画像読取装置
【課題】画像読取装置の初期調整にかかる時間を短縮化する。
【解決手段】原稿を照明する光源と、光源により照明された原稿からの反射光を受光してアナログ信号を出力するカラーセンサ及びモノクロセンサと、カラーセンサ及びモノクロセンサからのアナログ信号を増幅するアナログ増幅器と、アナログ増幅器により増幅されたアナログ信号をデジタル信号へ変換するAD変換器と、白基準部材と、光源により照明された白基準部材からの反射光を受光したカラーセンサからのアナログ信号を増幅するアナログ増幅器のゲインを調整して、調整されたゲインをカラーセンサのためのゲイン設定値として保持する(S709)制御回路とを備えた画像読取装置において、制御回路は、カラーセンサのためのゲイン設定値に基づいて、モノクロセンサのためのゲイン設定値を計算により求める(S724)構成とした。
【解決手段】原稿を照明する光源と、光源により照明された原稿からの反射光を受光してアナログ信号を出力するカラーセンサ及びモノクロセンサと、カラーセンサ及びモノクロセンサからのアナログ信号を増幅するアナログ増幅器と、アナログ増幅器により増幅されたアナログ信号をデジタル信号へ変換するAD変換器と、白基準部材と、光源により照明された白基準部材からの反射光を受光したカラーセンサからのアナログ信号を増幅するアナログ増幅器のゲインを調整して、調整されたゲインをカラーセンサのためのゲイン設定値として保持する(S709)制御回路とを備えた画像読取装置において、制御回路は、カラーセンサのためのゲイン設定値に基づいて、モノクロセンサのためのゲイン設定値を計算により求める(S724)構成とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、初期調整にかかる時間を低減することができる画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カラー原稿をカラーで読み取ることが可能な読取装置(以下、カラー読取装置という)は、一般に、R(赤),G(緑),B(青)の3色のカラーフィルタをそれぞれ備えた3ラインセンサを用いていた。
【0003】
一方、カラー原稿及び白黒原稿ともに白黒で読み取ることを前提とした読取装置(以下、白黒読取装置と呼ぶ。)は、一般に、カラーフィルタを一切介さない、もしくは、所望の分光感度を持ったカラーフィルタをもったラインセンサを用いていた。この場合、人間の目の比視感度特性からグリーン系のカラーフィルタを用いられることが多かった。
【0004】
近年、プリンター、複写機の印刷出力のカラー化が進んでいる。また、原稿のスキャニング(電子化)の分野においても、原稿をカラーで読み取ることができるカラー読取装置の普及が進んでいる。この場合、カラー読取を可能にするためには、上述のように3ラインセンサを通常採用している。
【0005】
しかしながら、従来、一般に、白黒読取装置の読取速度は、カラー読取装置よりも高いことが多かったため、カラー読取装置ではあるけれども、カラー読取よりも高速で読み取る白黒読取モードの併設を望む声が多かった。
【0006】
例えば、以下の場合には、1色1ラインのラインセンサを用いた白黒読取モードで読み取ることが望まれている。
(1) 原稿があらかじめ白黒原稿とわかっており、読取信号としてRGBの3色出力ではなく、白黒出力を所望する場合。
(2) 読み取った画像を高速な白黒プリンターで、もしくはカラープリンターであっても白黒単色で高速且つ安価に出力したいというような場合。
(3) 原稿のスキャンデータ(電子データ)の量を低減したいような場合。
【0007】
そのような背景から、カラー用の3ラインセンサ(以下、カラーセンサという。)とモノクロ用のラインセンサ(以下、モノクロセンサという。)とを備えた4ラインイメージセンサが開発されている。ここで、モノクロセンサの透過率をカラーセンサの透過率よりも高くしておくことにより、センサの光電子蓄積時間は短くてすむ。つまり、モノクロセンサはカラーセンサよりも高速で原稿を読み取ることが可能となる。
【0008】
例えば、特許文献1は、4ラインイメージセンサを受光素子として用いる画像読取装置を開示している。カラー読取モードと白黒読取モードが同時に選択されることは実用上ありえない。そこで、AD変換器や画像処理部の削減を目的として、白黒読取モード(以下、モノクロモードという。)の画像データが流れる一連のパスをカラー読取モード(以下、カラーモードという。)のそれと共通にすることにより、センサ自体を小型化できる。
【0009】
従来、画像読取装置においては、電源投入直後に各イメージセンサの出力をAD(アナログ−デジタル)変換器で調整して、その出力が所定の入力範囲内になるようにしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2002−111968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
画像読取装置においては、電源投入後に光源光量およびアナログゲインの調整(以下、初期調整という。)を行う必要がある。カラーモードとモノクロモードの画像データパスが共通である4ラインイメージセンサを用いる場合、カラーセンサとモノクロセンサの感度が異なるため、カラーモードとモノクロモードのそれぞれについて上記初期調整を行う必要がある。このため、初期調整にかかる時間が単純に2倍になるという問題があった。一方、カラーモードとモノクロモードとで各々別個の画像データパスを備えた4ラインイメージセンサは、一度の調整で両モードの調整を完了できるが、実用性と回路規模などの面からあまり現実的ではない。
【0012】
さらに、近年は、機器の省エネルギーの観点で、複写機が一定時間操作されない場合に備え、待機モード(スタンバイ)や休止モード(スリープ)といった節電モードが実装される方向に進みつつある。節電モードを備えた装置においては、節電モードから通常の動作モードへ復帰するたびに、アナログゲインの調整および光源光量の調整(初期調整)が必要となる。節電モードからの復帰のたびに、カラーモードとモノクロモードのために2回の初期調整を行うのは、読み取りスタートまでの時間を考えると大きな問題となる。
【0013】
そこで、本発明は、最初の読み取り動作開始までにかかる時間を低減することができる画像読取装置を提供する。
また、本発明は、初期調整にかかる時間を低減することができる画像読取装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の画像読取装置は、調整により求めたカラーセンサのためのゲイン設定値に基づいて、モノクロセンサのためのゲイン設定値を計算により求める構成とした。
上記目的を達成するために、原稿を照明する光源と、前記光源により照明された原稿からの反射光を受光してアナログ信号を出力するカラーセンサ及びモノクロセンサと、前記カラーセンサ及び前記モノクロセンサからの前記アナログ信号を増幅するアナログ増幅器と、前記アナログ増幅器により増幅された前記アナログ信号をデジタル信号へ変換するAD変換器と、白基準部材と、前記光源により照明された前記白基準部材からの反射光を受光した前記カラーセンサからの前記アナログ信号を増幅する前記アナログ増幅器のゲインを調整して、調整されたゲインを前記カラーセンサのためのゲイン設定値として保持する制御回路とを備えた画像読取装置において、前記制御回路は、前記カラーセンサのための前記ゲイン設定値に基づいて、前記モノクロセンサのためのゲイン設定値を計算により求める構成とした。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、画像読取装置の最初の読み取り動作開始までにかかる時間を低減することができる。
また、本発明によれば、画像読取装置の初期調整にかかる時間を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(a)は、本発明による実施例1の画像読取装置の平面図。(b)は、画像読取装置の左側面断面図。
【図2】(a)は、イメージセンサの4ラインセンサの構造の概略図。(b)は、別のイメージセンサの概略図。
【図3】(a)は、本発明による画像読取装置の制御システムのブロック図。(b)は、AFEの概略図。
【図4】カラーモードとモノクロモードとで光源の光量及びアナログ増幅器のゲインが同じである場合における主走査方向の位置に対する読取輝度を示す図。
【図5】実施例1による画像読取装置の初期調整制御フローの一例を示す図。
【図6】光量・ゲイン・オフセット調整の説明図。
【図7】実施例2による画像読取装置の初期調整制御フローの一例を示す図。
【図8】実施例3のイメージセンサの概略図。
【図9】実施例3のイメージセンサによりサンプリングした白板のデータのプロファイルを示す図。
【図10】実施例3のカラーモードの光量設定値及び/又はゲイン設定値に基づいてモノクロモードの光量設定値及び/又はゲイン設定値を算出することを説明する説明図。
【図11】実施例3による画像読取装置の初期調整制御のフローの一例を示す図。
【図12】実施例3の変形例を示す図。
【図13】画像読取装置の最初の読み取り動作(ファーストスキャン)開始までにかかる時間をタイムテーブルで示した図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[実施例1]
以下、添付図面を参照して、本発明による実施の形態を説明する。
【0018】
(画像読取装置)
図1に、本発明による実施例1の画像読取装置10の全体構成を示す。図1(a)は、画像読取装置10の平面図である。図1(b)は、画像読取装置10の左側面断面図である。
シェーディング白板(白基準部材)100は、原稿台ガラス104の下面(画像読取モジュール102の側)に貼り付けられている。白板100は、原稿が載置される原稿台ガラス104の原稿領域101よりも主走査方向に少し大きめである。原稿照明用光源103の光量の調整及びイメージセンサ200のアナログ出力のゲインの調整は、この白板100を基準に行われる。画像読取モジュール102は、原稿照明用光源(以下、光源という。)103、イメージセンサ200、及び原稿台ガラス104上の原稿で反射した光源103からの光をイメージセンサ200へ向けるミラー105とを一体に設けている。なお、画像読取装置10は、上記した画像読取モジュール102に限らず、イメージセンサ及びレンズユニットを副走査方向の所定箇所に固定し、光源とミラーを副走査方向に移動させる画像読取ユニットを使用してもよい。光量の調整及びアナログゲインの調整(以下、初期調整という。)の際に、画像読取モジュール102を白板100の直下に移動させる。光源103からの光を白板100に照射したときの反射光を画像読取モジュール102内のイメージセンサ200で読み取る。イメージセンサ200の出力信号から得た画像データを基に初期調整を行う。
【0019】
(イメージセンサ)
図2は、イメージセンサ200の4ラインセンサの構造の概略図である。図2(a)に示すイメージセンサ200は、カラーセンサ210とモノクロセンサ220とを有する。カラーセンサ210は、赤色フィルタを備えたRラインセンサ、緑色フィルタを備えたGラインセンサ、及び青色フィルタを備えたBラインセンサを有する。モノクロセンサ220は、カラーフィルタを備えていない或いは薄緑色フィルタを備えたBkラインセンサを有する。イメージセンサ200は、さらに、ラインメモリ(不図示)と、シフトレジスタ(不図示)と、出力アンプ203(203R,203G,203B)とを有する。イメージセンサ200のカラーセンサ210及びモノクロセンサ220は、光源103により照明された原稿からの反射光を受光してアナログ信号を出力する。すなわち、イメージセンサ200のR,G,B,Bkラインセンサで各々受光した光は電気信号に変換され、それらはイメージセンサ200内のラインメモリ(不図示)に保存される。シフトレジスタ(不図示)によってシリアルに出力された電気信号は出力アンプ203R,203G,203Bのそれぞれを介してイメージセンサ200外にアナログ信号として取り出される。これらのアナログ信号は、AD変換器201(201R、201G,201B)のそれぞれによってデジタル信号に変換される。これらのデジタル信号は、ラインメモリ202(202R,202G,202B)に画像データとして保存される。画像データは、画像処理部204(204R,204G,204B)においてシェーディング補正などの各種画像処理を施される。なお、ラインメモリ202の代わりに、メモリを使用してもよい。
【0020】
カラー読取モード(以下、カラーモードという。)において、カラーセンサ(R,G,Bラインセンサ)210の出力信号は、図2(a)に示すR,G,B画像信号ルートのそれぞれを通して画像処理部204へ転送される。白黒読取モード(以下、モノクロモードという。)において、モノクロセンサ(Bkラインセンサ)220の出力信号は、カラー用の画像信号ルートの一つまたは複数を通してイメージセンサ200の外に出力される。図2(a)に示す実施例の場合は、Bkラインセンサの全画素の出力信号は、Rの画像信号ルートと、Gの画像信号ルートとを通してイメージセンサ200から出力される。Bkラインセンサ220は、カラーフィルタが塗布されていないか、又は、通常のカラーフィルタよりも薄い色のフィルタが塗布されているので、所定の出力値を得るための蓄積時間をカラーセンサ210よりも短くすることができる。蓄積時間を短くすることによって(カラーモードより高い周波数で駆動することによって)高速で画像を読み取ることが可能である。図2(a)に示すように、Bkラインセンサ220の出力信号を複数の画像信号ルートを使って主走査方向の全画素を分割で出力する場合には、さらに高速で画像を読み取ることができる。図2(a)の実施例の場合は、Rの画像信号ルートを使ってBkラインセンサの前半画素の信号を、Gの画像信号ルートを使ってBkラインセンサの後半画素の信号を出力している。
【0021】
図2(a)は、イメージセンサ200内のラインメモリ(不図示)及びシフトレジスタ(不図示)を削減するために、イメージセンサ200内でカラーセンサ210の出力とモノクロセンサ220の出力を切り替えることができる構成の一例を示している。しかしながら例えば図2(b)に示すように、イメージセンサ400のR,G,B,及びBkラインセンサのそれぞれについて、ラインメモリ(不図示)、シフトレジスタ(不図示)、出力アンプ203(203R,203G,203B,203Bk)を設けてもよい。そして、イメージセンサ400外でカラーセンサ410の出力とモノクロセンサ420の出力を切り替えてもよい。カラーセンサ(R,G,Bラインセンサ)410の出力信号は、例えば、図2(b)に示すように、AD変換器201(201R,201G,201B)のそれぞれに入力される。モノクロセンサ(Bkラインセンサ)420の出力信号は、例えば、図2(b)に示すように、Bの画像信号ルートのAD変換器201Bに入力される。
【0022】
(制御ブロック)
図3(a)は、本発明による画像読取装置の制御ブロック図である。イメージセンサ200からのアナログ出力がAD変換器201の最大入力範囲を超えないように光源103の光量を調整するために、照明駆動回路300により光源103の電流を制御する。図3(a)に示した実施例において、光源103は、LEDである。図3(a)において、照明駆動回路300は、四つの構成からなるが、四つに限ったものではない。光源103は、複数の発光ユニットからなる。複数の照明駆動回路300により、複数の発光ユニットを制御することにより、光源103の主走査方向における光量のばらつきを低減することができる。
【0023】
