説明

発光素子搭載用基板および発光装置

【課題】 発光素子とともにツェナーダイオード等の電子部品を搭載しても、輝度を低下させることのない発光素子搭載用基板、および発光装置を提供すること。
【解決手段】 本発明の発光素子搭載用基板によれば、基板1と、基板1の上面の発光素子5を搭載するための第1搭載部1aと、第1搭載部1aの周囲の少なくとも一部に形成された凹部2と、凹部2の底面の電子部品6を搭載するための第2搭載部2aとを備えたことから、第1搭載部1aに発光素子5を搭載して、第2搭載部2aにツェナーダイオード等の電子部品6を搭載した発光装置としても、発光素子5と同じ面上に発光素子5から放射された光を遮る電子部品6がないので、発光装置から放射される光が減少することを低減して、発光装置の光の輝度が低下することを抑制できる。また、発光装置から放射される光の輝度がばらつくことを抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED等の発光素子を搭載するための発光素子搭載用基板および発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、LED(Light Emitting Diode)等の発光素子を搭載するための発光素子搭載用基板は、絶縁基板と、絶縁基板の上面に設けられた搭載部と、搭載部およびその周辺から下面に導通された配線導体とから構成されている。そして、このような発光素子搭載用基板の、一方の配線導体に発光素子を導電性接合材料によって固着するとともに、発光素子の電極と他方の配線導体とをボンディングワイヤ等の接続手段を介して電気的に接続し、透明な封止樹脂により発光素子を封止することによって発光装置となる。
【0003】
発光素子としてLEDを用いた発光装置では、LEDの静電気に対する耐電圧が低いため、帯電した静電気がLEDの電極パッドやLED間の配線パターンに放電されることで、電圧の変動や過電圧が生じてLEDが破損するといった悪影響を及ぼす場合がある。そこで、LEDに、例えばツェナーダイオードを接続することによって、過電圧が加わることを防止するといった対策が取られていた。(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−19942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、発光素子搭載用基板の発光素子が搭載された面と同じ面上にツェナーダイオード等の電子部品が配置されていると、発光素子から放射された光がツェナーダイオードによって遮られる。したがって、発光装置のツェナーダイオードのある側から放射される光が減少して、発光装置の輝度が低下してしまう。また、発光装置から放射される光の輝度にばらつきが生じて、均一な輝度の光を放射できないという問題があった。
【0006】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み案出されたもので、その目的は、発光素子とともに電子部品を搭載しても、輝度を低下させることのない発光素子搭載用基板および発光装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の発光素子搭載用基板は、基板と、該基板の上面の発光素子を搭載するための第1搭載部と、該第1搭載部の周囲の少なくとも一部に形成された凹部と、該凹部の底面の電子部品を搭載するための第2搭載部とを備えたことを特徴とするものである。
【0008】
また、本発明の発光素子搭載用基板は、上記構成において、前記凹部は、開口部から前記底面に向かって徐々に大きくなっていることを特徴とするものである。
【0009】
また、本発明の発光素子搭載用基板は、上記構成において、前記第2搭載部に搭載された電子部品と、該電子部品の上方に、平面視で前記凹部の底面を覆うように配置された反射層とを備えたことを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明の発光素子搭載用基板は、上記構成において、前記凹部が封止材で充填さ
