異物検査装置および異物検査方法
【課題】 レティクルやマスクなどパターンが形成された基板上の異物検査において、パターンからの散乱や回折光による誤検出を低減しながら、かつ、異物の見逃しも低減することができる異物検査装置および異物検査方法を提供する。
【解決手段】 検査対象基板1の表面に対して一定の偏光角を有するレーザ光Lを走査しながら照射する光源部2と、検査対象基板1の表面に形成されたパターンによる散乱/回折光を消光する光学手段11を設け、その出力信号Rmを検出する主検出器13と、前記散乱/回折光Rを透過する光学手段12を設け、その出力信号Rrを検出する参照用検出器14と、主検出器13の偏光成分出力から参照用検出器14の偏光成分を減算して差信号Dを求め、この差信号Dに含まれるパターンによる幅の広い信号Pad, Pbdと異物Aa,Abによる鋭いピークを持つ信号Aad, Abdをその周波数によって弁別して取出す信号処理部20とを有する。
【解決手段】 検査対象基板1の表面に対して一定の偏光角を有するレーザ光Lを走査しながら照射する光源部2と、検査対象基板1の表面に形成されたパターンによる散乱/回折光を消光する光学手段11を設け、その出力信号Rmを検出する主検出器13と、前記散乱/回折光Rを透過する光学手段12を設け、その出力信号Rrを検出する参照用検出器14と、主検出器13の偏光成分出力から参照用検出器14の偏光成分を減算して差信号Dを求め、この差信号Dに含まれるパターンによる幅の広い信号Pad, Pbdと異物Aa,Abによる鋭いピークを持つ信号Aad, Abdをその周波数によって弁別して取出す信号処理部20とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、LSI製造プロセスにおいて半導体ウェーハに回路パターンを焼き付けるのに用いられるレティクルやマスク、あるいは、半導体ウェーハなどパターンが形成された平面基板における異物を検査する異物検査装置および異物検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レティクルやマスクなどの表面上における異物検査においては、LSIなどの高集積化に伴い、レティクルやマスク上に形成される回路パターンも高集積化および微細化が進み、回路パターンを異物と誤検出しやすくなってきている。このような誤検出をなくすため、従来より、偏光を利用したり、検出器の配置を変えたり、検出器前面に空間フィルタを配置するなど種々の対策が講じられている。
【0003】
特許文献1は、検査対象基板の表面に対して一定の偏光角を有するレーザ光を走査しながら照射するレーザ光源部と、レーザ光の照射に伴って検査対象基板の表面で生じる散乱/回折光のうち異なる2つの偏光角度の偏光成分を透過させる検光子と、各々その強度をそれぞれ検出可能に構成された2つの光検出器(主検出器と参照用検出器)を有してなる検出部を有する異物有無検査装置を示す。この異物有無検査装置は、偏光差動法と呼ばれる方法によって異物の有無を判断するものであり、2つの光検出器によってそれぞれ検出された異なる2つの偏光角度の偏光成分の強度を比較し、その比の大きさおよび/または差の正負を判断することにより、異物の有無の判断を行うものである。
【0004】
図10は偏光差動法を用いた信号処理の例を説明する図である。図10においてImp1 は検査対象基板の表面に対して特定の偏光角度の偏光成分の強度信号(以下、M偏光成分という)、Irp1 は前記各検査対象基板の表面に対して前記と異なる(例えばM偏光成分に対して直角な)偏光角度の偏光成分(以下、R偏光成分という)の強度信号を示している。また、Ama1,Amb1,Ara1,Arb1 は異物に起因する信号、Pm1,Pr1は前記検査対象基板に形成されたパターンに起因する信号である。
【0005】
図10に示すように、パターンに起因する信号Pr1は極めて大きく検出され、同じパターンに起因する信号Pm1は小さく検出される。一方、ある異物に起因する信号Ama1,Ara1 については信号Ara1 が信号Ama1 に比べて小さく検出される傾向があり、別の異物に起因する信号Amb1,Arb1 は、その信号Amb1 も、その信号Arb1 も同じ程度検出される。
【0006】
したがって、R偏光角度の信号Pr1がそれとはM偏光成分の信号Pm1と同程度のレベルになるように、強度信号Irp1 の増幅率(感度)を調整して、この感度調整した信号Irp1'と信号Irp1 との差Dp1を求め、この差Dp1が所定のしきい値Th以下の場合はこれをノイズとしてカットし、しきい値Th以上のときに異物信号Ada1,Adb1 として出力する。一般的には、パターンに起因する信号Pr1は、信号Pm1に比べて十分に大きいから、強度信号Irp1 の増幅率(感度)を強度信号Imp1 の増幅率(感度)の1/10〜1/100倍に設定するのが望ましい。
【0007】
特許文献2は光検出器の出力側にローパス特性を備えた第1信号処理ラインと、ローパス特性を備えない第2信号ラインとを互いに並列に設けるとともに、これらの2つの信号処理ラインの出力の差をとることにより、パターンからの散乱/回折光を異物からの散乱/回折光から弁別するもの(以下、この弁別方法をローパス差を用いた方法という)を示す。
【0008】
すなわち、前記ローパス差を用いた方法では、パターンに起因する信号は、台形もしくは矩形の(周波数の低い)信号に周波数の高い信号が重畳したものとなるので、この信号を2系統に分岐し、一方はローパス特性を持った回路に通し、もう一方は、遅延特性を持った回路に通し、ローパス特性を持った回路による遅れだけ信号を遅延させ、両信号の同期をとる。次いで、両信号の差をとることにより、異物に起因する周波数の高い信号だけを検出することができる。
【特許文献1】特開平1−245136号公報
【特許文献2】特開平9−218163号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、特許文献1に示すような偏光差動法を用いる場合、偏光特性を利用するため、パターンからの散乱/回折光が多重回折/散乱を起こすようなパターン構成の場合などにおいて、十分有効な手段とはならなかった。
【0010】
図11は多重回折や多重散乱を起こすような検査対象基板の表面に対して偏光差動法を用いた信号処理を行う例を説明する図であり、Imp2 はM偏光成分の強度信号、Irp2 はR偏光成分の強度信号Irp2 を示している。また、Ama2,Amb2,Ara2,Arb2 は前記検査対象基板にある異物による散乱/回折光に起因する信号、Pm2,Pr2は前記検査対象基板に形成されたパターンに起因する信号である。
【0011】
図11に示すように、パターンからの散乱/回折光が多重回折/散乱を起こす場合、パターンに起因する信号Pr2は信号Pm2に比べて大きく検出されるものの、その差は図10に示す例ほど大きくならない。このため、異物に起因する信号Ama2,Ara2,Amb2,Arb2 が、何れも図10の場合と同程度検出されている場合であっても、パターンに起因する信号Pr2に比べて異物に起因する信号Ara2,Arb2 が大きくなる。
【0012】
ゆえに、符号Imp2'に示すようにパターンに起因する信号Pr2のレベルを信号Pm2のレベルに合わせた場合に、異物に起因する信号Ara2', Arb2'が幾らか残るので、両信号Irp2,Imp2'の差Dp2において、異物に起因する信号Ada2,Adb2 が小さくなり、これがしきい値Th以下になれば、ノイズとしてカットされるという問題があった。つまり、S偏光差動においても比較的強い光を散乱するような異物に起因する信号Adb2 が小さくなって感度が低下し、異物を見逃してしまう可能性があった。
【0013】
また、特許文献2に示すようなローパス差を用いた信号処理を行う場合には、疎な配置となるパターン構成に対しては効果が低いため、様々のパターン全てに対して、十分有効な手段とはならなかった。
【0014】
図12は疎なパターンが形成された検査対象基板50の一つの例を示す図であり、Im3はこの検査対象基板を検査したときに検出される信号の一例を示している。図12(A)に示すように、検査対象基板50にはレーザ光の照射によって光りやすいパターン51と光りにくいパターン52がある。
