説明

発光装置およびそれを用いたLED照明器具

【課題】放射光の放射角に対する色調差を抑制させることが可能な発光装置およびそれを用いたLED照明器具を提供する。
【解決手段】LEDチップ1と、該LEDチップ1を凹部の内底面3a側に実装させる筐体3と、該筐体3における凹部が開放された一表面3b側に上記凹部を覆って設けられた透光性の基材部4と、該基材部4を透過したLEDチップ1から放射される光の一部を吸収して異なる光に波長変換する波長変換部5とを有する発光装置10であり、基材部4は、LEDチップ1から放射される光を屈折または反射の少なくとも一方の機能により当該基材部4の周部4aから放射させる光学機能部6を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDチップを備えた発光装置およびそれを用いたLED照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体発光素子であるLEDチップと、該LEDチップを凹部の内底面側に実装させる筐体と、該筐体の凹部にLEDチップから放射される光の一部を吸収し波長変換して補色となる光を発する蛍光体が含有された透光性部材からなる波長変換部とを備え、たとえば、LEDチップからの青色光と波長変換部からの黄色光とを混色した白色光を放射する発光装置が開発されている。この種の発光装置は、LEDチップの光出力が高出力化するに伴い照明器具にまで利用されている。
【0003】
ところで、この種の発光装置は、LEDチップの大きさが、たとえば、大きいもので、1mm角、小さいもので200μm角程度であり、LEDチップからの光を効率よく外部に放出させるために筐体の凹部の大きさも非常に小さい。また、発光装置を製造するには、波長変換部となる蛍光体が含有された透光性樹脂を、ノズルの先端から筐体の凹部内に充填して形成していたため、波長変換部となる蛍光体が含有された透光性樹脂の量を制御性よく充填することが極めて難しい。発光装置は、波長変換部となる蛍光体が含有された透光性樹脂の充填量がばらつくと、波長変換部の厚みがばらつき蛍光体の含有量もばらつく。発光装置は、LEDチップから放射される青色光の光量と、波長変換部から放射される黄色光の光量とが異なると、製造された発光装置ごとに放射する白色光の色調が異なる製造ばらつきが生ずる。
【0004】
そのため、発光装置10’として、図14に示すように、青色光を発光するLEDチップ1と、該LEDチップ1を凹部の内底面側に実装させる筐体3と、該筐体3の凹部に充填された透光性樹脂部2と、透光性樹脂部2が充填された筐体3の一表面側に上記凹部を覆って設けられたシート状の透光性の基材部4と、該基材4上にスクリーン印刷法やインクジェット印刷法などをにより形成させた波長変換部5とを備えたものが知られている(たとえば、特許文献1)。
【0005】
図14に示す発光装置10’は、スクリーン印刷法やインクジェット印刷法などにより波長変換部5を形成することで、上述のノズルの先端から波長変換部となる透光性樹脂を充填するものと比較して、波長変換部5の厚みを均一に薄く形成させることができる。そのため、発光装置10’は、波長変換部5の厚みばらつきに起因する製造ばらつきを小さくすることができる、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−46134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、図14に示す発光装置10’は、LEDチップ1から放射された光の一部が波長変換部5を透過する際に波長変換部5に含有された蛍光体に一部が吸収される。蛍光体で吸収され波長変換された黄色光(図15の実線の細い矢印を参照)は、波長変換部5から等方的に放射される。なお、図示していないが波長変換部5の周部からも蛍光体からの光は、等方的に放射されている。
【0008】
これに対して、発光装置10’のLEDチップ1からの青色光(図15の白抜きの矢印を参照)は、波長変換部5に含有された蛍光体で反射散乱などされながらも基本的に発光装置10’の凹部から放射された光の指向特性を保ったまま波長変換部5を透過して外部に放射されていると考えられる。発光装置10’から外部に放射された光は、波長変換部5からの黄色光と、LEDチップ1からの青色光とが混色されて白色光に見える。
【0009】
ここで、発光装置10’の正面から放射されるLEDチップ1からの青色光は、正面光度に対して、放射角が大きくなるにつれ光度が急激に低下する傾向にある。これに対して、発光装置10’から放射される波長変換部5からの黄色光は、波長変換部5から等方的に放射されるため、正面光度に対して、放射角が大きくなってもLEDチップ1からの青色光ほどは光度が低下しない。このため、発光装置10’の正面方向における色調と、発光装置10’の側面方向(図15の紙面の左右方向)における色調とでは、LEDチップ1から放射される青色光と、蛍光体から放射される黄色光との割合が異なり、発光装置10’からの放射される光の放射角に対する色調差が大きくなる恐れがある。
【0010】
特に、照明器具に用いられる発光装置10’は、たとえば、車両用の前照灯のように、特定の指向性を持って光を放射させる場合、発光装置10’を凹状の反射鏡の内部に配置させて利用される場合がある。また、発光装置10’は、放射光をレンズなどにより集光して外部に放射することも行われている。
【0011】
このような場合、照明器具から放射された光は、発光装置10’の正面方向だけでなく発光装置10’の側方から放射された光も照射面側に照射される。そのため、照明器具の照射面側では、発光装置10’の正面方向から放射された光と、発光装置10’の側方から放射された光との色調差が色むらとなって顕在化しすい傾向にある。特に、人間の目は、白色の光の色調差に対して敏感であり、少しの違いでも大きな色の違いとして認識する傾向にある。そのため、より均質な白色光を放射が求められる現在においては、十分ではなく、更なる改良が求められている。
【0012】
