説明

異常脂血症、高コレステロール血症及び糖尿病の処置のためのRXRアゴニストとしての1,2,3,5−テトラヒドロ−シクロペンタ[C]キノリン−4−オン誘導体

【化1】


本発明は式(I)の化合物、これらの化合物、組成物、中間体及びそれらの誘導体を調製する方法並びにRXR媒介性障害を処置する方法を対象とする。より具体的には、本発明の化合物はRXR媒介性障害を処置するために有用なRXRアゴニストである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の新規化合物、それらの化合物、組成物、中間体及び誘導体を調製する方法並びに癌及び代謝障害を処置する方法に関する。より具体的には、本発明の化合物は、癌並びに糖尿病、異常脂血症及び高コレステロール血症のような代謝障害の開始を処置、改善又は抑制するために有用なレチノイドX受容体(RXR)アゴニストである。
【背景技術】
【0002】
糖尿病は動物の炭水化物、脂肪及びタンパク質代謝に影響を与える慢性障害である。
【0003】
全糖尿病の症例の約10%を含んでなるI型糖尿病は以前、インスリン−依存型糖尿病(「IDDM」)又は若年発生糖尿病と呼ばれていた。この疾患は膵臓のベータ細胞によるインスリン分泌機能の進行性喪失を特徴とする。この特徴はまた、膵臓疾患にその起源を有する非特発性又は「二次的」糖尿病によっても共有される。I型糖尿病は次の臨床徴候又は症状:恒常的に高い血糖濃度又は高血糖症;多尿;多渇症及び/又は過食;網膜症、腎障害及び神経障害のような慢性微小血管合併症;並びに盲目、末期腎疾患、四肢切断及び心筋梗塞をもたらす可能性がある高脂血症及び高血圧のような大血管合併症、を伴う。
【0004】
II型糖尿病(非インスリン−依存型糖尿病又はNIDDM)はブドウ糖代謝の調節不全及びインスリン感受性障害を伴う代謝障害である。II型糖尿病は通常、成人に発症し、十分なインスリンを利用する又は製造する身体の能力欠如と関連する。II型糖尿病罹患患者は、標的組織に認められるインスリン抵抗性に加えて、相対的インスリン欠乏を有し、――すなわち、患者は一定の血漿ブドウ糖濃度に対して予測されるものより低いインスリンレベルを有する。II型糖尿病は次の臨床徴候又は症状:恒常的に高い血漿糖濃度又は高血糖症;多尿;多渇症及び/又は過食;網膜症、腎障害及び神経障害のような慢性微小血管合併症;並びに盲目、末期腎疾患、四肢切断及び心筋梗塞をもたらす可能性がある高脂血症及び高血圧のような大血管合併症を特徴として示す。
【0005】
異常脂血症(dyslipidemia)又は障害脂血症(dislipidemia)は、リポタンパク質の過剰生産又は欠乏を包含し、それは時々糖尿病と関連して、脂血症の一般的な原因である。例えば糖尿病を有する成人は、彼らのLDL、HDL、総コレステロール及びトリグリセリドを定期的に測定されることが推奨される。このような成人に対する望ましいレベルは:LDL−100mg/dL(2.60ミリモル/L)未満、HDL―40mg/dL(1.02ミリモル/L)以上、及びトリグリセリド−150mg/dL(1.7ミリモル/L)未満である可能性がある。血中コレステロールが高すぎると、その状態は高コレステロール血症と呼ばれる。1例において、異常脂血症は高トリグリセリド血症及び混合高脂血症を包含することができる。前記のインデックスに関して、異常脂血症(高脂血症を包含)は1種又は複数の以下の状態:低HDL(<35又は40mg/dl)、高トリグリセリド(>200mg/dl)及び高LDL(>150mg/dl)、であることができる。
【0006】
レチノイド様作用を有する化合物は多数の疾患及び状態の症状及び状態を予防、処置又は少なくとも改善するために有用である。レチノイド受容体には2種の主要なタイプ:それらのサプタイプRXRα、β、γを包含するレチノイドX受容体(RXR)及び、これもまた、それらのサプタイプRARα、β、γを包含するレチノイン酸受容体(RAR)、が存在する。レチノイド受容体モジュレーターは、限定せずに、II型糖尿病、異常脂血症、高コレステロール血症及びアテローム性動脈硬化症のような代謝障害並びに乳房、皮膚、前立腺、子宮頸部、子宮体、結腸、膀胱、食道、胃、肺、喉頭、口腔、血液及び/又はリンパ系の種々の癌及び前癌状態を包含する、種々の状態に有用である。例えば、RXRは核受容体の上科(superfamily)に属し、胚の発育、増殖、分化、細胞死及びホメオスタシスにおいてステロイドホルモン、レチノイド、甲状腺ホルモン及びビタミンDの広範な生理学的機能を媒介する多数のリガンド−調節転写因子よりなる(非特許文献1、2参照)。
【0007】
RXRモジュレーターはインスリン感受性誘発薬(sensitizing drugs)として特定された。それらの遺伝的及び環境的背景に拘わらず、すべての糖尿病はインスリンの見かけの欠乏又は不適切なインスリン機能を共通に有する。血液中から筋肉及び脂肪組織中へのブドウ糖の移動がインスリン依存性であるために、糖尿病はブドウ糖を適当に利用する能力に欠け、それが血中ブドウ糖の望ましくない蓄積又は高血糖症をもたらす。慢性高血糖症はインスリン分泌の減少を導き、インスリン抵抗性の増加に寄与し、その結果、血糖濃度が増加し、そのため糖尿病が自己悪化する(非特許文献3、4参照)。従って、高血糖症を処置することにより、前記の自己悪化サイクルを妨げることができ、それにより、糖尿病の予防又は処置が可能になる。
【0008】
特許文献1はレチノイド様生物学的活性を有する新規化合物を対象とする(特許文献1参照)。より具体的には、それは置換テトラヒドロキノリン部分及び2,4−ペンタジエン酸部分を包含し、そしてレチノイドX受容体に対して選択的活性を有する化合物を対象とする。
【0009】
特許文献2はレチノイド様、レチノイドアンタゴニスト及び/又はレチノイド反アゴニスト様生物学的活性を有する新規化合物を対象とする(特許文献2参照)。より具体的には、それは、レチノイド受容体に結合し、そしてレチノイド様、レチノイドアンタゴニスト又はレチノイド反アゴニスト様生物学的活性を有するアリール置換テトラヒドロキノリン誘導体を対象とする。
【0010】
新RXRアゴニストには継続的需要が存在する。更に、限定せずに、癌並びに糖尿病、異常脂血症及び高コレステロール血症のような代謝障害を包含する状態の処置に有用なRXRアゴニストの需要も存在する。
【特許文献1】Vasudevan et al.,米国特許第6048873号明細書
【特許文献2】Beard et al.,米国特許第5739338号明細書
【非特許文献1】Mangelsdorf,D.J.,et al.,Cell 83,841−850(1995)
【非特許文献2】Kastner,P.,et al.,Cell 83,859−869(1995)
【非特許文献3】Diabetologia,1985,”Hyperglycaemia as an inducer as well as a consequence of impaired isle cell function and insulin resistance:Implications for the management of diabetes(損傷膵島機能及びインスリン抵抗性の誘発物質及びそれらの結果としての高血糖症:糖尿病の管理のための示唆)”,Vol.28,p.119
【非特許文献4】Diabetes Cares,1990,Vol.13,No.6,”Glucose Toxicity”,pp.610−630
【発明の開示】
【0011】
本発明の一つのアスペクトは、式(I)
【0012】
【化1】

【0013】
[式中、
はH又はC1−3アルキルであり、

【0014】
【化2】

【0015】
であり、ここで
Zは
【0016】
【化3】

【0017】
から選択され、
Xは結合、場合により置換されていてもよい−O−C1−5アルキレン及び場合により置換されていてもよいC1−6アルキレンから選択され、
はH又は場合により置換されていてもよいC1−3アルコキシであり、そして
nは1、2又は3である、
あるいはまた、
はH又は場合により置換されていてもよいC1−3アルキルであり、
但し、R
【0018】
【化4】

【0019】
である時は、R
【0020】
【化5】

【0021】
であることはできないこととし、
更に但し、RがH又は場合により置換されていてもよいC1−3アルキルである時は、RはH又は場合により置換されていてもよいC1−3アルキルであることはできないこととし、そして

【0022】
【化6】

【0023】
であり、ここで
Zは
【0024】
【化7】

【0025】
から選択され、
Xは結合、場合により置換されていてもよい−O−C1−5アルキレン及び場合により置換されていてもよいC1−6アルキレンから選択され、
はH又は場合により置換されていてもよいC1−3アルコキシであり、そして
nは1、2又は3である、
あるいはまた、
はH又は場合により置換されていてもよいC1−3アルキルであり、
但し、R
【0026】
【化8】

【0027】
である時は、R
【0028】
【化9】

【0029】
であることはできないこととし、
更に但し、RがH又は場合により置換されていてもよいC1−3アルキルである時は、RはH又は場合により置換されていてもよいC1−3アルキルであることはできないこととする]
の化合物又はその光学異性体、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体又は製薬学的に許容できる塩を特徴とする。
【0030】
本発明のもう1つのアスペクトは、少なくとも1種の式(I)の化合物及び少なくとも1種の製薬学的に許容できる担体を含んでなる製薬学的組成物を特徴とする。
【0031】
本発明の1つの態様は、治療的に有効量の少なくとも1種の式(I)の化合物を被験体に投与する方法を含んでなる、治療を要する被験体のRXR媒介性症状を処置、予防又は改善する方法である。特にそれは、治療的に有効量の、(a)少なくとも1種の式(I)の化合物並びに(b)それらの同時投与がいずれの順序でもよい、レチノイド受容体アゴニスト、抗糖尿病剤、脂質降下剤、抗血栓剤及び血圧降下剤から選択される少なくとも1種の更なる物質を被験体に投与する方法を含んでなる、治療を要する被験体における、癌、糖尿病、異常脂血症、高コレステロール血症及びそれらの関連症状又は合併症から選択される状態を処置、予防又は改善する方法を提供することが本発明の1つの態様である。1つの態様において、更なる物質はRXRアゴニストである。
【0032】
本発明のもう1つの態様は、治療的に有効量の、(a)少なくとも1種の式(I)の化合物並びに(b)それらの同時投与がいずれの順序でもよく、そして合わせた量が所望の予防的効果を提供する、レチノイド受容体アゴニスト、抗糖尿病剤、脂質降下剤、抗血栓剤及び血圧降下剤から選択される少なくとも1種の更なる物質を被験体に投与する方法を含んでなる、治療を要する被験体におけるRXR媒介性症状の開始を抑制する方法である。1つの態様において、更なる物質はRXRアゴニストである。
【0033】
式(I)に従ういずれかの化合物及び製薬学的に許容できる担体を混合する工程を含んでなる、製薬学的組成物を製造する方法を提供することが本発明の更なる態様である。
【0034】
開示された方法において、糖尿病、異常脂血症、高コレステロール血症及びそれらの関連症状又は合併症は例えば、IDDM、NIDDM、IGT(Impaired Glucose Tolerance(耐糖能障害))、IFG(Impaired Fasting Glucose(空腹時血糖障害))、シンドロームX(又は代謝症候群)、インスリン抵抗性、肥満、高脂血症(相Iの高脂血症、臨床発現前の高脂血症及び相IIの高脂血症を包含)、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、インスリン抵抗性、異常脂血症、ネフロパチー、神経障害、網膜症、アテローム性動脈硬化症、低HDL、非アルコール性脂肪肝、多嚢胞性卵巣症候群、高血圧(hypertension)、虚血、発作、高血圧(high blood pressure)、心疾患(例えば、限定されずに、非STセグメント心筋梗塞及びSTセグメント上昇心筋梗塞を包含する急性冠状動脈症候群又はACS)、過敏性大腸障害、炎症、心血管障害及び白内障、から選択することができる。
【0035】
本発明のもう1つのアスペクトは、高トリグリセリド血症を処置し、HDLレベルを上昇させ、LDLレベルを低下させ、そして/又は総コレステロールを低下させる方法を対象とする。
【0036】
本発明の更なる態様及び利点は、以下の詳細な考察、実施例及び請求項から明白になるであろう。
【0037】
発明の詳細な説明
本発明は糖尿病、異常脂血症及び高コレステロール血症並びにそれらの関連症状又は合併症のような状態の処置又は予防のための新RXRアゴニスト及びそれらの組成物を対象とする。
【0038】
本発明の1つのアスペクトは、式(I)
【0039】
【化10】

【0040】
[式中、
はH又はC1−3アルキルであり、
は独立して
【0041】
【化11】

【0042】
であり、ここで
Zは
【0043】
【化12】

【0044】
から選択され、
Xは結合、場合により置換されていてもよい−O−C1−5アルキレン及び場合により置換されていてもよいC1−6アルキレンから選択され、
はH又は場合により置換されていてもよいC1−3アルコキシであり、そして
nは1、2又は3である、
あるいはまた、
はH又は場合により置換されていてもよいC1−3アルキルであり、
但し、R
【0045】
【化13】

【0046】
である時は、R
【0047】
【化14】

【0048】
であることはできないこととし、
更に但し、RがH又は場合により置換されていてもよいC1−3アルキルである時は、RはH又は場合により置換されていてもよいC1−3アルキルであることはできないこととし、そして
は独立して
【0049】
【化15】

【0050】
あり、ここで
Zは
【0051】
【化16】

【0052】
から選択され、
Xは結合、場合により置換されていてもよい−O−C1−5アルキレン及び場合により置換されていてもよいC1−6アルキレンから選択され、
はH又は場合により置換されていてもよいC1−3アルコキシであり、そして
nは1、2又は3である、
あるいはまた、
はH又は場合により置換されていてもよいC1−3アルキルであり、
但し、R
【0053】
【化17】