れ、前記封止材の表面に前記反射層が配置されていることを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明の発光素子搭載用基板は、上記各構成において、前記反射層は、前記基板の厚み方向で、前記第1搭載部よりも前記底面側に位置していることを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明の発光素子搭載用基板は、上記各構成において、前記基板の下面に、平面視で前記第1搭載部と前記凹部との境界と重なる領域に変形防止層が配置されていることを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明の発光装置は、上記各構成の発光素子搭載用基板と、前記第1搭載部に搭載された発光素子と、該発光素子を覆う透明な封止材とを具備していることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の発光素子搭載用基板によれば、基板と、基板の上面の発光素子を搭載するための第1搭載部と、第1搭載部の周囲の少なくとも一部に形成された凹部と、凹部の底面の電子部品を搭載するための第2搭載部とを備えたことから、第1搭載部に発光素子を搭載して、第2搭載部にツェナーダイオード等の電子部品を搭載した発光装置としても、発光素子と同じ面上に発光素子から放射された光を遮る電子部品がないので、発光装置から放射される光が減少することを低減して、発光装置から放射される光の輝度が低下することを抑制できる。また、発光装置から放射される光の輝度がばらつくことも抑制できる。
【0015】
また、本発明の発光素子搭載用基板は、上記構成において、凹部は、開口部から底面に向かって徐々に大きくなっていることから、凹部内に、電子部品を実装し、電子部品を封止するための封止材を充填したときに、封止材を係止している。封止材がこのように配置されているので、発光素子の発熱によって基板が膨張しても上面側が膨張しやすいので、封止材が凹部から抜けることを抑制できる。
【0016】
また、本発明の発光素子搭載用基板によれば、上記構成において、第2搭載部に搭載された電子部品と、電子部品の上方に、平面視で凹部の底面を覆うように配置された反射層とを備えたことから、発光素子から発光素子搭載用基板に向かって放射される光が反射層によって反射されるので、発光装置としたときに放射する光の輝度を高めるのに有効である。
【0017】
また、本発明の発光素子搭載用基板は、上記構成において、凹部が封止材で充填され、封止材の表面に反射層が配置されていることから、封止材によって反射層と基板とをより広い面で接合できるので反射層と基板との接合強度を高めるのに有効である。
【0018】
また、本発明の発光素子搭載用基板によれば、上記構成において、反射層は、基板の厚み方向で、第1搭載部よりも底面側に位置していることから、反射層と第1搭載部との間は基板の厚み方向で離間しており、電気的に絶縁されているので、平面視で反射層と第1搭載部とが接するもしくは重なるように配置できるので、発光素子から放射された光を反射するのにより有効である。
【0019】
また、本発明の発光素子搭載用基板によれば、上記構成において、基板の下面に、平面視で第1搭載部と凹部との境界と重なる領域に変形防止層が配置されていることから、凹部の絶縁基板側の角部から下面に向かってクラックが生じることを抑制できる。
【0020】
また、本発明の発光装置によれば、発光素子が放射する光の輝度が低下することを抑制
できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】(a)は本発明の発光素子搭載用基板の実施の形態の一例を示す平面図であり、(b)は(a)のA−A線断面を示す断面図である。
【図2】(a)は本発明の発光素子搭載用基板の実施の形態の他の例を示す平面図であり、(b)は(a)のA−A線断面を示す断面図である。
【図3】(a)は本発明の発光素子搭載用基板の実施の形態の他の例を示す平面図であり、(b)は(a)のA−A線断面を示す断面図である。
【図4】(a)は本発明の発光素子搭載用基板の実施の形態の他の例を示す平面図であり、(b)は(a)のA−A線断面を示す断面図であり、(c)は(a)のB−B線断面を示す断面図である。
【図5】(a)は本発明の発光素子搭載用基板の実施の形態の他の例を示す平面図であり、(b)は(a)のA−A線断面を示す断面図であり、(c)は(a)のB−B線断面を示す断面図である。
【図6】(a)は本発明の発光素子搭載用基板の実施の形態の他の例を示す平面図であり、(b)は(a)のA−A線断面を示す断面図である。
【図7】(a)は本発明の発光素子搭載用基板の実施の形態の他の例を示す平面図であり、(b)は(a)のA−A線断面を示す断面図である。
【図8】(a)は本発明の発光装置の実施の形態の一例を示す平面図であり、(b)は(a)のA−A線断面を示す断面図である。
