説明

発光素子用の錯塩

一般式[Mm+[Mn−(式中、・xm=ynであり、・[Mm+]および[Mn−]は、相補的発光スペクトルを有するイオン性発光部位であり、一方が可視スペクトルの青色領域で発光し、もう一方が可視スペクトルの赤色領域で発光し、かつMおよびMのうちの少なくとも1つが金属錯体である)の錯塩を含む白色光発光材料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属錯塩ならびに発光素子における発光材料としてのその使用に関する。特に本発明は、有機発光素子(OLED)における白色エミッターとしてのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
白色発光OLEDは、様々な技術によって得られる。例えば、それらは多層構造を使用することによって得られ、その構造において各層が異なる発光スペクトルを有し、かつ多層の発光スペクトルが相補的であり、全可視スペクトルをカバーし、その結果白色発光が得られる。もう1つのアプローチは、広域発光スペクトルを有する単一分子の使用である。さらに他のアプローチは、単層における、異なる波長で発光する複数のエミッターの使用である。これらのアプローチは今までのところ、真空製造小分子OLEDに適していることから、中性分子を要していた。白色光発光の発生に最も多く使用されるアプローチは、2または3つの発光層を含む素子の製造を含む。このため、白色光発光素子(WOLED)の製造は、実際の照明技術と競合することができない高価なプロセスとなる。
【0003】
(特許文献1)には、赤色発光ユーロピウム錯体への有機結合によって配位された2つの青色発光イリジウム中心を含むトリス−核(tris−nuclear)白色エミッター分子が開示されており、高エネルギー発光中心から低エネルギー発光中心への部分的エネルギー移動によって、ほぼ白色の光が放出される。共有結合した発光中心間のかかる部分的エネルギー移動は、結合性基の長さを調整することにより、2つの発光中心間のリンカーを注意深く設計することによって制御することができる。これには、長く、単調な有機化学が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2006/024997号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、製造が容易であり、かつエネルギー移動の程度が容易に制御される、エミッター、特に白色エミッターを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様において、本発明は、1つまたは複数のアニオン発光部位の群の電荷を補う、1つまたは複数のカチオン発光部位の群からなる錯塩を含む発光材料に関し、前記部位の少なくとも1つは金属錯体であり、好ましくは前記部位の両方が金属錯体である。実施形態において、その部位は相補的発光スペクトルを有し、そのため発光材料が白色発光材料としての役割を果たすことができる。各発光部位はリン光性であることができる。特に第1の態様の実施形態は、一般式[Mm+[Mn−の錯塩を含む白色光発光材料に関し、式中、
・xm=ynであり、
・[Mm+]および[Mn−]は、相補的発光スペクトルを有するイオン性発光部位であり、一方は可視スペクトルの青色領域で発光し、もう一方は可視スペクトルの赤色領域で発光し、
およびMのうちの少なくとも1つが金属錯体である。
【0007】
第2の態様において、本発明は、発光材料、特に本発明の第1の態様による錯塩を製造する方法に関する。
【0008】
第3の態様において、本発明は、発光層を含む発光素子に関し、前記発光層は、本発明の第1の態様による発光材料を含むか、またはそれからなる。
【0009】
第4の態様において、本発明は、発光素子の発光層における本発明の第1の態様による白色光発光材料の使用に関する。
【0010】
本発明の実施形態の利点は、白色光発光が、材料の単層によって得られることである。単一発光層素子は、製造が容易かつ安価である。
【0011】
本発明の実施形態の他の利点は、金属錯塩の各エミッターの個々の最適化を可能にすることによって、微調整された発光への万能なアプローチを提供することである。
【0012】
本発明の実施形態の他の利点は、先行技術ではリンカーの合成的組込みが必要であるのに対して、発光材料を製造するために必要とされる合成工程数が最小限であることである。
【0013】
本発明の実施形態の更なる利点は、本発明の実施形態によるエミッターのエネルギー供与体部分とエネルギー受容体部分の間のエネルギー移動の程度が、エミッターが接触する媒体の極性(局所および/または全体極性)を変化させることによって、かつ/またはそれにおける偏光性ドーパントの濃度を変化させることによって、容易に制御することができることである。先行技術では、エネルギー移動の程度を変化させることは、新たな合成によりリンカーの長さを変化させることを意味した。
【0014】
本発明の特別な、好ましい態様は、添付の独立請求項および従属請求項に示される。独立請求項からの特徴は、特許請求の範囲に明示されているだけでなく、適宜示されている、従属請求項の特徴、および他の独立請求項の特徴と組み合わせられる。
【0015】
この分野では素子の絶え間ない改善、変化および進化があったが、本発明の概念は、従来の慣習からの逸脱を含む実質的に新しい改善を表すと考えられ、この種のより効率的な、安定な、かつ信頼性のある素子が提供される。
【0016】
本発明の上記の特性、特徴および利点は、本発明の原理を一例として説明する、添付の図面と共に取り入れられる以下の詳細な説明から明らかとなるだろう。この説明は、本発明の範囲を制限することなく単に実例として示されている。以下に示す参照図は、添付の図面を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】青色発光アニオン金属錯体(EB123)(破線)、赤色発光カチオン金属錯体(EBPPbp)(四角)、本発明の実施形態による錯塩(EB124)(円)のジメチルスルホキシド(DMSO)中の吸収スペクトル、およびEB123の吸収スペクトルとEBPPbpの吸収スペクトルの数値合計(実線)である。
【図2】青色発光アニオン金属錯体(EB123)のDMSO中の吸収(+)、励起(o)および発光(実線)スペクトルである。
【図3】赤色発光アニオン金属錯体(EBPPbp)の吸収(+)、励起(o)および発光(実線)スペクトルである。
【図4】本発明の実施形態による錯塩(EB124)の吸収(+)、励起(o)および発光(実線)スペクトルである。
【図5】ビス錯塩(EB87)の脱気DMSO中の発光スペクトル、400nmでの励起である。
【図6】単一錯塩(EB265)の脱気DMSO中の発光スペクトル、400nmでの励起である。
【図7】ビス錯塩(EB266)の脱気DMSO中の発光スペクトル、400nmでの励起である。
【図8】ビス錯塩(EB267)の脱気DMSO中の発光スペクトル、400nmでの励起である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、特定の実施形態に関して、かつ特定の図面を参照して説明されているが、本発明はそれに制限されず、特許請求の範囲によってのみ制限される。記載の図面は、単なる概略図であり、非制限的である。図面において、要素のいくつかのサイズは誇張されており、説明的な目的で一律の縮尺に従わずに描かれている。その寸法および相対的な寸法は、本発明の実施に対して実際の縮小に一致しない。
【0019】
さらに、明細書および特許請求の範囲における、第1、第2、第3等の用語は、格付けまたは他のいずれかの方法で一時的、空間的に必ずしも順序を説明するためではなく、類似の要素を区別するために使用される。そのように使用される用語は、適切な状況下で交換可能であり、かつ本明細書に記載の本発明の実施形態は、本明細書に記載または説明される以外の他の順序で作業することができることを理解されたい。
【0020】
さらに、明細書および特許請求の範囲における上部、底部、上、下等の用語は、説明的な目的で使用されており、必ずしも相対的な位置を説明するものではない。そのように使用される用語は、適切な状況下で交換可能であり、かつ本明細書に記載の本発明の実施形態は、本明細書に記載または説明される以外の他の位置付けで作業することができることを理解されたい。
【0021】
特許請求の範囲で使用される「含む」という用語は、その後に記載の手段に制限されると解釈すべきでなく;他の要素または工程を除外しないことを留意されたい。したがって、言及される指定の特徴、整数、工程または成分の存在を明記するものとして解釈されるべきであるが、1つまたは複数の他の特徴、整数、工程または成分、またはその群の存在または追加を排除するものではない。したがって、「手段AおよびBを含む素子」の表現範囲は、要素AおよびBのみからなる素子に限定されるべきではない。本発明に関して、単に関連する素子の要素がAおよびBであることを意味する。
【0022】
本明細書全体を通して「一実施形態」または「実施形態」の言及は、その実施形態に関して記述される特定の特徴、構造または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体の様々な箇所での「一実施形態において」または「実施形態において」のフレーズの出現は、必ずしもすべて同じ実施形態に言及しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造または特性は、1つまたは複数の実施形態において、本開示内容から当業者には明らかであるだろう、いずれかの適切な手法で組み合わせられる。
【0023】
同様に、本明細書の例示的な実施形態の説明において、本発明の種々の特徴は時に、開示内容を簡素化し、種々の本発明の態様の1つまたは複数の理解を助ける目的で、1つの実施形態、図面またはその説明において一まとめにされることを理解されたい。しかしながら、開示されるこの方法は、請求される本発明が、各請求項に明示されるよりも多くの特徴を必要とすると本発明を反映するものとして解釈されるべきではない。逆に、以下の特許請求の範囲が反映する場合、本発明の態様は、上記に開示される1つの実施形態のすべての特徴よりも少ない状態にある。したがって、詳細な説明に続く特許請求の範囲は、この詳細な説明に明確に組み込まれ、各請求項は、本発明の個々の実施形態としてそれ自体で位置する立場にある。
【0024】
さらに、本明細書に記載の一部の実施形態は、他の実施形態に含まれるいくつかの特徴を含むが、他の特徴を含まないと同時に、異なる実施形態の特徴の組み合わせは、本発明の範囲内であることを意味し、当業者によって理解されるように異なる実施形態を形成する。例えば、以下の特許請求の範囲において、請求される実施形態のいずれも、いずれかの組み合わせで使用することができる。
【0025】
本明細書に提供される説明において、多くの具体的な詳細が示されている。しかしながら、本発明の実施形態は、これらの具多的な詳細を用いることなく実施することができることが理解される。他の場合において、公知の方法、構造および技術は、本明細書の理解を不明瞭にしないようにするために、詳細に示されていない。
【0026】
単に本発明の理解を助けるために、以下の用語が示される。
【0027】
本明細書で使用され、かつ別段の指定がない限り、「正孔輸送ポリマー」または「正孔伝導ポリマー」という用語は、正孔を輸送するその能力が、電子を輸送するその能力よりも高い半導体ポリマーに関する。
【0028】
本明細書で使用され、かつ別段の指定がない限り、「電子輸送ポリマー」または「電子伝導ポリマー」という用語は、電子を輸送するその能力が、正孔を輸送するその能力よりも高い半導体ポリマーに関する。
【0029】
本明細書で使用され、かつ別段の指定がない限り、「小分子」という用語は、2000g/モルまでの分子量を有する分子に関する。
【0030】
本発明は、本発明のいくつかの実施形態の詳細な説明によって説明される。本発明の他の実施形態は、本発明の真の精神または技術的教示から逸脱することなく、当業者の知識に従って構成することができることは明らかであり、本発明は、添付の特許請求の範囲の条件によってのみ制限される。
【0031】
