説明

画像読取装置

【課題】 前のユーザーが原稿を取り忘れてしまった場合に、前のユーザーが取り忘れた原稿に気づかずに次のユーザが原稿の搬送を開始すると、前ユーザーが取り忘れた原稿と次ユーザーとが一緒になってしまう。
【解決手段】 給送される原稿を積載する原稿積載部と、原稿積載部に原稿が積載されたことを検知する給送原稿検知センサと、原稿が排出される原稿排出部と、原稿排出部に設けられたランプと、を有し、原稿積載部に原稿がセットされると、原稿排出部に設けたランプを点灯させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、デジタル複写機等の画像形成装置においては、原稿の画像を読み取る画像読取装置を備えていて、画像読取装置で読み取った画像に基づいて記録紙に画像を形成している。ここで、画像読取装置には、原稿積載部から読取位置を経由して、原稿積載部の下方に設けられた排出部に原稿を搬送する自動原稿搬送装置(以下、ADF(Auto Document Feeder)という)が設けられている。
【0003】
ADFでは、排出部に原稿が排出されて排出部に原稿が積載されるため、ユーザーは排出部から原稿を取り除くことになる。ここで、排出された原稿をユーザーが排出部から取り忘れてしまう問題が生じることが考えられる。
【0004】
そこで、原稿のユーザーの取り忘れを防止のために、排出部を照射する照明を設ける技術がある(特許文献1参照)。照明によって排出部へ光を照射することで、ユーザーに排出部に原稿が残っているのを気づかせて原稿の取り忘れを防止している。具体的には、排出部に画像が読み取られた原稿が排出されると照明により原稿に光を照射する。そして、省電力化のために、光の照射を開始してから所定時間経過後(例えば10秒程度後)に照射を終了している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−10902号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来例の構成では、原稿が排出部に取り忘れたことを、その原稿を扱うユーザーに対して知らせるためのものであった。
【0007】
よって、前に使用したユーザーが原稿の取り忘れに気づかずに、次のユーザーがADFを利用することがあり、このような場合には以下のような問題があった。即ち、前のユーザーが取り忘れた原稿と、画像の読取後に排出部に排出された次のユーザーの原稿とが、排出部において混在してしまう。この場合、次のユーザーが、自らの原稿のみならず前のユーザーの原稿をも、排出部から持っていってしまう虞がある。また、原稿排出部に取り忘れられた前のユーザーの原稿が排出部に大量にある場合には、排出部への排出口で用紙詰まりが発生してしまうという問題があった。
【0008】
そこで、本発明では、原稿の取り忘れに起因した上記の課題を解決し、前のユーザーの原稿が排出部にあることを次のユーザーに認知させることで、ユーザーにとって利便性の高い原稿搬送装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明の画像読取装置は、給送される原稿が積載される原稿積載部と、前記原稿積載部に原稿が積載されたことを検知する原稿検知手段と、前記原稿積載部に積載された原稿を搬送する原稿搬送部と、前記原稿搬送部によって搬送される原稿の画像を読取る画像読取手段と、前記原稿搬送部によって搬送された原稿が排出される原稿排出部と、前記原稿排出部に設けられたランプと、を有し、前記原稿積載部に原稿が積載されたことを前記原稿検知手段が検知したことに応じて前記ランプを発光させる。
【発明の効果】
【0010】
以上のように、本発明によれば、ユーザーが原稿を原稿積載部に積載した際に原稿排出部のランプを発光させるため、ユーザーに原稿排出部への目視を促すことができ、前ユーザーの原稿忘れがないかを容易に認知させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る画像読取装置を備えた複写機の概略構成を示した図。
【図2】本発明の実施形態に係る画像読取装置を備えた複写機の概要を示した図。
【図3】本発明に係るADFの断面図。
【図4】本発明に係る原稿読取り処理の第1の実施例を示したフローチャート。
【図5】本発明に係る原稿読取り処理の第2の実施例を示したフローチャート。