一方、LEDの代わりに、キセノンランプ(希ガス蛍光体ランプ)(以下、Xeランプという。)を光源103として使用してもよい。その場合、照明駆動回路300は、LED光源の場合のような駆動電流制御回路ではなく、一般に、高圧インバータである。高圧インバータは、CPU(制御回路)301によりオン・オフの制御が行なわれる。Xeランプの光は、ミラーやレンズなどの光学部品を介して原稿台ガラス104上の原稿へ照射される。原稿からの反射光をイメージセンサ200で受けて、イメージセンサ200は、アナログ出力として画像信号を出力する。イメージセンサ200からのアナログ出力がAD変換器201の最大入力範囲を超えない程度に適切な光量のXeランプおよび高圧インバータが選定される。CPU(制御回路)301は、光源の点灯、消灯制御の他に、後述する画像読取装置10の初期調整に関する演算や各種レジスタへの設定を行う。CPU301は、ROM302及びRAM303に接続されている。ROM302は、初期調整に関するプログラムを格納している。RAM303は、初期調整に関するCPU301の演算結果を保存する。
【0024】
図3(a)におけるAD変換器201に関して説明を追加しておく。実際にはAD変換器201を単体で使うことはほとんどなく、図3(b)に示すように、AD変換器201の直前にアナログ増幅器1401を設けている。また、AD変換器201を通った後のデジタル値をアナログ値へ変換して、変換したアナログ値をイメージセンサ200からのアナログ値へフィードバックするためのDA変換器1402が備えられている。一般に、図3(b)に示す点線内のアナログ増幅器1401、AD変換器201、及びDA変換器1402を一体化して一つのアナログフロントエンドIC(以下、AFEという。)250にしている。CPU(制御回路)301は、アナログ増幅器1401からAD変換器201へ入力されるアナログ信号がAD変換器201の最大入力範囲を超えないようにアナログ増幅器1401のゲイン設定値を調整する。CPU301は、アナログ増幅器1401のゲイン設定値を記憶装置としてのRAM303に保存する。
【0025】
(カラーモードとモノクロモードのデータの差異)
図4は、カラーモードとモノクロモードとで光源103の光量及びアナログ増幅器1401のゲイン設定値が同じである場合における主走査方向の位置に対する読取輝度を示す図である。図4において、横軸は、ラインセンサの主走査方向位置を示している。縦軸は、読取輝度を示している。イメージセンサ200のカラーモード用のR,G,Bラインセンサの受光部にはカラーフィルタが塗布されているため、モノクロモード用のBkラインセンサと同じゲイン設定値を適用した場合、その主走査方向の配光の絶対値に差異が生じる。言い換えれば、光源103の光量が同じでも、カラーフィルタの感度落ちの分だけ、カラーモードとモノクロモードとで読み込まれるデータの絶対値には差異が生じる。
「差異」は、読取輝度の大きさ(縦軸方向)のみに発生している。配光(イメージセンサ200における主走査方向の受光光量「分布」)に関しては同じ光学系である限りは、輝度分布パターンは同じである。同じ光学系とは、例えば、図1(b)に示したような光源103とイメージセンサ200とミラー105とを一体化した画像読取モジュール102としての光学系である。あるいは、イメージセンサ200やレンズユニット(不図示)を副走査方向の所定箇所に固定し、光源103とミラーユニット(不図示)のみを副走査方向に走査可能とした光学系であってもよい。
本実施例では、上記した特性を利用して、カラーセンサとモノクロセンサの設定比率とカラーセンサの調整後の設定値とに基づいて、モノクロセンサの調整を行うことなくモノクロセンサの設定値をもとめる。
【0026】
図5は、実施例1による画像読取装置の初期調整制御フローの一例を示す図である。画像読取装置10の「最初の起動」時の初期調整において、S706で調整されたカラーモードの光量設定値(電流設定値)とS715で調整されたモノクロモードの光量設定値(電流設定値)との比率をCPU301により計算する(S721)。計算結果は、記憶装置としてのRAM303に保存される(S722)。同様に、CPU301は、S708で調整されたカラーモードのゲイン設定値とS717で調整されたモノクロモードのゲイン設定値との比率を計算する(S721)。計算結果は、RAM303に保存される(S722)。
カラーセンサからの画像信号に基づいた光量設定値およびゲイン設定値の調整は、ユーザーが画像読取装置10を使用する二回目以降の電源投入時毎に、及び/又は、スリープ復帰時毎に、毎回行う(S730)。しかし、モノクロセンサの画像信号に基づいた光量設定値およびゲイン設定値の調整は行われない。二回目以降の電源投入時及び/又はスリープ復帰時に、RAM303に保存されたカラーセンサとモノクロセンサとの光量設定値の「比率」と、カラーセンサのために調整された光量設定値とに基づいて、モノクロセンサの光量設定値を計算により求める(S724)。また、RAM303に保存されたカラーセンサとモノクロセンサとのゲイン設定値の「比率」と、カラーセンサのために調整されたゲイン設定値とに基づいて、モノクロセンサのゲイン設定値を計算により求める(S724)。
【0027】
(初期調整)
図5及び図6を参照して、実施例1による画像読取装置の初期調整制御を説明する。図6は、光量・ゲイン・オフセット調整の説明図である。一般に、画像読取装置10の電源投入時やスリープ復帰時などのタイミングで、AD変換器201の入力ダイナミックレンジ(明暗の範囲)を決定する制御を行う必要がある。アナログ増幅器1401からのアナログ信号がAD変換器201の最大入力範囲いっぱいまで入力されるように調整された場合、アナログデータからデジタルデータに変換された画像の輝度再現性は、高くなる。図2(a)及び(b)に示した4ラインイメージセンサ200においては、カラーモード(CLモード)で使用するラインセンサとモノクロモード(BWモード、白黒モード)で使用するラインセンサとは異なる。そのため、それぞれのモードごとに、独立に、AD変換器201の入力ダイナミックレンジを決定する必要がある。
まず、画像読取装置10の「最初の起動」時における初期調整制御を説明する。次に、二回目以降の電源投入時やスリープ復帰時の初期調整制御を説明する。
【0028】
(最初の起動時の初期調整)
ここで、本明細書における画像読取装置10の「最初の起動」とは、「ユーザーが通常の使用を行うのとは別の工程、例えば、工場出荷前の装置の調整工程における起動や、装置をユーザー環境に設置し初期調整を行う工程における起動」を意味している。
図5のS701において、CPU301は画像読取モジュール102を白板100の直下(ホームポジション)に移動させる。S702において、カラーモードで画像読取装置10を駆動するためにイメージセンサ200の各種設定(CLモード設定)を行う。S703において、イメージセンサ200の電源をオンする。
【0029】
以下、S704〜S711を参照して、カラーモードにおける初期調整(CLモード制御)を説明する。S704で、黒基準(以下、黒レベルという。)の調整(オフセット調整)を行う。光源103をオフし、イメージセンサ200をオンした状態で、画像データをサンプリングする。サンプリングされたデータは、ラインメモリ202に保存される。このとき、アナログ増幅器1401のゲイン設定値は1倍である。また、仮の黒レベル値は、AFE250内のレジスタ(不図示)に設定されている。AD変換器201は、イメージセンサ200からのアナログ信号を黒レベル設定値に基づいてデジタル信号に変換し、画像データとしてラインメモリ202に保存する。ラインメモリ202に保存されたデータの最小値がオフセットターゲット(黒レベルの目標値)に近づくように、CPU301は、AFE250内のレジスタ(不図示)に設定されている黒レベル設定値を書き換える。図3(b)のDA変換器1402は、黒レベル設定値に基づいて、デジタル信号をアナログ信号に変換する。以上の処理を繰り返し行い、設定された黒レベル設定値とサンプリングされたデータの差がある所定範囲内に収まったとき、黒レベルの調整は終了となる。図6は、イメージセンサ200を主走査方向に前半と後半に分割してそれぞれを調整することを示している。しかし、これはAD変換器201の入力チャンネルの仕様によるものである。したがって、仕様によっては、前半と後半を一括して調整してもよい。S705において、光源103を点灯する。S706において、光源103をオンした状態、且つ、イメージセンサ200をオンした状態で、画像データをサンプリングする。サンプリングされたデータは、ラインメモリ202に保存される。このとき、AD変換器201の前段のアナログ増幅器1401のゲイン設定値は1倍である。保存されたデータの最大値がゲインターゲット(シェーディング補正前の白レベルの目標値)に近づくように、CPU301からのフィードバックによって照明駆動回路300を制御し、光源103の電流設定値を決定する。ここで、光源103は、LEDである。図6は、最小の電流値から開始して徐々に電流値を大きくしていく制御を示している。しかし、光源103の電流値を最大にしても光量が光学上飽和しないように設計されている場合は、光源103の最大電流値から始めて徐々に電流値を落としていく制御としても良い。一方、光量調整機能を持たない光源(希ガス蛍光体ランプなど)においては、S706及び次のS707の工程は省略される。S707で、CPU301は、S706で設定された光量設定値をCPU301内のメモリに保持する。
【0030】
S708は、S706において、光源103の光量を最大にしても(電流値を最大値にしても)ゲインターゲットに届かないような場合や光量調整が不可の光源(Xeランプなど)の場合のための工程である。白板100を光源103により照明し、反射光を受光したR,G,及びBラインセンサ210の出力をアナログ増幅器1401により増幅する。増幅された信号が、AD変換器201の最大入力範囲いっぱいまで入力されるように、CPU301は、AD変換器201の前段のアナログ増幅器1401のゲインを調整する。CPU301からのフィードバックによってアナログ増幅器1401のゲインを1倍より大きな値(>1倍)に設定し、保存されたデータの最大値がゲインターゲットに近づくように調整する。ゲインを大きくすると、アナログ増幅器1401へ入力される前の信号に含まれるノイズ成分も同時に拡大してしまう。したがって、光量調整が可能な光源(LEDなど)の場合は、できる限り光源103の電流値、すなわち光量の調整だけで、保存されたデータの最大値をゲインターゲットに近づけるのが望ましい。
【0031】
S709で、CPU301は、S708で設定されたゲイン設定値をCPU301のメモリに保持する。S710で、光源103を消灯させる。S711で、黒レベルを再び調整する。S704の黒レベル調整と比較すると、S711の黒レベル再調整は、S708で1倍より大きいゲイン設定値が設定されているかもしれないという点で異なる。ゲイン設定値が1倍より大きい場合は、S704で調整した黒レベル設定値が大きめになってしまうので、黒レベル設定値を再調整する必要がある。また、処理中にAFE250が熱の影響を受けると、黒レベル設定値が微妙に大きめになってしまうことがある。したがって、S711の黒レベル再調整は、黒レベル設定値の変化を再調整するという意味もある。以上で、カラーモードにおける初期調整(S704〜S711)が完了する。
【0032】
次に、S712において、モノクロモードで画像読取装置10を駆動するためにイメージセンサ200のセンサレジスタ設定やCLK切り替えなどの各種設定を行う。以下、S713〜722を参照して、モノクロモードにおける初期調整(BWモード制御)を説明する。S713で、S704と同様に黒レベル調整を行う。S730で、この初期調整が、「最初の起動」時の初期調整であるかどうか判断する。この初期調整は、「最初の起動」時の初期調整であるので、S714へ進み、光源103を点灯する。S715で、S706と同様に、光源103の光量設定値を決定する。S716で、CPU301は、S715で設定された光量設定値をCPU301内のメモリに保持する。なお、本実施例において、光源103はLEDであるが、光源が光量調整機能を持たない希ガス蛍光体ランプなどの場合にはS715及びS716は省略される。S717は、S708と同様に、アナログ増幅器1401のゲインを1倍より大きくする必要がある場合のゲイン設定である。必要に応じて、S717でゲイン設定値を設定する。白板100を光源103により照明し、反射光を受光したBkラインセンサ220の出力をアナログ増幅器1401により増幅する。増幅された信号が、AD変換器201の最大入力範囲いっぱいまで入力されるように、CPU301は、AD変換器201の前段のアナログ増幅器1401のゲインを調整する。S718で、CPU301は、S717で設定されたゲイン設定値をCPU301のメモリに保持する。S719で、光源103を消灯させる。S720で、S711と同様に黒レベルを再び調整する。S721で、カラーモードのS706で設定された光量設定値(電流設定値)とモノクロモードのS715で設定された光量設定値(電流設定値)との比率をCPU301により計算する。また、CPU301は、カラーモードのS708で設定されたゲイン設定値とモノクロモードのS717で設定されたゲイン設定値との比率を計算する。
【0033】
なお、ゲイン設定値の比率は、R,G,Bラインセンサのいずれか一つのゲイン設定値とBkラインセンサのゲイン設定値とから求める。Bkラインセンサと比較するカラーセンサは、R,G,Bラインセンサのいずれであってもよい。しかし、Bkラインセンサの分光感度と最も近いGラインセンサのゲイン設定値とBkラインセンサのゲイン設定値との比率を求めるのが好ましい。その理由は、主走査方向の画角による分光反射率の変化率が、R,G,及びBラインセンサで微妙に異なり、主走査位置に対する読取輝度のプロファイルに関して、Gラインセンサが最もBkラインセンサに近いからである。
【0034】
S722で、CPU301は、S721で計算した光量設定値の比率及びゲイン設定値の比率を記憶装置としてのRAM303に保存する。以上で、モノクロモードにおける初期調整(S713〜S722)が完了する。モノクロモードの初期調整の完了後に、シェーディング処理を行う。
【0035】
(二回目以降の電源投入時又はスリープ復帰時の初期調整)
実施例1によれば、二回目以降の電源投入時やスリープ復帰時にモノクロモードにおける初期調整(S714〜S722)が削減される。以下、図5を参照して、二回目以降の電源投入時又はスリープ復帰時の初期調整を説明する。
カラーモード(S702)でイメージセンサがオンされると(S703)、「最初の起動」時の初期設定と同様に、カラーモードの初期設定(S704〜S711)を行う。S706において、白板100を光源103により照明し、反射光を受光したR,G,及びBラインセンサ210の出力をAD変換器201により変換して画像データとしてラインメモリ202に保存する。保存されたデータの最大値がゲインターゲットに近づくように、CPU301からのフィードバックによって照明駆動回路300を制御して光源103の電流設定値(光量設定値)を調整する。光量設定値は、CPU301内のメモリに保持される。また、ゲイン調整が必要な場合には、S708において、白板100を光源103により照明し、反射光を受光したR,G,及びBラインセンサ210の出力をアナログ増幅器1401により増幅する。増幅された信号が、AD変換器201の最大入力範囲いっぱいまで入力されるように、CPU301は、アナログ増幅器1401のゲインを調整する。ゲイン設定値は、CPU301内のメモリに保持される。
続いて、モノクロモード(S712)で黒レベル調整(S713)を行った後、S730で、この初期調整が、「最初の起動」時の初期調整であるかどうか判断する。この初期調整は、「最初の起動」時の初期調整ではないので、S723へ進む。
S723で、CPU301は、光量設定値の比率及びゲイン設定値の比率をRAM303から読み出す。S724で、二回目以降の電源投入時やスリープ復帰時にS707でCPU301に保持されたカラーモードの光量設定値に、RAM303から読み出された光量設定値の比率を乗算する。計算結果をモノクロモードの光量設定値とする。同様に、S709でCPU301に保持されたカラーモードのゲイン設定値(本実施例においては、Gラインセンサのゲイン設定値)に、RAM303から読み出されたゲイン設定値の比率を乗算する。計算結果をモノクロモードのゲイン設定値とする。
