説明

発光装置および電子機器

【課題】発光装置を効率的に冷却する。
【解決手段】基板10の素子形成面12のうち素子領域A1には複数の発光素子32が形成され、実装領域A2には各発光素子32を駆動する駆動回路34が配置される。基板10のうち素子形成面12とは反対側の放熱面14には複数の溝部40が形成される。各溝部40は、放熱面14の短辺141の方向に延在する。複数の溝部40は、放熱面14のうち素子領域A1の背後の領域および実装領域A2の背後の領域の双方に分布する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置の温度の上昇を抑制するための構造に関する。
【背景技術】
【0002】
発光素子の発熱などに起因して発光装置の温度が上昇すると、発光素子や能動素子の特性が変化する。また、発光素子に流れる電流は発光装置の温度とともに上昇するから、消費電力の増大や発光素子の短寿命化といった問題も発生する。そこで、例えば特許文献1には、発光装置を冷却器(ファン)で冷却する技術が提案されている。
【特許文献1】特開2007−45199号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、発光装置を充分に冷却するためには大規模な冷却器が必要となる場合がある。したがって、発光装置の大型化やコストの増大などの問題が発生する。以上の事情を考慮して、本発明は、発光装置を効率的に冷却することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
以上の課題を解決するために、本発明に係る発光装置は、複数の溝部が形成された第1面(例えば図1の放熱面14)と第1面とは反対側の第2面(例えば図1の素子形成面12)とを含む基板と、第2面の面上に形成された複数の発光素子とを具備する。以上の構成においては、基板の第1面に複数の溝部が形成されるから、第1面が単純な平面である構成と比較すると、第1面の表面積(すなわち外気に接触する面積)が増加する。したがって、基板の熱が効率的に外気に放散されるという利点がある。
【0005】
本発明の好適な態様において、第1面は長方形であり、複数の溝部は、第1面の短辺の方向に延在する。以上の態様においては、第1面の長辺の方向に各溝部が延在する構成と比較すると、溝部の内側を冷媒が流動する経路長が短いから、基板の冷却の効率が高まるという利点がある。
【0006】
溝部を形成する方法は任意であるが、例えば、基板の第1面側の表面を選択的に除去する方法や、第1面に形成された複数の溝形成体(例えば図4の溝形成体45)の間隙を各溝部とする方法が好適である。前者の方法によれば、溝部を形成する工程が簡素化され、後者の方法によれば、基板の強度の低下が抑制されるという利点がある。なお、後者の方法において、基板よりも熱伝導率が高い材料で複数の溝形成体を形成すれば、基板からの放熱の効率をさらに高めることが可能である。
【0007】
本発明の好適な態様に係る発光装置は、基板よりも熱伝導率が高い材料で形成されて第1面を覆う放熱体(例えば図6の放熱体50)を具備する。以上の態様においては、第1面を覆う放熱体が形成されるから、複数の溝部のみを形成した場合と比較して、基板からの放熱の効率をさらに高めることができる。また、基板が光透過性を有する発光装置において、放熱体を光反射性の材料で形成すれば、基板側に進行する各発光素子からの出射光が放熱体の表面で反射されるから、発光素子からの出射光の利用効率を高めることが可能である。
【0008】
本発明の好適な態様において、第1面のうち第1領域(例えば図7の領域a)における各溝部の間隔は、第1面のうち第1領域よりも周縁側の第2領域(例えば図7の領域b)における各溝部の間隔よりも広い。以上の態様においては、第1領域における基板の機械的な強度を確保しながら、第2領域における放熱の効率を高めることが可能である。したがって、第1面のうち中央部の機械的な強度が要求される場合に有効である。
【0009】
本発明の好適な態様において、第1面のうち第1領域(例えば図8の領域a)における各溝部の間隔は、第1面のうち第1領域よりも周縁側の第2領域(例えば図8の領域b)における各溝部の間隔よりも狭い。以上の態様においては、第1領域における放熱の効率を高めながら、第2領域における基板の機械的な強度を確保することが可能である。したがって、第1面の中央部にて基板の温度が上昇し易い場合に有効である。
【0010】
