説明

発光表示装置および発光表示装置の制御方法

【課題】団扇等の発光表示装置の構造における特性を活用し、安価かつ簡易な構成で、安定した動作および電力の供給ができる発光表示装置および発光表示装置の制御方法を提供する。
【解決手段】本発明は、複数の発光手段が少なくとも一方向に配置された装置本体を備え、装置本体が前記一方向と交差する方向に振られたときに、装置本体の運動に応じて発光手段を発光させ、その残像効果を利用して所定の像表示を行うようにした発光表示装置であって、装置本体の運動の反転タイミングを検出する反転タイミング検出手段と、反転タイミング検出手段で検出した反転タイミングから記憶手段に記憶されている発光パターンに従って発光手段を発光表示させるように駆動制御する発光制御手段と、発光手段、記憶手段および発光制御手段に電力を供給する起電力部と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の発光手段が一方向に配置された筐体を、前記一方向と交差する方向に振ったときの残像効果を利用して像表示を行うようにした発光表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、このような発光表示装置として、例えば棒状の筐体にダイオード等の発光手段を長手方向に複数個並べ、長手方向と交差する方向に旗振り動作が行われたとき、この旗振り動作に応じて発光手段の発光を制御することで、その残像効果を利用して、文字や図形等が表示されて見えるようにしたものが提案されている。そして、例えば、角速度検出器により、旗振り動作の方向やその速度を検出しこれに応じて発光タイミングを調整することで、旗振り動作の方向によって文字や図形等の表示すべき画像が左右反転表示されたり、旗振り動作の速度によって画像が縦長や横長に表示されたりすることを回避するようにしたもの(特許文献1参照)、また、加速度センサを用いて筐体の振り速度を検出しこれに応じて発光タイミングを調整するようにしたもの(特許文献2参照)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平13−242813号公報
【特許文献2】特開2004−264440号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した発光表示装置は、様々な分野で適用することができるが、例えば、発光表示装置を左右に振る反復動作では、往路に対し、復路での表示される文字や絵は反転するので、往路と復路とを感知し、往路と復路では表示される文字や絵が表示される制御方法を変更しなければならない。
【0005】
したがって、発光表示装置の制御には、往路と復路とを感知する高価な感知器や、往路と復路とで文字や絵が表示される制御方法を変更する演算機構が必要であるために、発光表示装置に付加される構造が複雑になりやすく、コストも高くなるという課題がある。
【0006】
また、発光表示装置に使用される、例えば、LED等の発光素子の発光・消灯、および、演算機構等のシステム制御には電源が必要になるが、一般に市販されている発光表示装置の一例としてのバーサライタでは電源として電池が必要になる。
【0007】
電池を使用する場合には、使用途中に電池切れが発生するとその場で発光表示装置の発光部分が発光しなくなってしまう。また、電池を交換する場合には電池交換の手間がかかってしまう。また、電源を切り忘れると使用目的以外で電池が無駄に消耗してしまうという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、発光表示装置の本体が屈曲して、しなるという構造における特性を活用し、安価かつ簡易な構成で、安定した動作および電力の供給ができる発光表示装置および発光表示装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、複数の発光手段が少なくとも一方向に配置された装置本体を備え、前記装置本体が前記一方向と交差する方向に振られたときに、前記装置本体の運動に応じて前記発光手段を発光させ、その残像効果を利用して所定の像表示を行うようにした発光表示装置であって、前記装置本体の運動の反転タイミングを検出する反転タイミング検出手段と、前記反転タイミング検出手段で検出した反転タイミングから記憶手段に記憶されている発光パターンに従って前記発光手段を発光表示させるように駆動制御する発光制御手段と、前記発光手段、前記記憶手段および前記発光制御手段に電力を供給する起電力部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
上記課題を解決するため、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発光表示装置において、前記起電力部は前記装置本体の運動によって電力を発生させることを特徴とする。
【0011】
