説明

画像読取装置

【課題】原稿をUターンさせる搬送経路に沿って搬送を行うにもかかわらず、原稿に皺が生じたりジャムが発生したりするのを抑制可能な画像読取装置を提供すること。
【解決手段】スキャナユニット3A,3Bにおいては、単一のメイン搬送ローラ34で原稿をUターンさせている。そのため、Uターンさせる経路に沿って配置された複数のローラそれぞれを駆動して原稿を搬送するものとは異なり、ローラ間の速度差に起因して原稿に皺ができたりジャムが発生したりするのを抑制することができる。また、原稿が分離ローラ32から離間するのに伴い、分離ローラ32の搬送方向下流側において、原稿にかかっていた張力が急激に低下したとしても、そのような張力変動は主に中継搬送ローラ33よりも搬送方向上流側において発生する。したがって、中継搬送ローラ33よりも搬送方向下流側での張力変動は抑制され、メイン搬送ローラ34による搬送速度が安定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、原稿の両面から画像を読み取り可能な画像読取装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。
この画像読取装置の場合、原稿が読取位置を最初に通過する際に原稿表面から画像を読み取り、さらに原稿をスイッチバック搬送して、原稿が読取位置を再度通過する際に原稿裏面から画像を読み取っている(特許文献1:段落[0014],[0015]参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−333003号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の画像読取装置の場合、原稿をUターンさせる搬送経路(以下、Uターン経路と称する。)に沿って複数箇所に搬送ローラが配設され、それら複数箇所において搬送ローラと原稿が当接する構造になっている。
【0005】
そのため、湾曲したUターン経路に沿って配置された複数のローラそれぞれを駆動した際に、ローラ間の速度差に起因して、原稿に皺ができたり、ジャムが発生したりすることがあった。
【0006】
特に、表裏両面を読み取る際には、スイッチバック搬送される原稿が、上記のようなUターン経路に二度にわたって通されるので、両面読み取りには時間を要する上に、上述のような皺やジャムが発生しやすくなるおそれがあった。
【0007】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、原稿をUターンさせる搬送経路に沿って搬送を行うにもかかわらず、原稿に皺が生じたりジャムが発生したりするのを抑制可能な画像読取装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、本発明において採用した構成について説明する。
請求項1に記載の画像読取装置は、原稿に接触しつつ回転することにより、原稿を一枚ずつ分離させて搬送経路の下流側へと送り出す分離ローラと、前記分離ローラよりも前記搬送経路の下流側となる位置において、前記搬送経路の上流側から搬送されてくる原稿に接触しつつ回転することにより、原稿をUターンさせるメイン搬送ローラと、前記メイン搬送ローラよりも前記搬送経路の下流側となる位置において、前記メイン搬送ローラによって送り出される原稿から画像を読み取る読取手段とを備え、さらに、前記分離ローラと前記メイン搬送ローラとの間となる位置には、前記分離ローラから送り出される原稿に接触しつつ回転することにより、原稿を前記メイン搬送ローラへと送り出す中継搬送ローラが設けられており、前記分離ローラによって送り出される原稿が前記分離ローラから離間した際、前記分離ローラから前記中継搬送ローラに至る搬送経路において原稿に作用する張力が変動しても、その変動が前記中継搬送ローラから前記メイン搬送ローラに至る搬送経路へと伝わるのを、前記中継搬送ローラによって抑制してあることを特徴とする。
【0009】
このように構成された画像読取装置では、単一のメイン搬送ローラで原稿をUターンさせている。そのため、湾曲した経路に沿って配置された複数のローラそれぞれを駆動して原稿を搬送するものとは異なり、ローラ間の速度差に起因して原稿に皺ができたりジャムが発生したりするのを抑制することができる。
【0010】
