説明

発光装置およびその製造方法、並びに、プロジェクター

【課題】半導体発光素子に接合されている部材に起因して半導体発光素子に生じる応力を低減できる発光装置を提供する。
【解決手段】発光装置100は、半導体発光素子10と、半導体発光素子10を支持する基板20と、半導体発光素子10と基板20との間に位置するシリコーンエラストマー層30と、を含み、半導体発光素子10とシリコーンエラストマー層30とは、接合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置およびその製造方法、並びに、プロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体発光素子の開発が精力的に行われてきている。具体的な半導体発光素子としては、半導体レーザー(Laser Diode)、スーパールミネッセントダイオード(Super Luminescent Diode、以下「SLD」ともいう)、LED(Light Emitting Diode)等が知られている。
【0003】
半導体発光素子を備えた発光装置では、半導体発光素子は、一般的に、銅ベース等の支持基板に実装されている。このような発光装置では、例えば、半導体発光素子の駆動時の発熱や、装置がおかれている環境の変化に伴う周囲の温度の変化等により、半導体発光素子と支持基板との間の熱膨張率の差に起因して半導体発光素子に応力が生じる場合がある。半導体発光素子に応力が生じると、所望の性能が発揮できなかったり、装置の信頼性が低下したりする場合がある。
【0004】
このような問題に対して、例えば特許文献1には、半導体発光素子を、サブマウントを介して、支持基板に実装することにより、半導体発光素子と支持基板との間の熱膨張率の差に起因して半導体発光素子に生じる応力を低減することができる発光装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−73549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された発光装置では、半導体発光素子がAuSn等の半田と接合されている。AuSn等の半田は硬い(弾性率が大きい)ため、半導体発光素子の駆動時の発熱や、装置がおかれている環境の変化に伴う周囲の温度の変化等によって半導体発光素子が変形しようとする場合に、半導体発光素子の変形が許容されずに、半導体発光素子に応力が生じる場合がある。
【0007】
本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、半導体発光素子に接合されている部材に起因して半導体発光素子に生じる応力を低減できる発光装置およびその製造方法を提供することにある。また、本発明のいくつかの態様に係る目的の1つは、上記発光装置を含むプロジェクターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る発光装置は、
半導体発光素子と、
前記半導体発光素子を支持する基板と、
前記半導体発光素子と前記基板との間に位置するシリコーンエラストマー層と、
を含み、
前記半導体発光素子と前記シリコーンエラストマー層とは、接合されている。
【0009】
このような発光装置によれば、シリコーンエラストマー層は、半田に比べて柔らかい(弾性率が小さい)ため、半導体発光素子の駆動時の発熱や、装置がおかれている環境の変化に伴う周囲の温度の変化等によって半導体発光素子が変形しようとした場合に、半導体発光素子の変形を妨げず、半導体発光素子に応力が生じることを抑制することができる。したがって、このような発光装置によれば、半導体発光素子に接合されている部材に起因して半導体発光素子に生じる応力を低減することができる。
【0010】
本発明に係る発光装置において、
前記半導体発光素子と前記シリコーンエラストマー層とは、活性化接合によって接合さされていてもよい。
【0011】
このような発光装置によれば、製造工程において、半導体発光素子に加わる熱的な損傷や物理的な損傷を低減することができる。
【0012】
本発明に係る発光装置において、
前記半導体発光素子は、ジャンクションダウンの状態で前記基板に実装されていてもよい。
【0013】
このような発光装置によれば、放熱性を高めることができる。
【0014】
本発明に係る発光装置において、
前記半導体発光素子は、端面発光型の半導体発光素子であってもよい。
【0015】
このような発光装置によれば、例えば、半導体発光素子とシリコーンエラストマー層とを接合する際に、シリコーンエラストマー層の前駆体が、半導体発光素子の光出射部に付着することを防ぐことができる。したがって、半導体発光素子として端面発光型の半導体発光素子を用いたとしても、前駆体が光出射部に付着することによって出射光の強度が低下したり、出射光の形状に異常が生じたりするという問題を生じさせないことができる。
【0016】
本発明に係る発光装置において、
前記シリコーンエラストマー層と前記基板との間に位置するシリコン基板を含んでいてもよい。
【0017】
このような発光装置によれば、半導体発光素子と基板との間の熱膨張率の差に起因して半導体発光素子に生じる応力を、低減することができる。
【0018】
本発明に係る発光装置において、
前記半導体発光素子は、前記半導体発光素子の表面に設けられた電極を有し、
前記半導体発光素子の表面と対向する前記基板の表面には、配線が設けられ、
前記電極と前記配線とは、導電性材料と、樹脂材料とを含んで構成された接続部によって電気的に接続されていてもよい。
【0019】
このような発光装置によれば、半導体発光素子に生じる応力を低減しつつ、電極と配線とを電気的に接続することができる。
【0020】
本発明に係る発光装置において、
前記半導体発光素子は、前記半導体発光素子の表面に設けられた電極を有し、
前記半導体発光素子の表面と対向する前記シリコン基板の表面には、配線が設けられ、
前記電極と前記配線とは、導電性材料と、樹脂材料とを含んで構成された接続部によって電気的に接続されていてもよい。
【0021】
このような発光装置によれば、半導体発光素子に生じる応力を低減しつつ、電極と配線とを電気的に接続することができる。
【0022】
本発明に係る発光装置の製造方法は、
基板の上方にシリコーンエラストマー層を形成する工程と、
前記シリコーンエラストマー層の表面を活性化処理する工程と、
前記シリコーンエラストマー層上に半導体発光素子を裁置する工程と、
を含む。
【0023】
このような発光装置の製造方法によれば、半導体発光素子に接合されている部材に起因して半導体発光素子に生じる応力を低減することができる発光装置を得ることができる。さらに、半導体発光素子とシリコーンエラストマー層とを、活性化接合によって接合することができるため、製造工程において、半導体発光素子に加わる熱的な損傷および物理的な損傷を低減することができる。
【0024】
なお、本発明に係る記載では、「上方」という文言を、例えば、「特定のもの(以下、「A」という)の「上方」に他の特定のもの(以下、「B」という)を形成する」などと用いる場合に、A上に直接Bを形成するような場合と、A上に他のものを介してBを形成するような場合とが含まれるものとして、「上方」という文言を用いている。
【0025】
本発明に係る発光装置の製造方法において、
前記シリコーンエラストマー層を形成する工程の後に、前記基板と前記シリコーンエラストマー層との間に設けられた配線が露出するように前記シリコーンエラストマー層をパターニングする工程と、
露出した前記配線上に導電性ペーストを配置する工程と、
をさらに含み、
前記シリコーンエラストマー層上に前記半導体発光素子を裁置する工程では、前記半導体発光素子の電極と前記配線とが、前記導電性ペーストを介して接続されるように前記半導体発光素子を裁置してもよい。
【0026】
このような発光装置の製造方法によれば、半導体発光素子に生じる応力を低減しつつ、電極と配線とを電気的に接続することができる。
【0027】
本発明に係る発光装置の製造方法において、
前記シリコーンエラストマー層を形成する工程は、
前記基板の上方に前記シリコーンエラストマー層の前駆体を塗布する工程と、
熱処理により、前記前駆体を硬化させて、前記シリコーンエラストマー層を形成する工程と、
を有していてもよい。
【0028】
このような発光装置の製造方法によれば、シリコーンエラストマー層を硬化させた状態で、半導体発光素子をシリコーンエラストマー層上に裁置することができる。したがって、シリコーンエラストマー層上に半導体発光素子を裁置する際に、シリコーンエラストマー層の前駆体が、半導体発光素子の光出射部に付着することを防ぐことができる。
【0029】
本発明に係る発光装置の製造方法は、
シリコン基板の上方にシリコーンエラストマー層を形成する工程と、
前記シリコーンエラストマー層の表面を活性化処理する工程と、
前記シリコーンエラストマー層上に半導体発光素子を裁置する工程と、
基板に前記シリコン基板を接合する工程と、
を含む。
【0030】
このような発光装置の製造方法によれば、半導体発光素子に接合されている部材に起因して半導体発光素子に生じる応力を低減することができる発光装置を得ることができる。さらに、半導体発光素子とシリコーンエラストマー層とを、活性化接合によって接合することができるため、製造工程において、半導体発光素子に加わる熱的な損傷および物理的な損傷を低減することができる。