本発明者らは、単層発光素子を得るために、2つの非発光対イオンを有する2つの異なる電荷を有するイオン錯体の単純な混合物が、発光材料として使用された場合に、様々な不都合を示すことに気が付いた。かかる混合物の第1の欠点は、対イオンからの塩が結晶化し得ることである。例えば、対アニオンX(つまり、イオン対[M][X])を有するカチオン発光性錯体Mおよび対カチオンX(つまり、イオン対[M][X+])を有するアニオン発光性錯体Mが互いに混合された場合には、それらの対イオンが通常、非常に強く結合することができる、非常に小さな分子(PF6−,…)または原子(Cl,Na...)で構成されているため、長期的に塩[X][X]は容易に結晶化する。さらに、例えば、イオン対[M][X]とイオン対[M][X]を互いに混合した場合には、両方の発光錯体が素子の同一面上にある状態となり、クエンチの可能性が高まる。
【0032】
さらに、結晶化しない、対イオン、例えばイオン性液体誘導対イオン等を有する錯体の製造は、イオン交換工程が必要であるため、難しく、費用が高い。この工程は、求められる対イオンの飽和溶液、および予想される錯体の沈殿を要する。
【0033】
驚くべきことに、これらの合成工程を克服するために、静電超分子結合、さらに詳しくはイオン性超分子結合を用いて、2つ以上の発光部位を結び付けることができることが分かった。
【0034】
第1の態様において、本発明は、1つまたは複数のアニオン発光部位の群の電荷を補う、1つまたは複数のカチオン発光部位の群からなる錯塩を含む発光材料に関し、前記部位の少なくとも1つは金属錯体である。実施形態において、部位は相補的発光スペクトルを有し、そのため発光材料が白色発光材料としての役割を果たすことができる。各発光部位はリン光部位または蛍光部位であることができ、好ましくはリン光部位である。
【0035】
本発明の第1の態様の実施形態は、一般式[Mm+[Mn−
の錯塩を含む発光材料に関し、式中、
1.Mは、カチオン発光部位であり、
2.Mは、アニオン発光部位であり、
3.xm=ynであり、かつ
とMのうちの少なくとも1つが金属錯体である。
【0036】
実施形態において、[Mm+および[Mn−は、相補的発光スペクトルを有し、そのため発光材料は白色光発光材料である。
【0037】
実施形態において、錯塩は、[Mm+と[Mn−のうちの1つが可視スペクトルの青色領域で発光し(藍色〜空色および緑色を帯びた青色、例えば、範囲390〜550nm、好ましくは390〜520nmの最大発光波長を有するその発光スペクトルを有する)、もう一方が可視スペクトルの赤色領域で発光する(イエローオレンジ〜赤色、例えば、範囲550〜740nm、好ましくは580〜740nmの最大発光波長を有するその発光スペクトルを有する)という点を特徴とする。すなわち、本発明の実施形態は、上記のいずれかの実施形態による白色光発光材料に関し、[Mm+と[Mn−のうちの1つは、範囲550〜740nmの最大発光波長を有するその発光スペクトルを有し、もう1つは、範囲390〜550nmの最大発光波長を有するその発光スペクトルを有する。前記金属塩が、(0.200,0.200)〜(0.550,0.500)、好ましくは(0.260,0.280)〜(0.460,0.500)、さらに好ましくは(0.270,0.290)〜(0.400,0.400)の範囲でCIE1931座標(x,y)を有する光を放出することができるように、好ましくは、部位間(例えば、イオン対の場合には[Mm+と[Mn−の間)の距離が適応され、かつ/または部位が選択される(例えば、[Mm+および[Mn−が選択される)。すなわち、本発明の実施形態は、上記のいずれかの実施形態による白色光発光材料に関し、その金属塩は、(0.200,0.200)〜(0.550,0.500)の範囲のCIE1931座標(x,y)を有する光を放出することができる。かかるCIE1931座標を有する光は許容可能な白色光であるため、これは有利である。部位(例えば、[Mm+と[Mn−)間の距離の適応は、錯塩をマトリックス中に含ませる(好ましくは、マトリックスに分散させる)ことによって行われ、白色光の発光が起こるように、金属錯塩を取り囲むマトリックスの極性(例えば、全体極性および/または局所極性)を適応させて、発光部位間の距離が提供される。マトリックスが存在する場合、錯塩、つまりゲストは、0.05%以上、好ましくは0.10%以上、特に好ましくは0.15%以上、とりわけ好ましくは0.20%以上の量で存在する。ゲストは、20%以下、好ましくは15%以下、特に好ましくは10%以下、とりわけ好ましくは5%以下の量で存在し、これらの上限値のいずれかは、上記の下限値のいずれかと組み合わせることができる。本発明の実施形態は、上記の実施形態で定義される錯塩とマトリックスとを含む発光材料に関し、前記マトリックスの極性は、白色光の発光が起こるように、発光部位間の距離が提供されるような極性である。マトリックスは、液体、ゲル、または固体の極性、非イオン性媒体である。好ましくは、マトリックスは固体媒体である。マトリックスの主成分は好ましくは非イオン性であるが、非イオン性マトリックスにイオン種などの極性種をドープすることができる。実施形態において、非イオン性マトリックスは非プロトン性であることができる。マトリックスは好ましくは、その主な成分または唯一の成分としてポリマーを含む。任意に、マトリックスの光学的特性(例えば、その吸収特性)を用いて、発光錯塩の発光スペクトルを適応(例えば、補正)することができる。マトリックスは好ましくは、可視光に対して透明である。部位間の十分な距離を提供するのに適したマトリックスを提供する良い方法は、極性マトリックスを選択する方法である。マトリックスは好ましくは、ポリ(ビニルピロリドン)(PVP)の極性に少なくとも等しい極性、つまり3.0未満の極性を有する。
【0038】
適切な極性マトリックスはさらに、例えば、特にポリ(ビニルカルバゾール)(PVK)および/またはポリマーもしくは非ポリマーオキサジアゾールを含む、正孔輸送および/または電子伝導有機半導体として挙動する。
【0039】
誘電率(または相対静電誘電率)は、マトリックスの巨視的極性の尺度である。マトリックスの誘電率がPVPよりも低い(例えば、3.0未満)場合、マトリックス中に1種または複数種の第2成分(または「ドーパント」)を有することが好ましい。これらのドーパントは極性分子である。これらの極性分子は、錯塩におけるイオン部位を連結する静電(イオン)結合をゆるめる、または切断することができることが好ましい。ドーパントは好ましくは、イオン塩である。イオン塩は、発光部位を分離するのを助ける。ドーパントの例は、有機または無機アニオンと組み合わされた有機カチオンの塩である。液状である場合には、それらは、イオン性液体または融解塩と呼ばれる。イオン性液体は、室温で液体であり、かつ150℃より低い、好ましくは80℃より低い、さらに好ましくは30℃より低い融点を有する、いわゆる「周囲温度融解塩」も包含する、融解塩を含む。
【0040】
イオン性液体は、通例の塩の状態のようにカチオンおよびアニオンからなる化合物である。顕著な特性は、化合物の低温融点である。融点は、それらが液体状態であると同時にそれらをポリマーフィルムと相溶性にする、室温未満または相対的に低い高温(例えば150℃)である。イオン性液体のためのカチオンの例は:一、二および三置換イミダゾリウム、ピリジニウム、ピリダジニウム、ピリミジニウム、ピロリジニウム、ピラジニウム、ピラゾリウム、チアゾリウム、オキサゾリウム、トリアゾリウム、ホスホニウム、アンモニウム、グアニジニウム、およびイソウロニウムである。イオン性液体のためのアニオンの例は:ハロゲン化物、硫酸塩、スルホン酸塩(例えば、トリフルオロメチルスルホネート(「トリフラート」,CFSO))、アミド、イミド(例えば、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(N(CFSO)、ビス(パーフルオロエチルスルホニル)イミド(CSO))、メチド(例えば、トリス(トリフルオロメチルスルホニル)メチド((CFSO))、ホウ酸塩(例えば、テトラフルオロボレート(BF))、リン酸塩(例えば、ヘキサフルオロホスフェート(PF))、アンチモン酸塩(例えば、ヘキサフルオロアンチモネート(SbF))、ヒ酸塩(例えば、ヘキサフルオロアルセナト(AsF))、コバルトテトラカルボニル、トリフルオロアセテート、およびデカノエートである。
【0041】
存在する場合、ドーパントは、0.05%以上、0.10%以上、0.15%以上または0.20%以上の量で存在する。ドーパントは、20%以下、15%以下、10%以下または5%以下の量で存在し、これらの上限値のいずれかは、上記の下限値のいずれかと組み合わせることができる。ゲストが存在する場合、マトリックスにおける錯塩と極性ドーパントのモル比は例えば、1.5以下、1.3以下、1.2以下、1.1以下、1.05以下、0.5以上、0.7以上、0.8以上、0.9以上、0.95以上であり、いずれかの下限値はいずれかの上限値と組み合わせることができる。マトリックスの主成分が、PVPより低い極性である場合、それにもかかわらず極性(例えば、イオン性)ドーパント分子を添加して、部位をさらに分離することができる。本発明の金属塩を構成する部位は通常、それらを隔てる距離に応じて、エネルギー移動によって相互作用する。例えば、青色発光カチオンと赤色発光アニオンを含むイオン対の場合には、青色発光カチオンは、赤色発光アニオンにそのエネルギーのすべてまたは一部を移動する可能性がある(これは、青色エミッターの発光スペクトルと赤色エミッターの吸収スペクトルの間のオーバーラップの程度、ならびに両方のエミッター間の距離およびその平均相対配向に依存する)。エネルギー移動が大きすぎる場合、青色エミッターが励起すると、イオン対が赤色光を発光する。白色光(例えば、範囲(0.200,0.200)、好ましくは(0.260,0.280)〜(0.550,0.500)、好ましくは(0.460,0.500)のCIE1931座標(x,y)を有する光)として見なされる光をイオン対に発光させるために、通常、発光部位間に十分な距離を有することが必要とされる。距離が長くなるほど、発光部位間のエネルギー移動の程度が減少する。相補的発光スペクトルを有する発光部位間の距離が、白色光である光混合物を人の目が知覚するような相対強度を有する光を両方の部位が放出するような程度までエネルギー移動が起こるような距離である場合に、白色光の発光が得られる。上記の実施例に記載のイオン対の場合は、2つを超える発光種が関与する場合に対して外挿される。
【0042】
本発明の性能に関しては、その発光スペクトルが相補的であるように、つまり、その発光スペクトルが可視スペクトルの十分に大きな部分をカバーし、その結果、各発光部位が適切な強度を有する光を放出した時に白色光発光が得られるように、錯塩を構成する発光部位を選択することが有利である。発光部位間の距離を適応させることによって、例えば、上記で説明されるように周囲のマトリックスの極性を適応させることによって、これらの強度は十分に満たされる。部位間の正しい距離は、選択される部位の性質に応じて異なる。距離は、本出願で提供されるガイダンスを用いて、当業者によって決定することができる。白色発光については、発光部位間の理想的な距離範囲が各錯塩に関して存在するが、通常距離が長すぎると、白色光からのずれが少なくなり、通常距離が近すぎると、白色光からのずれが多くなる(部位間の距離が近すぎる場合には、光は容易に、強く赤色シフトされる)。
【0043】
好ましくは、MとMの両方が金属錯体である。その実施形態の主な利点は、錯塩の両方の部分からのリン光が可能であることである。純粋に有機の分子(この場合には金属錯体に対向する)は通常、蛍光である。これは、担体の再結合が有機分子上で起こり、エネルギー移動が起こらない場合に、効率の低下を引き起こす。他の利点は、金属錯体を使用することによって、荷電エミッターを得ることが容易なことである。最後に、錯体における電荷は通常「内部」にあり、すなわち、特に八面体錯体の場合には、荷電金属イオンが配位子によって既に取り囲まれているのに対して、有機分子においては、電荷は通常、荷電置換基のグラフト化から生じるため、その周辺にある。静電引力は電荷間の距離に非常に依存することから、有機分子が使用される場合、より強い相互作用が予想され、白色光発光のために、より多くのポリマーまたはより強い電場が分離されることが必要である。適切な金属MまたはMの例は、イリジウム、ルテニウム、ロジウム、レニウム、白金、金、オスミウム、亜鉛、カドミウム、水銀、銅または銀の発光荷電錯体である。好ましい金属MまたはMは、イリジウム、ルテニウム、ロジウム、レニウム、白金、金、オスミウムの発光荷電錯体である。
【0044】
金属発光カチオンの例を以下に示す:
【化1−1】

