説明

発光装置及び照光方法

【課題】意匠形状や内部ユニット、モジュールおよび部品の実装を制約することなく、照光光源からの光により筐体の広領域照光を実現し、デザイン性を向上させる。
【解決手段】本発明の照光構造は、発光装置10の照光させたい側を第一筐体ケース20と第二筐体ケース30の二層構造とし、ELシート40を両ケースの間であり第二筐体ケース30の意匠側表面に積層する構造を特徴とする。また、第一筐体ケース20の表面に光拡散部材(光反射加飾フィルム22)を、第二筐体ケース30の意匠側表面には反射部材(第一の反射層50)を設けており、それらによってELシート40から照射された光を拡散し、第一筐体ケース20の広領域を照光する。そのため、意匠面形状の制約および筐体ケース内部の空間72の実装制約が小さく、また、成形品不良時におけるELシート40の再使用が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置に関するものであり、例えば、携帯電話、携帯情報端末などの電子機器の外装ケースである発光装置であり、その発光装置を用いた照光方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話機において、光ファイバーを用いて筐体ケースの一部を発光させることで、装飾模様を照光させるものや、EL(Electro Luminescence)発光シート(ELシート)を用いて筐体ケースの一部を照光させるものがある。
【0003】
例えば、特許文献1の技術は、携帯電話の筐体ケースに光ファイバー部材を接着して一体化することで、光源からの光を上記光ファイバーが描く模様に照光させるものである。しかし、この方法は、光ファイバー部材が接着している部分のみの照光に制限されるため、広領域を照光することには適さない。また、光ファイバー部材の端部から光を入力する必要があるため、光源と光ファイバー部材の位置による意匠および実装制約が大きいという課題がある。
【0004】
また、特許文献2の技術は、立体形状を有するように予備成形された加飾シートに、ELシートを積層したEL発光加飾シートを金型内に設置した後、金型内に溶融樹脂を射出注入して、上記EL発光加飾シートを注入樹脂と溶着させ一体成形品となすことで、ELシートからの発光で成形品を照光させる方法である。上記方法では、予備成形を必要とするうえ、上記EL発光加飾シートを金型内に設置する際、高度な技術と精度が要求されるため生産効率が悪く、成形不良が生じた場合に、ELシートを再使用できないため不経済であるという課題がある。また、ELシートを加飾シートに貼付けるため、加飾シートの立体形状が制限され、意匠面形状の自由度が小さくなる。さらに、ELシートの面積と同等、もしくは、より狭い範囲の意匠面に対してしか照光することができないという課題がある。
【特許文献1】特表2005−518108号公報
【特許文献2】特開2003−163083号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、例えば、上記のような課題を解消し、立体形状であっても、広領域をELシートにより均一に照光できるためデザイン性に優れ、意匠面形状の制約や実装制約が小さく、成形品不良の際も、ELシートを再使用できるような技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる発光装置は、内側筐体ケースと、内側筐体ケースの外側に設けられ、光を発する発光部材と、
発光部材の外側に設けられ、発光部材が発した光を入射して入射した光を外側に透過させるとともに、外側から入射する光を反射する反射部材と、反射部材の外側に設けられた外側筐体ケースであって、反射部材が透過させた光と反射部材が反射した光とを入射して入射した光を拡散させて出力する光拡散部材を有する外側筐体ケースと
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る発光装置は、発光部材が発した光を入射し、入射した光を拡散させて出力する光拡散部材を外側筐体ケースに備え、さらに光拡散部材が発光装置内部に拡散させた光を、反射部材により反射させ再度、光拡散部材により光を拡散させて出力する構造であるため、筐体ケースの表面形状による制約が少なく、筐体ケースの広領域を均一に照光可能となる。そのため、携帯電話に新しいデザイン性を与えることが出来るという効果を奏する。さらに、発光部材としてELシート等を用いているため、内側筐体ケースの裏面は形状制約がないため、内側筐体ケースの強度低下を防止でき、発光装置全体及び発光装置を取り付けた機器等の強度を高めることが可能となるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