本発明は上記事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、放射光の放射角に対する色調差を抑制させることが可能な発光装置およびそれを用いたLED照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の発光装置は、LEDチップと、該LEDチップを凹部の内底面側に実装させる筐体と、該筐体における上記凹部が開放された一表面側に上記凹部を覆って設けられた透光性の基材部と、該基材部を透過した上記LEDチップから放射される光の一部を吸収して異なる光に波長変換する波長変換部とを有する発光装置であって、上記基材部は、上記LEDチップから放射される光を屈折または反射の少なくとも一方の機能により当該基材部の周部から放射させる光学機能部を有することを特徴とする。
【0014】
この発光装置において、上記基材部および上記波長変換部は、シート状であることを特徴とする。
【0015】
この発光装置において、上記基材部は、上記波長変換部を位置決めして収納する収納部を有することを特徴とする。
【0016】
この発光装置において、上記基材部は、上記周部から放射させる上記LEDチップの光量を上記基材部の厚みで調整させてなることを特徴とする。
【0017】
この発光装置において、上記基材部と上記波長変換部とを交互に複数個重ね合わせてなり、上記基材部と上記波長変換部との屈折率が異なることを特徴とする。
【0018】
この発光装置において、上記光学機能部は、上記基材部の表面から窪んで形成された傾斜面であることを特徴とする。
【0019】
この発光装置において、上記光学機能部は、上記基材部中に含有された上記LEDチップから放射される光を拡散する拡散材であることを特徴とする。
【0020】
この発光装置において、上記拡散材は、外形形状が球形状であることを特徴とする。
【0021】
この発光装置において、上記基材部の上記周部は、該周部から放射される上記LEDチップの光を散乱光とする凹凸形状の出射面が設けられてなることを特徴とする。
【0022】
この発光装置において、上記基材部の上記周部は、該周部から放射される上記LEDチップの光を特定方向の出射光とする傾斜した出射面が設けられてなることを特徴とする。
【0023】
この発光装置において、上記基材部の上記周部は、上記筐体の上記一表面における外周端より外部に突出してなることを特徴とする。
【0024】
本発明のLED照明器具は、上記発光装置を備えてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明の発光装置は、放射光の放射角に対する色調差を抑制させることが可能な発光装置を提供できるという顕著な効果がある。
【0026】
また、本発明のLED照明器具は、放射光の放射角に対する色調差を抑制させることが可能な発光装置を備えたLED照明器具を提供できるという顕著な効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】実施形態1の発光装置を示す概略断面図である。
【図2】同上の発光装置の要部を示す斜視図である。
【図3】同上の発光装置の他の要部を示す斜視図である。
【図4】同上の別の発光装置を示す概略断面図である。
【図5】同上の発光装置の別の要部を示す斜視図である。
【図6】実施形態2の発光装置を示す概略断面図である。
【図7】実施形態3の発光装置を示す概略断面図である。
【図8】実施形態4の発光装置を示す概略断面図である。
【図9】実施形態5の発光装置の要部を示す断面図である。
【図10】実施形態6の発光装置を示す概略断面図である。
【図11】同上の別の発光装置を示す概略断面図である。
【図12】実施形態7の発光装置を示す概略断面図である。
【図13】実施形態8の発光装置を示す概略断面図である。
【図14】従来の発光装置を示す概略断面図である。
【図15】比較例を示す発光装置における光の放射を例示する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(実施形態1)
以下、本実施形態の発光装置10を図1ないし図5に基づいて説明する。なお、図1から図5において同じ部材に対しては、同じ番号を付して重複する説明を省略している。
【0029】
本実施形態の図1に示す発光装置10は、LEDチップ1と、該LEDチップ1を凹部の内底面3a側に実装させる筐体3と、該筐体3の上記凹部に充填された透光性樹脂部(たとえば、シリコーン樹脂)2と、該透光性樹脂部2が充填された筐体3における上記凹部が開放された一表面3a側に上記凹部を覆って設けられた透光性の基材部4と、該基材部4を透過したLEDチップ1から放射される光(たとえば、青色光)の一部を吸収して異なる光(たとえば、黄色光)に波長変換する波長変換部5とを有する。
【0030】
特に、本実施形態の発光装置10は、基材部4がLEDチップ1から放射される光を屈折または反射の少なくとも一方の機能により、基材部4の周部4aから放射させる光学機能部6を有している。なお、図1に示す発光装置10では、LEDチップ1に給電するために筐体3の外部から内部に導通させる導体パターンおよび上記導通パターンとLEDチップ1とを電気的接続を行うためのバンプなどを省略している。
【0031】
より具体的には、本実施形態の発光装置10は、たとえば、凹部が形成されたアルミナセラミック基板上にAuでメッキされた一対の導体パターン(図示していない)が形成された筐体3を用いている。筐体3の一対の導体パターンには、LEDチップ1のアノード電極およびカソード電極とそれぞれ電気的に接続させるAuバンプを設けている。筐体3の内底面3aに実装されたLEDチップ1は、サファイア基板上にn型の窒化ガリウム系化合物半導体層、Inが含有された窒化ガリウム系化合物半導体からなる発光層、p型の窒化ガリウム系化合物半導体層が順に積層されている。LEDチップ1は、上記p型の窒化ガリウム系化合物半導体層および上記発光層の一部が除去されて上記n型の窒化ガリウム系化合物半導体層が部分的に露出している。LEDチップ1は、同一平面側にp型およびn型の各窒化ガリウム系化合物半導体層と電気的に接続されるアノード電極およびカソード電極がそれぞれ設けられている。LEDチップ1は、LEDチップ1の同一平面側に設けられた上記アノード電極および上記カソード電極を、筐体3の一対の導体パターン上のAuバンプにフリップチップ実装して給電可能に実装することができる。