【化1−2】

【化1−3】

式中、R1〜R6は、以下のR〜R42およびR63〜R66のいずれかで定義される置換基である。
【0045】
好ましくは、上記で定義される錯塩が使用され:
1)Mは、D(X)(Y)またはD(X)Zを意味し、
式中、Dは、Ir、Ru、OsおよびRhからなる群から選択される金属イオンを表し;
Xは互いに独立してそれぞれが、一般式IまたはIa
【化2】

の化合物を表し、
但し、一般式Iの化合物は、sp混成炭素原子1個とsp混成窒素原子1個を介してDに配位し、一般式Iaの化合物は、sp混成窒素原子2個を介してDに配位し;
上記式中、Rは、F、Cl、−O−アルキル、−C(=O)−O−アルキル、−C(=O)−CF、−CF、−CN、アルキルおよびHからなる群から選択される部位を意味し;または
およびRは一体となって、−CH=CH−CH=CH−を表し;
は、−O−アルキル、F、Cl、Br、−C(=O)−O−アルキル、−C(=O)−CF、−CF、−CN、アルキルおよびHからなる群から選択される部位を意味し;または
およびRは一体となって、−CH=CH−CH=CH−を表し;
は、−C(=O)−O−アルキル、H、−C(=O)−CF、−CF、−CN、アルキル、−O−アルキル、−N(アルキル)および−N(アルキル)からなる群から選択される部位を意味し;または
およびRは一体となって、−CH=CH−CH=CH−を表し;
は、−C(=O)−O−アルキル、−C(=O)−CF、−O−アルキル、アルキル、H、F、ClおよびBrからなる群から選択される部位を意味し;または
およびRは一体となって、−CH=CH−を表し;
は、−C(=O)−O−アルキル、−C(=O)−CF、−O−アルキル、アルキル、H、F、ClおよびBrからなる群から選択される部位を意味し;または
およびRは一体となって、−CH=CH−CH=CH−または−CH−CH=CH−CH−を表し;
は、H、アルキル、−O−アルキル、フェニル、−C(=O)−O−アルキル、−CF、−C(=O)−CF、−CN、−N(アルキル)および−N(アルキル)からなる群から選択される部位を意味し;または
およびRは一体となって、−CH=CH−CH=CH−または−CH−CH=CH−CH−を表し;
は、H、F、Cl、Br、−CN、−CF、−O−アルキル、アルキル、−C(=O)−O−アルキルおよび−C(=O)−CFからなる群から選択される部位を意味し;または
およびRは一体となって、−CH=CH−CH=CH−を表し;
は、−CN、−CF、−C(=O)−CF、−C(=O)−O−アルキル、O−アルキル、アルキル、H、F、ClおよびBrからなる群から選択される部位を意味し;
Yは互いに独立してそれぞれが、F、Cl、Br、CH、−O−アルキル、OH、−CN、−OCNおよび−SCNからなる群から選択される部位を表し;
Zは、一般式IIまたはIIa
【化3】

の化合物を表し、
式中、R、R10、R11およびR12は互いに独立してそれぞれが、−C(=O)−O−アルキル、アルキル、フェニル、H、−N(アルキル)、F、Cl、Br、−O−アルキルおよび−CFからなる群から選択される部位を表し;
但し、一般式IIおよびIIaの化合物は、sp混成窒素原子2個を介してDに配位子;または
2)MはFTLを意味し、
式中、Fは、PtおよびAuからなる群から選択される金属イオンを表し;
Tは、一般式III、IIIaまたはIIIb
【化4】

の化合物を表し、
但し、一般式IIIおよびIIIbの化合物は、sp混成炭素原子1個およびsp混成窒素原子2個を介してFに配位し、かつ一般式IIIの化合物は、sp混成窒素原子3個を介してFに配位し;
上記式中、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32およびR33は互いに独立してそれぞれが、F、Cl、−CN、−C(=O)−O−アルキル、アルキル、−O−アルキル、フェニル、H、−N(アルキル)および−CFからなる群から選択される部位を表し;
Lは、CO、−N(アルキル)、−NH(アルキル)、F、Cl、Br、I、CN、OCN、−O−アルキル、−OHおよびSCNからなる群から選択される配位子を表し;または
3)MはG(U)を意味し、
式中、Gは、Ir、Ru、OsおよびRhからなる群から選択される金属イオンを表し;
Uは互いに独立してそれぞれが、一般式IV、IVaまたはIVb
【化5】

の化合物を表し、
但し、一般式IVaおよびIVbの化合物は、sp混成炭素原子1個およびsp混成窒素原子2個を介してGに配位し、かつ一般式IVの化合物は、sp混成窒素原子3個を介してGに配位し;
上記式中、R34、R35、R36、R37、R38、R39、R40、R41およびR42は互いに独立してそれぞれが、−O−アルキル、F、Cl、−CN、−C(=O)−O−アルキル、アルキル、フェニル、H、−N(アルキル)および−CFを表し;または
4)Mは一般式CuPの化合物を意味し、
式中、Pは互いに独立してそれぞれが、一般式IXまたはX
【化6】

の化合物を表し、
式中、R63、R64、R65およびR66は互いに独立して、それぞれがF、Cl、−CN、−C(=O)−O−アルキル、アルキル、−O−アルキル、フェニル、H、−N(アルキル)および−CFからなる群から選択される部位を意味し;
但し、一般式IXおよびXの化合物は、sp混成窒素原子2個を介してCuに配位し;および/または
5)MはE(W)Sを意味し、
式中、Eは、Ir、Ru、OsおよびRhからなる群から選択される金属イオンを表し;
Wは互いに独立してそれぞれが、一般式I’またはIa’
【化7】