実施の形態1について図面を参照して説明する。
【0009】
図1は、本実施の形態に係る照光式加飾成形品である発光装置10の外観の一例を示す図であり、図1(a)は平面図であり、図1(b)は第一筐体ケース(外側筐体ケース)を外した第二筐体ケース(内側筐体ケース)の平面図を示す。図2は、図1に示した発光装置のC−C断面図である。
【0010】
本実施の形態に係る照光式加飾成形品である発光装置10の全体構成について説明する。
発光装置10は図1(a)及び図2に示すように第一筐体ケース20(外側筐体ケース)と第二筐体ケース30(内側筐体ケース)と第三筐体ケース31とから構成されている。本実施の形態では、発光装置10を携帯電話の外装ケースとして利用した場合の例を示しており、発光装置10の筐体ケースの内部72(第二筐体ケース30と第三筐体ケース31に挟まれた内部空間)には図示しない電子機器等が備えられている。これは一例であり、発光装置10は携帯電話以外にも、携帯情報端末、電子手帳、携帯ラジオ・テレビ若しくは携帯用音楽機器等の外装ケース又は筐体ケースとしても利用できる。また、発光装置10は筐体ケースの内部72をなくして、単なる照明装置として利用しても構わない。
【0011】
第一筐体ケース20(外側筐体ケース)は、基材となる透明性樹脂から成形された基材ケース成形品21の上(意匠側表面、外側)に光反射加飾フィルム22(光拡散部材の一例)がインサート成形されたものである。基材ケース成形品21は、光透過性の材料から構成される。光透過性の材料として、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂などが挙げられる。光反射加飾フィルム22は、光透過性の材料を用いることにより、後述する第二筐体ケースに設置されたELシート40(発光部材)からの光を透過・拡散等行うことが可能である。光反射加飾フィルム22は光を反射・拡散するため複数の層により構成されているが、その詳細については後述する。
【0012】
発光装置10は、発光部材であるELシート40を、図2に示すように第一筐体ケース20と第二筐体ケース30との間であり、第二筐体ケース30の意匠側表面(外側)に設置している。また、上記ELシート40(発光部材)の表面(意匠面側)および第二筐体ケース30のELシート40が貼付けられる側の表面(意匠面側、外側の表面)の全体若しくは一部に、光を反射可能な第一の光反射層50(反射部材の一例)が形成されている。また、第二の光反射層51(周辺反射部材の一例)が、ELシート40の周囲を取り囲むように環状(ドーナツ状、ロ字状)に第二筐体ケース30の表面上に形成されている。
図1(b)に第二筐体ケース30(第一筐体ケース20を外した状態の発光装置10)の一例の平面図を示す。
【0013】
第一の光反射層50(反射部材)及び第二の光反射層51(周辺反射部材)は、ELシート40および第二筐体ケース30のELシート貼付け側の表面に形成されており、ELシート40のEL光源(例えば、後述するEL層42)からでた光のうち、光反射加飾フィルム22により一部反射された光を再度第一筐体ケース側(外側)に反射させるための層である。第一の光反射層50及び第二の光反射層51には、鏡面反射できる金属膜が形成されている。反射性を持つ上記金属膜は出来るだけ光透過性の小さいものが望ましい。
また、第二の光反射層51は、図2に示すようにELシート40を取り囲むように、第二筐体ケース30の表面で、第一筐体ケース20と第二筐体ケース30との接合箇所まで形成されている。第二の光反射層51をELシート40の周囲に形成したのは、光反射加飾フィルム22から乱反射して内側(第二筐体ケース30側)に戻ってきた光がELシート40の周辺・周囲にも到達し、その光を再度反射させることによって、さらに広い範囲を照光させるためである。光を再度反射させることにより、光の照光範囲が拡大し、第一筐体ケースの広領域を照光することが可能となる。詳細については後述する。
【0014】
