説明

発泡可能なポリマー組成物の製造方法、それに基づく発泡ポリマー組成物の製造方法、発泡ポリマー組成物およびそれを備えた接着テープ

【課題】マイクロバルーンにより形成されたのではない中空空間を有さない発泡ポリマー組成物、好ましくは自己接着剤を提供する。
【解決手段】膨張可能な微小中空球を使用した発泡ポリマー組成物の製造方法であって、第1のプロセスラインでは、1種または複数の使用すべきポリマーの少なくとも主な部分が属する第1の出発物質が予備混合物へと混合および脱ガスされ、その後、この予備混合物が加圧され、その圧力は、この圧力と予備混合物の温度との組合せが、使用すべき微小中空球の膨張を誘発する臨界点にある圧力および温度の組合せより下にあるような圧力であり、第2のプロセスラインでは、使用すべき微小中空球が属する第2の出発物質が脱ガスされ、その後、第2のプロセスラインで処理された第2の出発物質が、第1のプロセスラインで製造された予備混合物に添加され、その後、第2の出発物質が予備混合物と混合される方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微小中空ポリマー球の膨張により発泡したポリマー組成物の製造方法およびそのような発泡ポリマー組成物を教示する。その際、粘弾性で、さらに好ましくは永久接着性の発泡ポリマー組成物およびその製造方法が焦点となっている。さらに本発明は、このような発泡ポリマー組成物を支持体中に、および/または1つもしくは2つの表面に配置された永久接着層中に含む接着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリマー組成物の発泡に関しては、微小中空ポリマー球、いわゆるマイクロバルーンを用いることが、とりわけ知られている。マイクロバルーンは、自前のポリマーシェルを備えており、このポリマーシェルの中には液体が含まれており、この液体は、一般的には熱供給または熱生成による処理ステップで気相へと膨張し、これと同時にポリマーシェルは、それによって閉じ込められた体積が拡大し得るように軟化して行く。マイクロバルーンにより発泡させたポリマーはずっと以前から知られており、かつ記述されており、永久接着剤としても知られており、かつ記述されている。この「永久接着剤」という言葉は、「自己接着剤」または「感圧接着剤」と同じ意味である。従来技術に属しているのは、DE2105877C(特許文献1)、EP1102809A1(特許文献2)、およびDE19531631A1(特許文献3)である。
【0003】
マイクロバルーンにより発泡させたポリマーの既知のタイプ、特に自己接着剤は、マイクロバルーンにより形成された中空空間(しばしば「空洞」と言う)だけでなく、自前のポリマーシェルに取り囲まれていない中空空間も有している。本発明者らの認識によれば、自前のポリマーシェルに取り囲まれていない空洞が存在すると、開放気泡が発生しやすい。
【0004】
しかし本発明者らの認識によれば、マイクロバルーンにより形成された空洞だけを有する発泡ポリマーの方が好ましい。なぜならマイクロバルーンは、中空セルのサイズ分布をより均一にし、付着性に関する欠点を生じさせずにより高い凝集性を達成するからである。加えて少数の適用例では、独立気泡性によって達成可能な、ガスおよび液体に対する比較的高い浸透抵抗性が望ましい。さらにこのような空洞は、自前のポリマーシェルなしでは圧力および/または熱の影響下で収縮しがちであり、かつ/または大きな気泡へと統合される。
【0005】
これに対し、例えば公報DE2105877C(特許文献1)で提示されているような、マイクロバルーンによってではなく、別のやり方で発泡させた材料は、圧力および温度下での不可逆的な萎みに対する抵抗力がより小さい。さらにその凝集強度もより低い。
【0006】
マイクロバルーンにより発泡させたポリマー組成物は、過量のマイクロバルーンがプロセス中に収縮する場合に同じ欠点を示す。EP1102809A1(特許文献2)に基づき当業者がこのような収縮を予測しているのは、マイクロバルーンが、せん断によってであれ、熱による膨張圧によってであれ、後にまだかなりの張力に曝されるような早い時点で膨張する場合である。プロセス中は一般的に温度が高いので皮膜が軟らかいことから、また膨張に伴う皮膜の伸長により皮膜が薄いことから皮膜が裂けやすく、これによりマイクロバルーンの発泡ガスが不安定な気泡としてポリマー発泡体中に解放されるおそれがある。したがって早すぎる膨張を抑制しなければならない。
【0007】
DE19531631A1(特許文献3)から知られている方法では、膨張ステップを後に置くことで、マイクロバルーンの皮膜が裂けることはあり得ないように思われるが、しかし顆粒状のマイクロバルーンおよびその他の混和剤を混入させる際に、ポリマーマトリクス内に一緒に空気を運び込み、これによりこの場合も、周りを囲む面が自前のポリマーシェルで安定化および密閉されていない空洞をも発生させてしまうことが不利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】DE2105877C
【特許文献2】EP1102809A1
【特許文献3】DE19531631A1
【特許文献4】EP0752435A
【特許文献5】EP1802722A
【特許文献6】EP1791921A
【特許文献7】EP1791922A
【特許文献8】EP1978069A
【特許文献9】DE102008059050A
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Polymer 8/1967、381頁以降
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、マイクロバルーンにより形成されたのではない中空空間が存在しない発泡ポリマー組成物、好ましくは自己接着剤を提供することである。つまり発泡の達成には、膨張可能なマイクロバルーン以外にはせいぜいのところ膨張可能でないマイクロバルーン、例えば中空ガラス球が使用されるべきであり、しかしむきだしの気泡は抑制されるべきである。
【0011】
膨張可能なマイクロバルーンから生じた空洞は、ポリマーまたはポリマー混合物から成る皮膜状のシェルを有しており、このシェルは、すべての伸長性が加熱により達成されるにもかかわらず、完成した本発明による製品を比較的低温で使用する際に、周りを取り囲むポリマー組成物マトリクスより高い弾性を示す。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この課題は、膨張可能な微小中空球を使用した発泡可能なポリマー組成物の製造方法であって、
第1のプロセスラインでは、1種または複数の使用すべきポリマーの少なくとも主な部分が属する第1の出発物質が予備混合物へと混合および脱ガスされ、
その後、この予備混合物が加圧され、その圧力は、この圧力と予備混合物の温度との組合せが、使用すべき微小中空球の膨張を誘発する臨界点にある圧力および温度の組合せより下にあるような圧力であり、
第2のプロセスラインでは、使用すべき微小中空球が属する第2の出発物質が脱ガスされ、
その後、第2のプロセスラインで処理された出発物質が、第1のプロセスラインで製造された予備混合物に添加され、つまり第1のプロセスラインと第2のプロセスラインが一緒にされ、
その後、第2の出発物質が予備混合物内で混合される方法によって解決される。
【0013】
ここまでの、請求項1で定義され、請求項2〜9でさらに詳しく説明されている方法の結果は、まだ発泡しておらず、自由なガスをほとんど含まないポリマー組成物である。この未発泡ポリマー組成物の特に好ましい点は、この未発泡ポリマー組成物から、自由なガスを依然として非常に少ししか含まない、つまり自前のポリマーシェルのない空洞の到達可能分率が2体積%未満、好ましいプロセスの場合は0.5体積%未満でもあるポリマー組成物を発泡させ得ることである。
【0014】
マイクロバルーンとは、弾性で熱可塑性のポリマーシェルを備えたほぼ球状の中空体であり、したがってマイクロバルーンは、膨張可能なポリマーマイクロスフィアまたは微小中空球とも呼ばれる。
【0015】
マイクロバルーンは、低沸点の液体または液化ガスで満たされている。シェル材料としては、特にポリアクリルニトリル、ポリ二塩化ビニル(PVDC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアミド、またはポリアクリレートが使用される。低沸点の液体には、特に低級アルカンの炭化水素、例えばイソブタンまたはイソペンタンが適しており、これらは圧力下では液化ガスとしてポリマーシェル内に閉じ込められている。
【0016】
マイクロバルーンへの、例えば超音波またはマイクロ波放射による特に熱供給または熱生成による作用により、一方では外側のポリマーシェルが軟化し、同時にシェル内にある液状の発泡ガスがガス状態に移行する。マイクロバルーンは、本明細書の枠内では臨界組合せと言う圧力および温度の特定の組合せの場合に不可逆的に拡大して3次元的に膨張する。この膨張は、内圧と外圧が釣り合うと終了する。ポリマーのシェルは維持されたままなので、これにより独立気泡が達成される。
【0017】
マイクロバルーンは多くのタイプが市販されており、例えばAkzo Nobel社からExpancel DUタイプ(ドライ、未膨張)が市販されており、これは基本的にマイクロバルーンのサイズ(未膨張状態で直径6〜45μm)および膨張に必要な開始温度(75℃〜220℃)に関して細分化されている。
【0018】
さらに、未膨張マイクロバルーンのタイプは、固体分率またはマイクロバルーン分率が約40〜45重量%の水性分散液としても入手可能であり、さらにポリマーと結びついたマイクロバルーン(マスターバッチ)としても、例えばエチルビニルアセテート中の約65重量%のマイクロバルーン濃度のものが入手可能である。さらに、マイクロバルーンが60〜80重量%の固体分率で水性分散液として存在するいわゆるマイクロバルーン・スラリー系も入手可能である。マイクロバルーン分散液も、マイクロバルーン・スラリーも、マスターバッチも、DUタイプのように本発明による方法に対応する接着剤の発泡に適している。
【0019】
本発明に従い特に好ましいのは、未膨張状態、つまり25℃で、直径が3μm〜40μm、特に5μm〜20μmであり、かつ/または膨張後の直径が10μm〜200μm、特に15μm〜90μmのマイクロバルーンを選択することである。
【0020】
本発明に従って製造された発泡体は、マイクロバルーンの柔軟で熱可塑性のポリマーシェルにより、膨張可能ではなくポリマーではない微小中空球(例えば中空ガラス球または中空セラミック球)が詰まった発泡体より高い間隙橋絡性(Spaltueberbruekungstaehigkeit)を有する。したがって本発明により製造された発泡体は、例えば射出成形部位で生じるような製造公差の調整により良く適している。さらにこのような発泡体は、熱による張力をよりうまく相殺することができる。
【0021】
