発光装置
【課題】放熱性が改善され、照明装置への実装が容易な発光装置を提供する。
【解決手段】第1主面と、前記第1主面とは反対側の第2主面と、を有する第1のプレート電極と、第3主面と、前記第3主面とは反対側の第4主面と、を有する第2のプレート電極と、前記第1主面と前記第3主面との間に配置された発光素子であって、前記第1主面と対向し前記第1主面よりも小さい第5主面と前記第3主面と対向し前記第3主面よりも小さい第6主面とを有し発光層を含む半導体積層体と、前記第5主面に設けられた第1電極と、前記第6主面に設けられた第2電極と、を有し、前記発光層から放出される光ビームの光軸が前記第5主面と前記第6主面との間の前記半導体積層体の側面に対して垂直とされた発光素子と、前記第1のプレート電極と前記第2のプレート電極とに接触して設けられた絶縁体と、を備え、前記光ビームは、前記光軸に沿って前記第1主面と前記第3主面との間から外方に放出可能とされたことを特徴とする発光装置が提供される。
【解決手段】第1主面と、前記第1主面とは反対側の第2主面と、を有する第1のプレート電極と、第3主面と、前記第3主面とは反対側の第4主面と、を有する第2のプレート電極と、前記第1主面と前記第3主面との間に配置された発光素子であって、前記第1主面と対向し前記第1主面よりも小さい第5主面と前記第3主面と対向し前記第3主面よりも小さい第6主面とを有し発光層を含む半導体積層体と、前記第5主面に設けられた第1電極と、前記第6主面に設けられた第2電極と、を有し、前記発光層から放出される光ビームの光軸が前記第5主面と前記第6主面との間の前記半導体積層体の側面に対して垂直とされた発光素子と、前記第1のプレート電極と前記第2のプレート電極とに接触して設けられた絶縁体と、を備え、前記光ビームは、前記光軸に沿って前記第1主面と前記第3主面との間から外方に放出可能とされたことを特徴とする発光装置が提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電極が上面および下面に設けられた表面発光型の発光素子は、放出光の一部が上面または下面の電極により遮光される。また、熱伝導による放熱も下面に限られるため、放熱性が悪く、電流密度の増大には限界がある。このために、高輝度にするには大面積チップとすることが必要になる。
【0003】
また、表面発光型の発光素子は、Lambertian放射パターンを有しており、その半値全角は、例えば120度のように広くなる。このため、放出光を絞り込むことが困難である。
【0004】
これに対して、端面放射型の半導体レーザ(Semiconductor Laser、 Diode Laser、 Laser Diode :LD)は、微小な側面の点(導波路端)から鋭い指向性の光ビームを放出できる。この特性を活かして、CD/DVD/Blue-Rayなどの光ディスク装置、高速動作による光ファイバ通信機器、などに応用される。 この場合、光ビームを単一横モードの微小スポットに光学的に絞り、微小スポットの読み出しや光ファイバへの結合を行うので、基本的に高価な光学系を用いることになる。
【0005】
このような鋭い指向性の光ビームを有するLDは、線状光源に応用可能である。線状光源では、例えば、LDからの光ビームが、導光体の一方の端面側から入射され、下面で反射されつつ上面方向に出射される。この出射光ビームを吸収した発光体は可視光を放出できる。このような線状光源は、自動車用フォグランプ、表示装置のバックライト光源、などに用いることができる。また、LDはスキャン型光源としても応用可能である。例えば、光ビームをスキャンするプロジェクション型ディスプレイ装置に用いることができる。線状光源やスキャン型光源の場合、LDはマルチ横モード動作でも良い。したがって、その光学系はそれほど微小である必要はない。
【0006】
このような線状光源やプロジェクション型ディスプレイ装置の用途には、小型、放熱性および実装性に優れ、かつ量産性に富むパッケージを用いた発光装置が必要である。
【0007】
特許文献1では、発光特性が劣化せず、生産性のよいLEDが開示されている。この例では、LED(Light Emitting Diode)チップは、1対のリード部より挟持されている。また、ガラス材がLEDチップに対して非接触となるようにその周囲を包囲して設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−333014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
放熱性が改善され、照明装置などへの実装が容易な発光装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様によれば、第1主面と、前記第1主面とは反対側の第2主面と、を有する第1のプレート電極と、第3主面と、前記第3主面とは反対側の第4主面と、を有する第2のプレート電極と、前記第1主面と前記第3主面との間に配置された発光素子であって、前記第1主面と対向し前記第1主面よりも小さい第5主面と前記第3主面と対向し前記第3主面よりも小さい第6主面とを有し発光層を含む半導体積層体と、前記第5主面に設けられた第1電極と、前記第6主面に設けられた第2電極と、を有し、前記発光層から放出される光ビームの光軸が前記第5主面と前記第6主面との間の前記半導体積層体の側面に対して垂直とされた発光素子と、前記第1のプレート電極と前記第2のプレート電極とに接触して設けられた絶縁体と、を備え、前記光ビームは、前記光軸に沿って前記第1主面と前記第3主面との間から外方に放出可能とされたことを特徴とする発光装置が提供される。
【0011】
本発明の他の一態様によれば、第1主面と、前記第1主面とは反対側の第2主面と、を有する第1のプレート電極と、第3主面と、前記第3主面とは反対側の第4主面と、を有する第2のプレート電極と、前記第1主面と前記第3主面との間に配置された発光素子であって、前記第1主面と対向し前記第1主面よりも小さい第5主面と前記第3主面と対向し前記第3主面よりも小さい第6主面とを有し発光層を含む半導体積層体と、前記第5主面に設けられた第1電極と、前記第6主面に設けられた第2電極と、を有し、前記発光層から放出される光ビームの光軸が前記第5主面と前記第6主面との間の前記半導体積層体の側面に対して垂直とされた発光素子と、前記第1のプレート電極と前記第2のプレート電極とに接触して設けられ、前記光軸上に形成された窓部を有する絶縁体と、を備え、前記光ビームは、前記窓部を通過し外方に放出可能とされたことを特徴とする発光装置が提供される。
【発明の効果】
【0012】
放熱性が改善され、照明装置などへの実装が容易な発光装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1(a)は本発明の第1の実施形態にかかる発光装置の模式斜視図、図1(b)は発光素子の模式斜視図、である。
【図2】図2(a)〜(d)は、発光装置の組立工程を説明する模式図である。
【図3】図3(a)および(b)は、プレート電極と絶縁体との密着構造を示す模式断面図である。
【図4】図4(a)および(b)は、光ビームの出射方向を示す模式断面図である。
【図5】第2の実施形態にかかる発光装置及びその変形例の模式断面図である。
【図6】図6(a)は第3の実施形態にかかる発光装置の模式斜視図、図6(b)は模式断面図、である。
【図7】図7(a)は第4の実施形態にかかる発光装置の模式斜視図、図7(b)はA−A線に沿った模式断面図、である。
【図8】図8(a)および図8(b)は、第5の実施形態にかかる発光装置の模式斜視図である。
【図9】図9(a)〜(e)は、第6の実施形態にかかる発光装置の模式図である。
【図10】図10(a)〜(f)は、第7の実施形態にかかる発光装置の模式斜視図である。
【図11】本実施形態にかかる発光装置を用いた線状光源の模式断面図である。
【図12】図12(a)は第8の実施形態にかかる発光装置の模式斜視図、図12(b)はB−B線に沿った模式断面図、図12(c)は第1変形例の模式断面図、図12(d)は第2変形例の模式断面図、である。
【図13】図13(a)は第9の実施形態にかかる発光装置の模式斜視図、図13(b)はその変形例の模式斜視図、である。
【図14】図14(a)は第10の実施形態にかかる発光装置の模式斜視図、図14(b)はB−B線に沿った模式断面図、図14(c)はC−C線に沿った模式断面図、図14(d)は第1変形例の模式断面図、図14(e)はC−Cに沿った第1変形例の模式断面図、図14(f)は第2変形例の模式断面図、図14(g)はC−C線に沿った第2変形例の模式断面図、である。
【図15】図15(a)は第8の実施形態の発光装置を用いた線状発光照明装置の模式断面図、図15(b)は第1変形例の発光装置を用いた線状発光照明装置の模式断面図、図15(c)は第10の実施形態の発光装置を用いた線状発光照明装置の模式断面図、である。
【図16】図16(a)は第11の実施形態にかかる発光装置の模式斜視図、図16(b)は線状発光照明装置の模式斜視図、である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。
図1(a)は本発明の第1の実施形態にかかる発光装置の模式斜視図、図1(b)はこれに用いる発光素子の模式斜視図、である。
発光装置5は、第1のプレート電極10、第2のプレート電極20、第1のプレート電極10と第2のプレート電極20とに挟持された発光素子30、および第1のプレート電極10および第2のプレート電極20にそれぞれ接触した絶縁体40、を有している。
【0015】
金属からなる第1のプレート電極10は、第1主面10aと、第1主面10aとは反対側の第2主面10bと、を有する。また、金属からなる第2のプレート電極20は、第3主面20aと、第3主面20aとは反対側の第4主面20bと、を有する。
