説明

異常発生時における解析データ収集制御装置、方法、プログラム及び移動無線通信端末

【課題】CCPUの異常発生時の履歴をACPUのROMに保存を行う処理の簡素化を行う。
【解決手段】異常発生時における解析データ収集制御装置に、通信部分の制御を行うCCPU104及びCCPUの制御を行うプログラムを保持する揮発性メモリを有する通信ユニット100と、アプリケーション部分の制御を行うACPU108並びにACPU及びCCPUの制御を行うプログラムを保持する不揮発性メモリ111を有し起動時にACPU及びCCPU間のI/FでCCPUのプログラムを通信ユニットの揮発性メモリ106に転送するアプリケーションユニット107と、通信ユニット及びアプリケーションユニットで共有され通信ユニットでの異常発生時に異常発生の履歴情報を保持する共有揮発性メモリ118とを備えアプリケーションユニットでは異常発生からの復帰時に共有揮発性メモリから保持された異常発生の履歴情報を読み出してアプリケーションユニットの不揮発性メモリに書き込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は異常発生時における解析データ収集制御装置に関する。特に、本発明は、インターフェース(I/F)を介してCCPU側からACPU側に異常発生時の履歴を送信し、ACPU側のROM領域に保存を行う、異常発生時における解析データ収集制御装置、方法、プログラム及び移動無線通信端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯無線端末の開発において、開発初期は開発用の評価ボードを製作しソフトウエアの開発及びデバッグ・テストを行っている。
評価ボードは、デバッグを効率よく実施できるための機能、回路が搭載され、ICE(インサーキット・エミュレータ)等のデバッグ・ツール等を用いたデバッグを実施することができる。
【0003】
しかしながら、近年の移動無線端末の開発は、開発期間の短縮を要求されており、開発遅れによる機会損失が最も大きなビジネスロスとなり、ジャストタイミングで製品を市場投入する必要となっている。
そのため、開発中期からは、量産とほぼ同等の移動無線端末の試作を行い、前述の評価ボード併用でデバッグを行う。
【0004】
特に、移動無線端末の試作はフィールドテストに用いられ、実環境下でのテスト・検証が行われる。
このフィールドテストにおいて、問題が発生し、問題解析・研究を行う際に、移動無線端末の試作の場合は、評価ボードと比べデバッグを効率よく実施できるための機能、回路がほとんど搭載されておらず、基本的にはICE等のデバッグ・ツール等を用いたデバッグ等の実施も難しい。
【0005】
また、評価ボードをフィールドテストに用いることは様々な制約から難しく、また室内試験環境下で問題が発生せず、移動無線端末の試作によるフィールドテスト等の実動作環境下で初めて問題が顕在化することも多々存在する。
このように再現しにくいバグを発見して解析するのは極めて困難であるという問題があり、ソフトウエア、システム動作の評価検証に必要な情報、異常発生時の要因、ソフトウエアの動作状態を示す情報の保存を行う仕組みの強化が要求されている。
【0006】
また、市場、フィールドテストで発生した不具合の解析の場合、前述の不具合時の情報は確実に保存され蓄積・累積される必要があり、バッテリを取り外しても保存される不揮発性のROM(リード・オンリ・メモリ)に保存する必要がある。
本発明の前提となる移動無線端末の開発時において、不具合解析を迅速に行うために不具合発生時の情報を確実に、バッテリを取り外しても保存される不揮発性のROM(リード・オンリ・メモリ)に保存する必要があり、その要求に対応することが可能となっている(特許文献2参照)。
しかし、上記の方法では処理が煩雑でありデバッグ情報を保存する処理自体に不具合が発生する可能性もあった。
【0007】
また、異常によってシステムリセットし再起動(復帰処理)後にCCPU(Comunication CPU(中央処理装置))側が、異常が継続した場合は、デバッグ情報を残せないためより簡素な処理と着実にデバッグ情報を残すことが可能な処理が求められていた。以下詳細に説明を行う。
図3は本発明の前提となる移動無線通信端末の基本的な構成例を示すブロック図である。なお、全図を通して同一の構成要素には同一の符号、記号を付する。本図に示す移動無線通信端末150は、開発において、ソフトウエア、システム動作の評価検証の開発者及び評価者の開発、評価効率向上、製品出荷後に不具合・不良が発生し市場より戻り時に不具合の解析向を目的としたデバッグ機能を有する2つのCPUでプラットフォームを構成する2CPUアーキテクチャーを採用している。
【0008】