【0032】
筐体3の内底面3a上に実装させたLEDチップ1は、通電により、たとえば、青色光を放射する。このようなLEDチップ1の外形は、たとえば、大きさが約1mm角で、厚みが約100μmとすることができる。
【0033】
筐体3の上記凹部内には、LEDチップ1を覆うようにシリコーン樹脂を充填し硬化させて透光性樹脂部2を形成させている。また、透光性樹脂部2が充填された筐体3の上面に合わせて透光性材料であるシート状のシリコーン樹脂からなる基材部4を接着剤により張り合わせにより形成させている。本実施形態の発光装置10における基材部4は、筐体3の内底面3aの略中央部に設けたLEDチップ1と、透光性樹脂部2を介して対向するように光学機能部6を設けている。
【0034】
さらに、基材部4の大きさに合わせて、予めシート状の略同形状に形成した波長変換部5を基材部4上に接着剤を用いて貼り合わせている。ここで、波長変換部5は、LEDチップ1からの青色光を吸収して黄色光が発光可能な黄色蛍光体(たとえば、Ceで付活されたYAl12など)をバインダーとなるシリコーン樹脂中に均一に分散させて形成したものである。
【0035】
なお、波長変換部5は、LEDチップ1からの青色光を吸収して緑色光が発光可能な緑色蛍光体(Euで付活された(Sr,Ba)SiOなど)と、LEDチップ1からの青色光を吸収して赤色光が発光可能な赤色蛍光体(たとえば、Euで付活されたCaAlSiNなど)とをバインダーとなるシリコーン樹脂中に均一に分散させて形成したものを用いてもよい。
【0036】
次に、本実施形態の発光装置10に用いられる光学機能部6は、筐体3の上記凹部の内底面3a上に実装されたLEDチップ1と透光性樹脂部2を介して対向配置される基材部4の表面4g(図2を参照)からLEDチップ1側に向かって小さくなるように窪んで円錐形状に形成された傾斜面6aを光学機能部6として利用している。
【0037】
ここで、発光装置10は、LEDチップ1から放射された青色光が基材部4を透過し波長変換部5を透過する際に、青色光の一部が波長変換部5の蛍光体に吸収され黄色光に波長変換される。また、LEDチップ1から放射された青色光のうち、波長変換部5の蛍光体に吸収されなかった青色光はそのまま発光装置10の外部に取り出される。発光装置10の正面方向(図1の紙面の上方向)では、青色光と黄色光が取り出され混色されることになり、LEDチップ1から放射される青色光の光出力と蛍光体の含有量を調整などすることで白色光を得ることが可能となる。
【0038】
発光装置10では、波長変換部5から放射される黄色光が波長変換部5から等方的に放射され発光装置10の正面方向だけでなく、発光装置10の側面方向(図1の紙面の左右方向)にも放射される。また、発光装置10の側面方向では、LEDチップ1からの青色光が、波長変換部5に照射される前にLEDチップ1と対向した位置にある光学機能部6に照射される。
【0039】
光学機能部6は、円錐形状の空洞の内部にある空気層7と、基材部4の透光性材料であるシリコーン樹脂との屈折率差により、空気層7と基材部4との界面でLEDチップ1からの光を傾斜面6aが反射などさせ、基材部4の周部4aから放射させることができる。そのため、本実施形態の発光装置10は、光学機能部6を設けていないものと比較して、発光装置10の側面方向からLEDチップ1の青色光をより多く取り出すことが可能となり、波長変換部5から等方的に放射され発光装置10の側面方向へ向かった黄色光と混色させることで、放射光の放射角に対する色調差を抑制させた白色光を放出させることが可能となる。
【0040】
以下、本実施形態の発光装置10に用いられる各構成について詳述する。
【0041】
本実施形態の発光装置10に用いられるLEDチップ1は、通電により光を発光可能なものである。LEDチップ1の放射する光は、たとえば、可視光のうちピーク波長が450nmから470nmの青色光とすることができるが、青色光のみに限定するものではなく、他の波長の光や波長変換部5を効率よく励起させるために紫外線を用いてもよい。発光素子たるLEDチップ1としては、たとえば、サファイア基板、スピネル基板、窒化ガリウム基板、酸化亜鉛基板や炭化シリコン基板などの結晶成長基板上にn型の窒化ガリウム系化合物半導体層、多重量子井戸構造や単一量子井戸構造の発光層となるインジウムが含有された窒化ガリウム系化合物体層、p型の窒化ガリウム系化合物半導体層を順に積層させたものが挙げられる。
【0042】
なお、絶縁性基板を用いたLEDチップ1は、上記p型の窒化ガリウム系半導体層側から上記n型の窒化ガリウム系化合物半導体層の一部を露出させることにより、同一平面側でアノード電極におよびカソード電極をそれぞれ形成することができる。また、導電性基板を用いたLEDチップ1は、LEDチップ1の厚み方向の両面側にアノード電極やカソード電極を形成すればよい。
【0043】
LEDチップ1に設けられる上記アノード電極や上記カソード電極は、Ni膜とAu膜との積層膜、Al膜、ITO膜など窒化ガリウム系化合物半導体層などと良好なオーミック特性が得られる材料であれば、特に、限定されるものではない。
【0044】
同一平面側に上記アノード電極および上記カソード電極が設けられたLEDチップ1は、筐体3の内底面3a側に設けた図示していない一対の導電パターンにAuバンプなどの金属バンプを用いてフリップチップ実装させることができる。また、LEDチップ1として、厚み方向の両面側に上記アノード電極や上記カソード電極が形成されたLEDチップ1を用いる場合は、LEDチップ1が実装される筐体3の内底面3a上に形成された一対の導体パターンのうちの一方の導体パターンと、LEDチップ1の上記アノード電極あるいは上記カソード電極とを導電性部材(たとえば、AuSnやAgペーストなど)を介してダイボンドなどして電気的に接続させる。また、LEDチップ1の光取り出し面側の他方の上記カソード電極あるいは上記アノード電極は、ワイヤ(たとえば、金線やアルミニウム線など)を介して他方の導体パターンと電気的に接続させればよい。
【0045】