第一の光反射層50及び第二の光反射層51の成膜方法としては、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングなどによって金属薄膜を第二筐体ケースに膜形成する方法がある。上記金属薄膜の成分としては、アルミニウム、金、銀、チタン、マグネシウム、ニッケル、クロム、プラチナ、ロジウムなどの反射性金属または、これらの混合物あるいは化合物などが挙げられる。
【0015】
次に、発光装置内部の空間71について説明する。
本実施の形態では、第一筐体ケース20と第二筐体ケース30との間に、発光装置内部の空間71を設けている。これは、第二筐体ケース30のELシート40から照射された光の一部は、第一筐体ケースの光反射加飾フィルム22により内側に反射され、第一の光反射層50(反射部材)等により再度反射させるが、光を十分に拡散させるためにはある程度距離があるほうが望ましいからである。この発光装置内部の空間71は、ELシート40からの光を十分に拡散させることができる場合は第一筐体ケース20の基材ケース成形品21で埋められていても構わない。
【0016】
次に、発光装置10の土台となる第二筐体ケース30(内側筐体ケース)と第三筐体ケース31の成形材料について説明する。
第二筐体ケース30、第三筐体ケース31を構成する成形材料としては、特に制限はなく、例えばポリメタクリル酸メチルなどのポリメタクリル酸系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ナイロン6やナイロン66などの脂肪族ポリアミド系樹脂、ポリフタルアミドなどの芳香族ポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリオキシメチレン系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、フッ素系樹脂などの結晶性樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリサルホン系樹脂、ポリエーテルサルホン系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリアレリート系樹脂、ポリアミドイミド系樹脂、ポリエーテルイミド系樹脂、アクリロニトリルスチレン系樹脂、アクリロニトリルスチレンブタジエン系樹脂などの非結晶性樹脂、芳香族ポリエステル系樹脂や芳香族ポリエステルアミド系樹脂、結晶ポリマーなどの有機高分子材料などが挙げられる。また、これら有機高分子のアロイや、これら有機高分子にガラス繊維などのフィラーを配合した混合物でも良い。
【0017】
また、第二筐体ケース30及び第三筐体ケース31を構成する成形材料としては、アルミニウム合金、マグネシウム合金、あるいはその他の金属材料や各種の無機材料などであっても良い。上記金属材料や各種の無機材料が粉末の場合、この種の粉末の成形方法としては、セラミック射出成形、金属粉末射出成形、超硬合金射出成形などが挙げられる。
【0018】
次に光反射加飾フィルム22について図3を用いて説明する。図3は第一筐体ケース20の部分断面図(図2の点線で囲んだ部分Aの拡大図)を示している。
第一筐体ケース20は、上述したように基材となる透明性樹脂から成形された基材ケース成形品21上に、光反射加飾フィルム22が形成されたものである。さらに、光反射加飾フィルム22(光拡散部材)は、図3に示すように、基材ケース成形品21上から、接合層22a、光散乱層22b、加飾層22cが、順次積層されたものである。すなわち、上記光反射加飾フィルム22は、意匠面側(筐体ケースの外側)からは加飾層22c、光散乱層22bおよび接合層22aが順次積層されたものとなる。
【0019】
加飾層22cは、発光装置10の美観を高める機能をなすものであって、発光装置10の用途に応じて決定された色彩、模様、平滑性などを有するものである。本実施の形態では、加飾層22cは、ケース内側が見えないような隠蔽性のある加飾とすることが望ましい。
加飾層22cは、通常はオフセット印刷、グラビア印刷、スクリーン印刷などの印刷によって層形成される。加飾層22cは、透光性加飾層および遮光性加飾層(例えば、遮光性部材70)が適宜組み合わせて構成されており、加飾層22cの構成材料としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂が挙げられる。例えば、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂、セルロースエステル系樹脂、アルキド系樹脂などの樹脂が挙げられる。また、加飾層22cは、上記樹脂印刷による以外に、金属薄膜からなるもの、あるいは、印刷による樹脂の層と金属薄膜との組合せからなるものであっても良い。
