説明

画像読取装置と画像形成装置

【課題】 原稿の裏面と表面で読み取った画像のS/N特性に差異を生じさせずに出力画像品質を向上させる。
【解決手段】 CPU10は、CIS3の光源であるLEDのLED点灯Dutyを裏面読取ライン周期の下限値に設定し、その他のパラメータを設定した後、表面と裏面にそれぞれ光を照射する各LEDを点灯し、基準原稿から表面の画像データと裏面の画像データを取得し、S/N検出部17によって、表面の画像データと裏面の画像データとからそれぞれS/N特性を検出し、その基準原稿の表面の画像について検出したS/N特性と、基準原稿の裏面の画像について検出したS/N特性とが等しくなるようなLED点灯Dutyを算出し、そのLED点灯Dutyをメモリに保存して、原稿の読み取り時に、メモリに保存したLED点灯Dutyに基づいてCIS3のLEDの点灯を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スキャナを含む画像読取装置、その画像読取装置を備えた複写機、ファクシミリを含む画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、原稿読み取りの生産性向上、原稿の保護、及び静音性の向上などを目的として、原稿の両面を同時に読み取ることが可能な両面同時読取機構を有する画像読取装置が提案されている。
このような画像形成装置では、従来、原稿の表面の画像の読み取りには、従来の画像形成装置と同様に、CCD(Charge Coupled Device)が用いられ、原稿の裏面の画像の読み取りには、密着等倍イメージセンサ(Contact Image Sensor:CIS)が用いられている装置(例えば、特許文献1、2参照)があった。
上記CISには、CISモジュール内部で画像処理機能を有するものがある。
このようなCISでは、CISモジュール内部でのライン間補正が画像処理前に必要となるが、ライン間補正用のメモリを低減してコストを削減するため、副走査方向へは固定の分解能(したがって、走査速度も固定になる)で読み取ることを前提としている場合がある。
【0003】
このように、分解能が予め固定されているCISの場合、CISは変倍の指定がなされても分解能を変更して機械的に変倍を行うことができない。この機械的な変倍とは、イメージセンサの検知時の分解能を変えて画像データを変倍することである。
このため、CISは、変倍の指定がなされた場合でも、変倍率によらず常に固定の分解能(等倍)で原稿の画像を読み取る。
そして、後段の画像処理部や制御部が、電気的な変倍処理により、CISにより読み取られた画像データを指定された倍率へ変倍することになる。この電気的な変倍処理とは、読み取った画像を画像処理で指定された倍率に変倍することである。
例えば、固定の分解能が600dpiであり、画像データを50%に変倍するものとする。
この場合、分解能が可変であれば、分解能:300dpiで原稿を読み取ることにより、分解能:600dpiで原稿の読み取る場合と比べ副走査方向に2倍の読取速度で原稿を読み取り、機械的な変倍を行うことが可能となる。
【0004】
しかし、分解能が固定されたCISでは、分解能:300dpiで原稿を読み取って機械的な変倍を行うことはできず、分解能:600dpiで原稿を読み取った後に電気的な変倍処理により、分解能:300dpiへの変倍を行わなければならない。
また、表面と裏面では読取手段が異なると、S/N特性も異なってしまう。
S/N特性とは、イメージセンサの信号対ノイズの比を示すS/N比dB(デシベル)を特性値としたものであり、信号の品質を表す数値である。この数値が大きいほど雑音が少なく高品質の信号が得られる。
この為、像域分離による読取画像の適応処理を行う場合、分離性能の差異により出力画像へ影響が生じていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の技術では、分解能が固定されている場合であっても電気的な変倍処理により変倍を行うことはできるものの、機械的な変倍を行う場合に比べ、原稿の読み取り速度が低下し、生産性が低下するという問題があった。
また、原稿の裏面と表面で読み取った画像のS/N特性に差異があるため、出力画像品質に影響を及ぼすという問題があった。
この発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、原稿の裏面と表面で読み取った画像のS/N特性に差異が生じさせずに出力画像品質を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は上記の目的を達成するため、予め指定された変倍率に応じた第1分解能及び予め定められた第1読取周期で原稿の一方の面の画像である第1画像データを読み取る第1画像読取手段と、光源から照射される光を蓄積し、予め固定された第2分解能及び上記変倍率に応じた第2読取周期で上記原稿の他方の面の画像である第2画像データを読み取る第2画像読取手段と、上記第1画像読取手段によって読み取った第1画像データと上記第2画像読取手段によって読み取った第2画像データのS/N比を検出するS/N検出手段と、上記S/N検出手段によって検出したS/N比に基づいて上記第2画像読取手段の画像読み取り時の光蓄積時間を可変する制御手段を備えた画像読取装置を提供する。
【0007】
また、上記第2画像読取手段が、上記第1画像データのS/N比に基づいて、上記第2画像データの読み取り時の光蓄積時間を、上記第2読取周期の下限値以下の範囲内で可変制御する手段、上記第1画像データのS/N比に基づいて、上記光源の点灯を制御して、上記光蓄積時間を上記第2読取周期の下限値以下の範囲内で可変制御する手段のいずれかを有するようにするとよい。
さらに、上記第2画像読取手段が、上記第2読取周期毎に入力されるライン同期信号に従って上記原稿の他方の面の画像を1ライン分読み取り、上記ライン同期信号と同期して入力が開始されると共に上記下限値以下で入力が終了される点灯信号に従って上記光源を点灯させる手段を有するようにするとよい。
【0008】
また、上記第2画像読取手段が、上記第2読取周期毎に入力されるライン同期信号に従って上記原稿の他方の面の画像を1ライン分読み取り、上記ライン同期信号と同期して入力が開始されると共に上記下限値以下で入力が終了される制御信号に従って上記光源から照射される光を蓄積する手段を有するようにするとよい。
さらに、上記変倍率に応じた搬送速度で原稿を搬送する搬送手段を設けるとよい。
また、上記第2画像データを上記変倍率で電気的に変倍する変倍手段を設けるとよい。
【0009】
さらに、上記第1画像読取手段は、第1モードでは、上記変倍率に応じた上記第1分解能及び上記第1読取周期で上記原稿の一方の面から上記第1画像データを読み取り、第2モードでは、予め定められた上記第1分解能及び上記第1読取周期で上記原稿の一方の面から上記第1画像データを読み取る手段を、上記第2画像読取手段は、上記第1モードでは、上記第2分解能及び上記変倍率に応じた上記第2読取周期で上記原稿の他方の面から上記第2画像データを読み取り、上記第2モードでは、上記第2分解能及び予め定められた上記第2読取周期で上記原稿の他方の面から上記第2画像データを読み取る手段を、上記変倍手段は、上記第2モードで読み取られた上記第1画像データを上記変倍率で電気的に変倍する手段をそれぞれ有するようにするとよい。
【0010】
また、上記第1モードは、生産性を優先する生産性モードであり、上記第2モードは、再利用性を優先する再利用性モードであるようにするとよい。
あるいは、上記第1モードは、第1アプリモードであり、上記第2モードは、第2アプリモードであるようにするとよい。
【0011】
さらに、上記第1画像読取手段は、片面読取モードでは、上記変倍率に応じた上記第1分解能及び上記第1読取周期で上記原稿の一方の面から上記第1画像データを読み取り、両面読取モードでは、予め定められた上記第1分解能及び上記第1読取周期で上記原稿の一方の面から上記第1画像データを読み取る手段を、上記第2画像読取手段は、上記両面読取モードでは、上記第2分解能及び予め定められた上記第2読取周期で上記原稿の他方の面から上記第2画像データを読み取る手段を、上記変倍手段は、上記両面読取モードで読み取られた上記第1画像データを上記変倍率で電気的に変倍する手段をそれぞれ有するようにするとよい。
【0012】
また、上記のような画像読取装置を備えた画像形成装置を提供する。
さらに、上記のような画像読取装置と、上記モードの種類を選択入力するモード入力手段を備えた画像形成装置を提供する。
【発明の効果】
【0013】
この発明による画像読取装置と画像形成装置は、原稿の裏面と表面で読み取った画像のS/N特性に差異を生じさせずに出力画像品質を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図2に示す画像処理部とコントローラとの機能構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施例1〜7の画像形成装置に共通の構成を示す図である。
【図3】図2に示す画像形成装置におけるLED点灯Dutyの調整処理を示すフローチャート図である。
【図4】実施例1の画像形成装置における原稿の両面読取処理を示すフローチャート図である。
【図5】図4に示す処理において等倍読取を行う場合にCISと入力画像処理部との間でやり取りされる信号の一例を示すタイミングチャート図である。
【0015】
【図6】図4に示す処理において1/2の変倍率で変倍読取を行う場合にCISと入力画像処理部との間でやり取りされる信号の一例を示すタイミングチャート図である。
【図7】実施例2の画像形成装置における原稿の両面読取処理を示すフローチャート図である。
【図8】実施例3の画像形成装置における原稿の両面読取処理を示すフローチャート図である。
【図9】実施例4の画像形成装置における原稿の読取処理を示すフローチャート図である。
【図10】図2に示す画像形成装置における電子シャッタDutyの調整処理を示すフローチャート図である。
【0016】
【図11】実施例6の画像形成装置100における原稿の両面読取処理を示すフローチャート図である。
【図12】図11に示す処理において等倍読取を行う場合にCISと入力画像処理部との間でやり取りされる信号の一例を示すタイミングチャート図である。
