説明

発光装置、電子機器、発光パネルの検査装置、発光装置の電圧降下キャンセル方法及び発光パネルの検査方法

【課題】接触抵抗による輝度の低下を防止し、接触抵抗のばらつきによる輝度のばらつきをキャンセルする。
【解決手段】パネル部1のアノード電圧VaLはPCB部20にフィードバックされ、PCB部20のバッファ回路21は、アノード電圧VaLを電源回路14のアノード電圧Vaに近づけるように電流Iacの電流量を制御する。これによって、配線Nafの接触抵抗Rpf_af,Rfg_afはキャンセルされる。パネル部1のカソード電圧VcLはPCB部20にフィードバックされ、バッファ回路22は、電源回路14のカソード電圧Vcとカソード電圧VcLとが等しくなるように電流Iacの電流量を制御する。このため、配線Ncfの接触抵抗Rpf_cf,Rfg_cfがキャンセルされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置、電子機器、発光パネルの検査装置、発光装置の電圧降下キャンセル方法及び発光パネルの検査方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)は、電場を加えることによって発光する蛍光性の有機化合物によって形成されたものであり、これを用いた有機発光ダイオード(Organic Light Emitting Diode:以下、有機ELと記す)素子を各画素に有してなる表示パネルを備えた発光装置は次世代ディスプレイデバイスとして注目されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
有機EL素子は、有機化合物に注入された電子と正孔との再結合によって生じた励起子によって発光する現象を利用して発光する電流制御型の発光素子(表示素子)である。有機EL素子は、アノードとカソードとを有し、アノードに供給された電流がカソードへと流れ、供給された電流の電流値に対応する輝度で発光する。
【0004】
発光装置は、図9に示すように、有機ELパネル11とゲートドライバ12とデータドライバ13と電源回路14とを備える。
【0005】
有機ELパネル11は複数の有機EL素子を有し、各有機EL素子が表示データに基づく表示画像の1つ1つの画素に対応するように行列配置されたものであり、各有機EL素子は、ゲートドライバ12とデータドライバ13と電源回路14とによって駆動され、発光する。
【0006】
ゲートドライバ12は、有機ELパネル11の行毎に配列されたゲートライン選択用のドライバである。データドライバ13は、列毎に配列されたデータラインを介して、表示データの階調値に対応するデータ電流を供給するためのドライバである。
【0007】
電源回路14は、行毎に配列された複数のアノードラインを介して各有機EL素子にアノード電位を与え、電流を供給するためのドライバである。尚、すべての有機EL素子のカソードは複数のカソードラインに接続され、各画素のカソードは共通電極となっている。
【0008】
中型以上の発光装置は、電源回路14から各有機EL素子に流れる電流が比較的大きい為、図9に示すようにパネル部1とPCB(Printed Circuit Board)部2とFPC(Flexible Printed Circuits)部3とに分割されている。
【0009】
有機ELパネルは、ガラス製のパネル部1に実装され、ゲートドライバ12、データドライバ13も、このパネル部1に実装される。そして、電源回路14のみがPCB部2に実装される。
【0010】
パネル部1のガラス基板上には、各ゲートライン、各データライン、各アノードライン、カソードラインがメタル配線され、PCB部2の各端子とパネル部1のメタル配線とは、FPC部3を介して接続される。
【0011】
尚、図9に示す配線Naは、電源回路14と各アノードラインとの間の配線を示し、配線Ncは、電源回路14と各カソードラインとの間の配線を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2006−276713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
このように構成された発光装置において、図9に示すPCB部2とFPC部3との間の接合面J[pf]、FPC部3とパネル部1との間の接合面J[fg]には、図10に示すような接触抵抗Rpf_a,Rfg_a,Rpf_c,Rfg_cが存在する。
【0014】
接触抵抗Rpf_aは、配線Naの接合面J[pf]における接触抵抗を示し、接触抵抗Rfg_aは、配線Naの接合面J[fg]における接触抵抗を示す。また、接触抵抗Rpf_cは、配線Ncの接合面J[pf]における接触抵抗を示し、接触抵抗Rfg_cは配線Ncの接合面J[fg]における接触抵抗を示す。
【0015】
有機EL素子を用いた高精細の発光装置では、複数のアノードラインと複数のカソードライン間に流れる電流が数百mA〜数Aの比較的大きい電流となることがある。
【0016】
この場合、接触抵抗Rpf_a,Rfg_a,Rpf_c,Rfg_cの抵抗値が数オーム程度の低抵抗値であっても配線Na,Ncにおいて大きな電圧降下が発生する。この大きな電圧降下の発生により、有機ELパネル11の輝度は低下する。また、接触抵抗Rpf_a,Rfg_a,Rpf_c,Rfg_cにばらつきがあると輝度もパネル部1毎にばらついてしまう。
【0017】
従来、接触抵抗Rpf_a,Rfg_a,Rpf_c,Rfg_cによる電圧降下を低減するため、図11に示すように、配線Na,Ncの配線本数を増やすことによって、接触抵抗Rpf_a,Rfg_a,Rpf_c,Rfg_cの抵抗値を下げる工夫を行っている。しかし、配線Na,Ncの配線本数を増やすとしてもスペース上の制限がある。
【0018】
この接触抵抗は、発光装置の出荷前の検査工程においても問題となる。この検査工程では、パネル部1とPCB部2とをFPC部3で接続する前、図12に示すように、検査回路43が、検査用コンタクトプローブ41、フラットケーブル42を介してパネル部1に接続されて、有機EL素子の点灯検査が行われる。
【0019】
この検査用コンタクトプローブ41は、図13に示すように、プローブ接触部41aが備えられ、このプローブ接触部41aの先端部分には、パネル部1のメタル配線に接触する検査針(図示せず)が備えられている。
【0020】
プローブ接触部41aの検査針はバネでメタル配線に押し当てられて、パネル部1と検査回路43とが電気的に接続される。この検査回路43は、電源回路14を備えており、電源回路14から各アノードラインに電流を供給して、有機EL素子の点灯検査が行われる。
【0021】
この検査工程においても、同じように、検査用コンタクトプローブ41とメタル配線間で発生する接触抵抗によって電圧降下が発生すると、有機ELパネル11の画面輝度が安定しなくなってしまうし、接触抵抗にばらつきがあると、画面輝度もパネル部1毎にばらついてしまう。
【0022】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたもので、接触抵抗による輝度の低下を防止し、接触抵抗のばらつきによる輝度のばらつきを抑制することが可能な発光装置、電子機器、発光パネルの検査装置、発光装置の電圧降下キャンセル方法及び発光パネルの検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
この目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る発光装置は、
複数の発光素子が配列された発光パネルと、
駆動電圧と基準電圧とを供給する電源回路が実装された電源基板と、
を備え、
前記発光パネルは、第1の電流流入端子と、前記第1の電流流入端子に接続され、該第1の電流流入端子を介して前記各発光素子に駆動電流を供給する電流供給線と、前記電流供給線に接続されて、前記電流供給線の電圧値を第1の検出電圧として出力する第1の電圧出力端子と、を備え、
前記電源基板は、接続部材を介して前記発光パネルの前記第1の電流流入端子と接続されて、前記発光パネルに前記駆動電流を流出する第1の電流流出端子と、前記接続部材を介して前記第1の電圧出力端子と接続されて、前記第1の検出電圧を帰還させる第1の電圧検出用端子と、前記第1の検出電圧と前記駆動電圧とを比較し、前記第1の検出電圧を前記駆動電圧に近づけるように調整された第1の出力電圧を前記第1の電流流出端子に印加して、前記駆動電流を前記第1の電流流出端子から流出させる第1のバッファ回路と、を備えたことを特徴とする。