【0016】
発光素子30は、発光層36を有する半導体積層体31、第1電極32、および第2電極34、を有している。第1電極32は、第1のプレート電極10の第1主面10aと対向し第1主面10aよりも小さい半導体積層体31の第5主面31aに設けられている。また、第2電極34は、第2のプレート電極20の第3主面20aと対向し第3主面20aよりも小さい半導体積層体31の第6主面31bに設けられている。すなわち、発光素子30は、第1のプレート電極10の第1主面10aと、第2のプレート電極20の第3主面20aとの間に挟持されており、第1のプレート電極10の第2主面10bと、第2のプレート電極20の第4主面20bと、の間に順方向電圧を印加することにより発光可能である。
【0017】
また、発光素子30は、第5主面31aと、第6主面31bと、の間に4つの側面を有している。発光層36の端部36aは半導体積層体31の側面のうちの1つの側面31cの一部を構成する。また、発光層36は、側面31cに対して垂直方向に光軸37を有する。発光素子30を、端面発光型のLDやLEDとすると、その放出光(光ビーム)の強度は、光軸37の上で最大となるが、光軸37から離間した半導体積層体31の第5主面31aおよび第6主面31bの側では極めて低くなる。なお、端面発光型のLDまたはLEDは、対向する2つの端面が光共振器を構成する。この場合、例えば、光出射面とする前面の光反射率を20%以下、光反射面とする後面の光反射率を90%以上とすると、光出射面側において、より高い光出力を得ることができる。
【0018】
絶縁体40は、第1のプレート電極10と第2のプレート電極20とに接触して設けられている。具体的には、絶縁体40は、第1主面10aおよび第2主面10b、または第1のプレート電極10の外縁10cおよび第2のプレート電極20の外縁20c、に接触して設けられる。光ビーム39は、外縁10c、20cの外方に向かって放出可能とされる。つまり、光ビーム39は、第1主面10aと第3主面20aとの間から外方に放出される。絶縁体40としては、SiO2、B2O3系からなる低融点ガラス、樹脂、セラミックなどとすることができる。絶縁体40を第1のプレート電極10の外縁10cおよび第2のプレート電極20の外縁20cにそれぞれ接触して設け、絶縁体40をガラスや透明樹脂層などとすると、光ビーム39は絶縁体40の内部を通過し外側に向かって放出される。もし絶縁体40が遮光部を含む場合は、光ビーム39に沿って窓部を設ければよい。さらに、絶縁体40を第1主面10aおよび第2主面20aにそれぞれ接触して設ける場合でも、光ビーム39は絶縁体40に遮られずに外側に向かって出射可能である。
【0019】
発光素子30のpn接合の順方向に電圧が印加され、発光層36にホールと電子が注入されると、発光再結合を生じる。pn接合において発生した熱は、第1および第2のプレート電極10、20から放熱される。第1および第2のプレート電極10、20は、発光素子30の第5および第6の主面31a、31bよりも大きいので、外部の放熱板までの熱抵抗を低減することが容易である。
【0020】
第1および第2のプレート電極10、20の形状は、円盤、矩形、多角形、などの形状とすることができる。この場合、上方からみてそれぞれの中心の位置を一致させると、組立工程が簡素である。また、例えば、中心の位置が一致し、直径が同一の円盤形状のプレート電極とすると、プレート電極の中心を軸として発光装置を回転することにより光ビーム39の出射方向を調整することが容易となる。さらに、発光装置の組立工程、照明装置への実装工程、などが容易になる。
【0021】
一般に、光ディスク駆動装置用のLDには、例えば直径が5.6mmのCAN型パッケージが用いられる。CAN型パッケージでは、接続端子が、例えば直径0.45mmの金属リードとされる。このために、pn接合で発生した熱が細いリードから主として放熱されることなり、pn接合の温度上昇が大きくなる。また、実装基板への取り付けや光出射方向の調整が容易ではない。さらに、CAN型発光装置の製造工程の量産性は十分とは言えず、価格の低減が困難である。これに対して、本実施形態は、パッケージ構造が簡素であり、放熱性が改善され、基板への実装が容易である。また、CAN型発光装置の製造工程の量産性を高めることができ、結果として価格の低減が容易である。
【0022】
発光素子30は、InGaAlN系、InAlGaP系、GaAlAs系、などの材料からなり、端面発光型のLDまたはLEDとする。
なお、本明細書において、InGaAlN系とは、InxGayAl1−x−yN(0≦x≦1、0≦y≦1)なる組成式で表され、アクセプタやドナーとなる元素を含んでもよいものとする。また、Inx(AlyGa1−y)1−xP(0≦x≦1、0≦y≦1)なる組成式で表され、アクセプタやドナーとなる元素を含んでもよいものとする。さらに、AlGaAs系とは、AlxGa1−xAs(0≦x≦1)なる組成式で表され、アクセプタやドナーを含んでもよいものとする。
【0023】
図2(a)〜(d)は、発光装置の組立工程を説明する模式斜視図である。
図2(a)のように、第2のプレート電極20の第3主面20aに、半田ボールやAuボールからなる金属バンプ50を形成する。なお、Auボンディングワイヤの先端に放電などで形成されるボールでもよい。金属バンプ50を用いることにより、ワイヤボンディング工程のような高い精度を必要としないので組立工程が容易となる。また、発光素子30と、第1または第2のプレート電極10、20との間の機械的応力を緩和することが容易となる。なお、第1および第2のプレート電極10、20は、例えば銅、FeNi系コバール金属、ジュメット線(銅被覆ニッケル鋼線)などとすることができる。
【0024】
他方、図2(b)のように、第1のプレート電極10の第1主面10aに、接着剤や半田材などを用い、サブマント38を介して発光素子30を接着する。この場合、発光素子30をまずサブマウント38に接着してもよいし、第1のプレート電極10に接着されたサブマント38上に発光素子30を接着してもよい。なお、サブマント38を介さずに発光素子30を第1のプレート電極10に接着することもできる。しかし、AlNやAl2O3などのセラミックからなるサブマウント38を用いると、第1のプレート電極10や第2のプレート電極20の熱膨張率と、発光素子30との熱膨張率と、の差により生じる応力を低減でき、信頼性が改善される。
【0025】
続いて、図2(c)のように、第2のプレート電極20と、ガラスやセラミックなどからなる絶縁体40と、を接着する。この場合、例えば、レーザー封着工程を用いると、第2のプレート電極20の外縁20cと、絶縁体40の内縁40aと、密着して封止することが容易となる。
【0026】
さらに、図2(d)のように、金属バンプ50が発光素子30の第2電極34と確実に接触するまで、絶縁体40を第1のプレート電極10に近接させる。第1のプレート電極10と、第2のプレート電極20と、が所定の位置を保った状態で、第1のプレート電極10の外縁10cと、絶縁体40の内縁40aと、をレーザ封着工程などを用いて密着して封止する。
【0027】
なお、発光素子30からの光ビーム39の波長が紫外光〜青紫光の波長範囲である場合、フォトンエネルギーが高く、樹脂などの有機物を分解し発光端面に付着させる現象を生じやすい。ガラスなどの絶縁体40を用いて封止し、内部に不活性ガス、乾燥窒素、あるいは乾燥空気など、を充填すると、外部からの有機物による汚染を抑制し発光素子30の劣化を抑制できる。このため、長期信頼性を改善することができる。
【0028】
また、第1のプレート電極10の第1主面10aに切り欠き状に溝部10dを設けると、第1主面10aによる光ビーム39の「ケラレ」を低減することができる。同様に、第2のプレート電極20の第3主面20aに、溝部20dを設けると。第3主面20aによるケラレを低減できる。なお、「ケラレ」とは、光ビーム39が第1または第2のプレート電極10、20を照射し、反射により所望の方向へ進行しないことを意味するものとする。
【0029】
図3(a)および(b)は、プレート電極と絶縁体との密着構造の模式断面図である。
図3(a)では、第1および第2のプレート電極10、20には、切り欠き状の溝部が設けられ、ガラスなどからなる絶縁体40と接着されている。また、図3(b)では、第1および第2のプレート電極10、20は、ガラスの端面を覆うように接着されている。このようにして、プレート電極とガラスとの間で、密着強度を高めることができる。
【0030】
図4(a)および(b)は光ビームの出射方向を示す模式断面図である。
端面発光型のLDやLEDの光ビーム39の広がり角は面発光型発光素子よりも狭くすることが容易である。しかし、例えばLDの場合、第5および第6の主面31a、31bに垂直な方向へのビーム広がり角(半値全角)は、例えば20〜50度の範囲である。図4(a)のように、例えば第2のプレート電極20の第3主面20aを斜めにカットすると(20e)、第1または第2のプレート電極10、20による光ビーム39のケラレを低減できる。なお、絶縁体40が遮光性材料であっても、光ビーム39が通過可能な透明材料からなる窓部42を光軸37に沿って設ければよい。絶縁体40がガラスのような透明材料であれば、光軸に沿った領域が窓部として機能する。
【0031】
また、図4(b)のように、発光素子30を第1のプレート電極10の第1主面10aおよび第2のプレート電極20の第3主面20aの上で外縁10c、20c側に偏在させても、第1および第2のプレート電極10、20による光ビーム39のケラレを低減できる。
【0032】
図5(a)は第2の実施形態にかかる発光装置の模式断面図、図5(b)及び(c)はその変形例の模式断面図、である。
