説明

発光装置の製造方法

【課題】低コスト化の障害を回避することができる発光装置の製造方法を提供する。
【解決手段】発光装置1の製造方法は、平面状の素子集合搭載基板5を形成する基板形成工程と、素子集合搭載基板5に閉塞した枠部材5Bを形成する枠形成工程と、枠部材5Bの内側に複数個のLED素子3を搭載する素子搭載工程と、枠部材5Bの内側に封止部材4となる液状材料を注入して複数個のLED素子3を封止する封止工程と、複数個のLED素子3を素子集合搭載基板5及び封止部材4とともに分割し、側面から封止部材4が露出した複数個の発光装置1を得る分割工程とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、素子搭載部に発光素子が搭載される発光装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の発光装置には、素子搭載部を有する素子搭載基板と、素子搭載基板の素子搭載部に搭載された発光素子としての発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)素子と、LED素子を封止する封止部材とを備えたものがある。
【0003】
このような発光素子の製造は、素子集合搭載基板として例えば互いに絶縁された複数の素子搭載部及び複数対のワイヤ接続部を有するリードフレーム(特許文献1参照)を用いて行われる。
【0004】
すなわち、上記したリードフレームを用いた発光装置の製造は、リードフレームにおける複数の素子搭載部に発光素子を搭載し、次いで複数対のワイヤ接続部に発光素子をワイヤで接続し、しかる後発光素子をワイヤと共に封止部材で封止してから、封止部材及びリードフレームを分割することにより行われる。この場合、発光素子及びワイヤを封止部材で封止するにあたり、素子搭載済み及びワイヤ接続済みのリードフレームを金型内に配置した後、この金型のキャビティ内に封止部材となる液状樹脂を注入して固化させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−177329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に示すリードフレームを用いた発光装置の製造方法によると、素子搭載部に対する高密度な発光素子の搭載を実現することができないばかりか、金型を用いる大掛かりな設備を必要とし、低コスト化の障害となっていた。
【0007】
従って、本発明の目的は、素子搭載部に対する高密度な発光素子の搭載を実現することができるとともに、発光素子の封止に金型を用いる大掛かりな設備が不要になり、もって低コスト化の障害を回避することができる発光装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様は、上記目的を達成するために、(1)〜(6)の発光装置の製造方法を提供する。
【0009】
(1)平面状の基板を形成する基板形成工程と、前記基板に閉塞した枠を形成する枠形成工程と、前記枠の内側に複数個の発光素子を搭載する素子搭載工程と、前記枠の内側に封止部材となる液状材料を注入して前記複数個の発光素子を封止する封止工程と、前記複数個の発光素子を前記基板及び前記封止部材とともに分割し、側面から前記封止部材が露出した複数個の発光装置を得る分割工程とを有する発光装置の製造方法である。
【0010】
(2)上記(1)に記載の発光装置の製造方法において、前記基板は樹脂複合リードフレームである。
【0011】
(3)上記(2)に記載の発光装置の製造方法において、前記枠は、基板側の開口部から他方側の開口部に向かって漸次大きくなる。
【0012】
(4)上記(2)に記載の発光装置の製造方法において、前記枠は、基板側の開口部から他方側の開口部に向かって漸次小さくなる。
【0013】
(5)上記(2)乃至(4)のいずれかに記載の発光装置の製造方法において、前記枠は、内外2つの壁部を有する。
【0014】
(6)上記(2)乃至(5)のいずれかに記載の発光装置の製造方法において、前記基板形成工程と前記枠形成工程とは同時に行われる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、素子搭載部に対する高密度な発光素子の搭載を実現することができるとともに、発光素子の封止に金型を用いる大掛かりな設備が不要になり、低コスト化の障害を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る素子集合搭載基板を用いて製造された発光装置を示す断面図。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る素子集合搭載基板を用いて製造された発光装置のLED素子を示す断面図。
