説明

異方性交換スプリング磁石及びその製造方法、並びに異方性ボンド磁石及び異方性焼結磁石

【課題】高い磁気異方性を有し、優れた磁気特性を有する異方性交換スプリング磁石を提供する。
【解決手段】R14B型金属間化合物(RはNdを含む希土類元素を示し、TはFe又はCoからなる元素を示す。)からなるR−T−B相12と、α−Fe、α−Fe固溶体、α−Co、α−Co固溶体、及びα’−FeCo金属間化合物から選ばれる少なくとも一つからなるFe系相14と、銀、銀を含む固溶体、銀を含む金属間化合物、及び銀を含む非晶質から選ばれる少なくとも一つからなる銀リッチ相16と、を含有する異方性交換スプリング磁石10。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異方性交換スプリング磁石及びその製造方法、並びに異方性ボンド磁石及び異方性焼結磁石に関する。
【背景技術】
【0002】
希土類合金を含む異方性の希土類磁石は、モータやジェネレータなどの各種用途に採用されている。この希土類磁石は、最大エネルギー積などの磁気特性に優れるため、モータ及びジェネレータ等の回転機器の高性能化、小型化及び省エネルギー化に貢献している。今後、更にCO排出量低減等を図るため、希土類磁石は一層高い磁気特性を有することが求められる。
【0003】
ところが、従来の希土類磁石の最大エネルギー積は、理論上の到達上限値(Nd−Fe−B系磁石の場合は64MGOe)に近づいてきており、これ以上の特性改善が難しい状況にある。このため従来とは異なったアプローチで希土類磁石の特性を向上する技術を確立することが求められている。
【0004】
希土類磁石の特性を向上する技術の一つとして、α−Fe等の高い飽和磁化を有する軟磁性相と、硬磁性相(例えばRFe14B相)とを、それぞれナノオーダーに微細化し複合化させることで、両相間の交換相互作用を強化させた交換スプリング磁石(粉)が提案されている。ところが、この場合、硬磁性相の磁化容易軸方向(c軸)が不揃いな等方性磁石となってしまうこと、及び焼結法による高密度化が困難であること等の要因によって、得られる希土類磁石の磁気特性も低いレベルに留まっている。そこで、この交換スプリング磁石粉を金属缶内または金型内で熱間塑性加工することで硬磁性相の磁化容易軸方向が揃った異方性磁石を得る方法が提案されている。
【0005】
しかしながら、RFe14B/α−Fe系交換スプリング磁石粉は、熱間塑性加工中の磁化容易軸方向を揃える効果(粒界すべりと結晶粒成長の同時進行による異方化)を促進する低融点の液相成分を含まない場合、異方化のためには1000℃以上の高温で加工する必要がある。このように高温で加工すると、粒界すべりを発現させる前に結晶の粒成長が進行してしまう。その結果、異方化度が低くなり、磁気特性を改善することが困難な状況にあった。
【0006】
そこで、特許文献1では、NdFe14B/α−Fe系交換スプリング磁石粉にCuを添加することによって、低融点で液相となるNd−Cu相を生じさせ、熱間加工(800℃付近)中の粒界すべりを促進して異方化度を向上させる技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−57015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述の特許文献1のように、Cuを添加すると、NdFe14B相などの硬磁性相とα−Fe相等の軟磁性相の両方にCuが混入してしまう。その結果、飽和磁化が低下し、異方化による磁気特性の向上効果が損なわれてしまうことが分かった。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、高い磁気異方性を有し、優れた磁気特性を有する異方性交換スプリング磁石を提供することを目的とする。また、高い磁気異方性を有し、優れた磁気特性を有する異方性交換スプリング磁石の製造方法を提供することを目的とする。さらに、上述の異方性交換スプリング磁石を含有することにより、高い磁気特性を有する異方性ボンド磁石及び異方性焼結磁石を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明は、R14B型金属間化合物(RはNdを含む希土類元素を示し、TはFe又はCoからなる元素を示す。)からなるR−T−B相と、α−Fe、α−Fe固溶体、α−Co、α−Co固溶体、及びα’−FeCo金属間化合物から選ばれる少なくとも一つからなるFe系相と、銀、銀を含む固溶体、銀を含む金属間化合物、及び銀を含む非晶質から選ばれる少なくとも一つからなる銀リッチ相と、を含有する異方性交換スプリング磁石を提供する。
【0011】