【0024】
前記発光パネルは、前記各発光素子から前記駆動電流を出力させる電流出力線と、前記電流出力線に接続されて、前記電流出力線の前記駆動電流を流出させる第2の電流流出端子と、前記電流出力線に接続されて前記電流出力線の電圧値を第2の検出電圧として出力する第2の電圧出力端子と、を備え、
前記電源基板は、前記接続部材を介して前記発光パネルの前記第2の電流流出端子に接続されて、前記発光パネルから前記駆動電流が流入される第2の電流流入端子と、前記接続部材を介して前記第2の電圧出力端子と接続されて、前記第2の検出電圧を帰還させる第2の電圧検出用端子と、前記第2の検出電圧と前記基準電圧とを比較し、前記第2の検出電圧を前記基準電圧に近づけるように調整された第2の出力電圧を前記第2の電流流入端子に印加して、前記駆動電流を前記第2の電流流入端子から流入させる第2のバッファ回路と、を備えるようにしてもよい。
【0025】
前記第1のバッファ回路は、前記第1の出力電圧を前記第1の電流流出端子に印加して、前記第1の検出電圧を前記駆動電圧に等しくし、
前記第2のバッファ回路は、前記第2の出力電圧を前記第2の電流流入端子に印加して、前記第2の検出電圧を前記基準電圧に等しくするようにしてもよい。
【0026】
前記電源基板は、前記第1の電流流出端子から流出する前記駆動電流の第1の電流値を計測する第1の電流計測部と、前記第1の電流流出端子と前記第1の電圧検出用端子との間の第1の電圧を計測する第1の電圧計測部と、を備え、
前記第1の電流値と前記第1の電圧値とに基づく前記接続部材に係わる第1の抵抗値を取得し、該第1の抵抗値の値に基づいて、前記接続部材と前記発光パネル及び前記電源基板との接続状態の良否を判定する制御回路を備えるようにしてもよい。
【0027】
前記電源基板は、前記第2の電流流入端子と前記第2の電圧検出用端子との間の第2の電圧値を計測する第2の電圧計測回路と、を備え、
前記制御回路は、前記第1の電流値と前記第2の電圧値とに基づく前記接続部材に係わる第2の抵抗値を取得し、該第2の抵抗値の値に基づいて、前記接続部材と前記発光パネル及び前記電源基板との接続状態の良否を判定するようにしてもよい。
【0028】
本発明の第2の観点に係る電子機器は、上述の発光装置を備えることを特徴とする。
【0029】
本発明の第3の観点に係る発光パネルの検査装置は、
複数の発光素子が配列され、第1の電流流入端子と、該第1の電流流入端子を介して前記各発光素子に駆動電流を供給する電流供給線に接続され、前記電流供給線の電圧値を第1の検出電圧として出力する第1の電圧出力端子と、前記各発光素子から前記駆動電流を出力させる電流出力線に接続されて、前記電流出力線の前記駆動電流を流出させる第2の電流流出端子と、前記電流出力線に接続されて前記電流出力線の電圧値を第2の検出電圧として出力する第2の電圧出力端子と、を備える発光パネルの発光検査を行う、発光パネルの検査装置であって、
検査回路と、
該検査回路に接続され、少なくとも前記第1の電流流入端子及び前記第1の電圧出力端子に接触する検査端子部と、
を備え、
前記検査回路は、
駆動電圧と基準電圧とを供給する電源回路と、
前記検査端子部を介して前記発光パネルの前記第1の電流流入端子に接触して、前記発光パネルに前記駆動電流を流出する第1の電流流出端子と、
前記検査端子部を介して前記発光パネルの前記第1の電圧出力端子に接触して、前記第1の検出電圧を帰還させる第1の電圧検出用端子と、
前記第1の検出電圧と前記駆動電圧とを比較し、前記第1の検出電圧を前記駆動電圧に近づけるように調整された第1の出力電圧を前記第1の電流流出端子に印加して、前記駆動電流を前記第1の電流流出端子から流出させる第1のバッファ回路と、を備えたことを特徴とする。
【0030】
前記検査端子部の前記各検査針は、前記第2の電流流出端子及び前記第2の電圧出力端子に接触し、
前記検査回路は、
前記検査端子部を介して前記発光パネルの前記第2の電流流出端子に接触し、前記発光パネルから前記駆動電流が流入される第2の電流流入端子と、
前記検査端子部を介して前記第2の電圧出力端子に接触し、前記第2の検出電圧を帰還させる第2の電圧検出用端子と、
前記第2の検出電圧と前記基準電圧とを比較し、前記第2の検出電圧を前記基準電圧に近づけるように調整された第2の出力電圧を前記第2の電流流入端子に印加して、前記駆動電流を前記第2の電流流入端子から流入させる第2のバッファ回路と、を備えるようにしてもよい。
【0031】
前記第1のバッファ回路は、前記第1の出力電圧を前記第1の電流流出端子に印加して、前記第1の検出電圧を前記駆動電圧に等しくし、
前記第2のバッファ回路は、前記第2の出力電圧を前記第2の電流流入端子に印加して、前記第2の検出電圧を前記基準電圧に等しくするようにしてもよい。
【0032】
前記検査回路は、前記第1の電流流出端子から流出する前記駆動電流の第1の電流値を計測する第1の電流計測部と、前記第1の電流流出端子と前記第1の電圧検出用端子との間の第1の電圧を計測する第1の電圧計測部と、を備え、
前記第1の電流値と前記第1の電圧値とに基づく前記検査端子部と前記発光パネル間の第1の接触抵抗値を取得し、該第1の接触抵抗値の値に基づいて、前記検査端子部と前記発光パネルとの接触不良の有無を判定する制御回路を備えるようにしてもよい。
【0033】
前記検査回路は、前記第2の電流流入端子と前記第2の電圧検出用端子との間の第2の電圧値を計測する第2の電圧計測回路と、を備え、
前記制御回路は、前記第1の電流値と前記第2の電圧値とに基づく前記検査端子部と前記発光パネル間の第2の接触抵抗値を取得し、該第2の接触抵抗値の値に基づいて、前記検査端子部と前記発光パネルとの接触不良の有無を判定するようにしてもよい。
【0034】
本発明の第4の観点に係る発光装置の電圧降下キャンセル方法は、
複数の発光素子が配列され、第1の電流流入端子と、該第1の電流流入端子を介して前記各発光素子に駆動電流を供給する電流供給線に接続され、前記電流供給線の電圧値を第1の検出電圧として出力する第1の電圧出力端子と、前記各発光素子から前記駆動電流を出力させる電流出力線に接続されて、前記電流出力線の前記駆動電流を流出させる第2の電流流出端子と、前記電流出力線に接続されて前記電流出力線の電圧値を第2の検出電圧として出力する第2の電圧出力端子と、を備える発光パネルに、駆動電圧と基準電圧とを供給する駆動電圧と基準電圧とを供給する電源回路が実装された電源基板が接続部材を介して接続された発光装置の、前記接続部材による電圧降下をキャンセルするための、発光装置の電圧降下キャンセル方法であって、
前記接続部材を介して、前記電源基板から前記発光パネルの前記第1の電流流入端子に第1の出力電圧を供給して、前記発光パネルに前記駆動電流を流入させる流入ステップと、
前記接続部材を介して、前記第1の検出電圧を、前記発光パネルの前記第1の電圧出力端子から前記電源基板に帰還させる第1の帰還ステップと、
前記第1の帰還ステップにより帰還された前記第1の検出電圧と前記駆動電圧とを比較して、前記第1の検出電圧が前記駆動電圧より低い電位であるときに、前記第1の出力電圧の電位を上昇させる第1の比較ステップと、
前記第1の帰還ステップにより帰還された前記第1の検出電圧と前記駆動電圧とを比較して、前記第1の検出電圧が前記駆動電圧より高い電位であるときに、前記第1の出力電圧の電位を低下させる第2の比較ステップと、
前記第1の比較ステップと前記第2の比較ステップとを、前記第1の検出電圧と前記駆動電圧との電位が等しくなるまで繰り返して実行して、前記第1の検出電圧と前記駆動電圧とが等しい電位となったときの前記第1の出力電圧を前記第1の電流流出端子に印加することにより、前記接続部材による前記電圧降下をキャンセルする第1のキャンセルステップと、
を含むことを特徴とする。
【0035】
前記接続部材を介して、前記発光パネルの前記第2の電圧出力端子から前記電源基板に、前記第2の検出電圧を帰還させる第2の帰還ステップと、
前記第2の帰還ステップにより帰還された前記第2の検出電圧と前記基準電圧とを比較して、前記第2の検出電圧が前記基準電圧より低い電位であるときに、前記第2の出力電圧の電位を上昇させる第3の比較ステップと、
