説明

発癌プロモーション抑制組成物

【課 題】 本発明は、安全性が高く、有用な発癌プロモーション抑制組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】 樹脂酸多価アルコールエステルを含むことを特徴とする発癌プロモーション抑制組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発癌プロモーション抑制組成物に関する。より詳細には、例えば、ロジングリセリンエステル等の樹脂酸多価アルコールエステルを有効成分とする発癌プロモーション抑制組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
化学物質による癌発症(化学発癌)の機構に関しては、近年、イニシエーション及びプロモーションと呼ばれる二つの過程を経由すると考える発癌二段階説が広く認められている。イニシエーションとは、発癌イニシエーターと総称される物質が、正常細胞のDNAに不可逆的に損傷を与えて潜在性細胞(initiated cell)に変化させる過程であり、プロモーションとは、発癌プロモーターと総称される物質が、イニシエーションで生じた潜在性細胞に働きかけ、それを癌細胞に導く過程である。
【0003】
イニシエーション及びプロモーションの両方もしくは一方の過程を抑えることができれば、癌の発生を抑制することが可能である。とりわけ、プロモーションの抑制は、正常細胞に復帰することのできない潜在性腫瘍細胞を既に保有する個体に対しても有効な発癌抑制手段となる。このため、発癌プロモーションを抑制する化合物の探索研究がなされている。例えば、琉球松の球果から単離、精製された樹脂酸であるサンダラコピマル酸やデヒドロアビエチン酸については、エプスタインバールウィルス早期抗原(EBV−EA)発癌抑制試験(非特許文献1参照)によるインビトロでの薬理活性から、発癌プロモーション抑制剤への適用可能性についての報告がなされている(非特許文献2参照)。また、茯苓(ブクリョウ)の原植物であるマツホドから得られたデヒドロアビエチン酸メチルについても同様な報告がなされている(非特許文献3参照)。しかしながら、樹脂酸多価アルコールエステルについては検討されておらず、ましてや樹脂酸多価アルコールエステルについてのインビボにおける発癌プロモーション抑制活性については未検討であり、樹脂酸多価アルコールエステルの当該活性に関しては全く言及されていない。
【非特許文献1】Konishi, T. et al.、バイオロジカル アンド ファーマシューティカル ブレティン 第21巻 993頁(1998年)
【非特許文献2】Reiko, Tanaka, et al, ジャーナル オブ ナチュラル プロダクト 第65巻、 1921−1923頁(2002年)
【非特許文献3】Toshihiro, Akihisa, et al, ジャーナル オブ ナチュラル プロダクト 第65巻、462−465頁(2002年)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、安全性が高く、有用な発癌プロモーション抑制組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、天然物であるロジンをグリセリンと反応させた例えばロジングリセリンエステル等の樹脂酸多価アルコールエステルに着目し、発癌プロモーション抑制活性について鋭意検討した結果、例えばロジングリセリンエステル等の樹脂酸多価アルコールエステルが発癌プロモーションを抑制することを見出した。本発明者らは、この知見に基づいてさらに研究を進め本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、
(1) 樹脂酸多価アルコールエステルを含むことを特徴とする発癌プロモーション抑制組成物、
(2) 樹脂酸多価アルコールエステルがロジングリセリンエステルであることを特徴とする(1)に記載の発癌プロモーション抑制組成物、
(3) 抗腫瘍剤である(1)又は(2)に記載の発癌プロモーション抑制組成物、
(4) 食品である(1)又は(2)に記載の発癌プロモーション抑制組成物、
(5) 化粧料である(1)又は(2)に記載の発癌プロモーション抑制組成物、
(6) 樹脂酸多価アルコールエステルを、哺乳動物に投与することを特徴とする、発癌プロモーションの抑制方法、
(7) 樹脂酸多価アルコールエステルがロジングリセリンエステルであることを特徴とする(6)に記載の発癌プロモーションの抑制方法、
に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の組成物は、発癌プロモーション抑制組成物として有用である。本発明の組成物に使用される樹脂酸多価アルコールエステル、特にロジングリセリンエステルは食品添加物としてチューインガム基材に使用されており安全性が高いので、それを用いて、発癌プロモーション抑制に有用な医薬、食品及び化粧料に用いることができる。