図5(a)のように、発光素子30を偏在させてできたスペースに、第1および第2のプレート電極10、20に接触するように第2の絶縁体44を設ける。すなわち、第1および第2のプレート電極10、20は、第2の絶縁体44にそれぞれ接触するように設けられる。この場合、第2の絶縁体44の高さを、発光素子30の高さよりも大きくし、発光素子30の第1電極32と第1のプレート電極10との間、発光素子30の第2電極34と第2のプレート電極20との間、の少なくともいずれかの間隙に、半田ボールや金ボールのような金属バンプ50を設けてもよい。なお、絶縁体44を円環状とし、その内部に発光素子30を設けてもよい。このようにすると、熱的および機械的応力を緩和しつつ確実な電気的接続を保ち、かつ熱伝導を改善できる。なお、第1のプレート電極10の外縁10cおよび第2のプレート電極20の外縁20cと絶縁体40の内縁40aとを接着し封止すると、発光装置の信頼性をさらに高めることができる。
【0033】
図5(b)の変形例では、絶縁体44と第2のプレート電極20との間に段差を有する金属体45が配置される。段差が設けられた面と発光素子30の電極とをボンディングワイヤ46で接続可能である。また、金属体45の代わりに、絶縁体からなり、その表面にメッキなどにより導電層を設けたものを用いることができる。図5(c)の変形例では、絶縁体44と第2のプレート電極20との間に導電プレート47を挟む。導電プレート47が有する曲げバネ性により発光素子30を圧接しつつ電気的接続を保つことができる。
【0034】
図6(a)は第3の実施形態にかかる発光装置の模式図、図6(b)は模式断面図、である。
図6(a)では、第1のプレート電極10は第2主面10bに凸部11を有している。また、第2のプレート電極20は第4の主面20bに凸部21を有している。凸部11、21は、取り付け側に凹部をそれぞれ設けると確実に固定、接触することができる。図6(b)では、第2主面10bに凹部、第4主面20bに凸部21、をそれぞれ設け、凹部と凸部とを嵌合する。このようにして、3つの発光装置5を直列接続している。直列接続の数は3つに限定されず、数を増やすとより高出力の光ビーム39を得ることが容易となる。なお、凸部及び凹部を円形とすると、嵌合状態で回転させて、光ビームの放射方向を変化させることができる。また、凸部及び凹部を多角形とすると、光ビームの放射方向を固定することが容易となる。
【0035】
図7(a)は第4の実施形態にかかる発光装置の模式斜視図、図7(b)はA−A線に沿った模式断面図、である。
絶縁体40、41は、光ビーム39の出射側にレンズ60を有してもよい。例えば、レンズ60を凸レンズとすると、光ビーム39を集光し、微小スポットとすることができる。このようなレンズは、ガラスまたは透明樹脂などからなる絶縁体40、41により一体成型可能である。さらに、絶縁体40、41の間に無反射コート層62を設けると、光ビーム39の光取り出し効率をより高めることができる。
【0036】
図8(a)および図8(b)は、第5の実施形態にかかる発光装置の模式斜視図である。
図8では、発光素子30は、45度間隔で8つ第1のプレート電極10の外周に沿って配置されている。他方、金属バンプ50は、45度間隔で8つ第2のプレート電極20の第3主面の外周に沿って配置されている。さらに、第2のプレート電極20の外縁20cと絶縁体40の内縁40aとが密着して接着される。
【0037】
続いて、図8(b)のように、8つの発光素子30と、8つの金属バンプ50と、を均等に接触させつつ、第1のプレート電極10の外縁10cと、絶縁体40の内縁40aとが密着して接着される。このようにして、光ビーム39を水平面内で放射状に出射可能な発光装置とすることができる。
【0038】
図9(a)〜(e)は、第6の実施形態にかかる発光装置の模式図である。
絶縁体40の窓部42の内部、窓部42の隣接部のいずれかに蛍光体70を分散して配置する。図9(a)は、組立前の模式斜視図である。蛍光体70は、発光素子30からの光ビームを吸収し、光ビームの波長よりも長い波長の光を放出する。例えば光ビームの波長を紫外光〜青色光の範囲とし、蛍光体70として赤色蛍光体、緑色蛍光体、及び青色蛍光体(励起光ビームが紫外光の場合)を含むものとすると、混合光として白色光を放出可能となる。
【0039】
蛍光体70は、図9(b)では絶縁体40に設けられた窓部42の外側、図9(c)では絶縁体40の内部、図9(d)では絶縁体40の内側、にそれぞれ接触して設けられる。つまり、図9(b)及び図9(d)に表した具体例においては、蛍光体70は、窓部42に隣接して設けられている。このようにすると、光ビームにより照射された蛍光体70からの放出光は、光の広がりが抑制されるので小さい光学系でも集光が容易である。図9(b)〜(d)に示す発光装置を、例えば導光板の側面に配列すると、画像表示装置のバックライト光源とすることができる。この場合、発光装置を回転することにより光ビームの出射方向を容易に変化させることができる。
【0040】
また、図9(e)のように、窓部42を小さくすると生成された混合光が、小さな窓部42から内部に戻ることを抑制でき、光取り出し効率を高めることができる。なお、励起光が紫外光の場合、絶縁体40の窓部42以外の側面に紫外光反射膜や紫外光吸収膜を設けると、外部に出射する紫外光を抑制でき、眼を保護できる。
【0041】
図10(a)〜(f)は、第7の実施形態にかかる発光装置の模式斜視図である。 図10(a)〜(c)において、プレート電極80、84は、円柱を縦方向に切断した形状とする。図10(a)のように、第1のプレート電極80に発光素子30を接着する。この場合、サブマウント38を用いても良い。第1及び第2のプレート電極80、84の間に、発光素子30の3つの側面を囲み、他の1つの側面からの光ビーム39を遮光しないよう開口部を設けた絶縁体82を配置する。さらに、発光素子30の一方の電極と、第2のプレート電極84との間に金属バンプ50を配置する。図10(c)のように、第1及び第2のプレート電極80、84の外縁と、絶縁体(ガラスキャップ)40と、をそれぞれ接着する。このようにすると、光ビーム39は、第1及び第2のプレート電極80、84の間から、ガラスキャップの上面方向に向かって放出される。
【0042】
また、図10(d)から(f)において、プレート電極80、84は、円柱を縦方向に切断し形状とする。第1及び第2のプレート電極80、84の間に、発光素子30の3つの側面を囲み、他の1つの側面からの光ビーム39を遮光しないよう開口部を設けた絶縁体83を配置する。第1及び第2のプレート電極80、84の外縁と、絶縁体(ガラスキャップ)40と、をそれぞれ接着する。このようにすると、光ビーム39は、第1及び第2のプレート電極80、84の間から、ガラスキャップの側面方向に向かって放出される。なお、ガラスキャップは窓部を含み、窓部の内部、窓部の隣接部、の少なくともいずれかに蛍光体を設けてもよい。
【0043】
第1〜第7の実施形態にかかる発光装置は、放熱性が改善されるので高輝度化が容易となる。また、照明装置や表示装置への実装が容易である。さらに、その製造方法は量産性に富み、結果として価格を低減できる。
【0044】
図11は、本実施形態にかかる発光装置を用いた線状光源の模式断面図である。発光装置5は、線状光源を構成する導光板90の側面へ光を入射する。導光板90の下面には反射板92が設けられ、導光板90の上面には光拡散板94が設けられている。半値全角が狭い光ビームは導光板90の内部を進みつつ、光拡散板94の上方へ向かって放出光Gとして出射可能とされ、線状光源として用いることができる。
【0045】
この場合、発光装置5が白色光を放出すれば線状光源をそのまま画像表示装置のバックライト光源として用いることができる。また、発光装置5からの光ビームを励起光として用い、蛍光体を導光板90の上方に設けても、白色光を得ることができる。このように、線状光源はバックライト光源や自動車用フォグランプなどに使用することができる。
【0046】
本実施形態において、発光装置5の第1のプレート電極10は金属ブロック95に取り付け可能である。また、第2のプレート電極20は金属ブロック96に取り付け可能である。すなわち、発光素子30での発生熱は上方および下方へ向かう放熱路HFを経由して放熱可能である。他方、CAN型パッケージでは細いリードが放熱路となるので、放熱が十分ではなく高輝度とすることが困難である。本実施形態にかかる発光装置を用いた照明装置や表示装置では、放熱性の改善により高電流動作が容易であり、信頼性を保ちつつ、高輝度を得ることができる。
【0047】
図12(a)は第8の実施形態にかかる発光装置の模式斜視図、図12(b)はB−B線に沿った模式断面図、図12(c)は第1変形例の模式断面図、図12(d)は第2変形例の模式断面図、である。
図12(a)は、第2のプレート電極20の一部を切断した模式斜視図である。絶縁体40は、窓部43と、窓部以外の部分40aと、が一体化されている。窓部以外の部分40aの厚さは、例えば、T1やT2などとするが、一定の厚さ(T1=T2など)であってもよい。窓部43の厚さT3は、窓部以外の部分40aの厚さT1、T2よりも大きくする。また、絶縁体40は、第1のプレート電極10の第1主面10aと、第2のプレート電極20の第3主面20aと、に接触しつつ挟持される。また、窓部43は光軸37方向に沿って外側に延在している。
【0048】
