説明

疼痛、不安及び機能的胃腸管障害の治療のためのデルタオピオイド受容体リガンドとしての4−{[3−(スルホニルアミノ)フェニル][1−(シクロメチル)ピペリジン−4−イリデン]メチル}ベンズアミド誘導体

一般式(I)の化合物(ここで、R1、R2、R3、R4及びR5は、明細書に定義した通りである)、並びにそれらの塩類、エナンチオマー類、及びそれらの化合物を含有する医薬組成物が製造される。それらは、治療、特に疼痛の管理に有用である。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規化合物、それらの製造方法、それらの使用及び新規化合物を含む医薬組成物に関する。新規化合物は、治療、及び特に疼痛、不安及び機能性胃腸障害の治療に有用である。
【背景技術】
【0002】
受容体は、循環系及び疼痛系のような多くの身体の機能における役割を有しているものとして同定されてきた。δ受容体に対するリガンドは、それゆえに、鎮痛剤として、及び/又は抗高血圧薬として潜在的な使用が見出される可能性がある。δ受容体に対するリガンドは又免疫調節活性を有することが示されている。
【0003】
オピオイド受容体(μ、δ及びκ)の少なくとも三つの異なった集団の同定法は、今や、よく確立されており、三集団は全て、ヒトを含む多くの種の中枢及び末梢神経系の両者において明らかにされている。これらの受容体の一つ又はそれ以上が活性化されたとき、痛覚消失が多くの動物モデルで観察されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
殆ど例外なく、現時点で得られる選択的オピオイドδリガンドは、本性はペプチド性であり、全身径路での投与に対して不適切である。非ペプチド性δアゴニストの一例は、SNC80である(Bilsky E. J. et al., Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics, 273(1), pp.359-366(1995))。
【0005】
公知技術において同定されている多くのδアゴニスト化合物は、貧弱な薬物動態であり、全身径路によって投与されたとき鎮痛性でないという多くの欠点を有している。又、これらのδアゴニスト化合物の多くは、全身的に投与されたとき顕著な痙攣性効果を示すことが記録されている。
【0006】
Delormeらの米国特許第6,187,792号は、いくつかのδアゴニストを記載している。
しかしながら、更に改良されたδアゴニストに対する需要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本明細書において特に規定しない限り、本明細書において使用される命名法は、一般に「有機化学命名法、節A、B、C、D、E、F及びH」(Nomenclature of Organic Chemistry, Sections A, B, C, D, E, F, and H, Pergamon Press, Oxford, 1979)において述べられた例及び規則に従い、それらは、その例示的化学構造名及び命名化学構造に関する規則に関して、参照することにより本明細書に取り入れられている。場合により、化合物名は、化学命名プログラム(ACD/ChemSketch, Version 5.09/September 2001, Advanced Chemistry Development, Inc., Toronto, Canada)を用いて作成されることもある。
【0008】
単独で又は接頭辞として使用される用語「Cm-n」又は「Cm-n基」は、m個からn個の炭素原子を有するいずれかの置換基を意味する。
単独で若しくは接尾辞又は接頭辞として使用される用語「炭化水素」は、14個までの炭素原子と水素原子のみを含むいずれかの構造を意味する。
単独で若しくは接尾辞又は接頭辞として使用される用語「炭化水素ラジカル」又は「ヒドロカルビル」は、炭化水素から一つ又はそれ以上の水素原子を除去して得られるいずれかの構造を意味する。
単独で若しくは接尾辞又は接頭辞として使用される用語「アルキル」は、1個から12個の炭素原子を含む、一価の直鎖又は分岐鎖の炭化水素ラジカルを意味する。特に規定のない場合、「アルキル」は一般に飽和アルキル及び不飽和アルキルの両者を含む。
【0009】
単独で若しくは接尾辞又は接頭辞として使用される用語「アルキレン」は、1個から12個の炭素原子を含む、二価の直鎖又は分岐鎖の炭化水素ラジカルを意味し、これは二つの構造体を結合する働きを有する。
単独で若しくは接尾辞又は接頭辞として使用される用語「アルケニル」は、少なくとも一つの炭素−炭素二重結合を有し、且つ、少なくとも2個から約12個までの炭素原子を含む、一価の直鎖又は分岐鎖の炭化水素ラジカルを意味する。
単独で若しくは接尾辞又は接頭辞として使用される用語「アルキニル」は、少なくとも一つの炭素−炭素三重結合を有し、且つ、少なくとも2個から約12個までの炭素原子を含む、一価の直鎖又は分岐鎖の炭化水素ラジカルを意味する。
【0010】
単独若しくは接尾辞又は接頭辞として使用される用語「シクロアルキル」は、少なくとも3個から約12個までの炭素原子を含む、一価の環含有炭化水素ラジカルを意味する。
単独で若しくは接尾辞又は接頭辞として使用される用語「シクロアルケニル」は、少なくとも一つの炭素−炭素二重結合を有し、且つ、少なくとも3個から約12個までの炭素原子を含む、一価の環含有炭化水素ラジカルを意味する。
単独で若しくは接尾辞又は接頭辞として使用される用語「シクロアルキニル」は、少なくとも一つの炭素−炭素三重結合を有し、且つ、約7個から約12個の炭素原子を含む一価の環含有炭化水素ラジカルを意味する。
【0011】
単独で若しくは接尾辞又は接頭辞として使用される用語「アリール」は、芳香族の特性(例えば、4n+2個の非局在化電子)を有し、且つ、5個から約14個の炭素原子を含む、一つ又はそれ以上の多不飽和炭素環を有する一価の炭化水素ラジカルを意味する。
単独で又は接尾辞又は接頭辞として使用される用語「アリーレン」は、芳香族の特性(例えば、4n+2個の非局在化電子)を有し、且つ、5個から約14個の炭素原子を含む、一つ又はそれ以上の多不飽和炭素環を有する二価の炭化水素ラジカルを意味し、これは二つの構造体を結合する働きを有する。
【0012】
単独で若しくは接尾辞又は接頭辞として使用される用語「複素環」は、環構造の一部としてN、O及びSから独立に選択される一つ又はそれ以上の多価ヘテロ原子を有し、且つ、少なくとも3個から約20個までの原子を環中に含む環含有構造又は分子を意味する。複素環は飽和であっても、一つ又はそれ以上の二重結合を有する不飽和構造であってもよく、又、複素環は二つ以上の環を含んでもよい。複素環が二つ以上の環を含む場合、環は縮合環でも非縮合環でもよい。縮合環は、一般に少なくとも二つの環がその間にある二つの原子を共有する構造を意味する。複素環は、芳香族の特性を有してもよく、有していなくてもよい。
【0013】
単独で若しくは接尾辞又は接頭辞として使用される用語「ヘテロアルキル」は、アルキルの一つ又はそれ以上の炭素原子をN、O及びSから選択される一つ又はそれ以上のヘテロ原子で代替した結果得られるラジカルを意味する。
単独で若しくは接尾辞又は接頭辞として使用される用語「ヘテロ芳香族」は、環構造の一部として、N、O及びSから独立に選択される一つ又はそれ以上の多価ヘテロ原子を有し、且つ、少なくとも3個から約20個までの原子を環中に含む環含有構造又は分子を意味し、ここで、その環構造又は分子は芳香族の特性(例えば、4n+2個の非局在化電子)を有する。
【0014】
単独で若しくは接尾辞又は接頭辞として使用される用語「複素環基」、「複素環部分」、「複素環式」又は「ヘテロシクロ」は、複素環から一つ又はそれ以上の水素原子を取り除くことにより誘導されるラジカルを意味する。
単独で若しくは接尾辞又は接頭辞として使用される用語「ヘテロシクリル」は、複素環から一個の水素原子を取り除くことにより誘導される一価のラジカルを意味する。
単独で若しくは接尾辞又は接頭辞として使用される用語「ヘテロシクリレン」は、複素環から二個の水素原子を取り除くことにより誘導される二価のラジカルを意味し、これは二つの構造体を結合させる働きを有する。
【0015】
単独で若しくは接尾辞又は接頭辞として使用される用語「ヘテロアリール」は、芳香族の特性を有するヘテロシクリルを意味する。
単独で若しくは接尾辞又は接頭辞として使用される用語「ヘテロシクロアルキル」は、芳香族の特性を有しないヘテロシクリルを意味する。
単独で若しくは接尾辞又は接頭辞として使用される用語「ヘテロアリーレン」は、芳香族の特性を有するヘテロシクリレンを意味する。
単独で若しくは接尾辞又は接頭辞として使用される用語「ヘテロシクロアルキレン」は、芳香族の特性を有しないヘテロシクリレンを意味する。
【0016】
接頭辞として使用される用語「六員環」は、6個の環員原子を含有する環を有する基を意味する。
接頭辞として使用される用語「五員環」は、5個の環員原子を含有する環を有する基を意味する。
【0017】
五員環ヘテロアリールは、5個の環員原子を含有する環を有するヘテロアリールであり、ここで、1、2又は3個の環員原子は、N、O及びSから独立に選択される。
五員環ヘテロアリールの代表例は、チエニル、フリル、ピロリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、1,2,3−トリアゾリル、テトラゾリル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,3,4−トリアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル及び1,3,4−オキサジアゾリルである。
【0018】
六員環ヘテロアリールは、6個の環員原子を含有する環を有するヘテロアリールであり、ここで、1、2又は3個の環員原子は、N、O及びSから独立に選択される。
六員環ヘテロアリールの代表例は、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、トリアジニル及びピリダジニルである。
【0019】
接頭辞として使用される用語「置換」は、一つ又はそれ以上の水素原子が、一つ又はそれ以上のC1-12炭化水素基又はN、O、S、F、Cl、Br、I及びPから選択される一つ又はそれ以上のヘテロ原子を有する一つ又はそれ以上の化学基で置き換えられた構造、分子又は基を意味する。一つ又はそれ以上のヘテロ原子を含有する化学基の代表例は、ヘテロシクリル、−NO2、−OR、−Cl、−Br、−I、−F、−CF3、−C(=O)R、−C(=O)OH、−NH2、−SH、−NHR、−NR2、−SR、−SO3H、−SO2R、−S(=O)R、−CN、−OH、−C(=O)OR、−C(=O)NR2、−NRC(=O)R、オキソ(=O)、イミノ(=NR)、チオ(=S)及びオキシイミノ(=N‐OR)であり、ここで、各「R」はC1-12ヒドロカルビルである。例えば、置換フェニル基は、ニトロフェニル、ピリジルフェニル、メトキシフェニル、クロロフェニル、アミノフェニル等を意味することができ、ここで、ニトロ、ピリジル、メトキシ、塩素及びアミノ基は、フェニル環上のいずれの好適な水素原子を置き換えてもよい。
【0020】
後に一つ又はそれ以上の化学基名が続く第一の構造、分子又は基の接尾辞として使用される用語「置換された」は、第一の構造、分子又は基の一つ又はそれ以上の水素原子が、一つ又はそれ以上の化学基名で置き換えられた結果である第二の構造、分子又は基を意味する。例えば、「ニトロ基で置換されたフェニル基」はニトロフェニル基を意味する。
「任意に置換された」という用語は、置換された基、構造又は分子及び置換されていない基、構造又は分子の両者を意味する。
【0021】
複素環としては、例えば、アジリジン、オキシラン、チイラン、アゼチジン、オキセタン、チエタン、ピロリジン、ピロリン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、ピラゾリン、ジオキソラン、スルホラン、2,3−ジヒドロフラン、2,5−ジヒドロフラン、テトラヒドロフラン、チオファン、ピペリジン、1,2,3,6−テトラヒドロピリジン、ピペラジン、モルホリン、チオモルホリン、ピラン、チオピラン、2,3−ジヒドロピラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジヒドロピリジン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキサン、ジオキサン、ホモピペリジン、2,3,4,7−テトラヒドロ−1H−アゼピン、ホモピペラジン、1,3−ジオキセパン、4,7−ジヒドロ−1,3−ジオキセピン及びヘキサメチレンオキシドのような単環の複素環が挙げられる。
【0022】
更に、複素環としては、例えば、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、チオフェン、フラン、フラザン、ピロール、イミダゾール、チアゾール、オキサゾール、ピラゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、1,2,3−トリアゾール、テトラゾール、1,2,3−チアジアゾール、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,4−トリアゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,3,4−トリアゾール、1,3,4−チアジアゾール及び1,3,4−オキサジアゾールのような芳香族複素環が挙げられる。
【0023】
更に加えて、複素環としては、例えば、インドール、インドリン、イソインドリン、キノリン、テトラヒドロキノリン、イソキノリン、テトラヒドロイソキノリン、1,4−ベンゾジオキサン、クマリン、ジヒドロクマリン、ベンゾフラン、2,3−ジヒドロンベンゾフラン、イソベンゾフラン、クロメン、クロマン、イソクロマン、キサンテン、フェノキサチイン、チアントレン、インドリジン、イソインドール、インダゾール、プリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、フェナントリジン、ペリミジン、フェナントロリン、フェナジン、フェノチアジン、フェノキサジン、1,2−ベンズイソオキサゾール、ベンゾチオフェン、ベンゾオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンズイミダゾール、ベンズトリアゾール、チオキサンチン、カルバゾール、カルボリン、アクリジン、ピロリジジン及びキノリジジンのような多環複素環が包含される。
【0024】
上記の多環複素環に加えて、複素環として、二つ又はそれ以上の環の間での環縮合が、双方の環に共通な二つ以上の結合及び双方の環に共通な三つ以上の原子を含むような、多環複素環が挙げられる。その様な橋かけ複素環の例として、キヌクリジン、ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプタン及び7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタンが挙げられる。
【0025】
ヘテロシクリルとしては、例えば、アジリジニル、オキシラニル、チイラニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ピロリジニル、ピロリニル、イミダゾリジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ジオキソラニル、スルフォラニル、2,3−ジヒドロフラニル、2,5−ジヒドロフラニル、テトラヒドロフラニル、チオファニル、ピペリジニル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピラニル、チオピラニル、2,3−ジヒドロピラニル、テトラヒドロピラニル、1,4−ジヒドロピリジニル、1,4−ジオキサニル、1,3−ジオキサニル、ジオキサニル、ホモピペリジニル、2,3,4,7−テトラヒドロ−1H−アゼピニル、ホモピペラジニル、1,3−ジオキセパニル、4,7−ジヒドロ−1,3−ジオキセピニル及びヘキサメチレンオキシジルのような単環ヘテロシクリルが挙げられる。
【0026】
更に加えて、ヘテロシクリルには、例えば、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、チエニル、フリル、フラザニル、ピロリル、イミダゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、1,2,3−トリアゾリル、テトラゾリル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,3,4−トリアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル及び1,3,4−オキサジアゾリルのような芳香族へテロシクリル及びヘテロアリールが含まれる。
【0027】
更に加えて、ヘテロシクリルとしては、例えば、インドリル、インドリニル、イソインドリニル、キノリニル、テトラヒドロキノリニル、イソキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、1,4−ベンゾジオキサニル、クマリニル、ジヒドロクマリニル、ベンゾフラニル、2,3−ジヒドロベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、クロメニル、クロマニル、イソクロマニル、キサンテニル、フェノキサチイニル、チアントレニル、インドリジニル、イソインドリル、インダゾリル、プリニル、フタラジニル、ナフチリジニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリル、プテリジニル、フェナントリジニル、ペリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、1,2−ベンズイソオキサゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、ベンズチアゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズトリアゾリル、チオキサンチニル、カルバゾリル、カルボリニル、アクリジニル、ピロリジジニル及びキノリジジニルのような多環へテロシクリル(芳香族及び非芳香族の両者を含む)が包含される。
【0028】
上記した多環へテロシクリルに加えて、ヘテロシクリルには、二つ又はそれ以上の環の間での環縮合が、双方の環に共通な二つ以上の結合及び双方の環に共通な三つ以上の原子を含むような、多環ヘテロシクリルが挙げられる。そのような橋かけヘテロシクリルの例として、キヌクリジニル、ジアザビシクロ[2.2.1]ヘプチル及び7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプチルが挙げられる。
【0029】
単独で若しくは接尾辞又は接頭辞として使用される用語「アルコキシ」は、一般式−ORで示されるラジカルを意味し、ここで、Rは炭化水素ラジカルから選択される。アルコキシの代表的は例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、t−ブトキシ、イソブトキシ、シクロプロピルメトキシ、アリルオキシ及びプロパルギルオキシが挙げられる。
単独で若しくは接尾辞又は接頭辞として使用される用語「アミン」又は「アミノ」は、一般式−NRR′で示されるラジカルを意味し、ここで、R及びR′は、それぞれ独立に水素又は炭化水素ラジカルから選ばれる。
【0030】
単独で若しくは接尾辞又は接頭辞として使用される用語「アシル」は、−C(=O)−Rを意味し、ここで、Rは任意に置換されたヒドロカルビル、水素、アミノ又はアルコキシである。アシル基としては、例えば、アセチル、プロピオニル、ベンゾイル、フェニルアセチル、カルボエトキシ及びジメチルカルバモイルが挙げられる。
ハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素が含まれる。
単独で若しくは接尾辞又は接頭辞として使用される用語「ハロゲン化」は、基の一つ又はそれ以上の水素原子が一つ又はそれ以上のハロゲンで置き換えられることを意味する。
【0031】
「RT」又は「rt」は室温を意味する。
第二の環基と「縮合」した第一の環基とは、第一の環基と第二の環基の間で少なくとも二個の原子を共有することを意味する。
「結合」、「結合した」又は「結合する」という用語は、特に規定のない限り共有結合で連結又は結合されていることを意味する。
【0032】
本明細書では、式Iの化合物、医薬として許容されるその塩、そのジアスレテオマー類、エナンチオマー類、又はそれらの混合物が提供される:
【化1】