また、本発明の組成物は、発癌プロモーション抑制作用を有するので、発癌予防に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の組成物に用いられる樹脂酸多価アルコールエステルとは、樹脂酸と多価アルコールとを反応させて得られるエステル化合物をいう。樹脂酸としては、例えばアビエチン酸、レボピマル酸、ネオアビエチン酸、パラストリン酸、ピマル酸、イソピマル酸、ジヒドロアビエチン酸又はテトラヒドロアビエチン酸等が挙げられる。これら樹脂酸は、2種以上の混合物からなる樹脂酸、例えばロジンまたはその重合物などの誘導体(ロジン、重合ロジン、水添ロジン又は不均化ロジン等)などであってもよい。ロジンとしては、例えばアビエチン酸約44%、パラストリン酸約22%、ネオアビエチン酸約15%、ピマル酸約9.2%、イソピマル酸約1.5%を含有するガムロジン(ジャーナル・オブ・ケミカル・エンジニアリング・データ,1967年,第12巻,第2号,p.278参照)が挙げられる。
多価アルコールとしては、例えばアドニトール、アラビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジブチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサントリオール、ガラクチトール、マンニトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ピナコール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、キシリトール等が挙げられるが、それらに限定されない。好ましくは、グリセリン、ペンタエリスリトール又はソルビトールである。
好ましい樹脂酸多価アルコールエステルとしては、例えばロジングリセリンエステル、ペンタエリスリトールモノデヒドロアビエテート又はソルビトールモノデヒドロアビエテート等が挙げられる。特にロジングリセリンエステルは食品添加物としてチューインガム基材等に用いられており工業的にも大量に生産されており入手も容易であり、とりわけ好ましい。工業的に入手可能なものとしてエステルガムAAG(荒川化学工業株式会社製)が挙げられる。
本発明の組成物に係る樹脂酸多価アルコールエステルは、樹脂酸と多価アルコールを公知の方法、例えば酸クロリド法、特開平5−171112号公報に記載の方法、あるいはピリジン触媒を用いて多価アルコールと共に加熱、還流する方法等により得ることができる。樹脂酸多価アルコールエステルとしては、樹脂酸多価アルコールモノエステルのほか、樹脂酸多価アルコールジエステルや樹脂酸多価アルコールトリエステル等の樹脂酸多価アルコールポリエステルが包含される。
【0009】
発癌プロモーション抑制活性を測定するインビトロの方法としては、例えば、特開2002−275057号公報に記載のEBA−EA誘導試験法[Konishi,T.et al.,Biol.Pharm.Bull.,21,993(1998)]が挙げられる。この試験法は、12−o−テトラデカノイルホルボール−13−アセテート(以下、TPAと略記する。)、テレオシジンなどの発癌プロモーターが、バーキットリンパ腫由来エプスタイン・バー・ウイルス潜在感染ヒトリンパ芽球様細胞株(Raji細胞、ATCCから入手可能)中に潜在するエプスタイン・バー・ウイルス(以下、EBVと略記する。)を活性化する現象に基づいた方法で、前記のような発癌プロモーターと被験物質とをRaji細胞に接触させ、発癌プロモーターによるEBV活性化を被験物質が抑制する効力を測定する方法である。
【0010】
発癌プロモーション抑制活性は、例えば齧歯類を用いたインビボ2段階発癌試験によって測定又は確認することができる。例えば、マウスの背中の毛を手術用バリカン等で刈り落とし、背中の皮膚に、アセトン等の有機溶媒に溶解した発癌イニシエーターである7,12−ジメチルベンズアントラセン(以下、DMBAと略記する。)を適量、例えば約1〜1000μg程度塗布する。DMBA塗布後一定期間、例えば1週間経過した後から、アセトン等の有機溶媒に溶解した、例えばロジングリセリンエステル等の樹脂酸多価アルコールエステルと発癌プロモーターである12−o−テトラデカノイルホルボール−13−アセテート(以下、TPAという)とを一定頻度で、例えば週約2回程度、皮膚に塗布する。より具体的には、前記のようにDMBAを塗布した皮膚に、まずアセトン等の有機溶媒に溶解した例えばロジングリセリンエステル等の樹脂酸多価アルコールエステルを塗布し、約1時間後に、アセトン等の有機溶媒に溶解したTPAを適量、例えば約0.1〜10μg程度塗布する。このような処理を行いながら、一定期間、例えば約10〜50週間程度に渡って経時的に観察を行い、処理検体の皮膚に腫瘍の発生したマウスの数、及び発生した腫瘍の数を測定する。被験物質とTPAとを塗布した群における腫瘍の発生したマウスの数及び発生した腫瘍の数を、被験物質の代わりに溶媒を塗布した群と比較することにより、例えばロジングリセリンエステル等の樹脂酸多価アルコールエステルの発癌プロモーション抑制活性を確認することができる。
