説明

画像読取装置

【課題】多様な種類の媒体の画像を読み取ることができる画像読取装置を提供する。
【解決手段】主給紙手段2から主排紙手段5に媒体Sを搬送可能であると共に、搬送経路が屈曲部3aで屈曲した搬送手段3と、媒体Sの画像を読み取り可能な画像読取手段4と、媒体Sを主給紙手段2側から主排紙手段5側へ搬送する正転搬送と、該搬送の方向を逆転する逆転搬送とで搬送手段3を駆動可能な駆動手段11と、逆転搬送時に主排紙手段5から1枚ずつ給紙される媒体を排紙可能な副排紙手段12と、正転搬送時に媒体Sの先端部を主給紙手段2側から屈曲部3aを介して主排紙手段5側へ案内する正転搬送位置と、逆転搬送時に媒体Sの先端部を主排紙手段5側から屈曲部3aを迂回して副排紙手段12側に案内する逆転搬送位置とに切り換え可能な経路切換手段13とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イメージスキャナ、複写機、ファクシミリ、文字認識装置などを含む画像読取装置に関し、特に、いわゆるADF(Auto Document Feeder) 機構を有する画像読取装置に適用して好適な画像読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の画像読取装置として、例えば、積層されたシート状の媒体を連続的に読み取ることができるADF(Auto Document Feeder)型の画像読取装置がある。ADF型の画像読取装置は、所定のサイズのシート状の媒体を連続的に自動給紙して、画像の読み取り処理を行うことができることから、大量の媒体を自動的に搬送して読取ることができる。
【0003】
このようなADF型の画像読取装置として、例えば、特許文献1に記載の画像読取装置は、読み取り媒体を画像読み取り手段に搬送する搬送手段の一端に自動給送部を備え、他端に手差し給紙部を備えると共に、搬送手段による媒体の搬送方向を正転搬送と逆転搬送とに変更可能な搬送方向変更手段を備えることで、積層された媒体を1枚ずつ分離して自動で搬送手段に給紙する自動給紙と、自動給送部では分離給紙できないような媒体、例えば、薄い原稿やOHP用に使用されるフィルム状の原稿などを手差しにより1枚ずつ搬送手段に給紙する手差し給紙とを使い分けている。すなわち、正転搬送時にて、自動給送部から自動で給紙される媒体を手差し給紙部に排紙する一方、逆転搬送時にて、手差し給紙部から手差しで給紙される媒体を自動給送部に排紙している。
【0004】
【特許文献1】特開平9−284478号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1に記載された画像読取装置では、装置のコンパクト化のため自動給送部から手差し給紙部までの搬送経路中にてこの搬送経路が屈曲した屈曲部を有しており、例えば、逆転搬送時に比較的たわみやすい薄い媒体を手差し給紙部から自動給送部に搬送する際に、この媒体がたわみ易いがために、屈曲部にて、媒体の先端部が折れ曲がるなどして何かに引っ掛かり、正常に搬送されずに搬送異常、いわゆるジャムが発生するおそれがある。また、例えば、正転搬送時と逆転搬送時のいずれの場合でも、比較的剛性が高い厚い媒体を搬送する際には、この媒体の剛性が高いがために、屈曲部にて、この媒体が破損してしまうおそれがある。すなわち、多様な種類の媒体の画像を正常に読み取ることができないことがあった。
【0006】
そこで本発明は、多様な種類の媒体の画像を読み取ることができる画像読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明による画像読取装置は、一端側に設けられた主給紙手段から他端側に設けられた主排紙手段にシート状の媒体を搬送可能であると共に、搬送経路が屈曲部で屈曲した搬送手段と、前記屈曲部と前記主排紙手段との間の前記搬送経路中に設けられ前記媒体の画像を読み取り可能な画像読取手段と、前記媒体を前記主給紙手段側から前記主排紙手段側へ搬送する正転搬送と、該搬送の方向を逆転する逆転搬送とで前記搬送手段を駆動可能な駆動手段と、前記逆転搬送時に前記主排紙手段から1枚ずつ給紙される前記媒体を排紙可能な副排紙手段と、前記正転搬送時に前記媒体の先端部を前記主給紙手段側から前記屈曲部を介して前記主排紙手段側へ案内する正転搬送位置と、前記逆転搬送時に前記媒体の先端部を前記主排紙手段側から前記屈曲部を迂回して前記副排紙手段側に案内する逆転搬送位置とに切り換え可能な経路切換手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明による画像読取装置では、前記媒体は、第1媒体と、該第1媒体よりも薄い又は剛性が高い第2媒体とを含み、前記主給紙手段は、積層された前記第1媒体を1枚ずつ分離して前記搬送手段に給紙可能であり、前記主排紙手段は、前記正転搬送時に前記主給紙手段により給紙された前記第1媒体を1枚ずつ排紙可能である一方、前記逆転搬送時に少なくとも前記第2媒体を1枚ずつ前記搬送手段に給紙可能であることを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明による画像読取装置では、前記副排紙手段は、前記経路切換手段を挟んで前記主排紙手段と対向する位置に設けられることを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明による画像読取装置では、前記経路切換手段は、前記正転搬送位置にて前記媒体の前記主排紙手段側への前記搬送経路を開放する一方、前記逆転搬送位置にて前記主給紙手段側への前記搬送経路を遮断することを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る発明による画像読取装置では、前記経路切換手段は、前記媒体の先端部を前記主給紙手段から前記主排紙手段側へ案内する面に、湾曲して形成され該先端部が接触する湾曲部を有することを特徴とする。
【0012】
請求項6に係る発明による画像読取装置では、前記駆動手段から前記経路切換手段に駆動力を伝達する伝達手段を備え、前記経路切換手段は、前記駆動手段の駆動力により前記正転搬送位置と、前記逆転搬送位置とに切り換えられることを特徴とする。
【0013】
請求項7に係る発明による画像読取装置では、前記経路切換手段は、前記媒体に接触して案内する案内部と、前記案内部を前記正転搬送位置と前記逆転搬送位置との間で往復回動可能に支持する回動軸と、該回動軸の一端部に設けられたアームとを有し、前記伝達手段は、前記アームに当接して前記案内部を前記正転搬送位置から前記逆転搬送位置まで押圧するように回動可能な偏心カムと、前記逆転搬送時に前記駆動手段が発生する回転駆動力のみを前記偏心カムに伝達可能であると共に、所定の荷重が作用した際に当該動力の伝達を遮断するクラッチ手段と、前記偏心カムを前記回動方向とは反対方向に付勢する付勢手段とを有することを特徴とする。
【0014】
請求項8に係る発明による画像読取装置では、前記主給紙手段における前記媒体の有無を検知する第1検知手段と、前記屈曲部と前記主排紙手段との間の前記搬送経路中における前記媒体の有無を検知する第2検知手段と、前記主排紙手段における前記媒体の有無を検知する第3検知手段と、前記第1検知手段、前記第2検知手段及び前記第3検知手段の検知結果に基づいて前記駆動手段を制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1の発明の画像読取装置によれば、駆動手段により搬送手段による媒体の搬送を主給紙手段から主排紙手段に搬送する正転搬送と、主排紙手段から副排紙手段に搬送する逆転搬送とに切り換えるとことができると共に、正転搬送時には、経路切換手段により、媒体の先端部を主給紙手段側から屈曲部を介して主排紙手段側へ案内する一方、逆転搬送時には、媒体の先端部を主排紙手段側から屈曲部を迂回して副排紙手段側へ案内することから、読み取る媒体の種類に応じて搬送経路を変更し、排紙する部分を変更することができるので、多様な種類の媒体の画像を読み取ることができる。