【図9】本発明の発光素子搭載用基板の実施の形態の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の発光素子搭載用基板および発光装置について、添付の図面を参照しつつ説明する。図1〜図9において、1は基板、1aは第1搭載部、2は凹部、2aは第2搭載部、3は反射層、3aは第2反射層、4は配線導体、5は発光素子、6は電子部品、7は封止材、8は側壁部、10は変形防止層、11は透光性部材である。
【0023】
本発明の発光素子搭載用基板は、図1〜図9に示す例のように、基板1と、基板1の上面の発光素子5を搭載するための第1搭載部1aと、第1搭載部1aの周囲の少なくとも一部に形成された凹部2と、凹部2の底面の電子部品6を搭載するための第2搭載部2aとを備えている。
【0024】
図1に示す例では、第1搭載部1aの周囲の一部に凹部2が形成されている。図2〜図7に示す例では、第1搭載部1aの周囲に第1搭載部1aを囲むように平面視で環状の凹部2が形成されている。図7に示す例では、断面視で基板1の側壁部8の上面が、発光素子5が搭載されたときに発光素子5の上面よりも上方に位置している。また、図7に示す例では、側壁部8の内面に第2反射層3aが配置されている。
【0025】
本発明の発光素子搭載用基板は、上記のような構成であるので、第1搭載部1aに発光素子5を搭載して、第2搭載部2aにツェナーダイオード等の電子部品6を搭載した発光装置としたときに、発光素子5と同じ面上に発光素子5から放射された光を遮る電子部品6がない。したがって、発光装置から放射される光が減少することを低減して、発光装置から放射される光の輝度が低下することを抑制できる。また、発光装置から放射される光の輝度がばらつくことも抑制できる。
【0026】
また、本発明の発光素子搭載用基板は、図3に示す例のように、凹部2が、開口部から底面に向かって徐々に大きくなっているときには、凹部2内に、電子部品6を実装して、電子部品6を封止するための封止材7を充填したときに、封止材7を係止している。さら
に、発光素子5の発熱により基板1が膨張したとしても上面側が膨張しやすいので、封止材7が凹部2から抜けることを抑制できる。
【0027】
また、本発明の発光素子搭載用基板によれば、図1〜図7に示す例のように、第2搭載部2aに搭載された電子部品6と、電子部品6の上方に、平面視で凹部2の底面を覆う反射層3とを備えているときには、発光素子5から発光素子搭載用基板側に向かって放射される光が反射層3によって反射されるので、発光装置としたときに放射する光の輝度を高めるのに有効である。なお、平面視で第1搭載部1aを囲むように反射層3を形成すると、発光素子5から放射される光が基板1を透過したり、基板1に吸収されることを低減して、発光装置から放射される光の輝度を高めたり、光の輝度のばらつきを抑制するのに有効である。
【0028】
また、本発明の発光素子搭載用基板は、図2〜図7に示す例のように、凹部2が封止材7で充填され、封止材7の表面に反射層3が配置されているときには、封止材7によって反射層3と基板1とをより広い面で接合できるので反射層3と基板1との接合強度を高めるのに有効である。
【0029】
また、本発明の発光素子搭載用基板によれば、図3に示す例のように、反射層3は、基板1の厚み方向で、第1搭載部1aよりも底面側に位置しているときには、反射層3と第1搭載部1aとの間は基板1の厚み方向で離間しており、電気的に絶縁されているので、平面視で反射層3と第1搭載部1aとが接するもしくは重なるように配置できるので、反射層3をより広い領域に形成でき、発光素子5から放射された光を反射するのにより有効である。
【0030】
また、本発明の発光素子搭載用基板によれば、図6および図7に示す例のように、基板1の下面に、平面視で第1搭載部1aと凹部2との境界と重なる領域に変形防止層10が配置されているときには、凹部2の底面の角部から下面に向かってクラックが生じることを抑制できる。なお、図6に示す例では、基板1の下面に配置された配線導体4が変形防止層10を兼ねている。
【0031】
基板1は、酸化アルミニウム質焼結体(アルミナセラミックス),窒化アルミニウム質焼結体,ムライト質焼結体,ガラスセラミックス質焼結体等のセラミックスから成るものである。
【0032】
基板1は、例えば酸化アルミニウム質焼結体から成る場合であれば、酸化アルミニウム,酸化珪素,酸化マグネシウム,酸化カルシウム等の原料粉末に適当な有機バインダーおよび溶剤等を添加混合して泥漿状となし、これを従来周知のドクターブレード法やカレンダーロール法等によりシート状に成形してセラミックグリーンシートを得て、しかる後、セラミックグリーンシートに適当な打ち抜き加工を施すとともにこれを複数枚積層し、高温(約1600℃)で焼成することによって製作される。