ところで、分離ローラは摩擦力で原稿を分離させる構造になっているので、一般に、分離ローラよりも搬送経路下流側では原稿に張力がかかりやすい傾向がある。そのため、原稿が分離ローラから離間すると、原稿にかかっていた張力が急激に低下しやすく、分離ローラの搬送方向下流側では搬送速度が不安定になりやすい。
【0011】
しかし、この点、本発明の画像読取装置においては、分離ローラとメイン搬送ローラとの間となる位置に中継搬送ローラを設けてある。そのため、原稿が分離ローラから離間するのに伴い、分離ローラの搬送方向下流側において、原稿にかかっていた張力が急激に低下したとしても、そのような張力変動は主に中継搬送ローラよりも搬送方向上流側において発生する。
【0012】
したがって、中継搬送ローラよりも搬送方向下流側での張力変動は抑制されることとなり、メイン搬送ローラによる搬送速度が安定するので、原稿の読み取り品質に及ぶ悪影響を低減することができる。
【0013】
請求項2に記載の画像読取装置は、請求項1に記載の画像読取装置において、前記読取手段を第一読取手段として備えており、しかも、「前記分離ローラから前記メイン搬送ローラに至る途中の位置において、前記第一読取手段による読取対象となる面の裏側にある面から画像を読み取る第二読取手段」を配置するために利用可能なスペースが、前記分離ローラと前記メイン搬送ローラとの間に確保されており、前記中継搬送ローラは、前記スペースよりも前記分離ローラ側となる位置に配置されていることを特徴とする。
【0014】
この画像読取装置において、分離ローラとメイン搬送ローラとの間には、第二読取手段を配置可能なスペースが確保されている。そのため、このスペースに第二読取手段を配置することで、原稿の両面読み取りが可能な装置として構成でき、あるいは、第二読取手段を配置せず、原稿の片面読み取りが可能な装置として構成することもできる。
【0015】
また、中継搬送ローラは、上記スペースよりも分離ローラ側となる位置に設けてある。したがって、上記スペースに第二読取手段を配置した場合、第二読取手段は、中継搬送ローラによって張力変化が抑制された箇所で画像を読み取ることができるので、原稿の読み取り品質に及ぶ悪影響を低減することができる。
【0016】
請求項3に記載の画像読取装置は、請求項2に記載の画像読取装置において、前記第二読取手段が、前記スペースに配設されていることを特徴とする。
このように構成された画像読取装置によれば、第一読取手段と第二読取手段を利用して、原稿の両面読み取りを行うことができる。このとき、第一読取手段と第二読取手段は、並行して原稿から画像を読み取ることができる。
【0017】
したがって、原稿の表面から画像を読み取った後に、原稿の裏面から画像を読み取るように構成されている従来技術に比べ、迅速な両面読み取りを実現することができる。また、両面読み取りのために、一枚の原稿を二度にわたってUターン経路に通す必要はないので、原稿に皺ができたりジャムが発生したりするのを抑制できる。
【0018】
請求項4に記載の画像読取装置は、請求項2に記載の画像読取装置において、前記中継搬送ローラによって送り出される原稿を前記メイン搬送ローラへと案内するガイド部材が、前記スペースに配設されていることを特徴とする。
【0019】
このように構成された画像読取装置によれば、第一読取手段を利用して、原稿の片面読み取りを行うことができる。しかも、ガイド部材以外の部分では、請求項3に記載の画像読取装置と部品を共用することができる。したがって、共用可能な部品については、量産効果によってコストダウンを図ることができる。
【0020】
請求項5に記載の画像読取装置は、請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の画像読取装置において、前記分離ローラによる原稿の搬送速度V1、前記中継搬送ローラによる原稿の搬送速度V2、前記メイン搬送ローラによる原稿の搬送速度V3は、V1<V2及びV1<V3なる関係が成立する速度とされていることを特徴とする。
【0021】
このように構成された画像読取装置によれば、分離ローラによる原稿の搬送速度V1が、他のローラによる原稿の搬送速度V2,V3よりも遅いので、分離ローラよりも搬送経路下流側に張力をかけることができ、原稿に弛みが生じるのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】画像読取装置を備えた複合機を示す図であり、(a)は複合機の平面図、(b)は複合機の正面図。