なお、本実施形態の図1に示す発光装置10では、筐体3の内底面3a上に一個のLEDチップ1を実装しているが、LEDチップ1の数は一個だけに限られず複数個であってもよい。この場合、各LEDチップ1は、適宜に直列、並列や直並列に電気的に接続させればよい。また、LEDチップ1は、同種のものを用いてもよいし、異なる発光波長の光を発光する複数個のLEDチップ1を用いてもよい。
【0046】
本実施形態の発光装置10に用いられる透光性樹脂部2は、筐体3の上記凹部の内底面3aに実装されたLEDチップ1を被覆するものであって、LEDチップ1の機械的保護や光取り出し効率の向上のために好適に設けているが、発光装置10の用途によっては必ずしも必要ではない。
【0047】
次に、本実施形態の発光装置10に用いられる筐体3は、上記凹部の内底面3aにLEDチップ1を実装し、筐体3の上記凹部が開放された一表面3b側に上記凹部を覆う基材部4を設けることが可能なものである。また、筐体3は、筐体3上の上記一対の導体パターン(たとえば、最表面がAuでメッキされた導体パターン)を利用して、LEDチップ1の通電経路を構成してもよい。このような筐体3は、アルミナや窒化アルミニウムなどを用いたセラミック基板、Fe、CuやAlなどの金属材料を用いた金属ベース基板やガラスエポキシ樹脂基板などを用いることができる。また、筐体3は、一対の金属リードを金型内に挿入してエポキシ樹脂などの射出成形により、上記凹部の内底面3aに一対の対向する金属リードが露出する筐体3を形成することもできる。
【0048】
筐体3としてアルミナセラミック基板を用いた場合は、アルミナセラミック基板の材料となるグリーンシートの焼成と同時に上記凹部や上記導体パターンを形成することができる。なお、アルミナセラミック基板は、ガラスエポキシ樹脂基板などと比較して熱伝導率も高く、LEDチップ1の点灯で生じた熱を外部に効率よく放熱させ発光装置10の放熱性を高めることができる。樹脂の射出成形により筐体3を形成させる場合は、金型の形状により比較的簡単に所望の形状の凹部を備えた筐体3を形成させることができる。
【0049】
なお、筐体3は、内側壁を筐体3の内底面3aから外部に向かって次第に広がるテーパ部とすることで、発光装置10の外部に光を取り出し易くなり、発光装置10の放射角に対する色調差をより抑制することができる。また、テーパ部を備えた筐体3として、カップを備えたリードフレームを用いてもよい。筐体3として、カップを備えたリードフレームを用いる場合、発光装置10は、上記カップの内底面にLEDチップ1を実装させればよい。
【0050】
筐体3には、筐体3の内底面3aから側面および裏面にも導体パターンを延設させて発光装置10の外部電極として構成してもよい。このような発光装置10の外部電極は、リフロー工程などによって配線基板(図示せず)と電気的に接続させることができる。
【0051】
基材部4は、透光性を有し、筐体3における上記凹部が開放された一表面3a側に上記凹部を覆って設けられたものである。特に、基材部4は、LEDチップ1から放射される光を屈折または反射の少なくとも一方の機能により周部4aから放射させる光学機能部6を有している。すなわち、基材部4は、LEDチップ1から放射された光の進行方向を変えて、LEDチップ1からの光の一部を基材部4中を導光などさせて発光装置10の側面方向となる基材部4の周部4aから放出可能なものである。このような基材部4の材料としては、たとえば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂やアクリル樹脂などの透光性樹脂やガラスなどを用いることができる。特に、LEDチップ1からの光出力が高い場合には、耐光性に優れたものが好ましく、加工が容易な観点からシリコーン樹脂がより好ましい。
【0052】
基材部4は、LEDチップ1からの光を導光して周部4aから効率よく放出させるため、波長変換部5との屈折率差が大きいものが好ましく、波長変換部5を介してLEDチップ1からの光を効率よく放出させるためには、波長変換部5と発光装置10の外部との屈折率差が小さいものが好ましい。したがって、基材部4は、発光装置10の側方から放出させる混色光に応じて適した屈折率を有する材料を適宜に採用すればよい。エポキシ樹脂は、架橋密度を調整などすることにより、たとえば、屈折率を1.55〜1.61とすることができ、シリコーン樹脂は、屈折率を1.35〜1.53とすることができる。
【0053】
基材部4は、たとえば、シリコーン樹脂などの透光性樹脂を使用しているのであれば、基材部4の厚みを薄くスライスするなどにより、基材部4の周部4aから放射されるLEDチップ1の光量を基材部4の厚みで調整することが可能となる。発光装置10は、基材部4を筐体3の一表面3a側に形成後、基材部4の厚みを微調整することで、発光装置10の側方から放射される白色光の色調を調整することも可能となる。
【0054】
また、本実施形態の発光装置10に用いられる別の基材部4として、図3に示すように、基材部4の表面4gからLEDチップ1側に向かって小さくなるように窪んで円錐形状に形成された傾斜面6aを複数(ここでは、5個)の個所に設けて光学機能部6としてもよい。本実施形態の発光装置10は、円錐形状の傾斜面6aによりLEDチップ1からの光が反射などされて基材部4の周部4a側から放射される。これにより、発光装置10は、発光装置10の側方におけるLEDチップ1からの青色光の割合を増やし、発光装置10の側面方向から取り出す白色光の色調を調整することもできる。
【0055】
なお、本実施形態の別の発光装置10として、光学機能部6は、図4に示すように、基材部4の表面4gからLEDチップ1側に向かって小さくなるように窪んで円錐形状に形成された傾斜面6bの表面4gに対する角度を図3に示す傾斜面6aよりも大きくすることで、LEDチップ1から放射された光の反射角を変え、基材部4の周部4a側から取り出すLEDチップ1の青色光を調整することもできる。したがって、基材部4に複数個の光学機能部6を設ける場合は、必ずしも同じ形状や同じ大きさの光学機能部6を設ける必要はなく、発光装置10の側面方向から放出させる光量に応じて適宜調整すればよい。また、光学機能部6たる傾斜面6bは、必ずしも平らで一定とする必要はなく、基材部4の表面4gに対する傾斜面6a,6bの角度を滑らかに変化させてもよいし、基材部4の表面4gから深く、LEDチップ1側に近づくにつれ段階的に傾斜面6a,6bの角度が大きくなるように変化させてもよい。