LDからの光ビームは、水平方向に約15度、垂直方向に約30度の半値全角となるGaussian beamで近似される。LDの端面と、窓部43の外側面43bとの距離は、例えば0.05mmとする。また、窓部43は、光ビーム39の光軸37に沿った厚さT3が4mmとする。この場合、光ビーム39の半値全角は、窓部43のの外側面43bにおいて、垂直方向に約2.4mm、水平方向に1.2mm、にそれぞれ広がる。このため、光ビーム39の光密度は、窓部43の内側面43aよりも窓部43の外側面43bにおいて小さくできる。なお、絶縁体40を、低融点ガラスとすると、光ビームによる劣化(変色など)を抑制することが容易である。
【0049】
この場合、絶縁体40の窓部以外の部分40aが光ビーム39を散乱または遮光すると、外部への不要なレーザ光放出を抑制できる。すなわち、窓部以外の部分40aに、レーザ光を散乱するための光拡散剤や蛍光体粒子を配置するか、外側面に遮光膜を設けるか、表面にフロスト面を設けるか、などとすることによりレーザ光阻止層70として機能させればよい。また、図12(c)の第1変形例および図12(d)の第2変形例のように、第1のプレート電極10の外縁または第2のプレート電極20の外縁が、絶縁体40の一部よりも外側に位置してもよい。
【0050】
図13(a)は第9の実施形態にかかる発光装置の模式斜視図、図13(b)はその変形例にかかる発光装置の模式斜視図、である。
図13(a)において、窓部43は、光ビーム39をコリメート可能なレンズとすることができる。光ビーム39は垂直方向の広がり角が水平方向の広がり角よりも大きいので、例えばシリンドリカルレンズのように、外方に向かって凸となる垂直断面を有する柱状のレンズとすると光ビーム39をコリメートすることが容易となり、発光照明装置などの小型化が可能である。また、非球面レンズでもよい。
【0051】
また、図13(b)のように、窓部42の外側面42cにフレネルレンズパターン42aを設けても、光ビームをコリメートすることができる。
【0052】
図14(a)は第10の実施形態にかかる発光装置の模式斜視図、図14(b)はB−B線に沿った模式断面図、図14(c)はC−C線に沿った模式断面図、図14(d)はその第1変形例の模式断面図、図14(e)はC−C線に沿った第1変形例の模式断面図、図14(f)は第2変形例の模式断面図、図14(g)はC−C線に沿った第2変形例の模式断面図、である。絶縁体40は、窓部43と、窓部以外の部分40aと、が一体化されている。また、絶縁体40は、第1のプレート電極10の第1主面10aと、第2のプレート電極20の第3主面20aと、に接触しつつ挟持される。窓部43の側面は、外方に向かって断面積を狭くするようなテーパー部を有する。このようにすると、光ビーム39の光密度が、窓部43の内側面43aよりも窓部43のテーパー部の外側面43bにおいて小さくできる。また、図14(d)、(e)の第1変形例および図14(f)、(g)の第2変形例のように、第1のプレート電極10の外縁および第2のプレート電極20の外縁が絶縁体40の一部よりも外側に位置してもよい。
【0053】
図15(a)は第8の実施形態にかかる発光装置を用いた線状発光照明装置の模式断面図、図15(b)は第8の実施形態の第1変形例にかかる発光装置を用いた線状発光照明装置の模式断面図、図15(c)は第10の実施形態にかかる発光装置を用いた線状発光照明装置の模式断面図、である。
図15(a)の発光装置5は、図12(a)、(b)の第8実施形態の発光装置である。また、図15(b)の発光装置5は、図14(a)、(b)の第10実施形態の発光装置である。窓部43は、矩形断面を有し、導光体91に設けられた凹部と嵌合される。窓部43と凹部とが密着している場合、窓部43の上面、下面、および両側面、から、導光体91へ光密度が低減された光が入射される。
【0054】
また、図15(c)の発光装置5は、図14(b)の第10実施形態の発光装置である。この場合、テーパー部が設けられているので、窓部43と導光体91に設けられた凹部の表面との間に空気などの隙間を生じても、テーパー部の表面から光密度が低減された光が、より確実に導光体91へ入射する。 この場合、光ビーム39の光密度は十分に低下するので、たとえ導光体91が樹脂であっても変色などの劣化が抑制可能である。また、十分な光結合効率を確保し、かつ発光照明装置のコスト低減が容易である。
【0055】
図16(a)は第11の実施形態にかかる発光装置の模式斜視図、図16(b)は線状発光照明装置の模式斜視図、である。
絶縁体40は、窓部42と、窓部以外の部分40a、とが一体化されている。絶縁体40の窓部以外の部分40aは、光ビームを遮光または散乱可能であり、不要な輻射を低減し安全性を高めることができる。この場合、側面をすべて透明にするよりも、窓部42の表面42tのみを透明にする方が製造工程が簡単である。図16 (b)では、発光装置5の絶縁体40の窓部以外の部分40aの内面または外面蛍光体粒子などを含むレーザ光阻止層70を設ける。このようにすると、発光装置5のパッケージの表面も発光可能な線状発光照明装置とすることができる。この場合、絶縁体40のレーザ光阻止層70は、光ビームを遮光または散乱可能であるので、安全を確保するのが容易である。
【0056】
以上、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかしながら、本発明は、これらの実施形態に限定されない。本発明を構成するプレート電極、発光素子、絶縁体、蛍光体、金属バンプなどの材質、形状、サイズ、配置などに関して、当業者が各種設計変更を行ったものであっても、本発明の主旨を逸脱しない限り、本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0057】
5 発光装置、10、80 第1のプレート電極、20、84 第2のプレート電極、30 発光素子、31 半導体積層体、32 第1電極、34 第2電極、36 発光層、37 光軸、39 光ビーム、40、44 絶縁体、42、43 窓部、50 金属バンプ、70 蛍光体
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電極が上面および下面に設けられた表面発光型の発光素子は、放出光の一部が上面または下面の電極により遮光される。また、熱伝導による放熱も下面に限られるため、放熱性が悪く、電流密度の増大には限界がある。このために、高輝度にするには大面積チップとすることが必要になる。
【0003】
また、表面発光型の発光素子は、Lambertian放射パターンを有しており、その半値全角は、例えば120度のように広くなる。このため、放出光を絞り込むことが困難である。
【0004】
これに対して、端面放射型の半導体レーザ(Semiconductor Laser、 Diode Laser、 Laser Diode :LD)は、微小な側面の点(導波路端)から鋭い指向性の光ビームを放出できる。この特性を活かして、CD/DVD/Blue-Rayなどの光ディスク装置、高速動作による光ファイバ通信機器、などに応用される。 この場合、光ビームを単一横モードの微小スポットに光学的に絞り、微小スポットの読み出しや光ファイバへの結合を行うので、基本的に高価な光学系を用いることになる。
【0005】
このような鋭い指向性の光ビームを有するLDは、線状光源に応用可能である。線状光源では、例えば、LDからの光ビームが、導光体の一方の端面側から入射され、下面で反射されつつ上面方向に出射される。この出射光ビームを吸収した発光体は可視光を放出できる。このような線状光源は、自動車用フォグランプ、表示装置のバックライト光源、などに用いることができる。また、LDはスキャン型光源としても応用可能である。例えば、光ビームをスキャンするプロジェクション型ディスプレイ装置に用いることができる。線状光源やスキャン型光源の場合、LDはマルチ横モード動作でも良い。したがって、その光学系はそれほど微小である必要はない。
【0006】
このような線状光源やプロジェクション型ディスプレイ装置の用途には、小型、放熱性および実装性に優れ、かつ量産性に富むパッケージを用いた発光装置が必要である。
【0007】
特許文献1では、発光特性が劣化せず、生産性のよいLEDが開示されている。この例では、LED(Light Emitting Diode)チップは、1対のリード部より挟持されている。また、ガラス材がLEDチップに対して非接触となるようにその周囲を包囲して設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−333014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
放熱性が改善され、照明装置などへの実装が容易な発光装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様によれば、第1主面と、前記第1主面とは反対側の第2主面と、を有する第1のプレート電極と、第3主面と、前記第3主面とは反対側の第4主面と、を有する第2のプレート電極と、前記第1主面と前記第3主面との間に配置された発光素子であって、前記第1主面と対向し前記第1主面よりも小さい第5主面と前記第3主面と対向し前記第3主面よりも小さい第6主面とを有し発光層を含む半導体積層体と、前記第5主面に設けられた第1電極と、前記第6主面に設けられた第2電極と、を有し、前記発光層から放出される光ビームの光軸が前記第5主面と前記第6主面との間の前記半導体積層体の側面に対して垂直とされた発光素子と、前記第1のプレート電極と前記第2のプレート電極とに接触して設けられた絶縁体と、を備え、前記光ビームは、前記光軸に沿って前記第1主面と前記第3主面との間から外方に放出可能とされたことを特徴とする発光装置が提供される。
【0011】