【0033】
凹部2は、レーザ加工や金型による打ち抜き加工等により、その内面が凹部2の内壁面となる貫通孔をセラミックグリーンシートに形成して、他の貫通孔を形成していないセラミックグリーンシートと積層しておくことで形成される。凹部2の底面には、ツェナーダイオードやバリスタ等の電子部品6が搭載される。
【0034】
電子部品6の厚さは、図1〜図9に示す例のように、凹部2の深さよりも小さく、電子部品6が凹部2に収まるように配置して、凹部2の開口部が電子部品6の上面よりも上方に位置するようにしておくと、発光素子5から側方に放射される光が電子部品6によって遮られることを抑制できる。
【0035】
図1に示す例のように、凹部2が第1搭載部1aの周囲の一部に形成されているときには、凹部2を形成することによって基板1が薄くなる部分が少ないので、基板1の強度を高めるのに有効である。このような構成であるときには、反射層3は、凹部2の開口を覆うとともに、第1搭載部1aの周囲を取り囲むように配置されていると、反射される光の輝度を高く、均一にできるので好ましい。また、反射層3は、板状部材を配置することで形成してもよいし、後述する樹脂材料を塗布して形成してもよい。
【0036】
図2〜図9に示す例のように、凹部2が第1搭載部1aを囲むように形成されているとともに、凹部2の開口部を反射層3が覆うようにしておくと、第1搭載部1aの周囲の一部に凹部2が形成されている場合に比べて、反射層3を同じ材料で形成しやすいので、反射される光の輝度を均一にするのに有効である。また、発光素子5の周囲に電子部品6を複数配置するときに、電子部品6を配置する領域を確保しやすい。
【0037】
図4に示す例では、複数の凹部2が、第1搭載部1aの周囲を取り囲んで等間隔に配置されており、このような凹部2のそれぞれに封止材7および反射層3が形成されている。このような構成とすると、複数の凹部2の間に壁があるので、凹部2を形成することによる基板1の強度低下が少ない。また、平面視で、それぞれの凹部2を、大きくしたり、四角形状や円形状にしてもよいし、凹部2の数をさらに増やしてもよい。また、凹部2間の壁を薄くすると、反射の均一性を良くするのに有効である。
【0038】
図5に示す例では、図4に示す例の各凹部2の間の壁の上面を基板1の上面よりも低くして壁の上にも封止材7および反射膜3を形成している。このような構成とすると、第1搭載部1aの周囲を取り囲むように1つの反射層3を形成できるので、図4に示す例と比較して、反射される光の輝度を均一にするのに有効である。
【0039】
図2,図3,図6および図7に示す例では、一つの凹部2が第1搭載部1aの周囲を取り囲んで配置されており、このような凹部2に封止材7および反射層3が第1搭載部1aの周囲を取り囲んで配置されている。このような構成とすると、反射層3を同じ材料で同じ高さに形成しやすく、反射される光の輝度を均一にするのに有効である。反射層3を後述するような樹脂材料によって形成するときには、凹部2内のみに樹脂材料を配置して反射層3を形成できるので、樹脂材料が第1搭載部1aに流れ出ることを抑制するのに有効である。反射層3を板状部材によって形成するときには、平面視で凹部2と嵌合するような板状部材とすることによって、反射層3の位置がずれることを抑制するのに有効である。
【0040】
このような凹部2が第1搭載部1aを囲むように形成されている基板1は、次のようにして製作できる。まず、基板1用のセラミックグリーンシートを準備し、金型による打ち抜き加工等によって、外縁が凹部2の外縁と同じ大きさの第1貫通孔を形成する。次に、この第1貫通孔内に樹脂シートを埋設する。その後、樹脂シート部分に、外縁が第1搭載部1aよりも外側に位置する第2貫通孔を形成し、この第2貫通孔内にセラミックグリーンシートを埋設して複合シートを形成する。このようにして得た複合シートを他のセラミックグリーンシートと積層した後、焼成すると、樹脂シートが焼失して、第1搭載部1aを囲むように凹部2が配置された基板1を作製できる。
【0041】
また、樹脂シートに、外縁が第1搭載部1aよりも外側に位置する第2貫通孔を形成して、この第2貫通孔内にセラミックグリーンシートを埋設した後、これを第1貫通孔内に埋設して複合シートを形成することもできる。
【0042】
凹部2は、開口部から底面に向かって徐々に大きくなっており、第1搭載部1a側の内
面に加えて、基板1の外周側の内面が傾斜していると、凹部2内に充填された封止材7が凹部2から抜けることをより有効に抑制できる。
