説明

発光ダイオード

【課題】ITO層に対する電流拡散の効率を高め、輝度及び発光性能を向上させた発光ダイオード、発光装置を提供する。
【解決手段】基板側からN型半導体層、活性層、P型半導体層およびITO層が順次積層した少なくとも一つの発光セルを有する発光ダイオードであって、前記ITO層は、底部が前記P型半導体層に達する接点溝と、前記接点溝に充填された接点接続部と、を有し、前記P型半導体層は前記接点部の底部に、前記P型半導体層と前記接点接続部との間の電流の流れを遮断する電流遮断層を有することを特徴とするITO層を有する発光ダイオードを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極層として透明なITO層を有する発光ダイオード、発光装置及びその製造
方法に関し、より詳しくは、ITO層に対する電流拡散の効率を高め、輝度及び発光性能
を向上させた発光ダイオード及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオードは、N型半導体とP型半導体が互いに接合された構造を有する光電変換半
導体素子であって、電子と正孔の再結合により光を発散するように構成される。一例とし
て、このような発光ダイオードとしては、窒化ガリウム(GaN)系発光ダイオードが公
知されている。窒化ガリウム系発光ダイオードは、例えば、サファイアまたはシリコン等
からなる基板上において、GaN系からなるN型半導体層、活性層(または発光層)、及
びP型半導体層が順次に形成された発光セルを備える。
【0003】
一般に、発光セルは、P型半導体層からN型半導体層までエッチングが行われ、N型半導
体層の一部が外部に露出するように形成され、外部に露出したN型半導体層の上面とP型
半導体層の上面には、電流印加のための電極構造または電気接点構造が形成される。
【0004】
特に、P型半導体層の上方は、光が放出される発光領域をなすので、光の放出を阻害しな
い透明電極層が要求される。このような透明電極層としては、電気的特性に優れたNi/
Au層が用いられている。しかしながら、Ni/Au層は、優れた電気的特性にもかかわ
らず、可視光線に対する透過性が極めて低く、発光ダイオードの発光効率を落とすという
問題点を引き起こす。
【0005】
これに対して、従来は、Ni/Au層の代わりに、オーム接触の形成のためのトンネル構
造が採用されたITO(インジウムスズ酸化物)層をP型半導体層上の透明電極層として
用いる技術が提案されている。ITO層は、可視光線に対する透過率が90%以上と、極
めて優れるという長所を有する。しかし、ITO層は、既存のNi/Au層に比べて電気
的な特性が劣るという点で、これに対する改善が要求されており、特に、配線の一端部ま
たは接点パッドのような接点接続部とITO層との間の電流特性を向上させるための多く
の研究が当該技術の分野において行われてきた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した発光ダイオードにおいて、発光セルのそれぞれの光出射面に形成された透明電極
層の光透過性及び電流特性の向上に対する深い考慮が要求され、これにより、本発明では
、透明電極層として光透過性に優れたITO層を用いるが、そのITO層の問題点として
指摘されてきた電流特性を改善した発光ダイオードを提案する。
したがって、本発明の目的は、P型半導体層上のITO層に対する電流拡散の効率を高め
ることにより、輝度及び発光性能が大きく向上した発光ダイオード及びその製造方法を提
供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面により、基板上に、N型半導体層、活性層、及びP型半導体層を有する少
なくとも一つの発光セルが形成された発光ダイオードの製造方法が提供される。前記発光
ダイオードの製造方法は、(a)前記P型半導体層の上面にITO層を有する少なくとも
一つの発光セルを形成するステップと、(b)前記ITO層に配線連結のための接点溝を
ドライエッチングにより形成するステップと、(c)配線連結のために、前記接点溝に
導電性材料からなる接点接続部を充填するステップと、を含む。
【0008】
好ましくは、前記ステップ(b)は、不活性ガスを前記ITO層に衝突させ、そのITO
層の一部をエッチングするドライエッチング工程からなるが、前記ドライエッチングによ
り露出した前記P型半導体層の表面に不活性ガスを衝突させ、電流遮断層を形成すること