【0015】
そして、光りやすいパターン51が疎に分布しているような検査対象基板50を検査すると、図12(B)に示すように、パターン51に起因する局所的な鋭い信号53が検出される。このような信号53にローパス差を用いた信号処理を施したとしても、この信号53を取り除くことは困難であり、これを異物によるものと誤検出してしまう可能性があった。
【0016】
また、比較的大きな(周波数の低い)パターンが形成されている場合にも、このパターンに起因する信号の立上り部分において周波数の高い成分が含まれているので、これをローパス差を用いた信号処理によって取り除き切れないことがあり、パターンに起因する信号の立上り部分を異物として誤検出してしまう可能性があった。それゆえにローパス差を用いた信号処理によってカットする周波数の上限を幾らか引き上げる必要があり、これが異物を見逃す原因となることもあった。
【0017】
本発明は上述の事柄を考慮に入れてなされたものであって、その目的は、レティクルやマスクなどパターンが形成された基板上の異物検査において、パターンからの散乱や回折光による誤検出を低減しながら、かつ、異物の見逃しも低減することができる異物検査装置および異物検査方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の異物検査装置は、検査対象基板の表面に対して一定の偏光角を有するレーザ光を走査しながら照射する光源部と、このレーザ光の照射に伴って検査対象基板の表面で生じる散乱/回折光のうち、検査対象基板の表面に形成されたパターンによる散乱/回折光を消光する光学手段を設け、その出力信号を検出する主検出器と、前記パターンによる散乱/回折光を透過する光学手段を設け、その出力信号を検出する参照用検出器と、主検出器によって検出された偏光成分の強度から参照用検出器によって検出された偏光成分の強度を減算して差信号を求める一方、この差信号に含まれるパターンによる幅の広い信号と異物による鋭いピークを持つ信号をその周波数によって弁別して取出す信号処理部とを有することを特徴としている。
【0019】
前記散乱/回折光を集光する集光レンズと、この集光レンズにより集められた散乱/回折光を2光路に分けるハーフミラーと、それぞれの光路に挿入された検光子とを有し、前記主検出器および参照用検出器をハーフミラーによって分けられたそれぞれの光路の終端に配置してあってもよい(請求項2)。
【0020】
請求項3に記載の異物検査方法は、検査対象基板の表面に対して一定の偏光角を有するレーザ光を走査しながら照射し、このレーザ光の照射に伴って検査対象基板の表面で生じる散乱/回折光のうち、検査対象基板の表面に形成されたパターンによる散乱/回折光を消光する光学手段の出力信号と、前記パターンによる散乱/回折光を透過する光学手段の出力信号をそれぞれ検出し、パターンによる散乱/回折光を消光する光学手段の出力信号から、パターンによる散乱/回折光を透過する光学手段の出力信号を減算して差信号を求め、この差信号に含まれるパターンによる幅の広い信号と異物による鋭いピークを持つ信号をその周波数によって弁別して取出すことを特徴としている。
【0021】
前記散乱/回折光を集光し、集められた散乱/回折光をハーフミラーによって2光路に分けると共に、分けられた光路のうち一方にパターンによる散乱/回折光を消光する偏光角度の偏光成分を透過する検光子を配置してその偏光成分の強度を検出し、前記光路のもう一方にパターンによる散乱/回折光を透過する偏光角度の偏光成分を透過する検光子を配置してその偏光成分の強度を検出してもよい(請求項4)。
【発明の効果】
【0022】
請求項1に記載の発明では、例えば、疎な間隔で並ぶパターンが形成された検査対象基板の場合に、パターンに起因する信号をその偏光差動法を用いて十分に低くすることができるので、これを異物に起因する信号と明確に弁別することができる。また、多重反射や多重回折が検出器に入射するようなパターンにおいては、後段のローパス差を用いた信号処理が台形状の周波数の低い信号を取り除くことができるので、パターンに起因する信号を偏光差動法によって完全に取り除く必要がない。したがって、偏光差動法の減算処理は差信号に含まれる異物信号の感度を落とすことがない程度に行って、高感度に異物を検出することができる。
【0023】
加えて、多重反射や多重回折が生じるような検査対象基板は発光点がもとのレーザ光が照射されたスポットよりも広くなるので、直接入光する散乱光や回折光の信号より少し鈍ったような遅い信号(低い周波数のみを含む信号)となる。ゆえに、多重反射や多重回折が生じるような検査対象基板はローパス差を用いた信号処理に適しており、このローパス差を用いた信号処理によってパターンに起因する信号を確実に取り除くことができる。
【0024】
また、偏光差動法とローパス差の信号処理の両方で効果の薄いパターンを有する検査対象基板を測定する場合、つまり、例えば疎に並ぶパターンが形成されており、かつ、多重反射するような検査対象基板を検査する場合には、それぞれの効果はうすいものの、偏光差動によってパターンに起因する信号レベルが下げられ、さらにローパス差の効果も得ることができるので、パターンに起因する信号を効果的に取り除くことができる。すなわち偏光差動法とローパス差を用いた信号処理の組み合わせが、パターンに起因する信号レベルを下げると同時に異物を確実に検出するのに重要である。
【0025】
つまり、本発明の異物検査装置は疎で粗なパターン構成から、密で微細なパターン構成まで、様々のパターン構成を持ったサンプルについて、パターンによる誤検出を低減することができ、かつ、異物を見逃すことなく検出することができる。
【0026】
前記散乱/回折光を集光する集光レンズと、この集光レンズにより集められた散乱/回折光を2光路に分けるハーフミラーと、それぞれの光路に挿入された検光子とを有し、前記主検出器および参照用検出器をハーフミラーによって分けられたそれぞれの光路の終端に配置してなる場合(請求項2)には、主検出器と参照用検出器によって検出される検出対象となる散乱/回折光の光束を一つにすることが可能であるから、より正確な測定を行うことができる。したがって、角度によって異なる分布で散乱するような検査対象基板を検査する場合にも、異物を正確に弁別することができる。
【0027】
請求項3に記載の異物検査方法では、疎な間隔で並ぶパターンが形成された検査対象基板であっても、多重反射や多重回折が生じるような検査対象基板であっても、また、疎な間隔で並ぶパターンが形成されると共に多重反射や多重回折が生じるような検査対象基板であっても、偏光差動法とローパス差を用いた信号処理の組み合わせによって効果的にパターンに起因する信号レベルを下げることができるので、異物に起因する信号を高感度にて検出することができる。
【0028】
前記散乱/回折光を集光し、集められた散乱/回折光をハーフミラーによって2光路に分けると共に、分けられた光路のうち一方にパターンによる散乱/回折光を消光する偏光角度の偏光成分を透過する検光子を配置してその偏光成分の強度を検出し、前記光路のもう一方にパターンによる散乱/回折光を透過する偏光角度の偏光成分を透過する検光子を配置してその偏光成分の強度を検出する場合(請求項4)には、主検出器と参照用検出器によって検出される検出対象となる散乱/回折光の光束を一つにして、角度によって異なる分布で散乱するような検査対象基板を検査する場合にも、異物を正確に弁別することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
図1は、異物検査装置の一般的なハードウェア構成を示すもので、図1において、1は表面に回路パターン(図示せず)が描かれた検査対象基板(例えばレチクル)で、検査ステージ上Stに水平に載置されている。なお、検査ステージStは、図中の矢印X方向およびこれと直交する矢印Y方向にそれぞれスライド移動できるようにしてある。
【0030】