【0054】
である時は、R
【0055】
【化18】

【0056】
であることはできないこととし、
更に但し、RがH又は場合により置換されていてもよいC1−3アルキルである時は、RはH又は場合により置換されていてもよいC1−3アルキルであることはできないこととする]
の化合物又はその光学異性体、エナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体又は製薬学的に許容できる塩を特徴とする。
【0057】
特に、本発明は、RがH又はC1−3アルキルである式(I)の化合物を特徴とする。更に具体的にはRはC1−3アルキルである。
【0058】
特に、本発明は、R又はR
【0059】
【化19】

【0060】
であり、ここでZが
【0061】
【化20】

【0062】
である式(I)の化合物を特徴とする。より具体的には、Zは
【0063】
【化21】

【0064】
である。
【0065】
特に、本発明は、R又はR
【0066】
【化22】

【0067】
であり、ここでZが
【0068】
【化23】

【0069】
である式(I)の化合物を特徴とする。更に具体的には、Zは
【0070】
【化24】

【0071】
である。
【0072】
特に、本発明は、R又はR
【0073】
【化25】

【0074】
であり、ここでXが結合である式(I)の化合物を特徴とする。
【0075】
特に、本発明は、R又はR
【0076】
【化26】

【0077】
であり、ここでXが場合により置換されていてもよい−O−C1−5アルキレンである式(I)の化合物を特徴とする。更に具体的には、C1−5アルキレンは飽和されている。更に具体的には、C1−5アルキレンは
【0078】
【化27】

【0079】
である。更に具体的には、C1−5アルキレン中の1、2、3、4又は5個の水素原子は更にハロで置換されている。好ましくは、C1−5アルキレン中の1、2又は3個の水素原子は更にハロで置換されている。特に、ハロはFである。
【0080】
特に、本発明は、R又はR
【0081】
【化28】

【0082】
であり、ここでXが場合により置換されていてもよいC1−6アルキレンである式(I)の化合物を特徴とする。より具体的には、C1−6アルキレンは飽和されている。より具体的には、C1−6アルキレンは
【0083】
【化29】

【0084】
である。より具体的には、C1−6アルキレン中の1、2又は3個の水素原子は更にハロで置換されている。具体的にはハロはFである。
【0085】
特に、本発明は、R又はR
【0086】
【化30】

【0087】
であり、ここでXが場合により置換されていてもよい−O−C1−5アルキレン又は場合により置換されていてもよいC1−6アルキレンであり、ここでアルキレンが不飽和である式(I)の化合物を特徴とする。更に具体的には、アルキレンは二重結合又は三重結合を含有する。
【0088】
特に、本発明は、Rが−OCF、−OCH、−OCHCF又は−CH=CH−C(O)OHである式(I)の化合物を特徴とする。
【0089】
特に、本発明は、式中、
が−CHCHであり、

【0090】
【化31】

【0091】
であり、ここで
Zは
【0092】
【化32】

【0093】
であり、
Xは−CHCH−又は−CH=CH−であり、そして
は−OCFであり、そして
nは1である、
あるいはまた、
がHであり、
但し、R
【0094】
【化33】

【0095】
である時は、R
【0096】
【化34】

【0097】
であることはできないこととし、
更に但し、RがHである時は、RはHであることはできないこととし、そして

【0098】
【化25】

【0099】
であり、ここで
Zは
【0100】
【化26】

【0101】
であり、
Xは−CHCH−又は−CH=CH−であり、そして
は−OCFであり、そして
nは1である、
あるいはまた、
がHであり、
但し、R
【0102】
【化37】

【0103】
である時は、R
【0104】
【化38】

【0105】
であることはできないこととし、
更に但し、RがHである時は、RはHであることはできないこととする、
式(I)の化合物を特徴とする。
【0106】
本発明のもう1つのアスペクトは、少なくとも1種の式(I)の化合物及び少なくとも1種の製薬学的に許容できる担体を含んでなる製薬学的組成物を特徴とする。本発明のもう1つのアスペクトにおいて、製薬学的組成物は更に、RXR媒介性疾患を処置、改善そして/又は予防するための、少なくとも1種の更なる物質、薬剤、医薬、抗体及び/又はインヒビターを含んでなる。更に具体的には、式(I)の少なくとも1種の化合物は
【0107】
【化39】