【0020】
光散乱層22bは、EL光源(ELシート40、発光部材)からの光を、例えば、透過光、散乱光および反射光に分ける役割をする層である。
光散乱層22bは、EL光源からの光を乱反射(散乱)させる効果を持つ光散乱成分23を含む樹脂から構成される。光散乱成分23は、EL光源からの光を反射させる効果をもつ光反射成分であっても構わない。上記光散乱成分23としては、例えば、無機粒子、有機粒子、気泡などが挙げられる。無機粒子の好適なものとしては、ガラス、シリカ、アルミナ、タルク、ジルコニア、硫酸バリウム、酸化チタン、硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムなどが挙げられる。有機粒子の好適なものとしては、ポリアクリル樹脂、有機シリコーン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、尿素樹脂、ホルムアルデヒド縮合物、フッ素樹脂などが挙げられる。これら光散乱成分23の形状としては、光を散乱させる役割を持つ限り特に限定されないが、光散乱成分23の表面において少なくとも球面となる部分を有する形状あるいは球面状であることが望ましい。さらに、真球状の光散乱成分23を凝集させることにより、方向性のない均一な光散乱効果が得られる。これら光散乱成分23の粒子径は、0.1〜0.2mm程度であることが好ましい。また、光散乱層22bは、上記光散乱成分を含む樹脂層以外に、光を反射させる効果および光を透過させる効果の両方を持つ金属薄膜からなるものであっても良い。光の反射と透過の割合は、50:50〜30:70のものが望ましい。成膜方法としては、蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングなどがある。上記金属薄膜の成分としては、アルミニウム、金、銀、チタン、マグネシウム、ニッケル、クロム、プラチナ、ロジウムなどの反射性金属または、これらの混合物あるいは化合物などが挙げられる。
【0021】
光散乱層22b構成用の樹脂としては、例えば、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂、セルロースエステル系樹脂、アルキド樹脂などが挙げられ、後述する光散乱成分が、例えば当該樹脂と均一に混合して用いられる。なお、光散乱層22bに上記金属薄膜を用いる場合は、当該樹脂を省略することができる。
【0022】
また、最下層面に接合層22aを設けることで、成形時に基材ケース成形品と溶着などにより接合し易く、接合力が向上する。
接合層22aは、基材ケース成形品21の表面に光反射加飾フィルム22を接合する機能を成すものであって、基材ケース成形品21の構成材料に応じて融着または接着可能な材料、例えば、化学的接着剤や感熱接着剤などの接着剤または粘着剤などから構成される。例えば、ポリアクリル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂などの熱可塑性樹脂を用いた樹脂系の接着剤または粘着剤、天然ゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、ウレタンゴムなどのゴム系の樹脂接着剤が挙げられる。これらの接着剤または粘着剤は、それらの一種または二種以上を適当な溶剤にて溶解したものを、グラビアコート法、ロールコート法、ブレードコート法などの工法で光散乱層22bに塗布して形成される。感熱接着剤としては、上述する基材ケース成形品21の材料と親和性が良好であって、上記基材ケース成形品21の材料の溶融体と溶着可能な樹脂にて構成されたものが挙げられる。接合層22aの層厚は、0.1mm〜1mm程度が好適である。実際に使用される接合層の構成材料種類や塗布方法および膜厚は、被転写物の材質や転写後の品位、信頼性などを考慮して任意に選定される。なお、光散乱層22bの構成材料が基材ケース成形品21との接着性に優れている場合には、接合層22aを省略することができる。
【0023】