本発明の異方性交換スプリング磁石は、硬磁性相としてR−T−B相と、軟磁性相としてFe系相と、を含むとともに、銀リッチ相を含有する。このような異方性交換スプリング磁石は、通常、熱間加工を経て製造されるが、銀又は銀を含む合金及び金属間化合物は、比較的低温で液相となる。このため、加工時の塑性変形や元素の拡散が促進されて、異方性の高い異方性交換スプリング磁石とすることができる。また、液相の銀は銅とは異なり、鉄とは混ざり合わずに別々に存在する。このため、R−T−B相やFe系相における銀の含有量を十分に低減することができる。このように、磁気特性に影響するFe系相及びR−T−B相における不純物の含有量が十分に低減されるため、高い磁気特性を有する異方性交換スプリング磁石とすることができる。
【0012】
本発明の異方性交換スプリング磁石は、R−T−B相の磁化容易軸方向を揃えたときの飽和磁化をα、及びR−T−B相の磁化容易軸方向がランダムであるときの飽和磁化をβとしたとき、下記式(1)で表される異方化率が1.5%以上であることが好ましい。このように高い異方化率を有することによって、磁気特性を一層向上することができる。
異方化率(%)=(α/β)×100−100 (1)
【0013】
本発明では、また、R、T、B、及び銀を含む非晶質からなる合金粉末、又は、R14B型金属間化合物(RはNdを含む希土類元素を示し、TはFe又はCoからなる元素を示す。)からなるR−T−B相と、α−Fe、α−Fe固溶体、α−Co、α−Co固溶体、及びα’−FeCo金属間化合物から選ばれる少なくとも一つからなるFe系相と、銀、銀を含む固溶体、銀を含む金属間化合物、及び銀を含む非晶質から選ばれる少なくとも一つからなる銀リッチ相と、を含む合金粉末、を調製する第1工程と、合金粉末の成形体を作製する第2工程と、成形体を800〜950℃の温度範囲で熱間塑性加工する第3工程と、を有する、R−T−B相と、Fe系相と、銀リッチ相と、を含有する異方性交換スプリング磁石の製造方法を提供する。
【0014】
上記本発明の製造方法では、銀若しくは銀を含む固溶体、及び/又は銀を含む金属間化合物、及び/又は銀を含む非晶質を含む合金粉末を用いているため、800〜950℃の加熱温度で十分に液相が生成することとなる。この液相が存在することによって、熱間加工時の塑性変形や元素の拡散が促進されて、異方性の高い異方性交換スプリング磁石を得ることができる。また、上述の加熱温度下において、液相の銀は鉄とは混ざり合わずに別々に存在する。このため、R−T−B相及びFe系相に銀が混入することが抑制されて、R−T−B相及びFe系相における銀の含有量を十分に低減することができる。したがって、磁気特性に影響を及ぼすFe系相及びR−T−B相における不純物の含有量を、十分に低減することができる。これらの要因によって、高い磁気特性を有する異方性交換スプリング磁石を得ることができる。
【0015】
本発明では、また、樹脂と、該樹脂の中に分散された上述の異方性交換スプリング磁石からなる粒子と、を含む異方性ボンド磁石を提供する。本発明の異方性ボンド磁石は、上述の特徴を有する異方性交換スプリング磁石を含有することから、優れた磁気特性を有する。
【0016】
本発明では、さらに、上述の異方性交換スプリング磁石からなる粒子を含む、異方性焼結磁石を提供する。本発明の異方性焼結磁石は、上述の特徴を有する異方性交換スプリング磁石を含有することから、優れた磁気特性を有する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、高い磁気異方性を有し、優れた磁気特性を有する異方性交換スプリング磁石を提供することができる。また、高い磁気異方性を有し、優れた磁気特性を有する異方性交換スプリング磁石の製造方法を提供することができる。さらに、上述の異方性交換スプリング磁石を含有することにより、高い磁気特性を有する異方性ボンド磁石及び異方性焼結磁石を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の異方性交換スプリング磁石の好適な実施形態の一例を示す斜視図である。
【図2】本発明の異方性交換スプリング磁石の好適な実施形態の構造の一例を拡大して示す模式図である。
【図3】本発明の異方性交換スプリング磁石の製造方法の好適な実施形態における工程の一例を説明するための説明図である。
【図4】本発明の異方性交換スプリング磁石の製造方法の好適な実施形態における工程の一例を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、場合により図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
【0020】