移動通信端末装置100では通信部分の制御を行うCCPU(Comunication CPU(中央処理装置))を有するCCPU側の通信ユニット100とアプリケーション部分の制御を行うACPU(Application CPU(中央処理装置))を有するACPU側のアプリケーションユニット107の2つのCPUでプラットフォームを構成するアーキテクチャーは一般的に2CPU構成と呼ばれる。
【0009】
CCPUとACPU間はインターフェース(I/F)を介し互いにデータの送受信が可能である。
なお、移動通信端末装置100の上記のような基本構成は広く事業者にとって周知事項である。
まず、通信ユニット100側の構成を説明する。
【0010】
通信ユニット100にはアンテナ101が設けられ、アンテナ101は図示しない基地局に対してデータの送信と受信を行う送受信共用アンテナである。
アンテナ101には無線部102が接続され、無線部102は各移動通信システムの無線通信方式に対応した無線信号の送受信制御を行う。
無線部102にはベースバンド103が接続され、ベースバンド103は送受デジタル信号の変復調処理動作を行い、通信制御を行う。
【0011】
ベースバンド103にはCCPU104が設けられ、CCPU104はプログラムにしたがってベースバンド103の制御を行う。
なお、本発明の構成では、CCPU104側に通信制御を行うプログラムを記憶する不揮発性のメモリであるROM(リード・オンリ・メモリ)を持たない。
CCPU104にはRAM(ランダム・アクセス・メモリ)106が接続され、RAM106は通信制御を行うプログラムを記憶する他に一時的にデータを記憶することが可能である。
【0012】
さらに、CCPU104にはRAM105が内蔵され、RAM105は通信制御を行うプログラム実行等に必要なデータの書き込み、読み出しを高速に処理するために設けられる。
なお、後述するACPU108側のROM111にCCPU104側のプログラムを保持し、移動無線通信端末150の起動時にCCPU104とACPU108間のインターフェース(I/F)を介して、ACPU108側のROM111からプログラムをCCPU104側の揮発性メモリであるRAM106に転送し、CCPU104側ではRAM106に転送されたプログラムに従い制御を行う。
【0013】
次に、アプリケーションユニット107側の構成を説明する。
アプリケーションユニット107にはACPU108が設けられ、前述したように、CCPU104とACPU108の間はインターフェース(I/F)を介して互いにデータの送受信が可能である。
ACPU108は各種アプリケーション機能、ユーザーインターフェースの制御を行う。
【0014】
ACPU108にはコーデック109が接続され、コーデック109は通話時にマイクロフォン114から入力された音声を音声データとして処理し、ACPU108により、CCPU104に送信され通信ユニット100側で処理し、移動無線通信端末150からアンテナ101を介して送信するようにしてもらい、アンテナ101で受信した音声データを通信ユニット100で処理しCCPU104によってACPU108に送信してもらい、複合化処理した電気信号をスピーカ113から音声出力する。
【0015】
さらに、ACPU108には操作部115が接続され、操作部115はキー入力部であり、電源のオン/オフキー、音声通信時のダイヤル番号を入力するテンキー、音声着信通話開始・終了キー、データ通信時の入力キー(いずれも図示しない)等の移動通信無線端末150を操作する機能を有する。
さらに、ACPU108には表示部116が接続され、表示部116はLCD(液晶表示部)で構成され、サービス圏外・圏内表示、受信電界レベル、日付・時刻・操作上のメッセージ情報表示を行う機能を有する。
【0016】
さらに、ACPU108には外部インターフェース(I/F)117が接続され、外部インターフェース117は検査冶具(図示しない)と接続し、パーソナルコンピュータ(PC)に搭載されている検査、デバッグ用の制御ソフトウエアを用いて移動無線通信端末150の制御を行い、検査、デバッグを行う機能を有する。
さらに、ACPU108には記憶部110が接続され、記憶部110は電源をOFFにしてもデータが保持されている不揮発性メモリであるROM111と電源をOFFにするとデータが失われる揮発性メモリであるRAM112で構成される。
【0017】
ROM111は、前述したように、ACPU108で実行されるプログラム、さらに、CCPU104で実行されるプログラムも保持し、電源OFFでも保持が要求される移動無線通信端末150動作に必要な情報、ユーザーデータ及び異常時のソフトウエアの状態、異常発生要因を保持する。
RAM112は主にプログラム動作に必要な情報を格納するワークエリアとして使用される。
【0018】
以上の説明のように、通信ユニット100では、ACPU108のようなROM111を持たない。
図4は図3における移動無線通信端末150の一連の動作例を説明するフローチャートである。本図に示すように、ステップS201において、異常が発生したとする。