複数の発光素子を駆動する駆動回路が第2面に配置された発光装置の好適な態様において、複数の溝部は、第1面のうち複数の発光素子の背後の領域および駆動回路の背後の領域の双方に形成される。以上の態様においては、発光素子からの熱に加えて駆動回路からの熱も効率的に放散することが可能である。
【0011】
本発明に係る発光装置は各種の電子機器に利用される。電子機器の典型例は、発光装置を表示装置として利用した機器である。本発明に係る電子機器としてはパーソナルコンピュータや携帯電話機が例示される。もっとも、本発明に係る発光装置の用途は画像の表示に限定されない。例えば、光線の照射によって感光体ドラムなどの像担持体に潜像を形成するための露光装置(露光ヘッド)としても本発明の発光装置が適用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
<A:第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る発光装置の斜視図であり、図2は、図1におけるII−II線の断面図である。発光装置100は、画像を表示する表示装置として電子機器に搭載される。図1および図2に示すように、発光装置100は、相対向する状態に接合された基板10および基板20を具備する。
【0013】
基板10のうち基板20に対向する表面(以下「素子形成面」という)12の素子領域A1内には、複数の発光素子32がX方向およびY方向に沿って行列状に配列される。各発光素子32は、陽極と陰極との間に有機EL(Electroluminescence)材料の発光層を介在させた有機EL素子である。基板20は、各発光素子32の保護(封止)のために基板20に接合された光透過性の板材である。
【0014】
基板10は、Y方向に長尺な長方形の板材である。素子形成面12のうち基板20の周縁から張り出した領域(以下「実装領域」という)A2には駆動回路34が配置される。駆動回路34は、例えば集積回路(IC)の形態で実装領域A2に実装(COG(chip on glass)実装)されて複数の発光素子32の各々を駆動する。画像信号で指定される階調値に対応した電流量の駆動電流が各発光素子32に供給されるように駆動回路34は動作する。各発光素子32は、駆動電流の電流量に応じた輝度で発光する。各発光素子32からの出射光は基板20を透過して観察側(図1の上方)に出射する。すなわち、発光装置100はトップエミッション型である。したがって、基板10に光透過性は要求されない。
【0015】
図3は、基板10のうち基板20とは反対側の表面(以下「放熱面」という)14の平面図である。図2および図3に示すように、基板10の放熱面14(背面)には複数の溝部40が形成される。各溝部40は、基板10の放熱面14の表面積(すなわち外気と接触する面積)を増加させて放熱の効率を高めるための凹部である。複数の溝部40は、素子領域A1の背後の領域と実装領域A2の背後の領域とを含む放熱面14の全体に分布する。図3に示すように、各溝部40は、放熱面14の短辺141の方向(X方向)に延在するとともに放熱面14の長辺143の方向(Y方向)に相互に間隔(例えば等間隔)をあけて並置される。各溝部40の間に形成される凸部に着目すると、X方向に延在する凸部(すなわち冷却用のフィン)がY方向に並置された構造とも表現できる。溝部40の形成には公知の技術が任意に採用される。例えば、基板10の放熱面14を選択的(部分的)に除去することで溝部40が形成される。基板10の選択的な除去には、例えばリソグラフィ技術や機械的研削が好適である。
【0016】
以上の形態においては、基板10の放熱面14に複数の溝部40が形成されているから、基板10の放熱面14が単純な平面である場合と比較すると、発光素子32や外部から基板10に供給された熱が効率的に外気に放散される。したがって、大規模な冷却器を設置しなくても発光装置100を充分に冷却できるという利点がある。
【0017】
また、素子領域A1の背後(反対側)の領域に加えて実装領域A2の背後の領域にも溝部40が形成されるから、発光素子32から放射された熱に加えて駆動回路34から放射された熱も効率的に冷却できるという効果がある。ただし、駆動回路34の発熱が特段の問題とならない場合(例えば駆動回路34の発熱が充分に小さい場合)には、基板10の機械的な強度を確保するという観点から、実装領域A2の背後の領域には溝部40を形成しない構成も採用される。
【0018】
また、放熱面14の短辺141の方向(X方向)に各溝部40が延在するから、放熱面14の長辺143の方向に各溝部40が延在する構成と比較すると、外気(すなわち基板10の熱を吸収する冷媒)が溝部40の内側を流動する経路長が短い。したがって、各溝部40がY方向に延在する構成と比較して発光装置100の冷却の効率が高まるという利点がある。もっとも、各溝部40をY方向に延在させた構成も採用され得る。