【図6】制御ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は本発明の実施形態に係る画像読取装置を備えた複写機Aの構成を示した概略図である。図2は、画像読取装置の主要構成部を示す図である。図3は、画像読取装置の断面図である。図4は画像読取装置の原稿読取処理に伴う照明手段としてのランプの動作に関するフローチャートである。図5は別の実施形態でのランプの動作に関するフローチャートである。図6は、画像読取装置の制御ブロック図である。
【0013】
図1に示すように、画像形成装置としての複写機Aは、原稿の画像を読取る画像読取装置2と、画像読取装置2によって読取られた画像に濃度補正処理などの画像処理を施す画像処理部3と、を有する。さらに複写機Aは、画像処理部3により画像処理が施された画像データに基づいたトナー等を記録紙に転写させて定着させる画像形成部4と、複写機Aの全体を制御する制御部1を備えている。
【0014】
次に、画像読取装置2の概略構成を、図2の斜視図を用いて説明する。
画像読取装置2は、搬送される原稿の画像を読取るための読取デバイスを内包した画像読取装置本体902と、原稿を搬送する原稿搬送装置901によって構成されている。
【0015】
原稿搬送装置901は、画像の読み取られる原稿が積載される原稿積載部21、原稿積載部21に原稿が積載されたことを検知するための原稿検知手段としての給送原稿検知センサ22を有する。さらに、原稿搬送装置901は、原稿積載部21の原稿を搬送する原稿搬送部23と、原稿搬送部23によって搬送されながら画像読取装置本体902によって画像が読み取られた後の原稿が排出されて積載される原稿排出部25を備える。原稿排出部25は、原稿積載部21の下方に配置される。
【0016】
原稿排出部25には、照射手段としてのランプ26と、原稿排出部25に原稿が排出されたことを検知する排出原稿検知手段としての排出原稿検知センサ28とが設けられている(図2(B)参照)。照射手段としてのランプ26は、排出された原稿に光を照射するように発光する。ランプ26は、原稿積載部21の下側に設けられている。ランプ26は、画像読取装置2(複写機A)を操作するユーザーが立つ側(装置の前側)に配置されている。なお、ここでの「装置の前側」とは、装置を動かすために操作入力する操作部を操作するときにユーザーが立つ側である。
【0017】
画像読取装置2の構成ならびに動作の読取動作の概略について図3の断面図を用いて説明する。
画像読取装置本体902は、上面にプラテンガラス24が設けられている。画像読取装置本体902は、原稿からの反射光を反射する複数のミラー303、光を集光するレンズ302、画像読取手段としてのCCD(Charge Coupled Device)301を内部に備えている。
【0018】
原稿搬送部23は、給送ローラ202、分離ローラ203、レジストローラ205部、搬送ローラ206、207を備える。原稿搬送部23はさらに、プラテンローラ208、読取後ローラ209、排出ローラ210を備える。
【0019】
原稿積載部21上の原稿201は原稿積載部上部に位置する給送ローラ202によって原稿搬送装置2の内部へ給送され、分離ローラ203と分離パッド204によって1枚毎に分離され搬送される。1枚毎に分離された原稿はレジストローラ205部で原稿先端を揃えられる。レジストローラ205部で原稿先端を揃えられた原稿は搬送ローラ206と搬送ローラ207で搬送され、プラテンローラ208が設けられている読取位置において搬送されながら画像が読取られる。
【0020】
原稿の画像は、原稿からの反射光が、複数のミラー303で反射されてからレンズ302によって集光され、CCD301に導かれることで、読み取られる。原稿の画像が読み取られた後の原稿は、読取後ローラ209を通り排出ローラ210によって原稿排出部25に排出される。以上の一連の読み取られる原稿を給送(搬送)する給送動作は、原稿積載部21に積載された原稿が原稿積載部21から全て無くなるまで継続される。
【0021】
図6は、本実施形態に係る画像読取装置2の制御ブロック図である。制御部1には給送原稿検知センサ22および排出原稿検知センサ28からの信号、ならびに画像読取装置2の操作部(ここでは複写機Aの操作部と共通)からの信号が入力される。制御部1は、原稿搬送部23やランプ26を制御する。
【0022】
次に図4のフローチャートに従って、画像読取装置2において制御部1により実行される原稿の読取処理に伴うランプ26の動作を説明する。
原稿積載部21の原稿を給送原稿検知センサ22が検知したかどうかを制御部1が判断する(S31)。給送原稿検知センサ22が原稿を検知したら、即ち原稿積載部21に原稿が積載されたら、(S32)へ移行し、制御部1によってランプ26を点灯させ、原稿排出部25を照射する。原稿搬送を開始するように制御部1が原稿搬送部23を制御する(S33)。制御部1は、原稿搬送を終了したら(S34)、原稿排出部25へのランプ26の点灯を終了させる。