【図3】(a)及び(b)は、本発明の第1の実施の形態に係る素子集合搭載基板を説明するために示す平面図と断面図。(a)は平面図を、また(b)は断面図をそれぞれ示す。
【図4】(a)〜(e)は、本発明の第1の実施の形態に係る素子集合搭載基板を用いた発光装置の製造方法を説明するために示す断面図。(a)はめっき処理工程を、(b)はLED素子の搭載工程を、(c)はワイヤボンディング工程を、(d)は封止工程を、また(e)はダイシング工程をそれぞれ示す。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る素子集合搭載基板を説明するために示す断面図。
【図6】本発明の第3の実施の形態に係る素子集合搭載基板を説明するために示す断面図。
【図7】本発明の第4の実施の形態に係る素子集合搭載基板を説明するために示す断面図。
【図8】(a)及び(b)は、本発明の第4の実施の形態に係る素子集合搭載基板の変形例(1),(2)を説明するために示す断面図。(a)は変形例(1)を、また(b)は変形例(2)をそれぞれ示す。
【図9】(a)及び(b)は、本発明の第5の実施の形態に係る素子集合搭載基板を説明するために示す平面図と断面図。(a)は平面図を、また(b)は断面図をそれぞれ示す。
【図10】(a)〜(d)は、本発明の第1の実施の形態に係る素子集合搭載基板を用いた発光装置の製造方法を説明するために示す断面図。(a)はLED素子の搭載工程を、(b)はワイヤボンディング工程を、(c)は封止工程を、また(d)はダイシング工程をそれぞれ示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の第1の実施の形態に係る素子集合搭載基板、及びこれを用いた発光装置の製造方法につき、図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
(発光装置の全体構成)
図1は発光装置を示す。図1に示すように、発光装置1は、素子搭載基板2と、素子搭載基板2に搭載されたLED素子3と、LED素子3を封止する封止部材4とから大略構成されている。
【0019】
(素子搭載基板2の構成)
素子搭載基板2は、発光装置1を製造する場合に用いられる平板状の素子集合搭載基板5(図3に示す)の一部であり、第1の絶縁部材20及び第2の絶縁部材21によって互いに絶縁された一対の導体部材としての導体パッド22,23を有し、全体が平面矩形状の直方体によって形成されている。素子搭載基板2の厚さは約1.0mm程度の寸法に設定されている。素子集合搭載基板5の詳細については後述する。
【0020】
第1の絶縁部材20は素子搭載基板2の一方側(素子搭載側)に、また第2の絶縁部材21は素子搭載基板2の他方側(素子非搭載側)にそれぞれ配置されている。第1の絶縁部材20及び第2の絶縁部材21の材料としては、光を遮蔽する例えばポリアミド等の熱可塑性樹脂,エポキシやシリコーン等の熱硬化性樹脂あるいはアルミナ等のセラミックスが用いられる。本実施の形態ではシリコーン樹脂が用いられる。
【0021】
一対の導体パッド22,23は、第1の絶縁部材20及び第2の絶縁部材21を介して互いに隣接し、素子搭載基板2の面方向に互いに並列して配置されている。一方の導体パッド22は素子搭載・ワイヤ接続用のパッドによって、また他方の導体パッド23はワイヤ接続用のパッドによってそれぞれ形成されている。
【0022】
一方の導体パッド22の表裏面には、例えば銀(Ag)等のめっき処理を施すことによりめっき処理部24,25が設けられている。他方の導体パッド23の表裏面には、一方の導体パッド22と同様に、例えばAg等のめっき処理を施すことによりめっき処理部26,27が設けられている。一方の導体パッド22の表面にはめっき処理部26を介してLED素子3のn側電極31(後述)が、また他方の導体パッド23の表面にはめっき処理部24を介してLED素子3のp側パッド電極30a(後述)がそれぞれ接続される。一方の導体パッド22の裏面にはめっき処理部27を介して、また他方の導体パッド23の裏面にはめっき処理部25を介してそれぞれLED素子3に電源電圧が供給される。一対の導体パッド22,23の材料としては例えば銅合金や鉄合金からなる金属が用いられる。
【0023】
(LED素子3の構成)
図2はLED素子を示す。図2に示すように、LED素子3は、p側電極30及びn側電極31を有し、p側電極30(p側パッド電極30a)をめっき処理部24に、またn側電極31をめっき処理部26にそれぞれワイヤ32(図1に示す)によって接続することにより素子搭載基板2(図1に示す)における素子搭載面の略中央部に搭載されている。LED素子3としては例えば平面略正方形状の青色LED素子が用いられる。
