説明

画像読取装置と画像形成装置

【課題】 光源の光量の変動に再現性が低い場合でも読み取り画像データの濃度ムラを低減できるようにする。
【解決手段】 タイミングクロック生成部64は、読取ライン周期の設定時は、アナログ処理部60からアナログ画像データを受け取り、そのアナログ画像データから読取ライン毎の光量の変動を検出し、各画像データ毎の主走査方向の各光量レベルの平均値の最大値、最小値、及び全平均値を算出し、最大値と最小値の差の値が全平均値の5%未満でない場合、読取ライン周期の変更制御と、読取ライン周期に反比例した光源の光量の再設定と、読取ライン周期に反比例した読取速度の再設定を含む制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、原稿上の画像を光学的に読み取る画像読取装置と、その画像読取装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スキャナ装置等の画像読取装置は、原稿上に光を照射し、その反射光を検知することによって原稿上の画像を読み取る。
上記光源としては、キセノンランプ、LED(Light Emitting Diode)を含むランプが使用されている。
とくに、LEDはキセノンランプに比べて応答性が優れていることから、点灯時間制御(PWM)による照度制御が可能である。
【0003】
このような画像読取装置では、上記光を照射する光源の光量は一定にする必要がある。
これは画像の読み取りの途中で光源が照射する光の光量が変動してしまうと、反射光の明るさが部分的に異なってしまい、読み取った画像に濃度ムラが生じる。
その結果、原稿から読み取った画像データの品質が低下するためである。
従来、予め光源の基準光量値を記憶しておき、画像読取動作中に光源の光量が変化した場合、上記基準光量値を基準とした変動分を吸収するように光源の光量を制御する画像読取装置(例えば、特許文献1参照)があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の画像読取装置では、光源の光量の変動に再現性が低い場合は、読み取り画像データの濃度ムラに対処できないという問題があった。
この発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、光源の光量の変動に再現性が低い場合でも読み取り画像データの濃度ムラを低減できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は上記の目的を達成するため、被写体に光源からの光を照射して、上記被写体からの反射光に基いて上記被写体上の画像を読み取る画像読取装置であって、上記被写体を読み取ったときの読取ライン毎の光量の変動を検出する光量変動検出手段と、その光量変動検出手段によって検出した読取ライン毎の光量の変動に基いて読取ライン周期を変更する読取ライン周期変更手段を備えた画像読取装置を提供する。
【発明の効果】
【0006】
この発明による画像読取装置と画像形成装置は、光源の光量の変動に再現性が低い場合でも読み取り画像データの濃度ムラを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図3に示す読取ユニットの制御部のデータ処理に係る構成例を示すブロック図である。
【図2】図3に示す読取ユニットの光源にLEDを用いた場合のLED駆動電流の変化例を示す波形図である。
【図3】この発明の一実施形態である複合機の機構部の概略構成図である。
【図4】図1に示すタイミングクロック生成部の処理を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、この発明を実施するための形態を図面に基づいて具体的に説明する。
図3は、この発明の一実施形態である複合機100の機構部の概略構成図である。
この複合機100は、データ通信機能、コピー機能、およびプリンタ機能を含む複数の機能が一体となって構成された画像形成装置である。
読取ユニット(スキャナ)及びプリンタを構成する複合機100の本体の上部に、自動原稿給送装置(以下「ADF」という)10を搭載している。
また、複合機100の手前側上面に図示を省略した操作表示部を備えている。
【0009】
なお、複合機100のファクシミリ通信、ローカルエリアネットワーク(LAN)やインターネットの通信を含むデータ通信機能については公知なので図示と説明を省略する。
