説明

発光機能付きコンクリート二次製品

【課題】コストが低く、メンテナンスが容易で、盗難被害を回避でき、意匠景観上も好ましい発光機能付きコンクリート二次製品を提供する。
【解決手段】コンクリート二次製品1は、コンクリート11と、コンクリート11に埋設されるLED部12とを備えている。コンクリート11は、例えば、歩車道境界ブロックである。LED部12は、夜間等に点灯等するLEDと、太陽光を利用して電気エネルギーを発生する太陽電池と、太陽電池により発生する電気エネルギーを蓄電する蓄電部と、太陽電池により発生する電気エネルギーを蓄電部で蓄電するか、蓄電部で蓄電した電気エネルギーをLEDの発光に用いるかの判定を、外部の明るさを測定するセンサを用いて行う制御部と、それを収容するケースとを有している。以上の構成により、夜間等に発生する歩行者や車両の事故を防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート製縁石等のコンクリート二次製品に関する。
【背景技術】
【0002】
車道脇の縁石は、暗闇において車両の運転手から視認が困難な場合がある。その問題を解消するため、縁石のあるものには、車両のヘッドライトを反射する反射板が取り付けられている。
【0003】
反射板が取り付けられた縁石は、反射板の反射角度の誤差による視認タイミングの遅れ等により、なお車両の乗り上げ等の事故を招く可能性を有している。また、歩行者や自転車等にとっては、暗闇における反射板の表示域は皆無に等しい。
【0004】
従って、上述の反射板付きの縁石では、車両の事故の回避や交通弱者の保護を十分に確保することができない。
【0005】
そこで、特許文献1に開示される道路用発光装置等は、LED(Light Emitting Diode)を含んだ製品を縁石等に後付けすることによって、上述の問題を解決しようとしている。
【0006】
また、特許文献2に開示されるコンクリートブロックは、ブロック本体の内部に太陽電池パネルと蓄電手段とLEDとが配設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−1822号公報
【特許文献2】特開平6−118887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に提案されている後付けのLEDでは、後付けのコストが高い、簡易なネジ止め製品の盗難被害が絶えない、意匠景観上好ましくない等の問題がある。
【0009】
また、特許文献2に提案されているコンクリートブロックでは、各要素の配線が複雑となり、LEDがアルカリ性のコンクリートによる腐食に弱いことからも好ましくない等の問題がある。
【0010】
そこで、本発明は、コストが低く、メンテナンスが不要で、盗難被害を回避でき、意匠景観上も好ましい発光機能付きのコンクリート二次製品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記の課題に鑑みて想到されたものであり、
発電を行う発電部と、
前記発電部により発電された電気を蓄電する蓄電部と、
前記蓄電部から供給される電気により発光を行う発光部と、
前記発電部、前記蓄電部および前記発光部を外部に対し水密に収容したケースと、
前記ケースの少なくとも一部が埋没した状態で固化されたコンクリートと
を備え、
前記ケースは開閉不可能である
発光機能付きコンクリート二次製品を提供する(第1の実施態様)。
【0012】
また、上記の第1の実施態様において、
前記発電部は太陽電池である
構成を採用してもよい(第2の実施態様)。
【0013】
また、上記の第1の実施態様において、
前記発電部は振動力発電機構を備える
構成を採用してもよい(第3の実施態様)。
【0014】
また、上記の第1乃至3のいずれかの実施態様において、
前記発光部は発光ダイオードである
構成を採用してもよい(第4の実施態様)。
【0015】
また、上記の第1乃至4のいずれかの実施態様において、
外部の明るさを判定し、当該判定の結果に基づき前記蓄電部から前記発光部への電気の供給量を制御する制御部を備える
構成を採用してもよい(第5の実施態様)。
【0016】
また、上記の第1乃至5のいずれかの実施態様において、
前記コンクリート二次製品は、地先境界ブロック、歩車道境界ブロック、車道板、歩道板および車止めのうちのいずれかである
構成を採用してもよい(第6の実施態様)。
【発明の効果】
【0017】
本発明の第1の実施態様にかかるコンクリート二次製品によれば、コストが低く、メンテナンスが容易で、盗難被害を回避でき、意匠景観上も好ましい、発光機能を提供することができる。
【0018】
また、本発明の第2の実施態様にかかるコンクリート二次製品によれば、コストがより低く、またエコロジー等の観点から見ても優れた効果を得ることができる。
【0019】
また、本発明の第3の実施態様にかかるコンクリート二次製品によれば、やはりコストがより低く、またエコロジー等の観点から見ても優れた効果を得ることができる。