したがって、例えばポリマーシェルの熱可塑性樹脂の選択により、発泡体の機械的特性にさらに影響を及ぼすことができる。例えば、発泡体はポリマーマトリクスより密度が低いにもかかわらず、ポリマーマトリクスだけより高い凝集強度を有する発泡体を製造することができる。さらに、凹凸のある下地への適合性のような典型的な発泡体特性を、感圧接着性発泡体のための高い凝集強度と組み合わせることができる。
【0022】
発泡すべきポリマー組成物には、発泡のため、マイクロバルーンを除くポリマー組成物の全配合物に対して最高30重量%、特に0.5重量%〜10重量%の間のマイクロバルーンを添加することが好ましい。
【0023】
本発明の第1の態様は、本発明による方法を用いて発泡ポリマー組成物を製造するために、出発物質を脱ガスすることに関する。
【0024】
膨張可能な微小中空球を含む本発明によるポリマー組成物は、さらに膨張可能でない微小中空球を含んでもよい。重要なのは、ガスを内包する空洞のほぼすべてが、持続的に耐密性の皮膜により封じられていることだけであり、したがってこの皮膜が、弾性で、熱可塑性に伸長可能なポリマー混合物から成るか、または例えば弾性で、プラスチック加工において有り得る温度スペクトル内では熱可塑性でないガラスから成るかは関係ない。
【0025】
本願の枠内では、「ほぼガスを含まない」という表現により、その混合物が、本プロセス中に発生する最高温度(一般的には90〜140℃、最高230℃)でガス状である物質の分子を厳密な数学的意味において1つも含まない状態だけを表すのではなく、そのガス状物質が自由な空気の空洞を形成することなく混合物中に溶解していられるほど、ガス状物質の濃度が低ければ十分である。
【0026】
本発明により入手可能な発泡ポリマー組成物に関する「実質的にガスを含まない」という特性は、標準的な条件の場合に自由な、つまりポリマー組成物中に溶解していない、特に空気のようなガスの体積分率が可能な限り低いことを意味している。発泡ポリマー組成物中の自由な、つまり溶解していない、特に開放気泡性の空洞の形のガスの分率は、(それぞれ発泡ポリマー組成物に対して)2体積%、好ましくは0.5体積%の分率を超えないことが好ましい。
【0027】
本発明による方法の枠内での脱ガスは、このほぼガスを含まない状態に至る範囲内で行われることが特に有利である。特に、脱ガスされた出発物質は、脱ガス後はすべてのプロセス段階でほぼガスを含まず存在しており、さらに有利なのは、製造された発泡ポリマー組成物が、すべての意図された適用条件に対してほぼガスを含まないことである。
【0028】
少なくとも2つのプロセスラインを有するプロセス実行により、最初に、それほどせん断に対して脆弱でない出発物質を混合することができ、混合ユニットまたはさらなるユニット内で一緒に脱ガスすることができる。プロセスラインとは、本明細書の枠内ではそれぞれ独立して行うことができるプロセス経路のことである。成分を混合するための温度は、少なくとも主成分、一般的にはポリマーが、混合ユニット内での成分の混合が良好に起こるほど強く軟化される(特に有利には溶融して存在する)程度に高く選択されることが有利であり、例えば低くとも50℃、一般的には90〜140℃、最高230℃である。第2のプロセスラインでは、任意の時点で第2の出発物質が脱ガスされる。その際、第2の出発物質は、個々にまたはグループでまたは一緒に脱ガスすることができる。第2の出発物質には、少なくとも膨張可能な微小中空球が含まれる。第2のプロセスラインで脱ガスする第2の出発物質を微小中空球に限定することができ、しかしさらなる物質、例えばその他の顆粒状物質および/または最初から添加すべきでない物質、例えば架橋系もしくはその一部(特に架橋剤および/または促進剤)および/または樹脂を含むこともできる。
【0029】
一緒に脱ガスする第1の出発物質に属さない物質を、個々にまたはグループで、第2の出発物質とは関係なく、つまり少なくとも微小中空球とは関係なく脱ガスする場合、この出発物質またはグループを第2の出発物質とは別に予備混合物に加えてもよく、したがってさらなるプロセスラインが構成され、その際、予備混合物に加えるのは、それぞれマイクロバルーンを加えた後または好ましくは加える前であることができ、したがって好ましくはマイクロバルーンが(場合によってはマイクロバルーンと一緒に加えるべき分散助剤および/またはその他の出発物質と共に)添加される。
【0030】
第2のプロセスラインおよび場合によってはさらなるプロセスラインを第1のプロセスラインと一緒にする(「合流」)際、混合ユニット内の温度はここでもまた第1の出発物質の混合物が、供給される出発物質との良好な混合が起こり得るほど軟らかい(例えば融体混合物として存在する)ように選択されることが望ましい。
【0031】
顆粒状の混合成分は、混合物中に加える前に分散助剤中に包埋されることが好ましい。これは特に、混合物の脱ガスがその後はもう行われない時点で混合物中に加えられるすべての顆粒状混合成分に適用される。しかし、混合物の脱ガスがその後もまだ行われる時点で予備混合物中に加えられる顆粒状成分を、混合物中に投入するために、特に脱ガスされた分散助剤中に包埋することが有利なこともある。
【0032】
本明細書の枠内で、混合された出発物質に対して「混合物」と言う場合、この概念は、予め混合された出発物質、つまり例えばさらなる出発物質を加える前の予備混合物と、予備混合物中に第2の出発物質および場合によってはさらなる出発物質を加えた後の混合された出発物質とを含んでおり、つまりプロセスにおける場所または時間を、それが別に提示されていない限り、または事情から別のことが分からない限りはさらに限定しない。
【0033】
顆粒状物質とは、本明細書の枠内では巨視的な粒子の集積物のことであり、その際、「巨視的」という概念は物理的な意味において理解されるべきであり、つまり古典物理学の法則に従う粒子を表している。巨視的な粒子は以下に「粒」または「顆粒物」とも言う。その際、顆粒物は個々の粒子であってもよく、2つ以上の粒子の集合体であってもよい。
【0034】
これに対応して「顆粒状」という概念は、巨視的な粒子の集積物として存在する材料を意味している。
【0035】
分散助剤とは、その粘度が、顆粒物をほぼガスを含まずに包埋し得るほど十分に低い物質である。この粘度要件に基づき、本明細書の枠内では分散助剤のために「液体」という概念を同じ意味で使用しており、その際、微小中空球の活性化温度未満で、この微小中空球のほぼガスを含まない包埋に十分な流動性を有する物質がこの定義に含まれる。これには、マイクロバルーンの活性化エネルギーより低い温度で液化され、さらに低い温度、例えば室温では固体物質として存在する物質も属している。この液体は、比較的低い温度、特に室温でも、顆粒状物質をほぼガスを含まずに包埋するのに適しているように選択されることが有利である。
【0036】
分散助剤中への包埋は、混合物中に加える時に、顆粒物の間にさもなければ存在する隙間に空気が新たに流入することを防ぐ。したがって顆粒状混合成分、特にマイクロバルーンを、しかしまた添加物、例えば球、チョーク、粉塵、およびその類似物を液体中に包埋(分散)することにより、ならびに特に、顆粒状混合成分を液体中に包埋させた状態でポリマー組成物中に加えることにより、意図しないガス、例えば空気またはその類似物がポリマー組成物中に入り込むことを回避することができる。
【0037】
その際、分散助剤の選択は、特にこの分散助剤がプロセス条件下で、ポリマー組成物中での意図しない開放気泡性の空洞形成を引き起こさず、特にポリマー組成物中でガスを生成しやすい傾向になく、したがって新たな気泡形成を引き起こさないように行われる。すなわち分散助剤は、特に第2のプロセスラインが第1のプロセスラインに合流した後に生じる圧力および温度の組合せのどれでも蒸発しないように選択される。これは特に、分散剤がすべてのプロセス条件下で完全にポリマー組成物中に溶解および/または分散して存在し、放散しないように分散剤の量を選択することでも達成することができる。さらに分散助剤は、マイクロバルーンの熱可塑性ポリマーシェルを傷めず、またはましてや破壊しないように選択されることが望ましい。
【0038】
分散助剤、特に微小中空球を包埋するための分散助剤は、顆粒物を包埋する前に既に脱ガスされていることが有利である。分散助剤を、包埋された顆粒状成分と一緒に脱ガスすることもできる。微小中空球と分散助剤を一緒に脱ガスすべき場合は、脱ガスにより微小中空球の膨張が引き起こされないよう脱ガス条件(特に圧力および温度)を選択することに注意しなければならない。
【0039】
有利な分散助剤は、例えば高温で初めて沸騰し、かつ好ましくは引火しにくく、かつ/または燃焼しにくい有機化合物、例えば液状樹脂、油、軟化剤(例えばリン酸エステル、アジピン酸エステル、クエン酸エステル、油酸、またはその他の長鎖アルカン酸、または低粘度のポリアクリレート)、分子内に11個超の炭素原子を有するアルカン残基と複数のエチレンオキシド単位とを有するエトキシル化された第三級アミンである。
【0040】
水も、用量が十分に少ないという条件に加え、混合装置から出る前に既に100℃の温度を下回る場合には、分散助剤として使用することができる。
【0041】
顆粒状混合成分の少なくとも一部の脱ガス、特にすべてのこのような混合成分の脱ガスは、有利な手順では、混合成分を液体中に包埋すると同時にまたはその後で行われる。このような混合成分の残りの部分またはすべてのこのような混合成分の脱ガスは、液体中に包埋することにより、つまり特に、顆粒物の隙間にある除去すべきガス(特に空気)が、侵入する液体に押しのけられ、隙間から漏れ出ることにより引き起こされ得る。その代わりにまたはそれに加えて、顆粒状添加物質を含む分散剤の脱ガスを実施することができる。その際は、既に詳述したように、マイクロバルーンが包埋されている場合に、脱ガス時に既にマイクロバルーンが膨張してしまわないよう注意しなければならない。
【0042】
それ自体知られているように、脱ガスは特に負圧ゾーン内で達成され、この負圧ゾーンの内圧を以下にp2と言う。経済的に実現可能な範囲では、完全な真空が最速最強の脱ガスをもたらすであろうが、実際には、より安価に製造可能および/または技術的により容易に実現可能な、通常の周囲圧力に対して0.8barの圧力低下でも既に十分な場合があり、この圧力低下が大きいほど、事前に達した圧力p1が高かったということである。
【0043】
混合物のすべての成分が、その成分を混合物に加える前に既に脱ガスされ得ることが有利である。すべての混合成分の脱ガスがその成分を混合物に加える前に実施されており、かつ混合物に加えている最中(およびその後も)の空気の取込みが阻止されている場合は、すべての成分を加えた後の混合物の脱ガスをなくすことができる。
【0044】
既にマイクロバルーンと混合させた混合物の脱ガスは、マイクロバルーンの早すぎる膨張および破損の危険性をはらんでいる。したがって既にマイクロバルーンと混合させたポリマー成分を脱ガスするのではなく、マイクロバルーンとその他の混合成分(後者は別々にまたは一緒の成分として)を別々に脱ガスする場合が有利である。
【0045】