図1は、本実施形態の異方性交換スプリング磁石の一例を示す斜視図である。図1の異方性交換スプリング磁石10は、略円柱形状を有しているが、本発明の磁石の形状はこれに限定されるものではない。図2は、本実施形態の異方性交換スプリング磁石の構造の一例を拡大して示す模式図である。
【0021】
異方性交換スプリング磁石10は、図2に示されるように、R14B型金属間化合物(RはNdを含む希土類元素を示し、TはFe又はCoからなる元素を示す。)からなるR−T−B相(第1の相)12と、α−Fe、α−Fe固溶体、α−Co、α−Co固溶体、及びα’−FeCo金属間化合物から選ばれる少なくとも一つからなるFe系相(第2の相)14と、銀、銀を含む固溶体、銀を含む金属間化合物、及び銀を含む非晶質から選ばれる少なくとも一つからなる銀リッチ相(第3の相)18を含有する。本明細書における希土類元素は、長周期型周期表の第3族に属するスカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)及びランタノイド元素から選ばれる少なくとも一種の元素である。なお、ランタノイド元素には、例えば、ランタン(La)、セリウム(Ce)、プラセオジウム(Pr)、ネオジム(Nd)、サマリウム(Sm)、ユーロピウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビニウム(Tb)、ディスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウム(Yb)、ルテチウム(Lu)等が含まれる。
【0022】
R−T−B相12は、異方性交換スプリング磁石10の主成分となる相であり、硬磁性の相である。異方性交換スプリング磁石10におけるR−T−B相12の含有量は、好ましくは50〜90体積%であり、より好ましくは65〜85体積%である。R−T−B相12の含有量が高くなりすぎると、十分に高い最大エネルギー積が得られ難くなる傾向にある。一方、R−T−B相12の含有量が低くなりすぎると、優れた保磁力が得られ難くなる傾向にある。
【0023】
R−T−B相12における銀の含有量は、最大エネルギー積を十分に高くする観点から、低い方が好ましい。R−T−B相12における銀の含有量は、具体的には好ましくは0.1原子%以下であり、より好ましくは0.05原子%以下である。
【0024】
異方性交換スプリング磁石10に含まれるR−T−B相12の複数の結晶粒の磁化容易軸の方向は、概ね同一方向に揃っている。これによって、異方性交換スプリング磁石10は高い異方化率を有する。本明細書における異方化率は、異方性交換スプリング磁石10を粉砕した粉末の磁化容易軸方向を同一方向に揃えて測定したときの飽和磁化をα、粉末の磁化容易軸方向をランダムにして測定したときの飽和磁化をβとしたとき、下記式(1)で表される値である。なお、本明細書における飽和磁化は、外部磁界を20kOe(2T)印加したときの磁化の値である。
異方化率(%)=(α/β)×100−100 (1)
【0025】
上記式(1)によって算出される、異方性交換スプリング磁石10の異方化率は、好ましくは1.5%以上であり、より好ましくは2.0%以上である。このように高い異方化率を有することによって、磁気特性を一層向上することができる。
【0026】
Fe系相14は、異方性交換スプリング磁石10のもう一つの主成分となる相であり、軟磁性の相である。異方性交換スプリング磁石10におけるFe系相14の含有量は、好ましくは5〜50体積%であり、より好ましくは10〜30体積%である。Fe系相14の含有量が高くなりすぎると、優れた保磁力が得られ難くなる傾向にある。一方、Fe系相14の含有量が低くなりすぎると、十分に高い最大エネルギー積が得られ難くなる傾向にある。
【0027】
Fe系相14は、α−Fe、α−Fe固溶体、α−Co、α−Co固溶体、及びα’−FeCo金属間化合物から選ばれる少なくとも一つからなる相であるが、不純物程度の微量の銀、B(ホウ素)、R、及び他の元素を含有してもよい。
【0028】
Fe系相14における銀の含有量は、最大エネルギー積を十分に高くする観点から、低い方が好ましい。Fe系相14における銀の含有量は、具体的には好ましくは0.1原子%以下であり、より好ましくは0.05原子%以下である。
【0029】
銀リッチ相16は、異方性交換スプリング磁石10の副成分となる相であり、銀若しくは銀を含む固溶体、及び/又は銀を含む金属間化合物、及び/又は銀を含む非晶質からなる相である。つまり、銀リッチ相16は、銀若しくは銀を含む固溶体のみからなる相、又は銀を含む金属間化合物のみからなる相、又は銀を含む非晶質のみからなる相であってもよく、銀若しくは銀を含む固溶体と銀を含む金属間化合物と銀を含む非晶質とが複合された相であってもよい。
【0030】