【0031】
本発明に係る発光装置の製造方法において、
前記シリコーンエラストマー層を形成する工程の後に、前記シリコン基板と前記シリコーンエラストマー層との間に設けられた配線が露出するように前記シリコーンエラストマー層をパターニングする工程と、
露出した前記配線上に導電性ペーストを配置する工程と、
をさらに含み、
前記シリコーンエラストマー層上に前記半導体発光素子を裁置する工程では、前記半導体発光素子の電極と前記配線とが、前記導電性ペーストを介して接続されるように前記半導体発光素子を裁置してもよい。
【0032】
このような発光装置の製造方法によれば、半導体発光素子に生じる応力を低減しつつ、電極と配線とを電気的に接続することができる。
【0033】
本発明に係る発光装置の製造方法において、
前記シリコーンエラストマー層を形成する工程は、
前記シリコン基板の上方に前記シリコーンエラストマー層の前駆体を塗布する工程と、
熱処理により、前記前駆体を硬化させて、前記シリコーンエラストマー層を形成する工程と、
を有していてもよい。
【0034】
このような発光装置の製造方法によれば、シリコーンエラストマー層を硬化させた状態で、半導体発光素子をシリコーンエラストマー層上に裁置することができる。したがって、シリコーンエラストマー層上に半導体発光素子を裁置する際に、シリコーンエラストマー層の前駆体が、半導体発光素子の光出射部に付着することを防ぐことができる。
【0035】
本発明に係るプロジェクターは、
本発明に係る発光装置と、
前記発光装置から出射された光を、画像情報に応じて変調する光変調装置と、
前記光変調装置によって形成された画像を投射する投射装置と、
を含む。
【0036】
このようなプロジェクターによれば、本発明に係る発光装置を含むため、半導体発光素子に接合されている部材に起因して半導体発光素子に生じる応力を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】第1実施形態に係る発光装置を模式的に示す断面図。
【図2】半導体発光素子を模式的に示す平面図。
【図3】半導体発光素子を模式的に示す断面図。
【図4】第1実施形態に係る発光装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【図5】第1実施形態に係る発光装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【図6】第1実施形態に係る発光装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【図7】第1実施形態に係る発光装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【図8】第1実施形態に係る発光装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【図9】第1実施形態に係る発光装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【図10】第1実施形態の第1変形例に係る発光装置を模式的に示す断面図。
【図11】第1実施形態の第1変形例に係る発光装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【図12】第1実施形態の第1変形例に係る発光装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【図13】第1実施形態の第1変形例に係る発光装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【図14】第1実施形態の第1変形例に係る発光装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【図15】第1実施形態の第1変形例に係る発光装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【図16】第1実施形態の第1変形例に係る発光装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【図17】第1実施形態に係る発光装置の製造工程の第2変形例を模式的に示す断面図。
【図18】第1実施形態に係る発光装置の製造工程の第2変形例を模式的に示す断面図。
【図19】第1実施形態に係る発光装置の製造工程の第2変形例を模式的に示す断面図。
【図20】第2実施形態に係る発光装置を模式的に示す断面図。
【図21】第2実施形態に係る発光装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【図22】第2実施形態に係る発光装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【図23】第2実施形態の変形例に係る発光装置を模式的に示す断面図。
【図24】第2実施形態の変形例に係る発光装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【図25】第2実施形態の変形例に係る発光装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【図26】第2実施形態の変形例に係る発光装置の製造工程を模式的に示す断面図。
【図27】第3実施形態に係るプロジェクターを模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0039】
1. 第1実施形態
1.1. 発光装置の構成
まず、第1実施形態に係る発光装置の構成について、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る発光装置100を模式的に示す断面図である。なお、便宜上、図1では、半導体発光素子10を簡略化して図示している。
【0040】
発光装置100は、図1に示すように、半導体発光素子10と、基板(以下「支持基板」ともいう)20と、シリコーンエラストマー層30と、を含む。
【0041】
半導体発光素子10としては、例えば、半導体レーザー、SLD(スーパールミネッセントダイオード)、LEDを用いることができる。特に、SLDは、半導体レーザーに比べてスペックルノイズを低減することができ、かつLEDに比べて高出力化を図ることができるので、例えば、発光装置100をプロジェクター等の光源に用いる場合に好適である。
【0042】
図2は、半導体発光素子10を模式的に示す平面図である。図3は、半導体発光素子10を模式的に示す断面図であり、図2のIII−III線断面図である。以下では、半導体発光素子10が端面発光型のSLDである場合について説明する。
【0043】
半導体発光素子10は、図2および図3に示すように、基板102と、第1クラッド層104と、活性層106と、第2クラッド層108と、コンタクト層109と、第1電極112と、第2電極114と、絶縁部120と、を有することができる。
【0044】
基板102としては、例えば、第1導電型(例えばn型)のGaAs基板などを用いる。
【0045】
第1クラッド層104は、基板102上に形成されている。第1クラッド層104としては、例えば、n型のInGaAlP層などを用いる。
【0046】
活性層106は、第1クラッド層104上に形成されている。活性層106は、例えば、InGaPウェル層とInGaAlPバリア層とから構成される量子井戸構造を3つ重ねた多重量子井戸(MQW)構造を有する。図2に示す例では、活性層106は、光出射部11が形成される第1側面131と、第1側面131に対して傾斜した第2側面132および第3側面133を有している。
【0047】
活性層106の一部は、第1利得領域150、第2利得領域160、および第3利得領域170を構成している。利得領域150,160,170は、光を発生させることができ、この光は、利得領域150,160,170内を、利得を受けつつ導波することができる。
【0048】
第1利得領域150は、図2に示すように、第2側面132から第3側面133まで設けられている。図示の例では、第1利得領域150は、第1側面131に対して平行に設けられている。
【0049】
第2利得領域160は、第2側面132から第1側面131まで設けられている。第2利得領域160は、第2側面132において、第1利得領域150と重なっている。
【0050】
第3利得領域170は、第3側面133から第1側面131まで設けられている。第3利得領域170は、第3側面133において、第1利得領域150と重なっている。
【0051】
利得領域150,160,170に発生する光において、第1側面131の反射率は、第2側面132の反射率および第3側面133の反射率より低い。これにより、第2利得領域160と第1側面131との接続部、および第3利得領域170と第1側面131との接続部は、光出射部11となることができる。また、側面132,133は、反射面となることができる。
【0052】
利得領域160,170は、第1側面131の垂線Pに対して傾いて、第1側面131に接続されている。これにより、第2利得領域160の第1側面131における端面と、第3利得領域170の第1側面131における端面との間で、利得領域150,160,170に発生する光を、直接的に多重反射させないことができる。その結果、直接的な共振器を構成させないことができるため、利得領域150,160,170に発生する光のレーザー発振を抑制または防止することができる。