混合装置として押出機を使用する場合、既に脱ガスされた成分の投入は、押出機の入口で、これらの成分を、2つの隣接するスクリュー経路の間の空間をちょうど完全に塞ぐようなひもの形で押出機の導入スクリュー内に押し込むことにより、新たな空気を取り込まずに行うことができる。予め押出機内に投入されている成分が既に脱ガスされており、好ましくは既に8bar超の圧力下にあるような押出機の後方の位置で、既に脱ガスされた成分を加えるのはさほど厄介なことではなく、すなわちこのためには、既に脱ガスされた成分を押出機の後方の位置で供給する際の圧力が、前述の供給位置での押出機内の圧力より高くなければならない。
【0046】
本発明のさらなる一態様は、1つまたは複数の混合ユニット内で、および存在する場合は好ましくはさらに後置されたダイ内でも、膨張可能な微小中空球を抑制することに関する。本明細書の枠内では、これらの混合ユニット全体を混合設備とも言う。微小中空球の膨張は、第1の出発物質を混合した後、この予備混合物が加圧されることで抑制され、その圧力は、この圧力と予備混合物の温度との組合せが、使用すべき微小中空球の膨張を誘発する臨界点にある圧力および温度の組合せより下にあるような圧力である。このような、使用すべき微小中空球の膨張を誘発する臨界点にある圧力および温度の組合せより下にある組合せを、以下に圧力および温度の未臨界組合せと言う。加圧後に未臨界組合せが存在する場合、つまり膨張を抑制する圧力および温度の組合せである場合には、第2のプロセスラインで処理された出発物質を第1のプロセスラインで製造された予備混合物に添加する。
【0047】
この方法は有利な手順では、第2のプロセスラインが第1のプロセスラインに合流した後、少なくとも、さらなる出発物質が予備混合物中に均質に分布するまで圧力および温度の未臨界組合せを維持し続けるように実施される。この未臨界組合せは、マイクロバルーンを加える際の所定の組合せであり得ることが有利であり、しかし絶対にそうである必要はなく、つまり圧力および/または温度は、条件が全体としてまだ未臨界であれば、上で選択された値とは異なっていてもよい。
【0048】
混合は、1つまたは複数の混合ユニット内で実施することができ、その際、一連のユニットに、場合によってはさらにダイを後置することができ、例えば吐出されるポリマー組成物を予備成形するために幅広スリットダイを後置することができる。
【0049】
非常に好ましい手順では、微小中空球の膨張は、混合設備から出る時点で、つまり一連のユニットの最後の混合ユニットまたは存在する場合はダイから出た後で初めて始まる。このため、圧力および温度の未臨界組合せは、ポリマー組成物がこの混合設備またはダイから出る位置まで維持される。この未臨界組合せも、予め選択された圧力および温度の組合せの1つであり得ることが有利であり、しかし絶対にそうである必要はなく、つまり圧力および/または温度は、条件が全体としてまだ未臨界であれば、上で選択された値とは異なっていてもよい。
【0050】
未臨界の温度、つまり膨張を抑制する圧力および温度の組合せの温度は、マイクロバルーンを加える際に、しかし特には混合設備または後続のダイから出る直前で、標準圧(101325Pa)とこの温度の組合せが、使用すべき微小中空球の膨張を誘発する臨界点にある圧力および温度の組合せより上にあるように選択されることが非常に有利であり、これにより混合設備または後続のダイから出た直後に、したがって標準圧に入る際に膨張工程が起こる。
【0051】
本方法は特に、最後の混合ユニットから出た後、および場合によっては後続のダイから出た後にマイクロバルーンの完全な膨張を起こさせ、それから発泡ポリマー組成物を成形するように実施される。実質的に完全な膨張とは、成形後にはもう標準条件(25℃、101325Pa)で微小中空球のさらなる膨張が起こらないことを意味している。
【0052】
前述のプロセス実行、つまりすべてのユニットから出る際の発泡は、マイクロバルーンの膨張をほぼせん断なく進行させることができるが、このようなことは、押出機のような混合ユニット内での膨張の場合でもダイ内での膨張の場合でも不可能であろう。ダイからの吐出と同時に、ポリマー組成物のせん断の少ない、特にせん断のない冷却が起こる。ここの温度ではマイクロバルーンシェルは軟らかいので、前述の効果により機械的負荷から守られ、これにより可能な限り多数の閉じた空洞、したがって破損のないマイクロバルーンを達成することができる。
【0053】
マイクロバルーンが完全に膨張した後、ダイ内で場合によっては予備成形されたポリマー組成物はロールコータ内に、特に多ロールカレンダ内に案内され、特に支持材料上に載せられるか、または2つの支持材料の間に置かれる。ロール機構内での処理は、その際にポリマー組成物がさらに冷却されるように行うことができる。
【0054】
層へと成形するために、それぞれ、できた層を適用または移転するために容易に再び取り外せる一時的な支持材料、いわゆるリリースを使用することを提案する。ただし永続的な支持体上に、または永続的に留まるために施される2つの層(例えば自己接着層)の間に、または永続的な層と一時的に施される層の間に成形することもできる。発泡ポリマー組成物製品のうちの得られた層の最終的な成形を、このロールコータで行うことが好ましい。このようなロールコータの使用により、一連の混合ユニットから吐出された後に、表面粗度が非常に低い発泡系を実現することができる。
【0055】
膨張したマイクロバルーンが、ロール間隙内でのコーティング中に事後的にポリマーマトリクス内に押し戻されるので、発泡および成形されたポリマー組成物は平滑な表面を有しており、したがって好ましい表面粗度Rは20μm以下、非常に好ましくは10μm以下である。
【0056】
つまりまとめると本発明は、特に、少なくとも1つの混合ユニット内で、ポリマー組成物および膨張可能な微小中空ポリマー球を含む混合物を製造し、かつポリマー組成物を微小中空球の膨張により発泡させる方法に関し、その際、
・ 混合物は、遅くとも微小中空球の膨張ステップの前には脱ガスされた状態で存在しており、
・ 微小中空球の膨張は、最後の混合ユニットから出るまで抑制される。
【0057】
特に好ましくは、
・ 主要ラインでは、マイクロバルーンと、必要に応じてすべてのまたは幾つかの特に反応性の、つまり一般的に迅速に反応する架橋剤またはその一部の量と、場合によってはさらなる成分とを除いて、第1のプロセスラインのすべての第1の出発物質、つまり特にポリマー、接着性を高める樹脂、膨張可能でない充填物質、不活性架橋剤を、混合ユニットに、特に押出機に、既にその最初の供給口で投入し、
・ 圧力p1で混合し、
・ 例えば外側シリンダの拡大および真空ポンプの連結により達成可能な、低下させた圧力p2のゾーン内で脱ガスし、
・ その後、例えばスクリューおよび/もしくはスクリューの1巻き(もしくは複数)の直径拡大または厚さ拡大により、ならびに/またはブリスターもしくは混練ゾーンの設置により、再び圧力下に置き、その際、この圧力を以下にp3と言う、
・ その間に第2の供給ラインでは、マイクロバルーンと、必要に応じてすべてのまたは幾つかの特に反応性の、つまり一般的に迅速に反応する架橋剤またはその一部の量とを、気泡を含まないように液体中に混入させ、p3より高い圧力p4下に置き、
・ これによりその後、第2の供給ラインを主要ラインに合流させることができ、
・ その後は、統合されたライン内の高い圧力に基づき、加熱してもマイクロバルーンの膨張は阻止され、同時に、空洞のシェル面が自前のポリマー層、つまりマイクロバルーンに由来するポリマー層では密閉および強化されていない空洞の発生は回避され、
・ 最後に、一連の押出機の終端にあるダイから出る際の圧力低下がマイクロバルーンの膨張を引き起こす。
【0058】
本発明により得られた発泡押出物は、不都合な空隙がなく、2本ロールコータまたは多ロールコータにより支持体上でシート状に成形される。
【0059】
本発明による方法は、ポリマー組成物の発泡にことのほか適しており、発泡したポリマー組成物が、マイクロバルーンにより形成された空洞、つまり自前のポリマーシェルを有する空洞しか含まないという結果が得られる。このような独立気泡性の発泡体は、粉塵および液状媒体に対して敏感な物品の密封性を、開放気泡性の形態に比べて改善し、かつ密度のわりに高い強度を達成する。
【0060】
本発明に基づく方法を用い、ベースポリマー組成物として、とりわけホモポリマー組成物、コポリマー組成物、ホモポリマーおよび/またはコポリマーの混合物を発泡させることができ、つまりそれぞれ純粋な形で、またはさらなる成分と混合して発泡させることができる。したがって例えばポリアクリレートもしくはポリメタクリレートおよび/またはポリアクリレートコポリマー/ポリメタクリレートコポリマー、天然ゴム、合成ゴム、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリエステル、スチレンブロックコポリマー、スチレンブタジエンゴム、エチレンビニルアセテートコポリマー、シリコーン、および/または前述のポリマーからの混合物を発泡させることができ、この列挙は例であり、これで終わりではない。
【0061】
特に好ましいのは、本発明に基づく方法を用い、その主な部分の重量平均分子量Mが少なくとも250,000g/molのポリマーをベースとするポリマー組成物を発泡させることである。さらに好ましくは重量平均分子量は500,000g/mol超であり、もっと好ましくは600,000g/mol超、特に好ましくは700,000g/mol超である。ポリマー組成物のうち、場合によっては添加される樹脂を除き、使用したすべてのポリマー成分がこの分子量範囲内にあるポリマー組成物を発泡させることが好ましい(マイクロバルーンシェル、架橋物質もしくは促進物質、またはその類似物はこのポリマー成分に入らない)。さらに好ましいのは、前述の重量平均分子量に関連して、またはそれとは無関係にも、ポリマー組成物のベースとなる本発明に従い加工されたポリマーの数平均分子量Mが、主にまたは好ましくは専ら、50,000g/mol超、好ましくは60,000g/mol超、非常に好ましくは70,000g/molであることである(ここでも任意選択で添加される樹脂、マイクロバルーンシェル、および前述のさらなる成分を除く)。
【0062】
前述の分子量(MまたはM)は、ポリマー組成物のベースとなるポリマーがポリアクリレートである場合、特に有利である。
【0063】
スチレンブロックコポリマーならびにその他の物理的なネットワークを構成するコポリマーおよびブロックコポリマーの場合は、とりわけ分子量がより低い、例えば重量平均分子量が75,000g/mol以上および/または数平均分子量が10,000g/mol以上のポリマーを使用することもできる。
【0064】
このベースポリマー組成物に、発泡のためマイクロバルーンを添加し、得られた発泡体から成る最終的な製品が架橋された形で存在すべき場合には通常は架橋物質も添加する。
【0065】
本発明による方法は、接着剤、特に自己接着剤の製造にとりわけ適しており、後者は感圧接着剤とも言う。自己接着剤とは、室温で永久接着性の接着剤である。自己接着性の製品(つまり自己接着剤を備えた製品、例えば自己接着テープおよびその類似物)は粘弾性の特性を示し、軽い圧力を掛けるだけでたいていの表面に接着し、すなわち加湿または加熱による活性化は必要ない。
【0066】
