白金／銀コロイドを含有する皮膚外用剤
【課題】老化肌の防止の要因の一つとなる抗酸化性、すなわち還元能を有する成分を配合することにより皮膚の老化の予防および改善を目的としたものである。この他、酸化によって発生するかぶれ、皮膚炎、肌荒れ、表皮保護、皮膚正常化、日焼け後の炎症や色素沈着等の軽減および修復効果はもとより、あえて防腐剤を含有させなくとも微生物防腐効果を有しており、かつ、安全性にも優れた皮膚外用剤を提供することである。
【解決手段】有効成分として白金コロイド液：白金／銀コロイド液を含有してなることを特徴とする皮膚外用剤。
【解決手段】有効成分として白金コロイド液：白金／銀コロイド液を含有してなることを特徴とする皮膚外用剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は各種成分による皮膚、頭皮および粘膜等への酸化作用を抑制し、尚且つ剤型自身の防腐効果を有する抗酸化性皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【０００２】
生活環境の変化により人間は常に各種の酸化物質に曝されている。これら酸化物質に対処するため従来から使用されてきた抗酸化成分として、ビタミンＥ関連成分、β‐カロチン、コエンザイムＱ１０などの成分が提案されている。
また、最近では高活性の白金コロイドの有する電気二重層を皮膚に作用させることにより皮膚を保護し、皮膚の角質層の活性化が図られる白金ナノコロイド含有化粧料（特許文献１）が提案されている。この他、白金族金属と金とのコロイドを含む抗酸化剤からなる化粧料（特許文献２及び３）などにみられるように、金属コロイド、特に白金コロイドを配合した発明が出願されている。
このほか、銀ヒドロゾルを含有する化粧料（特許文献４）や超微粒子銀コロイドを含有する抗菌性の化粧料（特許文献５）などが提案されている。
【０００３】
しかしながら、化粧品に配合する抗酸化成分の配合や効果を考えた場合には、Ｌ‐アスコルビン酸塩およびＬ‐アスコルビン酸誘導体などは安定性に問題があり、しかも単回の還元作用によって、これ自身が酸化されるという問題点を有している。これに対して、ナノサイズの白金粒子は連続した抗酸化能を有していることと、表面での反応性が高く、高い触媒能があるために各種の活性酸素を消去できることなどの利点を有するが、コロイド化するため保護コロイド剤などによっては充分な効果が期待できない場合もあった。
【０００４】
【特許文献１】特開２００５‐１３９１０２号公報
【特許文献２】特開２００５‐１７９５００号公報
【特許文献３】特開２００１‐１２２７２３号公報
【特許文献４】特許第２７５８４９６号公報
【特許文献５】特開２００４−２３１５３４号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
本発明は老化肌の要因の一つとなる酸化を抑制する抗酸化性、すなわち還元能を有する成分を配合することにより皮膚の老化の予防および改善を目的としたものである。
この他、本発明は酸化によって発生するかぶれ、皮膚炎、肌荒れ、表皮保護、皮膚正常化、日焼け後の炎症や色素沈着等の軽減および修復効果はもとより、あえて防腐剤を含有させなくとも微生物防腐効果を有しており、一方、安全性についても優れた皮膚外用剤を提供することである。
更に本発明は、従来の白金、金、銀等の金属コロイドを成分とする化粧料の問題点を解決し、より優れた抗酸化活性を有する皮膚外用剤の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
本発明者等は前記課題を解決するために、有効成分として白金コロイド液および白金／銀コロイド液を合わせ含有してなるものについて鋭意、検討した。その結果、白金コロイド液および白金／銀コロイド液を併用することにより、単独使用よりもより抗酸化作用が高く、しかも、これまで、必ず配合せざるを得なかった安全性に課題を残す防腐剤を配合する必要のない、皮膚化粧料としても使用できる皮膚外用剤を開発、完成するに至った。