【0024】
そして、LED素子3は、サファイア(Al)からなる基板33の表面にIII族窒化物系半導体を例えば700℃の温度でエピタキシャル成長させることにより、バッファ層34,n型半導体層35,発光層としてのMQW(Multiple Quantum Well:重量子井戸)層36,及びp型半導体層37が順次形成され、発光面38からピーク発光波長が例えば460nm〜463nmである青色光を発するように構成されている。
【0025】
p側電極30は、p側パッド電極30aを有し、p型半導体層37の裏面に設けられている。n側電極31は、p型半導体層37からMQW層36及びn型半導体層35にわたってその一部にエッチング処理を施すことにより露出した部位(n型半導体層35)に設けられている。p側電極30の材料としては例えばITO(Indium Tin Oxide)等の酸化物からなる透明導電性材が、またp側パッド電極30a及びn側電極31の材料としては例えばNi/Au,Al等の金属がそれぞれ用いられる。
【0026】
(封止部材4の構成)
封止部材4は、平面(端面4a)を矩形とするとともに、側面4bを長方形とする直方体状の合成樹脂からなり、各側面4bが素子搭載基板2の側面と同一面上に配置され、かつ素子搭載基板2の素子搭載面に接着されている。そして、封止部材4は、素子搭載基板2上でLED素子3を封止するように構成されている。封止部材4の材料としては、シリコーン系の光透過性樹脂が用いられ、この他例えばアクリル系の光透過性樹脂を用いてもよい。
【0027】
(素子集合搭載基板5の構成)
次に、素子集合搭載基板5につき、図3(a)及び(b)を用いて説明する。図3(a)及び(b)に示すように、素子集合搭載基板5は、基板用素材5A及び枠部材5Bからなり、全体が一方に開口する平面矩形状の箱部材によって形成されている。これにより、発光装置1(図1に示す)の製造時に封止部材4となる液状材料としての液状樹脂の素子集合搭載基板5に対する注入が可能となる。素子集合搭載基板5の形成は、基板用素材5A(基部材50)の素子搭載側端縁(四方端縁)に枠部材5Bを接着することにより行われる。
【0028】
基板用素材5Aは、基部材50,導体部材51及び絶縁部材52を有し、全体が平面矩形状の板部材によって形成されている。基板用素材5Aには、上記した特許文献1に示す「樹脂複合リードフレーム」が用いられる。なお、基板用素材5Aの形成は、金属板(銅合金や鉄合金)にその表面側からエッチング処理を施して第1の凹部を形成し、この第1の凹部にスクリーン印刷によって第1の絶縁部材20を充填した後、金属板にその裏面側からエッチング処理を施して第2の凹部を形成し、この第2の凹部にスクリーン印刷によって第2の絶縁部材21を充填することにより行われる。
【0029】
基部材50は、上記した金属板の一部を構成し、基板用素材5Aの四方端縁に配置されている。そして、基部材50は、各縦横寸法が互いに異なる(本実施の形態では横寸法が縦寸法よりも大きい)平面矩形状の四角枠によって形成されている。
【0030】
導体部材51は、基部材50と同様に金属板の一部を構成する複数対(例えば縦方向に15対、横方向に14対)の導体パッド22,23からなり、平面縦横に並列して配置されている。そして、導体部材51は、絶縁部材52と共に枠部材5Bの開口一部を閉塞するように構成されている。両導体パッド22,23は、第1の絶縁部材20及び第2の絶縁部材21によって互いに絶縁されている。一方の導体パッド22は素子搭載・ワイヤ接続用のパッドによって、また他方の導体パッド23はワイヤ接続用のパッドとしてそれぞれ形成されている。
【0031】
絶縁部材52は、第1の絶縁部材20及び第2の絶縁部材21からなり、素子集合搭載基板5の厚さ方向に互いに並列して配置されている。第1の絶縁部材20は絶縁部材52の上部に、また第2の絶縁部材21は絶縁部材52の下部にそれぞれ配置されている。そして、絶縁部材52は、複数対の導体パッド22,23をそれぞれ仕切るように構成されている。
【0032】
枠部材5Bは、基部材50の素子搭載側端面に接着され、全体が厚さ方向に開口して素子搭載側の開口部を閉塞して基部材50の平面形状と略同一の平面形状をもつ四角枠によって形成されている。枠部材5Bの開口面積は、その素子搭載側開口部から他方側開口部に向かって略均一な開口面積に設定されている。枠部材5Bの材料としては、絶縁部材52の材料と同一の材料(シリコーン樹脂)が用いられる。これにより、素子集合搭載基板5が箱部材として機能し、その内部に封止部材4となる液状樹脂の注入が可能となる。