【0108】
から選択される。
【0109】
もう1つの態様において、式(I)の少なくとも1種の化合物は、
【0110】
【化40】

【0111】
のいずれかである。
【0112】
本発明のもう1つの態様において、治療的に有効量の少なくとも1種の式(I)の化合物を被験体に投与する方法を含んでなる、治療を要する被験体のRXR媒介性症状を処置、予防又は改善する方法が開示される。本発明の1つの態様は、治療的に有効量の少なくとも1種の式(I)の化合物を被験体に投与する方法を含んでなる、治療を要する被験体の癌、糖尿病、異常脂血症、高コレステロール血症及びそれらの関連症状又は合併症から選択されるRXR媒介性症状を処置、予防又は改善する方法を包含する。
【0113】
本発明の更なる態様は、治療的に有効量の少なくとも1種の式(I)の化合物を被験体に投与する方法を含んでなる、治療を要する被験体の、IDDM、NIDDM、IGT、IFG、シンドロームX(又は代謝症候群)、インスリン抵抗性、肥満、高脂血症(相I高脂血症、臨床発現前の高脂血症及び相II高脂血症を包含)、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、インスリン抵抗性、異常脂血症、ネフロパチー、神経障害、網膜症、アテローム性動脈硬化症、低HDL、非アルコール性脂肪肝、多嚢胞性卵巣症候群、高血圧(hypertension)、虚血、発作、高血圧(high blood pressure)、心疾患(例えば、限定せずに、非STセグメント心筋梗塞及びSTセグメント上昇心筋梗塞を包含する急性冠状動脈症候群又はACS)、過敏性大腸障害、炎症、心血管障害及び白内障から選択されるRXR媒介性症状を処置、予防又は改善する方法である。
【0114】
本発明の1つの態様は、高トリグリセリド血症を処置し、HDLのレベルを上昇させ、LDLのレベルを低下させ、そして/又は総コレステロールを低下させる方法である。
【0115】
更に、RXRアゴニストはレチノイド受容体アゴニスト以外の第2の物質と同時投与することができ;このような第2の物質は例えば、抗糖尿病剤、脂質降下剤、血圧降下剤及び抗血栓剤(例えば、アスピリン、ヘパリン、糖タンパク質IIb−IIIaインヒビター又はファクターXaインヒビター)であってもよい。
【0116】
特に、治療的に有効量の(a)少なくとも1種の式(I)の化合物並びに(b)それらの投与がどんな順序でもよい、レチノイド受容体アゴニスト、抗糖尿病剤、脂質降下剤、抗血栓剤及び血栓降下剤から選択される少なくとも1種の更なる物質を被験体に投与する方法を含んでなる、治療を要する被験体の癌、糖尿病、異常脂血症、高コレステロール血症及びそれらの関連症状又は合併症から選択される状態を処置、予防又は改善する方法を提供することが本発明の1つの態様である。1つの態様において、更なる物質は第2のRXRアゴニストである。更なる態様において、更なる物質は抗糖尿病剤である。もう1つの態様において、更なる物質は脂質降下剤である。更にもう1つの態様において、更なる物質は抗血栓剤である。更にもう1つの態様において、更なる物質は血圧降下剤である。もう1つの態様において、更なる物質はRARアゴニストである。
【0117】
本発明のもう1つの態様は、治療的に有効量の少なくとも1種の式(I)の化合物を被験体に投与する方法を含んでなる、治療を要する被験体のRXR媒介性症状の開始を抑制する方法である。発明のもう1つの態様は、治療的に有効量の、(a)少なくとも1種の式(I)の化合物並びに(b)それらの同時投与がどんな順序でもよく、そして合わせた量が所望の予防的効果を提供する、レチノイド受容体アゴニスト、抗糖尿病剤、脂質降下剤、抗血栓剤及び血栓降下剤よりなる群から選択される少なくとも1種の化合物を被験体に投与する方法を含んでなる、治療を要する被験体の癌、糖尿病、異常脂血症、高コレステロール血症及びそれらの関連症状又は合併症から選択される状態の開始を抑制する方法である。
【0118】
本発明の更なる態様は、治療的に有効量の少なくとも1種の式(I)の化合物を被験体に投与する方法を含んでなる、治療を要する被験体における、IDDM、NIDDM、IGT、IFG、シンドロームX(又は代謝症候群)、インスリン抵抗性、肥満、高脂血症(相Iの高脂血症、臨床発現前の高脂血症及び相IIの高脂血症を包含)、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、インスリン抵抗性、異常脂血症、ネフロパチー、神経障害、網膜症、アテローム性動脈硬化症、低HDL、非アルコール性脂肪性肝炎、多嚢胞性卵巣症候群、高血圧(hypertension)、虚血、発作、高血圧(high blood pressure)、心疾患(例えば、限定せずに、非STセグメント心筋梗塞及びSTセグメント上昇心筋梗塞を包含する急性冠状動脈症候群又はACS)、過敏性大腸障害、炎症、心血管障害及び白内障から選択されるRXR媒介性症状の開始を抑制する方法である。1つの態様において、更なる物質は第2のRXRアゴニストである。更なる態様において、更なる物質は抗糖尿病剤である。もう1つの態様において、更なる物質は脂質降下剤である。更にもう1つの態様において、更なる物質は抗血栓剤である。更にもう1つの態様において、更なる物質は血圧降下剤である。もう1つの態様において、更なる物質はRARアゴニストである。
【0119】
式(I)に従ういずれかの化合物及び製薬学的に許容できる担体を混合する工程を含んでなる、製薬学的組成物を製造する方法を提供することは本発明の更なる態様である。
【0120】
本発明の更なる態様は、式(I)の化合物の治療的に有効量が約0.001mg/kg/日〜約5mg/kg/日である、治療的有効量を少なくとも1種の式(I)の化合物を被験体に投与する方法を含んでなる、治療を要する被験体のRXR媒介性症状を処置、予防又は改善する方法である。
【0121】
本発明の更なる態様は、式(I)の化合物の治療的に有効量が約0.001mg/kg/日〜約5mg/kg/日である、治療的有効量の少なくとも1種の式(I)の化合物を被験体に投与する方法を含んでなる、治療を要する被験体のRXR媒介性症状の開始を抑制する方法である。
【0122】
本発明は以下に更に説明される。
【0123】
A)用語
いくつかの用語が以下にそして本明細書全体のそれらの使用により定義される。
【0124】
本明細書で使用される「アルキル」は、別記されない限り、単独で使用されても又は置換基の一部として使用されても、1〜6個又はこの範囲内のいずれかの数の炭素原子を有する直線状、環状及び分枝鎖アルキルを包含する。アルキル基は例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、2−ブテニル、2−ブチニル、n−ペンチル、3−(2−メチル)ブチル、2−ペンチル、2−メチルブチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、2−ヘキシル及び2−メチルペンチルを包含する。「アルコキシ」基は、前記の直線状、分枝又は環状鎖アルキル基から形成される酸素エーテルである。
【0125】
用語「アルキレン」は、限定せずに、場合により置換されていてもよいC1−3アルキル及びFを包含する、場合により1〜5個の、好ましくは1〜3個の基で置換されていてもよい、直鎖、分枝又は環状アルキルあるいは直鎖又は分枝アルケニルあるいは直鎖又は分枝アルキニルを意味する。
【0126】
用語「オキソ」は単独で使用されても又は置換基の一部として使用されても、炭素又は硫黄原子のいずれかに対するO=を表す。例えば、フタルイミド及びサッカリンはオキソ置換基をもつ化合物の例である。
【0127】
用語「置換された」は、1個又は複数の水素原子がそれぞれ独立して、同一の又は異なる1個又は複数の置換基で置換されている基を表す。好ましい置換基はヒドロキシ、ハロゲン、オキソ、アミノ、カルボキシル及びアルコキシを包含する。
【0128】
置換基に関連して、用語「独立して」は、2個以上のこのような置換基が可能な場合に、このような置換基は相互に同一でも又は異なってもよいことを意味する。
【0129】
用語「組成物」は、特定の量の特定の成分を含んでなる生成物、並びに特定の量の特定の成分の組み合わせ物から直接又は間接的に生成されるいずれの生成物をも包含することが意図される。
【0130】
本明細書で使用される用語「被験体」は、処置、観察又は実験の対象である動物、好ましくは哺乳動物、もっとも好ましくはヒトを表す。
【0131】
本明細書で使用される用語「RXR」はレチノイド−X受容体を表す。
【0132】
分子中の特定の部位のいずれかの置換基又は変化物の定義は、その分子中の他の部位におけるその定義と独立であることが意図される。本発明の化合物上の置換基及び置換パターンは、化学的に安定で、当該技術分野で知られた技術並びに本明細書に示された方法により容易に合成することができる化合物を提供するように当業者により選択されることができることは理解される。
【0133】
糖尿病及び関連症状又は合併症は、IDDM、NIDDM、シンドロームX、IGT(耐糖能障害)、IFG(空腹時血糖障害)、肥満、ネフロパチー、神経障害、網膜症、アテローム性動脈硬化症、多嚢胞性卵巣症候群、高血圧(hypertension)、虚血、発作、心疾患、過敏性大腸障害、炎症及び白内障のような状態を包含する。IGT及びIFGはまた「前糖尿病状態」として知られる。
【0134】
同一組成物中に調合されても又は調合されない場合でも、開示された製薬学的組成物又は開示された薬剤組み合わせ物に対する治療的及び予防的目的のための有効量を決定する方法は当該技術分野で知られている。治療的目的のための、本明細書で使用される用語「治療的に有効量」は、処置されている疾患又は障害の症状の改善を包含する、研究者、獣医、医学博士又は他の臨床家により追求されている組織系、動物又はヒトにおける生物学的又は医学的反応を、単独で又は組み合わせて誘発する各有効化合物又は医薬の量を意味する。予防的目的のための(すなわち障害の開始又は進行を妨げるための)、用語「治療的有効量」は、研究者、獣医、医学博士又は他の臨床家により追求されている障害の発症又は進行を被験体において処置又は抑制する、単独で又は組み合わせた、各有効化合物又は医薬の量を表す。従って、本発明は、例えば(a)各薬剤が独立して治療的又は予防的に有効量で投与され、(b)組み合わせ物中の少なくとも1種の薬剤が、単独で投与される場合は、治療的以下又は予防的以下であるが、本発明に従う第2の又は更なる薬剤と組み合わせて投与される時には治療的又は予防的である量で投与される、あるいは(c)両方(又はそれ以上の)の薬剤が、単独で投与される場合は治療的未満又は予防的未満であるが、一緒に投与されると治療的又は予防的である量で投与される、2種以上の薬剤の組み合わせ物を提供する。
【0135】
用語「保護基」は、官能基を隠蔽するために使用される当該技術分野で知られた部分を表し、保護基は、その後の合成変換中あるいは代謝的又は他のインビボの投与条件により除去することができる。本発明の化合物のいずれかの調製法中に、関与するいずれかの分子上の感受性又は反応性の基を保護することが必要そして/又は望ましいかも知れない。これは、Protective Groups in Organic Chemistry,ed.J.F.W.McOmie,Plenum Press,1973;及びT.W.Greene & P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,Third Edition,John Wiley & Sons,1999中に記載のような従来の保護基により達成することができる。保護基は当該技術分野で知られた方法を使用して好都合なその後の工程で除去することができる。ヒドロキシル及びジオール保護基の例が以下に提示される。
【0136】
ヒドロキシル基の保護物は、メチルエーテル、置換メチルエーテル、置換エチルエーテル、置換ベンジルエーテル及びシリルエーテルを包含する。
【0137】
置換メチルエーテル
置換メチルエーテルの例は、メトキシメチル、メチルチオメチル、t−ブチルチオメチル、(フェニルジメチルシリル)メトキシメチル、ベンジルオキシメチル、p−メトキシベンジルオキシメチル、(4−メトキシフェノキシ)メチル、グアイアコルメチル、t−ブトキシメチル、4−ペンテニルオキシメチル、シロキシメチル、2−メトキシエトキシメチル、2,2,2−トリクロロエトキシメチル、ビス(2−クロロエトキシ)メチル、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル、テトラヒドロピラニル、3−ブロモテトラヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、1−メトキシシクロヘキシル、4−メトキシテトラヒドロピラニル、4−メトキシテトラヒドロチオピラニル、4−メトキシテトラヒドロチオピラニルS,S−ジオキシド、1−[(2−クロロ−4−メチル)フェニル]−4−メトキシピペリジン−4−イル、1,4−ジオキサン−2−イル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフラニル及び2,3,3a,4,5,6,7,7a−オクタヒドロ−7,8,8−トリメチル−4,7−メタノベンゾフラン−2−イルを包含する。
【0138】
置換エチルエーテル
置換エチルエーテルの例は、1−エトキシエチル、1−(2−クロロエトキシ)エチル、1−メチル−1−メトキシエチル、1−メチル−1−ベンジルオキシエチル、1−メチル−1−ベンジルオキシ−2−フルオロエチル、2,2,2−トリクロロエチル、2−トリメチルシリルエチル、2−(フェニルセレニル)エチル、t−ブチル、アリル、p−クロロフェニル、p−メトキシフェニル、2,4−ジニトロフェニル、ベンジル及びポリエチレングリコールエーテルを包含する。
【0139】
置換ベンジルエーテル
置換ベンジルエーテルの例は、p−メトキシベンジル、3,4−ジメトキシベンジル、o−ニトロベンジル、p−ニトロベンジル、p−ハロベンジル、2,6−ジクロロベンジル、p−シアノベンジル、p−フェニルベンジル、2−及び4−ピコリル、3−メチル−2−ピコリルN−オキシド、ジフェニルメチル、p,p’−ジニトロベンズヒドリル、5−ジベンゾスベリル、トリフェニルメチル、α−ナフチルジフェニルメチル、p−メトキシフェニルジフェニルメチル、ジ(p−メトキシフェニル)フェニルメチル、トリ(p−メトキシフェニル)メチル、4−(4’−ブロモフェナシルオキシ)フェニルジフェニルメチル、4,4’,4”−トリス(4,5−ジクロロフタルイミドフェニル)メチル、4,4’,4”−トリス(レブリノイルオキシフェニル)メチル、4,4’,4”−トリス(ベンゾイルオキシフェニル)メチル、3−(イミダゾル−1−イルメチル)ビス(4’,4”−ジメトキシフェニル)メチル、1,1−ビス(4−メトキシフェニル)−1’−ピレニルメチル、9−アンスリル、9−(9−フェニル)キサンテニル、9−(9−フェニル−10−オキソ)アンスリル、1,3−ベンゾジチオラン−2−イル及びベンズイソチアゾリルS,S−ジオキシドを包含する。
【0140】
シリルエーテル
シリルエーテルの例は、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリイソプロピルシリル、ジメチルイソプロピルシリル、ジエチルイソプロピルシリル、ジメチルヘキシルシリル、t−ブチルジメチルシリル、t−ブチルジフェニルシリル、トリベンジルシリル、トリ−p−キシリルシリル、トリフェニルシリル、ジフェニルメチルシリル及びt−ブチルメトキシフェニルシリルを包含する。
【0141】
エステル
エーテルに加えて、ヒドロキシル基はエステルとして保護することができる。エステルの例は、フォルメート、ベンゾイルフォルメート、アセテート、クロロアセテート、ジクロロアセテート、トリクロロアセテート、トリフルオロアセテート、メトキシアセテート、トリフェニルメトキシアセテート、フェノキシアセテート、p−クロロフェノキシアセテート、p−P−フェニルアセテート、3−フェニルプロピオネート、4−オキソペンタノエート(レブリネート)、4,4−(エチレンジチオ)ペンタノエート、ピバロエート、アダマントエート、クロトネート、4−メトキシクロトネート、ベンゾエート、p−フェニルベンゾエート、2,4,6−トリメチルベンゾエート(メシトエート)及びポリエチレングリコールエステルを包含する。
【0142】
カーボネート
カーボネートの例は、メチル、9−フルオレニルメチル、エチル、2,2,2−トリクロロエチル、2−(トリメチルシリル)エチル、2−(フェニルスルホニル)エチル、2−(トリフェニルホスホニオ)エチル、イソブチル、ビニル、アリル、p−ニトロフェニル、ベンジル、p−メトキシベンジル、3,4−ジメトキシベンジル、o−ニトロベンジル、p−ニトロベンジル、S−ベンジルチオカーボネート、4−エトキシ−1−ナフチル、メチルジチオカーボネート及びポリエチレングリコールカーボネートを包含する。
【0143】
補助開裂物
補助開裂物の例は、2−ヨードベンゾエート、4−アジドブチレート、4−ニトロ−4−メチルペンタノエート、o−(ジブロモメチル)ベンゾエート、2−フォルミルベンゼンスルホネート、2−(メチルチオメトキシ)エチルカーボネート、4−(メチルチオメトキシ)ブチレート及び2−(メチルチオメトキシメチル)ベンゾエートを包含する。
【0144】
多様なエステル
多様なエステルの例は、2,6−ジクロロ−4−メチルフェノキシアセテート、2,6−ジクロロ−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノキシアセテート、2,4−ビス(1,1−ジメチルプロピル)フェノキシアセテート、クロロジフェニルアセテート、イソブチレート、モノスクシノエート、(E)−2−メチル−2−ブテノエート(チグロエート)、o−(メトキシカルボニル)ベンゾエート、p−P−ベンゾエート、α−ナフトエート、ナイトレート、アルキルN,N,N’,N’−テトラメチルホスホロジアミデート、N−フェニルカルバメート、ボレート、ジメチルホスフィノチオイル及び2,4−ジニトロフェニルスルフェネートを包含する。
【0145】
スルホネート
スルホネートの例はスルフェート、メタンスルホネート(メシラート)、ベンジルスルホネート及びトシラートを包含する。
【0146】
1,2−及び1,3−ジオールの保護
環状アセタール及びケタール
環状アセタール及びケタールの例は、メチレン、エチリデン、1−t−ブチルエチリデン、1−フェニルエチリデン、(4−メトキシフェニル)エチリデン、2,2,2−トリクロロエチリデン、アセトニド(イソプロピリデン)、シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、シクロヘプチリデン、ベンジリデン、p−メトキシベンジリデン、2,4−ジメトキシベンジリデン、3,4−ジメトキシベンジリデン及び2−ニトロベンジリデンを包含する。
【0147】
環状オルソエステル
環状オルソエステルの例は、メトキシメチレン、エトキシメチレン、ジメトキシメチレン、1−メトキシエチリデン、1−エトキシエチリジン、1,2−ジメトキシエチリデン、α−メトキシベンジリデン、1−(N,N−ジメチルアミノ)エチリデン誘導体、α−(N,N−ジメチルアミノ)ベンジリデン誘導体及び2−オキサシクロペンチリデンを包含する。
【0148】
シリル誘導体
シリル誘導体の例は、ジ−t−ブチルシリレン基及び1,3−(1,1,3,3−テトライソプロピルジシロキサニリデン)誘導体を包含する。
【0149】
B)化合物
【表1】

【0150】
C)合成
本発明は伝統的な有機合成法並びにマトリックス又は組み合わせ合成法に従う、開示化合物を製造する方法を提供する。スキーム1〜5は示唆される合成経路を表す。これらのスキーム、その下の指針及び実施例を使用して、当業者は本発明の範囲内にある、与えられる化合物に対する類似の又は同様な方法を開発することができる。これらの方法は合成スキームの代表ではあるが、本発明の範囲を限定するものと解釈してはならない。
【0151】
本発明はその範囲内に本発明の化合物のプロドラッグを包含する。概括的に、このようなプロドラッグは,インビボで必要な化合物に容易に転化可能な化合物の官能誘導体であろう。従って、本発明の処置法において、用語「投与する」は、特に開示された化合物又は、特に開示されてはいないかも知れないが、被験体への投与後にインビボで特定の化合物に転化する化合物による、記載される種々の障害の処置を包含することとする。適切なプロドラッグ誘導体の選択及び調製のための従来の方法は,例えば、”Design of Prodrugs”,ed.H.Bundgaard,Elsevier,1985に記載されている。
【0152】
本発明に従う化合物が少なくとも1個のキラル中心を有する場合、それらはそれらに対応してエナンチオマーとして存在することができる。化合物が2個以上のキラル中心をもつ場合は、それらは更にジアステレオマーとして存在することができる。本発明に従う化合物の調製法が立体異性体の混合物を与える場合は、これらの異性体は分取クロマトグラフィーのような従来の方法により分離することができる。化合物はラセミ形態であるいは
立体特異的合成又は分割のいずれかにより個々のエナンチオマー又はジアステレオマーとして調製してもよい。例えば、化合物は、光学活性塩基との塩形成、続く、分別結晶化及び遊離酸の再生による立体異性体の対の形成のような、標準的方法によりそれらの成分のエナンチオマー又はジアステレオマーに分割することができる。化合物はまた,立体異性体エステル又はアミドの形成,続くクロマトグラフィー分離及びキラル補助剤の除去により分割することができる。あるいはまた,化合物を、キラルHPLCカラムを使用して分割することができる。すべての立体異性体、ラセミ混合物、それらのジアステレオマー及びエナンチオマーが本発明の範囲内に包含されることが理解される。
【0153】
本発明の化合物のいずれかの調製法中に、関与するいずれかの分子上の感受性又は反応性の基を保護することが必要そして/又は望ましいかも知れない。これは、Protective Groups in Organic Chemistry,ed.J.F.W.McOmie,Plenum Press,1973;及びT.W.Greene & P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley & Sons,1999中に記載のような従来の保護基により達成することができる。保護基は当該技術分野で知られた方法を使用して好都合なその後の工程で除去することができる。
【0154】
更に化合物の幾つかの結晶形態は多形体として存在することができ、従ってそれらも本発明内に包含されることが意図される。更に、幾つかの化合物は水と(すなわち、水和物)又は一般的有機溶媒と溶媒和を形成することができ、そしてそのような溶媒和もまた本発明の範囲内に包含されることが意図される。
【0155】
記載される合成経路の例は、実施例1〜4及びスキーム1〜5を包含する。これらの実施例の標的化合物に類似の化合物は、同様な経路に従って製造することができる。開示化合物は次の章で記載のような医薬として有用である。
【0156】
本明細書で有用な略語又は頭文字は以下を包含する:
Boc(tertブチルカルバメート)
BuLi(ブチルリチウム)
DMAP(4−(ジメチルアミノ)ピリジン)
DMF(ジメチルホルムアミド)
DMPU(1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン)
DMSO(メチルスルホキシド)
EDCI(1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸)
EtOAc(酢酸エチル)
LCMS(質量分析計を伴う高速液体クロマトグラフィー)
LHMDS(リチウムヘキサメチルジシラジド)
NaHMDS(ナトリウムヘキサメチルジシラジド)
NaOBu(ナトリウムtert−ブトキシド)
NBS(N−ブロモスクシンイミド)
NMP(N−メチルピロリジノン)
TEMPO(2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペルジニルオキシ、遊離ラジカル)
TFA(トリフルオロ酢酸)
SPE(固相抽出)
THF(テトラヒドロフラン)
TLC(薄層クロマトグラフィー)
【0157】
一般的指針
【化41】