【0033】
式中、
1はC6-10アリール及びC2-6ヘテロアリールから選択され、ここで、該C6-10アリール及びC2-6ヘテロアリールは、場合により−R、−NO2、−OR、−Cl、−Br、−I、−F、−CF3、−C(=O)R、−C(=O)OH、−NH2、−SH、−NHR、−NR2、−SR、−SO3H、−SO2R、−S(=O)R、−CN、−OH、−C(=O)OR、−C(=O)NR2、−NRC(=O)R及び−NRC(=O)−OR(ここで、Rは独立に水素又はC1-6アルキルである)から選択される一つ又はそれ以上の基で置換され;そして
【0034】
2、R3、R4及びR5は、独立に水素、C1-6アルキル及びC3-6シクロアルキルから選択され、ここで、該C1-6アルキル及びC3-6シクロアルキルは、場合により−R、−NO2、−OR、−Cl、−Br、−I、−F、−CF3、−C(=O)R、−C(=O)OH、−NH2、−SH、−NHR、−NR2、−SR、−SO3H、−SO2R、−S(=O)R、−CN、−OH、−C(=O)OR、−C(=O)NR2、−NRC(=O)R及び−NRC(=O)−OR(ここで、Rは独立に水素又はC1-6アルキルである)から選択される一つ又はそれ以上の基で置換される。
【0035】
本発明の化合物の一つの実施態様は式Iで示される化合物であって、式中、
1は、フェニル、ピリジル、チエニル、フリル、イミダゾリル、トリアゾリル、ピロリル、チアゾリル及びN−オキシド−ピリジルから選択され、又R1は、場合によりC1-6アルキル、ハロゲン化C1-6アルキル、−NO2、−CF3、C1-6アルコキシ、塩素、フッ素、臭素及びヨウ素から選ばれる一つ又はそれ以上の基で置換され;
2、R3及びR4は、それぞれ独立にC1-3アルキル又はハロゲン化C1-3アルキルから選ばれ;
5は、水素、C1-6アルキル及びC3-6シクロアルキルから選択され、ここで、該C1-6アルキル及びC3-6シクロアルキルは、場合によりC1-6アルキル、ハロゲン化C1-6アルキル、−NO2、−CF3、C1-6アルコキシ、塩素、フッ素、臭素及びヨウ素から選択される一つ又はそれ以上の基で置換される。
【0036】
本発明の化合物の他の実施態様は式Iで示される化合物であって、式中、
1は、フェニル、ピリジル、チエニル、フリル、イミダゾリル及びチアゾリルから選択され、又R1は、場合によりC1-6アルキル、ハロゲン化C1-6アルキル、−NO2、−CF3、C1-6アルコキシ、塩素、フッ素、臭素及びヨウ素から選ばれる一つ又はそれ以上の基で置換され;
2、R3及びR4は、独立にC1-3アルキル又はハロゲン化C1-3アルキルから選ばれ;そして
5は水素である。
【0037】
本発明の化合物の更に他の実施態様は式Iで示される化合物であって、式中、
1はフェニル、ピリジル、チエニル、フリル、イミダゾリル、ピロリル及びチアゾリルから選択され;
2及びR3はエチルであり;
4はC1-3アルキルであり;そして
5は水素である。
【0038】
本発明の化合物が一つ又はそれ以上のキラル中心を包含しているとき、本発明の化合物は、エナンチオマー又はジアステレオマーの形として、もしくはラセミ混合物として存在するか単離される可能性があることが理解されるであろう。本発明は、式Iの化合物のいかなる可能性のあるエナンチオマー、ジアステレオマー、ラセミ体又はそれらの混合物をも包含するものである。本発明の化合物の光学活性体は、例えば、後に記載される操作に基づいた、ラセミ体のキラルクロマトグラフィー分離によって、光学的に活性な出発物質からの合成によって、又は不斉合成によって製造することができる。
【0039】
本発明のある種の化合物は、幾何異性体、例えばアルケンのE及びZ異性体として存在する可能性があることが、又、理解されるであろう。本発明は、式Iの化合物のいかなる幾何異性体をも包含するものである。更に、本発明は、式Iの化合物の互変異性体をも含むことが理解されるであろう。
【0040】
本発明のある種の化合物は、溶媒和した、例えば水和した、及び非溶媒和の形で存在する可能性があることが、又、理解されるであろう。更に本発明は、式Iの化合物のそのような溶媒和した形態の全てを包含することが理解されるであろう。
【0041】
式Iの化合物の塩類も、又、本発明の範囲内にある。一般的に、本発明の化合物の医薬として許容される塩類は、当該技術においてよく知られた標準的な手法、例えば、充分に塩基性の化合物、例えばアルキルアミンを、好適な酸、例えば塩酸又は酢酸と反応させ、生理的に許容されるアニオンを与えることによって得ることができる。又、カルボン酸又はフェノールのような適切に酸性のプロトンを有する本発明の化合物を、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物又はアルコキシド(例えばエトキシド又はメトキシド)、又は適切に塩基性の有機アミン(例えば、コリン又はメグルミン)の1当量と水性媒体中で処理し、次いで通常の精製技術で処理することによって、相当するアルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウム又はリチウム)又はアルカリ土類金属(例えば、カルシウム)塩を作成することが可能である。
【0042】
一つの実施態様において、上記の式Iの化合物は、医薬として許容されるその塩又は溶媒和物、特に、塩酸塩、臭素酸塩、リン酸塩、酢酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩又はp-トルエンスルホン酸塩のような酸付加塩に変換することができる。
【0043】
本発明の新規化合物は、治療、特に、慢性疼痛、神経障害性疼痛、急性疼痛、癌性疼痛、慢性関節リュウマチにより生じる疼痛、偏頭痛、内臓痛等のような種々の疼痛症状の治療において有用である。このリストは、しかしながら、完全なものと解釈されるべきではない。
【0044】
本発明の化合物は、特に関節炎のような自己免疫疾患用、皮膚移植、臓器移植及び類似の外科手術用、膠原病、種々のアレルギー用、抗腫瘍剤及び抗ウイルス剤としての使用のための免疫調節剤として有用である。
【0045】
本発明の化合物は、オピオイド受容体の変性又は機能不全が存在するか、或いはその範例に関係している病態に有用である。これは、診断技術及び陽電子放射断層撮影法(PET)のような画像応用における、本発明の化合物のアイソトープ標識バージョンの使用も包含することができる。
【0046】
本発明の化合物は、下痢、鬱病、外傷後ストレス障害、恐慌性障害、全般性不安障害、対人恐怖症及び強迫性障害のような不安及びストレス関連障害、尿失禁、早漏、種々の精神病、咳嗽、肺浮腫、種々の胃腸障害、例えば便秘、過敏性腸症候群及び機能性消化不良のような機能性胃腸障害、パーキンソン病及びその他の運動障害、外傷性脳傷害、脳卒中、心筋梗塞後の心臓保護、脊髄損傷及びアルコール、ニコチン、オピオイドその他の薬物乱用を含む薬物耽溺の治療に対して、及び交感神経の傷害、例えば高血圧症の治療に対して有用である。
【0047】
本発明の化合物は、全身麻酔及び監視麻酔治療中に使用するための鎮痛剤として有用である。異なった性質の薬剤との組合せは、しばしば麻酔状態(例えば、記憶消失、痛覚消失、筋弛緩及び鎮静)を維持するのに必要とされる効果のバランスを達成するために使用される。この組合せに包含されるものは、吸入麻酔薬、催眠薬、不安緩解薬、神経筋遮断薬及びオピオイドである。
【0048】
上記で考察した条件のいずれかの治療用の医薬を製造するための、上記の式Iに記載の化合物のいずれかの使用も、又、本発明の範囲内にある。
【0049】
本発明の更なる態様は、上記式Iに記載の化合物の有効量が、治療の必要がある患者に投与されることによる、上記に考察した症状のいずれかに罹患した患者の治療方法である。
【0050】
それ故、本発明は、治療における使用のために前記に定義された、式Iの化合物、医薬として許容されるその塩又は溶媒和物を提供する。
【0051】
更なる本発明の態様において、本発明は、治療における使用のための薬剤の製造において前記に定義された、式Iの化合物、医薬として許容されるその塩又は溶媒和物の使用を提供する。
【0052】
本明細書において、用語「治療」は、又、これに反する特定の指示がない限り「予防」も包含する。用語「治療上の」及び「治療的に」は上記に従って解釈されるべきである。本発明において、用語「治療」は、更に、前から存在する病態、急性若しくは慢性、又は再発状態のいずれかを緩和するために、本発明の化合物の有効量を投与することを包含する。この定義は、又、再発状態の防止のための予防的治療及び慢性障害の継続的な治療を包含する。
【0053】
本発明の化合物は、治療、特に、以下を包含するがこれらには限定されない種々の疼痛状態、即ち、急性疼痛、慢性疼痛、神経障害性疼痛、背痛、癌性疼痛及び内臓痛の治療において有用である。
【0054】
ヒトのような温血動物における治療のための使用において、本発明の化合物は、経口、筋肉内、皮下、局所、経鼻、腹腔内、胸郭内、静脈内、硬膜外、クモ膜下、脳室内を包含するいかなる径路によっても、及び関節への注射によっても、通常の医薬組成物の形で投与することができる。
【0055】
本発明の一つの実施態様において、投与経路は、経口、静脈内又は筋肉内である。
【0056】
投与量は、特定の患者に対して最も適した個々の治療方式及び投与量を決めるときに、投与経路、疾病の重症度、患者の年齢及び体重及び主治医によって通常考慮されるその他の因子に依存するであろう。
【0057】
本発明の化合物から医薬組成物を製造するための、不活性で、医薬として許容される担体は、固体又は液体であり得る。固形製剤は粉末、錠剤、調剤可能な顆粒、カプセル、カシェ剤及び坐剤を包含する。
【0058】
固体の担体は、又、賦形剤、矯味矯臭剤、可溶化剤、滑沢剤、懸濁剤、結合剤又は錠剤崩壊剤として作用することもできる、一つ又はそれ以上の物質であることが可能であり、又それはカプセル化材料でもあり得る。
【0059】
粉末においては、担体は細かく砕かれた固体であり、それは細かく砕かれた本発明の化合物又は有効成分との混合物の形態である。錠剤では、有効成分は、適切な比率で必要な結合性を有する担体と混合され、所望の形及びサイズに成形されている。
【0060】
坐剤組成物を製造するためには、脂肪酸グリセリドとカカオバターの混合物のような低融点のワックスを初めに融解し、有効成分を、例えば、撹拌によってその中に分散させる。融解した均一な混合物は通常のサイズの型に入れ、冷却させ固形化させる。
【0061】
好適な担体は、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、乳糖、蔗糖、ペクチン、デキストリン、デンプン、トラガカントゴム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、カカオバター、その他である。
【0062】
用語「組成物」は、有効成分(他の担体と共に又は無しに)が担体によってとり囲まれ、その結果担体が有効成分と共同してカプセルを提供している、担体としてのカプセル化材料と有効成分の製剤を包含することを意図している。同様に、カシェ剤が包含される。
【0063】
錠剤、粉末、カシェ剤及びカプセルは、経口投与に適した固形投与形態として使用することができる。
【0064】
液剤組成物は、溶液、懸濁液及びエマルジョンを包含する。例えば、有効成分の滅菌水溶液又はプロピレングリコール水溶液は、非経口投与に適した液剤であり得る。液体組成物は、又、ポリエチレングリコール水溶液の溶液に製剤化することができる。
【0065】
経口投与用の水溶液は、有効成分を水に溶解し、適切な着色料、矯味矯臭剤、安定化剤及び所望により粘稠化剤を加えることによって製造することができる。経口投与用の水性懸濁液は、細かく粉砕した有効成分を、天然及び合成ゴム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、その他の医薬製剤技術で公知の懸濁剤のような粘性材料と一緒に、水中に分散することによって製造することができる。
【0066】
投与方式によって、医薬組成物は、好ましくは、本発明の化合物の0.05質量%から99質量%まで、より好ましくは0.10から50質量%までを包含する。全ての質量パーセントは総組成物を基準にしている。
【0067】
本発明の実行のための治療としての有効量は、個々の患者の年齢、体重及び反応を包含する公知の判断基準を使用することによって決定され、そして治療されている又は予防されている疾患の状況の範囲内で、当業者によって解釈されることが可能である。
【0068】
薬剤の製造のための上記に定義された式Iのいずれかの化合物の使用も、本発明の範囲内にある。
【0069】
疼痛の治療のための薬剤の製造用の式Iのいずれかの化合物の使用も、又、本発明の範囲内にある。
【0070】
更に提供されるものとしては、急性疼痛、慢性疼痛、神経障害性疼痛、背痛、癌性疼痛及び内臓痛を包含するが、これらに限定されない種々の疼痛状態の治療のための薬剤の製造用の式Iに記載のいずれかの化合物の使用がある。
【0071】
本発明の更なる態様は、上記の式Iに記載の化合物の有効量を治療を必要とする患者に投与することによる、上記に考察したいずれかの症状に罹患している患者の治療方法である。
【0072】
更に、式Iの化合物、又はその医薬として許容される塩を、医薬として許容される担体と共に含む医薬組成物が提供される。
【0073】
特に、治療のために、更に詳しくは疼痛の治療のために、式Iの化合物又はその医薬として許容される塩を、医薬として許容される担体と共に含む医薬組成物が提供される。
【0074】
更に、上記で考察した症状のいずれかにおいて使用するための、式Iの化合物又はその医薬として許容される塩を、医薬として許容される担体と共に含む医薬組成物が提供される。
又、本明細書において、式Iの化合物の製造方法が提供される。
【0075】
一つの実施態様において、本発明は、式Iの化合物を製造する方法であって、式IIの化合物をX−S(=O)2−R4又はR4S(=O)2−O−S(=O)24と反応させることを含む方法を提供する:
【化2】