さらに本発明による方法は、発泡した特に粘弾性のポリマー層を製造するために非常に良く適しており、このポリマー層は、例えばなかでも片面接着テープまたは両面接着テープ用の支持層として用いることができる。このために、この発泡ポリマー層は片面または両面で接着層を、特に自己接着層を備えている。(自己)接着層は、例えば支持層上にコーティングまたはラミネートすることができる。発泡した粘弾性の支持層は、自己接着性にも非接着性にも形成することができる。
【0067】
発泡支持層は、特に室温で弱接着性または非接着性のポリマー組成物で片面またはそれぞれ両面をコーティングすることにより、いわゆる「シールテープ」のためにも用いることができ、このポリマー組成物は、供給時に熱エネルギーにより活性化されて接着性になり、すなわちいわゆる熱活性可能な接着剤である。熱活性可能な接着剤は、熱によるエネルギー供給の際に初めて十分に、使用目的に必要な接着特性を発揮する。熱活性可能な接着剤としては、熱可塑性の熱活性可能な接着剤、つまり溶融接着剤、すなわちたいていは溶剤を含まず、十分な(自己)接着力を発揮するための十分な流動性を加熱されて初めて発揮する接着材料、および/または反応性の熱活性可能な接着剤、つまり熱を供給すると化学反応が起こり、この化学反応が接着剤を化学的に固化し、これにより接着効果がもたらされる接着剤を用いることができる。シールテープが片面で熱活性可能な接着層を備えている場合、支持層自体を自己接着性に形成することができ、つまりシールテープの第2の面が自己接着特性を示す。内側に発泡支持体を備え、シールテープの片面に少なくとも1つの熱活性可能な接着層を備えた少なくとも3層のシールテープの場合、第2の面では、例えばさらなる熱活性可能な接着剤または感圧接着剤を備えることができる。
【0068】
このようなシールテープに関しては、支持層および場合によっては存在する自己接着剤は、1種または複数の熱活性可能な接着剤の活性化温度を支障なく乗り切るため、十分な温度耐性を有することが望ましい。
【0069】
発泡自己接着層および/または発泡支持層は、広範囲の厚さで製造することができ、とりわけ非常に厚い層も実現することができ、かつ圧力吸収性および衝撃吸収性の、つまり緩衝性の特性ならびに/または凹凸をならす特性を有するという利点を提供する。1つもしくは複数のこのように発泡した自己接着層および/またはこのように発泡した支持層を備えた自己接着テープは、例えば窓のような壊れやすいコンポーネントを備えた機器での貼付のための衝撃緩衝の課題にもよく適している。したがって、優れた、好ましくは自己接着性の封止用テープ、いわゆる「シールテープ」も製造することができる。
【0070】
つまり発泡ポリマー組成物層は、最大数ミリメートルの範囲内、特に20μm〜5000μmの範囲内で製造される可能性がある。本発明により製造された好ましいポリマー組成物層は、厚さが50μm〜3000μm、もっと好ましくは400μm〜2100μmである。
【0071】
発泡自己接着層および/または発泡支持層のさらなる利点は、その秀でた冷間衝撃耐性である。
【0072】
本発明により製造された発泡ポリマー組成物の単位体積当りの重量(仮比重)は、好ましくは150〜950kg/mの間、もっと好ましくは350〜820kg/mの間の範囲内である。
【0073】
ロールコータ内での成形方法の選択により、発泡層を成形する際のロール圧を、微小中空球が多面体に変形されるように選択できるので、ポリマー組成物層内での膨張した微小中空球の最密球充填を下回ることができる。
【0074】
本発明による接着テープは、
・ 発泡自己接着剤の唯一の層から成る1層の両面自己接着性の接着テープ、いわゆる「転写テープ」として、
・ 自己接着層が上で特徴を示した種類の発泡ポリマー組成物であり、例えば発泡した自己接着剤および発泡してない自己接着剤、または熱活性可能な接着剤、または発泡したもしくは発泡していない支持層から成る2層系の、片面で自己接着性に形成された接着テープ、以下では「片面自己接着テープ」として、
・ 支持層が上で特徴を示した種類の発泡ポリマー層である片面自己接着テープとして、
・ 片方の、特に両方の自己接着層が上で特徴を示した種類の発泡ポリマー組成物であり、かつ/または支持層が上で特徴を示した種類の発泡ポリマー層である両面で自己接着性に形成された接着テープ、以下では「両面自己接着テープ」として、
・ 支持層および/または自己接着層が上で特徴を示した種類の発泡ポリマー組成物であり、接着テープの一方の面で熱活性可能な接着層を備え、接着テープのもう一方の面では自己接着層を備えた両面接着テープとして、
・ 支持層が上で特徴を示した種類の発泡ポリマー組成物であり、接着テープの両面で熱活性可能な接着層を備えた両面接着テープとして、
形成することができる。
【0075】
その際、両面の製品は、貼付のために規定されているか、封止のために規定されているかにかかわらず、対称または非対称の製品構造を有することができる。
【0076】
1層の接着テープ(「転写テープ」)の例は、30μm厚、50μm厚、70μm厚、100μm厚、120μm厚、400μm厚、800μm厚、および1200μm厚であり、3層の接着テープの例は、100μm厚、1100μm厚、1600μm厚、および2100μm厚である(特に、両面の自己接着層および発泡ポリマー支持体を備えている)。
【0077】
本発明により製造されたポリマー組成物は、十分な凝集性をもたらすために架橋されることが有利である。したがってポリマー組成物に、架橋剤および場合によっては促進剤および/または阻害剤(遅延剤)を添加することが有利である。以下では、開始および制御のために添加される成分、例えば架橋剤および促進剤を、まとめて「架橋系」とも言う。
【0078】
架橋方法としては、放射線により開始される架橋方法、特に化学線もしくは電離放射線、例えば電子線および/もしくは紫外線により開始される架橋方法、ならびに/または熱により開始される架橋方法が適しており、その際、後者には、室温以下で既に、これに加えて化学線または電離放射線のような放射線を適用しなくても活性化エネルギーを生じさせ得る系も含まれている。
【0079】
放射線により開始される架橋は、それ自体知られている手順により、特に電子線および/またはUV線での照射により達成することができる。このために、架橋すべきポリマー組成物に、対応する放射線活性可能な架橋剤を添加することが有利である。
【0080】
層で、特に支持層で、または両面で接着性に形成された接着テープ、例えば自己接着テープもしくは熱活性可能に接着性の接着テープで、または粘弾性の支持層で、両方の表面を均一にするため、これらの製品の両面を特に同じ条件で照射することができる。
【0081】
電子線による架橋では、実施において、通常の照射装置、例えばリニアカソードシステム、スキャナシステム、またはセグメントカソードシステムを、それぞれ電子線加速器として使用することが有利である。典型的な加速電圧は50kV〜500kVの間、好ましくは80kV〜300kVの間の範囲内にある。適用される散乱線量は、例えば5〜150kGyの間、特に20〜100kGyの間で変化する。これに関しては、一般に流通している架橋物質(電子線架橋剤)をポリマー組成物に添加することができる。
【0082】
特に好ましいのは、窒素または希ガスで不活性化することにより、または剥離材料、例えば剥離性に形成されたフィルムで両面をカバーすることにより空気を排除したうえでの照射である。
【0083】
任意選択のUV光架橋のため、アクリレート含有の感圧接着剤に、UV吸収性光開始剤、つまり特に、UV活性化によりラジカルを生成する化合物が添加される。
【0084】
とりわけ適切なUV光開始剤は、UV照射の際に光断片化反応を示す化合物である(特に、光化学的に励起可能な官能基のα位での分断)。このような光開始剤は、ノリッシュI型の光開始剤である。さらなるとりわけ適切な光開始剤は、UV照射の際に光化学的に励起された官能基により誘発された特にγ位での分子内水素引き抜きにより反応する化合物である。このような光開始剤はノリッシュII型とみなされる。さらに、架橋すべきポリマー中に、UV線での活性化により架橋反応を開始し得る官能基を有するモノマーを組込み重合することにより、組込み共重合可能な光開始剤を用いることが有利な場合がある。
【0085】
ポリマー組成物が、化学線および/または電離放射線を用いずに架橋される場合が有利なことがある。この場合は、架橋を、UV架橋剤および/または電子線架橋剤なしで実施することができ、これにより、得られた製品もUV架橋剤および/または電子線架橋剤および/またはその反応生成物を含まない。
【0086】
自己接着性の製品は、中空体を取り囲むポリマー組成物が均質に架橋している場合に、特に有利な特性を示す。厚い層は、侵入深度につれて放射線強度が急速に低下していくので、通常の電子線またはUV線の処理によってはほとんど均質に架橋することができず、しかし熱による架橋は、これに対して十分な改善策をもたらす。したがって、本発明により発泡された非常に厚い層、特に厚さが150μm超の層の製造では、発泡すべきポリマー組成物が熱架橋系を含んでいる場合が特に有利である。その際、もちろんまずは、特に安定的で耐障害性のプロセス実行の意味において、活性化温度が混合プロセスで発生する最高温度より下である系が優先されるべきであり、または逆に混合プロセスを、混合プロセスではまだ活性化温度に達しないように冷却すべきである。
【0087】
混合プロセスにおいて、すべてのパラメータ、つまり特にすべての重要な局地的な圧力、温度、回転数、物質配分量、および粘度が正確であればあるほど、プロセス温度を活性化温度に近づけることができ、その際、このような温度上昇は、冷却に必要な出力およびそれに伴う費用を減らすだけでなく、より迅速なプロセス実行、つまりより好都合な投入量と混合機サイズの関係をも可能にし、それどころか、十分に不活性な活性化系を選択すれば、本発明者らが認識していたように、混合プロセスの最後には既に活性化温度を少し上回るまでにすることができる。このために必要な活性化系の不活性さは、促進剤および遅延剤を拮抗させて使用することにより達成されるのが好ましい。前述の拮抗作用は、上昇した温度の作用期間にわたって、架橋度曲線を1つの範囲内でなだらかに形成させ、かつ混合プロセス中は活性化温度を下回らせるというのとは違うやり方で、プロセス実行において、活性化に至らない許容範囲をさらに必要なだけ広げる。
【0088】
特にポリアクリレートのための架橋剤として適しているのは、それぞれポリマーの巨大分子内に、イソシアネート基またはエポキシド基と反応し得る官能基が存在する場合、イソシアネートであり、特に三量化されたイソシアネートおよび/またはブロック化剤を含まないおよび立体阻害されたイソシアネート、エポキシド化合物、例えばエポキシドアミン架橋系である。
【0089】
イソシアネートの反応性を弱めるため、および押出成形中の可使時間を延長するためには、熱により分離可能な官能基でブロックされたイソシアネートを用い得ることが有利である。ブロック化には、例えば脂肪族第一級および第二級アルコール、フェノール誘導体、脂肪族第一級および第二級アミン、ラクタム、ラクトン、マロン酸エステルを用いることが好ましい。
【0090】
エポキシドアミン系を架橋系として用いる場合、可使時間の延長を保証するためアミンを塩に変えることができる。その際、塩形成には、弱揮発性の有機酸(ギ酸、酢酸)または弱揮発性の鉱酸(塩酸、炭酸の誘導体)が好ましい。