【0158】
Aが水素(H)、C1−6アルキル又はC1−6アルコキシを表し、そしてRがC1−6アルキルを表し、そしてR及びRが前記のとおりである、上記のスキーム1aに示されるように、(i)のアニリン窒素をヨウ化アルキルで処理し、生成されたアリールブロミド(ii)を、カルボニル官能基を含有するアリールボロン酸(iii)とのスズキ反応にかけると、中間体(iv)を生成することができる。AがC1−6アルコキシである中間体(iv)を直接加水分解すると、安息香酸誘導体(Ia)を与えることができる。
【0159】
AがH、C1−6アルキル又はアリールを表し、そしてR及びRが直線状又は分枝C1−4アルキルを表し、そしてA、A及びAが独立してH、場合によりハロにより置換されていてもよい直線状又は分枝C1−4アルキル、あるいはハロを表し、そしてR及びRが独立して、直線状又は分枝C1−4アルキルを表し、そしてR及びRが前記の通りである、下記のスキーム1bは、中間体(iv)をWadsworth−Emmonの試薬(改変ウィティヒ試薬)で処理すると、置換フェニルアクリル酸エステル又はフェニルジエン酸エステルを生成し、それらのいずれも、酸性又は塩基性条件下で、対応する置換酸(Ib及びIc)に加水分解されることができることを示す。
【0160】
【化42】

【0161】
【化43】

【0162】
YがCl、Br又はIであるスキーム2に従うと、所望のキノロン中間体(x)を公表された方法、Bioorg.Med.Chem.Lett.2003,12,2561を使用して製造することができる。置換アリールイソシアネート(viii)に対するエンアミンの添加、次の酸媒介環化によりキノロン(x)を与える。キノロン中間体(x)はスキーム1aに示された合成経路におけるアリールブロミド成分(i)として使用することができる。
【0163】
【化44】

【0164】
A、A、R、R及びRが前記のとおりであるスキーム3に従うと、スキーム1a及び1bに示されるものと同様な系列により合成される(vi)及び(vii)のようなフェニルアクリル酸及びフェニルジエン酸の二重結合を、炭素上パラジウムのような金属触媒を使用する水素化により還元すると、対応するカルボン酸(1d)を与えることができる。同様な酸はまた、水素化、次のエステル官能基の加水分解により対応するエステルから合成することができる。
【0165】
【化45】

【0166】
A、A、R、R及びRが前記のとおりであるスキーム4に従うと、シクロプロピルカルボン酸(xiv)は、フェニルアクリレートエステル(xii)中への、トリメチルスルホキソニウム・ヨージド及び水酸化ナトリウムから生成されるイリドの1,4−添加により合成することができる。次にシクロプロピルエステル(xiii)を加水分解すると、対応するカルボン酸(Ie)を与えることができる。幾つかの他の方法が、パラジウム又は銅触媒の存在下で、(xii)のジアゾメタンとの反応のような、アクリレートエステルの、シクロプロピルカルボキシレートエステルへの転化につき報告されている。
【0167】
【化46】

【0168】
R、R及びRが前記に記載のとおりであるスキーム5に従うと、ベンズアルデヒド(iv)を、アルキル又はアリールグリニヤル試薬あるいはアルキル又はアリールリチウム試薬の添加によりアルデヒドに、次に対応する第二級アルコールの酸化により、対応するケトン(xv)に転化させることができる。
【0169】
がH又は場合により置換されていてもよいC1−3アルキルであり、そしてR
【0170】
【化47】

【0171】
(ここでZ、R、Xは前記のとおりである)である時は、式Iの化合物は同様な方法で製造することができる。
[実施例1]
【0172】
【化48】

【0173】
3−[3−(5−エチル−4−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−シクロペンタ[c]キノリン−8−イル)−4−トリフルオロメトキシ−フェニル]−アクリル酸(化合物1)
A.8−ブロモ−1,2,3,5−テトラヒドロ−シクロペンタ[c]キノリン−4−オン(化合物1A)
これは、Jaroch et al,Bioorg.Med.Chem.Lett.2002,12,2561に従って4−ブロモフェニルイソシアネートから製造した。MS(電子スプレー):C1210BrNOについて計算された質量,262.99;m/z実測値264,[M+H]
B.8−ブロモ−5−エチル−1,2,3,5−テトラヒドロ−シクロペンタ[c]キノリン−4−オン(化合物1B)
化合物1A(2.3g、8.7ミリモル)の溶液を35mLのDMSO中に溶解し、前以て撹拌されたDMSO中水酸化カリウム(730mg、13.1ミリモル)の2.0M溶液を添加した。次にエチルヨージド(01.45mL、17.5ミリモル)を添加し、反応物を室温で1晩撹拌した。反応物を100mLの水でクエンチし、ジクロロメタンで抽出した。合わせた有機抽出物を硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過し、過剰な溶媒を除去すると、2.13g(84%)の所望生成物を生成した。MS(電子スプレー):C1414BrNOについて計算された質量,291.03;m/z実測値292,[M+H]
C.3−(5−エチル−4−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−シクロペンタ[c]キノリン−8−イル)−4−トリフルオロメトキシ−ベンズアルデヒド(化合物1C)
丸底フラスコに化合物1B(200mg、0.69ミリモル)、2−トリフルオロメトキシ−5−ホルミルフェニルボロン酸(200mg、0.86ミリモル)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(40mg、0.035ミリモル)を充填した。フラスコをシールし、3mLのトルエン及び1mLのエタノールを添加した。生成された溶液を撹拌して反応物を溶解し、次に1mLの2MのKCO溶液をシリンジを介して添加した。反応混合物を80℃で4時間加熱した。冷却後、反応混合物を酢酸エチル(50mL)と水(25mL)間に分配した。水層を更に抽出し(2×25mL)、合わせた有機層を水、次に生理食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥し、濾過し、過剰な溶媒を回転蒸発機上で除去した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン;勾配10%〜25%)により精製すると、185mg(67%)の化合物1Cをオフホワイトの固体として与えた。MS(電子スプレー):C2218NOについて計算された質量,401.1;m/z実測値402.1,[M+H]
D.3−[3−(5−エチル−4−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−シクロペンタ[c]キノリン−8−イル)−4−トリフルオロメトキシ−フェニル]−アクリル酸tert−ブチルエステル(化合物1D)
ジメチルt−ブトキシカルボニル−メチルホスホネート(0.21mL、1.06ミリモル)(2mLの無水THF/DMPU(10:1)中)を充填したフラスコを−78℃に冷却し、そこで0.52mLのn−ブチルリチウム(2.5Mヘキサン溶液、32ミリモル)をシリンジを介して緩徐に添加した。反応混合物を−78℃で10分間撹拌し、次に化合物1C(185mg、0.48ミリモル)の溶液(2mLの無水THF中)を添加した。室温に暖め、更に20分間撹拌後、反応物を5mLの水でクエンチし、固相抽出カラム(SPE)を通した。カラムをEtOAc(50mL)で洗浄し、回収した溶離液を蒸発させると粗生成物を与え、それをフラッシュクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン、勾配15%〜30%)により精製すると、205mg(86%)の化合物1Dを泡状白色固体として与えた。MS(電子スプレー):C2828NOについて計算された質量,499.2;m/z実測値500.2,[M+H]
E.3−[3−(5−エチル−4−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−シクロペンタ[c]キノリン−8−イル)−4−トリフルオロメトキシ−フェニル]−アクリル酸(化合物1)
化合物1D(50mg、0.1ミリモル)の溶液(2mLのジクロロメタン及び1mLのトリフルオロ酢酸中)を室温で1晩撹拌した。次に反応混合物を回転蒸発機上で濃縮し、5mLのジエチルエーテルに再溶解した。この溶液にヘキサンを添加すると、曇った溶液を与え、それから、43mg(100%)の化合物1が白色固体として析出した。MS(電子スプレー):C2420NOについて計算された質量,443.1;m/z実測値444.1,[M+H]
[実施例2]
【0174】
【化49】

【0175】
3−[3−(5−エチル−4−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−シクロペンタ[c]キノリン−7−イル)−4−トリフルオロメトキシ−フェニル]−アクリル酸(化合物2)
これは、工程1Aにおいて3−ブロモフェニル−イソシアネートを使用することを除いて、化合物1を製造するために記載されたものと同様な方法を使用して調製された。MS(電子スプレー):C2420NOについて計算された質量,443.1;m/z実測値444.1,[M+H]
[実施例3]
【0176】
【化50】

【0177】
3−[3−(5−エチル−4−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−シクロペンタ[c]キノリン−8−イル)−4−トリフルオロメトキシ−フェニル]−プロピオン酸(化合物3)
化合物1(25mg、0.056ミリモル)を5mLのEtOAcに溶解し、触媒量(5mg)の10%Pd/C及びHバルーンを使用して4時間水素化した。次にPd/Cを濾去し、溶媒を蒸発させると無色の油として生成物を与えた。ヘキサン又はエーテルから蒸発させると23mgの化合物3(100%)を白色の粘性発泡体として与えた。MS(電子スプレー):C2422NOについて計算された質量,445.2;m/z実測値446.2,[M+H]
[実施例4]
【0178】
【化51】