【図13】図11に示す処理において1/2の変倍率で変倍読取を行う場合にCISと入力画像処理部との間でやり取りされる信号の一例を示すタイミングチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、この発明を実施するための形態を図面に基づいて具体的に説明する。
なお、この画像形成装置として、スキャナ機能に加え、印刷機能、コピー機能、及びファクシミリ機能の少なくともいずれかの機能を有する複合機(MFP:Multifunction Peripheral)を例にとり説明するが、これに限定されるものではない。例えば、複写機やスキャナ装置などであってもよい。
図2は、この発明の実施例1〜7の画像形成装置に共通の構成を示す図である。
この画像形成装置100は、複写機(コピー機)、ファクシミリ装置、スキャナ機能を備えたプリンタ、スキャナ機能に加え、印刷機能、コピー機能、及びファクシミリ機能の少なくともいずれかの機能を有する複合機(MFP:Multifunction Peripheral)を含む装置である。
【0018】
この画像形成装置100は、自動原稿搬送装置(Auto Document Feeder:「ADF」と略称する)101と、画像読取装置102と、本体装置103を備えている。
ADF101は、下部に画像読取装置102を備えており、その画像読取装置102へ原稿を搬送し、画像読取装置102によって原稿の両面の画像を読み取らせるために、原稿を反転させる機能を備えている。このような原稿の両面の画像を読み取れる装置を、自動両面原稿搬送装置(「ARDF」と略称する)とも呼ぶ。
画像読取装置102は、ADF101から搬送された原稿、又は原稿台ガラスに載置された原稿の画像を読み取るスキャナ装置であって、画像の読み取り時に原稿に光を照射する光源を2種類備えており、原稿の画像を読み取る際に2種類の光源の発光を制御する機能を備えている。この画像読取装置102は第1画像読取手段に相当する。
【0019】
ADF101は、原稿の裏面を読み取る密着等倍イメージセンサ(「CIS」と略称する)3を備えている。このCIS3は第2画像読取手段に相当する。
画像読取装置102は、ADF101により搬送される原稿が上部を通過するスリットガラス30と、画像の読み取り対象である原稿を載置するコンタクトガラス31と、シェーディング補正データ生成用の基準白板32と、画像の読み取り対象である原稿に光を照射する光源であるランプ33及び第1ミラー34を搭載した第1キャリッジ35と、第2ミラー36及び第3ミラー37を搭載した第2キャリッジ38と、CCDイメージセンサ2上に原稿からの反射光を縮小結像させるレンズユニット39と、CCDイメージセンサ2を搭載し、CCDイメージセンサ2から出力される画像信号に所定の処理を施して外部に出力する画像処理部(「信号処理基板」とも呼ぶ)1と、コントローラ2とを備えている。
【0020】
上記ランプ33は、光源であればどのような種類のものでも良く、例えば、LED(Light Emitting Diode)を用いると良い。
また、画像読取装置102は、図示を省略するが、第1キャリッジ35及び第2キャリッジ38を駆動する駆動モータと、第1キャリッジ35及び第2キャリッジ38のホームポジションを検出するホームポジションセンサと、原稿を検知する原稿検知センサなどの各部も備えている。
画像読取装置102では、「載置読取方式」又は「シートスルー読取方式」で原稿の表面の画像を読み取ることができる。
載置読取方式は、ランプ33を点灯し、駆動モータにより第1キャリッジ35及び第2キャリッジ38を原稿に対する副走査方向に移動走査して、コンタクトガラス31上に載置された原稿の表面の画像を読み取る読取方式である。
【0021】
この載置読取方式の場合、画像読取装置102は、原稿の画像の読み取りに先立って基準白板32を読み取ってそのデータを取得し、シェーディング補正データを生成する。
そして、画像読取装置102は、原稿の読み取り領域のスキャン(読取動作)と平行してシェーディング補正処理を実行する。
一方、シートスルー読取方式は、ランプ33を点灯し、第1キャリッジ35及び第2キャリッジ38を停止した状態のまま、ADF101により搬送される原稿がスリットガラス30の上部を通過する際に原稿の表面の画像を読み取る読取方式である。
このシートスルー読取方式の場合、画像読取装置102は、原稿の画像の読み取りに先立って駆動モータにより第1キャリッジ35及び第2キャリッジ38を基準白板32の下に移動させて、基準白板32を読み取ってそのデータを取得し、そのデータからシェーディング補正データを生成する。
【0022】
そして、画像読取装置102は、駆動モータにより第1キャリッジ35及び第2キャリッジ38をシートスルー読み取り位置に復帰させてから、ADF101により搬送される原稿の原稿読み取り領域のスキャン(読取動作)と平行してシェーディング補正処理を実行する。
なお、シートスルー読取方式の場合、CIS3を使用して原稿の裏面の画像を読み取ることもできる。
つまり、シートスルー読取方式では、原稿の表面の画像のみを読み取ることも可能であるし、原稿の両面の画像を同時に読み取ることも可能である。
ADF101は、原稿を載置する原稿トレイ40と、CIS3に対向する位置に設けられた基準白色ローラ41と、画像読取後の原稿を排出する排紙トレイ42と、原稿搬送機構43とを備えている。この原稿搬送機構43は搬送手段に相当する。
【0023】
また、ADF101は、図示を省略するが、原稿搬送機構43を駆動する駆動モータなども備えている。
画像読取装置102によりシートスルー読取方式で原稿の画像の読み取りを行う場合、原稿搬送機構43は、原稿トレイ40に載置されている原稿を、スリットガラス30の上部及びCIS3及び基準白色ローラ41の対向位置を経て、排紙トレイ42へ搬送する。
CIS3は、光源44としてLEDを備えている。この光源44としては、LED以外の種類の光源を用いてもよい。また、図示を省略するが、レンズアレイやセンサ素子などの各部も備えている。
シートスルー読取方式で原稿の両面の画像を同時に読み取る場合、CIS3は、光源44を点灯して、ADF101により搬送され、CIS3の下部を通過する原稿の裏面を照射し、原稿からの反射光をレンズアレイでセンサ素子に集光して画像データに変換する。こうして、CIS3は、ADF101により搬送される原稿の裏面の画像を読み取る。
【0024】
なお、CIS3は、原稿の画像の読み取りに先立って、基準白色ローラ41を読み取り、そのデータを取得し、そのデータに基づいてシェーディング補正データを生成する。
そして、CIS3は、原稿読み取り領域のスキャン(読取動作)と平行してシェーディング補正処理を実行する。
なお、この実施形態では、画像読取装置102が原稿の表面の画像を読み取り、CIS3が原稿の裏面の画像を読み取る例について説明するが、画像読取装置102が原稿の裏面の画像を読み取り、CIS3が原稿の表面の画像を読み取るようにしてよい。
また、画像読取装置102は、上述した構成の全てを必須の構成とする必要はなく、その一部を省略した構成としてもよい。
【0025】
次に、この画像形成装置100の本体装置103は、画像読取装置102によって読み取ったカラー画像データ又はモノクロ画像データを用紙に印刷する。
また、この画像形成装置100が複合機の場合は、通信機能を介して外部からファクシミリ受信した画像データ、インターネットを介して受信した画像データを印刷することもできる。
さらに、この画像形成装置100が複合機の場合は、画像読取装置102によって読み取った画像データをファクシミリ送信、インターネットを介した通信によって外部のファクシミリ装置や情報処理装置へ送ることもできる。
この本体装置103は、画像読取装置102によって読み取った画像データに基づいて印刷を制御する制御部であるコントローラ4を備えている。
【0026】
また、そのコントローラ4からの上記画像データに基づく指示により、4個の感光体(ドラム状の感光体の場合「感光体ドラム」とも呼ぶ)51y〜51kのそれぞれの表面上に静電潜像を形成する複数のミラーやレンズを含む露光部を備えた露光装置104を備えている。各感光体51y〜51kは、それぞれ表面にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各トナー画像が書き込まれる像担持体である。
各感光体51y〜51kの周りには、各感光体51y〜51kのそれぞれの表面を帯電処理する各帯電装置52y〜52kと、各感光体51y〜51kのそれぞれの表面に形成された静電潜像をそれぞれの色のトナーで可視像化する各現像装置53y〜53kと、各感光体51y〜51k上にそれぞれ形成されたトナー像(可視像)を中間転写ベルト50上に重ねるように転写した後に、各感光体51y〜51kに残ったトナーを回収する各クリーニング装置54y〜54kを設けている。
【0027】
中間転写ベルト50は、各感光体51y〜51kのいずれか1つに書き込まれた単色のトナー画像が転写、又は各感光体51y〜51kにそれぞれ書き込まれた各色のトナー画像が重ねて転写される転写体である。この中間転写ベルト50は転写手段に相当する。
この画像形成装置100は、カラー印刷の場合、中間転写ベルト50に、各感光体51y〜51kに書き込まれた各トナー画像を重ねるように転写し、カラーのトナー画像を形成する。また、モノクロ印刷の場合、中間転写ベルト50に、感光体56kに書き込まれたブラックのトナー画像を転写し、モノクロのトナー画像を形成する。
一方、給紙トレイ部56から搬送手段57によって搬送された用紙(転写紙)Pは、レジストローラ部58において一旦停止し、中間転写ベルト50の回転と同期をとって再給紙され、転写ローラ部59によって中間転写ベルト50上のトナー像を用紙Pに転写する。トナー像が転写された用紙Pは定着装置60によって定着処理され、最後に排紙手段61によって排紙収納部62に排出される。
【0028】
図1は、図2に示した画像処理部1とコントローラ4との機能構成を示すブロック図である。
画像読取装置102の画像処理部1は、CPU(Central Processing Unit)10と、CPUメモリ11と、データ変換部12と13と、メモリ14と、メモリ制御部15と、入力画像処理部16と、S/N検出部17と、それらの各部を接続するバスとを備えている。上記S/N検出部17がS/N検出手段に、上記入力画像処理部16が変倍手段にそれぞれ相当する。
CCDイメージセンサ2は、原稿の表面に照射した光の反射光を画像データ(画像信号)に変換し、その原稿の表面の画像データに、アナログデジタル(A/D)変換処理、信号増幅処理、及びシェーディング処理などの所定の処理を施して、データ変換部12へ出力する。
