説明

発光型複合布製品

【課題】低コストで所望の領域を略均一に発光させることのできる新規な発光型複合布製品を提供する。
【解決手段】光源と、前記光源からの光を端面から入射させて導光し、点在する拡散反射部により導光された光を射出させる導光シートと、前記導光シートの両面を覆うと共に、前記導光シートから射出される光を半透過させる布材と、を有する発光型複合布製品とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内又は室外で使用される発光型複合布製品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、カーテンやのれん等で、それ自体が発光するよう構成された室内外装飾用材が知られている。
【0003】
このようなものとして、光ファイバを編み込んで布地とし、蛍光体、有機色素、無機色素、着色剤等顔料を用いて絵や文字を形成し、光ファイバに光を通して布から光が出るようにした布や、この布を用いた室内外装飾材が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−37323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の室内外装飾材は、光ファイバを用いており、光はファイバ側面からは漏れ出ないため、側面から光を射出させるには側面加工が必要となり、工数増により高コストとなる問題がある。また、編み込んだ後での側面加工では、射出光を均一とするのが困難であり、編む際にファイバ表面を傷つけると、その部位から光が漏れ出し不均一に光るという問題がある。
【0006】
本発明は上記問題に鑑み、低コストで所望の領域を略均一に発光させることのできる新規な発光型複合布製品を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的は、下記の構成により達成される。
【0008】
(1)光源と、前記光源からの光を端面から入射させて導光し、点在する拡散反射部により導光された光を射出させる導光シートと、前記導光シートの両面を覆うと共に、前記導光シートから射出される光を半透過させる布材と、を有することを特徴とする発光型複合布製品。
【0009】
(2)前記導光シートが可撓性を有することを特徴とする前記(1)に記載の発光型複合布製品。
【0010】
(3)前記導光シートの両面にハードコートを施したことを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の発光型複合布製品。
【0011】
(4)前記導光シートの何れか一方の面と前記布材との間に反射シートを設けたことを特徴とする前記(1)から(3)までのいずれかに記載の発光型複合布製品。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、低コストで所望の領域を略均一に発光させることのできる新規な発光型複合布製品を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施の形態に係る発光型複合布製品の一例を示す図である。
【図2】図1に示す発光型複合布製品の要部を拡大した断面図である。
【図3】発光部の断面構成のその他の例を示す拡大図である。
【図4】本実施の形態に係る発光型複合布製品の他の例を示す図である。
【図5】本実施の形態に係る発光型複合布製品の他の例を示す図である。
【図6】本実施の形態に係る発光型複合布製品の他の例を示す図である。
【図7】図7に示す発光型複合布製品の短冊状の発光部の短辺方向の断面模式図である。
【図8】本実施の形態に係る発光型複合布製品の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施の形態により本発明を詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0015】
図1は、本実施の形態に係る発光型複合布製品1の一例を示す図である。図1(a)は発光部20の展開時の状態の斜視図、図1(b)は展開時の状態の側面図、図1(c)は発光部20の折りたたみ時の状態を示す斜視図である。
【0016】
図1に示す発光型複合布製品1はカーテン状のものであり、大別して、光源部を含んで構成された取り付け部10と、発光部20とで構成されている。
【0017】
取り付け部10は、壁面や窓枠等に取り付けられるようになっていると共に、光源部を内包している。発光部20は主として、光源部からの光を端面から入射させて導光する導光シートと、この導光シートの両面を覆う半透光性の布材とで構成されている。
【0018】
図1に示す発光型複合布製品1は、同図(a)に示す発光部20の展開された状態から、同図(c)に示す折りたたみ状態へは、取り付け部10に形成されたフック51に発光部20の端部に設けられた吊り環52を掛けることで行われる。
【0019】
図2は、図1に示す発光型複合布製品1の要部を拡大した断面図である。図2(a)は図1(b)に示すX部の拡大断面図であり、図2(b)は図1(b)に示すY部の拡大断面図である。
【0020】
図2(a)に示すように、取り付け部10の取り付け枠11の内側に、光源部カバー12が締結部材16により組み付けられている。
【0021】