【0053】
利得領域150,160,170は、利得領域群180を構成することができ、半導体発光素子10では、複数の利得領域群180が設けられている。図示の例では、2つの利得領域群180が設けられているが、その数は特に限定されない。
【0054】
第2クラッド層108は、活性層106上に形成されている。第2クラッド層108としては、例えば、第2導電型(例えばp型)のInGaAlP層などを用いる。
【0055】
例えば、p型の第2クラッド層108、不純物がドーピングされていない活性層106、およびn型の第1クラッド層104により、pinダイオードが構成される。第1クラッド層104および第2クラッド層108の各々は、活性層106よりも禁制帯幅が大きく、屈折率が小さい層である。活性層106は、光を発生させ、かつ光を増幅しつつ導波させる機能を有する。第1クラッド層104および第2クラッド層108は、活性層106を挟んで、注入キャリア(電子および正孔)並びに光を閉じ込める機能(光の漏れを抑制する機能)を有する。
【0056】
半導体発光素子10は、第1電極112と第2電極114との間に、pinダイオードの順バイアス電圧を印加する(電流を注入する)と、活性層106に利得領域150,160,170を生じ、利得領域150,160,170において電子と正孔との再結合が起こる。この再結合により発光が生じる。この生じた光を起点として、連鎖的に誘導放出が起こり、利得領域150,160,170内で光の強度が増幅される。そして、強度が増幅された光は、光出射部11から光Lとして出射される。すなわち、図示の例では、半導体発光素子10は、端面発光型の半導体発光素子である。
【0057】
コンタクト層109と、第2クラッド層108の一部とは、柱状部122を構成することができる。柱状部122の平面形状は、利得領域150,160,170の平面形状と同じである。すなわち、コンタクト層109の上面の平面形状は、利得領域150,160,170の平面形状と同じであるといえる。例えば、柱状部122の平面形状によって、電極112,114間の電流経路が決定され、その結果、利得領域150,160,170の平面形状が決定される。
【0058】
絶縁部120は、第2クラッド層108上であって、柱状部122の側方に設けられている。絶縁部120としては、例えば、SiN層、SiO層、SiON層、Al層、ポリイミド層を用いる。
【0059】
絶縁部120として上記の材料を用いた場合、電極112,114間の電流は、絶縁部120を避けて、該絶縁部120に挟まれた柱状部122を流れることができる。絶縁部120は、活性層106の屈折率よりも小さい屈折率を有することができる。この場合、絶縁部120を形成した部分の垂直断面の有効屈折率は、絶縁部120を形成しない部分、すなわち、柱状部122が形成された部分の垂直断面の有効屈折率よりも小さくなる。これにより、平面方向において、利得領域150,160,170内に効率良く光を閉じ込めることができる。
【0060】
第1電極112は、基板102の下の全面に形成されている。第1電極112としては、例えば、基板102側からCr層、AuGe層、Ni層、Au層の順序で積層したものを用いる。
【0061】
第2電極114は、コンタクト層109上に形成されている。第2電極114の平面形状は、例えば、利得領域150,160,170と平面形状と同じである。第2電極114としては、例えば、コンタクト層109側からCr層、AuZn層、Au層の順序で積層したものを用いる。
【0062】
半導体発光素子10は、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術などによる半導体加工技術によって形成される。
【0063】
半導体発光素子10は、図1に示すように、ジャンクションダウンの状態で支持基板20に実装されている。すなわち、半導体発光素子10は、活性層106が、半導体発光素子10の基板102よりも支持基板20側に位置するように実装されている。図1の例では、半導体発光素子10は、第2電極114側を支持基板20に向けて(図3の例とは、上下を逆にして)実装されている。そのため、半導体発光素子10の表面である第1面19が、支持基板20の第2面(上面)21と対向している。ここで、半導体発光素子10の第1面19は、第2電極114が形成される面であり、図3に示すコンタクト層109の上面および絶縁部120の上面121で構成される面である。図示の例では、半導体発光素子10は、端面発光型の半導体発光素子であるため、半導体発光素子10の光出射部11は、支持基板20の上面21に対して垂直な面に設けられる。そのため、光出射部11から出射される出射光Lは、支持基板20の上面21に沿う方向に進行する。
【0064】
支持基板20は、半導体発光素子10を支持している。図示の例では、支持基板20は、シリコーンエラストマー層30を介して、半導体発光素子10を支持している。支持基板20としては、例えば、板状の部材(直方体形状の部材)を用いることができる。支持基板20は、例えば、Cu、Al、Mo、W、Si、C、Be、Auや、これらの化合物(例えば、AlN、BeOなど)や合金(例えばCuMoなど)などからなる。また、これらの例示を組み合わせたもの、例えば銅(Cu)層とモリブデン(Mo)層の多層構造などから、支持基板20を構成することもできる。支持基板20は、例えば、半導体発光素子10で発生した熱を放散させることができる。
【0065】
支持基板20の上面21には、第1配線22および第2配線24が設けられている。図示の例では、第1配線22および第2配線24は、絶縁層26を介して、支持基板20の上面21に設けられている。絶縁層26は、配線22,24間を電気的に分離するための層である。絶縁層26は、例えば、酸化シリコン層、窒化シリコン層である。第1配線22および第2配線24は、例えば、半導体発光素子10と、半導体発光素子10を駆動させるための駆動部(図示しない)とを接続するための配線である。
【0066】
第1配線22は、例えば、配線ワイヤー40により、半導体発光素子10の第1電極112と電気的に接続されている。なお、図示はしないが、半導体発光素子10が、基板102に対して同じ面側に電極112,114が形成されている片面電極構造である場合、第1配線22は、後述する第2配線24と同様に、接続部42により第1電極112と電気的に接続されてもよい。
【0067】
第2配線24は、接続部42により、半導体発光素子10の第2電極114と電気的に接続されている。第2配線24は、第2電極114と対向する位置に設けられている。第2配線24の平面形状は、例えば、第2電極114の平面形状と同じである。平面視において、第2配線24の外縁の内側に第2電極114が形成されていてもよい。図示の例では、第2配線24は、複数の第2電極114に1対1に対応して、複数設けられている。
【0068】
接続部42は、第2配線24と第2電極114との間に設けられている。接続部42は、平面視において、第2電極114と第2配線24とが重なる領域に設けられている。接続部42は、第2電極114と第2配線24とが重なる領域の一部に設けられていてもよいし、当該重なる領域の全部に設けられていてもよい。接続部42は、半導体発光素子10で生じた熱を、支持基板20に伝えることができる。接続部42は、シリコーンエラストマー層30を厚さ方向に貫通する孔に設けられている。当該孔の平面形状は、例えば、第2電極114の平面形状と同じである。接続部42は、複数の第2電極114に1対1に対応して、複数設けられている。
【0069】
接続部42は、例えば、導電性材料と、樹脂材料と、を含んで構成されている。導電性材料としては、例えば、銀(Ag)、銅(Cu)、炭素(C)などが挙げられる。樹脂材料としては、例えば、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール樹脂、アクリル系樹脂などが挙げられる。なお、シリコーン系樹脂は、シリコーンエラストマー層30との相性がよいため、樹脂材料として好適である。接続部42は、導電性材料と樹脂材料とを含む導電性ペーストを硬化させることにより形成される。接続部42は、樹脂材料を含むため、例えば金属等の導電性材料のみからなる場合と比べて、柔らかい(弾性率が低い)。したがって、第2配線24と第2電極114とを接続部42で接続することにより、例えば、接続部が金属等の導電性材料のみからなる場合と比べて、半導体発光素子10に生じる応力を低減しつつ、第2電極114と配線24とを電気的に接続することができる。
【0070】
シリコーンエラストマー層30は、半導体発光素子10と支持基板20との間に位置している。ここで、シリコーンエラストマー層30が、半導体発光素子10と支持基板20との間に位置している場合とは、シリコーンエラストマー層30の少なくとも一部が半導体発光素子10と支持基板20との間に位置している状態をいうことができる。すなわち、シリコーンエラストマー層30が半導体発光素子10と支持基板20との間に位置している場合とは、シリコーンエラストマー層30の一部が半導体発光素子10と支持基板20との間に位置し、シリコーンエラストマー層30の他の部分が、半導体発光素子10と支持基板20との間に位置していない場合も含むものとする。図示の例では、シリコーンエラストマー層30の全部が、半導体発光素子10と支持基板20との間に位置している。