ステップS202において、異常検出後に異常発生時の要因、ソフトウエアの動作状態、システム動作の評価検証に必要な情報を一時的にCCPU104内蔵のRAM105に保持する。
【0019】
なお、保持する情報データフォーマットは事前に設計者によって規定しておく必要がある。また、データフォーマットには一時的に情報を内蔵RAM105に保存されているデータが有効なものか無効なものかを示すフラグを設け、情報保持時にはこのフォーマットに従い有効フラグを立てる書き込みを行う。
また、この時点ではACPU108とCCPU104がインターフェース(I/F)を介して互いに情報の送受信が正常に行われない可能性が高い状態である。
【0020】
ステップS203において、異常からの復帰処理のためシステムリセットが行われることを示す。このシステムリセットでもCCPU104内蔵のRAM105のデータは保持される。CCPU104内蔵のRAM105のデータ保持は、なお、電源供給停止されると破壊され保持されない。
ステップS204、ステップS205において、システムリセット後の起動処理が行われる。この処理再起動処理(復帰処理)によりACPU108とCCPU104がインターフェース(I/F)を介して互いに情報の送受信が可能な状態となる。
【0021】
ステップS206において、異常情報保持フラグの読み出しを行う。
ステップS207において、読み出したデータのフラグ確認を行う。ステップS202において、異常情報一時保存が行われていれば、有効フラグが立っている。フラグが無効の場合には情報が保存されていないことを意味するため異常時情報保持処理は終了する。
ステップS208において、フラグが有効な場合にはACPU108のROM111にCCPU104の情報保持領域に保持を行う要求をACPU108側にACPU108とCCPU104間のインターフェース(I/F)を介して行う。
【0022】
ステップS209において、ACPU108では要求を受信すると異常情報保持処理を開始する。
ステップS210において、CCPU104内蔵のRAM105に一時的に保持されている情報を読み出す。
ステップS211において、ACPU108側へACPU108とCCPU104間のインターフェース(I/F)を介し読み出したデータの送信が行われる。ACPU108では、受信されたデータは異常情報保持処理によりACPU108側のROM111にCCPU104の情報保持領域に書き込み保持を行う。書き込み保持処理が完了するとCCPU104に書き込み完了通知を送信する。
【0023】
ステップS212、ステップS213において、CCPU104では書き込み完了通知を受信した後、CCPU104内蔵のRAM105に保存されているデータをクリアする処理を行い、処理を終了する。
以上の動作の説明から、アプリケーションユニット107での異常発生時には異常発生の履歴情報を直ぐにACPU108のROM111に書き込みが可能であるが、通信ユニット100での異常発生時には異常発生の履歴を直ぐにACPU108のROM111に対して情報を書き込みは行わず、異常からの復帰処理でのシステムリセットが発生してもデータが保持されるCCPU104内のRAM105等のメモリ領域に一時的に保持しておき、異常からの復帰の再起動で、ACPU108とCCPU104がインターフェース(I/F)を介して互いに情報の送受信が可能となった後に、CCPU104側のRAMに一時保存された情報を、ACPU108とCCPU104間のインターフェース(I/F)を介してACPU108側に送信し、ACPU108側は予め決められたCCPU104の情報保持領域に保持を行うような制御をACPU108とCCPU104のプログラムに設けられている。
【0024】
しかしながら、通信部分の制御を行うCCPU104とアプリケーション部分の制御を行うACPU(Application CPU)の2つのCPUでプラットフォームを構成する2CPUアーキテクチャーを採用するCCPU104側では通信制御を行うプログラムを記憶する不揮発性のメモリであるROMを持たないため、ACPU108側のROM111にCCPU104側のプログラムを保持し、装置起動時にACPU108とCCPU104間のインターフェース(I/F)を介して、ACPU108側のROM111からCCPU104側の揮発性メモリであるRAM(ランダム・アクセス・メモリ)106に転送し、CCPU104はRAM106に転送されたプログラムを起動するシーケンス及び構成を持つ移動無線端末の場合、CCPU104側に通信制御を行うプログラムを記憶する不揮発性のメモリであるROMを持つ装置と比べた場合、先に記述した異常時等におけるデバッグ効率向上のための情報を保持する機能が上記方式ではできないという課題がある。
【0025】
