発泡成形型とそれを用いて成形した低倍発泡成形体
【課題】1枚のアタッチメントプレートから複数個の発泡成形品を同時成形することを可能とすることで、生産性をさらに向上させた発泡成形型を開示する。
【解決手段】平坦な蒸気吹き出しプレート2a,2bが、その前面側が一平面となるように、両マスターフレーム1a,1bの前面側にそれぞれ取り付けられており、片方のマスターフレーム1a側に、成形品キャビティ4を区画する成形開口22を備えたアタッチメントプレート20が着脱可能に取り付けられている発泡成形型1において、一方のマスターフレーム1aに複数本の原料フィーダー5を蒸気吹き出しプレート2a面内に原料吹き出し口を持つようにして取り付ける。アタッチメントプレート20は2枚以上の着脱可能なアタッチメントプレート群で構成されていて、そのうちの少なくとも1枚のアタッチメントプレートは面内に2個以上の成形開口22を形成している。2個以上の成形開口22には、複数本の原料フィーダーからそれぞれ同時に原料が供給される。
【解決手段】平坦な蒸気吹き出しプレート2a,2bが、その前面側が一平面となるように、両マスターフレーム1a,1bの前面側にそれぞれ取り付けられており、片方のマスターフレーム1a側に、成形品キャビティ4を区画する成形開口22を備えたアタッチメントプレート20が着脱可能に取り付けられている発泡成形型1において、一方のマスターフレーム1aに複数本の原料フィーダー5を蒸気吹き出しプレート2a面内に原料吹き出し口を持つようにして取り付ける。アタッチメントプレート20は2枚以上の着脱可能なアタッチメントプレート群で構成されていて、そのうちの少なくとも1枚のアタッチメントプレートは面内に2個以上の成形開口22を形成している。2個以上の成形開口22には、複数本の原料フィーダーからそれぞれ同時に原料が供給される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば発泡性粒子を型内で発泡させて発泡成形品を成形するための発泡成形型とそこで用いるアタッチメントプレート、およびその発泡成形型で成形される低倍発泡成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
発泡性粒子を型内で発泡させて発泡成形品を成形することは知られている。成形される発泡成形品は多種類にわたるが、その一つに、特許文献1に記載されるようなコンクリート推進管用クッション材がある。コンクリート推進管用クッション材は、地中穿孔時に、コンクリート推進管の端面間に取り付けられる部材であり、全体形状は扇形をなす板状体であって、発泡倍数が1.5〜20倍の低倍ポリスチレン系樹脂発泡成形体のものがほとんどである。
【0003】
そのような板状体である低倍発泡成形品を成形するのに好適な発泡成形型が、特許文献2に記載されている。その発泡成形型は、図10に記載するように、平坦な蒸気吹き出しプレート2a,2bが両マスターフレーム1a,1bの前面側にそれぞれ取り付けられている。片方のマスターフレーム1a側に、型締時に両蒸気吹き出しプレート2a,2b間に挟持されて成形品キャビティ4の側周を区画する成形開口3aを備えた、図11に示すようなアタッチメントプレート3が着脱可能に取り付けられる。そして、前記成形品キャビティ4は、両蒸気吹き出しプレート2a,2bのそれぞれ一平面となっている前面側と、前記アタッチメントプレート3に形成した成形開口3aの側周面3bとによって囲まれた空間として形成される。
【0004】
前記成形品キャビティ4には、一方のマスターフレーム1aに取り付けた蒸気吹き出しプレート2aの面内に原料吹き出し口を持つようにしてマスターフレーム1a側に配置した原料フィーダー5から、発泡性粒子が供給され、形締め後、蒸気吹き出しプレート2a,2bを通して成形品キャビティ4内に加熱蒸気を送り込む。それにより、発泡性粒子が発泡して低倍の発泡成形体が型内成形される。なお、図10において、6はエジェクターピン、8は補強サポートである。
【0005】
この発泡成形型では、形成品の形状や厚さに変更があっても、前記アタッチメントプレート4を交換するだけでそれに対処することができるので、変更に伴う経費および労力を軽減できると共に、交換部材であるアタッチメントプレート4の保管に要する手間およびスペースをも軽減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公昭61−8320号公報
【特許文献2】特開平8−25393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記した特許文献2に記載される構成の発泡成形型を用いることにより、例えばコンクリート推進管用クッション材である、形状および厚みの異なる複数種類の低倍発泡成形体を、複数種類のアタッチメントプレートを交換して用いるだけで、安定して成形することができる。しかし、前記発泡成形型の場合、1つの原料フィーダー5のみを備える形態であり、成形開口3aの一部に前記原料フィーダー5の原料吹き出し口5aが位置するように成形開口3aの位置決めをして、各アタッチメントプレート3を形成する必要があり、結果として、1枚のアタッチメントプレートからは1個の発泡成形品が成形されるのみであり、生産性の面で、さらに改良すべき点を有している。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、前記した複数枚のアタッチメントプレートを交換しながら用いるようにした発泡成形型において、1枚のアタッチメントプレートから複数個の発泡成形品を同時成形することを可能とすることで、生産性をさらに向上させた発泡成形型を開示することを第1の課題とする。また、その発泡成形型を用いて得られる低倍発泡成形体を開示することを第2の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題は、基本的に、マスターフレームに複数本の原料フィーダーを配置することと、アタッチメントプレートを2枚以上のアタッチメントプレート群で構成し、そのうちの少なくとも1枚のアタッチメントプレートには面内に2個以上の成形開口を形成すること、とによって解決される。
【0010】
すなわち、本発明による発泡成形型は、平坦な蒸気吹き出しプレートが、その前面側が一平面となるように、両マスターフレームの前面側にそれぞれ取り付けられており、少なくとも片方のマスターフレーム側に、型締時に両蒸気吹き出しプレート間に挟持されて成形品キャビティの側周を区画する成形開口を備えたアタッチメントプレートが着脱可能に取り付けられており、成形品キャビティが、両蒸気吹き出しプレートのそれぞれ一平面となっている前面側と、アタッチメントプレートに形成した成形開口の側周面とによって囲まれた空間として形成される発泡成形型であって、前記いずれか一方のマスターフレームには複数本の原料フィーダーが前記蒸気吹き出しプレート面内に原料吹き出し口を持つようにして取り付けられており、前記アタッチメントプレートは2枚以上の着脱可能なアタッチメントプレート群で構成されていて、そのうちの少なくとも1枚のアタッチメントプレートは面内に2個以上の成形開口を形成しており、かつ、前記アタッチメントプレート群のいずれを選択してマスターフレームに取り付けたときであっても、形成される前記成形品キャビティのすべてに前記いずれかの原料フィーダーから原料を供給されるように、蒸気吹き出しプレート面内での原料吹き出し口の位置決めがなされているか、または、各アタッチメントプレートの面内での前記成形開口の位置決めがされていることを特徴とする。
【0011】
本発明による上記の発泡成形型は、複数本の原料フィーダーを備えている。また、交換しながら用いるアタッチメントプレート群には、面内に2個以上の成形開口を形成したアタッチメントプレートが含まれる。そして、2個以上の成形開口を有するアタッチメントプレートを選択したときでも、そこに形成される2個以上の成形品キャビティのすべてには、それぞれに対応する原料フィーダーから、発泡性粒子である原料が供給される。それにより、2個以上の成形開口を有するアタッチメントプレーを選択した場合には、一回の成形処理で2個以上の発泡成形品を同時に得ることができる。それにより、生産性が向上する。
【0012】
2個以上の成形開口を有するアタッチメントプレートを選択して使用するときに、前記成形開口の形成位置によっては、蒸気吹き出しプレート面内に形成された複数個ある原料吹き出し口のいずれかが、当該アタッチメントプレートの前記成形開口が形成されていない面内に位置することも起こり得る。その場合、その原料吹き出し口はアタッチメントプレートの成形開口でない領域でもって閉鎖されるので、格別の問題は生じない。しかし、成形処理の容易性と原料の無駄を無くす観点から、各原料フィーダーには、原料吹き出し口よりも上流の位置に原料の供給を停止できるシャッターのような閉鎖手段を設けることが好ましい。
【0013】
本発明による発泡成形型の好ましい形態において、前記アタッチメントプレート群を構成する各アタッチメントプレートに形成される成形開口は扇形をなしており、前記扇形をなす成形開口のほぼ中央に前記原料吹き出し口が位置するように、蒸気吹き出しプレート面内での原料吹き出し口の位置決めがなされているか、または、前記アタッチメントプレート面内での前記成形開口の位置決めがなされている。
【0014】
この態様では、1個の原料吹き出し口から吹き出す原料を、前記成形開口が形成する成形品キャビティの全域に、実質的に均一にかつ短時間で供給することが可能となる。従って、原料供給系を簡素化しながら、良品の低倍発泡成形体を型内成形することができる。
【0015】
本発明による発泡成形型の好ましい形態において、発泡成形型は、さらに、複数本のエジェクターピンを有し、前記エジェクターピンは、前記アタッチメントプレート群のいずれを選択してマスターフレームに取り付けたときであっても、そこに形成される前記成形品キャビティ内にそのいずれかが入り込むことができるように、前記蒸気吹き出しプレート面内での位置決めがなされている。上記の形態において、さらに好ましくは、前記エジェクターピンは前記原料フィーダー内に備えられている。
【0016】
