説明

発光モジュールおよび照明装置

【課題】基板に対する封止部材の接着強度が向上し、封止部材の剥離を抑制できる発光モジュールおよび照明装置を得ることにある。
【解決手段】発光モジュールは、基板、発光素子および封止部材を備えている。前記発光素子は、前記基板に実装されている。前記封止部材は、蛍光体粒子を含む透光性の樹脂を主成分とするとともに前記基板から盛り上がった形状を有している。さらに、前記封止部材は、前記発光素子を覆う主部と、前記主部の周囲で前記基板に接した外周部とを有し、前記封止部材の前記外周部では、前記蛍光体粒子の含有率が前記主部よりも低く抑えられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、基板の上に実装された発光素子を、蛍光体粒子を含む樹脂製の封止部材で覆った発光モジュールおよび前記発光モジュールを光源として用いた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
COB(chip on board)型の発光モジュールは、照明装置の光源として広く用いられている。この種の発光モジュールは、基板の上に実装された複数の発光ダイオードを備えている。発光ダイオードは、互いに間隔を存して配列されているとともに、個々に透光性を有する封止部材で封止されている。
【0003】
封止部材は、蛍光体粒子を含有した樹脂を主成分とする材料で構成されている。封止部材は、例えばディスペンサーを用いて基板に滴下するとともに、滴下後に加熱することで硬化される。これにより、封止部材が基板からドーム状に盛り上がった形状に維持され、基板上の発光ダイオードを大気中の酸素あるいは湿気等から保護している。
【0004】
封止部材に含まれる蛍光体粒子は、発光ダイオードが発する光により励起されて、発光ダイオードが発する光と補色の関係にある色の光を発する。この結果、発光ダイオードが発する光と蛍光体粒子が発する光とが封止部材の内部で互いに混じり合って白色光となり、この白色光が照明用途に供される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平5−299702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
蛍光体粒子は、封止部材の主成分となる樹脂中に略均等に分散されている。
【0007】
しかしながら、蛍光体粒子はそれ自体が接着性を欠いているため、蛍光体粒子が封止部材と基板との間の境界に介在されると、基板に対する封止部材の接着性が蛍光体粒子によって阻害されるのを否めない。
【0008】
この結果、封止部材の接着強度が不足気味となり、封止部材の剥離を招く一つの要因となる。
【0009】
本発明の目的は、基板に対する封止部材の接着強度が向上する発光モジュールおよび照明装置を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
実施形態によれば、発光モジュールは、基板、発光素子および封止部材を備えている。前記発光素子は、前記基板に実装されている。前記封止部材は、蛍光体粒子を含む透光性の樹脂を主成分とするとともに前記基板から盛り上がった形状を有している。さらに、前記封止部材は、前記発光素子を覆う主部と、前記主部の周囲で前記基板に接した外周部とを有し、前記封止部材の前記外周部では、前記蛍光体粒子の含有率が前記主部よりも低く抑えられている。
【発明の効果】
【0011】
実施形態によれば、基板に対する封止部材の接着強度が向上し、封止部材の剥離を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態に係る照明装置の斜視図。
【図2】実施形態に係る照明装置の平面図。
【図3】図2のF3−F3線に沿う断面図。
【図4】実施形態に係る発光モジュールの平面図。
【図5】図4のF5の箇所を拡大して示す発光モジュールの平面図。
【図6】図5のF6−F6線に沿う断面図。
【図7】第1ないし第3の発光ダイオードが実装された実装パッドと封止部材との位置関係を示す断面図。
【図8】封止部材の構成を模式的に示す封止部材の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施形態について図1ないし図8を参照して説明する。
【0014】
図1ないし図3は、全般照明用のベースライト1を示している。ベースライト1は、例えば屋内で使用する照明装置の一例であって、建物の天井面Cに直付けされている。