上記課題を解決するため、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発光表示装置において、前記発光制御手段は、前記装置本体の往復運動のうちの一方向で、記憶手段に記憶されている発光パターンに従って前記発光手段を発光表示させることを特徴とする。
【0012】
上記課題を解決するため、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の発光表示装置において、前記反転タイミング検出手段には、導電薄体と、前記導電薄体と接触または前記導電薄体と離れる電極とが含まれ、前記装置本体が往復運動させられることによる前記装置本体の屈曲運動によって前記導電薄体と前記電極とが接触または離れるタイミングを前記反転タイミングとして検出することを特徴とする。
【0013】
上記課題を解決するため、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の発光表示装置において、前記反転タイミング検出手段には、少なくとも表面が導電である導電球体と、導電球体を収容する収容部と、前記収容部内側で前記装置本体の運動に対応して移動する前記導電球体と接触または離れる少なくとも二対の電極とが設けられ、前記導電球体が一対の電極間に移動して前記一対の電極間が導通し、他の一対の電極間から離れて前記他の一対の電極間が非導通となることよって、前記他の一対の電極から前記一対の電極の方向への前記装置本体の反転タイミングを検出することを特徴とする。
【0014】
上記課題を解決するため、請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の発光表示装置において、前記起電力部は、前記装置本体の面状支持体の表面に面状圧電素子が設けられ、面状圧電素子の両面に面状電極が設けられ、前記装置本体の往復運動に対応して前記面状支持体および前記面状圧電素子が反復して、しなることによって発電された電荷が、前記面状電極を通じて前記発光表示装置に供給されることを特徴とする。
【0015】
上記課題を解決するため、請求項7に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の発光表示装置において、前記起電力部は、コイル状の導体と、前記コイル状の導体の内側で前記コイル状の導体に交差する方向に摺動できるように配置された磁石とが設けられ、前記装置本体の運動によって前記磁石が前記コイル状の導体と交差する方向を往復することによって誘導電流を発生することを特徴とする。
【0016】
上記課題を解決するため、請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7のいずれかに記載の発光表示装置において、前記発光表示装置は団扇に使用されることを特徴とする。
【0017】
上記課題を解決するため、請求項9に記載の発明は、複数の発光手段が少なくとも一方向に配置された装置本体を備え、前記装置本体が前記一方向と交差する方向に振られたときに、前記装置本体の運動に応じて前記発光手段を発光させ、その残像効果を利用して所定の像表示を行うようにした発光表示装置の制御方法であって、前記装置本体の運動の反転タイミングを検出する反転タイミング検出工程と、前記反転タイミング検出工程において検出した反転タイミングから記憶工程において記憶されている発光パターンに従って前記発光手段を発光表示させるように駆動制御する発光制御工程と、前記発光手段に電力を供給する起電力工程と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、花火大会、コンサート等の興行において広く利用される団扇等の広告媒体に対して、LED等の発光デバイスと、安価であり、簡易であり、丈夫な構成である制御部材等を取り付けることにより、発光デバイスの周囲にいるユーザに視覚効果を通じて広告内容を強くアピールすることができるようになる。このことによって、付加価値を一層高めることができる広告媒体を提供することができる。また、反転検知回路の構造を、団扇が有するしなり等の機械特性を有効に利用する構成としたので、簡単な構成でありながらユーザの残像特性を利用した視覚効果を有効に引き出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本実施形態に係る発光表示装置の概要構成の一例を示す図である。
【図2】本実施形態に係る発光表示装置の文字表示方法の概念の一例を示す図である。
【図3】本実施形態に係る発光表示装置の反転タイミングと反転タイミングに対応した文字表示方法の一例を示す図である。
【図4】本実施形態に係る発光表示装置の回路ブロック図の一例を示す図である。
【図5】(A)は本実施形態に係る発光表示装置の反転タイミング部の一例を示す図である。(B)は(A)に係わる反転タイミング部の動作の一例を示す図である。