前記第2の帰還ステップにより帰還された前記第1の検出電圧と前記駆動電圧とを比較して、前記第1の検出電圧の電位が前記駆動電圧の電位より高いときに、前記第1の出力電圧の電位を低下させる第4の比較ステップと、
前記第3の比較ステップと前記第4の比較ステップとを、前記第2の検出電圧と前記基準電圧との電位が等しくなるまで繰り返し実行して、前記第2の検出電圧と前記基準電圧とが等しい電位となったときの前記第2の出力電圧を前記第2の電流流入端子に印加することにより、前記接続部材による前記電圧降下をキャンセルする第2のキャンセルステップと、
を含むようにしてもよい。
【0036】
本発明の第5の観点に係る発光パネルの検査方法は、
複数の発光素子が配列され、第1の電流流入端子と、該第1の電流流入端子を介して前記各発光素子に駆動電流を供給する電流供給線に接続され、前記電流供給線の電圧値を第1の検出電圧として出力する第1の電圧出力端子と、前記各発光素子から前記駆動電流を出力させる電流出力線に接続されて、前記電流出力線の前記駆動電流を流出させる第2の電流流出端子と、前記電流出力線に接続されて前記電流出力線の電圧値を第2の検出電圧として出力する第2の電圧出力端子と、を備える発光パネルの発光検査を行う、発光パネルの検査方法であって、
検査端子部の検査針を前記発光パネルの前記第1の電流流入端子及び前記第1の電圧出力端子に接触させる接触ステップと、
前記検査端子部を介して、駆動電圧と基準電圧とを供給する電源回路を有する検査回路から前記発光パネルの前記第1の電流流入端子に第1の出力電圧を供給して、前記発光パネルに前記駆動電流を流入させる流入ステップと、
前記検査端子部を介して、前記発光パネルの前記第1の電圧出力端子から前記検査回路に前記第1の検出電圧を帰還させる第1の帰還ステップと、
帰還された前記第1の検出電圧と前記駆動電圧とを比較して、前記第1の検出電圧が前記駆動電圧より低い電位であるときに、前記第1の出力電圧の電位を上昇させる第1の比較ステップと、
前記第1の帰還ステップにより帰還された前記第1の検出電圧と前記駆動電圧とを比較して、前記第1の検出電圧が前記駆動電圧より高い電位であるときに、前記第1の出力電圧の電位を低下させる第2の比較ステップと、
前記第1の比較ステップと前記第2の比較ステップとを、前記第1の検出電圧と前記駆動電圧との電位が等しくなるまで繰り返して実行して、前記第1の検出電圧と前記駆動電圧とが等しい電位となったときの前記第1の出力電圧を前記第1の電流流出端子に印加する第1の印加ステップと、
を含むことを特徴とする。
【0037】
前記検査端子部を介して、前記発光パネルの前記第2の電圧出力端子から前記検査回路に、前記第2の検出電圧を帰還させる第2の帰還ステップと、
前記第2の帰還ステップにより帰還された前記第2の検出電圧と前記基準電圧とを比較して、前記第2の検出電圧が前記基準電圧より低い電位であるときに、前記第2の出力電圧の電位を上昇させる第3の比較ステップと、
前記第2の帰還ステップにより帰還された前記第1の検出電圧と前記駆動電圧とを比較して、前記第1の検出電圧の電位が前記駆動電圧の電位より高いときに、前記第1の出力電圧の電位を低下させる第4の比較ステップと、
前記第3の比較ステップと前記第4の比較ステップとを、前記第2の検出電圧と前記基準電圧との電位が等しくなるまで繰り返し実行して、前記第2の検出電圧と前記基準電圧とが等しい電位となったときの前記第2の出力電圧を前記第2の電流流入端子に印加する第2の印加ステップと、
を含むようにしてもよい。
【0038】
前記発光パネルの前記第1の電流流入端子に流入する前記駆動電流の第1の電流値を計測するステップと、
前記検査回路の、前記検査端子部を介して前記発光パネルの前記第1の電流流入端子に接続される第1の電流流出端子と、前記検査端子部を介して前記発光パネルの前記第1の電圧出力端子に接続される前記第1の電圧検出用端子と、の間の第1の電圧を計測するステップと、
前記第1の電流値と前記第1の電圧値とに基づいて、前記検査端子部と前記発光パネル間の第1の接触抵抗値を取得し、該第1の接触抵抗値の値に基づいて、前記検査端子部と前記発光パネルとの接触不良の有無を判定するステップと、
を含むようにしてもよい。
【0039】
前記検査回路の、前記検査端子部を介して前記発光パネルの前記第2の電流流出端子に接続される第2の電流流入端子と、前記検査端子部を介して前記発光パネルの前記第2の電圧出力端子に接続される第2の電圧検出用端子と、の間の第2の電圧値を計測するステップと、
前記第1の電流値と前記第2の電圧値とに基づく前記検査端子部と前記発光パネル間の第2の接触抵抗値を取得し、該第2の接触抵抗値の値に基づいて、前記検査端子部と前記発光パネルとの接触不良の有無を判定するステップと、
を含むようにしてもよい。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、接触抵抗による輝度の低下を防止し、接触抵抗のばらつきによる輝度のばらつきを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の実施形態1に係る発光装置が組み込まれる電子機器(デジタルカメラ)を示す図である。
【図2】実施形態1に係る発光装置が組み込まれる発光装置が組み込まれる電子機器(コンピュータ)を示す図である。
【図3】実施形態1に係る発光装置が組み込まれる発光装置が組み込まれる電子機器(携帯電話)を示す図である。
【図4】本発明の実施形態1に係る発光装置の構成を示す図である。
【図5】画素回路の構成の一例を示す図である。
【図6】図4に示すバッファ回路の構成、及びPCB部とFPC部とパネル部との間の接続関係を示す図である。
【図7】本発明の実施形態2に係るPCB部の構成、及びPCB部とFPC部とパネル部との間の接続関係を示す図である。
【図8】本発明の実施形態3に係る検査装置の構成、及び検査装置と検査用コンタクトプローブとパネル部との接続関係を示す図である。
【図9】PCB部とFPC部とパネル部とが接続された発光装置を示す図である。
【図10】図9に示す発光装置の接続関係を示す概略図である。
【図11】図10に示すPCB部とパネル部とを複数の配線で接続した従来の例を示す図である。
【図12】検査装置を、検査用コンタクトプローブを介してパネル部に接続する例を示す図である。
【図13】図12に示すパネル部と検査装置と検査用コンタクトプローブとの接続状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の実施形態に係る発光装置、電子機器、発光装置の検査装置を、図面を参照して説明する。尚、実施形態1は、発光装置10、電子機器に関するものであり、実施形態3は、発光装置の検査装置に関するものである。
(実施形態1)
【0043】
発光装置10は、図1に示すようなデジタルカメラ200、図2に示すようなコンピュータ210、図3に示すような携帯電話等の電子機器220に組み込まれる。
【0044】
デジタルカメラ200は、図1(a)及び(b)に示すように、レンズ部201と操作部202と表示部203とファインダー204とを備える。この表示部203に発光装置10が用いられる。
【0045】
図2に示すコンピュータ210は、表示部211と操作部212とを備え、この表示部211に発光装置10が用いられる。
【0046】
図3に示す携帯電話220は、表示部221と、操作部222と、受話部223と送話部224とを備え、この表示部221に発光装置10が用いられる。
【0047】
発光装置10は、図4に示すように、有機ELパネル11と、ゲートドライバ12と、データドライバ13と、電源回路14と、バッファ回路21,22と、を備える。
【0048】
有機ELパネル11は、行方向に形成された複数のゲートラインLg、複数のアノードラインLa及び複数のカソードラインLcと、列方向に形成された複数のデータラインLdと、各ゲートラインLg、アノードラインLa及びカソードラインLcと各データラインLdとの各交点近傍に形成された複数の画素回路110と、を備えたものである。各画素回路110は、表示画像の1画素に対応する表示画素である。各画素回路110は、有機EL素子111と、EL画素駆動回路112と、を備える。画素回路110の構成の一例を図5に示す。
【0049】