【0179】
3−[3−(5−エチル−4−オキソ−2,3,4,5−テトラヒドロ−1H−シクロペンタ[c]キノリン−7−イル)−4−トリフルオロメトキシ−フェニル]−プロピオン酸(化合物4)
これを、化合物3を製造するために記載のものと同様な方法を使用して化合物2から調製した。MS(電子スプレー):C2422NOについて計算された質量,445.2;m/z実測値446.2,[M+H]
【0180】
D)一般的投与、調合及び用量
本発明の化合物はRXRアゴニストであり、従って、糖尿病、異常脂血症、高コレステロール血症及びそれらの関連症状又は合併症を包含する代謝障害、並びに乳房、皮膚、前立腺、子宮頸部、子宮、結腸、膀胱、食道、胃、肺、喉頭、口腔、血液及び/又はリンパ系の種々の癌又は前癌状態のようなRXR媒介性症状の進行を処置、予防又は抑制するために有用である。
【0181】
本発明は、本発明の化合物を含んでなる、治療的有効量の製薬学的組成物を被験体に投与する方法を含んでなる、RXR媒介性疾患をもつ被験体を処置する方法を特徴とする。本発明はまた、本発明の化合物を含んでなる治療的有効量の製薬学的組成物を被験体に投与する方法を含んでなる、被験体における糖尿病、異常脂血症、高コレステロール血症及びそれらの関連症状又は合併症の進行を処置又は抑制する方法を提供する。
【0182】
製薬学的に許容できる塩は、開示化合物の治療的に有効な無毒の塩を包含する。後者は好都合には、適当な酸で塩基形態を処理することにより得ることができる。適当な酸は、例えば、ハロゲン化水素酸、(例えば、塩酸又は臭化水素酸)、硫酸、硝酸、リン酸等の酸のような無機酸;あるいは、例えば酢酸、プロパン酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸、ピルビン酸、蓚酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクラミン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸、パモエ酸等の酸のような有機酸を含んでなる。用語の塩はまた、開示化合物並びにそれらの塩が形成することができる溶媒和を含んでなる。このような溶媒和は例えば水和物、アルコラート等である。反対に塩形態はアルカリとの処理により遊離塩基形態に転化することができる。
【0183】
立体異性体形態は、本発明の化合物が有することができるすべての可能な異性体形態を定義する。別に言及又は指摘されない限り、化合物の化学名は、基礎分子構造のすべてのジアステレオマー及びエナンチオマーを含有するすべての可能な立体化学的異性体形態の混合物を意味する。より具体的には、ステレオジェン中心は(R)−又は(S)−立体配置を有し;2価の環式飽和基上の置換基はシス−又はトランス−立体配置のいずれかをもつことができる。本発明は、開示化合物のジアステレオマー並びにいずれかの割合のそれらの混合物を包含する立体化学異性体形態を包含する。開示化合物はまた、それらの互変異性体形態で存在することができる。このような形態は前記及び以後の式中に明白には記載されないが、本発明の範囲内に包含されることが意図される。
【0184】
次の章は開示化合物及び組成物の使用に関する詳細な情報を包含する。
【0185】
E)使用
本発明の化合物は、例えばRXRアゴニストとして製薬学的に有効である。本発明の1つのアスペクトに従うと、化合物は好ましくは選択的RXRアゴニストである。
【0186】
RXR−媒介性疾患の例は、IDDM、NIDDM、IGT、IFG、シンドロームX(又は代謝症候群)、インスリン抵抗性、肥満、高脂血症(相Iの高脂血症、臨床発現前の高脂血症及び相IIの高脂血症を包含)、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、インスリン抵抗性、異常脂血症、ネフロパチー、神経障害、網膜症、アテローム性動脈硬化症、低HDL、非アルコール性脂肪肝、多嚢胞性卵巣症候群、高血圧(hypertension)、虚血、発作、高血圧(high blood pressure)、心疾患(例えば、限定はされない非STセグメント心筋梗塞及びSTセグメント上昇心筋梗塞を包含する急性冠状動脈症候群又はACS)、過敏性大腸障害、炎症、心血管障害及び白内障を包含する。
【0187】
本発明の1つのアスペクトに従うと、開示化合物及び組成物は、以下の状態及び疾患:相Iの高脂血症、臨床発現前の高脂血症、相IのI高脂血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、糖尿病、インスリン抵抗性、糖代謝不全、異常脂血症及び心血管障害に伴う症状の改善、それらの処置及びそれらの予防に有用である。本発明の好ましい化合物は低密度リポタンパク質(LDL)、中間密度リポタンパク質(IDL)及び/又は小LDL及びその他のアテローム発生分子又はアテローム性動脈硬化性合併症を誘発する分子の血清レベルを降下させ、それにより心血管障害及び/又はそれらの合併症を減少させるのに有用である。好ましい化合物はまた、高密度リポタンパク質(HDL)の血清レベルを上昇させ、並びにトリグリセリド及び/又は遊離脂肪酸の血清レベルを降下させるために有用である。
【0188】
本発明の1つのアスペクトに従うと、開示化合物は、製薬学的に有効量の本発明の組成物を、処置を要する患者に投与する方法を含んでなる、RXR媒介性症状及び場合により、更なるレチノイドA受容体媒介性症状の進行を処置又は抑制するための方法に使用することができる。
【0189】
本発明のもう1つのアスペクトは、RXR媒介性症状が、非STセグメント心筋梗塞及びSTセグメント上昇心筋梗塞のような急性冠状動脈症候群である使用法である。
【0190】
本発明の更なるアスペクトは、製薬学的に有効量の本発明の組成物を、処置を要する患者に投与する方法を含んでなる、患者の少なくとも1種のRXR媒介性症状及び少なくとも1種のレチノイドA受容体媒介性症状を処置する方法である。
【0191】
本発明はまた、限定せずに、1種又は複数の開示化合物及び製薬学的に許容できる担体又は賦形剤を包含する製薬学的組成物を特徴とする。
【0192】
1.用量
RXRにより媒介される障害又は状態の処置における当業者は、以後に提示される試験結果及び他の情報から、有効1日量を容易に決定することができるであろう。正確な用量及び投与頻度は、当業者に周知のように、使用される本発明の特定の化合物、処置されている特定の状態、処置されている状態の重症度、特定の患者の年齢、体重及び全身状態並びに患者が摂取しているかも知れない他の投薬に左右される。更に該有効1日量は、処置される患者の反応によりそして/又は本発明の化合物を処方する医師の評価に応じて、減量又は増量することができることは明白である。従って、本明細書に記載の有効1日量範囲は、本発明を実施する際の指針であるのみである。
【0193】
本明細書の製薬学的組成物は投与単位、例えば錠剤、カプセル、散剤、注射、茶サジ、等につき、前記の有効量を送達するのに必要な量の有効成分を含有するであろう。本明細書の製薬学的組成物は、単位投与単位、例えば錠剤、カプセル、散剤、注射、座薬、茶サジ、等、当たり約0.01〜300mg/kg(好ましくは約0.01〜100mg/kg、より好ましくは約0.01mg/kg〜約30mg/kg)を含有し、そして約0.01mg/kg/日〜約300mg/kg/日(好ましくは約0.01mg/kg/日〜約100mg/kg/日、そしてより好ましくは約0.01mg/kg/日〜約30mg/kg/日)の用量で投与することができる。本明細書に定義されるいずれかの化合物を使用する本発明に記載の代謝障害の処置の方法において、投与剤形は約0.01mg〜約100mgの間、より好ましくは約5mg〜約50mgの間の化合物を含有する製薬学的に許容できる担体を含有し、そして選択される投与法に適したどんな剤形にも構成することができる。しかし、用量は患者の需要、処置されている状態の重篤度及び使用されている化合物に応じて異なることができる。毎日の投与又は周期後投与のいずれの使用をも利用することができる。
【0194】
これらの組成物は好ましくは、経口、鼻腔内、舌下、眼内、経皮、非経口、直腸内、膣内、乾燥散剤吸入装置又は他の吸入もしくは吹き込み装置による投与のための錠剤、ピル、カプセル、再構成又は吸入用乾燥散剤、顆粒、ロゼンジ、滅菌非経口液剤又は懸濁物、計量エアゾール又は液体スプレー、滴剤、アンプル、自動注入装置又は座薬、のような単位投与形態にある。あるいはまた、組成物は毎週1回又は毎月1回の投与に適した形態で提供することができ、例えばデカノエート塩のような有効化合物の不溶性塩は、筋肉内注射のためのデポー調製物を提供するようにさせることができる。
【0195】
錠剤のような固形の製薬学的組成物を調製するためには、主要有効成分を製薬学的担体、例えば希釈剤結合剤、接着剤、崩壊剤、滑沢剤、抗付着剤及び直打用滑沢剤(gildant)のような従来の打錠成分と混合する。適当な希釈剤は、限定せずに、デンプン(すなわち、加水分解することができるトウモロコシ、小麦又はジャガイモデンプン)、ラクトース(顆粒化、噴霧乾燥又は無水)、蔗糖、蔗糖基剤の希釈剤(粉砂糖;蔗糖プラス約7〜10重量パーセントの転化糖;蔗糖プラス約3重量パーセントの改質デキストリン;蔗糖プラス転化糖、約4重量パーセントの転化糖、約0.1〜0.2重量パーセントのコーンスターチ及びスレアリン酸マグネシウム)、デキストロース、イノシトール、マンニトール、ソルビトール、微細結晶セルロース(すなわち、FMC Corp.から市販のAVICELTM微細結晶セルロース)、リン酸二カルシウム、カルシウムスルフェート二水和物、カルシウムラクテート三水和物等を包含する。適当な結合剤及び接着剤は、限定せずに、アカシアガム、グアガム、トラガカントガム、蔗糖、ゼラチン、ブドウ糖、デンプン及びセルロース誘導体(すなわちメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、等)、水溶性又は分散性結合剤(すなわちアルギン酸及びその塩、マグネシウムアルミニウムシリケート、ヒドロキシエチルセルロース[すなわちHoechst Celaneseから市販のTYLOSETM]、ポリエチレングリコール、多糖類の酸、ベントナイト、ポリビニルピロリドン、ポリメタクリレート及び糊化前(pregelatinized)デンプン)等を包含する。適当な崩壊剤は、限定せずに、デンプン(トウモロコシ、ジャガイモ、等)、ナトリウムデンプングリコレート、糊化前デンプン、粘土(マグネシウムアルミニウムシリケート)、セルロース(架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース及び微細結晶セルロースのような)、アルギネート、糊化前デンプン(すなわちコーンスターチ、等)、ガム(すなわち寒天、グア、イナゴ豆、カラヤ、ペクチン及びトラガカントガム)、架橋ポリビニルピロリドン等を包含する。適当な滑沢剤及び抗付着剤は、限定せずに、ステアレート(マグネシウム、カルシウム及びナトリウム)、ステアリン酸、タルクワックス、ステアロウエット(stearowet)、硼酸、塩化ナトリウム、DL−ロイシン、カーボワックス4000、カーボワックス6000、オレイン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウム等を包含する。適当な直打用滑沢剤(gildant)は、限定せずに、タルク、コーンスターチ、シリカ(すなわちCabotから市販のCAB−O−SILTMシリカ、W.R.Grace/Davisonから市販のSYLOIDTMシリカ及びDegussaから市販のAEROSILTMシリカ)等を包含する。経口投与剤形の口当たりを改善するために咀嚼可能な固形剤形に、甘味剤及びフレーバー付与剤を添加することができる。更に、薬剤の識別を容易にするため又は美的目的のために、固形剤形に着色剤及びコーティングを添加又は適用することができる。これらの担体は治療的放出プロファイルをもつ製薬学的有効物の正確な適当な用量を提供するように、製薬学的有効物とともに調合される。
【0196】
概括的に、これらの担体は、製薬学的有効物と混合されて、本発明の製薬学的有効物又は製薬学的に許容できるその塩の均一な混合物を含有する、固形の調合前組成物を形成する。概括的に、調合前物質は3種の一般的方法:(a)湿潤顆粒化、(b)乾燥顆粒化及び(c)乾燥ブレンド、の1つにより形成されるであろう。これらの調合前組成物を均一であると言及するときは、有効成分が組成物全体に均一に分散されているので、組成物を錠剤、ピル及びカプセルのような均等に有効な投与剤形に容易に準分割することができることを意味する。次にこの固形の調合前組成物を、約0.1mg〜約500mgの本発明の有効成分を含有する前記のタイプの単位剤形に準分割する。新組成物を含有する錠剤又はピルはまた、持続性又は二重放出製品を提供するために多層錠又はピルに調合することができる。例えば、二重放出錠又はピルは内側投与成分及び外側投与成分を含んでなることができ、後者は前者の上の封入物の形態にある。2成分は、胃内での崩壊に抵抗し、内側成分を十二指腸中にそのまま通過させるか又は放出を遅らせる働きをする腸溶層により分離することができる。セラック、セルロースアセテート(すなわちセルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートトリメリテート)、ポリビニルアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、メタクリレートとエチルアクリレートのコポリマー、メタクリレートとメチルメタクリレートのコポリマー等のような多数のポリマー物質を包含する、種々の材料をこのような腸溶層又はコーティングに使用することができる。持続性放出錠剤はまた、フィルムコーティング又は、溶液中の僅かに可溶性又は不溶性物質(湿った顆粒に対して結合剤として働く)又は、融解形態の低融解性固体(湿式顆粒化中に有効成分を取り込むことができる)を使用する湿式顆粒化により製造することができる。これらの材料は天然及び合成ポリマーワックス、水素化油、脂肪酸及びアルコール(すなわち、蜜蝋、カルナバワックス、セチルアルコール、セチルステアリルアルコール、等)、脂肪酸金属セッケンのエステル並びに、顆粒化、コート、捕捉あるいはまた、有効成分の溶解度を限定して、長期の又は持続性放出生成物を達成するために使用することができる他の許容できる材料を包含する。
【0197】
本発明の新組成物が経口又は注射による投与のために取り入れることができる液体剤形は、限定せずに、水溶液、適当にフレーバーを付けたシロップ、水性懸濁物又は油懸濁物並びに綿実油、ゴマ油、ココナツ油又は落花生油のような食用油を含む香り付きエマルション並びにエリキシル及び類似の製薬学的ベヒクルを包含する。水性懸濁物に適する懸濁剤は、アカシア、寒天、アルギネート(すなわちプロピレンアルギネート、ナトリウムアルギネート等)、グア、カラヤ、イナゴ豆、ペクチン、トラガカント及びキサンタンガムのような合成及び天然ガム、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロース及びそれらの組み合わせ物のようなセルロース化合物、ポリビニルピロリドン、カーボマー(すなわちカルボキシポリメチレン)及びポリエチレングリコールのような合成ポリマー、ベントナイト、ヘクトライト、アタパルジャイト又はセピオライトのような粘土並びにレシチン、ゼラチン等のような他の製薬学的に許容できる懸濁剤、を包含する。適した界面活性剤は、限定せずに、ナトリウムドクセート、ナトリウムラウリルスルフェート、ポリソルベート、オクトキシノール−9、ノンオキシノール−10、ポリソルベ−ト20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80、ポリオキサマー188、ポリオキサマー235及びそれらの組み合わせ物を包含する。適した凝集防止剤又は分散剤は、製薬学的等級のレシチンを包含する。適した凝集剤は、限定せずに、単純な中性電解質(すなわち塩化ナトリウム、カリウム、塩化物等)、高度に帯電した不溶性ポリマー及び多電解質群、水溶性2価又は3価イオン(すなわちカルシウム塩、ミョウバン又はスルフェート、クエン酸塩及びホスフェート(pHバッファー及び凝集剤として調合物中に合わせて使用することができる)を包含する。適した保存剤は、限定せずに、パラベン(すなわちメチル、エチル、n−プロピル及びn−ブチル)、ソルビン酸、チメロサール、第四級アンモニウム塩、ベンジルアルコール、安息香酸、クロルヘキシジン、グルコネート、フェニルエタノール等を包含する。液体の製薬学的投与剤形中に使用することができる多数の液体ベヒクルが存在するが、特定の投与剤形中に使用される液体ベヒクルは1種又は複数の懸濁剤と相容性でなければならない。例えば、脂肪酸エステルのような非極性液体ベヒクル及び油の液体ベヒクルは、低HLB(親水性−親油性平衡)の界面活性剤、ステアラルコニウムヘクトライト、非水溶性樹脂、非水溶性フィルム形成ポリマー等のような懸濁剤とともに使用されることが最良である。反対に、水、アルコール、ポリオール及びグリコールのような極性の液体は、より高いHLBの界面活性剤、粘土シリケート、ガム、水溶性セルロース化合物、水溶性ポリマー等のような懸濁剤とともに使用されることが最良である。非経口投与のためには、滅菌懸濁物及び溶液が望ましい。非経口投与に有用な液体剤形は、滅菌液、エマルション及び懸濁物を包含する。静脈内投与が望ましい時は、概括的に適当な保存剤を含有する等張調製物が使用される。
【0198】
更に、本発明の化合物は、その組成物が当業者に周知の、適当な鼻腔内ベヒクルの局所的使用により、鼻腔内投与剤形で又は経皮的皮膚パッチにより投与することができる。経皮的送達系の剤形で投与するためには、治療的用量の投与はもちろん、投与計画全体に間欠的ではなく、連続的であろう。
【0199】
本発明の化合物はまた、小型単層ベシクル、大型単層ベシクル、多層ベシクル等のようなリポソーム送達系の剤形で投与することができる。リポソームはコレステロール、ステアリルアミン、ホスファチジルコリン等のような種々のリン脂質から形成することができる。
【0200】
本発明の化合物は、RXR媒介性障害の処置が、それを要する被験体に必要である時は常に、以上のいずれかの組成物及び投与計画で、又はこれらの組成物及び当該技術分野で確立された投与計画により投与することができる。
【0201】
本発明の製薬学的組成物の1日用量は、1日に成人のヒト一人につき約0.7mg〜約500mgの広い範囲にわたることができ、好ましくは該用量は1日に成人一人につき約0.7mg〜約100mgの範囲で、もっとも好ましくは、1日に成人一人につき約0.7mg〜約50mgの範囲にあるであろう。処置されている被験体に対する用量の、症状による調整のために、経口投与のための組成物は、好ましくは0.01、0.05、0.1、0.5、1.0、2.5、5.0、10.0、15.0、25.0、50.0、100、150、200、250及び500ミリグラムの有効成分を含有する錠剤の剤形で提供される。薬剤の有効量は通常約0.01mg/kg〜約300mg/kg体重/1日の投与レベルで供給される。本発明の化合物は好都合には、1日1回で投与してもよく、又は総1日量を1日2、3又は4回の分割用量で投与してもよい。
【0202】
投与される最適用量は当業者により容易に決定することができ、そして使用される特定の化合物、投与法、調製物の強度及び疾患状態の進行とともに変動するであろう。更に、被験体の年齢、体重、食餌及び投与時間を包含する、処置されている特定の被験体に関わる因子が、適当な治療レベルへの用量調節の必要をもたらすであろう。
【0203】
2.調合物
本発明の製薬学的組成物を調製するためには、有効成分としての1種又は複数の式(I)の化合物又はそれらの塩を、従来の製薬学的配合法に従って、投与法(例えば、経口又は非経口)に所望される調製形態に応じて広範な形態を採ることができる製薬学的担体と十分に混合する。適当な製薬学的に許容できる担体は当該技術分野で周知である。これらの製薬学的に許容できる担体の幾つかの説明は、米国薬学会及び英国薬学会により発行されたThe Handbook of Pharmaceutical Excipients中に認めることができる。
【0204】
本発明の化合物は投与目的のための種々の製薬学的剤形に調合することができる。製薬学的組成物を調合する方法は、Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets,第2版、改定及び増版、第1〜3巻、編集Lieberman等;Pharmaceutical Dosage Forms:Parenteral Medication,第1〜2巻、編集Avis等;及びPharmaceutical Dosage Forms:Disperse Systems,第1〜2巻、編集Lieberman等;発行Marcel Dekker,Inc.のような多数の発行物中に記載されている。
【0205】
3.組み合わせ治療
本発明の化合物は1種又は複数の製薬学的に有効な物質と組み合わせて使用することができる。これらの物質は、他のRXRモジュレーター、他のRARモジュレーター、他の抗糖尿病剤、他の脂質降下剤並びにスタチン薬剤及びフィブレートのような血圧降下剤を包含する。
【0206】
他のRXRモジュレーターは、限定せずに、以下を包含する:
(1)ベキサロテン(4−(1−(3,5,5,8,8−ペンタメチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフタレニル)エテニル)安息香酸、TARGRETIN、TARGRETYN、TARGREXINとして知られ;更にLGD 1069、LG 100069、LG 1069、LDG 1069、LG 69、RO 264455としても知られる;
(2)9−シス−レチノイン酸;
(3)AGN−4326(更にALRT−4204、AGN−4204、ALRT−326、ALRT−324又はLGD1324としても知られる);
(4)LGD 1324(ALRT 324);
(5)LG 100754;
(6)LY−510929;
(7)LGD 1268(6−(1,1,4,4,6−ペンタメチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフト−7−イルシクロプロプ−1−イル)−ニコチン酸、ALRT 268又はLG 100268として知られる;
(8)LG 100264並びに
(9)Maxiaによる国際公開出願第01/16122号及び第01/16123号パンフレットに開示の置換複素環。
【0207】
置換複素環の1つの好ましい例は、MX−6054であり、それは2,4−チアゾリジンジオン、5−[[3−(5,6,7,8−テトラヒドロ−3,5,5,8,8−ペンタメチル−2−ナフタレニル)−4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]メチレン]−,(5Z)−、であり、これはまた3−(3,5,5,8,8−ペンタメチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフチル)−4−(トリフルオロメトキシベンジリデン−2,4−チアゾリジンジオンとも呼ばれ、以下の式:
【0208】
【化52】