このように、モノクロモードにおいて、計算により光量設定値及び/又はゲイン設定値を求める。したがって、二回目以降の初期調整時間を従来の初期調整時間の実質半分程度に減少させることが出来る。
【0036】
本実施例によれば、モノクロセンサのゲイン設定値及び/又は光量設定値は、カラーセンサのゲイン設定値及び/又は光量設定値に基づいて計算されるので、電源投入後の光量調整及び/又はゲイン調整にかかる時間を短縮することができる。これによって、最初の読取動作開始までにかかる時間を短縮することが可能になる。
【0037】
また、本実施例においては、カラーモードの調整は、画像読取装置の初期調整(オフセットゲイン調整)ごとに行われるため、光源の経時劣化を緩和したシーケンスとすることができる。
本実施例においては、「最初の起動」時にカラーモードとモノクロモードのゲイン設定値及び/又は光量設定値の比率を計算している。しかし、本発明によれば、かならずしも、これに限定されるものではない。所定期間毎に、比率を計算してRAM303に保存するようにしてもよい。所定期間は、例えば、前回比率を計算したときから経過した所定時間又は画像読取のための主走査の所定回数などである。例えば、イメージセンサ自体の劣化を考慮して所定期間(回数や時間)ごとに、図5のS714〜S722の工程の調整を行うことでカラーモードとモノクロモードの設定値の比率を再び調整するようにしてもよい。すなわち、実施例1は、図5のS730の工程で1回目の初期調整(最初の起動時の初期調整)であるかどうかを判断したが、本発明は、これに限らず、S730の工程において、所定期間(回数や時間)が経過したかどうかを判断するようにしてもよい。所定期間(回数や時間)が経過するたびに、工程S714〜S722の調整を行うことでカラーモードとモノクロモードの設定値の比率を再び調整する。これによって、イメージセンサ自体の劣化を考慮した初期調整を行うことができる。なお、所定期間は、前回カラーモードとモノクロモードの設定値の比率を計算したときから所定の時間が経過したときまでに設定してもよい。また、所定期間は、画像読取のための走査の所定回数であってもよい。
【0038】
[実施例2]
以下、図7を参照して、実施例2による画像読取装置を説明する。実施例2の画像読取装置は、初期調整制御のフローを除いて実施例1の画像読取装置と同様の構成を有する。実施例1と同様の構成については説明を省略する。
実施例1においては、カラーモードにおいて、アナログゲイン設定値及び/又は光量設定値を調整した。モノクロモードのアナログゲイン設定値及び/又は光量設定値は、カラーモードにおいて調整されたアナログゲイン設定値及び/又は光量設定値に基づいて、計算により求めた。実施例2においては、モノクロモードにおいて、アナログゲイン設定値及び/又は光量設定値を調整する。カラーモードのアナログゲイン設定値及び/又は光量設定値は、モノクロモードにおいて調整されたアナログゲイン設定値及び/又は光量設定値に基づいて、計算により求める。
【0039】
(最初の起動時の初期調整)
図7は、実施例2による画像読取装置の初期調整制御フローの一例を示す図である。
図7のS801において、CPU301は画像読取モジュール102を白板100の直下(ホームポジション)に移動させる。S802において、モノクロモードで画像読取装置10を駆動するためにイメージセンサ200の各種設定(BWモード設定)を行う。S803において、イメージセンサ200の電源をオンする。
【0040】
以下、S804〜S811を参照して、モノクロモードにおける初期調整(BWモード制御)を説明する。S804で、実施例1の図5のS704と同様に黒レベルの調整を行う。S805において、光源103を点灯する。S806において、光源103をオンした状態、且つ、イメージセンサ200をオンした状態で、画像データをサンプリングする。サンプリングされたデータは、ラインメモリ202に保存される。このとき、アナログ増幅器1401のゲイン設定値は1倍である。保存されたデータの最大値がゲインターゲット(シェーディング補正前の白レベルの目標値)に近づくように、CPU301からのフィードバックによって照明駆動回路300を制御し、光源103の電流設定値を決定する。S807で、CPU301は、S806で設定された光量設定値をCPU301内のメモリに保持する。S808は、S806において、光源103の光量を最大にしてもゲインターゲットに届かないような場合や光量調整が不可の光源(Xeランプなど)の場合のための工程である。白板100を光源103により照明し、反射光を受光したBkラインセンサ220の出力をアナログ増幅器1401により増幅する。増幅された信号が、AD変換器201の最大入力範囲いっぱいまで入力されるように、CPU301は、アナログ増幅器1401のゲインを調整する。CPU301からのフィードバックによってアナログ増幅器1401のゲインを1倍より大きな値(>1倍)に設定し、保存されたデータの最大値がゲインターゲットに近づくように調整する。S809で、CPU301は、S808で設定されたゲイン設定値をCPU301のメモリに保持する。S810で、光源103を消灯させる。S811で、黒レベルを再び調整する。以上で、モノクロモードにおける初期調整(S804〜S811)が完了する。
【0041】
次に、S812において、カラーモードで画像読取装置10を駆動するためにイメージセンサ200のセンサレジスタ設定やCLK切り替えなどの各種設定を行う。以下、S813〜822を参照して、カラーモードにおける初期調整(CLモード制御)を説明する。S813で、S804と同様に黒レベル調整を行う。S830で、この初期調整が、「最初の起動」時の初期調整であるかどうか判断する。この初期調整は、「最初の起動」時の初期調整であるので、S814へ進み、光源103を点灯する。S815で、S806と同様に、光源103の光量設定値を決定する。S816で、CPU301は、S815で設定された光量設定値をCPU301内のメモリに保持する。なお、本実施例において、光源103はLEDであるが、光源が光量調整機能を持たない希ガス蛍光体ランプなどの場合にはS815及びS816は省略される。S817は、S808と同様に、アナログ増幅器1401のゲインを1倍より大きくする必要がある場合のゲイン設定である。白板100を光源103により照明し、反射光を受光したR,G,Bラインセンサ210の出力をアナログ増幅器1401により増幅する。増幅された信号が、AD変換器201の最大入力範囲いっぱいまで入力されるように、CPU301は、AD変換器201の前段のアナログ増幅器1401のゲインを調整する。R,G,及びBのそれぞれのアナログ増幅器1401について、Rゲイン設定値、Gゲイン設定値、及びBゲイン設定値を、白板100を光源103により照明しながら調整する。S818で、CPU301は、S817で設定されたR,G,及びBゲイン設定値をCPU301のメモリに保持する。S819で、光源103を消灯させる。S820で、S811と同様に黒レベルを再び調整する。S821で、S807で保持されたモノクロモードの光量設定値(電流設定値)とS816で保持されたカラーモードの光量設定値(電流設定値)との比率をCPU301により計算する。また、CPU301は、S809で保持されたモノクロモードのゲイン設定値とS818で保持されたカラーモードのR,G,及びBゲイン設定値との比率を計算する。すなわち、Rゲイン設定値/Bkゲイン設定値、Gゲイン設定値/Bkゲイン設定値、及びBゲイン設定値/Bkゲイン設定値を計算する。
【0042】
S822で、CPU301は、S821で計算した光量設定値の比率及びゲイン設定値の比率を記憶装置としてのRAM303に保存する。以上で、カラーモードにおける初期調整(S813〜S822)が完了する。カラーモードの初期調整の完了後に、シェーディング処理を行う。
【0043】
(二回目以降の電源投入時又はスリープ復帰時の初期調整)
実施例2によれば、二回目以降の電源投入時やスリープ復帰時にカラーモードにおける初期調整(S814〜S822)が削減される。以下、図7を参照して、二回目以降の電源投入時又はスリープ復帰時の初期調整を説明する。
モノクロモード(S802)でイメージセンサがオンされると(S803)、「最初の起動」時の初期設定と同様に、モノクロモードの初期設定(S804〜S811)を行う。S806において、白板100を光源103により照明し、反射光を受光したBkラインセンサ220の出力をAD変換器201により変換して画像データとしてラインメモリ202に保存する。保存されたデータの最大値がゲインターゲットに近づくように、CPU301からのフィードバックによって照明駆動回路300を制御して光源103の電流設定値(光量設定値)を調整する。光量設定値は、CPU301内のメモリに保持される。また、ゲイン調整が必要な場合には、S808において、白板100を光源103により照明し、反射光を受光したBkラインセンサ220の出力をアナログ増幅器1401により増幅する。増幅された信号が、AD変換器201の最大入力範囲いっぱいまで入力されるように、CPU301は、アナログ増幅器1401のゲインを調整する。ゲイン設定値は、CPU301内のメモリに保持される。
【0044】
続いて、カラーモード(S812)で黒レベル調整(S813)を行った後、S830で、この初期調整が、「最初の起動」時の初期調整であるかどうか判断する。この初期調整は、「最初の起動」時の初期調整ではないので、S823へ進む。
S823で、CPU301は、光量設定値の比率及びゲイン設定値の比率をRAM303から読み出す。ゲイン設定値の比率は、Rゲイン設定値/Bkゲイン設定値、Gゲイン設定値/Bkゲイン設定値、及びBゲイン設定値/Bkゲイン設定値である。S824で、二回目以降の電源投入時やスリープ復帰時にS807でCPU301に保持されたモノクロモードの光量設定値に、RAM303から読み出された光量設定値の比率を乗算する。計算結果をカラーモードの光量設定値とする。同様に、S809でCPU301に保持されたモノクロモードのBkゲイン設定値に、RAM303から読み出されたゲイン設定値の比率を乗算する。すなわち、Bkゲイン設定値に、Rゲイン設定値/Bkゲイン設定値、Gゲイン設定値/Bkゲイン設定値、及びBゲイン設定値/Bkゲイン設定値をそれぞれ乗算する。計算結果をカラーモードのRゲイン設定値、Gゲイン設定値、及びBゲイン設定値とする。
このように、カラーモードにおいて、計算により光量設定値及び/又はゲイン設定値を求める。したがって、二回目以降の初期調整時間を従来の初期調整時間の実質半分程度に減少させることが出来る。
【0045】
本実施例によれば、カラーセンサのゲイン設定値及び/又は光量設定値は、モノクロセンサのゲイン設定値及び/又は光量設定値に基づいて計算されるので、電源投入後の光量調整及び/又はゲイン調整にかかる時間を短縮することができる。これによって、最初の読取動作開始までにかかる時間を短縮することが可能になる。
【0046】
[実施例3]
以下、図8〜図12を参照して、実施例3による画像読取装置を説明する。実施例3の画像読取装置は、イメージセンサを除いて図1に示した実施例1の画像読取装置10と同様の構成を有する。実施例1と同様の構成については説明を省略する。
【0047】
(イメージセンサ)
図8は、実施例3によるイメージセンサ1200の概略図である。イメージセンサ1200は、カラーセンサ1210を構成するRラインセンサ、Gラインセンサ、及びBラインセンサと、モノクロセンサ1220を構成するBkラインセンサとからなる。図1(a)から明らかなように、通常、機械的な公差を考慮して、あらかじめ原稿領域101よりも少しだけ広い範囲を読み込むことが出来るように画像読取モジュール102の寸法は設計されている。原稿領域101は、原稿の画像を読み取り可能な領域である。画像読取モジュール102内に組み込まれたイメージセンサ1200は、原稿領域101の主走査方向長さ297mmよりも広い範囲を読み込むことができる。R,G,B,及びBkラインセンサの有効画素数は、原稿領域101の長さ分の画素数よりも大きく設定されている。図8に示したイメージセンサ1200において、Gラインセンサの有効画素のうち設計上原稿領域外に対応する部分の画素群1202は、Bkラインセンサと同様にカラーフィルタを塗布していない。このようなGラインセンサは、両端部の画素群1202をマスキングして、画素群1204にカラーフィルタを塗布することにより製造することができる。なお、Bkラインセンサに薄緑色のカラーフィルタが塗布されている場合には、Bkラインセンサと同様に、両端部の画素群1202に薄緑色のカラーフィルタを塗布してもよい。実施例3においては、Gラインセンサの両端部にBkラインセンサと同様の感度を有する画素群1202を設けているが、本発明は、Gラインセンサに限定されるものではない。R,G,Bラインセンサのいずれか一つのラインセンサの有効画素のうち設計上原稿領域外に対応する部分の画素群を、Bkラインセンサと同じ感度にすればよい。
【0048】
しかし、Bkラインセンサの分光感度は、R,G,BのうちGに最も類似しているため、Gラインセンサの端部にBkラインセンサを設ける構成が望ましい。
【0049】
(白板の読取データのプロファイル)
図9は、図8に示したイメージセンサ1200によりサンプリングした白板100のデータのプロファイルを示す図である。縦軸は、読取輝度を示す。横軸は、主走査位置を示す。図4を参照して説明したように、カラーモードとモノクロモードとでゲイン設定値及び光量設定値が同じであるならば、主走査方向の配光パターンは同じで絶対値(読取輝度の大きさ)のみが変化する。図9に示すように、Bkラインセンサで白板100を読み込んだ場合、配光パターンは、図9の左から順に実線、点線、実線を結んだプロファイルである。全表面にGフィルタが塗布されたGラインセンサで白板100を読み込んだ場合、配光パターンは、図9の左から点線、実線、点線を結んだプロファイルである。実施例3に従って原稿領域外にBkラインセンサと同じ感度の画素群1202を有するGラインセンサで白板100を読み込んだ場合、配光パターンは、図9の左から実線、実線、実線を結んだプロファイルである。
【0050】
図1で示したように白板100は、原稿領域101の主走査方向の長さよりも大きい。したがって、図9に示すように原稿領域101の外側の画素群1202であっても、原稿光量調整又はゲイン調整において白板100を読み取るときに、配光を崩さないプロファイルが得られる。
【0051】
(Bkセンサ部とGセンサ部との読取データの比率の計算)
図10は、カラーモードの光量設定値及び/又はゲイン設定値に基づいてモノクロモードの光量設定値及び/又はゲイン設定値を算出することを説明する説明図である。原稿光量調整又はゲイン調整において、実施例3のイメージセンサ1200のGラインセンサによりサンプリングした白板100のデータは、図9の左から実線、実線、実線を結んだプロファイルを有する。そのデータは、図10に示すような配列でラインメモリ202に保持される。以下、Gラインセンサの有効画素のうち設計上原稿領域外に対応する部分であって、Bkラインセンサと同じ感度の画素群1202をBkセンサ部(モノクロセンサ部)という。また、GラインセンサのGフィルタを塗布した画素群1204をGセンサ部(カラーセンサ部)という。
【0052】
カラーモードの光量設定値及び/又はゲイン設定値は、GラインセンサのGフィルタを塗布したGセンサ部のデータに基づいて決定される。