仮に2CPU構成ではCCPU104にROMを持つとした場合、CCPU104側で異常が発生した場合CCPU104だけで異常発生時にデバッグ情報をROMに保存することは可能だが、CCPU104側にROMをもたない2CPU構成の場合は、具体的には、ACPU108側のROM111に保持する必要があるが、異常発生直後にACPU108とCCPU104間のインターフェース(I/F)を介して書き込むことは多岐に渡る制御が必要であるが、異常状態にあるため正常に制御が完了することは困難で、情報を残すことができない可能性が高く、従来の異常発生時にROMに履歴を残す方式では困難である。
【0026】
そこで、上記方式において異常発生時に直ぐにACPU108のROM111に情報の書き込みは行わず、異常からの復帰処理によるシステムリセットが発生してもデータが保持されるCCPU104内蔵のRAM105に一時的に異常発生時の履歴を保持しておき、異常から復帰する再起動によってACPU108とCCPU104がI/Fを介して互いに情報の送受信が可能となった後に、CCPU104内蔵のRAM105に一時保存された情報を、ACPU108とCCPU104間のインターフェース(I/F)を介してACPU108側に送信し、ACPU108側は予め決められたCCPU104情報を保持するROM111領域に保存を行うような制御を設けることで解決可能であったが、しかしながら、処理が煩雑でありこの制御自体に不具合が発生する可能性もあったためより簡素な処理が求められていた。
【0027】
このような異常発生時の処理を行うものに以下の特許文献がある。
記憶システムにおいて記憶制御装置の構成情報の復旧を確実に行うため、複数の磁気ディスク装置を配下に持ち、複数のマイクロプロセッサからなるマルチプロセッサ構成でホストコンピュータとのデータ転送制御を行うディスクアレイ制御装置において、キャッシュ部と、このキャッシュ部と独立に設けられ、マイクロプロセッサによるシステムの運用制御に必要な構成情報等が格納される共有メモリ部との間に、データパスを設け、装置の故障や急な主電源の異常が起こった際、無停電電源装置(UPS)を利用して、揮発性の共有メモリ部内の構成情報を、データパスからキャッシュ部を経由して、不揮発性の磁気ディスク装置に退避しておき復旧に用いるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0028】
しかしながら、上記特許文献1では、装置の故障や急な主電源の異常が起こった際、無停電電源装置(UPS)を利用して、揮発性の共有メモリ部内の構成情報を、データパスからキャッシュ部を経由して、不揮発性の磁気ディスク装置に退避しておき復旧に用いるが、インターフェース(I/F)を介してCCPU側からACPU側に異常発生時の履歴を送信し、ACPU側のROM領域に保存を行う処理の簡素化に関するものではない。
【0029】
また、2CPU構成の移動体通信端末において、異常時等におけるデバック効率、不具合解析の向上のための情報を保持する機能を実現するため、通信部分の制御を行うCCPUとアプリケーション部分の制御を行うACPUの2つのCPUを備え、異常発生時には、ただちにROMに情報の書き込みは行わず、異常からの復帰処理においてシステムリセットが発生してもデータが保持されるCCPU内蔵RAMのメモリ領域に一時的に保持しておき、異常からの復帰の再起動で、ACPUとCCPUがインタフェース(I/F)を介して互いに情報の送受信が可能となった後に、CCPUの内蔵RAMに一時保存された情報を、ACPUとCCPU間のインタフェース(I/F)を介してACPU側に送信し、ACPUは、受け取った情報を、ROMの予め決められたCCPUの情報格納領域に保存を行うように制御するものもある(例えば、特許文献2参照)。
【0030】
しかしながら、上記特許文献2では、CCPUの内蔵RAMに一時保存された情報を、ACPUとCCPU間のインタフェース(I/F)を介してACPU側に送信し、ACPUは、受け取った情報を、ROMの予め決められたCCPUの情報格納領域に保存を行うように制御するが、前述のように、インターフェース(I/F)を介してCCPU側からACPU側に異常発生時の履歴を送信し、ACPU側のROM領域に保存を行う処理の簡素化に関するものではない。
【0031】
また、回線対応部の異常を迅速に検出し得るファームウェア動作監視装置を提供するため、通信回線を介して端末通信を行う回線対応部と、この回線対応部の制御を行う制御部とを備え、この制御部が、回線対応部の動作をタイマによって監視するファームウェア動作監視装置において、制御部と回線対応部との間に当該両者に共通の共有メモリを設け、この共有メモリ上に、タイマーカウント値を保持するエリアが設けられ、そして、制御部が、タイマーカウント値を減算すると共に,このタイマーカウント値が0になったときにタイムアウトを検出し出力し、回線対応部が、当該回線対応部の処理の内容によってタイマーカウント値をダイナミックに変更するようにしたものがある(例えば、特許文献3参照)。
【0032】