【0091】
このような架橋剤を用いて溶融状態のポリマー組成物の加工を可能にするための有利な架橋系および適切な方法は、例えば公報EP0752435A(特許文献4)、EP1802722A(特許文献5)、EP1791921A(特許文献6)、EP1791922A(特許文献7)、EP1978069A(特許文献8)、DE102008059050A(特許文献9)に記載されている。したがってこれに関する開示内容を明示的に本明細書の開示内容に取り込むこととする。その際、架橋剤は、または架橋系の場合は架橋系の少なくとも1種の成分(例えば架橋剤または促進剤)は、ポリマー融体中での反応系の滞在時間を非常に短くするため、したがって加工時間(「可使時間」)をできるだけ長くするため、後の方で初めて融体中に加えられ、そしてすぐに(例えば押出機内での効率の良い混合により)非常に均質に混ぜ込まれる。その際、架橋反応の本質的な部分は、発泡したポリマーの成形後に、特にポリマーを層に成形した後に初めて起こり、つまり好ましくは室温で起こる。この手順により、2つのプロセス態様を相互に最適化することができ、つまり一方では、意図しない制御不能の前架橋および対応するゲル化(ポリマー融体中での比較的高く架橋した領域、例えばディップの形成)をほぼ回避するため、成形前の架橋反応の進行をできるだけ少なくし、しかし他方では、実際に非常に均質に架橋した最終生成物を保証するため、コーティング前のポリマー融体中での比較的短い滞在時間で、架橋剤または架橋系成分をできるだけ効率よく混合する。
【0092】
熱架橋剤または熱架橋系の使用は、特に発泡ポリマー組成物に関しては、空洞により層内への化学線(例えばUV線)の侵入が妨げられる場合に有利である。空洞シェルの表面で相を移ることにより、屈折効果および散乱効果が生じ、したがって層の内側の領域には放射線が到達できないか、またはあまり到達できず、その際この効果は、侵入深度をもともと制限している前述の効果の上にさらに重なる。ここでは、特に均質に架橋したポリマーマトリクスを達成するため、発泡ポリマー組成物を熱架橋することが有利である。
【0093】
膨張可能なマイクロバルーンの発泡は温度が上昇すると起こるが、これは、溶融状態のポリマーの加工のように、熱架橋剤には問題である。したがって、架橋反応のキネティクスを調節するため、上述の比較的不活性の架橋剤を選択すること、および挙げた架橋剤・促進剤系を選択することは、これらの架橋剤が、特に発泡の際の対応する温度を乗り切ることができるので、それぞれ本明細書の枠内で記載された発泡方法には特に有利である。
【0094】
本発明による発泡方法では、発泡が最後の混合ユニットから出るまで抑制される。これにより、発泡したポリマー組成物の表面には膨張したマイクロバルーンが存在する。それにもかかわらず、ポリマー組成物を成形するためにロール機構、特にカレンダを使用することにより表面粗度の非常に小さな層を形成することができる。これに関してはしかし、ポリマー組成物が成形の際に十分に加工可能であり(かつ前架橋が十分に少なく)、ロール機構内での成形を持続的に行える必要がある。したがって本発明による発泡方法には、架橋剤・促進剤系を使用することが特に有利である。なぜなら上で説明したように、これにより架橋反応のキネティクスを架橋度から切り離すことができ、したがって発泡した架橋すべきポリマー組成物の十分に長い加工時間が保証されるからである。
【0095】
本発明による方法には、特に、エポキシド基との連結反応に適した官能基を有するポリマー、特にポリアクリレートを架橋するための架橋剤・促進剤系であって、エポキシド基を含有する少なくとも1種の架橋剤としての物質と、ポリアクリレートの溶融温度より低い温度で連結反応に促進的に作用する少なくとも1種の促進剤としての物質とを含む架橋剤・促進剤系が特に好ましいことが分かった。エポキシド基を含有する物質としては、例えば多官能性エポキシド、特に二官能性または三官能性の(つまり2つまたは3つのエポキシド基を有するエポキシド)が適しており、しかし官能性がより高いエポキシドまたは官能性の異なるエポキシドの混合物も適している。促進剤としては、好ましくはアミン(正式にはアンモニアの置換体と理解される)、例えば第一級および/または第二級アミンを使用することができ、特に第三級および/または多官能性アミンが使用される。複数のアミン基を有するアミンも使用可能であり、その際、このアミン基は、第一級および/または第二級および/または第三級のアミン基であることができ、特にジアミンおよび/またはトリアミンおよび/またはテトラアミンであることができる。特に、ポリマー構成体と反応しないか、僅かにしか反応しないようなアミンが選択される。促進剤として、さらに例えばリンベースのアミン、例えばホスフィンおよび/またはホスホニウム化合物を使用することができる。
【0096】
この方法により、特にアクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルをベースとするポリマーを発泡および架橋することができ、その際、有利なのは、エステルの少なくとも一部が官能基を含むことであり、かつ/または官能基を有するコモノマーが存在することである。特に(メタ)アクリレートベースの架橋すべきポリマーの官能基としては、とりわけそれぞれの架橋剤に合わせて選択された特に酸性基(カルボン酸基、スルホン酸基、および/またはホスホン酸基)および/またはヒドロキシ基および/または酸無水物基および/またはエポキシド基および/またはアミン基が適している。ポリマーが、組込み重合されたアクリル酸および/またはメタクリル酸を含む場合が特に有利である。
【0097】
しかしながら促進剤を使わないことも有利な可能性がある。なぜなら促進剤は、例えば黄ばみがちなことがあり(特に例えば窒素含有物質)、このことが、例えば光学分野で適用するための透明なポリマーまたは(感圧)接着剤に対しては支障がある場合があるからである。追加的に促進剤を添加する必要がなく、使用時に促進剤を使わなくてもよい架橋剤としては、例えばエポキシシクロヘキシル誘導体が適しており、とりわけ、特に(メタ)アクリレートベースの架橋すべきポリマー中にカルボン酸基が存在する場合に適している。これは例えば、ポリマー中に少なくとも5重量%のアクリル酸を組込み重合することによって実現可能である。架橋すべきポリマー中には、特に陽子受容体および/または電子対供与体(ルイス塩基)および/または電子対受容体(ルイス酸)が存在しないこと、特に添加されないことが有利である。その際、存在しないとは、特に、外部から添加された(つまり組み込み重合されていない、またはポリマー骨格中に組み込まれていない)促進剤が存在しないということであり、しかし特に好ましくは、外部から添加された促進剤も組込み重合された促進剤も存在せず、非常に好ましくは促進剤が全く存在しない。
【0098】
架橋剤としては、エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、特に好ましくは(3,4−エポキシシクロヘキサン)メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレートが特に有利であることが分かった。
【0099】
有利なのは、前述の架橋剤もしくは架橋剤・促進剤系、または熱架橋を開始するその他の物質を使用して、架橋すべきポリマー、特にポリアクリレートの融体中での架橋を開始し、その後、架橋が10%未満しか終わっていない時点でポリマーを冷却できることである。開始は、特に以下に挙げる混合ユニットの1つである加工反応器内で行われることがさらに好ましい。この加工反応器は、マイクロバルーンも添加される混合ユニットであることができ、しかしもう1つの混合ユニットであってもよい。開始後に、架橋および発泡すべきポリマーを加工ユニットから取り出し、取り出したことにより発泡し、その際、取り出すことで一般的には既に温度低下が起こる。その後、ポリマー組成物を成形する。この場合、架橋剤・促進剤系の選択により、架橋は冷却後も最終的な架橋度に達するまで進行する。架橋反応は室温で進行することが好ましく、したがって室温にまで冷却が行われる。
【0100】
適用分野および所望の特性に応じて、発泡すべきポリマー組成物にさらなる成分および/または添加物を添加することができ、しかもそれぞれ単独で、または1種、2種、もしくは複数の別の添加物または成分と組み合わせて添加することができる。
【0101】
好ましい手順では、特に自己接着剤として使用するための発泡すべきポリマー組成物に、例えば樹脂、例えば接着樹脂および/または熱可塑性樹脂を混合する。本明細書の意味における樹脂とは、数平均分子量Mが5,000g/mol以下のオリゴマー化合物およびポリマー化合物のことである。その際、樹脂の最大添加可能量は、場合によってはさらなる出発物質と混合されたポリマーとの混合性により制限され、いずれにせよ樹脂とポリマーの間で均質な混合が形成されることが望ましい。
【0102】
接着性付与樹脂としては、当業者に原則的に知られている接着樹脂を使用することができる。代表的なものを挙げるなら、ピネン樹脂、インデン樹脂、およびロジン樹脂、その不均化され、水素化され、重合され、エステル化された誘導体および塩、脂肪族および芳香族の炭化水素樹脂、テルペン樹脂およびテルペンフェノール樹脂、ならびにC、C、およびその他の炭化水素樹脂であり、それぞれ単独でまたは相互に組み合わせて使用される。ポリマー組成物と適合する(ポリマー組成物中に可溶性の、可溶性の)すべての樹脂、特に挙げるとすれば、すべての脂肪族、芳香族、アルキル芳香族の炭化水素樹脂、純粋なモノマーをベースとする炭化水素樹脂、水素化された炭化水素樹脂、官能性炭化水素樹脂、ならびに天然樹脂を使用できることが特に有利である。好ましいテルペンフェノール樹脂は例えばDertophene T105およびDertophene T110であり、好ましい水素化されたロジン誘導体はForal85である。
【0103】
さらに任意選択で、粉末状および顆粒状の充填物質、色素および顔料、特に研磨性および強化性の充填物質、例えばチョーク(CaCO)、二酸化チタン、酸化亜鉛、およびカーボンブラックも添加することができる。様々な形態のチョークを充填物質として使用できることが好ましく、その際、Mikrosoehlチョーク(Soehlde社)の使用が特に好ましい。最高20重量%の好ましい分率では、充填物質の添加により接着技術的特性(室温でのせん断強度、スチールおよびPE上での瞬間接着力)が実質的に変化することはない。様々な有機充填物質を添加できることも好ましい。
【0104】
その他に本発明によるポリマー組成物に適切な添加物は、他の添加物とは関係なく選択される膨張可能でない中空ポリマー球、中実ポリマー球、中空ガラス球、中実ガラス球、中空セラミック球、中実セラミック球、および/または中実炭素球(「Carbon Micro Balloons」)である。
【0105】
さらに難引火性の充填物質、例えばポリリン酸アンモニウム、さらに導電性の充填物質、例えば導電性カーボンブラック、炭素繊維、および/または銀コーティングされた球、さらにフェロ磁性添加物、例えば酸化鉄(III)、老朽化防止剤、光安定剤、オゾン保護剤を加えるか、またはコンパウンド化することができる。