【0015】
ベースライト1は、装置本体2、一対のセード3、光源4および点灯装置5を備えている。装置本体2は、シャーシ6、センターカバー7、第1のサイドカバー8aおよび第2のサイドカバー8bで構成されている。
【0016】
シャーシ6は、例えば亜鉛めっき鋼板のような板金材で形成されており、天井面Cに沿って延びる細長い形状を有している。シャーシ6は、固定部10と一対の光源支持部11a,11bとを含んでいる。
【0017】
固定部10は、略フラットな板状であり、例えば建物の天井を構成する要素に複数のねじで固定されている。光源支持部11a,11bは、固定部10を間に挟んで互いに平行に配置されている。光源支持部11a,11bは、夫々平坦な支持面12を有している。支持面12は、固定部10よりも下方に張り出すとともに、シャーシ6の長手方向に真っ直ぐに延びている。
【0018】
センターカバー7は、シャーシ6の固定部10に支持されている。センターカバー7は、光源支持部11a,11bの間からシャーシの下方に向けてV形に突出されている。
【0019】
第1のサイドカバー8aは、シャーシ6の長手方向に沿う一端およびセンターカバー7の長手方向に沿う一端を連続して覆っている。第2のサイドカバー8bは、シャーシ6の長手方向に沿う他端およびセンターカバー7の長手方向に沿う他端を連続して覆っている。
【0020】
セード3は、例えばアクリル樹脂あるいはポリカーボネート樹脂のような透光性を有する樹脂材料で構成されている。セード3は、シャーシ6の長手方向に真っ直ぐに延びている。
【0021】
図3に示すように、セード3は、シャーシ6の光源支持部11a,11bに向けて開口された開口部13を有している。開口部13は、シャーシ6の長手方向に延びるスリット状である。一対の保持溝14a,14bが開口部13の縁に形成されている。保持溝14a,14bは、セード3の全長に亘って延びている。保持溝14a,14bの開口端は、シャーシ6の幅方向に互いに間隔を存して向かい合っている。
【0022】
さらに、セード3は、複数のブラケットを介してシャーシ6に取り付けられている。セード3をシャーシ6に取り付けた状態では、シャーシ6の光源支持部11a,11bが下方からセード3で覆われている。
【0023】
図2に示すように、光源4は、第1ないし第6の発光モジュール20a,20b,20c,20d,20e,20fを備えている。第1ないし第6の発光モジュール20a,20b,20c,20d,20e,20fは、光源支持部11a,11bの長手方向に延びる細長い形状を有している。
【0024】
本実施形態によると、第1ないし第3の発光モジュール20a,20b,20cは、一方のセード3の保持溝14a,14bに保持されて、一方の光源支持部11aの長手方向に沿うように一列に並んでいる。同様に、第4ないし第6の発光モジュール20d,20e,20fは、他方のセード3の保持溝14a,14bに保持されて、他方の光源支持部11bの長手方向に沿うように一列に並んでいる。
【0025】
したがって、第1ないし第6の発光モジュール20a,20b,20c,20d,20e,20fは、セード3と一体化されているとともに、セード3で覆われている。さらに、第1ないし第6の発光モジュール20a,20b,20c,20d,20e,20fは、電気的に直列に接続されている。
【0026】
点灯装置5は、第1ないし第6の発光モジュール20a,20b,20c,20d,20e,20fの点灯を制御するためのものであり、交流電源から出力される交流を直流に変換して第1ないし第6の発光モジュール20a,20b,20c,20d,20e,20fに供給する。点灯装置5は、シャーシ6の固定部10に支持されているとともに、センターカバー7で覆われている。
【0027】
第1ないし第6の発光モジュール20a,20b,20c,20d,20e,20fは、基本的に共通の構成を有している。このため、本実施形態では、第1の発光モジュール20aを代表して説明する。
【0028】
図4ないし図6に示すように、第1の発光モジュール20aは、基板21を備えている。基板21は、ベース22、金属層23およびレジスト層24を有する三層構造である。ベース22は、例えばエポキシ樹脂あるいはガラスコンポジット基板のような合成樹脂製であり、シャーシ6の長手方向に延びる細長い形状を有している。
【0029】