をさらに含む。
また、前記ステップ(c)以前に、前記N型半導体層の一部を接点領域として露出させ、
前記接点領域上にN型接点パッドを形成することをさらに含むことが好ましい。
【0009】
本発明の一実施例による発光ダイオードの製造方法であって、前記ステップ(c)におい
て、前記接点溝内に充填される前記接点接続部は、下側の一部が前記接点溝の内側におい
て前記ITO層の内側面と接しており、上側の一部が前記接点溝の外側において前記IT
O層の上部の表面と接しているP型接点パッドであってもよい。
【0010】
また、本発明の他の実施例による発光ダイオードの製造方法であって、前記少なくとも一
つの発光セルは、互いに離隔して形成された複数の発光セルであり、前記ステップ(a)
は、前記発光セルのそれぞれのN型半導体層の一部を、N型接点パッドの形成のための接
点領域として露出させることをさらに含んでもよい。
好ましくは、前記ステップ(c)は、蒸着またはメッキ方式により、導電性材料層からな
る配線を、互いに隣接した発光セル間の電気的連結のために形成することを含むが、前記
接点接続部は、前記導電性材料層の一部として形成される。この際、前記ステップ(b)
は、(b−1)前記ステップ(a)で形成された発光セルを全体的に覆う透明絶縁層を、
前記基板上に形成するステップと、(b−2)前記配線が連結される部分を露出させるた
めに、前記透明絶縁層をパターニングエッチングするが、前記透明絶縁層のパターニング
エッチングにより、前記ITO層の前記接点溝を一緒に形成するステップと、を含むこと
が好ましい。
【0011】
より好ましくは、前記ステップ(c)は、(c1)前記透明絶縁層が形成された発光セル
と前記基板を全体的に覆うように、導電性材料層を蒸着またはメッキ方式で形成するステ
ップと、(c2)前記発光セルの接点溝から、これと隣接した他の発光セルの前記N型接
点パッド上に延長される導電性材料層を、前記配線として残し、残りの導電性材料層をエ
ッチング除去するステップと、を含む。
【0012】
本発明の他の側面により、基板と、前記基板上に形成され、N型半導体層、活性層、及び
P型半導体層を順次に有し、前記P型半導体層の上面にはITO層が形成される少なくと
も一つの発光セルと、配線の連結のために、前記ITO層に所定の深さで形成される接点
溝と、前記配線の一端において前記接点溝に充填される接点接続部と、を備えるITO層
を有する発光ダイオードが提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、接点接続部、すなわち、配線の一端部または配線の一端のP型接点パッドがI
TO層に形成された接点溝の内側面と接する構造により、ITO層の発光面積を減らさな
くても、P型半導体層上のITO層に対する電流拡散の効率を高め、これにより、輝度及
び発光性能が大きく向上した発光ダイオードを具現することができる。
【0014】
接点接続部としてP型接点パッドを有する本発明の一実施例による発光ダイオードにおい
て、前記P型接点パッドが、ITO層の上面と、そのITO層の接点溝の内側面に同時に
接することができ、これは、前記ITO層とP型接点パッドとの間の接触面積をより拡張
させ、ITO層に対する電流拡散の効率をより高めるのに寄与する。
【0015】
例えば、交流電源により動作される交流駆動型発光ダイオードのように、複数の発光セル
を有する本発明の他の実施例による発光ダイオードにおいて、配線が蒸着またはメッキで
形成された導電性材料層からなり、配線短絡等が防止され、この際、接点接続部が導電性
材料層の一部からなったまま、ITO層の接点溝の内側面と接することにより、ITO層
に対する電流拡散の効率を高めることができる。
【0016】
また、本発明の実施例により、P型半導体層が接点接続部が接する位置に、ドライエッチ
ング工程中に電流特性が変化して形成された電流遮断層を有してもよく、この電流遮断層
は、P型半導体層に電流が直接流れることを完全に遮断し、ITO層への電流拡散の効率
をより高めるのに大きく寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施例による発光ダイオードを示す断面図である。
【図2】図1に示した発光ダイオードの製造方法を説明するための断面図である。
【図3】図1に示した発光ダイオードの製造方法を説明するための断面図である。
【図4】図1に示した発光ダイオードの製造方法を説明するための断面図である。