【０００７】
本発明は、ナノサイズの白金粒子の有する連続した抗酸化能、表面での高い反応性、高い触媒能による活性酸素消去能などに着目して白金コロイドを使用することにした。また、各種の白金コロイドの中でもゼータ電位があり、電子供与能がある白金ナノコロイドを使用した。
白金ナノコロイドは皮膚を透過しない特性があり、安全性の高い成分である。そこで、さらに安定性のある継続的抗酸化効果を向上させる目的で白金／銀コロイド液と併用することとした。白金／銀コロイド液は白金、銀、炭酸水素ナトリウム、セルロースガムと水とから構成されており、黄褐色の液体である。白金／銀コロイド液は、マイナスイオンを発生させることによって活性酸素を還元する作用を有している。さらにこれらの還元作用ばかりでなく、この白金／銀コロイド液は水分子と離れにくく、したがって皮膚への保湿性が保持されると同時に銀特有の殺菌防腐効果が得られるという複合効果も活用することが可能となる。
【発明の効果】
【０００８】
本発明によれば老化肌の要因の一つとなる酸化を抑制する抗酸化性、すなわち還元能を有する成分、白金コロイド：白金／銀コロイドを配合することにより、皮膚の老化の予防および改善を達成することができる。この他、本発明は酸化によって発生するかぶれ、皮膚炎、肌荒れ等の予防ないし治癒、表皮保護、皮膚正常化、日焼け後の炎症や色素沈着等の軽減および修復効果はもとより、あえて防腐剤を含有させなくとも微生物防腐効果を有しており、一方、安全性にも優れた皮膚外用剤を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００９】
以下、本発明について詳細に説明する。
白金コロイド液は金属塩還元反応法によって金属白金微粒子と水がひとつの粒子として構成されるように製造されたもので、その特性の一つとして白金コロイド粒子表面は高いゼータ電位を有していることがわかった。すなわち、水分子が白金微粒子周囲に集り、水分子に囲まれた白金粒子という形状を呈している。その結果、ナノ白金コロイドの表面は強力なマイナス（−）に荷電している。因みにフィーサー（株）製 エアーイオンカウンター FIC-2000によりマイナスイオンの発生量を、白金コロイド液を空中噴霧して測定したところ15,663個/ccであり、対照品としての水道水では12,738個/cc、また測定時の室内マイナスイオンは43個/ccであった。
【００１０】
一方、白金／銀コロイド液は銀金属から直接法によって銀コロイドを得たものである。銀は優れた抗菌作用があり、抗菌剤、宇宙飛行士の飲料水の殺菌などに使用され、安全性の高いことも明らかになっている。
これらの成分は、皮膚外用剤に使用する際にはこれ自身の安定性や剤型中への配合性を良くする目的から上記で得た前者のナノ白金コロイドの他に適当な保護コロイド剤、例えばポリソルベート８０（Tween 80）と水が加えられている。後者の白金／銀コロイド液は、用途によって多少配合が異なるが、水約９９％、銀０．２％以下、炭酸水素ナトリウム０．１％以下、カルボキシメチルセルロース０．１％以下の構成になっており、ナノサイズの白金を４５０から５５０ppmの範囲で含んでいる。
なお、白金コロイド液も同様に使用目的によって異なるが、通常ナノサイズの白金を４００から６００ppmの範囲で含むものが使用される。
白金および銀のコロイドは、白金、銀とも、粒径１０ｎｍ以下、好ましくは５ｎｍ以下のものが使用できる。
【００１１】
本発明の 皮膚外用剤に使用するナノ白金コロイドの好ましい配合量は０．１％から２．０％（重量）であり、より好ましい使用配合量は０．２％から１．０％である。皮膚外用剤への配合量が０．１％より少ないと抗酸化効果の発揮が充分でなく、２．０％以上の配合量では増加に見合うような著しい効果の増大は期待できないことから上記の含有量とした。
一方、白金／銀コロイド液の好ましい配合量は０．１％から２．０％であり、より好ましい使用配合量は０．２％から１．０％である。皮膚外用剤に対する含有量が０．１％より少ないと抗酸化効果を発揮することは困難であり、２．０％以上の含有量では見合うような著しい効果の増大は期待できない。