EL画素駆動回路112は、有機EL素子111を駆動する回路であり、有機EL素子111に駆動電流を供給する駆動トランジスタT1と、スイッチトランジスタT2と、キャパシタCpと、を備える。この駆動トランジスタT1及びスイッチトランジスタT2は、例えばnチャンネル型のFET(Field Effect Transistor;電界効果トランジスタ)によって構成されたTFT(Thin Film Transistor)である。図5に示すEL画素駆動回路112において、スイッチトランジスタT2のゲートはゲートラインLgに接続され、スイッチトランジスタT2のドレインはデータラインLdに接続され、スイッチトランジスタT2のソースはキャパシタCpの一方の電極及び駆動トランジスタT1のゲートに接続されている。スイッチトランジスタT2は、ゲートラインLgの電圧がゲートドライバ12によってハイレベルとなったとき、オン状態となる。キャパシタCpは、スイッチトランジスタT2のソースと駆動トランジスタT1のソースとの間に接続され、スイッチトランジスタT2がオン状態となったとき、データラインLdに印加された電圧に対応する電荷を保持する。駆動トランジスタT1のドレインはアノードラインLaに接続され、駆動トランジスタT1のソースはキャパシタCpの他方の電極及び有機EL素子111のアノードに接続され、有機EL素子111のカソードはカソードラインLcに接続されている。駆動トランジスタT1はキャパシタCpに保持された電荷に応じて、アノードラインLaから駆動電流を有機EL素子111に供給する。
【0050】
ゲートドライバ12は、有機ELパネル11の各行の画素回路110を、順次、選択するドライバであり、例えば、シフトレジスタによって構成される。ゲートドライバ12は、各ゲートラインLgを介して、各行の画素回路110に接続される。
【0051】
データドライバ13は、各EL画素駆動回路112に、表示データの階調値に対応する電圧の電圧信号を印加するドライバである。データドライバ13は、各データラインLdを介して、各列のEL画素駆動回路112に接続される。
【0052】
電源回路14は、複数のアノードラインLaを介して各EL画素駆動回路112に駆動電圧としてのアノード電圧を印加し、複数のアノードラインLaにアノード−カソード電流(以後、「電流Iac」と記す。)を供給するドライバである。電流Iacは、複数の画素回路110の有機EL素子111に供給される駆動電流の総計である。
【0053】
電源回路14は、複数のアノードラインLaを介して各EL画素駆動回路112に接続され、複数のカソードラインLcを介して、各画素回路110の有機EL素子111のカソードに接続される。この複数のカソードラインLcは、各有機EL素子111のカソードに共通に接続されている。
【0054】
有機ELパネル11と、ゲートドライバ12と、データドライバ13とは、例えばガラス基板からなるパネル部1に実装される。電源回路14とバッファ回路21,22とは、PCB部(電源基板)20に実装され、パネル部1とPCB部20とはFPC部3を介して接続される。
【0055】
パネル部1は、図6に示すように、端子Pgaf,Pgas,Pgcf,Pgcsを有する。端子Pgafは、供給された電流Iacが流入し、複数のアノードラインLaに接続され、流入した電流Iacを各アノードラインLaへ分配する電流流入端子である。端子Pgasは、各アノードラインLaに接続されて、各アノードラインLaで検出されたアノード電圧VaLを出力するための電圧出力端子である。
【0056】
端子Pgcfは、複数のカソードラインLcに接続されて、各有機EL素子111から各カソードラインLcに出力された電流の総計からなる電流Iacを流出させる電流流出端子であり、端子Pgcsは、各カソードラインLcに接続されて、各カソードラインLcで検出されたカソード電圧VcLを出力するための電圧出力端子である。
【0057】
PCB部20は、図6に示すように、端子Ppaf,Ppas,Ppcf,Ppcsを有する。端子Ppafは、PCB部20とパネル部1とが接続されたときに、パネル部の端子Pgafと配線Nafを介して電気的に接続され、電流Iacを流出する電流流出端子である。
【0058】
端子Ppasは、PCB部20とパネル部1とが接続されたときに、パネル部1の端子Pgasと配線Nasを介して電気的に接続され、各アノードラインLaで検出されたアノード電圧VaLをフィードバックさせるための電圧検出用端子である。
【0059】
端子Ppcfは、PCB部20とパネル部1とが接続されたときに、パネル部1の端子Pgcfと配線Ncfを介して電気的に接続され、端子Pgcfから流出した電流Iacを流入する電流流入端子である。
【0060】
端子Ppcsは、PCB部20とパネル部1とが接続されたときに、パネル部1の端子Pgcsと配線Ncsを介して電気的に接続され、各カソードラインLcで検出されたカソード電圧VcLをフィードバックさせるための電圧検出用端子である。
【0061】
バッファ回路21は、出力電圧Va_outを調整してPCB部20の端子Ppafとパネル部1の端子Pgafとの間の配線Nafの接触抵抗による電圧降下をキャンセル(抑制)するための回路である。バッファ回路21は、図6に示すように、演算増幅器21aとトランジスタQ1とを備える。
【0062】
尚、図6に示す接触抵抗Rpf_afは、配線NafにおけるPCB部20、FPC部3間の接合面J[pf]の接触抵抗を示し、接触抵抗Rfg_afは、配線NafにおけるFPC部3、パネル部1間の接合面J[fg]の接触抵抗を示す。
【0063】
また、接触抵抗Rpf_asは、配線Nasにおける接合面J[pf]の接触抵抗を示し、接触抵抗Rfg_asは、配線Nasにおける接合面J[fg]の接触抵抗を示す。
【0064】
演算増幅器21aは、アノード電圧Vaとアノード電圧VaLとを比較して、両電圧が等しくなるように調整された出力電圧Vout21を出力するものである。ここで、アノード電圧Vaは、電源回路14が印加する駆動電圧であり、アノード電圧VaLは、パネル部1の各アノードラインLaからフィードバックされた実際の駆動電圧である。演算増幅器21aは、動作電圧として電源から正の電圧VccA(+)と負のVccA(-)とが印加されて動作する。
【0065】
演算増幅器21aの+(非反転)入力端子は、電源回路14のアノード電圧出力端に接続され、−(反転)入力端子は、端子Ppasに接続される。アノード電圧VaLは、パネル部1の端子Pgas,PCB部20の端子Ppasを介してフィードバックされ、−入力端子に供給される。
【0066】
トランジスタQ1は、演算増幅器21aから出力された出力信号Vout21に基づく出力電圧Va_outを出力し、電流Iacを供給するトランジスタであり、例えば、npnダーリントン型パワートランジスタによって構成される。
【0067】
トランジスタQ1のベースは演算増幅器21aの出力端に接続され、エミッタは、端子Ppafに接続される。そして、トランジスタQ1のコレクタには、正の電圧VccA(+)が印加される。
【0068】
バッファ回路22は、出力電圧Vc_outを調整して、PCB部20の端子Ppcfとパネル部1の端子Pgcfとの間の配線Ncfの接触抵抗Rpf_cf,Rfg_cfによる電圧降下をキャンセルするためのものである。バッファ回路22は、演算増幅器22aとトランジスタQ2とを備える。
【0069】
尚、図6に示す接触抵抗Rpf_cfは、配線Ncfにおける接合面J[pf]の接触抵抗を示し、接触抵抗Rfg_cfは、配線Ncfにおける接合面J[fg]の接触抵抗を示す。
【0070】
また、接触抵抗Rpf_csは、配線Ncsにおける接合面J[pf]の接触抵抗を示し、接触抵抗Rfg_csは、配線Ncsにおける接合面J[fg]の接触抵抗を示す。
【0071】
演算増幅器22aは、カソード電圧Vcとカソード電圧VcLとを比較して、両電圧が等しくなるように調整された出力電圧Vout22を出力するものである。カソード電圧Vcは電源回路14が印加する基準電圧であり、カソード電圧VcLは、パネル部1の各カソードラインLcからフィードバックされた実際の基準電圧である。演算増幅器22aは、動作電圧として電源から正の電圧VccC(+)と負の電圧VccC(-)とが印加されて動作する。
【0072】
演算増幅器22aの+入力端子は、電源回路14のカソード電圧出力端に接続され、−(反転)入力端子は、PCB部20の端子Ppcsに接続される。カソード電圧VcLは、パネル部1の端子Pgcs,PCB部20の端子Ppcsを介してフィードバックされ、演算増幅器22aの−入力端子に供給される。