【0011】
上記樹脂酸多価アルコールエステルは、哺乳動物(例えばヒト、イヌ、ネコ、マウス、ラット、ウサギ等)に投与(例えば、皮下注射、筋肉注射、血管内投与、経口投与、腹腔内投与、直腸内投与、塗布等)することにより、哺乳動物における発癌プロモーションを抑制できる。
【0012】
本発明の組成物は、例えばロジングリセリンエステル等の樹脂酸多価アルコールエステルと医薬上許容されている添加物又は食品添加物もしくは化粧料添加物として許容されている添加物とを、自体公知の方法で配合して、腫瘍や癌の発生を抑制する抗腫瘍剤のごとき医薬、食品あるいは化粧料とすることができる。
【0013】
本発明の組成物を医薬組成物とする場合、樹脂酸多価アルコールエステルは慣用の担体と共に混合して、経口剤、注射剤、外用剤又は坐剤等とされる。経口剤としては、例えば錠剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、カプセル剤、液剤、乳剤、懸濁剤、シロップ剤等の剤形が挙げられる。これら製剤は公知の方法によって製造され得る。顆粒剤及び錠剤とする場合には、樹脂酸多価アルコールエステルは医薬上許容される添加剤、例えば賦形剤(例.乳糖、デンプン、ショ糖、ブドウ糖、マンニトール、コンスターチ、無機塩類等)、滑沢剤(例.タルク、ロウ類、水素添加植物油、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム等)、崩壊剤(例.カルメロース、カルメロースカルシウム、デンプン、結晶セルロース、低置換ヒドロキシプロピルセルロース等)、結合剤(例.デンプン、デキストリン、アラビアゴム末、ヒドロキシプロピルスターチ、結晶セルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン等)などと共に公知の方法で混和、造粒又は打錠され得る。なお、顆粒剤及び錠剤には、適当なコーティング剤(例.ゼラチン、白糖、アラビアゴム、カルナバロウ等)、腸溶性コーティング剤(例.酢酸フタル酸セルロース、メタアクリル酸コポリマー、ヒドロキシプロピルセルロースフタレート、カルボキシメチルエチルセルロース等)などで剤皮を施してもよい。
カプセル剤として製造する場合には、樹脂酸多価アルコールエステルは公知の賦形剤と共に均等に混和し、又は粒状化し、若しくは粒状化したものに適当なコーティング剤で剤皮を施し、カプセルに充填するか、適当なカプセル基剤(例.ゼラチン等)にグリセリン又はソルビトール等を加えて塑性を増したカプセル基剤で被包成形してもよい。該賦形剤としては、例えば、流動性と滑沢性を向上させるためのステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク又は軽質無水ケイ酸、加圧流動性のための結晶セルロースや乳糖、あるいは上記崩壊剤等が挙げられる。
シロップ剤として製造する場合には、例えば安定剤(例.エデト酸ナトリウム等)、懸濁化剤(例.アラビアゴム、カルメロース等)、矯味剤(例.単シロップ、ブドウ糖等)、芳香剤等を適宜選択して使用することができる。
【0014】
上記注射剤は、水性注射剤又は油性注射剤のいずれでもよい。水性注射剤とする場合、公知の方法に従って、例えば、水性溶媒(例.注射用蒸留水、生理食塩水、ブドウ糖水溶液等)に、医薬上許容される添加剤、例えば等張化剤(例.塩化ナトリウム、塩化カリウム、グリセリン、マンニトール、ソルビトール、ブドウ糖、プロピレングリコール等)、緩衝剤(例.リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、炭酸緩衝液、クエン酸緩衝液、トリス緩衝液、グルタミン酸緩衝液、イプシロンアミノカプロン酸緩衝液等)、保存剤(例.クロロブタノール等)、増粘剤(例.ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール等)、安定化剤(例.亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、アスコルビン酸等)、懸濁剤(例.アラビアゴム、トラガント、デキストリン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ベントナイト、ビーガム又は無水ケイ酸等)、乳化剤(ラウリル硫酸ナトリウム、ソルビタン、脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル又はモノグリセリド等)又はpH調整剤(例.塩酸、水酸化ナトリウム、リン酸、酢酸等)などを適宜添加した水溶液に、樹脂酸多価アルコールエステルを溶解した後、フィルター等で濾過して滅菌し、次いで無菌的な容器に充填することにより調製することができる。また適当な溶解補助剤、例えばアルコール(エタノール等)、ポリアルコール(プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等)、非イオン界面活性剤(ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50等)などを使用してもよい。油性注射剤とする場合、油性溶媒としては、例えば、ゴマ油、落花生油、大豆油、トウモロコシ油等が用いられ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベンジルアルコール等を使用してもよい。調製された注射液は、通常、適当なアンプル又はバイアルに充填される。注射剤中の樹脂酸多価アルコールエステルは、通常約0.001〜10.0w/v%程度、好ましくは約0.005〜5.0w/v%程度に調整される。