【図6】(A)は本実施形態に係る発光表示装置の反転タイミング部のその他の一例を示す図である。(B)は(A)に係わる反転タイミング部の動作の一例を示す図である。
【図7】(A)は本実施形態に係る発光表示装置の反転タイミング部のその他の一例を示す図である。(B)は(A)に係わる反転タイミング部の導電球体と接触する電極の配置の一例を示す図である。(C)は反転タイミング部の導電球体が一端に寄った場合の接触する電極との配置を示した図である。(D)は反転タイミング部の導電球体が他の一端に寄った場合の接触する電極との配置を示した図である。
【図8】(A)は本実施形態に係る発光表示装置の起電力部の一例を示す図である。(B)は起電力部の発電部分を拡大した図である。
【図9】(A)は本実施形態に係る発光表示装置の起電力部のその他の一例を示す図である。(B)は(A)に係る発光表示装置の起電力部の起電流の一例を示す図である。(C)は(A)に係る発光表示装置の起電力部の起電流のその他の一例を示す図である。
【図10】本発明の実施形態に係わる動作電圧生成部のブロック図の一例を示した図である。
【図11】(A)は本実施形態に係る発光表示装置の電源供給回路の一例を示す図である。(B)は本実施形態に係る発光表示装置の電源供給回路のその他の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
広告媒体としてポスターや看板等が使用されているが、夏の暑い時期には、イベント会場、夏祭り等の催し物に広告内容を印刷した団扇が、広告媒体として非常に有効なものとなっている。
【0021】
そこで、LED等の発光手段を団扇に付加することで、さらに視覚的に広告効果が大きくなる光表示装置について以下に説明する。
【0022】
図1は、本実施形態に係る発光表示装置の概要構成例を示す図である。
【0023】
図1に示すように、本実施形態に係る発光表示装置は、装置本体としての団扇本体1と、団扇本体1の側面に設けられた発光手段としてのLED(Light Emission Diode)2(2a、2b、2c、2d、2e、2f、2g、2h、2i、2j)と、制御部3および起電力部としての電源部4が備えられた団扇柄部5と、反転タイミング検出手段としての反転検知部6とが具備されている。
【0024】
なお、LED2、制御部3、電源部4、反転検知部6の取り付け位置は図1に示された位置に限定されるわけではなく、それらの機能が発揮される団扇本体1と団扇柄部5の任意の位置にとりつけることができ、その取り付け位置の例を以下に詳述する。
【0025】
図2は、団扇本体1の側面に取り付けられたLED2が制御部3によって発光させられる発光パターンの一例を時系列的に説明した図である。
【0026】
LED2は団扇本体1の側面に取り付けられているので、団扇本体1の側面を見ているユーザに対して、文字等を認識させるためには、団扇本体1の動きに対応して、ユーザに認識させる文字を表示させる必要がある。すなわち、一次元に配置されたLEDが移動しながら、1つの文字(図2ではアルファベットの「A」という文字)の一部分(横方向に複数個の列に分割された「A」という文字の中の一列)を順番に連続的に表示させることで、ユーザに二次元で表示される文字を認識させるのである。
【0027】
図2の横軸は時刻を示し、t0は団扇本体1の最初の位置を示し、t1からt2、t3、t4と時間が経つに連れて、団扇本体1の側面に取り付けられているLED2の発光パターンが変化することが示されている。
【0028】
図2は、アルファベットの「A」という文字を団扇本体1の側面を見ているユーザに認識させようとする場合を示している。時刻t0では、LED2e〜LED2jが発光し、LED2a〜LED2dが消灯する。団扇本体1の側面が、団扇本体1の側面を見ているユーザに対して左側へ移動し、時刻t1になると、LED2c〜LED2d、LED2gが発光し、LED2a、2b、2e、2f、2h〜2jが消灯する。団扇本体1の側面が、さらに左側へ移動し、時刻t2になると、LED2b、LED2gが発光し、LED2a、2c〜2f、2h〜2jが消灯する。このように、団扇本体1の側面のLED2が団扇本体1の移動と共に文字「A」の一部分を左から順次に発光または消灯させることによって、団扇本体1の側面を見ているユーザは文字「A」を認識することができる。
【0029】
団扇本体1が片道を移動する間にLED2に表示させる文字は一文字である必要は無く、複数の文字を順番に表示させ、広告メッセージ等のメッセージを団扇本体1の側面を見ているユーザに伝えることができる。また、団扇本体1が往復する場合に、復路ではLED2に表示させる文字を往路とは逆順に表示させること、または、復路ではLED2に文字を表示させないようにすることもできる。
【0030】
また、LED2の発光時間を短くすることによって、表示される文字が流れて表示されることがなくなり、ユーザに視認される文字をシャープにすることができる。