このようにしてエジェクターピンを設けることにより、いずれのアタッチメントプレートを選択した場合でも、アタッチメントプレートからの発泡成形品の脱型は容易となる。特に、エジェクターピンを前記原料フィーダー内に備えるようにする場合には、前記したマスターフレーム内に存在する部品数を少なくすることができ、成形品キャビティ内へ部分的に偏りのない状態で加熱蒸気を供給できるようになる。
【0017】
本発明による低倍発泡成形体は、未発泡粒子または嵩発泡倍数が2.0〜20倍の範囲内に発泡させてなる低倍発泡粒子を、本発明による発泡成形型の成形品キャビティ内に充填し、型内発泡成形して得られた、発泡倍数が1.5〜20倍の範囲内のものである低倍発泡成形体であり、より具体的には、コンクリート推進管用クッション材である低倍発泡成形体である。
【0018】
本発明による上記の低倍発泡成形体は、発泡倍数1.5〜20倍の範囲のものなので、発泡粒子同士の融着率と伸びが良好となり、曲げ強度や圧縮強度に優れており、高強度、長期耐久性に特に優れている。従って、高強度、長期耐久性が要求されるコンクリート推進管用クッション材などの土木用の分野、床下地材などの建材用の分野等に適用することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、図10に示すように、平坦な蒸気吹き出しプレート2a,2bを両マスターフレーム1a,1bの前面側に各々取り付け、片方のマスターフレーム1a側に、型締時に両蒸気吹き出しプレート2a,2b間に挟持されて成形品キャビティ4の側周を区画するアタッチメントプレート3を着脱可能に取り付けるようにした発泡成形型において、その生産性を大きく向上させることができる。特に、高強度、長期耐久性が要求されるコンクリート推進管用クッション材を、その形状や大きさが異なる場合であっても、高い生産性のもとで、それぞれ製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明による発泡成形型の一実施の形態を示す断面図。
【図2】アタッチメントプレートの取り付け部付近の拡大断面図。
【図3】蒸気吹き出しプレートの一例を示す平面図。ただし、蒸気吹き出し口は図示を省略している。
【図4】アタッチメントプレートの一例を示す斜視図。
【図5】図4に示すアタッチメントプレートを図3に示す蒸気吹き出しプレートに重ね合わせた状態をアタッチメントプレート側から見て示す平面図。
【図6】アタッチメントプレートの他の例を示す斜視図。
【図7】図6に示すアタッチメントプレートを図3に示す蒸気吹き出しプレートに重ね合わせた状態をアタッチメントプレート側から見て示す平面図。
【図8】アタッチメントプレートのさらに他の例を図3に示す蒸気吹き出しプレートに重ね合わせた状態をアタッチメントプレート側から見て示す平面図。
【図9】アタッチメントプレートのさらに他の例を図3に示す蒸気吹き出しプレートに重ね合わせた状態をアタッチメントプレート側から見て示す平面図。
【図10】従来知られた発泡成形型を説明するための断面図。
【図11】図10に示す発泡成形型とともに用いられるアタッチメントプレートを説明するための斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明による発泡成形型1およびアタッチメントプレート20について、実施の形態に基づき説明する。
【0022】
本発明による発泡成形型1は、先に図10に基づき説明した発泡成形型とほぼ同じものであるが、一方のマスターフレームに、図示のものでは固定側のマスターフレーム1aに、複数本(以下に説明するものでは、9本)の原料フィーダー5が取り付けられている点で、基本的に構成上の違いがある。
【0023】
図1および図2に示すように、発泡成形型1は、固定側および移動側のマスターフレーム1a,1bを有し、それぞれの前面側(成形品キャビティ4側)に平坦な蒸気吹き出しプレート2a,2bが取り付けられている。この蒸気吹き出しプレート2a,2bは、従来のキャビティ金型やコア金型と同様に蒸気透過性を有するもので、図2に示されるように、コアベント10が打ち込まれたベント孔11を備えている。なお、図1において、6はエジェクターピン、8は補強サポートである。後に説明するように、前記エジェクターピン6は、マスターフレーム1aに複数本取り付けられるが、図示の複雑さを回避する目的で、図1には1本のエジェクターピン6のみを示している。
【0024】
図2に示すように、上記蒸気吹き出しプレート2a,2bは、マスターフレーム1a,1bの前面側A,Bを覆うようにして、固定用ネジ12によって、マスターフレーム1a,1bに取り付けられており、これによって両蒸気吹き出しプレート2a,2bの前面側はそれぞれ一平面となっている。なお、図2において、9は、各部材間をシールするためのパッキン材である。
【0025】
固定側のマスターフレーム1aには、9本の原料フィーダー5a〜5iが、その原料吹き出し口を前記蒸気吹き出しプレート2aの面内に位置するようにして取り付けてある。図1には、その中の3本の原料フィーダー5d〜5fが示されており、図3は、蒸気吹き出しプレート2aの面内において、9本の原料フィーダー5a〜5iのそれぞれの原料吹き出し口が位置する状態を示している。図示のように、9本の原料フィーダー5a〜5iは、縦方向および横方向に所定の距離を置くようにして、固定側のマスターフレーム1a側に取り付けられている。
【0026】
なお、図3において、14は、蒸気吹き出しプレート2aを固定側マスターフレーム1a側に取り付けるときに、前記固定用ネジ12が通過する開口である。また、図3では、蒸気吹き出しプレート2aにおける図2に示したコアベント10およびベント孔11は、図示が省略されている。
【0027】
固定側のマスターフレーム1aには、アタッチメントプレート20が、固定用ネジ13によって、着脱可能に取り付けられる。本発明においては、アタッチメントプレート20には、異なる数および形状の成形開口22を備えた複数枚のアタッチメントプレート20a〜20dが群として用いられ、群を構成する各アタッチメントプレート20a〜20dは、固定側のマスターフレーム1aに対して、選択的に取り付け可能となっている。また、すべてのアタッチメントプレート20a〜20dは、全体として表裏面が平坦面である矩形状の板状材である。
【0028】
図4に示すアタッチメントプレート20aは、閉じた側周面21で区画される1個の成形開口22を有しており、この成形開口22が成形品キャビティ4として機能する。なお、図4において、25は、アタッチメントプレート20aをマスターフレーム1aに取り付け時に固定用ネジ13が通過する開口であり、30は、クレーン(不図示)等の作業機器に接続するフックであって、アタッチメントプレート20aを着脱する時あるいは移動する時に、アタッチメントプレート20aに形成した開口26にフック30を取り付けるようにして利用される。
【0029】
図1および図2は、図4に示すアタッチメントプレート20aを固定側のマスターフレーム1aに取り付けた状態を示しており、アタッチメントプレート20aは、固定側のマスターフレーム1aの蒸気吹き出しプレート2aの面に重ね合わせた状態で、固定用ネジ13によって取り付けられる。
【0030】
図5は、その状態をアタッチメントプレート20a側から見て示す平面図である。図示されるように、この例では、アタッチメントプレート20aに形成した成形開口22内には、図3に示した蒸気吹き出しプレート2aの面内での9本の原料フィーダー5a〜5iのうちの、横中列である3個の原料フィーダー5b,5e,5hの原料吹き出し口が位置しており、図で下横列の3個の原料フィーダー5a,5d,5gと、上横列の3個の原料フィーダー5c,5f,5iは、アタッチメントプレート20aによって、その原料吹き出し口は閉鎖されている。
【0031】
そのようにして、アタッチメントプレート20aを固定側のマスターフレーム1aに取り付けた後、可動側のマスターフレーム1bを移動して、図2に示すように型締めをする。それにより、アタッチメントプレート20aは、両蒸気吹き出しプレート2a,2b間に挟まれた姿勢となる。そして、両蒸気吹き出しプレート2a,2bのそれぞれ一平面となっている前面側A,Bと、アタッチメントプレート20aに形成した成形開口22の側周面21とによって区画された空間が、成形品キャビティ4を構成する。
【0032】
型締め後、成形品キャビティ4内に、一例として、原料である未発泡粒子または嵩発泡倍数が2.0〜20倍の範囲内に予備発泡させてなる低倍発泡粒子を、原料フィーダー5b,5e,5hから充填し、また加熱蒸気を供給することで、発泡倍数が1.5〜20倍の範囲内の低倍発泡成形体が型内発泡成形される。
【0033】
なお、この例において、原料供給は、所定の原料供給源からすべての原料フィーダー5a〜5iに対して行ってもよい。その場合でも、下横列の3個の原料フィーダー5a,5d,5gと上横列の3個の原料フィーダー5c,5f,5iの原料吹き出し口は、アタッチメントプレート20aによって閉鎖されているので、格別の支障は生じない。しかし、成形処理の容易性と原料の無駄を無くす観点から、各原料フィーダー5a〜5iには、原料吹き出し口よりも上流の位置に原料の供給を停止できる図示しないシャッターのような閉鎖手段を設けることが好ましく、その場合には、下横列の3個の原料フィーダー5a,5d,5gと上横列の3個の原料フィーダー5c,5f,5iに設けたシャッターは閉じておき、中横列の3個の原料フィーダー5b,5e,5hに設けたシャッターは開いた状態で、原料供給を行うようにする。
【0034】
その場合において、左右の原料フィーダー5bと5hのシャッターを閉じ、扇形をなす成形開口22のほぼ中央に位置する原料フィーダー5eのみから、計量済みの原料を加圧供給することにより、品質に偏りのない低倍発泡成形体を型内発泡成形することができる。従って、成形開口22の中央またはその近傍に、原料フィーダー5a〜5iのいずれか1つの吹き出し口が位置できるように、蒸気吹き出しプレート20a面内での原料吹き出し口の位置決めをするか、または、前記アタッチメントプレート2a面内での成形開口22の位置決めをすることは、本発明での好ましい態様となる。
【0035】