ADF10は、複合機100の本体の上面に設けられた読取ユニット20のコンタクトガラス21に対して開閉するように、複合機100の本体に図示を省略したヒンジ等を介して連結されている。
【0010】
ADF10の原稿トレイ(原稿載置台)11には、画像面を上にして複数枚の原稿の束(原稿束)が置かれている。この各原稿は画像が記載された被写体に相当する。
そして、例えば、この複合機100の図示を省略した操作表示部上のプリントキーがユーザによって押下されると、図示を省略したコントローラが、ADF10の図示を省略した給紙モータを正転駆動させて給送ローラ12を、同図正面に対して時計方向に回転させる。さらに、コントローラは、図示を省略した搬送ベルトモータを回転させて給送ベルト13を同図正面に対して反時計方向(図中矢示B方向)に回転させる。
【0011】
このようにして、原稿束から最上位に位置する原稿が給紙されてコンタクトガラス21に向かって搬送される。
原稿セット検知センサ16は、原稿の先端を検知するとコントローラに出力信号を送り、コントローラは原稿セット検知センサ16からの出力信号に基づいてADF10の図示を省略した給紙モータを逆転駆動させる。
こうして、後続する原稿が進入するのを防止して分離されないようにしている。
【0012】
また、コントローラは、原稿セット検知センサ16が原稿の後端を検知したとき、この検知時点からの図示を省略した搬送ベルトモータの回転パルス数を計数する
そして、その回転パルス数が所定値に達したときに、搬送ベルトモータの駆動を停止して給送ベルト13を停止することにより、原稿をコンタクトガラス21の読取位置に停止させる。
原稿がコンタクトガラス21上の読取位置に搬送されて停止すると、読取ユニット20によって原稿の画像を読み取る。
その後、その原稿を給送ベルト13と排送ローラ14によって排出口A(原稿反転排出時の排出口)に排出する。
【0013】
また、コントローラは、原稿セット検知センサ16が原稿トレイ11上に次の原稿があることを検知した場合は、原稿セット検知センサ16によって前の原稿の後端が検知された時点で、ADF10の図示を省略した給紙モータを再び駆動し、後続する原稿を上述したように分離してコンタクトガラス21に向かって搬送する。
その後、この原稿が原稿セット検知センサ16によって検知された時点からの給紙モータの回転パルス数が所定パルス数に到達したときに、給紙モータを停止させて次原稿を先出し待機させる。
【0014】
さらに、原稿がコンタクトガラス21の読取位置に停止したとき、読取ユニット20によって原稿の画像を読み取る。
この読取ユニット20は、画像読取装置に相当する。
その後、その原稿を給送ベルト13と排送ローラ14によって排出口A(原稿反転排出時の排出口)に排出する。
【0015】
次に、読取ユニット20によって原稿の画像を読み取り、その読み取った原稿の画像データに対応する静電潜像を感光体ドラム41の表面に形成するまでの動作について説明する。
なお、静電潜像とは、画像データを光情報に変換して、感光体ドラム41の表面(帯電器によって帯電された面)にレーザビームにより書き込むことにより生じる電位分布のことである。
【0016】
読取ユニット20は、原稿を載置するコンタクトガラス21と読み取り光学系等による各種の歪みを補正するための白基準板29と光学走査系とによって構成されている。
この白基準板29は、画像を読み取る対象の原稿と共に被写体に相当する。
その光学走査系は、原稿露光用の光源(露光ランプ)1、レンズ24、CCDリニアイメージセンサ(以下「CCD」と略称する)25、第1ミラー26、第2ミラー27、及び第3ミラー28等で構成されている。
また、読取ユニット20の全体の制御を司るCPU、ROM及びRAMを含むマイクロコンピュータで実現される制御部9も備えている。
【0017】
光源1は、キセノンランプ、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)ランプ、およびLEDを含む各種のランプを適用できる。
光源1と第1ミラー26は、第1キャリッジ22上に固定されている。
また、第2ミラー27と第3ミラー28は、第2キャリッジ23上に固定されている。
原稿の画像を読み取るときには、光路長が変わらないように、その第1キャリッジ22と第2キャリッジ23とが2対1の相対速度で図中矢示C方向の副走査方向へ機械的に走査される。光学走査系は、図示を省略したスキャナ駆動モータ等の駆動部によって駆動される。