【0071】
シリコーンエラストマー層30と半導体発光素子10とは、活性化接合によって接合されている。より具体的には、シリコーンエラストマー層30の上面31と半導体発光素子10の絶縁部120の上面121とが、活性化接合によって接合されている。ここで、活性化接合とは、例えば、プラズマや紫外線等を接合表面(ここでは、シリコーンエラストマー層30の上面31)に照射することで、接合表面にダングリングボンド(原子における未結合手)を形成し、この活性化した表面を対象面(ここでは、絶縁部120の上面121)に接触させることで接合する技術である。したがって、シリコーンエラストマー層30の上面31と半導体発光素子10の絶縁部120の上面121とは、他の部材(接着剤等)を介さず、直接接合されている。なお、絶縁部120の上面121の全部がシリコーンエラストマー層30の上面31と接合されていてもよいし、絶縁部120の上面121の一部がシリコーンエラストマー層30の上面31と接合されていてもよい。
【0072】
シリコーンエラストマー層30は、例えば、シリコーンエラストマーを含んで構成される層である。なお、シリコーンエラストマー層30は、例えば、シリコーンエラストマーのみで構成されていてもよい。シリコーンエラストマーとは、分子中に−Si−O−Si−結合を持ち、過酸化物や白金化合物などの硬化触媒を加えることによりゴム状に硬化したり、部分結晶化により硬化したりするシリコーンである。具体的には、シリコーンエラストマー層30の材質は、例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリシルセスキオキサンなどである。シリコーンエラストマー層30として、例えば、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、品番TSE3221Sのシリコーンを用いることができる。シリコーンエラストマー層30は、AuSn等の半田と比べて、柔らかい(弾性率が小さい)。そのため、発光装置100では、半導体発光素子10とシリコーンエラストマー層30とが接合されていることにより、半導体発光素子10が変形しようとした場合に、半導体発光素子10の変形を妨げず、半導体発光素子10と半田とが接合されている場合と比べて、半導体発光素子10に応力が生じることを抑制することができる。
【0073】
シリコーンエラストマー層30の膜厚は、例えば、3〜10μm程度である。このように、シリコーンエラストマー層30を薄く形成することにより、半導体発光素子10で発生した熱を、支持基板20に伝わりやすくすることができる。
【0074】
本実施形態に係る発光装置100は、例えば、以下の特徴を有する。
【0075】
発光装置100は、半導体発光素子10と支持基板20との間に位置するシリコーンエラストマー層30を有し、半導体発光素子10はシリコーンエラストマー層30と接合されている。シリコーンエラストマー層30は、例えば、AuSn等の半田に比べて柔らかい。そのため、半導体発光素子10の駆動時の発熱や、発光装置100がおかれている環境の変化に伴う周囲の温度の変化等によって半導体発光素子10が変形しようとした場合に、半導体発光素子10の変形を妨げず、半導体発光素子10と半田とが接合されている場合と比べて、半導体発光素子10に応力が生じることを抑制することができる。したがって、発光装置100によれば、半導体発光素子に接合されている部材に起因して半導体発光素子に生じる応力を低減することができる。そのため、半導体発光素子の駆動時の発熱や、装置がおかれている環境の変化に伴う周囲の温度の変化等によって装置に温度変化が生じた場合に、例えば、所望の性能が発揮できなかったり、装置の信頼性が低下したりすることがなく、高い信頼性を有することができる。
【0076】
また、発光装置100では、サブマウントが不要となるため、例えば、コストを低減することができる。
【0077】
発光装置100では、半導体発光素子10とシリコーンエラストマー層30とが、活性化接合によって接合されている。これにより、半導体発光素子10とシリコーンエラストマー層30とを、熱を加えることなく、常温で接合することができる。また、半導体発光素子10とシリコーンエラストマー層30とを、低荷重で接合することができる。したがって、製造工程において、半導体発光素子に加わる熱的な損傷および物理的な損傷を低減することができる。例えば、半導体発光素子を、サブマウントにAuSnなどの半田で接合した場合、接合に300℃以上の熱が必要となるため、この熱により半導体発光素子が損傷を受ける場合があった。
【0078】
発光装置100では、半導体発光素子10がジャンクションダウンの状態で支持基板20に実装されている。これにより、発熱源である活性層106を支持基板20に近づけることができるため、放熱性を高めることができる。
【0079】
発光装置100では、半導体発光素子10が端面発光型の半導体発光素子である。発光装置100では、半導体発光素子10とシリコーンエラストマー層30とを活性化接合によって接合しているため、シリコーンエラストマー層30が硬化した状態で半導体発光素子10に接合することができる。したがって、半導体発光素子10とシリコーンエラストマー層30とを接合する際に、半導体発光素子10の光出射部11に、シリコーンエラストマー層の前駆体等の異物が付着することを防ぐことができる。したがって、発光装置100では、半導体発光素子10として端面発光型の半導体発光素子を用いたとしても、例えば、異物によって出射光Lの強度が低下したり、出射光Lの形状に異常が生じたりするという問題を生じさせないことができる。
【0080】
発光装置100では、半導体発光素子10の第2電極114と、支持基板20に設けられた配線24とが、導電性材料と、樹脂材料とを含んで構成された接続部42によって接続されている。接続部42は樹脂材料を含むため、例えば、配線が金属等の導電性材料のみで構成されている場合と比べて、柔らかい(弾性率が小さい)。そのため、金属等の導電性材料のみで配線が構成されている場合と比べて、半導体発光素子10に生じる応力を低減しつつ、第2電極114と配線24とを電気的に接続することができる。
【0081】
1.2. 発光装置の製造方法
次に、第1実施形態に係る発光装置100の製造方法について、図面を参照しながら説明する。図4〜図9は、本実施形態に係る発光装置100の製造工程を模式的に示す断面図である。なお、便宜上、図9では、半導体発光素子10を簡略化して図示している。
【0082】
図4に示すように、支持基板20の上面21に、絶縁層26および配線22,24を形成する。絶縁層26は、例えば、スパッタ法、CVD法などにより形成される。第1配線22および第2配線24は、例えば、導電層(図示しない)を成膜した後、リソグラフィー技術およびエッチング技術などを用いて導電層をパターニングすることにより形成される。なお、予め絶縁層26、および配線22,24が形成された支持基板20を用いてもよい。
【0083】
次に、支持基板20の上方(図示の例では、絶縁層26上および配線22,24上)にシリコーンエラストマー層30の前駆体30aを塗布する。前駆体30aは、シリコーンエラストマー層30を形成するための原料となる液体であり、シリコーンエラストマー層30を構成する材料を含む。前駆体30aの塗布は、例えば、スピンコート法により行うことができる。これにより、前駆体30aを、絶縁層26上および配線22,24上に均一に塗布することができる。また、スピンコート法を用いることにより、シリコーンエラストマー層30の膜厚の制御を容易に行うことができる。したがって、例えば、シリコーンエラストマー層30を薄膜化することができる。
【0084】
図5に示すように、熱処理により、前駆体30aを硬化させる。例えば、前駆体30aが塗布された支持基板20を、ベーク炉に入れ、150℃〜180℃程度の熱を加えることにより、前駆体30aを硬化させる。
【0085】
次に、シリコーンエラストマー層30上にマスクMを形成する。マスクMは、レジストをシリコーンエラストマー層30上に塗布して硬化した後、露光、現像処理によってパターニングすることで形成される。
【0086】
図6に示すように、マスクMをマスクとして、シリコーンエラストマー層30をエッチングする。これにより、シリコーンエラストマー層30を所望の形状にパターニングすることができる。シリコーンエラストマー層30は、例えば、第1配線22および第2配線24が露出するように、パターニングされる。図示の例では、パターニングによってシリコーンエラストマー層30に孔43が形成され、孔43によって第2配線24が露出している。シリコーンエラストマー層30のエッチングは、例えば、ドライエッチングを用いて行われる。次に、マスクMを除去する。
【0087】
図7に示すように、シリコーンエラストマー層30の表面(上面31)を活性化処理する。具体的には、シリコーンエラストマー層30の表面を、例えば、大気圧でプラズマ処理することによって、活性化処理を行うことができる。図7に示す例では、シリコーンエラストマー層30の表面にプラズマPLを照射することによってプラズマ処理を行っている。また、シリコーンエラストマー層30の表面に紫外線を照射して、活性化処理を行ってもよい。ここで、活性化処理とは、接合面(シリコーンエラストマー層の表面)の酸化膜や付着物等を除去し、表面原子の結合手(ダングリングボンド)を露出した状態を作ることをいう。