【0031】
図3は本実施形態に係る発光表示装置の反転タイミングと反転タイミングに対応した文字表示方法の一例を示す図である。
【0032】
団扇本体1が振られると、電源部4で起電力が発生し、起電圧が所定のしきい値を超えると、制御部3が動作を開始し、反転検知部6で団扇本体1が振られている方向を検知し、LED2が制御部3の制御の基に所定のパターン(図2を参照)を発光し始める。
【0033】
図3(A)において、団扇本体1の側面を見ているユーザから右側に団扇本体1が振られると、団扇本体1は空気抵抗で左側に屈曲し(しなり)、右側に反転を始めた瞬間に反転検知部6が団扇本体1の右側への移動を検知し、制御部3がLED2を所定のパターン(広告メッセージ等)を表示し始める。
【0034】
図3(B)では、団扇本体1の側面を見ているユーザから右側に団扇本体1が振られている途中で、団扇本体1の側面は、団扇本体1の側面を見ているユーザと垂直方向に位置する。この状態では、団扇本体1は空気抵抗で左側に屈曲して(しなって)いるので、団扇本体1の反転検知部6は、図3(A)と同様に、団扇本体1が左側に屈曲していることを検知している。また、制御部3はLED2を所定のパターン(広告メッセージ等)を表示させる動作を継続する。
【0035】
図3(C)では、団扇本体1の側面を見ているユーザから右側に最大限まで屈曲し(しなり)、左側に反転を始めた瞬間に、団扇本体1は空気抵抗で右側に屈曲し(しなる)ので、反転検知部6が団扇本体1の反転を検知し、制御部3がLED2を消灯させる。
【0036】
団扇本体1の側面を見ているユーザの右側から左側に団扇本体1がLED2を表示させないことで、ユーザは左側から右側に綴られるメッセージを認識することが容易になる。
【0037】
団扇が振られると、団扇本体1が左右に往復運動を繰り返すので、図3(A)→図3(B)→図3(C)の往路では発光手段が発光して表示動作をし、団扇本体1の復路である図3(C)→図3(A)では全ての発光手段が消灯し、この表示動作と消灯動作を繰り返す。
【0038】
なお、図3(A)で表示し始めた所定のパターン(広告メッセージ等)と反対のパターン(逆文字等)を復路で表示してもよい。
【0039】
図4は、本実施形態に係る発光表示装置の回路ブロック図の一例を示す図である。
【0040】
制御部3は、反転検知部6によって団扇本体1の反転を検知すると、LED2(単色である必要はなく、多色を用いてもよい)を記憶部7に記憶されている所定のパターンで発光・消灯し始める。記憶部7に記憶されている所定のパターンは、上位インターフェース部8を介して予め記憶される。上位インターフェース部8は、団扇本体1に設けられている必要はなく、LED2の発光パターンを変更する場合、または、団扇本体1の製造段階で記憶部7に発光パターンを書き込む場合に、インターフェース(図示せず)を介して取り付けられることができるように構成されている。上位インターフェース部8は外部のコンピュータ(図示せず)から発光パターンを受信し、制御部3を介して記憶部7に受信した発光パターンを書き込む。
【0041】
また、制御部3には、LED2等の発光手段の点滅を制御するためのタイマーが備えられている。
【0042】
なお、コストを削減するために、上位インターフェース部8を取り付けることができるようにする、図示しないインターフェースを設けなくともよい。この場合には、記憶部7に記憶された発光パターンは書き換えられない。
【0043】
LED2、制御部3、反転検知部6、記憶部7に電源を供給する電源部4は、以下に説明する、団扇本体1の表面に設けられる面状圧電素子の変形によって発生する電荷、および、螺旋コイルと磁石によって発生する電磁誘導電流によって電源が供給される。
【0044】
これらの電源により供給される電力は交流になるので、動作電圧生成部9において、整流およびレギュレーションを実施して、LED2、制御部3、反転検知部6、記憶部7に適した直流電圧に変換する。
【0045】
図5(A)は本実施形態に係る発光表示装置の反転タイミング部の一例を示す図である。
【0046】
図5(A)は本実施形態に係る団扇本体1を側面から見た図を模式的に表した図である。団扇柄部5とは反対側の団扇本体1の先端に、金属箔10aと金属箔10bとが団扇本体1の表面と略平行に取り付けられている。金属箔10aおよび金属箔10bは団扇本体1の表面上で自由に屈曲(しなること)ができるように、金属箔10aの団扇柄部5側の一端および金属箔10bの団扇柄部5側の一端が団扇本体1に固定されている。
【0047】
また、金属箔10aと対向する団扇本体1の先端に電極11aが取り付けられ、金属箔10bと対向する団扇本体1の先端に電極11bが取り付けられている。
【0048】