前記したように、固定側のマスターフレーム1aには、複数本のエジェクターピン6が取り付けてある。そして、各エジェクターピン6は、前記アタッチメントプレート20a〜20dのいずれを選択してマスターフレーム1aに取り付けたときであっても、そこに形成される成形品キャビティ4内にそのいずれかが入り込むことができるように、蒸気吹き出しプレート2aの面内で位置決めされている。
【0036】
上記の例では、型を開いた後、蒸気吹き出しプレート2aの面内における、前記アタッチメントプレート20aに形成した成形開口22に対向する箇所に位置する1個または複数個のエジェクターピン6を作動させることにより、成形品の脱型が行われる。図示しないが、各原料フィーダー5a〜5iの供給管内にエジェクターピン6を配置することもできる。その場合には、型を開いた後、原料供給に関与した原料フィーダー5のいずれかまたはすべてに取り付けたエジェクターピン6を作動させることにより、成形品の脱型が行われる。
【0037】
図6は、アタッチメントプレート20の他の形態を示す。このアタッチメントプレート20bは、全体形状は図4に示したアタッチメントプレート20aと同じであるが、成形開口22と比較して小型であるやはり扇形の4個の成形開口22bが、左右に2個ずつ形成されている。図7は、上記アタッチメントプレート20bを、図3に示した固定側のマスターフレーム1aの蒸気吹き出しプレート2aの面に重ね合わせた状態をアタッチメントプレート20b側から見て示している。
【0038】
図からわかるように、アタッチメントプレート20bでは、4つの成形開口22bは、前記した9本の原料フィーダー5a〜5iのうちの、左上の原料フィーダー5cと、左下の原料フィーダー5aと、右上の原料フィーダー5iと、右下の原料フィーダー5gの原料吹き出し口が、扇形をなす各成形開口22bのほぼ中央に位置することができるように、アタッチメントプレート20bの面内にそれぞれ形成されている。そして、他の5個の原料フィーダー5b、5d、5e、5f、5hの原料吹き出し口は、アタッチメントプレート20bによって閉鎖されている。
【0039】
上記のアタッチメントプレート20bを、アタッチメントプレート20aに代えて固定側のマスターフレーム1aに取り付け、以下、アタッチメントプレート20aの場合と同様にして成形処理を行う。この場合には、4個の成形開口22bで形成される4個の成形品キャビティ4内に、同時に原料が供給されるので、1回の処理で、4個の低倍発泡成形体を型内発泡成形することができる。なお、成形品の脱型には、各成形品キャビティに対応し定置するエジェクターピン6を利用する。
【0040】
図8は、アタッチメントプレート20のさらに他の形態を、図3に示した蒸気吹き出しプレート2aに重ね合わせた状態を、アタッチメントプレート側から見て示している。このアタッチメントプレート20cは、全体形状は図4に示したアタッチメントプレート20aと同じであるが、成形開口22と比較して小型であるやはり扇形の3個の成形開口22cが、中央部に3段に形成されている。図からわかるように、このアタッチメントプレート20cでは、3つの成形開口22cは、前記した9本の原料フィーダー5a〜5iのうちの、中央に位置する原料フィーダー5d、5e、5fの原料吹き出し口が、扇形をなす各成形開口22cのほぼ中央に位置することができるように、アタッチメントプレート20cの面内にそれぞれ形成されている。そして、他の6個の原料フィーダー5a〜5cと5g〜5iの原料吹き出し口は、アタッチメントプレート20cによって閉鎖されている。
【0041】
上記のアタッチメントプレート20cを用いる場合には、3個の成形開口22cで形成される3個の成形品キャビティ4内に同時に原料が供給されるので、1回の処理で、3個の低倍発泡成形体を型内発泡成形することができる。
【0042】
図9は、アタッチメントプレート20のさらに他の形態を、図3に示した蒸気吹き出しプレート2aに重ね合わせた状態を、アタッチメントプレート側から見て示している。このアタッチメントプレート20dも、全体形状は図4に示したアタッチメントプレート20aと同じであるが、成形開口22と比較して小型であるやはり扇形の6個の成形開口22dが、左右に3個ずつ形成されている。図からわかるように、このアタッチメントプレート20dでは、6つの成形開口22dは、前記した9本の原料フィーダー5a〜5iのうちの、左縦列5a〜5cと、右縦列5g〜5iの原料吹き出し口が、扇形をなす各成形開口22dのほぼ中央に位置することができるように、アタッチメントプレート20dの面内にそれぞれ形成されている。縦中央列の3個の原料フィーダー5d〜5fの原料吹き出し口は、アタッチメントプレート20dによって閉鎖されている。
【0043】
上記のアタッチメントプレート20dを用いる場合には、6個の成形開口22dで形成される6個の成形品キャビティ4内に同時に原料が供給されるので、1回の処理で、6個の低倍発泡成形体を型内発泡成形することができる。
【0044】
以上の説明からわかるよう、本発明による発泡成形型1では、アタッチメントプレート群を構成するいずれかのアタッチメントプレート、例えば、上記したアタッチメントプレート20a〜20dのいずれかを選択して用いることにより、一回の成形処理で1個または形や厚さの異なる2個以上の発泡成形品を同時に発泡成形することが可能であり、高い生産性を得ることができる。
【0045】
なお、上記の例では、1枚のアタッチメントプレート20a〜20dでもって成形品キャビティ4を構成するようにしたが、固定側と移動側のマスターフレーム1a,1bの両者に同じ形状のアタッチメントプレート20a〜20dを取り付け、この2枚のアタッチメントプレートを型締時に合わせることで1つの成形品キャビティ4を構成させることもできる。
【0046】
次に、上記した発泡成形型1を用いて、例えばコンクリート推進用クッション材である低倍発泡成形体を成形する場合の具体例を説明する。より具体的には、未発泡粒子または嵩発泡倍数が2.0〜20倍の範囲内に発泡させてなる低倍発泡粒子を、上記した発泡成形型1の成形品キャビティ4内に充填し、発泡倍数が1.5〜20倍の範囲内の低倍発泡成形体を型内発泡成形する。
【0047】
一例として、前記低倍発泡粒子として、低倍成形用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を蒸気加熱し、嵩発泡倍数が2.0〜20倍の範囲内に発泡させてなるものを用いる。
【0048】
前記低倍成形用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子のベースとなるポリスチレン系樹脂は、ポリスチレンを主成分とするものであり、スチレンの単独重合体でもよいし、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、t−ブチルスチレン、クロルスチレンなどのスチレン系誘導体、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、セチルメタクリレートなどのアクリル酸およびメタクリル酸のエステル、あるいはアクリロニトリル、ジメチルフマレート、エチルフマレートなどの各種単量体との共重合体でもよい。また、ジビニルベンゼン、アルキレングリコールジメタクリレートなどの2官能性単量体を併用してもよい。好ましいポリスチレン系樹脂は、スチレンの単独重合体である。
【0049】
この発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に含有させる発泡剤としては、揮発性発泡剤、分解型発泡剤のいずれを使用してもよい。
【0050】
揮発性発泡剤としては、例えば脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、エーテル、ケトン等が挙げられる。このうち脂肪族炭化水素としては、例えばプロパン、ブタン(ノルマルブタン、イソブタン)、ペンタン(ノルマルペンタン、イソペンタンなど)等が挙げられ、脂環族炭化水素としては、例えばシクロペンタン、シクロへキサン等が挙げられる。ハロゲン化炭化水素としては、例えばトリクロロフルオロメタン、トリクロロトリフルオロエタン、テトラフルオロエタン、クロロジフルオロエタン、ジフルオロエタン等のハロゲン化炭化水素などの1種または2種以上が挙げられる。さらにエーテルとしては、例えばジメチルエーテル、ジエチルエーテル等が挙げられ、ケトンとしては、例えばアセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。
【0051】
また分解型発泡剤としては、例えば重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム、アジド化合物、ホウ水素化ナトリウムなどの無機系発泡剤、アゾジカルボンアミド、アゾジカルボン酸バリウム、ジニトロソペンタメチレンテトラミンなどの有機系発泡剤が挙げられる。
前記発泡剤は、単独で用いても良く、2種以上を混合して用いてもよい。
【0052】
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の平均粒子径は、300μm〜2500μmの範囲内であり、好ましくは650μm〜2500μmの範囲内であり、より好ましくは800μm〜2000μmの範囲内である。発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の平均粒子径が前記範囲未満であると、該樹脂粒子を基に作製した低倍成形用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、或いはそれを低倍予備発泡して得られた低倍発泡粒子を、成形機のキャビティ内に充填し、型内発泡成形して低倍発泡成形体を製造する際に、粒子同士の間隔が狭くなって加熱用水蒸気が均一に行き渡らず、得られる発泡成形体の融着率が不均一となって、十分な強度を有する低倍発泡成形体が得られなくなるおそれがある。一方、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の平均粒子径が前記範囲を超えると、一粒質量が大きくなって、該粒子をキャビティ内に搬送したり、均一に充填することが難しくなる。また、複雑形状の発泡成形体の製造には不向きとなる。
【0053】