【0018】
また、シートスルーによる原稿読み取りでは、第1キャリッジ22及び第2キャリッジ23がシートスルー読み取り用スリットSの下へ移動する。
その後、ADF10に設置された原稿をローラ15によって図中矢示B方向へガイドすることにより、シートスルー読み取り用スリットSの位置において読み取っていく。
この読取ユニット20は、原稿の画像を光学的に読み取って画像データ(画像信号ともいう)に変換する。
【0019】
すなわち、光学走査系の光源1によって原稿の画像面を照明し、その画像面からの反射光像を第1ミラー26、第2ミラー27、第3ミラー28、およびレンズ24を介してCCD25の受光面に結像させる。
そして、CCD25によって画像データに変換する。
このとき、レンズ24及びCCD25を、図中の正面に対して左右方向に移動させることにより、コピーされる画像の倍率が変わるようになっている。
つまり、レンズ24及びCCD25は、左右方向の位置が指定された倍率に対応して設定されるようになっている。
【0020】
次に、書込ユニット30は、レーザ出力ユニット31,結像レンズ32,ミラー33等で構成されている。
レーザ出力ユニット31の内部には、レーザ光源であるレーザダイオード及びモータにより高速で定速回転する図示を省略したポリゴンミラー(回転多面鏡)が備わっている。
そのレーザ出力ユニット31からレーザビームが照射されると、定速回転するポリゴンミラーで偏向され、結像レンズ32を通ってミラー33で折り返され、感光体ドラム41の帯電面に集光されて結像される。
【0021】
この偏向されたレーザビームは、感光体ドラム41が回転する方向と直交する方向(主走査方向)に露光走査され、図示を省略した画像処理部のセレクタにより出力された画像データをライン単位で書き込み記録して主走査が行われる。
この主走査を感光体ドラム41の回転速度と走査密度(記録密度)に対応する所定の周期で繰り返すことにより、感光体ドラム41の帯電面に静電潜像が形成される。
【0022】
なお、図示を省略するが、感光体ドラム41の一端近傍のレーザビームが照射される位置にビームセンサが配置されている。
このビームセンサは、主走査同期信号を発生する。この主走査同期信号に基づいて、主走査方向の画像記録タイミングの制御と、画像信号の入出力を行うための制御信号を生成する。
感光体ドラム41の静電潜像が現像ユニット40を通過することにより、感光体ドラム41上にトナー画像が形成される。
【0023】
一方、画像を形成するための転写紙(用紙)は、第1給紙トレイ51、第2給紙トレイ52又は第3給紙トレイ53に積載されていて、それぞれ、第1給紙装置54、第2給紙装置55、第3給紙装置56によって給紙され、縦搬送ユニット50によって感光体ドラム41に当接する位置まで搬送される。
なお、実際には各給紙トレイ51〜53のうちのいずれか1つが選択され、そこから転写紙が給紙される。
そして、給紙された転写紙を搬送ベルト(転写ベルト)42により感光体ドラム41の回転と等速で搬送しながらその一方の第1面に感光体ドラム41上のトナー画像を転写し、さらに、そのトナー画像を定着ユニット43により定着して、機外の排紙トレイ57に排出する。
【0024】
また、転写紙の両面にトナー画像を形成する場合には、第1面にトナー画像が形成された転写紙を排紙トレイ57側に搬送せず、図示を省略した分岐爪によって経路を切り替え、一旦両面搬送パス45に搬送する。
その後、その転写紙を再び給紙して、感光体ドラム41に形成されたトナー画像を他方の第2面に転写し、さらに、定着ユニット43によりそのトナー画像を定着した後、排紙トレイ57に排出する。
なお、排紙ユニット44は、ステープルモードを行わない場合は、排紙トレイ57に転写紙を排紙する。
このようにして、この複合機100は、転写紙の両面に画像を形成する場合には両面搬送パス45を動作させるようになっている。
【0025】
図1は、図3に示した読取ユニット20の制御部9のデータ処理に係る構成例を示すブロック図である。
読取ユニット20の制御部9では、CCD25で光電変換されたアナログ画像データをアナログ処理部60へ出力する。
アナログ処理部60では、アナログ画像データに対してサンプルホールド処理、黒レベル補正などの各種画像処理を施したのち、アナログデジタル(A/D)変換部61へ出力する。また、読取ライン周期の設定時にはアナログ画像データをタイミングクロック生成部64へ出力する。
【0026】