【0106】
任意選択で、通常の軟化剤を添加することができる。軟化剤としては、例えば低分子のポリアクリレート、フタラート、水溶性軟化剤、軟質樹脂、ホスフェートまたはポリホスフェートを配量添加することができる。
【0107】
対応するポリマー層の熱間せん断強度を調整するため、ケイ酸、有利にはジメチルジクロルシランで表面変性された好ましいケイ酸を添加することができる。
【0108】
本発明による方法は次の通り実施されることが好ましい(図1および図2を参照)。すなわちベースポリマーKを溶融し、特に搬送ユニット1を用いて混合ユニット2に搬送する。この混合ユニットおよび場合によっては1つまたは複数のさらなる混合ユニット3(混合ユニット2、3としては特に押出機、例えば二軸スクリュー押出機および/または遊星ロール押出機が適している)内では、特定の配量添加部位22、23、34、35、36で、さらなる必要かつ場合によっては任意選択の成分、例えば樹脂、促進剤、架橋剤、充填物質、およびその類似物を、ならびにマイクロバルーンも、混入させる。必要の際には、混合ユニット2、3の少なくとも1つまたはさらなる任意選択で設けられるユニット(図には示されていない)が、ポリマー融体の脱ガスに適している。特に、すべての混合成分が投入前に既に脱ガスされ、かつガスの新たな侵入が回避された場合には、この脱ガスユニットをなくすことができる。脱ガスを引き起こす負圧を発生させるには、真空ドームVを使用することが有利である。マイクロバルーンの投入は、ポリマー融体の温度での微小中空球の早すぎる膨張を抑制するため、特に圧力を上昇させて行う。
【0109】
このように製造された融体混合物をダイ5内に移送する。ダイ5から出る際に圧力低下が起こり、したがって微小中空球は吐出後に、つまり圧力低下の後に膨張し、こうしてポリマー組成物の発泡が引き起される。次いで、このように発泡したポリマー組成物を、特にロール機構4、例えばロールカレンダで成形する。
【0110】
以下に本発明による方法を2つの図に基づいてより詳しく説明するが、この例示的な図により、本発明による教示を不要に制限する意図はない。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本方法の実施に特に有用な装置構造を示す図である。
【図2】前述の装置構造に重ねて、個々のプロセスステップの、およびそのための特に温度および圧力といったパラメータの、局所的な割当を例示的に示す図である。
【図3】マイクロバルーンにより発泡した市販の製品の断面(左)および例Gに基づき本発明に従って製造した製品の断面(右)の走査電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0112】
ユニットおよびプロセス設備の構成要素、特に混合ユニットの構成は例として示されており、プロセス実行に応じて変更することができる。
【0113】
図1
第1のユニット1内、例えば押出機(特に一軸スクリュー搬送押出機)のような搬送ユニット内でベースポリマー組成物Kを溶融し、特に、ポリマー融体として、この搬送ユニット1を用いて特に加熱可能な連結部11(例えばチューブまたは管)を介して第2のユニット2内、特に二軸スクリュー押出機のような混合ユニット内に搬送する。
【0114】
第2のユニット内の1つまたは複数の配量添加部位22、23を介して、添加物、例えばすべての樹脂もしくは樹脂の一部、架橋系もしくはその一部(特に架橋剤および/または促進剤)、充填物質、カラーペースト、またはその類似物を、一緒にまたは互いに別々にベースポリマー融体に加えることができる。
【0115】
このように混合されたポリマー融体は、ユニット2から、つまり特に二軸スクリュー押出機から出る前に、特に、圧力が175mbar以下の真空ドームVを介して脱ガスされ、続いて第2の特に加熱可能な連結部24(例えばチューブまたは管)を介して第3のユニット3内、特に第2の混合ユニット内、例えばスライドパッキンリング36を備えた遊星ロール押出機内に搬送される。
【0116】
第3のユニット3、特に遊星ロール押出機は、ポリマー融体を投入し、さらなる特に既に脱ガスされた成分および/または添加物と混合するために、1つまたは複数の温度調節可能な混合ゾーン31、32ならびに1つまたは複数の注入または配量添加可能な部位33、34、35を備えている。
【0117】
配量添加部位34を介して、例えば樹脂または樹脂混合物が添加される。この樹脂または樹脂混合物は、予め別個の真空ドームV内で脱ガスされていることが有利である。配量添加部位35(ここでは概略的に34と同じ部位に描き込まれているにすぎないが、押出機の別の部位に設置された全く別の配量添加部位であることができ、一般的にはそうされる)を介して、液体中に包埋されたマイクロバルーンが加えられる。同じ配量添加部位または図1に示されていないさらなる配量添加部位を介して、架橋系またはその一部(特に架橋系のうちまだ入っていない成分)を添加することができる。架橋系またはその一部、特に架橋剤および/または促進剤を、マイクロバルーンと一緒に、マイクロバルーン・架橋系混合物として混合できることが有利である。加熱ゾーン32(加熱可能な混合ゾーン)内では、ポリマー融体が、添加された成分および/または添加物、少なくともマイクロバルーンとコンパウンド化される。
【0118】
こうしてできた融体混合物を、さらなる連結部またはさらなる搬送ユニット37、例えば歯車ポンプを介してダイ5内に移送する。ダイ5から出た後、つまり圧力低下の後、混入されたマイクロバルーンが膨張し、したがって発泡ポリマー組成物、特に発泡自己接着剤が生成され、続いてこの発泡ポリマー組成物を成形し、例えばロールカレンダ4を用いてシート状に成形する(カレンダのロール41、42、43、ポリマー層を載せる支持材料44)。
【0119】
図2
第1のユニット1内、例えば押出機(特に一軸スクリュー搬送押出機)のような搬送ユニット内でベースポリマー組成物Kを溶融し、ポリマー融体として、この搬送ユニットを用いて加熱可能なチューブ11または類似の連結部(例えば管)を介して第2のユニット2内、例えば遊星ロール押出機のような混合ユニット内に搬送する。これに関し図2では例示的に、それぞれ独立して温度調節可能な4つのモジュールを備えたモジュール構造の遊星ロール押出機が示されている(T、T、T、T)。
【0120】
配量添加口22を介してさらなる成分、ここでは特に溶融した樹脂または溶融した樹脂混合物を加えることができる(より混合し易くするには、セグメントT内で、好ましくはセグメントT内でも、高い温度を選択することが有利であり得る)。さらなる添加物または充填物質、例えばカラーペーストを、ユニット2内の22と同様の別に存在する配量添加部位を介して供給することもできる(個別に描き込まれてはいない)。配量添加部位23で架橋剤を添加できることが有利である。これに関しては、架橋剤の反応性を低下させ、それにより加工時間を延長するために融体の温度を下げることが有利である(セグメントT内の温度は低く、有利にはセグメントT内でも低い)。
【0121】
加熱可能なチューブ24bもしくは類似の連結部および融体ポンプ24aもしくは別の搬送ユニットを用いて、ポリマー融体を第3のユニット3内、例えば二軸スクリュー押出機のようなさらなる混合ユニット内に移送し、位置33でこのユニット3内に供給する。配量添加部位34では、例えば促進成分を添加する。この二軸スクリュー押出機は脱ガス装置として使用できるように設計されることが有利である。したがって例えば図に示した部位での圧力が175mbar以下の真空ドームV内で、混合物全体からすべての閉じ込められたガスを除去することができる。真空ゾーンとの接続部では、スクリュー上にブリスターB(押出成形空間内で、特に周りを取り囲む間隙として、例えばリング間隙として形成された絞り弁部位であり、特に押出機内で加工される融体の圧力調整に役立つ)があり、このブリスターが後続のセグメントS内での圧力上昇を可能にする。押出機の回転数および押出機に後置された搬送ユニット、例えば融体ポンプ37aの適切な制御により、ブリスターBと融体ポンプ37aの間のセグメントS内では8bar以上の圧力が発生する。このセグメントS内では、配量添加部位35でマイクロバルーン混合物(液体中に包埋されたマイクロバルーン)を投入し、押出機内で均質にポリマー組成物中に混入させる。
【0122】
こうしてできた融体混合物を、搬送ユニット(融体ポンプ37aおよび連結部37b、例えばチューブ)によりダイ5内に移送する。ダイ5から出た後、つまり圧力低下の後、混入されたマイクロバルーンが膨張し、したがって発泡ポリマー組成物、特に発泡自己接着剤Sが生成され、続いてこの発泡ポリマー組成物を成形し、例えばロールカレンダ4を用いてシート状に成形する。
【0123】
本発明の対象はさらに、特にポリマー組成物層としての、または(任意の成形の)発泡成形体としての、ほぼガスを含まず、ほぼすべての中空空間がそれぞれ1つの自前のポリマーシェルで内張りされている発泡ポリマー組成物である。ポリマー組成物層は特に本明細書の枠内で記載したような構造を有しており、成形体は、例えば射出成形または類似の方法により得ることができる。ポリマー組成物層または成形体の製造は、特に本発明による方法に基づいて行われる。
【0124】
本発明による製品は、これらの製品における発泡ポリマー組成物中に開放気泡性の中空空間、特に閉じ込められた空気がほぼ存在しないことを特徴とする。本発明によるポリマー組成物の層および成形体は、自前のポリマーシェルのない中空空間、つまり開放気泡性の空洞の分率が2体積%以下、特に0.5体積%以下であることが有利である。本発明によるポリマー組成物の層および成形体は、ほぼガスを含まないことが非常に好ましい。本発明によるポリマー組成物の層および成形体は、特に上述の空間密度を有している。
【0125】
本発明による発泡製品、特に転写テープまたは3層接着テープは、多くの分野で適用され、例えば建設産業において、電子機器産業において、家庭用電動工具の分野において、自動車産業において、船舶製造およびボート製造および鉄道建設において、家庭用器具および家具およびその類似物に対して適用される。有利な適用例は、例えば前述の分野内での枠縁およびエンブレムの貼付け、エレベータの補強プロフィルの貼付け、ソーラー産業における部品および製品の貼付け、電子消費財、例えばテレビおよびその類似物でのフレーム貼付け、標識板製造の際の貼付けである。
【0126】
実験の部
個々に異なる提示が何もないまたは明らかでない場合、本明細書の枠内での値の提示ならびに試料準備および測定は、以下の方法に基づき標準条件(25℃、101325Pa)下で行われる。
【0127】
I.1 比重瓶を用いた密度決定
この測定原理は、比重瓶内にある液体を押し退けた量に基づく。最初に空の比重瓶および液体で満たされた比重瓶の重さを量り、その後、測定すべき物体を容器内に入れる。
【0128】
重量の差から物体の密度を計算する。
を、空の比重瓶の質量とし、
を、水で満たされた比重瓶の質量とし、
を、固体を入れた比重瓶の質量とし、
を、固体を入れ、水を補充した比重瓶の質量とし、
ρを、対応する温度での水の密度とし、
ρを、固体の密度とする。
