説明

画像読取装置及び複写機

【課題】複数の原稿から画像を読み取る場合に、原稿の向きや順序等のミスが生じにくい画像読取装置を提供する。
【解決手段】画像読取装置において、原稿搬送装置に複数の原稿がセットされた状態で、ユーザから読み取り開始指示を受けたときに、1枚だけ原稿を搬送して読取を行うシングルモードを実行するようになっていることで、ユーザに1枚ずつ原稿を確認させ、ミスの発生を防ぐことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原稿上の画像を読み取る画像読取装置、及び読み取った画像を用紙上に印刷する印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、印刷装置として、原稿載置台に載置された原稿上の画像を1枚ずつ読み取って、この画像に基づいた印刷、つまり複写を行うものがある。また、このような印刷装置において、原稿を自動的に搬送する原稿搬送装置を備える構成が提案されている。このような印刷装置は、複数の原稿を連続して自動的に読み取ることができるので、大量の原稿の複写に適している。
【特許文献1】特許第3898069号(2007年1月5日登録)
【特許文献2】特許第3600575号(2004年12月15日登録)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
複数の原稿の中に、誤った順序又は向きとなった原稿が存在すると、その原稿以後の画像データ又は複写物についても、順序のずれ、用紙上での画像のずれ等が生じることがある。しかし、自動搬送機能を利用した場合、ユーザはこのような不具合に気付きにくい。
【0004】
このようなミスを低減させるには、原稿を1枚ずつ原稿載置台上にセットすることも考えられるが、大量の原稿を1枚ずつユーザにセットさせるのは、ユーザに多大な負担を強いることになる。
【0005】
本発明はこのような従来の問題に鑑みたものであり、その目的は、読取ミスやコピーミス等を効果的に防いだり、ミスの発生をユーザに早期に気付かせたりすることができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の画像読取装置は、原稿を移動させる原稿搬送装置と、移動中の上記原稿の画像を読み取り可能な読取部と、画像読取の開始指示をユーザから受け付ける開始受付部と、上記開始受付部が開始指示を1回受け付ける毎に、上記原稿搬送装置及び上記読取部を制御して、1枚の原稿について画像読取を行う、シングルモードを実行可能な制御装置と、を備える。
【0007】
この画像読取装置は、シングルモードを実行することで、各原稿の搬送前に、原稿の内容、向き、及び順序等が正しいか、ユーザに1枚ずつ確認させることができる。よってミスの発生を防いだり、ユーザにミスを早期に気付かせたりすることができる。
【0008】
また、請求項2に記載するように、請求項1の画像読取装置は、原稿が載置される原稿載置台と、上記原稿載置台上の原稿の存在を検知する原稿センサと、をさらに備え、上記読取部は、上記原稿載置台上の原稿の画像をも読取可能に配置され、上記制御装置は、上記原稿センサが上記原稿載置台上の原稿の存在を検知している場合は、上記開始受付部が開始指示を受け付けたとき、上記原稿搬送装置を稼動させずに、上記読取部に上記原稿載置台上の原稿の画像の読取を実行させるようになっていてもよい。
【0009】
この画像読取装置によると、原稿搬送装置により搬送できない原稿の読取が可能であると共に、シングルモードにおいて原稿搬送装置によって搬送された原稿の読み取りと、原稿載置台上にセットされた原稿の読取とを組み合わせて、ユーザの所望の順序で画像の読取を行うことができる。
【0010】
請求項3に記載するように、請求項1又は2の画像読取装置において、上記制御装置は、上記原稿搬送装置及び上記読取部を制御して、複数の原稿の画像を連続して読み取る連続読取モードを実行可能になっていてもよい。そして、上記画像読取装置は、上記シングルモード又は連続モードのいずれを行うかの指示を、ユーザから受け付ける選択受付部をさらに備えていてもよい。
【0011】