【0033】
(発光装置1の製造方法)
次に、本実施の形態に示す発光装置1の製造方法につき、図4(a)〜(e)を参照して説明する。図4(a)〜(e)は発光装置の製造手順を示す。
【0034】
本実施の形態に示す発光装置の製造方法は、「めっき処理」,「LED素子の搭載」,「ワイヤボンディング」,「LED素子の封止」及び「ダイシング」の各工程が順次実施されるため、これら各工程を順次説明する。
【0035】
「めっき処理」
図4(a)に示すように、素子集合搭載基板5における導体パッド22の表裏面にめっき処理を施すことによりめっき処理部26,27を設ける。同様に、素子集合搭載基板5における導体パッド23の表裏面にめっき処理を施すことによりめっき処理部24,25を設ける。
【0036】
「LED素子の搭載」
図4(b)に示すように、例えばエポキシ樹脂等の絶縁性接着剤(図示せず)を用い、素子集合搭載基板5における枠部材5bの内側の導体パッド22上にめっき処理部26を介してLED素子3を接着する。この際、LED素子3の接着は、その光取出側をp側パッド電極30a及びn側電極31(共に図1に示す)が指向するようにして行われる(所謂、フェイスアップ搭載)。これにより、素子集合搭載基板5には複数個(本実施の形態では縦方向に14個×横方向に15個=合計210)のLED素子3が搭載される。
【0037】
「ワイヤボンディング」
図4(c)に示すように、例えば銀粉含有の導電性接着剤を用い、LED素子3を導体パッド23上のめっき処理部24及び導体パッド22上のめっき処理部26にワイヤ32によって接続する。この場合、p側パッド電極30aがめっき処理部24に、またn側電極31がめっき処理部26にそれぞれワイヤ32を介して接続される。
【0038】
「LED素子の封止」
図4(d)に示すように、例えばディスペンサ(図示せず)を用いて封止部材4となるシリコーン系の液状樹脂を素子集合搭載基板5内に注入して固化させる。これにより、素子集合搭載基板5上における複数個のLED素子3が封止部材4によって封止される。
【0039】
「ダイシング」
図4(e)に示すように、例えば回転型のダイシングブレード(図示せず)を用い、LED素子3及び導体パッド22,23を一単位として封止部材4及び素子集合搭載基板5を切断することにより分割する。これにより、素子搭載基板2上に搭載されたLED素子3を有し、側面から封止部材4が露出した複数個(合計210個)の発光装置1(図4(e)には1個のみ示す)が得られる。
【0040】
[第1の実施の形態の効果]
以上説明した第1の実施の形態によれば、次に示す効果が得られる。
【0041】
複数対の導体パッド22,23のうち導体パッド22が素子搭載・ワイヤ接続用のパッドであるため、素子集合搭載基板5に対する高密度なLED素子3の搭載を実現することができる。また、封止部材4となる液状樹脂を注入可能な容器として素子集合搭載基板5を使用することができるため、発光装置1の製造に従来必要とした大掛かりな設備が不要になる。これにより、発光装置1の製造における低コスト化の障害を回避することができる。
【0042】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2実施の形態に係る素子集合搭載基板につき、図5を用いて説明する。図5は素子集合搭載基板を示す。図5において、図1〜図3と同一又は同等の部材については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0043】
図5に示すように、本発明の第2の実施の形態に係る素子集合搭載基板6は、発光装置1(図1に示す)の製造におけるLED素子3の封止時に内部に発生する気泡の残留を抑制する機能を枠部材60に備えた点に特徴がある。
【0044】
このため、枠部材60は、その開口面積が両開口のうち基部材50側の開口部60aから他方の開口部60bに向かって漸次大きくなる開口面積に設定されている。これにより、発光装置1の製造(LED素子3の封止)時に素子集合搭載基板5内に発生する気泡が基部材50側の開口部60aから他方の開口部60bに向かって枠部材60の内面を移動し易くなる。
【0045】
従って、本実施の形態においては、LED素子3の封止時に素子集合搭載基板6の内部に発生する気泡が枠部材60の内面を移動して素子集合搭載基板6の外部に放出される。
【0046】
[第2の実施の形態の効果]
以上説明した第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態の効果に加えて次に示す効果が得られる。