なお、図9は、説明のために読取輝度を誇張して描いており、また、Bkセンサ部が実際よりも大きめに描かれている。このため、Bkセンサ部の最大輝度値がGセンサ部の最大輝度値より大きいように見える。しかし、実際には、Bkセンサ部が配置されるGラインセンサの端部は光量が低いこと、及びBkセンサ部は小さいことから、Bkセンサ部の最大輝度値がGセンサ部の最大輝度値より大きくなることはない。例えば、有効画素数が7500である場合に、Bkセンサ部は10画素程度である。したがって、Gラインセンサのデータの最大値がゲインターゲットに近づくように光量設定値及びゲイン設定値を調整する場合であっても、Bkセンサ部のデータがGラインセンサの光量及びゲイン設定値の調整に影響を及ぼすことはない。ただし、照明系の光量が主走査方向に均一である場合、又は、Gセンサ部のGフィルタの膜厚が大きくBkセンサ部との感度に著しく差がある場合には、Bkセンサ部のデータがGラインセンサの光量及びゲイン設定値の調整に影響を及ぼすこともある。
【0053】
CPU301は、Bkセンサ部のデータである領域Xの平均値及びGセンサ部のデータである領域Yの平均値をそれぞれ算出する。そして、CPU301は、領域Yの平均値に対する領域Xの平均値の比率を計算する。Bkセンサ部とGセンサ部の読み取りデータの比率を記憶装置としてのRAM303に保存する。ここで、複数画素のデータの平均値を求める理由は、センサ製作上境目Bが緩やかになってしまう場合を考慮している。Bkセンサ部を有するGラインセンサは、Bkセンサ部とGセンサ部との境目Bが明確であることが好ましい。しかし、Bkセンサ部とGセンサ部との境目Bが明確にならず、Gセンサ部からBkセンサ部へ徐々にGフィルタが薄くなる遷移部分が生じてしまうことがある。この場合、遷移部分のBkセンサ部の一画素のデータと遷移部分のGセンサ部の一画素のデータとを比較しても差が現れないことがある。そこで、Bkセンサ部の複数画素のデータの平均値とGセンサ部の複数画素のデータの平均値とから比率を求めることにした。しかし、Bkセンサ部の平均値を求めるための画素数を多くしすぎると、光源103からの光が十分に届かない画素のデータも含んでしまうため、平均値が極端に低下する。その結果、比率の計算結果に誤差を生じる。したがって、できる限り境目Bに近い複数画素の平均値を計算することが望ましい。
【0054】
ここで、境目Bが有効画素のどの画素に相当するのか予め正確に特定できる場合には、境目Bの左側の予め定めた複数画素の平均値と境目Bの右側の予め定めた複数画素の平均値を計算することとすればよい。そうでない場合には、CPU301で1画素ずつ差分を取り、差分が極端に大きくなる画素(境目)を検知し、検知された画素から左右に複数画素の平均値を計算するようにしても良い。この場合には、CPU301の負荷が重くなるので、負荷軽減のために、比率算出は、所定期間ごとに行い毎回は行わないようにしてもよい。
【0055】
(モノクロモードの光量設定値及び/又はゲイン設定値の計算)
モノクロモードの光量設定値及び/又はゲイン設定値は、カラーモードで設定された光量設定値及び/又はゲイン設定値に、この比率(Bkセンサ部とGセンサ部の読み取りデータの比率)を乗算することにより求める。ここで、Gラインセンサの端部に設けられたBkセンサ部1202のデータは、あくまでも、カラーモードの駆動周波数により得られたものである。このため、カラーモードとモノクロモードとで駆動周波数が異なる画像読取装置においては、駆動周波数の比率を設定値にさらに乗算するとよい。駆動周波数の比率は設計段階で決まっているため、予めRAM303に記憶しておく。以上からモノクロモード設定値は下記式(1)に従って設定される。
【数1】
【0056】
(初期調整)
図11は、実施例3による画像読取装置の初期調整制御のフローの一例を示す図である。図8に示したイメージセンサ1200を使用することで、CPU301は、図11に示すシーケンスを実行することができる。図5に示した実施例1のフローとの違いは、「最初の起動」時の初期調整においても、モノクロモードの光量調整及び/又はゲイン調整のためのデータサンプリングを行う必要がなくなる点である。
【0057】
図11を参照して、S1101〜S1109の工程は、図5のS701〜S709の工程と同様であるので重複する説明を省略する。S1104〜S1113は、カラーモードにおける初期調整の制御(CLモード制御)である。ここで、S1106で光源光量調整中にサンプリングされたデータ、及び、S1108でゲイン調整中にサンプリングされたデータは、ラインメモリ202に保存される。S1106で設定した光量設定値及び/又はS1108で設定したゲイン設定値は、CPU301内のメモリに保持されている(S1107及びS1109)。
【0058】
S1110において、ラインメモリ202に保存されたデータを用いて、Bkセンサ部1202で読み取ったデータとGセンサ部1204で読み取ったデータの比率をCPU301によって算出する。S1111において、S1110で算出したBkセンサ部とGセンサ部との比率をRAM303に保存する。なお、図11に示す実施例においては、カラーモードの初期調整を行うたびに、Bkセンサ部とGセンサ部との比率を計算し、計算結果をRAM303に保存する(S1110及びS1111)。しかし、本発明によれば、かならずしも、カラーモードの初期調整を行うたびに、比率を計算する必要はない。所定期間毎に、比率を計算してRAM303に保存するようにしてもよい。所定期間は、例えば、前回比率を計算したときから経過した所定時間又は画像読取のための主走査の所定回数などである。図12は、実施例3の変形例を示す図である。図12に示すように、S1109とS1110との間に、S1120を設けてもよい。S1120において、この初期調整が「最初の起動」時の初期調整であるかどうかを判断する。この初期調整が「最初の起動」時の初期調整であるときは、S1110へ進み比率を計算する。この初期調整が「最初の起動」時の初期調整でないときは、S1122へ進む。S1122で、所定期間(回数又は時間)が経過したかどうかを判断する。所定期間(回数又は時間)が経過したときは、S1110へ進み比率を計算する。一方、所定期間(回数又は時間)が経過していないときは、S1112へ進み光源を消灯する。このように、所定期間(回数又は時間)の経過ごとに比率を計算することにより、CPU301の負荷を軽減することができる。
【0059】
図11を参照して、S1112〜S1115の工程は、図5のS710〜S713の工程と同様であるので説明を省略する。S1114〜S1117は、モノクロモードにおける初期調整の制御(BWモード制御)である。S1116において、S1111でRAM303に保存された「Bkセンサ部とGセンサ部との読み取りデータの比率」、及び設計段階でRAM303に保存しておいた「カラーモードとモノクロモードとの駆動周波数の比率」を読み出す。S1117において、S1116で読み出した比率をS1107及び/又はS1109において保持しておいたカラーモードの光量設定値及び/又はゲイン設定値に乗算することによってモノクロモードの光量設定値及び/又はゲイン設定値を導出し、設定する。
【0060】
なお、図11に示す実施例においては、モノクロモードでのデータのサンプリングを省略することができる。しかし、センサ自体の経時劣化による比率の誤差を緩和するため、モノクロモードでも光量調整及び/又はゲイン調整のためのデータサンプリングを行うシーケンスを取り入れた構成にしても良い。
【0061】
図13は、画像読取装置の最初の読み取り動作(ファーストスキャン)開始までにかかる時間をタイムテーブルで示した図である。従来の画像読取装置では、待機・休止モードからの復帰後、最初の読取動作開始までに、カラーモードの所期調整を実行するための時間及びモノクロモードの初期調整を実行するための時間が必要である。これに対して、本実施例によれば、モノクロモードにおける設定値をカラーモードの設定値に基づいて計算することにより、モノクロモードの初期調整を省略することができる。これによって、画像読取装置の初期調整のシーケンスを実質半分程度に短縮させることができる。つまり、待機・休止モードからの復帰後、ファーストスキャン開始までにかかる時間を短縮させることができる。
【0062】
通常、ファーストスキャン開始までにかかる時間は、機種や仕様にもよるが3〜4秒である。そのうち、イメージセンサに関わる初期調整時間は、1秒未満である。しかし、その他の制御、調整もスキャン前に施す必要があることを考えれば、例えば、3〜4秒の時間のうちイメージセンサ調整時間の1秒を500ミリ秒まで減少できることは、とても効果のあることである。
【0063】
本発明によれば、モノクロセンサのアナログゲイン設定値及び/又は光量設定値は、カラーセンサのアナログゲイン設定値及び/又は光量設定値に基づいて設定される。これによって、電源投入後の光量調整及び/又はアナログゲイン調整にかかる時間を短縮することができる。また、最初の読み取り動作(ファーストスキャン)開始までにかかる時間を短縮することが可能になる。
【符号の説明】
【0064】
10…画像読取装置、100…シェーディング白板(白基準部材)、103…原稿照明用光源、201…AD変換器、210,410,1210…カラーセンサ、220,420,1220…モノクロセンサ、301…CPU(制御回路)、1401…アナログ増幅器
【技術分野】
【0001】
本発明は、初期調整にかかる時間を低減することができる画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カラー原稿をカラーで読み取ることが可能な読取装置(以下、カラー読取装置という)は、一般に、R(赤),G(緑),B(青)の3色のカラーフィルタをそれぞれ備えた3ラインセンサを用いていた。
【0003】
一方、カラー原稿及び白黒原稿ともに白黒で読み取ることを前提とした読取装置(以下、白黒読取装置と呼ぶ。)は、一般に、カラーフィルタを一切介さない、もしくは、所望の分光感度を持ったカラーフィルタをもったラインセンサを用いていた。この場合、人間の目の比視感度特性からグリーン系のカラーフィルタを用いられることが多かった。
【0004】
近年、プリンター、複写機の印刷出力のカラー化が進んでいる。また、原稿のスキャニング(電子化)の分野においても、原稿をカラーで読み取ることができるカラー読取装置の普及が進んでいる。この場合、カラー読取を可能にするためには、上述のように3ラインセンサを通常採用している。
【0005】
しかしながら、従来、一般に、白黒読取装置の読取速度は、カラー読取装置よりも高いことが多かったため、カラー読取装置ではあるけれども、カラー読取よりも高速で読み取る白黒読取モードの併設を望む声が多かった。
【0006】
例えば、以下の場合には、1色1ラインのラインセンサを用いた白黒読取モードで読み取ることが望まれている。
(1) 原稿があらかじめ白黒原稿とわかっており、読取信号としてRGBの3色出力ではなく、白黒出力を所望する場合。
(2) 読み取った画像を高速な白黒プリンターで、もしくはカラープリンターであっても白黒単色で高速且つ安価に出力したいというような場合。
(3) 原稿のスキャンデータ(電子データ)の量を低減したいような場合。
【0007】
そのような背景から、カラー用の3ラインセンサ(以下、カラーセンサという。)とモノクロ用のラインセンサ(以下、モノクロセンサという。)とを備えた4ラインイメージセンサが開発されている。ここで、モノクロセンサの透過率をカラーセンサの透過率よりも高くしておくことにより、センサの光電子蓄積時間は短くてすむ。つまり、モノクロセンサはカラーセンサよりも高速で原稿を読み取ることが可能となる。
【0008】
例えば、特許文献1は、4ラインイメージセンサを受光素子として用いる画像読取装置を開示している。カラー読取モードと白黒読取モードが同時に選択されることは実用上ありえない。そこで、AD変換器や画像処理部の削減を目的として、白黒読取モード(以下、モノクロモードという。)の画像データが流れる一連のパスをカラー読取モード(以下、カラーモードという。)のそれと共通にすることにより、センサ自体を小型化できる。
【0009】
従来、画像読取装置においては、電源投入直後に各イメージセンサの出力をAD(アナログ−デジタル)変換器で調整して、その出力が所定の入力範囲内になるようにしていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2002−111968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
画像読取装置においては、電源投入後に光源光量およびアナログゲインの調整(以下、初期調整という。)を行う必要がある。カラーモードとモノクロモードの画像データパスが共通である4ラインイメージセンサを用いる場合、カラーセンサとモノクロセンサの感度が異なるため、カラーモードとモノクロモードのそれぞれについて上記初期調整を行う必要がある。このため、初期調整にかかる時間が単純に2倍になるという問題があった。一方、カラーモードとモノクロモードとで各々別個の画像データパスを備えた4ラインイメージセンサは、一度の調整で両モードの調整を完了できるが、実用性と回路規模などの面からあまり現実的ではない。
【0012】
さらに、近年は、機器の省エネルギーの観点で、複写機が一定時間操作されない場合に備え、待機モード(スタンバイ)や休止モード(スリープ)といった節電モードが実装される方向に進みつつある。節電モードを備えた装置においては、節電モードから通常の動作モードへ復帰するたびに、アナログゲインの調整および光源光量の調整(初期調整)が必要となる。節電モードからの復帰のたびに、カラーモードとモノクロモードのために2回の初期調整を行うのは、読み取りスタートまでの時間を考えると大きな問題となる。
【0013】
そこで、本発明は、最初の読み取り動作開始までにかかる時間を低減することができる画像読取装置を提供する。
また、本発明は、初期調整にかかる時間を低減することができる画像読取装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の画像読取装置は、調整により求めたカラーセンサのためのゲイン設定値に基づいて、モノクロセンサのためのゲイン設定値を計算により求める構成とした。
上記目的を達成するために、原稿を照明する光源と、前記光源により照明された原稿からの反射光を受光してアナログ信号を出力するカラーセンサ及びモノクロセンサと、前記カラーセンサ及び前記モノクロセンサからの前記アナログ信号を増幅するアナログ増幅器と、前記アナログ増幅器により増幅された前記アナログ信号をデジタル信号へ変換するAD変換器と、白基準部材と、前記光源により照明された前記白基準部材からの反射光を受光した前記カラーセンサからの前記アナログ信号を増幅する前記アナログ増幅器のゲインを調整して、調整されたゲインを前記カラーセンサのためのゲイン設定値として保持する制御回路とを備えた画像読取装置において、前記制御回路は、前記カラーセンサのための前記ゲイン設定値に基づいて、前記モノクロセンサのためのゲイン設定値を計算により求める構成とした。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、画像読取装置の最初の読み取り動作開始までにかかる時間を低減することができる。
また、本発明によれば、画像読取装置の初期調整にかかる時間を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】(a)は、本発明による実施例1の画像読取装置の平面図。(b)は、画像読取装置の左側面断面図。
【図2】(a)は、イメージセンサの4ラインセンサの構造の概略図。(b)は、別のイメージセンサの概略図。
【図3】(a)は、本発明による画像読取装置の制御システムのブロック図。(b)は、AFEの概略図。
【図4】カラーモードとモノクロモードとで光源の光量及びアナログ増幅器のゲインが同じである場合における主走査方向の位置に対する読取輝度を示す図。
【図5】実施例1による画像読取装置の初期調整制御フローの一例を示す図。
【図6】光量・ゲイン・オフセット調整の説明図。
【図7】実施例2による画像読取装置の初期調整制御フローの一例を示す図。
【図8】実施例3のイメージセンサの概略図。
【図9】実施例3のイメージセンサによりサンプリングした白板のデータのプロファイルを示す図。
【図10】実施例3のカラーモードの光量設定値及び/又はゲイン設定値に基づいてモノクロモードの光量設定値及び/又はゲイン設定値を算出することを説明する説明図。