【0016】
請求項2の発明の画像読取装置によれば、主給紙手段により1枚ずつ分離して自動で給紙することができる第1媒体の画像を正転搬送により大量に読み取ることができる一方、主給紙手段にて1枚ずつ分離して給紙できないおそれがある薄い第2媒体や屈曲部を通過する際に折れて曲がって損傷してしまうおそれがある剛性の高い第2媒体の画像を、逆転搬送により損傷させることなく読み取ることができる。
【0017】
請求項3の発明の画像読取装置によれば、搬送手段の逆転搬送時における主排紙手段から副排紙手段までの媒体の搬送経路が屈曲する部分を有さず直線的に設けられることから、例えば、逆転搬送時に主排紙手段から給紙される媒体が比較的に剛性の高い曲がりにくい媒体であっても、主排紙手段から給紙された媒体は、搬送手段により副排紙手段まで直線的に搬送されるので、この媒体が屈曲部にて破損してしまうことを防止することができる。
【0018】
請求項4の発明の画像読取装置によれば、正転搬送時には、経路切換手段により、屈曲部にて、主給紙手段側から主排紙手段側への搬送経路を開放する一方、逆転搬送時には、経路切換手段により主排紙手段側から主給紙手段側への搬送経路を遮断し媒体が主給紙手段側に逆流して搬送されることが防止されるので、例えば、逆転搬送時に主排紙手段から給紙される媒体が比較的に薄くたわみやすい媒体であっても、屈曲部にて、媒体の先端部が主給紙手段側に折れ曲がるなどして何かに引っ掛かり、ジャムが発生することを防止することができる。
【0019】
請求項5の発明の画像読取装置によれば、正転搬送時に搬送手段により主給紙手段から主排紙手段に搬送される媒体が屈曲部に至りその搬送方向が転換される際に、湾曲部により媒体の先端部が湾曲に沿って滑らかに案内されるので、搬送方向の転換を緩やかにすることができ、この結果、原稿搬送の安定性をより向上することができる。
【0020】
請求項6の発明の画像読取装置によれば、駆動部手段の回転駆動力を伝達手段を介して経路切換手段に伝達し、この回転駆動力により経路切換手段を正転搬送位置と逆転搬送位置とに切り換えることで、よりコンパクトな構成の実現できると共に、搬送手段の正転搬送と逆転搬送との切り換えに連動して経路切換手段を正転搬送位置と逆転搬送位置とに切り換えることができる。
【0021】
請求項7の発明の画像読取装置によれば、搬送手段の正転搬送時では、駆動手段の回転駆動力はクラッチ手段により偏心カムに伝達されないことから、この偏心カムは付勢手段の付勢力により所定の位置に保持されると共に、経路切換手段の案内部は、正転搬送位置で待機している。そして、搬送手段が逆転搬送に切り換えられると、クラッチ手段により回転駆動力が偏心カムに伝達され、この偏心カムが案内部を逆転搬送位置まで押し上げて、経路切換手段を正転搬送位置から逆転搬送位置に切り換えることができる。そして、この偏心カムが所定の位置に到達すると、付勢手段による付勢力が所定の荷重までおおきくなることで、クラッチ手段による回転駆動力の伝達が遮断され、この偏心カム及び経路切換手段を所定の位置で保持することができる。
【0022】
請求項8の発明の画像読取装置によれば、制御手段により第1検知手段、第2検知手段及び第3検知手段の媒体の検知結果に基づいて駆動手段を制御するので、媒体の給紙箇所や現在位置に応じて搬送手段による正転搬送と逆転搬送との切り換えや、経路切換手段の正転搬送位置と逆転搬送位置との切り換えを適正に実行することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に、本発明に係る画像読取装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施例における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、或いは実質的に同一のものが含まれる。
【実施例】
【0024】
図1は、本発明の実施例に係るADFスキャナ(正転搬送時)を説明する模式的断面図、図2は、本発明の実施例に係るADFスキャナ(逆転搬送時)を説明する模式的断面図、図3は、本発明の実施例に係るADFスキャナの正転搬送時におけるフラッパ部と伝達部を伝達部側から見た斜視図、図4は、本発明の実施例に係るADFスキャナの正転搬送時におけるフラッパ部と伝達部をフラッパ部側から見た斜視図、図5は、本発明の実施例に係るADFスキャナの逆転搬送時におけるフラッパ部と伝達部を伝達部側から見た斜視図、図6は、本発明の実施例に係るADFスキャナの逆転搬送時におけるフラッパ部と伝達部をフラッパ部側から見た斜視図、図7は、本発明の実施例に係るADFスキャナの正転搬送時の制御を示す流れ図、図8は、本発明の実施例に係るADFスキャナの逆転搬送時の制御を示す流れ図である。
【0025】
以下、本発明の実施例に係る画像読取装置は、図1に示すように、イメージスキャナ、複写機、ファクシミリ、文字認識装置などに適用されるものであり、本実施例では、いわゆるADF(Auto Document Feeder) 機構を有すADFスキャナ1に適用して説明する。ADFスキャナ1は、所定のサイズのシート状の媒体を連続的に自動給紙して、画像の読み取り処理を行うものであり、大量の媒体を自動的に搬送して読み取ることができるものである。
【0026】
この画像読取装置としてのADFスキャナ1は、読み取り媒体としての原稿Sを給紙する主給紙手段としてのADF部2と、給紙された原稿Sを搬送する搬送手段としての搬送部3と、搬送された原稿Sの画像を読み取る画像読取手段としての光学ユニット4と、画像を読み取られた原稿Sを排紙する主排紙手段としての主排紙部5と、装置の各部を収容するケーシング6とを備える。
【0027】
ADF部2は、積層された所定のサイズのシート状の媒体としての原稿Sを1枚ずつ分離して搬送部3に給紙するものであり、この搬送部3の一端側に設けられる。このADF部2は、シュータ21と、ピックローラ22と、分離パッド23とを有する。
【0028】
シュータ21は、略矩形状に形成された積載面21aを有し、この積載面21aに原稿Sを複数枚積層させて積載するものである。シュータ21に載置される積層された原稿Sは、不図示の付勢手段の付勢力により積載面21a方向に押圧されている。
【0029】
ピックローラ22は、シュータ21における積載面21aの搬送部3側端部(給紙側端部)の近傍に設けられ、シュータ21に積載された原稿Sのうち最下層に位置する原稿Sを給送するものである。ピックローラ22は、例えば発泡ゴムなどの摩擦力の大きい材料により円柱状の形状で形成されている。ピックローラ22は、その中心軸が、積載面21aの幅方向にほぼ平行、すなわち、積載面21aに沿いつつ原稿Sの給紙方向に直交する方向に設定されている。言い換えれば、積載面21aは外端部分に4つの辺を有する略矩形状に形成されているが、ピックローラ22は、このうちの搬送部3側の1辺の近傍に設けられており、その向きは、ピックローラ22の中心軸が前記辺とほぼ平行になる向きで設けられている。また、このピックローラ22は、その中心軸がシュータ21下面側(積載面21aに対して原稿Sが積載される側とは反対側)に設定されると共に、その外周面がシュータ21の積載面21aの延長平面上に位置するように設定されている。そして、このピックローラ22は、中心軸を回転軸線としてピック方向、すなわち、外周面が積載面21aの延長平面上にてシュータ21から離間する方向(図1中矢印で示す反時計周り方向)に回転することで、積載面21aに載置されている原稿Sを外周面で受け取り搬送部3に給送する。