【0043】
また、凹部2は、開口部よりも底面が大きく、第1搭載部1a側の内面に段差部を有していても良い。このような場合には、充填された封止材7が、段差部に引っかかるので、封止材7が凹部2から抜けることを抑制できる。
【0044】
なお、凹部2の内面が傾斜している場合には、封止材7を凹部2に充填するときに、凹部2の内面に段差部がある場合に比べて、封止材7が充填されにくい角部が少ないので、封止材7が充填されていない隙間ができることを低減できる。
【0045】
封止材7は、熱硬化性や光硬化性等のアクリル系樹脂,エポキシ系樹脂,フェノール系樹脂,クレゾール系樹脂,シリコーン系樹脂またはポリエーテルアミド系樹脂等の樹脂材料やガラス材料を用いることができる。
【0046】
反射層3は、図1,図2および図4〜図7に示す例のように、凹部2の底面に電子部品6を搭載した後、凹部2の開口部を覆うように形成される。このような反射層3として、反射率の高い白色樹脂膜や金属膜、反射率の高い粒子が添加された樹脂膜、反射率の高い板状部材等を用いることができる。
【0047】
このような反射層3は、例えば、反射層3として金属膜を配置する場合には、反射層3は、アルミニウム,銀,パラジウムまたは白金等の反射率の高い材料を蒸着やめっき等の薄膜形成方法によって封止材7の上面に被着して形成できる。また、反射率の高い粒子が添加された樹脂膜を用いる場合には、反射層3は、二酸化チタン,硫酸バリウム,炭酸バリウム,酸化マグネシウム,二酸化珪素または銀等の反射率の高い粒子を、エポキシ樹脂,シリコン樹脂またはフェノール樹脂等に添加混合し、封止材7の上面に塗布して硬化させることによって形成できる。また、反射率の高い板状部材を用いる場合には、上記の反射率の高い金属を用いた金属製板材や、上記の反射率の高い粒子が添加された樹脂製板材、あるいは上記の反射率の高い金属を表面に被着させた板状部材や、上記の反射率の高い粒子が添加された樹脂膜を表面に被着させた板状部材等を用いることができる。
【0048】
反射層3として、反射率の高い白色樹脂膜や金属膜、あるいは反射率の高い粒子が添加された樹脂膜を用いる場合には、凹部2内に電子部品6を覆う程度に封止材7を充填しておき、封止材7を覆うように反射層3を形成すればよい。
【0049】
また、図3に示す例のように、開口部から底面に向かって徐々に大きくなる凹部2内に反射層3が配置されるときには、凹部2の底面に電子部品6を搭載し、封止材7を配置した後、封止材7の上に、上記した反射率の高い金属粒子が添加された樹脂や反射率の高い白色樹脂を配置することによって、反射層3を基板1の厚み方向で、第1搭載部1aよりも底面側に位置させることができる。
【0050】
また、反射層3として、反射率の高い板状部材を用いる場合には、凹部2内に電子部品6を覆う程度に封止材7を充填しておき、封止材7の上に板状部材を配置して反射層3を形成すれば良い。また、図1に示す例のように、電子部品6よりも上方の凹部2の内壁に段差を形成し、この段差の上面に板状部材を配置して接合することによって反射層3を形成しても構わない。
【0051】
図3および図7に示す例のように、反射層3の上面が、基板1の厚み方向で、第1搭載部1aよりも下方に位置するようにしておくと、反射層3の上面が第1搭載部1aよりも上方に位置する場合と比較して、発光素子3から下方に向かって放射された光を反射する
際、基板1の上方の広い領域に拡散させて反射させることができる。また、反射層3を金属膜や樹脂膜を用いて形成する際には、反射層3が第1搭載部1a側に形成されることを抑制でき、発光素子5を第1搭載部1aに搭載する際に、発光素子5が傾くことを抑制できる。また、反射層3の上面が、基板1の厚み方向で、第1搭載部1aよりも上方にでていないので、発光素子5を第1搭載部1aに搭載する際に、発光素子5が反射層3に当たることを抑制できる。
【0052】
基板1の発光素子5を搭載するための第1搭載部1aには、発光素子5を搭載するため、または発光素子5の電極と電気的に接続するために配線導体4が形成されている。発光素子搭載用基板にフリップチップ型の発光素子5を搭載する場合には、配線導体4は発光素子5を接合するとともに、発光素子5と電気的に接続される。
【0053】
また、配線導体4は、基板1の内部を通り、基板1の表面に露出して形成されている。図1〜図7に示す例では、配線導体4は基板1の下面に露出して形成されているが、基板1の側面に形成されていてもよいし、基板1の側面から下面にかけて形成されていもよい。
【0054】