【0015】
また、外用剤としては、軟膏剤又はクリーム剤等が挙げられ、かかる外用剤は樹脂酸多価アルコールエステルを、例えば吸水軟膏、親水軟膏、単軟膏、白色軟膏又はマクロゴール軟膏あるいは、ステアリルアルコール、セタノール、パラフィン、流動パラフィン、蜜蝋、ヤシ油等の公知の基剤と混和する等製剤上の常法により調製することができる。
坐剤も慣用の基剤(例えばカカオ脂、ラウリン脂、グリセロゼラチン、マクロゴール、ウィテップゾル等)を用いる製剤上の常法によって調製することができる。
【0016】
また、吸入剤も製剤上の常套手段によって調整することができる。吸入剤として製造する場合、樹脂酸多価アルコールエステルに添加される添加剤は、一般に吸入用製剤に使用される添加剤であればいずれのものであってもよく、例えば、噴射剤の他、上記した賦形剤、結合剤、滑沢剤、保存剤、安定化剤、等張化剤、pH調整剤又は矯味剤(クエン酸、メントール、グリチルリチンアンモニウム塩、グリシン、香料等)などが用いられる。噴射剤としては、液化ガス噴射剤、圧縮ガス等が用いられる。液化ガス噴射剤としては、例えば、フッ化炭化水素(HCFC22、HCFC−123、HCFC−134a、HCFC142等の代替フロン類等)、液化石油、ジメチルエーテル等が挙げられる。圧縮ガスとしては、例えば、可溶性ガス(炭酸ガス、亜酸化窒素ガス等)、不溶性ガス(窒素ガス等)などが挙げられる。
ローション剤には、通常用いられる添加剤が含まれていてもよく、例えばこのような添加剤として、懸濁剤、乳化剤、湿潤剤(例.グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、1,3−ブチレングリコール、dl−ピロリドンカルボン酸、乳酸ナトリウム等)又は保存剤(例.パラオキシ安息香酸エステル類、塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、ベンジルアルコール、デヒドロ酢酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム、ホウ酸、ホウ砂等)などが挙げられる。上記したこれらの添加剤を用いて、常法に従ってローション剤を調製することができる。
【0017】
本発明の組成物の投与量は、患者の年齢、体重、疾患の程度、剤型により異なるが、例えば注射剤の場合、成人に対する投与量は、樹脂酸多価アルコールエステルの重量として通常約0.01mg〜1g/日であり、経口剤の場合は、樹脂酸多価アルコールエステルの重量として、例えば通常約0.01mg〜1g/日である。
【0018】
本発明の組成物を、食品として使用する場合、樹脂酸多価アルコールエステルを、食品添加物として許容される添加物(例.ブドウ糖、果糖、ショ糖、マルトース、ソルビトール、ステビオサイド、ルブソサイド、コーンシロップ、乳糖、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、L−アスコルビン酸、dl−α−トコフェロール、エリソルビン酸ナトリウム、グリセリン、プロピレングリコール、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、アラビアガム、カラギーナン、カゼイン、ゼラチン、ペクチン、寒天、ビタミンB類、ニコチン酸アミド、パントテン酸カルシウム、アミノ酸類、カルシウム塩類、色素、香料又は保存剤等)と共に、公知の方法により、錠剤、顆粒剤、カプセル剤等とすることができる。
【0019】
また本発明の組成物は、他の食品成分に混合して腫瘍や癌の発生を抑制・防止するための食品とすることもできる。この場合、他の食品成分は特に限定はされず、様々な食品に利用可能である。