【0129】
この場合、固体の密度は下式から分かる。
【0130】
【数1】

【0131】
サンプルごとにそれぞれ3回の決定を実施する。この方法では、仮比重(多孔質の固体、ここでは発泡体の場合、孔の空間を含んだ体積をベースとする密度)が得られることに注意しなければならない。
【0132】
I.2 自己接着剤塗布量および層厚による密度決定の迅速方法
コーティングした自己接着剤の単位体積当りの重量または密度ρを、単位面積当りの重量とそれぞれの層厚の比から決定する。
【0133】
【数2】

MA=自己接着剤塗布量/単位面積当りの重量(ライナーの重量を除く)[kg/m
d=層厚(ライナーの厚さを除く)[m]
【0134】
この方法の場合も仮比重が得られる。
【0135】
この密度決定は、特に、完成した製品、さらに多層製品の全体密度の決定に適している。
【0136】
II.せん断強度の量的な確定:静的せん断テストSSZ
サイズが13mm×20mmの長方形の、検査すべき両面接着テープの検査サンプルを、2枚のスチールプレート(50mm×25mm×2mm;材料はDIN EN10088−2、タイプ1、4301に基づき、表面品質2R、冷間圧延および光輝焼なましされ、表面粗度25〜75nm)の間に、検査サンプルと両方のスチールプレートの貼付面がそれぞれ260mmであるように、スチールプレートを長手方向にずらして平行に位置合わせして貼り付け、したがって検査サンプルは、中央でスチールプレートの間に貼り付けられており、スチールプレートは、異なる側が検査サンプルから突き出ている。続いて、押圧力100N/cmで1分間加圧する。所定の表面伸展時間(別に提示されない限り、室温で72時間)の後、このように準備された被検体を、せん断テスト測定場で、スチールプレートのうち検査サンプルから突き出ている領域の一方を、スチールプレートの長手方向が下に向くように懸架し、スチールプレートのうち検査サンプルから突き出ているもう一方の領域に、所定の温度で、選択された重量で荷重を掛ける(室温および荷重20Nで、ならびに70℃および荷重10Nで測定;それぞれの表中の提示を参照)。検査雰囲気は、標準条件、相対湿度50%である。こうして、検査サンプルが役に立たなくなるまでの時間を自動カウント時計により分単位で確定する(荷重を掛けたスチールプレートの剥がれ落ち)。
【0137】
III.剥離強度(接着力)KK
調査すべき(自己)接着テープの細長片を規定の幅(標準:20mm)で、研磨したスチールプレート(ASTM A666に基づくステンレス鋼302、50mm×125mm×1.1mm、光輝焼なましされた表面、表面粗度:ベースラインからの算術平均偏差が50±25nm)に、5kgのスチールローラを上で10回転がすことにより貼り付ける。両面接着性の接着テープの背面は、36μm厚の硬質PVCフィルムで補強する。それぞれ同一の試料を製造し、迅速測定のために準備するか、または3日間もしくは14日間貯蔵して測定する。
【0138】
準備したプレートを検査機器内に架け渡し(固定し)、接着細長片のうち引張検査機に接する自由端を介して、剥離角度90°、速度300mm/minでプレートから接着テープの長手方向に引き剥がす。このために必要な力を確定する。測定結果はN/cmで提示し(それぞれ緩和状態での貼付長さに規格化した力)、3回の測定から平均値を求める。すべての測定は、23℃および相対湿度50%に空調した空間内で実施する。
【0139】
IV.動的Tブロックテスト
両面接着テープのz方向の強度の決定
T字形の2つのアルミニウムプロフィルの縦棒部分のうち横棒に向かい合う表面(25mm×25mm)を、検査すべき両面接着テープ(正方形の裁断物、辺の長さ25mm)で、気泡を含まないように相互に貼り付け、110Nで15秒間加圧する。
【0140】
検査は、室温で24時間の表面伸展時間の後に行う。これに関しては、接着複合体のそれぞれ反対方向に向いている横棒を、引張検査機で速度300mm/minで引き離し(貼付表面に垂直な引張方向)、その際に測定された最大力を結果として提示する。
【0141】
V.動的せん断力
検査すべき両面接着テープ(試料サイズ=25×25mm)を、2枚のスチールプレートの間に気泡を含まないように貼り付け、0.1kN/cmで1分間加圧する。直後にも、および室温で3日間の表面伸展時間後にも、それぞれ検査を行う。これに関しては、被検体を速度50mm/minでy方向に引き離し、その際に測定された最大力を結果として提示する。
【0142】
VI.動的L治具テスト
両面接着テープの剥離力の決定
L字形の鋼板アングルの一方の辺を、測定すべき両面接着テープサンプル(正方形の裁断物、辺の長さがそれぞれ25mm)で、平滑な研磨されたABS検査プレート(ABS:アクリルニトリルブタジエンスチレンコポリマー)上に接着し、したがって検査すべき接着テープ面は検査プレート上にあり、貼付面は25mmである。固着させるためスチールスタンプを用いて貼付部を圧力60Nで5秒間加圧する。
【0143】
室温で24時間の表面伸展時間の後、鋼板アングルを引張検査機で速度200mm/minで検査プレートから引き剥がし、その際に測定された最大力を結果として提示する。
【0144】
VII.静的ガラス転移温度Tg
静的ガラス転移温度の決定は、DIN53765に従い示差走査熱量測定によって行う。個々に異なる提示が何もない場合、ガラス転移温度Tgの提示はDIN53765:1994−03に基づくガラス転移温度の値Tgである。
【0145】
VIII.分子量
平均分子量Mおよび多分散度Dの決定は、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)を用いて行った。溶離液として、0.1体積%のトリフルオロ酢酸を含むTHFを用いた。測定は25℃で行った。プレカラムとしてPSS−SDV、5μm、103Å(10〜7m)、ID8.0mm×50mmを使用した。分離のため、カラムPSS−SDV、5μm、103Å(10〜7m)、105Å(10〜5m)、および106Å(10〜4m)、それぞれID8.0mm×300mmを使用した。試料濃度は4g/l、貫流量は1分間に1.0mlであった。PMMAを標準として測定した。
【0146】
IX.固体含有率
固体含有率は、ポリマー溶液中の蒸発可能でない成分の分率に関する尺度である。固体含有率は、溶液を量り入れ、その後120℃の乾燥庫内で2時間かけて蒸発可能な部分を蒸発させ、残留物の重さを再び量ることによる重量測定法で決定する。
【0147】
X.K値(フィケンチャー法)
K値は、高分子物質の平均分子サイズに関する尺度である。測定のため、1パーセント(1g/100ml)でのトルエンのポリマー溶液を作り、VOGEL−OSSAG粘度計を用いて溶液の動的粘度を決定した。トルエンの粘度に正規化して相対粘度を取得し、それを基にフィケンチャー法に従いK値を算出することができる(Polymer 8/1967、381頁以降(非特許文献1))
【0148】
XI.表面粗度の決定
PRIMOSシステムは照明ユニットおよび撮影ユニットから成る。照明ユニットは、デジタル・マイクロミラー・プロジェクタを用いて表面上にラインを投射する。この投射された平行なラインが表面構造により偏向または変調される。
【0149】
変調されたラインを記録するため、特定の角度、いわゆる三角測量角度で配置したCCDカメラを用いる。
測定エリアサイズ 14.5×23.4mm
プロフィル長さ 20.0mm
面粗度 縁から1.0mm離れて(Xm=21.4mm、Ym=12.5mm)
フィルタリング 多項式フィルタ 3次
対応する測定機器は、とりわけGFMesstechnik GmbH(Teltow)で購入することができる。
【0150】
【表1】

【0151】
ベースポリマーAc1の製造
ラジカル重合のために通常の反応器を、2−エチルヘキシルアクリレート54.4kg、メチルアクリレート20.0kg、アクリル酸5.6kg、およびアセトン/イソプロパノール(94:6)53.3kgで満たした。撹拌しながら窒素ガスを45分間通した後、反応器を58℃に加熱し、アセトン400g中に溶かしたVazo67) 40gを加えた。続いて外側の加熱槽を75℃に加熱し、この外側の温度を一定に保って反応を実施した。1時間後に新たに、アセトン400g中に溶かしたVazo67 40gを加え、4時間後にアセトン/イソプロパノール混合物(94:6)10kgで希釈した。
【0152】
それぞれ5時間後および7時間後に、それぞれアセトン400g中に溶かしたビス−(4−tert−ブチルシクロヘキシル)−ペルオキシジカーボネート120gで再び開始させた。22時間の反応時間の後、重合を中断し、室温に冷却した。生成物の固体含有率は55.9%であり、さらに乾燥させた。生成されたポリアクリレートは、K値が58.8、平均分子量Mw=746,000g/mol、多分散度D(Mw/Mn)=8.9、および静的ガラス転移温度Tg=−35.6℃であった。
【0153】
ベースポリマーAc2の製造
ラジカル重合のために通常の反応器を、2−エチルヘキシルアクリレート30.0kg、ブチルアクリレート67.0kg、アクリル酸3.0kg、およびアセトン/イソプロパノール(96:4)66.7kgで満たした。撹拌しながら窒素ガスを45分間通した後、反応器を58℃に加熱し、アセトン500g中に溶かしたVazo67 50gを加えた。続いて外側の加熱槽を70℃に加熱し、この外側の温度を一定に保って反応を実施した。1時間後に新たに、アセトン500g中に溶かしたVazo67 50gを加え、2時間後にアセトン/イソプロパノール混合物(96:4)10kgで希釈した。5.5時間後に、アセトン500g中に溶かしたビス−(4−tert−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート150gを加え、6時間半後に新たにアセトン/イソプロパノール混合物(96:4)10kgで希釈した。7時間後にさらに、アセトン500g中に溶かしたビス−(4−tert−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート150gを加え、加熱槽の温度を60℃に調節した。
【0154】
22時間の反応時間の後、重合を中断し、室温に冷却した。生成物の固体含有率は50.2%であり、さらに乾燥させた。生成されたポリアクリレートは、K値が75.2、平均分子量Mw=1,370,000g/mol、多分散度D(Mw/Mn)=17.13、および静的ガラス転移温度Tg=−38.0℃であった。
【0155】
ポリアクリレート感圧接着剤PAHK
