説明

皮膚、特に、デコルタージュ治療用の組成物、キット、及びレジメン

【課題】シワの軽減、年齢からくるシミの軽減に有効であり、皮膚に十分耐容性があり、尚且つ、専門家が監督管理することなくユーザにより投与可能なデコルタージュの治療レジメンを提供する。
【解決手段】損傷した皮膚、特に、デコルタージュ治療用の組成物、キット、及びレジメンは、レチノイド、ヒドロキノン或いはヒドロキノン誘導体、好ましくはアルブチン、及び多金属錯体(Cu/Znマロン酸など)含有組成物の塗布を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2008年1月4日出願の米国特許仮出願第61/019,047号、及び2008年12月10日出願の米国実用新案出願第12/331,781号に基づく優先権を主張するものである。
【0002】
本開示は、皮膚、特に、デコルタージュ治療用の組成物、キット、及び方法に関する。本方法は、レチノイド、ヒドロキノン或いはヒドロキノン誘導体、及び多金属錯体含有組成物の塗布を含む。
【背景技術】
【0003】
デコルタージュの外観に関連する問題は、例えば、顔と比べるとあまり注意が払われない場合が多い。しかしながら、加齢とともに、シワやシミがデコルタージュに現れることがある。デコルタージュの加齢の兆候を軽減する試みで使用されてきた方法の1つは、レーザによる治療である。理論的には、レーザ光線への暴露により、いくつかの古く損傷したコラーゲン繊維を吸収し、かつ、約6週間で、新たな皮膚骨格がより柔軟な新しいコラーゲンにより形成されることで、皮膚内のコラーゲンの部分的回復の一助となる。一般に、デコルタージュにおけるシミも同様にレーザで除去することができる。基本的に、レーザエネルギーは、皮膚表面を通過し、短時間で体内に吸収される微細な破片に色素を分解する。デコルタージュのシワを軽減させる別の方法は、充填材を注入することである。これらの治療のそれぞれは、専門家による適用を要する。
【0004】
シワの軽減、年齢からくるシミの軽減に有効であり、皮膚に十分耐容性があり、尚且つ、専門家が監督管理することなくユーザにより投与可能なデコルタージュの治療レジメンを提供することが望ましい。
【発明の概要】
【0005】
レチノイド、ヒドロキノン、及び多金属錯体含有組成物の塗布を含む、損傷した皮膚、特に、デコルタージュの治療レジメンについて説明する。レチノイドは、トレチノインであってもよい。含有する多金属錯体は、同一分子内に少なくとも2つの異なる金属カチオンを有する化合物であり、多官能性酸と2つ以上の配位元素の反応生成物であってもよい。
【0006】
実施形態では、多金属錯体含有組成物は、同一分子中に銅及び亜鉛カチオンを有する多官能性カルボン酸の少なくとも1つの化合物、例えば、クエン酸銅−亜鉛、シュウ酸銅−亜鉛、酒石酸銅−亜鉛、リンゴ酸銅−亜鉛、コハク酸銅−亜鉛、マロン酸銅−亜鉛、マレイン酸銅−亜鉛、アスパラギン酸銅−亜鉛、グルタミン酸銅−亜鉛、グルタル酸銅−亜鉛、フマル酸銅−亜鉛、グルカル酸銅−亜鉛、ポリアクリル酸銅−亜鉛、アジピン酸銅−亜鉛、ピメリン酸銅−亜鉛、スベリン酸銅−亜鉛、アゼライン酸銅−亜鉛、セバシン酸銅−亜鉛、ドデカン酸銅−亜鉛、又はその組み合わせが挙げられる。
【0007】
実施形態では、ヒドロキノン及びレチノイドを個々の組成物として塗布する。他の実施形態では、プレミックス組成物として皮膚に塗布する直前にヒドロキノン含有配合組成物とレチノイドを組み合わせることで調製される単一組成物としてヒドロキノン及びレチノイドを塗布する。1つの特に有用な配合組成物は、水、グリセリン、セチルアルコール、PPG−2ミリスチルエーテルプロピオン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、サリチル酸TEA、乳酸、フェニルトリメチコン、酢酸トコフェロール、メタ重亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸、メチルパラベン、サポニン、EDTA2ナトリウム、BHT、及びプロピルパラベンのベース中にヒドロキノン(40mg/gm)(薬剤成分)を含有する。
【0008】
実施形態では、レジメンは、朝と夕の塗布を含み、朝の塗布では、ヒドロキノン含有配合組成物、多金属錯体含有組成物、及び必要に応じて日焼け防止組成物の順次塗布を含み、夕の塗布では、ヒドロキノン含有配合組成物をレチノイドと混合することで調製される第1の組成物、及び多金属錯体を含有する第2の組成物の順次塗布を含む。
【0009】