しかしながら、上記特許文献3では、制御部と回線対応部との間に当該両者に共通の共有メモリを設け、この共有メモリ上に、タイマーカウント値を保持するエリアが設けられるが、前述のように、インターフェース(I/F)を介してCCPU側からACPU側に異常発生時の履歴を送信し、ACPU側のROM領域に保存を行う処理の簡素化に関するものではない。
【0033】
また、複数のプロセッサをバス接続した計算装置において、使用中に障害解析が不可能である用途においても特別に計測装置を付加することなく、使用後に障害解析を可能とするため、バスに接続してバス・トランザクションを監視するバス監視手段と、上記バスに接続してバス上の信号値を記憶する履歴記憶手段とを設けることにより、障害発生時にその直前のプロセッサ間相互作用の情報を自動的に保存するようにしたので、使用中に障害解析が不可能である用途においても特別に計測装置を付加することなく、後でこの障害情報を読みだして解析することができるものもある(例えば、特許文献4参照)。
【0034】
しかしながら、上記特許文献4では、、使用中に障害解析が不可能である用途においても、使用後に障害解析を可能とするが、前述のように、インターフェース(I/F)を介してCCPU側からACPU側に異常発生時の履歴を送信し、ACPU側のROM領域に保存を行う処理の簡素化に関するものではない。
【0035】
【特許文献1】特開2003−345528号公報
【特許文献2】特開2007−316918号公報
【特許文献3】特開平05−204808号公報
【特許文献4】特開平07−230432号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0036】
したがって、本発明は上記問題点に鑑みて、インターフェース(I/F)を介してCCPU側からACPU側に異常発生時の履歴を送信し、ACPU側のROM領域に保存を行う処理の簡素化を可能とする異常発生時における解析データ収集制御装置、方法、プログラム及び移動無線通信端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0037】
本発明は前記問題点を解決するために、2つのCPUで構成されるプラットフォームの異常発生時における解析データ収集制御装置において、通信部分の制御を行うCCPU及びCCPUの制御を行うプログラムを保持する揮発性メモリを有する通信ユニットと、アプリケーション部分の制御を行うACPU並びにACPU及びCCPUの制御を行うプログラムを保持する不揮発性メモリを有し、起動時にACPU及びCCPU間のインターフェースでCCPUのプログラムを前記通信ユニットの揮発性メモリに転送するアプリケーションユニットと、前記通信ユニット及び前記アプリケーションユニットで共有され、且つ、前記通信ユニットでの異常発生時に異常発生の履歴情報であるデバッグデータを保持する共有揮発性メモリとを備え、前記アプリケーションユニットでは、異常発生からの復帰時に前記共有揮発性メモリから保持された異常発生の履歴情報であるデバッグデータを読み出して前記アプリケーションユニットの不揮発性メモリに書き込むことを特徴とする、異常発生時における解析データ収集制御装置を提供する。
【0038】
さらに、前記共有揮発性メモリに保持される異常発生の履歴情報のデータフォーマットには異常発生の履歴情報の保持時に有効フラグを立てる書き込みを行い、起動処理時に有効フラグの確認後に前記アプリケーションユニットの不揮発性メモリへの書き込みを行う。
前記通信ユニットの揮発性メモリと、前記アプリケーションユニットでワークエリアとして使用される揮発性メモリを前記共通揮発性メモリに統合し、ACPUとCCPU間のプログラムの送受信は前記共有揮発性メモリを介して行う。
【0039】
さらに、本発明は、2つのCPUで構成されるプラットフォームの異常発生時における解析データ収集制御方法において、アプリケーションユニット側でアプリケーション部分の制御を行うACPU及び通信ユニット側で通信部分の制御を行うCCPUの制御を行う双方のプログラムをアプリケーションユニット側で保持する不揮発性メモリから起動時にCCPUのプログラムを読み出してACPU及びCCPU間のインターフェースを介して不揮発性メモリから通信ユニット側の揮発性メモリに転送する工程と、前記通信ユニット側での異常発生時に前記通信ユニット側及び前記アプリケーションユニット側で共有される共有揮発性メモリに異常発生の履歴情報であるデバッグデータを保持する工程と、異常発生からの復帰時に前記共有揮発性メモリから保持された異常発生の履歴情報であるデバッグデータを読み出して前記アプリケーションユニット側の不揮発性メモリに書き込む工程とを備えることを特徴とする、異常発生時における解析データ収集制御方法を提供する。
【0040】