【図5】図1に示した発光ダイオードの製造方法を説明するための断面図である。
【図6】図1に示した発光ダイオードの製造方法を説明するための断面図である。
【図7】図1に示した発光ダイオードの製造方法を説明するための断面図である。
【図8】図1に示した発光ダイオードの製造方法を説明するための断面図である。
【図9】図1に示した発光ダイオードの製造方法を説明するための断面図である。
【図10】本発明の第2の実施例による発光ダイオードを示す断面図である。
【図11】図10に示した発光ダイオードの製造方法を説明するための断面図である。
【図12】図10に示した発光ダイオードの製造方法を説明するための断面図である。
【図13】図10に示した発光ダイオードの製造方法を説明するための断面図である。
【図14】図10に示した発光ダイオードの製造方法を説明するための断面図である。
【図15】図10に示した発光ダイオードの製造方法を説明するための断面図である。
【図16】図10に示した発光ダイオードの製造方法を説明するための断面図である。
【図17】本発明の実施例によりドライエッチングで形成された接点溝と、比較例としてウェットエッチングで形成された接点溝との実際の写真を示す図である。
【図18】本発明の実施例によりドライエッチングで形成された接点溝と、比較例としてウェットエッチングで形成された接点溝との実際の写真を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付した図面に基づき、本発明の実施例について詳述する。以下に紹介される実施
例は、本発明の思想を当業者に充分伝達するために、例として提供されるものである。し
たがって、本発明は、後述する実施例に限定されず、他の形態に具体化され得る。なお、
図面において、構成要素の幅、長さ、厚さ等は、便宜のために誇張して表現されることも
ある。明細書の全体にわたって、同一の参照番号は、同一の構成要素を示す。
【0019】
図1は、本発明の第1の実施例による発光ダイオードを示す断面図である。本発明の第1
の実施例による発光ダイオード1は、交流電源により動作するように構成された交流駆動
型発光ダイオードである。交流電源により動作する従来の交流駆動型発光ダイオードとし
ては、国際公開番号WO2004/023568(A1)号に「発光要素を有する発光装
置」(LIGHT-EMITTING DEVICE HAVING LIGHT-EMITTING ELEMENTS)という題目で、サカイ
等(Sakai et. al.)により開示されたことがある。
【0020】
図1を参照すると、本実施例による発光ダイオード1は、ベースをなす基板100と、複
数の発光セル200とを備える。前記基板100は、絶縁または導電性の基板からなって
もよく、本実施例では、サファイア基板が用いられるが、炭化ケイ素(SiC)等のよう
な他の基板が用いられてもよい。
【0021】
また、基板100と発光セル200との間には、発光セル200の下層と基板100との
間の格子不整合を緩和させるためのバッファ層120が介在されてもよい。本実施例にお
けるように、前記基板100がサファイアのように絶縁性である場合、前記バッファ層1
20は、導電性物質で形成されてもよい。この場合、前記バッファ層120は、発光セル
200を電気的に分離させるために、各発光セル200に対応して互いに離隔する。一方
、前記基板100が伝導性であるものと仮定すると、前記バッファ層120は、基板10
0と発光セル200を電気的に絶縁させるために、絶縁物質または半絶縁物質で形成され
るが、例えば、AlN、GaN等の窒化物がバッファ層120として多用されている。
【0022】
上述のように、前記基板100上には、複数の発光セル200が形成される。前記複数の
発光セル200のそれぞれは、N型半導体層220、活性層240、及びP型半導体層2
60が連続的に積層された構造をなす。図示のように、活性層240は、上述したメサの
形成により、N型半導体層220の一部領域上に限定的に形成され、前記活性層240上
には、P型半導体層260が形成される。したがって、前記N型半導体層220の上部の
一部領域は、活性層240と接合されており、上面の残りの一部領域は、上述したP型半
導体層260及び活性層240の部分的な除去により外部に露出される。
【0023】
本発明の実施例において、発光セル200のそれぞれのP型半導体層260及びN型半導
体層220には、発光ダイオード1に対する電流印加のための電極構造がそれぞれ設けら