【0020】
また、本発明の第4の実施態様にかかるコンクリート二次製品によれば、やはりコストがより低く、またより小さい発光部により有効な効果を得ることができる。
【0021】
また、本発明の第5の実施態様にかかるコンクリート二次製品によれば、昼間等は太陽光を蓄電し、夜間等はLEDを発光させることができるので、効率的である。
【0022】
また、本発明の第6の実施態様にかかるコンクリート二次製品によれば、歩行者や車両が夜間に通行等する場合に、事故等を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】図1は、本発明の実施形態にかかるコンクリート二次製品の外観図である。
【図2】図2は、本発明の実施形態にかかるコンクリートの外略図である。
【図3】図3は、本発明の実施形態にかかるLED部の外観図である。
【図4】図4は、本発明の実施形態にかかるコンクリート二次製品のLED部の制御の流れを説明する図である。
【図5】図5は、本発明の実施形態の一変形例にかかるコンクリート二次製品の外観図である。
【図6】図6は、本発明の実施形態の一変形例にかかるコンクリート二次製品の一使用例を示す図である。
【図7】図7は、本発明の実施形態の一変形例にかかるコンクリート二次製品の外観図である。
【図8】図8は、本発明の実施形態にかかるコンクリート二次製品の使用方法の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(実施形態)
以下、本発明の一具体例である実施形態を、図面を用いて説明する。なお、本実施形態にかかるコンクリート二次製品1は、本発明を歩車道境界ブロックに適用したものである。
【0025】
図1は、コンクリート二次製品1の外観図である。
【0026】
コンクリート二次製品1は、コンクリート11と、コンクリート11に埋設されるLED部12とを備えている。
【0027】
コンクリート11は、例えば、図2に示されるような車歩道境界ブロックである。コンクリート11の底面は、例えば、長手方向の長さが60センチメートルであり短手方向の長さが25センチメートルの矩形状を有している。
【0028】
また、コンクリート11は、上述の長手方向に垂直な平面で切った断面が、例えば、上底の長さが18センチメートルであり、下底の長さが25センチメートルであり、高さが25センチメートルの略台形状を有する。当該上底の両端は、歩行者等がぶつかって怪我等をしないように曲率が設けられている。
【0029】
LED部12は、後述するように適宜点灯等するLED121と、太陽光を利用して電力を発生する太陽電池122と、太陽電池122により発生する電気エネルギーを蓄電する蓄電部123と、後述する制御部124と、それらを収容するケース125とを有している。
【0030】
なお、本実施形態においては、LED121が発光部を構成し、太陽電池122が発電部を構成する。なお、上述したように、LED121は発光ダイオードである。
【0031】
ケース125は、例えば、図3に示されるような10面体の形状を有している。LED部12は、コンクリート11に埋設された状態で、上から見た場合に、例えば、縦および横の長さが6センチメートルの正方形状を有し、高さが9センチメートルである。当該9センチメートルのうち、例えば4センチメートルがコンクリート11の上面から上方に突出している。
【0032】
ケース125は、例えば、上側の5つの面が透明な合成樹脂製であり、太陽光およびLED121が発生する光を透過することが可能である。
【0033】
ケース125は、LED121、太陽電池122、蓄電部123、制御部124等を、外部に対し水密に収容しており、少なくとも一部が固化したコンクリート11に埋没している。
【0034】
より具体的には、ケース125は、LED121等の要素を収容した状態で、上下に嵌め合わせるようにして例えば強接着性を有するシリコン系のシーリング剤で密封される。また、ケース125とコンクリート11との接する部分も、同様のシリコン系のシーリング剤で接着する。ケース125の上下の嵌め合わせ部分はコンクリート11に埋没されるため、コンクリート二次製品1においてケース125は開閉不可能である。
【0035】
LED121は、一つのLED部12に対して例えば4個設けられている。また、LED121は、後述する制御部124の制御に従って、昼間等の明るい場合には消灯し、夜間等の暗い場合には点灯もしくは点滅する。
【0036】
太陽電池122は、太陽光の持つ光エネルギーを電気エネルギーに変換し発電する。
【0037】
太陽電池122は、ケース125の内部において、例えば中央の部分に配置され、上側から照射される太陽光を受け易くなっている。
【0038】
蓄電部123は、例えば、太陽電池122が発電した電気エネルギーを蓄える電気二重層コンデンサである。
【0039】