【0088】
図8に示すように、第2配線24上に導電性ペースト42aを配置する。具体的には、導電性ペースト42aを孔43に塗布することによって、導電性ペースト42aを第2配線24上に配置する。また、例えば、予め所望の形状にパターニングされた導電性ペーストを第2配線24上に転写することによって、導電性ペースト42aを第2配線24上に配置してもよい。導電性ペースト42aは、例えば、導電性材料と、樹脂材料と、を含んで構成されている。導電性材料としては、例えば、銀(Ag)、銅(Cu)、炭素(C)などが挙げられる。樹脂材料としては、例えば、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール樹脂、アクリル系樹脂などが挙げられる。
【0089】
図9に示すように、シリコーンエラストマー層30上に半導体発光素子10を裁置する。具体的には、半導体発光素子10の第2電極114と第2配線24とが、導電性ペースト42aを介して、接続されるように半導体発光素子10を裁置する。すなわち、半導体発光素子10は、第2電極114を支持基板20側に向けたジャンクションダウンの状態で、フリップチップ実装される。半導体発光素子10の裁置は、例えば、フリップチップボンダー装置等を用いて行われる。
【0090】
シリコーンエラストマー層30上に半導体発光素子10を裁置することで、シリコーンエラストマー層30と半導体発光素子10とが活性化接合によって接合される。より具体的には、シリコーンエラストマー層30の上面31と半導体発光素子10の絶縁部120の上面121とが活性化接合によって接合される。なお、シリコーンエラストマー層30の上面31に加えて、半導体発光素子10の絶縁部120の上面121を活性化処理してもよい。これにより、シリコーンエラストマー層30と半導体発光素子10との接合強度をより高めることができる。
【0091】
また、シリコーンエラストマー層30上に半導体発光素子10を裁置した後に、半導体発光素子10に荷重(接合荷重)を加えてもよい。すなわち、半導体発光素子10をシリコーンエラストマー層30に押しつけてもよい。さらに、シリコーンエラストマー層30上に半導体発光素子10を裁置した後に、150℃〜180℃程度の熱を加えてもよい。これにより、シリコーンエラストマー層30と半導体発光素子10との接合強度をより高めることができる。
【0092】
図1に示すように、熱処理によって、導電性ペースト42aを硬化させて、接続部42を形成する。次に、第1配線22と半導体発光素子10の第1電極112とを、配線ワイヤー40により接続する。本工程は、例えばワイヤーボンディングなどにより行われる。
【0093】
以上の工程により、発光装置100を製造することができる。
【0094】
本実施形態に係る発光装置100の製造方法は、例えば、以下の特徴を有する。
【0095】
発光装置100の製造方法は、シリコーンエラストマー層30の表面を活性化処理する工程と、シリコーンエラストマー層30上に半導体発光素子10を裁置する工程と、を有する。すなわち、発光装置100の製造方法によれば、半導体発光素子10とシリコーンエラストマー層30を、活性化接合によって接合することができる。これにより、半導体発光素子10とシリコーンエラストマー層30とを、熱を加えることなく、常温で接合することができる。さらに、半導体発光素子10とシリコーンエラストマー層30とを、低荷重で接合することができる。したがって、製造工程において、半導体発光素子に加わる損傷を低減することができる。
【0096】
発光装置100の製造方法によれば、シリコーンエラストマー層30上に半導体発光素子10を裁置する工程において、半導体発光素子10の第2電極114と第2配線24とが、導電性ペースト42aを介して、接続されるように半導体発光素子10を裁置する。すなわち、半導体発光素子10の第2電極114と第2配線24とは、導電性材料と、樹脂材料と、を含む接続部42によって接続される。これにより、半導体発光素子10に生じる応力を低減しつつ、第2電極114と第2配線24とを電気的に接続することができる。
【0097】
発光装置100の製造方法によれば、シリコーンエラストマー層30が、支持基板20の上方にシリコーンエラストマー層30の前駆体30aを塗布し、熱処理により、前駆体30aを硬化させることにより形成される。したがって、硬化したシリコーンエラストマー層30上に半導体発光素子10を裁置することができるため、半導体発光素子10とシリコーンエラストマー層30の接合する際に、シリコーンエラストマー層の前駆体30aが、半導体発光素子10の光出射部11に付着することを防ぐことができる。
【0098】
1.3. 変形例
1.3.1. 第1変形例
次に、第1実施形態に係る発光装置の変形例について、図面を参照しながら説明する。図10は、第1実施形態の第1変形例に係る発光装置200を模式的に示す断面図である。なお、便宜上、図10では、半導体発光素子10を簡略化して図示している。以下、発光装置200において、発光装置100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0099】
発光装置200は、図10に示すように、発光装置100の構成部材に加えて、シリコーンエラストマー層30と支持基板20との間に位置するシリコン基板210を含んで構成されている。すなわち、発光装置200では、支持基板20の上方に、シリコン基板210、シリコーンエラストマー層30、半導体発光素子10の順で配置されている。
【0100】
発光装置200では、第1配線22および第2配線24は、シリコン基板210上(シリコン基板210の上面211)に形成されている。なお、第1配線22は、支持基板20上に設けられていてもよい。第1配線22は、例えば、配線ワイヤー40により、半導体発光素子10の第1電極112と電気的に接続されている。第2配線24は、接続部42により、半導体発光素子10の第2電極114と電気的に接続されている。
【0101】
図示の例では、シリコーンエラストマー層30およびシリコン基板210が、半導体発光素子10と支持基板20との間に位置する。ここで、シリコーンエラストマー層30が、半導体発光素子10と支持基板20との間に位置する場合とは、シリコーンエラストマー層30のみが半導体発光素子10と支持基板20との間に位置している場合だけでなく、シリコーンエラストマー層30と他の部材(ここではシリコン基板210)が半導体発光素子10と支持基板20との間に位置している場合も含むものとする。
【0102】
シリコーンエラストマー層30と半導体発光素子10とは、活性化接合によって接合されている。シリコーンエラストマー層30は、図示の例では、シリコン基板210の上面211と半導体発光素子10の表面である第1面19とに挟まれている。シリコン基板210の上面211と半導体発光素子10の第1面19とは、シリコーンエラストマー層30を介して対向している。
【0103】
シリコン基板210は、支持基板20に接合されている。シリコン基板210と支持基板20とは、例えば、銀ペーストや放熱性シリコーン等の接合部材220によって接合されている。シリコン基板210の熱膨張係数(例えば、線膨張係数)と半導体発光素子10の熱膨張率の差は、支持基板20の熱膨張係数と半導体発光素子10の熱膨張率の差に比べて、小さい。
【0104】
発光装置200は、例えば、以下の特徴を有する。
【0105】
発光装置200によれば、シリコーンエラストマー層30と支持基板20との間に位置するシリコン基板210を有することができる。上述のように、シリコン基板210の熱膨張係数と半導体発光素子10の熱膨張率の差は、支持基板20の熱膨張係数と半導体発光素子10の熱膨張率の差に比べて小さい。したがって、発光装置200によれば、半導体発光素子10と支持基板20との間の熱膨張率の差に起因して半導体発光素子10に生じる応力を、低減することができる。
【0106】
次に、発光装置200の製造方法について、図面を参照しながら説明する。図11〜図16は、発光装置200の製造工程を模式的に示す断面図である。なお、便宜上、図16では、半導体発光素子10を簡略化して図示している。
【0107】
図11に示すように、シリコン基板210の上面211に、第1配線22および第2配線24を形成する。
【0108】
次に、シリコン基板210上および配線22,24上にシリコーンエラストマー層30の前駆体30aを塗布する。前駆体30aの塗布は、例えば、スピンコート法により行うことができる。
【0109】
図12に示すように、熱処理により、前駆体30aを硬化させる。例えば、前駆体30aが塗布された支持基板20を、ベーク炉に入れ、150℃〜180℃程度の熱を加えることにより、前駆体30aを硬化させる。
【0110】
次に、シリコーンエラストマー層30上にマスクMを形成する。マスクMは、レジストをシリコーンエラストマー層30上に塗布して硬化した後、露光、現像処理によってパターニングされることで形成される。
【0111】
図13に示すように、マスクMをマスクとして、シリコーンエラストマー層30をエッチングする。シリコーンエラストマー層30は、例えば、第1配線22および第2配線24が露出するように、パターニングされる。図示の例では、パターニングによってシリコーンエラストマー層30に孔43が形成され、孔43によって第2配線24が露出している。次に、マスクMを除去する。