【0030】
分離パッド23は、シュータ21の積載面21a側にてピックローラ22の外周面と接するように設けられており、ピックローラ22の回転に伴って給送される原稿Sを、この分離パッド23とピックローラ22の外周面との間に1枚ずつ分離して取り込むものである。
【0031】
したがって、このADF部2では、シュータ21上に積層された原稿Sは、ピックローラ22がピック方向(図1中反時計周り方向)に回転すると共に、分離パッド23によりこの分離パッド23とピックローラ22の外周面との間に取り込まれることで、1枚ずつ自動で分離され搬送部3に給紙される。
【0032】
搬送部3は、ADF部2により給紙された原稿Sを、その搬送経路中に設けられる光学ユニット4を介して、他端側(ADF部2が設けられる反対側の端部側)に設けられる主排紙部5まで搬送するものである。搬送部3は、回転駆動可能な駆動ローラ7とこの駆動ローラ7に従動して回転可能な付圧ローラ8とからなる複数(本実施例では搬送方向に対して2列)のローラ対9と、搬送経路に沿って設けられるガイド10とを有する。駆動ローラ7と付圧ローラ8とは、長さがほぼ同じであり、ともに円柱形状に形成される。駆動ローラ7と付圧ローラ8とは、ともにその中心軸が原稿Sの搬送方向と水平に交差するように、すなわち、原稿Sの幅方向に沿うように設けられ、中心軸を回転軸線として回転可能に設けられる。
【0033】
駆動ローラ7は、不図示の伝達ギヤやベルトを介して駆動手段としての駆動部11に接続されている。駆動部11は、不図示のモータにより構成され、この駆動ローラ7は、この駆動部11のモータにより回転駆動される。付圧ローラ8は、駆動ローラ7と対向して接するように設けられると共に、不図示の付勢手段により駆動ローラ7方向に付圧(付勢)されている。駆動ローラ7は、原稿SをADF部2から主排紙部5に搬送する際(正転搬送時)には、正転搬送回転方向A、すなわち、外周面が付圧ローラ8との接触面にてADF部2側から主排紙部5側に向かう方向(図1中反時計周り方向A)に回転駆動すると共に、付圧ローラ8もこの駆動ローラ7の回転に従動して外周面が駆動ローラ7との接触面にてADF部2側から主排紙部5側に向かう方向(図1中時計周り方向a)に回転する。そして、このローラ対9は、付圧ローラ8の付圧により駆動ローラ7の外周面と付圧ローラ8の外周面との間に原稿Sを挟持すると共に、駆動ローラ7が上記のとおり回転駆動することで原稿Sを搬送する。そして、原稿Sは、搬送経路に沿って設けられた複数のローラ対9間を順次受け渡されることで、ADF部2から主排紙部5まで搬送される。ガイド10は、搬送経路に沿って設けられ、この間、複数のローラ対9による原稿Sの搬送を案内する。
【0034】
なお、上述したピックローラ22も、不図示の伝達ギヤやベルトを介してこの駆動部11に接続されており、駆動部11のモータにより回転駆動される。
【0035】
さらに、搬送部3は、装置のコンパクト化を図るためにその搬送経路中に屈曲部3aを有している。すなわち、搬送部3による原稿Sの搬送経路は、この屈曲部3aにて屈曲している。さらに言い換えれば、搬送部3では、屈曲部3aを基準として、ADF部2から屈曲部3aまでの原稿Sの搬送方向と、屈曲部3aから主排紙部5までの原稿Sの搬送方向とがこの屈曲部3aにて交差している。したがって、ADF部2から搬送部3に給紙された原稿Sは、屈曲部3aを介して主排紙部5まで搬送される間に、この屈曲部3aにて搬送される方向が屈曲し方向転換される。
【0036】
光学ユニット4は、搬送部3による原稿Sの搬送経路中に設けられ、搬送部3により搬送された原稿Sの画像を読み取るものである。さらに具体的には、光学ユニット4は、上述の屈曲部3aと主排紙部5との間の搬送経路中に設けられる。本実施例の光学ユニット4は、原稿Sの表面の画像を読み取る表面光学ユニット4aと、原稿Sの裏面の画像を読み取る裏面光学ユニット4bとを備える。なお、表面光学ユニット4aと裏面光学ユニット4bとは、ほぼ同様な構成をしているので、以下の説明では、特に断りのない限り、表面光学ユニット4aと裏面光学ユニット4bとを区別することなく、単に光学ユニット4という。
【0037】
この光学ユニット4は、搬送されてくる原稿S上の画像を光学的に走査し、電気信号に変換して画像データとして読み取るものである。光学ユニット4は、光源と、イメージセンサと、光学系としてレンズ等を備える。光源は、原稿Sに光を照射するものであり、例えば、LEDなど種々の発光手段を用いることができる。レンズは、原稿Sにて反射した反射光をイメージセンサの受光面に集束させるものである。イメージセンサは、光源により照射され原稿Sで反射しレンズを通過した反射光を受光し、電気信号に変換することで画像データを読み取るものである。イメージセンサは、例えば、光を受光して電荷を発生させる複数の光電変換素子を原稿Sの搬送方向と直交するように一列に配置したリニアイメージセンサ(一次元イメージセンサ)としてCCDラインセンサなどを用いることができる。この光電変換素子の配列方向、すなわち、イメージセンサの長手方向が走査方向となる一方、この走査方向と直交する方向、すなわち、原稿Sの搬送方向が副走査方向となる。
【0038】
したがって、光学ユニット4にて、搬送部3により搬送される原稿Sに向けて光源から照射された光は、原稿Sで反射されレンズで集束される。そして、レンズを介した反射光は、イメージセンサに入射すると共に電気信号に変換され、走査方向に沿った1読取ライン毎に原稿Sの画像が読み取られる。そして、原稿Sがイメージセンサに対する相対的な移動を継続することで、この原稿Sが副走査方向に移動し光学ユニット4により副走査方向に沿って順次画像が読み取られていき、原稿S上の二次元画像データを読み取ることができる。
【0039】
主排紙部5は、ケーシング6に形成された排紙開口5aを有し、搬送部3により搬送され、光学ユニット4にて画像が読み取られた原稿Sは、この排紙開口5aを介してケーシング6の内側から外側に排紙される。なお、この主排紙部5は、排紙開口5aから排紙された原稿Sを受ける排出トレイ等を備えていてもよい。
【0040】
上記のように構成されるADFスキャナ1では、ADF部2のシュータ21の積載面21a上に積層された原稿Sは、ADF部2のピックローラ22及び分離パッド23により1枚ずつ分離されて搬送部3に給紙され、この搬送部3により屈曲部3a、光学ユニット4を介して主排紙部5まで搬送され、この主排紙部5にて排紙される。この間、搬送部3により搬送される原稿Sは、屈曲部3aにてその搬送方向が転換されると共に、光学ユニット4により原稿S上の二次元画像データが読み取られる。
【0041】
ところで、このようなADFスキャナ1では、シュータ21上に積層される原稿が比較的に薄くてたわみやすい媒体、例えば、OHP用に使用されるフィルム状の原稿やトレーシングペーパ等である場合、この媒体がたわみ易いがために、ADF部2にて1枚ずつ分離して給紙できないおそれがあり、さらに言えば、ADF部2にてこの原稿を損傷してしまうおそれがある。また、シュータ21上に積層される原稿が比較的に厚くて剛性が高い媒体、例えば、厚紙やカード状の媒体等である場合、この媒体の剛性が高いがために、屈曲部3aにて、この媒体が無理やり曲げられることで破損してしまうおそれがある。すなわち、多様な種類の媒体の画像を正常に読み取ることができないおそれがある。
【0042】