【0019】
<B:第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について説明する。以下の各形態において作用や機能が第1実施形態と同等である要素については、以上と同じ符号を付して各々の詳細な説明を適宜に省略する。
【0020】
図4は、第2実施形態における基板10の断面図(図1におけるII−II線の断面図)であり、図5は、基板10の放熱面14の平面図である。図4および図5に示すように、基板10の放熱面14には複数の溝形成体45が形成される。各溝形成体45は、放熱面14の短辺141の方向(X方向)に延在するとともに放熱面14の長辺143の方向(Y方向)に相互に間隔(例えば等間隔)をあけて並置される。相隣接する各溝形成体45の側面を内壁面として基板10の放熱面14を底面とする凹部が溝部40として機能する。溝形成体45を冷却用のフィンとして把握することもできる。
【0021】
各溝形成体45の形成には公知の技術が任意に採用される。例えば、基板10の放熱面14の全体にわたって形成された膜体を、例えばリソグラフィ技術や機械的研削によって選択的(部分的)に除去することで複数の溝形成体45が形成される。
【0022】
各溝形成体45は、基板10よりも熱伝導率が高い材料(例えばアルミニウムなどの金属)で形成される。したがって、基板10の部分的な除去で溝部40を形成した構成(第1実施形態)や熱伝導率が低い材料で溝形成体45を形成した構成と比較すると、基板10の熱が溝形成体45を介して効率的に放散されるという利点がある。
【0023】
また、各溝形成体45は、光透過性の基板10の放熱面14に光反射性の材料(例えばアルミニウムや銀などの金属)で形成される。図4の矢印Q1のように、基板20とは反対側に進行する各発光素子32からの出射光は、基板10を透過するとともに各溝形成体45の表面(放熱面14との対向面)にて反射したうえで基板10および基板20を順次に透過して観察側に出射する。したがって、発光素子32からの出射光が基板10を透過して背面側に出射する第1実施形態と比較すると、発光素子32から出射する光量のうち観察側に出射する光量(すなわち実際に表示に利用できる光量)の割合を高めることが可能である。
【0024】
以上の第2実施形態においては、基板10の放熱面14に形成された複数の溝形成体45が各溝部40を形成するから、基板10を部分的に除去する必要はない。したがって、第1実施形態と比較して、基板10の機械的な強度を確保しやすいという利点がある。もっとも、第1実施形態によれば、基板10とは別体の溝形成体45を放熱面14に形成する必要がないから、第2実施形態と比較して製造工程が簡素化されるという利点がある。なお、第1実施形態と第2実施形態との組合せも好適である。すなわち、基板10を選択的に除去した部分(第1実施形態の溝部40)の間隙(すなわち除去されなかった部分)に溝形成体45を形成することで複数の溝部40が形成される。
【0025】
<C:第3実施形態>
図6は、第3実施形態における基板10の断面図(図1におけるII−II線の断面図)である。基板10の放熱面14には第1実施形態と同様に複数の溝部40が形成される。図6に示すように、放熱面14には、各溝部40の内側(内壁面や底面)を含む全体にわたって放熱体50が形成される。放熱体50は、基板10よりも熱伝導率が高い材料(例えばアルミニウムや銀などの金属)で形成される。したがって、放熱体50を形成しない構成と比較すると、基板10の熱が放熱体50を経由して効率的に放散するという利点がある。放熱体50の形成には公知の技術(例えば蒸着)が任意に採用される。
【0026】
また、放熱体50は、光透過性の基板10の放熱面14に光反射性の材料(例えばアルミニウムや銀などの金属)で形成される。図6の矢印Q2のように、基板20とは反対側に進行する各発光素子32からの出射光は、基板10を透過するとともに放熱体50の表面(放熱面14との対向面)にて反射したうえで基板10および基板20を順次に透過して観察側に出射する。したがって、第2実施形態と同様に、発光素子32から出射する光量のうち観察側に出射する光量の割合を高めることが可能である。また、放熱体50の反射面(放熱面14との対向面)には、各溝部40の形状を反映した凹凸が形成されるから、基板10を透過して放熱体50に到達した光は適度に散乱したうえで基板20側に反射(拡散反射)する。したがって、発光装置100の観察側に存在する物体の像が表示画像に映り込む現象を抑制できるという利点もある。