【0112】
なお、シリコン基板210がウエハーの場合、シリコーンエラストマー層30をパターニングした後に、ウエハーをダイシング等により小片化してもよい。
【0113】
図14に示すように、プラズマPLを照射することにより、シリコーンエラストマー層30の表面(上面31)を活性化処理する。
【0114】
図15に示すように、第2配線24上に導電性ペースト42aを配置する。具体的には、導電性ペースト42aを孔43に塗布することによって、導電性ペースト42aを第2配線24上に配置する。
【0115】
図16に示すように、シリコーンエラストマー層30上に半導体発光素子10を裁置する。具体的には、半導体発光素子10の第2電極114と第2配線24とが、導電性ペースト42aを介して接続されるように半導体発光素子10を裁置する。すなわち、半導体発光素子10は、第2電極114をシリコン基板210側に向けたジャンクションダウンの状態で、フリップチップ実装される。
【0116】
シリコーンエラストマー層30上に半導体発光素子10を裁置することで、シリコーンエラストマー層30の上面31と半導体発光素子10の絶縁部120の上面121とが活性化接合によって接合される。
【0117】
図10に示すように、熱処理によって、導電性ペースト42aを硬化させて、接続部42を形成する。次に、第1配線22と半導体発光素子10の第1電極112とを、配線ワイヤー40により接続する。
【0118】
次に、シリコン基板210を、支持基板20と接合する。シリコン基板210と支持基板20とは、例えば、銀ペーストや放熱性シリコーン等の接合部材220を用いて接合することができる。
【0119】
以上の工程により、発光装置200を製造することができる。
【0120】
発光装置200の製造方法によれば、シリコン基板210上に配線22やシリコーンエラストマー層30を形成することができるため、公知の半導体製造プロセスを用いて、配線22,24やシリコーンエラストマー層30を容易に形成することができる。
【0121】
発光装置200の製造方法は、シリコーンエラストマー層30の表面を活性化処理する工程と、シリコーンエラストマー層30上に半導体発光素子10を裁置する工程と、を有する。すなわち、発光装置100の製造方法によれば、半導体発光素子10とシリコーンエラストマー層30を、活性化接合によって接合することができる。したがって、製造工程において、半導体発光素子に加わる損傷を低減することができる。
【0122】
発光装置200の製造方法によれば、シリコーンエラストマー層30上に半導体発光素子10を裁置する工程において、半導体発光素子10の第2電極114と第2配線24とが、導電性ペースト42aを介して、接続されるように半導体発光素子10を裁置する。すなわち、半導体発光素子10の第2電極114と第2配線24とは、導電性材料と、樹脂材料と、を含む接続部42によって接続される。これにより、半導体発光素子10に生じる応力を低減しつつ、第2電極114と第2配線24とを電気的に接続することができる。
【0123】
発光装置200の製造方法によれば、シリコーンエラストマー層30が、シリコン基板210の上方にシリコーンエラストマー層30の前駆体30aを塗布し、熱処理により、前駆体30aを硬化させることにより形成される。したがって、硬化したシリコーンエラストマー層30上に半導体発光素子10を裁置することができるため、半導体発光素子10とシリコーンエラストマー層30の接合する際に、シリコーンエラストマー層の前駆体30aが、半導体発光素子10の光出射部11に付着することを防ぐことができる。
【0124】
1.3.2. 第2変形例
次に、第1実施形態に係る発光装置100の製造方法の変形例について、図面を参照しながら説明する。図17〜図19は、発光装置100の製造工程の変形例を模式的に示す断面図である。なお、図17〜図19では、便宜上、発光装置100を簡略化して図示している。
【0125】
上述した第1実施形態に係る発光装置100の製造方法では、支持基板20の上方(図4の例では、絶縁層26上および配線22,24上)にシリコーンエラストマー層30を形成し、その後、シリコーンエラストマー層30を半導体発光素子10に接合したが、半導体発光素子10の上方にシリコーンエラストマー層30を形成し、その後、シリコーンエラストマー層30を支持基板20に接合してもよい。以下、詳細に説明する。
【0126】
図17に示すように、半導体発光素子10の第2電極114側の表面(絶縁部120の上面121および第2電極114上)にシリコーンエラストマー層30を形成する。シリコーンエラストマー層30は、半導体発光素子10の第2電極114側の表面にシリコーンエラストマー層30の前駆体30aを塗布し、熱処理により、前駆体30aを硬化させることによって形成される。
【0127】
図18に示すように、シリコーンエラストマー層30をパターニングして、半導体発光素子10の第2電極114を露出させる。次に、シリコーンエラストマー層30の表面32を活性化処理する。次に、第2電極114上に導電性ペースト42aを配置する。
【0128】
図19に示すように、シリコーンエラストマー層30の表面32を支持基板20側に向けて支持基板20上に裁置する。これにより、シリコーンエラストマー層30と支持基板20とが、活性化接合によって接合される。図示の例では、半導体発光素子10は、ジャンクションダウンの状態で、支持基板20にフリップチップ実装される。
【0129】
図1に示すように、熱処理によって、導電性ペースト42aを硬化させて、接続部42を形成する。次に、第1配線22を形成し、第1配線22と半導体発光素子10の第1電極112とを、配線ワイヤー40により接続する。
【0130】
以上の工程により、発光装置100を製造することができる。
【0131】
本変形例によれば、上述した第1実施形態に係る発光装置100の製造方法と同様に、製造工程において、半導体発光素子に加わる損傷を低減することができる。
【0132】
2. 第2実施形態
2.1. 発光装置の構成
次に、第2実施形態に係る発光装置の構成について、図面を参照しながら説明する。図20は、第2実施形態に係る発光装置300を模式的に示す断面図である。なお、便宜上、図20では、半導体発光素子10を簡略化して図示している。以下、発光装置300において、発光装置100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0133】
上述した発光装置100の例では、図1に示すように、半導体発光素子10は、ジャンクションダウンの状態で支持基板20に実装されていた。これに対して、発光装置300では、図20に示すように、半導体発光素子10は、ジャンクションアップの状態で支持基板20に実装されている。すなわち、半導体発光素子10は、活性層106が、半導体発光素子の基板102の支持基板20側とは反対側(図示の例では上側)に位置するように実装されている。
【0134】
発光装置300では、半導体発光素子10は、片面電極構造を有している。図示の例では、半導体発光素子10の上面側に電極112,114が形成されている。例えば、図示はしないが、図3に示す第1クラッド層104と基板102との間に、第2コンタクト層(図示せず)を設け、ドライエッチングなどにより第2コンタクト層を露出させ、第1電極112を第2コンタクト層上に設けるこれにより、片面電極構造を得ることができる。第2コンタクト層としては、例えばn型GaAs層などを用いることができる。
【0135】
支持基板20の上面21には、絶縁層26を介して、第1配線22および第2配線24が設けられている。絶縁層26により、配線22,24間を電気的に絶縁することができる。第1配線22は、例えば、配線ワイヤー40により、第1電極112と電気的に接続されている。第2配線24は、例えば、配線ワイヤー40により、半導体発光素子10の第2電極114と電気的に接続されている。なお、図示の例では、半導体発光素子10には、第2電極114が1つ設けられているが、第2電極114が複数設けられてもよい。また、複数の第2電極114の各々に対して、配線ワイヤー40および第2配線24が設けられていてもよい。
【0136】
シリコーンエラストマー層30は、半導体発光素子10と支持基板20との間に位置している。シリコーンエラストマー層30と半導体発光素子10とは、活性化接合によって接合されている。半導体発光素子10が片面電極構造の場合、例えば、シリコーンエラストマー層30の上面31と半導体発光素子10の基板102の下面とが、活性化接合によって接合される。
【0137】
発光装置300は、例えば、以下の特徴を有する。
【0138】
発光装置300によれば、半導体発光素子10をジャンクションアップの状態で支持基板20に実装することができる。
【0139】
発光装置300によれば、半導体発光素子10と支持基板20との間に位置するシリコーンエラストマー層30を有し、半導体発光素子10はシリコーンエラストマー層30と接合されている。したがって、上述した発光装置100と同様に、半導体発光素子に接合されている部材に起因して半導体発光素子に生じる応力を低減することができる。
【0140】
2.2. 発光装置の製造方法