例えば、醤油、粉末醤油、味噌、粉末味噌、もろみ、ひしお、フリカケ、マヨネーズ、ドレッシング、食酢、三杯酢、粉末すし酢、天つゆ、麺つゆ、ソース、ケチャップ、焼肉のたれ、カレールー、中華の素、シチューの素、スープの素、ダシの素、複合調味料、みりん、新みりん、テーブルシュガー又はコーヒーシュガー等の調味料、せんべい、あられ、おこし、花林糖、求肥、餅、まんじゅう、ういろう、あん、羊羮、水羊羮、錦玉、ゼリー、カステラ又は飴玉等の和菓子、ビスケット、クラッカー、クッキー、パイ、プリン、シュークリーム、ワッフル、スポンジケーキ、ドーナッツ、チョコレート、チューインガム、キャラメル、キャンデー又はグミゼリー等の洋菓子、アイスクリーム、アイスキャンデー又はシャーベット等の氷菓、氷蜜等のシロップ、バタークリーム、カスタードクリーム、フラワーペースト、ピーナッツペースト又はフルーツペースト等のスプレッド及びペースト、ジャム、マーマレード、シロップ漬又は糖菓等の加工果実及び加工野菜、パン、麺、米飯又は人造肉等の穀類加工食品、サラダオイル又はマーガリン等の油脂食品、福神漬、べったら漬、千枚漬又はらっきょう漬等の漬物、たくあん漬の素又は白菜漬の素等の漬物の素、ハム又はソーセージ等の畜肉製品、魚肉ハム、魚肉ソーセージ、カマボコ、チクワ又はハンペン等の魚肉製品、ウニの塩辛、イカの塩辛、酢コンブ、さきするめ又はフグのみりん干し等の珍味、農産物、畜産物又は水産物等から製造される煮物、焼物、炒め物、揚げ物、蒸し物又はあえ物等の惣菜、えびフライ、コロッケ、シューマイ、ぎょうざ、春巻、ハンバーグステーキ、ミートボール、フィッシュハンバーグ又はフィッシュボール等の冷凍調理食品、ハンバーグ、ミートボール、赤飯、牛めし、とり釜めし、玄米がゆ、カレー、ミートソース、ドミグラスソース、ポタージュスープ、コンソメスープ、シチュー、おでん、八宝菜、煮豆、焼鳥、茶碗蒸し又は野菜の水煮等のレトルト食品、錦糸卵、乳飲料、バター又はチーズ等の卵製品及び乳製品、魚肉、畜肉、果実又は野菜等の瓶詰及び缶詰、合成酒、醸造酒、果実酒又は洋酒等の酒類、コーヒー、ココア、ジュース、茶、紅茶、ウーロン茶、ミネラル飲料、炭酸飲料、乳酸飲料又は乳酸菌飲料等の清涼飲料、プリンミックス、ホットケーキミックス、即席ジュース、即席しるこ又は即席スープ等の即席食品等が挙げられる。
上記食品中の樹脂酸多価アルコールエステルの含有量は、食品の種類により異なるが、通常約0.001〜0.1質量%程度である。なお、本発明の食品は、機能性食品として有用である。
【0020】
本発明の組成物を、例えば化粧料成分に混合して腫瘍や癌の発生を抑制・防止するための化粧料とすることができる。化粧料とする場合には、例えば陰イオン性界面活性剤(例.アルキル硫酸塩、ココイルメチルタウリン塩、脂肪酸塩、ヤシ油脂肪酸その塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルのリン酸塩又は硫酸塩等)、両性界面活性剤(例.アルキルベタイン、ホスホベタイン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール等)、非イオン性界面活性剤(例.グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリグリセリン脂肪酸エステル等)、増粘剤(例.アクリル酸アミド又はその誘導体、カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、セルロース、ケラチン、コラーゲン又はその誘導体、アルギン酸カルシウム、プルラン、寒天、ゼラチン、キサンタンガム、カラギーナンポリビニルアルコール、グァーガム、アラビアゴム、結晶セルロース、トラガカントガム、アルギン酸、アルブミン、カゼイン等)、油剤〔例.高級アルコール(例.セタノール、イソステアリルアルコール、ラウリルアルコール、ヘキサデシルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール等)、脂肪酸またはそのエステル類(例.ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ミリスチン酸ミリスチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、エチルヘキサン酸セチル、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸イソプロピル、ジメチルオクタン酸へキシルデシル、モノステアリン酸グリセリン、トリオクタン酸グリセリン、パルミチン酸セチル、フタル酸ジエチル、モノステアリン酸エチレングリコール、オキシステアリン酸オクチル等)、コレステロールエステル(例.ステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、分岐脂肪酸コレステリル等)、炭化水素(例.流動パラフィン、ワセリン、スクワラン等)、ラノリン、還元ラノリン、水素添加大豆リン脂質等のリン脂質、ロウ(例.ミツロウ、カルナバロウ等)、油脂(例.ホホバ油、ミンク油、カカオ脂、ヤシ油、パーム核油、ツバキ油、ゴマ油、ヒマシ油、オリーブ油等)など〕、粉体(色素、樹脂、顔料;例.赤色201号、黄色4号、青色1号、黒色401号等の色素、黄色4号Alレーキ、黄色203号Baレーキ等のレーキ色素、ナイロンパウダー、シルクパウダー、シリコーンパウダー、セルロースパウダー、シリコーンエラストマー球状粉体、ポリエチレン末等の樹脂、黄酸化鉄、赤色酸化鉄、酸化クロム、カーボンブラック、群青、紺青等の有色顔料、酸化亜鉛、酸化チタン等の白色顔料、タルク、マイカ、セリサイト、カオリン等の体質顔料、雲母チタン等のパール顔料の顔料、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪酸マグネシウム等の金属塩、シリカ、アルミナ等の無機粉体、ベントナイト、スメクタイト、窒化ホウ素等)、香料、保湿剤(例.