【0047】
発光装置1の製造に素子集合搭載基板6を用いた場合、LED素子3の封止時に素子集合搭載基板6内での気泡の残留を抑制することができる。
【0048】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態に係る素子集合搭載基板につき、図6を用いて説明する。図6は素子集合搭載基板を示す。図6において、図1〜図3と同一又は同等の部材については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0049】
図6に示すように、本発明の第3の実施の形態に係る素子集合搭載基板7は、発光装置1(図1に示す)の製造におけるLED素子3の封止後に発生する封止部材4(図1に示す)の剥離発生を抑制する機能を枠部材70に備えた点に特徴がある。
【0050】
このため、枠部材70は、その開口面積が両開口のうち基部材50側の開口部70aから他方の開口部70bに向かって漸次小さくなる開口面積に設定されている。これにより、発光装置1の製造(LED素子3の封止)時に封止部材4の各側面4bが枠部材70の内面によって覆われる。
【0051】
従って、本実施の形態においては、発光装置1の製造(LED素子3の封止)後に封止部材4に対して基板用素材5Aから剥離する力が作用すると、基部材50側の開口部70aから他方の開口部70bへの封止部材4の移動が枠部材70の内面で規制され、封止部材4の剥離動作が枠部材70の内面で阻止される。
【0052】
[第3の実施の形態の効果]
以上説明した第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態の効果に加えて次に示す効果が得られる。
【0053】
発光装置1の製造に素子集合搭載基板7を用いた場合、LED素子3の封止後における封止部材4の基板用素材5Aからの剥離発生を抑制することができる。
【0054】
[第4の実施の形態]
次に、本発明の第4実施の形態に係る素子集合搭載基板につき、図7を用いて説明する。図7は素子集合搭載基板を示す。図7において、図1〜図3と同一又は同等の部材については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0055】
図7に示すように、本発明の第4の実施の形態に係る素子集合搭載基板8は、発光装置1(図1に示す)の製造におけるLED素子3の封止後に封止部材4の端面(図1に示す素子搭載基板2の素子搭載面側の端面と反対側の端面)を扁平な面で形成する機能を枠部材80に備えた点に特徴がある。
【0056】
このため、枠部材80は、内外2つの壁部800,801(内壁部800,外壁部801)を有し、これら内外2つの壁部800,801のうち内壁部800の高さが外壁部801の高さよりも小さい寸法に設定されている。これにより、内壁部800と外壁部801との間に断面略五角形状(台形状)の環状溝802が形成されるため、発光装置1の製造(LED素子3の封止)時に素子集合搭載基板8の内壁部800内に注入した封止部材4の材料(液状樹脂)が満杯状態となり、この状態から液状樹脂を内壁部800内に注入すると、この液状樹脂が内壁部800外の環状溝802に溢れ出す。
【0057】
従って、本実施の形態においては、発光装置1の製造(LED素子3の封止)時に封止部材4となる液状樹脂をその表面が内壁部800内で水平になる状態で固化させることができる。
【0058】
[第4の実施の形態の効果]
以上説明した第4の実施の形態によれば、第1の実施の形態の効果に加えて次に示す効果が得られる。
【0059】
発光装置1の製造におけるLED素子3の封止後に封止部材4の端面4a(図1に示す)を扁平な面で形成することができる。
【0060】
なお、本実施の形態においては、内壁部800と外壁部801との間に断面略台形状の環状溝802が形成される場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、図8(a)の変形例に示すように断面略三角形状の環状溝803を、また図8(b)の変形例に示すように断面略U字状の環状溝804をそれぞれ内壁部800と外壁部801との間に形成してもよい。
【0061】
これにより、発光装置1の製造(LED素子3の封止)時には、図8(a)に示す環状溝803内に、また図8(b)に示す環状溝804内にそれぞれ内壁部800内の液状樹脂が溢れ出す。
【0062】
[第5の実施の形態]
次に、本発明の第5実施の形態に係る素子集合搭載基板につき、図9を用いて説明する。図9は素子集合搭載基板を示す。図9において、図1〜図3と同一又は同等の部材については同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0063】
