り装置の動作を説明するフローチャートである。
【図17】この発明の第4の実施形態である画像読取り方法を実施するための画像読取り装置の電気的構成を示す図である。
【図18】図17の画像読取り装置の動作を説明するフローチャートである。
【図19】この発明の第4の参考例(関連技術)である画像読取り方法を実施するための画像読取り装置の電気的構成を示す図である。
【図20】図19の画像読取り装置の動作を説明するフローチャートである。
【図21】この発明の第5の参考例(関連技術)である画像読取り方法を実施するための画像読取り装置の電気的構成を示す図である。
【図22】図21の画像読取り装置の動作を説明するフローチャートである。
【図23】この発明の第5の実施形態である画像読取り方法を実施するための画像読取り装置の電気的構成を示す図である。
【図24】図23の画像読取り装置の動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0074】
1 画像読取り部
2 画素ずらし駆動回路
3 メカニカルシャッタ駆動回路
4 イメージセンサ制御処理回路
5 制御部(手検出手段、画像処理手段)
5A 制御部(画像処理手段、画像保持手段、手検出手段)
5B 制御部(背景色検出手段、手検出手段、明るさ設定手段)
5C 制御部(手検出手段、比較手段、識別子検出手段、明るさ設定手段)
5D 制御部(手検出手段、画像処理手段、背景色検出手段、明るさ設定手段)
5E 制御部(背景色検出手段、面積変化検出手段、明るさ設定手段)
5F 制御部(背景色検出手段、面積変化検出手段、比較手段、識別子検出手段、明るさ設定手段)
5G 制御部(特徴検出手段、画像処理手段)
5H 制御部(画像処理手段、画像保持手段、特徴検出手段)
5J 制御部(手検出手段、比較手段、識別子検出手段、明るさ調整手段)
5a CPU(中央処理装置)
5b ROM(リード・オンリ・メモリ)
11 イメージセンサ
11a 基板
12 画素ずらし機構
13,15 レンズ(結像部)
14 メカニカルシャッタ
20 原稿台
21 原稿
31 アーム機構(保持機構)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光電変換素子が所定の間隔でマトリクス状に配列されてなるイメージセンサと、読取り対象となる原稿の画像を前記イメージセンサの撮像面上に結像させる結像部と、前記原稿から前記イメージセンサまでの距離を所定値に保持する保持機構と、取得された前記原稿の画像から背景色を検出する背景色検出手段と、取得された前記原稿の画像からユーザの手の画像を検出する手検出手段と、取得された前記原稿の画像の明るさを設定する明るさ設定手段とを備えてなる画像読取り装置に用いられる画像読取り方法であって、
取得された画像から前記ユーザの手の画像が検出され、かつ前記ユーザの手の領域以外に背景色以外の画像が検出されている場合、画像全体の明るさの設定を行い、
以降の画像取得で取得画像から前記ユーザの手の画像が検出され、かつ前記ユーザの手の領域以外に背景色以外の画像が検出されるまでの間、前記設定された明るさを保持することを特徴とする画像読取り方法。
【請求項2】
複数の光電変換素子が所定の間隔でマトリクス状に配列されてなるイメージセンサと、読取り対象となる原稿の画像を前記イメージセンサの撮像面上に結像させる結像部と、前記原稿から前記イメージセンサまでの距離を所定値に保持する保持機構と、取得された前記原稿の画像からユーザの手の画像を検出する手検出手段と、同一の紙厚及び略白色系の紙色を有する原稿群に対して同一の識別子が記載された白基準原稿の白基準値と取得画像の白部分の濃度値とを比較する比較手段と、取得された前記原稿の画像から前記識別子を検出する識別子検出手段と、前記識別子が検出されたとき、取得された前記原稿の画像の明るさを前記比較手段による比較結果に基づいて設定する明るさ設定手段とを備えてなる画像読取り装置に用いられる画像読取り方法であって、
取得された前記原稿の画像からユーザの手の画像が検出され、かつ前記識別子に基づいて前記原稿が前記白基準原稿であることが検出された場合、
画像全体の明るさの設定を行い、
以降の画像取得で取得画像から前記識別子が検出されるまでの間、前記設定された明るさを保持することを特徴とする画像読取り方法。
【請求項3】
複数の光電変換素子が所定の間隔でマトリクス状に配列されてなるイメージセンサと、読取り対象となる原稿の画像を前記イメージセンサの撮像面上に結像させる結像部と、前記原稿から前記イメージセンサまでの距離を所定値に保持する保持機構と、取得された前記原稿の画像から背景色を検出する背景色検出手段と、前記背景色の領域の面積の変化を検出する面積変化検出手段と、取得された前記原稿の画像の明るさを設定する明るさ設定手段とを備えてなる画像読取り装置に用いられる画像読取り方法であって、