の化合物を表し、
但し、一般式I’の化合物は、sp混成炭素原子1個およびsp混成窒素原子1個を介してEに配位し、かつ一般式Ia’の化合物は、sp混成窒素原子2個を介してEに配位し;
上記式中、R13は、F、Cl、−O−アルキル、−C(=O)−O−アルキル、−C(=O)−CF、−CF、−CN、アルキルおよびHからなる群から選択される部位を意味し;または
13およびR14が一体となって、−CH=CH−CH=CH−を表し;
14は、−C(=O)−O−アルキル、−C(=O)−CF、−CF、−CN、−O−アルキル、F、Cl、BrおよびHからなる群から選択される部位を意味し;または
14およびR15が一体となって、−CH=CH−CH=CH−を表し;
15は、−C(=O)−O−アルキル、H、−C(=O)−CF、−CF、−CN、アルキル、−O−アルキル、−N(アルキル)および−N(アルキル)からなる群から選択される部位を意味し;または
15およびR16が一体となって、−CH=CH−CH=CH−を表し;
16は、H、F、Cl、−CN、−CF、アルキル、−O−アルキルおよびBrからなる群から選択される部位を意味し;または
16およびR17が一体となって、−CH=CH−を表し;
17は、H、−O−アルキル、アルキル、−CN、−CF、F、ClおよびBrからなる群から選択される部位を意味し;または
17およびR18が一体となって、−CH=CH−CH=CH−または−CH−CH=CH−CH−を表し;
18は、H、アルキル、−O−アルキル、フェニル、−C(=O)−O−アルキル、−CF、−C(=O)−CF、−CN、−N(アルキル)および−N(アルキル)からなる群から選択される部位を意味し;または
18およびR19が一体となって、−CH=CH−CH=CH−または−CH−CH=CH−CH−を表し;
19は、H、−O−アルキル、アルキル、−CN、−CF、−C(=O)−CF、F、ClおよびBrからなる群から選択される部位を意味し;または
19およびR20が一体となって、−CH=CH−CH=CH−を表し;
20は、−O−アルキル、アルキル、−CN、−CF、−C(=O)−CF、F、ClおよびBrからなる群から選択される部位を意味し;
Sは、一般式II’またはIIa’
【化8】

の化合物を表し、
式中、R21、R22、R23およびR24は互いに独立してそれぞれが、H、−C(=O)−O−アルキル、アルキル、−O−アルキル、−CN、フェニル、H、−N(アルキル)および−CFからなる群から選択される部位を表す。
【0046】
本明細書で定義される式のいずれかにおける部位のいずれかがフェニルを表す場合、前記フェニルラジカルは、未置換であるか、または1つまたは複数の置換基で置換されており、好ましくは未置換であるか、または1、2、3、4または5個の置換基で任意に置換されている。前記置換基は好ましくは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、s−ブチル、イソブチル、n−ペンチル、−O−CH、−O−C、−O−CH−CH−CH、−O−CH(CH、−O−C(CH、−C(=O)−OH、−C(=O)−O−CH、−C(=O)−O−C、−C(=O)−O−CH−CH−CH、−C(=O)−O−CH(CH、−C(=O)−O−C(CH、F、Cl、Br、I、−CN、−CF、−O−CF、−S−CF、−OH、−SH、−NH、−NH−CH、−NH−C、−NH−CH−CH−CH、−NH−CH(CH、−NO、−CHO、−CFH、−CFH、−C(O)−NH、−C(=O)−NH−CHおよび−S(=O)−CHからなる群から独立して選択される。
【0047】
本明細書で定義される式のいずれかにおける部位のいずれかが、アルキルラジカル、好ましくはC1−10アルキルラジカル、さらに好ましくはC1−5アルキルラジカルを表す場合、前記アルキルは、未置換であるか、または1つまたは複数の置換基で置換されており、好ましくは未置換であるか、または1、2、3、4または5個の置換基で任意に置換されている。前記置換基は好ましくは、−O−CH、−O−C、−O−CH(CH、−O−C(CH、−CN、−CF、−OCF、−SCF、−OH、−SH、−NH、−NH−CH、−NH−C、−NH−CH−CH−CH、−NH−CH(CH、−NH−C(CH、−N(CHおよび−N(Cからなる群から独立して選択される。
【0048】
1つまたは複数の置換基によって置換されていてもよい、適切なアルキルラジカルは好ましくは、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチルおよびネオペンチルからなる群から選択される。
【0049】
上述の式において、Lは好ましくは、一酸化炭素(CO)、アミン(NR)、イミン(RN=CR)、ピリジン、ホスファン(PR)、アルサン(AsR)、ニトリル(RCN)、イソニトリル(RNC)、エーテル(ROR)、ジスルフィド(RSR)およびジセレニド(RSeR)からなる群から選択される中性単座配位子である。
【0050】
上述の式において、Lは、好ましくはハロゲン化物イオン(F、Cl、Br、I)、擬ハロゲン化物イオン(CN、OCN、SCN)、アルキルアニオン(CH)、アリールアニオン(Ph)、アルコレート(RO)、チオレート(RS)および水酸化物イオン(OH)からなる群から選択されるアニオン配位子であることもできる。
【0051】
さらに好ましくは、金属錯体が使用され、
1)MはD(X)(Y)またはD(X)Zを意味し、
式中、Dは、Ir(III)、Ru(II)、Os(II)およびRh(III)からなる群から選択される金属イオンを表し;
Xは互いに独立してそれぞれが、一般式IまたはIa
【化9】

の化合物を表し、
但し、一般式Iの化合物は、sp混成炭素原子1個およびsp混成窒素原子1個を介してDに配位し、かつ一般式Iaの化合物は、sp混成窒素原子2個を介してDに配位し;
上記式中、Rは、−C(=O)−O−アルキル、−C(=O)−CF、−CF、−CN、アルキルおよびHからなる群から選択される部位を意味し;
は、−O−アルキル、F、Cl、BrおよびHからなる群から選択される部位を意味し;または
およびRが一体となって、−CH=CH−CH=CH−を表し;
は、−C(=O)−O−アルキル、H、−C(=O)−CF、−CF、−CN、アルキル、−O−アルキル、−N(アルキル)および−N(アルキル)からなる群から選択される部位を意味し;または
およびRが一体となって、−CH=CH−CH=CH−を表し;
は、H、F、ClおよびBrからなる群から選択される部位を意味し;または
およびRが一体となって、−CH=CH−を表し;
は、H、F、ClおよびBrからなる群から選択される部位を意味し;または
およびRが一体となって、−CH=CH−CH=CH−または−CH−CH=CH−CH−を表し;
は、H、アルキル、−O−アルキル、フェニル、−C(=O)−O−アルキル、−CF、−C(=O)−CF、−CN、−N(アルキル)および−N(アルキル)からなる群から選択される部位を意味し;または
およびRが一体となって、−CH=CH−CH=CH−または−CH−CH=CH−CH−を表し;
は、H、F、ClおよびBrからなる群から選択される部位を意味し;または
およびRが一体となって、−CH=CH−CH=CH−を表し;
は、H、F、ClおよびBrからなる群から選択される部位を意味し;
Yは互いに独立してそれぞれが、−CN、−OCNおよび−SCNからなる群から選択される部位を表し;
Zは、一般式IIまたはIIa
【化10】

の化合物を表し、
式中、R、R10、R11およびR12は互いに独立してそれぞれが、−C(=O)−O−アルキル、アルキル、フェニル、H、−N(アルキル)および−CFからなる群から選択される部位を表し;
但し、一般式IIおよびIIaの化合物は、sp混成窒素原子2個を介してDに配位し;または
2)MはFTLを意味し、
式中、Fは、Pt(II)、Au(I)およびAu(III)からなる群から選択される金属イオンを表し;
Tは、一般式III、IIIaまたはIIIb
【化11】

の化合物を表し、
但し、一般式IIIaおよびIIIbの化合物は、sp混成炭素原子1個およびsp混成窒素原子2個を介してFに配位し、かつ一般式IIIの化合物は、sp混成窒素原子3個を介してFに配位し;
上記式中、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32およびR33は互いに独立してそれぞれが、F、Cl、−CN、−C(=O)−O−アルキル、アルキル、フェニル、H、−N(アルキル)および−CFからなる群から選択される部位を表し;
Lは、CO、−NH(アルキル)、−NH(アルキル)、F、Cl、Br、I、CN、OCNおよびSCNからなる群から選択される配位子を表し;または
3)MはG(U)を意味し、
式中、Gは、Ir(III)、Ru(II)、Os(II)およびRh(III)からなる群から選択される金属イオンを表し;
Uは互いに独立してそれぞれが、一般式IV、IVaまたはIVb
【化12】

の化合物を表し、
但し、一般式IVaおよびIVbの化合物は、sp混成炭素原子1個およびsp混成窒素原子2個を介してGに配位し、かつ一般式IVの化合物は、sp混成窒素原子3個を介してGに配位し;
上記式中、R34、R35、R36、R37、R38、R39、R40、R41およびR42は互いに独立してそれぞれが、H、F、Cl、−CN、−C(=O)−O−アルキル、アルキル、フェニル、H、−N(アルキル)および−CFからなる群から選択される部位を表し;および/または
4)MはE(W)Sを意味し、
式中、Eは、Ir(III)、Ru(II)、Os(II)およびRh(III)からなる群から選択される金属イオンを表し;
Wは互いに独立してそれぞれが、一般式I’またはIa’
【化13】