光源部カバー12内にはLED13が、紙面表裏方向に複数個配置されている。発光部20の導光シート22は、その端面がLED13の発光部に対向するように配置され、締結部材15により光源部カバー12に固定されている。これにより、光源であるLED13からの光が入射する導光シート22の端面は、移動及び変形できないように固定される。締結部材15は、光源部カバー12の両側端部及び中央部の3点程度で固定することが好ましい。また、締結部材15の位置は、導光シート22に入射後のLED13からの光を遮らないよう、LED13の正面位置からは、ずらせて配置されていることが好ましい。また、接着や押圧挟持及び、これらと締結部材の併用であってもよい。
【0022】
図2(a)及び(b)に示す導光シート22は、可撓性を有する略透明のシートであり、LED13からの光が空気との境界面で全反射するよう表面が滑面で形成されている。また、導光シート22の一方の面には、印刷、成形等により形成された拡散反射部22aが点在している。この拡散反射部22aにより、導光シート22内部で全反射した光は拡散反射され、導光シート22の拡散反射部22aが形成された面に相対する面から多量の光が射出される。一方、拡散反射部22aが形成された面からも極少量の光が射出される。
【0023】
また、導光シート22の両面には、導光シート22から射出される光を半透過させる材料で形成された布材21、23が配置されている。布材21、23は、導光シート22全面を覆うように形成され、その側端部で縫合又は両面テープ等で合わされて袋状となされている。また、袋状に形成された布材21、23の開口部は、図2(a)に示すように、例えばネジの締結部材24により光源部カバー12に固定されている。なお、袋状に形成された布材21、23の開口部は、フックと環状部材で吊り下げるようにしてもよい。なお、布材21、23の開口部は取り付け枠11に固定又は吊り下げられていてもよい。このように、締結部材をユーザが取り外しできるように構成することで、布材をユーザの好みに応じて選択、交換できるようになる。
【0024】
本実施の形態に係る発光型複合布製品に用いられる布材21、23は、導光シート22から射出される光を半透過させるものである。本例でいう「半透過」とは、透過率が10〜70%程度をいう。また、用いられる布材21、23は、同じ透過率のものであってもよいし、異なる透過率のものであってもよい。
【0025】
導光シート22から、射出された光はこの布材21、23により、その透過率に応じた光量が外部へ射出されることになる。これによる光量減はあるが、この布材により射出される光は、より均一化されたものとなる。
【0026】
なお、導光シート22の両面は、ハードコート処理が施されていることが好ましい。ハードコートは例えば公知のSiO等を用いることができる。ハードコートを施すことで、導光シート22と布材21、23のこすれによる擦り傷を防止することができる。
【0027】
図3は、発光部20の断面構成のその他の例を示す拡大図である。図3(a)は導光シート22の両面に拡散反射部22aを形成したものであり、図3(b)は導光シート22と布材23との間に反射シート25を配置したものである。
【0028】
同図(a)に示すように、導光シート22の両面に拡散反射部22aを形成すれば、両面側に光を射出させるようにできる。また、同図(b)に示すように導光シート22と布材23との間に反射シート25を配置すれば、拡散反射部22aが形成された面側に射出される光を相対する面側に反射させ射出させるようにできる。
【0029】
すなわち、拡散反射部22aを形成する面、導光シート22と布材23との間に他のシート材の挿入の要否、布材21、23の透過率を、用途目的に応じ、適宜選択することで所望の各種の発光型複合布製品を得ることができる。
【0030】
図4は、本実施の形態に係る発光型複合布製品1の他の例を示す図である。
【0031】
図4に示す発光型複合布製品1は、図1に示す発光型複合布製品1を短冊状に複数枚並べ、のれん状に配置したものである。この発光型複合布製品1は、取り付けバー31により出入り口等の上に固定されるようになっていると共に光源部を内包している。光源部及び発光部の構成は図2に示すものと同様である。
【0032】
例えば、所望のパターンで、拡散反射部22aを導光シート22に点在させて形成し、射出される光で店舗名や文字、パターン等を表示させることもできる。
【0033】
図5は、本実施の形態に係る発光型複合布製品1の他の例を示す図である。図5(a)は発光部20の展開時の状態を示す斜視図、図5(b)は図5(a)に示すZ−Z線で切断した断面の拡大図である。
【0034】
図5に示す発光型複合布製品1は、ロールカーテン状のものである。図5(a)に示す取り付け部10には、発光部20を巻き取るための公知の巻き取り部が内包されており、不使用時には発光部20が取り付け部10内に収納されるようになっている。
【0035】
本例においては、発光部20が取り付け部10内に巻き取られるため光源の配置が上述の例とは異なり、発光部20の図示下端部に配置されている。
【0036】
図5(b)に示すように、発光部20の末端部には、光源部カバー12が締結部材26により導光シート22、布材21、23に固定されている。27はスペーサである。
【0037】