本発明の成分は化粧料、医薬品、医薬部外品など外皮に適用される皮膚外用剤として用いることができる。したがってその剤型として水溶性系（ローション系）、可溶化系、乳化系（Ｗ／Ｏ型、Ｏ／Ｗ型）、粉末系、軟膏系、油液系、ジェル系、水−油二層系、水−油−粉末三層系など幅広い形態に使用することができる。
【００１２】
本発明の皮膚外用剤は上記必須成分の他に皮膚外用剤に通常用いられる他の成分、例えば粉末、油分、湿潤剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、界面活性剤、防腐剤、ｐＨ調整剤、酵素、保湿剤、香料、水、多価アルコール、低級アルコール、高分子（増粘剤）、シリコーン類、色素などを必要に応じて適宜、配合することができる。
本発明の皮膚外用剤は必要によりさらに公知の薬剤を添加してもよい。これらの薬剤としては副腎皮質ホルモン類、レチノイド、トコフェロール、Ｌ‐アスコルビン酸塩およびＬ‐アスコルビン酸誘導体を含むビタミン類、アラントイン、グリチルリチン酸およびその誘導体、グリチレレチン酸およびその誘導体、ヒアルロン酸類およびコラーゲンやコンドロイチン硫酸塩類や植物抽出液、ビオチン、パントテン酸誘導体などがあげられる。
一方、白金コロイド液および白金／銀コロイド液の安全性については皮膚一次刺激性試験、皮膚感作性試験、急性経口毒性試験、眼粘膜刺激性試験、光毒性試験、光感作性試験、変異原性試験、環境試験およびヒトパッチテスト（皮膚貼付試験）を実施し、いずれも全く問題はなかった。
以下に実験例および実施例をあげて本発明について更に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定するものではない。
【実施例】
【００１３】
実験例１（ナノ白金コロイド：白金／銀コロイド液による抗酸化能測定）
安定な有機ラジカルである1,1-diphenyl-2-picrylhydrazyl（ＤＰＰＨ）を消去する性質を指標にして抗酸化力を検討した（フリーラジカル消去活性測定法、化粧品の有用性／日本化粧品技術者会ならびに薬事日報社発行）。
試料はナノ白金コロイド：白金／銀コロイド液の比を５：１、２．５：１、１：１および０．５：１の割合で調製した各試験液の抗酸化性を測定した。
その結果、上記条件のどの割合においても抗酸化能を有することが判明した。
白金コロイド：白金／銀コロイド液ノ使用比は、５：１〜１：５の範囲で選択するとよい。
【００１４】
実験例２（使用試験）
１．試料の調製
以下に記載の実施例および比較例に使用するクリーム及び乳液を下記の組成にしたがって調製した。なお、％は重量％を示す。
〔クリーム組成物〕 実施例 比較例
（１）白金コロイド 0.2％ -
（２）白金／銀コロイド 1.0 -
（３）自己乳化型脂肪酸モノグリセライド 0.8 0.8
（４）ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン
モノステアレート 1.0 1.0
（５）セタノール 1.5 1.5
（６）ワセリン 3.5 3.5
（７）スクワラン 4.0 4.0
（８）グリセリン 6.0 6.0
（９）プロピレングリコール 1.0 1.0
（10）オリーブオイル 2.5 2.5
（11）カルボキシビニルポリマー 0.5 0.5
（12）水酸化カリウム 0.1 0.1
（13）天然ビタミンＥ 0.05 0.05
（14）オリーブ葉エキス 0.1 0.1
（15）水添レシチン 0.1 0.1
（16）香料 適量 適量
（17）精製水 100%になる残量 100%になる残量
（製法） 油相である(3),(4),(5),(6),(7),(10),(13),(15)を秤量し75℃に加温、混合し (8),(9),(12),(14),(17) を秤量し75℃に加温、混合して水相とする。水相、油相を混合,乳化して乳化物をつくり、その後冷却して35℃で(1),(2),(16)を加え,クリームとする。