グリセリン、キシリトール、ソルビトール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール200〜600、ポリオキシエチレンメチルグルコシド、マルチトール、マンニトール等)、生理活性成分(例.グリチルリチン酸又はその塩、塩酸ジフェンヒドラミン、胎盤抽出物、アルブチン、コラーゲン、アラントイン、dl−α−トコフェロール等)、紫外線吸収剤(例.オキシベンゼン、サリチル酸フェニル、シノキサート、2−(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール等)、溶媒(例.ポリオキシエチレンセチルエーテル、精製水、低級アルコール等)、酸化防止剤(例.カテコール、酢酸dl−α−トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール等)、キレート剤(例.エデト酸又はその塩類、クエン酸又はその塩等)、防腐剤(例.安息香酸又はその塩類、イソプロピルメチルフェノール、塩酸クロルヘキシジン、オルトフェニルフェノール、グルコン酸クロルヘキシジン、クロルクレゾール、クロルフェネシン、クロロブタノール、ソルビン酸又はその塩類、デヒドロ酢酸又はその塩類、パラオキシエチレン安息香酸エステル、ハロカルバン等)、中和剤・pH調整剤(例.水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、塩酸、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等)、酵素(例.塩化リゾチーム等)など等の化粧料に通常用いられる成分や、さらには、ビタミン、アミノ酸、ペプチド、エキス、血管拡張剤、血行促進剤、細胞賦活剤、殺菌剤、消炎剤、止痒剤、収斂剤、皮膚機能亢進剤及び角質軟化剤から選択される薬剤の1又は2以上を樹脂酸多価アルコールエステルに配合し、化粧料としての個々の使用形態に応じて、溶液状、乳液状、クリーム状、ペースト状、粉末状、顆粒状、あるいはそれ以外の所望の形状に成形された固形状に調製できる。使用目的にもよるが、化粧料中の樹脂酸多価アルコールエステルの含有量は通常約0.001〜30質量%、好ましくは0.05〜0.5質量%程度である。
【0021】
化粧料としての個々の形態としては、例えば、ポマード、ヘアスティック、ヘアオイル、ヘアクリーム、ヘアソリッド、ヘアリキッド、セットローション、ヘアスタイリングジェル、ウォーターグリース、ヘアブロー、エアゾール整髪料、パーマネントウェーブ液又は染毛剤等の毛髪化粧品 、シャンプー、ボディーシャンプー、ヘアリンス、洗髪用石鹸、化粧石鹸又はクレンジングフォーム等の洗浄用化粧品、化粧水、クリーム、乳液、ローション、パック、ファンデーション、口紅、ほほ紅、アイライナー、マスカラ、アイシャドー、まゆずみ、マニキュア又はおしろい等の皮膚化粧品、粉歯磨、潤性歯磨、練歯磨、水歯磨、薬用歯磨、口中清涼剤又はうがい薬等の口中化粧料、日焼止化粧品、髭剃り用化粧品、浴用化粧品、さらには、香水、オーデコロン、わきが止、ベビーパウダー、アイローション又は漂白クリーム等が挙げられる。
【0022】
以下に本発明を実施例及び製剤例に基づいて、より具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の実施例及び製剤例において使用するロジングリセリンエステルは、エステルガムAAG(荒川化学工業株式会社製)である。
【実施例1】
【0023】
(インビトロによる発癌プロモーション抑制活性の測定)
ロジングリセリンエステル(化合物1)、ペンタエリスリトールモノデヒドロアビエテート(化合物2)及びソルビトールモノデヒドロアビエテート(化合物3)について、EBV活性化抑制試験法(Konishi,T.et al.,Biol.Pharm.Bull.,21、993(1998))により、発癌プロモーション抑制活性の測定を行った。バーキットリンパ腫由来EBV潜在感染ヒトリンパ芽球様細胞株(Raji細胞)の培養には、RPMI 1640培地(日水製薬)に10v/v%となるように牛胎仔血清(GIBCO−BRL)を加えた培地を使用した。この培地で培養した場合のEBVの活性化率(Raji細胞の自然誘発率)は、0.1%以下であった。前記培地で培養したRaji細胞の培養液を1×10細胞/mlとなるように調製し、ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解した酪酸(終濃度4mM)とTPA(終濃度20ng/ml)とを加えて、COインキュベーター中で37℃にて48時間培養した後、得られた培養液の塗抹標本を作製した。