【0076】
式中、
XはCl、Br及びIから選ばれ;
1は、C6-10アリール及びC2-6ヘテロアリールから選択され、ここで、該C6-10アリール及びC2-6ヘテロアリールは、場合により−R、−NO2、−OR、−Cl、−Br、−I、−F、−CF3、−C(=O)R、−C(=O)OH、−NH2、−SH、−NHR、−NR2、−SR、−SO3H、−SO2R、−S(=O)R、−CN、−OH、−C(
=O)OR、−C(=O)NR2、−NRC(=O)R及び−NRC(=O)−OR(ここで、Rは独立に水素又はC1-6アルキルである)から選択される一つ又はそれ以上の基で置換され;そして
2、R3、R4及びR5は、水素、C1-6アルキル及びC3-6シクロアルキルから独立に選択され、ここで、該C1-6アルキル及びC3-6シクロアルキルは、場合により−R、−NO2、−OR、−Cl、−Br、−I、−F、−CF3、−C(=O)R、−C(=O)OH、−NH2、−SH、−NHR、−NR2、−SR、−SO3H、−SO2R、−S(=O)R、−CN、−OH、−C(=O)OR、−C(=O)NR2、−NRC(=O)R及び−NRC(=O)−OR(ここで、Rは独立に水素又はC1-6アルキルである)から選択
される一つ又はそれ以上の基で置換される。
【0077】
特に、本発明の化合物及びその製造に使用される中間体は、スキーム1〜3に例示される合成径路に従って製造することができる。
【0078】
【化3】