この発泡性ポリスチレン系樹脂粒子には、該樹脂粒子の発泡性や得られる低倍発泡成形品の機械強度に影響を及ぼさない範囲で、必要に応じて発泡助剤、滑剤、収縮防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、紫外線吸収剤、光安定剤、着色剤、無機気泡核剤、無機充填剤等の各種添加剤を添加してもよい。
【0054】
前記した発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、従来周知の各種の発泡樹脂粒子製造方法を用いて製造することができる。それらの方法の中でも、懸濁重合法、押出-水中カット法が好ましい。
【0055】
本発明に係る低倍発泡粒子は、前記低倍成形用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を蒸気加熱し、嵩発泡倍数が2.0〜20倍の範囲内に発泡させてなるものである。嵩発泡倍数の範囲は2.0〜10倍が好ましく、2.0〜5倍がより好ましい。
【0056】
低倍発泡粒子の嵩発泡倍数が前記範囲未満であると、嵩発泡倍数のばらつきが大きくなり均一な粒子が得られない。一方、低倍発泡粒子の嵩発泡倍数が前記範囲を超えると、十分な強度と長期耐久性に優れた低倍発泡成形体が得られない。
【0057】
本発明に係る低倍発泡粒子は、前記低倍成形用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を加熱し、嵩発泡倍数が2.0〜20倍の範囲内に発泡させてなるものなので、曲げ強度や圧縮強度に優れた低倍発泡成形体を製造するために用いることができる。
【0058】
本発明に係る低倍発泡成形体は、前記低倍成形用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子(未発泡粒子)または前記低倍発泡粒子(嵩発泡倍数が2.0〜20倍)を、本発明による発泡成形型1によって形成される所望の成形形状に合致した成形品キャビティ4内に充填し、型内発泡成形して得られ、発泡倍数が1.5〜20倍の範囲内のものである。
【0059】
この低倍発泡成形体は、発泡倍数が1.5〜10倍の範囲内であることが好ましく、1.6〜5倍の範囲内であることがより好ましい。発泡倍数が前記範囲内であれば、コンクリート推進管用クッション材などの土木用の分野、床下地材などの建材用の分野等に適用することができる、曲げ強度や圧縮強度に優れた低倍発泡成形体を提供できる。
【0060】
この発泡成形体の「密度」は、JIS K6767:1999「発泡プラスチック及びゴム−見掛け密度の測定」記載の方法で測定した。即ち、50cm3以上(半硬質及び軟質材料の場合は100cm3以上)の試験片を材料の元のセル構造を変えない様に切断し、その質量(g)を測定し、次式により算出する。
【0061】
密度(g/cm3)=試験片質量(g)/試験片体積(cm3)
【0062】
また、この発泡成形体の「発泡倍数」は、前記密度の逆数(1/密度)であり、密度0.2g/cm3の低倍発泡粒子は発泡倍数5倍、密度0.1g/cm3の低倍発泡粒子は発泡倍数10倍となる。
【0063】
本発明の低倍発泡成形体は、前記低倍成形用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子または低倍発泡粒子を型内発泡成形して得られたものなので、発泡粒子同士の融着率と伸びが良好となり、曲げ強度や圧縮強度に優れており、高強度、長期耐久性が要求されるコンクリート推進管用クッション材などの土木用の分野、床下地材などの建材用の分野等に適用することができる。
【0064】
本発明に係るコンクリート推進管用クッション材は、前記低倍発泡成形体が発泡倍数1.5〜10倍の範囲内のものなので、曲げ強度や圧縮強度に優れており、高強度、長期耐久性に優れている。
【0065】
このコンクリート推進管用クッション材は、発泡倍数が1.6〜5倍であることが好ましい。発泡倍数が前記範囲内であれば、高強度、長期耐久性に特に優れるコンクリート推進管用クッション材を提供できる。
【実施例】
【0066】
[実施例1]
100リットルの反応器に純水44kg、第三リン酸カルシウム800g、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.7gを入れ撹拌を行いながら、スチレン42kgにベンゾイルパーオキサイド110g、t−ブチルパーオキシベンゾエート8gを溶解して加えた。反応器を密閉し90℃に昇温し、5時間反応を行なった後125℃に1時間かけて昇温し、1時間後に冷却を始め常温まで冷却した。得られたスラリーを脱水乾燥し、篩分けして平均粒子径1400μmのポリスチレン系樹脂粒子を得た。
【0067】
5リットルの反応器に純水1.5kg、前記の方法により得たポリスチレン系樹脂粒子(平均粒子径1400μm、重量平均分子量が約30万、残存モノマーが約2000ppm)2.0kg、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2g、ピロリン酸マグネシウム7.0gを加えて撹拌し懸濁させた。次いであらかじめ用意した純水0.5kg、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.1gにトルエン9.5gをホモミキサーで撹拌して懸濁液を調整し、反応器に仕込んだ。次に、常温で反応器内にペンタン25g、ブタン18gを圧入し、120℃に昇温し、5時間保持した後、常温まで冷却して取り出し、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
【0068】
次に、前記の方法により得られた低倍成形用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を、図1に示した発泡成形型1に図6に示したアタッチメントプレート20bを取り付けて形成された4個の成形品キャビティ(下縁と上縁との間の距離36mm,扇型の開き角度90度、厚み5mm)に充填し、0.08MPaの水蒸気で35秒加熱し、冷却して、密度0.6g/cm3、発泡倍数1.7倍の4個の扇形状の低倍発泡成形体を得た。
【0069】
[実施例2]
実施例1と同様にして低倍成形用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得た。得られた低倍成形用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子をバッチ式発泡機によって、約95℃の水蒸気で加熱し、嵩密度0.2g/cm3、嵩発泡倍数5倍に予備発泡した。この予備発泡粒子を室温で約1日放置して、熟成させた後、予備発泡粒子を実施例1と同じ発泡成形機の成形品キャビティ内に充填し、0.08MPaの水蒸気で35秒加熱し、冷却して、密度0.2g/cm3、発泡倍数5倍の4個の扇形状の低倍発泡成形体を得た。
【0070】
[実施例3]
実施例1と同様にして低倍成形用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得た。得られた低倍成形用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子をバッチ式発泡機によって、約95℃の水蒸気で加熱し、嵩密度0.1g/cm3、嵩発泡倍数10倍に予備発泡した。この予備発泡粒子を室温で約1日放置して、熟成させた後、予備発泡粒子を実施例1と同じ発泡成形機の成形品キャビティ内に充填し、0.08MPaの水蒸気で35秒加熱し、冷却して、密度0.1g/cm3、発泡倍数10倍の4個の扇形状の低倍発泡成形体を得た。
【符号の説明】
【0071】
1…発泡成形型、
1a,1b…マスターフレーム、
2a,2b…蒸気吹き出しプレート、
4…成形品キャビティ、
5(5a〜5i)…原料フィーダー、
6…エジェクターピン、
20(20a〜20a)…アタッチメントプレート、
21…閉じた側周面、
22、22b、22c、22d…成形開口(成形品キャビティ)
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば発泡性粒子を型内で発泡させて発泡成形品を成形するための発泡成形型とそこで用いるアタッチメントプレート、およびその発泡成形型で成形される低倍発泡成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
発泡性粒子を型内で発泡させて発泡成形品を成形することは知られている。成形される発泡成形品は多種類にわたるが、その一つに、特許文献1に記載されるようなコンクリート推進管用クッション材がある。コンクリート推進管用クッション材は、地中穿孔時に、コンクリート推進管の端面間に取り付けられる部材であり、全体形状は扇形をなす板状体であって、発泡倍数が1.5〜20倍の低倍ポリスチレン系樹脂発泡成形体のものがほとんどである。
【0003】
そのような板状体である低倍発泡成形品を成形するのに好適な発泡成形型が、特許文献2に記載されている。その発泡成形型は、図10に記載するように、平坦な蒸気吹き出しプレート2a,2bが両マスターフレーム1a,1bの前面側にそれぞれ取り付けられている。片方のマスターフレーム1a側に、型締時に両蒸気吹き出しプレート2a,2b間に挟持されて成形品キャビティ4の側周を区画する成形開口3aを備えた、図11に示すようなアタッチメントプレート3が着脱可能に取り付けられる。そして、前記成形品キャビティ4は、両蒸気吹き出しプレート2a,2bのそれぞれ一平面となっている前面側と、前記アタッチメントプレート3に形成した成形開口3aの側周面3bとによって囲まれた空間として形成される。
【0004】
前記成形品キャビティ4には、一方のマスターフレーム1aに取り付けた蒸気吹き出しプレート2aの面内に原料吹き出し口を持つようにしてマスターフレーム1a側に配置した原料フィーダー5から、発泡性粒子が供給され、形締め後、蒸気吹き出しプレート2a,2bを通して成形品キャビティ4内に加熱蒸気を送り込む。それにより、発泡性粒子が発泡して低倍の発泡成形体が型内成形される。なお、図10において、6はエジェクターピン、8は補強サポートである。
【0005】