【図11】実施例3による画像読取装置の初期調整制御のフローの一例を示す図。
【図12】実施例3の変形例を示す図。
【図13】画像読取装置の最初の読み取り動作(ファーストスキャン)開始までにかかる時間をタイムテーブルで示した図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[実施例1]
以下、添付図面を参照して、本発明による実施の形態を説明する。
【0018】
(画像読取装置)
図1に、本発明による実施例1の画像読取装置10の全体構成を示す。図1(a)は、画像読取装置10の平面図である。図1(b)は、画像読取装置10の左側面断面図である。
シェーディング白板(白基準部材)100は、原稿台ガラス104の下面(画像読取モジュール102の側)に貼り付けられている。白板100は、原稿が載置される原稿台ガラス104の原稿領域101よりも主走査方向に少し大きめである。原稿照明用光源103の光量の調整及びイメージセンサ200のアナログ出力のゲインの調整は、この白板100を基準に行われる。画像読取モジュール102は、原稿照明用光源(以下、光源という。)103、イメージセンサ200、及び原稿台ガラス104上の原稿で反射した光源103からの光をイメージセンサ200へ向けるミラー105とを一体に設けている。なお、画像読取装置10は、上記した画像読取モジュール102に限らず、イメージセンサ及びレンズユニットを副走査方向の所定箇所に固定し、光源とミラーを副走査方向に移動させる画像読取ユニットを使用してもよい。光量の調整及びアナログゲインの調整(以下、初期調整という。)の際に、画像読取モジュール102を白板100の直下に移動させる。光源103からの光を白板100に照射したときの反射光を画像読取モジュール102内のイメージセンサ200で読み取る。イメージセンサ200の出力信号から得た画像データを基に初期調整を行う。
【0019】
(イメージセンサ)
図2は、イメージセンサ200の4ラインセンサの構造の概略図である。図2(a)に示すイメージセンサ200は、カラーセンサ210とモノクロセンサ220とを有する。カラーセンサ210は、赤色フィルタを備えたRラインセンサ、緑色フィルタを備えたGラインセンサ、及び青色フィルタを備えたBラインセンサを有する。モノクロセンサ220は、カラーフィルタを備えていない或いは薄緑色フィルタを備えたBkラインセンサを有する。イメージセンサ200は、さらに、ラインメモリ(不図示)と、シフトレジスタ(不図示)と、出力アンプ203(203R,203G,203B)とを有する。イメージセンサ200のカラーセンサ210及びモノクロセンサ220は、光源103により照明された原稿からの反射光を受光してアナログ信号を出力する。すなわち、イメージセンサ200のR,G,B,Bkラインセンサで各々受光した光は電気信号に変換され、それらはイメージセンサ200内のラインメモリ(不図示)に保存される。シフトレジスタ(不図示)によってシリアルに出力された電気信号は出力アンプ203R,203G,203Bのそれぞれを介してイメージセンサ200外にアナログ信号として取り出される。これらのアナログ信号は、AD変換器201(201R、201G,201B)のそれぞれによってデジタル信号に変換される。これらのデジタル信号は、ラインメモリ202(202R,202G,202B)に画像データとして保存される。画像データは、画像処理部204(204R,204G,204B)においてシェーディング補正などの各種画像処理を施される。なお、ラインメモリ202の代わりに、メモリを使用してもよい。
【0020】
カラー読取モード(以下、カラーモードという。)において、カラーセンサ(R,G,Bラインセンサ)210の出力信号は、図2(a)に示すR,G,B画像信号ルートのそれぞれを通して画像処理部204へ転送される。白黒読取モード(以下、モノクロモードという。)において、モノクロセンサ(Bkラインセンサ)220の出力信号は、カラー用の画像信号ルートの一つまたは複数を通してイメージセンサ200の外に出力される。図2(a)に示す実施例の場合は、Bkラインセンサの全画素の出力信号は、Rの画像信号ルートと、Gの画像信号ルートとを通してイメージセンサ200から出力される。Bkラインセンサ220は、カラーフィルタが塗布されていないか、又は、通常のカラーフィルタよりも薄い色のフィルタが塗布されているので、所定の出力値を得るための蓄積時間をカラーセンサ210よりも短くすることができる。蓄積時間を短くすることによって(カラーモードより高い周波数で駆動することによって)高速で画像を読み取ることが可能である。図2(a)に示すように、Bkラインセンサ220の出力信号を複数の画像信号ルートを使って主走査方向の全画素を分割で出力する場合には、さらに高速で画像を読み取ることができる。図2(a)の実施例の場合は、Rの画像信号ルートを使ってBkラインセンサの前半画素の信号を、Gの画像信号ルートを使ってBkラインセンサの後半画素の信号を出力している。
【0021】
図2(a)は、イメージセンサ200内のラインメモリ(不図示)及びシフトレジスタ(不図示)を削減するために、イメージセンサ200内でカラーセンサ210の出力とモノクロセンサ220の出力を切り替えることができる構成の一例を示している。しかしながら例えば図2(b)に示すように、イメージセンサ400のR,G,B,及びBkラインセンサのそれぞれについて、ラインメモリ(不図示)、シフトレジスタ(不図示)、出力アンプ203(203R,203G,203B,203Bk)を設けてもよい。そして、イメージセンサ400外でカラーセンサ410の出力とモノクロセンサ420の出力を切り替えてもよい。カラーセンサ(R,G,Bラインセンサ)410の出力信号は、例えば、図2(b)に示すように、AD変換器201(201R,201G,201B)のそれぞれに入力される。モノクロセンサ(Bkラインセンサ)420の出力信号は、例えば、図2(b)に示すように、Bの画像信号ルートのAD変換器201Bに入力される。
【0022】
(制御ブロック)
図3(a)は、本発明による画像読取装置の制御ブロック図である。イメージセンサ200からのアナログ出力がAD変換器201の最大入力範囲を超えないように光源103の光量を調整するために、照明駆動回路300により光源103の電流を制御する。図3(a)に示した実施例において、光源103は、LEDである。図3(a)において、照明駆動回路300は、四つの構成からなるが、四つに限ったものではない。光源103は、複数の発光ユニットからなる。複数の照明駆動回路300により、複数の発光ユニットを制御することにより、光源103の主走査方向における光量のばらつきを低減することができる。
【0023】
一方、LEDの代わりに、キセノンランプ(希ガス蛍光体ランプ)(以下、Xeランプという。)を光源103として使用してもよい。その場合、照明駆動回路300は、LED光源の場合のような駆動電流制御回路ではなく、一般に、高圧インバータである。高圧インバータは、CPU(制御回路)301によりオン・オフの制御が行なわれる。Xeランプの光は、ミラーやレンズなどの光学部品を介して原稿台ガラス104上の原稿へ照射される。原稿からの反射光をイメージセンサ200で受けて、イメージセンサ200は、アナログ出力として画像信号を出力する。イメージセンサ200からのアナログ出力がAD変換器201の最大入力範囲を超えない程度に適切な光量のXeランプおよび高圧インバータが選定される。CPU(制御回路)301は、光源の点灯、消灯制御の他に、後述する画像読取装置10の初期調整に関する演算や各種レジスタへの設定を行う。CPU301は、ROM302及びRAM303に接続されている。ROM302は、初期調整に関するプログラムを格納している。RAM303は、初期調整に関するCPU301の演算結果を保存する。
【0024】
図3(a)におけるAD変換器201に関して説明を追加しておく。実際にはAD変換器201を単体で使うことはほとんどなく、図3(b)に示すように、AD変換器201の直前にアナログ増幅器1401を設けている。また、AD変換器201を通った後のデジタル値をアナログ値へ変換して、変換したアナログ値をイメージセンサ200からのアナログ値へフィードバックするためのDA変換器1402が備えられている。一般に、図3(b)に示す点線内のアナログ増幅器1401、AD変換器201、及びDA変換器1402を一体化して一つのアナログフロントエンドIC(以下、AFEという。)250にしている。CPU(制御回路)301は、アナログ増幅器1401からAD変換器201へ入力されるアナログ信号がAD変換器201の最大入力範囲を超えないようにアナログ増幅器1401のゲイン設定値を調整する。CPU301は、アナログ増幅器1401のゲイン設定値を記憶装置としてのRAM303に保存する。
【0025】
(カラーモードとモノクロモードのデータの差異)
図4は、カラーモードとモノクロモードとで光源103の光量及びアナログ増幅器1401のゲイン設定値が同じである場合における主走査方向の位置に対する読取輝度を示す図である。図4において、横軸は、ラインセンサの主走査方向位置を示している。縦軸は、読取輝度を示している。イメージセンサ200のカラーモード用のR,G,Bラインセンサの受光部にはカラーフィルタが塗布されているため、モノクロモード用のBkラインセンサと同じゲイン設定値を適用した場合、その主走査方向の配光の絶対値に差異が生じる。言い換えれば、光源103の光量が同じでも、カラーフィルタの感度落ちの分だけ、カラーモードとモノクロモードとで読み込まれるデータの絶対値には差異が生じる。
「差異」は、読取輝度の大きさ(縦軸方向)のみに発生している。配光(イメージセンサ200における主走査方向の受光光量「分布」)に関しては同じ光学系である限りは、輝度分布パターンは同じである。同じ光学系とは、例えば、図1(b)に示したような光源103とイメージセンサ200とミラー105とを一体化した画像読取モジュール102としての光学系である。あるいは、イメージセンサ200やレンズユニット(不図示)を副走査方向の所定箇所に固定し、光源103とミラーユニット(不図示)のみを副走査方向に走査可能とした光学系であってもよい。
本実施例では、上記した特性を利用して、カラーセンサとモノクロセンサの設定比率とカラーセンサの調整後の設定値とに基づいて、モノクロセンサの調整を行うことなくモノクロセンサの設定値をもとめる。
【0026】
図5は、実施例1による画像読取装置の初期調整制御フローの一例を示す図である。画像読取装置10の「最初の起動」時の初期調整において、S706で調整されたカラーモードの光量設定値(電流設定値)とS715で調整されたモノクロモードの光量設定値(電流設定値)との比率をCPU301により計算する(S721)。計算結果は、記憶装置としてのRAM303に保存される(S722)。同様に、CPU301は、S708で調整されたカラーモードのゲイン設定値とS717で調整されたモノクロモードのゲイン設定値との比率を計算する(S721)。計算結果は、RAM303に保存される(S722)。
カラーセンサからの画像信号に基づいた光量設定値およびゲイン設定値の調整は、ユーザーが画像読取装置10を使用する二回目以降の電源投入時毎に、及び/又は、スリープ復帰時毎に、毎回行う(S730)。しかし、モノクロセンサの画像信号に基づいた光量設定値およびゲイン設定値の調整は行われない。二回目以降の電源投入時及び/又はスリープ復帰時に、RAM303に保存されたカラーセンサとモノクロセンサとの光量設定値の「比率」と、カラーセンサのために調整された光量設定値とに基づいて、モノクロセンサの光量設定値を計算により求める(S724)。また、RAM303に保存されたカラーセンサとモノクロセンサとのゲイン設定値の「比率」と、カラーセンサのために調整されたゲイン設定値とに基づいて、モノクロセンサのゲイン設定値を計算により求める(S724)。
【0027】
(初期調整)
図5及び図6を参照して、実施例1による画像読取装置の初期調整制御を説明する。図6は、光量・ゲイン・オフセット調整の説明図である。一般に、画像読取装置10の電源投入時やスリープ復帰時などのタイミングで、AD変換器201の入力ダイナミックレンジ(明暗の範囲)を決定する制御を行う必要がある。アナログ増幅器1401からのアナログ信号がAD変換器201の最大入力範囲いっぱいまで入力されるように調整された場合、アナログデータからデジタルデータに変換された画像の輝度再現性は、高くなる。図2(a)及び(b)に示した4ラインイメージセンサ200においては、カラーモード(CLモード)で使用するラインセンサとモノクロモード(BWモード、白黒モード)で使用するラインセンサとは異なる。そのため、それぞれのモードごとに、独立に、AD変換器201の入力ダイナミックレンジを決定する必要がある。
まず、画像読取装置10の「最初の起動」時における初期調整制御を説明する。次に、二回目以降の電源投入時やスリープ復帰時の初期調整制御を説明する。
【0028】
(最初の起動時の初期調整)
ここで、本明細書における画像読取装置10の「最初の起動」とは、「ユーザーが通常の使用を行うのとは別の工程、例えば、工場出荷前の装置の調整工程における起動や、装置をユーザー環境に設置し初期調整を行う工程における起動」を意味している。
図5のS701において、CPU301は画像読取モジュール102を白板100の直下(ホームポジション)に移動させる。S702において、カラーモードで画像読取装置10を駆動するためにイメージセンサ200の各種設定(CLモード設定)を行う。S703において、イメージセンサ200の電源をオンする。
【0029】
以下、S704〜S711を参照して、カラーモードにおける初期調整(CLモード制御)を説明する。S704で、黒基準(以下、黒レベルという。)の調整(オフセット調整)を行う。光源103をオフし、イメージセンサ200をオンした状態で、画像データをサンプリングする。サンプリングされたデータは、ラインメモリ202に保存される。このとき、アナログ増幅器1401のゲイン設定値は1倍である。また、仮の黒レベル値は、AFE250内のレジスタ(不図示)に設定されている。AD変換器201は、イメージセンサ200からのアナログ信号を黒レベル設定値に基づいてデジタル信号に変換し、画像データとしてラインメモリ202に保存する。ラインメモリ202に保存されたデータの最小値がオフセットターゲット(黒レベルの目標値)に近づくように、CPU301は、AFE250内のレジスタ(不図示)に設定されている黒レベル設定値を書き換える。図3(b)のDA変換器1402は、黒レベル設定値に基づいて、デジタル信号をアナログ信号に変換する。以上の処理を繰り返し行い、設定された黒レベル設定値とサンプリングされたデータの差がある所定範囲内に収まったとき、黒レベルの調整は終了となる。図6は、イメージセンサ200を主走査方向に前半と後半に分割してそれぞれを調整することを示している。しかし、これはAD変換器201の入力チャンネルの仕様によるものである。したがって、仕様によっては、前半と後半を一括して調整してもよい。S705において、光源103を点灯する。S706において、光源103をオンした状態、且つ、イメージセンサ200をオンした状態で、画像データをサンプリングする。サンプリングされたデータは、ラインメモリ202に保存される。このとき、AD変換器201の前段のアナログ増幅器1401のゲイン設定値は1倍である。保存されたデータの最大値がゲインターゲット(シェーディング補正前の白レベルの目標値)に近づくように、CPU301からのフィードバックによって照明駆動回路300を制御し、光源103の電流設定値を決定する。ここで、光源103は、LEDである。図6は、最小の電流値から開始して徐々に電流値を大きくしていく制御を示している。しかし、光源103の電流値を最大にしても光量が光学上飽和しないように設計されている場合は、光源103の最大電流値から始めて徐々に電流値を落としていく制御としても良い。一方、光量調整機能を持たない光源(希ガス蛍光体ランプなど)においては、S706及び次のS707の工程は省略される。S707で、CPU301は、S706で設定された光量設定値をCPU301内のメモリに保持する。