さらに、配線導体4は、図7に示す例のように、凹部2の第1搭載部1a側の内壁面に形成しておくと、発光素子5を第1搭載部1aに搭載する際に、貫通導体上に搭載しないので、貫通導体が基板1の上面から突出して発光素子5を搭載した際に発光素子5が傾くようなことが無く、発光素子5を第1搭載部1a上に良好に搭載できる。なお、このように配線導体4を凹部2の内壁面に形成している場合には、反射層3は、反射層3を介して配線導体4同士が短絡しないように、絶縁性の材料で形成する。このような配線導体4は、複合シートの、第1搭載部1aとなるセラミックグリーンシートと樹脂シートとの境界に、貫通導体を設けておくことによって形成できる。
【0055】
配線導体4は、タングステン(W),モリブデン(Mo),マンガン(Mn),銀(Ag),銅(Cu)等の金属粉末メタライズから成る。上記の金属粉末に適当な有機バインダーおよび溶媒を添加混合して得た配線導体4用のメタライズペーストを、基板1用のセラミックグリーンシートにスクリーン印刷法等により所定形状に印刷して、基板1用のセラミックグリーンシートと同時に焼成することによって、基板1の所定位置に形成される。
【0056】
配線導体4には、基板1の表面や絶縁層間に配置される配線導体と、絶縁層を貫通して上下に位置する配線導体4同士を電気的に接続する貫通導体とがある。表面や絶縁層間に配置される配線導体は、基板1用のセラミックグリーンシートにスクリーン印刷法等の印刷手段によって配線導体4用のメタライズペーストを印刷塗布し、基板1用の生成形体とともに焼成することによって形成される。また、貫通導体は、配線導体4を形成するためのメタライズペーストの印刷塗布に先立って基板1用のセラミックグリーンシートに金型やパンチングによる打ち抜き加工またはレーザー加工等の加工方法によって貫通導体用の貫通孔を形成し、この貫通孔に貫通導体用のメタライズペーストをスクリーン印刷法等の印刷手段によって充填しておき、基板1となる生成形体とともに焼成することによって形成する。メタライズペーストは、主成分の金属粉末に有機バインダーおよび有機溶剤、また必要に応じて分散剤等を加えてボールミル,三本ロールミルまたはプラネタリーミキサー等の混練手段によって混合および混練することで作製する。また、セラミックグリーンシートの焼結挙動に合わせたり、焼成後の基板1との接合強度を高めたりするために、ガラスやセラミックスの粉末を添加してもよい。貫通導体用のメタライズペーストは、有機バインダーや有機溶剤の種類や添加量によって、充填に適した、一般的に配線導体4用のメタライズペーストよりも高い粘度に調整される。なお、メタライズペーストは基板1との接合強度を高めるために、ガラスやセラミックスを含んでいても構わない。
【0057】
なお、配線導体4の露出する表面には、ニッケル,金等の耐蝕性に優れる金属めっきが被着され、接続電極または外部端子電極となる。これによって、配線導体4が腐食することを効果的に抑制できるとともに、配線導体4と電子部品6との接合、配線導体4とボンディングワイヤとの接合、および配線導体4と外部回路基板の配線導体との接合を強固にできる。また、例えば、配線導体4の露出する表面には、厚さ1〜10μm程度のニッケルめっき層と厚さ0.1〜3μm程度の金めっき層とが、電解めっき法もしくは無電解めっき
法により順次被着される。発光素子5または電子部品6と配線導体4との接合を良好にするためには金めっき層を形成しておくことが好ましい。
【0058】
また、基板1は、図7に示す例のように、基板1の外周に沿って配置され、上面が発光素子5の上面よりも上方に位置する側壁部8を備えていても良い。このような側壁部8によって囲まれた凹部は、上述の凹部2と同様の方法により形成される。
【0059】
また、図7に示す例のように、側壁部8の内面に、発光素子5が発する光を反射させるための第2反射層3aを設けておいても良い。第2反射層3aは、例えば、側壁部8の内面にメタライズ層を形成し、このメタライズ層上にめっき層を被着して形成される。また、上記した樹脂膜や金属膜によって形成しても構わない。
【0060】
第2反射層3aとなるメタライズ金属層は、例えば、配線導体4と同様の材料を用いて作製したメタライズペーストを、従来周知のスクリーン印刷法により、側壁部8となるグリーンシートの内面に印刷塗布しておき、グリーンシートと同時に焼成することによって、側壁部8の内面に被着形成される。これにより側壁部8の内面に第2反射層3aを形成できる。なお、メタライズペーストは印刷性を考慮して有機バインダーや溶媒の種類や量を変更してもよい。
【0061】