この発泡成形型では、形成品の形状や厚さに変更があっても、前記アタッチメントプレート4を交換するだけでそれに対処することができるので、変更に伴う経費および労力を軽減できると共に、交換部材であるアタッチメントプレート4の保管に要する手間およびスペースをも軽減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公昭61−8320号公報
【特許文献2】特開平8−25393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記した特許文献2に記載される構成の発泡成形型を用いることにより、例えばコンクリート推進管用クッション材である、形状および厚みの異なる複数種類の低倍発泡成形体を、複数種類のアタッチメントプレートを交換して用いるだけで、安定して成形することができる。しかし、前記発泡成形型の場合、1つの原料フィーダー5のみを備える形態であり、成形開口3aの一部に前記原料フィーダー5の原料吹き出し口5aが位置するように成形開口3aの位置決めをして、各アタッチメントプレート3を形成する必要があり、結果として、1枚のアタッチメントプレートからは1個の発泡成形品が成形されるのみであり、生産性の面で、さらに改良すべき点を有している。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、前記した複数枚のアタッチメントプレートを交換しながら用いるようにした発泡成形型において、1枚のアタッチメントプレートから複数個の発泡成形品を同時成形することを可能とすることで、生産性をさらに向上させた発泡成形型を開示することを第1の課題とする。また、その発泡成形型を用いて得られる低倍発泡成形体を開示することを第2の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題は、基本的に、マスターフレームに複数本の原料フィーダーを配置することと、アタッチメントプレートを2枚以上のアタッチメントプレート群で構成し、そのうちの少なくとも1枚のアタッチメントプレートには面内に2個以上の成形開口を形成すること、とによって解決される。
【0010】
すなわち、本発明による発泡成形型は、平坦な蒸気吹き出しプレートが、その前面側が一平面となるように、両マスターフレームの前面側にそれぞれ取り付けられており、少なくとも片方のマスターフレーム側に、型締時に両蒸気吹き出しプレート間に挟持されて成形品キャビティの側周を区画する成形開口を備えたアタッチメントプレートが着脱可能に取り付けられており、成形品キャビティが、両蒸気吹き出しプレートのそれぞれ一平面となっている前面側と、アタッチメントプレートに形成した成形開口の側周面とによって囲まれた空間として形成される発泡成形型であって、前記いずれか一方のマスターフレームには複数本の原料フィーダーが前記蒸気吹き出しプレート面内に原料吹き出し口を持つようにして取り付けられており、前記アタッチメントプレートは2枚以上の着脱可能なアタッチメントプレート群で構成されていて、そのうちの少なくとも1枚のアタッチメントプレートは面内に2個以上の成形開口を形成しており、かつ、前記アタッチメントプレート群のいずれを選択してマスターフレームに取り付けたときであっても、形成される前記成形品キャビティのすべてに前記いずれかの原料フィーダーから原料を供給されるように、蒸気吹き出しプレート面内での原料吹き出し口の位置決めがなされているか、または、各アタッチメントプレートの面内での前記成形開口の位置決めがされていることを特徴とする。
【0011】
本発明による上記の発泡成形型は、複数本の原料フィーダーを備えている。また、交換しながら用いるアタッチメントプレート群には、面内に2個以上の成形開口を形成したアタッチメントプレートが含まれる。そして、2個以上の成形開口を有するアタッチメントプレートを選択したときでも、そこに形成される2個以上の成形品キャビティのすべてには、それぞれに対応する原料フィーダーから、発泡性粒子である原料が供給される。それにより、2個以上の成形開口を有するアタッチメントプレーを選択した場合には、一回の成形処理で2個以上の発泡成形品を同時に得ることができる。それにより、生産性が向上する。
【0012】
2個以上の成形開口を有するアタッチメントプレートを選択して使用するときに、前記成形開口の形成位置によっては、蒸気吹き出しプレート面内に形成された複数個ある原料吹き出し口のいずれかが、当該アタッチメントプレートの前記成形開口が形成されていない面内に位置することも起こり得る。その場合、その原料吹き出し口はアタッチメントプレートの成形開口でない領域でもって閉鎖されるので、格別の問題は生じない。しかし、成形処理の容易性と原料の無駄を無くす観点から、各原料フィーダーには、原料吹き出し口よりも上流の位置に原料の供給を停止できるシャッターのような閉鎖手段を設けることが好ましい。
【0013】
本発明による発泡成形型の好ましい形態において、前記アタッチメントプレート群を構成する各アタッチメントプレートに形成される成形開口は扇形をなしており、前記扇形をなす成形開口のほぼ中央に前記原料吹き出し口が位置するように、蒸気吹き出しプレート面内での原料吹き出し口の位置決めがなされているか、または、前記アタッチメントプレート面内での前記成形開口の位置決めがなされている。
【0014】
この態様では、1個の原料吹き出し口から吹き出す原料を、前記成形開口が形成する成形品キャビティの全域に、実質的に均一にかつ短時間で供給することが可能となる。従って、原料供給系を簡素化しながら、良品の低倍発泡成形体を型内成形することができる。
【0015】
本発明による発泡成形型の好ましい形態において、発泡成形型は、さらに、複数本のエジェクターピンを有し、前記エジェクターピンは、前記アタッチメントプレート群のいずれを選択してマスターフレームに取り付けたときであっても、そこに形成される前記成形品キャビティ内にそのいずれかが入り込むことができるように、前記蒸気吹き出しプレート面内での位置決めがなされている。上記の形態において、さらに好ましくは、前記エジェクターピンは前記原料フィーダー内に備えられている。
【0016】
このようにしてエジェクターピンを設けることにより、いずれのアタッチメントプレートを選択した場合でも、アタッチメントプレートからの発泡成形品の脱型は容易となる。特に、エジェクターピンを前記原料フィーダー内に備えるようにする場合には、前記したマスターフレーム内に存在する部品数を少なくすることができ、成形品キャビティ内へ部分的に偏りのない状態で加熱蒸気を供給できるようになる。
【0017】
本発明による低倍発泡成形体は、未発泡粒子または嵩発泡倍数が2.0〜20倍の範囲内に発泡させてなる低倍発泡粒子を、本発明による発泡成形型の成形品キャビティ内に充填し、型内発泡成形して得られた、発泡倍数が1.5〜20倍の範囲内のものである低倍発泡成形体であり、より具体的には、コンクリート推進管用クッション材である低倍発泡成形体である。
【0018】
本発明による上記の低倍発泡成形体は、発泡倍数1.5〜20倍の範囲のものなので、発泡粒子同士の融着率と伸びが良好となり、曲げ強度や圧縮強度に優れており、高強度、長期耐久性に特に優れている。従って、高強度、長期耐久性が要求されるコンクリート推進管用クッション材などの土木用の分野、床下地材などの建材用の分野等に適用することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、図10に示すように、平坦な蒸気吹き出しプレート2a,2bを両マスターフレーム1a,1bの前面側に各々取り付け、片方のマスターフレーム1a側に、型締時に両蒸気吹き出しプレート2a,2b間に挟持されて成形品キャビティ4の側周を区画するアタッチメントプレート3を着脱可能に取り付けるようにした発泡成形型において、その生産性を大きく向上させることができる。特に、高強度、長期耐久性が要求されるコンクリート推進管用クッション材を、その形状や大きさが異なる場合であっても、高い生産性のもとで、それぞれ製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明による発泡成形型の一実施の形態を示す断面図。
【図2】アタッチメントプレートの取り付け部付近の拡大断面図。
【図3】蒸気吹き出しプレートの一例を示す平面図。ただし、蒸気吹き出し口は図示を省略している。
【図4】アタッチメントプレートの一例を示す斜視図。
【図5】図4に示すアタッチメントプレートを図3に示す蒸気吹き出しプレートに重ね合わせた状態をアタッチメントプレート側から見て示す平面図。
【図6】アタッチメントプレートの他の例を示す斜視図。
【図7】図6に示すアタッチメントプレートを図3に示す蒸気吹き出しプレートに重ね合わせた状態をアタッチメントプレート側から見て示す平面図。
【図8】アタッチメントプレートのさらに他の例を図3に示す蒸気吹き出しプレートに重ね合わせた状態をアタッチメントプレート側から見て示す平面図。
【図9】アタッチメントプレートのさらに他の例を図3に示す蒸気吹き出しプレートに重ね合わせた状態をアタッチメントプレート側から見て示す平面図。
【図10】従来知られた発泡成形型を説明するための断面図。
【図11】図10に示す発泡成形型とともに用いられるアタッチメントプレートを説明するための斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明による発泡成形型1およびアタッチメントプレート20について、実施の形態に基づき説明する。
【0022】
本発明による発泡成形型1は、先に図10に基づき説明した発泡成形型とほぼ同じものであるが、一方のマスターフレームに、図示のものでは固定側のマスターフレーム1aに、複数本(以下に説明するものでは、9本)の原料フィーダー5が取り付けられている点で、基本的に構成上の違いがある。
【0023】
図1および図2に示すように、発泡成形型1は、固定側および移動側のマスターフレーム1a,1bを有し、それぞれの前面側(成形品キャビティ4側)に平坦な蒸気吹き出しプレート2a,2bが取り付けられている。この蒸気吹き出しプレート2a,2bは、従来のキャビティ金型やコア金型と同様に蒸気透過性を有するもので、図2に示されるように、コアベント10が打ち込まれたベント孔11を備えている。なお、図1において、6はエジェクターピン、8は補強サポートである。後に説明するように、前記エジェクターピン6は、マスターフレーム1aに複数本取り付けられるが、図示の複雑さを回避する目的で、図1には1本のエジェクターピン6のみを示している。