制御部124は、後述するように、概ね太陽電池122により発生する電気エネルギーを蓄電部123で蓄電するか、蓄電部123で蓄電した電気エネルギーをLED121の発光に用いるかの判定を行う。ただし、太陽電池122により発生する電気エネルギーを蓄電部123で蓄電しつつLED121の発光に使用する場合や、太陽電池122により発生する電気エネルギーと蓄電部123で充電した電気エネルギーとを同時にLED121の発光に使用する場合もあり得る。
【0040】
具体的には、制御部124は、LED部12の上面の透明部分を透過してくる光の明暗の度合いから、上述の蓄電か発光のどちらを行うかを判定する。すなわち、制御部124は、制御部124が有するセンサによって外部の明るさを判定し、当該判定の結果に基づき蓄電部123からLED121への電気の供給量を制御する。これについては後述する。
【0041】
コンクリート二次製品1は、例えば、昼間は蓄電部123に蓄電を行い、夜間はLED121による発光を行うことが可能である。
【0042】
コンクリート二次製品1は、以上のような構成を有することにより、ワンパッケージのLED部12をコンクリート11に埋設することができ、コストが低く、メンテナンスが不要で、盗難被害を回避でき、意匠景観上も好ましい。
【0043】
図4は、LED部12の制御の流れを説明する図である。LED部12は、上述のように、制御部124の行う判定に従って、太陽電池122が発生する電気エネルギーを蓄電部123に蓄電するか、もしくは蓄電部123に蓄電されている電気エネルギーによってLED121を発光させる。
【0044】
制御部124は、制御部124が有するセンサによって測定される外部の明るさと、予め定められた複数の閾値との大小関係に応じて、以下のようにLED121の発光と太陽電池122が生成する電気エネルギーの蓄電部123による蓄電とを制御する。
【0045】
(1)センサにより測定される外部の明るさが第1の閾値未満の場合、すなわち非常に暗い場合、制御部124は蓄電部123に蓄電されている電気エネルギーのみによってLED121を発光させる。その際、蓄電部123による蓄電は行われない。
【0046】
(2)センサにより測定される外部の明るさが第1の閾値以上かつ第2の閾値未満(ただし、第1の閾値<第2の閾値)の場合、すなわち薄暗い場合、制御部124は蓄電部123に蓄電されている電気エネルギーと、太陽電池122により生成される電気エネルギーによってLED121を発光させる。その際、蓄電部123による蓄電は行われない。
【0047】
(3)センサにより測定される外部の明るさが第2の閾値以上かつ第3の閾値未満(ただし、第2の閾値<第3の閾値)の場合、すなわち薄明るい場合、制御部124は太陽電池122により生成される電気エネルギーによってLED121を発光させるとともに、余剰の電気エネルギーを蓄電部123に蓄電させる。
【0048】
(4)センサにより測定される外部の明るさが第3の閾値以上の場合、すなわち十分に明るい場合、制御部124はLED121を発光させず、太陽電池122により生成される電気エネルギーを蓄電部123に蓄電させる。
【0049】
上述した制御部124による制御により、外部の明るさに応じた適切なLED121の発光および蓄電部123による蓄電が行われる。なお、上述した(1)〜(4)の制御規則は一例であって、例えば太陽電池122の発光効率の良否に応じて(3)を設けないなど、様々に変更可能である。
【0050】
(変形例)
以下、本実施形態の変形例について、図面を用いて説明する。なお、当該説明においては、本実施形態との差異を中心に記述する。
【0051】
本変形例にかかるコンクリート二次製品1は、歩道板に適用される。本変形例においては、略平板形状のLED部12が略平板形状のコンクリート11に埋設されて、コンクリート二次製品1が構成される。
【0052】
図5は、本変形例にかかるコンクリート二次製品1の外観図である。
【0053】
コンクリート11は、路面上に配置された状態で上から見た場合に、例えば縦および横の長さが30センチメートルで、高さが6センチーメートルの略平板形状を有している。
【0054】
LED部12は、路面上に配置された状態で上から見た場合に、例えば縦および横の長さが8センチメートルで高さが4センチメートルの略平板形状を有している。
【0055】
LED部12がコンクリート11に埋設されることにより、コンクリート二次製品1は、例えば、図6のようにして使用される。コンクリート二次製品1がこのようにして使用されることにより、例えば、歩行者等が夜間に歩道を歩く際に便利である。
【0056】
上述した実施形態は、本発明の技術的思想の範囲内において様々に変形が可能である。
【0057】
例えば、本実施形態にかかるコンクリート二次製品1は、歩車道境界ブロックもしくは歩道板であるとしたが、これに限られず地先境界ブロック、車道板、歩道板、車止めであってもよく、さらに、いかなるコンクリートの二次製品に適用されてもよい。
【0058】