上咽頭がん患者血清を用いた間接蛍光抗体法によりEBV初期抗原(EBV−EA)を染色し、陽性細胞(該初期抗原の発現した細胞)の発現率を測定してこれを陽性コントロ−ル(100)とした。一方、前記と同様に調製したRaji細胞の培養液に、DMSOに溶解した酪酸(終濃度4mM)、12−o−テトラデカノイルホルボール−13−アセテート(TPA、終濃度20ng/ml)および被験化合物を加えて同様に培養した後、陽性細胞の発現率を測定し陽性コントロ−ル(100)に対する割合(%)を求めた。各試験において、少なくとも500細胞を測定し、また2回の繰り返し実験を行った。なお毎回、TPAおよび被験化合物は添加せず酪酸だけを添加した系(陰性コントロ−ル)と上記陽性コントロ−ルについての試験を併行して行った。測定結果を表1に示した。いずれの化合物についても、用量相関的にEBV−EAの活性化の抑制が認められた。尚、化合物1〜3のいずれの試験においても、細胞に対する強い毒性は認められなかった。
【0024】
【表1】

1)陽性コントロール(TPA添加系)の値を100とした。
2)括弧内の数値は細胞の生存率(TPA添加系の生存率を100%とした)を示す。
【実施例2】
【0025】
(ロジングリセリンエステルのインビボによる発癌プロモーション抑制活性の測定)
6週齢のICR雌マウスの背部の毛を剃り、0.1mlのアセトンに溶解したDMBA100μg(390nmol)を、毛を剃った背部に塗布した。DMBA塗布の1週間後に、被験化合物処理群には、アセトン(0.1ml)に溶解したロジングリセリンエステル(エステルガムAAG(荒川化学工業株式会社製))111μg(85nmol)をそれぞれ、前記のDMBA塗布部位に塗布し、溶媒処理群には、ロジングリセリンエステルに代えてアセトン(0.1ml)を塗布した。次いで1時間後に、被験化合物処理群及び溶媒処理群のいずれにも、前記の塗布部位に、0.1mlのアセトンに溶解したTPA 1μg(1.7nmol)を塗布し、以後週2回の頻度で、15週に亘ってTPAを同様に塗布した。マウスは1群当たり15匹を使用した。パピローマ(乳頭腫)が発生したマウスの数からパピローマ発生率(%)及びマウス1匹当たりのパピローマ発生数の平均値を1週毎に被験化合物処理群及び溶媒処理群それぞれについて算出し、これらパピローマ発生率(%)及びマウス1匹当たりのパピローマ発生数の平均値を発癌プロモーション抑制活性の指標とした。その結果を図1及び図2に示した。これらの指標に基づいて被験化合物処理群と溶媒処理群とを比較することにより、ロジングリセリンエステルがTPAによる発癌プロモーションに対し抑制活性を示すことが確認された。尚、図中の被験化合物処理群のグラフには用いた化合物名、溶媒処理群のグラフには溶媒(対照)と表示した。尚、パピローマ発生率(%)及びマウス1匹当たりのパピローマ発生数の平均値は下記式に基づいて算出した。
パピローマ発生率=(A/15)×100(%)
マウス1匹当たりのパピローマ発生数=(B/15)(個/匹)
式中、Aはパピローマが発生した各群のマウスの数、Bは発生した各群の総パピローマ発生数を表す。
【0026】
[製剤例1]
錠剤
ロジングリセリンエステル 5.0g
(エステルガムAAG(荒川化学工業株式会社製))
トウモロコシデンプン 12.0g
乳糖 22.6g
ステアリン酸マグネシウム 0.4g
上記成分を加えてよく混和し、湿性錠剤調製法に準じて打錠用顆粒とする。ステアリン酸マグネシウムを加えて打錠し、錠剤400錠とする。錠剤は、必要に応じて糖衣を施してもよい。
【0027】
[製剤例2]
食品
砂糖650gに水飴300gを150℃で加熱融解し、120℃に冷却後、クエン酸10gを加えた後に、ロジングリセリンエステル(エステルガムAAG(荒川化学工業株式会社製))を30g、香料10gを添加後、撹拌し、均一化した後に、成形し、冷却してキャンディーを得る。
【0028】
[製剤例3]
化粧料
流動パラフィン 15.0%
ワセリン 4.0%
ステアリン酸ショ糖エステル 3.0%
ラウリン酸ショ糖エステル 3.0%
イソステアリルアルコール 1.0%
1,3ブチレングリコール 2.0%
ロジングリセリンエステル 0.1%
(エステルガムAAG(荒川化学工業株式会社製))
ヒドロキシセルロース 0.4%
精製水 適量(全100g)
調製法:ワセリン、流動パラフィン、ステアリン酸ショ糖エステル、ラウリン酸ショ糖エステル、イソステアリルアルコールを80℃に加温する。攪拌しながら精製水にヒドロキシセルロースを事前に分散させた水溶液に1,3ブチレングリコールを加えた液を85℃にしてゆっくり加える。攪拌をしながら冷却し、80℃でロジングリセリンエステルを加え室温まで攪拌しクリームを得る。
【0029】
[参考例1]
化合物2(ペンタエリスリトールモノデヒドロアビエテート)の合成方法
【化1】

【0030】