そこで、本実施例のADFスキャナ1は、図1、図2に示すように、搬送部3の搬送方向を切り換え可能な駆動手段としての駆動部11と、副排紙手段としての副排紙部12と、経路切換手段としてのフラップ部13を備え、特殊な媒体を主排紙部5から給紙して副排紙部12に排紙することで、多様な種類の媒体の画像読取りを可能としている。
【0043】
ここで、ADFスキャナ1により画像を読み取られる媒体としての原稿Sは、第1媒体としての通常原稿と、第2媒体としての特殊原稿を含んでいる。第1媒体としての通常原稿は、例えば、一般的なコピー用紙のような通常の厚さ及び剛性を有する用紙であり、ここでは、ADF部2にて積層された状態から1枚ずつ分離して搬送部3に給紙可能な媒体であると共に、屈曲部3aを通過しても折れて損傷してしまうことがない媒体である。よって、この第1媒体としての通常原稿は、ADF部2のシュータ21に積層されて自動給紙(ADF給紙)で搬送部3に給紙される。一方、第2媒体としての特殊原稿は、例えば、通常原稿よりも薄い媒体又は剛性が高い媒体であり、例えば、OHP用に使用されるフィルム状の原稿、トレーシングペーパ、厚紙やカード状の媒体などである。ここでは、特殊原稿は、ADF部2にて積層された状態から1枚ずつ分離して搬送部3に給紙できないおそれがある媒体及び屈曲部3aを通過する際に折れて曲がって損傷してしまうおそれがある媒体である。よって、第2媒体としての特殊原稿は、主排紙部5からオペレータによる手差し給紙(1枚送り給紙)で搬送部3に給紙される。なお、以下の説明では、通常原稿と特殊原稿とを特に区別する必要がない場合には、単に原稿Sという。また、通常原稿をオペレータにより主排紙部5から手差し給紙(1枚送り給紙)で搬送部3に給紙してもよいことはいうまでもない。
【0044】
具体的には、このADFスキャナ1の駆動部11は、上述したように搬送部3を駆動するものである。そして、この駆動部11は、搬送部3による原稿Sの搬送を、図1に示す正転搬送と、図2に示す逆転搬送とに切り換え可能である。すなわち、駆動部11は、上述したように、正転搬送時において、駆動ローラ7を正転搬送回転方向A(図1中反時計周り方向A)に回転駆動することで原稿Sを搬送部3によりADF部2側から主排紙部5側へ搬送する。一方、駆動部11は、逆転搬送時において、モータの回転方向を逆転することで、駆動ローラ7を正転搬送回転方向Aとは反対方向の逆転搬送回転方向B(図2中時計周り方向B)に回転駆動すると、付圧ローラ8もこの駆動ローラ7の回転に従動して図2中反時計周り方向bに回転する。よって、この逆転搬送時では、搬送部3は、主排紙部5側から屈曲部3a側へ原稿Sを搬送することになる。したがって、主排紙部5は、正転搬送時にADF部2により自動で搬送部3に給紙された原稿Sを1枚ずつ排紙可能である一方、逆転搬送時に原稿Sを1枚ずつ手差しで搬送部3に給紙可能となる。
【0045】
副排紙手段としての副排紙部12は、上記逆転搬送時に主排紙部5から1枚ずつ手差しで搬送部3に給紙される原稿Sを排紙するものであり、経路切換手段としてのフラップ部13は、屈曲部3aに設けられ、正転搬送時と逆転搬送時とで、搬送部3による原稿Sの搬送経路を切り換えるものである。
【0046】
副排紙部12は、フラップ部13を挟んで主排紙部5と対向する位置に設けられる。したがって、搬送部3の逆転搬送時における主排紙部5から副排紙部12までの原稿Sの搬送経路は、屈曲する部分を有さず直線的に設けられる。副排紙部12は、ケーシング6に形成された排紙開口12aを有し、逆転搬送時に搬送部3により逆転搬送され、光学ユニット4にて画像が読み取られた原稿Sをこの排紙開口12aを介してケーシング6の内側から外側に排紙する。なお、この副排紙部12は、排紙開口12aから排紙された原稿Sを受ける排出トレイ等を備えていてもよい。
【0047】
フラップ部13は、正転搬送位置(図1参照)と逆転搬送位置(図2参照)とに切り換え可能である。このフラップ部13は、正転搬送位置では、正転搬送時に原稿Sの先端部をADF部2側から屈曲部3aを介して主排紙部5側へ案内する一方、逆転搬送位置では、逆転搬送時に原稿Sの先端部を主排紙部5側から屈曲部3aを迂回して副排紙部12側に案内する。
【0048】
さらに具体的には、フラップ部13は、図3乃至図6に示すように、複数の案内部13aと、回動軸13bと、アーム13cを有する。各案内部13aは、原稿Sに接触してこの原稿Sの先端部を主排紙部5側や副排紙部12側に案内する部分である。各案内部13aは、基端部が回動軸13bに固定され先端部がこの回動軸13bから主排紙部5側に突出するように爪状に形成されると共に、各案内部13aの間及び側方に中間部13dが設けられる。回動軸13bは、この各案内部13aを正転搬送位置と逆転搬送位置との間で往復回動可能に支持するものである。アーム13cは、回動軸13bの一端部から回動軸13bの径方向に突出するように設けられる。このアーム13cは、後述する偏心カム14aが当接可能に設けられる。
【0049】
フラップ部13は、回動軸13bの回動軸線が原稿Sの搬送方向と水平に交差するように、すなわち、搬送部3により搬送される原稿Sの幅方向に沿うように設定されると共に、案内部13aの先端部が回動軸13bよりも主排紙部5側に位置するように設けられる(図1、図2参照)。このフラップ部13は、回動軸13bを回動中心として回動することで、図1、図3、図4に示すように、案内部13aが正転搬送時における主排紙部5側への搬送経路を開放して原稿Sの先端部をADF部2側から主排紙部5側へ案内する正転搬送位置(図1参照)と、図2、図5、図6に示すように、案内部13aが逆転搬送時におけるADF部2側への搬送経路を遮断して原稿Sの先端部を主排紙部5側から副排紙部12側に案内する逆転搬送位置とに切り換えることができる。
【0050】
なお、ここでフラップ部13は、案内部13aにて、正転搬送時に原稿Sの先端部が接触する面に湾曲部13eを有する。湾曲部13eは、案内部13aにおいて、原稿Sの先端部をADF部2から主排紙部5側へ案内する面(図3乃至図6において図中上側の面)に凹状に湾曲するように設けられる。これにより、正転搬送時に搬送部3によりADF部2から主排紙部5に搬送される原稿Sが屈曲部3aに至りその搬送方向が転換される際に、この案内部13aの湾曲部13eにより原稿Sの先端部が湾曲に沿って滑らかに案内されるので、搬送方向の転換を緩やかにすることができ、この結果、原稿搬送の安定性を向上することができる。言い換えれば、この湾曲部13eが搬送部3の搬送経路における屈曲部3aを形成している。そして、原稿Sは、このフラップ部13の湾曲部13e側で案内されることで屈曲部3aを介した搬送となる一方、このフラップ部13の湾曲部13eとは反対側で案内されることで屈曲部3aを迂回した搬送となる。
【0051】
ここで、このADFスキャナ1は、駆動部11(図1参照)からフラップ部13に駆動力を伝達する伝達手段としての伝達部14を備え、このフラップ部13を駆動部11の駆動力により正転搬送位置と逆転搬送位置とに切り換えることで、よりコンパクトな構成の実現と共に、搬送部3の正転搬送と逆転搬送との切り換えに連動してフラップ部13を正転搬送位置と逆転搬送位置とに切り換えている。
【0052】
具体的には、伝達部14は、偏心カム14aと、クラッチ手段としてのトルクリミッタ付ワンウェイクラッチ(以下、単に「クラッチ」という)14bと、付勢手段としてのねじりバネ14cを有する。
【0053】