2は検査対象基板1(以下サンプルという)の表面にレーザ光Lを直線的に矢印Y方向に走査しながら照射するための光源部(入射光学系)であり、一定の偏光角を有するレーザ光Lを発する例えばHe−Neレーザ発振器3、ビームエキスパンダ4、ガルバノミラー5および集光レンズ6などを有し、レーザ発振器3からのレーザ光Lを、サンプル1の所定角度斜め上方向から、Y方向における所定範囲内で往復直線走査しながら照射するように構成されている。
【0031】
7はサンプル1に照射されたレーザ光Lの照射表面からの散乱/回折光Rを検出するための検出光学系で、サンプル1のY方向における一端側の斜め上方に配置されており、この検出光学系7は、レーザ光Lが照射された部分で生じる散乱/回折光Rを平行光にするための集光レンズ8、散乱/回折光Rに対する入射光制限用の細長いスリット9aを形成したスリット部材9、集光レンズ8により集められた散乱/回折光Rを2光路に分けるハーフミラー10、それぞれの光路に挿入された光学手段の一例である検光子11,12、ハーフミラーによって分けられたそれぞれの光路の終端に配置してなる例えば光電子倍増管からなる前記主検出器13および参照用検出器14などを有する。また、集光レンズ8の焦点は走査線のほぼすべての領域でサンプル1上に一致するように調整しておく。
【0032】
このように構成された異物検査装置においては、検査ステージStを矢印X方向に直線的に移動させつつ、レーザ発振器3からのレーザ光Lを、サンプル1の所定角度斜め上方向から、Y方向における所定範囲内で往復直線走査しながら照射し、そのときのサンプル1の表面からの散乱/回折光Rを光検出器13,14に入射させるようにしている。そして、本実施例では光検出器13が主検出器、光検出器14が参照用検出器である。
【0033】
図2はハーフミラー10より後の受光系ユニットの構成を示す図である。図2に示すように、主検出器13の前に置く検光子11はサンプル1のパターンからの散乱光や回折光を消光する特定の偏光角度(例えばサンプル1の表面に対してほゞ直角な偏光角度であり、以下、M偏光角度という)に配置した偏光フィルタであり、参照用検出器14の前に置く検光子は、サンプル1上のパターンからの散乱光および回折光を透過する別の偏光角度(例えば前記R偏光角度に対して直角な偏光角度であり、以下、R偏光角度という)に配置した偏光フィルタである。
【0034】
また、ハーフミラー10から主検出器13までの距離とハーフミラー10から参照用検出器14までの距離を同じにすることにより、主検出器13と参照用検出器14によって検出できる信号の同時性を保つように構成してあることが望ましい。
【0035】
上記構成の異物検査装置を用いることにより、前記レーザ光Lをガルバノミラー5によってY軸方向に走査しながら照射することができる。そして、その状態でステージStをX方向に一定速度で移動させることにより、サンプル全面にレーザ光Lを照射し、サンプル1の各部の表面から散乱/回折光Rを得ることができる。なお、本実施例ではサンプル1上を光が走査する領域を含む概ね矩形の領域1aが、集光レンズ8を間に挟みスリット9aと共役な関係となるように、集光レンズ8、スリット部材9を配置してあるので、余分な迷光や多重回折や多重散乱による光をできるだけカットすることができる。また、多重回折や多重散乱はサンプル1の表面だけでなく内部でも生じるので、前記散乱/回折光Rが生じる表面とはサンプル1の表面およびその近傍も含まれる。
【0036】
そして、集光レンズ8で集光し、スリット9aを通り抜けた散乱/回折光Rをハーフミラー10で2つの光路に分け、2つの検光子11,12によってそれぞれM偏光角度,R偏光角度の偏光成分Rm,Rrだけを透過させ、この偏光成分Rm,Rrの強度を検出器13,14によって検出する。つまり、サンプル1上にレーザ光Lを散乱する物体があった場合に、それぞれの検出器13、14から信号が生じる。とりわけ、主検出器13はサンプル1上に形成されたパターンからの散乱/回折光をできるだけ消光した状態で異物から生じた散乱/回折光を検出し、参照用検出器14はサンプル1上に形成されたパターンからの散乱/回折光をできるだけ強く検出すると共に、異物から生じた散乱/回折光も検出する。
【0037】
本実施例の検出器13,14は何れも光電子倍増管からなり、その印加電圧によって感度を調整することができる。つまり、主検出器13と参照用検出器14の検出感度はそれぞれ独立して調整できると共に、連続的な感度調整を別途の増幅器などを用いることなく行うことができる。また、参照側の信号が強い場合、参照用検出器14の感度は、パターンに起因する信号が主検出器13によって検出されるパターンに起因する信号とほぼ等しくなる程度かやや低い程度となるように調整される。
【0038】
図3は前記両検出器13,14から出力される信号Im,Irの信号処理回部の構成を示す図である。図3に示すように、本実施例の信号処理部20は検出器13,14の出力を増幅するプリアンプ21,22と、増幅された信号Im,Irの差を求める減算器23と、この減算よって求められた差信号Dの所定周波数以下だけを通すように構成されたローパスフィルタ24と、このローパスフィルタ24による信号の遅れと同じだけ差信号Dを遅れさせる遅延回路25と、遅延回路25の出力信号Dbからローパスフィルタ24の出力信号Daを減算して出力信号Oを得るための減算器26とを有する。
【0039】
図4は本実施例の異物検査装置による作用効果を説明するためのサンプル1の例を示す図であり、図5はこのサンプル1を測定したときに検出される信号Im,Irや、各信号処理の方法を説明する図である。
【0040】
図4に示すサンプル1には疎に配置されたパターンPaおよびパターンPbが形成されている。また、パターンPaは比較的大きな面積を有し、パターンPbはパターンPaの間に配置された小さな面積を有するパターンである。そして、Aa,Abはサンプル1の表面部分に付着した異物である。図5において、仮想線で示す信号Ir’は参照用検出器14を主検出器13と同じ感度で検出した場合の参照用検出器14の出力信号である。
【0041】
図5に示すように、主検出器13によって検出される信号ImにはパターンPaに起因する略台形状の信号PamとパターンPbに起因する幾らか鋭いピーク信号Pbmが含まれており、かつ、異物Aaに起因する鋭いピーク信号Aamと、異物Abに起因する鋭いピーク信号Abmが含まれている。同様に参照用検出器14によって検出される信号IrにはパターンPaに起因する略台形状の信号ParとパターンPbに起因する幾らか鋭いピーク信号Pbrが含まれており、かつ、異物Aaに起因する鋭いピーク信号Aarと、異物Abに起因する鋭いピーク信号Abrが含まれている。
【0042】
本実施例に示すサンプル1は多重回折や多重散乱が生じているために、参照用検出器14によって検出される信号IrにおいてパターンPaに起因する信号ParとパターンPbに起因する信号Pbrは、異物Aa,Abに起因する信号Aar, Abrに比べて十分に高い信号ではない。それゆえに、信号Irに含まれるパターンPa,Pbに起因する信号Par, Pbrが信号Imに含まれるパターンPa,Pbに起因する信号Pam, Pbmよりも幾らか低い信号となる程度に、参照用検出器14の増幅率を調整することにより、信号Irに含まれる異物Aa,Abに起因する信号Aar, Abrを低く抑えるようにしている。
【0043】
したがって、前記減算器23によって求められる信号Im,Irの差信号Dには、図5に示すようにパターンPa,Pbに起因する信号Pad,Padが含まれている。一方、異物Aa,Abに起因する信号Aad, Abdは図11を用いて説明した例に比べて高い信号となる。つまり、前記参照用検出器14の感度(増幅率)は、差信号Dに現れる異物Aa,Abに起因する信号Aad, Abdが確実に検出できる程度に小さく設定し、主検出器13によって検出される信号IrからパターンPa,Pbに起因する信号を幾らか弱める程度であることが望ましい。
【0044】
なお、信号Irに含まれる異物に起因する信号Aar, Abr…の全てがパターンに起因する信号Par, Pbrよりも十分に小さい場合には、この信号Par, Pbrが前記信号Imに含まれる信号Pam, Pbmと同じ強度になるように、参照用検出器14の増幅率を調整することにより、差信号DにパターンPa,Pbに起因する信号Pad,Padが現れないようにしてもよい。