【0029】
一方、CIS3は、原稿の裏面に照射した光の反射光を画像データ(画像信号)に変換し、その原稿の裏面の画像データに、A/D変換処理、信号増幅処理、及びシェーディング処理などの所定の処理を施して、データ変換部13へ出力する。
データ変換部12は、CCDイメージセンサ2から入力した画像データのフォーマットを入力画像処理部16に適合するフォーマットに変換し、メモリ制御部15へ出力する。
データ変換部13は、CIS3から入力した画像データのフォーマットを入力画像処理部16に適合するフォーマットに変換し、メモリ制御部15へ出力する。
メモリ制御部15は、データ変換部12及びデータ変換部13から入力した画像データを一旦メモリ14に書き込み、その書き込んだ各画像データをメモリ14から読み出して入力画像処理部16とS/N検出部17へ転送する。
【0030】
入力画像処理部16は、メモリ制御部15から転送された各画像データに対し、例えば、γ補正やMTF(Modulation Transfer Function)補正などの入力特性に起因する画像処理、及び変倍処理などを行い、コントローラ4へ転送する。また、入力画像処理部16は、コントローラ4から転送された画像データを出力画像処理部5へ出力する。
S/N検出部17は、原稿の表面の画像データと原稿の裏面の画像データとのS/N特性(ノイズ)を検出する。
このS/N検出部17は、図1に示すのは一例であり、CCDイメージセンサ2とCIS3から画像処理部1にいたるデータパスのどこに位置していても構わない。
【0031】
ここで、画像読取装置102は、分解能が可変であるものとする。
このため、CPU10が、図示を省略した駆動モータを制御して、変倍率に応じた搬送速度で原稿搬送機構43に原稿を搬送させ、画像読取装置102が、変倍率に応じた分解能に変更して原稿の表面を走査して画像データを読み取ることにより、機械的に変倍を行うことができる。
例えば、50%の変倍指定がなされた場合、CPU10が、等倍読取の場合の2倍の搬送速度で原稿搬送機構43に原稿を搬送させ、画像読取装置102は、分解能を等倍読取の場合の1/2にして原稿の表面を走査して画像データを読み取ることにより、機械的に50%の変倍を行うことができる。
また、CIS3は、上述したような画像処理を行う前にライン間補正を行っており、ライン間補正用のメモリを低減してコストを削減するため、原稿の副走査方向へは固定の分解能(走査速度)で読み取る仕様になっているものとする。
【0032】
従って、シートスルー読取方式で原稿の両面を読み取る場合、CIS3は、常に固定の分解能(等倍)で原稿の裏面の画像データを読み取る。
この読み取り方であっても、電気的に変倍(縮小)することはできるものの、機械的な変倍を行う場合に比べ、原稿の読み取り速度が低下し、生産性が低下してしまう。
そこで、実施例1では、CPU10が、図示を省略した駆動モータを制御して、変倍率に応じた搬送速度で原稿搬送機構43に原稿を搬送させ、CIS3が、変倍率に応じた読取ライン周期に変更して原稿の裏面を走査して画像データを読み取り、入力画像処理部16が、読み取られた画像データを電気的に変倍する。
例えば、50%の変倍指定がなされた場合、CPU10が、等倍読取の場合の2倍の搬送速度で原稿搬送機構43に原稿を搬送させ、CIS3は、読取ライン周期を等倍読取の場合の1/2にして原稿の裏面を走査して画像データを読み取り、入力画像処理部16が、読み取られた画像データを電気的に50%に変倍する。
【0033】
このようにして、分解能が固定され電気的な変倍を行う場合であっても、原稿の読み取り速度の低下、及び生産性の低下を防止でき、機械的な変倍を行う場合と同様の生産性を保つことができる。
但し、変倍率(縮小率)に応じて読取ライン周期を短くするだけでは、CIS3の光源44から照射される光の光蓄積時間も短くなってしまい、例えば、S/N特性の低下などの読取特性の変化を招き、画像品質の劣化(変化)が生じてしまう。
そこで、実施例1では、CIS3の光源44の点灯を制御して、光蓄積時間を読取ライン周期の下限値以下の一定値に制御する。
このようにして、読取ライン周期を変倍率に応じて変更しても光蓄積時間を一定に保つことができ、読取特性の変化、及び画像品質の劣化を防止することができる。
【0034】
本体装置103の出力画像処理部5は、入力画像処理部16から入力した画像データに、例えば、フィルタ処理や色空間変換処理などの出力特性に合わせた画像処理を行い、LDドライバ6へ出力する。
本体装置103のLDドライバ6は、出力画像処理部5から入力した画像データに応じて露光装置104の図示を省略した光源であるLDの発光を駆動し、レーザ光を各感光体51y〜51kに照射させる。
各感光体51y〜51kには静電潜像が形成され、転写、定着を経て用紙に画像が転写され、プリント用紙が出力される。
CPU10は、CPUメモリ11をワーク領域に用いて、画像処理部1の他の各部と、画像読取装置102とADF101の全体と、ADF101のCIS3の制御を司る。
【0035】
また、CPU10は、コントローラ4のCPU20と通信して各種のデータを送受信する制御も行う。
なお、入力画像処理部15がハードウェア的に行う変倍処理を、CPU10が、ソフトウェア的に行うようにしてもよい。
本体装置103のコントローラ4は、CPU20と、CPU20に接続されている画像コントローラ21と、CPU20に接続されている入出力(I/O)コントローラ22とを備えている。
画像コントローラ21は、入力画像処理部16から転送された画像データを、図示を省略したハードディスク装置(Hard Disk Drive:HDD)などの記憶装置に記憶する。また、上記記憶装置に記憶されている画像データを読み出し、画像処理部1へ転送する。
【0036】
I/Oコントローラ22は、画像形成装置100の操作表示部7(図2では図示を省略)を接続しており、操作表示部7から入力される操作情報をCPU20へ出力し、CPU20から出力された表示情報を操作表示部7へ出力する。
操作表示部7は、原稿の読取開始の入力指示、読取モードの入力を含む各種の操作情報を入力すると共に、各種の表示情報を表示する。この操作表示部7は、モード入力手段に相当する。
CPU20は、コントローラ4の各部を制御し、画像処理部1のCPU10と通信して、操作表示部7からI/Oコントローラ22を介して入力された操作情報をCPU10へ送信し、CPU10からの情報を受信する。
【0037】
〔実施例1〕
次に、実施例1の画像形成装置100について説明する。
実施例1の画像形成装置100では、CIS3の光源44がLEDであり、そのLEDの点灯を制御して光蓄積時間を制御する。
まず、実施例1の画像形成装置100において通常の使用前に行うCIS3のLED点灯Dutyの調整処理について説明する。
図3は、画像形成装置100におけるLED点灯Dutyの調整処理を示すフローチャート図である。
図3に示す処理は、光源44がLEDの場合であり、ADF101の原稿トレイ40に調整用の基準原稿が載置され、操作表示部7から入力された操作情報に基づいて、入力画像処理部16によってCPU10に光源44のLED点灯Duty調整モードが設定されている状態で、操作表示部7から調整開始が入力されると実行する。
【0038】
また、動作仕様として、機械的な変倍率の範囲が50〜100%(分解能:300〜600dpiに相当)であり、画像読取装置102が等倍読取を行う場合、読取線速が300mm/sec、表面読取ライン周期が141μsec、表面読取分解能が600dpi、裏面読取ライン周期が141μsec、裏面読取分解能が600dpiである場合の例を説明するが、その例に限定されるものではない。
さらに、裏面読取のCIS3は等倍センサであり、表面の縮小光学系よりもS/N特性が高く、裏面の光蓄積時間は下限値設定以下で表面と同等のS/N特性を得ることが出来るものとする。
CPU10は、ステップ(図中「S」で示す)1で、CPU20を介して操作表示部7から入力された調整開始の指示を受け付けると、光源44のLED点灯Duty(裏面ランプ点灯基本Duty)を裏面読取ライン周期(原稿の裏面の読取ライン周期)の下限値(調整基準値):70μsecに設定し、ステップ2へ進む。
【0039】
ステップ2で、表面と裏面の読取線速を300mm/secに設定し、ステップ3へ進む。
ステップ3で、表面と裏面の読取ライン周期を141μsecにそれぞれ設定し、ステップ4へ進む。ステップ4で、シェーディング補正をオフに設定し、ステップ5へ進む。
ステップ5で、ランプ33と光源44とを点灯し、ステップ6へ進む。
ステップ6で、ADF101の原稿トレイ40にセットされた基準原稿を搬送し、その基準原稿の表面及び裏面の画像の読み取りを開始し、表面の画像データと裏面の画像データを取得し、ステップ7へ進む。
ステップ7で、S/N検出部17によって、表面の画像データと裏面の画像データとからそれぞれS/N特性(信号レベルとノイズ成分(標準偏差、ピーク/ボトム)との比)を検出し、ステップ8へ進む。
【0040】
基準原稿の濃度は、原稿読取装置102の読取可能な濃度範囲の上限に設定してあるものとする。
ステップ8で、基準原稿の表面及び裏面の画像の読み取りを終了し、ステップ9へ進む。ステップ9で、ランプ33と光源44とを消灯し、ステップ10へ進む。
ステップ10で、基準原稿の表面の画像について検出したS/N特性と、基準原稿の裏面の画像について検出したS/N特性とが等しくなるようなLED点灯Duty:Tadiを算出し、ステップ11へ進む。
このステップ10の処理については、簡易的には、センサの出力レベルが一定の値(表面のセンサ出力レベルから換算した裏面のセンサ出力目標値)になるように、LED点灯Dutyを算出し、その算出した値をメモリに記憶するようにしてもよい。
【0041】
その場合、LED点灯Dutyが70μsecのとき、センサ出力レベルがViniであれば、目標出力レベルをVtgtとすると、LED点灯Dutyは、70×Vtgt/Viniμsecと算出される。
ステップ11で、表面と裏面の画像のS/N特性が等しくなるLED点灯Duty:Tadiをメモリに保存し、ステップ12へ進む。
ステップ12で、シェーディング補正をオンに設定し、この調整処理を終了する。
なお、上述の調整処理では、基準原稿を読み取って行う場合を示したが、基準原稿の代わりに、シェーディング補正を行うための基準白色板を用いれば、調整の為の基準原稿を用意する必要がなく、ユーザの使用環境においても電源オン時のイニシャライズ動作時に調整を行うことが可能になる。