A/D変換部61では、入力されたアナログ画像データをデジタル画像データに変換し、さらにLVDSインタフェース(図中「LVDS」と略して記載)62を介して後段(画像処理部等)へ出力する。
上記アナログ処理部60とA/D変換部61はそれぞれ回路によって実現しても良い。
その場合、それぞれアナログ処理回路、A/D変換回路と呼ぶ。
【0027】
この制御部9内のCCD25、アナログ処理部60、A/D変換部61、図示を省略したステッピングモータ、画像処理部、光源駆動部、および光源の各種タイミングクロックは、発振部63から生成されるクロック信号に基いてタイミングクロック生成部64において生成して供給される。
タイミングクロック生成部64は、光源1を発光させる駆動信号、定電流源を駆動するPWM信号、第1キャリッジ22を含む読取ユニット20内の各部を駆動させるモータの回転速度を制御するモータ駆動部への駆動信号も生成する。
【0028】
また、タイミングクロック生成部64は、読取ライン周期の設定時は、アナログ処理部60からのアナログ画像データに基いて、読取ライン毎の光量の変動に基く読取ライン周期の変更制御と、読取ライン周期に反比例した光源の光量の再設定と、読取ライン周期に反比例した読取速度の再設定を含む制御を行う。
すなわち、読取ユニット20が、被写体に光源からの光を照射して、被写体からの反射光に基いて被写体上の画像を読み取る画像読取装置に相当する。
【0029】
また、タイミングクロック生成部64が、被写体を読み取ったときの読取ライン毎の光量の変動を検出する光量変動検出手段と、光量変動検出手段によって検出した読取ライン毎の光量の変動に基いて読取ライン周期を変更する読取ライン周期変更手段の機能を果たす。
さらに、タイミングクロック生成部64は、読取ライン周期変更手段によって変更した読取ライン周期に基いて光源の光量を調整する光量調整手段と、読取ライン周期変更手段によって変更した読取ライン周期に基いて被写体の読取速度を調整する読取速度調整手段と、光量変動検出手段によって検出した光量の変動が設定値以下になるまで読取ライン周期を変える手段の各機能を有する。
【0030】
また、タイミングクロック生成部64は、画像読取装置の電源投入直後、原稿の画像の読み取り直前、原稿の画像の読み取り終了後、または画像読取装置の電源投入後の一定時間毎の実施タイミングで光量変動検出手段及び読取ライン周期変更手段の機能を動作させる。
さらに、タイミングクロック生成部64は、白色基準板を読み取ったときの読取ライン毎の光量の変動を検出する手段と、被写体に対して光源を副走査方向へ移動させるキャリッジを駆動するモータの回転速度を調整する手段の各機能を有する。
【0031】
図2は、図3に示した読取ユニット20の光源1にLEDを用いた場合のLED駆動電流の変化例を示す波形図である。
図2の波形図において、横軸はLED点灯開始からの時間の変化を示し、縦軸はLED点灯開始からのLED駆動電流の変化を示している。
図2の(a)の横軸の目盛hは読取ライン周期を示す。
【0032】
図2の(a)の波形図では、LEDを発光させる駆動電流(以下「LED駆動電流」と呼ぶ)が時間の経過と共に変動する場合を示している。この波形では変動幅が小刻みなので、読取ライン周期h内の全LED駆動電流を平均化すれば、読取ライン毎にLED駆動電流はほぼ変動しない状態とみることができる。
したがって、画像読取時、LEDの光量に変動があっても読み取り画像データの濃度ムラは画質にほとんど影響のない程度になる。
【0033】
一方、図2の(b)の波形図では、デフォルトの設定値に基づく変更前の読取ライン周期hでは読取ライン毎にLED駆動電流の変動が大きい場合の状態を示している。
このような場合、デフォルトの読取ライン周期hの周期を長くするように変更し、その変更後の周期内のLED駆動電流を平滑化すれば、読取ライン毎にLED駆動電流の変動を低減することができる。
【0034】
図2の(b)の波形図には、デフォルトの読取ライン周期hの3倍の周期に相当する変更後の読取ライン周期Hを示しており、この読取ライン周期H内でLED駆動電流を平均化すれば、読取ライン毎にLED駆動電流の変動は低減され、画像読取時、LEDの光量に変動があっても読み取り画像データの濃度ムラは画質にほとんど影響のない程度にまですることができる。
そこで、制御部9のタイミングクロック生成部64が、読取ライン毎の光量の変動に基いて読取ライン周期を変更する制御をすることにより、LEDの光量に変動があっても読み取り画像データの濃度ムラは画質にほとんど影響のない程度にまでする。