【0056】
また、基材部4に設けられた光学機能部6の形状は、円錐形状だけに限られず、たとえば、図5に示すように、基材部4の表面4gから窪んで形成されたV溝形状を形成する傾斜面6cとしてもよい。基材部4に設けられる光学機能部6は、LEDチップ1から放射される光の指向角が狭い場合は、LEDチップ1と対向して配置させることにより、効率よく基材部4の周部4aからLEDチップ1の光を放出させることが可能となる。
【0057】
したがって、光学機能部6は、発光装置10の基材部4の周部4a側からLEDチップ1の青色光を取り出す構造であれば、種々の傾斜面6a,6b,6cとすることができる。
【0058】
本実施形態の発光装置10の光学機能部6は、予め基材部4に形成させさせてもよいし、たとえば、基材部4となるシート状の透光部を形成させた後、LEDチップ1の基材部4の周部4aから放射される光量の調整のために、後から追加して形成させてもよい。このような発光装置10の光学機能部6は、製造の自由度が高く適宜に光学機能部6を形成することができる。
【0059】
たとえば、最初に、基材部4の材料としてガラスよりなる上記透光部を、筐体3における上記凹部が開放された一表面3b側に配置させる。次に、上記透光部上に光学機能部6を形成させる部位に貫通孔があるマスク材(図示していない)を形成させ、上記貫通孔からエッチングによりガラスを溶解させることで光学機能部6を形成させることができる。また、基材部4に光学機能部6を形成させる別の方法として、エッチングによりガラスを溶解する代わりに、レーザ光をガラスに照射させて部分的に溶融させることにより、光学機能部6を形成させてもよい。
【0060】
波長変換部5は、基材部4を透過したLEDチップ1から放射される光の少なくとも一部を吸収して異なる光に波長変換し、LEDチップ1からの光よりも長波長側に発光ピークをもつ蛍光を発するものである。波長変換部5の材料としては、たとえば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂やアクリル樹脂などの透光性樹脂やガラスなどを用いることができる。特に、LEDチップ1からの光出力が高い場合には、耐光性に優れたものが好ましく、加工が比較的容易な観点からシリコーン樹脂がより好ましい。
【0061】
波長変換部5は、たとえば、LEDチップ1から放射された光の一部を吸収して、より長波長側に発光ピークをもつ蛍光を放射する蛍光体をシリコーン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂やガラスなどの透光性材料中に含有して形成すればよい。波長変換部5は、LEDチップ1から放射された光の一部を吸収してより長波長側に発光ピークをもつ蛍光を放射するものであり、LEDチップ1の光よりも長波長の光を放射する。発光装置10から放射する光を、より演色性の高い白色光とするには、青色光を放射するLEDチップ1と波長変換部5との組み合わせにおいて、たとえば、波長変換部5に用いられる蛍光体を緑色蛍光体および赤色蛍光体とすればよい。
【0062】
波長変換部5に用いられる蛍光体としては、たとえば、Ceで付活されたYAl12やCeで付活されたTbAl12などのアルミネート系の蛍光体のほか、Euで付活されたBaSiOやEuで付活された(SrBa)SiOなどの珪酸塩系の蛍光体、Euで付活されたCaAlSiN、Euで付活されたSrSi、Euで付活されたCaSi、Euで付活されたSrSi10やEuで付活されたCaSi10などの窒化物系の蛍光体を採用することもできる。
【0063】
また、波長変換部5の厚みは、発光装置10から放射する光の目標とする色温度、LEDチップ1から放射される青色光の発光強度や蛍光体の含有量などによって適宜に調整すればよい。
【0064】
なお、波長変換部5は、光学機能部6を有する基材部4の表面4g側にスクリーン印刷法やインクジェット印刷法を利用して、蛍光体を含有する透光性材料を塗布し硬化させることにより形成させることもできる。これにより、蛍光体が含有された波長変換部5の厚みを均一に薄膜で形成させることができる。
【0065】
本実施形態の発光装置10は、発光装置10の側面方向へ放射されるLEDチップ1からの光を増大させることができるため、発光装置10の正面方向へ放射された光の色調と、発光装置10の側面方向へ放射された光の色調との色調差を低減することが可能となる。特に、本実施形態の発光装置10を用いたLED照明器具は、レンズや反射鏡などにより、発光装置10から放射される光を集光や拡散させてもLED照明器具の照射面における色むらが低減することが可能となる。また、本実施形態の発光装置10を用いたLED照明器具は、LED照明器具に照射面における色むらを解消するための拡散パネルなどを別途に設けなくとも、発光装置10からの放射光の放射角に対する色調差を抑制することが可能となる。なお、発光装置10の色むらを抑制する上記拡散パネルを別途に使用しない場合、本実施形態の発光装置10を備えたLED照明器具は、上記拡散パネルの分だけLED照明器具の小型化やコストダウンに寄与することができる。
【0066】
(実施形態2)
本実施形態の発光装置10は、図1で示した実施形態1の基材部4における傾斜面6aで形成される空洞の内部を空気層7とする代わりに、図6で示すように、基材部4の材質と屈折率の異なる透光性部材8を充填させた点が異なる。なお、実施形態1と同様の構成要素には、同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0067】
本実施形態の図6に示す発光装置10は、基材部4の表面4gからLEDチップ1側に向かって小さくなるように窪んで円錐形状に形成された傾斜面6a光学機能部6として形成している。また、光学機能部6の円錐形状の空洞における内部に基材部4と屈折率の異なる透光性部材8を充填して基材部4の表面4g側を平坦に形成している。透光性部材8は、たとえば、基材部4と屈折率の異なるシリコーン樹脂などの透光性樹脂材料を用いることができる。