【0079】
【化4】

【0080】
【化5】

【0081】
生物学的評価
本発明の化合物は、温血動物、例えばヒトにおいてδ受容体に対して活性であることが見出されている。特に、本発明の化合物は、効果的なδ受容体リガンドであることが見出されている。下記のインビトロアッセイは、これらの驚くべき活性を、特にラット脳機能アッセイ及び/又はヒトδ受容体機能アッセイ(下記)において実証されたアゴニストの力価及び効果に関して、実証している。この特徴はインビボ活性に関連するものと思われ、結合親和性とは直線的な関連はしていないと思われる。これらインビトロアッセイにおいて、化合物は、δ受容体に対するそれらの活性について試験され、IC50が得られてδ受容体に対する特定の化合物の選択的活性が決定される。目下の状況では、IC50は、標準放射性δ受容体リガンドの50%置換が観察される、化合物の濃度を一般的に表している。
κ及びμ受容体に対する化合物の活性は、又、同様のアッセイで測定される。
【0082】
インビトロモデル
細胞培養
クローン化ヒトκ、δ及びμ受容体及びネオマイシン耐性を発現するヒト293S細胞を、カルシウムフリーDMEM10%FBS、5%BCS、0.1%プルロニックF−68及び600μg/mlジェネティシンを含有する懸濁液中、振とうフラスコにて、37℃、5%CO2で増殖させる。
【0083】
ラット脳の質量を量り、氷冷PBS(2.5mM・EDTA含有、pH7.4)ですすぐ。脳を氷冷した溶解バッファー(50mMトリス、pH7.0、2.5mM・EDTA、DMSO:エタノール中のフェニルメチルスルホニルフルオリド0.5Mストックからの0.5mMを使用直前に加えてある)中でポリトロンにて30秒(ラット)ホモジナイズする。
【0084】
膜の調製
細胞をペレットにし、溶解バッファー(50mMトリス、pH7.0、2.5mM・EDTA、エタノール中のPMSF0.1Mストックからの0.1mMを使用直前に加えてある)中に再懸濁し、15分間氷上でインキュベートし、ポリトロンにて30秒ホモジナイズする。懸濁液を1000g(最大)で、10分間4℃にて遠心する。上清を氷上に保存し、前記のようにペレットを再懸濁及び遠心する。両遠心からの上清を合わせ、46,000
g(最大)で30分間遠心する。ペレットを冷トリスバッファー(50mMトリス/Cl、pH7.0)中に再懸濁し、再び遠心する。最終ペレットは、膜バッファー(50mMトリス、0.32M蔗糖、pH7.0)中に再懸濁する。ポリエチレンチューブ中のアリコート(1ml)をドライアイス/エタノール中で凍結し、使用まで−70℃にて貯蔵する。タンパク質濃度をドデシル硫酸ナトリウム含有修正ローリー法アッセイにより定量する。
【0085】
結合アッセイ
膜を37℃で解凍し、氷で冷却し(又は、もし直ぐに使用しないなら氷上に保ち)、25ゲージ針を3回通過させ、結合バッファー(50mMトリス、3mM・MgCl2、1mg/mlBSA(SigmaA−7888)、pH7.4)に希釈する(同バッファーは、0.22μmフィルターを通して濾過後4℃で貯蔵され、もし膜が組織(ラット、マウス、サル、DTT不含有)由来なら、5μg/mlアプロチニン、10μMベスタチン、10μMディプロチンAを新たに加えてある)。アリコート100μlを、種々の濃度で適当な放射性リガンドの100μl及び試験化合物の100μlを含有する氷冷12×75mmポリプロピレンチューブに加える。総(TB)及び非特異的(NS)結合を、10μMナロキソンの存在下又は非存在下のそれぞれで測定する。チューブをボルテックス撹拌し、25℃で60〜75分間インキュベートし、その後、内容物を急速に減圧濾過して、チューブ当たり約12mlの氷冷した洗滌バッファー(50mMトリス、pH7.0、3mM・MgCl2)で、0.1%ポリエチレンイミン中に少なくとも2時間前もって浸したGF/Bフィルター(Whatman)を通して洗滌する。フィルター上に保持された放射能(dpm)を、シンチレーション液6〜7mlを含有するミニバイアル中で、少なくとも12時間フィルターを浸した後にβカウンターで測定する。アッセイが96穴ディープウエルプレート(96−place deep well plates)で組み立てられているなら、濾過は、洗滌バッファー3×1mlで洗滌し、オーブンで55℃、2時間乾燥した、96穴PEI洗滌ユニフィルター上で行う。フィルタープレートは、1ウエル当たりMS−20シンチレーション液50μlを加えた後でトップカウント(TopCount)(Packard)でカウントされる。アッセイが、96ディープウエルプレートで行われる場合、化合物のIC50は、δ受容体の場合、10点置換曲線、及びμ受容体及びκ受容体の場合、5点置換曲線から評価される。アッセイは、膜タンパク質の適切量(δ、μ及びκの場合、それぞれ、2μg、35μg及び1μg)及び適切なトレーサー(δ、μ、及びκの場合、それぞれ、125I−Deltorphin II、125I−FK33824、及び125I−DPDYN)の50000〜80000dpm/wellと共に300μlで行われる。総結合及び非特異的結合は、ナロキソンの10μMの存在下及び非存在下で決定される。
【0086】
機能性アッセイ
化合物のアゴニスト活性は、化合物受容体複合体がGTPの、受容体が共役するGタンパク質への結合を活性化する程度を決定することによって測定される。GTP結合アッセイにおいて、GTP[γ]35Sは、試験化合物、及びクローン化ヒトオピオイド受容体を発現するHEK−293S細胞、又は、ホモジナイズしたラット又はマウス脳からの膜と結合する。アゴニストは、これらの膜においてGTP[γ]35S結合を促進する。化合物のEC50及びEmax値は、用量−反応曲線から決定される。δアゴニストのナルトリンドールによる用量−反応曲線の右シフトは、アゴニスト活性がδ受容体を通して媒介されていることを実証するために行われる。ヒトδ受容体機能性アッセイのために、アッセイにおいて使用されたヒトδ受容体がEC50(高)を決めるために使用されたものと比較して低レベルで発現されたときに、EC50(低)が測定される。Emax値は、標準δアゴニストSNC80に対して相対的に決定された。即ち、100%より高い値は、SNC80よりよい効率を有する化合物である。
【0087】
ラット脳GTPのための方法
ラット脳の膜を37℃で解凍し、25ゲージの平滑端針を3回通し、GTPγS結合バッファー(50mM・ヘペス、20mM・NaOH、100mM・NaCl、1mM・EDTA、5mM・MgCl2、pH7.4、新鮮な1mM・DTT、0.1%BSAを添加)で希釈する。最終120μM・GDPを膜希釈物に加える。化合物のEC50及びEmaxは、膜タンパク質(20μg/ウエル)の適切量及び1ウエル当たりGTPγ35S(0.11〜0.14nM)の100000〜130000dpmを用いて300μl中で行われた10点用量−反応曲線から評価される。基準及び最大促進結合は、3μM・SNC−80の存在及び非存在下で決定される。クローン化δ受容体を安定的に発現するHEK293細胞で実行されたアッセイは、少し異なったバッファー(50mM・ヘペス、20mM・NaOH、200mM・NaCl、1mM・EDTA、5mM・MgCl2、pH7.4、新鮮な0.5%BSAを添加、DTTなし)及びGDP最終濃度3μMと共に行われる。
【0088】
データ解析
特異的結合(SB)はTB−NSとして計算され、そして、種々の試験化合物の存在下のSBは、対照SBのパーセントとして表現された。特異的に結合した放射性リガンドを置換するリガンドに対するIC50及びヒル係数(nH)の値は、ロジットプロット又はリガンド(Ligand)、グラフパッドプリズム(GraphPad Prism)、シグマプロット(SigmaPlot)又はレセプターフィット(ReceptorFit)のような曲線にあったプログラムから計算された。Kiの値は、Cheng-Prussoffの式から計算された。IC50、Ki及びnHの平均±S.E.M値は、少なくとも三つの置換曲線において試験されたリガンドについて報告した。本発明の化合物の生物学的活性は、表1及び表2に示される。
【0089】
【表1】

【0090】
【表2】

【0091】
受容体飽和実験
放射性リガンドKδ値は、細胞膜と、適切な放射性リガンドの推定されるKδの0.2
から5倍の範囲(必要な放射性リガンドの量が可能なら10倍まで)の濃度で、適切な放射性リガンドとの結合アッセイを実行することによって決定される。特異的放射性リガンド結合は、pモル/mg膜タンパク質として表わされる。個々の実験からのKδ及びBmaxの値は、ワンサイトモデル(one−site model)に従って、個々のものから、特異的結合(B)対nMフリー(F)放射性リガンドの非線形適合度から得られる。
【0092】
Von Frey試験を用いた機械的異疼痛の測定
試験は、Chaplanら(1994)によって記載された方法を用いて、08:00と16:00の時刻の間に実施された。ラットを、底が足に接近できるようになった天井部がワイヤーメッシュのプレキシグラス(Plexiglas)ケージ内におき、10〜15分間慣らした。試験領域は、感度が悪い足蹠を避けた中足底左後足である。足は、対数的に増加する剛性(0.41、0.69、1.20、2.04、3.63、5.50、8.51及び15.14g;Stoelting,Ill、USA)の一連の8本のvon Freyヘアーと接触している。von Freyヘアーは、足に対して少し曲がるような充分の力で足底表面に垂直にメッシュ床の下からあてがい、約6〜8秒間保持した。足が鋭く引き寄せられたなら、陽性反応として書き留めた。ヘアーを離したら即座にしりごみするのも、又、陽性反応とした。移動は曖昧な反応とし、そのような場合は刺激を繰り返した。
【0093】
試験計画書
動物は、FCA処理群について術後1日目に試験する。50%回避閾値は、Dixonの上下法(1980)を用いて決定された。試験は、シリーズの中間である2.04gヘアーで開始された。刺激は、常に、上昇又は下降のいずれかの逐次的方法で与えられた。最初に選んだヘアーに対する足回避反応がないときは、より強い刺激が与えられた、足回避の行動があったときは、次のより弱い刺激が選択された。この方法による至適閾値計算は、50%閾値のすぐ近くにおける6反応が必要であり、反応における第一の変化が起こるとき、例えば閾値が初めて交差したときに、これらの6反応を数えることが開始される。閾値が刺激範囲の外側に低下する場合、15.14の値(正常な感受性)又は0.41の値(最大の異疼痛性(allodynic))が割り当てられた。陽性及び陰性反応の得られたパターンは、慣例を用いて表にした。即ち、X=回避なし、O=回避、そして50%回避閾値は以下の式を用いて内挿された。
50%g閾値 = 10(Xf+kδ)/10,000
式中、Xf=最後に使用したvon Freyヘアーの値、k=表にした値(陽性/陰性反応のパターンについてChaplanら(1994)から)、及びδ=刺激間の平均差(log単位)。ここでは、δ=0.224
【0094】
Von Frey閾値は、Chaplanら(1994)による、最大可能性効果パーセント(%MPE)に変換される。%MPEを計算するのに次式が使われる。
【数1】