また、第2反射層3aの露出する表面には配線導体4と同様に、ニッケルや金,銀等の耐蝕性に優れる金属が被着される。例えば、反射層3の露出する表面には、厚さ1〜10μmのニッケルめっき層と厚さ0.1〜3μm程度の金めっき層あるいは1〜5μm程度の銀
めっき層とが順次被着される。これにより、発光素子5の発光する光をより効率よく反射させることができる。また、最表面に銀めっき層を被着しておくと、最表面に金めっき層を被着した場合と比較して、白色光を放射する発光装置において、放射される光が白色に近くなるので好ましい。また、銀めっき層は金めっき層と比較して光の吸収が少なく、光を効率よく反射できる。特に、光が青色光等の短波長の光である場合には、反射率の差が大きくなりやすいので、第2反射層3aの表面に銀めっき層を形成しておくことが好ましい。なお、必要に応じて反射層3の表面に銀めっき層を形成しておいてもよい。
【0062】
また、第2反射層3aは、第1搭載部1aの周囲の一部に凹部2が形成されている場合には、第1搭載部1aに配置された配線導体4と絶縁されて、平面視で凹部2の開口を覆って、第1搭載部1aを囲むように配置されていることが好ましい。このような構成とすることで、第2反射層3aの表面を電解めっきによって形成するときに、第1搭載領域1aの配線導体4と絶縁されているので、配線導体4とは異なるめっき層とすることができる。すなわち、第1搭載領域1aの配線導体4の表面に耐食性にすぐれる金めっき層を形成するとともに、第2反射層3aの表面を金めっき層と比べて光の吸収の少ない銀めっき層とすることができ、光を効率よく反射できる反射層を形成できる。
【0063】
側壁部8の内面が基板1の上面または反射層3となす角度θを、35度〜70度としておくと、貫通孔の内面を打ち抜き加工で安定に、かつ効率よく形成することが容易となるとともに、基板1を小型化しやすい。また、発光素子5から放射される光を外部のより広い範囲に反射できる。
【0064】
第1搭載部1aが、側壁部8の内面に形成された第2反射層3aの下端よりも上方に位置するようにしておいても構わない。この場合、発光素子5から発光素子5の周囲の下方に放射された光は、第2反射層3aによって反射されて外部に放射される。
【0065】
基板1の下面に、平面視で第1搭載部1aと凹部2との境界と重なる領域に変形防止層10として配線導体4が配置されているときには、図6に示す例のように、基板1の下面に配置された配線導体4が、平面視で第1搭載部1aに重なる領域から凹部2に重なる領域にわたって配置されていればよい。
【0066】
また、図7に示す例のように、基板1の下面に、平面視で第1搭載部1aと重なる領域から、第1搭載部1aと凹部2との境界となる領域にわたって変形防止層10が形成されていてもよい。変形防止層10が第1搭載領域1aと重なるように配置されているので、発光素子5で発生した熱を外部回路基板に逃がすのに有効である。変形防止層10の材料としては、配線導体4と同様の材料で形成しても構わないが、基板1よりも熱伝導率の高い材料、例えば、銅,銅−タングステン等の金属材料や、基部1bよりも熱伝導率の高いセラミックス材料であることが好ましい。このような構成とすることにより、発熱量の多い発光素子5を搭載して発光装置としたときに、熱による発光効率の低下を抑えることができる。
【0067】
また、発光素子搭載用基板と外部回路基板とが、発光素子搭載用基板の下面側に設けられた配線導体4によって電気的に接続される場合には、図7に示す例のように、変形防止層10の厚みを、基板1の下面に設けられた配線導体4の厚みよりも厚くしておくと、変形防止層10を外部回路基板に良好に当接することができる。
【0068】
本発明の発光装置は、図8に示す例のように、上記構成の発光素子搭載用基板と、第1搭載部1aに搭載された発光素子5と、発光素子5を覆う透光性部材11とを具備している。上記構成により、輝度に優れた発光装置とすることができる。
【0069】
発光素子5は発光ダイオード(LED)や半導体レーザ(LD)であり、例えばAu−シリコン(Si)合金から成るろう材や銀(Ag)を含むエポキシ樹脂等の導電性接合材により第1搭載部1aの底面の一方の配線導体4上に固着されるとともに、発光素子5の電極と他方の配線導体4とが、例えばAuを主成分とするボンディングワイヤ等の接続部材を介して電気的に接続される。また、フリップチップ型の発光素子5である場合は、発光素子5の電極に接続されたはんだや金等の金属から成るバンプを加熱して溶融させたり、超音波振動を加えたりすることによって接続するか、あるいは、はんだや導電性接着剤を介して配線導体4に接続する。
【0070】