団扇本体1がユーザによって振られて、図5(B)で表されるように図5に向かって右側に団扇本体1が屈曲する(しなる)と、空気抵抗によって金属箔10aと電極11aとが接触するので、制御部3は、金属箔10aと電極11aとの接触を検知することによって団扇本体1が右側に屈曲している(しなっている)ことを認識できる。また、この状態(団扇本体1が左側に振られている状態)では、金属箔10bと電極11bとは非接触状態である。
【0049】
この状態から、団扇本体1が振られる方向が図5に向かって右側に反転すると、金属箔10aと電極11aとは接触状態から非接触状態に変化し、金属箔10bと電極11bとは非接触状態から接触状態に変化する。したがって、制御部3は、金属箔10aと電極11aとの間の接触状態から非接触状態への変化、および金属箔10bと電極11bとの間の非接触状態から接触状態への変化を検知することによって、団扇本体1の振られる方向が図5に向かって左側から右側に変化したことを検知することができる。また、団扇本体1の振られる方向が図5に向かって右側から左側に変化したことも同様に検知することができる。
【0050】
本実施形態では、二対の金属箔10と電極11とで団扇本体1の振られる方向の変化を検知したが、これはより確実に団扇本体1の振られる方向の変化を検知するためであり、一対の金属箔10と電極11とで団扇本体1の振られる方向の変化を検知することもできる。
【0051】
図6(A)は本実施形態に係る発光表示装置の反転タイミング部のその他の一例を示す図である。
【0052】
団扇本体1と団扇柄部5との境界付近の団扇本体1の表面に一対の金属箔12aおよび12bが取り付けられ、団扇本体1の裏面に一対の金属箔13aおよび13bが取り付けられている。一対の金属箔12aおよび12bの間には絶縁体14が挟まれており、一対の金属箔13aおよび13bの間には絶縁体15が挟まれている。一対の金属箔12aおよび12bと一対の金属箔13aおよび13bとは団扇本体1の平面に対して表裏逆に取り付けられてもよい。
【0053】
図6(B)に示されるように、団扇本体1がユーザによって図6に向かって左側に振られて、図6(A)の状態から団扇本体1が右側に屈曲する(しなる)と、金属箔13aと電極13bとが接触するので、制御部3は、金属箔13aと電極13bとの接触を検知することによって団扇本体1が図6に向かって右側に屈曲している(しなっている)ことを検知できる。また、この状態では、金属箔12aと電極12bとは非接触状態である。
【0054】
この状態から、団扇本体1が図6に向かって右側に振られると、金属箔13aと電極13bとは接触状態から非接触状態に変化し、金属箔12aと電極12bとは非接触状態から接触状態に変化する。したがって、制御部3は、金属箔13aと電極13bとの間の接触状態から非接触状態への変化、および金属箔12aと電極12bとの間の非接触状態から接触状態への変化を検知することによって、団扇本体1の振られる方向が図6に向かって左側から右側に変化したことを検知することができる。また、団扇本体1の振られる方向が図6に向かって右側から左側に変化したことも同様に検知することができる。
【0055】
本実施形態では、二対の金属箔12と金属箔13とで団扇本体1の振られる方向の変化を検知したが、これはより確実に団扇本体1の振られる方向の変化を検知するためであり、一対の金属箔12または一対の金属箔13で団扇本体1の振られる方向の変化を検知することもできる。
【0056】
図7は本実施形態に係る発光表示装置の反転タイミング部のその他の一例を示す図である。
【0057】
図7(A)は本実施形態に係る導電球体17の動作を示す図である。導電球体17は導電球体17を収容する収容部16の中に配置され、収容部16の中を右側または左側に自由に転がることができる。収容部16は団扇本体1の先端部に団扇本体1の面とは略垂直方向に取り付けられる。したがって、導電球体17は団扇本体1がユーザによって振られると、団扇本体1が振られる方向に対応して、収容部16の右端および右端の周囲の内面(前面、上面、下面、奥面)または左端および左端の周囲の内面(前面、上面、下面、奥面)に接触する。
【0058】
図7(B)は本実施形態に係わる反転タイミング部の電極18および電極19の配置を示す図である。収容部16の内面には導電球体17と接触する電極18および電極19が取り付けられている。
【0059】
団扇本体1がユーザによって、例えば図7に向かって左側に振られることによって、図7(D)に示すように導電球体17が収容部16の右側の側面に接触すると、導電球体17は電極18a(右側―上)、電極18b(右側―前)、電極18c(右側―下)、電極18d(右側―奥)、電極18e(右側―端)と接触する。なお導電球体17が接触する面については以下に詳述する。
【0060】
同様に、団扇本体1がユーザによって、例えば図7に向かって右側に振られることによって、図7(C)に示すように導電球体17が収容部16の左側の側面に接触すると、導電球体17は電極19a(左側―上)、電極19b(左側―前)、電極19c(左側―下)、電極19d(左側―奥)、電極19e(左側―端)と接触する。なお導電球体17が接触する面については以下に詳述する。