【0209】
により表される。
【0210】
置換複素環のもう1つの好ましい例は、2,4−チアゾリジンジオン、5−[[3−(1−エチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−4,4,6−トリメチル−2−オキソ−7−キノリニル)−4−(トリフルオロメトキシ)フェニル]メチレン]−,(5Z)−であり、以下の式:
【0211】
【化53】

【0212】
により表される。
【0213】
好ましい置換複素環は以下から選択される:
3−(3,5,5,8,8−ペンタメチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフチル)−4−トリフルオロメトキシベンジリデン−2,4−チアゾリジンジオン;
4−[2−(3,5,5,8,8−ペンタメチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフチル)−1,3−ジオキソラン]ベンジリデン−2,4−チアゾリジンジオン;
4−[2−(5,5,8,8−テトラメチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフチル)−2−プロピル]ベンジリデン−2,4−チアゾリジンジオン;
4−[2−(3,5,5,8,8−ペンタメチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフチル)−1,3−ジオキソラン]ベンジリデン−2−チオキソ−2,4−チアゾリジンジオン;
4−[2−(5,5,8,8−テトラメチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフチル)−2−プロピル]ベンジリデン−2−チオキソ−2,4−チアゾリジンジオン;
4−[2−(3,5,5,8,8−ペンタメチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフチル)−1,3−ジオキソラン]ベンジリデン−2−チオキソ−2,4−イミダゾリジンジオン;
4−[2−(5,5,8,8−テトラメチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフチル)−2−プロピル]ベンジリデン−2−チオキソ−2,4−イミダゾリジンジオン;
4−[2−(3,5,5,8,8−ペンタメチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフチル)−1,3−ジオキソラン]ベンジリデン−2,4−イミダゾリジンジオン;
4−[2−(5,5,8,8−テトラメチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフチル)−2−プロピル]ベンジリデン−2,4−イミダゾリジンジオン;
4−[2−(3,5,5,8,8−ペンタメチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフチル)−1,3−ジオキソラン]ベンジル−2,4−チアゾリジンジオン;
4−[2−(5,5,8,8−テトラメチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフチル)−2−プロピル]ベンジル−2,4−チアゾリジンジオン;
4−[2−(3,5,5,8,8−ペンタメチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフチル)−1,3−ジオキソラン]ベンジル−2−チオキソ−2,4−チアゾリジンジオン;
4−[2−(5,5,8,8−テトラメチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフチル)−2−プロピル]ベンジル−2−チオキソ−2,4−チアゾリジンジオン;
4−[2−(3,5,5,8,8−ペンタメチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフチル)−1,3−ジオキソラン]ベンジル−2−チオキソ−2,4−イミダゾリジンジオン;
4−[2−(5,5,8,8−テトラメチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフチル)−2−プロピル]ベンジル−2−チオキソ−2,4−イミダゾリジンジオン;
4−[2−(3,5,5,8,8−ペンタメチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフチル)−1,3−ジオキソラン]ベンジル−2,4−イミダゾリジンジオン;及び
4−[2−(5,5,8,8−テトラメチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフチル)−2−プロピル]ベンジル−2,4−イミダゾリジンジオン。
【0214】
他の抗糖尿病剤は、標的器官及び組織におけるインスリンの効果を高めることにより、末梢のインスリン抵抗性を減少させる、チアゾリジンジオン及び非チアゾリジンジオンインスリン増感剤を包含する。
【0215】
以下の物質は、特定のインスリン反応性遺伝子の転写を増加する核受容体ペルオキシソーム増殖物質−活性化受容体−ガンマ(PPARγ)と結合して活性化することが知られている。PPAR−ガンマアゴニストの例は、以下のようなチアゾリジンジオンである:
(1)ロシグリタゾン(2,4−チアゾリジンジオン、5−((4−(2−(メチル−2−ピリジニルアミノ)エトキシ)フェニル)メチル)−,(Z)−2−ブタンジオエート(1:1)又は5−((4−(2−(メチル−2−ピリジニルアミノ)エトキシ)フェニル)メチル)−2,4−チアゾリジンジオン、AVAVDIAとして知られ、更にBRL 49653、BRL 49653C、BRL 49653c、SB 210232又はロシグリタゾンマレエートとしても知られる)、
(2)ピオグリタゾン(2,4−チアゾリジンジオン、5−((4−(2−(5−エチル−2−ピリジニル)エトキシ)フェニル)メチル)−,一塩酸,(±)−又は5−((4−(2−(5−エチル−2−ピリジル)エトキシ)フェニル)メチル)−2,4−チアゾリジンジオン、ACTOS、ZACTOS又はGLUSTINとして知られ、更にAD 4833、U 72107、U 72107A、U 72107E、ピオグリタゾン塩酸(USAN)としても知られる)、
(3)トログリタゾン(5−((4−((3,4−ジヒドロ−6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチル−2H−1−ベンゾピラン−2−イル)メトキシ)フェニル)メチル)−2,4−チアゾリジンジオン、NOSCAL、REZULIN、ROMOZIN又はPRELAYとして知られ、更にCI 991、CS 045、GR 92132、GR 92132Xとしても知られる)
(4)イサグリタゾン((+)−5−[[6−[(2−フルオロフェニル)メトキシ]−2−ナフタレニル]メチル]−2,4−チアゾリジンジオン又は5−((6−((2−フルオロフェニル)メトキシ)−2−ナフタレニル)メチル−2,4−チアゾリジンジオン又は5−(6−(2−フルオロベンジルオキシ)ナフタレン−2−イルメチル)チアゾリジン−2,4−ジオン、更にMCC−555又はネオグリタゾンとしても知られる)並びに
(5)5−BTZD。
【0216】
更に、インスリン増感剤として働く非チアゾリジンジオンは、限定せずに、以下を包含する:
(1)JT−501(JTT 501、PNU−1827、PNU−716−MET−0096又はPNU 182716:イソオキサゾリジン−3,5−ジオン、4−((4−(2−フェニル−5−メチル)−1,3−オキサゾリル)エチルフェニル−4−)メチル−);
(2)KRP−297(5−(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イルメチル)−2−メトキシ−N−(4−トリフルオロメチル)ベンジル)ベンズアミド又は5−((2,4−ジオキソ−5−チアゾリジニル)メチル)−2−メトキシ−N−((4−(トリフルオロメチル)フェニル)メチル)ベンズアミド)並びに
(3)ファルグリタザール(L−チロシン、N−(2−ベンゾイルフェニル)−o−(2−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリル)エチル)−又はN−(2−ベンゾイルフェニル)−O−(2−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリル)エチル)−L−チロシン、又はGW2570又はGI−262570)。
【0217】
他の抗糖尿病剤はまた、PPARガンマ、SPPARガンマ及び/又はPPARデルタ/ガンマアゴニスト活性のようなPPARモジュレーター活性をもつことが示された。例は以下に挙げられる:
(1)AD 5075;
(2)R 119702((±)−5−(4−(5−メトキシ−1H−ベンズイミダゾル−2−イルメトキシ)ベンジル)チアゾリン−2,4−ジオン塩酸又はCI 1037又はCS 011);
(3)CLX−0940(ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体アルファアゴニスト/ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体ガンマアゴニスト);
(4)LR−90(2,5,5−トリス(4−クロロフェニル)−1,3―ジオキサン−2−カルボン酸、PPARデルタ/γアゴニスト);
(5)ツラリク(Tularik)(PPARγアゴニスト);
(6)CLX−0921(PPARγアゴニスト);
(7)CGP−52608(PPARアゴニスト);
(8)GW−409890(PPARアゴニスト);
(9)GW−7845(PPARアゴニスト);
(10)L−764406(PPARアゴニスト);
(11)LG−101280(PPARアゴニスト);
(12)LM−4156(PPARアゴニスト);
(13)レサレスタット(Resarestat)(CT−112);
(14)YM440(PPARアゴニスト);
(15)AR−H049020(PPARアゴニスト);
(16)GW 0072(4−(4−((2S,5S)−5−(2−(ビス(フェニルメチル)アミノ)−2−オキソエチル)−2−ヘプチル−4−オキソ−3−チアゾリジニル)ブチル)安息香酸);
(17)GW 409544(GW−544又はGW−409544);
(18)NN 2344(DRF 2593);
(19)NN 622(DRF 2725);
(20)AR−H039242(AZ−242);
(21)GW 9820(フィブレート)
(22)GW 1929(N−(2−ベンゾイルフェニル)−O−(2−(メチル−2−ピリジニルアミノ)エチル)−L−チロシン、GW 2331、PPARアルファ/γアゴニストとして知られる);
(23)SB 219994((S)−4−(2−(2−ベンゾオキサゾリルメチルアミノ)エトキシ)−アルファ−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)ベンゼンプロパン酸又は3−(4−(2−(N−(2−ベンゾオキサゾリル)−N−メチルアミノ)エトキシ)フェニル)−2(S)−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)プロピオン酸又はベンゼンプロパン酸、4−(2−(2−ベンゾオキサゾリルメチルアミノ)エトキシ)−アルファ−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−、(アルファS)−、PPARアルファ/γアゴニスト);
(24)L−796449(PPARアルファ/γアゴニスト);
(25)フェノビブレート(プロパン酸、2−[4−(4−クロロベンゾイル)フェノキシ]−2−メチル−、1−メチルエチルエステル、TRICOR、LIPCOR、LIPANTIL、LIPIDIL MICRO PPARアルファアゴニストとして知られる);
(26)GW−9578(PPARアルファアゴニスト);
(27)GW−2433(PPARアルファ/γアゴニスト);
(28)GW−0207(PPARγアゴニスト);
(29)LG−100641(PPARγアゴニスト);
(30)LY−300512(PPARγアゴニスト);
(31)NID525−209(NID−525);
(32)VDO−52(VDO−52);
(33)LG 100754(ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体アゴニスト);
(34)LY−510929(ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体アゴニスト);
(35)ベキサロテン(4−(1−(3,5,5,8,8−ペンタメチル−5,6,7,8−テトラヒドロ−2−ナフタレニル)エテニル)安息香酸、TARGRETIN、TARGRETYN、TARGREXINとして知られる;更にLGD 1069、LG 100069、LG 1069、LDG 1069、LG 69、RO 264455としても知られる);及び
(36)GW−1536(PPARアルファ/γアゴニスト)。
【0218】
他のインスリン増感物質は、限定せずに、以下を包含する:
(1)INS−1(D−カイロイノシトール又はD−1,2,3,4,5,6−ヘキサヒドロキシシクロヘキサン);
(2)タンパク質チロシンホスファターゼ1B(PTP−1B)インヒビター;
(3)グリコーゲン合成酵素キナーゼ−3(GSK3)インヒビター;
(4)ZD 2079((R)−N−(2−(4−(カルボキシメチル)フェノキシ)エチル)−N−(2−ヒドロキシ−2−フェネチル)アンモニウムクロリド、更にICI D 2079としても知られる、又はAZ 40140、のようなベータ3アドレナリン受容体アゴニスト;
(5)グリコーゲンホスホリラーゼインヒビター;
(6)フルクトース−1,6−ビスホスファターゼインヒビター;
(7)クロムピコリネート、バナジルスルフェート(バナジウムオキシスルフェート);
(8)KP 102(有機バナジウム化合物);
(9)クロムポリニコチネート;
(10)カリウムチャンネルアゴニストNN 414;
(11)YM 268(5,5’−メチレン−ビス(1,4−フェニレン)ビスメチレンビス(チアゾリジン−2,4−ジオン);
(12)TS 971;
(13)T 174((±)−5−(2,4−ジオキソチアゾリジン−5−イルメチル)−2−(2−ナフチルメチル)ベンゾオキサゾール);
(14)SDZ PGU 693((+)−トランス−2−(S−((4−クロロフェノキシ)メチル)−7アルファ−(3,4−ジクロロフェニル)テトラヒドロピロロ(2,1−b)オキサゾル−5−(6H)−オン);
(15)S 15261((−)−4−(2−((9H−フルオレン−9−イルアセチル)アミノ)エチル)安息香酸2−((2−メトキシ−2−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)エチル)アミノ)エチルエステル);
(16)AZM 134(Alizyme);
(17)ARIAD;
(18)R 102380;
(19)PNU 140975(1−(ヒドラジノイミノメチル)ヒドラジノ)酢酸;
(20)PNU 106817(2−(ヒドラジノイミノメチル)ヒドラジノ)酢酸;