前記背景色の領域の面積が取得画像全体の面積に対して予め設定した割合を超えて増大している場合、前記取得画像から前記背景色の領域を除いた領域を用いて画像全体の明るさの設定を行い、
以降の画像取得で前記背景色の領域の面積が取得画像全体の面積に対して予め設定した割合を超えて増大するまで前記設定された明るさを保持することを特徴とする画像読取り方法。
【請求項4】
複数の光電変換素子が所定の間隔でマトリクス状に配列されてなるイメージセンサと、読取り対象となる原稿の画像を前記イメージセンサの撮像面上に結像させる結像部と、前記原稿から前記イメージセンサまでの距離を所定値に保持する保持機構と、取得された前記原稿の画像から背景色を検出する背景色検出手段と、前記背景色の領域の面積の変化を検出する面積変化検出手段と、同一の紙厚及び略白色系の紙色を有する原稿群に対して同一の識別子が記載された白基準原稿の白基準値と取得画像の白部分の濃度値とを比較する比較手段と、取得された前記原稿の画像から前記識別子を検出する識別子検出手段と、前記識別子が検出されたとき、取得された前記原稿の画像の明るさを前記比較手段による比較結果に基づいて設定する明るさ設定手段とを備えてなる画像読取り装置に用いられる画像読取り方法であって、
前記背景色の領域の面積が取得画像全体の面積に対して予め設定した割合を超えて増大し、かつ前記識別子に基づいて前記原稿が白基準原稿であることが検出された場合、前記取得画像から前記背景色の領域を除いた領域を用いて画像全体の明るさの設定を行い、
以降の画像取得で前記背景色の領域の面積が取得画像全体の面積に対して予め設定した割合を超えて増大し、かつ前記原稿が白基準原稿であることを検出するまで前記設定された明るさを保持することを特徴とする画像読取り方法。
【請求項5】
複数の光電変換素子が所定の間隔でマトリクス状に配列されてなるイメージセンサと、読取り対象となる原稿の画像を前記イメージセンサの撮像面上に結像させる結像部と、前記原稿から前記イメージセンサまでの距離を所定値に保持する保持機構と、取得された前記原稿の画像からユーザの手の画像を検出する手検出手段と、表面に識別子のみが記載された均一な略白色の影除去用白基準原稿に設定された白基準値と取得画像の白部分の濃度値とを比較する比較手段と、取得画像から前記識別子を検出する識別子検出手段と、前記識別子が検出されたとき、取得画像の明るさを前記比較手段による比較結果に基づいて部分的に調整して影を除去する明るさ調整手段とを備えてなる画像読取り装置に用いられる画像読取り方法であって、
取得された画像から前記ユーザの手の画像が検出され、かつ前記識別子に基づいて前記原稿が前記影除去用白基準原稿であることを検出した場合、
前記影除去用白基準原稿から前記識別子の部分を除いた領域の明るさを前記設定された白基準値とするための乗率を前記明るさ調整手段で記憶し、
以降の画像取得で取得画像から前記識別子が検出されるまでの間、前記設定された明るさを保持することを特徴とする画像読取り方法。
【請求項6】
複数の光電変換素子が所定の間隔でマトリクス状に配列されてなるイメージセンサと、読取り対象となる原稿の画像を前記イメージセンサの撮像面上に結像させる結像部と、前記原稿から前記イメージセンサまでの距離を所定値に保持する保持機構と、取得された前記原稿の画像から背景色を検出する背景色検出機能と、取得された前記原稿の画像からユーザの手の画像を検出する手検出機能と、取得された前記原稿の画像の明るさを設定する明るさ設定機能とを有する制御部とを備えてなる画像読取り装置であって、
前記制御部は、
取得された画像から前記ユーザの手の画像が検出され、かつ前記ユーザの手の領域以外に背景色以外の画像が検出されている場合、画像全体の明るさの設定を行い、
以降の画像取得で取得画像から前記ユーザの手の画像が検出され、かつ前記ユーザの手の領域以外に背景色以外の画像が検出されるまでの間、前記設定された明るさを保持する構成になされていることを特徴とする画像読取り装置。
【請求項7】
複数の光電変換素子が所定の間隔でマトリクス状に配列されてなるイメージセンサと、読取り対象となる原稿の画像を前記イメージセンサの撮像面上に結像させる結像部と、前記原稿から前記イメージセンサまでの距離を所定値に保持する保持機構と、取得された前記原稿の画像からユーザの手の画像を検出する手検出機能と、同一の紙厚及び略白色系の紙色を有する原稿群に対して同一の識別子が記載された白基準原稿の白基準値と取得画像の白部分の濃度値とを比較する比較機能と、取得された前記原稿の画像から前記識別子を検出する識別子検出機能と、前記識別子が検出されたとき、取得された前記原稿の画像の明るさを前記比較機能による比較結果に基づいて設定する明るさ設定機能とを有する制御部とを備えてなる画像読取り装置であって、