【0061】
したがって、いずれかの電極の組み合わせが検出されれば、団扇本体1が振られている方向を検出できる。しかし、より確実に団扇本体1が振られている方向を検出するために、表1、表2、表3または表4のいずれかの表の中の一つの組み合わせが検出された場合に、団扇本体1が左側に振られていると判断することによって、団扇本体1が振られている方向の検出精度を上げることができる。
【0062】
たとえば、表1では導通が検出される一端が電極18e(右側―端)であり、電極18e(右側―端)と、電極18a(右側―上)、電極18b(右側―前)、電極18c(右側―下)および電極18d(右側―奥)の何れかの導通が検出される場合を表す。
【0063】
表1の何れかの導通が検出され、または、表2の何れかの導通が検出され、または、表3の何れかの導通が検出され、または、表4の何れかの導通が検出された場合に、制御部3は団扇本体1が図7に向かって左側に振られていると判断する。
【0064】
または、上記の導通の全ての場合を検出できるようにするには配線等が複雑になるので、簡易な検出方法として、電極18e(右側―端)を基準にして、たとえば、電極18e(右側―端)と、電極18a(右側―上)、電極18b(右側―前)、電極18c(右側―下)および電極18d(右側―奥)の何れかの導通が検出された場合に、制御部3は団扇本体1が図7に向かって左側に振られていると判断してもよい。
【0065】
また、同様に団扇本体1がユーザによって、例えば図7に向かって右側に振られることによって、導電球体17が収容部16の図7(C)のように左側の側面に接触して電極19と導通する場合にも、電極18と同様の組み合わせで、制御部3は団扇本体1が右側に振られていると判断してもよい。
【0066】
【表1】

【0067】
【表2】

【0068】
【表3】

【0069】
【表4】

【0070】
次に、図8を用いて、本実施形態に係る発光表示装置の起電力部の一例について説明する。
【0071】
図8は、団扇本体1と団扇柄部5との全体を側面から見た模式図である。
【0072】
本実施形態においては、電源部4は団扇本体1に含まれる団扇支柱面20の表面または裏面の片面、若しくは、表面と裏面の両面に面状圧電素子が取り付けられ、団扇本体1が振られて団扇本体1が屈曲することによって面状圧電素子に電荷が発生し、発生した電荷を面状電極の両面に配置された上面電極と下面電極を介して動作電圧生成部9に供給する。
【0073】
また、面状圧電素子は団扇支柱面20の全面を覆おう必要はなく、起電力に応じて、団扇支柱面20の一部を覆う構成としてもよい。
【0074】
図8(A)では、団扇本体1に含まれる団扇支柱面20の表面に面状圧電素子21aを含む発電部分21が取り付けられ、団扇支柱面20の裏面に面状圧電素子を含む発電部分22が取り付けられる様子が示されている。
【0075】
また、発電部分21は面状圧電素子21aと、面状圧電素子21aの両面に取り付けられる上面電極21bと下面電極21cとを含んで構成される。上面電極21bと下面電極21cとには面状圧電素子21aで発生した電荷が集められる(図8(B)参照)。
【0076】
さらに、発電部分21の外面には、表示面23が取り付けられ、表示面23には広告等が印刷される。表示面23の材質は紙、プラスチック等の可撓性のある薄い材料が使用される。
【0077】
同様に、発電部分22は面状圧電素子と、面状圧電素子の両面に取り付けられる上面電極と下面電極とを含んで構成される。上面電極と下面電極とには面状圧電素子で発生した電荷が集められる(図示せず)。
【0078】
また、発電部分22の外面には、表示面24が取り付けられ、表示面24には広告等が印刷される。表示面24の材質は紙、プラスチック等の可撓性のある薄い材料が使用される。
【0079】
図8(B)には、面状圧電素子21aの両面に上面電極21bと下面電極21cが貼り合わされた構造が示されている。
【0080】
図9(A)は、本実施形態に係る発光表示装置の起電力部の他の一例を示す図である。
【0081】
図9(A)では、団扇柄部5の部分にコイル状の導体25と、コイル状の導体25の内側でコイル状の導体25に直交する方向に摺動できるように配置された磁石26とが配置されている状態が示されている。
【0082】
ユーザが団扇柄部5を手で握って、団扇本体1を振ると、団扇柄部5の内部の磁石26に遠心力が働き、団扇本体1の運動方向が反転するときに遠心力から解放されるので、団扇柄部5の内部の磁石26は上下に往復することがある。また、ユーザが団扇本体1を上下に振る場合があり、この場合にも団扇柄部5の内部の磁石26は上下に往復する。この磁石26の上下運動と、コイル状の導体25との間に発生する誘導電流が動作電圧生成部9に供給されて一定のレベルを有する直流電圧に変換される。
【0083】