【0095】
試験物質の投与
ラットに、von Frey試験に先だって試験物質を投与(皮下、腹腔内、静脈内又は経口)する。試験化合物の投与とvon Frey試験の間の時間は、試験化合物の性状によって変化する。
【0096】
もだえ反応試験
酢酸は、マウス腹腔内に投与したとき異常な収縮を起こす。次いで、典型的なパターンで体を伸ばす。鎮痛薬を投与すると、この記述した動きは、より少なく観察され、潜在的なよい候補として薬物が選択される。
【0097】
完全で典型的なもだえ反射は、以下の要素が存在するときにのみ起こると考えられている:動物が動いていない;後背が僅かに圧迫されている;両足の足底形状が観察される。このアッセイにおいて、本発明の化合物は、1〜100μモル/kgの経口投与後に、もだえ反応の有意な阻害を示した。
【0098】
(1)溶液の調製
酢酸(AcOH):最終濃度0.6%で最終容積20mlの酢酸を得るために、酢酸120μlを蒸留水19.88mlに加える。溶液を混合し(ボルテックスで)、注射に使用する。
化合物(薬物):各化合物を、標準的操作に従って最も適した容器中で調製し溶解する。
【0099】
(2)溶液の投与
化合物(薬物)は、経口、腹腔内(i.p.)、皮下(s.c.)又は静注(i.v.)で10ml/kg(マウスの平均体重を考慮して)、試験に先立つ、20、30又は40分前に(化合物のクラス及びその性質に従って)投与される。化合物が中枢、脳室内(i.c.v.)又はクモ膜下に投与される場合は、5μlの容積が投与される。
AcOHは、試験直前に、10ml/kg(マウスの平均体重を考慮して)を2部位に、腹腔内投与(i.p.)される。
【0100】
(3)試験
動物(マウス)を20分の間観察し、発作(もだえ反射)の回数を記録し、実験の最後に編集する。マウスは、個々の接触床を有する「シューボックス(shoe box)」タイプケージに保持される。マウス4匹が通常同時に観察され、1匹は対照群、3匹は薬物投与群である。
不安及び不安様の徴候に対しては、ラットにおけるGeller-Seifterのコンフリクトテストにおいて効果が決定されている。
機能性胃腸障害の徴候に対しては、ラットにおけるCoutinho SVらによって記載されたアッセイにおいて、効果を決定することができる(Coutinho SV et al. American Journal of Physiology- Gastrointestinal & Liver Physiology, 282(2):G307-16, 2002 Feb.)。
【0101】
追加のインビボ試験計画
被験動物及び飼育場所
特定の投薬を受けたことがない、雌性Sprague Dawleyラット(175〜200g)を、温度制御した室(22℃、40〜70%湿度、12時間の明/暗)に1群5匹を収容する。実験は、明サイクルの間に実施される。動物は、飼料及び水を自由摂取とし、データ取得後直ちに殺処分する。
【0102】
試料
化合物(薬物)試験は、どのような処置も受けていないラットの群とE.Coliリポポリサッカリド(LPS)で処置したその他の群を含む。LPS処置実験には、4群にLPSを注射し、4群の内1群にはビヒクル処置をし、他の3群は薬物及びそのビヒクルを注射する。第2のセットの実験は、ラット5群を用い、その全てにLPS処置をしない。どのような処置も受けていない群は、化合物(薬物)又はビヒクルの投与はしない。他の4群は、薬物と共に、或いは薬物なしに、ビヒクルで処置される。これらは、USVの減少に寄与することができる薬物の不安緩解又は鎮静効果を判定するために行われる。
【0103】
LPSの投与
ラットは、処置前に15〜10分間実験室で慣らされる。炎症は、LPS(グラム陰性E.Coli細菌血清型0111:B4のエンドトキシン、Sigma)の投与によって誘導される。LPS(2.4μg)を、10μlの容積で、イソフルレン麻酔下に標準の定位手術技術を用いて、脳室内に注射する(i.c.v.)。両耳間の皮膚を口部鼻部の方に押し、約1cmの縦方向に切開し、頭蓋表面を露出させる。穿刺部位を座標によって、ブレグマの後方0.8mm、ラムダの側方(左)1.5mm(矢状縫合)、及び側脳室の頭蓋の表面5mm下(垂直)に、決定する。LPSをポリエチレンチューブ(PE20;10〜15cm)付の100μlHamilton注射筒につけた5mm長の滅菌ステンレススチール針(26−G3/8)を通して注射する。カット針(20−G)で作られた4mmストッパーを上方に設置し、所望の5mmの深さを創るためにシリコーンシール剤により26−G針を固定する。
LPSの注射の後、化合物が拡散するように、更に10秒間針をその場所に留め、次いで取り除く。切開を閉じ、ラットを元のケージに戻し、試験前に最小でも3.5時間休ませる。
【0104】
エアーパフ(空気の一吹き)刺激のための実験構成
ラットを、LPSの注射後及び化合物(薬物)投与後、実験室に残す。試験時には全てのラットを移し、実験室の外に置く。一度に1ラットずつ試験室に運び、透明な箱(9×9×18cm)の中に入れ、その箱を、音を弱め、通気された寸法62(巾)×35(奥行き)×46(高さ)cmの小室(BRS/LVE, Div. Tech-Serv Inc.)内に置く。0.32cmの空気送出ノズルを通したエアーパフの送達は、10秒間に1吹きの頻度で、一定の間隔(0.2秒)、及び一定の強さの空気の1吹きを送達することができるシステム(AirStim, San Diego Instruments)によって制御される。最大10パフ、或いは最初に発声が始まるまでパフが送られる。最初のエアーパフが記録開始の印である。
【0105】
超音波記録のための実験構成
発声は、各小室内に置かれたマイクロフォン(G.R.A.S. sound and vibrations, Vedbaek, Denmark)を用いて10分間記録され、LMS(LMS CADA-X 3,5B, Data Acquisition Monitor, Troy, Michigan)ソフトウエアによって制御される。0と32000Hzの間の周波数が記録され、貯えられ、そして同じソフトウエア(LMS CADA-X 3.5B, Time Data Processing Monitor and UPA (User Programming and Analysis))で解析される。
【0106】
化合物(薬物)
全ての化合物(薬物)は、6.5と7.5の間にpH調節され、4ml/kgの容積が投与される。化合物(薬物)を投与した後、動物を試験時まで元のケージに戻す。
【0107】
解析
記録は、統計及びフーリエ解析のシリーズを通して、目的とするパラメーターを選別(20〜24kHz)し計算する。データは、平均値±SEMで表される。統計的有意は、どのような処置も受けていないラットとLPS処置ラットの間の比較を、T検定を用いて検定し、薬物の効果については、一元配置分散分析、次いでDunnett’s多重比較検定(ポストホック)を用いて検定する。群間の差は、最小p値0.05で有意とされる。実験は、最低2回繰り返す。
【0108】
Hargreaves足底試験を用いた熱痛覚過敏の測定
FCA又はカラギーナンの投与
完全フロイントアジュバント(FCA):SIGMA cat.#F5881, Mycobacterium tuberculosis (H37Ra, ATCC 25177)、 1mg/ml、熱殺菌、乾燥、パラフィン0.85ml、マンニドモノオレイン酸エステル(mannide monooleate)0.15ml、又は、カラギーナン・ラムダタイプIV(Cg):SIGMA cat.#C−3889、(ゼラチン、植物:トチャカ)、NaCl中(1.0%溶液)。
【0109】
注射は、滅菌針サイズ26G5/8”のハミルトン注射筒で行われる。ラットを取り出し
、イソフルランで麻酔する箱に入れる。所望の効果に達したならば、ラットを移動し腹側臥位(胸骨位)に置く。左後足を握り、針を足の中間(中足骨領域)に達するように、第二指と第三指の足蹠間の、皮下、腹側面に導入する。最後に、FCA100μl容量、又はカラギーナン溶液100μlを、ゆっくりと足に注射し、針を抜いた後3〜4秒間小圧力を加える。
【0110】
もし、動物が処置中動きだすならば、所望の効果が得られるまで吸入箱に戻す。足底内注射後、動物が覚醒するまでケージ内で観察する。
FCA処置については、ラットを炎症過程の発症まで48時間置く。カラギーナン処置については、ラットを炎症過程の進行のために3時間置く。試験の朝、ラットを実験室に置く(ケージ内に)。少なくとも30分間室に慣れるまで置く。
【0111】
試験部位
熱刺激を、足蹠の間の足底表面の中心に加える。試験部位は、ガラスから皮膚に正確な熱伝導性が維持されるように、ガラスに接触していなければならず、その間に尿又は糞があってはならない。
【0112】
足底装置はガラストップ/プラットホームのある箱からなっており、ガラス表面は、内部フィードバック機構によって30℃に保持されている。このガラスプラットホームの下側には、可動式腕に取りつけられた電球があり、光がラットの足下に当たるように、鏡が下に置かれている。ライトを点灯すると、直径〜2mmの開口を通して輝く。実験者は、ライトを点灯し、足が離れると自動センサーがライトを消す。これにより、20.48秒の切断は、仮にラットがその足蹠を離し損なっても、組織の損傷が起こらないことを確実にする。実験者は、どんな時点でライトを消してもよい。タイマーが、ライトがついている時間を記録する。
【0113】
光束計:ライトが点灯しているとき、光束/cm2を測定する。これは、〜97−98に維持されなければならない。光束は足底装置を調節することによって変えることができるが、実験の実施中には変更してはならない。
【0114】
時間的経過
実験は、炎症の導入に続いて、時間の長さを変化させた後に実施することができる。痛覚過敏は、FCA注射後48時間又はカラギーナン注射後3時間に測定される。
【0115】
試験手順
どのような処置も受けていないラット: 用量−反応曲線を決定する手順のために、ラット7匹の1群を対照群として用い、残りのラット28匹と共に麻酔するが注射はしない。どのような処置も受けていないラットの試験は、最小のストレスが可能なように、実験の始まる前か、実験に続いて直ぐのいずれかに行われるのがよく、ラットは、天井部に足底装置を備えた個々のプレキシグラス(Plexiglas)ボックス(14×21×9cm)内に置き、30分間慣らせる。動物が試験にかけられるようになると、ライトを直接試験部位の直下に置き、点灯し、回避の潜伏期を記録する。5〜8分後、皮膚温度を正常に戻らせ、2回目の読みを行い、そしてラットを移動しケージに入れる。
【0116】
ベースラインの値: FCA(又はカラギーナン)を注射された、残りの28匹のラット(4群に分けてある)を、機械の上の個々の箱内に置き30分間慣らす。実験者は、足の炎症の程度を検証し、変色をチェックすべきである。熱刺激を試験部位の下に与え、回避の潜伏期を記録し、上記のようにして2回読む。痛覚過敏が存在するかどうかを決定するために、それらのベースラインを、どのような処置も受けていない動物のそれらと比較する。
【0117】
薬物投与後検査: ひとたび痛覚過敏が確立されると、ラットは、目的とする化合物を注射される。各化合物は、標準的手順に従って最も適切なビヒクルで調製され溶解される。投与経路、投与量、容積及び注射後の試験時間は、化合物(又は化合物のクラス)に特異的である。注射後、例えばi.v.又はs.c.注射後、20〜30分に化合物を試験する場合、ラットは、足底装置に置かれ慣らされるが、その間に薬物がその効果を生じる。注射後60分又はそれ以上に化合物を試験する場合、ラットは元のケージに戻され、同じケージの仲間と一緒にされる。ラットは、常に元のケージに戻され、ラットの群内の社会構造を再構築するストレスを最小にするよう元のケージ仲間と一緒にされる。30分後、ラットは、足底装置に置かれ、足底機械に30分間慣らされる。試験は上記のようにして実施され、データの2回読みが行われる。
【0118】
試験の判断基準: 動物は平静で、且つ、静かで、しかし敏捷であり、そして正確な位置に置かれ、足の皮膚と機械のガラス表面の間に、尿又は糞があってはならない。動物は、以下の場合、試験に供してはならない:
・動物が、くんくん嗅ぎ回る、身繕いをする及び探索行動をする等を含む動きをしている;
・動物が、睡眠中である;
・動物が、化合物の副作用の可能性のある結果で、避けることができない場合を除き、ストレスの明確な徴候(強直性不動、発声、耳の平坦)を示している;
・動物が、足がガラスに直接接触していないような位置にある(足が尾の先端上で休んでいる);
・動物の足が、悪い注射の結果、青色を呈している。この場合、動物を実験から完全に除く(開始時に)。
【0119】
尿又は糞があるとき、動物を除き、ガラス表面を清潔に拭い、そして動物を再び置く。動物が眠っている場合、又は痙攣して動かない場合は、実験者は、短時間の注意挙動をもたらすように、箱を穏やかに動かし、或いは、箱の前の動物の手を動かす。動物の挙動の綿密な観察を試験中を通して行うべきである。
【0120】
再試験: 実験中のいつでも、もし実験者が、足の回避反応が熱刺激に対する反応ではないと確信しないならば、その動物は、5〜8分後再試験してよい。これは、動物が、刺激を与えている間に、突然動き、或いは排尿又は排便することによる。
【0121】
許容される反応: 以下のいずれも、熱刺激への反応と考えられる。
・足がガラスを離れる回避運動(しばしば、足をなめることが続く);
・体躯の横方向への動き(刺激された足と反対側に起こる);
・足指がガラスから離れる;
・炎症を起こした足の中心平面(中足)局面がガラスから離れる。
【0122】
解析
データは、平均値±SEMとして表される。統計的有意は、どのような処置も受けていないラットと炎症を起こしたラットの間の比較を、T検定を用いて検定し、薬物の効果については、一元配置分散分析、次いでDunnett's多重比較検定(ポストホック)を用いて検定する。群間の差は、最小p値0.05で有意とされる。
【実施例】
【0123】
本発明を、更に、以下の実施例によってより詳細に説明する。これらの実施例は、本発明の化合物が製造され、精製され、分析され、そして生物学的に試験される方法を記載するものであり、それらは本発明を制限するものとして解釈されるべきではない。
【0124】
中間体1:4−[(ジメトキシホスフィニル)メチル]−安息香酸メチルエステル
4−(ブロモメチル)安息香酸メチルエステル(11.2g、49mmol)と亜リン酸トリメチル(25mL)の混合物をN2気流中で5時間還流させた。過剰の亜リン酸トリメチルをトルエンとの共沸蒸留で取り除き、中間体1を定量的収率で得た。1H NMR (CDCl3) δ 3.20 (d, 2H, J=22 Hz, CH2), 3.68 (d, 3H 10.8 Hz, OCH3), 3.78 (d, 3H, 11.2 Hz, OCH3), 3.91 (s, 3H, OCH3), 7.38 (m, 2H, Ar-H), 8.00 (d, 2H, J=8 Hz, Ar-H).
【0125】
中間体2:4−(4−メトキシカルボニル−ベンジリデン)−ピペリジン−1−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
中間体1の無水THF(200mL)溶液中へ、リチウムジイソプロピルアミド(32.7mL、1.5Mヘキサン溶液、49mmmol)を−78℃で滴下した。反応混合物を室温になるまで放置した後、N−tert−ブトキシカルボニル−4−ピペリドン(9.76g、49mmol無水THF溶液、100mL)を加えた。12時間後反応混合物を水(300mL)でクエンチし、酢酸エチル(3×300mL)で抽出した。有機相を合わせてMgSO4で乾燥し、蒸発して生成物を得た。生成物をフラッシュクロマトグラフィーで精製して中間体2を白色固体(5.64g、35%)として得た。IR (NaC1) 3424, 2974, 2855, 1718, 1 688, 1606, 1427, 1362, 1276 cm-1; 1H NMR (CDCl3) δ 1.44 (s, 9H), 2.31 (t, J=5.5 Hz, 2H), 2.42 (t, J=5.5 Hz, 2H), 3.37 (t, J=5.5 Hz, 2H), 3.48 (t, J=5.5 Hz, 2H), 3.87 (s, 3H, OCH3), 6.33 (s, 1H, CH), 7.20 (d J=6.7 Hz, 2H, Ar-H), 7.94 (d, J,=6.7 Hz, 2H, Ar-H); 13C NMR (CDCl3) δ 28.3, 29.2, 36.19, 51.9, 123.7, 127.8, 128.7, 129.4, 140.5, 142.1, 154.6, 166.8.
【0126】
中間体3:4−ブロモ−4−[ブロモ−(4−メトキシカルボニル−フェニル)−メチル]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
無水ジクロロメタン(200mL)、中間体2(5.2g、16mmol)及びK2CO3(1.0g)の混合物に、臭素(2.9g、18mmol)の30mLCH2Cl2溶液を0℃で加えた。室温で1.5時間放置後、K2CO3を濾過した溶液を濃縮した。残留物を酢酸エチル(200mL)に溶解し、水(200mL)、0.5MHCl(200mL)及びブライン(200mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥した。溶媒を除去して生成物を得、メタノールで再結晶後、中間体3を白色固体(6.07g、78%)として得た。IR (NaC1) 3425, 2969, 1725, 1669, 1426, 1365, 1279, 1243 cm-1; 1H NMR (CDCl3) δ 1.28 (s, 9H), 1.75 (m, 1H), 1.90 (m, 1H), 2.1 (m, 2H), 3.08 (br, 2H), 3.90 (s, 3H, OCH3), 4.08 (br, 3H), 7.57 (d, J=8.4 Hz, 2H, Ar-H) 7.98 (d, J=8.4 Hz, 2H, Ar-H); 13C NMR (CDCl3) δ 28.3, 36.6, 38.3, 40.3, 52.1, 63.2, 72.9, 129.0, 130.3, 130.4, 141.9, 154.4, 166.3.
【0127】
中間体4:4−[ブロモ−(4−カルボキシ−フェニル)−メチレン]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
中間体3(5.4g、11mmol)のメタノール(300mL)溶液と2.0M NaOH(100mL)を40℃で3時間加熱した。固体を濾別し、終夜減圧下で乾燥した。乾燥塩を40%アセトニトリル/水溶液中に溶解し、濃塩酸を用いてpH2に調節した。濾過により中間体4を白色粉末(3.8g、87%)として単離した。1H NMR (CDCl3) δ, 2H), 3.34 (dd, J=5.5 Hz, 6.1 Hz, 2H), 3.54 (dd, J=5.5 Hz, 6.1 Hz, 2H), 7.35 (d, J=6.7 Hz, 2H, Ar-H), 8.08 (d, J=6.7 Hz, 2H, Ar-H); 13C NMR (CDCl3) δ 28.3, 31.5, 34.2, 44.0, 115.3, 128.7, 129.4, 130.2, 137.7, 145.2, 154.6, 170.3.
【0128】
中間体5:4−[ブロモ−(4−ジエチルカルバモイル−フェニル)−メチレン]−ピペリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
中間体4(1.0g、2.5mmol)の無水ジクロロメタン(10mL)溶液中に、−20℃でクロロギ酸イソブチル(450mg、3.3mmol)を加えた。20分後、ジエチルアミン(4mL)を−20℃で加え、反応混合物を室温に戻した。1.5時間後、溶媒を蒸発させ、残留物を酢酸エチルと水の間で分配した。有機相をブラインで洗浄し、MgSO4で乾燥した。溶媒を除去後生成物を得た。フラッシュクロマトグラフィーで精製して中間体5を白色針状結晶(800mg、73%)として得た。IR (NaCl) 3051, 2975, 1694, 1633, 1416, 1281, 1168, 1115 cm-1; 1H NMR (CDCl3) δ 1.13 (br, 3H, CH3), 1.22 (br, 3H, CH3), 1.44 (s, 9H, tBu), 2.22 (t, J=5.5 Hz, 2H), 2.62 (t, J=5.5 Hz, 2H), 3.33 (m, 4H), 3.55 (m, 4H), 7.31 (d, J=8.0 Hz, 2H, Ar-H), 7.36 (d, J=8.0 Hz, 2H, Ar-H); 13C NMR (CDCl3) δ 12.71, 14.13, 28.3, 31.5, 34.2, 39.1, 43.2, 79.7, 115.9, 126.3, 129.3, 136.8, 137.1, 140.6, 154.6, 170.5.
【0129】
中間体6:4−[ブロモ(ピペリジン−4−イリデン)メチル]−N,N−ジエチルベンズアミド
中間体5(15.6g、34.6mmol)のジクロロメタン(200mL)溶液中に、トリフルオロ酢酸(30ml、311mmol)を加えた。溶液を室温で16時間撹拌した。次いで溶液を飽和NaHCO3水溶液で中和し、水相をジクロロロメタン(3×100mL)で抽出し、有機抽出物を合わせてNa2SO4で乾燥し、濾過、濃縮後中間体6を淡黄色固体(12.05g、99%)として得た。
【0130】
中間体7a:4−{ブロモ[1−(2−チエニルメチル)ピペリジン−4−イリデン]メチル}−N,N−ジエチルベンズアミド
【化6】