【0024】
図2に示すように、上記蒸気吹き出しプレート2a,2bは、マスターフレーム1a,1bの前面側A,Bを覆うようにして、固定用ネジ12によって、マスターフレーム1a,1bに取り付けられており、これによって両蒸気吹き出しプレート2a,2bの前面側はそれぞれ一平面となっている。なお、図2において、9は、各部材間をシールするためのパッキン材である。
【0025】
固定側のマスターフレーム1aには、9本の原料フィーダー5a〜5iが、その原料吹き出し口を前記蒸気吹き出しプレート2aの面内に位置するようにして取り付けてある。図1には、その中の3本の原料フィーダー5d〜5fが示されており、図3は、蒸気吹き出しプレート2aの面内において、9本の原料フィーダー5a〜5iのそれぞれの原料吹き出し口が位置する状態を示している。図示のように、9本の原料フィーダー5a〜5iは、縦方向および横方向に所定の距離を置くようにして、固定側のマスターフレーム1a側に取り付けられている。
【0026】
なお、図3において、14は、蒸気吹き出しプレート2aを固定側マスターフレーム1a側に取り付けるときに、前記固定用ネジ12が通過する開口である。また、図3では、蒸気吹き出しプレート2aにおける図2に示したコアベント10およびベント孔11は、図示が省略されている。
【0027】
固定側のマスターフレーム1aには、アタッチメントプレート20が、固定用ネジ13によって、着脱可能に取り付けられる。本発明においては、アタッチメントプレート20には、異なる数および形状の成形開口22を備えた複数枚のアタッチメントプレート20a〜20dが群として用いられ、群を構成する各アタッチメントプレート20a〜20dは、固定側のマスターフレーム1aに対して、選択的に取り付け可能となっている。また、すべてのアタッチメントプレート20a〜20dは、全体として表裏面が平坦面である矩形状の板状材である。
【0028】
図4に示すアタッチメントプレート20aは、閉じた側周面21で区画される1個の成形開口22を有しており、この成形開口22が成形品キャビティ4として機能する。なお、図4において、25は、アタッチメントプレート20aをマスターフレーム1aに取り付け時に固定用ネジ13が通過する開口であり、30は、クレーン(不図示)等の作業機器に接続するフックであって、アタッチメントプレート20aを着脱する時あるいは移動する時に、アタッチメントプレート20aに形成した開口26にフック30を取り付けるようにして利用される。
【0029】
図1および図2は、図4に示すアタッチメントプレート20aを固定側のマスターフレーム1aに取り付けた状態を示しており、アタッチメントプレート20aは、固定側のマスターフレーム1aの蒸気吹き出しプレート2aの面に重ね合わせた状態で、固定用ネジ13によって取り付けられる。
【0030】
図5は、その状態をアタッチメントプレート20a側から見て示す平面図である。図示されるように、この例では、アタッチメントプレート20aに形成した成形開口22内には、図3に示した蒸気吹き出しプレート2aの面内での9本の原料フィーダー5a〜5iのうちの、横中列である3個の原料フィーダー5b,5e,5hの原料吹き出し口が位置しており、図で下横列の3個の原料フィーダー5a,5d,5gと、上横列の3個の原料フィーダー5c,5f,5iは、アタッチメントプレート20aによって、その原料吹き出し口は閉鎖されている。
【0031】
そのようにして、アタッチメントプレート20aを固定側のマスターフレーム1aに取り付けた後、可動側のマスターフレーム1bを移動して、図2に示すように型締めをする。それにより、アタッチメントプレート20aは、両蒸気吹き出しプレート2a,2b間に挟まれた姿勢となる。そして、両蒸気吹き出しプレート2a,2bのそれぞれ一平面となっている前面側A,Bと、アタッチメントプレート20aに形成した成形開口22の側周面21とによって区画された空間が、成形品キャビティ4を構成する。
【0032】
型締め後、成形品キャビティ4内に、一例として、原料である未発泡粒子または嵩発泡倍数が2.0〜20倍の範囲内に予備発泡させてなる低倍発泡粒子を、原料フィーダー5b,5e,5hから充填し、また加熱蒸気を供給することで、発泡倍数が1.5〜20倍の範囲内の低倍発泡成形体が型内発泡成形される。
【0033】
なお、この例において、原料供給は、所定の原料供給源からすべての原料フィーダー5a〜5iに対して行ってもよい。その場合でも、下横列の3個の原料フィーダー5a,5d,5gと上横列の3個の原料フィーダー5c,5f,5iの原料吹き出し口は、アタッチメントプレート20aによって閉鎖されているので、格別の支障は生じない。しかし、成形処理の容易性と原料の無駄を無くす観点から、各原料フィーダー5a〜5iには、原料吹き出し口よりも上流の位置に原料の供給を停止できる図示しないシャッターのような閉鎖手段を設けることが好ましく、その場合には、下横列の3個の原料フィーダー5a,5d,5gと上横列の3個の原料フィーダー5c,5f,5iに設けたシャッターは閉じておき、中横列の3個の原料フィーダー5b,5e,5hに設けたシャッターは開いた状態で、原料供給を行うようにする。
【0034】
その場合において、左右の原料フィーダー5bと5hのシャッターを閉じ、扇形をなす成形開口22のほぼ中央に位置する原料フィーダー5eのみから、計量済みの原料を加圧供給することにより、品質に偏りのない低倍発泡成形体を型内発泡成形することができる。従って、成形開口22の中央またはその近傍に、原料フィーダー5a〜5iのいずれか1つの吹き出し口が位置できるように、蒸気吹き出しプレート20a面内での原料吹き出し口の位置決めをするか、または、前記アタッチメントプレート2a面内での成形開口22の位置決めをすることは、本発明での好ましい態様となる。
【0035】
前記したように、固定側のマスターフレーム1aには、複数本のエジェクターピン6が取り付けてある。そして、各エジェクターピン6は、前記アタッチメントプレート20a〜20dのいずれを選択してマスターフレーム1aに取り付けたときであっても、そこに形成される成形品キャビティ4内にそのいずれかが入り込むことができるように、蒸気吹き出しプレート2aの面内で位置決めされている。
【0036】
上記の例では、型を開いた後、蒸気吹き出しプレート2aの面内における、前記アタッチメントプレート20aに形成した成形開口22に対向する箇所に位置する1個または複数個のエジェクターピン6を作動させることにより、成形品の脱型が行われる。図示しないが、各原料フィーダー5a〜5iの供給管内にエジェクターピン6を配置することもできる。その場合には、型を開いた後、原料供給に関与した原料フィーダー5のいずれかまたはすべてに取り付けたエジェクターピン6を作動させることにより、成形品の脱型が行われる。
【0037】
図6は、アタッチメントプレート20の他の形態を示す。このアタッチメントプレート20bは、全体形状は図4に示したアタッチメントプレート20aと同じであるが、成形開口22と比較して小型であるやはり扇形の4個の成形開口22bが、左右に2個ずつ形成されている。図7は、上記アタッチメントプレート20bを、図3に示した固定側のマスターフレーム1aの蒸気吹き出しプレート2aの面に重ね合わせた状態をアタッチメントプレート20b側から見て示している。
【0038】
図からわかるように、アタッチメントプレート20bでは、4つの成形開口22bは、前記した9本の原料フィーダー5a〜5iのうちの、左上の原料フィーダー5cと、左下の原料フィーダー5aと、右上の原料フィーダー5iと、右下の原料フィーダー5gの原料吹き出し口が、扇形をなす各成形開口22bのほぼ中央に位置することができるように、アタッチメントプレート20bの面内にそれぞれ形成されている。そして、他の5個の原料フィーダー5b、5d、5e、5f、5hの原料吹き出し口は、アタッチメントプレート20bによって閉鎖されている。
【0039】
上記のアタッチメントプレート20bを、アタッチメントプレート20aに代えて固定側のマスターフレーム1aに取り付け、以下、アタッチメントプレート20aの場合と同様にして成形処理を行う。この場合には、4個の成形開口22bで形成される4個の成形品キャビティ4内に、同時に原料が供給されるので、1回の処理で、4個の低倍発泡成形体を型内発泡成形することができる。なお、成形品の脱型には、各成形品キャビティに対応し定置するエジェクターピン6を利用する。
【0040】
図8は、アタッチメントプレート20のさらに他の形態を、図3に示した蒸気吹き出しプレート2aに重ね合わせた状態を、アタッチメントプレート側から見て示している。このアタッチメントプレート20cは、全体形状は図4に示したアタッチメントプレート20aと同じであるが、成形開口22と比較して小型であるやはり扇形の3個の成形開口22cが、中央部に3段に形成されている。図からわかるように、このアタッチメントプレート20cでは、3つの成形開口22cは、前記した9本の原料フィーダー5a〜5iのうちの、中央に位置する原料フィーダー5d、5e、5fの原料吹き出し口が、扇形をなす各成形開口22cのほぼ中央に位置することができるように、アタッチメントプレート20cの面内にそれぞれ形成されている。そして、他の6個の原料フィーダー5a〜5cと5g〜5iの原料吹き出し口は、アタッチメントプレート20cによって閉鎖されている。
【0041】
上記のアタッチメントプレート20cを用いる場合には、3個の成形開口22cで形成される3個の成形品キャビティ4内に同時に原料が供給されるので、1回の処理で、3個の低倍発泡成形体を型内発泡成形することができる。
【0042】