図9(B)では、団扇柄部5の内部の磁石26が団扇本体1側に向かって移動する様子が示されている。ユーザが団扇本体1を上向きにして左右に振り始めた場合、団扇本体1が右から左、または左から右に方向転換した場合、団扇本体1を下向きに振った場合に、この状態が発生する。
【0084】
団扇柄部5の内部の磁石26が団扇本体1側に向かって移動し始めると、図9(B)において、矢印H1に向かって誘導電流Iが流れ始める。誘導電流Iは動作電圧生成部9に供給される。
【0085】
図9(C)では、団扇柄部5の内部の磁石26が団扇本体1側から遠ざかる方向に移動する様子が示されている。ユーザが団扇本体1を上向きにして左右に振り始めた後に団扇本体1の振られる方向が転換された直後、または、団扇本体1を上向きに振った場合に、この状態が発生する。
【0086】
団扇柄部5の内部の磁石26が団扇本体1側から遠ざかる方向に向かって移動し始めると、図9(C)において、矢印H2に向かって誘導電流Iが流れ始める。誘導電流Iは動作電圧生成部9に供給される。この磁石26の上下運動と、コイル状の導体25との間に発生する誘導電流は交流になるので、動作電圧生成部9に供給された誘導電流は、直流に変換された後に、一定のレベルを有する直流電圧に変換される。
【0087】
図10は、本発明の実施形態に係わる動作電圧生成部9のブロック図の一例を示したものである。
【0088】
電源部4から供給される電力は交流であるので、AC/DCコンバータ等の電子デバイス27に供給されて、直流電圧に変換される。変換された直流電圧をレギュレータ、DC―DCコンバータ等の電子デバイス28で、制御部3、LED2等の電子デバイスが動作する範囲の電圧に変換する。一例として、変換された後の電圧範囲は1.8V〜5.0V程度である。
【0089】
図11(A)は本実施形態に係る発光表示装置の電源供給回路の一例を示す図である。
【0090】
図11(A)では本実施形態に係る反転検知部6を動作電圧生成部9の出力端に接続し、反転検知部6が導通している間だけ制御部3に電力を供給し、LED2を発光させる電源供給回路を示したものである。この電源供給回路の長所は、LED2を発光させるのに必要なタイミングだけ電源部4から供給される電力を消費するように構成しているので、省電力化がはかれる点にある。また、この電源供給回路の短所としては、LED2の発光が安定しない可能性がある。
【0091】
図11(B)は本実施形態に係る発光表示装置の電源供給回路のその他の一例を示す図である。
【0092】
図11(B)では本実施形態に係る反転検知部6は制御部3の入力ポートに接続され、制御部3は接続された入力ポートの状態(High/Low)を読み出して、反転検知部6の状態を検知し、LED2の発光・消灯動作を制御する。また動作電圧生成部9の出力端は、制御部3の電源端子(図示せず)、LED2のアノード(図示せず)に接続され、それぞれ、制御部3およびLED2に必要な電圧を供給する。
【0093】
この電源供給回路の長所には、LED2の発光が安定するという点が挙げられる。また、この電源供給回路の短所には、LED2を発光させるのに必要なタイミングだけ電源部4から供給される電力を消費するように構成している図11(A)の回路構成よりも、省電力化では劣るという点が挙げられる。
【0094】
以上のように構成された発光表示装置によれば、安価かつ簡易な構成で、安定した動作および電力を供給する発光表示装置、発光表示装置の制御方法および発光表示装置の制御プログラムを提供することができる。
【0095】
また、本発明の構成の使用例は、団扇に限られるわけではなく、一例として、指揮棒やマラカスが挙げられる。指揮棒やマラカスにLEDを取り付けることによって、聴衆者を楽しませるという、コンサート等での演出効果が期待できる。
【0096】
指揮棒の場合には、聴衆者に視覚効果をアピールするために、指揮棒を持つ指揮者の後方から、LED2の残像効果によるメッセージが読めるように、制御部3は記憶部7に記憶された発光パターンに従ってLED2を発光させる。
【0097】
また、本発明の構成使用例の他の一例として、シェイカー(飲食店においてカクテルを作るための器具)が挙げられる。
【0098】
シェイカーにLEDを取り付けることによって、飲食者を楽しませるという、飲食店での演出によって集客効果が期待できる。
【0099】
さらに、本発明の構成使用例の他の一例として、商品のノベルティ商品としての振る飲料パッケージが挙げられる。振る飲料パッケージにLEDを取り付けることによって、消費者の購買意欲を刺激し、商品の売り上げを伸ばす効果が期待され、おまけとしての振る飲料パッケージの付加価値を高めることができる。
【0100】
また、電源部4にボタン電池等の電池を使用することもできる。
【0101】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、種々の変更ができる。
【符号の説明】
【0102】