中間体6(1.4g、3.99mmol)の1,2−ジクロロエタン(30ml)溶液中に2−チオフェンカルボアルデヒド(746μl、7.99mmol)とナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(1.694g、7.99mmol)を加えた。窒素気流中、室温で反応溶液を撹拌した。18時間後、反応溶液をジクロロメタンで希釈し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。水相をジクロロメタンで2回抽出し、有機抽出物を合わせて無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過後濃縮した。生成物をフラッシュクロマトグラフィーを用いて精製し、酢酸エチル/ヘキサン(7:3)で溶出した。粘調な無色の油として中間体7a(1.702g、95%)を得た。
【0131】
中間体8a:4−{(3−アミノフェニル)[1−(2−チエニルメチル)ピペリジン−4−イリデン]メチル}−N,N−ジエチルベンズアミド
【化7】

中間体7a(1.702g、3.81mmol)のトルエン(40ml)及びエタノール(8ml)の溶液中に、m−アミノベンゼンボロン酸一水和物(0.886g、5.71mmol)及び炭酸ナトリウム水溶液(2M、4.76ml、9.52mmol)を加えた。窒素ガスを25分間溶液中に通気した後、パラジウムテトラキストリフェニルホスフィン(0.439g、0.38mmol)を加えた。溶液を90℃で5時間加熱した後溶液を冷却し、飽和塩化アンモニウム水溶液(40ml)と酢酸エチルを加えた。水相を酢酸エチルで2回抽出し、有機抽出物を合わせて無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過後濃縮した。生成物をフラッシュクロマトグラフィーを用いて精製し、ジクロロメタン中5%メタノール溶液で溶出して、黄色の発泡体として中間体8a(1.605g、収率91%)を得た。
【0132】
化合物1:N,N−ジエチル−4−{{3−[(メチルスルホニル)アミノ]フェニル}[1−(チエン−2−イルメチル)ピペリジン−4−イリデン]メチル}ベンズアミド
【化8】