得られた上記クリームを以下の実験例に使用した。
【００１５】
つぎに示す処方および下記製法により乳液を得た。
〔乳液組成物〕 実施例 比較例
（１）ベヘニールアルコール 0.5 0.5
（２）合成ゲイロウ 2.0 2.0
（３）ソルビタンモノステアレート 1.2 1.2
（４）ポリオキシエチレン(20 E.O.)ベヘニールエーテル 1.8 1.8
（５）スクワラン 3.5 3.5
（６）ステアリン酸 0.9 0.9
（７）ブチレングリコール 9.0 9.0
（８）水酸化ナトリウム 0.1 0.1
（９）カルボニルビニルポリマー 0.1 0.1
（10）白金コロイド 1.0 -
（12）白金／銀コロイド 1.0 -
（13）オリーブ葉エキス 0.1 0.1
（14）加水分解コラーゲン 0.1 0.1
（15）トコフェロール 0.1 0.1
（16）精製水 100%とする適量 100%とする適量
（製法） 油相である(1),(2),(3),(4),(5),(6),(14)を秤量し、75℃に加温、混合し、水相である(7)(8),(9）,(12),(13),(15)を同様に秤量し、75℃に加温、混合した後、水相、油相を混合、乳化物を得た。その後冷却して35℃で(10),(11)を加えて乳液を調整する。
【００１６】
２．使用試験
実施例および比較例のクリームおよび乳液について、Ａ，Ｂ、Ｃグループとも２５才〜４２才の女子各８名づつを選び、各人の顔面を左右に分け、一方に実施例のクリームまたは乳液を、もう一方の顔面に比較例のクリームまたは乳液を毎日、朝晩、２回使用してもらい、７日後にアンケートを行って使用結果を調査した。
なお、比較例は実施例のクリームおよび乳液から、白金コロイドおよび／または白金／銀コロイドを除いたものを比較例とした。
比較例１：白金コロイドおよび白金／銀コロイドの両者を除いたもの、
比較例２：白金コロイドを除いたもの、
比較例３：白金／銀コロイドを除いたもの、
とした。グループＡ（実施例：比較例１）、Ｂ（実施例：比較例２）、Ｃ（実施例：比較例３）とした。
判定は以下の基準にしたがって使用感、肌の状態等について老化予防効果を含めて調査した。判定結果は各人の評価点数の合計点で示した。実施例の結果は、グループＡ＋Ｂ＋Ｃの合計値の１／３の数値を示す。
評価基準：
５ ： 非常に良い （肌荒れ等を全く生ぜず、肌の状態が非常に良い）
４ ： かなり良い （従来の市販品に比してより良好と感じる）
３ ： 良い （市販品と同程度）
２ ： 悪い （市販品より使用感等に劣る）
１ ： 非常に悪い （肌荒れを感じる）
【００１７】
３．結果
クリーム組成物 乳液組成物
実施例 ４０ ３８
比較例１ ２２ ２３
比較例２ ２８ ３０
比較例３ ３０ ３４
なお、クリーム，乳液の両方とも実施例は皮膚のかぶれ等の副作用や使用者にとって好ましくない反応は全く観察されなかった。上記結果から、白金コロイドおよび白金／銀コロイドの両者を含む本発明品が良好な結果を示すことが理解できる。
【技術分野】
【０００１】
本発明は各種成分による皮膚、頭皮および粘膜等への酸化作用を抑制し、尚且つ剤型自身の防腐効果を有する抗酸化性皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【０００２】
生活環境の変化により人間は常に各種の酸化物質に曝されている。これら酸化物質に対処するため従来から使用されてきた抗酸化成分として、ビタミンＥ関連成分、β‐カロチン、コエンザイムＱ１０などの成分が提案されている。
また、最近では高活性の白金コロイドの有する電気二重層を皮膚に作用させることにより皮膚を保護し、皮膚の角質層の活性化が図られる白金ナノコロイド含有化粧料（特許文献１）が提案されている。この他、白金族金属と金とのコロイドを含む抗酸化剤からなる化粧料（特許文献２及び３）などにみられるように、金属コロイド、特に白金コロイドを配合した発明が出願されている。