本発明の他の一態様によれば、第1主面と、前記第1主面とは反対側の第2主面と、を有する第1のプレート電極と、第3主面と、前記第3主面とは反対側の第4主面と、を有する第2のプレート電極と、前記第1主面と前記第3主面との間に配置された発光素子であって、前記第1主面と対向し前記第1主面よりも小さい第5主面と前記第3主面と対向し前記第3主面よりも小さい第6主面とを有し発光層を含む半導体積層体と、前記第5主面に設けられた第1電極と、前記第6主面に設けられた第2電極と、を有し、前記発光層から放出される光ビームの光軸が前記第5主面と前記第6主面との間の前記半導体積層体の側面に対して垂直とされた発光素子と、前記第1のプレート電極と前記第2のプレート電極とに接触して設けられ、前記光軸上に形成された窓部を有する絶縁体と、を備え、前記光ビームは、前記窓部を通過し外方に放出可能とされたことを特徴とする発光装置が提供される。
【発明の効果】
【0012】
放熱性が改善され、照明装置などへの実装が容易な発光装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1(a)は本発明の第1の実施形態にかかる発光装置の模式斜視図、図1(b)は発光素子の模式斜視図、である。
【図2】図2(a)〜(d)は、発光装置の組立工程を説明する模式図である。
【図3】図3(a)および(b)は、プレート電極と絶縁体との密着構造を示す模式断面図である。
【図4】図4(a)および(b)は、光ビームの出射方向を示す模式断面図である。
【図5】第2の実施形態にかかる発光装置及びその変形例の模式断面図である。
【図6】図6(a)は第3の実施形態にかかる発光装置の模式斜視図、図6(b)は模式断面図、である。
【図7】図7(a)は第4の実施形態にかかる発光装置の模式斜視図、図7(b)はA−A線に沿った模式断面図、である。
【図8】図8(a)および図8(b)は、第5の実施形態にかかる発光装置の模式斜視図である。
【図9】図9(a)〜(e)は、第6の実施形態にかかる発光装置の模式図である。
【図10】図10(a)〜(f)は、第7の実施形態にかかる発光装置の模式斜視図である。
【図11】本実施形態にかかる発光装置を用いた線状光源の模式断面図である。
【図12】図12(a)は第8の実施形態にかかる発光装置の模式斜視図、図12(b)はB−B線に沿った模式断面図、図12(c)は第1変形例の模式断面図、図12(d)は第2変形例の模式断面図、である。
【図13】図13(a)は第9の実施形態にかかる発光装置の模式斜視図、図13(b)はその変形例の模式斜視図、である。
【図14】図14(a)は第10の実施形態にかかる発光装置の模式斜視図、図14(b)はB−B線に沿った模式断面図、図14(c)はC−C線に沿った模式断面図、図14(d)は第1変形例の模式断面図、図14(e)はC−Cに沿った第1変形例の模式断面図、図14(f)は第2変形例の模式断面図、図14(g)はC−C線に沿った第2変形例の模式断面図、である。
【図15】図15(a)は第8の実施形態の発光装置を用いた線状発光照明装置の模式断面図、図15(b)は第1変形例の発光装置を用いた線状発光照明装置の模式断面図、図15(c)は第10の実施形態の発光装置を用いた線状発光照明装置の模式断面図、である。
【図16】図16(a)は第11の実施形態にかかる発光装置の模式斜視図、図16(b)は線状発光照明装置の模式斜視図、である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。
図1(a)は本発明の第1の実施形態にかかる発光装置の模式斜視図、図1(b)はこれに用いる発光素子の模式斜視図、である。
発光装置5は、第1のプレート電極10、第2のプレート電極20、第1のプレート電極10と第2のプレート電極20とに挟持された発光素子30、および第1のプレート電極10および第2のプレート電極20にそれぞれ接触した絶縁体40、を有している。
【0015】
金属からなる第1のプレート電極10は、第1主面10aと、第1主面10aとは反対側の第2主面10bと、を有する。また、金属からなる第2のプレート電極20は、第3主面20aと、第3主面20aとは反対側の第4主面20bと、を有する。
【0016】
発光素子30は、発光層36を有する半導体積層体31、第1電極32、および第2電極34、を有している。第1電極32は、第1のプレート電極10の第1主面10aと対向し第1主面10aよりも小さい半導体積層体31の第5主面31aに設けられている。また、第2電極34は、第2のプレート電極20の第3主面20aと対向し第3主面20aよりも小さい半導体積層体31の第6主面31bに設けられている。すなわち、発光素子30は、第1のプレート電極10の第1主面10aと、第2のプレート電極20の第3主面20aとの間に挟持されており、第1のプレート電極10の第2主面10bと、第2のプレート電極20の第4主面20bと、の間に順方向電圧を印加することにより発光可能である。
【0017】
また、発光素子30は、第5主面31aと、第6主面31bと、の間に4つの側面を有している。発光層36の端部36aは半導体積層体31の側面のうちの1つの側面31cの一部を構成する。また、発光層36は、側面31cに対して垂直方向に光軸37を有する。発光素子30を、端面発光型のLDやLEDとすると、その放出光(光ビーム)の強度は、光軸37の上で最大となるが、光軸37から離間した半導体積層体31の第5主面31aおよび第6主面31bの側では極めて低くなる。なお、端面発光型のLDまたはLEDは、対向する2つの端面が光共振器を構成する。この場合、例えば、光出射面とする前面の光反射率を20%以下、光反射面とする後面の光反射率を90%以上とすると、光出射面側において、より高い光出力を得ることができる。
【0018】
絶縁体40は、第1のプレート電極10と第2のプレート電極20とに接触して設けられている。具体的には、絶縁体40は、第1主面10aおよび第2主面10b、または第1のプレート電極10の外縁10cおよび第2のプレート電極20の外縁20c、に接触して設けられる。光ビーム39は、外縁10c、20cの外方に向かって放出可能とされる。つまり、光ビーム39は、第1主面10aと第3主面20aとの間から外方に放出される。絶縁体40としては、SiO2、B2O3系からなる低融点ガラス、樹脂、セラミックなどとすることができる。絶縁体40を第1のプレート電極10の外縁10cおよび第2のプレート電極20の外縁20cにそれぞれ接触して設け、絶縁体40をガラスや透明樹脂層などとすると、光ビーム39は絶縁体40の内部を通過し外側に向かって放出される。もし絶縁体40が遮光部を含む場合は、光ビーム39に沿って窓部を設ければよい。さらに、絶縁体40を第1主面10aおよび第2主面20aにそれぞれ接触して設ける場合でも、光ビーム39は絶縁体40に遮られずに外側に向かって出射可能である。
【0019】
発光素子30のpn接合の順方向に電圧が印加され、発光層36にホールと電子が注入されると、発光再結合を生じる。pn接合において発生した熱は、第1および第2のプレート電極10、20から放熱される。第1および第2のプレート電極10、20は、発光素子30の第5および第6の主面31a、31bよりも大きいので、外部の放熱板までの熱抵抗を低減することが容易である。
【0020】
第1および第2のプレート電極10、20の形状は、円盤、矩形、多角形、などの形状とすることができる。この場合、上方からみてそれぞれの中心の位置を一致させると、組立工程が簡素である。また、例えば、中心の位置が一致し、直径が同一の円盤形状のプレート電極とすると、プレート電極の中心を軸として発光装置を回転することにより光ビーム39の出射方向を調整することが容易となる。さらに、発光装置の組立工程、照明装置への実装工程、などが容易になる。
【0021】
一般に、光ディスク駆動装置用のLDには、例えば直径が5.6mmのCAN型パッケージが用いられる。CAN型パッケージでは、接続端子が、例えば直径0.45mmの金属リードとされる。このために、pn接合で発生した熱が細いリードから主として放熱されることなり、pn接合の温度上昇が大きくなる。また、実装基板への取り付けや光出射方向の調整が容易ではない。さらに、CAN型発光装置の製造工程の量産性は十分とは言えず、価格の低減が困難である。これに対して、本実施形態は、パッケージ構造が簡素であり、放熱性が改善され、基板への実装が容易である。また、CAN型発光装置の製造工程の量産性を高めることができ、結果として価格の低減が容易である。
【0022】
発光素子30は、InGaAlN系、InAlGaP系、GaAlAs系、などの材料からなり、端面発光型のLDまたはLEDとする。
なお、本明細書において、InGaAlN系とは、InxGayAl1−x−yN(0≦x≦1、0≦y≦1)なる組成式で表され、アクセプタやドナーとなる元素を含んでもよいものとする。また、Inx(AlyGa1−y)1−xP(0≦x≦1、0≦y≦1)なる組成式で表され、アクセプタやドナーとなる元素を含んでもよいものとする。さらに、AlGaAs系とは、AlxGa1−xAs(0≦x≦1)なる組成式で表され、アクセプタやドナーを含んでもよいものとする。
【0023】
図2(a)〜(d)は、発光装置の組立工程を説明する模式斜視図である。
図2(a)のように、第2のプレート電極20の第3主面20aに、半田ボールやAuボールからなる金属バンプ50を形成する。なお、Auボンディングワイヤの先端に放電などで形成されるボールでもよい。金属バンプ50を用いることにより、ワイヤボンディング工程のような高い精度を必要としないので組立工程が容易となる。また、発光素子30と、第1または第2のプレート電極10、20との間の機械的応力を緩和することが容易となる。なお、第1および第2のプレート電極10、20は、例えば銅、FeNi系コバール金属、ジュメット線(銅被覆ニッケル鋼線)などとすることができる。
【0024】