れる。特に、P型半導体層260上の電極構造は、光透過性と電気的特性に対する慎重
な考慮が要求される。前記P型半導体層260の上面には、上述した光透過性と電気的特
性が考慮されたインジウムスズ酸化物からなるITO層290が透明電極層として形成さ
れ、本明細書では、用語の「発光セル」を、上述したN型半導体層220、活性層240
、及びP型半導体層260と一緒にITO層290を含む意味として定義する。
【0024】
各発光セル200の構成要素をより具体的に説明すると、N型半導体層220は、Al
InGa1−x−yN(0≦x、y、x+y≦1)で形成されてもよく、N型クラッド
層を有してもよい。また、P型半導体層260は、P型AlInGa1−x−yN(
0≦x、y、x+y≦1)で形成されてもよく、P型クラッド層を有してもよい。前記N
型半導体層220は、シリコン(Si)をドープして形成してもよく、P型半導体層26
0は、亜鉛(Zn)またはマグネシウム(Mg)をドープして形成してもよい。
【0025】
また、活性層240は、電子及び正孔が再結合する領域であり、InGaNを有してなる
。前記活性層240をなす物質の種類により、発光セルから抽出される発光波長が決定さ
れる。前記活性層240は、量子井戸層とバリア層が繰り返して形成された多層膜であっ
てもよい。前記量子井戸層とバリア層は、一般式AlInGa1−x−yN(0≦x
、y、x+y≦1)で表れる2元または4元化合物半導体層であってもよい。
【0026】
また、上述したITO層290は、90%以上の高い可視光線透過率を有し、各発光セル
200の発光効率、さらには、発光ダイオード1の発光効率の向上に寄与する。この際、
前記ITO層290がN型であるという点で、P型半導体層260との間でオーム接触が
形成されないこともあり得るが、ITO層290とP型半導体層260との間にオーム接
触を形成するためのトンネル構造を採用すると、両層間のオーム接触がよく形成され得る
。図示されてはいないが、前記トンネル構造は、P型半導体層260とITO層290と
の間にインジウム(In)またはN型ドーパントをデルタドープ方式で介在して形成され
てもよい。
【0027】
図1の拡大図に示すように、前記ITO層290の上面には、配線400の一端部を連結
するための接点溝294が形成される。前記接点溝294は、ドライエッチング工程によ
り所定の深さで形成されるものであり、導電性材料層からなる配線400の一端部が充填
される。前記接点溝294は、ITO層290の発光面積の縮小を最小化するとともに、
ITO層290と配線400との間の接触面積を拡張させることにより、配線400を介
したITO層290への電流拡散の効率を高めるものであって、以下の説明によりさらに
確実に理解されるだろう。この際、前記接点溝294内に充填される配線の一端部は、配
線400とITO層290を電気的に連結させる部分に該当されるので、本実施例の説明
では、「接点接続部402」として定義する。
【0028】
本発明の実施例により、前記接点溝294は、ITO層290からP型半導体層260の
表面まで延長されている。また、前記接点溝294には、例えば、メッキまたは蒸着方式
で形成される配線400の一端の接点接続部402が充填される。また、接点溝294内
に充填された接点接続部402は、前記接点溝294の形成により露出するP型半導体層
260の表面と接しており、側面側には、接点溝294の内側のITO層290と接して
いるようになる。この際、前記配線400がメッキまたは蒸着方式で一体形成される導電
性材料層のみからなるが、前記配線を発光セルの上方に浮いているエアブリッジ配線とす
る場合、前記接点溝294に充填される接点接続部402は、P型の接点パッド(または
電極パッド)であってもよい。
【0029】
前記配線400は、自体の接点接続部402が発光セル200の接点溝294に充填され
たまま、その他端部が隣接した他の発光セル200のN型半導体層220上の接点領域に
連結される。前記接点領域には、配線400と直接接合されるN型の接点パッド222
が形成されている。
【0030】
また、前記配線400は、透明絶縁層410により発光セル200の表面に対して電気的
に絶縁されている。前記透明絶縁層410は、半導体層220、240、260及びIT
O層290を有する発光セル200の表面を全体的に覆うように形成されるものであり、
その少なくとも一部は、配線400と発光セル200との間の電気絶縁のために、その両