の化合物を表し、
但し、一般式I’の化合物は、sp混成炭素1個およびsp混成窒素原子1個を介してEに配位し、かつ一般式Ia’の化合物は、sp混成窒素原子2個を介してEに配位し;
上記式中、R13は、−C(=O)−O−アルキル、−C(=O)−CF、−CF、−CN、アルキルおよびHからなる群から選択される部位を意味し;
14は、−O−アルキル、F、Cl、BrおよびHからなる群から選択される部位を意味し;または
14およびR15が一体となって、−CH=CH−CH=CH−を表し;
15は、−C(=O)−O−アルキル、H、−C(=O)−CF、−CF、−CN、アルキル、−O−アルキル、−N(アルキル)および−N(アルキル)からなる群から選択される部位を意味し;または
15およびR16が一体となって、−CH=CH−CH=CH−を表し;
16は、H、F、ClおよびBrからなる群から選択される部位を意味し;または
16およびR17が一体となって、−CH=CH−を表し;
17は、H、F、ClおよびBrからなる群から選択される部位を意味し;または
17およびR18が一体となって、−CH=CH−CH=CH−または−CH−CH=CH−CH−を表し;
18は、H、アルキル、−O−アルキル、フェニル、−C(=O)−O−アルキル、−CF、−C(=O)−CF、−CN、−N(アルキル)および−N(アルキル)からなる群から選択される部位を意味し;または
18およびR19が一体となって、−CH=CH−CH=CH−または−CH−CH=CH−CH−を表し;
19は、H、F、ClおよびBrからなる群から選択される部位を意味し;または
19およびR20が一体となって、−CH=CH−CH=CH−を表し;
20は、H、F、ClおよびBrからなる群から選択される部位を意味し;
Sは、一般式II’またはIIa’
【化14】

の化合物を表し、
式中、R21、R22、R23およびR24は互いに独立してそれぞれがH、−C(=O)−O−アルキル、アルキル、フェニル、H、−N(アルキル)および−CFからなる群から選択される部位を表す。
【0052】
他の実施形態において、[Mm+]および[Mn−]のうちの1つが発光有機非金属イオンである。好ましくは、発光有機非金属イオンは、小分子または最大10個の反復単位を有するオリゴマーであり、つまりポリマーではない。
【0053】
発光有機非金属イオンの例は、イオン性基で置換された発光有機非金属分子である。
【0054】
発光有機非金属イオンの非制限的な例は、アントラセン、テトラセン、フタロシアニン、キサンテン、ペリレン、ピレン、ルブレン、クマリン、ローダミン、ポルフィリン、コリン、キノリン、キナクリドン、ジシアノメチレンピラン、シアニン、アゾ染料、カルボニル染料、ポリエン、ポリメチン、チオピラン、ピリリウム、チアピリリウム、フルオレン、オリゴフルオレン、インデノフルオレン、オリゴインデノフルオレン、ペリフランテン、インデノペリレン、ビス(アジニル)アミンホウ素、ビス(アジニル)メタン、フルオレセイン、カルボスチリル、アントラキノンおよびボレートのイオン性誘導体である。これらの発光有機非金属分子の誘導体にイオン性を与え得る置換基は、例えば、SO、SO、COO、−NR(式中、Rがそれぞれ独立して、例えばC−CアルキルまたはC−C10アリールを表す)である。発光色の広いバリエーションが、かかる誘導体から置換パターンの関数で得ることができる。
【0055】
赤色発光有機非金属カチオンMのファミリーの非制限的な例は、以下の式V
【化15】

(式中、R43およびR44は互いに独立してそれぞれが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチルおよびn−ペンチルからなる群から選択される部位を意味し;
45、R46、R47およびR48は互いに独立してそれぞれが、H、メチル、−O−メチル、F、ClおよびBrからなる群から選択される部位を意味する)
によるペリレン誘導体であり;
具体的な例は、
【化16】

である。
【0056】
赤色発光有機非金属アニオンMのファミリーの非制限的な例は、以下の式VI
【化17】

(式中、R49、R50、R51およびR52は互いに独立してそれぞれが、H、メチル、−O−メチル、F、ClおよびBrからなる群から選択される部位を意味する)
によるペリレン誘導体であり;
具体的な例は、
【化18】

である。
【0057】
青色発光有機非金属カチオンMのファミリーの非制限的な例は、以下の式VII:
【化19】

(式中、R53、R54、R55、R56、R57およびR58は互いに独立してそれぞれが、H、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、n−ペンチルからなる群から選択される部位を意味し;
59およびR60は互いに独立してそれぞれが、n−ペンチル、ネオペンチル、イソペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチルまたはエチルエキシルからなる群から選択される部位を意味する)によるフルオレン誘導体である。
【0058】
具体的な例は:
【化20】

である。
【0059】
青色発光有機非金属アニオンMのファミリーの非制限的な例は、以下の式VIII:
【化21】

(式中、R61およびR62は互いに独立してそれぞれが、n−ペンチル、ネオペンチル、イソペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチルまたはエチルヘキシルからなる群から選択される部位を意味する)によるフルオレン誘導体である。
【0060】
具体的な例は:
【化22】