他方、図2(b)のように、第1のプレート電極10の第1主面10aに、接着剤や半田材などを用い、サブマント38を介して発光素子30を接着する。この場合、発光素子30をまずサブマウント38に接着してもよいし、第1のプレート電極10に接着されたサブマント38上に発光素子30を接着してもよい。なお、サブマント38を介さずに発光素子30を第1のプレート電極10に接着することもできる。しかし、AlNやAl2O3などのセラミックからなるサブマウント38を用いると、第1のプレート電極10や第2のプレート電極20の熱膨張率と、発光素子30との熱膨張率と、の差により生じる応力を低減でき、信頼性が改善される。
【0025】
続いて、図2(c)のように、第2のプレート電極20と、ガラスやセラミックなどからなる絶縁体40と、を接着する。この場合、例えば、レーザー封着工程を用いると、第2のプレート電極20の外縁20cと、絶縁体40の内縁40aと、密着して封止することが容易となる。
【0026】
さらに、図2(d)のように、金属バンプ50が発光素子30の第2電極34と確実に接触するまで、絶縁体40を第1のプレート電極10に近接させる。第1のプレート電極10と、第2のプレート電極20と、が所定の位置を保った状態で、第1のプレート電極10の外縁10cと、絶縁体40の内縁40aと、をレーザ封着工程などを用いて密着して封止する。
【0027】
なお、発光素子30からの光ビーム39の波長が紫外光〜青紫光の波長範囲である場合、フォトンエネルギーが高く、樹脂などの有機物を分解し発光端面に付着させる現象を生じやすい。ガラスなどの絶縁体40を用いて封止し、内部に不活性ガス、乾燥窒素、あるいは乾燥空気など、を充填すると、外部からの有機物による汚染を抑制し発光素子30の劣化を抑制できる。このため、長期信頼性を改善することができる。
【0028】
また、第1のプレート電極10の第1主面10aに切り欠き状に溝部10dを設けると、第1主面10aによる光ビーム39の「ケラレ」を低減することができる。同様に、第2のプレート電極20の第3主面20aに、溝部20dを設けると。第3主面20aによるケラレを低減できる。なお、「ケラレ」とは、光ビーム39が第1または第2のプレート電極10、20を照射し、反射により所望の方向へ進行しないことを意味するものとする。
【0029】
図3(a)および(b)は、プレート電極と絶縁体との密着構造の模式断面図である。
図3(a)では、第1および第2のプレート電極10、20には、切り欠き状の溝部が設けられ、ガラスなどからなる絶縁体40と接着されている。また、図3(b)では、第1および第2のプレート電極10、20は、ガラスの端面を覆うように接着されている。このようにして、プレート電極とガラスとの間で、密着強度を高めることができる。
【0030】
図4(a)および(b)は光ビームの出射方向を示す模式断面図である。
端面発光型のLDやLEDの光ビーム39の広がり角は面発光型発光素子よりも狭くすることが容易である。しかし、例えばLDの場合、第5および第6の主面31a、31bに垂直な方向へのビーム広がり角(半値全角)は、例えば20〜50度の範囲である。図4(a)のように、例えば第2のプレート電極20の第3主面20aを斜めにカットすると(20e)、第1または第2のプレート電極10、20による光ビーム39のケラレを低減できる。なお、絶縁体40が遮光性材料であっても、光ビーム39が通過可能な透明材料からなる窓部42を光軸37に沿って設ければよい。絶縁体40がガラスのような透明材料であれば、光軸に沿った領域が窓部として機能する。
【0031】
また、図4(b)のように、発光素子30を第1のプレート電極10の第1主面10aおよび第2のプレート電極20の第3主面20aの上で外縁10c、20c側に偏在させても、第1および第2のプレート電極10、20による光ビーム39のケラレを低減できる。
【0032】
図5(a)は第2の実施形態にかかる発光装置の模式断面図、図5(b)及び(c)はその変形例の模式断面図、である。
図5(a)のように、発光素子30を偏在させてできたスペースに、第1および第2のプレート電極10、20に接触するように第2の絶縁体44を設ける。すなわち、第1および第2のプレート電極10、20は、第2の絶縁体44にそれぞれ接触するように設けられる。この場合、第2の絶縁体44の高さを、発光素子30の高さよりも大きくし、発光素子30の第1電極32と第1のプレート電極10との間、発光素子30の第2電極34と第2のプレート電極20との間、の少なくともいずれかの間隙に、半田ボールや金ボールのような金属バンプ50を設けてもよい。なお、絶縁体44を円環状とし、その内部に発光素子30を設けてもよい。このようにすると、熱的および機械的応力を緩和しつつ確実な電気的接続を保ち、かつ熱伝導を改善できる。なお、第1のプレート電極10の外縁10cおよび第2のプレート電極20の外縁20cと絶縁体40の内縁40aとを接着し封止すると、発光装置の信頼性をさらに高めることができる。
【0033】
図5(b)の変形例では、絶縁体44と第2のプレート電極20との間に段差を有する金属体45が配置される。段差が設けられた面と発光素子30の電極とをボンディングワイヤ46で接続可能である。また、金属体45の代わりに、絶縁体からなり、その表面にメッキなどにより導電層を設けたものを用いることができる。図5(c)の変形例では、絶縁体44と第2のプレート電極20との間に導電プレート47を挟む。導電プレート47が有する曲げバネ性により発光素子30を圧接しつつ電気的接続を保つことができる。
【0034】
図6(a)は第3の実施形態にかかる発光装置の模式図、図6(b)は模式断面図、である。
図6(a)では、第1のプレート電極10は第2主面10bに凸部11を有している。また、第2のプレート電極20は第4の主面20bに凸部21を有している。凸部11、21は、取り付け側に凹部をそれぞれ設けると確実に固定、接触することができる。図6(b)では、第2主面10bに凹部、第4主面20bに凸部21、をそれぞれ設け、凹部と凸部とを嵌合する。このようにして、3つの発光装置5を直列接続している。直列接続の数は3つに限定されず、数を増やすとより高出力の光ビーム39を得ることが容易となる。なお、凸部及び凹部を円形とすると、嵌合状態で回転させて、光ビームの放射方向を変化させることができる。また、凸部及び凹部を多角形とすると、光ビームの放射方向を固定することが容易となる。
【0035】
図7(a)は第4の実施形態にかかる発光装置の模式斜視図、図7(b)はA−A線に沿った模式断面図、である。
絶縁体40、41は、光ビーム39の出射側にレンズ60を有してもよい。例えば、レンズ60を凸レンズとすると、光ビーム39を集光し、微小スポットとすることができる。このようなレンズは、ガラスまたは透明樹脂などからなる絶縁体40、41により一体成型可能である。さらに、絶縁体40、41の間に無反射コート層62を設けると、光ビーム39の光取り出し効率をより高めることができる。
【0036】
図8(a)および図8(b)は、第5の実施形態にかかる発光装置の模式斜視図である。
図8では、発光素子30は、45度間隔で8つ第1のプレート電極10の外周に沿って配置されている。他方、金属バンプ50は、45度間隔で8つ第2のプレート電極20の第3主面の外周に沿って配置されている。さらに、第2のプレート電極20の外縁20cと絶縁体40の内縁40aとが密着して接着される。
【0037】
続いて、図8(b)のように、8つの発光素子30と、8つの金属バンプ50と、を均等に接触させつつ、第1のプレート電極10の外縁10cと、絶縁体40の内縁40aとが密着して接着される。このようにして、光ビーム39を水平面内で放射状に出射可能な発光装置とすることができる。
【0038】
図9(a)〜(e)は、第6の実施形態にかかる発光装置の模式図である。
絶縁体40の窓部42の内部、窓部42の隣接部のいずれかに蛍光体70を分散して配置する。図9(a)は、組立前の模式斜視図である。蛍光体70は、発光素子30からの光ビームを吸収し、光ビームの波長よりも長い波長の光を放出する。例えば光ビームの波長を紫外光〜青色光の範囲とし、蛍光体70として赤色蛍光体、緑色蛍光体、及び青色蛍光体(励起光ビームが紫外光の場合)を含むものとすると、混合光として白色光を放出可能となる。
【0039】
蛍光体70は、図9(b)では絶縁体40に設けられた窓部42の外側、図9(c)では絶縁体40の内部、図9(d)では絶縁体40の内側、にそれぞれ接触して設けられる。つまり、図9(b)及び図9(d)に表した具体例においては、蛍光体70は、窓部42に隣接して設けられている。このようにすると、光ビームにより照射された蛍光体70からの放出光は、光の広がりが抑制されるので小さい光学系でも集光が容易である。図9(b)〜(d)に示す発光装置を、例えば導光板の側面に配列すると、画像表示装置のバックライト光源とすることができる。この場合、発光装置を回転することにより光ビームの出射方向を容易に変化させることができる。
【0040】
また、図9(e)のように、窓部42を小さくすると生成された混合光が、小さな窓部42から内部に戻ることを抑制でき、光取り出し効率を高めることができる。なお、励起光が紫外光の場合、絶縁体40の窓部42以外の側面に紫外光反射膜や紫外光吸収膜を設けると、外部に出射する紫外光を抑制でき、眼を保護できる。
【0041】
図10(a)〜(f)は、第7の実施形態にかかる発光装置の模式斜視図である。 図10(a)〜(c)において、プレート電極80、84は、円柱を縦方向に切断した形状とする。図10(a)のように、第1のプレート電極80に発光素子30を接着する。この場合、サブマウント38を用いても良い。第1及び第2のプレート電極80、84の間に、発光素子30の3つの側面を囲み、他の1つの側面からの光ビーム39を遮光しないよう開口部を設けた絶縁体82を配置する。さらに、発光素子30の一方の電極と、第2のプレート電極84との間に金属バンプ50を配置する。図10(c)のように、第1及び第2のプレート電極80、84の外縁と、絶縁体(ガラスキャップ)40と、をそれぞれ接着する。このようにすると、光ビーム39は、第1及び第2のプレート電極80、84の間から、ガラスキャップの上面方向に向かって放出される。