【0023】
以上のように本実施形態では、ユーザーが原稿積載部21に原稿を積載(セット)すると、照射手段であるランプ26を点灯させて、原稿排出部25に光を照射する。よって、前のユーザーが取り忘れた原稿が原稿排出部25にあったとき、ランプ26が発光してランプ26が原稿排出部25を照射するので、原稿排出部25に取り忘れられた原稿を次のユーザーに気づかせることができる。
【0024】
したがって、次のユーザーは取り残された原稿を取り出してから、原稿積載部21にセットした自分の原稿の読取を行わせる。これにより、原稿排出部25に取り忘れられた前のユーザーの原稿と、画像読取後に原稿排出部25に排出された次のユーザーの原稿とが、原稿排出部25において混在してしまうことを防ぐことができる。また、次のユーザーが、自らの原稿のみならず前のユーザーの原稿をも持っていってしまうことを未然に防ぐことができる。さらに、原稿排出部25に取り忘れられた前のユーザーの原稿が原稿排出部25に大量にあって、排紙口で紙詰まりが発生してしまうような不具合の発生を防ぐことができる。
【0025】
次に図5のフローチャートに従って、複写機Aにおいて制御部1により実行される原稿読取処理に伴うランプの動作の別の実施形態について説明する。
S41において、給送原稿検知センサ22からの信号に基づいて原稿積載部21に原稿がセットされたかどうかを制御部1が判断する。S41での判断により原稿積載部21に原稿がセットされたと制御部1が判断したら、S42へ移行し排出原稿検知センサ28からの信号に基づいて原稿排出部25に原稿があるかどうかを制御部1が判断する。
【0026】
S42で原稿排出部25に原稿有りと検出されるとS43へ移行し、制御部1はランプ26を点灯させ、ランプ26に原稿排出部25を照射させる。
【0027】
S44へ移行し、原稿排出部25の原稿が取除かれたかどうかを排出原稿検知センサ28からの信号によって制御部1が判断する。S44で原稿排出部25に原稿が取り除かれていない場合、給紙開始信号を待つ(S45)。なお、ここでの給紙開始信号は、操作部における読取(複写)スタートボタンが押されることで発せられる。
【0028】
給紙開始信号を制御部1が受信したら(S45のYES)、原稿の給送動作を開始して原稿積載部21に積載された原稿を一枚ずつ連続的に給送する。原稿の給送動作を行っている最中、ランプ26は点灯させたままである。
【0029】
原稿積載部21に積載された原稿の全てが給送されて原稿積載部21に原稿がなくなったことを、給送原稿検知センサ22からの信号に基づいて制御部1が認識すると(S47のYES)、原稿の給送動作を終了させる(S48)。さらに、制御部1は、原稿の給送動作の終了に応じて、ランプ26が点滅するようにランプ26を発光させる(S49)。即ち、制御部1は、給送動作中に点灯させていたランプ26の発光状態を、給送動作の終了後に点滅に切り換える。
【0030】
排出原稿検知センサ28からの信号によって原稿排出部25から原稿が取り除かれたと制御部1が判断したら(S50でYES)、ランプ26を消灯(ここでは点滅を終了)させる(S52)。原稿排出部25から原稿が取り除かれなくても、給送動作が終了してから所定の照明時間が経過したら(S51でYES)、ランプ26を消灯させる(S52)。本実施形態では所定の照明時間を10秒に設定している。
【0031】
さて、S42で原稿排出部25に原稿がないと制御部1が判断した場合には、そのまま給紙信号を待つ(S53)。つまり、S42で原稿排出部25に原稿がないと制御部1が判断した場合には、ランプ24を点灯させずに給紙開始信号を待つ。
【0032】
給紙開始信号を受信したら(S53でYES)、原稿の給送動作を開始する(S54)とともに、制御部1はランプ24を点灯させる。即ち、原稿積載部21に積載された原稿を一枚づつ連続して給送している給送動作中、ランプ26は点灯させておく。その後S47に移行する。
【0033】
また、S44において、ランプ26の点灯中であって給紙開始信号を制御部1が受ける前に、排出原稿検知センサ28からの信号によって原稿排出部25から原稿が取除かれたと制御部1が判断したら(S44でYES)、ランプを消灯させて(S56)、S53に移行する。
【0034】
以上説明した別の実施形態では、ユーザーが原稿積載部21に原稿を積載(セット)すると、ランプ26が発光することで、前ユーザーが取り忘れた原稿に次のユーザーが気付くことができるばかりでなく、以下の効果をも奏する。