【図2】図1(a)に示したA−A線での断面図であり、図2(a)は二つのイメージセンサが配設されている状態を示す図、図2(b)は一つのイメージセンサが配設されている状態を示す図。
【図3】図3(a)は図2(a)に示したB部の拡大図、図3(b)は図2(b)に示したC部の拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明の実施形態について一例を挙げて説明する。
[複合機の構造]
図1(a)及び同図(b)に示す複合機1は、画像読取装置としての機能(スキャン機能)に加え、その他の機能(例えば、プリント機能、コピー機能、ファクシミリ送受信機能など)を兼ね備えたものである。なお、以下の説明においては、複合機1が備える各部の相対的な位置関係をわかりやすく説明するため、図中に併記した上下左右前後の各方向を利用する。
【0024】
この複合機1は、メインユニット2と、メインユニット2の上部に搭載されたスキャナユニット3を備えている。スキャナユニット3は、後端側を回動中心にして前端側を上下方向へと回動させることにより、メインユニット2に対して開閉可能な構造になっている。この開閉機構を利用して、スキャナユニット3を図1(a)及び同図(b)に示した閉位置から図示しない開位置へと移動させれば、利用者はメインユニット2の内部に組み込まれた内部機構のメンテナンス等を実施できる。
【0025】
スキャナユニット3は、原稿が載置される載置部5と、この載置部5の上面側を覆うカバー部7とを備えている。カバー部7は、後端側を回動中心にして前端側を上下方向へと回動させることにより、載置部5に対して開閉可能な構造になっている。この開閉機構を利用して、カバー部7を図1(a)及び同図(b)に示した閉位置から図示しない開位置へと移動させれば、原稿を載置部5に搭載することができる状態となる。
【0026】
また、カバー部7は、上記のような回動可能な構造とは別に、載置部5に対して上下方向へ変位可能な構造にもなっている。これにより、カバー部7を上方へと持ち上げれば、比較的厚みのある原稿であっても、載置部5とカバー部7との間に原稿を挟み込むことができるようになっている。
【0027】
[スキャナユニットの詳細]
次に、スキャナユニット3について、図2及び図3に基づいて、さらに詳細に説明する。本実施形態において、スキャナユニット3には、両面読み取りタイプ、及び片面読み取りタイプの二種類があり、スキャナユニット3が備える構造の一部は、各タイプに応じて異なる構造になっている。そこで、以下の説明では、両面読み取りタイプのものをスキャナユニット3A、片面読み取りタイプのものをスキャナユニット3Bと称することにする。
【0028】
図2(a)及び図3(a)に示したものは、両面読み取りタイプのスキャナユニット3A、図2(b)及び図3(b)に示したものは、片面読み取りタイプのスキャナユニット3Bである。
【0029】
これらのスキャナユニット3A,3Bは、双方ともフラットベッド(以下、FBと略称する。)スキャナに対して自動原稿送り装置(以下、ADFと略称する。)を付加した構造になっている。
【0030】
また、スキャナユニット3A,3Bは、双方とも第一イメージセンサ11を備えており、これに加え、両面読み取りタイプのスキャナユニット3Aは、第二イメージセンサ12を備えた構造になっている。本実施形態において、第一イメージセンサ11及び第二イメージセンサ12は、双方とも密着イメージセンサ(Contact Image Sensor)が利用されている。
【0031】
スキャナユニット3A,3Bにおいて、第一イメージセンサ11は、載置部5に設けられたキャリッジ15に搭載され、キャリッジ15とともに左右方向へ往復移動可能に構成されている。また、第一イメージセンサ11の移動経路上方には、FBガラス17が配設されている。
【0032】
スキャナユニット3A,3BがFBスキャナとして利用される場合、原稿はFBガラス17上に載置される。そして、第一イメージセンサ11は、複合機1の前後方向を主走査方向、左右方向を副走査方向として、副走査方向へ移動しながら、主走査方向に並ぶ複数の画素を繰り返し読み取ることで、原稿から画像を読み取り可能となっている。
【0033】