中間体8a(325mg、0.7mmol)のジクロロメタン(10ml)溶液中に、
トリメチルアミン(302μl、0.78mmol)次にメタンスルホン酸無水物(135mg、2.17mmol)を加えた。溶液を1時間撹拌し、次いで、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(10mL)を加えた。水相をジクロロメタンで2回抽出し、有機抽出物を合わせて無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過後濃縮した。生成物を逆相クロマトグラフィーを用いて精製し、0.1%のトリフルオロ酢酸を含む、10%から40%のアセトニトリル水溶液で溶出した。生成物はトリフルオロ酢酸塩として得られ、凍結乾燥して、化合物1を白色の固体(152mg、33%収率)として得た。純度(HPLC): >99% (215nm); >99% (254nm); >99% (280nm).実測値: C, 53.83; H, 5.18; N, 6.13. C29H35N3O3S2 x 1.5CF3CO2H x 0.3H2O : C, 53.82; H, 5.24; N, 5.88 %. 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.10-1.15 (m, 3H), 1.22-1.28 (m, 3H), 2.65-2.81 (m, 6H), 2.95 (s, 3H), 3.28 (br s, 2H), 3.54-3.62 (m, 4H), 4.44 (s, 2H), 6.84 (d, J = 7.68 Hz, 1H), 7.01(br s, 1H), 7.04-7.10 (m, 3H), 7.13-7.19 (m, 1H), 7.20-7.23 (m, 1H), 7.30 (d, J = 8.25 Hz, 2H), 7.44 (d, J = 4.96 Hz, 1H), 7.56 (br s, 1H).
【0133】
中間体7b:4−{ブロモ[1−(2−フリルメチル)ピペリジン−4−イリデン]メチル}−N,N−ジエチルベンズアミド
【化9】

中間体6(1.4g、3.99mmol)の1,2−ジクロロエタン(30ml)溶液中に、2−フルアルデヒド(62μl、7.99mmol)とナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(1.694g、7.99mmol)を加えた。窒素気流中、室温で18時間撹拌後、反応溶液をジクロロメタンで希釈し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。水相をジクロロメタンで2回抽出し、有機抽出物を合わせて無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過後濃縮した。生成物をフラッシュクロマトグラフィーを用いて精製し、酢酸エチル/ヘキサン(7:3)で溶出した。中間体7bを淡黄色の油(1.503g、87%)として得た。
【0134】
中間体8b:4−{(3−アミノフェニル)[1−(2−フリルメチル)ピペリジン−4−イリデン]メチル}−N,N−ジエチルベンズアミド
【化10】

中間体7b(2.120g、4.93mmol)のトルエン(50ml)及びエタノール(10ml)溶液中に、m−アミノベンゼンボロン酸一水和物(1.145g、7.39mmol)及び炭酸ナトリウム水溶液(2M、6.15ml、12.31mmol)を加えた。窒素ガスを25分間溶液中に通気した後、パラジウムテトラキストリフェニルホスフィン(0.569g、0.49mmol)を加えた。溶液を90℃で5時間加熱した後溶液を冷却し、飽和塩化アンモニウム水溶液(40ml)と酢酸エチルを加えた。水相を酢酸エチルで2回抽出し、有機抽出物を合わせて無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過後濃縮した。生成物をフラッシュクロマトグラフィーを用いて精製し、ジクロロメタン中5%メタノール溶液で溶出した。黄色発泡体として中間体8b(1.967g、90%)を得た。
【0135】
化合物2:N,N−ジエチル−4−[[1−(2−フラニルメチル)−4−ピペリジニリデン][3−[(メチルスルホニル)アミノ]フェニル]メチル]−ベンズアミド
【化11】

中間体8b(427mg、0.96mmol)のジクロロメタン(10ml)溶液中にトリエチルアミン(416μl、2.97mmol)とメタンスルホン酸無水物(184mg、1.06mmol)とを加えた。溶液を1時間撹拌し、次いで、飽和重炭酸ナトリウム(10ml)を加えた。水相をジクロロメタンで2回抽出し、有機抽出物を合わせて無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過後濃縮した。残留物を逆相クロマトグラフィーを用いて精製し、0.1%のトリフルオロ酢酸を含む、10%から40%のアセトニトリル水溶液で溶出した。生成物をフラッシュクロマトグラフィーを用いて再精製し、1%水酸化アンモニウムと10%メタノールを含むジクロロメタン溶液で溶出した。生成物をジエチルエーテル(15ml)に溶解し、1MHClのジエチルエーテル(2ml)溶液を加え、溶媒を蒸発し、化合物2を、対応する塩酸塩の白色粉末(128mg、23%収率)として得た。純度 (HPLC): >99% (215nm); >99% (254nm); >99% (280nm). 実測値: C, 59.67; H, 6.58; N, 7.18. C29H35N3O4S x 1.2HCl x 1.0H2O : C, 59.70; H, 6.60 N, 7.20 % 1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 1.12-1.24 (m, 6H), 1.87 (br s, 2H), 2.68 (br s, 2H), 2.98 (s, 3H), 3.00 (br s, 2H), 3.27 (br s, 2H), 3.45-3.60 (m, 4H), 4.29 (br s, 2H), 6.46 (br s, 1H), 6.80 (br s, 2H), 7.08 (br s, 2H), 7.14 (br s, 1H), 7.26 br s, 2H), 7.30 (br s, 2H), 7.51 (br s, 1H).
【0136】
中間体7c:4−{ブロモ[1−(フェニルメチル)ピペリジン−4−イリデン]メチル}−N,N−ジエチルベンズアミド
【化12】

中間体6(7.783g、22.2mmol)のジクロロメタン(160ml)溶液中に、トリエチルアミン(9.3mL、66.8mmol)とベンジルブロミド(3.2mL、26.9mmol)を加えた。反応混合物を窒素下室温で撹拌した。24時間後水で洗浄し、水相をジクロロメタンで抽出した。有機抽出物を合わせて無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過後濃縮した。生成物をフラッシュクロマトグラフィーを用いて精製し、酢酸エチル/ヘキサン(7:3)で溶出して、中間体7cを無色の固体(6.89g、70%)として得た。
【0137】
中間体8c:4−{(3−アミノフェニル)[1−(フェニルメチル)ピペリジン−4−イリデン]メチル}−N,N−ジエチルベンズアミド
【化13】

中間体7c(8.50g、19.3mmol)のキシレン(120ml)及びエタノール(80ml)溶液中に、m−アミノベンゼンボロン酸一水和物(3.96g、28.9mmol)及び炭酸ナトリウム水溶液(2M、29.0ml、58mmol)を加えた。窒素ガスを25分間溶液中に通気した後、パラジウムテトラキストリフェニルホスフィン(1.67g、1.4mmol)を加えた。溶液を90℃で18時間加熱した後溶液を冷却し、水(60ml)と酢酸エチルを加えた。水相を酢酸エチルで2回抽出し、有機抽出物を合わせて無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過後濃縮した。生成物をフラッシュクロマトグラフィーを用いて精製し、ジクロロメタン中2%から4%メタノール溶液で溶出し、オレンジ色の発泡体として中間体8c(8.14g、93%)を得た。
【0138】
化合物3:N,N−ジエチル−4−[[1−(フェニルメチル)−4−ピペリジニリデン][3−[(メチルスルホニル)アミノ]フェニル]メチル]−ベンズアミド
【化14】

中間体8c(392mg、0.87mmol)のジクロロメタン(15ml)溶液中にトリエチルアミン(145μl、1.04mmol)と塩化スルホニルメタン(80μl、1.03mmol)とを加えた。溶液を4時間撹拌し、次いで、飽和重炭酸ナトリウム(10ml)を加えた。水相をジクロロメタンで2回抽出し、有機抽出物を合わせて無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過後濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィーを用いて、3%メタノールのジクロロメタン溶液で溶出し、精製した。残留物をさらに、逆相クロマトグラフィーで、0.1%のトリフルオロ酢酸を含む、20%から50%のアセトニトリル水溶液で溶出し、精製した。トリフルオロ酢酸塩として得られた化合物3を凍結乾燥し、無色の固形物を得た(170.4mg、44%収率)として得た。純度(HPLC): >99% (215nm); >99% (254nm); >99% (280nm). 実測値: C, 58.9; H, 5.61; N, 6.15. C31H37N3O3S x 1.3TFA x 0.3H2O : C, 58.9;H, 5.72; N, 6.13%. 1H NMR (400MHz, CD3OD) δ 1.10 (t, J = 6.5Hz, 3H), 1.22 (t, J = 6.5Hz, 3H), 2.48-2.51 (m, 2H), 2.72-2.83 (m, 2H), 2.89 (s, 3H), 3.06-3.11 (m, 2H), 3.27-3.29 (m, 2H), 3.50-3.53 (m, 4H), 4.34 (s, 2H), 6.91 (d, J = 7.5Hz, 1H), 7.09-7.11 (m, 2H), 7.24 (d, J = 8.5Hz, 2H), 7.28-7.36 (m, 3H), 7.49 (s, 5H).
【0139】
中間体7d:4−[ブロモ[1−(3−ピリジニルメチル)―4−ピペリジニリデン]メチル]−N,N−ジエチル−ベンズアミド
【化15】

中間体6(0.5g、1.42mmol)の1,2−ジクロロエタン(15ml)溶液に、3−ピリジンカルボキシアルデヒド(160μl、1.71mmol)及びトリアセトキシボロハイドリド(392mg、1.85mmol)を加えた。反応液は窒素下室温で撹拌した。18時間後、反応液をジクロロメタンで希釈し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。水相をジクロロメタンで2回抽出し、有機抽出物を合わせて無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過後濃縮した。生成物をフラッシュクロマトグラフィーを用いて、5%メタノールのジクロロメタン溶液で溶出し、精製し、黄色の油として中間体7d(630mg、100%)を得た
【0140】
中間体8d:4−[(3−アミノフェニル)[1−(3−ピリジニルメチル)―4−ピペリジニリデン]メチル]−N,N−ジエチル−ベンズアミド
【化16】

中間体7d(630mg、1.42mmol)のトルエン(9ml)及びエタノール(2ml)混合溶液に、m−アミノベンゼンボロン酸一水和物(264mg、1.70mmol)及び炭酸ナトリウム水溶液(2M、1.8ml、3.55mmol)を加えた。窒素を25分間溶液に通し、パラジウムテトラキストリフェニルホスフィン(98mg、0.09mmol)を加えた。溶液を90℃で5時間加熱し、次に、冷却し、飽和塩化アンモニウム(40ml)及び酢酸エチルを加えた。水相を酢酸エチルで2回抽出し、有機抽出物を合わせて無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過後濃縮した。得られた物質をフラッシュクロマトグラフィーを用いて、3%〜5%メタノールのジクロロメタン溶液で溶出し、精製し、無色の泡状物質として中間体8dを得た(559mg、84%)を得た。
【0141】
化合物4:N,N−ジエチル−4−[[3−[(メチルスルホニル)アミノ]フェニル][1−(3−ピリジルメチル)−4−ピペリジニリデン] メチル]−ベンズアミド
【化17】

中間体8d(272mg、0.60mmol)のジクロロメタン(10ml)溶液中にトリエチルアミン(290μl、2.09mmol)と塩化スルホニルメタン(60μl、0.77mmol)とを加えた。溶液を室温で3日間撹拌し、次いで、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(10ml)を加えた。水相をジクロロメタンで2回抽出し、有機抽出物を合わせて無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過後濃縮した。残留物を逆相クロマトグラフィーを用いて、0.1%のトリフルオロ酢酸を含む10%から40%のアセトニトリル水溶液で溶出し、精製した。トリフルオロ酢酸塩として得られた化合物4を、凍結乾燥して、無色の固体(193.2mg、43%収率)を得た。純度 (HPLC): >99% (215nm); >99% (254nm); >99% (280nm). 実測値: C, 51.23; H, 4.75; N, 6.93. C30H36N4O3S x 0.1H2O x 2.5TFA : C, 51.29; H, 4.76; N, 6.84%. 1H NMR (400MHz, CD3OD) δ 1.10 (t, J = 6.9 Hz, 3H), 1.22 (t, J = 6.8 Hz, 3H), 2.65 (br s, 4H), 3.26-3.54 (m, 8H), 4.47 (s, 2H), 6.92 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.10-7.12 (m, 2H), 7.24 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.29-7.37 (m, 3H), 7.68 (dd, J = 5.1, 8.0 Hz, 1H), 8.14 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 8.73-8.77 (m, 2H).
【0142】
中間体9:4−[[4−[(ジエチルアミノ)カルボニル]フェニル](3−ニトロフェニル)メチレン]−1−ピペリジンカルボン酸、1,1−ジメチルエチルエステル
【化18】