さらに、本発明は、2つのCPUで構成されるプラットフォームの異常発生時における解析データ収集制御プログラムにおいて、アプリケーションユニット側でアプリケーション部分の制御を行うACPU及び通信ユニット側で通信部分の制御を行うCCPUの制御を行う双方のプログラムをアプリケーションユニット側で保持する不揮発性メモリから起動時にCCPUのプログラムを読み出してACPU及びCCPU間のインターフェースを介して不揮発性メモリから通信ユニット側の揮発性メモリに転送する手順と、前記通信ユニット側での異常発生時に前記通信ユニット側及び前記アプリケーションユニット側で共有される共有揮発性メモリに異常発生の履歴情報であるデバッグデータを保持する手順と、異常発生からの復帰時に前記共有揮発性メモリから保持された異常発生の履歴情報であるデバッグデータを読み出して前記アプリケーションユニット側の不揮発性メモリに書き込む手順とを備えることを特徴とする、異常発生時における解析データ収集制御プログラムを提供する。
【0041】
さらに、本発明は、2つのCPUで構成されるプラットフォームの異常発生時における解析データ収集制御を行う移動無線通信端末において、通信部分の制御を行うCCPU及びCCPUの制御を行うプログラムを保持する揮発性メモリを有する通信ユニットと、アプリケーション部分の制御を行うACPU並びにACPU及びCCPUの制御を行うプログラムを保持する不揮発性メモリを有し、起動時にACPU及びCCPU間のインターフェースでCCPUのプログラムを前記通信ユニットの揮発性メモリに転送するアプリケーションユニットと、前記通信ユニット及び前記アプリケーションユニットで共有され、且つ、前記通信ユニットでの異常発生時に異常発生の履歴情報であるデバッグデータを保持する共有揮発性メモリとを備え、前記アプリケーションユニットでは、異常発生からの復帰時に前記共有揮発性メモリから保持された異常発生の履歴情報であるデバッグデータを読み出して前記アプリケーションユニットの不揮発性メモリに書き込むことを特徴とする、異常発生時における解析データ収集制御を行う移動無線通信端末を提供する。
【発明の効果】
【0042】
以上説明したように、本発明によれば、アプリケーションユニット側でアプリケーション部分の制御を行うACPU及び通信ユニット側で通信部分の制御を行うCCPUの制御を行う双方のプログラムをアプリケーションユニット側で保持する不揮発性メモリから起動時にCCPUのプログラムを読み出してACPU及びCCPU間のインターフェースを介して不揮発性メモリから通信ユニット側の揮発性メモリに転送し、通信ユニット側での異常発生時に通信ユニット側及びアプリケーションユニット側で共有される共有揮発性メモリに異常発生の履歴情報であるデバッグデータを保持し、異常発生からの復帰時に共有揮発性メモリから保持された異常発生の履歴情報であるデバッグデータを読み出してアプリケーションユニット側の不揮発性メモリに書き込むようにしたので、異常発生時の異常発生の履歴情報であるデバッグデータの書き込み先を共有メモリであるRAMにすることで、異常復帰語のROMのCCPUに対する情報保持領域にデバッグデータを保持する処理をACPUだけで行うことができるようになり、従来行っていたCCPU側の処理、ACPUとCCPU間のインターフェース(I/F)でのACPUとCCPUのデータ受け渡しなどの処理が不要となり、処理が簡素化される。
【0043】
また、異常によってシステムリセットし再起動(復帰処理)後にCCPU側で異常が継続した場合、従来の動作では、通信ユニットでの異常発生時の異常発生の履歴情報であるデバッグデータをROMに保持することは不可能であったが、本発明によれば、ACPU側の処理のみであるため通信ユニットでの異常発生時の異常発生の履歴情報であるデバッグデータを保持することができるという効果を奏する。
これにより、移動無線通信端末の開発において、ソフトウエア、システム動作の評価検証の開発者及び評価者の開発、評価効率向上、製品出荷後に不具合・不良が発生し市場より戻り時に不具合の解析に本発明の適用が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明に係る移動無線通信端末の基本的な構成例を示すブロック図である。本図に示すように、図3と比較して、ACPU108及びCCPU104にはRAM118が接続され、RAM118は揮発性のメモリでありCCPU104とACPU108が共有する共有揮発性メモリである。
【0045】
なお、RAM112とRAM106がRAM118に統合され、ACPU108とCCPU104間のデータの送受信は共有メモリのRAM118を介して行う構成でもよい。これにより、インターフェース(I/F)を介してCCPU側とACPU側間の送受信の処理のさらなる簡素化が可能となる。
以下に動作例について詳細に説明を行う。
【0046】
図2は図1における移動無線通信端末150の一連の動作例を説明するフローチャートである。本図に示すように、ステップS301において、異常が発生したとする。
ステップS302において、異常検出後に異常発生時の要因、ソフトウエアの動作状態、ソフトウエア、システムの動作の評価検証に必要な情報を供給メモリのRAM118に保持する。