である。
【0061】
本発明の実施形態による錯塩の数例を以下に示す:
【化23−1】

【化23−2】

【0062】
本発明の第1の態様の実施形態において接着性向上剤が、発光材料の組成に含まれる。かかる接着性向上剤は当業者にはよく知られている。無機LEDまたは蛍光灯のガラス管の場合など、基材をコーティングするために発光材料が使用される場合に、これは特に有利である。
【0063】
第2の態様において、本発明は、発光材料、特に本発明の第1の態様による錯塩を製造する方法に関する。
【0064】
第2の態様の実施形態において、本発明は、請求項1から11のいずれかに開示される錯塩を製造する方法であって、一般式[Mm+(式中、Mは、請求項1から4のいずれかに従って定義され、Aは、Cl、Br、PF、BFおよびFからなる群から選択されるアニオンを意味する)の少なくとも1種類の塩を一般式[Mn−(式中、Mは、上記で示される通りに定義され、Cは、Na、K、LiおよびNRからなる群から選択されるカチオンを意味し、Rは互いに独立してそれぞれが、Hまたはアルキルを意味する)の少なくとも1種類の塩と、任意に少なくとも1種類の溶媒の存在下にて、範囲10〜50℃、好ましくは15〜30℃の温度にて反応させて、任意に精製かつ/または単離される一般式[Mm+[Mn−の金属錯体が得られることを特徴とする方法に関する。好ましくは、CはKであり、かつ/または溶媒は、メタノール、エタノール、水およびその混合物からなる群から選択される極性非プロトン性溶媒である。
【0065】
一般式[Mm+および一般式[Mn−の化合物の合成は、特にM.K.Nazeeruddin et al.,J.Am.Chem.SoC.2003,125,8790およびM.K.Nazeeruddin et al.,Inorg.Chem.2007,46,5989に記述されている。
【0066】
この開示内容の相当部分は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0067】
第3の態様において、本発明は、本発明の第1の態様による発光材料を含む、またはからなる発光層を含む発光素子に関する。
【0068】
さらに好ましくは、発光層は、300および500nmの波長で励起した場合に、または前記発光層に電圧をかけた場合に、範囲(0.200,0.200)〜(0.550,0.500)のCIE1931座標(x,y)を有する光を発光することができる。
【0069】
実施形態において、発光素子は有機発光素子である。有機発光素子は一般に:
・基材(好ましくは、透明基材)、
・第1の導電性層(好ましくは、透明導電性層)、
・任意に、1つまたは複数の正孔輸送および/または正孔注入および/または電子ブロック層、
・1つまたは複数の発光層、
・任意に、1つまたは複数の電子輸送および/または電子注入、およびブロック層、
・第2の導電性層
を含む。
【0070】
基材は、1種類の材料または1種類を超える材料で形成される。基材は、有機または無機、平面または非平面であることができる。適切な無機基材の例は、ガラスおよび石英である。適切な有機基材の例は、限定されないが、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)およびポリカーボネートなどの透明ポリマーである。基材は剛性または可撓性であることができる。
【0071】
第1の導電性層は、陽極の役割を果たす。一般的な例は酸化インジウムスズ(ITO)である。他の例は、例えばSnまたはFをドープされた酸化スズである。
【0072】
正孔注入層(または正孔輸送層もしくは電子ブロック層)に利用可能な材料は当業者にはよく知られており、例えば、ポリアニリン(「PANI」)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(「PEDOT」)、ポリピロール、種々のトリアリールアミンおよびカルバゾール、例えば4,4’−ビス[N−(ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル(α−NPD)、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ジフェニル−[1,1’−ビフェニル]4,4’ジアミン(TPD)、4,4’−ビス[N−(2−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル(β−NPD)、4,4’,4’’−トリス(3−メチルフェニルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(MTDATA)、4,4’−N,N’−ジカルバゾール−ビフェニル(CBP)、N,N’,N’’−1,3,5−トリカルバゾリルベンゼン(tCP)および4,4’,4’’−トリス(N−カルバゾリル)−トリスフェニルアミン(TCTA)が挙げられる。さらに、p型ドーピングを用いてもよく、例えばテトラチアフルバレンテトラシアノキノジメタン(「TTF−TCNQ」))、2,3,5,6−テトラフルオロ−7,7,8,8−テトラシアノ−キノジメタン(F4−TCNQ)などの電子受容体、ならびに特に酸化モリブデン、酸化バナジウム、および酸化タングステンなどの高仕事関数の金属酸化物が組み込まれる。
【0073】
素子はさらに、発光層と正孔輸送層の間に電子ブロック層を含み得る。この実施形態は、発光層が電子伝導層である場合に好ましい。
【0074】
本発明の実施形態において、その1つまたは複数の発光層は好ましくは、本発明の第3の態様で定義される発光材料を含む、またはからなる単一発光層である。
【0075】
電子注入層(または電子伝導層もしくは正孔ブロック層)に利用可能な材料は当業者にはよく知られており、例えば、金属キレート化オキシノイド化合物(例えば、Alq3またはアルミニウム(III)ビス(2−メチル−8−キノリナト)4−フェニルフェノレート(「BAlq」));フェナントロリンをベースとする化合物(例えば、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(「DDPA」)または9,10−ジフェニルアントラセン(「DPA」));アゾール化合物(例えば、2−t−ブチルフェニル−5−ビフェニル−1,3,4−オキサジアゾール(「PBD」)または3−(4−ビフェニル)−4−フェニル−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,2,4−トリアゾール(「TAZ」);ジフェニルアントラセン誘導体;ジナフチルアントラセン誘導体;4,4−ビス(2,2−ジフェニル−エテン−1−イル)−ビフェニル(「DPVBI」);9,10−ジ−β−ナフチルアントラセン;9,10−ジ−(ナフェンチル(naphenthyl))アントラセン;9,10−ジ−(2−ナフチル)アントラセン(「ADN」);4,4’−ビス(カルバゾール−9−イル)ビフェニル(「CBP」);9,10−ビス−[4−(2,2−ジフェニルビニル)−フェニル]−アントラセン(「BDPVPA」);アントラセン、N−アリールベンズイミドアゾール(「TPBI」など);1,4−ビス[2−(9−エチル−3−カルバゾイル)ビニレニル]ベンゼン;4,4’−ビス[2−(9−エチル−3−カルバゾイル)ビニレニル]−1,1’−ビフェニル;9,10−ビス[2,2−(9,9−フルオレニレン)ビニレニル]アントラセン;1,4−ビス[2,2−(9,9−フルオレニレン)ビニレニル]ベンゼン;4,4’−ビス[2,2−(9,9−フルオレニレン)ビニレニル]−1,1’−ビフェニル;ペリレン、置換ペリレン;テトラ−t−ブチルペリレン(「TBPe」);ビス(3,5−ジフルオロ−2−(2−ピリジル)フェニル−(2−カルボキシピリジル)イリジウムIII(「F(Ir)Pic」)、ピレン、置換ピレン;スチリルアミン;フッ化フェニレン;オキシドアゾール;1,8−ナフタルイミド;ポリキノリン;ならびに低仕事関数の金属酸化物、特に酸化チタンおよび酸化亜鉛などが挙げられる。
【0076】
素子はさらに、発光層と電子輸送層の間の正孔ブロック層を含み得る。この実施形態は、発光層が正孔伝導層である場合に好ましい。正孔ブロック層の一例は、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(バトクプロイン(BCP)とも呼ばれる)である。
【0077】
第2伝導層は陰極の役割を果たし、一般には、特にAl、Ag、Ba、Caおよびその組み合わせなどの金属陰極である。
【0078】
本発明の実施形態において、発光素子はさらに、250〜500nm、好ましくは300〜450nmの波長で光を発することができる光源を含む。例えば、本発明の実施形態による発光素子は、蛍光灯であることができ、そのガス充填管は、本発明の第1の態様による蛍光体を含む発光材料でコーティングされている。本発明の実施形態による発光素子の他の例は、本発明の第1の態様による発光材料の層を含む、先行技術の有機もしくは無機青色または近紫外LEDを含む。有機LED(OLED)の場合には、本発明の第1の態様による発光材料は例えば、多層(例えば、二層)OLED構造の上層を形成する。無機LEDの場合には、本発明の第1の態様による発光材料は、レンズ上および/またはLEDを囲む透明ケース(好ましくは、その内側)上にコーティングされる。この目的のために、例えば、Le Group Fox,Inc.から市販されている360nmで発光する5mm紫外LEDを使用することができる。
【実施例】
【0079】
一般式[Mm+[Mn−の錯塩を製造する基本手順
(a)一般式[Mm+[Ap−の塩(式中、Mは、上記で示される通りに定義され、Aは、非発光対アニオン(例えば、Cl、Br、PF、BFおよびF、好ましくはCl)であり、mx=pwである)、および
(b)一般式[Mn−[Cq+の塩(式中、Mは、上記で示される通りに定義され、Cは、非発光対アニオン(例えば、Na、K、LiおよびNR、好ましくはK)であり、ny=qzである)
を、例えばメタノールなどの適切な溶媒に別々に溶解し、続いて両方の溶液を合わせる。錯塩用の非溶媒(例えば、水)を適切な量で添加し(溶媒(例えば、メタノール)の約5倍の量(体積)が通常、適切な量である)、溶媒(例えば、メタノール)を除去する(例えば、減圧下にて蒸発させる)。沈殿物を単離し(例えば、濾過し)、精製する(例えば、適切な溶離剤(例えば、メタノール)を使用してSephadexカラムで)。必要な場合には、例えば、非溶媒(例えば、ヘキサン)を有する適切な溶媒中(例えば、ジクロロメタン)の所望の錯体[Mm+[Mn−の溶液をゆっくりと沈殿させることによって、または前記の適切な溶媒中の所望の錯体[Mm+[Mn−の溶液から適切な溶媒(例えば、メタノール)をゆっくりと蒸発させることによって、更なる精製を行うことができる。
【0080】
EB123の合成
【化24】

EB123は、メタノールとジクロロメタンの溶媒混合物中の相当するクロリル架橋イリジウム二量体錯体をKCNの存在下で還流することによって得られた。溶媒を蒸発させ、粗製残留物をメタノールに溶解した。水を添加し、沈殿物を濾過し、水で洗浄し、乾燥させて、錯体EB123を得た。
【0081】
EBPPbpの合成
【化25】

少し修正を加えて、M.K.Nazeeruddin et al.,Inorg.Chem.2007,46,5989に従って、この化合物を合成した:ジクロロメタン中の相当するクロリル架橋イリジウム二量体錯体をピリジンの存在下にて還流した後、溶媒を乾燥状態まで蒸発させた。粗製混合物を最小限の量のジクロロメタンに溶解し、ジエチルエーテルで沈殿させた。沈殿物を濾過し、ジエチルエーテルで洗浄し、乾燥させて、塩化物塩として錯体EBPPbpを得た。
【0082】
EB124の合成
【化26】

メタノール中のEB123とEBPPbp(比1:1)の混合物に水を添加した。メタノールを蒸発させて、沈殿物を濾過し、乾燥させ、Sephadexで精製した。このようにして得られた固形物を最小限の量のジクロロメタンに溶解し、ジエチルエーテルに注いだ。濾過し、乾燥させた後、淡いオレンジ色の固体として、EB124を得た。
H NMR(CDCl,400MHz)9.78(2H,d);9.17(2H,d);8.21(4H,d);7.98(2H,d);7.93(2H,d);7.77(2H,t);7.71(2H,d);7.66(2H,t);7.51(2H,d),7.37(2H,t);7.08(2H,t),7.02(2H,t);6.96(4H,t);6.31(2H,d);6.23(2H,t);5.75(2H,d)。
【0083】
EB87の合成
【化27】

EB123の合成に関して上述される手順と同じ手順でIr(2−フェニルピリジン)CNKを合成した。Angew.Chem.Int.Ed.2009,48,9277で報告されるように、Ru(4,7−ジフェニルフェナントロリン)Clを合成した。Ir(2−フェニルピリジン)CNKおよびRu(4,7−ジフェニルフェナントロリン)Clと共にEB124に関して上述される手順と同じ手順を適用して、EB87を合成し、赤みがかったオレンジ色の固体として得た。
H NMR(400MHz,CDCl):d9.56(4H,d);8.72(6H,d);8.10(6H,s);7.65−7.41(44H,m);7.37(4H,t);6.72(4H,t);6.62(4H,t);6.34(4H,t)6.18(4H,d)。
【0084】
EB265
a)ローダミンBメチルエステルの合成
【化28】

ローダミンB(250mg)をメタノールに溶解した。塩化アセチル(3mL)をその溶液に一滴ずつ添加し、アルゴン雰囲気下にて混合物を50℃に加熱した。24時間後、塩化アセチル(3mL)を一滴ずつ添加し、混合物をさらに24時間加熱した。溶液を乾燥状態まで蒸発させ、CHCl/EtOで溶離されるシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。
【0085】
b)EB265の合成
【化29】

ローダミンBメチルエステルおよびEB123と共にEB124に関して上述される手順と同じ手順を適用し、EB265を合成し、桃色がかった紫色の固体として得た。
H NMR(400MHz,dmso−d6):d9.47(2H,d);8.20(3H,m);8.02(2H,t);7.87(1H,t);7.78(1H,t);7.42(3H,m);7.05−6.93(6H,m);6.54(2H,t);5.48(2H,dd);3.76(11H,m);1.24(12H,s)。
【0086】
合成EB266
a)EB230の合成
【化30】

EBPPbpに関して上述される同じ手順(少し修正を加えて、M.K.Nazeeruddin et al.,Inorg.Chem.2007,46,5989に従った)を適用し、薄緑がかった淡黄色の固体としてEB230を得た。
H NMR(400MHz,CDCl):d9.41(2H,d);8.36(2H,d);7.94(2H,d);7.45(2H,dd);6.95(2H,d);6.66(2H,dt);6.64(2H,t);5.71(2H,dd);1.56(18H,sb)。
【0087】
b)N947の合成
【化31】

Ir(ppy)(NCS)TBAに関して上述され、かつ[Ir(2−フェニル−4−COOMe−ピリジン)Cl](ChemSusChem,2009,2,305に記述されるように合成された)で開始する同じ手順を適用し、NおよびS配位種の混合物としてN947を得た。
【0088】
c)EB266の合成
【化32】