【0045】
次いで、前記差信号Dをローパスフィルタ24(図3参照)に通すことにより鋭いピークを持つ異物Aa,Abに起因する信号を取り除き、パターンPa,Pbに起因する信号Pal, Pblだけを通過させることができる。このとき、多重散乱や多重回折を起こさないサンプル1を検査した場合の差信号Dに含まれるパターンPa,Pbに起因する信号Pad, Pbdは多重散乱や多重回折を起こさないサンプルを検査した場合に比べて、レーザ光Lの焦点から外れた表面部分における多重散乱光や多重回折光を含んでいるので、幾らか滑らかな信号となることが考えられる。それゆえに、多重散乱や多重回折を起こすサンプル1の場合、パターンPa,Pbに起因する信号Pad, Pbdをローパスフィルタ24によってより確実に弁別することができる。
【0046】
一方、同じ差信号Dを遅延回路25に通すことによりローパスフィルタ24を通した場合と同程度、前記差信号Dを遅らせることができる。なお、図5には、図示を簡単にするためにこの時間的遅れを無視して差信号Dが遅延回路25の出力信号Dbと同じであるとして示す。
【0047】
次いで、減算器26によって遅延回路25の出力信号Dbからローパスフィルタ24の出力信号Daを減算することにより、パターンPa,Pbに起因する信号を消去して鋭いピークを持つ異物Aa,Abに起因する信号Aao, Aboだけを含む信号Oを出力することができる。得られた出力信号Oは所定のしきい値Thと比較することにより、これを越えるものを異物信号として検出することができる。
【0048】
図6は本発明の異物検査装置および異物検査方法の作用効果を実証するために測定した検査対象基板の一例を示し、図7はこの検査対象基板を、本発明の異物検査方法と従来のローパス差を用いた方法で測定したときの結果を示している。
【0049】
図6に示す検査対象基板30(サンプル)は、一片が200μm程度の大きさの略正方形で、角部が半径50μmの円弧であるパターン31を、縦横に並べて配置して形成したものである。このような構成のサンプル30を図1〜5において説明した異物検査装置において検査し、その検査の途中のある時点で参照用検出器14からの出力信号Imを切断して検査を行った。
【0050】
図7に示すように、検査対象の測定範囲は前記サンプル30の直径120mmの領域32であり、図示左側から順に検査を行った。そして、矢印33の位置を検査しているときに参照用検出器14からの出力信号Imを切断するようにした。符号34に示す多数の点は異物検査装置が検知した異物を示している。なお、異物検査が途中で終了しているのは、異物34の数が余りに多いゆえに、検査が中断されたためである。
【0051】
図7から分かるように、比較的大きなパターン31を形成したサンプル30においては、パターン31の角部などにおいて強く鋭いピークの反射光が生じるので、従来のローパス差を用いた方法ではパターン31の角部における反射と異物との区別が付かずに誤検出を十分に低減できないことが分かる。一方、本発明のように偏光差動を組み合わせて用いることにより、誤検出を効果的に削減することができることがわかる。
【0052】
次に、図8は本発明の異物検査装置および異物検査方法の作用効果を実証するために測定した別の検査対象基板の例を示し、図9はこの検査対象基板を、本発明の異物検査方法と従来の偏光差動法を用いて測定したときの結果を示している。
【0053】
図8に示す検査対象基板40(サンプル)は、5mm角の領域に最も細かい所で1μmの幅のパターン41を分布して形成されたものであり、このサンプル40は多重散乱や多重回折を起こす基板である。図9(A)はこのサンプル40を従来の偏光差動法を用いて検査した結果を示しており、図9(B)は本願発明の異物検査装置を用いて検査した結果を示している。図9において、42は異物として検出されたパターンを示し、43は検出された異物を示している。
【0054】
図9(A),9(B)を比較すると明らかなように、図9(A)に示す偏光差動法だけでは多重散乱や多重回折を起こすサンプル40の異物を検出できるように感度を調整するとパターン41も異物として検出しており、目的とする異物の位置を確認することが困難である。一方、図9(B)に示すように偏光差動法とローパス差を用いた方法を組み合わせることにより、異物43をパターン41から分けて検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の基板検査装置の一例の全体構成を概略的に示す斜視図である。
【図2】前記基板検査装置の一部の構成を示す図である。
【図3】前記基板検査装置の信号処理部の構成を説明する図である。
【図4】検査対象となる検査対象基板の例を示す図である。
【図5】本発明の異物検査方法の一例を説明する図である。
【図6】本発明の異物検査装置および異物検査方法の有用性を実証する実験に用いた検査対象基板の例を示す図である。
【図7】図6に示す検査対象基板を用いて本発明の異物検査方法で検査を行った場合と、そうでない場合を比較して示す図である。
【図8】本発明の異物検査装置および異物検査方法の有用性を実証する別の実験に用いた検査対象基板の例を示す図である。
【図9】図8に示す検査対象基板を用いて本発明の異物検査方法で検査を行った場合と、そうでない場合を比較して示す図である。
【図10】従来の偏光差動法を説明する図である。
【図11】従来の偏光差動法の問題点を示す図である。
【図12】従来のローパス差をとる方法の問題点を示す図である。
【符号の説明】
【0056】
1 検査対象基板
2 光源部
8 集光レンズ
10 ハーフミラー
11,12 検光子
13 主検出器
14 参照用検出器
20 信号処理部
Aa,Ab 異物
Aad, Abd 異物による鋭いピークを持つ信号
D 差信号
Im 偏光成分Rmの強度
Ir 偏光成分Rrの強度
L レーザ光
Pa,Pb パターン
Pad, Pbd パターンによる幅の広い信号
R 散乱/回折光
Rm パターンによる散乱/回折光を消光する偏光角度の偏光成分
Rr パターンによる散乱/回折光を透過する偏光角度の偏光成分
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、LSI製造プロセスにおいて半導体ウェーハに回路パターンを焼き付けるのに用いられるレティクルやマスク、あるいは、半導体ウェーハなどパターンが形成された平面基板における異物を検査する異物検査装置および異物検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
レティクルやマスクなどの表面上における異物検査においては、LSIなどの高集積化に伴い、レティクルやマスク上に形成される回路パターンも高集積化および微細化が進み、回路パターンを異物と誤検出しやすくなってきている。このような誤検出をなくすため、従来より、偏光を利用したり、検出器の配置を変えたり、検出器前面に空間フィルタを配置するなど種々の対策が講じられている。
【0003】
特許文献1は、検査対象基板の表面に対して一定の偏光角を有するレーザ光を走査しながら照射するレーザ光源部と、レーザ光の照射に伴って検査対象基板の表面で生じる散乱/回折光のうち異なる2つの偏光角度の偏光成分を透過させる検光子と、各々その強度をそれぞれ検出可能に構成された2つの光検出器(主検出器と参照用検出器)を有してなる検出部を有する異物有無検査装置を示す。この異物有無検査装置は、偏光差動法と呼ばれる方法によって異物の有無を判断するものであり、2つの光検出器によってそれぞれ検出された異なる2つの偏光角度の偏光成分の強度を比較し、その比の大きさおよび/または差の正負を判断することにより、異物の有無の判断を行うものである。
【0004】
図10は偏光差動法を用いた信号処理の例を説明する図である。図10においてImp1 は検査対象基板の表面に対して特定の偏光角度の偏光成分の強度信号(以下、M偏光成分という)、Irp1 は前記各検査対象基板の表面に対して前記と異なる(例えばM偏光成分に対して直角な)偏光角度の偏光成分(以下、R偏光成分という)の強度信号を示している。また、Ama1,Amb1,Ara1,Arb1 は異物に起因する信号、Pm1,Pr1は前記検査対象基板に形成されたパターンに起因する信号である。