【0027】
なお、図6においては第1実施形態に放熱体50を追加した構成を例示したが、第2実施形態にも同様に放熱体50が追加され得る。すなわち、複数の溝形成体45を形成した放熱面14の全体を放熱体50で覆う構成や、平面状の放熱面14の全体を覆う放熱体50の表面に複数の溝形成体45を形成した構成が好適である。
【0028】
<D:第4実施形態>
図7は、基板10の放熱面14の平面図である。図7に示すように、放熱面14には、X方向に延在する複数の溝部40とY方向に延在する複数の溝部40とが格子状に形成される。したがって、第1実施形態から第3実施形態のようにひとつの方向のみに溝部40を形成した場合と比較して、放熱面14の表面積を大きく確保できるという利点がある。
【0029】
図7に示すように、各溝部40の粗密(間隔)は放熱面14の位置に応じて相違する。各溝部40の間隔が狭い領域(すなわち放熱面14の表面積が大きい領域)ほど基板10からの放熱の効率が高く、各溝部40の間隔が広い領域ほど基板10の機械的な強度が高い。したがって、各溝部40の粗密は、例えば、放熱面14の各位置において放熱の効率および機械的な強度のうちの何れを優先させるべきかに応じて以下のように選定される。
【0030】
いま、例えば利用者の身体が発光装置100(基板20)に接触することで基板10に応力が作用する場合を想定する。基板20の周縁寄の位置と比較すると、中央に近い領域には利用者が意図せずに接触する可能性が高い。また、例えば発光装置100をタッチパネルに適用した場合、基板20の周縁と比較すると中央寄の領域に操作子の画像が表示される頻度が高いから、基板20の中央に近い位置ほど、利用者の身体が接触する可能性は高い。以上の傾向を考慮すると、基板10のうち中央に近い位置ほど、基板20に対する外力に起因した応力が作用する可能性は高い。したがって、素子領域A1の中央に近い位置ほど基板10の機械的な強度が高いことが望ましい。
【0031】
以上の観点からすると、図7の例示のように、放熱面14のうち素子領域A1の中央に近い位置ほど各溝部40の間隔が広くなる(すなわち、各溝部40が疎に分布する)ように、放熱面14内の複数の溝部40の分布が選定される。すなわち、放熱面14の中央に位置する領域aと、領域aからみて基板10の周縁側に位置する領域bとに着目すると、領域a内の各溝部40の間隔は領域b内の各溝部40の間隔よりも広い。図7の構成によれば、基板10のうち応力が作用し易い中央寄の領域(例えば領域a)について機械的な強度を維持しながら、基板10の周縁寄の領域(例えば領域b)における放熱の効率を高めることが可能である。
【0032】
一方、低輝度の画像を背景として素子領域A1の中央寄に高輝度の画像が表示される頻度が高いという一般的な傾向を考慮すると、素子領域A1のうちの中央に近い領域ほど、発光素子32からの発熱量が大きい(温度が上昇し易い)可能性が高い。以上の傾向を考慮すると、図8の例示のように、放熱面14のうち素子領域A1の中央に近い位置ほど各溝部40の間隔が狭くなるように、放熱面14内の複数の溝部40の分布が選定される。すなわち、放熱面14の中央の領域aと周縁側の領域bとに着目すると、領域a内の各溝部40の間隔は領域b内の各溝部40の間隔よりも狭い。図8の構成によれば、基板10のうち温度が上昇し易い中央寄の領域(例えば領域a)について放熱の効率を高めながら、基板10の周縁寄の領域(例えば領域b)における機械的な強度を維持することが可能である。なお、図7および図8の何れにおいても、実装領域A2内においてはX方向の溝部40が等間隔に配列する場合を例示した。
【0033】
図7および図8においてはX方向およびY方向の双方に溝部40を形成した場合を例示したが、各溝部40の粗密を選定する以上の方法は、X方向およびY方向の一方のみに溝部40を形成した構成においても同様に適用される。例えば、第1実施形態や第2実施形態のようにX方向のみに複数の溝部40が延在する構成を想定すると、素子領域A1の中央における機械的な強度の確保が優先される場合には素子領域A1の中央寄ほど各溝部40が疎に形成され、素子領域A1の中央における放熱の効率の確保が優先される場合には素子領域A1の中央寄ほど各溝部40が密に形成される。
【0034】
<E:変形例>
以上の各形態は様々に変形される。各形態に対する変形の具体的な態様を以下に例示する。なお、以下の例示から2以上の態様を任意に選択して組合わせてもよい。
【0035】
(1)変形例1