TBA対カチオンのため、予試験工程が追加して、EB124に関して上述される同じ合成手順を適用した:EB230およびN947をメタノール/CHCl混合物に可溶化し、水を添加する前、かつメタノールを蒸発させる前に、ジクロロメタンを蒸発させた。オレンジ色の固体としてEB266を得た。
H NMR(400MHz,CDCl):d10.09(2H,d);9.57(2H,d);9.29(2H,d);9.21(2H,d);8.92(6H,bs);8.44(6H,d);8.32(6H,d);7.93(6H,d);7.79(2H,d);7.75−7.55(8H,m);7.46(8H,m);7.08(6H,bs);6.88(4H,m);6.82−6.55(18H,m);6.12(4H,m);6.02(2H,d);5.71(6H,d);4.14(6H,s);4.13(3H,s);4.12(3H,s);4.06(6H,s);1.53(54H,s)。
【0089】
EB267の合成:
a)EB206(H)の合成
【化33】

以前に報告されているように、EB206(H)を合成した(ChemSusChem,2009,2,305):水酸化テトラブチルアンモニウム20当量と共にメタノール中で相当するメチルエステルEB206を室温にて一晩攪拌した。次いで、脱イオン水を添加し、メタノールを蒸発させた。希塩酸水溶液を添加することによって、酸置換錯体を沈殿させ、濾過し、脱イオン水で洗浄し、溶離液としてメタノールを用いた、親油性Sephadex(登録商標)カラムで精製した。
H NMR(400MHz;DMF−d7):δ9.18(2H,s);8.81(2H,d);8.78(2H,d);8.61(2H,d);8.18(2H,d);7.78(2H,t);7.62(2H,t);7.52(2H,dd);7.28(2H,t);6.65(2H,t);6.26(2H,dd);5.27(1H,s);1.72(6H,s)。
【0090】
b)EB267の合成
【化34】

EB206(H)を0.1M NaOH水溶液に溶解し、EB230を粉末として添加した。溶液が得られるまで、メタノールを懸濁液に添加した。次いで、沈殿するまで、水を添加した。濾過し、続いて水で洗浄することによって、淡赤色の固体が得られた。溶離液としてメタノールを用いた、親油性Sephadex(登録商標)カラムで、その固体を精製した。最初の画分を蒸発させ、最小限の量のメタノールに可溶化し、エーテルに注いだ。沈殿物を濾過し、エーテルで洗浄した。
H NMR(400MHz;CDOD):δ9.11(2H,s);8.80(2H,d);8.73(4H,d);8.63(2H,d);8.53(4H,d);8.41(2H,d);8.04(4H,d);7.94(2H,d);7.64(4H,dd);7.50(2H,t);7.29(2H,dd);7.16(2H.dt);7.10(4H,d);6.82(4H,ddd);6.67(4H,t);6.54(2H,t);6.29(2H,d);5.72(4H,dd);5.19(1H,s);1.72(6H,s);1.47(36H,s)。
【0091】
EB123(破線)、EBPPbp(四角)、EB124(丸)のDMSOにおける吸収スペクトル、およびEBPPbpのスペクトルへのEB123のスペクトルの追加を図1に示す。EB124の吸収スペクトルは、EB123とEBPPbpの吸収スペクトルの合計に非常に近い。これは、それらの基底状態での両方の部位間の相互作用が全くないか、または低く、化学量論が1:1であることを意味している。
【0092】
図2は、350nmでの励起の下での、非脱気DMSOにおけるEB123の発光スペクトルを示す。それは、484nm(実線)で最大発光を有する青色光を発する。454nmで追跡された吸収(バツ印)および励起スペクトル(丸)も示す。中間の高さでのラインの幅。
【0093】
(FWMH)は81nmに等しい。x色度座標(CIE1931)は0.169に等しい。y色度座標(CIE1931)は0.291に等しい。
【0094】
図3は、350nmでの励起の下での、非脱気DMSOにおけるEBPPbpの発光スペクトルを示す。それは、607nm(実線)で最大発光を有するオレンジ色を発する。607nmで追跡された吸収(バツ印)および励起スペクトル(丸)も示す。FWMHは119nmに等しい。x色度座標(CIE1931)は0.555に等しい。y色度座標(CIE1931)は0.437に等しい。
【0095】
図4は、非脱気DMSO溶液におけるEB124の発光スペクトルを示す。励起は350nmで行われた。最大吸収の波長は483nmである。FWMHは224nmである。x色度座標(CIE1931)は0.374に等しい。y色度座標(CIE1931)は0.370に等しい。
【0096】
EB124およびPVPマトリックスを含む発光材料
0.25重量%または4.4重量%の量(乾燥重量)でEB124をPVP溶液に溶解した。溶液を透明基材上にコーティングした。以下のCIE1931座標:
4.4重量%のフィルムでは(0.40,0.49)
0.25重量%のフィルムでは(0.38,0.44)
を有する白色光が観察された。
【0097】
NMR分光法
Bruker AV 400分光計を使用して、NMRスペクトルを報告した。
【0098】
UV−VIS分光法
HP8452Aで紫外−可視スペクトルを測定し、紫外−可視スペクトルの測定を10−7mM〜10−4mMのDMSO溶液濃度で行った。
【0099】
フォトルミネセンス分光法
90℃の光学幾何(optical geometry)を用いて、Spex Fluorolog 112スペクトロフルオロメーターでフォトルミネセンススペクトルを測定した。フォトルミネセンススペクトルの測定(濃度10−7mM〜10−4mMでの)は、室温にてDMSO溶液中で行った。
【0100】
色度
色度座標を以下のように決定した:CIE色度座標の計算値は、各波長でのスペクトルパワーに、3つの等色関数それぞれからの重み係数を掛けることによって決定された。これらの寄与(contribution)を合計すると、X、YおよびZ値三刺激値が得られ、それから、色度座標がx=X/(X+Y+Z)およびy=Y/(X+Y+Z)と誘導される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式[Mm+[Mn−の錯塩を含む白色光発光材料であって、式中、
・xm=ynであり、
・[Mm+]および[Mn−]は、相補的発光スペクトルを有するイオン性発光部位であり、一方は可視スペクトルの青色領域で発光し、もう一方は可視スペクトルの赤色領域で発光し、かつ
およびMのうちの少なくとも1つが金属錯体である、白色光発光材料。
【請求項2】
[Mm+および[Mn−のうちの1つが、範囲550〜740nmの最大発光波長を有するその発光スペクトルを有し、もう一方が、範囲390〜550nmの最大発光波長を有するその発光スペクトルを有し、かつ前記錯塩が、範囲(0.200,0.200)〜(0.550,0.500)のCIE1931座標(x,y)を有する光を発することができる、請求項1に記載の白色光発光材料。
【請求項3】
少なくとも3.0の誘電率を有する液体、ゲルまたは固体の極性、非イオン性媒体またはポリマーをマトリックスとしてさらに含む、請求項1または2のいずれか一項に記載の白色光発光材料。
【請求項4】
前記極性、非イオン性媒体が、正孔および/または電子輸送材料である、請求項3に記載の白色光発光材料。
【請求項5】
前記極性、非イオン性媒体が、イオン性液体などのイオン性ドーパントを含む、請求項3または4のいずれか一項に記載の白色光発光材料。
【請求項6】
上記式中、Mは、D(X)(Y)、D(X)Z、FTL、G(U)およびCuPからなる群から選択され、かつ/またはMはE(W)Sであり、式中、
Dは、Ir、Ru、OsおよびRhからなる群から選択される金属イオンを表し;
Xは互いに独立してそれぞれが、一般式IまたはIa
【化1】

の化合物を表し、
但し、一般式Iの化合物は、sp混成炭素原子1個とsp混成窒素原子1個を介してDに配位し、一般式Iaの化合物は、sp混成窒素原子2個を介してDに配位し;
上記式中、Rは、F、Cl、−O−アルキル、−C(=O)−O−アルキル、−C(=O)−CF、−CF、−CN、アルキルおよびHからなる群から選択される部位を意味し;または
およびRは一体となって、−CH=CH−CH=CH−を表し;
は、−O−アルキル、F、Cl、Br、−C(=O)−O−アルキル、−C(=O)−CF、−CF、−CN、アルキルおよびHからなる群から選択される部位を意味し;または
およびRは一体となって、−CH=CH−CH=CH−を表し;
は、−C(=O)−O−アルキル、H、−C(=O)−CF、−CF、−CN、アルキル、−O−アルキル、−N(アルキル)および−N(アルキル)からなる群から選択される部位を意味し;または
およびRは一体となって、−CH=CH−CH=CH−を表し;
は、−C(=O)−O−アルキル、−C(=O)−CF、−O−アルキル、アルキル、H、F、ClおよびBrからなる群から選択される部位を意味し;または
およびRは一体となって、−CH=CH−を表し;
は、−C(=O)−O−アルキル、−C(=O)−CF、−O−アルキル、アルキル、H、F、ClおよびBrからなる群から選択される部位を意味し;または
およびRは一体となって、−CH=CH−CH=CH−または−CH−CH=CH−CH−を表し;
は、H、アルキル、−O−アルキル、フェニル、−C(=O)−O−アルキル、−CF、−C(=O)−CF、−CN、−N(アルキル)および−N(アルキル)からなる群から選択される部位を意味し;または
およびRは一体となって、−CH=CH−CH=CH−または−CH−CH=CH−CH−を表し;
は、H、F、Cl、Br、−CN、−CF、−O−アルキル、アルキル、−C(=O)−O−アルキルおよび−C(=O)−CFからなる群から選択される部位を意味し;または
およびRは一体となって、−CH=CH−CH=CH−を表し;
は、−CN、−CF、−C(=O)−CF、−C(=O)−O−アルキル、O−アルキル、アルキル、H、F、ClおよびBrからなる群から選択される部位を意味し;
Yは互いに独立してそれぞれが、F、Cl、Br、CH、−O−アルキル、OH、−CN、−OCNおよび−SCNからなる群から選択される部位を表し;
Zは、一般式IIまたはIIa
【化2】