銀リッチ相16における「銀」は銀単体を意味し、銀を含む固溶体は、銀を主成分とする、銀と銀とは異なる他の金属とから構成される固溶体を意味する。銀を含む固溶体は、例えば、銀及びネオジムを含む固溶体であってもよく、銀を含む金属間化合物は、例えば、銀及びネオジムを含む金属間化合物であってもよい。構成元素として銀及びネオジムを有する金属間化合物の相としては、AgNd(立方晶系)、α−AgNd(斜方晶系)、Ag51Nd(六方晶系)等が挙げられる。
【0031】
銀リッチ相16は、2種以上の銀又は銀を含む固溶体及び銀を含む金属間化合物を含んでいてもよい。表1に、銀リッチ相16における銀(Ag)の含有量と、銀リッチ相16に含まれる固溶体及び金属間化合物の種類との関係の一例を示す。表1に示すように、銀リッチ相16における銀の含有量に応じて、銀リッチ相16に含まれる相の構成は変動する。なお、表1に示す銀リッチ相の組成は目安であり、鉄元素やコバルト元素、不純物元素の影響によって、固溶体及び金属間化合物の組み合わせや各固溶体及び各金属間化合物の組成は変動する場合がある。
【0032】
【表1】

【0033】
銀リッチ相16における各固溶体、金属間化合物及び非晶質の含有量に特に制限はない。ただし、異方化率及び磁気特性を一層向上させる観点から、異方性交換スプリング磁石10全体における銀の含有量が好ましくは0.1〜4原子%、より好ましくは0.2〜2原子%、さらに好ましくは0.5〜1.5原子%である。したがって、銀リッチ相16は、異方性交換スプリング磁石10における銀の含有量が上述の範囲となるような組成を有することが好ましい。なお、上述の銀の含有量は、異方性交換スプリング磁石10に含まれる全原子数に対する銀の原子数の比率として求められる。
【0034】
銀リッチ相16は、異方性交換スプリング磁石10の副成分となる相であり、R−T−B相12及びFe系相14よりも、低融点の固溶体、金属間化合物、及び非晶質の少なくとも一つからなる相である。このように、異方性交換スプリング磁石10は低融点の銀リッチ相16を含有するため、熱間加工によって、R−T−B相の磁化容易軸方向を、容易に揃えることができる。したがって、R−T−B相の磁化容易軸の方向が揃った異方化率の高い異方性交換スプリング磁石10とすることができる。
【0035】
異方性交換スプリング磁石10における銀リッチ相16の含有量は、好ましくは0.1〜5体積%であり、より好ましくは0.2〜3体積%である。銀リッチ相16の含有量が高くなりすぎると、十分に高い最大エネルギー積が得られ難くなる傾向にある。一方、銀リッチ相16の含有量が低くなりすぎると、十分に高い異方化率が得られ難くなる傾向にある。
【0036】
異方性交換スプリング磁石10は、上述のR−T−B相12、Fe系相14及び銀リッチ相16を含む。銀リッチ相16は、結晶粒子として含まれていてもよく、R−T−B相12からなる結晶粒子やFe系相14からなる結晶粒子の間の粒界に微結晶又は非晶質として含まれていてもよい。なお、異方性交換スプリング磁石10は、上記3つの相とは異なる組成を有する相を含有していてもよい。そのような相としては、Bリッチ相、Rリッチ相又は不純物に由来する相等が挙げられる。なお、Rリッチ相とは、R−T−B相よりもRの元素濃度が高くかつ銀を含まない相であり、Bリッチ相とは、R−T−B相よりもB元素濃度が高くかつ銀を含まない相である。
【0037】
異方性交換スプリング磁石10に含まれるR−T−B相、Fe系相及び銀リッチ相から選ばれる相の個々の結晶粒の平均粒径は、好ましくは10〜1000nmであり、より好ましくは50〜200nmである。
【0038】
異方性交換スプリング磁石におけるR−T−B相12及びFe系相14の組成と結晶構造は、蛍光X線分析やX線回折分析によって分析することができる。また、銀リッチ相16も、例えば以下に説明する手順(A)又は(B)で分析することができる。
【0039】
(A)透過型電子顕微鏡(TEM)による分析方法
(1)異方性交換スプリング磁石を集束イオンビーム装置(FIB)で切断し、透過型電子顕微鏡(TEM)に付属するエネルギー分散形X線分光器(EDS)を用いて、切断片の微小領域における各元素(R,Fe,Co,Ag等)の元素マップを作成する。
(2)作成した元素マップのうち、R分布マップ及びAg分布マップから、銀リッチ相の分布を推定する。具体的には、Agのみ、又はR及びAgの両方が検出される部分を銀リッチ相とする。この銀リッチ相の分布位置の組成(R,Agの比率)を特性X線強度を用いて簡易定量し、大体の組成(相)の見当をつける。
(3)組成の見当をつけた部分の電子線制限視野回折図形を撮影して、結晶構造を求める。この結晶構造と、簡易定量で求めた既知の組成(相)と比較して同定する。