金属層23は、例えば銅箔で構成されているとともに、ベース22の裏面22aに積層されている。レジスト層24は、例えば合成樹脂のような絶縁材料で構成されている。レジスト層24は、金属層23およびベース22の裏面22aの外周部に連続して積層されている。金属層23およびレジスト層24は、基板21の反りを防止するため、互いに協働して基板21を補強している。
【0030】
基板21は、長手方向に延びる一対の側縁21a,21bを有している。基板21の側縁21a,21bは、セード3の長手方向に沿う一端からセード3の保持溝14a,14bに差し込まれている。この差し込みにより、基板21がセード3に保持されているとともに、基板21のレジスト層24が光源支持部11aの支持面12に接している。
【0031】
図5ないし図7に示すように、複数の導体パターン26および絶縁層27がベース22の表面22bの上に積層されている。導体パターン26は、基板21の幅方向に間隔を存して二列に並べられているとともに、各列毎に基板21の長手方向に互いに離れている。
【0032】
各導体パターン26は、実装パッド28、第1の配線パッド29および第2の配線パッド30を有している。実装パッド28は、例えば第1ないし第3の金属層C、N、Sを組み合わせた三層構造を採用している。
【0033】
具体的には、第1の金属層Cは、ベース22の表面22bに積層された銅箔にエッチングを施すことにより形成されている。第2の金属層Nは、第1の金属層Cの上に積層されている。第2の金属層Nは、第1の金属層Cにニッケルめっきを施すことにより形成されている。第3の金属層Sは、第2の金属層Nの上に積層されている。第3の金属層Sは、第2の金属層Nに銀めっきを施すことにより形成されている。第3の金属層Sは、実装パッド28の表層を構成している。
【0034】
このため、実装パッド28の表面は、銀製の光反射面31となっている。光反射面31の全光線反射率は、例えば90%以上とすることが望ましい。
【0035】
図7に示すように、本実施形態の実装パッド28は、略楕円形であって、導体パターン26が配列された方向に延びる長軸L1を有している。実装パッド28は、円弧状に湾曲された外周縁33と、一対の凹部34a,34bとを含んでいる。凹部34a,34bは、実装パッド28の外周縁33を前記長軸L1が通る実装パッド28の中心O1に向けて円弧状に切り欠いたような形状を有し、実装パッド28の長軸L1と直交する方向に沿って並んでいる。
【0036】
言い換えると、凹部34a,34bは、実装パッド28の中心O1を間に挟んで互いに向かい合っている。このため、実装パッド28は、その中心O1を含む中央部28aが括れているとともに、実装パッド28の実質的な表面積が少なく抑えられている。
【0037】
第1および第2の配線パッド29,30は、実装パッド28よりも遥かに小さな楕円形であって、互いに同じ大きさを有している。第1および第2の配線パッド29,30は、実装パッド28と同様に第1ないし第3の金属層C、N、Sを有する三層構造であり、夫々の表層が銀により形成されている。
【0038】
第1および第2の配線パッド29,30は、実装パッド28の凹部34a,34bに入り込むようにベース22の表面22bに形成されている。すなわち、第1および第2の配線パッド29,30は、実装パッド28の中心O1に対し実装パッド28の長軸L1と直交する方向に振り分けられており、長軸L1を基準として互いに対称に配置されている。
【0039】
さらに、第1および第2の配線パッド29,30は、実装パッド28の凹部34a,34bから離れており、実装パッド28に対し電気的に絶縁された状態に保たれている。したがって、実装パッド28の凹部34a,34bは、第1および第2の配線パッド29,30を避けるように切り欠かれているということができる。
【0040】
図6に示すように、絶縁層27は、ベース22の表面22bに積層されている。絶縁層27は、ベース22の表面22bのうち実装パッド28、第1の配線パッド29および第2の配線パッド30を外れた領域を覆っている。したがって、実装パッド28の表層、第1の配線パッド29の表層および第2の配線パッド30の表層は、夫々絶縁層27で覆われることなく基板21の表面側に露出されている。
【0041】
絶縁層27の一部は、実装パッド28の凹部34a,34bに充填されて、実装パッド28と第1の配線パッド29との間、および実装パッド28と第2の配線パッド30との間に介在されている。さらに、絶縁層27は、実装パッド28の表層、第1の配線パッド29の表層および第2の配線パッド30の表層よりも基板21の厚さ方向に張り出している。
【0042】