1 団扇本体
2 LED
3 制御部
4 電源部
5 団扇柄部
6 反転検知部
7 記憶部
8 上位インターフェース部
9 動作電圧生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光手段が少なくとも一方向に配置された装置本体を備え、
前記装置本体が前記一方向と交差する方向に振られたときに、前記装置本体の運動に応じて前記発光手段を発光させ、その残像効果を利用して所定の像表示を行うようにした発光表示装置であって、
前記装置本体の運動の反転タイミングを検出する反転タイミング検出手段と、
前記反転タイミング検出手段で検出した反転タイミングから記憶手段に記憶されている発光パターンに従って前記発光手段を発光表示させるように駆動制御する発光制御手段と、
前記発光手段、前記記憶手段および前記発光制御手段に電力を供給する起電力部と、
を備えることを特徴とする発光表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の発光表示装置において、
前記起電力部は前記装置本体の運動によって電力を発生させることを特徴とする発光表示装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の発光表示装置において、
前記発光制御手段は、前記装置本体の往復運動のうちの一方向で、記憶手段に記憶されている発光パターンに従って前記発光手段を発光表示させることを特徴とする発光表示装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載の発光表示装置において、
前記反転タイミング検出手段には、導電薄体と、前記導電薄体と接触または前記導電薄体と離れる電極とが含まれ、前記装置本体が往復運動させられることによる前記装置本体の屈曲運動によって前記導電薄体と前記電極とが接触または離れるタイミングを前記反転タイミングとして検出することを特徴とする発光表示装置。
【請求項5】
請求項1乃至3の何れかに記載の発光表示装置において、
前記反転タイミング検出手段には、少なくとも表面が導電である導電球体と、導電球体を収容する収容部と、前記収容部内側で前記装置本体の運動に対応して移動する前記導電球体と接触または離れる少なくとも二対の電極とが設けられ、
前記導電球体が一対の電極間に移動して前記一対の電極間が導通し、他の一対の電極間から離れて前記他の一対の電極間が非導通となることよって、前記他の一対の電極から前記一対の電極の方向への前記装置本体の反転タイミングを検出することを特徴とする発光表示装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の発光表示装置において、
前記起電力部は、前記装置本体の面状支持体の表面に面状圧電素子が設けられ、面状圧電素子の両面に面状電極が設けられ、前記装置本体の往復運動に対応して前記面状支持体および前記面状圧電素子が反復して、しなることによって発電された電荷が、前記面状電極を通じて前記発光表示装置に供給されることを特徴とする発光表示装置。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれかに記載の発光表示装置において、
前記起電力部は、コイル状の導体と、前記コイル状の導体の内側で前記コイル状の導体に交差する方向に摺動できるように配置された磁石とが設けられ、前記装置本体の運動によって前記磁石が前記コイル状の導体と交差する方向を往復することによって誘導電流を発生することを特徴とする発光表示装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の発光表示装置において、
前記発光表示装置は団扇に使用されることを特徴とする発光表示装置。
【請求項9】
複数の発光手段が少なくとも一方向に配置された装置本体を備え、
前記装置本体が前記一方向と交差する方向に振られたときに、前記装置本体の運動に応じて前記発光手段を発光させ、その残像効果を利用して所定の像表示を行うようにした発光表示装置の制御方法であって、
前記装置本体の運動の反転タイミングを検出する反転タイミング検出工程と、
前記反転タイミング検出工程において検出した反転タイミングから記憶工程において記憶されている発光パターンに従って前記発光手段を発光表示させるように駆動制御する発光制御工程と、
前記発光手段に電力を供給する起電力工程と、
を備えることを特徴とする発光表示装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−108199(P2012−108199A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−255012(P2010−255012)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】