(4)(2)と(3)とを異なる微小領域で繰り返して行い、銀リッチ相に含まれる相(固溶体、金属間化合物)を同定することができる。
【0040】
(B)XRDによる分析方法
(1)異方性交換スプリング磁石をメノウの乳鉢等で十分に粉砕し、X線回折装置(XRD)を用いて異方性交換スプリング磁石粉末のXRDプロファイルを計測する。計測したXRDプロファイルから、第1相(R−T−B相)、第2相(Fe系相)のピーク部分を除去する。
(2)残った残差プロファイルに銀リッチ相に含まれうる相を全てマッチングしてみて、銀リッチ相に含まれる相(固溶体、金属間化合物)を同定する。
【0041】
上述の分析方法のうち、(A)TEMによる分析方法によれば、異方性交換スプリング磁石の特定部分における相(固溶体、金属間化合物)を特定することができる。一方、(B)XRDによる分析方法によれば、異方性交換スプリング磁石の全体に含まれる相(固溶体、金属間化合物)を特定することができる。
【0042】
異方性交換スプリング磁石は、図1に示すようにバルク体であってもよく、バルク体を粉砕して得られる磁石粉末であってもよい。このような磁石粉末を用いて異方性ボンド磁石や異方性焼結磁石を製造することができる。
【0043】
異方性交換スプリング磁石10全体の組成は、下記の組成式(2)で表すこともできる。
[Nd1-a-b-cPraDybTbcx[Fe(1-w)Cow1-x-y-zAgyz (2)
ここで、式(2)中、a,b,cはそれぞれ0〜1の数値であって、a+b+c≦1を満たす数値を示し、xは0.02〜0.1、yは0.001〜0.03、zは0.01〜0.1、wは0〜1の範囲の数値をそれぞれ示す。
【0044】
上記式(2)中、wは好ましくは0.001〜0.2である。このように、Feの一部をCoで置換することによって、キュリー温度と残留磁束密度とをさらに向上させることができる。また、RにおけるNdの一部をDy又はTbで置換することによって、R−T−B相の結晶磁気異方性を一層高くすることができる。これによって、耐熱性に優れるとともに、一層高い保磁力を有する異方性交換スプリング磁石とすることができる。
【0045】
異方性交換スプリング磁石10には、上述の元素のほかに、原料や製造プロセスに由来する不可避的不純物として、酸素(O)、窒素(N)、炭素(C)及び/又はアルミニウム(Al)等が含まれていてもよい。
【0046】
次に、本発明の異方性交換スプリング磁石の製造方法の好適な実施形態を説明する。本実施形態の異方性交換スプリング磁石10の製造方法は、下記(i)、(ii)及び(iii)の工程を有する。
【0047】
(i)ロール急冷法又はストリップキャスト法によって、所定の組成を有する合金粉末を製造する第1工程
(ii)合金粉末の成形体を作製する第2工程(圧粉成形体、ホットプレス成形体)
(iii)成形体を熱間加工する第3工程
【0048】
図3は、本実施形態の製造方法の第1工程を説明するための説明図である。第1工程では、R−T−B−Ag系の合金原料を石英からなるノズル管32内に導入し、真空又はアルゴンガス等の不活性ガス雰囲気下で溶解する。溶解した合金すなわち溶湯36を、ノズル管32の下端の孔から、所定の周速度で図3中の矢印方向に回転している金属製のロール34の外周面に向けて噴射する。
【0049】
溶湯36は、ロール34の外周面に接触する際に急冷却されて、リボン状又は針状の合金粉末38となる。合金粉末38は、R、T、B、及び銀を含む非晶質、又は、R14B型金属間化合物からなるR−T−B相(RはNdを含む希土類元素を示し、TはFe又はCoからなる元素を示す。)と、Fe系相と、銀リッチ相を含む。合金粉末38の各相の結晶粒径は、例えば100nm以下である。この粒径は、ノズル管32の下端の孔の径やロール34の周速度を変えて調整することができる。
【0050】
図4は、本実施形態の製造方法の第2工程及び第3工程を説明するための説明図である。図4(a)は本実施形態の製造方法の第2工程を説明するための説明図である。第2工程では、第1工程で得られた合金粉末38を加圧して、図4(a)に示すような円柱形状の圧粉成形体11を作製する。具体的には、金属製の中空状の管42の中空部に合金粉末38を充填した後、管42の両端部に押棒を押し当てて、加圧することによって圧粉成形体11を作製する。押棒は、管42の中空部に挿入可能なサイズであってもよい。
【0051】
圧粉成形体11は室温で加圧する圧粉加工によって得てもよいし、市販のホットプレス装置を用いて400〜700℃の温度範囲に加熱するホットプレス焼結加工によって得てもよい。第2工程で得られる圧粉成形体11の嵩密度は、十分な保形性を有しつつ、異方化率を十分に高くする観点から、好ましくは5g/cm以上である。
【0052】