本実施形態によると、絶縁層27は、例えば電気絶縁性を有する白色の樹脂材料で構成されている。そのため、絶縁層27は、光反射層としての機能を兼ね備えている。
【0043】
図7に示すように、第1ないし第3の発光ダイオード36a,36b,36cが実装パッド28の光反射面31の上に実装されている。第1ないし第3の発光ダイオード36a,36b,36cは、夫々発光素子の一例であって、例えば青色の光を発する共通のベアチップで構成されている。ベアチップは、平面的に見た時の形状が長方形であり、例えば長辺の長さが600〜650μm、短辺の長さが200〜250μmである。
【0044】
さらに、各ベアチップは、アノードとしての第1の電極37と、カソードとしての第2の電極38とを有している。第1および第2の電極37,38は、ベアチップの長手方向に間隔を存して並んでいる。
【0045】
第1ないし第3の発光ダイオード36a,36b,36cは、夫々透光性を有するダイボンド材39を用いて光反射面31に接着されている。本実施形態によると、第1ないし第3の発光ダイオード36a,36b,36cは、実装パット28の中央部28aで実装パッド28の長軸L1の方向に間隔を存して並んでいるとともに、長軸L1に対し千鳥状に配列されている。
【0046】
具体的には、第1の発光ダイオード36aおよび第3の発光ダイオード36cは、長軸L1よりも第1の配線パッド29の方向にずれている。第2の発光ダイオード36bは、長軸L1よりも第2の配線パッド30の方向にずれている。
【0047】
したがって、図7に二点鎖線で示すように、第1ないし第3の発光ダイオード36a,36b,36cは、丁度三角形の三つの角に対応するような位置に配列されて、実装パッド28の中央部28aで実装パッド28の中心O1を取り囲んでいる。
【0048】
第1ないし第3の発光ダイオード36a,36b,36cの第1の電極37は、個々に第1のボンディングワイヤー41を介して第1の配線パッド29に電気的に接続されている。同様に、第1ないし第3の発光ダイオード36a,36b,36cの第2の電極38は、個々に第2のボンディングワイヤー42を介して第2の配線パッド30に電気的に接続されている。
【0049】
この結果、各実装パッド28に接着された第1ないし第3の発光ダイオード36a,36b,36cは、互いに並列に接続されたダイオード群43を構成している。実装パッド28上のダイオード群43は、導体パターン26の配列方向に沿って直列に接続されて、基板21の上に導体パターン26に対応する二列のダイオード列を構成している。
【0050】
さらに、本実施形態によると、ダイオード群43は、装置本体2のシャーシ6を介して接地されている。
【0051】
図4ないし図7に示すように、複数の封止部材45が基板21に形成されている。封止部材45は、導体パターン26に対応するように基板21の幅方向に間隔を存して二列に並べられているとともに、各列毎に基板21の長手方向に互いに離れている。
【0052】
封止部材45は、実装パッド28に接着されたダイオード群43、ダイオード群43に対応する第1および第2のボンディングワイヤー41,42を基板21の上に封止するための要素である。図8に模式的に示すように、封止部材45は、樹脂45aを主成分とするとともに、樹脂45aの中に混ぜられた所定量の蛍光体粒子46および所定量のフィラー47を含んでいる。
【0053】
樹脂45aとしては、例えば透光性を有するレジン系シリコーン樹脂又はハイブリット系シリコーン樹脂を用いることが好ましい。レジン系シリコーン樹脂およびハイブリット系シリコーン樹脂は、三次元的に架橋された組織を有するので、透光性のシリコーンゴムよりも硬い。
【0054】
さらに、レジン系シリコーン樹脂は、シリコーンオイルやシリコーンゴムと比較して酸素や水蒸気のようなガスが透過する性能が低い。本実施形態の場合、樹脂45aの酸素透過率が1200cm(m・day・atm)以下であり、水蒸気透過率が35g/m以下である。
【0055】
この種の樹脂45aを選択することで、大気中のガスが封止部材45を透過することを要因とする実装パッド28の劣化を防止することができ、光反射面31の光反射性能を良好に維持できる。
【0056】
蛍光体粒子46は、その径Dが1μm以上であるとともに、樹脂45aの中に略均等に分散されている。蛍光体粒子46としては、ベアチップが発する青色の光により励起されて黄色の光を発する黄色蛍光体粒子を用いている。
【0057】