このほか、銀ヒドロゾルを含有する化粧料（特許文献４）や超微粒子銀コロイドを含有する抗菌性の化粧料（特許文献５）などが提案されている。
【０００３】
しかしながら、化粧品に配合する抗酸化成分の配合や効果を考えた場合には、Ｌ‐アスコルビン酸塩およびＬ‐アスコルビン酸誘導体などは安定性に問題があり、しかも単回の還元作用によって、これ自身が酸化されるという問題点を有している。これに対して、ナノサイズの白金粒子は連続した抗酸化能を有していることと、表面での反応性が高く、高い触媒能があるために各種の活性酸素を消去できることなどの利点を有するが、コロイド化するため保護コロイド剤などによっては充分な効果が期待できない場合もあった。
【０００４】
【特許文献１】特開２００５‐１３９１０２号公報
【特許文献２】特開２００５‐１７９５００号公報
【特許文献３】特開２００１‐１２２７２３号公報
【特許文献４】特許第２７５８４９６号公報
【特許文献５】特開２００４−２３１５３４号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
本発明は老化肌の要因の一つとなる酸化を抑制する抗酸化性、すなわち還元能を有する成分を配合することにより皮膚の老化の予防および改善を目的としたものである。
この他、本発明は酸化によって発生するかぶれ、皮膚炎、肌荒れ、表皮保護、皮膚正常化、日焼け後の炎症や色素沈着等の軽減および修復効果はもとより、あえて防腐剤を含有させなくとも微生物防腐効果を有しており、一方、安全性についても優れた皮膚外用剤を提供することである。
更に本発明は、従来の白金、金、銀等の金属コロイドを成分とする化粧料の問題点を解決し、より優れた抗酸化活性を有する皮膚外用剤の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
本発明者等は前記課題を解決するために、有効成分として白金コロイド液および白金／銀コロイド液を合わせ含有してなるものについて鋭意、検討した。その結果、白金コロイド液および白金／銀コロイド液を併用することにより、単独使用よりもより抗酸化作用が高く、しかも、これまで、必ず配合せざるを得なかった安全性に課題を残す防腐剤を配合する必要のない、皮膚化粧料としても使用できる皮膚外用剤を開発、完成するに至った。
【０００７】
本発明は、ナノサイズの白金粒子の有する連続した抗酸化能、表面での高い反応性、高い触媒能による活性酸素消去能などに着目して白金コロイドを使用することにした。また、各種の白金コロイドの中でもゼータ電位があり、電子供与能がある白金ナノコロイドを使用した。
白金ナノコロイドは皮膚を透過しない特性があり、安全性の高い成分である。そこで、さらに安定性のある継続的抗酸化効果を向上させる目的で白金／銀コロイド液と併用することとした。白金／銀コロイド液は白金、銀、炭酸水素ナトリウム、セルロースガムと水とから構成されており、黄褐色の液体である。白金／銀コロイド液は、マイナスイオンを発生させることによって活性酸素を還元する作用を有している。さらにこれらの還元作用ばかりでなく、この白金／銀コロイド液は水分子と離れにくく、したがって皮膚への保湿性が保持されると同時に銀特有の殺菌防腐効果が得られるという複合効果も活用することが可能となる。
【発明の効果】
【０００８】
本発明によれば老化肌の要因の一つとなる酸化を抑制する抗酸化性、すなわち還元能を有する成分、白金コロイド：白金／銀コロイドを配合することにより、皮膚の老化の予防および改善を達成することができる。この他、本発明は酸化によって発生するかぶれ、皮膚炎、肌荒れ等の予防ないし治癒、表皮保護、皮膚正常化、日焼け後の炎症や色素沈着等の軽減および修復効果はもとより、あえて防腐剤を含有させなくとも微生物防腐効果を有しており、一方、安全性にも優れた皮膚外用剤を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【０００９】
以下、本発明について詳細に説明する。