図4(b)は、本実施形態の第3工程を説明するための説明図である。第3工程では、圧粉成形体11を熱間塑性加工して、異方性交換スプリング磁石10を作製する。熱間塑性加工の方法としては、熱間圧縮加工や熱間後方押出加工が挙げられる。熱間圧縮加工を行う場合、図4(b)に示すように、圧粉成形体11を管42に充填した状態で、800〜950℃に加熱しながら管42の両端部に一対の押棒44を押し当てて、押棒44が対向する方向に加圧する。これによって、管42が変形するとともに圧粉成形体11は加圧されて塑性変形し、熱間塑性加工されることとなる。熱間圧縮加工は、800〜950℃の温度範囲に加熱し、ひずみ速度0.1〜10/sで圧縮することが好ましい。このように比較的低温で加工を進めることによって、結晶粒の粒界すべり及び粒成長が大きく進行する。
【0053】
熱間圧縮加工による高さ減少率は、好ましくは80%以上である。ここでいう高さ減少率は、熱間圧縮加工前の圧粉成形体11の高さ(圧縮方向の長さ)をH、熱間圧縮加工後の異方性交換スプリング磁石10の高さをHとしたときに、下記式(3)で計算される値である。
高さ減少率(%)=(H−H)/H×100 (3)
【0054】
熱間後方押出加工による断面積減少率は、好ましくは60%以上である。ここでいう断面積減少率は、熱間塑性加工前の圧粉成形体の押出軸と直角な断面積をS、熱間後方押出加工後の底付円筒形状となった磁石の円筒部の押出軸と直角な断面積をSとしたときに、下記式(4)で計算される値である。
断面積減少率(%)=(S−S)/S×100 (4)
【0055】
通常は、R14B/α−Fe系のナノコンポジット磁石粉末は、1000℃以上に加熱しないと熱間塑性加工することは困難である。本実施形態の製造方法では、圧粉成形体11が銀リッチ相を含有するため、800〜950℃の加熱温度でも液相が出現する。このように、従来よりも低温で液相が出現し、低温で元素拡散が生じてR−T−B相結晶粒の粒界すべりや粒成長が進行することによって、異方化を進めることができる。このように低温で熱間塑性加工できるため、過剰な粒成長を抑制しつつR−T−B相の磁化容易軸の向きが揃った異方性交換スプリング磁石を製造することができる。以上の工程によって、磁気異方性を有する異方性交換スプリング磁石10が得られる。
【0056】
この異方性交換スプリング磁石10を用いて、以下の手順で異方性ボンド磁石を作製することができる。まず、異方性交換スプリング磁石10を粉砕し、必要に応じて分級を行って、粒径が300μm以下である異方性交換スプリング磁石の粉末(以下、「異方性交換スプリング磁粉という。」)を調製する。調製した異方性交換スプリング磁粉を、樹脂バインダと混合して、樹脂バインダと当該樹脂バインダ中に分散された異方性交換スプリング磁粉とを含むコンパウンドを得る。このコンパウンドを、磁場中圧縮又は射出成形して、樹脂と当該樹脂中に分散された異方性交換スプリング磁粉とを含む異方性ボンド磁石を得ることができる。
【0057】
樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂や、スチレン系、オレフィン系、ウレタン系、ポリエステル系、ナイロンなどのポリアミド系のエラストマー、アイオノマー、エチレンプロピレン共重合体(EPM)、エチレン−エチルアクリレート共重合体等の熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0058】
異方性ボンド磁石は、異方性交換スプリング磁石10よりも形状自由度が高く、且つ電気抵抗率も高い。また、寸法精度に優れているため切断や研磨等の加工を省くことができる。このため、希土類元素を含む高価な原料の使用量が削減され、高い歩留りで異方性ボンド磁石を製造することができる。
【0059】
また、異方性交換スプリング磁石10を用いて、以下の手順で異方性焼結磁石を作製することができる。まず、熱間塑性加工後の異方性交換スプリング磁石を粉砕し、必要に応じて分級を行って、粒径が300μm以下である異方性交換スプリング磁石の粉末(以下、「異方性交換スプリング磁粉という。」)を調製する。
【0060】
調製した異方性交換スプリング磁粉を金型内に充填し、磁場中で充填した異方性交換スプリング磁粉を圧縮して、嵩密度が4.0g/cm以上である所定形状の成形体を作製する。作製した成形体を、市販のプラズマ活性化焼結装置(PAS)又は放電プラズマ焼結装置(SPS)の金型内に装入し、所定の条件で加熱して焼結し、異方性焼結磁石を作製する。焼結時の加熱条件は、例えば、真空中で120℃/分以上の昇温速度で焼結温度(例えば600〜660℃)にまで昇温した後、所定時間保持する。焼結させた後、ヘリウムガス又はアルゴンガス等の冷却ガスを導入して、200℃/分以上の冷却速度で急冷する。これによって、焼結密度が例えば7.5g/cm以上の異方性焼結磁石を作製することができる。