部分間に位置する。また、前記透明電極層410は、配線400が連結される両部分、す
なわち、上述した接点溝294の上方とN型接点パッド222の上方にそれぞれ開口部4
12、414が設けられている。本実施例では、前記透明絶縁層410として酸化ケイ素
膜(SiO)を用いるが、これは、本発明を限定するものではなく、任意の異なる透明
な絶縁性物質により形成されてもよい。
【0031】
一方、前記P型半導体層260は、前記接点溝294の底部に電流遮断層262をさらに
有してもよい。この電流遮断層262は、前記配線400の接点接続部402と接するP
型半導体層260の制限された領域に形成される。前記電流遮断層262は、上述した接
点溝294の形成のためのドライエッチングによる衝撃により、P型半導体層260の一
部の電気的特性が変化することにより形成される。また、前記電流遮断層262は、配線
400の一端部とP型半導体層260との間の電流を遮断する役割をし、ITO層290
へのより幅の広い電流拡散が可能となる。
【0032】
上述した構成により、本実施例による発光ダイオード1は、ITO層290の発光面積を
大きく減らさなくても、配線400とITO層290との間の接触面積が増加され得る。
特に、前記配線400の一部である接点接続部402がITO層290の接点溝294の
内面に接し、その接点溝294の内面がITO層290への電流拡散が容易な位置である
ので、前記接点溝294と配線400との連結構造により、配線400からITO層29
0への電流拡散の効率はさらに高めることができる。
【0033】
さらに、本実施例による交流駆動型発光ダイオード1は、上述した配線400及び透明絶
縁層410を覆うことができる絶縁保護膜420をさらに有してもよい。この絶縁保護膜
420は、配線400が水分により汚染されることを防止し、外圧により配線400が損
傷することを防止する。
【0034】
以下、図2乃至図9を参照して、本発明の一実施例による発光ダイオードの製造方法を説
明する。図2を参照すると、先ず、基板100上にバッファ層120を形成し、前記バッ
ファ層120上にN型半導体層220、活性層240、及びP型半導体層260を順次に
形成する。前記バッファ層120及び半導体層220、240、260は、有機金属化学
気相蒸着法(MOCVD)、分子線エピタキシー法(MBE)、またはハイドライド気相
成長法(HVPE)等を用いて形成されてもよい。また、前記半導体層220、240、
260は、同一の工程チェンバにて連続的に形成されてもよい。
【0035】
この際、前記バッファ層120は、AlNまたは半絶縁GaN層のような絶縁性物質膜で
形成されてもよいが、場合に応じて、導電性物質膜、例えば、N型GaN層またはアンド
ープGaN層で形成されてもよい。すなわち、前記基板100がサファイアのような絶縁
性基板である場合、前記バッファ層は、導電性物質膜で形成されてもよい。
【0036】
図3を参照すると、前記P型半導体層260上にITO層290が形成される。前記IT
O層290の形成前に、ITO層290とP型半導体層260との間のオーム接触の形成
のために、略5〜50Åのデルタドープ層からなるトンネル構造を形成する工程が行われ
てもよい。また、前記ITO層290の形成は、後述するメサ形成工程後に行われても
よい。
【0037】
図4を参照すると、メサ形成工程により、複数の発光セル220が基板100上に形成さ
れる。この工程は、露光を用いるエッチング方式により行われるものであり、N型半導体
層220、活性層240、P型半導体層260、及びITO層290を有する複数の発光
セル200を、基板100上にて互いに離隔して形成させ、また、P型半導体層260及
び活性層240の一部が除去され、N型半導体層220の上面の一部が上方に露出した領
域、すなわち、接点領域が形成される。
【0038】
図5を参照すると、前記N型半導体層220の接点領域には、N型接点パッド222が形
成される。その後、発光セル200を有する基板100に透明絶縁層410が蒸着方式で
形成される。前記透明絶縁層410は、発光セル200の側壁及び上部面を覆い、その発
光セル200間の基板100を全体的に覆う。したがって、上述したITO層290と接
点パッド222も、前記透明絶縁層410により覆われる。前記透明絶縁層410は、化
学気相蒸着法(CVD)を用いて、例えば、酸化ケイ素膜で形成されてもよい。この際、