光源部カバー12内にはLED13が、紙面表裏方向に複数個配置されている。図2(a)と同様に、導光シート22は、その端面がLED13の発光部に対向するように配置されている。締結部材26は、光源部カバー12の両側端部及び中央部の3点程度で固定することが好ましい。また、締結部材26の位置は、導光シート22に入射後のLED13からの光を遮らないよう、LED13の正面位置からは、ずらせて配置されていることが好ましい。また、接着や押圧挟持及び、これらと締結部材の併用であってもよい。
【0038】
また、本例の場合、LED13への電力は、布材21、23で挟まれた導光シート22側面の隙間に導線を配置して供給してもよいし、導光シート22の面上に透明電極を形成して供給するよう構成してもよい。
【0039】
図6は、本実施の形態に係る発光型複合布製品1の他の例を示す図である。
【0040】
図6に示す発光型複合布製品1は、短冊状の発光部20を短辺方向に連設し、アコーディオンカーテン状に形成したものである。短冊状の個々は、図2(a)に示すような光源部カバー12及びその構造と、図2(b)に示すような発光部20の構成を有している。
【0041】
本例は、光源部カバー12に吊り環52が形成され、レール32に吊り下げられているものであり、短冊状の発光部20の連接部Aの柔軟性を利用して、略平坦面状及びジグザグ状にすることができるようになっている。なお、図示では6枚の短冊状の発光部20を連設した例を示しているが、2枚以上で構成されていればよい。
【0042】
図7は、図7に示す発光型複合布製品1の短冊状の発光部20の短辺方向の断面模式図である。図7(a)は連接部Aが布材で構成されたもの、図7(b)及び図7(c)は連接部Aが導光シート22で形成されたものを示している。
【0043】
同図(a)に示す連接部Aは、発光部20の短冊状の導光シート22を、分離して形成し、個々の導光シート22の間で布材21、23を縫合や両面テープによる接着により接合したものである。この場合には、導光シート22は可撓性を有していてもよいが、必須のものではない。
【0044】
また、同図(b)に示す連接部Aは、短冊状の導光シート22に一体で形成されたものである。図示の如く、LEDの光束を導く導光部をやや厚めに形成し、連接部Aをくびれた形状となるよう薄く形成したものである。この場合も、少なくとも連接部Aが可撓性を有していればよい。また、布材21、23は図示のように導光シート22の導光部のみを覆うように形成してもよいし、全面を覆うようにしてもよい。
【0045】
また、同図(c)に示す例は、導光シート22の全面を可撓性を有する厚さに形成したものである。また、布材21、23は図示のように導光シート22の導光部のみを覆うように形成してもよいし、全面を覆うようにしてもよい。
【0046】
図8は、本実施の形態に係る発光型複合布製品1の他の例を示す図である。
【0047】
図8に示す発光型複合布製品1は、図1に示す発光型複合布製品1の構成をそのままに、横にして使用するようにしたものである。図示の如く、発光部20の側端部に所定の間隔で吊り環52を組み付け、該吊り環52をレール32に貫通させたものである。このようにしても、発光部20を図示のような略平坦な状態と、発光部20を図示左方向にたたみ込んだ状態に変化させることができる。
【0048】
以上説明したように、光源からの光を端面から入射させて導光し、点在する拡散反射部により導光された光を射出させる導光シートと、半透光性を有する布材で導光シートの両面を覆った発光型複合布製品とすることにより、複雑な加工を必要とせず、低コストで所望の領域を略均一に発光させることのできる新規な発光型複合布製品を提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0049】
1 発光型複合布製品
10 取り付け部
11 取り付け枠
12 光源部カバー
13 LED
15 締結部材
16 締結部材
20 発光部
21 布材
22 導光シート
22a 拡散反射部
23 布材
24 締結部材
25 反射シート
26 締結部材
27 スペーサ
31 取り付けバー
32 レール
51 フック
52 吊り環
A 連接部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源からの光を端面から入射させて導光し、点在する拡散反射部により導光された光を射出させる導光シートと、
前記導光シートの両面を覆うと共に、前記導光シートから射出される光を半透過させる布材と、を有することを特徴とする発光型複合布製品。
【請求項2】
前記導光シートが可撓性を有することを特徴とする請求項1に記載の発光型複合布製品。
【請求項3】
前記導光シートの両面にハードコートを施したことを特徴とする請求項1又は2に記載の発光型複合布製品。
【請求項4】
前記導光シートの何れか一方の面と前記布材との間に反射シートを設けたことを特徴とする請求項1から3までのいずれか一項に記載の発光型複合布製品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−65927(P2012−65927A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−214602(P2010−214602)
【出願日】平成22年9月25日(2010.9.25)
【出願人】(303000408)コニカミノルタオプト株式会社 (3,255)
【Fターム(参考)】