【0061】
上述の方法によれば、形状自由度が高く、且つ焼結密度の高い異方性焼結磁石を作製することができる。このような異方性焼結磁石は、上述の特徴を有する異方性交換スプリング磁石の粒子を含有し且つ焼結密度が高いために、優れた磁気特性を有する。
【0062】
上述の各実施形態における異方性交換スプリング磁石、異方性ボンド磁石及び異方性焼結磁石は、例えば、電動機や発電機等の回転機用の磁石として好適に用いることができる。
【0063】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではない。例えば、図2では、銀リッチ相16が、R−T−B相12からなる粒子やFe系相14からなる粒子の間の粒界に含まれる構造としたが、銀リッチ相16は粒界に存在していなくてもよい。
【実施例】
【0064】
本発明の内容を実施例及び比較例を参照してより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0065】
(実施例1)
ネオジム、鉄、コバルト、銀及びホウ素の各原料を、表2の元素組成となるように配合し、アーク溶解炉にて所定の形状に鋳造した。鋳造した合金の表面におけるスケールを研削して除去した後、当該合金をロール急冷装置の石英ノズル管の管内に装入し、アルゴンガス雰囲気中で高周波加熱溶解して溶湯を得た。この溶湯を、石英ノズル管の下端の穴(直径1.0mm)から、周速50m/秒で回転しているCu製のロール外周面に向けて噴射した。これによって、溶湯をロール外周面に接触させて急冷固化させた。固化させた針状又はリボン状の合金粉末は、ロールの周方向の回転によって装置内の飛行管に飛行し、回収された。
【0066】
針状又はリボン状の合金粉末を乳鉢で粉砕した後、ステンレス篩を用いて180μm以下に分級して微粉末を得た。この微粉末のX線回折を行って、合金の大部分が非晶質金属となっていることを確認した。さらに、微粉末の破面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、多くの微粉末の破面はガラスの様に平滑であり、非晶質金属で構成されていることが確認された。
【0067】
この微粉末を室温で外径10mm、内径8mm、高さ11mmの鋼管の内部に入れて、所定の圧力で一軸加圧して圧粉成形し、図4(a)に示すような圧粉成形体11と鋼管42とが一体となった圧粉試験片を作製した。圧粉成形体11の嵩密度は5g/cm以上であった。なお、鋼管42は熱間塑性加工時に圧粉試験片が表面から亀裂破断するのを防止する目的で使用した。
【0068】
この圧粉試験片を、富士電波工機株式会社製の熱間加工再現試験装置の内部に配置された、直径20mm、長さ40mmの窒化ケイ素製の上押棒と下押棒の間に挿入した。そして、20Pa以下に減圧して、高周波誘導加熱によって950℃に加熱しながら圧縮速度2.2mm/秒で一軸圧縮加工し、図4(b)に示すような異方性交換スプリング磁石10を作製した。上記式(3)で算出される熱間塑性加工による高さ減少率は80%であった。
【0069】
異方性交換スプリング磁石の磁気特性を測定するために、異方性交換スプリング磁石10から鋼管42を取り外し、異方性交換スプリング磁石10をスタンプミルで粉砕した。その後、ステンレス篩により300μm以下に分級して異方性交換スプリング磁石の粉末(以下、「異方性交換スプリング磁粉」という。)を作製した。この異方性交換スプリング磁粉を用いて、以下の手順で「配向サンプル」と「無配向サンプル」とを作製した。
【0070】
少量の異方性交換スプリング磁粉をパラフィンと共にサンプル容器内に入れ、約70℃に加熱してパラフィンを溶融した。そして、10kOe(1T)の磁界中で異方性交換スプリング磁粉(R−T−B相結晶粒)の磁化容易軸方向を揃えた状態で放冷してパラフィンを固化し、異方性交換スプリング磁粉の磁化容易軸が特定の方向に揃った「配向サンプル」を作製した。
【0071】
また、これとは別に、磁場を印加しなかったこと以外は、上記「配向サンプル」と同様にして、「無配向サンプル」を作製した。この無配向サンプルは、異方性交換スプリング磁粉の磁化容易軸方向がランダムな方向になっていた。
【0072】
東英工業株式会社製の振動試料型磁力計「VSM−3型(装置名)」を用いて、「配向サンプル」の配向方向における磁気特性を測定した。測定結果を表3に示す。また、同様の測定装置を用いて「無配向サンプル」の任意の方向における磁気特性を測定した。そして、配向サンプルの飽和磁化をα、未配向サンプルの飽和磁化をβとしたときの異方化率を下記式(1)によって算出した。この結果も併せて表3に示す。なお反磁界補正は省略した。