【0035】
また、読取ライン周期の変更に伴いCCD25の光量蓄積量も変化して蓄積光量が飽和することが考えられる。
そこで、CCD25のダイナミックレンジを確保するために、タイミングクロック生成部64は、読取ライン周期に反比例した光源の光量を再設定する制御も行う。
さらに、読取速度が不変のまま読取ライン周期を変更すると読取画像のアスペクト比が変化してしまうので、タイミングクロック生成部64は、読取ライン周期に反比例した読取速度を再設定する制御も行う。
【0036】
次に、図1に示したタイミングクロック生成部64の処理について説明する。
図4は図1に示したタイミングクロック生成部の処理を示すフローチャート図である。
ステップ(図中「S」で示す)1:変数n(ループカウンタ兼ライン周期設定係数)に1を代入して初期化し、ステップ2へ進む。
ステップ2:図3の白基準板29を読み取るため、読取ユニット20の光源1を点灯させ、ステップ3へ進む。
【0037】
ステップ3:図3の白基準板29の下に第1キャリッジ22を移動して停止させ、白基準板29に対して光源1から光を照射したまま白基準板29の画像を一定時間読み取り、ステップ4へ進む。この一定時間の読み取りによって被写体に対して光源1の光を副走査方向へ移動させながら複数の読取ライン分の画像データに相当する量の画像データを得ることができる。
【0038】
ステップ4:ステップ3で読み取った画像データの読取ライン毎の光量の変動を検出するため、一定時間の読み取りの際に単位時間毎に得られた画像データの読取値を読取ライン毎の画像データとし、各画像データ毎に主走査方向の各光量レベルの平均値を求め、ステップ5へ進む。なお、カラーモードの場合はRGBの各画像データ毎に主走査方向の各光量レベルの平均値を求める。
【0039】
ステップ5:ステップ4で算出した各画像データ毎の主走査方向の各光量レベルの平均値の最大値、最小値、及び全平均値(全画像データの主走査方向の各光量レベルの平均値)を算出し、ステップ6へ進む。
ステップ6:ステップ4で算出した最大値と最小値の差の値を算出し、その差の値が全平均値の5%未満であるかを判断する。5%未満であれば(図中「Y」の場合)、読取ライン周期の設定手順を終了し、ステップ12に進む。また、5%未満でなければ(図中「N」の場合)、読取ライン周期の変更のためステップ7に進む。
【0040】
ステップ7:読取ライン周期変更のため、変数nを1増加させ、ステップ8へ進む。
ステップ8:読取ライン周期を初期値のn倍に変更し、ステップ9へ進む。但し、必ずしも読取ライン周期は初期値の整数倍でなくても良い。
ステップ9:読取ライン周期の変更に伴って、光源1の光量を初期値の1/n倍に変更し、ステップ10へ進む。光源1がLEDの場合、LED駆動電流値を1/n倍にする。
こうして、読取ライン周期に反比例した光源の光量を設定し、CCD25のダイナミックレンジを確保することができる。
【0041】
ステップ10:変数nが5よりも大きいか否かを判断する。5よりも大きくなければ(図中「N」の場合)、ステップ3に戻る。また、5よりも大きければ(図中「Y」の場合)、ステップ11へ進む。
ステップ11:読取ライン周期を初期値の1〜5倍にした中で、最大値と最小値の差の値が最も小さい読取ライン周期を採用して設定し、ステップ12へ進む。
このように、ステップ3〜10の処理によって検出した光量の変動が設定値5以下になるまで読取ライン周期を変えながら最適な読取ライン周期を設定する。
【0042】
ステップ12:白基準板29の読み取りが終了したため、読取ユニット20の光源1を消灯させ、ステップ13へ進む。
ステップ13:読取ライン周期の変更に伴って、読取画像のアスペクト比を一定に保つため、読み取り速度を1/n倍に変更する。具体的には、光源1を移動させる第1キャリッジ22を駆動するモータの回転速度を初期値の1/n倍にする。
【0043】
このようにして、読取ライン周期に反比例した読取速度を設定し、読取画像のアスペクト比を一定に保つことができる。
この処理の実施タイミングは、複合機100の電源投入時、原稿の画像読み取り実施の直前に毎回、原稿の画像読み取り終了後に毎回、または複合機100の電源投入後は一定時間毎に等が考えられる。
【0044】
この実施形態の読取ユニット20では、白基準板を照明し、白基準板からの反射光をCCDに一定時間蓄積した後に、その蓄積量を検出する。この蓄積時間中に光量が変動しても、蓄積時間全体で光量は平均化される。