【0047】
なお、保持する情報のデータフォーマットは事前に設計者によって規定しておく必要がある。
また、データフォーマットには共有メモリのRAM118内に保存されているデータが有効なものか無効なものかを示すフラグを設け、異常発生時の履歴の情報を保持した時にはこのフォーマットに従い有効フラグを立てる書き込みを行う。
【0048】
ステップS303において、異常からの復帰処理のためシステムリセットを行われることを示す。このシステムリセットでも共有メモリのRAM118内のデータは保持される。
ステップS304、ステップS305において、システムリセット後の起動処理が行われる。
ステップS306において、ACPU108は異常情報保持フラグの読み出しを行う。
ステップS307において、読み出したデータのフラグの確認を行う。なお、ステップS301において、異常情報一時保持が行われていれば、有効フラグが立っている。有効フラグが確認された場合にはステップS308に進む。無効フラグであった場合、情報が保持されていないことを意味するため異常時情報保持処理を終了となる。
【0049】
ステップS308において、ACPU108は共有メモリのRAM118よりデータを読み出しROM111にCCPU104の情報保持領域に保持を行う。
ステップS309、ステップS310において、保持完了後には共有メモリのRAM118に保存されているデータをクリアする処理を行い、処理を終了する。
したがって、本発明によれば、従来ではアプリケーションユニット107での異常発生時にCCPU104内蔵のRAM105のメモリ領域にデバッグデータの書き込みをして、異常からの復帰の再起動で、ACPU108とCCPU104間のインターフェース(I/F)を介してACPU108側に送信し、ACPU108側は予め決められたCCPU104の情報保持領域に保持を行うような制御であったが、異常発生時の異常発生の履歴情報であるデバッグデータの書き込み先を共有メモリであるRAM118にすることで、異常復帰語のROM111のCCPU104に対する情報保持領域にデバッグデータを保持する処理をACPU108だけで行うことができるようになり、従来行っていたCCPU104側の処理、ACPU108とCCPU104間のインターフェース(I/F)でのACPU108とCCPU104のデータ受け渡しなどの処理が不要となり、処理が簡素化される。
【0050】
また、異常によってシステムリセットし再起動(復帰処理)後にCCPU104側で異常が継続した場合、従来の動作では、通信ユニット100での異常発生時の異常発生の履歴情報であるデバッグデータをROM111に保持することは不可能であったが、本発明によれば、ACPU108側の処理のみであるため通信ユニット100での異常発生時の異常発生の履歴情報であるデバッグデータを保持することができるという効果を奏する。
これにより、移動無線通信端末の開発において、ソフトウエア、システム動作の評価検証の開発者及び評価者の開発、評価効率向上、製品出荷後に不具合・不良が発生し市場より戻り時に不具合の解析に本発明の適用が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
以上の説明は移動無線通信端末について行ったが、これに限らず、携帯電話機、PHS(簡易型携帯電話機)、PDA(携帯情報端末)にも本発明の利用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に係る移動無線通信端末の基本的な構成例を示すブロック図である。
【図2】図1における移動無線通信端末150の一連の動作例を説明するフローチャートである。
【図3】本発明の前提となる移動無線通信端末の基本的な構成例を示すブロック図である。
【図4】図3における移動無線通信端末150の一連の動作例を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0053】
100…通信ユニット
101…アンテナ
102…無線部
103…ベースバンド
104…CCPU
105、106、112…RAM
107…アプリケーションユニット
108…ACPU
109…コーデック
110…記憶部
111…ROM
113…スピーカ
114…マイクロフォン
115…操作部
116…表示部
117…外部インターフェース(I/F)
118…共有揮発性メモリ
150…移動無線通信端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つのCPUで構成されるプラットフォームの異常発生時における解析データ収集制御装置において、
通信部分の制御を行うCCPU及びCCPUの制御を行うプログラムを保持する揮発性メモリを有する通信ユニットと、