【0068】
LEDチップ1から放射された青色光は、基材部4を透過し波長変換部5を透過する際に、青色光の一部が波長変換部5の蛍光体に吸収され黄色光に波長変換される。また、LEDチップ1から放射された青色光のうち、波長変換部5の蛍光体に吸収されなかった青色光はそのまま発光装置10の外部に取り出される。
【0069】
波長変換部5から放射される黄色光は、波長変換部5から等方的に放射され発光装置10の正面方向(図6の紙面の上方向)だけでなく、発光装置10の側面方向(図6の紙面の左右方向)にも放射される。他方、波長変換部5を透過したLEDチップ1からの青色光は、発光装置10の正面方向にそのまま取り出される。発光装置10の正面方向では、青色光と黄色光が取り出され混色されることになり、LEDチップ1から放射される青色光の光出力や蛍光体の含有量などを調整することで白色光を得ることが可能となる。
【0070】
また、発光装置10の側面方向では、LEDチップ1から放射された青色光が波長変換部5に照射される前にLEDチップ1と対向した位置にある光学機能部6に照射される。
【0071】
光学機能部6は、円錐形状の内部における透光性部材8と、基材部4との屈折率差により、透光性部材8と基材部4との界面でLEDチップ1からの光を傾斜面6aが反射などさせ、基材部4の周部4aから放射させることができる。そのため、本実施形態の発光装置10は、光学機能部6を設けていないものと比較して、発光装置10の側面方向からLEDチップ1の青色光をより多く取り出すことが可能となり、波長変換部5から等方的に放射され発光装置10の側面方向へ向かった黄色光と混色させることで、放射光の放射角に対する色調差を抑制させた白色光を放出させることが可能となる。
【0072】
本実施形態の発光装置10は、光学機能部6に基材部4との屈折率差が調整された透光性部材8を備えることで、図1に示す基材部4の表面から窪んで形成された傾斜面6aの角度が同じであっても、基材部4と透光性部材8との界面でLEDチップ1からの光の反射などを調整することができる。したがって、本実施形態の発光装置10は、発光装置10の側面方向へ向かうLEDチップ1からの青色光の光量を調整することが可能となる。
【0073】
さらに、本実施形態の発光装置10は、基材部4の表面4gを平坦に形成することができることから、基材部4の光学機能部6上により均一な膜厚で波長変換部5を形成させることが可能となる。また、基材部4上にシート状の波長変換部5を接着剤(図示していない)で張り合わせる場合、基材部4の光学機能部6の円錐形状の空洞の内部に入り込む接着剤量のばらつきにより、製造された発光装置10の発光特性が異なることを抑制することもできる。
【0074】
また、本実施形態の発光装置10は、基材部4の表面4gが平坦となるため、波長変換部5をスクリーン印刷法やインクジェット印刷法を用いて直接的に基材部4の表面4gに形成することが可能となり、波長変換部5を厚みの制御性がよく形成させることができる。そのため、発光装置10は、波長変換部5の膜厚ばらつきに伴い生ずる発光装置10の正面方向へ放射される光の色むらを抑制することも可能となる。
【0075】
(実施形態3)
本実施形態の発光装置10は、図1で示した実施形態1の基材部4における傾斜面6aで形成される円錐形状の空洞の内部を空気層7とする代わりに、図7に示すように、円錐形状の空洞の内部にまで波長変換部5を形成させた点が異なる。なお、実施形態1と同様の構成要素には、同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0076】
本実施形態の発光装置10は、図7に示すように基材部4の表面4gからLEDチップ1側に向かって小さくなるように窪んで円錐形状に形成された傾斜面6aを光学機能部6として形成している。また、基材部4に形成される波長変換部5の一部が上述の傾斜面6aで形成される円錐形状の空洞の内部にまで充填されている。なお、基材部4と、波長変換部5とは、屈折率の異なる材料で形成している。基材部4と、波長変換部5とは、たとえば、それぞれ屈折率が異なるシリコーン樹脂などの透光性樹脂を用いることが好ましい。
【0077】
本実施形態の発光装置10においても、LEDチップ1から放射された青色光は、基材部4を通り、波長変換部5を透過する際に、一部は蛍光体に当たり黄色光に変換され、その他はそのまま取り出される。波長変換部5からの黄色光は、等方的に放射され発光装置10の正面方向および側面方向に取り出され、LEDチップ1の青色光はそのまま正面方向に取り出される。そのため、発光装置10の正面方向へは、青色光と黄色光が取り出され混色されることになり、白色光が得られる。
【0078】
また、波長変換部5に照射される前のLEDチップ1から放射された青色光は、光学機能部6により、基材部4と波長変換部5との界面で反射などを起こし、基材部4の周部4aからへ放射される。そのため、発光装置10は、側面方向からLEDチップ1の青色光をより多く放射させることが可能となり、波長変換部5から側面方向へ取り出された黄色光と混色されることで、正面方向と同様に白色光を発光させることが可能となる。
【0079】
特に、指向角が狭いLEDチップ1では、LEDチップ1に対向して配置された光学機能部6に照射される光が多くなる。本実施形態の発光装置10は、実施形態1の発光装置10と比較して、光学機能部6上の波長変換部5の厚みが厚くなる。発光装置10は、発光装置10の正面方向での色調差を抑制したまま正面光度を高くすることが可能となる。
【0080】
(実施形態4)
本実施形態の発光装置10は、光学機能部6として、図1で示した実施形態1の基材部4の表面4gから窪んで形成した傾斜面6aを設ける代わりに、図8で示すように、基材部4中に基材部4を構成する透光部と屈折率の異なる粒子状の拡散材9を含有させたものを用いた点が異なる。なお、実施形態1と同様の構成要素には、同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0081】