図9に示すように、本発明の第5の実施の形態に係る素子集合搭載基板9は、基部材90が絶縁部材によって形成されている点に特徴がある。
【0064】
このため、素子集合搭載基板9は、絶縁部材をベースとする基板用素材9A及び枠部材9Bからなり、全体が一方に開口する平面矩形状の箱部材によって形成されている。これにより、第1の実施の形態に示す素子集合搭載基板5と同様に、発光装置1(図1に示す)の製造時に封止部材4となる液状樹脂の素子集合搭載基板9に対する注入が可能となる。
【0065】
基板用素材9Aは、基部材90及び導体部材91を有し、全体が平面矩形状の板部材によって形成されている。
【0066】
基部材90は、例えば酸化アルミニウム(Al)のセラミックシートを積層して形成されている。基部材90の材料としては、窒化アルミニウム(AlN)等のセラミックスを用いてもよい。
【0067】
導体部材91は、基部材90によって互いに絶縁された複数対(例えば縦方向に14対、横方向に15対)の導体パターン910,911からなり、基板用素材9Aに配置されている。複数対の導体パターン910,911は、平面縦横に並列して配置されている。
【0068】
一方の導体パターン910は、素子搭載・ワイヤ接続用のパッドとして機能し、LED素子3のn側電極31(図1に示す)に接続する表面パターン910a、LED素子3(図1に示す)に対して電源電圧を供給するための裏面パターン910b、及び基部材90を貫通するビアホール90a内に充填されて表面パターン910aと裏面パターン910bとを接続するビアパターン910cによって形成されている。
【0069】
他方の導体パターン911は、ワイヤ接続用のパッドとして機能し、LED素子3のp側パッド電極30a(図1に示す)に接続する表面パターン911a、LED素子3(図1に示す)に対して電源電圧を供給するための裏面パターン911b、及び基部材90を貫通するビアホール90b内に充填されて表面パターン911aと裏面パターン911bとを接続するビアパターン911cによって形成されている。
【0070】
表面パターン910a及び裏面パターン910bはビアパターン910cに、また表面パターン911a及び裏面パターン911bはビアパターン911cにそれぞれ例えばタングステン(W),モリブデン(Mo)等の高融点金属によって一体に形成されている。
【0071】
なお、表面パターン910a,911a及び裏面パターン910b,911bの表面には、ニッケル(Ni),アルミニウム(Al),白金(Pt),チタン(Ti),金(Au),銀(Ag),銅(Cu)などの材料による単数又は複数の金属層が必要に応じて形成される。
【0072】
枠部材9Bは、基部材90の四方端縁に配置され、全体が基部材90と同様に例えば酸化アルミニウム(Al)のセラミックシートを積層して形成されている。枠部材9Bの形成は、基部材90と同時に焼成することにより行われる。
【0073】
(発光装置1の製造方法)
次に、本実施の形態に示す素子集合搭載基板9を用いる発光装置1の製造方法につき、図10(a)〜(d)を参照して説明する。図4(a)〜(d)は発光装置の製造手順を示す。
【0074】
本実施の形態に示す発光装置の製造方法は、「LED素子の搭載」,「ワイヤボンディング」,「LED素子の封止」及び「ダイシング」の各工程が順次実施されるため、これら各工程を順次説明する。
【0075】
「LED素子の搭載」
図10(a)に示すように、例えば銀粉含有の導電性接着剤(図示せず)を用い、素子集合搭載基板9の表面パターン910a上にLED素子3を接着する。この際、LED素子3の接着は、その光取出側をp側パッド電極30a及びn側電極31(共に図1に示す)が指向するようにして行われる。これにより、素子集合搭載基板9には複数個(本実施の形態では縦方向に14個×横方向に15個=合計210)のLED素子3が搭載される。
【0076】
「ワイヤボンディング」
図10(b)に示すように、例えば銀粉含有の導電性接着剤を用い、LED素子3を導体パターン910上の表面パターン910a及び導体パターン911上の表面パターン911aにワイヤ32によって接続する。この場合、p側パッド電極30aが表面パターン911aに、またn側電極31が表面パターン910aにそれぞれワイヤ32を介して接続される。
【0077】
「LED素子の封止」
図10(c)に示すように、例えばディスペンサ(図示せず)を用いて封止部材4となるシリコーン系の液状樹脂を素子集合搭載基板9内に注入して固化させる。これにより、素子集合搭載基板9上における複数個のLED素子3が封止部材4によって封止される。