この画像読取装置によると、ユーザの希望に合わせて、読取においてミスの防止を優先するか、迅速さを優先させるかを選択することができる。
【0012】
請求項4に記載するように、請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像読取装置は、画像読取の終了指示を受け付ける終了受付部と、上記開始受付部が最初に開始指示を受けてから、上記終了受付部が終了指示を受け付けるまでに読み取られた画像のデータを、1つのファイルとして保存するメモリと、をさらに備えてもよい。
【0013】
この画像読取装置によると、シングルモードで得られた画像データ、連続モードで得られた画像データ、原稿載置台上の原稿から得られた画像データ、及び原稿搬送装置により搬送された原稿の画像データが組み合わさった画像ファイルを得ることができる。つまり、原稿搬送できない特殊形状の原稿の画像と、原稿搬送した原稿の画像とを組み合わせて1つのファイルとすることができる。また、シングルモードを利用することで、自動搬送によって得られた複数の画像の間に、特殊原稿の画像が挟まれて含まれる画像ファイルを、容易に得ることができる。
【0014】
請求項5に記載するように、請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像読取装置は、読取部が読み取った画像を用紙上に印刷出力する印刷部を備える複写機に適用可能である。
【発明の効果】
【0015】
シングルモードによって、各原稿の搬送前に、原稿の内容、向き、及び順序等が正しいか、ユーザに1枚ずつ確認させることができる。よってミスの発生を防いだり、ユーザにミスを早期に気付かせたりすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の実施の一形態について、図面を参照して以下に説明する。以下では、実施の一形態として複合機1を挙げるが、本発明は、印刷機能を持たない画像読取装置にも適用可能である。
【0017】
<1.複合機1の概要>
図1及び図2を参照して、本実施形態の複合機1の概要について説明する。図1は複合機1の外観を示す斜視図であり、図2は複合機1の要部構成を示す正面図である。
【0018】
図1及び図2に示すように、複合機1は、原稿Mを搬送する原稿搬送装置2と、本体部3とを備える。原稿搬送装置2は、原稿Mを後述の画像読取部4に対して移動させる装置であり、本体部3は、原稿M上の画像を読み取る画像読取部4、及び印刷部5等を備える。各部の詳細については後述する。
【0019】
<2.原稿搬送装置2>
図1及び図2に示すように、原稿搬送装置2は、搬送ハウジング20、搬送ハウジング20の外側に設けられた原稿載置トレイ21及び原稿排出トレイ23、並びに、搬送ハウジング20内に設けられた原稿搬送部22及び第1原稿センサ24等を備える。
【0020】
搬送ハウジング20は、本体部3の第1プラテンガラス35及び第2プラテンガラス36を覆うことのできる形状であり、本体ハウジング30に対して、第1プラテンガラス35及び第2プラテンガラス36に対して開閉可能に固定される。開閉することで、搬送ハウジング20は、第1プラテンガラス35上に原稿を押し付ける原稿押さえとしても機能する。
【0021】
また、搬送ハウジング20の一部は、原稿載置トレイ21に被さるように設けられているので、後述するように、原稿載置トレイ21上に原稿Mを載置したままで搬送ハウジング20を本体部3に対して開いても、原稿Mが原稿載置トレイ21上に保持される。なお、このような原稿保持機能を実現するためには、搬送ハウジング20を用いるだけでなく、原稿Mを原稿載置トレイ21上に保持する原稿保持部材を別途設けてもよい。
【0022】
図2に示すように、本形態の原稿搬送装置2の構成によると、原稿Mの2面のうち、原稿載置トレイ21上で上側に向けられた面が、搬送中では第2プラテンガラス36側にむけられるようになっている。つまり、原稿Mは、表面、すなわち画像が載せられている面を上にして、原稿載置トレイ21上に載置される。
【0023】
原稿排出トレイ23は原稿搬送トレイ21の下方に配置される。
【0024】