次に、ELシート40について図4を用いて説明する。図4はELシート40の拡大断面図である。EL(エレクトロルミネッセンス)素子は、高誘電率バインダー中に分散した蛍光体に、電圧を印加することにより発光する面発光素子であり、ELシートはEL素子をシート状にしたものである。ELシート40は、EL素子を含み全面が均一に発光するEL層42を有するものであれば特に限定しない。例えば、図4に示すように、ELシート40は第二筐体ケース表面に接合する機能を有するELシート接合層43、発光源であるEL層42、透過性基材からなる保護層41が順次積層されたものである。EL層42とは、少なくとも透明電極層42a、発光層42b、誘電体層42c、背面電極層42d、絶縁層42eから構成され、透明電極層42aと背面電極層42dにより電圧が印加されることによって、発光層42bが発光するものである。電圧を供給する電池等は、筐体ケース内部の空間72に設置しても構わないし、外部から供給しても構わない。
【0024】
次に、本実施の形態に係る発光装置の照明方法について説明する。図5は本実施の形態に係る発光装置の照光方法を示す説明図であり、図2の一部(図2の点線で囲んだ部分B)を拡大した断面図である。照光装置であるELシート40から照射された光は、例えば、直線的に進行し外部に投光する透過光61、上記光反射加飾フィルム22内の前述した光散乱層22bにおいて光路が変えられ外部に投光する散乱光62、および上記光散乱層22bにより反射される反射光63に分かれる。上記透過光61および散乱光62は、第一筐体ケース20表面から筐体外部に投光されるため、第一筐体ケース20の広領域を均一に照光可能である。また、光反射加飾フィルム22によって反射された反射光63は、ELシート40の表面に形成された第一の光反射層50又は第二筐体ケース30の表面の一部に形成された第二の光反射層51において再度反射され、第一筐体ケース20の外部に投光されるまで上記反射が繰り返される。
【0025】
また、本実施の形態では、第二の光反射層51の端部を傾斜させ、反射光を反射する傾斜部52を設けている。傾斜部52を有することにより、第二筐体ケース30の意匠面側の形状は椀状となる。第二の光反射層51の端部を傾斜部として傾斜させることにより、第二の光反射層51から反射される反射光63の一部を集約することができるため、第一筐体ケース20の周囲(端部)を明るくすることが可能となる。即ち、第一筐体ケース20の周囲が中央部より暗くなることを防ぐことが可能となる。第二筐体ケース30の表面と傾斜部との傾斜角度である傾斜角度θの大きさは、90度以上180度以下であることが望ましいが、90度以下でも構わない。
図6に第二筐体ケース30の他の例を示す。
本実施の形態において図1(b)では長方形であるELシート40形状に合わせて傾斜部52を設けているが、図6(a)に示すように第二筐体ケースの周囲の形状に合わせて、端部が舌状となるよう傾斜部52を設けても構わないし、図6(b)に示すように第二筐体ケースの長辺方向の両端部に、ELシートの長辺端部と平行となるよう傾斜部52を設けても構わない。
【0026】
また、図5において第一筐体ケース20と第二筐体ケース30との距離Hを部分的に変化させることにより、第一の光反射層50又は第二の光反射層51による拡散状況を変化させても構わない。
【0027】
また、上記光反射加飾フィルム22内の加飾層22cは一部を遮光性のある着色剤(遮光性部材70)で加飾することで、光源からの光を一部遮ることができるため、遮光パターンによって照光模様を多様化することができる。図7に遮光性のある着色剤(遮光性部材70)を用いて、第一筐体ケース20の表面に模様(遮光パターン)を作り出す一例として、模様を付した発光装置10の平面図を示す。
【0028】
本実施の形態の照光式加飾成形品(発光装置)は、第一筐体ケース(外側筐体ケース)と、上記第一筐体ケースより内側に形成される第二筐体ケース(内側筐体ケース)を有し、上記第一筐体ケースおよび第二筐体ケースの間で、第二筐体ケースの表面側に沿って照光装置(発光部材)が設けられており、上記第一筐体ケースは光透過性樹脂からなり、その表面には光拡散部材が形成され、上記光拡散部材よりも内側に光反射部材(反射部材)が形成されていることを特徴とする。
【0029】
また、上記照光装置(発光部材)から出射した光は光路によって、直線的に進行し外部に投光する透過光、上記光拡散部材により光路が変えられ外部に投光する散乱光、および上記光散乱部材により内側に反射される反射光となり、上記透過光および散乱光が、上記第一筐体ケース表面から外部に投光することで広領域が可視となることを特徴とする。