白金コロイド液は金属塩還元反応法によって金属白金微粒子と水がひとつの粒子として構成されるように製造されたもので、その特性の一つとして白金コロイド粒子表面は高いゼータ電位を有していることがわかった。すなわち、水分子が白金微粒子周囲に集り、水分子に囲まれた白金粒子という形状を呈している。その結果、ナノ白金コロイドの表面は強力なマイナス（−）に荷電している。因みにフィーサー（株）製 エアーイオンカウンター FIC-2000によりマイナスイオンの発生量を、白金コロイド液を空中噴霧して測定したところ15,663個/ccであり、対照品としての水道水では12,738個/cc、また測定時の室内マイナスイオンは43個/ccであった。
【００１０】
一方、白金／銀コロイド液は銀金属から直接法によって銀コロイドを得たものである。銀は優れた抗菌作用があり、抗菌剤、宇宙飛行士の飲料水の殺菌などに使用され、安全性の高いことも明らかになっている。
これらの成分は、皮膚外用剤に使用する際にはこれ自身の安定性や剤型中への配合性を良くする目的から上記で得た前者のナノ白金コロイドの他に適当な保護コロイド剤、例えばポリソルベート８０（Tween 80）と水が加えられている。後者の白金／銀コロイド液は、用途によって多少配合が異なるが、水約９９％、銀０．２％以下、炭酸水素ナトリウム０．１％以下、カルボキシメチルセルロース０．１％以下の構成になっており、ナノサイズの白金を４５０から５５０ppmの範囲で含んでいる。
なお、白金コロイド液も同様に使用目的によって異なるが、通常ナノサイズの白金を４００から６００ppmの範囲で含むものが使用される。
白金および銀のコロイドは、白金、銀とも、粒径１０ｎｍ以下、好ましくは５ｎｍ以下のものが使用できる。
【００１１】
本発明の 皮膚外用剤に使用するナノ白金コロイドの好ましい配合量は０．１％から２．０％（重量）であり、より好ましい使用配合量は０．２％から１．０％である。皮膚外用剤への配合量が０．１％より少ないと抗酸化効果の発揮が充分でなく、２．０％以上の配合量では増加に見合うような著しい効果の増大は期待できないことから上記の含有量とした。
一方、白金／銀コロイド液の好ましい配合量は０．１％から２．０％であり、より好ましい使用配合量は０．２％から１．０％である。皮膚外用剤に対する含有量が０．１％より少ないと抗酸化効果を発揮することは困難であり、２．０％以上の含有量では見合うような著しい効果の増大は期待できない。
本発明の成分は化粧料、医薬品、医薬部外品など外皮に適用される皮膚外用剤として用いることができる。したがってその剤型として水溶性系（ローション系）、可溶化系、乳化系（Ｗ／Ｏ型、Ｏ／Ｗ型）、粉末系、軟膏系、油液系、ジェル系、水−油二層系、水−油−粉末三層系など幅広い形態に使用することができる。
【００１２】
本発明の皮膚外用剤は上記必須成分の他に皮膚外用剤に通常用いられる他の成分、例えば粉末、油分、湿潤剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、界面活性剤、防腐剤、ｐＨ調整剤、酵素、保湿剤、香料、水、多価アルコール、低級アルコール、高分子（増粘剤）、シリコーン類、色素などを必要に応じて適宜、配合することができる。
本発明の皮膚外用剤は必要によりさらに公知の薬剤を添加してもよい。これらの薬剤としては副腎皮質ホルモン類、レチノイド、トコフェロール、Ｌ‐アスコルビン酸塩およびＬ‐アスコルビン酸誘導体を含むビタミン類、アラントイン、グリチルリチン酸およびその誘導体、グリチレレチン酸およびその誘導体、ヒアルロン酸類およびコラーゲンやコンドロイチン硫酸塩類や植物抽出液、ビオチン、パントテン酸誘導体などがあげられる。
一方、白金コロイド液および白金／銀コロイド液の安全性については皮膚一次刺激性試験、皮膚感作性試験、急性経口毒性試験、眼粘膜刺激性試験、光毒性試験、光感作性試験、変異原性試験、環境試験およびヒトパッチテスト（皮膚貼付試験）を実施し、いずれも全く問題はなかった。