第1原稿センサ24は、原稿載置トレイ21上の原稿Mを検知するセンサであり、光学センサ又は接触型センサ等、従来公知の検知手段を適用することができる。
【0025】
図2に示すように、原稿搬送部22は、複数のローラからなる原稿搬送ローラ群22aと、原稿押圧部22bと、を備える。原稿搬送ローラ群22aは、回転することで、原稿載置トレイ21上に載置された原稿Mを一枚ずつ引き出し、第2プラテンガラス36上を経て原稿排出トレイ23へと排出する。原稿押圧部22bは、画像読取部4が第2プラテンガラス36を介して原稿Mの一方の面(以下、表面と称する)から画像を読み取れるように、原稿搬送ローラ群22aによって搬送される原稿Mを第2プラテンガラス36に押し付ける。
【0026】
<3.本体部3>
(3-1)本体部3の概要
図1及び図2に示すように、本体部3は、略直方体の本体ハウジング30を備え、本体ハウジング30内に、原稿M上の画像を読み取って画像データを取得する画像読取部4、画像データに基づいて用紙上に画像を印刷する印刷部5、用紙を載置するための手差しトレイ31、用紙を収容する用紙カセット32、印刷後の用紙が排出される用紙排出トレイ33、ユーザからの指示を受け付けたりユーザに種々の情報を提示したりする操作パネル34等を備える。
【0027】
(3-2)画像読取部4
図2に示すように、画像読取部4は、本体ハウジング30内で第1プラテンガラス35の近傍に配される。画像読取部4は、第1プラテンガラス35と平行になるように配されたレール41、レール41上を矢印方向に移動可能なキャリッジ42、キャリッジ42を移動させるキャリッジ駆動部(図示せず)、及び第2原稿センサ43等を備える。キャリッジ駆動部はモータ及びギア等を備える。レール41に垂直かつ第1プラテンガラス35に平行な方向を主走査方向、レール41に平行な方向を副走査方向と呼ぶ。
【0028】
キャリッジ42内には、光源、ミラー群、集光レンズ、及びCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサ等が設けられる(図示せず)。光源としては、LED、キセノンランプ等の各種ランプを用いることができる。光源は、第1プラテンガラス35及び第2プラテンガラス36を介して、原稿Mの表面に光を照射する。ミラー群は、複数のミラーを備え、各ミラーによって、原稿Mからの反射光を順次反射して、集光レンズに導く。反射光は、集光レンズによってCCDに集められる。CCDは、受けた光を電気信号に変換する。なお、CCDはイメージセンサの一例に過ぎず、CMOSイメージセンサ等の他のイメージセンサに置換可能である。
【0029】
第1プラテンガラス35上に載置された原稿の画像を読み取るときは、キャリッジ駆動部がキャリッジ42を副走査方向に移動することで、原稿Mの全面を走査する。
【0030】
また、原稿搬送装置2で搬送される原稿の表面の画像を読み取るときは、キャリッジ駆動部がキャリッジ42を第2プラテンガラス36に対向する位置に移動させる。この位置でキャリッジ42が静止している間に、上述の原稿搬送部22が原稿Mを第2プラテンガラス36に対して移動させることによって、副走査方向における走査が行われる。
【0031】
第2原稿センサ43は、第1プラテンガラス35に対向するように配置された光学センサである。第2原稿センサ43は、第1プラテンガラス35上の原稿を検知して、検知信号を後述の制御装置6に送信する。なお、上述のCCDが第2原稿センサ43を兼ねることも可能である。
【0032】
(3-3)印刷部5
図2を参照して、印刷部5について説明する。
【0033】
図2に示すように、印刷部5は、回転可能に設けられた円柱状の感光体ドラム10を備えると共に、感光体ドラム10の回転方向(図2中に矢印で示す)に沿って、感光体ドラム10を一様に帯電させる帯電装置11、帯電した感光体ドラム10に光を照射することで感光体ドラム10上に静電潜像を描く露光装置12、静電潜像を現像剤で現像してトナー像を形成する現像装置13、トナー像が用紙に転写された後に感光体ドラム10を除電する除電装置14、及び、転写後も感光体ドラム10上に残るトナーを除去するクリーニング装置15等を備える。なお、複合機1は、複数の印刷部5、特に複数の現像装置13を備える構成であってもよい。また、本実施形態では、現像剤としてトナーとキャリアとを含む2成分現像剤を用いるが、これ以外にも、1成分及びその他の現像剤を適宜用いることができる。