【0078】
「ダイシング」
図10(d)に示すように、例えば回転型のダイシングブレード(図示せず)を用い、LED素子3及び導体パッド910,911を一単位として封止部材4及び素子集合搭載基板9を切断することにより分割する。これにより、素子搭載基板2上に搭載されたLED素子3を有する複数個(合計210個)の発光装置1が得られる。
【0079】
[第5の実施の形態の効果]
以上説明した第5の実施の形態によれば、第1の実施の形態の効果に加えて次に示す効果が得られる。
【0080】
発光装置1の製造には、予め回路パターン(表面パターン910a・911a,裏面パターン910b,911b及びビアパターン910c,911c)が形成された素子集合搭載基板9を用いるため、製造工程数を削減することができ、製造コストの低廉化を図ることができる。
【0081】
以上、本発明の発光装置の製造方法を上記の実施の形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。
【0082】
(1)上記実施の形態では、LED素子3が所謂フェイスアップ搭載され、かつワイヤ32によって導体パッド22,23又は導体パターン910,911に接続されている場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、LED素子3を所謂フェイスダウン搭載し、かつ金属バンプ等によって導体パッド22,23又は導体パターン910,911に接続してもよい。
【0083】
(2)上記実施の形態では、封止部材4及び素子集合搭載基板5,9等を分割して単一のLED素子3を有する発光装置1を得る場合について説明したが、本発明はこれに限定されず、複数個のLED素子3を有する発光装置1が得られるように封止部材4及び素子集合搭載基板5,9を分割してもよい。
【符号の説明】
【0084】
1…発光装置、2…素子搭載基板、20…第1の絶縁部材、21…第2の絶縁部材、22,23…導体パッド、24〜27…めっき処理部、3…LED素子、30…p側電極、30a…p側パッド電極、31…n側電極、32…ワイヤ、33…基板、34…バッファ層、35…n型半導体層、36…MQW層、37…p型半導体層、38…発光面、4…封止部材、4a…端面、4b…側面、5…素子集合搭載基板、5A…基板用素材、5B…枠部材、50…基部材、51…導体部材、52…絶縁部材、6…素子集合搭載基板、60…枠部材、60a,60b…開口部、7…素子集合搭載基板、70…枠部材、70a,70b…開口部、8…素子集合搭載基板、80…枠部材、800…内壁部、801…外壁部、802〜804…環状溝、9…素子集合搭載基板、9A…基板用素材、9B…枠部材、90…基部材、90a,90b…ビアホール、91…導体部材、910,911…導体パターン、910a,911a…表面パターン、910b,911b…裏面パターン、910c,911c…ビアパターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面状の基板を形成する基板形成工程と、
前記基板に閉塞した枠を形成する枠形成工程と、
前記枠の内側に複数個の発光素子を搭載する素子搭載工程と、
前記枠の内側に封止部材となる液状材料を注入して前記複数個の発光素子を封止する封止工程と、
前記複数個の発光素子を前記基板及び前記封止部材とともに分割し、側面から前記封止部材が露出した複数個の発光装置を得る分割工程と
を有する発光装置の製造方法。
【請求項2】
前記基板は樹脂複合リードフレームである請求項1に記載の発光装置の製造方法。
【請求項3】
前記枠は、基板側の開口部から他方側の開口部に向かって漸次大きくなる請求項2に記載の発光装置の製造方法。
【請求項4】
前記枠は、基板側の開口部から他方側の開口部に向かって漸次小さくなる請求項2に記載の発光装置の製造方法。
【請求項5】
前記枠は、内外2つの壁部を有する請求項2乃至4のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。
【請求項6】
前記基板形成工程と前記枠形成工程とは同時に行われる請求項2乃至5のいずれか一項に記載の発光装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−12666(P2013−12666A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145665(P2011−145665)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】