【0042】
次に、実施例1の画像形成装置100における通常使用の原稿の両面を読み取る処理について説明する。
図4は、実施例1の画像形成装置100における原稿の両面読取処理を示すフローチャート図である。
この原稿の両面読取処理は、ADF101の原稿トレイ140に原稿が載置され、操作表示部7からの入力に基づいて入力画像処理部16により両面読取モードが設定されている状態で、操作表示部7から原稿の読取開始入力で開始される。
また、機械的な変倍の変倍率の範囲が50〜100%(分解能:300〜600dpiに相当)であり、画像読取装置102が等倍読取を行う場合、原稿の読取線速が300mm/sec、原稿の表面の読取ライン周期が141μsec、原稿の表面の読取分解能が600dpi、原稿の裏面の読取ライン周期が141μsec、原稿の裏面の読取分解能が600dpiである場合を例に取り説明するが、これに限定されるものではない。
【0043】
まず、CPU10は、操作表示部7からCPU20を介して原稿の読取開始入力を受け付けると、ステップ(図中「S」で示す)21で、メモリに保存されたLED点灯Duty:Tadi(μsec)(裏面読取ライン周期の下限値以下の値に相当する)を、CIS3の光源(この場合、LED)のLED点灯Dutyに設定し、ステップ22へ進む。
例えば、裏面読取ライン周期(原稿の裏面の読取ライン周期)の下限値が70.5(=141×(1/2))μsecの場合、CPU10は、CIS3の光源44であるLEDのLED点灯Dutyを70μsec以下で調整されたTadi(μsec)に設定する。
ステップ22で、CPU10は、表面読取ライン周期(原稿の表面の読取ライン周期、「第1読取周期」に相当する)を141μsecに設定し、ステップ23へ進む。
ステップ23で、CPU10は、原稿の読取開始入力前に操作表示部7から変倍率を入力する変倍入力が行われているか否かを判断し、変倍入力が行われていれば(Yの場合)ステップ24へ進み、変倍入力が行われていなければ(Nの場合)ステップ31へ進む。
【0044】
ステップ24で、CPU10は、操作表示部7から入力されてCPU20を介して受け付けた変倍率に応じて読取線速(搬送速度に相当する):300/変倍率mm/secを設定する。
すなわち、CPU10は、等倍読取を行う場合の読取線速である300mm/secを変倍率で除した速度である読取線速:300/変倍率mm/secを設定する。
例えば、変倍率が1/2(50%)である場合、CPU10は、読取線速を600(=300/(1/2))mm/secに設定する。
ここで、この処理例では、変倍率の範囲が50〜100%であるから、読取線速を、300〜600mm/secの範囲で設定する。
そして、ステップ25へ進む。
【0045】
ステップ25で、CPU10は、操作表示部7から入力されてCPU20を介して受け付けた変倍率に応じて裏面読取ライン周期(原稿の裏面の読取ライン、第2読取周期に相当する):141×変倍率μsecを設定する。
すなわち、CPU10は、等倍読取を行う場合の裏面読取ライン周期である141μsecを変倍率で乗じた裏面読取ライン周期:141×変倍率μsecを設定する。
例えば、変倍率が1/2(50%)である場合、CPU10は、裏面読取ライン周期を70.5(=141×(1/2))μsecに設定する。
ここで、この処理例では、変倍率の範囲が50〜100%であるから、裏面読取ライン周期を、70.5〜141μsecの範囲で設定し、裏面読取ライン周期の下限値は、70.5μsecとなる。
そして、ステップ26へ進む。
【0046】
ステップ26で、CPU10は、操作表示部8から入力されてCPU20を介して受け付けた変倍率に応じて表面読取分解能(原稿の表面の読み取り分解能、第1分解能に相当する):600×変倍率dpiを設定する。
すなわち、CPU10は、等倍読取を行う場合の表面読取分解能である600dpiを変倍率で乗じた分解能を表面読取分解能:600×変倍率dpiを設定する。
例えば、変倍率が1/2(50%)である場合、CPU10は、表面読取分解能を300(=600×(1/2))dpiに設定する。
ここで、この処理例では、変倍率の範囲が50〜100%であるから、表面読取分解能を300〜600dpiの範囲で設定する。
また、裏面読取分解能(第2分解能に相当する)は600dpiに固定している。
そして、ステップ27へ進む。
【0047】
一方、ステップ23の判断で、読取開始入力前に操作表示部7から変倍入力が行われていない場合(Nの場合)、ステップ31で、CPU10は、等倍読取を行う場合の読取線速である300mm/secを読取線速に設定し、ステップ32へ進む。
ステップ32で、CPU10は、等倍読取を行う場合の裏面読取ライン周期である141μsecを裏面読取ライン周期に設定し、ステップ33へ進む。
ステップ33で、CPU10は、等倍読取を行う場合の表面読取分解能である600dpiを表面読取分解能に設定する。
また、裏面読取分解能は600dpiに固定している。
そして、ステップ27へ進む。
上述の各処理で各種パラメータの設定が終了し、CPU10が駆動モータの制御を開始すると、ステップ27で、原稿搬送機構43は、CPU10によって設定された読取線速で原稿の搬送を開始し、ステップ28へ進む。
【0048】
ステップ28で、CPU10は原稿の読み取りを開始して、画像読取装置102のCCDイメージセンサ2により、CPU10によって設定された表面読取ライン周期及び表面読取分解能を含む各種パラメータに従って、原稿搬送機構43によって搬送された原稿の表面の画像データを読み取り、CIS3により、CPU10によって設定されたLED点灯Duty及び裏面読取ライン周期を含む各種パラメータに従って、原稿搬送機構43によって搬送された原稿の裏面の画像データを読み取り、ステップ29へ進む。
【0049】
図5は、図4に示す処理において等倍読取を行う場合にCIS3と入力画像処理部16との間でやり取りされる信号の一例を示すタイミングチャート図である。
図5に示す例では、CIS3は、図5の(a)に示した画素クロック信号VCLKに基づいて、図5の(b)に示すように、1ライン周期である裏面読取ライン周期:141μsec毎にライン同期信号XLSYNCの図中矢示Aを生成して入力画像処理部16に出力する。
また、図5の(c)に示すように、CIS3は、ライン同期信号XLSYNと同期して光源44であるLEDの点灯を示すランプ点灯信号LED_ONの生成を開始し、LED点灯Dutyで設定されたTadi(μsec)の間、入力画像処理部16へ出力する。
【0050】
さらに、図5の(d)に示すように、CIS3は、裏面読取ライン周期内で画像信号ViDEO_DATAを入力画像処理部16に出力している。
つまり、図5に示す例では、CIS3は、141μsec毎に原稿の裏面の1ライン分の画像データの読み取りを開始すると共に、LED点灯Duty:Tadi(μsec)の期間、光源44のLEDを点灯させる。
そして、CIS3は、141μsecの期間内で、原稿の裏面の1ライン分の画像データを読み取って(図中の有効画像データ)入力画像処理部16に出力する。
【0051】
図6は、1/2の変倍率で変倍読取を行う場合にCIS3と入力画像処理部16との間でやり取りされる信号の一例を示すタイミングチャート図である。
図6に示す例では、CIS3は、図6の(a)に示した画素クロック信号VCLKに基づいて、図6の(b)に示すように、1ライン周期である裏面読取ライン周期:70.5μsec毎にライン同期信号XLSYNCの図中矢示Bを生成して入力画像処理部16に出力する。
また、図6の(c)に示すように、CIS3は、ライン同期信号XLSYNと同期して光源44であるLEDの点灯を示すランプ点灯信号LED_ONの生成を開始し、LED点灯Dutyで設定されたTadi(μsec)の間、入力画像処理部16へ出力する。
【0052】
さらに、図6の(d)に示すように、CIS3は、裏面読取ライン周期内で画像信号ViDEO_DATAを入力画像処理部16に出力している。
そして、画素クロック周波数は、裏面読取ライン周期を変倍率に応じて変更した場合であっても有効画像データの転送が可能な周波数となっており、変倍率に応じた裏面読取ライン周期の変更を可能としている。
つまり、図6に示す例では、CIS3は、70.5μsec毎に原稿の裏面の1ライン分の画像データの読み取りを開始すると共に、LED点灯Duty:Tadj(μsec)の期間、光源44のLEDを点灯させる。
【0053】
そして、CIS3は、70.5μsecの期間内で、原稿の裏面の1ライン分の画像データを読み取って(図中の有効画像データ)入力画像処理部16に出力する。
なお、図7に示した例の場合、画像読取装置102によって読み取られた原稿の表面の1ライン分の画像データは、副走査方向に機械的に50%(分解能:300dpi)への変倍が行われているが、CIS3によって読み取られた原稿の裏面の1ライン分の画像データは、変倍が行われていない。
そこで、入力画像処理部16は、副走査方向に電気的に50%(分解能:300dpi)に変倍する。
【0054】
次に、図4に戻り、ステップ29で、画像読取装置102のCPU10は、原稿の表面の全ライン分の画像データの読み取りと、原稿の裏面の全ライン分の画像データを読み取りを終了すると、原稿の読み取りを終了し、ステップ30へ進む。
ステップ30で、CPU10は、駆動モータの制御を終了して原稿搬送機構43による原稿の搬送を終了し、この両面読取処理を終了する。
このようにして、実施例1の画像形成装置では、分解能が固定されている場合であっても、縮小率に応じて読取線速を速くすると共に、縮小率に応じて読取ライン周期を短くして、電気的に変倍を行うので、原稿の読み取り速度の低下、及び生産性の低下を防止でき、機械的な変倍を行う場合と同様の生産性を保つことができる。
【0055】
また、光源44のLEDのLED点灯Dutyを読取ライン周期の下限値以下に制御しているため、読取ライン周期を変倍率に応じて変更しても光蓄積時間を一定に保つことができ、読取特性の変化、及び画像品質の劣化を防止することができる。
さらに、表面と裏面のS/N特性を同等に調整しているため、画像品質の安定化を行うことができる。
なお、光源44のLEDのLED点灯Dutyの可変可能範囲は、画像読取装置102の読取性能であるS/N特性を満足するのに必要な照度を有する照明系の設計がなされているものとする。
【0056】
〔実施例2〕
次に、実施例2の画像形成装置100について説明する。