【0005】
図10に示すように、パターンに起因する信号Pr1は極めて大きく検出され、同じパターンに起因する信号Pm1は小さく検出される。一方、ある異物に起因する信号Ama1,Ara1 については信号Ara1 が信号Ama1 に比べて小さく検出される傾向があり、別の異物に起因する信号Amb1,Arb1 は、その信号Amb1 も、その信号Arb1 も同じ程度検出される。
【0006】
したがって、R偏光角度の信号Pr1がそれとはM偏光成分の信号Pm1と同程度のレベルになるように、強度信号Irp1 の増幅率(感度)を調整して、この感度調整した信号Irp1'と信号Irp1 との差Dp1を求め、この差Dp1が所定のしきい値Th以下の場合はこれをノイズとしてカットし、しきい値Th以上のときに異物信号Ada1,Adb1 として出力する。一般的には、パターンに起因する信号Pr1は、信号Pm1に比べて十分に大きいから、強度信号Irp1 の増幅率(感度)を強度信号Imp1 の増幅率(感度)の1/10〜1/100倍に設定するのが望ましい。
【0007】
特許文献2は光検出器の出力側にローパス特性を備えた第1信号処理ラインと、ローパス特性を備えない第2信号ラインとを互いに並列に設けるとともに、これらの2つの信号処理ラインの出力の差をとることにより、パターンからの散乱/回折光を異物からの散乱/回折光から弁別するもの(以下、この弁別方法をローパス差を用いた方法という)を示す。
【0008】
すなわち、前記ローパス差を用いた方法では、パターンに起因する信号は、台形もしくは矩形の(周波数の低い)信号に周波数の高い信号が重畳したものとなるので、この信号を2系統に分岐し、一方はローパス特性を持った回路に通し、もう一方は、遅延特性を持った回路に通し、ローパス特性を持った回路による遅れだけ信号を遅延させ、両信号の同期をとる。次いで、両信号の差をとることにより、異物に起因する周波数の高い信号だけを検出することができる。
【特許文献1】特開平1−245136号公報
【特許文献2】特開平9−218163号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、特許文献1に示すような偏光差動法を用いる場合、偏光特性を利用するため、パターンからの散乱/回折光が多重回折/散乱を起こすようなパターン構成の場合などにおいて、十分有効な手段とはならなかった。
【0010】
図11は多重回折や多重散乱を起こすような検査対象基板の表面に対して偏光差動法を用いた信号処理を行う例を説明する図であり、Imp2 はM偏光成分の強度信号、Irp2 はR偏光成分の強度信号Irp2 を示している。また、Ama2,Amb2,Ara2,Arb2 は前記検査対象基板にある異物による散乱/回折光に起因する信号、Pm2,Pr2は前記検査対象基板に形成されたパターンに起因する信号である。
【0011】
図11に示すように、パターンからの散乱/回折光が多重回折/散乱を起こす場合、パターンに起因する信号Pr2は信号Pm2に比べて大きく検出されるものの、その差は図10に示す例ほど大きくならない。このため、異物に起因する信号Ama2,Ara2,Amb2,Arb2 が、何れも図10の場合と同程度検出されている場合であっても、パターンに起因する信号Pr2に比べて異物に起因する信号Ara2,Arb2 が大きくなる。
【0012】
ゆえに、符号Imp2'に示すようにパターンに起因する信号Pr2のレベルを信号Pm2のレベルに合わせた場合に、異物に起因する信号Ara2', Arb2'が幾らか残るので、両信号Irp2,Imp2'の差Dp2において、異物に起因する信号Ada2,Adb2 が小さくなり、これがしきい値Th以下になれば、ノイズとしてカットされるという問題があった。つまり、S偏光差動においても比較的強い光を散乱するような異物に起因する信号Adb2 が小さくなって感度が低下し、異物を見逃してしまう可能性があった。
【0013】
また、特許文献2に示すようなローパス差を用いた信号処理を行う場合には、疎な配置となるパターン構成に対しては効果が低いため、様々のパターン全てに対して、十分有効な手段とはならなかった。
【0014】
図12は疎なパターンが形成された検査対象基板50の一つの例を示す図であり、Im3はこの検査対象基板を検査したときに検出される信号の一例を示している。図12(A)に示すように、検査対象基板50にはレーザ光の照射によって光りやすいパターン51と光りにくいパターン52がある。
【0015】
そして、光りやすいパターン51が疎に分布しているような検査対象基板50を検査すると、図12(B)に示すように、パターン51に起因する局所的な鋭い信号53が検出される。このような信号53にローパス差を用いた信号処理を施したとしても、この信号53を取り除くことは困難であり、これを異物によるものと誤検出してしまう可能性があった。
【0016】
また、比較的大きな(周波数の低い)パターンが形成されている場合にも、このパターンに起因する信号の立上り部分において周波数の高い成分が含まれているので、これをローパス差を用いた信号処理によって取り除き切れないことがあり、パターンに起因する信号の立上り部分を異物として誤検出してしまう可能性があった。それゆえにローパス差を用いた信号処理によってカットする周波数の上限を幾らか引き上げる必要があり、これが異物を見逃す原因となることもあった。
【0017】
本発明は上述の事柄を考慮に入れてなされたものであって、その目的は、レティクルやマスクなどパターンが形成された基板上の異物検査において、パターンからの散乱や回折光による誤検出を低減しながら、かつ、異物の見逃しも低減することができる異物検査装置および異物検査方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の異物検査装置は、検査対象基板の表面に対して一定の偏光角を有するレーザ光を走査しながら照射する光源部と、このレーザ光の照射に伴って検査対象基板の表面で生じる散乱/回折光のうち、検査対象基板の表面に形成されたパターンによる散乱/回折光を消光する光学手段を設け、その出力信号を検出する主検出器と、前記パターンによる散乱/回折光を透過する光学手段を設け、その出力信号を検出する参照用検出器と、主検出器によって検出された偏光成分の強度から参照用検出器によって検出された偏光成分の強度を減算して差信号を求める一方、この差信号に含まれるパターンによる幅の広い信号と異物による鋭いピークを持つ信号をその周波数によって弁別して取出す信号処理部とを有することを特徴としている。
【0019】
前記散乱/回折光を集光する集光レンズと、この集光レンズにより集められた散乱/回折光を2光路に分けるハーフミラーと、それぞれの光路に挿入された検光子とを有し、前記主検出器および参照用検出器をハーフミラーによって分けられたそれぞれの光路の終端に配置してあってもよい(請求項2)。
【0020】
請求項3に記載の異物検査方法は、検査対象基板の表面に対して一定の偏光角を有するレーザ光を走査しながら照射し、このレーザ光の照射に伴って検査対象基板の表面で生じる散乱/回折光のうち、検査対象基板の表面に形成されたパターンによる散乱/回折光を消光する光学手段の出力信号と、前記パターンによる散乱/回折光を透過する光学手段の出力信号をそれぞれ検出し、パターンによる散乱/回折光を消光する光学手段の出力信号から、パターンによる散乱/回折光を透過する光学手段の出力信号を減算して差信号を求め、この差信号に含まれるパターンによる幅の広い信号と異物による鋭いピークを持つ信号をその周波数によって弁別して取出すことを特徴としている。
【0021】
前記散乱/回折光を集光し、集められた散乱/回折光をハーフミラーによって2光路に分けると共に、分けられた光路のうち一方にパターンによる散乱/回折光を消光する偏光角度の偏光成分を透過する検光子を配置してその偏光成分の強度を検出し、前記光路のもう一方にパターンによる散乱/回折光を透過する偏光角度の偏光成分を透過する検光子を配置してその偏光成分の強度を検出してもよい(請求項4)。