【0073】
トランジスタQ2は、演算増幅器22aから出力された出力信号Vout22に基づく出力電圧Vc_outを出力し、電流Iacを引き込むトランジスタである。トランジスタQ2は、例えばpnpダーリントン型パワートランジスタによって構成される。
【0074】
トランジスタQ2のベースは、演算増幅器22aの出力端に接続され、エミッタは、PCB部20の端子Ppcfに接続され、負の電圧VccC(-)がコレクタに印加される。
【0075】
次に実施形態1に係る発光装置10の動作を説明する。
バッファ回路21の演算増幅器21aの+入力端子には、電源回路14からアノード電圧Vaが印加される。また、バッファ回路22の演算増幅器22aの+入力端子には、電源回路14からカソード電圧Vcが印加される。
【0076】
電源回路14から演算増幅器21aの+入力端子に印加されたアノード電圧Vaは、初期電圧0Vであり、アノード電圧Vaの印加開始時において0Vから各アノードラインLaに印加したい電圧であるアノード電圧Vaに立ち上がる。演算増幅器21aの−入力端子に印加される電圧は、初期時、0Vであるため、アノード電圧Vaが0Vより上昇すると演算増幅器21aの出力電圧Vout21は上昇する。このとき、トランジスタQ1はオンしている。
【0077】
出力電圧Vout21が上昇すると、バッファ回路21の出力電圧Va_outも上昇し、電流Iacは、PCB部20の端子Ppaf、FPC部3、パネル部1の端子Pgafを介してパネル部1へと流れ込む。
【0078】
トランジスタQ1のエミッタからパネル部1の各アノードラインLaに流れる電流Iacは比較的大きく、パネル部1の端子PgafとPCB部20の端子Ppafとの間には、(Rpf_af+Rfg_af)×Iacの電圧降下が発生する。このため、アノード電圧VaLは、アノード電圧Vaよりも低くなる。
【0079】
パネル部1の各アノードラインLaのアノード電圧VaLは、パネル部1の端子Pgas、FPC部3、PCB部20の端子Ppasを介して演算増幅器21aの−入力端子にフィードバックされる。
【0080】
演算増幅器21aの入力インピーダンスが高いため、パネル部1の端子Pgas、PCB部20のPpas間には、電流がほとんど流れない。
【0081】
このため、端子Pgas,Ppas間の接触抵抗Rpf_as,Rfg_asによる電圧降下はほとんど発生せず、演算増幅器21aの−入力端子に印加された電圧は、このアノード電圧VaLにほぼ等しくなる。演算増幅器21aは、このようにしてアノード電圧VaLを検出する。
【0082】
アノード電圧VaLの電位がアノード電圧Vaの電位より低い電位の間、演算増幅器21aの出力電圧Vout21の電位が上昇し、トランジスタQ1のベース電圧が上昇する。このため、電流Iacの電流量は増加する。また、出力電圧Vout21の電位の上昇に従ってバッファ回路21の出力電圧Va_outの電位も上昇し、パネル部1のアノード電圧VaLの電位も上昇する。
【0083】
次いで、アノード電圧VaLの電位がアノード電圧Vaの電位を越える電位にまで上昇すると、演算増幅器21aの出力電圧Vout21の電位は低下し、トランジスタQ1のベース電圧も低下する。このため、電流Iacは減少する。また、出力電圧Vout21の電位の低下に従って、バッファ回路21の出力電圧Va_outの電位も低下し、パネル部1のアノード電圧VaLの電位も低下する。そして、アノード電圧VaLの電位は、再び、アノード電圧Vaの電位よりもわずかに低くなる。
【0084】
このような動作を繰り返すことによって、最終的に、−入力端子にフィードバックされるアノード電圧VaLは、演算増幅器21aの+入力端子に印加されるアノード電圧Vaにほぼ等しい、又は等しい電位となる。これによって、パネル部1の端子PgafとPCB部20の端子Ppafとの間に発生した(Rpf_af+Rfg_af)×Iacの電圧降下は、キャンセルされる。
【0085】
一方、カソード側において、電源回路14からバッファ回路22の演算増幅器22aの+入力端子に印加されるカソード電圧Vcは、例えば0V(接地電位)である。トランジスタQ2はオンしており、アノード電圧Va及びカソード電圧Vcの印加開始時において、パネル部1の端子Pgcs、FPC部3、PCB部20の端子Ppcsを介して演算増幅器22aの−入力端子にフィードバックされるパネル部1の各カソードドラインLcのカソード電圧VcLの電位は、トランジスタQ2を介して電流Iacが引き込まれるように流れることにより、0Vから上昇する。演算増幅器22aの−入力端子に印加される電圧の電位が0Vから上昇するため、演算増幅器22aの出力電圧Vout22の電位は下降する。
ここで、演算増幅器22aの入力インピーダンスが高いため、パネル部1の端子Pgas、PCB部20のPpcs間には、電流がほとんど流れないため、端子Pgcs,Ppcs間の接触抵抗Rpf_cs,Rfg_csによる電圧降下はほとんど発生せず、演算増幅器22aの−入力端子に印加された電圧は、このカソード電圧VcLになる。演算増幅器22aは、このようにしてカソード電圧VcLを検出する。
【0086】
パネル部1に流れ込んだ電流Iacは、各カソードラインLcから流れ出し、流れ出した電流Iacは、パネル部1の端子Pgcf、FPC部3、PCB部20の端子Ppcfを介してトランジスタQ2のエミッタ−コレクタへと流れ込む。
【0087】
パネル部1の各カソードラインLcからトランジスタQ2に流れる電流Iacは比較的大きく、パネル部1の端子PgcfとPCB部20の端子Ppcfとの間には、(Rpf_cf+Rfg_cf)×Iacの電圧降下が発生する。このため、カソード電圧VcLの電位は、カソード電圧Vcの電位よりも高くなる。
【0088】
カソード電圧VcLの電位がカソード電圧Vcの電位を超えている間、演算増幅器21aの出力電圧Vout22の電位は低下し、トランジスタQ2のベース電圧が低下する。このため、電流Iacの電流量は増加する。また、出力電圧Vout22の電位の低下に従って、バッファ回路22の出力電圧Vc_outの電位も低下し、パネル部1のカソード電圧VcLの電位も低下する。
【0089】
次いで、カソード電圧VcLの電位がカソード電圧Vcの電位より低い電位にまで低下すると、演算増幅器22aの出力電圧Vout22の電位は上昇し、トランジスタQ2のベース電圧が上昇する。このため、電流Iacは減少する。また、出力電圧Vout22の電位の上昇に従って、バッファ回路22の出力電圧Vc_outの電位も上昇し、カソード電圧VcLは、再び、カソード電圧Vcよりもわずかに高い電位になる。
【0090】
このような動作を繰り返すことによって、最終的に、−入力端子にフィードバックされるカソード電圧VcLは、演算増幅器22aの+入力端子に印加されるカソード電圧Vcにほぼ等しい、又は等しい電位となる。これにより、パネル部1の端子PgcfとPCB部20の端子Ppcfとの間に発生した(Rpf_cf+Rfg_cf)×Iacの電圧降下は、キャンセルされる。
【0091】
以上説明したように、本実施形態1によれば、パネル部1のアノード電圧VaLをPCB部1側にフィードバックして、アノード電圧Vaとアノード電圧VaLとを比較し、アノード電圧VaLがアノード電圧Vaと等しい電位となるように出力電圧Va_outを調整して、電流Iacをパネル部1に供給するようにした。
【0092】
従って、PCB部20の端子Ppafとパネル部1の端子Pgafとの間の接触抵抗Rpf_af,Rfg_afによって発生する電圧降下をキャンセルすることができる。
【0093】
また、パネル部1のカソード電圧VcLをPCB部1側にフィードバックして、カソード電圧Vcとカソード電圧VcLとを比較し、カソード電圧VcLがカソード電圧Vcと等しい電位となるように出力電圧Vc_outを調整して、電流Iacをパネル部1から引き込むようにした。
【0094】
従って、PCB部20の端子Ppcfとパネル部1の端子Pgcfとの間の接触抵抗Rpf_cf,Rfg_cfによって発生する電圧降下をキャンセルすることができる。
【0095】
このため、接触抵抗Rpf_af,Rfg_af,Rpf_cf,Rfg_cfによる有機ELパネル11の画面輝度の低下を防止し、接触抵抗Rpf_af,Rfg_af,Rpf_cf,Rfg_cfのばらつきによる画面輝度のばらつきを抑制することができる。