前記透明絶縁層410が発光セル200の側面まで容易に覆うために、上述したメサ形成
工程において、発光セル200の側面を傾斜して形成することが好ましい。
【0039】
図6を参照すると、前記透明絶縁層410上に感光膜511を塗布し、配線連結のための
開口部が形成される部分の感光膜を除去し、エッチングする部分を定義する工程が行われ
る。その後、図6及び図7に示すように、透明絶縁層410に第1及び第2の開口部41
2、414を形成し、その第1の開口部412と連通する接点溝294をITO層290
に形成するためのパターニングドライエッチング工程が行われる。本実施例でのドライエ
ッチング工程は、不活性ガスであるArをエッチングの表面に衝突させ、物理的に透明
絶縁層410及びITO層290の一部を剥ぎ取る方式で行われる。この際、前記ドライ
エッチングにより形成される接点溝294は、その深さがP型半導体層260の表面に達
するように定められる。
【0040】
また、接点溝294がP型半導体層260の表面に達するように、ITO層290がエッ
チングされた後、上述したドライエッチング工程を持続すると、電流遮断層262がP型
半導体層260の表面に形成される。この電流遮断層262は、上述したArがP型半
導体層260の表面に衝突し、その衝突したP型半導体層260の表面の一部の電気的性
質が変化して形成されるものである。
【0041】
その後、図8及び図9に示すような配線連結工程が行われる。配線連結のためには、先ず
、蒸着方式またはメッキ方式により、透明絶縁層410が形成された発光セル200及び
その発光セル200間の基板を覆う導電性材料層400aを図8に示すように形成する。
その後、発光セル200から光が出射される領域を隠さないように、その領域に相応する
導電性材料層400aの一部を除去すると、図9に示すような導電性材料層の構造の配線
400が形成される。
【0042】
したがって、前記配線400は、自身の一端部、すなわち、接点接続部402が透明絶縁
層410の第1の開口部412を経てITO層290上の接点溝294に充填され、これ
から延長された他端部は、前記第2の開口部414を経てN型半導体層220上のN型接
点パッド222に連結される。本実施例の配線連結工程とは異なり、導電性材料層を除去
する工程無しにも、配線400を図9のような形態で形成することができるが、これは、
透明絶縁層410の形成の感光膜を用いて、配線が形成される領域を予め定義することに
より具現され得る。上記した工程が完了した後、配線400及び透明絶縁層410を覆う
絶縁保護膜420を形成してもよく、絶縁保護膜420が形成された発光ダイオード1は
、図1によく示されている。
【0043】
上述のように、本発明の実施例による発光ダイオード1は、配線400の一端部が、IT
O層290の接点溝294の内面と幅広く接することにより、配線400とITO層29
0との間の接触面積は大きく拡張する。また、配線400がP型半導体層260と接する
が、その接する部分にて電流遮断層262がP型半導体層に流れる電流を遮断するので、
ITO層290への電流拡散の効率をさらに高めることができる。
【0044】
以下では、本発明の第2の実施例による発光ダイオードについて説明する。この第2の実
施例による発光ダイオードを説明するにおいて、上述した第1の実施例の構成要素と同一
の機能を有する構成要素については、同一の図面符号を使用し、上述した第1の実施例と
重複する説明は、発明の要旨を明らかにするために省略する。
【0045】
図10は、本発明の第2の実施例による発光ダイオードを示す断面図である。図10に示
すように、本実施例による発光ダイオード1は、ベースをなす基板100と、その上に形
成される一つの発光セル200とを備える。上述した実施例と同様に、前記発光セル20
0は、N型半導体層220、活性層240、及びP型半導体層260が連続的に積層され
た構造をなし、活性層240は、上述したメサの形成により、N型半導体層220の一部
領域上に限定的に形成され、前記活性層240上には、P型半導体層260が形成される
。したがって、前記N型半導体層220は、一部領域が活性層240と接合されており、
残りの領域がN型接点パッド222の形成のための接点領域として露出される。また、P
型半導体層260上には、ITO層290が形成される。
【0046】
本実施例により、前記ITO層290の上面には、配線(図示せず)と連結される接点接
続部として、P型接点パッド402'が設けられる。前記P型接点パッド402'は、ワイ