以下に実験例および実施例をあげて本発明について更に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定するものではない。
【実施例】
【００１３】
実験例１（ナノ白金コロイド：白金／銀コロイド液による抗酸化能測定）
安定な有機ラジカルである1,1-diphenyl-2-picrylhydrazyl（ＤＰＰＨ）を消去する性質を指標にして抗酸化力を検討した（フリーラジカル消去活性測定法、化粧品の有用性／日本化粧品技術者会ならびに薬事日報社発行）。
試料はナノ白金コロイド：白金／銀コロイド液の比を５：１、２．５：１、１：１および０．５：１の割合で調製した各試験液の抗酸化性を測定した。
その結果、上記条件のどの割合においても抗酸化能を有することが判明した。
白金コロイド：白金／銀コロイド液ノ使用比は、５：１〜１：５の範囲で選択するとよい。
【００１４】
実験例２（使用試験）
１．試料の調製
以下に記載の実施例および比較例に使用するクリーム及び乳液を下記の組成にしたがって調製した。なお、％は重量％を示す。
〔クリーム組成物〕 実施例 比較例
（１）白金コロイド 0.2％ -
（２）白金／銀コロイド 1.0 -
（３）自己乳化型脂肪酸モノグリセライド 0.8 0.8
（４）ポリオキシエチレン(20E.O.)ソルビタン
モノステアレート 1.0 1.0
（５）セタノール 1.5 1.5
（６）ワセリン 3.5 3.5
（７）スクワラン 4.0 4.0
（８）グリセリン 6.0 6.0
（９）プロピレングリコール 1.0 1.0
（10）オリーブオイル 2.5 2.5
（11）カルボキシビニルポリマー 0.5 0.5
（12）水酸化カリウム 0.1 0.1
（13）天然ビタミンＥ 0.05 0.05
（14）オリーブ葉エキス 0.1 0.1
（15）水添レシチン 0.1 0.1
（16）香料 適量 適量
（17）精製水 100%になる残量 100%になる残量
（製法） 油相である(3),(4),(5),(6),(7),(10),(13),(15)を秤量し75℃に加温、混合し (8),(9),(12),(14),(17) を秤量し75℃に加温、混合して水相とする。水相、油相を混合,乳化して乳化物をつくり、その後冷却して35℃で(1),(2),(16)を加え,クリームとする。
得られた上記クリームを以下の実験例に使用した。
【００１５】
つぎに示す処方および下記製法により乳液を得た。
〔乳液組成物〕 実施例 比較例
（１）ベヘニールアルコール 0.5 0.5
（２）合成ゲイロウ 2.0 2.0
（３）ソルビタンモノステアレート 1.2 1.2
（４）ポリオキシエチレン(20 E.O.)ベヘニールエーテル 1.8 1.8
（５）スクワラン 3.5 3.5
（６）ステアリン酸 0.9 0.9
（７）ブチレングリコール 9.0 9.0
（８）水酸化ナトリウム 0.1 0.1
（９）カルボニルビニルポリマー 0.1 0.1
（10）白金コロイド 1.0 -
（12）白金／銀コロイド 1.0 -
（13）オリーブ葉エキス 0.1 0.1
（14）加水分解コラーゲン 0.1 0.1
（15）トコフェロール 0.1 0.1
（16）精製水 100%とする適量 100%とする適量
（製法） 油相である(1),(2),(3),(4),(5),(6),(14)を秤量し、75℃に加温、混合し、水相である(7)(8),(9）,(12),(13),(15)を同様に秤量し、75℃に加温、混合した後、水相、油相を混合、乳化物を得た。その後冷却して35℃で(10),(11)を加えて乳液を調整する。
【００１６】
２．使用試験
実施例および比較例のクリームおよび乳液について、Ａ，Ｂ、Ｃグループとも２５才〜４２才の女子各８名づつを選び、各人の顔面を左右に分け、一方に実施例のクリームまたは乳液を、もう一方の顔面に比較例のクリームまたは乳液を毎日、朝晩、２回使用してもらい、７日後にアンケートを行って使用結果を調査した。
なお、比較例は実施例のクリームおよび乳液から、白金コロイドおよび／または白金／銀コロイドを除いたものを比較例とした。