(実施形態2)
【0096】
実施形態2に係る発光装置は、配線の接触抵抗を測定するようにしたものである。
この接触抵抗の抵抗値に基づいて、PCB部20とパネル部1との接続不良を判別できる。
【0097】
実施形態2に係る発光装置10において、PCB部20は、図7に示すように、電流計23と電圧計24,25とを備える。
【0098】
電流計23は、電流Iacの電流値を計測するためのものであり、トランジスタQ1のエミッタと端子Ppafとの間に接続される。
【0099】
電圧計24は、端子Ppafと端子Ppasとの間に接続され、端子Ppafと端子Ppasとの間の電圧を計測するものである。
【0100】
電圧計25は、端子Ppcfと端子Ppcsとの間に接続され、端子Ppcfと端子Ppcsとの間の電圧を計測するものである。
【0101】
電源回路14が印加するアノード電圧Va、カソード電圧Vcが、それぞれ、有機EL素子111を点灯させる電圧になったとき、電流計23は、このときの電流Iacを計測する。
【0102】
また、電圧計24が計測した端子Ppafと端子Ppasとの間の電圧は、(Va_out−VaL)となり、この電圧がPCB部20の端子Ppafとパネル部1の端子Pgafとの間の電圧降下になる。
【0103】
このため、配線Nafの端子Ppafと端子Pgafとの間の接触抵抗の抵抗値(Rpf_af+Rfg_af)は、以下の式(1)によって表される。
Rpf_af+Rfg_af=(Va_out−VaL)/Iac ・・・・・・(1)
【0104】
式(1)に従って算出された配線Nafの接触抵抗の抵抗値(Rpf_af+Rfg_af)と予め設定された閾値とを比較することにより、アノード側の端子Ppafと端子Pgafとの間の接続の良否を判定することができる。
【0105】
接触抵抗の抵抗値(Rpf_af+Rfg_af)が閾値以下であれば、端子Ppafと端子Pgafとの間の接続は良と判定される。一方、接触抵抗の抵抗値(Rpf_af+Rfg_af)が閾値を超えていれば、端子Ppafと端子Pgafとの間の接続は不良と判定される。
【0106】
また、電圧計25が計測した端子Ppcfと端子Ppcsとの間の電圧は、(Vc_out−VcL)となり、この電圧がPCB部20の端子Ppcfとパネル部1の端子Pgcfとの間の電圧降下になる。
【0107】
このため、配線Ncfの接触抵抗の抵抗値(Rpf_cf+Rfg_cf)は、以下の式(2)によって表される。
Rpf_cf+Rfg_cf=(Vc_out−VcL)/Iac ・・・・・・(2)
【0108】
式(2)に従って算出された配線Ncfの接触抵抗の抵抗値(Rpf_cf+Rfg_cf)と予め設定された閾値とを比較することにより、カソード側の端子Ppcfと端子Pgcfとの間の接続の良否を判定することができる。
【0109】
接触抵抗の抵抗値(Rpf_cf+Rfg_cf)が閾値以下であれば、端子Ppcfと端子Pgcfとの間の接続は良と判定される。一方、接触抵抗の抵抗値(Rpf_cf+Rfg_cf)が閾値を超えていれば、端子Ppcfと端子Pgcfとの間の接続は不良と判定される。
【0110】
以上説明したように、本実施形態2によれば、PCB部20に電流計23、電圧計24,25を備え、電流Iac、PCB部20、パネル部1との間の電圧降下を計測するようにした。
【0111】
従って、PCB部20とパネル部1との間の接触抵抗の抵抗値を算出することができる。このため、算出した接触抵抗の抵抗値と予め設定された閾値とを比較することにより、パネル部1、PCB部20間の接続の合否判定を行うことができる。
(実施形態3)
【0112】
実施形態3に係る発光装置の検査装置は、接触抵抗による電圧降下をキャンセルするため、実施形態1と同様のバッファ回路を備えるようにしたものである。
【0113】
検査装置40は、発光装置の出荷前の検査工程において、パネル部1の各有機EL素子111の点灯検査に用いられるものであり、図8に示すように、検査用コンタクトプローブ401と検査回路403とからなる。尚、検査用コンタクトプローブ401と検査回路403とは、例えば、従来と同様のフラットケーブル42を介して接続される。
【0114】
パネル部1は、実施形態1,2と同様に、端子Pgaf,Pgas,Pgcf,Pgcsを有する。検査用コンタクトプローブ401は、プローブ接触部を有し、プローブ接触部の先端部には、それぞれ、端子Pgaf,Pgas,Pgcf,Pgcsに接触する検査針が備えられている。
図8に示す接触抵抗Rph_afは、配線Nafにおける検査回路403と検査用コンタクトプローブ401間の接触抵抗を示し、接触抵抗Rfp_afは、配線Nafにおける検査用コンタクトプローブ401とパネル部1の端子Pgaf間の接触抵抗を示す。接触抵抗Rph_asは、配線Nasにおける検査回路403と検査用コンタクトプローブ401間の接触抵抗を示し、接触抵抗Rfp_asは、配線Nasにおける検査用コンタクトプローブ401とパネル部1の端子Pgas間の接触抵抗を示す。接触抵抗Rph_cfは、配線Ncfにおける検査回路403と検査用コンタクトプローブ401間の接触抵抗を示し、接触抵抗Rfp_cfは、配線Ncfにおける検査用コンタクトプローブ401とパネル部1の端子Pgcf間の接触抵抗を示す。また、接触抵抗Rph_csは、配線Ncsにおける検査回路403と検査用コンタクトプローブ401間の接触抵抗を示し、接触抵抗Rfp_csは、配線Ncsにおける検査用コンタクトプローブ401とパネル部1の端子Pgcs間の接触抵抗を示す。
【0115】
検査回路403は、図8に示すように、実施形態1と同様の端子Ppaf,Ppas,Ppcf,Ppcsを有し、電源回路14とバッファ回路21,22とを備える。
【0116】
パネル部1の各有機EL素子111の点灯検査を行う場合、パネル部1の端子Pgaf,Pgas,Pgcf,Pgcsに検査用コンタクトプローブ401の各検査針を接触させる。
【0117】
そして、検査回路403の電源回路14からバッファ回路21の演算増幅器21aの+入力端子にアノード電圧Vaが印加され、バッファ回路22の演算増幅器22aの+入力端子にカソード電圧Vcが印加されて、この点灯検査が行われる。
【0118】
以上説明したように、本実施形態3によれば、有機EL素子111の点灯検査を行う検査回路403は、実施形態1と同様のバッファ回路21,22を備えるようにした。
【0119】
従って、有機EL素子111の点灯検査を行う場合でも、接触抵抗によって発生する電圧降下をキャンセルすることができ、接触抵抗による輝度の低下を防止し、接触抵抗のばらつきによる輝度のばらつきを抑制することができる。
【0120】
このため、有機ELパネル11の画面輝度が低下した場合、あるいは、画面輝度にばらつきがあった場合、これらの原因は各部の接触抵抗によるものではないと判別でき、有機EL素子111の点灯検査を正確に行うことができる。
【0121】
尚、本発明を実施するにあたっては、種々の形態が考えられ、上記実施形態に限られるものではない。
例えば、上記実施形態3においても、実施形態2と同様、検査回路403が電流計23、電圧計24,25を備え、式(1),(2)に従って、それぞれ、接触抵抗(Rph_af+Rfp_af),(Rph_cf+Rfp_cf)を算出することにより、パネル部1、検査回路403間の接触の合否判定を行うことができる。
【0122】
そして、パネル部1、検査回路403間の接触抵抗が閾値を超えていれば、検査用コンタクトプローブ41の接触不良として再検査を行うかどうかの判定を行うことができる。
【0123】
また、電流計23、電圧計24,25が計測した電流、電圧に基づいて、式(1),(2)に従って接触抵抗の抵抗値を算出し、検査用コンタクトプローブ401の接触不良か否かを判定するような制御部を備えることもできる。
【0124】
上記実施形態1〜3では、バッファ回路21,22をPCB部20の電源回路14外に備えるものとして説明した。しかし、バッファ回路21,22を電源回路14内に備えることもできる。
【0125】
また、上記実施形態2における電流計23、電圧計24,25も電源回路14内に備えることもできる。
【0126】
また、上記実施形態2における電流計23をバッファ回路22側に備えるようにしてもよい。