中間体5が臭化ビニル、及び、ボロン酸としてm−ニトロベンゼンボロン酸を用いたこと以外は、中間体8cに関して記載したように合成を行った。
【0143】
中間体10:N,N−ジエチル−4−[(3−ニトロフェニル)−4−ピペリジニリデンメチル]−ベンズアミド
【化19】

中間体9(1.0g、2.03mmol)のジクロロメタン(15ml)溶液中にトリフルオロ酢酸(1.6ml、20.7mmol)を加えた。反応溶液を室温で終夜撹拌し、次いで、水酸化ナトリウム水溶液(2M,15ml)でクエンチした。水相を分離し、ジクロロメタン(20ml)で洗浄した。合わせた有機抽出物を乾燥し(MgSO4)、濾過後濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィーを用いて、35%メタノールのジクロロメタン溶液から50%メタノールのジクロロメタン溶液まで上げて溶出し、精製し、中間体10を、黄色泡状物として得た(613.5mg、77%)。
【0144】
中間体11:N,N−ジエチル−4−{(3−ニトロフェニル)[1−(1,3−チアゾール−2−イルメチル)ピペリジン−4−イリデン]メチル}ベンズアミド
【化20】

中間体10(341mg、0.87mmol)の1,2−ジクロロエタン(10ml)溶液中に2−チアゾールカルボキシアルデヒド(91μl、1.71mmol)及びトリアセトキシボロハイドリド(392mg、1.04mmol)を加えた。反応溶液を窒素下室温で撹拌した。室温で3日経過後、反応液をジクロロメタンで希釈し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した。水相をジクロロメタンで2回抽出し、有機抽出物を合わせて無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過後濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィーを用いて、3%エタノールのジクロロメタン溶液で溶出し、精製し、中間体11を、無色泡状物として得た(332mg、78%)。
【0145】
中間体12:4−{(3−アミノフェニル)[1−(1,3−チアゾール−2−イルメチル)ピペリジン−4−イリデン]メチル}−N,N−ジエチルベンズアミド
【化21】

中間体11(266mg、0.54mmol)の、エタノール、テトラヒドロフラン、水及び飽和塩化アンモニウム水溶液(4:2:1:1の容量比)の混合溶液に、少量の鉄粉を加え、反応液を、電子レンジ中で150℃で5分間加熱した。固形物を濾過で除去し、酢酸エチルで抽出した生成物として、中間体12を、無色泡状物として得た(249.7mg、100%)。
【0146】
化合物5:N,N−ジエチル−4−[[3−[(メチルスルホニル)アミノ]フェニル][1−(3−チアゾリル−メチル)−4−ピペリジニリデン] メチル]−ベンズアミド
【化22】

中間体12(171mg、0.37mmol)のジクロロメタン(10ml)溶液中にトリエチルアミン(181μl、1.31mmol)と塩化スルホニルメタン(45μl、0.58mmol)とを加えた。溶液を室温で4日間撹拌し、次いで、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(10ml)を加えた。水相をジクロロメタンで2回抽出し、有機抽出物を合わせて無水硫酸ナトリウム上で乾燥し、濾過後濃縮した。残留物を逆相クロマトグラフィーを用いて、0.1%のトリフルオロ酢酸を含む10%から40%のアセトニトリル水溶液で溶出し、精製した。トリフルオロ酢酸塩として得られた化合物5を、凍結乾燥して、無色の固体(40.7mg、14%収率)を得た。純度 (HPLC): >99% (215nm); >99% (254nm); >99% (280nm). 実測値: C, 51.23; H, 4.75; N, 6.93. C30H36N4O3S x 0.1H2O
x 2.5TFA : C, 51.29; H, 4.76; N, 6.84%. NMR (400MHz, CD3OD) δ 1.10 (t, J = 6.9 Hz, 3H), 1.22 (t, J = 6.8 Hz, 3H), 2.65 (br s, 4H), 3.26-3.54 (m, 8H), 4.47 (s, 2H), 6.92 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 7.10-7.12 (m, 2H), 7.24 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.29-7.37 (m, 3H), 7.68 (dd, J = 5.1, 8.0 Hz, 1H), 8.14 (d, J = 8.0 Hz, 1H), 8.73-8.77 (m, 2H).

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

[式中、
1はC6-10アリール及びC2-6ヘテロアリールから選択され、ここで、該C6-10アリール及びC2-6ヘテロアリールは、場合により−R、−NO2、−OR、−Cl、−Br、−I、−F、−CF3、−C(=O)R、−C(=O)OH、−NH2、−SH、−NHR、−NR2、−SR、−SO3H、−SO2R、−S(=O)R、−CN、−OH、−C(=O)OR、−C(=O)NR2、−NRC(=O)R及び−NRC(=O)−OR(ここで、Rは独立に水素又はC1-6アルキルである)から選択される一つ又はそれ以上の基で置換され;そして
2、R3、R4及びR5は、独立に水素、C1-6アルキル及びC3-6シクロアルキルから選択され、ここで、該C1-6アルキル及びC3-6シクロアルキルは、場合により−R、−NO2、−OR、−Cl、−Br、−I、−F、−CF3、−C(=O)R、−C(=O)OH、−NH2、−SH、−NHR、−NR2、−SR、−SO3H、−SO2R、−S(=O)R、−CN、−OH、−C(=O)OR、−C(=O)NR2、−NRC(=O)R及び−NRC(=O)−OR(ここで、Rは独立に水素又はC1-6アルキルである)から選択される一つ又はそれ以上の基で置換される]
の化合物、医薬として許容されるその塩、そのジアスレテオマー類、エナンチオマー類、又はそれらの混合物。
【請求項2】
1はフェニル、ピリジル、チエニル、フリル、イミダゾリル、トリアゾリル、ピロリル、チアゾリル及びN−オキシド−ピリジルから選択され、ここで、R1は、場合によりC1-6アルキル、ハロゲン化C1-6アルキル、−NO2、−CF3、C1-6アルコキシ、塩素、フッ素、臭素及びヨウ素から選択される一つ又はそれ以上の基で置換され;
2、R3及びR4は、独立にC1-3アルキル又はハロゲン化C1-3アルキルであり;
5は、水素、C1-6アルキル及びC3-6シクロアルキルから選択され、ここで、該C1-6アルキル及びC3-6シクロアルキルは、場合によりC1-6アルキル、ハロゲン化C1-6アル
キル、−NO2、−CF3、C1-6アルコキシ、塩素、フッ素、臭素及びヨウ素から選択される一つ又はそれ以上の基で置換される;
請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
1はフェニル、ピリジル、チエニル、フリル、イミダゾリル、ピロリル及びチアゾリルから選択され、ここで、R1は、場合によりC1-6アルキル、ハロゲン化C1-6アルキル、−NO2、−CF3、C1-6アルコキシ、塩素、フッ素、臭素及びヨウ素から選択される一つ又はそれ以上の基で置換され;
2、R3及びR4は、独立に、C1-3アルキル又はハロゲン化C1-3アルキルであり;そして
5は水素である;
請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
1は、フェニル、ピリジル、チエニル、フリル、イミダゾリル、ピロリル及びチアゾリルから選択され;
2及びR3はエチルであり;
4はC1-3アルキルであり;そして
5は水素である;
請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
N,N−ジエチル−4−{{3−[(メチルスルホニル)アミノ]フェニル}[1−(チエン−2−イルメチル)ピペリジン−4−イリデン]メチル}ベンズアミド;
N,N−ジエチル−4−[[1−(2−フラニルメチル)−4−ピペリジニリデン][3−[(メチルスルホニル)アミノ]フェニル]メチル]−ベンズアミド;
N,N−ジエチル−4−[[1−(フェニルメチル)−4−ピペリジニリデン][3−[(メチルスルホニル)アミノ]フェニル]メチル]−ベンズアミド;
N,N−ジエチル−4−[[3−[(メチルスルホニル)アミノ]フェニル][1−(3−ピリジニルメチル)−4−ピペリジニリデン] メチル]−ベンズアミド;
N,N−ジエチル−4−[[3−[(メチルスルホニル)アミノ]フェニル][1−(3−チアゾリル−メチル)−4−ピペリジニリデン] メチル]−ベンズアミド;
から選択される 請求項1に記載の化合物、及び医薬として許容されるその塩類。
【請求項6】
薬物として使用するための、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
疼痛、不安又は機能性胃腸障害の治療のための薬物の製造における、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項8】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物及び医薬として許容される担体を含む医薬組成物。
【請求項9】
疼痛の治療を必要とする温血動物に請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物の治療的有効量を投与することを含む、温血動物における疼痛の治療方法。
【請求項10】
機能性胃腸障害の治療を必要とする温血動物に請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物の治療的有効量を投与することを含む、温血動物における機能性胃腸障害の治療方法。
【請求項11】
式II:
【化2】

の化合物を、X−S(=O)2−R4又はR4S(=O)2−O−S(=O)24と反応させることを含む、式I:
【化3】

の化合物の製造法。
上記式中、
XはCl、Br及びIから選ばれ;
1は、C6-10アリール及びC2-6ヘテロアリールから選択され、ここで、該C6-10アリール及びC2-6ヘテロアリールは、場合により−R、−NO2、−OR、−Cl、−Br、−I、−F、−CF3、−C(=O)R、−C(=O)OH、−NH2、−SH、−NHR、−NR2、−SR、−SO3H、−SO2R、−S(=O)R、−CN、−OH、−C(=O)OR、−C(=O)NR2、−NRC(=O)R及び−NRC(=O)−OR(ここで、Rは独立に水素又はC1-6アルキルである)から選択される一つ又はそれ以上の基で置換され;そして
2、R3、R4及びR5は、水素、C1-6アルキル及びC3-6シクロアルキルから独立に選択され、ここで、該C1-6アルキル及びC3-6シクロアルキルは、場合により−R、−NO2、−OR、−Cl、−Br、−I、−F、−CF3、−C(=O)R、−C(=O)OH、−NH2、−SH、−NHR、−NR2、−SR、−SO3H、−SO2R、−S(=O)R、−CN、−OH、−C(=O)OR、−C(=O)NR2、−NRC(=O)R及び−NRC(=O)−OR(ここで、Rは独立に水素又はC1-6アルキルである)から選択される一つ又はそれ以上の基で置換される。

【公表番号】特表2006−515352(P2006−515352A)
【公表日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−500189(P2006−500189)
【出願日】平成16年1月13日(2004.1.13)
【国際出願番号】PCT/GB2004/000061
【国際公開番号】WO2004/063193
【国際公開日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(391008951)アストラゼネカ・アクチエボラーグ (625)
【氏名又は名称原語表記】ASTRAZENECA AKTIEBOLAG
【Fターム(参考)】