ヤボンディングにより、配線の一端に連結される部分であり、上述した実施例において、
配線の一部からなる接点接続部402(図1参照)と同様に、ITO層290の接点溝2
92に充填され、配線をITO層290に連結させる部分である。
【0047】
本実施例によるP型接点パッド402'とITO層290の連結構造は、後述するように
、ITO層290の発光面積の縮小を最小化するとともに、ITO層290とP型接点パ
ッド402'との間の接触面積を拡張させ、特に、P型接点パッド402'からITO層2
90への電流拡散の効率を高めることができるようになる。このため、ITO層290の
上面、特に、P型接点パッド402'が形成される位置には、接点溝292が形成される

【0048】
上述した実施例と同様に、前記接点溝292は、ITO層290からP型半導体層260
の表面まで延長される。また、前記接点溝292には、例えば、メッキまたは蒸着方式に
より、P型接点パッド402'の一部が充填される。また、前記接点溝292内に充填さ
れたP型接点パッド402'は、その上側の一部が前記接点溝292の外側のP型半導体
層260の上面と接しており、その下側の一部は、前記接点溝292の内側にてITO層
290の内側面と接している。
【0049】
このような構造により、本実施例による発光ダイオードは、ITO層290の発光面積を
大きく減らさなくても、P型接点パッド402'とITO層290との間の接触面積を増
加させることができ、さらには、P型接点パッド402'がITO層290の上面及び接
点溝292の内側面と同時に接する構造により、ITO層290に対する電流拡散の効率
をさらに高めることができる。
【0050】
上述した実施例と同様に、本実施例によるP型半導体層260も、電流遮断層262を
有する。この電流遮断層262は、上述したP型接点パッド402'と接するP型半導体
層260の制限された領域に形成される。前記電流遮断層262は、上述した実施例にお
いて説明したように、接点溝292の形成のためのドライエッチング中にP型半導体層2
60の一部の電気的特性が変化することにより形成される。
【0051】
以下、図11乃至図16を参照して、上述した発光ダイオードの製造方法を説明する。
図11を参照すると、先ず、基板100上にバッファ層120を形成し、前記バッファ層
120上にN型半導体層220、活性層240、及びP型半導体層260を順次に形成す
る。その後、上述したP型半導体層260の上面に図12に示すようなITO層290が
形成される。
【0052】
図13乃至図15を参照すると、前記ITO層290にP型接点パッドが充填される接点
溝292が形成される。本実施例では、接点溝292を先ず形成し、その後、N型半導体
層220の一部を露出させるメサ形成工程が行われるが、メサ形成工程後に接点溝を形成
してもよい。
【0053】
先ず、接点溝292が形成される位置を限定するように、感光膜511をITO層290
の上面に塗布した後、ドライエッチングにより、ITO層290からP型半導体層260
の表面に達する接点溝292を形成する。上述したドライエッチング工程を持続すると、
図15に示すような電流遮断層262が、P型半導体層260の表面に形成される。この
電流遮断層262は、上述したArがP型半導体層260の表面に衝突し、その衝突し
たP型半導体層260の表面の一部の電気的性質が変化して形成されるものであり、これ
は、上述した実施例において既に説明されている。
【0054】
その後、N型接点パッドが形成される位置を設けるためのメサ形成工程が行われる。前記
工程は、前記N型接点パッドが形成される位置に相応するように、ITO層290、P型
半導体層260、及び活性層240を部分的にエッチングし、N型半導体層220の一部
を、図16のような形態で露出させる工程からなる。その後、メッキまたは蒸着方式によ
り、N型接点パッド222及びP型接点パッド402'を形成する工程が行われる。図1
0に示すように、N型接点パッド222及びP型接点パッド402'は、それぞれITO
層290の上面及びN型半導体層220の接点領域上に形成され、その形成順序は、製造
者により選択され得るものであり、本発明を限定するものではない。
【0055】
本発明の好適な実施例により、前記P型接点パッド402'は、前記接点溝292に充填
される下部と前記接点溝292を覆うように、前記下部よりも大きなサイズで形成された