樹脂45aに混ぜる蛍光体粒子46は、黄色蛍光体粒子に限らない。例えば、ベアチップが発する光の演色性を改善するために、青色の光で励起されて赤色の光を発する赤色蛍光体粒子あるいは緑色の光を発する緑色蛍光体粒子を樹脂45aに添加するようにしてもよい。
【0058】
封止部材45は、実装パッド28、実装パッド28に対応する第1および第2の配線パッド29,30、実装パッド28の上のダイオード群43、ダイオード群43と第1および第2の配線パッド29,30との間に跨る第1および第2のボンディングワイヤー41,42を一体的に包み込むように基板21の絶縁層27から盛り上がっている。
【0059】
封止部材45は、樹脂45aが硬化する前の液状の状態で実装パッド28に向けて滴下される。封止部材45を滴下する際には、ディスペンサーを用いることが望ましい。実装パッド28に向けて滴下された封止部材45は、例えば150℃の温度で60分加熱することによりドーム状の形態に硬化される。
【0060】
本実施形態の封止部材45によると、その主成分となる樹脂45aは、実装パッド28に向けて滴下された直後の未硬化の状態でも予め決められた形状を維持し得るような物性を有している。樹脂45aの物性とは、チクソ性、粘性および硬度等のことを指している。
【0061】
すなわち、図6に示すように、封止部材45は、実装パッド28に滴下された直後の未硬化の段階でも、実装パッド28、第1および第2の配線パッド29,30、ダイオード群43、第1および第2のボンディングワイヤー41,42を連続して覆うような偏平なドーム形状を維持するようになっている。
【0062】
図5および図7に平面的に示すように、ドーム状の封止部材45は、実装パッド28の長軸L1を共有する略楕円形であって、基板21の長手方向に間隔を存して並んでいる。封止部材45は、実装パッド28から盛り上がった主部50と、主部50を取り囲む外周部51とを含んでいる。
【0063】
主部50は、実装パッド28の中心O1を通って基板21の厚さ方向に延びる基準線X1に対し略同軸となるように設けられている。主部50は、ダイオード群43、第1および第2のボンディングワイヤー41,42を覆った状態で、実装パッド28、第1および第2の配線パッド29,30、絶縁層27の表面に連続して接着されている。
【0064】
主部50は、球面状の外表面50aを有している。外表面50aは、曲率が大きな円弧を描いて湾曲されている。外表面50aの頂部50bは、基準線X1の上に位置されている。頂部50bから第1ないし第3の発光ダイオード36a,36b,36cのベアチップまでの高さHは、角度色差を抑制するため1.0mm以上とすることが望ましい。
【0065】
封止部材45の外周部51は、楕円形の封止部材45の外形状を規定するように主部50を取り囲んでいる。外周部51は、ダイオード群43の周囲に位置されているとともに、例えば実装パターン28の外周部から絶縁層27の表面に跨って接着されている。
【0066】
外周部51は、外表面51aを有している。外周部51の外表面51aは、主部50の外表面50aに対し段差を有することなく滑らかに連続されている。それとともに、外周部51の外表面51aは、主部50の外表面50aが描く円弧とは逆向きの円弧を描いて湾曲されている。
【0067】
そのため、封止部材45の外周部51は、ダイオード群43から遠ざかるに従い肉厚Tが急激に薄くなって、絶縁層27の表面に沿うようにフレア状に広がっている。この結果、封止部材45の長軸L1の方向に沿う外径D1は、実装パッド28の長軸L1の方向に沿う外径D2よりも大きく、実装パッド28および第1および第2の配線パッド29,30が封止部材45から食み出ることはない。
【0068】
さらに、本実施形態によると、封止部材45の外周部51のうち、例えば主部50に連続する境界部分の肉厚Tは、蛍光体粒子46の径Dよりも小さくなっている。このため、チクソ性を有する樹脂45aが硬化するまでの過程において、樹脂45aに含まれる蛍光体粒子46の大部分は、封止部材45の主部50に止まる。
【0069】
言い換えると、主部50に分散された蛍光体粒子46が主部50から外周部51に移動しようとしても、樹脂45aのチクソ性ならびに粘性が蛍光体粒子46の自由な移動を制限する。この結果、樹脂45aの中の蛍光体粒子46は、主部50と外周部51との間の境界部分で塞き止められる。したがって、封止部材45の外周部51では、主部50に比べて樹脂45aの中に分散された蛍光体粒子46の含有率が限りなく低く抑えられている。
【0070】
よって、本実施形態によると、封止部材45の外周部51に蛍光体粒子46は存在せず、それ故、外周部51の多く領域がフィラー47を含む樹脂45aにより構成されている。