また、スキャナユニット3Aの場合、第一イメージセンサ11の移動経路上方で、FBガラス17の左方には、第一ADFガラス21が配設され、第二イメージセンサ12の上方には、第二ADFガラス22が配設されている。そして、スキャナユニット3Aの場合、第一ADFガラス21の上方には、第一押さえ部材23が配設され、第二ADFガラス22の上方には、第二押さえ部材24が配設されている。
【0034】
一方、スキャナユニット3Bの場合も、第一イメージセンサ11の移動経路上方で、FBガラス17の左方には、第一ADFガラス21が配設され、第一ADFガラス21の上方には、第一押さえ部材23が配設されている。
【0035】
ただし、スキャナユニット3Bの場合、第二イメージセンサ12は備えていないので、上述の第二ADFガラス22が配設されていた位置には、第二ADFガラス22と同形状の下側ガイド部材25が配設されている。
【0036】
また、上述の第二押さえ部材24が配設されていた位置には、上側ガイド部材26が設けられている。この上側ガイド部材26は、複数の板状リブが前後方向に間隔を空けて櫛歯状に配列された形態になっており、搬送経路を覆うADFカバー27Bに一体成形されている。すなわち、スキャナユニット3A,3Bそれぞれが備えるADFカバー27A,27Bとしては、異なる形状の成形品が採用されている。
【0037】
さらに、スキャナユニット3A,3Bは、ADFを構成するローラ群として、双方とも同等なローラ群を備えている。具体的には、スキャナユニット3A,3Bは、動力源から伝達される動力で駆動されるローラとして、供給ローラ31、分離ローラ32、中継搬送ローラ33、メイン搬送ローラ34、排出ローラ35を備えている。
【0038】
また、これらのローラ31〜35と協働して原稿をニップしつつ、駆動されるローラ又は搬送される原稿に追従して回転するローラとして、第一ニップローラ36、第二ニップローラ37、第三ニップローラ38、第四ニップローラ39を備えている。
【0039】
スキャナユニット3A,3BがADFスキャナとして利用される場合、上述のローラ群が駆動される。その際、原稿台41に載せられた原稿は、図2(a)及び同図(b)に破線で示した搬送経路に沿って搬送される。具体的には、原稿台41に載せられた原稿は、供給ローラ31によって搬送方向下流側へと送り出され、その原稿が分離ローラ32によってを一枚ずつに分離される。
【0040】
また、分離ローラ32によって一枚ずつに分離された原稿は、中継搬送ローラ33によってメイン搬送ローラ34へと送り出され、その原稿がメイン搬送ローラ34の外周沿いにUターンさせられる。そして、メイン搬送ローラ34によって送り出される原稿が、さらに排出ローラ35によって搬送方向下流側へと送られて、その原稿が排出トレイ43へと排出される。
【0041】
なお、分離ローラ32による原稿の搬送速度V1、中継搬送ローラ33による原稿の搬送速度V2、メイン搬送ローラ34による原稿の搬送速度V3は、V1<V2及びV1<V3なる関係が成立する速度に設定されている。これにより、分離ローラ32による原稿の搬送速度V1が、他のローラによる原稿の搬送速度V2,V3よりも遅くなるので、分離ローラ32よりも搬送経路下流側に張力をかけることができ、原稿に弛みが生じるのを防止できる。
【0042】
スキャナユニット3A,3BがADFスキャナとして利用される場合、第一イメージセンサ11は、左右方向について第一押さえ部材23の直下となる位置へ移動し、その位置で静止する。なお、スキャナユニット3Aが備える第二イメージセンサ12は、左右方向について第二押さえ部材24の直下となる位置に配設されており、その位置から左右方向へは移動しない構造になっている。
【0043】
スキャナユニット3Aの場合、上述のローラ群によって搬送される原稿は、中継搬送ローラ33によって送り出された後、メイン搬送ローラ34に到達するまでに、第二ADFガラス22と第二押さえ部材24との間を通過する。
【0044】
その際、第二イメージセンサ12は、複合機1の前後方向を主走査方向、搬送方向を副走査方向として、副走査方向へ移動する原稿から、主走査方向に並ぶ複数の画素を繰り返し読み取ることで、原稿の裏面側から画像を読み取る。
【0045】
また、スキャナユニット3A,3B双方とも、上述のローラ群によって搬送される原稿は、メイン搬送ローラ34によって送り出された後、排出ローラ35に到達するまでに、第一ADFガラス21と第一押さえ部材23との間を通過する。
【0046】