上記実施例1の画像形成装置100では、原稿の表面の読み取りは機械的に変倍し、原稿の裏面の読み取りを電気的に変倍する例について説明した。
実施例2の画像形成装置100では、画像データの生産性を優先するか再利用性を優先するかに応じて、上述した態様で変倍を行う処理と、原稿の両面を電気的に変倍する処理のいずれかを選択することができる。
以下の説明では、実施例1と共通の部分についてはその説明を省略し、実施例1との相違点についてのみ詳しく説明する。
【0057】
図7は、実施例2の画像形成装置における原稿の両面読取処理を示すフローチャート図である。
まず、ステップ(図中「S」で示す)41と42は、それぞれ図4のステップ21と22の処理と同じなので、その説明を省略する。
ステップ43で、CPU10は、原稿の読取開始入力前に操作表示部7から変倍率を入力する変倍入力が行われているか否かを判断し、変倍入力が行われていれば(Yの場合)ステップ44へ進み、変倍入力が行われていなければ(Nの場合)ステップ52へ進む。
ステップ44では、原稿の読取開始入力前に操作表示部7から画像データの生産性を優先する生産性モード(第1モード)の入力が行われているか否かを判断し、生産性モードの入力が行われている場合(Yの場合)、ステップ45へ進み、生産性モードの入力が行われていない場合(画像データの再利用性を優先する再利用性モード(第2モード)の入力が行われている場合(Nの場合)、ステップ52へ進む。
【0058】
以下、生産性モードの入力が行われている場合のステップ45〜51の処理は、図4のステップ24〜30の処理とそれぞれ同じであり、再利用性モードの入力が行われている場合のステップ52〜54及びステップ48〜51の処理は、図4のステップ31〜33及びステップ27〜30とそれぞれ同じであるから、その説明を省略する。
上記処理によって読み取られた画像データについて、再利用性モードの入力が行われている場合では、入力画像処理部16は、CCDイメージセンサ2によって読み取られた原稿の表面の画像データ、及びCIS3によって読み取られた原稿の裏面の画像データを画像コントローラ21に転送してHDD等の記憶装置に記憶させる。
【0059】
そして、入力画像処理部16は、画像コントローラ21から記憶装置に記憶された表面及び裏面の画像データの転送を受け、電気的な変倍を行う。
つまり、再利用性モードでは、変倍を行う場合であっても、原稿の表面と裏面ともに等倍読取が行われ、等倍で読み取られた画像データが保存された後に、入力画像処理部16によって指定された変倍率への電気的な変倍が行われる。
このようにして、実施例2の画像形成装置100では、再利用性モードでは、変倍を行う場合であっても、等倍で読み取られた画像データが保存されるため、保存された画像データを読み取り時に指定された変倍率とは異なる変倍率で変倍して、コピー画像として出力したり、FAXで送信したりすることが可能となり、画像データの再利用性を高めることができる。
【0060】
〔実施例3〕
次に、実施例3の画像形成装置100について説明する。
上記実施例1、2の画像形成装置100では、原稿の表面を機械的に変倍し、原稿の裏面を電気的に変倍する例について説明した。
実施例3の画像形成装置100では、スキャナアプリによる読み取りを行うスキャナアプリモード(第1モード、第1アプリモード)か、コピーアプリによる読み取りを行うコピーアプリモード(第2モード、第2アプリモード)かに応じて、上述した態様で変倍を行う処理と、原稿の両面を電気的に変倍する処理のいずれかを選択することができる。
以下の説明では、実施例1、2と共通の部分についてはその説明を省略し、実施例1、2との相違点についてのみ詳しく説明する。
【0061】
図8は、実施例3の画像形成装置における原稿の両面読取処理を示すフローチャート図である。
まず、ステップ(図中「S」で示す)61と62は、それぞれ図4のステップ21と22(図7のステップ41と42)の処理と同じなので、その説明を省略する。
ステップ63で、CPU10は、原稿の読取開始入力前に操作表示部7から変倍率を入力する変倍入力が行われているか否かを判断し、変倍入力が行われていれば(Yの場合)ステップ64へ進み、変倍入力が行われていなければ(Nの場合)ステップ72へ進む。
ステップ64では、原稿の読取開始入力前に操作表示部7からスキャナアプリモードの入力が行われているか否かを判断し、スキャナアプリモードの入力が行われている場合(Yの場合)、ステップ65へ進み、スキャナアプリモードの入力が行われていない場合(コピーアプリモードの入力が行われている場合、Nの場合)、ステップ72へ進む。
【0062】
以下、スキャナアプリモードの入力が行われている場合のステップ65〜71の処理は、図4のステップ24〜30(図7のステップ45〜51)の処理とそれぞれ同じであり、コピーアプリモードの入力が行われている場合のステップ72〜74及びステップ68〜71の処理は、図4のステップ31〜33及びステップ27〜30(図7のステップ52〜54及びステップ48〜51)とそれぞれ同じであるから、その説明を省略する。
上記処理によって読み取られた画像データについて、コピーアプリモードの入力が行われている場合では、入力画像処理部16は、CCDイメージセンサ2によって読み取られた原稿の表面の画像データ、及びCIS3によって読み取られた原稿の裏面の画像データを画像コントローラ21に転送してHDD等の記憶装置に記憶させる。
そして、入力画像処理部16は、画像コントローラ21から記憶装置に記憶された表面及び裏面の画像データの転送を受け、電気的な変倍を行って、出力画像処理部5に出力し、コピー画像として出力させる。
【0063】
つまり、コピーアプリモードでは、変倍を行う場合であっても、原稿の表面と裏面ともに等倍読取が行われ、等倍で読み取られた画像データが保存された後に、入力画像処理部16により指定された変倍率への電気的な変倍が行われ、コピー画像として出力される。
このようにして、実施例3の画像形成装置100では、スキャナアプリモードでは、画像データの生産性を優先でき、コピーアプリモードでは、画像データの再利用性を優先することができる。
また、上述の処理では、スキャナアプリモードで画像データの生産性を優先し、コピーアプリモードで画像データの再利用性を優先する例について説明したが、各アプリモードと何を優先するかの関係はこれに限定されるものではない。
例えば、スキャナアプリモードで画像データの再利用性を優先し、コピーアプリモードで画像データの生産性を優先するようにしてもよいし、アプリモード毎に再利用性を優先するか生産性を優先するかを操作表示部7から入力するようにしてもよい。
【0064】
〔実施例4〕
次に、実施例4の画像形成装置100について説明する。
上記実施例1〜3の画像形成装置100では、原稿の表面を機械的に変倍し、原稿の裏面を電気的に変倍する例について説明した。
実施例4の画像形成装置100では、片面読取の場合には、原稿の表面を機械的に変倍し、両面読取の場合には、原稿の両面を電気的に変倍する処理、又は原稿の表面を機械的及び電気的に変倍すると共に原稿の裏面を電気的に変倍する処理のいずれかを選択することができる。
以下の説明では、実施例1〜3と共通の部分についてはその説明を省略し、実施例1〜3との相違点についてのみ詳しく説明する。
図9は、実施例4の画像形成装置における原稿の読取処理を示すフローチャート図である。
【0065】
この原稿の読取処理は、ADF101の原稿トレイ140に原稿が載置され、操作表示部7から変倍率が入力された後、原稿の読取開始入力で開始される。
また、機械的な変倍の範囲が分解能:400〜600dpiであり、分解能:300〜400dpiへの原稿の表面の変倍は、機械的な変倍及び電気的な変倍を併用して行うものとする。
まず、CPU10は、操作表示部7からCPU20を介して原稿の読取開始入力を受け付けると、ステップ(図中「S」で示す)81で、メモリに保存されたLED点灯Duty:Tadi(μsec)(裏面読取ライン周期の下限値以下の値に相当する)を、CIS3の光源(この場合、LED)のLED点灯Dutyに設定し、ステップ82へ進む。
例えば、裏面読取ライン周期(原稿の裏面の読取ライン周期)の下限値が94(=141×(2/3))μsecの場合、CPU10は、CIS3の光源44であるLEDのLED点灯Dutyは93μsec以下で調整されたTadiに設定する。
【0066】
ステップ82で、CPU10は、表面読取ライン周期(原稿の表面の読取ライン周期、「第1読取周期」に相当する)を141μsecに設定し、ステップ83へ進む。
ステップ83で、CPU10は、原稿の読取開始入力前に操作表示部7から両面読取モードの入力が行われているか否かを判断し、両面読取モードの入力が行われていなければ(片面読取モードの入力が行われている場合(Nの場合)ステップ92へ進み、両面読取モードの入力が行われていれば(Yの場合)ステップ84へ進む。
ステップ92で、CPU10は、操作表示部7から入力された変倍率をCPU20を介して受け付け、その変倍率に応じて読取線速:300/変倍率mm/secを設定する。
すなわち、CPU10は、等倍読取を行う場合の読取線速である300mm/secを変倍率で除した速度である読取線速:300/変倍率mm/secを設定する。
そして、ステップ93へ進む。
【0067】
ステップ93で、CPU10は、操作表示部7から入力された変倍率をCPU20を介して受け付け、その変倍率に応じて表面読取分解能:600×変倍率dpiを設定する。
すなわち、CPU10は、等倍読取を行う場合の表面読取分解能である600dpiを変倍率で乗じた分解能である表面読取分解能:600×変倍率dpiを設定する。
そして、ステップ88へ進む。
一方、ステップ84では、CPU10は、受け付けた変倍率が示す変倍範囲が分解能:300〜400dpiの範囲内であるか否かを判断し、分解能:300〜400dpiの範囲内であれば(Yの場合)、ステップ85へ進み、分解能:300〜400dpiの範囲内でなければ(Nの場合)、ステップ94へ進む。
ステップ85では、CPU10は、読取線速を450(=300/(2/3))mm/secに設定し、ステップ86へ進む。
【0068】
ステップ86で、CPU10は、裏面読取ライン周期を94(=141×(2/3))μsecに設定する。
この処理例では、機械的な変倍の範囲が分解能:400〜600dpiであるから、裏面読取ライン周期は、94〜141μsecの範囲となり、裏面読取ライン周期の下限値は94μsecとなる。
そして、ステップ87へ進む。