【0127】
上記実施形態1〜3では、PCB部20がバッファ回路21,22を備えるものとした。しかし、PCB部20は、バッファ回路21,22のいずれか一方を備えるものであってもよい。
【0128】
上記実施形態1,2では、パネル部1とPCB部20とがFPC部3を介して電気的に接続されるものとして説明した。しかし、パネル部1とPCB部20とがFPC部3を介さないで接続されるような場合でも、上記実施形態1,2を適用することができる。
【0129】
上記実施形態1〜3では、発光装置を例として説明した。しかし、発光装置に限らず、電流を供給する側のPCB部20と電流が供給されて動作する回路基板とがFPC部3を介して電気的に接続されて基板間の接触抵抗が問題となる電子機器、例えば、表示装置、照明装置、プリンタ、複写装置においても、本実施形態1〜3を適用することができる。
【0130】
即ち、このような電子機器の電流源基板に実施形態1〜3に示すようなバッファ回路21,22を備えることにより、接触抵抗をキャンセルすることができる。
【符号の説明】
【0131】
1・・・パネル部、3・・・FPC部、10・・・発光装置、11・・・有機ELパネル、12・・・ゲートドライバ、13・・・データドライバ、14・・・電源回路、20・・・PCB部、21,22・・・バッファ回路、21a,22a・・・演算増幅器、40・・・検査装置、401・・・検査用コンタクトプローブ、403・・・検査回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光素子が配列された発光パネルと、
駆動電圧と基準電圧とを供給する電源回路が実装された電源基板と、
を備え、
前記発光パネルは、第1の電流流入端子と、前記第1の電流流入端子に接続され、該第1の電流流入端子を介して前記各発光素子に駆動電流を供給する電流供給線と、前記電流供給線に接続されて、前記電流供給線の電圧値を第1の検出電圧として出力する第1の電圧出力端子と、を備え、
前記電源基板は、接続部材を介して前記発光パネルの前記第1の電流流入端子と接続されて、前記発光パネルに前記駆動電流を流出する第1の電流流出端子と、前記接続部材を介して前記第1の電圧出力端子と接続されて、前記第1の検出電圧を帰還させる第1の電圧検出用端子と、前記第1の検出電圧と前記駆動電圧とを比較し、前記第1の検出電圧を前記駆動電圧に近づけるように調整された第1の出力電圧を前記第1の電流流出端子に印加して、前記駆動電流を前記第1の電流流出端子から流出させる第1のバッファ回路と、を備えたことを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記発光パネルは、前記各発光素子から前記駆動電流を出力させる電流出力線と、前記電流出力線に接続されて、前記電流出力線の前記駆動電流を流出させる第2の電流流出端子と、前記電流出力線に接続されて前記電流出力線の電圧値を第2の検出電圧として出力する第2の電圧出力端子と、を備え、
前記電源基板は、前記接続部材を介して前記発光パネルの前記第2の電流流出端子に接続されて、前記発光パネルから前記駆動電流が流入される第2の電流流入端子と、前記接続部材を介して前記第2の電圧出力端子と接続されて、前記第2の検出電圧を帰還させる第2の電圧検出用端子と、前記第2の検出電圧と前記基準電圧とを比較し、前記第2の検出電圧を前記基準電圧に近づけるように調整された第2の出力電圧を前記第2の電流流入端子に印加して、前記駆動電流を前記第2の電流流入端子から流入させる第2のバッファ回路と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記第1のバッファ回路は、前記第1の出力電圧を前記第1の電流流出端子に印加して、前記第1の検出電圧を前記駆動電圧に等しくし、
前記第2のバッファ回路は、前記第2の出力電圧を前記第2の電流流入端子に印加して、前記第2の検出電圧を前記基準電圧に等しくすることを特徴とする請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記電源基板は、前記第1の電流流出端子から流出する前記駆動電流の第1の電流値を計測する第1の電流計測部と、前記第1の電流流出端子と前記第1の電圧検出用端子との間の第1の電圧を計測する第1の電圧計測部と、を備え、
前記第1の電流値と前記第1の電圧値とに基づく前記接続部材に係わる第1の抵抗値を取得し、該第1の抵抗値の値に基づいて、前記接続部材と前記発光パネル及び前記電源基板との接続状態の良否を判定する制御回路を備える、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の発光装置。
【請求項5】
前記電源基板は、前記第2の電流流入端子と前記第2の電圧検出用端子との間の第2の電圧値を計測する第2の電圧計測回路と、を備え、
前記制御回路は、前記第1の電流値と前記第2の電圧値とに基づく前記接続部材に係わる第2の抵抗値を取得し、該第2の抵抗値の値に基づいて、前記接続部材と前記発光パネル及び前記電源基板との接続状態の良否を判定することを特徴とする請求項4に記載の発光装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の発光装置を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項7】
複数の発光素子が配列され、第1の電流流入端子と、該第1の電流流入端子を介して前記各発光素子に駆動電流を供給する電流供給線に接続され、前記電流供給線の電圧値を第1の検出電圧として出力する第1の電圧出力端子と、前記各発光素子から前記駆動電流を出力させる電流出力線に接続されて、前記電流出力線の前記駆動電流を流出させる第2の電流流出端子と、前記電流出力線に接続されて前記電流出力線の電圧値を第2の検出電圧として出力する第2の電圧出力端子と、を備える発光パネルの発光検査を行う、発光パネルの検査装置であって、
検査回路と、
該検査回路に接続され、少なくとも前記第1の電流流入端子及び前記第1の電圧出力端子に接触する検査端子部と、
を備え、
前記検査回路は、
駆動電圧と基準電圧とを供給する電源回路と、
前記検査端子部を介して前記発光パネルの前記第1の電流流入端子に接触して、前記発光パネルに前記駆動電流を流出する第1の電流流出端子と、
前記検査端子部を介して前記発光パネルの前記第1の電圧出力端子に接触して、前記第1の検出電圧を帰還させる第1の電圧検出用端子と、
前記第1の検出電圧と前記駆動電圧とを比較し、前記第1の検出電圧を前記駆動電圧に近づけるように調整された第1の出力電圧を前記第1の電流流出端子に印加して、前記駆動電流を前記第1の電流流出端子から流出させる第1のバッファ回路と、を備えたことを特徴とする発光パネルの検査装置。
【請求項8】
前記検査端子部の前記各検査針は、前記第2の電流流出端子及び前記第2の電圧出力端子に接触し、
前記検査回路は、
前記検査端子部を介して前記発光パネルの前記第2の電流流出端子に接触し、前記発光パネルから前記駆動電流が流入される第2の電流流入端子と、
前記検査端子部を介して前記第2の電圧出力端子に接触し、前記第2の検出電圧を帰還させる第2の電圧検出用端子と、
前記第2の検出電圧と前記基準電圧とを比較し、前記第2の検出電圧を前記基準電圧に近づけるように調整された第2の出力電圧を前記第2の電流流入端子に印加して、前記駆動電流を前記第2の電流流入端子から流入させる第2のバッファ回路と、を備える、ことを特徴とする請求項7に記載の発光パネルの検査装置。
【請求項9】
前記第1のバッファ回路は、前記第1の出力電圧を前記第1の電流流出端子に印加して、前記第1の検出電圧を前記駆動電圧に等しくし、
前記第2のバッファ回路は、前記第2の出力電圧を前記第2の電流流入端子に印加して、前記第2の検出電圧を前記基準電圧に等しくすることを特徴とする請求項8に記載の発光パネルの検査装置。
【請求項10】
前記検査回路は、前記第1の電流流出端子から流出する前記駆動電流の第1の電流値を計測する第1の電流計測部と、前記第1の電流流出端子と前記第1の電圧検出用端子との間の第1の電圧を計測する第1の電圧計測部と、を備え、
前記第1の電流値と前記第1の電圧値とに基づく前記検査端子部と前記発光パネル間の第1の接触抵抗値を取得し、該第1の接触抵抗値の値に基づいて、前記検査端子部と前記発光パネルとの接触不良の有無を判定する制御回路を備える、