その際、第一イメージセンサ11は、複合機1の前後方向を主走査方向、搬送方向を副走査方向として、副走査方向へ移動する原稿から、主走査方向に並ぶ複数の画素を繰り返し読み取ることで、原稿の表面側から画像を読み取る。
【0047】
[効果]
以上のように構成されたスキャナユニット3A,3Bにおいては、単一のメイン搬送ローラ34で原稿をUターンさせている。そのため、原稿をUターンさせる際に、Uターンさせる経路に沿って配置された複数のローラそれぞれを駆動して原稿を搬送するものとは異なり、ローラ間の速度差に起因して原稿に皺ができたりジャムが発生したりするのを抑制することができる。
【0048】
また、分離ローラ32は摩擦力で原稿を分離させる構造になっているので、一般に、分離ローラ32よりも搬送経路下流側では原稿に張力がかかりやすい傾向がある。そのため、原稿が分離ローラ32から離間すると、原稿にかかっていた張力が急激に低下しやすく、分離ローラ32の搬送方向下流側では搬送速度が不安定になりやすい。
【0049】
しかし、上記スキャナユニット3A,3Bにおいては、分離ローラ32とメイン搬送ローラ34との間となる位置に中継搬送ローラ33を設けてある。そのため、原稿が分離ローラ32から離間するのに伴い、分離ローラ32の搬送方向下流側において、原稿にかかっていた張力が急激に低下したとしても、そのような張力変動は主に中継搬送ローラ33よりも搬送方向上流側において発生する。
【0050】
したがって、中継搬送ローラ33よりも搬送方向下流側での張力変動は抑制されることとなり、メイン搬送ローラ34による搬送速度が安定するので、原稿の読み取り品質に及ぶ悪影響を低減することができる。
【0051】
また、このスキャナユニット3A,3Bにおいて、分離ローラ32とメイン搬送ローラ34は間隔を空けて配置され、これにより、分離ローラ32とメイン搬送ローラ34との間には、第二イメージセンサ12を配置可能なスペースが確保されている。
【0052】
そのため、スキャナユニット3Aのように、このスペースに第二イメージセンサ12を配置することで、原稿の両面読み取りが可能な装置として構成することができる。また、スキャナユニット3Bのように、第二イメージセンサ12を配置せず、原稿の片面読み取りが可能な装置として構成することもできる。
【0053】
したがって、スキャナユニット3A,3Bにおいて、多くの部品を共用することができ、特にADFを構成するローラ群については、スキャナユニット3A,3Bで完全に共用することができるので、量産効果によるコストダウンを期待することができる。
【0054】
また、中継搬送ローラ33は、上記のような第二イメージセンサ12を配置可能なスペースよりも分離ローラ32側となる位置に設けてある。したがって、スキャナユニット3Aのように、上記スペースに第二イメージセンサ12を配置した場合、第二イメージセンサ12は、中継搬送ローラ33によって張力変化が抑制された箇所で画像を読み取ることができるので、原稿の読み取り品質に及ぶ悪影響を低減することができる。
【0055】
さらに、スキャナユニット3Aでは、第一イメージセンサ11と第二イメージセンサ12を利用して、並行して原稿から画像を読み取ることができる。原稿の表面から画像を読み取った後に、スイッチバック搬送を行うなどして、原稿の裏面から画像を読み取るように構成されている従来技術に比べ、迅速な両面読み取りを実現することができる。また、両面読み取りのために、一枚の原稿を二度にわたってUターン経路に通す必要はないので、原稿に皺ができたりジャムが発生したりするのを抑制できる。
【0056】
[変形例等]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の具体的な一実施形態に限定されず、この他にも種々の形態で実施することができる。
【0057】
例えば、上記実施形態において、スキャナユニット3A,3Bは、FBスキャナに対してADFを付加した構造になっていたが、FBスキャナとしての構成を備えるか否かは任意であり、ADFスキャナ専用の構成であっても本発明を適用することができる。
【0058】
また、上記実施形態においては、第二イメージセンサ12を配設可能なスペースを備えている事例を示したが、そのようなスペースがない場合においても、中継搬送ローラを設ければ、原稿をUターンさせるメイン搬送ローラに張力変動が伝わるのを抑制できる。
【0059】