ラジカル重合のために通常の100Lガラス反応器を、アクリル酸4.8kg、ブチルアクリレート11.6kg、2−エチルヘキシルアクリレート23.6kg、およびアセトン/ベンジン60/95(1:1)26.7kgで満たした。撹拌しながら窒素ガスを45分間通した後、反応器を58℃に加熱し、AIBN30gを加えた。続いて外側の加熱槽を75℃に加熱し、この外側の温度を一定に保って反応を実施した。1時間の反応時間後に再びAIBN30gを加えた。4時間後および8時間後に、それぞれアセトン/ベンジン60/95(1:1)混合物10.0kgで希釈した。残留開始剤を減らすため、8時間後および10時間後にそれぞれビス−(4−tert−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカーボネート90gを加えた。24時間の反応時間後に反応を中断し、室温に冷却した。続いてポリアクリレートをUvacure(登録商標)1500 0.2重量%と混合し、アセトンで固体含有率30%に希釈し、その後、溶液の状態で、シリコーン処理された剥離フィルム(50μmポリエステル)または23μm厚のエッチングされたPETフィルム上にコーティングした。(コーティング速度2.5m/min、乾燥路15m、温度はゾーン1:40℃、ゾーン2:70℃、ゾーン3:95℃、ゾーン4:105℃)接着剤塗布量は50g/mであった。
【0156】
マイクロバルーン混合物の製造
マイクロバルーンを容器に入れ、その容器内に液状成分(分散剤)を、個々の例での提示に従って入れた。pc−laborsystem社の遊星式撹拌機内で、圧力5mbarおよび回転数600rpmで30分間撹拌した。
【0157】
発泡ポリマー組成物の製造
発泡は、図2の表示に対応した試験設備内で行う。
【0158】
供給押出機1(ドイツのTROESTER GmbH&Co KG社の一軸スクリュー搬送押出機)内で対応するベースポリマーK(Ac1またはAc2;表を参照)を溶融し、ポリマー融体として、この供給押出機を用いて加熱可能なチューブ11を介してEntex社(Bochum)の遊星ロール押出機2内に搬送する(特に、それぞれ独立して加熱可能な4つのモジュールT、T、T、Tを備えた遊星ロール押出機を用いた)。それから配量添加口22を介し、溶融した樹脂を加える。これに加え、さらなる添加物または充填物質、例えばカラーペーストを、さらに存在している配量添加部位を介して供給することができる。地点23で架橋剤を添加する。すべての成分を均質なポリマー融体へと混合する。
【0159】
融体ポンプ24aおよび加熱可能なチューブ24bを用いて、ポリマー融体を二軸スクリュー押出機3(Berstorf社)内に移送する(投入位置33)。位置34で促進成分を添加する。続いて圧力が175mbarの真空ドームV内で、混合物全体からすべての閉じ込められたガスを除去する(ガス解放のための基準は上を参照)。真空ゾーンの直後には、スクリュー上にブリスターBがあり、このブリスターが後続のセグメントS内での圧力上昇を可能にする。押出機の回転数および融体ポンプ37aの適切な制御により、ブリスターBと融体ポンプ37aの間のセグメントS内では8bar超の圧力が発生し、配量添加部位35でマイクロバルーン混合物(試験群での提示に基づく分散助剤中に包埋されたマイクロバルーン)を添加し、混合要素を用いて均質に予備混合物中に混入させる。できた融体混合物をダイ5内に移送する。
【0160】
ダイ5から出た後、つまり圧力低下の後、混入されたマイクロバルーンが膨張し、その際、圧力の低下により、ポリマー組成物のせん断の少ない、特にせん断のない冷却が起こる。発泡自己接着剤Sが生成され、続いてこの発泡自己接着剤をロールカレンダ4を用いてシート状に成形する。

【0161】
【表2】

【0162】
【表3】

【0163】
【表4】

【0164】
【表5】

【0165】
【表6】

【0166】
【表7】

【0167】
上記の試験群は、本発明により製造された製品の秀でた特性を証明する。
【0168】
図3は、走査電子顕微鏡で撮影した、マイクロバルーンにより発泡した市販の製品の断面(左)および例Gに基づき本発明に従って製造した製品の断面(右)を示している。本発明による製品は、膨張したマイクロバルーンから成る空洞だけを有することが分かる。空洞のサイズ分布は狭い。黒い面は、断面を作成する際に切開された空洞および表面からもぎ取られたマイクロバルーンである。マイクロバルーンの色は、ポリマーマトリクス内でのマイクロバルーンの位置に起因している。
【0169】
市販品の比較例では、マイクロバルーンの空洞だけでなく、一般的にはより大きく、より不揃いに成形されているさらなる空洞が、かなりの分率で発生していることが分かる。これは、閉じ込められた気泡である。
【符号の説明】
【0170】
1 第1のユニット(搬送ユニット)、例えば一軸スクリュー押出機
11 加熱可能な連結部、例えばチューブまたは管
2 第2のユニット(混合ユニット)、例えば二軸スクリュー押出機または遊星ロール押出機
21 温度調節可能な混合ゾーン
22 投入口
23 配量添加口
24 搬送装置
24a 搬送ユニット、特に融体ポンプ
24b 加熱可能な連結部、例えばチューブまたは管
3 第3のユニット(混合ユニット)、例えば二軸スクリュー押出機または遊星ロール押出機
31 温度調節可能な混合ゾーン
32 温度調節可能な混合ゾーン/加熱ゾーン
33 投入口
34、35 配量添加口
36 スライドパッキンリング
37 搬送装置
37a 搬送ユニット、特に融体ポンプ
37b 加熱可能な連結部、例えばチューブまたは管
4 ロール機構、例えばロールカレンダ
41、42、42 ロール機構のロール
44 支持材料
、T、T、T それぞれ独立して温度調節可能な混合ユニットモジュール
B 絞り弁部位、特にブリスター
S マイクロバルーンを投入するための混合ユニットセグメント
V 真空ドーム
5 ダイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
膨張可能な微小中空球を使用した発泡可能なポリマー組成物の製造方法において、2つの別々のプロセスラインで始まり、両方の別々のプロセスラインの一方でのみ、膨張可能な微小中空球が用いられることを特徴とする方法。
【請求項2】
第1のプロセスラインでは、1種または複数の使用すべきポリマーの少なくとも主な部分が属しているが膨張可能な微小中空球は属さない第1の出発物質が混合および脱ガスされて第1の予備混合物とされ、
その後、前記予備混合物がプロセス進行のそれぞれの部位xで加圧され、その圧力p(x)は、当該圧力p(x)と予備混合物の温度T(x)との組合せが、圧力と温度との各臨界組合せより下にあるような圧力であり、ここで当該臨界組合せより上では使用すべき微小中空球の膨張が誘発されるものであり、
第2のプロセスラインでは、使用すべき膨張可能な微小中空球が属する第2の出発物質が脱ガスされ、
その後、第2のプロセスラインで処理された第2の出発物質が、第1のプロセスラインで製造された予備混合物に添加され、
その後、第2の出発物質が予備混合物と混合されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第2のプロセスラインでは少なくとも膨張可能な微小中空球の脱ガスが、負圧を適用することなく、すなわち膨張可能な微小中空球を液体中、好ましくは油中に浸すことで行われることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
第2の出発物質を添加する際の予備混合物の温度が、周囲圧力との組合せでは膨張可能な微小中空球の膨張を誘発するであろうほど高いことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の方法。
【請求項5】
第2の出発物質を予備混合物内に添加した後、圧力および温度の未臨界組合せが、つまり使用すべき微小中空球の膨張を誘発する臨界点にある圧力および温度の組合せより下にある組合せが、正圧により達成され、少なくとも、さらなる出発物質が予備混合物中に均質に分布するまで維持され続けることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の方法。
【請求項6】
予備混合物と微小中空球の混合が、混合装置内で、好ましくは終端にダイを備えた押出機内で行われ、圧力および温度の未臨界組合せが混合装置から出るまで維持され続け、したがって混合装置から出る時点で初めて微小中空球の膨張が始まることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の方法。
【請求項7】
第2のプロセスラインでは、さらなる出発物質が液体中で懸濁されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の方法。
【請求項8】
第2のプロセスラインの出発物質を懸濁させる前記液体が、第2のプロセスラインと第1のプロセスラインを一緒にした後で生じる圧力および温度のどの組合せでも、ポリマー組成物中で気泡が形成されないように選択されていることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
ポリマー組成物のための出発物質として主にポリアクリレート、ポリオレフィン、天然ゴム、および/または合成ゴムが用いられ、前記出発物質の重量平均分子量Mが500,000g/mol超、好ましくは600,000g/mol超、特に好ましくは700,000g/mol超であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一つに記載の発泡可能なポリマー組成物の製造に基づく発泡可能なポリマー組成物の発泡方法において、微小中空球の膨張が混合後に行われ、好ましくは同時にポリマー組成物が冷却されることを特徴とする方法。
【請求項11】
ポリマー組成物が、微小中空球の膨張が行われた後に、ロール機構内で層へと成形されることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ポリマー組成物が架橋され、少なくともポリマー組成物の主な部分が膨張した後に初めて架橋され、好ましくは主な部分が層に成形された後に初めて架橋されることを特徴とする請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
架橋が、熱活性可能な架橋剤により、特にUV線および/または電子線の適用を回避して、達成されることを特徴とする請求項10、11、または12のいずれか一つに記載の方法。
【請求項14】
熱活性可能な架橋剤として、イソシアネート、アミン促進剤と併せてエポキシド、および/またはエポキシド化されたシクロヘキシル誘導体が用いられることを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
永久接着性で発泡した少なくともほぼガスを含まないポリマー組成物が製造されることを特徴とする請求項1〜14のいずれか一つに記載の方法。
【請求項16】
膨張した微小中空球を含み、特に請求項1〜15のいずれか一つに記載の方法に基づき入手可能な発泡ポリマー組成物において、自前のポリマーシェルのない空洞の分率が2体積%以下、好ましくは0.5体積%以下であることを特徴とする発泡ポリマー組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−122070(P2012−122070A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−267478(P2011−267478)
【出願日】平成23年12月7日(2011.12.7)
【出願人】(509120403)テーザ・ソシエタス・ヨーロピア (118)
【Fターム(参考)】