比較例１：白金コロイドおよび白金／銀コロイドの両者を除いたもの、
比較例２：白金コロイドを除いたもの、
比較例３：白金／銀コロイドを除いたもの、
とした。グループＡ（実施例：比較例１）、Ｂ（実施例：比較例２）、Ｃ（実施例：比較例３）とした。
判定は以下の基準にしたがって使用感、肌の状態等について老化予防効果を含めて調査した。判定結果は各人の評価点数の合計点で示した。実施例の結果は、グループＡ＋Ｂ＋Ｃの合計値の１／３の数値を示す。
評価基準：
５ ： 非常に良い （肌荒れ等を全く生ぜず、肌の状態が非常に良い）
４ ： かなり良い （従来の市販品に比してより良好と感じる）
３ ： 良い （市販品と同程度）
２ ： 悪い （市販品より使用感等に劣る）
１ ： 非常に悪い （肌荒れを感じる）
【００１７】
３．結果
クリーム組成物 乳液組成物
実施例 ４０ ３８
比較例１ ２２ ２３
比較例２ ２８ ３０
比較例３ ３０ ３４
なお、クリーム，乳液の両方とも実施例は皮膚のかぶれ等の副作用や使用者にとって好ましくない反応は全く観察されなかった。上記結果から、白金コロイドおよび白金／銀コロイドの両者を含む本発明品が良好な結果を示すことが理解できる。
【特許請求の範囲】
【請求項１】
白金コロイド液および白金／銀コロイド液を含有してなることを特徴とする皮膚外用剤。
【請求項２】
抗酸化性を有する請求項1記載の皮膚外用剤。
【請求項３】
白金コロイド液および白金／銀コロイド液の少なくとも２種を必須成分として０．２重量％から４．０重量％を含有する皮膚外用剤。
【請求項４】
白金コロイド液および白金／銀コロイド液の混合液に、レチノイド、トコフェロール、Ｌ‐アスコルビン酸塩およびその誘導体、アラントイン、グリチルリチン酸およびその誘導体、グリチルレチン酸およびその誘導体、ヒアルロン酸類、コラーゲン、コンドロイチン硫酸塩類、コエンザイムＱ１０、およびオリーブ葉エキス、シソエキスなどの植物抽液からなる群から選ばれる一種または二種以上を含有せしめてなる請求項１記載の皮膚外用剤。
【請求項５】
皮膚化粧料である請求項１ないし４のいずれか１項記載の皮膚外用剤。
【請求項１】
白金コロイド液および白金／銀コロイド液を含有してなることを特徴とする皮膚外用剤。
【請求項２】
抗酸化性を有する請求項1記載の皮膚外用剤。
【請求項３】
白金コロイド液および白金／銀コロイド液の少なくとも２種を必須成分として０．２重量％から４．０重量％を含有する皮膚外用剤。
【請求項４】
白金コロイド液および白金／銀コロイド液の混合液に、レチノイド、トコフェロール、Ｌ‐アスコルビン酸塩およびその誘導体、アラントイン、グリチルリチン酸およびその誘導体、グリチルレチン酸およびその誘導体、ヒアルロン酸類、コラーゲン、コンドロイチン硫酸塩類、コエンザイムＱ１０、およびオリーブ葉エキス、シソエキスなどの植物抽液からなる群から選ばれる一種または二種以上を含有せしめてなる請求項１記載の皮膚外用剤。
【請求項５】
皮膚化粧料である請求項１ないし４のいずれか１項記載の皮膚外用剤。
【公開番号】特開２００８−６３２９５（Ｐ２００８−６３２９５Ａ）
【公開日】平成２０年３月２１日（２００８．３．２１）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００６−２４４６７４（Ｐ２００６−２４４６７４）
【出願日】平成１８年９月８日（２００６．９．８）
【出願人】（５９９０９８５１８）株式会社ディーエイチシー (31)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２０年３月２１日（２００８．３．２１）
【国際特許分類】
【出願日】平成１８年９月８日（２００６．９．８）
【出願人】（５９９０９８５１８）株式会社ディーエイチシー (31)
【Ｆターム（参考）】
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