【0030】
S708は、S706において、光源103の光量を最大にしても(電流値を最大値にしても)ゲインターゲットに届かないような場合や光量調整が不可の光源(Xeランプなど)の場合のための工程である。白板100を光源103により照明し、反射光を受光したR,G,及びBラインセンサ210の出力をアナログ増幅器1401により増幅する。増幅された信号が、AD変換器201の最大入力範囲いっぱいまで入力されるように、CPU301は、AD変換器201の前段のアナログ増幅器1401のゲインを調整する。CPU301からのフィードバックによってアナログ増幅器1401のゲインを1倍より大きな値(>1倍)に設定し、保存されたデータの最大値がゲインターゲットに近づくように調整する。ゲインを大きくすると、アナログ増幅器1401へ入力される前の信号に含まれるノイズ成分も同時に拡大してしまう。したがって、光量調整が可能な光源(LEDなど)の場合は、できる限り光源103の電流値、すなわち光量の調整だけで、保存されたデータの最大値をゲインターゲットに近づけるのが望ましい。
【0031】
S709で、CPU301は、S708で設定されたゲイン設定値をCPU301のメモリに保持する。S710で、光源103を消灯させる。S711で、黒レベルを再び調整する。S704の黒レベル調整と比較すると、S711の黒レベル再調整は、S708で1倍より大きいゲイン設定値が設定されているかもしれないという点で異なる。ゲイン設定値が1倍より大きい場合は、S704で調整した黒レベル設定値が大きめになってしまうので、黒レベル設定値を再調整する必要がある。また、処理中にAFE250が熱の影響を受けると、黒レベル設定値が微妙に大きめになってしまうことがある。したがって、S711の黒レベル再調整は、黒レベル設定値の変化を再調整するという意味もある。以上で、カラーモードにおける初期調整(S704〜S711)が完了する。
【0032】
次に、S712において、モノクロモードで画像読取装置10を駆動するためにイメージセンサ200のセンサレジスタ設定やCLK切り替えなどの各種設定を行う。以下、S713〜722を参照して、モノクロモードにおける初期調整(BWモード制御)を説明する。S713で、S704と同様に黒レベル調整を行う。S730で、この初期調整が、「最初の起動」時の初期調整であるかどうか判断する。この初期調整は、「最初の起動」時の初期調整であるので、S714へ進み、光源103を点灯する。S715で、S706と同様に、光源103の光量設定値を決定する。S716で、CPU301は、S715で設定された光量設定値をCPU301内のメモリに保持する。なお、本実施例において、光源103はLEDであるが、光源が光量調整機能を持たない希ガス蛍光体ランプなどの場合にはS715及びS716は省略される。S717は、S708と同様に、アナログ増幅器1401のゲインを1倍より大きくする必要がある場合のゲイン設定である。必要に応じて、S717でゲイン設定値を設定する。白板100を光源103により照明し、反射光を受光したBkラインセンサ220の出力をアナログ増幅器1401により増幅する。増幅された信号が、AD変換器201の最大入力範囲いっぱいまで入力されるように、CPU301は、AD変換器201の前段のアナログ増幅器1401のゲインを調整する。S718で、CPU301は、S717で設定されたゲイン設定値をCPU301のメモリに保持する。S719で、光源103を消灯させる。S720で、S711と同様に黒レベルを再び調整する。S721で、カラーモードのS706で設定された光量設定値(電流設定値)とモノクロモードのS715で設定された光量設定値(電流設定値)との比率をCPU301により計算する。また、CPU301は、カラーモードのS708で設定されたゲイン設定値とモノクロモードのS717で設定されたゲイン設定値との比率を計算する。
【0033】
なお、ゲイン設定値の比率は、R,G,Bラインセンサのいずれか一つのゲイン設定値とBkラインセンサのゲイン設定値とから求める。Bkラインセンサと比較するカラーセンサは、R,G,Bラインセンサのいずれであってもよい。しかし、Bkラインセンサの分光感度と最も近いGラインセンサのゲイン設定値とBkラインセンサのゲイン設定値との比率を求めるのが好ましい。その理由は、主走査方向の画角による分光反射率の変化率が、R,G,及びBラインセンサで微妙に異なり、主走査位置に対する読取輝度のプロファイルに関して、Gラインセンサが最もBkラインセンサに近いからである。
【0034】
S722で、CPU301は、S721で計算した光量設定値の比率及びゲイン設定値の比率を記憶装置としてのRAM303に保存する。以上で、モノクロモードにおける初期調整(S713〜S722)が完了する。モノクロモードの初期調整の完了後に、シェーディング処理を行う。
【0035】
(二回目以降の電源投入時又はスリープ復帰時の初期調整)
実施例1によれば、二回目以降の電源投入時やスリープ復帰時にモノクロモードにおける初期調整(S714〜S722)が削減される。以下、図5を参照して、二回目以降の電源投入時又はスリープ復帰時の初期調整を説明する。
カラーモード(S702)でイメージセンサがオンされると(S703)、「最初の起動」時の初期設定と同様に、カラーモードの初期設定(S704〜S711)を行う。S706において、白板100を光源103により照明し、反射光を受光したR,G,及びBラインセンサ210の出力をAD変換器201により変換して画像データとしてラインメモリ202に保存する。保存されたデータの最大値がゲインターゲットに近づくように、CPU301からのフィードバックによって照明駆動回路300を制御して光源103の電流設定値(光量設定値)を調整する。光量設定値は、CPU301内のメモリに保持される。また、ゲイン調整が必要な場合には、S708において、白板100を光源103により照明し、反射光を受光したR,G,及びBラインセンサ210の出力をアナログ増幅器1401により増幅する。増幅された信号が、AD変換器201の最大入力範囲いっぱいまで入力されるように、CPU301は、アナログ増幅器1401のゲインを調整する。ゲイン設定値は、CPU301内のメモリに保持される。
続いて、モノクロモード(S712)で黒レベル調整(S713)を行った後、S730で、この初期調整が、「最初の起動」時の初期調整であるかどうか判断する。この初期調整は、「最初の起動」時の初期調整ではないので、S723へ進む。
S723で、CPU301は、光量設定値の比率及びゲイン設定値の比率をRAM303から読み出す。S724で、二回目以降の電源投入時やスリープ復帰時にS707でCPU301に保持されたカラーモードの光量設定値に、RAM303から読み出された光量設定値の比率を乗算する。計算結果をモノクロモードの光量設定値とする。同様に、S709でCPU301に保持されたカラーモードのゲイン設定値(本実施例においては、Gラインセンサのゲイン設定値)に、RAM303から読み出されたゲイン設定値の比率を乗算する。計算結果をモノクロモードのゲイン設定値とする。
このように、モノクロモードにおいて、計算により光量設定値及び/又はゲイン設定値を求める。したがって、二回目以降の初期調整時間を従来の初期調整時間の実質半分程度に減少させることが出来る。
【0036】
本実施例によれば、モノクロセンサのゲイン設定値及び/又は光量設定値は、カラーセンサのゲイン設定値及び/又は光量設定値に基づいて計算されるので、電源投入後の光量調整及び/又はゲイン調整にかかる時間を短縮することができる。これによって、最初の読取動作開始までにかかる時間を短縮することが可能になる。
【0037】
また、本実施例においては、カラーモードの調整は、画像読取装置の初期調整(オフセットゲイン調整)ごとに行われるため、光源の経時劣化を緩和したシーケンスとすることができる。
本実施例においては、「最初の起動」時にカラーモードとモノクロモードのゲイン設定値及び/又は光量設定値の比率を計算している。しかし、本発明によれば、かならずしも、これに限定されるものではない。所定期間毎に、比率を計算してRAM303に保存するようにしてもよい。所定期間は、例えば、前回比率を計算したときから経過した所定時間又は画像読取のための主走査の所定回数などである。例えば、イメージセンサ自体の劣化を考慮して所定期間(回数や時間)ごとに、図5のS714〜S722の工程の調整を行うことでカラーモードとモノクロモードの設定値の比率を再び調整するようにしてもよい。すなわち、実施例1は、図5のS730の工程で1回目の初期調整(最初の起動時の初期調整)であるかどうかを判断したが、本発明は、これに限らず、S730の工程において、所定期間(回数や時間)が経過したかどうかを判断するようにしてもよい。所定期間(回数や時間)が経過するたびに、工程S714〜S722の調整を行うことでカラーモードとモノクロモードの設定値の比率を再び調整する。これによって、イメージセンサ自体の劣化を考慮した初期調整を行うことができる。なお、所定期間は、前回カラーモードとモノクロモードの設定値の比率を計算したときから所定の時間が経過したときまでに設定してもよい。また、所定期間は、画像読取のための走査の所定回数であってもよい。
【0038】
[実施例2]
以下、図7を参照して、実施例2による画像読取装置を説明する。実施例2の画像読取装置は、初期調整制御のフローを除いて実施例1の画像読取装置と同様の構成を有する。実施例1と同様の構成については説明を省略する。
実施例1においては、カラーモードにおいて、アナログゲイン設定値及び/又は光量設定値を調整した。モノクロモードのアナログゲイン設定値及び/又は光量設定値は、カラーモードにおいて調整されたアナログゲイン設定値及び/又は光量設定値に基づいて、計算により求めた。実施例2においては、モノクロモードにおいて、アナログゲイン設定値及び/又は光量設定値を調整する。カラーモードのアナログゲイン設定値及び/又は光量設定値は、モノクロモードにおいて調整されたアナログゲイン設定値及び/又は光量設定値に基づいて、計算により求める。
【0039】
(最初の起動時の初期調整)
図7は、実施例2による画像読取装置の初期調整制御フローの一例を示す図である。
図7のS801において、CPU301は画像読取モジュール102を白板100の直下(ホームポジション)に移動させる。S802において、モノクロモードで画像読取装置10を駆動するためにイメージセンサ200の各種設定(BWモード設定)を行う。S803において、イメージセンサ200の電源をオンする。
【0040】
以下、S804〜S811を参照して、モノクロモードにおける初期調整(BWモード制御)を説明する。S804で、実施例1の図5のS704と同様に黒レベルの調整を行う。S805において、光源103を点灯する。S806において、光源103をオンした状態、且つ、イメージセンサ200をオンした状態で、画像データをサンプリングする。サンプリングされたデータは、ラインメモリ202に保存される。このとき、アナログ増幅器1401のゲイン設定値は1倍である。保存されたデータの最大値がゲインターゲット(シェーディング補正前の白レベルの目標値)に近づくように、CPU301からのフィードバックによって照明駆動回路300を制御し、光源103の電流設定値を決定する。S807で、CPU301は、S806で設定された光量設定値をCPU301内のメモリに保持する。S808は、S806において、光源103の光量を最大にしてもゲインターゲットに届かないような場合や光量調整が不可の光源(Xeランプなど)の場合のための工程である。白板100を光源103により照明し、反射光を受光したBkラインセンサ220の出力をアナログ増幅器1401により増幅する。増幅された信号が、AD変換器201の最大入力範囲いっぱいまで入力されるように、CPU301は、アナログ増幅器1401のゲインを調整する。CPU301からのフィードバックによってアナログ増幅器1401のゲインを1倍より大きな値(>1倍)に設定し、保存されたデータの最大値がゲインターゲットに近づくように調整する。S809で、CPU301は、S808で設定されたゲイン設定値をCPU301のメモリに保持する。S810で、光源103を消灯させる。S811で、黒レベルを再び調整する。以上で、モノクロモードにおける初期調整(S804〜S811)が完了する。
【0041】
次に、S812において、カラーモードで画像読取装置10を駆動するためにイメージセンサ200のセンサレジスタ設定やCLK切り替えなどの各種設定を行う。以下、S813〜822を参照して、カラーモードにおける初期調整(CLモード制御)を説明する。S813で、S804と同様に黒レベル調整を行う。S830で、この初期調整が、「最初の起動」時の初期調整であるかどうか判断する。この初期調整は、「最初の起動」時の初期調整であるので、S814へ進み、光源103を点灯する。S815で、S806と同様に、光源103の光量設定値を決定する。S816で、CPU301は、S815で設定された光量設定値をCPU301内のメモリに保持する。なお、本実施例において、光源103はLEDであるが、光源が光量調整機能を持たない希ガス蛍光体ランプなどの場合にはS815及びS816は省略される。S817は、S808と同様に、アナログ増幅器1401のゲインを1倍より大きくする必要がある場合のゲイン設定である。白板100を光源103により照明し、反射光を受光したR,G,Bラインセンサ210の出力をアナログ増幅器1401により増幅する。増幅された信号が、AD変換器201の最大入力範囲いっぱいまで入力されるように、CPU301は、AD変換器201の前段のアナログ増幅器1401のゲインを調整する。R,G,及びBのそれぞれのアナログ増幅器1401について、Rゲイン設定値、Gゲイン設定値、及びBゲイン設定値を、白板100を光源103により照明しながら調整する。S818で、CPU301は、S817で設定されたR,G,及びBゲイン設定値をCPU301のメモリに保持する。S819で、光源103を消灯させる。S820で、S811と同様に黒レベルを再び調整する。S821で、S807で保持されたモノクロモードの光量設定値(電流設定値)とS816で保持されたカラーモードの光量設定値(電流設定値)との比率をCPU301により計算する。また、CPU301は、S809で保持されたモノクロモードのゲイン設定値とS818で保持されたカラーモードのR,G,及びBゲイン設定値との比率を計算する。すなわち、Rゲイン設定値/Bkゲイン設定値、Gゲイン設定値/Bkゲイン設定値、及びBゲイン設定値/Bkゲイン設定値を計算する。
【0042】
S822で、CPU301は、S821で計算した光量設定値の比率及びゲイン設定値の比率を記憶装置としてのRAM303に保存する。以上で、カラーモードにおける初期調整(S813〜S822)が完了する。カラーモードの初期調整の完了後に、シェーディング処理を行う。
【0043】
(二回目以降の電源投入時又はスリープ復帰時の初期調整)
実施例2によれば、二回目以降の電源投入時やスリープ復帰時にカラーモードにおける初期調整(S814〜S822)が削減される。以下、図7を参照して、二回目以降の電源投入時又はスリープ復帰時の初期調整を説明する。
モノクロモード(S802)でイメージセンサがオンされると(S803)、「最初の起動」時の初期設定と同様に、モノクロモードの初期設定(S804〜S811)を行う。S806において、白板100を光源103により照明し、反射光を受光したBkラインセンサ220の出力をAD変換器201により変換して画像データとしてラインメモリ202に保存する。保存されたデータの最大値がゲインターゲットに近づくように、CPU301からのフィードバックによって照明駆動回路300を制御して光源103の電流設定値(光量設定値)を調整する。光量設定値は、CPU301内のメモリに保持される。また、ゲイン調整が必要な場合には、S808において、白板100を光源103により照明し、反射光を受光したBkラインセンサ220の出力をアナログ増幅器1401により増幅する。増幅された信号が、AD変換器201の最大入力範囲いっぱいまで入力されるように、CPU301は、アナログ増幅器1401のゲインを調整する。ゲイン設定値は、CPU301内のメモリに保持される。