【0030】
上記反射光は、上記光反射部材により第一筐体ケースの方向に反射され、その光は照光装置(発光部材)から出射した光となることを特徴とする。
【0031】
上記第一筐体ケースは、その一部に遮光性のある部材で模様を設けることで、上記模様以外を照光させることを特徴とする。
【0032】
上記光散乱部材は、上記第一筐体ケースの意匠側表面に設けられている光反射加飾フィルム(光拡散部材)に含まれることを特徴とする。
【0033】
上記光反射加飾フィルムは、加飾層、散乱層および上記第一筐体ケース表面と溶着可能な接合層を含むことを特徴とする。
【0034】
上記光反射加飾フィルムは、加飾層、および上記第一筐体ケース表面と溶着可能な散乱層を含むことを特徴とする。
【0035】
上記散乱層は、光源からの光を散乱する光散乱成分を含むことを特徴とする。
【0036】
上記散乱層は、光源からの光を反射する反射成分を含むことを特徴とする。
【0037】
上記散乱層は、光源からの光を散乱する光散乱成分と光源からの光を反射する反射成分とのいずれか一項、もしくは両方を含むことを特徴とする。
【0038】
上記照光装置の発光部材EL(Electro Luminescence)素子であることを特徴とする。
【0039】
上記光反射部材は、上記照光装置および第二筐体ケースのいずれか一方、もしくは両方の照光側表面に形成されていることを特徴とする。
【0040】
上記光反射部材は、鏡面を備えていることを特徴とする。
【0041】
本実施の形態にかかる発光装置の照光構造は、照光させたい側の発光装置を第一筐体ケース(外側筐体ケース)と第二筐体ケース(内側筐体ケース)の二層構造にし、上記両ケースの間に少なくともEL層を形成した照光装置であるELシート(発光部材)を第二筐体ケースの意匠側表面に積層する構造を特徴とするため、意匠面形状の制約および発光装置内側(筐体ケース内部の空間72)に設置されたユニット、モジュールおよび部品実装制約が小さく、また成形品不良時のELシート(発光部材)の再使用が可能である。
【0042】
また、上記第一筐体ケースの表面に光拡散部材を、上記光拡散部材よりも内側には反射部材を設けており、ELシート(発光部材)のEL光源から照射された光が上記光拡散部材および反射部材によって拡散されるため、EL光源から照射された光の照光範囲を拡大し、第一筐体ケースの広領域を照光することが可能である。
【0043】
本実施の形態に係る照光加飾成形品(発光装置)は、上記の特徴を有するため、筐体ケースの表面形状による制約が少なく、筐体ケースの広領域を均一に照光可能となり、携帯電話に新しいデザイン性を与えることが出来るという効果を奏する。さらに、筐体ケース内部の形状制約がないため、上記筐体ケースの強度低下を防止できるという効果を奏する。
【0044】
実施の形態2.
実施の形態2について図面を参照して説明する。
図8は実施の形態2に係る照光式加飾成形品である発光装置10の別の例を示した断面図である。以下では実施の形態1とは異なる部分について説明する。実施の形態2において、ELシート40を接着する面である第二筐体ケース30の意匠側表面の端部を放物線状の曲面形状としており、ELシート40は上記第二筐体ケース30の表面上に沿って形成されている。また、光反射加飾フィルム22を第一筐体ケース20の表面に、第一の光反射層50をELシート40の表面に形成しており、その他の構成は、上述した実施の形態1と同じである。
【0045】
実施の形態2のようにELシート40の端部を第二筐体ケース30に合わせて屈曲させることにより、EL光源(EL層42、発光層42b)から出射される光がELシート40の法線方向に照射されるため、照光範囲が広がり、実施の形態1の場合よりも広領域の第一筐体ケース20を照光可能となる効果を奏する。
【0046】
以上、本発明を実施の形態1および実施の形態2により、照光式加飾成形品である発光装置とその照光構造及び照光方法について詳細に説明したが、本発明は、それら実施の形態に制限されるものではなく、本発明の課題ならびにその解決手段の精神に沿った各種変形形態を包含する。例えば、本発明の光散乱部材の例として光反射加飾フィルムが用いられたが、本発明の成形品の形状や用途によって、光散乱部材としてフィルム以外の形状物が適当な場合もある。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】実施の形態1に係る照光式加飾成形品である発光装置の外観を示す図であり、(a)は平面図、(b)は第二筐体ケースの平面図である。