(21)NC 2100(5−((7−(フェニルメトキシ)−3−キノリニル)メチル)−2,4−チアゾリジンジオン;
(22)MXC 3255;
(23)MBX 102;
(24)ALT 4037;
(25)AM 454;
(26)JTP 20993(2−(4−(2−(5−メチル−2−フェニル−4−オキサゾリル)エトキシ)ベンジル)−マロン酸ジメチルジエステル);
(27)デキシリポタム(5(R)−(1,2−ジチオラン−3−イル)ペンタン酸、更に(R)−アルファリポ酸又は(R)−チオクト酸としても知られる);
(28)BM 170744(2,2−ジクロロ−12−(p−クロロフェニル)ドデカン酸;
(29)BM 152054(5−(4−(2−(5−メチル−2−(2−チエニル)オキサゾル−4−イル)エトキシ)ベンゾチエン−7−イルメチル)チアゾリジン−2,4−ジオン);
(30)BM 131258(5−(4−(2−(5−メチル−2−フェニルオキサゾル−4−イル)エトキシ)ベンゾチエン−7−イルメチル)チアゾリジン−2,4−ジオン);
(31)CRE 16336(EML 16336);
(32)HQL 975(3−(4−(2−(5−メチル−2−フェニルオキサゾル−4−イル)エトキシ)フェニル)−2(S)−(プロピルアミノ)プロピオン酸);
(33)DRF 2189(5−((4−(2−(1−インドリル)エトキシ)フェニル)メチル)チアゾリジン−2,4−ジオン);
(34)DRF 554158;
(35)DRF−NPCC;
(36)CLX 0100、CLX 0101、CLX 0900又はCLX 0901;
(37)IカッパBキナーゼ(IKK B)インヒビター;
(38)ミトーゲン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)インヒビター;p38MAPK刺激剤
(39)ホスファチジル−イノシチドトリホスフェート;
(40)インスリン再利用受容体インヒビター;
(41)グルコース輸送体4モジュレーター;
(42)TNF−αアンタゴニスト;
(43)形質細胞分化抗原−1(PC−1)アンタゴニスト;
(44)含脂肪細胞脂質結合タンパク質(ALBP/aP2)インヒビター;
(45)ホスホグリカン;
(46)ガルパラン;
(47)レセプトロン;
(48)膵島細胞成熟因子;
(49)インスリン増強因子(IPF又はインスリン増強因子−1);
(50)結合タンパク質で結合されたソマトメジンC(IGF−BP3、IGF−BP3、SomatoKineとしても知られる);
(51)Diab II(V−411として知られる)又はグルカニン、Biotech Holdings Ltd.又はVolque Pharmaceuticalにより製造;
(52)グルコース−6−ホスファターゼインヒビター;
(53)脂肪酸グルコース輸送タンパク質;
(54)グルココルチコイド受容体アンタゴニスト;並びに
(55)グルタミン:フルクトース−6−ホスフェートアミドトランスフェラーゼ(GFAT)モジュレーター。
【0219】
抗糖尿病剤はまた、肝臓のグルコース生産を減少させ、グルコースの取り込みを増加させるビグアニドを包含する。ビグアニドの例は、以下のようなメトホルミンを包含する:
(1)1,1−ジメチルビグアニド(例えば、Metformin−DepoMed、Metformin−Biovail Corporation又はMETFORMIN GR(メトホルミン胃内滞留ポリマー)、並びに
(2)メトホルミン塩酸(N,N−ジメチルイミドジカルボンイミドジアミド一塩酸、更にLA 6023、BMS 207150、GLUCOPHAGE又はGLUCOPHAGE XRとしても知られる。
【0220】
抗糖尿病剤はまた、アルファ−グルコシダーゼを阻害するアルファ−グルコシダーゼインヒビターを包含する。アルファ−グルコシダーゼはフルクトースをグルコースに転化させ、それにより炭水化物の消化を遅らせる。未消化炭水化物はその後、腸内で分解し、食後の糖ピークを低下させる。アルファ−グルコシダーゼインヒビターの例は、限定せずに、以下を包含する:
(1)アカルボース(D−グルコース、O−4,6−ジデオキシ−4−(((1S−(1アルファ,4アルファ、5ベータ、6アルファ))−4,5,6−トリヒドロキシ−3−(ヒドロキシメチル)−2−シクロヘキセン−1−イル)アミノ)−アルファ−D−グルコピラノシル−(1−4)−O−アルファ−D−グルコピラノシル−(1−4)−、更にAG−5421、Bay−g−542、BAY−g−542、GLUCOBAY、PRECOSE、GLUCOR、PRANDASE、GLUMIDA又はASCAROSEとしても知られる);
(2)ミグリトール(3,4,5−ピペリジントリオール、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−(ヒドロキシメチル)−、(2R(2アルファ、3ベータ、4アルファ、5ベータ))−又は(2R,3R,4R,5S)−1−(2−ヒドロキシエチル)−2−(ヒドロキシメチル−3,4,5−ピペリジントリオール、更にBAY 1099、BAY M 1099、BAY−m−1099、BAYGLITOL、DIASTABOL、GLYSET、MIGLIBAY、MITOLBAY、PLUMAROLとしても知られる);
(3)CKD−711(0−4−デオキシ−4−((2,3−エポキシ−3−ヒドロキシメチル−4,5,6−トリヒドロキシシクロヘキサン−1−イル)アミノ)−アルファ−b−グルコピラノシル−(1−4)−アルファ−D−グルコピラノシル−(1−4)−D−グルコピラノース);
(4)エミグリテート(4−(2−((2R,3R,4R,5S)−3,4,5−トリヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)−1−ピリジニル)エトキシ)安息香酸エチルエステル、更にBAY o 1248又はMKC 542としても知られる);
(5)MOR 14(3,4,5−ピペリジントリオール、2−(ヒドロキシメチル)−1−メチル−、(2R−(2アルファ、3ベータ、4アルファ、5ベータ))−、更にN−メチルデオキシノジリマイシン又はN−メチルモラノリンとしても知られる);並びに
(6)ボグリボース(3,4−ジデオキシ−4−((2−ヒドロキシ−1−(ヒドロキシメチル)エチル)アミノ)−2−C−(ヒドロキシメチル)−D−エピ−イノシトール又はD−エピ−イノシトール、3,4−ジデオキシ−4−((2−ヒドロキシ−1−(ヒドロキシメチル)エチル)アミノ)−2−C−(ヒドロキシメチル)−、更にA 71100、AO 128、BASEN、GLUSTAT、VOGLISTATとしても知られる)。
【0221】
抗糖尿病剤はまた、通常の又は短時間作用性、中程度作用性及び長時間作用性インスリン、注射不可能又は吸入インスリン、組織選択的インスリン、グルコホスホキニン(D−カイロイノシトール)のようなインスリン、天然のアミノ酸配列に僅かな相異を伴うインスリン分子及びインスリンの小分子疑似物(インスリン疑似物)のようなインスリン類似体並びにエンドソームモジュレーターを包含する。例は、限定せずに、以下を包含する:
(1)生物相;
(2)LP 100;
(3)(S−5−21)−オキソビス(1−ピロリジンカルボジチオアト−S,S’)バナジウム、
(4)インスリンアスパルト(ヒトインスリン(28B−L−アルパラギン酸)又はB28−Asp−インスリン、更にインスリンX14、INA−X14、NOVORAPID、NOVOMIX又はNOVOLOGとしても知られる);
(5)インスリンデテミル(Human 29B−(N6−(1−オキソテトラデシル)−L−リジン)−(1A−21A)、(1B−29B)−Insulin又はNN 304);
(6)インスリンリスプロ(”28B−L−リジン−29B−L−プロリンヒトインスリン、又はLys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン類似体、更にlys−pro insulin、LY 275585、HUMALOG、MUMALOG MIX 75/25又はHUMALOG MIX 50/50としても知られる);
(7)インスリングラルギン(ヒト(A21−グリシン、B31−アルギニン、B32−アルギニン)インスリンHOE 901、更にLANTUS、OPTISULINとしても知られる);
(8)インスリン亜鉛懸濁物、持続性(Ultralente)、更にHUMULIN U又はULTRALENTEとしても知られる;
(9)インスリン亜鉛懸濁物(Lente)、70%結晶性及び30%非晶質インスリン懸濁物、更にLENTE ILETIN II、HUMULIN L、又はNOVOLIN Lとしても知られる;
(10)HUMULIN 50/50(50%イソフェンインスリン及び50%インスリン注射);
(11)HUMULIN 70/30(70%イソフェンインスリン NPH及び30%インスリン注射)、更にNOVOLIN 70/30、NOVOLIN 70/30 PenFill、NOVOLIN 70/30 Prefilledとしても知られる;
(12)NPH ILETIN II、NOVOLIN N、NOVOLIN N PenFill、NOVOLIN N Prefilled、HUMULIN Nのようなインスリンイソフェン懸濁物;
(13)ILETIN II Regular、NOVOLIN R、VELOSULIN BR、NOVOLIN R PenFill、NOVOLIN R Prefilled、HUMULIN R又はRegular U−500(濃縮)のような通常のインスリン注射;
(14)ARIAD;
(15)LY 197535;
(16)L−783281並びに
(17)TE−17411。
【0222】
抗糖尿病剤はまた、以下のようなインスリン分泌モジュレーターを包含する:
(1)グルカゴン様ペプチド−1(GLP−1)及びその疑似物;
(2)グルコース−インスリン作用性ペプチド(GIP)及びその疑似物;
(3)エクセンジン及びその疑似物;
(4)以下のようなジペプチルプロテアーゼ(DPP又はDPPIV)インヒビター:
(4a)DPP−728又はLAF 237(2−ピロリジンカルボニトリル、1−(((2−((5−シアノ−2−ピリジニル)アミノ)エチル)アミノ)アセチル)、NVP−DPP−728、DPP−728A、ALF−237として知られる);
(4b)P 3298又はP32/98(ジ−(3N−((2S,3S)−2−アミノ−3−メチル−ペンタノイル)−1,3−チアゾリジン)フマレート);
(4c)TSL 225(トリプトフィル−1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−3−カルボン酸);
(4d)バリンピロリジド(バルピル);
(4e)1−アミノアルキルイソキノリノン−4−カルボキシレート及びそれらの類似体;
(4f)SDZ 272−070(1−(L−バリル)ピロリジン);
(4g)TMC−2A、TMC−2B又はTMC−2C;
(4h)ジペプチドニトリル(2−シアノピロロジド);
(4u)CD26インヒビター並びに
(4j)SDZ 274−444;
(5)AY−279955のようなグルカゴンアンタゴニスト;並びに
(6)限定せずに、プラムリンチド(AC−137、Symlin、トリプロ−アミリン又はプラムリンチドアセテート)を包含するアミリンアゴニスト。
【0223】
知られた抗糖尿病剤は、インスリン、スルホニル尿素、ビグアニド、メグリチニド、AGI(アルファ−グルコシダーゼインヒビター;例えばGlyset)、PPARアルファアゴニスト及びPPARガンマアゴニスト及び二重のPPARアルファ/ガンマアゴニストを包含する。
【0224】
脂質降下剤の例は、胆汁酸金属イオン封鎖剤、フィブリン酸誘導体、ニコチン酸及びHMGCoA還元酵素インヒビターを包含する。特定の例は、LIPITOR(R)、ZOCOR(R)、PRAVACHOL(R)、LESCOL(R)及びMEVACOR(R)及びピタバスタチン(ニスバスタチイン)(Nissan,Kowa Kogyo,Sankyo,Novartis)のようなスタチン並びにADX−159(持続性放出ロバスタチン)並びにColestid、Locholest、Questran、Atromid、Lopid及びTricorのようなそれらの持続放出形態を包含する。
【0225】
血圧降下剤の例は、アンギオテンシン−転化酵素(ACE)インヒビター(Accupril、Altace、Captopril、Lotensin、Mavik、Monopril、Prinivil、Univasc、Vasotec及びZestril)のような高血圧抑制剤、アドレナリンブロッカー(Cardura、Dibenzyline、Hylorel、Hytrin、Minipress及びMinizideのような)、アルファ/ベータアドレナリンブロッカー(Coreg、Normodyne及びTrandateのような)、カルシウムチャンネルブロッカー(Adalat、Calan、Cardene、Cardizem、Covera−HS、Dilacor、DynaCirc、Isoptin、Nimotop、Norvace、Plendil、Procardia、Procardia XL、Sula、Tiazac、Vascor及びVerelanのような)、利尿剤、アンギオテンシンII受容体アンタゴニスト(Atacand、Avapro、Cozaar及びDiovanのような)、ベータアドレナリンブロッカー(Betapace、Blocadren、Brevibloc、Cartrol、Inderal、Kerlone、Lavatol、Lopressor、Sectral、Tenormin、Toprol−XL及びZebetaのような)、血管拡張剤(Deponit、Dilatrate、SR、Imdur、Ismo、Isordil、Isordil Titradose、Monoket、Nitro−Bid、Nitro−Dur、Nitrolingual Spray、Nitrostat及びSorbitrateのような)並びにそれらの組み合わせ物(Lexxel、Lotrel、Tarka、Teczem、Lotensin HCT、Prinzide、Uniretic、Vaseretic、Zestoreticのような)を包含する。
【0226】
更に、B章に前記の通りの第2のRXR又はRARモジュレーターはまた、それが第1のRXR又はRARモジュレーターと異なる場合は、第3の抗糖尿病剤として使用することができる。
【0227】
F)生物学的実施例
ABCA1 bDNAアッセイ
ヒト単球細胞系のTHP−1細胞をATCCから入手して、37℃の5%CO中で10%ウシ胎仔血清(Gibco)、2mMのL−グルタミン及び1%の抗生物質−抗カビ・真菌剤を添加されたRPMI(Gibco)中に維持した。ABCA1mRNA誘動アッセイのために、細胞をペレット化し、0.5%の木炭処理血清(Hyclone)、2mMのグルタミン及び1%の抗生物質−抗カビ・真菌剤を添加されたRPMI中に再懸濁させた。細胞を40,000細胞/90μlの密度でプレートに添加し、処理の開始前の少なくとも4時間、前記のようにインキュベートした。化合物をDMSO中10mMのストックとして調製した。処理のために、化合物を培地中に希釈し、10μlの10×ストックを0.1%DMSOの最終濃度で細胞に添加した。細胞を所望の時間(通常18〜24時間)インキュベートし、次にABCA1 bDNAプローブ(プローブ配列は以下に示される)をも含有した50μlのQuantigene HV bDNA溶解バッファーで溶解した:
【0228】
【表2】