【0034】
印刷部5は、さらに、感光体ドラム10上のトナー像を用紙へ転写する転写部51、転写後の用紙に熱圧着によりトナー像を定着させる定着装置52、並びに、手差しトレイ31又は用紙カセット32から転写部51及び定着装置52を経て用紙排出トレイ33に至るまで、用紙を搬送する用紙搬送部53を備える。なお、転写部51は、感光体ドラム10の回転方向において、現像装置13より下流、かつ除電装置14より上流に配置される。
【0035】
(3-4)操作パネル34
操作パネル34の概要について図3を参照して説明する。図3は操作パネル34の概要を示す平面図である。
【0036】
図3に示すように、操作パネル34は、タッチパネル34a、並びに、テンキー、スタートキー、ストップキー、及びキャンセルキー等のハードキー群34b等を備える。タッチパネル34aは、液晶表示パネル及びタッチセンサによって構成される。
【0037】
<4.制御系>
図4のブロック図を参照して、複合機1の制御系について説明する。
【0038】
図4に示すように、複合機1は、制御装置6及び画像メモリ7をさらに備える。
【0039】
制御装置6は、複合機1内の各部に接続され、その動作を制御することができる。制御装置6は、種々の機能部を備えるが、その一例として、シングルモード実行部61、連続モード実行部62、表示制御部63、及びメモリ制御部64等が挙げられる。
【0040】
具体的には、制御装置6は、CPU(Central Processing Unit)、並びに、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)等の記憶媒体を備える。CPUがROM内に格納されたプログラムを読み出して実行することで、各機能部としての機能が実現される。RAMはCPUの作業領域として機能することができる。
【0041】
シングルモード実行部61は、複合機1内の各部を制御して、シングルモード(下記(5-2)欄)を実行することができる。
【0042】
連続モード実行部62は、複合機1内の各部を制御して、連続モード(下記(5-3)欄)を実行することができる。
【0043】
表示制御部63は、タッチパネル34aの液晶表示パネルを制御して、種々の画面を表示させることができる。
【0044】
メモリ制御部64は、画像読取部4が得た画像データを、画像メモリ7に記憶させることができる。
【0045】
画像メモリ7は、画像データを記憶可能な記憶装置である。
【0046】
<5.複写時の動作>
これまでに述べた図面にさらに図5〜図8を併せて参照して、複写実行時の複合機1の動作を説明する。図5は複写実行時の複合機1の動作の流れを示すフローチャートであり、図6〜図8は、図5に示す動作中に表示される画面を示す図面である。
【0047】
(5-1)モード選択
待機時には、表示制御部63の制御の下、タッチパネル34aは待機画面W1を表示する。図6に示すように、待機画面W1は、コピーの条件(用紙サイズ、縮小/拡大、及びステープル等の後処理)を受け付けるコピー条件設定キー群K11を含み、原稿をセットしてスタートキーを押下するように促すメッセージを表示する。
【0048】
図5に示すように、スタートキーが押下されると(ステップS101でYes)、表示制御部63の制御の下、タッチパネル34aは、モード選択画面W2を表示する(ステップS102でYes)。
【0049】
図7に示すように、モード選択画面W2は、シングルモード選択キーK21及び連続モード選択キーK22を含む。シングルモード選択キーK21が押下されると(ステップS103でYes)、制御装置6は、シングルモード実行部61によって、原稿載置トレイ21上の原稿を1枚ずつ読み取るシングルモードを実行する。一方、連続モード選択キーK22が押下されると(ステップS103でNo)、制御装置6は連続モード実行部62によって、原稿載置トレイ21上の全ての原稿について画像を読み取る連続モードを実行する。
【0050】
(5-2)シングルモード