偏心カム14aは、略円盤状に形成され、その端面が上述したアーム13cに当接可能な位置に設けられ、かつ、クラッチ14bの出力軸14dに偏心して設けられる。すなわち、偏心カム14aは、その中心が出力軸14dからずれた位置に設定される。クラッチ14bは、駆動部11のモータの出力軸に設けられる伝達ギヤ11aからの回転駆動力が入力されると共に、この回転駆動力のうち一方向への回転駆動力だけを伝達するものである。ここでは、クラッチ14bは、図5、図6に示す逆転搬送時に駆動部11のモータが発生する逆転搬送回転方向Bへの回転駆動力のみを偏心カム14aに伝達する。なお、クラッチ14bが偏心カム14aに伝達(出力)する回転駆動力は、動力の伝達に際し伝達ギヤ14eを1つ介していることから、入力される回転駆動力の回転方向とは反対方向の回転駆動力となる。すなわち、逆転搬送回転方向Bへの回転駆動力のみを伝達するクラッチ14bは、この逆転搬送回転方向Bとは反対方向(伝達方向)Cへの回転駆動力を偏心カム14aに出力する。偏心カム14aは、このクラッチ14bが伝達する回転駆動力により出力軸14dを回動中心として回動することで、フラップ部13のアーム13cに当接して案内部13aを正転搬送位置(図3、図4参照)から逆転搬送位置(図5、図6参照)まで押し上げるように回動する。また、このクラッチ14bは、所定の荷重が作用した際に、クラッチをスリップさせることで、この回転駆動力の伝達を遮断するトルクリミッタ機能を有している。
【0054】
ねじりバネ14cは、偏心カム14aの背面側にて、クラッチ14bの出力軸14dの反対側に突出する突出部14fに設けられる。そして、ねじりバネ14cは、一端が偏心カム14aの背面側に設けられる突出部14gに接触することで、この偏心カム14aが案内部13aを正転搬送位置(図3、図4参照)から逆転搬送位置(図5、図6参照)まで押し上げる際に回動する方向Cとは反対方向にこの偏心カム14aを付勢する。
【0055】
したがって、図3、図4に示すように、搬送部3の正転搬送時では、クラッチ14bは正転搬送回転方向Aへの回転駆動力を偏心カム14aに伝達せず、また、偏心カム14aがねじりバネ14cにより方向Cとは反対方向に付勢されることでアーム13cに当接しない位置にあることから、フラップ部13の案内部13aは、その自重により鉛直方向下側に位置して正転搬送位置で待機している。そして、図5、図6に示すように、搬送部3が逆転搬送に切り換えられると、クラッチ14bにより逆転搬送回転方向Bへの回転駆動力が偏心カム14aに伝達され、この偏心カム14aが方向Cに回動することでアーム13cに当接すると共に、そのまま案内部13aを逆転搬送位置まで押し上げて、フラップ部13を正転搬送位置から逆転搬送位置に切り換える。そして、偏心カム14aが所定の位置に到達すると、ねじりバネ14cによる方向Cとは反対方向への付勢力が所定の荷重までおおきくなることで、クラッチ14bのトルクリミッタ機能が作動し、回転駆動力の伝達が遮断され、この偏心カム14a、フラップ部13を所定の位置で保持する。そして、搬送部3が再び正転搬送に切り換えられると、フラップ部13の案内部13aは、上述のように、その自重により鉛直方向下側に戻り再び正転搬送位置で待機する。
【0056】
さらに、本実施例のADFスキャナ1は、第1検知手段としてのADF部検知センサ51と、第2検知手段としての読取部検知センサ52と、第3検知手段としての主排紙部検知センサ53と、制御手段としての制御装置54を備える。ADF部検知センサ51は、分離パッド23の近傍に設けられADF部2における原稿Sの有無を検知するものである。読取部検知センサ52は、光学ユニット4の近傍、ここでは屈曲部3aと裏面光学ユニット4bとの間に設けられ、屈曲部3aと主排紙部5との間の搬送経路中における原稿Sの有無を検知するものである。主排紙部検知センサ53は、排紙開口5a近傍に設けられ主排紙部5における原稿Sの有無を検知するものである。ADF部検知センサ51、読取部検知センサ52及び主排紙部検知センサ53は、ここでは、赤外線等を用いたフォトセンサを用いるが、これに限らず、例えば、超音波等によって原稿Sの有無を検知するようにしてもよい。そして、ADF部検知センサ51、読取部検知センサ52及び主排紙部検知センサ53は、制御装置54に電気的に接続されており、原稿Sの検知結果信号をこの制御装置54に送信することができる。制御装置54は、マイクロコンピュータを中心として構成され、ADF部検知センサ51、読取部検知センサ52及び主排紙部検知センサ53の検知結果に基づいて駆動部11を制御するものである。
【0057】
次に図7及び図8を参照してADFスキャナ1の動作を説明する。まず、ADFスキャナ1の電源を投入し、オペレータの操作によりADFスキャナ1による読み取り動作が開始されると、制御装置54は、ADF部検知センサ51、読取部検知センサ52及び主排紙部検知センサ53が原稿Sを検知しているか否か、ここでは、ADF部検知センサ51のみが原稿Sを検知しているか否かを判定し(S100)、ADF部検知センサ51のみが原稿Sを検知し、読取部検知センサ52及び主排紙部検知センサ53が原稿Sを検知していないと判定した場合(S100:Yes)、すなわち、ADF部2に原稿Sが積層されている場合には、ADF給紙処理を開始し、ADF給紙による1枚目の原稿Sの給紙を開始するため、駆動部11を制御して搬送部3を正転搬送回転方向Aで駆動する(S102)と共に、これと連動してフラップ部13を正転搬送位置(図1、図3、図4)に切り換える(S102a)。
【0058】
次に、制御装置54は、読取部検知センサ52が原稿Sを検知したか否かを判定し(S104)、読取部検知センサ52が原稿Sを検知したと判定した場合(S104:Yes)には、光学ユニット4による1枚目の原稿Sの画像の読み取りを開始(S106)し、読取部検知センサ52が原稿Sを検知していないと判定した場合(S104:No)、原稿Sを検知するまでS104の判定を繰り返し行う。
【0059】
制御装置54は、S106にて、光学ユニット4による画像の読み取りを開始すると、次に、読取部検知センサ52が原稿Sを検知していないか否かを判定し(S108)、読取部検知センサ52が原稿Sを検知していると判定した場合(S108:No)、すなわち、1枚目の原稿Sが光学ユニット4を通過している途中である場合には、原稿Sを検知しなくなるまでS108の判定を繰り返し行う。
【0060】
読取部検知センサ52が原稿Sを検知していないと判定した場合(S108:Yes)、すなわち、1枚目の原稿Sが光学ユニット4を通過し終わっている場合には、制御装置54は、ADF部検知センサ51が原稿Sを検知していないか否かを判定する(S110)。ADF部検知センサ51が原稿Sを検知している場合(S110:No)、すなわち、ADF部2にまだ原稿Sが残っている場合には、S104に戻って2枚目以降の原稿Sについて、S104からS110までの処理を繰り返し行う。
【0061】
ADF部検知センサ51が原稿Sを検知していない場合(S110:Yes)、すなわち、ADF部2の原稿Sがなくなった場合には、制御装置54は、再び、読取部検知センサ52が原稿Sを検知していないか否かを判定する(S112)。読取部検知センサ52が原稿Sを検知していると判定した場合(S112:No)、すなわち、最後の原稿Sが光学ユニット4を通過している途中である場合には、原稿Sを検知しなくなるまでS112の判定を繰り返し行う。読取部検知センサ52が原稿Sを検知していないと判定した場合(S112:Yes)、すなわち、最後の原稿Sが光学ユニット4を通過し終わっている場合には、制御装置54は、光学ユニット4による画像の読み取りを終了する(S114)。
【0062】