【0044】
続いて、カラーモード(S812)で黒レベル調整(S813)を行った後、S830で、この初期調整が、「最初の起動」時の初期調整であるかどうか判断する。この初期調整は、「最初の起動」時の初期調整ではないので、S823へ進む。
S823で、CPU301は、光量設定値の比率及びゲイン設定値の比率をRAM303から読み出す。ゲイン設定値の比率は、Rゲイン設定値/Bkゲイン設定値、Gゲイン設定値/Bkゲイン設定値、及びBゲイン設定値/Bkゲイン設定値である。S824で、二回目以降の電源投入時やスリープ復帰時にS807でCPU301に保持されたモノクロモードの光量設定値に、RAM303から読み出された光量設定値の比率を乗算する。計算結果をカラーモードの光量設定値とする。同様に、S809でCPU301に保持されたモノクロモードのBkゲイン設定値に、RAM303から読み出されたゲイン設定値の比率を乗算する。すなわち、Bkゲイン設定値に、Rゲイン設定値/Bkゲイン設定値、Gゲイン設定値/Bkゲイン設定値、及びBゲイン設定値/Bkゲイン設定値をそれぞれ乗算する。計算結果をカラーモードのRゲイン設定値、Gゲイン設定値、及びBゲイン設定値とする。
このように、カラーモードにおいて、計算により光量設定値及び/又はゲイン設定値を求める。したがって、二回目以降の初期調整時間を従来の初期調整時間の実質半分程度に減少させることが出来る。
【0045】
本実施例によれば、カラーセンサのゲイン設定値及び/又は光量設定値は、モノクロセンサのゲイン設定値及び/又は光量設定値に基づいて計算されるので、電源投入後の光量調整及び/又はゲイン調整にかかる時間を短縮することができる。これによって、最初の読取動作開始までにかかる時間を短縮することが可能になる。
【0046】
[実施例3]
以下、図8〜図12を参照して、実施例3による画像読取装置を説明する。実施例3の画像読取装置は、イメージセンサを除いて図1に示した実施例1の画像読取装置10と同様の構成を有する。実施例1と同様の構成については説明を省略する。
【0047】
(イメージセンサ)
図8は、実施例3によるイメージセンサ1200の概略図である。イメージセンサ1200は、カラーセンサ1210を構成するRラインセンサ、Gラインセンサ、及びBラインセンサと、モノクロセンサ1220を構成するBkラインセンサとからなる。図1(a)から明らかなように、通常、機械的な公差を考慮して、あらかじめ原稿領域101よりも少しだけ広い範囲を読み込むことが出来るように画像読取モジュール102の寸法は設計されている。原稿領域101は、原稿の画像を読み取り可能な領域である。画像読取モジュール102内に組み込まれたイメージセンサ1200は、原稿領域101の主走査方向長さ297mmよりも広い範囲を読み込むことができる。R,G,B,及びBkラインセンサの有効画素数は、原稿領域101の長さ分の画素数よりも大きく設定されている。図8に示したイメージセンサ1200において、Gラインセンサの有効画素のうち設計上原稿領域外に対応する部分の画素群1202は、Bkラインセンサと同様にカラーフィルタを塗布していない。このようなGラインセンサは、両端部の画素群1202をマスキングして、画素群1204にカラーフィルタを塗布することにより製造することができる。なお、Bkラインセンサに薄緑色のカラーフィルタが塗布されている場合には、Bkラインセンサと同様に、両端部の画素群1202に薄緑色のカラーフィルタを塗布してもよい。実施例3においては、Gラインセンサの両端部にBkラインセンサと同様の感度を有する画素群1202を設けているが、本発明は、Gラインセンサに限定されるものではない。R,G,Bラインセンサのいずれか一つのラインセンサの有効画素のうち設計上原稿領域外に対応する部分の画素群を、Bkラインセンサと同じ感度にすればよい。
【0048】
しかし、Bkラインセンサの分光感度は、R,G,BのうちGに最も類似しているため、Gラインセンサの端部にBkラインセンサを設ける構成が望ましい。
【0049】
(白板の読取データのプロファイル)
図9は、図8に示したイメージセンサ1200によりサンプリングした白板100のデータのプロファイルを示す図である。縦軸は、読取輝度を示す。横軸は、主走査位置を示す。図4を参照して説明したように、カラーモードとモノクロモードとでゲイン設定値及び光量設定値が同じであるならば、主走査方向の配光パターンは同じで絶対値(読取輝度の大きさ)のみが変化する。図9に示すように、Bkラインセンサで白板100を読み込んだ場合、配光パターンは、図9の左から順に実線、点線、実線を結んだプロファイルである。全表面にGフィルタが塗布されたGラインセンサで白板100を読み込んだ場合、配光パターンは、図9の左から点線、実線、点線を結んだプロファイルである。実施例3に従って原稿領域外にBkラインセンサと同じ感度の画素群1202を有するGラインセンサで白板100を読み込んだ場合、配光パターンは、図9の左から実線、実線、実線を結んだプロファイルである。
【0050】
図1で示したように白板100は、原稿領域101の主走査方向の長さよりも大きい。したがって、図9に示すように原稿領域101の外側の画素群1202であっても、原稿光量調整又はゲイン調整において白板100を読み取るときに、配光を崩さないプロファイルが得られる。
【0051】
(Bkセンサ部とGセンサ部との読取データの比率の計算)
図10は、カラーモードの光量設定値及び/又はゲイン設定値に基づいてモノクロモードの光量設定値及び/又はゲイン設定値を算出することを説明する説明図である。原稿光量調整又はゲイン調整において、実施例3のイメージセンサ1200のGラインセンサによりサンプリングした白板100のデータは、図9の左から実線、実線、実線を結んだプロファイルを有する。そのデータは、図10に示すような配列でラインメモリ202に保持される。以下、Gラインセンサの有効画素のうち設計上原稿領域外に対応する部分であって、Bkラインセンサと同じ感度の画素群1202をBkセンサ部(モノクロセンサ部)という。また、GラインセンサのGフィルタを塗布した画素群1204をGセンサ部(カラーセンサ部)という。
【0052】
カラーモードの光量設定値及び/又はゲイン設定値は、GラインセンサのGフィルタを塗布したGセンサ部のデータに基づいて決定される。
なお、図9は、説明のために読取輝度を誇張して描いており、また、Bkセンサ部が実際よりも大きめに描かれている。このため、Bkセンサ部の最大輝度値がGセンサ部の最大輝度値より大きいように見える。しかし、実際には、Bkセンサ部が配置されるGラインセンサの端部は光量が低いこと、及びBkセンサ部は小さいことから、Bkセンサ部の最大輝度値がGセンサ部の最大輝度値より大きくなることはない。例えば、有効画素数が7500である場合に、Bkセンサ部は10画素程度である。したがって、Gラインセンサのデータの最大値がゲインターゲットに近づくように光量設定値及びゲイン設定値を調整する場合であっても、Bkセンサ部のデータがGラインセンサの光量及びゲイン設定値の調整に影響を及ぼすことはない。ただし、照明系の光量が主走査方向に均一である場合、又は、Gセンサ部のGフィルタの膜厚が大きくBkセンサ部との感度に著しく差がある場合には、Bkセンサ部のデータがGラインセンサの光量及びゲイン設定値の調整に影響を及ぼすこともある。
【0053】
CPU301は、Bkセンサ部のデータである領域Xの平均値及びGセンサ部のデータである領域Yの平均値をそれぞれ算出する。そして、CPU301は、領域Yの平均値に対する領域Xの平均値の比率を計算する。Bkセンサ部とGセンサ部の読み取りデータの比率を記憶装置としてのRAM303に保存する。ここで、複数画素のデータの平均値を求める理由は、センサ製作上境目Bが緩やかになってしまう場合を考慮している。Bkセンサ部を有するGラインセンサは、Bkセンサ部とGセンサ部との境目Bが明確であることが好ましい。しかし、Bkセンサ部とGセンサ部との境目Bが明確にならず、Gセンサ部からBkセンサ部へ徐々にGフィルタが薄くなる遷移部分が生じてしまうことがある。この場合、遷移部分のBkセンサ部の一画素のデータと遷移部分のGセンサ部の一画素のデータとを比較しても差が現れないことがある。そこで、Bkセンサ部の複数画素のデータの平均値とGセンサ部の複数画素のデータの平均値とから比率を求めることにした。しかし、Bkセンサ部の平均値を求めるための画素数を多くしすぎると、光源103からの光が十分に届かない画素のデータも含んでしまうため、平均値が極端に低下する。その結果、比率の計算結果に誤差を生じる。したがって、できる限り境目Bに近い複数画素の平均値を計算することが望ましい。
【0054】
ここで、境目Bが有効画素のどの画素に相当するのか予め正確に特定できる場合には、境目Bの左側の予め定めた複数画素の平均値と境目Bの右側の予め定めた複数画素の平均値を計算することとすればよい。そうでない場合には、CPU301で1画素ずつ差分を取り、差分が極端に大きくなる画素(境目)を検知し、検知された画素から左右に複数画素の平均値を計算するようにしても良い。この場合には、CPU301の負荷が重くなるので、負荷軽減のために、比率算出は、所定期間ごとに行い毎回は行わないようにしてもよい。
【0055】
(モノクロモードの光量設定値及び/又はゲイン設定値の計算)
モノクロモードの光量設定値及び/又はゲイン設定値は、カラーモードで設定された光量設定値及び/又はゲイン設定値に、この比率(Bkセンサ部とGセンサ部の読み取りデータの比率)を乗算することにより求める。ここで、Gラインセンサの端部に設けられたBkセンサ部1202のデータは、あくまでも、カラーモードの駆動周波数により得られたものである。このため、カラーモードとモノクロモードとで駆動周波数が異なる画像読取装置においては、駆動周波数の比率を設定値にさらに乗算するとよい。駆動周波数の比率は設計段階で決まっているため、予めRAM303に記憶しておく。以上からモノクロモード設定値は下記式(1)に従って設定される。
【数1】
【0056】
(初期調整)
図11は、実施例3による画像読取装置の初期調整制御のフローの一例を示す図である。図8に示したイメージセンサ1200を使用することで、CPU301は、図11に示すシーケンスを実行することができる。図5に示した実施例1のフローとの違いは、「最初の起動」時の初期調整においても、モノクロモードの光量調整及び/又はゲイン調整のためのデータサンプリングを行う必要がなくなる点である。
【0057】
図11を参照して、S1101〜S1109の工程は、図5のS701〜S709の工程と同様であるので重複する説明を省略する。S1104〜S1113は、カラーモードにおける初期調整の制御(CLモード制御)である。ここで、S1106で光源光量調整中にサンプリングされたデータ、及び、S1108でゲイン調整中にサンプリングされたデータは、ラインメモリ202に保存される。S1106で設定した光量設定値及び/又はS1108で設定したゲイン設定値は、CPU301内のメモリに保持されている(S1107及びS1109)。
【0058】
S1110において、ラインメモリ202に保存されたデータを用いて、Bkセンサ部1202で読み取ったデータとGセンサ部1204で読み取ったデータの比率をCPU301によって算出する。S1111において、S1110で算出したBkセンサ部とGセンサ部との比率をRAM303に保存する。なお、図11に示す実施例においては、カラーモードの初期調整を行うたびに、Bkセンサ部とGセンサ部との比率を計算し、計算結果をRAM303に保存する(S1110及びS1111)。しかし、本発明によれば、かならずしも、カラーモードの初期調整を行うたびに、比率を計算する必要はない。所定期間毎に、比率を計算してRAM303に保存するようにしてもよい。所定期間は、例えば、前回比率を計算したときから経過した所定時間又は画像読取のための主走査の所定回数などである。図12は、実施例3の変形例を示す図である。図12に示すように、S1109とS1110との間に、S1120を設けてもよい。S1120において、この初期調整が「最初の起動」時の初期調整であるかどうかを判断する。この初期調整が「最初の起動」時の初期調整であるときは、S1110へ進み比率を計算する。この初期調整が「最初の起動」時の初期調整でないときは、S1122へ進む。S1122で、所定期間(回数又は時間)が経過したかどうかを判断する。所定期間(回数又は時間)が経過したときは、S1110へ進み比率を計算する。一方、所定期間(回数又は時間)が経過していないときは、S1112へ進み光源を消灯する。このように、所定期間(回数又は時間)の経過ごとに比率を計算することにより、CPU301の負荷を軽減することができる。
【0059】
図11を参照して、S1112〜S1115の工程は、図5のS710〜S713の工程と同様であるので説明を省略する。S1114〜S1117は、モノクロモードにおける初期調整の制御(BWモード制御)である。S1116において、S1111でRAM303に保存された「Bkセンサ部とGセンサ部との読み取りデータの比率」、及び設計段階でRAM303に保存しておいた「カラーモードとモノクロモードとの駆動周波数の比率」を読み出す。S1117において、S1116で読み出した比率をS1107及び/又はS1109において保持しておいたカラーモードの光量設定値及び/又はゲイン設定値に乗算することによってモノクロモードの光量設定値及び/又はゲイン設定値を導出し、設定する。
【0060】
なお、図11に示す実施例においては、モノクロモードでのデータのサンプリングを省略することができる。しかし、センサ自体の経時劣化による比率の誤差を緩和するため、モノクロモードでも光量調整及び/又はゲイン調整のためのデータサンプリングを行うシーケンスを取り入れた構成にしても良い。
【0061】
図13は、画像読取装置の最初の読み取り動作(ファーストスキャン)開始までにかかる時間をタイムテーブルで示した図である。従来の画像読取装置では、待機・休止モードからの復帰後、最初の読取動作開始までに、カラーモードの所期調整を実行するための時間及びモノクロモードの初期調整を実行するための時間が必要である。これに対して、本実施例によれば、モノクロモードにおける設定値をカラーモードの設定値に基づいて計算することにより、モノクロモードの初期調整を省略することができる。これによって、画像読取装置の初期調整のシーケンスを実質半分程度に短縮させることができる。つまり、待機・休止モードからの復帰後、ファーストスキャン開始までにかかる時間を短縮させることができる。
【0062】
通常、ファーストスキャン開始までにかかる時間は、機種や仕様にもよるが3〜4秒である。そのうち、イメージセンサに関わる初期調整時間は、1秒未満である。しかし、その他の制御、調整もスキャン前に施す必要があることを考えれば、例えば、3〜4秒の時間のうちイメージセンサ調整時間の1秒を500ミリ秒まで減少できることは、とても効果のあることである。
【0063】
本発明によれば、モノクロセンサのアナログゲイン設定値及び/又は光量設定値は、カラーセンサのアナログゲイン設定値及び/又は光量設定値に基づいて設定される。これによって、電源投入後の光量調整及び/又はアナログゲイン調整にかかる時間を短縮することができる。また、最初の読み取り動作(ファーストスキャン)開始までにかかる時間を短縮することが可能になる。
【符号の説明】
【0064】
10…画像読取装置、100…シェーディング白板(白基準部材)、103…原稿照明用光源、201…AD変換器、210,410,1210…カラーセンサ、220,420,1220…モノクロセンサ、301…CPU(制御回路)、1401…アナログ増幅器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像読取装置であって、