シングルモードでは、第2原稿センサ43の検知結果が第1プラテンガラス35上に原稿Mが載置されていることを示していれば(ステップS104でYes)、画像読取部4が、第1プラテンガラス35上に載置された原稿(静止原稿)から画像を読み取る(ステップS105)。このとき、原稿搬送装置2は静止状態となっている。
【0051】
一方、第1プラテンガラス35上に原稿Mがなく(ステップS104でNo)、第1原稿センサ24の検知結果が原稿載置トレイ21上に原稿Mが載置されていることを示していれば、原稿搬送装置2が原稿Mを1枚搬送し、画像読取部4がこの原稿Mの画像を読み取る(ステップS106)。
【0052】
ステップS105又はS106にて画像読取が終了すると、画像は画像メモリ7に保存され、タッチパネル34aは副待機画面W3を表示する。
【0053】
図8に示すように、副待機画面W3は、待機画面W1と同じくコピー条件設定キーK11を含むと共に、読取終了キーK31を含む。そして、副待機画面W3は、次の原稿をセットしてスタートキーを押下するようにユーザに促すメッセージと共に、原稿の読取を終える場合は読取終了キーを押下するように促すメッセージを併せて表示する。
【0054】
読取終了キーK31が押下されると(ステップS107でYes)、画像メモリ7中の画像に基づいて印刷部5が印刷を実行する(ステップS108)。
【0055】
一方、読取終了キーK31が押下されることなく(ステップS107でNo→A)、スタートキーが押下されると(ステップS101でYes)、再びモード選択画面W2の表示から同様の動作が行われる(ステップS102)。
【0056】
なお、シングルモード中、原稿搬送の最中でなければ(つまり、原稿搬送開始前又は原稿搬送終了後であれば)、搬送ハウジング20が開状態になったことを開閉センサ37が検知しても、一連の動作は停止しない。
【0057】
(5-3)連続モード
連続モードでも、第1プラテンガラス35上に原稿Mが載置されていれば(ステップS109でYes→B)、上述のステップS105以後の動作が実行され、静止原稿の画像読取等が行われる。
【0058】
また、第1プラテンガラス35上に原稿Mが載置されておらず(ステップS109でNo)、原稿載置トレイ21上に原稿Mが載置されていれば、原稿搬送装置2が原稿載置トレイ21上の原稿Mを原稿排出トレイ23まで連続して搬送し、画像読取部4が搬送された原稿Mの画像を連続して読み取る(ステップS110)。画像読取で得られた画像データは、画像メモリ7内に記憶される。
【0059】
この連続読取を原稿載置トレイ21上の原稿Mがなくなるまで行い(ステップS111でYes→ステップS110)、全ての原稿Mについて読取が終了すると、上述のステップS107以後の動作を行う(ステップS111でNo→C→S107)。
【0060】
なお、ステップS110で原稿を連続して搬送中に、搬送ハウジング20が本体ハウジング30に対して開状態になったことを、開閉センサ37が検知すると、例え1の原稿Mの搬送終了から次の原稿Mの搬送開始前であっても、制御装置6の制御により、原稿搬送装置2の動作は中断される。
【0061】
また、スタートキーが最初に押下されて画像読取を開始してから、読取終了キーK31が押下されるまでの間に、シングルモード又は連続モードによる画像読取を2回以上行ったり、又はシングルモードと連続モードとを組み合わせて行ったりした場合、メモリ制御部64は、これらの画像読取で得られた全ての画像データを、1つのファイルとして画像メモリ7に記憶させることができる。
【0062】
(5-4)具体例
例えば、ユーザが、20枚の通常原稿(定形サイズ、かつ綴じられていない状態の原稿)と、冊子内に綴じられた状態で含まれる1枚の原稿とを複写して、1束の印刷物を作ることを希望しているとする。ユーザは、20枚の原稿の2枚目と3枚目との間に、冊子内の原稿を挿入したいと考えている。複合機1が以上のように構成されていることで、ユーザは以下のような操作によって、目的の印刷物を得ることができる。
【0063】