溝部40の態様は以上の例示に限定されない。例えば、図9に示すように複数の溝部40の各々を放熱面14内に環状(長方形)に形成した構成も好適である。また、以上においては各溝部40を直線状としたが、曲線状の溝部40を放熱面14に形成した構成も採用され得る。また、放熱面14のうち素子領域A1の背後の領域と実装領域A2の背後の領域とで各溝部40の間隔を相違させた構成も好適である。例えば、駆動回路34からの発熱量よりも複数の発光素子Eからの発熱量が大きい場合、素子領域A1の背後の各溝部40の間隔が実装領域A2の背後の各溝部40の間隔よりも狭くなるように各溝部40の間隔が選定される。
【0036】
(2)変形例2
溝部40の断面の形状は任意である。例えば、以上の各形態においては横断面が矩形状の溝部40を例示したが、図10に示すように、内壁面が曲面(例えば横断面が円弧状の曲面)となるように各溝部40を形成した構成も好適である。各溝部40の横断面が矩形状である場合には、溝部40の内壁面と底面との境界の角部(横断面の矩形状の角部)に応力が集中するのに対し、図10のように各溝部40の内壁面を曲面とした場合には応力の集中が緩和される。したがって、基板10の破損の可能性が低減されるという利点がある。
【0037】
(3)変形例3
第2実施形態の各溝形成体45や第3実施形態の放熱体50について光反射性は必須の要件ではない。例えば、各溝形成体45や放熱体50の形成には光透過性または遮光性の材料が利用され得る。また、第2実施形態の放熱体50について、基板10よりも熱伝導率が高いという特性は必須の要件ではない。
【0038】
(4)変形例4
駆動回路34が集積回路として基板10に実装された構成は必須ではない。例えば、基板10に実装された可撓性の配線基板に駆動回路34が実装された構成や、基板10の表面に形成された薄膜トランジスタで駆動回路34を形成した構成も採用される。
【0039】
(5)変形例5
以上の形態においてはトップエミッション型の発光装置100を例示したが、ボトムエミッション型の発光装置にも以上の各形態が適用される。ボトムエミッション型においては、基板20のうち基板10とは反対側の表面を放熱面14として以上の各形態における各溝部40や放熱体50が形成される。
【0040】
(6)変形例6
各溝部40の内側を流動するように冷媒を供給する冷却器が以上の各形態に追加され得る。例えば、各溝部40の内側を流動するように気体(空気)を供給する空冷式の冷却器や、各溝部40の内側を流動するように液体(水)を供給する水冷式の冷却器が好適である。また、各溝部40の近傍に配置されたペルチェ素子も冷却器として利用される。以上の各形態においては、放熱面14に複数の溝部40を形成することで基板10の熱が効率的に放散されるから、冷却器を追加するとしても、放熱面14が単純な平面である従来の構成と比較すれば、冷却器の規模(冷却性能)が縮小されるという利点がある。
【0041】
(7)変形例7
有機EL素子は発光素子の例示に過ぎない。例えば、無機EL素子やLED(Light Emitting Diode)素子などの発光素子を配列した発光装置100にも以上の各態様と同様に本発明が適用される。すなわち、本発明においては、電気エネルギの供給で発光する被駆動素子(典型的には電流駆動型の自発光素子)が発光素子として好適に採用される。
【0042】
<F:応用例>
次に、以上の各態様に係る発光装置100を利用した電子機器について説明する。図11ないし図13には、発光装置100を表示装置として採用した電子機器の形態が図示されている。
【0043】
図11は、発光装置100を採用したモバイル型のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。パーソナルコンピュータ2000は、各種の画像を表示する発光装置100と、電源スイッチ2001やキーボード2002が設置された本体部2010とを具備する。発光装置100は有機EL素子を発光素子32として使用しているので、視野角が広く見易い画面を表示できる。
【0044】
図12は、発光装置100を適用した携帯電話機の構成を示す斜視図である。携帯電話機3000は、複数の操作ボタン3001およびスクロールボタン3002と、各種の画像を表示する発光装置100とを備える。スクロールボタン3002を操作することによって、発光装置100に表示される画面がスクロールされる。
【0045】