窒素気流下、冷却管及び攪拌装置をつけたペンタエリスリトール10g(73.4mmol)、トリエチルアミン15.91g(160mmol)、及びN−メチルピロリドン(150g)を反応容器に仕込み、これに4−ジメチルアミノピリジン50mgを加えた後、デヒドロアビエトイルクロリド26.8g(78.6mmol)のN−メチルピロリドン(50g)溶液を0℃にて攪拌しながら1時間かけて滴下した。滴下後徐々に室温まで昇温し、18時間攪拌した。反応液を減圧留去し、残渣を500mlの酢酸エチルに溶解し、得られた溶液を10%塩酸溶液100mlにて2回、飽和重層水50mlにて3回さらに飽和食塩水50mlにて2回洗浄した。酢酸エチル溶液を無水硫酸マグネシウムにて乾燥した後、酢酸エチルを減圧留去し、残渣にトルエンとクロロホルム(10/1)の混合溶媒より再結晶し、白色結晶9.83gを得た。融点、IR、NMRは次のとおりであった。
融点:143−145℃
IR(cm−1):3500−3300、1722、1240、1055、1024
NMR(δ、DMSO−d):1.16(6H、d)、1.17(3H、s)、1.20(3H、s)、2.05(1H、d)、2.31(1H、d)、2.80(3H、m)、3.39(6H、m)、3.93(4H、m)、4.37(3H、t)、6.85(1H、s)、6.97(1H、d)、7.16(1H、d)
この結果より得られた化合物は下記のようなペンタエリスリトールモノデヒドロアビエテートであった。
【0031】
[参考例2]
化合物3(ソルビトールモノデヒドロアビエテート)の合成方法
【化2】

【0032】
反応容器にソルビトール18.6g(0.1モル)及びピリジン425gを加え溶解し、これにデヒドロアビエトイルクロリド34.1g(0.1モル)のピリジン(100g)溶液を攪拌しながら室温で2時間かけて滴下した。滴下終了後48時間攪拌した。反応液を減圧留去濃縮し、残渣を500mlの酢酸エチルに溶解し、得られた溶液を1NHCl水溶液で1回、飽和重曹水で1回、さらに2回水洗いした。酢酸エチル溶液を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、酢酸エチルを留去した。残渣にメタノール235gを加え、1時間還流し室温まで冷却した。不溶物をろ過したろ液にヘキサン200gを加え、1時間還流し室温まで冷却した。析出した結晶をろ過、洗浄し5.0gの白色結晶を得た。融点、IR、NMRは次のとおりであった。
融点:131−135℃
IR(cm−1):3500−3300、1693、1267、1084、1031
NMR(δ、DMSO−d):1.15(6H、d)、1.17(3H、s)、1.20(3H、s)、2.04(1H、d)、2.30(1H、d)、2.80(3H、m)、3.4−3.8(5H、m)、3.99(1H、dd)、4.12(1H、dd)、4.32(3H、m)、4.45(1H、d)、4.81(1H、d)、6.84(1H、s)、6.96(1H、d)、7.16(1H、d)
この結果より得られた化合物は下記のようなソルビトールモノデヒドロアビエテートであった。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明による発癌プロモーション抑制組成物は、腫瘍や癌の発生を抑制・防止する医薬、食品又は化粧料等として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】ロジングリセリンエステルの発癌プロモーション抑制活性をパピローマの発生率(%)を標識として示した図である。
【図2】ロジングリセリンエステルの発癌プロモーション抑制活性をパピローマの発生数(個/匹)を標識として示した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂酸多価アルコールエステルを含むことを特徴とする発癌プロモーション抑制組成物。
【請求項2】
樹脂酸多価アルコールエステルがロジングリセリンエステルであることを特徴とする請求項1に記載の発癌プロモーション抑制組成物。
【請求項3】
抗腫瘍剤である請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
食品である請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項5】
化粧料である請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項6】
樹脂酸多価アルコールエステルを、哺乳動物に投与することを特徴とする、発癌プロモーションの抑制方法。
【請求項7】
樹脂酸多価アルコールエステルがロジングリセリンエステルであることを特徴とする請求項6に記載の発癌プロモーションの抑制方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−241105(P2006−241105A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−61657(P2005−61657)
【出願日】平成17年3月4日(2005.3.4)
【出願人】(000168414)荒川化学工業株式会社 (301)
【Fターム(参考)】