ユーザは、通常原稿を全て原稿載置トレイ21上に載置し、第1プラテンガラス35には冊子を載置せずに、スタートキーを押下する。この操作に応じてタッチパネル34aはモード選択画面W2を表示するので(ステップS101でYes→S102)、ユーザは、モード選択画面W2にて、シングルモード選択キーK21を押下すればよい。
【0064】
複合機1は、原稿搬送装置2及び画像読取部4にて通常原稿の1枚目の画像を読み取り(ステップS103でYes→S104でNo→S106)、タッチパネル34aにて副待機画面W3を表示するので、ユーザは、再びスタートキー、シングルモード選択キーK21を順に押下すればよい。
【0065】
複合機1は、原稿搬送装置2及び画像読取部4にて通常原稿の2枚目の画像を読み取り、タッチパネル34aにて副待機画面W3を表示する(ステップS107でNo→S101でYes→S103でYes→S104でNo→S106)。
【0066】
ユーザは、搬送ハウジング20を本体ハウジング30の上方に対して開き、目的の頁を下にした冊子を第1プラテンガラス35上に載置し、搬送ハウジング20を閉じて、再びスタートキーを押下すればよい。タッチパネル34aにはモード選択画面W2が表示されるので、ユーザはキーK21・K22のどちらかを押下すればよい。
【0067】
キーK21・K22のどちらが押下されても、複合機1は第1プラテンガラス35上の原稿を優先して読み、また副待機画面W3を表示する(ステップS107でNo→S101でYes→S103→S104又はS109でYes→S105)。
【0068】
ユーザは、冊子を第1プラテンガラス35上から除けて、スタートキーを押下すればよい。この操作を受けて、複合機1はまたモード選択画面W2を表示するので(ステップS107でNo→S101でYes→S102)、ユーザは、連続モード選択キーK22を押下すればよい。この操作を受けて、複合機1は原稿載置トレイ21上の残りの通常原稿を読み取る(ステップS103でNo→S109でNo→S110→S111でNo)。
【0069】
読み取りが終了すると、タッチパネル34aが副待機画面W3を表示するので(S107)、ユーザは読取終了キーK31を押下すればよい。
【0070】
メモリ制御部64は、1枚目の通常原稿の画像を読み取ってから読取終了キーK31が押下されるまでに得られた原稿21枚分の画像データを、1つの画像ファイルとして画像メモリ7に記憶させる。
【0071】
印刷部5は、この画像ファイルのデータに基づいて、全ての原稿の画像を用紙上に印刷する(S108)。
【0072】
<6.効果>
(a)このように、複合機1は、シングルモードを実行することで、原稿を1枚ずつ搬送して、1枚ずつ読取を行うことができる。よって、複合機1は、第1プラテンガラス35上に原稿を1枚ずつセットするという作業をユーザに行わせることなく、かつ、各原稿Mの搬送前に、原稿載置トレイ21上で、その原稿の内容、向き、及び順序等が正しいか、ユーザに確認させることができる。よって、複合機1によれば、ユーザに過大な負担を強いることなく、読取ミスやコピーミス等を効果的に防ぐことができる。また、仮にミスが生じても、原稿を1枚ずつ確認しているので、ユーザはミスに気付きやすい。
【0073】
(b) 原稿によっては、その形又は厚さ等から原稿搬送装置によって搬送できないものもある。このように搬送できない特殊原稿の画像が大量の通常原稿(自動搬送可能な原稿)の画像の間に挿入された印刷物を得たい場合、従来の印刷装置では、ユーザは予め原稿を仕分けするか、印刷物を仕分けしなければならなかった。
【0074】
つまり、ユーザは、所望の頁構成を有する複写物の束を得るには、特殊原稿を挟む位置で通常原稿を仕分けし、仕分けした通常原稿の束の1つを原稿搬送装置にセットして、自動搬送による複写を印刷装置に実行させ、次に特殊原稿をプラテンガラス上に載置して複写を実行させる、という操作を繰り返さなければならない。また、印刷物を仕分けする場合は、ユーザは、通常原稿を全て原稿搬送装置にセットして、自動搬送による複写を実行させることができるが、特殊原稿をプラテンガラス上に載置して複写を実行させると共に、こうして得られた複写物の順序を、自分で入れ替えなければならない。
【0075】
このような原稿の仕分けや複写物の入れ替えは、ユーザにとっては煩わしい作業である。
【0076】