ことを特徴とする請求項8又は9に記載の発光パネルの検査装置。
【請求項11】
前記検査回路は、前記第2の電流流入端子と前記第2の電圧検出用端子との間の第2の電圧値を計測する第2の電圧計測回路と、を備え、
前記制御回路は、前記第1の電流値と前記第2の電圧値とに基づく前記検査端子部と前記発光パネル間の第2の接触抵抗値を取得し、該第2の接触抵抗値の値に基づいて、前記検査端子部と前記発光パネルとの接触不良の有無を判定することを特徴とする請求項10に記載の発光パネルの検査装置。
【請求項12】
複数の発光素子が配列され、第1の電流流入端子と、該第1の電流流入端子を介して前記各発光素子に駆動電流を供給する電流供給線に接続され、前記電流供給線の電圧値を第1の検出電圧として出力する第1の電圧出力端子と、前記各発光素子から前記駆動電流を出力させる電流出力線に接続されて、前記電流出力線の前記駆動電流を流出させる第2の電流流出端子と、前記電流出力線に接続されて前記電流出力線の電圧値を第2の検出電圧として出力する第2の電圧出力端子と、を備える発光パネルに、駆動電圧と基準電圧とを供給する駆動電圧と基準電圧とを供給する電源回路が実装された電源基板が接続部材を介して接続された発光装置の、前記接続部材による電圧降下をキャンセルするための、発光装置の電圧降下キャンセル方法であって、
前記接続部材を介して、前記電源基板から前記発光パネルの前記第1の電流流入端子に第1の出力電圧を供給して、前記発光パネルに前記駆動電流を流入させる流入ステップと、
前記接続部材を介して、前記第1の検出電圧を、前記発光パネルの前記第1の電圧出力端子から前記電源基板に帰還させる第1の帰還ステップと、
前記第1の帰還ステップにより帰還された前記第1の検出電圧と前記駆動電圧とを比較して、前記第1の検出電圧が前記駆動電圧より低い電位であるときに、前記第1の出力電圧の電位を上昇させる第1の比較ステップと、
前記第1の帰還ステップにより帰還された前記第1の検出電圧と前記駆動電圧とを比較して、前記第1の検出電圧が前記駆動電圧より高い電位であるときに、前記第1の出力電圧の電位を低下させる第2の比較ステップと、
前記第1の比較ステップと前記第2の比較ステップとを、前記第1の検出電圧と前記駆動電圧との電位が等しくなるまで繰り返して実行して、前記第1の検出電圧と前記駆動電圧とが等しい電位となったときの前記第1の出力電圧を前記第1の電流流出端子に印加することにより、前記接続部材による前記電圧降下をキャンセルする第1のキャンセルステップと、
を含むことを特徴とする発光装置の電圧降下キャンセル方法。
【請求項13】
前記接続部材を介して、前記発光パネルの前記第2の電圧出力端子から前記電源基板に、前記第2の検出電圧を帰還させる第2の帰還ステップと、
前記第2の帰還ステップにより帰還された前記第2の検出電圧と前記基準電圧とを比較して、前記第2の検出電圧が前記基準電圧より低い電位であるときに、前記第2の出力電圧の電位を上昇させる第3の比較ステップと、
前記第2の帰還ステップにより帰還された前記第1の検出電圧と前記駆動電圧とを比較して、前記第1の検出電圧の電位が前記駆動電圧の電位より高いときに、前記第1の出力電圧の電位を低下させる第4の比較ステップと、
前記第3の比較ステップと前記第4の比較ステップとを、前記第2の検出電圧と前記基準電圧との電位が等しくなるまで繰り返し実行して、前記第2の検出電圧と前記基準電圧とが等しい電位となったときの前記第2の出力電圧を前記第2の電流流入端子に印加することにより、前記接続部材による前記電圧降下をキャンセルする第2のキャンセルステップと、
を含むことを特徴とする請求項12に記載の発光装置の電圧降下キャンセル方法。
【請求項14】
複数の発光素子が配列され、第1の電流流入端子と、該第1の電流流入端子を介して前記各発光素子に駆動電流を供給する電流供給線に接続され、前記電流供給線の電圧値を第1の検出電圧として出力する第1の電圧出力端子と、前記各発光素子から前記駆動電流を出力させる電流出力線に接続されて、前記電流出力線の前記駆動電流を流出させる第2の電流流出端子と、前記電流出力線に接続されて前記電流出力線の電圧値を第2の検出電圧として出力する第2の電圧出力端子と、を備える発光パネルの発光検査を行う、発光パネルの検査方法であって、
検査端子部の検査針を前記発光パネルの前記第1の電流流入端子及び前記第1の電圧出力端子に接触させる接触ステップと、
前記検査端子部を介して、駆動電圧と基準電圧とを供給する電源回路を有する検査回路から前記発光パネルの前記第1の電流流入端子に第1の出力電圧を供給して、前記発光パネルに前記駆動電流を流入させる流入ステップと、
前記検査端子部を介して、前記発光パネルの前記第1の電圧出力端子から前記検査回路に前記第1の検出電圧を帰還させる第1の帰還ステップと、
帰還された前記第1の検出電圧と前記駆動電圧とを比較して、前記第1の検出電圧が前記駆動電圧より低い電位であるときに、前記第1の出力電圧の電位を上昇させる第1の比較ステップと、
前記第1の帰還ステップにより帰還された前記第1の検出電圧と前記駆動電圧とを比較して、前記第1の検出電圧が前記駆動電圧より高い電位であるときに、前記第1の出力電圧の電位を低下させる第2の比較ステップと、
前記第1の比較ステップと前記第2の比較ステップとを、前記第1の検出電圧と前記駆動電圧との電位が等しくなるまで繰り返して実行して、前記第1の検出電圧と前記駆動電圧とが等しい電位となったときの前記第1の出力電圧を前記第1の電流流出端子に印加する第1の印加ステップと、
を含むことを特徴とする発光パネルの検査方法。
【請求項15】
前記検査端子部を介して、前記発光パネルの前記第2の電圧出力端子から前記検査回路に、前記第2の検出電圧を帰還させる第2の帰還ステップと、
前記第2の帰還ステップにより帰還された前記第2の検出電圧と前記基準電圧とを比較して、前記第2の検出電圧が前記基準電圧より低い電位であるときに、前記第2の出力電圧の電位を上昇させる第3の比較ステップと、
前記第2の帰還ステップにより帰還された前記第1の検出電圧と前記駆動電圧とを比較して、前記第1の検出電圧の電位が前記駆動電圧の電位より高いときに、前記第1の出力電圧の電位を低下させる第4の比較ステップと、
前記第3の比較ステップと前記第4の比較ステップとを、前記第2の検出電圧と前記基準電圧との電位が等しくなるまで繰り返し実行して、前記第2の検出電圧と前記基準電圧とが等しい電位となったときの前記第2の出力電圧を前記第2の電流流入端子に印加する第2の印加ステップと、
を含むことを特徴とする請求項14に記載の発光パネルの検査方法。
【請求項16】
前記発光パネルの前記第1の電流流入端子に流入する前記駆動電流の第1の電流値を計測するステップと、
前記検査回路の、前記検査端子部を介して前記発光パネルの前記第1の電流流入端子に接続される第1の電流流出端子と、前記検査端子部を介して前記発光パネルの前記第1の電圧出力端子に接続される前記第1の電圧検出用端子と、の間の第1の電圧を計測するステップと、
前記第1の電流値と前記第1の電圧値とに基づいて、前記検査端子部と前記発光パネル間の第1の接触抵抗値を取得し、該第1の接触抵抗値の値に基づいて、前記検査端子部と前記発光パネルとの接触不良の有無を判定するステップと、
を含むことを特徴とする請求項15に記載の発光パネルの検査方法。
【請求項17】
前記検査回路の、前記検査端子部を介して前記発光パネルの前記第2の電流流出端子に接続される第2の電流流入端子と、前記検査端子部を介して前記発光パネルの前記第2の電圧出力端子に接続される第2の電圧検出用端子と、の間の第2の電圧値を計測するステップと、
前記第1の電流値と前記第2の電圧値とに基づく前記検査端子部と前記発光パネル間の第2の接触抵抗値を取得し、該第2の接触抵抗値の値に基づいて、前記検査端子部と前記発光パネルとの接触不良の有無を判定するステップと、
を含むことを特徴とする請求項16に記載の発光パネルの検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−169992(P2011−169992A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−31843(P2010−31843)
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】