そこで、光量の変動を検出し、光量の変動が読取ライン周期内で平均化されて読取ライン毎の変動が低減するように読取ライン周期を変更することにより、1読取ライン周期内のCCDの蓄積光量に対する光量変動の影響を低減することができ、読取画像の濃度ムラを低減することができる。
【符号の説明】
【0045】
1:光源 2、3:LED 4:導光体 5:拡散部材 6:光源調整部 7:読取制御部 8:光源駆動部 9:制御部 10:ADF 11:原稿トレイ 12:給送ローラ 13:給送ベルト 14:排送ローラ 15:ローラ 16:原稿セット検知センサ 20:読取ユニット 21:コンタクトガラス 22:第1キャリッジ 23:第2キャリッジ 24:レンズ 25:CCDリニアイメージセンサ 26:第1ミラー 27:第2ミラー 28:第3ミラー 29:白基準板 30:書込ユニット 31:レーザ出力ユニット 32:結像レンズ 33:ミラー 40:現像ユニット 41:感光体ドラム 42:搬送ベルト(転写ベルト) 43:定着ユニット 44:排紙ユニット 45:両面搬送パス 50:縦搬送ユニット 51:第1給紙トレイ 52:第2給紙トレイ 53:第3給紙トレイ 54:第1給紙装置 55:第2給紙装置 56:第3給紙装置 57:排紙トレイ 60:アナログ処理部 61:A/D変換部 62:LVDSインタフェース 63:発振部 64:タイミングクロック生成部 100:複合機 A:排出口 S:シートスルー読み取り用スリット
【先行技術文献】
【特許文献】
【0046】
【特許文献1】特開2003−338904号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体に光源からの光を照射して、前記被写体からの反射光に基いて前記被写体上の画像を読み取る画像読取装置であって、
前記被写体を読み取ったときの読取ライン毎の光量の変動を検出する光量変動検出手段と、
該光量変動検出手段によって検出した読取ライン毎の光量の変動に基いて読取ライン周期を変更する読取ライン周期変更手段とを備えたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記読取ライン周期変更手段によって変更した読取ライン周期に基いて前記光源の光量を調整する光量調整手段を有することを特徴とする請求項1記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記読取ライン周期変更手段によって変更した読取ライン周期に基いて前記被写体の読取速度を調整する読取速度調整手段を有することを特徴とする請求項1又は2記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記読取ライン周期変更手段は、前記光量変動検出手段によって検出した光量の変動が設定値以下になるまで読取ライン周期を変える手段を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記光量変動検出手段及び前記読取ライン周期変更手段を、画像読取装置の電源投入直後、原稿の画像の読み取り直前、原稿の画像の読み取り終了後、または画像読取装置の電源投入後の一定時間毎の実施タイミングで動作させることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記光量変動検出手段は、白色基準板を読み取ったときの読取ライン毎の光量の変動を検出する手段を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記読取速度調整手段は、前記被写体に対して前記光源を副走査方向へ移動させるキャリッジを駆動するモータの回転速度を調整する手段を有することを特徴とする請求項3記載の画像読取装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載された画像読取装置を有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−253607(P2012−253607A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−125407(P2011−125407)
【出願日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】