の化合物を表し、
式中、R、R10、R11およびR12は互いに独立してそれぞれが、−C(=O)−O−アルキル、アルキル、フェニル、H、−N(アルキル)、F、Cl、Br、−O−アルキルおよび−CFからなる群から選択される部位を表し;
但し、一般式IIおよびIIaの化合物は、sp混成窒素原子2個を介してDに配位し;
Fは、PtおよびAuからなる群から選択される金属イオンを表し;
Tは、一般式III、IIIaまたはIIIb
【化3】

の化合物を表し、
但し、一般式IIIおよびIIIbの化合物は、sp混成炭素原子1個およびsp混成窒素原子2個を介してFに配位し、かつ一般式IIIの化合物は、sp混成窒素原子3個を介してFに配位し;
上記式中、R25、R26、R27、R28、R29、R30、R31、R32およびR33は互いに独立してそれぞれが、F、Cl、−CN、−C(=O)−O−アルキル、アルキル、−O−アルキル、フェニル、H、−N(アルキル)および−CFからなる群から選択される部位を表し;
Lは、CO、−N(アルキル)、−NH(アルキル)、F、Cl、Br、I、CN、OCN、−O−アルキル、−OHおよびSCNからなる群から選択される配位子を表し;
Gは、Ir、Ru、OsおよびRhからなる群から選択される金属イオンを表し;
Uは互いに独立してそれぞれが、一般式IV、IVaまたはIVb
【化4】

の化合物を表し、
但し、一般式IVaおよびIVbの化合物は、sp混成炭素原子1個およびsp混成窒素原子2個を介してGに配位し、かつ一般式IVの化合物は、sp混成窒素原子3個を介してGに配位し;
上記式中、R34、R35、R36、R37、R38、R39、R40、R41およびR42は互いに独立してそれぞれが、−O−アルキル、F、Cl、−CN、−C(=O)−O−アルキル、アルキル、フェニル、H、−N(アルキル)および−CFを表し;
Pは互いに独立してそれぞれが、一般式IXまたはX
【化5】

の化合物を表し、
式中、R63、R64、R65およびR66は互いに独立して、それぞれがF、Cl、−CN、−C(=O)−O−アルキル、アルキル、−O−アルキル、フェニル、H、−N(アルキル)および−CFからなる群から選択される部位を意味し;
但し、一般式IXおよびXの化合物は、sp混成窒素原子2個を介してCuに配位し;
Eは、Ir、Ru、OsおよびRhからなる群から選択される金属イオンを表し;
Wは互いに独立してそれぞれが、一般式I’またはIa’
【化6】

の化合物を表し、
但し、一般式I’の化合物は、sp混成炭素原子1個およびsp混成窒素原子1個を介してEに配位し、かつ一般式Ia’の化合物は、sp混成窒素原子2個を介してEに配位し;
上記式中、R13は、F、Cl、−O−アルキル、−C(=O)−O−アルキル、−C(=O)−CF、−CF、−CN、アルキルおよびHからなる群から選択される部位を意味し;または
13およびR14が一体となって、−CH=CH−CH=CH−を表し;
14は、−C(=O)−O−アルキル、−C(=O)−CF、−CF、−CN、−O−アルキル、F、Cl、BrおよびHからなる群から選択される部位を意味し;または
14およびR15が一体となって、−CH=CH−CH=CH−を表し;
15は、−C(=O)−O−アルキル、H、−C(=O)−CF、−CF、−CN、アルキル、−O−アルキル、−N(アルキル)および−N(アルキル)からなる群から選択される部位を意味し;または
15およびR16が一体となって、−CH=CH−CH=CH−を表し;
16は、H、F、Cl、−CN、−CF、アルキル、−O−アルキルおよびBrからなる群から選択される部位を意味し;または
16およびR17が一体となって、−CH=CH−を表し;
17は、H、−O−アルキル、アルキル、−CN、−CF、F、ClおよびBrからなる群から選択される部位を意味し;または
17およびR18が一体となって、−CH=CH−CH=CH−または−CH−CH=CH−CH−を表し;
18は、H、アルキル、−O−アルキル、フェニル、−C(=O)−O−アルキル、−CF、−C(=O)−CF、−CN、−N(アルキル)および−N(アルキル)からなる群から選択される部位を意味し;または
18およびR19が一体となって、−CH=CH−CH=CH−または−CH−CH=CH−CH−を表し;
19は、H、−O−アルキル、アルキル、−CN、−CF、−C(=O)−CF、F、ClおよびBrからなる群から選択される部位を意味し;または
19およびR20が一体となって、−CH=CH−CH=CH−を表し;
20は、−O−アルキル、アルキル、−CN、−CF、−C(=O)−CF、F、ClおよびBrからなる群から選択される部位を意味し;
Sは、一般式II’またはIIa’
【化7】

の化合物を表し、
式中、R21、R22、R23およびR24は互いに独立してそれぞれが、H、−C(=O)−O−アルキル、アルキル、−O−アルキル、−CN、フェニル、H、−N(アルキル)および−CFからなる群から選択される部位を表す、請求項の1から5いずれか一項に記載の白色光発光材料。
【請求項7】
[Mm+]または[Mn−]が、小分子または最大10個の反復単位を有するオリゴマーまたはイオン性基で置換されている有機分子から選択される発光有機非金属イオンである、請求項1から5のいずれか一項に記載の白色光発光材料。
【請求項8】
[Mm+]または[Mn−]が、アントラセン、テトラセン、フタロシアニン、キサンテン、ペリレン、ピレン、ルブレン、クマリン、ローダミン、ポルフィリン、コリン、キノリン、キナクリドン、ジシアノメチレンピラン、シアニン、アゾ染料、カルボニル染料、ポリエン、ポリメチン、チオピラン、ピリリウム、チアピリリウム、フルオレン、オリゴフルオレン、インデノフルオレン、オリゴインデノフルオレン、ペリフランテン、インデノペリレン、ビス(アジニル)アミンホウ素、ビス(アジニル)メタン、フルオレセイン、カルボスチリル、アントラキノンおよびボレートのイオン性誘導体であり、前記有機誘導体が、SO、SO、COOおよび−NR(式中、Rがそれぞれ独立して、例えばC−CアルキルまたはC−C10アリールを表す)から選択されるイオン性基で置換されている、請求項7に記載の白色光発光材料。
【請求項9】
が、式Vに相当するペリレン誘導体または式VIIに相当するフルオレン誘導体であり、
【化8】

式中、R43およびR44は互いに独立してそれぞれが、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチルおよびn−ペンチルからなる群から選択される部位を意味し;
45、R46、R47およびR48は互いに独立してそれぞれが、H、メチル、−O−メチル、F、ClおよびBrからなる群から選択される部位を意味し;
【化9】

式中、R53、R54、R55、R56、R57およびR58は互いに独立してそれぞれが、H、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、n−ペンチルからなる群から選択される部位を意味し;
59およびR60は互いに独立してそれぞれが、n−ペンチル、ネオペンチル、イソペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチルまたはエチルエキシルからなる群から選択される部位を意味する、請求項8に記載の白色光発光材料。
【請求項10】
が、式VIに相当するペリレン誘導体または式VIIIに相当するフルオレン誘導体であり、
【化10】

式中、R49、R50、R51およびR52は互いに独立してそれぞれが、H、メチル、−O−メチル、F、ClおよびBrからなる群から選択される部位を意味し;
【化11】

式中、R61およびR62は互いに独立してそれぞれが、n−ペンチル、ネオペンチル、イソペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチルまたはエチルヘキシルからなる群から選択される部位を意味する、請求項8に記載の白色光発光材料。
【請求項11】
[Mm+[Mn−が、以下の式:
【化12−1】

【化12−2】

のいずれかに相当する、請求項1から5のいずれか一項に記載の白色光発光材料。
【請求項12】
任意に少なくとも1種類の溶媒の存在下にて、範囲10〜50℃、好ましくは範囲15〜30℃の温度で、一般式[Mm+(式中、Mは、請求項1から4のいずれかに従って定義され、Aは、Cl−、Br−、PF、BFおよびFからなる群から選択されるアニオンを意味する)の少なくとも1種類の塩を一般式[Mn−(式中、Mは、請求項1から4のいずれかに従って定義され、Cは、Na、K、LiおよびNRからなる群から選択されるカチオンを意味し、Rは互いに独立してそれぞれがHまたはアルキルを意味する)の少なくとも1種類の塩と反応させて、一般式[Mm+[Mn−の金属錯体を得て、それを任意に精製および/または単離する、請求項1から11のいずれか一項に記載の錯塩を製造する方法。
【請求項13】
発光層を含む発光素子であって、前記発光層が、請求項1から11のいずれかに記載の発光材料を含み、かつ波長300〜500nmで励起するか、または前記発光層に電圧をかけると、範囲(0.200,0.200)〜(0.550,0.500)のCIE1931座標(x,y)を有する光を発することができる、発光素子。
【請求項14】
波長250〜500nmで光を発することができる光源をさらに含む、請求項13に記載の発光素子。
【請求項15】
前記発光層が、前記素子の唯一の発光層である、請求項13または14のいずれか一項に記載の発光素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−516924(P2012−516924A)
【公表日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−548718(P2011−548718)
【出願日】平成22年2月8日(2010.2.8)
【国際出願番号】PCT/EP2010/051501
【国際公開番号】WO2010/089393
【国際公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【出願人】(591001248)ソルヴェイ(ソシエテ アノニム) (252)
【Fターム(参考)】