【0071】
このようなベースライト1では、ベースライト1の電源スイッチがONされると、直流電圧が点灯装置5から第1ないし第6の発光モジュール20a,20b,20c,20d,20e,20fの導体パターン26に印加される。これにより、複数の実装パッド28に実装されたダイオード群43が一斉に発光する。
【0072】
ダイオード群43のベアチップが発する青色の光は、封止部材45に入射される。封止部材45に入射された青色の光の一部は、蛍光体粒子46に吸収される。残りの青色の光は、蛍光体粒子46に吸収されることなく封止部材45を透過する。
【0073】
青色の光を吸収した蛍光体粒子46は、励起されて補色の関係にある黄色の光を発する。黄色の光は、封止部材45を透過する。これにより、黄色の光および青色の光が封止部材45の内部で互いに混じり合って白色光となる。白色光は、封止部材45およびセード3を透過してベースライト1の外に放射され、天井面Cから室内を照明する用途に供される。
【0074】
第1の実施形態によると、実装パッド28、第1および第2の配線パッド29,30、ダイオード群43、第1および第2のボンディングワイヤー41,42を基板21の上に封止する封止部材45は、絶縁層27の表面に沿うようにフレア状に広がる外周部51を有している。
【0075】
封止部材45の外周部51では、接着性を欠く蛍光体粒子46が樹脂45aの中に分散されておらず、外周部51の形状を定める樹脂45aが絶縁層27の表面に接着されている。
【0076】
このため、封止部材45の外周部51においては、封止部材45と絶縁層27の表面との間の境界部分に蛍光体粒子46が介在されておらず、基板21に対する封止部材45の接着性が蛍光体粒子46によって阻害されずに済む。
【0077】
この際、絶縁層27が例えばシリコーン樹脂のような封止部材45の主成分となる樹脂45aと同系統の素材で形成されていれば、絶縁層27と樹脂45aの馴染みが良好となり、絶縁層27と樹脂45aとの接着性がより一層高まる。
【0078】
よって、封止部材45の接着強度を充分に確保することができ、封止部材45の剥離やがたつきを抑制できる。
【0079】
本実施形態では、蛍光体粒子46が存在しない封止部材45の外周部51が絶縁層27の表面から実装パターン28の外周部に跨っているので、封止部材45と実装パターン28との間の境界部分の接着性を確保する上で好ましいものとなる。
【0080】
しかも、蛍光体粒子46は、基板21に滴下された未硬化の封止部材45が硬化するまでの過程で、ひとりでに封止部材45の外周部51を規定する樹脂45aから排除される。このため、封止部材45の外周部51に格別な処理や後加工を施す必要はなく、封止部材45を形成する際の作業性が損なわれることはない。
【0081】
さらに、第1の実施形態によると、実装パッド28は、実装パッド28の中心O1に向けて円弧状に切り欠かれた凹部34a,34bを有するので、実装パッド28の中央部28aが括れた形状となっている。このため、光反射面31となる実装パッド28の実質的な表面積が少なく抑えられている。加えて、第1および第2のボンディングワイヤー41,42が接続された第1および第2の配線パッド29,30にしても、実装パッド28よりも遥かに小さな形状であり、第1および第2の配線パッド29,30の表面積が少なく抑えられている。
【0082】
この構成によれば、実装パッド28、第1および第2の配線パッド29,30の表面積が必要最小限となり、第1ないし第6の発光モジュール20a,20b,20c,20d,20e,20fの接地部分と、実装パッド28、第1および第2の配線パッド29,30を含む導体パターン26との間に余分な電荷が蓄積するのを防止できる。
【0083】
この結果、ベースライト1の電源スイッチがOFFされて第1ないし第6の発光モジュール20a,20b,20c,20d,20e,20fが消灯された際に、浮遊容量を要因とする微小電流が第1ないし第6の発光モジュール20a,20b,20c,20d,20e,20fのダイオード群43に流れ難くなる。
【0084】
したがって、ダイオード群43がうっすらと発光するベースライト1の誤動作を防止することができる。
【0085】
前記実施形態では、封止部材の外周部に蛍光体粒子が存在しないようにしているが、封止部材の構成はこの限りではない。例えば、封止部材の外周部を規定する樹脂中に、封止部材の接着性に悪影響を与えない程度の蛍光体粒子が含まれていてもよい。言い換えると、封止部材の外周部における蛍光体粒子の含有率は0に限らない。