【0042】
また、図10(d)から(f)において、プレート電極80、84は、円柱を縦方向に切断し形状とする。第1及び第2のプレート電極80、84の間に、発光素子30の3つの側面を囲み、他の1つの側面からの光ビーム39を遮光しないよう開口部を設けた絶縁体83を配置する。第1及び第2のプレート電極80、84の外縁と、絶縁体(ガラスキャップ)40と、をそれぞれ接着する。このようにすると、光ビーム39は、第1及び第2のプレート電極80、84の間から、ガラスキャップの側面方向に向かって放出される。なお、ガラスキャップは窓部を含み、窓部の内部、窓部の隣接部、の少なくともいずれかに蛍光体を設けてもよい。
【0043】
第1〜第7の実施形態にかかる発光装置は、放熱性が改善されるので高輝度化が容易となる。また、照明装置や表示装置への実装が容易である。さらに、その製造方法は量産性に富み、結果として価格を低減できる。
【0044】
図11は、本実施形態にかかる発光装置を用いた線状光源の模式断面図である。発光装置5は、線状光源を構成する導光板90の側面へ光を入射する。導光板90の下面には反射板92が設けられ、導光板90の上面には光拡散板94が設けられている。半値全角が狭い光ビームは導光板90の内部を進みつつ、光拡散板94の上方へ向かって放出光Gとして出射可能とされ、線状光源として用いることができる。
【0045】
この場合、発光装置5が白色光を放出すれば線状光源をそのまま画像表示装置のバックライト光源として用いることができる。また、発光装置5からの光ビームを励起光として用い、蛍光体を導光板90の上方に設けても、白色光を得ることができる。このように、線状光源はバックライト光源や自動車用フォグランプなどに使用することができる。
【0046】
本実施形態において、発光装置5の第1のプレート電極10は金属ブロック95に取り付け可能である。また、第2のプレート電極20は金属ブロック96に取り付け可能である。すなわち、発光素子30での発生熱は上方および下方へ向かう放熱路HFを経由して放熱可能である。他方、CAN型パッケージでは細いリードが放熱路となるので、放熱が十分ではなく高輝度とすることが困難である。本実施形態にかかる発光装置を用いた照明装置や表示装置では、放熱性の改善により高電流動作が容易であり、信頼性を保ちつつ、高輝度を得ることができる。
【0047】
図12(a)は第8の実施形態にかかる発光装置の模式斜視図、図12(b)はB−B線に沿った模式断面図、図12(c)は第1変形例の模式断面図、図12(d)は第2変形例の模式断面図、である。
図12(a)は、第2のプレート電極20の一部を切断した模式斜視図である。絶縁体40は、窓部43と、窓部以外の部分40aと、が一体化されている。窓部以外の部分40aの厚さは、例えば、T1やT2などとするが、一定の厚さ(T1=T2など)であってもよい。窓部43の厚さT3は、窓部以外の部分40aの厚さT1、T2よりも大きくする。また、絶縁体40は、第1のプレート電極10の第1主面10aと、第2のプレート電極20の第3主面20aと、に接触しつつ挟持される。また、窓部43は光軸37方向に沿って外側に延在している。
【0048】
LDからの光ビームは、水平方向に約15度、垂直方向に約30度の半値全角となるGaussian beamで近似される。LDの端面と、窓部43の外側面43bとの距離は、例えば0.05mmとする。また、窓部43は、光ビーム39の光軸37に沿った厚さT3が4mmとする。この場合、光ビーム39の半値全角は、窓部43のの外側面43bにおいて、垂直方向に約2.4mm、水平方向に1.2mm、にそれぞれ広がる。このため、光ビーム39の光密度は、窓部43の内側面43aよりも窓部43の外側面43bにおいて小さくできる。なお、絶縁体40を、低融点ガラスとすると、光ビームによる劣化(変色など)を抑制することが容易である。
【0049】
この場合、絶縁体40の窓部以外の部分40aが光ビーム39を散乱または遮光すると、外部への不要なレーザ光放出を抑制できる。すなわち、窓部以外の部分40aに、レーザ光を散乱するための光拡散剤や蛍光体粒子を配置するか、外側面に遮光膜を設けるか、表面にフロスト面を設けるか、などとすることによりレーザ光阻止層70として機能させればよい。また、図12(c)の第1変形例および図12(d)の第2変形例のように、第1のプレート電極10の外縁または第2のプレート電極20の外縁が、絶縁体40の一部よりも外側に位置してもよい。
【0050】
図13(a)は第9の実施形態にかかる発光装置の模式斜視図、図13(b)はその変形例にかかる発光装置の模式斜視図、である。
図13(a)において、窓部43は、光ビーム39をコリメート可能なレンズとすることができる。光ビーム39は垂直方向の広がり角が水平方向の広がり角よりも大きいので、例えばシリンドリカルレンズのように、外方に向かって凸となる垂直断面を有する柱状のレンズとすると光ビーム39をコリメートすることが容易となり、発光照明装置などの小型化が可能である。また、非球面レンズでもよい。
【0051】
また、図13(b)のように、窓部42の外側面42cにフレネルレンズパターン42aを設けても、光ビームをコリメートすることができる。
【0052】
図14(a)は第10の実施形態にかかる発光装置の模式斜視図、図14(b)はB−B線に沿った模式断面図、図14(c)はC−C線に沿った模式断面図、図14(d)はその第1変形例の模式断面図、図14(e)はC−C線に沿った第1変形例の模式断面図、図14(f)は第2変形例の模式断面図、図14(g)はC−C線に沿った第2変形例の模式断面図、である。絶縁体40は、窓部43と、窓部以外の部分40aと、が一体化されている。また、絶縁体40は、第1のプレート電極10の第1主面10aと、第2のプレート電極20の第3主面20aと、に接触しつつ挟持される。窓部43の側面は、外方に向かって断面積を狭くするようなテーパー部を有する。このようにすると、光ビーム39の光密度が、窓部43の内側面43aよりも窓部43のテーパー部の外側面43bにおいて小さくできる。また、図14(d)、(e)の第1変形例および図14(f)、(g)の第2変形例のように、第1のプレート電極10の外縁および第2のプレート電極20の外縁が絶縁体40の一部よりも外側に位置してもよい。
【0053】
図15(a)は第8の実施形態にかかる発光装置を用いた線状発光照明装置の模式断面図、図15(b)は第8の実施形態の第1変形例にかかる発光装置を用いた線状発光照明装置の模式断面図、図15(c)は第10の実施形態にかかる発光装置を用いた線状発光照明装置の模式断面図、である。
図15(a)の発光装置5は、図12(a)、(b)の第8実施形態の発光装置である。また、図15(b)の発光装置5は、図14(a)、(b)の第10実施形態の発光装置である。窓部43は、矩形断面を有し、導光体91に設けられた凹部と嵌合される。窓部43と凹部とが密着している場合、窓部43の上面、下面、および両側面、から、導光体91へ光密度が低減された光が入射される。
【0054】
また、図15(c)の発光装置5は、図14(b)の第10実施形態の発光装置である。この場合、テーパー部が設けられているので、窓部43と導光体91に設けられた凹部の表面との間に空気などの隙間を生じても、テーパー部の表面から光密度が低減された光が、より確実に導光体91へ入射する。 この場合、光ビーム39の光密度は十分に低下するので、たとえ導光体91が樹脂であっても変色などの劣化が抑制可能である。また、十分な光結合効率を確保し、かつ発光照明装置のコスト低減が容易である。
【0055】
図16(a)は第11の実施形態にかかる発光装置の模式斜視図、図16(b)は線状発光照明装置の模式斜視図、である。
絶縁体40は、窓部42と、窓部以外の部分40a、とが一体化されている。絶縁体40の窓部以外の部分40aは、光ビームを遮光または散乱可能であり、不要な輻射を低減し安全性を高めることができる。この場合、側面をすべて透明にするよりも、窓部42の表面42tのみを透明にする方が製造工程が簡単である。図16 (b)では、発光装置5の絶縁体40の窓部以外の部分40aの内面または外面蛍光体粒子などを含むレーザ光阻止層70を設ける。このようにすると、発光装置5のパッケージの表面も発光可能な線状発光照明装置とすることができる。この場合、絶縁体40のレーザ光阻止層70は、光ビームを遮光または散乱可能であるので、安全を確保するのが容易である。
【0056】
以上、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明した。しかしながら、本発明は、これらの実施形態に限定されない。本発明を構成するプレート電極、発光素子、絶縁体、蛍光体、金属バンプなどの材質、形状、サイズ、配置などに関して、当業者が各種設計変更を行ったものであっても、本発明の主旨を逸脱しない限り、本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0057】
5 発光装置、10、80 第1のプレート電極、20、84 第2のプレート電極、30 発光素子、31 半導体積層体、32 第1電極、34 第2電極、36 発光層、37 光軸、39 光ビーム、40、44 絶縁体、42、43 窓部、50 金属バンプ、70 蛍光体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面と、前記第1主面とは反対側の第2主面と、を有する第1のプレート電極と、