原稿を照明する光源と、
前記光源により照明された原稿からの反射光を受光してアナログ信号を出力するカラーセンサ及びモノクロセンサと、
前記カラーセンサ及び前記モノクロセンサからの前記アナログ信号を増幅するアナログ増幅器と、
前記アナログ増幅器により増幅された前記アナログ信号をデジタル信号へ変換するAD変換器と、
白基準部材と、
前記光源により照明された前記白基準部材からの反射光を受光した前記カラーセンサからの前記アナログ信号を増幅する前記アナログ増幅器のゲインを調整して、調整されたゲインを前記カラーセンサのためのゲイン設定値として保持する制御回路と
を備え、
前記制御回路は、前記カラーセンサのための前記ゲイン設定値に基づいて、前記モノクロセンサのためのゲイン設定値を計算により求めることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記カラーセンサのための前記ゲイン設定値に対する前記モノクロセンサのための前記ゲイン設定値の比率を保存する記憶装置を備え、
前記制御回路は、前記カラーセンサのための前記ゲイン設定値と前記記憶装置に保存された前記比率とに基づいて、前記モノクロセンサのための前記ゲイン設定値を計算により求めることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記光源の光量を調整する照明駆動回路を備え、
前記制御回路は、前記光源により照明された前記白基準部材からの反射光を受光した前記カラーセンサからの前記アナログ信号に基づいて、前記照明駆動回路を制御して前記カラーセンサのための前記光源の光量を調整して、調整された光量を前記カラーセンサのための光量設定値として保持し、
前記制御回路は、前記カラーセンサのための前記光量設定値に基づいて、前記モノクロセンサのための光量設定値を計算により求めることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記カラーセンサのための前記光量設定値に対する前記モノクロセンサのための前記光量設定値の比率を保存する記憶装置を備え、
前記制御回路は、前記カラーセンサのための前記光量設定値と前記記憶装置に保存された前記比率とに基づいて、前記モノクロセンサのための前記光量設定値を計算により求めることを特徴とする請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項5】
画像読取装置であって、
原稿を照明する光源と、
前記光源により照明された原稿からの反射光を受光してアナログ信号を出力するカラーセンサ及びモノクロセンサと、
前記カラーセンサ及び前記モノクロセンサからの前記アナログ信号を増幅するアナログ増幅器と、
前記アナログ増幅器により増幅された前記アナログ信号をデジタル信号へ変換するAD変換器と、
白基準部材と、
前記光源により照明された前記白基準部材からの反射光を受光した前記モノクロセンサからの前記アナログ信号を増幅する前記アナログ増幅器のゲインを調整して、調整されたゲインを前記モノクロセンサのためのゲイン設定値として保持する制御回路と、
を備え、
前記制御回路は、前記モノクロセンサのための前記ゲイン設定値に基づいて、前記カラーセンサのためのゲイン設定値を計算により求めることを特徴とする画像読取装置。
【請求項6】
前記モノクロセンサのための前記ゲイン設定値に対する前記カラーセンサのための前記ゲイン設定値の比率を保存する記憶装置を備え、
前記制御回路は、前記モノクロセンサのための前記ゲイン設定値と前記記憶装置に保存された前記比率とに基づいて、前記カラーセンサのための前記ゲイン設定値を計算により求めることを特徴とする請求項5に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記光源の光量を調整する照明駆動回路を備え、
前記制御回路は、前記光源により照明された前記白基準部材からの反射光を受光した前記モノクロセンサからの前記アナログ信号に基づいて、前記照明駆動回路を制御して前記モノクロセンサのための前記光源の光量を調整して、調整された光量を前記モノクロセンサのための光量設定値として保持し、
前記制御回路は、前記モノクロセンサのための前記光量設定値に基づいて、前記カラーセンサのための光量設定値を計算により求めることを特徴とする請求項5又は6に記載の画像読取装置。
【請求項8】
前記モノクロセンサのための前記光量設定値に対する前記カラーセンサのための前記光量設定値の比率を保存する記憶装置を備え、
前記制御回路は、前記モノクロセンサのための前記光量設定値と前記記憶装置に保存された前記比率とに基づいて、前記カラーセンサのための前記光量設定値を計算により求めることを特徴とする請求項7に記載の画像読取装置。
【請求項9】
画像読取装置であって、
原稿を照明する光源と、
前記光源により照明された原稿からの反射光を受光してアナログ信号を出力するカラーセンサ及びモノクロセンサと、
前記カラーセンサ及び前記モノクロセンサからの前記アナログ信号を増幅するアナログ増幅器と、
前記アナログ増幅器により増幅された前記アナログ信号をデジタル信号へ変換するAD変換器と
を備え、
前記カラーセンサは、複数のラインセンサを有し、前記カラーセンサの少なくとも一つのラインセンサは、カラーセンサ部と、前記モノクロセンサと同じ感度を有するモノクロセンサ部とを有しており、前記モノクロセンサ部は、前記ラインセンサの原稿を読み取り可能な領域外に対応する部分に設けられていることを特徴とする画像読取装置。
【請求項10】
白基準部材と、
前記光源により照明された前記白基準部材からの反射光を受光した前記カラーセンサからの前記アナログ信号を増幅する前記アナログ増幅器のゲインを調整して、調整されたゲインを前記カラーセンサのためのゲイン設定値として保持する制御回路と
を備え、
前記制御回路は、前記少なくとも一つのラインセンサの前記モノクロセンサ部から出力されるデータに対する前記カラーセンサ部から出力されるデータの比率を計算して、前記比率を記憶装置に保存し、
前記制御回路は、前記カラーセンサのための前記ゲイン設定値と、前記記憶装置に保存された前記比率とに基づいて、前記モノクロセンサのためのゲイン設定値を計算により求めることを特徴とする請求項9に記載の画像読取装置。
【請求項11】
前記光源の光量を調整する照明駆動回路を備え、
前記制御回路は、前記光源により照明された前記白基準部材からの反射光を受光した前記カラーセンサからの前記アナログ信号に基づいて、前記照明駆動回路を制御して前記カラーセンサのための前記光源の光量を調整して、調整された光量を前記カラーセンサのための光量設定値として保持し、
前記制御回路は、前記カラーセンサのための前記光量設定値と、前記記憶装置に保存された前記比率とに基づいて、前記モノクロセンサのための光量設定値を計算により求めることを特徴とする請求項10に記載の画像読取装置。
【請求項12】
前記記憶装置は、前記カラーセンサのための駆動周波数に対する前記モノクロセンサのための駆動周波数の比率を保存しており、
前記制御回路は、前記駆動周波数の前記比率に基づいて、前記モノクロセンサのためのゲイン設定値及び光量設定値を計算することを特徴とする請求項11に記載の画像読取装置。
【請求項13】
前記制御回路は、所定期間毎に、前記比率を計算して前記記憶装置に保存することを特徴とする請求項2、4、6、8、又は10のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項14】
前記所定期間は、前回比率を計算したときから経過した所定時間、又は、画像読取のための走査の所定回数であることを特徴とする請求項13に記載の画像読取装置。
【請求項1】
画像読取装置であって、
原稿を照明する光源と、
前記光源により照明された原稿からの反射光を受光してアナログ信号を出力するカラーセンサ及びモノクロセンサと、
前記カラーセンサ及び前記モノクロセンサからの前記アナログ信号を増幅するアナログ増幅器と、
前記アナログ増幅器により増幅された前記アナログ信号をデジタル信号へ変換するAD変換器と、
白基準部材と、
前記光源により照明された前記白基準部材からの反射光を受光した前記カラーセンサからの前記アナログ信号を増幅する前記アナログ増幅器のゲインを調整して、調整されたゲインを前記カラーセンサのためのゲイン設定値として保持する制御回路と
を備え、
前記制御回路は、前記カラーセンサのための前記ゲイン設定値に基づいて、前記モノクロセンサのためのゲイン設定値を計算により求めることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記カラーセンサのための前記ゲイン設定値に対する前記モノクロセンサのための前記ゲイン設定値の比率を保存する記憶装置を備え、
前記制御回路は、前記カラーセンサのための前記ゲイン設定値と前記記憶装置に保存された前記比率とに基づいて、前記モノクロセンサのための前記ゲイン設定値を計算により求めることを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
前記光源の光量を調整する照明駆動回路を備え、
前記制御回路は、前記光源により照明された前記白基準部材からの反射光を受光した前記カラーセンサからの前記アナログ信号に基づいて、前記照明駆動回路を制御して前記カラーセンサのための前記光源の光量を調整して、調整された光量を前記カラーセンサのための光量設定値として保持し、
前記制御回路は、前記カラーセンサのための前記光量設定値に基づいて、前記モノクロセンサのための光量設定値を計算により求めることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
前記カラーセンサのための前記光量設定値に対する前記モノクロセンサのための前記光量設定値の比率を保存する記憶装置を備え、
前記制御回路は、前記カラーセンサのための前記光量設定値と前記記憶装置に保存された前記比率とに基づいて、前記モノクロセンサのための前記光量設定値を計算により求めることを特徴とする請求項3に記載の画像読取装置。
【請求項5】
画像読取装置であって、
原稿を照明する光源と、
前記光源により照明された原稿からの反射光を受光してアナログ信号を出力するカラーセンサ及びモノクロセンサと、
前記カラーセンサ及び前記モノクロセンサからの前記アナログ信号を増幅するアナログ増幅器と、
前記アナログ増幅器により増幅された前記アナログ信号をデジタル信号へ変換するAD変換器と、
白基準部材と、
前記光源により照明された前記白基準部材からの反射光を受光した前記モノクロセンサからの前記アナログ信号を増幅する前記アナログ増幅器のゲインを調整して、調整されたゲインを前記モノクロセンサのためのゲイン設定値として保持する制御回路と、
を備え、
前記制御回路は、前記モノクロセンサのための前記ゲイン設定値に基づいて、前記カラーセンサのためのゲイン設定値を計算により求めることを特徴とする画像読取装置。
【請求項6】
前記モノクロセンサのための前記ゲイン設定値に対する前記カラーセンサのための前記ゲイン設定値の比率を保存する記憶装置を備え、
前記制御回路は、前記モノクロセンサのための前記ゲイン設定値と前記記憶装置に保存された前記比率とに基づいて、前記カラーセンサのための前記ゲイン設定値を計算により求めることを特徴とする請求項5に記載の画像読取装置。
【請求項7】
前記光源の光量を調整する照明駆動回路を備え、
前記制御回路は、前記光源により照明された前記白基準部材からの反射光を受光した前記モノクロセンサからの前記アナログ信号に基づいて、前記照明駆動回路を制御して前記モノクロセンサのための前記光源の光量を調整して、調整された光量を前記モノクロセンサのための光量設定値として保持し、
前記制御回路は、前記モノクロセンサのための前記光量設定値に基づいて、前記カラーセンサのための光量設定値を計算により求めることを特徴とする請求項5又は6に記載の画像読取装置。
【請求項8】
前記モノクロセンサのための前記光量設定値に対する前記カラーセンサのための前記光量設定値の比率を保存する記憶装置を備え、
前記制御回路は、前記モノクロセンサのための前記光量設定値と前記記憶装置に保存された前記比率とに基づいて、前記カラーセンサのための前記光量設定値を計算により求めることを特徴とする請求項7に記載の画像読取装置。
【請求項9】
画像読取装置であって、
原稿を照明する光源と、
前記光源により照明された原稿からの反射光を受光してアナログ信号を出力するカラーセンサ及びモノクロセンサと、
前記カラーセンサ及び前記モノクロセンサからの前記アナログ信号を増幅するアナログ増幅器と、
前記アナログ増幅器により増幅された前記アナログ信号をデジタル信号へ変換するAD変換器と
を備え、
前記カラーセンサは、複数のラインセンサを有し、前記カラーセンサの少なくとも一つのラインセンサは、カラーセンサ部と、前記モノクロセンサと同じ感度を有するモノクロセンサ部とを有しており、前記モノクロセンサ部は、前記ラインセンサの原稿を読み取り可能な領域外に対応する部分に設けられていることを特徴とする画像読取装置。
【請求項10】
白基準部材と、
前記光源により照明された前記白基準部材からの反射光を受光した前記カラーセンサからの前記アナログ信号を増幅する前記アナログ増幅器のゲインを調整して、調整されたゲインを前記カラーセンサのためのゲイン設定値として保持する制御回路と
を備え、
前記制御回路は、前記少なくとも一つのラインセンサの前記モノクロセンサ部から出力されるデータに対する前記カラーセンサ部から出力されるデータの比率を計算して、前記比率を記憶装置に保存し、
前記制御回路は、前記カラーセンサのための前記ゲイン設定値と、前記記憶装置に保存された前記比率とに基づいて、前記モノクロセンサのためのゲイン設定値を計算により求めることを特徴とする請求項9に記載の画像読取装置。
【請求項11】
前記光源の光量を調整する照明駆動回路を備え、
前記制御回路は、前記光源により照明された前記白基準部材からの反射光を受光した前記カラーセンサからの前記アナログ信号に基づいて、前記照明駆動回路を制御して前記カラーセンサのための前記光源の光量を調整して、調整された光量を前記カラーセンサのための光量設定値として保持し、
前記制御回路は、前記カラーセンサのための前記光量設定値と、前記記憶装置に保存された前記比率とに基づいて、前記モノクロセンサのための光量設定値を計算により求めることを特徴とする請求項10に記載の画像読取装置。
【請求項12】
前記記憶装置は、前記カラーセンサのための駆動周波数に対する前記モノクロセンサのための駆動周波数の比率を保存しており、
前記制御回路は、前記駆動周波数の前記比率に基づいて、前記モノクロセンサのためのゲイン設定値及び光量設定値を計算することを特徴とする請求項11に記載の画像読取装置。
【請求項13】
前記制御回路は、所定期間毎に、前記比率を計算して前記記憶装置に保存することを特徴とする請求項2、4、6、8、又は10のいずれか一項に記載の画像読取装置。
【請求項14】
前記所定期間は、前回比率を計算したときから経過した所定時間、又は、画像読取のための走査の所定回数であることを特徴とする請求項13に記載の画像読取装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−61433(P2011−61433A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−208205(P2009−208205)
【出願日】平成21年9月9日(2009.9.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月9日(2009.9.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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