その後、制御装置54は、主排紙部検知センサ53が原稿Sを検知していないか否かを判定し(S116)、主排紙部検知センサ53が原稿Sを検知していると判定した場合(S116:No)、すなわち、最後の原稿Sがまだ主排紙部5から完全に排紙されていない場合には、原稿Sを検知しなくなるまでS116の判定を繰り返し行う。主排紙部検知センサ53が原稿Sを検知していないと判定した場合(S116:Yes)、すなわち、最後の原稿Sが主排紙部5から完全に排紙された場合には、制御装置54は、駆動部11を制御して搬送部3による正転搬送を停止し(S118)、ADF給紙処理を終了する。
【0063】
以上のようにして、このADFスキャナ1は、ADF部2に積層された通常原稿を大量に自動で読みとることができる。すなわち、S102にて、駆動部11を制御して搬送部3を正転搬送回転方向Aに駆動すると共に、S102aにて、これと連動してフラップ部13を正転搬送位置(図1、図3、図4)に切り換えていることから、ADF部2でADF給紙された通常原稿は、搬送部3により主排紙部5まで搬送されこの主排紙部5で排紙される。この間、フラップ部13は、屈曲部3aにて、ADF部2側から主排紙部5側への搬送経路を開放し通常原稿の先端部をADF部2側から屈曲部3a(湾曲部13e)を介して主排紙部5側へ案内することで、搬送部3により安定的に通常原稿を搬送することができる。
【0064】
一方、S100にて、ADF部検知センサ51が原稿Sを検知していない、あるいは、読取部検知センサ52又は主排紙部検知センサ53が原稿Sを検知していると判定した場合(S100:No)には、制御装置54は、ADF部検知センサ51と主排紙部検知センサ53の2つが原稿Sを検知しているか否かを判定する(S120)。ADF部検知センサ51と主排紙部検知センサ53のいずれか一方又は両方が原稿Sを検知していないと判定された場合(S120:No)、さらに、制御装置54は、主排紙部検知センサ53のみが原稿Sを検知しているか否かを判定する(S122)。主排紙部検知センサ53のみが原稿Sを検知していると判定した場合(S122:Yes)、すなわち、オペレータが主排紙部5から手差し給紙(1枚送り給紙)で搬送部3に原稿Sを給紙しようとしている場合には、制御装置54は、図8で詳細に説明する1枚送り給紙処理(S124)に移行する。S122での判定がNoである場合、原稿Sがセットされていないなど、種々のエラーの可能性があることから、不図示の報知手段を介してオペレータにその旨を報知して終了する。
【0065】
S120にて、ADF部検知センサ51と主排紙部検知センサ53の2つが原稿Sを検知し、読取部検知センサ52が原稿Sを検知していないと判定した場合(S120:Yes)、例えば、ADF部2に原稿Sが積層されていると共に、オペレータが主排紙部5から手差し給紙(1枚送り給紙)で搬送部3に原稿Sを給紙しようとしている場合には、制御装置54は、不図示の選択手段等を介してオペレータにADF給紙と1枚送り給紙のいずれかの選択を促し(S126)、ADF給紙が選択された場合(S126:ADF)には、S102に移行しS102以降の処理を実行する。1枚送り給紙が選択された場合(S126:1枚送り)には、S124に移行し1枚送り給紙を実行する。
【0066】
次に、図8を参照してADFスキャナ1における1枚送り給紙処理について説明する。制御装置54は、S122にて主排紙部検知センサ53のみが原稿Sを検知していると判定した場合やS126にて1枚送り給紙が選択された場合には、1枚送り給紙処理を開始し、主排紙部5を介した手差しによる給紙を開始するため、駆動部11を制御して搬送部3を逆転搬送回転方向Bに駆動する(S200)と共に、これと連動してフラップ部13を逆転搬送位置(図2、図5、図6)に切り換える(S200a)。そして、制御装置54は、これとほぼ同時に、光学ユニット4により原稿Sの画像の読み取りを開始する(S202)。
【0067】
次に、制御装置54は、読取部検知センサ52が原稿Sを検知しているか否かを判定し(S204)、読取部検知センサ52が原稿Sを検知していないと判定した場合(S204:No)、すなわち、主排紙部5から給紙され搬送部3により搬送される原稿Sの先端が光学ユニット4に達していない場合には、原稿Sを検知するまでS204の判定を繰り返し行う。読取部検知センサ52が原稿Sを検知していると判定した場合(S204:Yes)、すなわち、原稿Sの先端が光学ユニット4に達している場合には、制御装置54は、主排紙部検知センサ53が原稿Sを検知していないか否かを判定する(S206)。主排紙部検知センサ53が原稿Sを検知していると判定した場合(S206:No)、すなわち、原稿Sの後端がまだ光学ユニット4に達していない場合には、主排紙部検知センサ53が原稿Sを検知しなくなるまでS206の判定を繰り返し行う。主排紙部検知センサ53が原稿Sを検知していないと判定した場合(S206:Yes)、すなわち、原稿Sの後端が光学ユニット4を通過している場合には、制御装置54は、光学ユニット4による画像の読み取りを終了する(S208)。
【0068】
その後、制御装置54は、読取部検知センサ52が原稿Sを検知していないか否かを判定し(S210)、読取部検知センサ52が原稿Sを検知していると判定した場合(S210:No)、すなわち、原稿Sがまだ副排紙部12から完全に排紙されていない場合には、原稿Sを検知しなくなるまでS210の判定を繰り返し行う。読取部検知センサ52が原稿Sを検知していないと判定した場合(S210:Yes)、すなわち、原稿Sが副排紙部12から完全に排紙された場合には、制御装置54は、駆動部11を制御して搬送部3による逆転搬送を停止し(S212)、1枚送り給紙処理を終了する。
【0069】
以上のようにして、このADFスキャナ1は、主排紙部5を介して手差しにて1枚送りで給紙される特殊原稿を1枚ずつ読みとることができる。すなわち、S200にて、駆動部11を制御して搬送部3を逆転搬送回転方向Bに駆動すると共に、S200aにて、これと連動してフラップ部13を逆転搬送位置(図2、図5、図6)に切り換えていることから、主排紙部5から給紙された特殊原稿は、搬送部3により副排紙部12まで直線的に搬送されこの副排紙部12で排紙される。この間、フラップ部13は、屈曲部3aにて、主排紙部5側からADF部2側への搬送経路を遮断し特殊原稿がADF部2側に逆流して搬送されることを防止し、この特殊原稿の先端部を主排紙部5側から屈曲部3aを迂回して副排紙部12側へ案内することで、特殊原稿を搬送部3により安定的に搬送することができる。この結果、ADF部2にて積層された状態から1枚ずつ分離して搬送部3に給紙できないおそれがある媒体及び屈曲部3aを通過する際に折れて曲がって損傷してしまうおそれがある媒体などの特殊原稿を適正に搬送してその画像を読み取ることができ、このADFスキャナ1により多様な種類の媒体の画像を読み取ることができる。言い換えれば、コンパクトな構成で読み取り可能な媒体の範囲を広げることができる。
【0070】
さらに言えば、例えば、特殊原稿が比較的に剛性の高い曲がりにくい媒体であっても、主排紙部5から給紙される特殊原稿は、搬送部3により副排紙部12まで直線的に搬送されることから、この特殊原稿が屈曲部3aにて破損してしまうことを防止することができる。また、例えば、特殊原稿が比較的に薄くたわみやすい媒体であっても、逆転搬送時には、フラップ部13により主排紙部5側からADF部2側への搬送経路を遮断し特殊原稿がADF部2側に逆流して搬送されることが防止されるので、屈曲部3aにて、特殊原稿の先端部が折れ曲がるなどして何かに引っ掛かり、正常に搬送されず搬送異常、いわゆるジャムが発生することも防止することができる。
【0071】
なお、以上のS114、S208で説明した光学ユニット4による画像読み取りの終了時期やS118、S212で説明した搬送部3の停止時期は、光学ユニット4に対する読取部検知センサ52、主排紙部検知センサ53の配置位置等に応じて適宜ディレイ時間を設定しておくとよい。