前記制御部は、
取得された前記原稿の画像からユーザの手の画像が検出され、かつ前記識別子に基づいて前記原稿が前記白基準原稿であることが検出された場合、
画像全体の明るさの設定を行い、
以降の画像取得で取得画像から前記識別子が検出されるまでの間、前記設定された明るさを保持する構成になされていることを特徴とする画像読取り装置。
【請求項8】
複数の光電変換素子が所定の間隔でマトリクス状に配列されてなるイメージセンサと、読取り対象となる原稿の画像を前記イメージセンサの撮像面上に結像させる結像部と、前記原稿から前記イメージセンサまでの距離を所定値に保持する保持機構と、取得された前記原稿の画像から背景色を検出する背景色検出機能と、前記背景色の領域の面積の変化を検出する面積変化検出機能と、取得された前記原稿の画像の明るさを設定する明るさ設定機能とを有する制御部とを備えてなる画像読取り装置であって、
前記制御部は、
前記背景色の領域の面積が取得画像全体の面積に対して予め設定した割合を超えて増大している場合、前記取得画像から前記背景色の領域を除いた領域を用いて画像全体の明るさの設定を行い、
以降の画像取得で前記背景色の領域の面積が取得画像全体の面積に対して予め設定した割合を超えて増大するまで前記設定された明るさを保持する構成になされていることを特徴とする画像読取り装置。
【請求項9】
複数の光電変換素子が所定の間隔でマトリクス状に配列されてなるイメージセンサと、読取り対象となる原稿の画像を前記イメージセンサの撮像面上に結像させる結像部と、前記原稿から前記イメージセンサまでの距離を所定値に保持する保持機構と、取得された前記原稿の画像から背景色を検出する背景色検出機能と、前記背景色の領域の面積の変化を検出する面積変化検出機能と、同一の紙厚及び略白色系の紙色を有する原稿群に対して同一の識別子が記載された白基準原稿の白基準値と取得画像の白部分の濃度値とを比較する比較機能と、取得された前記原稿の画像から前記識別子を検出する識別子検出機能と、前記識別子が検出されたとき、取得された前記原稿の画像の明るさを前記比較機能による比較結果に基づいて設定する明るさ設定機能とを有する制御部とを備えてなる画像読取り装置であって、
前記制御部は、
前記背景色の領域の面積が取得画像全体の面積に対して予め設定した割合を超えて増大し、かつ前記識別子に基づいて前記原稿が白基準原稿であることが検出された場合、前記取得画像から前記背景色の領域を除いた領域を用いて画像全体の明るさの設定を行い、
以降の画像取得で前記背景色の領域の面積が取得画像全体の面積に対して予め設定した割合を超えて増大し、かつ前記原稿が白基準原稿であることを検出するまで前記設定された明るさを保持する構成になされていることを特徴とする画像読取り装置。
【請求項10】
複数の光電変換素子が所定の間隔でマトリクス状に配列されてなるイメージセンサと、読取り対象となる原稿の画像を前記イメージセンサの撮像面上に結像させる結像部と、前記原稿から前記イメージセンサまでの距離を所定値に保持する保持機構と、取得された前記原稿の画像からユーザの手の画像を検出する手検出機能と、表面に識別子のみが記載された均一な略白色の影除去用白基準原稿に設定された白基準値と取得画像の白部分の濃度値とを比較する比較機能と、取得画像から前記識別子を検出する識別子検出機能と、前記識別子が検出されたとき、取得画像の明るさを前記比較機能による比較結果に基づいて部分的に調整して影を除去する明るさ調整機能とを有する制御部とを備えてなる画像読取り装置であって、
前記制御部は、
取得された画像から前記ユーザの手の画像が検出され、かつ前記識別子に基づいて前記原稿が前記影除去用白基準原稿であることを検出した場合、
前記影除去用白基準原稿から前記識別子の部分を除いた領域の明るさを前記設定された白基準値とするための乗率を記憶し、
以降の画像取得で取得画像から前記識別子が検出されるまでの間、前記設定された明るさを保持する構成になされていることを特徴とする画像読取り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2008−283705(P2008−283705A)
【公開日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−163901(P2008−163901)
【出願日】平成20年6月23日(2008.6.23)
【分割の表示】特願2003−42965(P2003−42965)の分割
【原出願日】平成15年2月20日(2003.2.20)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【出願人】(000232173)NECコントロールシステム株式会社 (23)
【Fターム(参考)】