本実施形態の発光装置10は、図8に示すように、光学機能部6として、基材部4を構成する透光部中に基材部4と屈折率の異なる透光性材料からなる粒子状の拡散材9を分散して含有させたものを用いている。ここで、本実施形態の発光装置10における拡散材9は、拡散材9の外形形状を球形状としている。
【0082】
発光装置10のLEDチップ1から放射された青色光は、基材部4中に入射され光学機能部6へ達するが、光学機能部6と基材部4との屈折率を異ならせているため、青色光は反射や屈折を繰り返し拡散する。
【0083】
発光装置10の正面方向へ拡散したLEDチップ1から放射された青色光は、波長変換部5を透過する際に、一部は蛍光体に吸収されて黄色光に波長変換され、その他はそのまま取り出される。蛍光体からは黄色光が等方的に放射され発光装置10の正面方向および側面方向に取り出され、青色光はそのまま正面方向に取り出される。そのため、発光装置10の正面方向へは、青色光と黄色光が取り出され混色されることになり白色光を得ることができる。
【0084】
一方、発光装置10における光学機能部6により側面方向へ拡散した青色光は、基材部4の周部4aから放射される。発光装置10は、波長変換部5から等方的に放射された光のうち側面方向に放射された黄色光に、基材部4の周部4aから放射されたLEDチップ1の青色光を混色させて発光装置10の側面方向の光を発光装置10の正面方向と同様の白色光を発光させることが可能となる。なお、本実施形態の発光装置10は、基材部4を構成する透光部に含有される拡散材9の含有量を適宜に調整することで、発光装置10の側面方向へ向かう青色光を調整することが可能となる。
【0085】
このような拡散材9の材料としては、アルミナ、シリカ、酸化チタンなどの無機材料やフッ素系樹脂などの有機材料、有機成分と無機成分とを分子レベルや粒子レベルで複合化した有機無機ハイブリッド材料などが挙げられ、平均粒径もたとえば、数μmから数十μmまでで適宜に選択すればよい。
【0086】
本実施形態の発光装置10は、LEDチップ1からの放射される青色光が、LEDチップ1の表面に形成された電極などで遮光され、LEDチップ1から放射される光の放射角により光出力のばらつきがあるような場合であっても、基材部4を通る間に拡散されて、基材部4の表面4gから、より均一な光として波長変換部5側に照射される。そのため、本実施形態の発光装置10は、青色光と黄色光がより均一に波長変換部5から取り出されるため、発光装置10の正面方向から放射される光が、より色むらの少ない白色光とすることが可能となる。
【0087】
(実施形態5)
本実施形態の発光装置10は、図1で示した実施形態1の基材部4の周部4aが平坦な出射面とする代わりに、図9で示すように、基材部4の周部4aに周部4aから放射されるLEDチップ1の光を散乱光とする凹凸形状の出射面4bとした点が異なる。なお、実施形態1と同様の構成要素には、同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0088】
本実施形態の発光装置10は、基材部4および波長変換部5の端部における部分拡大図を図9で例示している。本実施形態の発光装置10は、基材部4の周部4aに周部4aから放射されるLEDチップ1の光を散乱光とする細かな凹凸形状の出射面4bとしており、周部4aからの光の取り出し効率を上げている。そのため、本実施形態の発光装置10では、より多くの青色光を周部4aから等方的に取り出すことが可能となる。
【0089】
なお、本実施形態の発光装置10は、上述の実施形態1乃至実施形態4の発光装置10における基材部4のいずれの周部4aにも上述の凹凸形状の出射面4bとすることができる。
【0090】
(実施形態6)
本実施形態の発光装置10は、図1で示した実施形態1の基材部4の周部4aを基材部4の表面4gと略垂直な出射面とする代わりに、図10の発光装置10で示すように基材部4の周部4aを基材部4の表面4gに対して傾斜させた出射面4cとした点が異なる。なお、実施形態1と同様の構成要素には、同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0091】
本実施形態の発光装置10は、図10で示すように、基材部4の周部4aに該周部4aから放射されるLEDチップ1の光を特定方向の出射光とする傾斜した出射面4cを設けており、発光装置10の斜め前方の正面方向へ青色光をより多く出射させることができる。
【0092】
すなわち、本実施形態の発光装置10は、LEDチップ1から放射された青色光のうちLEDチップ1と対向する正面の光学機能部6へ達した光が、空気層7と基材部4との界面である傾斜面6aで反射を生じさせ基材部4の周部4aの方向に向かわせる。また、基材部4の周部4aは傾斜した出射面4cとなっており、傾斜した出射面4cに応じて(ここでは、発光装置10の斜め前方の正面方向)へ、より多くの青色光を放出させることができる。そのため、発光装置10は、発光装置10の側面方向への色むらにおいて、所定角度の色調を効率よく調整させることが可能となる。
【0093】
また、本実施形態の他の発光装置10として、図11で示すように、基材部4の周部4aを筐体3の一表面3bにおける外周端より外部に突出させる。さらに、基材部4の周部4aから放射されるLEDチップ1の光を発光装置10の斜め正面方向、あるいは発光装置10の斜め背面方向の出射光とする傾斜した出射面4dを設ける構成とすることもできる。
【0094】
ところで、発光装置10では、筐体3の上記凹部の内側壁によりLEDチップ1からの光が遮光されて陰となり、筐体3の外周辺部の光度が急激に低下し、視認者に違和感を生じさせるある場合がある。しかしながら、図11で示した発光装置10の構成とすることにより、筐体3の周辺部を明るくすることが可能となる。そのため、本実施形態の図11に示す発光装置10は、発光装置10の発光時に筐体3の上記外周辺部が暗く視認者に違和感を生じさせることを抑制することが可能となる。
【0095】
(実施形態7)
本実施形態の発光装置10は、図1で示した実施形態1の波長変換部5を平坦な基材部4の表面4g上に形成させる代わりに、図12で示すように、波長変換部5を位置決めして収納する収納部4fに収納させた点が異なる。なお、実施形態1と同様の構成要素には、同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0096】