第3主面と、前記第3主面とは反対側の第4主面と、を有する第2のプレート電極と、
前記第1主面と前記第3主面との間に配置された発光素子であって、前記第1主面と対向し前記第1主面よりも小さい第5主面と前記第3主面と対向し前記第3主面よりも小さい第6主面とを有し発光層を含む半導体積層体と、前記第5主面に設けられた第1電極と、前記第6主面に設けられた第2電極と、を有し、前記発光層から放出される光ビームの光軸が前記第5主面と前記第6主面との間の前記半導体積層体の側面に対して垂直とされた発光素子と、
前記第1のプレート電極と前記第2のプレート電極とに接触して設けられた絶縁体と、
を備え、
前記光ビームは、前記光軸に沿って前記第1主面と前記第3主面との間から外方に放出可能とされたことを特徴とする発光装置。
【請求項2】
第1主面と、前記第1主面とは反対側の第2主面と、を有する第1のプレート電極と、
第3主面と、前記第3主面とは反対側の第4主面と、を有する第2のプレート電極と、
前記第1主面と前記第3主面との間に配置された発光素子であって、前記第1主面と対向し前記第1主面よりも小さい第5主面と前記第3主面と対向し前記第3主面よりも小さい第6主面とを有し発光層を含む半導体積層体と、前記第5主面に設けられた第1電極と、前記第6主面に設けられた第2電極と、を有し、前記発光層から放出される光ビームの光軸が前記第5主面と前記第6主面との間の前記半導体積層体の側面に対して垂直とされた発光素子と、
前記第1のプレート電極と前記第2のプレート電極とに接触して設けられ、前記光軸上に形成された窓部を有する絶縁体と、
を備え、
前記光ビームは、前記窓部を通過し外方に放出可能とされたことを特徴とする発光装置。
【請求項3】
前記絶縁体は、前記第1主面と、前記第3主面と、の間に挟持され、
前記光軸に沿った前記窓部の厚さは、前記窓部以外の前記絶縁体の厚さよりも大きいことを特徴とする請求項2記載の発光装置。
【請求項4】
前記光ビームの光密度は、前記窓部の内側面よりも前記窓部の外側面において小さいことを特徴とする請求項2または3に記載の発光装置。
【請求項5】
前記窓部の外側面には、フレネルレンズが設けられたことを特徴とする請求項2記載の発光装置。
【請求項6】
前記絶縁体はガラスからなり、
前記窓部は、透光性を有し、かつ表面が平坦であり、
前記絶縁体のうち、前記窓部を除く部分は、遮光性を有するか、または前記光ビームを散乱することを特徴とする請求項2〜5のいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項7】
前記窓部の内部及び前記窓部の隣接部の少なくともいずれかに設けられ、前記発光素子からの前記光ビームを吸収して前記光ビームの波長よりも長い波長を有する光を放出可能な蛍光体をさらに備え、
前記蛍光体からの放出光は、前記窓部を通過して外方に放出可能とされたことを特徴とする請求項2〜6のいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項8】
前記発光素子の第1電極と前記第1のプレート電極との間、及び前記発光素子の第2電極と前記第2のプレート電極との間、の少なくともいずれかに設けられた金属バンプをさらに備えたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項9】
前記発光素子は、前記絶縁体と、前記第1のプレート電極と、前記第2のプレート電極と、により封止されてなることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項10】
前記第1のプレート電極および前記第2のプレート電極は、それぞれ円盤形状を有し、
前記第1主面に対して垂直な方向からみて前記第1のプレート電極の中心と、前記第2のプレート電極の中心と、は、一致することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項11】
前記第1のプレート電極の前記第2主面及び前記第2のプレート電極の前記第4主面の少なくともいずれかには、凹部または凸部が設けられたことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項1】
第1主面と、前記第1主面とは反対側の第2主面と、を有する第1のプレート電極と、
第3主面と、前記第3主面とは反対側の第4主面と、を有する第2のプレート電極と、
前記第1主面と前記第3主面との間に配置された発光素子であって、前記第1主面と対向し前記第1主面よりも小さい第5主面と前記第3主面と対向し前記第3主面よりも小さい第6主面とを有し発光層を含む半導体積層体と、前記第5主面に設けられた第1電極と、前記第6主面に設けられた第2電極と、を有し、前記発光層から放出される光ビームの光軸が前記第5主面と前記第6主面との間の前記半導体積層体の側面に対して垂直とされた発光素子と、
前記第1のプレート電極と前記第2のプレート電極とに接触して設けられた絶縁体と、
を備え、
前記光ビームは、前記光軸に沿って前記第1主面と前記第3主面との間から外方に放出可能とされたことを特徴とする発光装置。
【請求項2】
第1主面と、前記第1主面とは反対側の第2主面と、を有する第1のプレート電極と、
第3主面と、前記第3主面とは反対側の第4主面と、を有する第2のプレート電極と、
前記第1主面と前記第3主面との間に配置された発光素子であって、前記第1主面と対向し前記第1主面よりも小さい第5主面と前記第3主面と対向し前記第3主面よりも小さい第6主面とを有し発光層を含む半導体積層体と、前記第5主面に設けられた第1電極と、前記第6主面に設けられた第2電極と、を有し、前記発光層から放出される光ビームの光軸が前記第5主面と前記第6主面との間の前記半導体積層体の側面に対して垂直とされた発光素子と、
前記第1のプレート電極と前記第2のプレート電極とに接触して設けられ、前記光軸上に形成された窓部を有する絶縁体と、
を備え、
前記光ビームは、前記窓部を通過し外方に放出可能とされたことを特徴とする発光装置。
【請求項3】
前記絶縁体は、前記第1主面と、前記第3主面と、の間に挟持され、
前記光軸に沿った前記窓部の厚さは、前記窓部以外の前記絶縁体の厚さよりも大きいことを特徴とする請求項2記載の発光装置。
【請求項4】
前記光ビームの光密度は、前記窓部の内側面よりも前記窓部の外側面において小さいことを特徴とする請求項2または3に記載の発光装置。
【請求項5】
前記窓部の外側面には、フレネルレンズが設けられたことを特徴とする請求項2記載の発光装置。
【請求項6】
前記絶縁体はガラスからなり、
前記窓部は、透光性を有し、かつ表面が平坦であり、
前記絶縁体のうち、前記窓部を除く部分は、遮光性を有するか、または前記光ビームを散乱することを特徴とする請求項2〜5のいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項7】
前記窓部の内部及び前記窓部の隣接部の少なくともいずれかに設けられ、前記発光素子からの前記光ビームを吸収して前記光ビームの波長よりも長い波長を有する光を放出可能な蛍光体をさらに備え、
前記蛍光体からの放出光は、前記窓部を通過して外方に放出可能とされたことを特徴とする請求項2〜6のいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項8】
前記発光素子の第1電極と前記第1のプレート電極との間、及び前記発光素子の第2電極と前記第2のプレート電極との間、の少なくともいずれかに設けられた金属バンプをさらに備えたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項9】
前記発光素子は、前記絶縁体と、前記第1のプレート電極と、前記第2のプレート電極と、により封止されてなることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項10】
前記第1のプレート電極および前記第2のプレート電極は、それぞれ円盤形状を有し、
前記第1主面に対して垂直な方向からみて前記第1のプレート電極の中心と、前記第2のプレート電極の中心と、は、一致することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の発光装置。
【請求項11】
前記第1のプレート電極の前記第2主面及び前記第2のプレート電極の前記第4主面の少なくともいずれかには、凹部または凸部が設けられたことを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載の発光装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
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【図11】
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【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−243951(P2011−243951A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−60639(P2011−60639)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000111672)ハリソン東芝ライティング株式会社 (995)
【Fターム(参考)】
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