次に、第2実施形態に係る発光装置の製造方法について、図面を参照しながら説明する。図21〜図22は、発光装置300の製造工程を模式的に示す断面図である。なお、便宜上、図22では、半導体発光素子10を簡略化して図示している。
【0141】
図21に示すように、支持基板20上にシリコーンエラストマー層30を形成する。シリコーンエラストマー層30は、支持基板20上にシリコーンエラストマー層30の前駆体30aを塗布し、熱処理により、前駆体30aを硬化させることによって形成される。
【0142】
次に、シリコーンエラストマー層30の上面31を活性化処理する。なお、シリコーンエラストマー層30の上面31に加えて、シリコーンエラストマー層30の上面31と接合される半導体発光素子10の基板102の下面を活性化処理してもよい。
【0143】
図22に示すように、シリコーンエラストマー層30上に半導体発光素子10を裁置する。図示の例では、ジャンクションアップ(フェイスアップ)の状態で、半導体発光素子10を実装している。すなわち、半導体発光素子10の基板102側を支持基板20側に向けて、支持基板20に実装する。
【0144】
図20に示すように、支持基板20上に絶縁層26を介して配線22,24を形成する。具体的には、まず、シリコーンエラストマー層30の一部を除去して、支持基板20を露出させる。次に、露出した支持基板20上に絶縁層26および配線22,24を形成する。なお、配線22,24は、予め支持基板20上に形成されていてもよい。また、配線22,24が形成されたフレキシブル基板を支持基板20上に配置することで、配線22,24を設けてもよい。
【0145】
次に、第1配線22と半導体発光素子10の第1電極112とを、配線ワイヤー40により接続する。また、第2配線24と半導体発光素子10の第2電極114とを、配線ワイヤー40により接続する。本工程は、例えばワイヤーボンディングなどにより行われる。
【0146】
以上の工程により、発光装置300を製造することができる。
【0147】
本実施形態に係る発光装置300の製造方法は、例えば、以下の特徴を有する。
【0148】
発光装置300の製造方法によれば、半導体発光素子10をジャンクションアップの状態で支持基板20に実装することができる。
【0149】
発光装置300の製造方法によれば、半導体発光素子10とシリコーンエラストマー層30とを、活性化接合によって接合することができる。これにより、半導体発光素子10とシリコーンエラストマー層30とを、熱を加えることなく、常温で接合することができる。さらに、半導体発光素子10とシリコーンエラストマー層30とを、低荷重で接合することができる。したがって、製造工程において、半導体発光素子に加わる損傷を低減することができる。
【0150】
発光装置300の製造方法によれば、硬化したシリコーンエラストマー層30に半導体発光素子10を裁置することができるため、半導体発光素子10とシリコーンエラストマー層30の接合する際に、半導体発光素子10の光出射部11に、シリコーンエラストマー層の前駆体30aが付着することを防ぐことができる。
【0151】
2.3. 変形例
次に、第2実施形態に係る発光装置の変形例について、図面を参照しながら説明する。図23は、第2実施形態の変形例に係る発光装置400を模式的に示す断面図である。なお、便宜上、図23では、半導体発光素子10を簡略化して図示している。以下、発光装置400において、発光装置100,200,300の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0152】
発光装置400は、図23に示すように、発光装置300の構成部材に加えて、シリコーンエラストマー層30と支持基板20との間に位置するシリコン基板210を含んで構成されている。すなわち、発光装置400では、支持基板20の上方に、シリコン基板210、シリコーンエラストマー層30、半導体発光素子10の順で配置されている。
【0153】
発光装置400では、第1配線22および第2配線24は、絶縁層26を介して、支持基板20上に設けられている。なお、第1配線22および第2配線24は、シリコン基板210上に設けられていてもよい。第1配線22は、例えば、配線ワイヤー40により、半導体発光素子10の第1電極112と電気的に接続されている。第2配線24は、例えば、配線ワイヤー40により、半導体発光素子10の第2電極114と電気的に接続されている。
【0154】
図示の例では、シリコーンエラストマー層30およびシリコン基板210が、半導体発光素子10と支持基板20との間に位置している。シリコーンエラストマー層30と半導体発光素子10とは、活性化接合によって接合されている。半導体発光素子10が片面電極構造の場合、例えば、シリコーンエラストマー層30の上面31と半導体発光素子10の基板102の下面とが、活性化接合によって接合される。
【0155】
シリコン基板210は、接合部材220によって支持基板20に接合されている。
【0156】
発光装置400は、例えば、以下の特徴を有する。
【0157】
発光装置400によれば、シリコーンエラストマー層30と支持基板20との間に位置するシリコン基板210を有することができる。上述のように、シリコン基板210の熱膨張係数と半導体発光素子10の熱膨張率の差は、支持基板20の熱膨張係数と半導体発光素子10の熱膨張率の差に比べて小さい。したがって、発光装置400によれば、半導体発光素子10と支持基板20との間の熱膨張率の差に起因して半導体発光素子10に生じる応力を、低減することができる。
【0158】
次に、発光装置400の製造方法について、図面を参照しながら説明する。図24〜図26は、発光装置400の製造工程を模式的に示す断面図である。なお、便宜上、図26では、半導体発光素子10を簡略化して図示している。
【0159】
図24に示すように、シリコン基板210上に、シリコーンエラストマー層30を形成する。シリコーンエラストマー層30は、シリコン基板210上にシリコーンエラストマー層30の前駆体30aを塗布し、熱処理により、前駆体30aを硬化させることによって形成される。
【0160】
次に、シリコーンエラストマー層30の上面31を活性化処理する。
【0161】
図25に示すように、シリコーンエラストマー層30上に半導体発光素子10を裁置する。図示の例では、ジャンクションアップ(フェイスアップ)の状態で、半導体発光素子10を実装している。すなわち、半導体発光素子10の基板102側をシリコン基板210側に向けて、シリコン基板210に実装する。
【0162】
図26に示すように、シリコン基板210を、支持基板20に接合する。シリコン基板210と支持基板20とは、例えば、銀ペーストや放熱性シリコーン等の接合部材220を用いて接合することができる。
【0163】
図23に示すように、支持基板20上に絶縁層26を介して配線22,24を形成する。なお、配線22,24は、予め支持基板20上に形成されていてもよい。また、配線22,24が形成されたフレキシブル基板を支持基板20上に配置することで、配線22,24を設けてもよい。
【0164】
次に、第1配線22と半導体発光素子10の第1電極112とを、配線ワイヤー40により接続する。また、第2配線24と半導体発光素子10の第2電極114とを、配線ワイヤー40により接続する。本工程は、例えばワイヤーボンディングなどにより行われる。
【0165】
以上の工程により、発光装置400を製造することができる。
【0166】
3. 第3実施形態
次に、第3実施形態に係るプロジェクターについて、図面を参照しながら説明する。図27は、第3実施形態に係るプロジェクター500を模式的に示す図である。なお、図27では、便宜上、プロジェクター500を構成する筐体を省略して図示している。
【0167】
プロジェクター500は、図27に示すように、赤色光、緑色光、青色光を出射する赤色光源100R、緑色光源100G、青色光源100Bを含む。プロジェクター500の光源としては、本発明に係る発光装置を用いることができる。以下では、図27に示すように、プロジェクター500の光源として、発光装置100(赤色発光装置100R、緑色発光装置100G、青色発光装置100B)を用いた例について説明する。なお、図27では、便宜上、発光装置100を簡略化して図示している。
【0168】
プロジェクター500は、さらに、レンズアレイ502R,502G,502Bと、透過型の液晶ライトバルブ(光変調装置)504R,504G,504Bと、投射レンズ(投射装置)508と、を含む。
【0169】
光源100R,100G,100Bから出射された光は、各レンズアレイ502R,502G,502Bに入射する。レンズアレイ502の入射面は、例えば、光源100から出射される光の光軸に対して、所定の角度で傾斜している。これにより、光源100から出射された光の光軸を変換することができる。したがって、例えば、光源100から出射された光を、液晶ライトバルブ504の照射面に対して、直交させることができる。特に、図2に示すように、半導体発光素子10の利得領域160,170が第1側面131に対して傾いて設けられている場合、光源(半導体発光素子10)100から出射される光は、第1側面131の垂線Pに対して傾いて進行するため、上述したようにレンズアレイ502の入射面は所定の角度で傾斜していることが望ましい。
【0170】