そして、発光素子5を覆うように透光性部材11を具備することにより、発光輝度に優れた発光装置とすることができる。透光性部材11は、発光素子5を封止する、シリコン樹脂,エポキシ樹脂あるいはガラス等から成る透明な(透光性を有する)ものである。例えば、発光素子5を覆うように液状の封止樹脂を塗布した後、封止樹脂を硬化することで、透光性部材11として封止樹脂を用いて発光素子5を覆った発光装置となる。図7に示す例のように基板1の外周に沿って側壁部8を備える場合は、透光性部材11である封止樹脂を側壁部8で囲まれた領域内に充填してもよい。あるいは、箱状に成形された透光性部材11である封止材を、発光素子5を覆うように基板1の上に載置して接着剤で固定してもよい。基板1が側壁部8を備える場合は、板状に成形された透光性部材11で側壁部8で囲まれた空間を塞ぐようにしてもよい。箱状あるいは板状に成形された透光性部材11を用いる場合は、その一部をレンズ状に成形したものを用いると、発光素子5が放射する光をそのレンズ状の部分により集光することができるので、より輝度の高い発光装置が得られる。
【0071】
なお、本発明は上述の実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば種々の変更は可能である。例えば、反射層3として、反射率の高い板状部材を用いるときに、板状部材が剥がれることを抑制するために、凹部2内に封止材7を充填していてもよい。
【0072】
また、発光装置は、複数の発光素子5および電子部品6が搭載されていても構わない。例えば、1つの第1搭載部1aに複数の発光素子5を搭載しても良いし、図9に示す例のように、平面視で複数の第1搭載部1aの周囲に凹部2が形成されていてもよい。複数の第1搭載部1aのそれぞれに発光素子5を搭載した場合には、搭載される発光素子5の大きさに合わせて第1搭載部1aが形成されるので、反射層3をより広く形成できるので、より輝度の高い発光装置とすることができる。
【0073】
また、第1搭載部1aの周囲の一部に凹部2が形成されている場合には、第1搭載部1aを周囲の基板1の上面よりも高くしておき、凹部2と第1搭載部1aの周囲の基板1の上面とを覆うように反射層3を形成しても構わない。
【符号の説明】
【0074】
1・・・・基板
1a・・・第1搭載部
2・・・・凹部
2a・・・第2搭載部
3・・・・反射層
3a・・・第2反射層
4・・・・配線導体
5・・・・発光素子
6・・・・電子部品
7・・・・封止材
8・・・・側壁部
10・・・・変形防止層
11・・・・透光性部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、該基板の上面の発光素子を搭載するための第1搭載部と、該第1搭載部の周囲の少なくとも一部に形成された凹部と、該凹部の底面の電子部品を搭載するための第2搭載部とを備えたことを特徴とする発光素子搭載用基板。
【請求項2】
前記凹部は、開口部から前記底面に向かって徐々に大きくなっていることを特徴とする請求項1に記載の発光素子搭載用基板。
【請求項3】
前記第2搭載部に搭載された電子部品と、該電子部品の上方に、平面視で前記凹部の底面を覆うように配置された反射層とを備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の発光素子搭載用基板。
【請求項4】
前記凹部が封止材で充填され、前記封止材の表面に前記反射層が配置されていることを特徴とする請求項3に記載の発光素子搭載用基板。
【請求項5】
前記反射層は、前記基板の厚み方向で、前記第1搭載部よりも前記底面側に位置していることを特徴とする請求項3に記載の発光素子搭載用基板。
【請求項6】
前記基板の下面に、平面視で前記第1搭載部と前記凹部との境界と重なる領域に変形防止層が配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の発光素子搭載用基板。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の発光素子搭載用基板と、前記第1搭載部に搭載された発光素子と、該発光素子を覆う透明な封止材とを具備していることを特徴とする発光装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−174979(P2012−174979A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−37215(P2011−37215)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】