【0229】
【表3】

【0230】
RXR同時トランスフェクションアッセイ
リガンド結合ドメインをコードする676−1464bp(入手番号X52773)からの核酸配列をpMベクトル(BD Biosciences Clontech,Palo Alto,CA)中にサブクローニングし、酵母菌GAL4のDNA結合ドメインと融合させた。HEK293細胞を、10%FBS及び1%l−グルタミン(増殖培地)を補充されたDMEM/F12培地中で培養した。細胞を50mlの増殖培地中に5〜10×10個の細胞密度で播種し、1晩放置した。培地を除去し、細胞を15mlのOptiMEM血清非含有培地(Invitrogen Corp.)で洗浄した。細胞を、OptiMEM血清非含有培地及びDMRIEトランスフェクション試薬(Invitrogen Corp.)を使用してトランスフェクションした。異なる受容体に対して約10〜30ngのDNA及び5〜10ngのルシフェラーゼリポーター(RARに対して1:1比率及びRXRに対して4:1の比率の、受容体DNA:リポーターDNA)を、総量17mlのOptiMEM培地中51μlのDMRIE試薬と緩徐に混合した。トランスフェクションの18時間後に、細胞を増殖培地で1回洗浄し、次に30mlの増殖培地中で6時間インキュベートした。次に細胞をトリプシン処理し、96ウェルのプレートに50,000/ウェルの密度で再播種し、1晩放置した。培地を、0.5%の木炭処理したFBS(HyClone;Logan,UT)及び1%のグルタミンを補充されたDMEM/F12含有の、90μlの培地と交換した。化合物又はビヒクルを10μlの10×化合物又はビヒクル(0.1%ジメチルスルホキシド)濃度で添加した。細胞を16〜18時間処理し、溶解し、Steady Glo ルシフェラーゼアッセイキット(Promega,Madison,WI)を使用してルシフェラーゼ活性のアッセイを実施した。
【0231】
以下の表IIに記載の化合物を前記の1種又は複数のアッセイで試験した:
【0232】
【表4】

【0233】
以上の明細は、具体化の目的のために実施例を提供して、本発明の原理を教示しているが、本発明の実施は以下の請求項及びそれらの同等物の範囲内に入るすべての通常の変更物、改変物及び/又は修飾物を包含することは理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

[式中、
はH又はC1−3アルキルであり、
は独立して
【化2】

であり、ここで
Zは
【化3】

から選択され、
Xは結合、場合により置換されていてもよい−O−C1−5アルキル−及び場合により置換されていてもよいC1−6アルキレンから選択され、
は場合により置換されていてもよいC1−3アルコキシであり、そして
nは0、1、2又は3である、
あるいはまた、
はH又は場合により置換されていてもよいC1−3アルキルであり、
但し、R
【化4】

である時は、R
【化5】

であることはできないこととし、
更に但し、RがH又は場合により置換されていてもよいC1−3アルキルである時は、RはH又は場合により置換されていてもよいC1−3アルキルであることはできないこととし、
そして

【化6】

であり、ここで
Zは
【化7】

から選択され、
Xは結合、場合により置換されていてもよい−O−C1−5アルキル−及び場合により置換されていてもよいC1−6アルキレンから選択され、
は場合により置換されていてもよいC1−3アルコキシであり、そして
nは0、1、2又は3である、
あるいはまた、
はH又は場合により置換されていてもよいC1−3アルキルであり、
但し、R
【化8】

である時は、R
【化9】

であることはできないこととし、
更に但し、RがH又は場合により置換されていてもよいC1−3アルキルである時は、RはH又は場合により置換されていてもよいC1−3アルキルであることはできないこととする]
の化合物又はその製薬学的に許容できる塩、アミド、エステル、水和物又は溶媒和物。
【請求項2】
がH又はC1−3アルキルである請求項1記載の化合物。
【請求項3】
がC1−3アルキルである請求項2記載の化合物。
【請求項4】
又はR
【化10】

であり、ここでZが
【化11】

である請求項1記載の化合物。
【請求項5】
又はR
【化12】

であり、ここでZが
【化13】

である請求項1記載の化合物。
【請求項6】
又はR
【化14】

であり、ここでXが結合である請求項1記載の化合物。
【請求項7】
又はR
【化15】

であり、ここでXが場合により置換されていてもよい−O−C1−5アルキレンである請求項1記載の化合物。
【請求項8】
1−5アルキレンが飽和されている請求項7記載の化合物。
【請求項9】
1−5アルキレンが
【化16】

である請求項8記載の化合物。
【請求項10】
1−5アルキレン中の1、2又は3個の水素原子が更にハロで置換されている請求項9記載の化合物。
【請求項11】
又はR
【化17】

であり、ここでXが場合により置換されていてもよいC1−6アルキレンである請求項1記載の化合物。
【請求項12】
1−6アルキレンが飽和されている請求項11記載の化合物。
【請求項13】
1−6アルキレンが
【化18】

である、請求項12記載の化合物。
【請求項14】
1−6アルキレン中の1、2又は3個の水素原子が更にハロで置換されている請求項13記載の化合物。
【請求項15】
アルキレンが不飽和である請求項7記載の化合物。
【請求項16】
アルキレンが二重結合又は三重結合を含有する請求項15記載の化合物。
【請求項17】
アルキレンが不飽和である請求項11記載の化合物。
【請求項18】
アルキレンが二重結合又は三重結合を含有する請求項16記載の化合物。
【請求項19】
がHである請求項1記載の化合物。
【請求項20】
が−OCF、−OCH、−OCHCF又は−CH=CH−C(O)OHである請求項1記載の化合物。
【請求項21】
が−CHCHであり、

【化19】

であり、ここで
Zは
【化20】

であり、
Xは−CHCH−又は−CH=CH−であり、そして
は−OCFであり、そして
nは1である、
あるいはまた、
がHであり、
但し、R
【化21】

である時は、R
【化22】

であることはできないこととし、
更に但し、RがHである時は、RはHであることはできないこととし、
そして

【化23】

であり、ここで
Zは
【化24】

であり、
Xは−CHCH−又は−CH=CH−であり、そして
は−OCFであり、そして
nは1である、
あるいはまた、
がHであり、
但し、R
【化25】

である時は、R
【化26】

であることはできないこととし、
更に但し、RがHである時は、RはHであることはできないこととする、
請求項1記載の化合物。
【請求項22】
請求項1記載の少なくとも1種の化合物及び少なくとも1種の製薬学的に許容できる担体を含んでなる製薬学的組成物。
【請求項23】
RXR媒介性疾患を処置、改善又は予防するための、少なくとも1種の更なる物質、薬剤、医薬、抗体及び/又はインヒビターを更に含んでなる、請求項22記載の製薬学的組成物。
【請求項24】
【化27】

から選択される少なくとも1種の化合物を含んでなる、請求項22記載の製薬学的組成物。
【請求項25】
【化28】

から選択される少なくとも1種の化合物を含んでなる請求項22記載の製薬学的組成物。
【請求項26】
治療的に有効量の少なくとも1種の請求項1記載の化合物を被験体に投与する方法を含んでなる、投与を必要とする被験体のレチノイドx受容体(RXR)媒介性症状を処置、予防又は改善するための方法。
【請求項27】
RXR媒介性症状が癌、糖尿病、異常脂血症、高コレステロール血症及びそれらの関連症状又は合併症から選択される請求項26記載の方法。
【請求項28】
RXR媒介性症状が、IDDM、NIDDM、IGT、IFG、シンドロームX(又は代謝症候群)、インスリン抵抗性、肥満、高脂血症(相Iの高脂血症、臨床発現前の高脂血症及び相IIの高脂血症を包含)、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、インスリン抵抗性、異常脂血症、ネフロパチー、神経障害、網膜症、アテローム性動脈硬化症、低HDL、非アルコール性脂肪肝、多嚢胞性卵巣(ovary又はovarian)症候群、高血圧(hypertension)、虚血、発作、高血圧(high blood pressure)、心疾患、過敏性大腸障害、炎症、心血管障害及び白内障から選択される請求項26記載の方法。
【請求項29】
治療的に有効量の、(a)請求項1記載の少なくとも1種の化合物並びに(b)それらの投与がいずれの順序でもよい、レチノイド受容体アゴニスト、抗糖尿病剤、脂質降下剤、抗血栓剤及び血圧降下剤から選択される少なくとも1種の更なる物質を被験体に投与する方法を含んでなる請求項27記載の方法。
【請求項30】
更なる物質がRXRアゴニストである、請求項27記載の方法。
【請求項31】
治療的に有効量の、請求項1記載の少なくとも1種の化合物を被験体に投与する方法を含んでなる、投与を要する被験体のRXR媒介性症状の開始を抑制する方法。
【請求項32】
RXR媒介性症状が癌、糖尿病、異常脂血症、高コレステロール血症及びそれらの関連症状又は合併症から選択される、請求項31記載の方法。
【請求項33】
RXR媒介性症状がIDDM、NIDDM、IGT、IFG、シンドロームX(又は代謝症候群)、インスリン抵抗性、肥満、高脂血症(相Iの高脂血症、臨床発現前の高脂血症及び相IのI高脂血症を包含)、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、インスリン抵抗性、異常脂血症、ネフロパチー、神経障害、網膜症、アテローム性動脈硬化症、低HDL、非アルコール性脂肪肝、多嚢胞性卵巣症候群、高血圧(hypertension)、虚血、発作、高血圧(high blood pressure)、心疾患、過敏性大腸障害、炎症、心血管障害及び白内障から選択される、請求項31記載の方法。
【請求項34】
治療的に有効量の、(a)請求項1記載の少なくとも1種の化合物並びに(b)それらの同時投与がいずれの順序でもよく、そして合わせた量が所望の予防的効果を提供する、レチノイド受容体アゴニスト、抗糖尿病剤、脂質降下剤、抗血栓剤及び血圧降下剤よりなる群から選択される少なくとも1種の更なる物質を被験体に投与する方法を含んでなる、請求項31記載の方法。
【請求項35】
更なる物質がRXRアゴニストである請求項34記載の方法。
【請求項36】
請求項1記載のいずれかの化合物及び製薬学的に許容できる担体を混合する方法を含んでなる、製薬学的組成物の製法。
【請求項37】
請求項1記載の化合物の治療的に有効量が約0.001mg/kg/日〜約5mg/kg/日である請求項26記載の方法。
【請求項38】
請求項1記載の化合物の治療的に有効量が約0.001mg/kg/日〜約5mg/kg/日である請求項31記載の方法。

【公表番号】特表2009−510071(P2009−510071A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−533489(P2008−533489)
【出願日】平成18年9月25日(2006.9.25)
【国際出願番号】PCT/US2006/037321
【国際公開番号】WO2007/041076
【国際公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】