上部を有する。前記P型接点パッド402'の下部がITO層290の接点溝292の内
側面に接し、前記P型接点パッド402'の上部がITO層290の上面に接することに
より、P型接点パッド402'とITO層290との間の接触面積は大きく拡張される。
【0056】
一方、上述した接点溝292の形成のためのドライエッチング工程は、電流遮断層262
を形成する役割以外に、接点溝292の内側面の感光膜を確実に除去する役割をする。ウ
ェットエッチング工程が、エッチングの表面に多数の感光膜の残渣を残すものとは異なり
、ドライエッチング工程は、感光膜の残渣を確実に除去することができる。
【0057】
ITO層290の接点溝の内側面に残留する感光膜の残渣は、エッチング後の除去が極め
て困難であり、感光膜の残渣が残留した接点溝292内に接点パッドまたは配線の一端部
が充填される場合、前記感光膜の残渣は、配線及び/又はP型接点パッドからITO層2
90への正常的な電流拡散を防止し、発光ダイオードの輝度を大きく低下させることが
できる。
【0058】
図17及び図18は、それぞれドライエッチング工程で形成された接点溝と、ウェットエ
ッチング工程で形成された接点溝とを比較するための写真であり、図18のように、ウェ
ットエッチング工程により形成された接点溝の周縁に、多数の感光膜の残渣が残留するこ
とが確認されたのに対して、図17のように、ドライエッチング工程により形成された接
点溝内には、感光膜の残渣が殆ど残留しないことが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、透明電極層として光透過性に優れたITO層を用いる発光ダイオードにおいて
、前記ITO層の問題点として指摘されてきた電流特性を改善し、輝度及び発光性能が向
上した発光ダイオードを具現することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板側からN型半導体層、活性層、P型半導体層およびITO層が順次積層した少なくとも一つの発光セルを有する発光ダイオードであって、
前記ITO層は、底部が前記P型半導体層に達する接点溝と、前記接点溝に充填された接点接続部と、を有し、
前記P型半導体層は前記接点部の底部に、前記P型半導体層と前記接点接続部との間の電流の流れを遮断する電流遮断層を有することを特徴とするITO層を有する発光ダイオード。
【請求項2】
前記電流遮断層は、不活性ガスを用いた前記ITO層のドライエッチング過程において、前記不活性ガスとの衝突により形成されたものであることを特徴とする請求項1に記載のITO層を有する発光ダイオード。
【請求項3】
前記接点接続部は、下側の一部が前記接点溝の内側において前記ITO層の内側面と接しており、上側の一部が前記接点溝の外側において前記ITO層の上部表面と接しているP型接点パッドであることを特徴とする請求項1に記載のITO層を有する発光ダイオード。
【請求項4】
前記少なくとも一つの発光セルは、互いに離隔して形成された複数の発光セルであり、前記N型半導体層の一部には、N型接点パッドが形成されたことを特徴とする請求項1に記載のITO層を有する発光ダイオード。
【請求項5】
前記接点溝と前記N型接点パッドを連結する配線をさらに備えるが、前記配線は、互いに隣接した発光セル間の電気的連結のために、蒸着またはメッキ方式で形成された導電性材料層からなり、前記接点接続部は、前記導電性材料層の一部分であることを特徴とする請求項4に記載のITO層を有する発光ダイオード。
【請求項6】
前記導電性材料層と各発光セルの表面との電気絶縁のために、前記発光セルと前記導電性材料層との間に形成された透明絶縁層をさらに備えることを特徴とする請求項5に記載のITO層を有する発光ダイオード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−187998(P2011−187998A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145172(P2011−145172)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【分割の表示】特願2008−549410(P2008−549410)の分割
【原出願日】平成18年12月8日(2006.12.8)
【出願人】(506029004)ソウル オプト デバイス カンパニー リミテッド (101)
【Fターム(参考)】