また、上述した、コンクリート二次製品1の各要素の形状、長さ、距離等はあくまでも一例であって、その他のものが用いられてもよい。
【0059】
したがって、LED部12は10面体の形状を有して一部がコンクリート11の上方に突出するものとしたが、LED部12が他の形状を有してもよいし、LED部12がコンクリート11の上方に突出せずに全体として上面が平らな状態になっていてもよい。
【0060】
また、例えば、図7に示されるような地先境界ブロック用もしくは歩車道境界ブロック用のコンクリート二次製品1が採用されてもよい。
【0061】
また、LED121は、上述の発光部を構成するその他のいかなる発光のための機構であってもよい。したがって、LED121は、例えば白熱電球や蛍光灯によって代替されてもよい。
【0062】
LED121は、一つのLED部12に対して例えば4個設けられているものとしたが、本発明はこれに限られるものではない。
【0063】
また、太陽電池122は、上述の発電部を構成するその他のいかなる発電のための機構であってもよい。したがって、太陽電池122は、例えばボタン電池によって代替されてもよい。
【0064】
また、車両の振動によるエネルギーを電気エネルギーとして蓄電部123に蓄電して、LED121を光らせ、進行方向を当該光により示したり、モニュメントとして利用したりしてもよい。そのためには、上述した発電部は、振動力発電機構を備えることが必要である。
【0065】
また、蓄電部123は、例えば電気二重層コンデンサであるとしたが、その他の蓄電することが可能ないかなる機構であってもよい。
【0066】
また、制御部124は、特に問題がなければ、設けられなくてもよい。
【0067】
また、一般に電装系はアルカリ腐食を受けやすいため、LED部12が有する電装系に対しアルカリの透過を防ぐコーティングを行ってもよい。例えば、ポリカーボネートのシート等で電装系を多重ラッピングすることが考えられる。ただし、本発明は、これに限定されるものではない。
【0068】
また、接着剤としてシリコン系のシーリング剤を用いるとしたが、それ以外のいかなる粘着性のシーリング剤がLED部12とコンクリート11との間の隙間を埋めるために用いられてもよい。また、特に問題がなければ、そのような接着剤もしくは物質は用いられなくてもよい。
【0069】
また、上述したように、コンクリート二次製品1は地先境界ブロック、歩車道境界ブロック、車道板、歩道板および車止めのうちのいずれかであることが好ましいが、本発明はこれに限られるものではない。したがって、コンクリート二次製品1は、例えば図8に示されるような照明付き看板の台座等に使用されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明にかかるコンクリート二次製品は、歩行者や車両が利用する様々な交通の現場等に配置されれば非常に便利であり、数多く生産販売されていわゆる生産業に貢献することが期待される。
【符号の説明】
【0071】
1…コンクリート二次製品、11…コンクリート、12…LED部、121…LED、122…太陽電池、123…蓄電部、124…制御部、125…ケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電を行う発電部と、
前記発電部により発電された電気を蓄電する蓄電部と、
前記蓄電部から供給される電気により発光を行う発光部と、
前記発電部、前記蓄電部および前記発光部を外部に対し水密に収容したケースと、
前記ケースの少なくとも一部が埋没した状態で固化されたコンクリートと
を備え、
前記ケースは開閉不可能である
発光機能付きコンクリート二次製品。
【請求項2】
前記発電部は太陽電池である
請求項1に記載の発光機能付きコンクリート二次製品。
【請求項3】
前記発電部は振動力発電機構を備える
請求項1に記載の発光機能付きコンクリート二次製品。
【請求項4】
前記発光部は発光ダイオードである
請求項1乃至3のいずれかに記載の発光機能付きコンクリート二次製品。
【請求項5】
外部の明るさを判定し、当該判定の結果に基づき前記蓄電部から前記発光部への電気の供給量を制御する制御部を備える
請求項1乃至4のいずれかに記載のコンクリート二次製品。
【請求項6】
地先境界ブロック、歩車道境界ブロック、車道板、歩道板および車止めのうちのいずれかである
請求項1乃至5のいずれかに記載のコンクリート二次製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−214361(P2011−214361A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−85727(P2010−85727)
【出願日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【出願人】(510092812)冨士建設工業有限会社 (1)
【Fターム(参考)】