【発明の効果】
【0022】
請求項1に記載の発明では、例えば、疎な間隔で並ぶパターンが形成された検査対象基板の場合に、パターンに起因する信号をその偏光差動法を用いて十分に低くすることができるので、これを異物に起因する信号と明確に弁別することができる。また、多重反射や多重回折が検出器に入射するようなパターンにおいては、後段のローパス差を用いた信号処理が台形状の周波数の低い信号を取り除くことができるので、パターンに起因する信号を偏光差動法によって完全に取り除く必要がない。したがって、偏光差動法の減算処理は差信号に含まれる異物信号の感度を落とすことがない程度に行って、高感度に異物を検出することができる。
【0023】
加えて、多重反射や多重回折が生じるような検査対象基板は発光点がもとのレーザ光が照射されたスポットよりも広くなるので、直接入光する散乱光や回折光の信号より少し鈍ったような遅い信号(低い周波数のみを含む信号)となる。ゆえに、多重反射や多重回折が生じるような検査対象基板はローパス差を用いた信号処理に適しており、このローパス差を用いた信号処理によってパターンに起因する信号を確実に取り除くことができる。
【0024】
また、偏光差動法とローパス差の信号処理の両方で効果の薄いパターンを有する検査対象基板を測定する場合、つまり、例えば疎に並ぶパターンが形成されており、かつ、多重反射するような検査対象基板を検査する場合には、それぞれの効果はうすいものの、偏光差動によってパターンに起因する信号レベルが下げられ、さらにローパス差の効果も得ることができるので、パターンに起因する信号を効果的に取り除くことができる。すなわち偏光差動法とローパス差を用いた信号処理の組み合わせが、パターンに起因する信号レベルを下げると同時に異物を確実に検出するのに重要である。
【0025】
つまり、本発明の異物検査装置は疎で粗なパターン構成から、密で微細なパターン構成まで、様々のパターン構成を持ったサンプルについて、パターンによる誤検出を低減することができ、かつ、異物を見逃すことなく検出することができる。
【0026】
前記散乱/回折光を集光する集光レンズと、この集光レンズにより集められた散乱/回折光を2光路に分けるハーフミラーと、それぞれの光路に挿入された検光子とを有し、前記主検出器および参照用検出器をハーフミラーによって分けられたそれぞれの光路の終端に配置してなる場合(請求項2)には、主検出器と参照用検出器によって検出される検出対象となる散乱/回折光の光束を一つにすることが可能であるから、より正確な測定を行うことができる。したがって、角度によって異なる分布で散乱するような検査対象基板を検査する場合にも、異物を正確に弁別することができる。
【0027】
請求項3に記載の異物検査方法では、疎な間隔で並ぶパターンが形成された検査対象基板であっても、多重反射や多重回折が生じるような検査対象基板であっても、また、疎な間隔で並ぶパターンが形成されると共に多重反射や多重回折が生じるような検査対象基板であっても、偏光差動法とローパス差を用いた信号処理の組み合わせによって効果的にパターンに起因する信号レベルを下げることができるので、異物に起因する信号を高感度にて検出することができる。
【0028】
前記散乱/回折光を集光し、集められた散乱/回折光をハーフミラーによって2光路に分けると共に、分けられた光路のうち一方にパターンによる散乱/回折光を消光する偏光角度の偏光成分を透過する検光子を配置してその偏光成分の強度を検出し、前記光路のもう一方にパターンによる散乱/回折光を透過する偏光角度の偏光成分を透過する検光子を配置してその偏光成分の強度を検出する場合(請求項4)には、主検出器と参照用検出器によって検出される検出対象となる散乱/回折光の光束を一つにして、角度によって異なる分布で散乱するような検査対象基板を検査する場合にも、異物を正確に弁別することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
図1は、異物検査装置の一般的なハードウェア構成を示すもので、図1において、1は表面に回路パターン(図示せず)が描かれた検査対象基板(例えばレチクル)で、検査ステージ上Stに水平に載置されている。なお、検査ステージStは、図中の矢印X方向およびこれと直交する矢印Y方向にそれぞれスライド移動できるようにしてある。
【0030】
2は検査対象基板1(以下サンプルという)の表面にレーザ光Lを直線的に矢印Y方向に走査しながら照射するための光源部(入射光学系)であり、一定の偏光角を有するレーザ光Lを発する例えばHe−Neレーザ発振器3、ビームエキスパンダ4、ガルバノミラー5および集光レンズ6などを有し、レーザ発振器3からのレーザ光Lを、サンプル1の所定角度斜め上方向から、Y方向における所定範囲内で往復直線走査しながら照射するように構成されている。
【0031】
7はサンプル1に照射されたレーザ光Lの照射表面からの散乱/回折光Rを検出するための検出光学系で、サンプル1のY方向における一端側の斜め上方に配置されており、この検出光学系7は、レーザ光Lが照射された部分で生じる散乱/回折光Rを平行光にするための集光レンズ8、散乱/回折光Rに対する入射光制限用の細長いスリット9aを形成したスリット部材9、集光レンズ8により集められた散乱/回折光Rを2光路に分けるハーフミラー10、それぞれの光路に挿入された光学手段の一例である検光子11,12、ハーフミラーによって分けられたそれぞれの光路の終端に配置してなる例えば光電子倍増管からなる前記主検出器13および参照用検出器14などを有する。また、集光レンズ8の焦点は走査線のほぼすべての領域でサンプル1上に一致するように調整しておく。
【0032】
このように構成された異物検査装置においては、検査ステージStを矢印X方向に直線的に移動させつつ、レーザ発振器3からのレーザ光Lを、サンプル1の所定角度斜め上方向から、Y方向における所定範囲内で往復直線走査しながら照射し、そのときのサンプル1の表面からの散乱/回折光Rを光検出器13,14に入射させるようにしている。そして、本実施例では光検出器13が主検出器、光検出器14が参照用検出器である。
【0033】
図2はハーフミラー10より後の受光系ユニットの構成を示す図である。図2に示すように、主検出器13の前に置く検光子11はサンプル1のパターンからの散乱光や回折光を消光する特定の偏光角度(例えばサンプル1の表面に対してほゞ直角な偏光角度であり、以下、M偏光角度という)に配置した偏光フィルタであり、参照用検出器14の前に置く検光子は、サンプル1上のパターンからの散乱光および回折光を透過する別の偏光角度(例えば前記R偏光角度に対して直角な偏光角度であり、以下、R偏光角度という)に配置した偏光フィルタである。
【0034】
また、ハーフミラー10から主検出器13までの距離とハーフミラー10から参照用検出器14までの距離を同じにすることにより、主検出器13と参照用検出器14によって検出できる信号の同時性を保つように構成してあることが望ましい。
【0035】
上記構成の異物検査装置を用いることにより、前記レーザ光Lをガルバノミラー5によってY軸方向に走査しながら照射することができる。そして、その状態でステージStをX方向に一定速度で移動させることにより、サンプル全面にレーザ光Lを照射し、サンプル1の各部の表面から散乱/回折光Rを得ることができる。なお、本実施例ではサンプル1上を光が走査する領域を含む概ね矩形の領域1aが、集光レンズ8を間に挟みスリット9aと共役な関係となるように、集光レンズ8、スリット部材9を配置してあるので、余分な迷光や多重回折や多重散乱による光をできるだけカットすることができる。また、多重回折や多重散乱はサンプル1の表面だけでなく内部でも生じるので、前記散乱/回折光Rが生じる表面とはサンプル1の表面およびその近傍も含まれる。
【0036】