異方化率(%)=(α/β)×100−100 (1)
【0073】
(比較例1〜3)
表2の元素組成となるように、ネオジム、鉄、コバルト、ホウ素及び銅の各原料を配合したこと以外は、実施例1と同様にして「配向サンプル」及び「無配向サンプル」を作製し、磁気特性及び異方化率の評価を行った。その結果を表3に示す。
【0074】
【表2】

【0075】
【表3】

【0076】
表3に示す結果から、実施例1の異方性交換スプリング磁石の異方化率は2.2%であった。また、この異方性交換スプリング磁石は優れた磁気特性を有していることが確認された。一方、比較例1の異方性スプリング磁石の異方化率は0であり、磁気異方性を有していないことが確認された。また、この異方性スプリング磁石は、磁気特性が実施例1の異方性磁石よりも低かった。
【0077】
また、比較例2の異方性交換スプリング磁石の異方化率は、実施例1よりも低かった。このため、比較例2の異方性交換スプリング磁石は、比較例1よりも飽和磁化(4πIs)が高くなっているものの、Cuの含有量が高い等の影響によって、比較例1よりも残留磁束密度(Br)が低くなっていた。また、比較例3の異方性交換スプリング磁石は異方化率が実施例1よりも高かった。しかし、Cuの含有量が高い等の影響によって、実施例1よりも飽和磁化及び残留磁束密度が低かった。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明によれば、高い磁気異方性を有し、優れた磁気特性を有する異方性交換スプリング磁石を提供することができる。また、高い磁気異方性を有し、優れた磁気特性を有する異方性交換スプリング磁石の製造方法を提供することができる。さらに、上述の異方性交換スプリング磁石を含有することにより、高い磁気特性を有する異方性ボンド磁石及び異方性焼結磁石を提供することができる。
【符号の説明】
【0079】
10…異方性交換スプリング磁石、11…圧粉成形体、12…R−T−B相、14…Fe系相、16…銀リッチ相、32…ノズル管、34…ロール、36…溶湯、38…合金粉末、42…管(鋼管)、44…押棒。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
14B型金属間化合物(RはNdを含む希土類元素を示し、TはFe又はCoからなる元素を示す。)からなるR−T−B相と、
α−Fe、α−Fe固溶体、α−Co、α−Co固溶体、及びα’−FeCo金属間化合物から選ばれる少なくとも一つからなるFe系相と、
銀、銀を含む固溶体、銀を含む金属間化合物、及び銀を含む非晶質から選ばれる少なくとも一つからなる銀リッチ相と、を含有する異方性交換スプリング磁石。
【請求項2】
前記R−T−B相の磁化容易軸方向を揃えたときの飽和磁化をα、及び前記R−T−B相の磁化容易軸方向がランダムであるときの飽和磁化をβとしたとき、
下記式(1)で表される異方化率が1.5%以上である、請求項1に記載の異方性交換スプリング磁石。
異方化率(%)=(α/β)×100−100 (1)
【請求項3】
R、T、B、及び銀を含む非晶質からなる合金粉末、又は、R14B型金属間化合物(RはNdを含む希土類元素を示し、TはFe又はCoからなる元素を示す。)からなるR−T−B相と、α−Fe、α−Fe固溶体、α−Co、α−Co固溶体、及びα’−FeCo金属間化合物から選ばれる少なくとも一つからなるFe系相と、銀、銀を含む固溶体、銀を含む金属間化合物、及び銀を含む非晶質から選ばれる少なくとも一つからなる銀リッチ相と、を含む合金粉末、を調製する第1工程と、
前記合金粉末の成形体を作製する第2工程と、
前記成形体を800〜950℃の温度範囲で熱間塑性加工する第3工程と、を有する、
前記R−T−B相と、前記Fe系相と、前記銀リッチ相と、を含有する異方性交換スプリング磁石の製造方法。
【請求項4】
樹脂と、該樹脂の中に分散された請求項1又は2に記載の異方性交換スプリング磁石からなる粒子と、を含む、異方性ボンド磁石。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の異方性交換スプリング磁石からなる粒子を含む、異方性焼結磁石。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−216642(P2011−216642A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−82851(P2010−82851)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000003067)TDK株式会社 (7,238)
【Fターム(参考)】