ステップ87で、CPU10は、表面読取分解能を400(=600×(2/3))dpiに設定する。
また、裏面読取分解能は600dpiに固定する。
そして、ステップ88へ進む。
【0069】
また、読取開始入力前に両面読取モードの入力が行われ、変倍率が示す変倍範囲が分解能:300〜400dpiの範囲外である場合、ステップ94で、CPU10は、等倍読取を行う場合の読取線速である300mm/secを読取線速に設定し、ステップ95へ進む。
ステップ95で、CPU10は、等倍読取を行う場合の裏面読取ライン周期である141μsecを裏面読取ライン周期に設定し、ステップ96に進む。
ステップ96で、CPU10は、等倍読取を行う場合の表面読取分解能である600dpiを表面読取分解能に設定する。
また、裏面読取分解能は600dpiに固定する。
そして、ステップ88へ進む。
【0070】
上述の各処理で各種パラメータの設定が終了し、CPU10が駆動モータの制御を開始すると、ステップ88で、原稿搬送機構43は、CPU10によって設定された読取線速で原稿の搬送を開始し、ステップ89へ進む。
ステップ89で、CPU10は原稿の読み取りを開始して、片面読取モードの入力が行われている場合、画像読取装置102のCCDイメージセンサ2により、CPU10によって設定された表面読取ライン周期及び表面読取分解能を含む各種パラメータに従って、原稿搬送機構43によって搬送された原稿の表面の画像データを読み取る。
この場合、CCDイメージセンサ2により読み取られた原稿の表面の画像データは、副走査方向に指定された倍率への機械的な変倍が行われている。
【0071】
また、両面読取モードの入力が行われ、変倍範囲が分解能:300〜400dpiの範囲内である場合、CCDイメージセンサ2により、CPU10によって設定された表面読取ライン周期及び表面読取分解能を含む各種パラメータに従って、原稿搬送機構43によって搬送された原稿の表面の画像データを読み取る。
また、CIS3は、CPU10によって設定されたLED点灯Duty及び裏面読取ライン周期を含む各種パラメータに従って、原稿搬送機構43によって搬送された原稿の裏面の画像データを読み取る。
この場合、CCDイメージセンサ2により読み取られた原稿の表面の画像データは、副走査方向に分解能:400dpiへの機械的な変倍が行われ、CIS3により読み取られた原稿の裏面の画像データは、変倍が行われていない。
【0072】
このため、入力画像処理部16は、分解能:400dpiへの変倍が行われた画像データがCCDイメージセンサ2から転送されると、指定された倍率となるように、更に副走査方向に電気的な変倍を行う。
同様にして、入力画像処理部16は、CIS3から原稿の裏面の画像データが転送されると、副走査方向に指定された倍率への電気的な変倍を行う。
また、両面読取モードの入力が行われ、変倍範囲が分解能:300〜400dpiの範囲外である場合、CCDイメージセンサ2は、CPU10によって設定された表面読取ライン周期及び表面読取分解能などに従って、原稿搬送機構43によって搬送された原稿の表面の画像データを読み取る。
また、CIS3は、CPU10によって設定されたLED点灯Duty及び裏面読取ライン周期を含む各種パラメータに従って、原稿搬送機構43によって搬送された原稿の裏面の画像データを読み取る。
【0073】
この場合、CCDイメージセンサ2により読み取られた原稿の表面の画像データ、及びCIS3により読み取られた原稿の裏面の画像データは、変倍が行われていない。
このため、入力画像処理部16は、CCDイメージセンサ2から原稿の表面の画像データが転送されると、副走査方向に指定された倍率への電気的な変倍を行い、同様に、入力画像処理部16は、CIS3から原稿の裏面の画像データが転送されると、副走査方向に指定された倍率への電気的な変倍を行う。
そして、ステップ90へ進む。
ステップ90で、画像読取装置102のCPU10は、原稿の表面の全ライン分の画像データの読み取り、又は原稿の裏面の全ライン分の画像データを読み取りを終了すると、原稿の読み取りを終了し、ステップ91へ進む。
【0074】
ステップ91で、CPU10は、駆動モータの制御を終了して原稿搬送機構43による原稿の搬送を終了し、この読取処理を終了する。
このようにして、実施例4の画像形成装置100では、片面読取モードでは機械的な変倍のみが行われるため、生産性を最大限発揮することができる。
また、両面読取モードでは、縮小率が大きい場合(分解能:300〜400dpiの場合)、機械的な変倍及び電気的な変倍を併用して変倍するようにしている。
例えば、分解能:350dpiへ変倍する場合、原稿の表面の画像データは、まず分解能:600dpiから分解能:400dpiへ機械的に変倍され、その後分解能:350dpiへ電気的に変倍される。
【0075】
原稿の裏面の画像データは、分解能:600dpiから分解能:350dpiへ電気的に変倍される。
したがって、原稿の表面の画像データの変倍を機械的な変倍のみで対応する場合と比べ、裏面読取ライン周期の下限値を長くすることができ、光源44のLED点灯Dutyも長くすることができる。
その結果、光源44であるLEDの照度も小さくすることができ、コストの上昇、及び発熱の増加などの副作用の発生を抑制することができる。
つまり、機械的な変倍及び電気的な変倍を併用することにより、生産性を保ちつつ、上述したような副作用の発生を抑制することができる。
【0076】
〔実施例5〕
次に、実施例5の画像形成装置100を説明する。
実施例5の画像形成装置100では、上述した実施例1〜4の画像形成装置100の機能を適宜組み合わせる。
例えば、実施例1と実施例3の画像形成装置100の機能を組み合わせれば、片面読取又は両面読取を行う場合に生産性を優先するか、再利用性を優先するかを選択することができる。
【0077】
〔実施例6〕
次に、実施例6の画像形成装置100を説明する。
上記実施例1〜5の画像形成装置100では、CIS3の光源44がLEDの場合であり、そのLEDの点灯を制御して光蓄積時間を制御する例について説明したが、実施例6の画像形成装置100では、CIS3の電子シャッタ機能を用いて光蓄積時間を制御する例について説明する。
以下の説明では、実施例1〜5と共通の部分についてはその説明を省略し、実施例1〜5との相違点についてのみ詳しく説明する。
実施例6の画像形成装置100の構成は、実施例1〜5の画像形成装置100とは、光源44としてキセノンランプを備えている点が異なり、その他の部分は共通であり、上述と同様の名称と符号を付し、その説明を省略する。
【0078】
また、実施例6の画像形成装置100の画像処理部1とコントローラ4との機能構成も、同じであるが、上述の実施例1〜5とは、画像読み取り時のCIS3の電子シャッタを制御する点が異なる。
CIS3は、光源44としてキセノンランプを備えている。
このキセノンランプは、応答性の観点から1ライン周期の中で点灯と消灯を制御することが困難である。
そこで、実施例6の画像形成装置100のCIS3では、光源44のキセノンランプの点灯を制御するのではなく、CIS3の電子シャッタ機能を使用して、光蓄積時間を読取ライン周期の下限値以下に制御する。
なお、以下に説明するCIS3の電子シャッタ機能を使用して、光源44の光蓄積時間を読取ライン周期の下限値以下に制御する処理は、光源44がLEDの場合でも同様に実施できるので、上述した実施例1〜5の画像形成装置100におけるLEDの点灯制御に変えて行うことができる。
【0079】
図10は、実施例6の画像形成装置100における電子シャッタの調整処理を示すフローチャート図である。
図10に示す処理は、光源44がキセノンランプの場合であり、ADF101の原稿トレイ40に調整用の基準原稿が載置され、操作表示部7から入力された操作情報に基づいて、入力画像処理部16によってCPU10に電子シャッタDuty調整モードが設定されている状態で、操作表示部7から調整開始が入力されると実行する。
【0080】
また、動作仕様として、機械的な変倍の範囲が50〜100%(分解能:300〜600dpiに相当)であり、画像読取装置102が等倍読取を行う場合、読取線速が300mm/sec、表面読取ライン周期が141μsec、表面読取分解能が600dpi、裏面読取ライン周期が141μsec、裏面読取分解能が600dpiである場合の例を説明するが、その例に限定されるものではない。
さらに、裏面読取のCIS3は等倍センサであり、表面の縮小光学系よりもS/N特性が高く、裏面の光蓄積時間は下限値設定以下で表面と同等のS/N特性を得ることが出来るものとする。
CPU10は、ステップ(図中「S」で示す)101で、CPU20を介して操作表示部7から入力された調整開始の指示を受け付けると、CIS3の電子シャッタDuty(裏面センサ電子シャッタ基本Duty)を裏面読取ライン周期(原稿の裏面の読取ライン周期)の下限値(調整基準値):70μsecに設定し、ステップ102へ進む。
【0081】
ステップ102で、表面と裏面の読取線速を300mm/secに設定し、ステップ103へ進む。
ステップ103で、表面と裏面の読取ライン周期を141μsecにそれぞれ設定し、ステップ104へ進む。ステップ104で、シェーディング補正をオフに設定し、ステップ105へ進む。
ステップ105で、ランプ33と光源44とを点灯し、ステップ106へ進む。
ステップ106で、ADF101の原稿トレイ40にセットされた基準原稿を搬送し、その基準原稿の表面及び裏面の画像の読み取りを開始し、表面の画像データと裏面の画像データを取得し、ステップ107へ進む。
ステップ107で、S/N検出部17によって、表面の画像データと裏面の画像データとからそれぞれS/N特性(信号レベルとノイズ成分(標準偏差、ピーク/ボトム)との比)を検出し、ステップ108へ進む。
【0082】
基準原稿の濃度は、原稿読取装置102の読取可能な濃度範囲の上限に設定してあるものとする。
ステップ108で、基準原稿の表面及び裏面の画像の読み取りを終了し、ステップ109へ進む。
ステップ109で、ランプ33と光源44とを消灯し、ステップ110へ進む。
ステップ110で、基準原稿の表面の画像について検出したS/N特性と、基準原稿の裏面の画像について検出したS/N特性とが等しくなるような電子シャッタDuty:Tadjを算出し、ステップ111へ進む。
このステップ110の処理については、簡易的には、センサの出力レベルが一定の値(表面のセンサ出力レベルから換算した裏面のセンサ出力目標値)になるように、CIS3の電子シャッタDutyを算出し、その算出した値をメモリに記憶するようにしてもよい。