【0072】
以上で説明した本発明の実施例に係るADFスキャナ1によれば、一端側に設けられたADF部2から他端側に設けられた主排紙部5にシート状の原稿Sを搬送可能であると共に、搬送経路が屈曲部3aで屈曲した搬送部3と、屈曲部3aと主排紙部5との間の搬送経路中に設けられ原稿Sの画像を読み取り可能な光学ユニット4と、原稿SをADF部2側から主排紙部5側へ搬送する正転搬送と、この搬送の方向を逆転する逆転搬送とで搬送部3を駆動可能な駆動部11と、逆転搬送時に主排紙部5から1枚ずつ給紙される原稿Sを排紙可能な副排紙部12と、正転搬送時に原稿Sの先端部をADF部2側から屈曲部3aを介して主排紙部5側へ案内する正転搬送位置と、逆転搬送時に原稿Sの先端部を主排紙部5側から屈曲部3aを迂回して副排紙部12側に案内する逆転搬送位置とに切り換え可能なフラップ部13とを備える。
【0073】
したがって、駆動部11により搬送部3による原稿Sの搬送をADF部2から主排紙部5に搬送する正転搬送と主排紙部5から副排紙部12に搬送する逆転搬送とに切り換えることができると共に、正転搬送時には、フラップ部13により、原稿Sの先端部をADF部2側から屈曲部3aを介して主排紙部5側へ案内する一方、逆転搬送時には、原稿Sの先端部を主排紙部5側から屈曲部3aを迂回して副排紙部12側へ案内することから、ADFスキャナ1で画像を読み取る原稿Sの種類に応じて搬送経路を変更し、排紙する部分を変更することができるので、多様な種類の原稿Sの画像を読み取ることができる。また、この場合、搬送部3による搬送を逆転することで、主排紙部5を逆転搬送時における副給紙手段として兼用することができるので、ADFスキャナ1をよりコンパクトな構成とすることができる。
【0074】
さらに、以上で説明した本発明の実施例に係るADFスキャナ1によれば、原稿Sは、通常媒体と、この通常媒体よりも薄い又は剛性が高い特殊原稿とを含み、ADF部2は、積層された通常媒体を1枚ずつ分離して搬送部3に給紙可能であり、主排紙部5は、正転搬送時にADF部2により給紙された通常原稿を1枚ずつ排紙可能である一方、逆転搬送時に少なくとも特殊原稿を1枚ずつ搬送部3に給紙可能である。したがって、ADF部2により1枚ずつ分離して自動で給紙することができる通常原稿の画像を正転搬送により大量に読み取ることができる一方、ADF部2にて1枚ずつ分離して給紙できないおそれがある薄い特殊原稿や屈曲部3aを通過する際に折れて曲がって損傷してしまうおそれがある剛性の高い特殊原稿の画像を、逆転搬送により損傷させることなく読み取ることができる。
【0075】
さらに、以上で説明した本発明の実施例に係るADFスキャナ1によれば、副排紙部12は、フラップ部13を挟んで主排紙部5と対向する位置に設けられる。したがって、搬送部3の逆転搬送時における主排紙部5から副排紙部12までの原稿Sの搬送経路は、屈曲する部分を有さず直線的に設けられることから、例えば、逆転搬送時に主排紙部5から給紙される原稿Sが比較的に剛性の高い曲がりにくい媒体であっても、主排紙部5から給紙された原稿Sは、搬送部3により副排紙部12まで直線的に搬送されるので、この原稿Sが屈曲部3aにて破損してしまうことを防止することができる。
【0076】
さらに、以上で説明した本発明の実施例に係るADFスキャナ1によれば、フラップ部13は、正転搬送位置にて原稿Sの主排紙部5側への搬送経路を開放する一方、逆転搬送位置にてADF部2側への搬送経路を遮断する。したがって、正転搬送時には、フラップ部13により、屈曲部3aにて、ADF部2側から主排紙部5側への搬送経路を開放する一方、逆転搬送時には、フラップ部13により主排紙部5側からADF部2側への搬送経路を遮断し原稿SがADF部2側に逆流して搬送されることが防止されるので、例えば、逆転搬送時に主排紙部5から給紙される原稿Sが比較的に薄くたわみやすい媒体であっても、屈曲部3aにて、原稿Sの先端部がADF部2側に折れ曲がるなどして何かに引っ掛かり、ジャムが発生することを防止することができる。
【0077】
さらに、以上で説明した本発明の実施例に係るADFスキャナ1によれば、フラップ部13は、原稿Sの先端部をADF部2から主排紙部5側へ案内する面に、湾曲して形成され原稿Sの先端部が接触する湾曲部13eを有する。したがって、正転搬送時に搬送部3によりADF部2から主排紙部5に搬送される原稿Sが屈曲部3aに至りその搬送方向が転換される際に、この湾曲部13eにより原稿Sの先端部が湾曲に沿って滑らかに案内されるので、搬送方向の転換を緩やかにすることができ、この結果、原稿搬送の安定性をより向上することができる。
【0078】
さらに、以上で説明した本発明の実施例に係るADFスキャナ1によれば、駆動部11からフラップ部13に駆動力を伝達する伝達部14を備え、フラップ部13は、駆動部11の駆動力により正転搬送位置と、逆転搬送位置とに切り換えられる。したがって、駆動部11の回転駆動力を伝達部14を介してフラップ部13に伝達し、この回転駆動力によりフラップ部13を正転搬送位置と逆転搬送位置とに切り換えることで、よりコンパクトな構成を実現できると共に、搬送部3の正転搬送と逆転搬送との切り換えに連動してフラップ部13を正転搬送位置と逆転搬送位置とに切り換えることができる。
【0079】
さらに、以上で説明した本発明の実施例に係るADFスキャナ1によれば、フラップ部13は、原稿Sに接触して案内する案内部13aと、案内部13aを正転搬送位置と逆転搬送位置との間で往復回動可能に支持する回動軸13bと、この回動軸13bの一端部に設けられたアーム13cとを有し、伝達部14は、アーム13cに当接して案内部13aを正転搬送位置から逆転搬送位置まで押圧するように回動可能な偏心カム14aと、逆転搬送時に駆動部11が発生する回転駆動力のみを偏心カム14aに伝達可能であると共に、所定の荷重が作用した際にこの動力の伝達を遮断するクラッチ14bと、偏心カム14aを回動方向とは反対方向に付勢するねじりバネ14cとを有する。したがって、搬送部3の正転搬送時では、駆動部11の回転駆動力はクラッチ14bにより偏心カム14aに伝達されないことから、この偏心カム14aはねじりバネ14cの付勢力により所定の位置に保持されると共に、フラップ部13の案内部13aは、その自重により鉛直方向下側に位置して正転搬送位置で待機している。そして、搬送部3が逆転搬送に切り換えられると、クラッチ14bにより回転駆動力が偏心カム14aに伝達され、この偏心カム14aが案内部13aを逆転搬送位置まで押し上げて、フラップ部13を正転搬送位置から逆転搬送位置に切り換えることができる。そして、この偏心カム14aが所定の位置に到達すると、ねじりバネ14cによる付勢力が所定の荷重までおおきくなることで、クラッチ14bのトルクリミッタ機能が作動し、回転駆動力の伝達が遮断され、この偏心カム14a及びフラップ部13を所定の位置で保持することができる。
【0080】
さらに、以上で説明した本発明の実施例に係るADFスキャナ1によれば、ADF部2における原稿Sの有無を検知するADF部検知センサ51と、屈曲部3aと主排紙部5との間の搬送経路中における原稿Sの有無を検知する読取部検知センサ52と、主排紙部5における原稿Sの有無を検知する主排紙部検知センサ53と、ADF部検知センサ51、読取部検知センサ52及び主排紙部検知センサ53の検知結果に基づいて駆動部11を制御する制御装置54とを備える。したがって、制御装置54によりADF部検知センサ51、読取部検知センサ52及び主排紙部検知センサ53の原稿Sの検知結果に基づいて駆動部11を制御するので、原稿Sの給紙箇所や現在位置に応じて搬送部3による正転搬送と逆転搬送との切り換えや、フラップ部13の正転搬送位置と逆転搬送位置との切り換えを適正に実行することができる。