アプリケーション部分の制御を行うACPU並びにACPU及びCCPUの制御を行うプログラムを保持する不揮発性メモリを有し、起動時にACPU及びCCPU間のインターフェースでCCPUのプログラムを前記通信ユニットの揮発性メモリに転送するアプリケーションユニットと、
前記通信ユニット及び前記アプリケーションユニットで共有され、且つ、前記通信ユニットでの異常発生時に異常発生の履歴情報であるデバッグデータを保持する共有揮発性メモリとを備え、
前記アプリケーションユニットでは、異常発生からの復帰時に前記共有揮発性メモリから保持された異常発生の履歴情報であるデバッグデータを読み出して前記アプリケーションユニットの不揮発性メモリに書き込むことを特徴とする、異常発生時における解析データ収集制御装置。
【請求項2】
前記共有揮発性メモリに保持される異常発生の履歴情報のデータフォーマットには異常発生の履歴情報の保持時に有効フラグを立てる書き込みを行い、起動処理時に有効フラグの確認後に前記アプリケーションユニットの不揮発性メモリへの書き込みを行うことを特徴とする、請求項1に記載の異常発生時における解析データ収集制御装置。
【請求項3】
前記通信ユニットの揮発性メモリと、前記アプリケーションユニットでワークエリアとして使用される揮発性メモリを前記共通揮発性メモリに統合し、ACPUとCCPU間のプログラムの送受信は前記共有揮発性メモリを介して行うことを特徴とする、請求項1に記載の異常発生時における解析データ収集制御装置。
【請求項4】
2つのCPUで構成されるプラットフォームの異常発生時における解析データ収集制御方法において、
アプリケーションユニット側でアプリケーション部分の制御を行うACPU及び通信ユニット側で通信部分の制御を行うCCPUの制御を行う双方のプログラムをアプリケーションユニット側で保持する不揮発性メモリから起動時にCCPUのプログラムを読み出してACPU及びCCPU間のインターフェースを介して不揮発性メモリから通信ユニット側の揮発性メモリに転送する工程と、
前記通信ユニット側での異常発生時に前記通信ユニット側及び前記アプリケーションユニット側で共有される共有揮発性メモリに異常発生の履歴情報であるデバッグデータを保持する工程と、
異常発生からの復帰時に前記共有揮発性メモリから保持された異常発生の履歴情報であるデバッグデータを読み出して前記アプリケーションユニット側の不揮発性メモリに書き込む工程とを備えることを特徴とする、異常発生時における解析データ収集制御方法。
【請求項5】
2つのCPUで構成されるプラットフォームの異常発生時における解析データ収集制御プログラムにおいて、
アプリケーションユニット側でアプリケーション部分の制御を行うACPU及び通信ユニット側で通信部分の制御を行うCCPUの制御を行う双方のプログラムをアプリケーションユニット側で保持する不揮発性メモリから起動時にCCPUのプログラムを読み出してACPU及びCCPU間のインターフェースを介して不揮発性メモリから通信ユニット側の揮発性メモリに転送する手順と、
前記通信ユニット側での異常発生時に前記通信ユニット側及び前記アプリケーションユニット側で共有される共有揮発性メモリに異常発生の履歴情報であるデバッグデータを保持する手順と、
異常発生からの復帰時に前記共有揮発性メモリから保持された異常発生の履歴情報であるデバッグデータを読み出して前記アプリケーションユニット側の不揮発性メモリに書き込む手順とを備えることを特徴とする、異常発生時における解析データ収集制御プログラム。
【請求項6】
2つのCPUで構成されるプラットフォームの異常発生時における解析データ収集制御を行う移動無線通信端末において、
通信部分の制御を行うCCPU及びCCPUの制御を行うプログラムを保持する揮発性メモリを有する通信ユニットと、
アプリケーション部分の制御を行うACPU並びにACPU及びCCPUの制御を行うプログラムを保持する不揮発性メモリを有し、起動時にACPU及びCCPU間のインターフェースでCCPUのプログラムを前記通信ユニットの揮発性メモリに転送するアプリケーションユニットと、
前記通信ユニット及び前記アプリケーションユニットで共有され、且つ、前記通信ユニットでの異常発生時に異常発生の履歴情報であるデバッグデータを保持する共有揮発性メモリとを備え、
前記アプリケーションユニットでは、異常発生からの復帰時に前記共有揮発性メモリから保持された異常発生の履歴情報であるデバッグデータを読み出して前記アプリケーションユニットの不揮発性メモリに書き込むことを特徴とする、異常発生時における解析データ収集制御を行う移動無線通信端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−199317(P2009−199317A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−40087(P2008−40087)
【出願日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】