また、上記実施形態において、上側ガイド部材26は、ADFカバー27Bに一体成形されていたが、ADFカバーと上側ガイド部材が別体の部品として成形されて、上側ガイド部材がADFカバーに取り付けられる構造になっていてもよい。この場合、別体部品とされる上側ガイド部材が、ADFカバー27Aに取り付けられる構造になっていれば、スキャナユニット3A,3Bにおいて、ADFカバー27Aを共用することも可能となる。
【0060】
さらに、上記実施形態においては、スキャナユニット3A,3Bが、複合機1に組み込まれる事例を示したが、単機能のイメージスキャナ装置として構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1・・・複合機、2・・・メインユニット、3,3A,3B・・・スキャナユニット、5・・・載置部、7・・・カバー部、11・・・第一イメージセンサ、12・・・第二イメージセンサ、15・・・キャリッジ、17・・・FBガラス、21・・・第一ADFガラス、22・・・第二ADFガラス、23・・・第一押さえ部材、24・・・第二押さえ部材、25・・・下側ガイド部材、26・・・上側ガイド部材、27A,27B・・・ADFカバー、31・・・供給ローラ、32・・・分離ローラ、33・・・中継搬送ローラ、34・・・メイン搬送ローラ、35・・・排出ローラ、36・・・第一ニップローラ、37・・・第二ニップローラ、38・・・第三ニップローラ、39・・・第四ニップローラ、41・・・原稿台、43・・・排出トレイ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿に接触しつつ回転することにより、原稿を一枚ずつ分離させて搬送経路の下流側へと送り出す分離ローラと、
前記分離ローラよりも前記搬送経路の下流側となる位置において、前記搬送経路の上流側から搬送されてくる原稿に接触しつつ回転することにより、原稿をUターンさせるメイン搬送ローラと、
前記メイン搬送ローラよりも前記搬送経路の下流側となる位置において、前記メイン搬送ローラによって送り出される原稿から画像を読み取る読取手段と
を備え、さらに、
前記分離ローラと前記メイン搬送ローラとの間となる位置には、前記分離ローラから送り出される原稿に接触しつつ回転することにより、原稿を前記メイン搬送ローラへと送り出す中継搬送ローラが設けられており、
前記分離ローラによって送り出される原稿が前記分離ローラから離間した際、前記分離ローラから前記中継搬送ローラに至る搬送経路において原稿に作用する張力が変動しても、その変動が前記中継搬送ローラから前記メイン搬送ローラに至る搬送経路へと伝わるのを、前記中継搬送ローラによって抑制してある
ことを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記読取手段を第一読取手段として備えており、しかも、「前記分離ローラから前記メイン搬送ローラに至る途中の位置において、前記第一読取手段による読取対象となる面の裏側にある面から画像を読み取る第二読取手段」を配置するために利用可能なスペースが、前記分離ローラと前記メイン搬送ローラとの間に確保されており、
前記中継搬送ローラは、前記スペースよりも前記分離ローラ側となる位置に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記第二読取手段が、前記スペースに配設されている
ことを特徴とする請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記中継搬送ローラによって送り出される原稿を前記メイン搬送ローラへと案内するガイド部材が、前記スペースに配設されている
ことを特徴とする請求項2に記載の画像読取装置。
【請求項5】
前記分離ローラによる原稿の搬送速度V1、前記中継搬送ローラによる原稿の搬送速度V2、前記メイン搬送ローラによる原稿の搬送速度V3は、V1<V2及びV1<V3なる関係が成立する速度とされている
ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−205357(P2011−205357A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−70045(P2010−70045)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】