【図2】実施の形態1に係る照光式加飾成形品である発光装置の一例の断面図である。
【図3】実施の形態1に係る発光装置の第一筐体ケースの部分断面図(図1の点線で囲んだ部分Aの拡大図)である。
【図4】実施の形態1に係るELシートの断面図である。
【図5】実施の形態1に係る発光装置の照光方法を説明するための図(図1のBの拡大図)である。
【図6】実施の形態1に係る発光装置の第二筐体ケースの別の例を示した平面図である。
【図7】実施の形態1の遮光性部材による遮光パターンにより示される照光模様の説明図で、発光装置の平面図である。
【図8】実施の形態2に係る照光式加飾成形品である発光装置の別の例を示した断面図である。
【符号の説明】
【0048】
10 発光装置、20 第一筐体ケース、21 基材ケース成形品、22 光反射加飾フィルム、22a 接合層、22b 光散乱層、22c 加飾層、23 光散乱成分、30 第二筐体ケース、31 第三筐体ケース、40 ELシート、41 保護層、42 EL層、42a 透明電極層、42b 発光層、42c 誘電体層、42d 背面電極層、42e 絶縁層、43 ELシート接合層、50 第一の光反射層、51 第二の光反射層、61 透過光、62 散乱光、63 反射光、70 遮光性部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側筐体ケースと、
内側筐体ケースの外側に設けられ、光を発する発光部材と、
発光部材の外側に設けられ、発光部材が発した光を入射して入射した光を外側に透過させるとともに、外側から入射する光を反射する反射部材と、
反射部材の外側に設けられた外側筐体ケースであって、反射部材が透過させた光と反射部材が反射した光とを入射して入射した光を拡散させて出力する光拡散部材を有する外側筐体ケースと
を備えたことを特徴とする発光装置。
【請求項2】
外側筐体ケースは、光を遮光する遮光性部材を少なくとも一部に有することを特徴とする請求項1記載の発光装置。
【請求項3】
上記発光部材は、EL(Electro Luminescence)素子を含むEL層を有することを特徴とする請求項1記載の発光装置。
【請求項4】
上記光拡散部材は、光を乱反射する光散乱成分を含むことを特徴とする請求項1記載の発光装置。
【請求項5】
上記外側筐体ケースは、
上記光拡散部材と上記外側筐体ケースの形状を成形する基材ケース成形品とから成り、
上記光拡散部材は、
光を遮断する遮光性部材を少なくとも一部に有する加飾層と、
光を乱反射する光散乱成分を含む散乱層と
からなることを特徴とする請求項1記載の発光装置。
【請求項6】
上記光拡散部材は、
上記散乱層と上記基材ケース成形品とを接合する接合層を有することを特徴とする請求項5記載の発光装置。
【請求項7】
上記反射部材は、外側に鏡面を備えたことを特徴とする請求項1記載の発光装置。
【請求項8】
上記発光部材の周辺に設けられ、外側から入射する光を反射する周辺反射部材を有することを特徴とする請求項1記載の発光装置。
【請求項9】
上記周辺反射部材は、外側に鏡面を備えたことを特徴とする請求項8記載の発光装置。
【請求項10】
上記発光装置は、携帯電話の外装ケースであることを特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載した発光装置。
【請求項11】
発光部材が発した光のうち一部を外側筐体ケースを透過して外部に投光させ、
一部を外側筐体ケースの光拡散部材により拡散して外側筐体ケースの外部に投光させ、
一部を外側筐体ケースの光拡散部材により内側に反射させ、さらに、外側筐体ケースを透過・拡散して外部に投光するまで反射部材により反射を繰り返す
ことを特徴とする発光装置の照光方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−311044(P2007−311044A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−136158(P2006−136158)
【出願日】平成18年5月16日(2006.5.16)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】