【0035】
ユーザーが原稿積載部21に原稿を積載(セット)したとき、原稿排出部25に原稿が有る場合に、ランプ26を発光させる。いいかえると、ユーザーが原稿積載部21に原稿を積載(セット)しても、原稿排出部25に原稿がない場合には、ランプ26を発光させないので、省エネに寄与する。
【0036】
原稿の給送動作中に原稿排出部25に設けたランプ26を点灯させているので排出される箇所がユーザーに容易に認識される。
【0037】
また、原稿の給送動作中に点灯させていたランプ26の発光状態を、給送動作終了に応じて点滅に切り換えるように制御部1がランプ26を制御するという特徴的な制御を行う。この特徴的な制御での発光状態の変更によって、給送動作終了時に、原稿排出部25にユーザーの注意を惹くことができる。したがって、原稿の排出が終了したことがユーザーに認識させることができるので、原稿排出部から原稿を取り忘れるのを防ぐことができる。言い換えるとこの特徴的な制御は、単に原稿を排出したときにランプを点灯させるだけでは原稿の取り忘れを防ぐのに不十分だったという従来技術の課題を解決する。
【0038】
なお、上述のいずれの実施形態においてもランプ26によって直接に原稿排出部に積載された原稿を照らすものとして説明した。しかし、積載された原稿の直接的な照射でなくとも原稿排紙部25に設けたランプ26を発光させればユーザーに原稿排紙部25の確認を促すことに繋がるので、排出されて積載された原稿を直接的にランプで照射することは必ずしも必要ではない。なお、原稿積載部21の下側である原稿排紙部25にランプ26を設けていても、上述したように画像読取装置2(複写機2)の前側にランプ26を配置すれば、ユーザーがランプ26の発光を確認しやすくなるので好ましい。さらに、図2に示したようにランプ26からの光27を装置の前側へも向くようにランプ26を設けると、ランプ26の光にユーザーがより気付きやすくなるので好ましい。
【0039】
また、上述のいずれの実施形態においても原稿積載部21に原稿がセットされたことに応じたランプ26の発光を点灯として説明しているが、原稿がセットされたことに応じたランプ26の発光状態は点滅であってもよい。
【符号の説明】
【0040】
21 原稿積載部
22 給送原稿検知センサ
23 原稿搬送部
25 原稿排出部
26 ランプ(照射手段)
27 照射光
28 排出原稿検知センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給送される原稿が積載される原稿積載部と、
前記原稿積載部に原稿が積載されたことを検知する原稿検知手段と、
前記原稿積載部に積載された原稿を搬送する原稿搬送部と、
前記原稿搬送部によって搬送される原稿の画像を読取る画像読取手段と、
前記原稿搬送部によって搬送された原稿が排出される原稿排出部と、
前記原稿排出部に設けられたランプと、を有し、
前記原稿積載部に原稿が積載されたことを前記原稿検知手段が検知したことに応じて前記ランプを発光させることを特徴とする画像読取装置。
【請求項2】
前記原稿排出部に排出された原稿を検知する排出原稿検知手段を有し、
前記排出原稿検知手段が前記原稿排出部に排出された原稿を検知した状態で前記原稿積載部に原稿が積載されたことを前記原稿検知手段が検知したことに応じて前記ランプを発光させ、前記排出原稿検知手段が前記原稿排出部に排出された原稿を検知していない状態では前記原稿積載部に原稿が積載されたことを前記原稿検知手段が検知しても前記ランプを発光させないことを特徴とする請求項1に記載の画像読取装置。
【請求項3】
原稿を前記原稿積載部から連続的に給送して前記原稿排出部へ排出する給送動作中に前記ランプは点灯し、前記給送動作の終了に伴って前記ランプの発光状態が点滅に切り換えられることを特徴とする請求項1または2に記載の画像読取装置。
【請求項4】
発光している前記ランプは、前記排出原稿検知手段によって原稿が前記原稿排出部から取り除かれたことが検知されるか、または、前記原稿排出部に排出された原稿がある状態であっても前記原稿排出部への原稿の排出が終わってから所定の時間経過後に消灯されることを特徴とする請求項2に記載の画像読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−231305(P2012−231305A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−98424(P2011−98424)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】