本実施形態の発光装置10は、基材部4の表面4fに凹状の収納部4fを有しており、シート状の波長変換部5を位置決めして収納している。本実施形態の発光装置10は、たとえば、予め波長変換部5をシート状に形成させておき、波長変換部5を予め形成させた基材部4における凹状の収納部4fに嵌め合わせることにより位置決めして形成することが可能となる。
【0097】
なお、基材部4と、波長変換部5との材料に屈折率差を設けることにより、波長変換部5から等方的に放出された光が、波長変換部5の周端部5aと基材部4の収納部4fの内側との界面で反射され基材部4の周部4eから放出されることを抑制することができ。
【0098】
(実施形態8)
本実施形態の発光装置10は、図8で示した実施形態4の基材部4と波長変換部5とを交互に重ね合わせて、図13の発光装置10で示すように、複数設けた点が異なる。なお、実施形態4と同様の構成要素には、同一の符号を付して説明を適宜省略する。
【0099】
本実施形態の発光装置10は、基材部4と、波長変換部5とを交互に複数組み合わせており、基材部4には基材部4を構成する透光部と屈折率の異なる拡散材9が含有されている。
【0100】
本実施形態の発光装置10は、LEDチップ1から放出された青色光は、波長変換部5を透過するたびに蛍光体にあたり、黄色光成分が徐々に増えていく。また、波長変換部5を透過し基材部4に達した光は、各周部4a側からそれぞれ取り出される。そのため、発光装置10の側方から放射される光は、青色光に徐々に黄色光を含むこととなり、青色光と黄色光との混色性を向上させることが可能となる。
【0101】
また、発光装置10は、LEDチップ1に近い側から基材部4と波長変換部5とを組み合わせたものを徐々に屈折率が大きくなるように形成させることもできる。また、発光装置10は、LEDチップ1に最も近いものから離れるにつれて、波長変換部5に含有させる蛍光体の種類を変えることができる。
【0102】
さらに、発光装置10は、LEDチップ1に最も近いものから離れるにつれて、基材部4に含有される拡散材9の含有量を変えてもよいし、拡散材9と基材4との屈折率差を変えてもよい。
【0103】
なお、実施形態1で示した発光装置10を備えたLED照明器具は、実施形態1で示した発光装置10の代わりに、上述の実施形態2ないし実施形態8で示した発光装置10を用いても構成することができる。
【符号の説明】
【0104】
1 LEDチップ
3 筐体
3a 内底面
3b 一表面
4 基材部
4a,4e 周部
4b,4c,4d 出射面
4f 収納部
5 波長変換部
6 光学機能部
9 拡散材
10 発光装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LEDチップと、該LEDチップを凹部の内底面側に実装させる筐体と、該筐体における前記凹部が開放された一表面側に前記凹部を覆って設けられた透光性の基材部と、該基材部を透過した前記LEDチップから放射される光の一部を吸収して異なる光に波長変換する波長変換部とを有する発光装置であって、
前記基材部は、前記LEDチップから放射される光を屈折または反射の少なくとも一方の機能により当該基材部の周部から放射させる光学機能部を有することを特徴とする発光装置。
【請求項2】
前記基材部および前記波長変換部は、シート状であることを特徴とする請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記基材部は、前記波長変換部を位置決めして収納する収納部を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記基材部は、前記周部から放射させる前記LEDチップの光量を前記基材部の厚みで調整させてなることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項5】
前記基材部と前記波長変換部とを交互に複数個重ね合わせてなり、前記基材部と前記波長変換部との屈折率が異なることを特徴とする請求項1ないし請求項4に記載のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項6】
前記光学機能部は、前記基材部の表面から窪んで形成された傾斜面であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項7】
前記光学機能部は、前記基材部中に含有された前記LEDチップから放射される光を拡散する拡散材であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項8】
前記拡散材は、外形形状が球形状であることを特徴とする請求項7に記載の発光装置。
【請求項9】
前記基材部の前記周部は、該周部から放射される前記LEDチップの光を散乱光とする凹凸形状の出射面が設けられてなることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項10】
前記基材部の前記周部は、該周部から放射される前記LEDチップの光を特定方向の出射光とする傾斜した出射面が設けられてなることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項11】
前記基材部の前記周部は、前記筐体の前記一表面における外周端より外部に突出してなることを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項12】
請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載の発光装置を備えたLED照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−9696(P2012−9696A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−145358(P2010−145358)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】