レンズアレイ502は、液晶ライトバルブ504側に、凸曲面を有することができる。これにより、レンズアレイ502の入射面において光軸が変換された光は、凸曲面によって、集光される、または拡散角を小さくされることができる。したがって、均一性よく液晶ライトバルブ504を照射することができる。
【0171】
このように、レンズアレイ502は、光源100から出射される光の光軸を制御して、当該光を集光させることができる。
【0172】
各レンズアレイ502R,502G,502Bによって集光された光は、各液晶ライトバルブ504R,504G,504Bに入射する。各液晶ライトバルブ504R,504G,504Bは、入射した光をそれぞれ画像情報に応じて変調する。
【0173】
各液晶ライトバルブ504R,504G,504Bによって変調された3つの色光は、クロスダイクロイックプリズム506に入射する。クロスダイクロイックプリズム506は、例えば、4つの直角プリズムを貼り合わせて形成され、その内面に赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが十字状に配置されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成される。
【0174】
クロスダイクロイックプリズム506によって合成された光は、投射光学系である投射レンズ508に入射する。投射レンズ508は、液晶ライトバルブ504R,504G,504Bによって形成された像を拡大して、スクリーン(表示面)510に投射する。
【0175】
プロジェクター500によれば、半導体発光素子に接合されている部材に起因して半導体発光素子に生じる応力を低減することができる発光装置100を有する。したがって、プロジェクター500は、高い信頼性を有することができる。
【0176】
なお、上述の例では、光変調装置として透過型の液晶ライトバルブを用いたが、液晶以外のライトバルブを用いてもよいし、反射型のライトバルブを用いてもよい。このようなライトバルブとしては、例えば、反射型の液晶ライトバルブや、デジタルマイクロミラーデバイス(Digital Micromirror Device)が挙げられる。また、投射光学系の構成は、使用されるライトバルブの種類によって適宜変更される。
【0177】
また、光源100を、光源100からの光をスクリーン上で走査させることにより、表示面に所望の大きさの画像を表示させる画像形成装置である走査手段を有するような走査型の画像表示装置(プロジェクター)の光源装置にも適用することが可能である。
【0178】
上述した実施形態および変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば、各実施形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
【0179】
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0180】
L 出射光、M マスク、PL プラズマ、10 半導体発光素子、11 光出射部、
12 第1側面、14 第2側面、19 第1面、20 支持基板(基板)、
21 上面、22 第1配線、24 第2配線、26 絶縁層、
30 シリコーンエラストマー層、30a 前駆体、31 上面、32 表面、
40 配線ワイヤー、42 接続部、42a 導電性ペースト、43 孔、
100 発光装置、102 基板、104 第1クラッド層、106 活性層、
108 第2クラッド層、109 コンタクト層、112 第1電極、
114 第2電極、120 絶縁部、121 上面、122 柱状部、
131 第1側面、132 第2側面、133 第3側面、150 第1利得領域、
160 第2利得領域、170 第3利得領域、180 利得領域群、
200 発光装置、210 シリコン基板、211 上面、220 接合部、
300,400 発光装置、500 プロジェクター、502 レンズアレイ、
504 ライトバルブ、506 クロスダイクロイックプリズム、508 投射レンズ、
510 スクリーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体発光素子と、
前記半導体発光素子を支持する基板と、
前記半導体発光素子と前記基板との間に位置するシリコーンエラストマー層と、
を含み、
前記半導体発光素子と前記シリコーンエラストマー層とは、接合されている、ことを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記半導体発光素子と前記シリコーンエラストマー層とは、活性化接合によって接合さされている、ことを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記半導体発光素子は、ジャンクションダウンの状態で前記基板に実装されている、ことを特徴とする請求項1または2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記半導体発光素子は、端面発光型の半導体発光素子である、ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項5】
前記シリコーンエラストマー層と前記基板との間に位置するシリコン基板を含む、ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項6】
前記半導体発光素子は、前記半導体発光素子の表面に設けられた電極を有し、
前記半導体発光素子の表面と対向する前記基板の表面には、配線が設けられ、
前記電極と前記配線とは、導電性材料と、樹脂材料とを含んで構成された接続部によって電気的に接続されている、ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項7】
前記半導体発光素子は、前記半導体発光素子の表面に設けられた電極を有し、
前記半導体発光素子の表面と対向する前記シリコン基板の表面には、配線が設けられ、
前記電極と前記配線とは、導電性材料と、樹脂材料とを含んで構成された接続部によって電気的に接続されている、ことを特徴とする請求項5に記載の発光装置。
【請求項8】
基板の上方にシリコーンエラストマー層を形成する工程と、
前記シリコーンエラストマー層の表面を活性化処理する工程と、
前記シリコーンエラストマー層上に半導体発光素子を裁置する工程と、
を含む、ことを特徴とする発光装置の製造方法。
【請求項9】
前記シリコーンエラストマー層を形成する工程の後に、前記基板と前記シリコーンエラストマー層との間に設けられた配線が露出するように前記シリコーンエラストマー層をパターニングする工程と、
露出した前記配線上に導電性ペーストを配置する工程と、
をさらに含み、
前記シリコーンエラストマー層上に前記半導体発光素子を裁置する工程では、前記半導体発光素子の電極と前記配線とが、前記導電性ペーストを介して接続されるように前記半導体発光素子を裁置する、ことを特徴とする請求項8に記載の発光装置の製造方法。
【請求項10】
前記シリコーンエラストマー層を形成する工程は、
前記基板の上方に前記シリコーンエラストマー層の前駆体を塗布する工程と、
熱処理により、前記前駆体を硬化させて、前記シリコーンエラストマー層を形成する工程と、
を有する、ことを特徴とする請求項8または9に記載の発光装置の製造方法。
【請求項11】
シリコン基板の上方にシリコーンエラストマー層を形成する工程と、
前記シリコーンエラストマー層の表面を活性化処理する工程と、
前記シリコーンエラストマー層上に半導体発光素子を裁置する工程と、
基板に前記シリコン基板を接合する工程と、
を含む、ことを特徴とする発光装置の製造方法。
【請求項12】
前記シリコーンエラストマー層を形成する工程の後に、前記シリコン基板と前記シリコーンエラストマー層との間に設けられた配線が露出するように前記シリコーンエラストマー層をパターニングする工程と、
露出した前記配線上に導電性ペーストを配置する工程と、
をさらに含み、
前記シリコーンエラストマー層上に前記半導体発光素子を裁置する工程では、前記半導体発光素子の電極と前記配線とが、前記導電性ペーストを介して接続されるように前記半導体発光素子を裁置する、ことを特徴とする請求項11に記載の発光装置の製造方法。
【請求項13】
前記シリコーンエラストマー層を形成する工程は、
前記シリコン基板の上方に前記シリコーンエラストマー層の前駆体を塗布する工程と、
熱処理により、前記前駆体を硬化させて、前記シリコーンエラストマー層を形成する工程と、
を有する、ことを特徴とする請求項11または12に記載の発光装置の製造方法。
【請求項14】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の発光装置と、
前記発光装置から出射された光を、画像情報に応じて変調する光変調装置と、
前記光変調装置によって形成された画像を投射する投射装置と、
を含む、ことを特徴とするプロジェクター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2013−105973(P2013−105973A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−250377(P2011−250377)
【出願日】平成23年11月16日(2011.11.16)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】