【0081】
なお、上述した本発明の実施例に係る画像読取装置は、上述した実施例に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の変更が可能である。以上の説明では、主給紙手段は、積層された媒体を1枚ずつ分離して自動で搬送手段に給紙するADF部であるものとして説明したが、手動により1枚ずつ給紙する給紙手段であってもよい。また、以上の説明では、搬送手段を駆動する駆動手段と経路切換手段を駆動する手段とを共用するものとして説明したが、それぞれ別体に設けるようにしてもよい。また、以上の説明では、駆動手段から経路切換手段に駆動力を伝達する伝達手段は、偏心カムと、クラッチ手段と、付勢手段とを有する構成であるものとして説明したが、これに限らず、他の構成であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0082】
以上のように、本発明に係る画像読取装置は、多様な種類の媒体の画像を読み取ることができるものであり、種々の画像読取装置に適用して好適である。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の実施例に係るADFスキャナ(正転搬送時)を説明する模式的断面図である。
【図2】本発明の実施例に係るADFスキャナ(逆転搬送時)を説明する模式的断面図である。
【図3】本発明の実施例に係るADFスキャナの正転搬送時におけるフラッパ部と伝達部を伝達部側から見た斜視図である。
【図4】本発明の実施例に係るADFスキャナの正転搬送時におけるフラッパ部と伝達部をフラッパ部側から見た斜視図である。
【図5】本発明の実施例に係るADFスキャナの逆転搬送時におけるフラッパ部と伝達部を伝達部側から見た斜視図である。
【図6】本発明の実施例に係るADFスキャナの逆転搬送時におけるフラッパ部と伝達部をフラッパ部側から見た斜視図である。
【図7】本発明の実施例に係るADFスキャナの正転搬送時の制御を示す流れ図である。
【図8】本発明の実施例に係るADFスキャナの逆転搬送時の制御を示す流れ図である。
【符号の説明】
【0084】
1 ADFスキャナ(画像読取装置)
2 ADF部(主給紙手段)
3 搬送部(搬送手段)
3a 屈曲部
4 光学ユニット(画像読取手段)
5 主排紙部(主排紙手段)
6 ケーシング
7 駆動ローラ
8 付圧ローラ
9 ローラ対
10 ガイド
11 駆動部(駆動手段)
11a 伝達ギヤ
12 副排紙部(副排紙手段)
13 フラップ部(経路切換手段)
13a 案内部
13b 回動軸
13c アーム
13d 中間部
13e 湾曲部
14 伝達部(伝達手段)
14a 偏心カム
14b トルクリミッタ付ワンウェイクラッチ(クラッチ手段)
14c ねじりバネ(付勢手段)
14d 出力軸
14e 伝達ギヤ
21 シュータ
22 ピックローラ
23 分離パッド
51 ADF部検知センサ(第1検知手段)
52 読取部検知センサ(第2検知手段)
53 主排紙部検知センサ(第3検知手段)
54 制御装置(制御手段)
A 正転搬送回転方向
B 逆転搬送回転方向
S 原稿(媒体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端側に設けられた主給紙手段から他端側に設けられた主排紙手段にシート状の媒体を搬送可能であると共に、搬送経路が屈曲部で屈曲した搬送手段と、
前記屈曲部と前記主排紙手段との間の前記搬送経路中に設けられ前記媒体の画像を読み取り可能な画像読取手段と、
前記媒体を前記主給紙手段側から前記主排紙手段側へ搬送する正転搬送と、該搬送の方向を逆転する逆転搬送とで前記搬送手段を駆動可能な駆動手段と、
前記逆転搬送時に前記主排紙手段から1枚ずつ給紙される前記媒体を排紙可能な副排紙手段と、
前記正転搬送時に前記媒体の先端部を前記主給紙手段側から前記屈曲部を介して前記主排紙手段側へ案内する正転搬送位置と、前記逆転搬送時に前記媒体の先端部を前記主排紙手段側から前記屈曲部を迂回して前記副排紙手段側に案内する逆転搬送位置とに切り換え可能な経路切換手段とを備えることを特徴とする、
画像読取装置。
【請求項2】
前記媒体は、第1媒体と、該第1媒体よりも薄い又は剛性が高い第2媒体とを含み、
前記主給紙手段は、積層された前記第1媒体を1枚ずつ分離して前記搬送手段に給紙可能であり、
前記主排紙手段は、前記正転搬送時に前記主給紙手段により給紙された前記第1媒体を1枚ずつ排紙可能である一方、前記逆転搬送時に少なくとも前記第2媒体を1枚ずつ前記搬送手段に給紙可能であることを特徴とする、
請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記副排紙手段は、前記経路切換手段を挟んで前記主排紙手段と対向する位置に設けられることを特徴とする、
請求項1又は請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記経路切換手段は、前記正転搬送位置にて前記媒体の前記主排紙手段側への前記搬送経路を開放する一方、前記逆転搬送位置にて前記主給紙手段側への前記搬送経路を遮断することを特徴とする、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記経路切換手段は、前記媒体の先端部を前記主給紙手段から前記主排紙手段側へ案内する面に、湾曲して形成され該先端部が接触する湾曲部を有することを特徴とする、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記駆動手段から前記経路切換手段に駆動力を伝達する伝達手段を備え、
前記経路切換手段は、前記駆動手段の駆動力により前記正転搬送位置と、前記逆転搬送位置とに切り換えられることを特徴とする、
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記経路切換手段は、前記媒体に接触して案内する案内部と、前記案内部を前記正転搬送位置と前記逆転搬送位置との間で往復回動可能に支持する回動軸と、該回動軸の一端部に設けられたアームとを有し、
前記伝達手段は、前記アームに当接して前記案内部を前記正転搬送位置から前記逆転搬送位置まで押圧するように回動可能な偏心カムと、前記逆転搬送時に前記駆動手段が発生する回転駆動力のみを前記偏心カムに伝達可能であると共に、所定の荷重が作用した際に当該動力の伝達を遮断するクラッチ手段と、前記偏心カムを前記回動方向とは反対方向に付勢する付勢手段とを有することを特徴とする、
請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記主給紙手段における前記媒体の有無を検知する第1検知手段と、
前記屈曲部と前記主排紙手段との間の前記搬送経路中における前記媒体の有無を検知する第2検知手段と、
前記主排紙手段における前記媒体の有無を検知する第3検知手段と、
前記第1検知手段、前記第2検知手段及び前記第3検知手段の検知結果に基づいて前記駆動手段を制御する制御手段とを備えることを特徴とする、
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−270954(P2008−270954A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−108171(P2007−108171)
【出願日】平成19年4月17日(2007.4.17)
【出願人】(000136136)株式会社PFU (354)
【Fターム(参考)】