そして、集光レンズ8で集光し、スリット9aを通り抜けた散乱/回折光Rをハーフミラー10で2つの光路に分け、2つの検光子11,12によってそれぞれM偏光角度,R偏光角度の偏光成分Rm,Rrだけを透過させ、この偏光成分Rm,Rrの強度を検出器13,14によって検出する。つまり、サンプル1上にレーザ光Lを散乱する物体があった場合に、それぞれの検出器13、14から信号が生じる。とりわけ、主検出器13はサンプル1上に形成されたパターンからの散乱/回折光をできるだけ消光した状態で異物から生じた散乱/回折光を検出し、参照用検出器14はサンプル1上に形成されたパターンからの散乱/回折光をできるだけ強く検出すると共に、異物から生じた散乱/回折光も検出する。
【0037】
本実施例の検出器13,14は何れも光電子倍増管からなり、その印加電圧によって感度を調整することができる。つまり、主検出器13と参照用検出器14の検出感度はそれぞれ独立して調整できると共に、連続的な感度調整を別途の増幅器などを用いることなく行うことができる。また、参照側の信号が強い場合、参照用検出器14の感度は、パターンに起因する信号が主検出器13によって検出されるパターンに起因する信号とほぼ等しくなる程度かやや低い程度となるように調整される。
【0038】
図3は前記両検出器13,14から出力される信号Im,Irの信号処理回部の構成を示す図である。図3に示すように、本実施例の信号処理部20は検出器13,14の出力を増幅するプリアンプ21,22と、増幅された信号Im,Irの差を求める減算器23と、この減算よって求められた差信号Dの所定周波数以下だけを通すように構成されたローパスフィルタ24と、このローパスフィルタ24による信号の遅れと同じだけ差信号Dを遅れさせる遅延回路25と、遅延回路25の出力信号Dbからローパスフィルタ24の出力信号Daを減算して出力信号Oを得るための減算器26とを有する。
【0039】
図4は本実施例の異物検査装置による作用効果を説明するためのサンプル1の例を示す図であり、図5はこのサンプル1を測定したときに検出される信号Im,Irや、各信号処理の方法を説明する図である。
【0040】
図4に示すサンプル1には疎に配置されたパターンPaおよびパターンPbが形成されている。また、パターンPaは比較的大きな面積を有し、パターンPbはパターンPaの間に配置された小さな面積を有するパターンである。そして、Aa,Abはサンプル1の表面部分に付着した異物である。図5において、仮想線で示す信号Ir’は参照用検出器14を主検出器13と同じ感度で検出した場合の参照用検出器14の出力信号である。
【0041】
図5に示すように、主検出器13によって検出される信号ImにはパターンPaに起因する略台形状の信号PamとパターンPbに起因する幾らか鋭いピーク信号Pbmが含まれており、かつ、異物Aaに起因する鋭いピーク信号Aamと、異物Abに起因する鋭いピーク信号Abmが含まれている。同様に参照用検出器14によって検出される信号IrにはパターンPaに起因する略台形状の信号ParとパターンPbに起因する幾らか鋭いピーク信号Pbrが含まれており、かつ、異物Aaに起因する鋭いピーク信号Aarと、異物Abに起因する鋭いピーク信号Abrが含まれている。
【0042】
本実施例に示すサンプル1は多重回折や多重散乱が生じているために、参照用検出器14によって検出される信号IrにおいてパターンPaに起因する信号ParとパターンPbに起因する信号Pbrは、異物Aa,Abに起因する信号Aar, Abrに比べて十分に高い信号ではない。それゆえに、信号Irに含まれるパターンPa,Pbに起因する信号Par, Pbrが信号Imに含まれるパターンPa,Pbに起因する信号Pam, Pbmよりも幾らか低い信号となる程度に、参照用検出器14の増幅率を調整することにより、信号Irに含まれる異物Aa,Abに起因する信号Aar, Abrを低く抑えるようにしている。
【0043】
したがって、前記減算器23によって求められる信号Im,Irの差信号Dには、図5に示すようにパターンPa,Pbに起因する信号Pad,Padが含まれている。一方、異物Aa,Abに起因する信号Aad, Abdは図11を用いて説明した例に比べて高い信号となる。つまり、前記参照用検出器14の感度(増幅率)は、差信号Dに現れる異物Aa,Abに起因する信号Aad, Abdが確実に検出できる程度に小さく設定し、主検出器13によって検出される信号IrからパターンPa,Pbに起因する信号を幾らか弱める程度であることが望ましい。
【0044】
なお、信号Irに含まれる異物に起因する信号Aar, Abr…の全てがパターンに起因する信号Par, Pbrよりも十分に小さい場合には、この信号Par, Pbrが前記信号Imに含まれる信号Pam, Pbmと同じ強度になるように、参照用検出器14の増幅率を調整することにより、差信号DにパターンPa,Pbに起因する信号Pad,Padが現れないようにしてもよい。
【0045】
次いで、前記差信号Dをローパスフィルタ24(図3参照)に通すことにより鋭いピークを持つ異物Aa,Abに起因する信号を取り除き、パターンPa,Pbに起因する信号Pal, Pblだけを通過させることができる。このとき、多重散乱や多重回折を起こさないサンプル1を検査した場合の差信号Dに含まれるパターンPa,Pbに起因する信号Pad, Pbdは多重散乱や多重回折を起こさないサンプルを検査した場合に比べて、レーザ光Lの焦点から外れた表面部分における多重散乱光や多重回折光を含んでいるので、幾らか滑らかな信号となることが考えられる。それゆえに、多重散乱や多重回折を起こすサンプル1の場合、パターンPa,Pbに起因する信号Pad, Pbdをローパスフィルタ24によってより確実に弁別することができる。
【0046】
一方、同じ差信号Dを遅延回路25に通すことによりローパスフィルタ24を通した場合と同程度、前記差信号Dを遅らせることができる。なお、図5には、図示を簡単にするためにこの時間的遅れを無視して差信号Dが遅延回路25の出力信号Dbと同じであるとして示す。
【0047】
次いで、減算器26によって遅延回路25の出力信号Dbからローパスフィルタ24の出力信号Daを減算することにより、パターンPa,Pbに起因する信号を消去して鋭いピークを持つ異物Aa,Abに起因する信号Aao, Aboだけを含む信号Oを出力することができる。得られた出力信号Oは所定のしきい値Thと比較することにより、これを越えるものを異物信号として検出することができる。
【0048】
図6は本発明の異物検査装置および異物検査方法の作用効果を実証するために測定した検査対象基板の一例を示し、図7はこの検査対象基板を、本発明の異物検査方法と従来のローパス差を用いた方法で測定したときの結果を示している。
【0049】
図6に示す検査対象基板30(サンプル)は、一片が200μm程度の大きさの略正方形で、角部が半径50μmの円弧であるパターン31を、縦横に並べて配置して形成したものである。このような構成のサンプル30を図1〜5において説明した異物検査装置において検査し、その検査の途中のある時点で参照用検出器14からの出力信号Imを切断して検査を行った。
【0050】
図7に示すように、検査対象の測定範囲は前記サンプル30の直径120mmの領域32であり、図示左側から順に検査を行った。そして、矢印33の位置を検査しているときに参照用検出器14からの出力信号Imを切断するようにした。符号34に示す多数の点は異物検査装置が検知した異物を示している。なお、異物検査が途中で終了しているのは、異物34の数が余りに多いゆえに、検査が中断されたためである。
【0051】
図7から分かるように、比較的大きなパターン31を形成したサンプル30においては、パターン31の角部などにおいて強く鋭いピークの反射光が生じるので、従来のローパス差を用いた方法ではパターン31の角部における反射と異物との区別が付かずに誤検出を十分に低減できないことが分かる。一方、本発明のように偏光差動を組み合わせて用いることにより、誤検出を効果的に削減することができることがわかる。
【0052】
次に、図8は本発明の異物検査装置および異物検査方法の作用効果を実証するために測定した別の検査対象基板の例を示し、図9はこの検査対象基板を、本発明の異物検査方法と従来の偏光差動法を用いて測定したときの結果を示している。
【0053】