【0083】
その場合、電子シャッタDutyが70μsecのとき、センサ出力レベルがViniであれば、目標出力レベルをVtgtとすると、電子シャッタDutyは、70×Vtgt/Viniμsecと算出される。
ステップ111で、表面と裏面の画像のS/N特性が等しくなる電子シャッタDuty:Tadjをメモリに保存し、ステップ112へ進む。
ステップ112で、シェーディング補正をオンに設定し、この調整処理を終了する。
なお、上述の調整処理では、基準原稿を読み取って行う場合を示したが、基準原稿の代わりに、シェーディング補正を行うための基準白色板を用いれば、調整の為の基準原稿を用意する必要がなく、ユーザの使用環境においても電源オン時のイニシャライズ動作時に調整を行うことが可能になる。
【0084】
次に、実施例6の画像形成装置100における通常使用の原稿の両面を読み取る処理について説明する。
図11は、実施例6の画像形成装置100における原稿の両面読取処理を示すフローチャート図である。
この原稿の両面読取処理は、ADF101の原稿トレイ140に原稿が載置され、操作表示部7からの入力に基づいて入力画像処理部16により両面読取モードが設定されている状態で、操作表示部7から原稿の読取開始入力で開始される。
また、機械的な変倍の変倍率の範囲が50〜100%(分解能:300〜600dpiに相当)であり、画像読取装置102が等倍読取を行う場合、原稿の読取線速が300mm/sec、原稿の表面の読取ライン周期が141μsec、原稿の表面の読取分解能が600dpi、原稿の裏面の読取ライン周期が141μsec、原稿の裏面の読取分解能が600dpiである場合を例に取り説明するが、これに限定されるものではない。
【0085】
まず、CPU10は、操作表示部7からCPU20を介して原稿の読取開始入力を受け付けると、ステップ(図中「S」で示す)121で、CIS3の電子シャッタ機能の設定を、メモリに保存された電子シャッタDuty:Tadj(μsec)(裏面読取ライン周期の下限値以下の値に相当する)に設定し、ステップ122へ進む。
例えば、裏面読取ライン周期(原稿の裏面の読取ライン周期)の下限値が70.5(=141×(1/2))μsecの場合、CPU10は、CIS3の電子シャッタ機能の設定を70μsec以下に調整されたTadj(μsec)に設定する。
ステップ122で、CPU10は、表面読取ライン周期(原稿の表面の読取ライン周期、「第1読取周期」に相当する)を141μsecに設定し、ステップ123へ進む。
【0086】
ステップ123で、CPU10は、原稿の読取開始入力前に操作表示部7から変倍率を入力する変倍入力が行われているか否かを判断し、変倍入力が行われていれば(Yの場合)ステップ124へ進み、変倍入力が行われていなければ(Nの場合)ステップ131へ進む。
ステップ124で、CPU10は、操作表示部7から入力されてCPU20を介して受け付けた変倍率に応じて読取線速(搬送速度に相当する):300/変倍率mm/secを設定する。
すなわち、CPU10は、等倍読取を行う場合の読取線速である300mm/secを変倍率で除した速度である読取線速:300/変倍率mm/secを設定する。
【0087】
例えば、変倍率が1/2(50%)である場合、CPU10は、読取線速を600(=300/(1/2))mm/secに設定する。
ここで、この処理例では、変倍率の範囲が50〜100%であるから、読取線速を、300〜600mm/secの範囲で設定する。
そして、ステップ125へ進む。
ステップ125で、CPU10は、操作表示部7から入力されてCPU20を介して受け付けた変倍率に応じて裏面読取ライン周期(原稿の裏面の読取ライン、第2読取周期に相当する):141×変倍率μsecを設定する。
すなわち、CPU10は、等倍読取を行う場合の裏面読取ライン周期である141μsecを変倍率で乗じた裏面読取ライン周期:141×変倍率μsecを設定する。
【0088】
例えば、変倍率が1/2(50%)である場合、CPU10は、裏面読取ライン周期を70.5(=141×(1/2))μsecに設定する。
ここで、この処理例では、変倍率の範囲が50〜100%であるから、裏面読取ライン周期を、70.5〜141μsecの範囲で設定し、裏面読取ライン周期の下限値は、70.5μsecとなる。
そして、ステップ126へ進む。
ステップ126で、CPU10は、操作表示部7から入力されてCPU20を介して受け付けた変倍率に応じて表面読取分解能(原稿の表面の読み取り分解能、第1分解能に相当する):600×変倍率dpiを設定する。
すなわち、CPU10は、等倍読取を行う場合の表面読取分解能である600dpiを変倍率で乗じた分解能を表面読取分解能:600×変倍率dpiを設定する。
【0089】
例えば、変倍率が1/2(50%)である場合、CPU10は、表面読取分解能を300(=600×(1/2))dpiに設定する。
ここで、この処理例では、変倍率の範囲が50〜100%であるから、表面読取分解能を300〜600dpiの範囲で設定する。
また、裏面読取分解能(第2分解能に相当する)は600dpiに固定している。
そして、ステップ127へ進む
一方、ステップ123の判断で、読取開始入力前に操作表示部7から変倍入力が行われていない場合(Nの場合)、ステップ131で、CPU10は、等倍読取を行う場合の読取線速である300mm/secを読取線速に設定し、ステップ132へ進む。
ステップ132で、CPU10は、等倍読取を行う場合の裏面読取ライン周期である141μsecを裏面読取ライン周期に設定し、ステップ133へ進む。
【0090】
ステップ133で、CPU10は、等倍読取を行う場合の表面読取分解能である600dpiを表面読取分解能に設定する。
また、裏面読取分解能は600dpiに固定している。
そして、ステップ127へ進む。
上述の各処理で各種パラメータの設定が終了し、CPU10が駆動モータの制御を開始すると、ステップ127で、原稿搬送機構43は、CPU10によって設定された読取線速で原稿の搬送を開始し、ステップ128へ進む。
ステップ128で、CPU10は原稿の読み取りを開始して、画像読取装置102のCCDイメージセンサ2により、CPU10によって設定された表面読取ライン周期及び表面読取分解能を含む各種パラメータに従って、原稿搬送機構43によって搬送された原稿の表面の画像データを読み取り、CIS3により、CPU10によって設定された電子シャッタDuty及び裏面読取ライン周期を含む各種パラメータに従って、原稿搬送機構43によって搬送された原稿の裏面の画像データを読み取り、ステップ129へ進む。
【0091】
図12は、図11に示す処理において等倍読取を行う場合にCIS3と入力画像処理部16との間でやり取りされる信号の一例を示すタイミングチャート図である。
図12に示す例では、CIS3は、図12の(a)に示した画素クロック信号VCLKに基づいて、図12の(b)に示すように、1ライン周期である裏面読取ライン周期:141μsec毎にライン同期信号XLSYNCの図中矢示Aを生成して入力画像処理部16に出力する。
また、図12の(c)に示すように、ランプ点灯信号LED_ONは、画像読取期間の間、入力画像処理部16に出力されている。
さらに、図12の(d)に示すように、CIS3は、ライン同期信号XLSYNと同期して、電子シャッタの解除を示す電子シャッタ制御信号SENS_ONを生成し、電子シャッタDutyで設定されたTadj(μsec)の間、入力画像処理部16に出力する。
【0092】
また、図12の(e)に示すように、CIS3は、裏面読取ライン周期内で画像信号ViDEO_DATAを入力画像処理部16に出力している。
つまり、図12に示す例では、CIS3は、141μsec毎に原稿の裏面の1ライン分の画像データの読み取りを開始すると共に、Tadj(μsec)の期間電子シャッタを解除して光を蓄積する。
そして、CIS3は、141μsecの期間内で、原稿の裏面の1ライン分の画像データを読み取って(図中の有効画像データ)入力画像処理部16に出力する。キセノンランプは、画像読取期間の間点灯されている。
【0093】
図13は、図11に示す処理において1/2の変倍率で変倍読取を行う場合にCIS3と入力画像処理部16との間でやり取りされる信号の一例を示すタイミングチャート図である。
図13に示す例では、CIS3は、図13の(a)に示した画素クロック信号VCLKに基づいて、図13の(b)に示すように、1ライン周期である裏面読取ライン周期:70.5μsec毎にライン同期信号XLSYNCの図中矢示Bを生成して入力画像処理部16に出力する。
また、図13の(c)に示すように、ランプ点灯信号LED_ONは、画像読取期間の間、入力画像処理部16に出力されている。
【0094】
さらに、図13の(d)に示すように、CIS3は、ライン同期信号XLSYNと同期して、電子シャッタの解除を示す電子シャッタ制御信号SENS_ONを生成し、電子シャッタDutyで設定されたTadj(μsec)の間、入力画像処理部16に出力する。
また、図13の(e)に示すように、CIS3は、裏面読取ライン周期内で画像信号ViDEO_DATAを入力画像処理部16に出力している。
つまり、図13に示す例では、CIS3は、70.5μsec毎に原稿の裏面の1ライン分の画像データの読み取りを開始すると共に、Tadj(μsec)の期間電子シャッタを解除して光を蓄積する。
【0095】
そして、CIS3は、70.5μsecの期間内で、原稿の裏面の1ライン分の画像データを読み取って(図中の有効画像データ)入力画像処理部16に出力する。キセノンランプは、画像読取期間の間点灯されている。
なお、図13に示す例の場合、CCDイメージセンサ2によって読み取られた原稿の表面の1ライン分の画像データは、原稿の副走査方向に機械的に50%(分解能:300dpi)への変倍が行われているが、CIS3によって読み取られた原稿の裏面の画像データは変倍が行われていない。
そのため、入力画像処理部16は、CIS3から原稿の裏面の画像データが転送されると、副走査方向に電気的に50%(分解能:300dpi)への変倍を行う。
【0096】
次に、図11に戻り、ステップ129で、画像読取装置102のCPU10は、原稿の表面の全ライン分の画像データの読み取りと、原稿の裏面の全ライン分の画像データを読み取りを終了すると、原稿の読み取りを終了し、ステップ130へ進む。
ステップ130で、CPU10は、駆動モータの制御を終了して原稿搬送機構43による原稿の搬送を終了し、この両面読取処理を終了する。