図9は、アタッチメントプレート20のさらに他の形態を、図3に示した蒸気吹き出しプレート2aに重ね合わせた状態を、アタッチメントプレート側から見て示している。このアタッチメントプレート20dも、全体形状は図4に示したアタッチメントプレート20aと同じであるが、成形開口22と比較して小型であるやはり扇形の6個の成形開口22dが、左右に3個ずつ形成されている。図からわかるように、このアタッチメントプレート20dでは、6つの成形開口22dは、前記した9本の原料フィーダー5a〜5iのうちの、左縦列5a〜5cと、右縦列5g〜5iの原料吹き出し口が、扇形をなす各成形開口22dのほぼ中央に位置することができるように、アタッチメントプレート20dの面内にそれぞれ形成されている。縦中央列の3個の原料フィーダー5d〜5fの原料吹き出し口は、アタッチメントプレート20dによって閉鎖されている。
【0043】
上記のアタッチメントプレート20dを用いる場合には、6個の成形開口22dで形成される6個の成形品キャビティ4内に同時に原料が供給されるので、1回の処理で、6個の低倍発泡成形体を型内発泡成形することができる。
【0044】
以上の説明からわかるよう、本発明による発泡成形型1では、アタッチメントプレート群を構成するいずれかのアタッチメントプレート、例えば、上記したアタッチメントプレート20a〜20dのいずれかを選択して用いることにより、一回の成形処理で1個または形や厚さの異なる2個以上の発泡成形品を同時に発泡成形することが可能であり、高い生産性を得ることができる。
【0045】
なお、上記の例では、1枚のアタッチメントプレート20a〜20dでもって成形品キャビティ4を構成するようにしたが、固定側と移動側のマスターフレーム1a,1bの両者に同じ形状のアタッチメントプレート20a〜20dを取り付け、この2枚のアタッチメントプレートを型締時に合わせることで1つの成形品キャビティ4を構成させることもできる。
【0046】
次に、上記した発泡成形型1を用いて、例えばコンクリート推進用クッション材である低倍発泡成形体を成形する場合の具体例を説明する。より具体的には、未発泡粒子または嵩発泡倍数が2.0〜20倍の範囲内に発泡させてなる低倍発泡粒子を、上記した発泡成形型1の成形品キャビティ4内に充填し、発泡倍数が1.5〜20倍の範囲内の低倍発泡成形体を型内発泡成形する。
【0047】
一例として、前記低倍発泡粒子として、低倍成形用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を蒸気加熱し、嵩発泡倍数が2.0〜20倍の範囲内に発泡させてなるものを用いる。
【0048】
前記低倍成形用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子のベースとなるポリスチレン系樹脂は、ポリスチレンを主成分とするものであり、スチレンの単独重合体でもよいし、α−メチルスチレン、パラメチルスチレン、t−ブチルスチレン、クロルスチレンなどのスチレン系誘導体、メチルアクリレート、ブチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、セチルメタクリレートなどのアクリル酸およびメタクリル酸のエステル、あるいはアクリロニトリル、ジメチルフマレート、エチルフマレートなどの各種単量体との共重合体でもよい。また、ジビニルベンゼン、アルキレングリコールジメタクリレートなどの2官能性単量体を併用してもよい。好ましいポリスチレン系樹脂は、スチレンの単独重合体である。
【0049】
この発泡性ポリスチレン系樹脂粒子に含有させる発泡剤としては、揮発性発泡剤、分解型発泡剤のいずれを使用してもよい。
【0050】
揮発性発泡剤としては、例えば脂肪族炭化水素、脂環族炭化水素、ハロゲン化炭化水素、エーテル、ケトン等が挙げられる。このうち脂肪族炭化水素としては、例えばプロパン、ブタン(ノルマルブタン、イソブタン)、ペンタン(ノルマルペンタン、イソペンタンなど)等が挙げられ、脂環族炭化水素としては、例えばシクロペンタン、シクロへキサン等が挙げられる。ハロゲン化炭化水素としては、例えばトリクロロフルオロメタン、トリクロロトリフルオロエタン、テトラフルオロエタン、クロロジフルオロエタン、ジフルオロエタン等のハロゲン化炭化水素などの1種または2種以上が挙げられる。さらにエーテルとしては、例えばジメチルエーテル、ジエチルエーテル等が挙げられ、ケトンとしては、例えばアセトン、メチルエチルケトン等が挙げられる。
【0051】
また分解型発泡剤としては、例えば重炭酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム、アジド化合物、ホウ水素化ナトリウムなどの無機系発泡剤、アゾジカルボンアミド、アゾジカルボン酸バリウム、ジニトロソペンタメチレンテトラミンなどの有機系発泡剤が挙げられる。
前記発泡剤は、単独で用いても良く、2種以上を混合して用いてもよい。
【0052】
発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の平均粒子径は、300μm〜2500μmの範囲内であり、好ましくは650μm〜2500μmの範囲内であり、より好ましくは800μm〜2000μmの範囲内である。発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の平均粒子径が前記範囲未満であると、該樹脂粒子を基に作製した低倍成形用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子、或いはそれを低倍予備発泡して得られた低倍発泡粒子を、成形機のキャビティ内に充填し、型内発泡成形して低倍発泡成形体を製造する際に、粒子同士の間隔が狭くなって加熱用水蒸気が均一に行き渡らず、得られる発泡成形体の融着率が不均一となって、十分な強度を有する低倍発泡成形体が得られなくなるおそれがある。一方、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子の平均粒子径が前記範囲を超えると、一粒質量が大きくなって、該粒子をキャビティ内に搬送したり、均一に充填することが難しくなる。また、複雑形状の発泡成形体の製造には不向きとなる。
【0053】
この発泡性ポリスチレン系樹脂粒子には、該樹脂粒子の発泡性や得られる低倍発泡成形品の機械強度に影響を及ぼさない範囲で、必要に応じて発泡助剤、滑剤、収縮防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、紫外線吸収剤、光安定剤、着色剤、無機気泡核剤、無機充填剤等の各種添加剤を添加してもよい。
【0054】
前記した発泡性ポリスチレン系樹脂粒子は、従来周知の各種の発泡樹脂粒子製造方法を用いて製造することができる。それらの方法の中でも、懸濁重合法、押出-水中カット法が好ましい。
【0055】
本発明に係る低倍発泡粒子は、前記低倍成形用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を蒸気加熱し、嵩発泡倍数が2.0〜20倍の範囲内に発泡させてなるものである。嵩発泡倍数の範囲は2.0〜10倍が好ましく、2.0〜5倍がより好ましい。
【0056】
低倍発泡粒子の嵩発泡倍数が前記範囲未満であると、嵩発泡倍数のばらつきが大きくなり均一な粒子が得られない。一方、低倍発泡粒子の嵩発泡倍数が前記範囲を超えると、十分な強度と長期耐久性に優れた低倍発泡成形体が得られない。
【0057】
本発明に係る低倍発泡粒子は、前記低倍成形用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を加熱し、嵩発泡倍数が2.0〜20倍の範囲内に発泡させてなるものなので、曲げ強度や圧縮強度に優れた低倍発泡成形体を製造するために用いることができる。
【0058】
本発明に係る低倍発泡成形体は、前記低倍成形用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子(未発泡粒子)または前記低倍発泡粒子(嵩発泡倍数が2.0〜20倍)を、本発明による発泡成形型1によって形成される所望の成形形状に合致した成形品キャビティ4内に充填し、型内発泡成形して得られ、発泡倍数が1.5〜20倍の範囲内のものである。
【0059】
この低倍発泡成形体は、発泡倍数が1.5〜10倍の範囲内であることが好ましく、1.6〜5倍の範囲内であることがより好ましい。発泡倍数が前記範囲内であれば、コンクリート推進管用クッション材などの土木用の分野、床下地材などの建材用の分野等に適用することができる、曲げ強度や圧縮強度に優れた低倍発泡成形体を提供できる。
【0060】
この発泡成形体の「密度」は、JIS K6767:1999「発泡プラスチック及びゴム−見掛け密度の測定」記載の方法で測定した。即ち、50cm3以上(半硬質及び軟質材料の場合は100cm3以上)の試験片を材料の元のセル構造を変えない様に切断し、その質量(g)を測定し、次式により算出する。
【0061】
密度(g/cm3)=試験片質量(g)/試験片体積(cm3)
【0062】
また、この発泡成形体の「発泡倍数」は、前記密度の逆数(1/密度)であり、密度0.2g/cm3の低倍発泡粒子は発泡倍数5倍、密度0.1g/cm3の低倍発泡粒子は発泡倍数10倍となる。
【0063】
本発明の低倍発泡成形体は、前記低倍成形用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子または低倍発泡粒子を型内発泡成形して得られたものなので、発泡粒子同士の融着率と伸びが良好となり、曲げ強度や圧縮強度に優れており、高強度、長期耐久性が要求されるコンクリート推進管用クッション材などの土木用の分野、床下地材などの建材用の分野等に適用することができる。
【0064】
本発明に係るコンクリート推進管用クッション材は、前記低倍発泡成形体が発泡倍数1.5〜10倍の範囲内のものなので、曲げ強度や圧縮強度に優れており、高強度、長期耐久性に優れている。
【0065】
このコンクリート推進管用クッション材は、発泡倍数が1.6〜5倍であることが好ましい。発泡倍数が前記範囲内であれば、高強度、長期耐久性に特に優れるコンクリート推進管用クッション材を提供できる。
【実施例】
【0066】
[実施例1]