図8に示す検査対象基板40(サンプル)は、5mm角の領域に最も細かい所で1μmの幅のパターン41を分布して形成されたものであり、このサンプル40は多重散乱や多重回折を起こす基板である。図9(A)はこのサンプル40を従来の偏光差動法を用いて検査した結果を示しており、図9(B)は本願発明の異物検査装置を用いて検査した結果を示している。図9において、42は異物として検出されたパターンを示し、43は検出された異物を示している。
【0054】
図9(A),9(B)を比較すると明らかなように、図9(A)に示す偏光差動法だけでは多重散乱や多重回折を起こすサンプル40の異物を検出できるように感度を調整するとパターン41も異物として検出しており、目的とする異物の位置を確認することが困難である。一方、図9(B)に示すように偏光差動法とローパス差を用いた方法を組み合わせることにより、異物43をパターン41から分けて検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の基板検査装置の一例の全体構成を概略的に示す斜視図である。
【図2】前記基板検査装置の一部の構成を示す図である。
【図3】前記基板検査装置の信号処理部の構成を説明する図である。
【図4】検査対象となる検査対象基板の例を示す図である。
【図5】本発明の異物検査方法の一例を説明する図である。
【図6】本発明の異物検査装置および異物検査方法の有用性を実証する実験に用いた検査対象基板の例を示す図である。
【図7】図6に示す検査対象基板を用いて本発明の異物検査方法で検査を行った場合と、そうでない場合を比較して示す図である。
【図8】本発明の異物検査装置および異物検査方法の有用性を実証する別の実験に用いた検査対象基板の例を示す図である。
【図9】図8に示す検査対象基板を用いて本発明の異物検査方法で検査を行った場合と、そうでない場合を比較して示す図である。
【図10】従来の偏光差動法を説明する図である。
【図11】従来の偏光差動法の問題点を示す図である。
【図12】従来のローパス差をとる方法の問題点を示す図である。
【符号の説明】
【0056】
1 検査対象基板
2 光源部
8 集光レンズ
10 ハーフミラー
11,12 検光子
13 主検出器
14 参照用検出器
20 信号処理部
Aa,Ab 異物
Aad, Abd 異物による鋭いピークを持つ信号
D 差信号
Im 偏光成分Rmの強度
Ir 偏光成分Rrの強度
L レーザ光
Pa,Pb パターン
Pad, Pbd パターンによる幅の広い信号
R 散乱/回折光
Rm パターンによる散乱/回折光を消光する偏光角度の偏光成分
Rr パターンによる散乱/回折光を透過する偏光角度の偏光成分
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象基板の表面に対して一定の偏光角を有するレーザ光を走査しながら照射する光源部と、
このレーザ光の照射に伴って検査対象基板の表面で生じる散乱/回折光のうち、検査対象基板の表面に形成されたパターンによる散乱/回折光を消光する光学手段を設け、その出力信号を検出する主検出器と、
前記パターンによる散乱/回折光を透過する光学手段を設け、その出力信号を検出する参照用検出器と、
主検出器によって検出された偏光成分の強度から参照用検出器によって検出された偏光成分の強度を減算して差信号を求める一方、この差信号に含まれるパターンによる幅の広い信号と異物による鋭いピークを持つ信号をその周波数によって弁別して取出す信号処理部とを有することを特徴とする異物検査装置。
【請求項2】
前記散乱/回折光を集光する集光レンズと、この集光レンズにより集められた散乱/回折光を2光路に分けるハーフミラーと、それぞれの光路に挿入された検光子とを有し、前記主検出器および参照用検出器をハーフミラーによって分けられたそれぞれの光路の終端に配置してなる請求項1に記載の異物検査装置。
【請求項3】
検査対象基板の表面に対して一定の偏光角を有するレーザ光を走査しながら照射し、
このレーザ光の照射に伴って検査対象基板の表面で生じる散乱/回折光のうち、検査対象基板の表面に形成されたパターンによる散乱/回折光を消光する光学手段を設け、その出力信号と、前記パターンによる散乱/回折光を透過する光学手段を設け、その出力信号をそれぞれ検出し、
パターンによる散乱/回折光を消光する光学手段の出力信号から、パターンによる散乱/回折光を透過する光学手段の出力信号を減算して差信号を求め、
この差信号に含まれるパターンによる幅の広い信号と異物による鋭いピークを持つ信号をその周波数によって弁別して取出すことを特徴とする異物検査方法。
【請求項4】
前記散乱/回折光を集光し、集められた散乱/回折光をハーフミラーによって2光路に分けると共に、分けられた光路のうち一方にパターンによる散乱/回折光を消光する偏光角度の偏光成分を透過する検光子を配置してその偏光成分の強度を検出し、前記光路のもう一方にパターンによる散乱/回折光を透過する偏光角度の偏光成分を透過する検光子を配置してその偏光成分の強度を検出する請求項3に記載の異物検査方法。
【請求項1】
検査対象基板の表面に対して一定の偏光角を有するレーザ光を走査しながら照射する光源部と、
このレーザ光の照射に伴って検査対象基板の表面で生じる散乱/回折光のうち、検査対象基板の表面に形成されたパターンによる散乱/回折光を消光する光学手段を設け、その出力信号を検出する主検出器と、
前記パターンによる散乱/回折光を透過する光学手段を設け、その出力信号を検出する参照用検出器と、
主検出器によって検出された偏光成分の強度から参照用検出器によって検出された偏光成分の強度を減算して差信号を求める一方、この差信号に含まれるパターンによる幅の広い信号と異物による鋭いピークを持つ信号をその周波数によって弁別して取出す信号処理部とを有することを特徴とする異物検査装置。
【請求項2】
前記散乱/回折光を集光する集光レンズと、この集光レンズにより集められた散乱/回折光を2光路に分けるハーフミラーと、それぞれの光路に挿入された検光子とを有し、前記主検出器および参照用検出器をハーフミラーによって分けられたそれぞれの光路の終端に配置してなる請求項1に記載の異物検査装置。
【請求項3】
検査対象基板の表面に対して一定の偏光角を有するレーザ光を走査しながら照射し、
このレーザ光の照射に伴って検査対象基板の表面で生じる散乱/回折光のうち、検査対象基板の表面に形成されたパターンによる散乱/回折光を消光する光学手段を設け、その出力信号と、前記パターンによる散乱/回折光を透過する光学手段を設け、その出力信号をそれぞれ検出し、
パターンによる散乱/回折光を消光する光学手段の出力信号から、パターンによる散乱/回折光を透過する光学手段の出力信号を減算して差信号を求め、
この差信号に含まれるパターンによる幅の広い信号と異物による鋭いピークを持つ信号をその周波数によって弁別して取出すことを特徴とする異物検査方法。
【請求項4】
前記散乱/回折光を集光し、集められた散乱/回折光をハーフミラーによって2光路に分けると共に、分けられた光路のうち一方にパターンによる散乱/回折光を消光する偏光角度の偏光成分を透過する検光子を配置してその偏光成分の強度を検出し、前記光路のもう一方にパターンによる散乱/回折光を透過する偏光角度の偏光成分を透過する検光子を配置してその偏光成分の強度を検出する請求項3に記載の異物検査方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−3245(P2006−3245A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−180577(P2004−180577)
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【出願人】(000155023)株式会社堀場製作所 (638)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【出願人】(000155023)株式会社堀場製作所 (638)
【Fターム(参考)】
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