このようにして、実施例6の画像形成装置でも、分解能が固定されている場合であっても、縮小率に応じて読取線速を速くすると共に、縮小率に応じて読取ライン周期を短くして、電気的に変倍を行うので、原稿の読み取り速度の低下、及び生産性の低下を防止でき、機械的な変倍を行う場合と同様の生産性を保つことができる。
【0097】
また、CIS3の電子シャッタ機能の設定を読取ライン周期の下限値以下に制御しているため、読取ライン周期を変倍率に応じて変更しても光蓄積時間を一定に保つことができ、読取特性の変化、及び画像品質の劣化を防止することができる。
さらに、表面と裏面のS/N特性を同等に調整しているため、画像品質の安定化を行うことができる。
なお、光源44のキセノンランプは、画像読取装置102の読取性能であるS/N特性を満足するのに必要な照度を有する照明系の設計がなされているものとする。
【0098】
〔実施例7〕
次に、実施例7の画像形成装置100を説明する。
実施例7の画像形成装置100では、実施例1〜4の画像形成装置100で示した機能を適宜組み合わせると共に、そのLEDの点灯制御に代えて、上述したCIS3の電子シャッタを制御するようにする。
例えば、実施例1と実施例3と実施例5の画像形成装置100の機能を組み合わせれば、CIS3の電子シャッタを制御する場合に、片面読取又は両面読取を行う場合に生産性を優先するか、再利用性を優先するかを選択することができる。
【0099】
実施例1〜7の効果を列挙する。
(1)原稿の両面を同時に読取ることが可能な読取装置において、読取分解能を変更することが不可能な読取手段の読取特性を変化させることなく読取周期の変更を可能とすることで、固定の分解能を保ちながらメカ変倍に対応した読取周期に対応させ、表面と裏面の読取特性の差異を検出し、その差異を低減することにより、特性の安定化が可能になる。
(2)センサの光蓄積時間をセンサの読取ライン周期可変範囲の下限値以下の範囲内で調整して、表面と裏面のS/N特性の差異を低減することにより、裏面の読取周期の可変による読取特性の変動及び表面と裏面の読取特性の差異を低減し安定化することが可能になる。
(3)光源の点灯Dutyを制御することにより、センサの光蓄積時間が一定となるようにし、読取周期の可変や表面との差異による読取特性への影響を防ぐことが可能になる。
【0100】
(4)光源の点灯Dutyの制御を、ラインセンサの読取同期信号と同期させることにより、光蓄積時間の制御を容易にし、読取特性の安定化を図ることが可能になる。
(5)センサの光蓄積時間を直接制御することにより、読取特性の安定化を図ることが可能になる。
(6)裏面のライン周期を可変することにより、分解能を変更することなく、変倍率に応じた搬送速度で原稿を搬送することが可能になり、生産性の向上を図ることが可能になる。
(7)電気的に変倍する変倍手段を更に備えることにより、生産性の向上と任意の変倍に対応することが可能になる。
(8)画像読取装置の使用目的に応じて画像データを読み取り条件を変更することが可能になる。
【0101】
(9)画像読取装置又は画像形成装置を、生産性又は再利用性のどちらかを優先して使用することが可能になる。
(10)画像読取装置又は画像形成装置を、アプリケーションによって生産性又は再利用性のどちらかを優先して使用することが可能になる。
(11)画像読取装置又は画像形成装置を、片面読取時又は両面読取時によって、生産性又は再利用性のどちらかを優先して使用することが可能になる。
(12)デジタル複写機、デジタル複合機、スキャナ、FAX等の画像形成装置において提供が可能になる。
(13)生産性を優先させるか、再利用性を優先させるかの選択を操作表示部から入力できるようにすることにより、使用者の操作性の向上を図ることが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0102】
この発明による画像読取装置と画像形成装置は、スキャナ、ファクシミリ装置、プリンタ、複写機、及び複合機において適用することができる。
【符号の説明】
【0103】
1:画像処理部 2:CCDイメージセンサ 3:CIS 4:コントローラ 5:出力画像処理部 6:LDドライバ 7:操作表示部 10、20:CPU 11:CPUメモリ 12、13:データ変換部 14:メモリ 15:メモリ制御部 16:入力画像処理部 17:S/N検出部 21:画像コントローラ 22:I/Oコントローラ 30:スリットガラス 31:コンタクトガラス 32:基準白板 33:ランプ 34:第1ミラー 35:第1キャリッジ 36:第2ミラー 37:第3ミラー 38:第2キャリッジ 39:レンズユニット 40:原稿トレイ 41:基準白色ローラ 42:排紙トレイ 43:原稿搬送機構 44:光源 100:画像形成装置 101:ADF 102:画像読取装置 103:本体装置 104:露光装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0104】
【特許文献1】特開2005−217561号公報
【特許文献2】特開2009−033723号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め指定された変倍率に応じた第1分解能及び予め定められた第1読取周期で原稿の一方の面の画像である第1画像データを読み取る第1画像読取手段と、
光源から照射される光を蓄積し、予め固定された第2分解能及び前記変倍率に応じた第2読取周期で前記原稿の他方の面の画像である第2画像データを読み取る第2画像読取手段と、
前記第1画像読取手段によって読み取った第1画像データと前記第2画像読取手段によって読み取った第2画像データのS/N比を検出するS/N検出手段と、
前記S/N検出手段によって検出したS/N比に基づいて前記第2画像読取手段の画像読み取り時の光蓄積時間を可変する制御手段とを備えたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記第2画像読取手段は、前記第1画像データのS/N比に基づいて、前記第2画像データの読み取り時の光蓄積時間を、前記第2読取周期の下限値以下の範囲内で可変制御する手段を有することを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記第2画像読取手段は、前記第1画像データのS/N比に基づいて、前記光源の点灯を制御して、前記光蓄積時間を前記第2読取周期の下限値以下の範囲内で可変制御する手段を有することを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記第2画像読取手段は、前記第2読取周期毎に入力されるライン同期信号に従って前記原稿の他方の面の画像を1ライン分読み取り、前記ライン同期信号と同期して入力が開始されると共に前記下限値以下で入力が終了される点灯信号に従って前記光源を点灯させる手段を有することを特徴とする請求項3記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記第2画像読取手段は、前記第2読取周期毎に入力されるライン同期信号に従って前記原稿の他方の面の画像を1ライン分読み取り、前記ライン同期信号と同期して入力が開始されると共に前記下限値以下で入力が終了される制御信号に従って前記光源から照射される光を蓄積する手段を有することを特徴とする請求項2記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記変倍率に応じた搬送速度で原稿を搬送する搬送手段を設けたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記第2画像データを前記変倍率で電気的に変倍する変倍手段を設けたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項8】
前記第1画像読取手段は、第1モードでは、前記変倍率に応じた前記第1分解能及び前記第1読取周期で前記原稿の一方の面から前記第1画像データを読み取り、第2モードでは、予め定められた前記第1分解能及び前記第1読取周期で前記原稿の一方の面から前記第1画像データを読み取る手段を、
前記第2画像読取手段は、前記第1モードでは、前記第2分解能及び前記変倍率に応じた前記第2読取周期で前記原稿の他方の面から前記第2画像データを読み取り、前記第2モードでは、前記第2分解能及び予め定められた前記第2読取周期で前記原稿の他方の面から前記第2画像データを読み取る手段を、
前記変倍手段は、前記第2モードで読み取られた前記第1画像データを前記変倍率で電気的に変倍する手段をそれぞれ有することを特徴とする請求項7記載の画像読取装置。
【請求項9】
前記第1モードは、生産性を優先する生産性モードであり、前記第2モードは、再利用性を優先する再利用性モードであることを特徴とする請求項8記載の画像読取装置。
【請求項10】
前記第1モードは、第1アプリモードであり、前記第2モードは、第2アプリモードであることを特徴とする請求項8記載の画像読取装置。
【請求項11】
前記第1画像読取手段は、片面読取モードでは、前記変倍率に応じた前記第1分解能及び前記第1読取周期で前記原稿の一方の面から前記第1画像データを読み取り、両面読取モードでは、予め定められた前記第1分解能及び前記第1読取周期で前記原稿の一方の面から前記第1画像データを読み取る手段を、
前記第2画像読取手段は、前記両面読取モードでは、前記第2分解能及び予め定められた前記第2読取周期で前記原稿の他方の面から前記第2画像データを読み取る手段を、
前記変倍手段は、前記両面読取モードで読み取られた前記第1画像データを前記変倍率で電気的に変倍する手段をそれぞれ有することを特徴とする請求項7記載の画像読取装置。
【請求項12】
請求項1乃至11のいずれか1項に記載の画像読取装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
請求項8乃至10のいずれか1項に記載の画像読取装置と、前記モードの種類を選択入力するモード入力手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−244057(P2011−244057A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−111898(P2010−111898)
【出願日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】