図13は、発光装置100を適用した携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assistants)の構成を示す斜視図である。情報携帯端末4000は、複数の操作ボタン4001および電源スイッチ4002と、各種の画像を表示する発光装置100とを備える。電源スイッチ4002を操作すると、住所録やスケジュール帳といった様々な情報が発光装置100に表示される。
【0046】
なお、本発明に係る発光装置が適用される電子機器としては、図11から図13に例示した機器のほか、デジタルスチルカメラ、テレビ、ビデオカメラ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電子ペーパー、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、プリンタ、スキャナ、複写機、ビデオプレーヤ、タッチパネルを備えた機器等などが挙げられる。また、本発明に係る発光装置の用途は画像の表示に限定されない。例えば、電子写真方式の画像形成装置において露光により感光体ドラムに潜像を形成する露光装置としても本発明の発光装置は利用される。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の第1実施形態に係る発光装置の斜視図である。
【図2】図1におけるII−II線の断面図である。
【図3】放熱面の平面図である。
【図4】第2実施形態における発光装置の断面図である。
【図5】第2実施形態における放熱面の平面図である。
【図6】第3実施形態における発光装置の断面図である。
【図7】第4実施形態における放熱面の平面図である。
【図8】第4実施形態の他例に係る放熱面の平面図である。
【図9】変形例に係る放熱面の平面図である。
【図10】変形例に係る発光装置の断面図である。
【図11】電子機器(パーソナルコンピュータ)の斜視図である。
【図12】電子機器(携帯電話機)の斜視図である。
【図13】電子機器(携帯情報端末)の斜視図である。
【符号の説明】
【0048】
100……発光装置、10,20……基板、12……素子形成面、14……放熱面、A1……素子領域、A2……実装領域、32……発光素子、34……駆動回路、40……溝部、141……短辺、143……長辺、45……溝形成体、50……放熱体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の溝部が形成された第1面と前記第1面とは反対側の第2面とを含む基板と、
前記第2面の面上に形成された複数の発光素子と
を具備する発光装置。
【請求項2】
前記第1面は長方形であり、
前記複数の溝部は、前記第1面の短辺の方向に延在する
請求項1の発光装置。
【請求項3】
前記複数の溝部の各々は、前記基板の前記第1面側の表面を選択的に除去した部分である
請求項1または請求項2の発光装置。
【請求項4】
前記複数の溝部の各々は、前記第1面に形成された複数の溝形成体の間隙の部分である
請求項1または請求項2の発光装置。
【請求項5】
前記複数の溝形成体は、前記基板よりも熱伝導率が高い
請求項4の発光装置。
【請求項6】
前記基板よりも熱伝導率が高い材料で形成されて前記第1面を覆う放熱体を具備する
請求項1から請求項5の何れかの発光装置。
【請求項7】
前記基板は光透過性を有し、
前記放熱体は光反射性を有する
請求項6の発光装置。
【請求項8】
前記第1面のうち第1領域における各溝部の間隔は、前記第1面のうち前記第1領域よりも周縁側の第2領域における各溝部の間隔よりも広い
請求項1から請求項7の何れかの発光装置。
【請求項9】
前記第1面のうち第1領域における各溝部の間隔は、前記第1面のうち前記第1領域よりも周縁側の第2領域における各溝部の間隔よりも狭い
請求項1から請求項7の何れかの発光装置。
【請求項10】
前記第2面には、前記複数の発光素子を駆動する駆動回路が配置され、
前記複数の溝部は、前記第1面のうち前記複数の発光素子の背後の領域および前記駆動回路の背後の領域の双方に形成される
請求項1から請求項9の何れかの発光装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10の何れかの発光装置を具備する電子機器。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate


【公開番号】特開2010−107810(P2010−107810A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−280963(P2008−280963)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】