これに対して、複合機1は、シングルモードでは、自動搬送による原稿の読取の間に、静止原稿の通常原稿を読み取ることができる。このとき、ユーザは、自動搬送可能な原稿を全て原稿搬送装置2にセットすることができ、複数回に分けてセットする必要はない。よって、複合機1は、予め原稿を仕分ける、又は印刷物を仕分けたる等の作業をユーザにさせることなく、特殊原稿の画像が通常原稿の画像間に挿入された複写物を、ユーザに提供することができる。複合機1は、複写機でなくスキャナとして機能する場合にも、ステップS108を除いた同様の動作にて、ユーザの希望する画像データを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の実施の一形態に係る複合機1の外観を示す斜視図である。
【図2】複合機1の内部の要部構成を示す正面図である。
【図3】複合機1の操作パネルの概要を示す平面図である。
【図4】複合機1の要部構成を示すブロック図である。
【図5】複写実行時の複合機1の動作の流れを示すフローチャートである。
【図6】待機画面W1を示す図面である。
【図7】モード選択画面W2を示す図面である。
【図8】副待機画面W3を示す図面である。
【符号の説明】
【0078】
1 複合機1
2 原稿搬送装置
24 第1原稿センサ
3 本体
34 操作パネル(開始受付部、選択受付部、終了受付部)
35 第1プラテンガラス(原稿載置台)
36 第2プラテンガラス
37 開閉センサ
4 画像読取部(読取部)
43 第2原稿センサ(原稿センサ)
5 印刷部
6 制御装置
7 画像メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を移動させる原稿搬送装置と、
移動中の上記原稿の画像を読み取り可能な読取部と、
画像読取の開始指示をユーザから受け付ける開始受付部と、
上記開始受付部が開始指示を1回受け付ける毎に、上記原稿搬送装置及び上記読取部を制御して、1枚の原稿について画像読取を行う、シングルモードを実行可能な制御装置と、
を備える画像読取装置。
【請求項2】
原稿が載置される原稿載置台と、
上記原稿載置台上の原稿の存在を検知する原稿センサと、をさらに備え、
上記読取部は、上記原稿載置台上の原稿の画像をも読取可能に配置され、
上記制御装置は、上記原稿センサが上記原稿載置台上の原稿の存在を検知している場合は、上記開始受付部が開始指示を受け付けたとき、上記原稿搬送装置を稼動させずに、上記読取部に上記原稿載置台上の原稿の画像の読取を実行させるようになっている、
請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
上記制御装置は、上記原稿搬送装置及び上記読取部を制御して、複数の原稿の画像を連続して読み取る連続読取モードを実行可能になっており、
上記シングルモード又は連続モードのいずれを行うかの指示を、ユーザから受け付ける選択受付部をさらに備える、
請求項1又は2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
画像読取の終了指示を受け付ける終了受付部と、
上記開始受付部が最初に開始指示を受けてから、上記終了受付部が終了指示を受け付けるまでに読み取られた画像のデータを、1つのファイルとして保存するメモリと、をさらに備える、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像読取装置と、
上記読取部が読み取った画像を用紙上に印刷出力する印刷部と、を備え、
上記制御装置は、上記シングルモードにおいて、画像読取の実行と共に、読み取った画像についての印刷を実行するように上記印刷部を制御するようになっている、
複写機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−232354(P2009−232354A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−77551(P2008−77551)
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】