100リットルの反応器に純水44kg、第三リン酸カルシウム800g、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.7gを入れ撹拌を行いながら、スチレン42kgにベンゾイルパーオキサイド110g、t−ブチルパーオキシベンゾエート8gを溶解して加えた。反応器を密閉し90℃に昇温し、5時間反応を行なった後125℃に1時間かけて昇温し、1時間後に冷却を始め常温まで冷却した。得られたスラリーを脱水乾燥し、篩分けして平均粒子径1400μmのポリスチレン系樹脂粒子を得た。
【0067】
5リットルの反応器に純水1.5kg、前記の方法により得たポリスチレン系樹脂粒子(平均粒子径1400μm、重量平均分子量が約30万、残存モノマーが約2000ppm)2.0kg、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.2g、ピロリン酸マグネシウム7.0gを加えて撹拌し懸濁させた。次いであらかじめ用意した純水0.5kg、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.1gにトルエン9.5gをホモミキサーで撹拌して懸濁液を調整し、反応器に仕込んだ。次に、常温で反応器内にペンタン25g、ブタン18gを圧入し、120℃に昇温し、5時間保持した後、常温まで冷却して取り出し、発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得た。
【0068】
次に、前記の方法により得られた低倍成形用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を、図1に示した発泡成形型1に図6に示したアタッチメントプレート20bを取り付けて形成された4個の成形品キャビティ(下縁と上縁との間の距離36mm,扇型の開き角度90度、厚み5mm)に充填し、0.08MPaの水蒸気で35秒加熱し、冷却して、密度0.6g/cm3、発泡倍数1.7倍の4個の扇形状の低倍発泡成形体を得た。
【0069】
[実施例2]
実施例1と同様にして低倍成形用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得た。得られた低倍成形用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子をバッチ式発泡機によって、約95℃の水蒸気で加熱し、嵩密度0.2g/cm3、嵩発泡倍数5倍に予備発泡した。この予備発泡粒子を室温で約1日放置して、熟成させた後、予備発泡粒子を実施例1と同じ発泡成形機の成形品キャビティ内に充填し、0.08MPaの水蒸気で35秒加熱し、冷却して、密度0.2g/cm3、発泡倍数5倍の4個の扇形状の低倍発泡成形体を得た。
【0070】
[実施例3]
実施例1と同様にして低倍成形用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子を得た。得られた低倍成形用発泡性ポリスチレン系樹脂粒子をバッチ式発泡機によって、約95℃の水蒸気で加熱し、嵩密度0.1g/cm3、嵩発泡倍数10倍に予備発泡した。この予備発泡粒子を室温で約1日放置して、熟成させた後、予備発泡粒子を実施例1と同じ発泡成形機の成形品キャビティ内に充填し、0.08MPaの水蒸気で35秒加熱し、冷却して、密度0.1g/cm3、発泡倍数10倍の4個の扇形状の低倍発泡成形体を得た。
【符号の説明】
【0071】
1…発泡成形型、
1a,1b…マスターフレーム、
2a,2b…蒸気吹き出しプレート、
4…成形品キャビティ、
5(5a〜5i)…原料フィーダー、
6…エジェクターピン、
20(20a〜20a)…アタッチメントプレート、
21…閉じた側周面、
22、22b、22c、22d…成形開口(成形品キャビティ)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平坦な蒸気吹き出しプレートが、その前面側が一平面となるように、両マスターフレームの前面側にそれぞれ取り付けられており、少なくとも片方のマスターフレーム側に、型締時に両蒸気吹き出しプレート間に挟持されて成形品キャビティの側周を区画する成形開口を備えたアタッチメントプレートが着脱可能に取り付けられており、成形品キャビティが、両蒸気吹き出しプレートのそれぞれ一平面となっている前面側と、アタッチメントプレートに形成した成形開口の側周面とによって囲まれた空間として形成される発泡成形型であって、
前記いずれか一方のマスターフレームには複数本の原料フィーダーが前記蒸気吹き出しプレート面内に原料吹き出し口を持つようにして取り付けられており、
前記アタッチメントプレートは2枚以上の着脱可能なアタッチメントプレート群で構成されていて、そのうちの少なくとも1枚のアタッチメントプレートは面内に2個以上の成形開口を形成しており、かつ、
前記アタッチメントプレート群のいずれを選択してマスターフレームに取り付けたときであっても、形成される前記成形品キャビティのすべてに前記いずれかの原料フィーダーから原料を供給されるように、蒸気吹き出しプレート面内での原料吹き出し口の位置決めがなされているか、または、各アタッチメントプレート面内での前記成形開口の位置決めがされていることを特徴とする発泡成形型。
【請求項2】
請求項1に記載の発泡成形型であって、前記アタッチメントプレート群を構成する各アタッチメントプレートに形成される成形開口は扇形をなしており、前記扇形をなす成形開口のほぼ中央に前記原料吹き出し口が位置するように、蒸気吹き出しプレート面内での原料吹き出し口の位置決めがなされているか、または、前記アタッチメントプレート面内での前記成形開口の位置決めがなされていることを特徴とする発泡成形型。
【請求項3】
請求項1または2に記載の発泡成形型であって、さらに、複数本のエジェクターピンを有しており、前記エジェクターピンは、前記アタッチメントプレート群のいずれを選択してマスターフレームに取り付けたときであっても、そこに形成される前記成形品キャビティ内にそのいずれかが入り込むことができるように、前記蒸気吹き出しプレート面内での位置決めがなされていることを特徴とする発泡成形型。
【請求項4】
請求項3に記載の発泡成形型であって、前記エジェクターピンは前記原料フィーダー内に備えられていることを特徴とする発泡成形型。
【請求項5】
未発泡粒子または嵩発泡倍数が2.0〜20倍の範囲内に発泡させてなる低倍発泡粒子を、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の発泡成形型の成形品キャビティ内に充填し、型内発泡成形して得られた、発泡倍数が1.5〜20倍の範囲内のものである低倍発泡成形体。
【請求項6】
コンクリート推進管用クッション材である請求項5に記載の低倍発泡成形体。
【請求項1】
平坦な蒸気吹き出しプレートが、その前面側が一平面となるように、両マスターフレームの前面側にそれぞれ取り付けられており、少なくとも片方のマスターフレーム側に、型締時に両蒸気吹き出しプレート間に挟持されて成形品キャビティの側周を区画する成形開口を備えたアタッチメントプレートが着脱可能に取り付けられており、成形品キャビティが、両蒸気吹き出しプレートのそれぞれ一平面となっている前面側と、アタッチメントプレートに形成した成形開口の側周面とによって囲まれた空間として形成される発泡成形型であって、
前記いずれか一方のマスターフレームには複数本の原料フィーダーが前記蒸気吹き出しプレート面内に原料吹き出し口を持つようにして取り付けられており、
前記アタッチメントプレートは2枚以上の着脱可能なアタッチメントプレート群で構成されていて、そのうちの少なくとも1枚のアタッチメントプレートは面内に2個以上の成形開口を形成しており、かつ、
前記アタッチメントプレート群のいずれを選択してマスターフレームに取り付けたときであっても、形成される前記成形品キャビティのすべてに前記いずれかの原料フィーダーから原料を供給されるように、蒸気吹き出しプレート面内での原料吹き出し口の位置決めがなされているか、または、各アタッチメントプレート面内での前記成形開口の位置決めがされていることを特徴とする発泡成形型。
【請求項2】
請求項1に記載の発泡成形型であって、前記アタッチメントプレート群を構成する各アタッチメントプレートに形成される成形開口は扇形をなしており、前記扇形をなす成形開口のほぼ中央に前記原料吹き出し口が位置するように、蒸気吹き出しプレート面内での原料吹き出し口の位置決めがなされているか、または、前記アタッチメントプレート面内での前記成形開口の位置決めがなされていることを特徴とする発泡成形型。
【請求項3】
請求項1または2に記載の発泡成形型であって、さらに、複数本のエジェクターピンを有しており、前記エジェクターピンは、前記アタッチメントプレート群のいずれを選択してマスターフレームに取り付けたときであっても、そこに形成される前記成形品キャビティ内にそのいずれかが入り込むことができるように、前記蒸気吹き出しプレート面内での位置決めがなされていることを特徴とする発泡成形型。
【請求項4】
請求項3に記載の発泡成形型であって、前記エジェクターピンは前記原料フィーダー内に備えられていることを特徴とする発泡成形型。
【請求項5】
未発泡粒子または嵩発泡倍数が2.0〜20倍の範囲内に発泡させてなる低倍発泡粒子を、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の発泡成形型の成形品キャビティ内に充填し、型内発泡成形して得られた、発泡倍数が1.5〜20倍の範囲内のものである低倍発泡成形体。
【請求項6】
コンクリート推進管用クッション材である請求項5に記載の低倍発泡成形体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−56914(P2011−56914A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−212172(P2009−212172)
【出願日】平成21年9月14日(2009.9.14)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月14日(2009.9.14)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【Fターム(参考)】
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