【0086】
封止部材45の本体50の外表面50aの形状は、前記実施形態に特定されるものではない。例えば、図6に二点鎖線で示すように、本体50の外表面50aを前記実施形態よりも基板21から遠ざかる方向に突出させるとともに、前記実施形態よりも曲率が小さな円弧を描くように球面状に湾曲させてもよい。
【0087】
さらに、封止部材の平面的な形状は楕円に限定されるものではなく、例えば真円とすることも可能である。
【0088】
第1ないし第3の発光ダイオードは、実装パッドの中心を囲むように配列することに限らず、例えば実装パッドの長軸に沿うように互いに間隔を存して一列に並べたり、あるいは単一の発光ダイオードを実装パッドの中心に実装してもよい。そのため、発光ダイオードの数および配置に関する事項に特に制約はない。
【0089】
加えて、発光モジュールは天井に直付けするベースライト用の光源に限らず、例えば直管形蛍光ランプに置き換えて使用する直管形ランプの光源としても利用することができる。
【0090】
それとともに、照明装置にしても天井に直付けするベースライトに限定されるものではなく、例えば街路灯や誘導灯のようなその他の形態の照明装置であっても同様に実施可能である。
【0091】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0092】
2…装置本体、20a,20b,20c,20d,20e,20f…第1ないし第6の発光モジュール、21…基板、26…導体パターン、27…光反射層(絶縁層)、36a,36b,36c…発光素子(第1ないし第3の発光ダイオード)、41,42…ワイヤー(第1および第2のボンディングワイヤー)、45…封止部材、46…蛍光体粒子、50…主部、51…外周部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と;
前記基板に実装された発光素子と;
蛍光体粒子を含む透光性の樹脂を主成分とするとともに前記基板から盛り上がった形状を有する封止部材であって、封止部材は、前記発光素子を覆う主部と、前記主部の周囲で前記基板に接した外周部とを有し、前記外周部では前記蛍光体粒子の含有率が前記主部よりも低い発光モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の発光モジュールにおいて、前記封止部材の前記外周部は、前記発光素子の周囲に位置されているとともに、前記発光素子から遠ざかるに従い肉厚が薄くなるように前記基板に沿ってフレア状に広がる形状を有する発光モジュール。
【請求項3】
請求項2に記載の発光モジュールにおいて、前記封止部材の前記外周部の肉厚が前記蛍光体粒子の径よりも小さい発光モジュール。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の発光モジュールにおいて、前記基板は、ベースと、前記ベースの上に形成された導体パターンと、前記ベースに積層されるとともに前記導体パターンから外れた絶縁層と、を備え、前記封止部材の前記外周部が前記絶縁層の上に設けられた発光モジュール。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の発光モジュールにおいて、前記実装パッドは、前記配線パッドを避けるように切り欠かれた凹部を有する発光モジュール。
【請求項6】
請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の発光モジュールにおいて、前記封止部材は、前記基板の上に滴下された前記樹脂を硬化させることで構成されるとともに、前記樹脂は前記基板の上に滴下された未硬化の状態でも予め決められた形状を維持し得るチクソ性を有する発光モジュール。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の発光モジュールと;
前記発光モジュールを支持する装置本体と;を具備した照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−98389(P2013−98389A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240534(P2011−240534)
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】