レチノイド、ヒドロキノン、及び多金属錯体含有組成物は、キットに一緒に包装することができる。実施形態では、キットには、多金属錯体、レチノイド、及びヒドロキノンを入れてもよく、各々は、別の容器に入れる。他の実施形態では、キットは、多金属錯体含有組成物を含有する第1の容器と、ヒドロキノン含有配合組成物を含有する第2の容器と、配合組成物との混合用に調合されたレチノイドを含有する第3の容器とを含むことができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示による、皮膚、特に、デコルタージュ治療用の組成物、キット、及びレジメンは、レチノイド、ヒドロキノン、及び多金属錯体、並びにユーザの非顔面皮膚領域へのこれらの塗布を含む。
【0011】
多金属錯体含有組成物
多金属錯体含有組成物としては、局所的に許容される担体及び少なくとも1つの多金属錯体が挙げられる。多金属錯体は、多官能性化合物(実施形態では、多官能性酸、又はアミノ酸)と2つ以上の異なる配位元素の反応生成物であり、同一分子中に少なくとも2つの異なる金属カチオンを有する化合物を生じる。
【0012】
多官能性酸は、溶液中で金属カチオンと錯体を形成できる少なくとも2つの酸性基を含有する任意の化合物であってよい。少なくとも2つの酸性基は、例えば、2つのカルボン酸基、或いは少なくとも2つのリン酸基などの有機酸又は無機酸であってもよい。多官能性酸は、主として、2つ以上のカルボン酸基を有する単量体組成物である。多官能性酸の非限定例としては、マレイン酸、フマル酸、クエン酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、マロン酸、ドデカン二酸、1,18−オクタデカン二酸、ダイマー酸類(モノ−、ジ−、又はトリ不飽和脂肪酸、ワックス酸、酸無水物グラフト化ワックス、又は他の適切なポリカルボン酸反応性化合物から調製される)、アルケニルコハク酸類(n−ドデセニルコハク酸、ドデシルコハク酸、及びオクタデセニルコハク酸など)、アゼライン酸、フィチン酸などが挙げられる。多官能性酸は、酸形、無水形、部分中性塩形、又はその混合物中で存在することができる。
【0013】
多官能性酸は、2つ以上の配位元素と反応する。配位元素は、元素周期表の第4及び第5周期のIIIA〜VIIIA族、IB〜IIIB族に記載の元素、及び、第3周期のIIIB族のアルミニウムから選択することができる。元素周期表のIB族に記載の元素の適当な非限定例としては、銅及び銀が挙げられる。配位元素の適当な非限定例としては、アルミニウム、スカンジウム、チタニウム、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、カドミウム、及びインジウムが挙げられる。スズを使用してもよい。当業者であれば、反応混合物に配位元素を提供する適当な化合物を容易に考えられるであろう。
【0014】
反応混合物に配位元素を提供するのに使用できる化合物の非限定例としては、遊離金属、アンモニウム化合物、炭酸塩、水酸化物、及び配位元素の酸化化合物が挙げられる。適当な銅化合物としては、銅、水酸化銅、ホウ酸銅、炭酸銅、及び酸化銅が挙げられる。適当な亜鉛化合物としては、金属亜鉛、酸化亜鉛、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸亜鉛、塩基性ホウ酸亜鉛、グリセロリン酸亜鉛、クエン酸亜鉛、ピクリン酸亜鉛、及びリン酸水素亜鉛が挙げられる。リストされた化合物は、本開示で使用するのに適している化合物の一部でしかないことを理解すべきである。例えば、無機化合物は、多官能性化合物を有する水溶液に入れた時に配位元素カチオンを提供できるものであれば、適当である。従って、上記の化合物のリストは、非限定的な例示のリストと考えられるべきである。
【0015】
プロセスの実施において、反応液は、水中に種々の原料成分を混合することで調製することができる。混合物中の水は、形成時に反応生成物が溶液から沈殿できるよう十分な限定された量を加えるのが有利な場合がある。必要があれば、反応物を可溶化し、反応を開始させるために、反応物を40〜100℃にするよう混合及び加熱を用いてもよい。これにより、マイクロ波加熱、或いは熱湯を加えるなどのエネルギー入力を通して反応物の溶解度を高めることができる。水性反応混合物を加熱できる任意の機器を通してエネルギーの入力を行うことができる。反応生成物の生成が連続プロセスで起こるように、溶液中に形成された反応生成物を直ちに分離することができる。反応生成物の反応時間が短く、結晶化が急速である場合、変換を連続的に行うことができ、濾過、遠心分離、又は沈殿などの任意の従来の方法により、得られた固形生成物の回収を行うことができる。
【0016】
多官能性酸は、水溶液中で金属カチオンと接触する量で反応混合物中に存在する。多官能性酸の適当な量としては、金属カチオンの量に対して過剰な量が挙げられる。実施形態では、多官能性酸は、金属成分に対して3:1:1のモル比で存在する。実施形態では、多官能性酸は、酸形、部分塩形、又はその混合物中で存在することができるマロン酸である。
【0017】
実施形態では、金属対カチオン成分と比較して多官能性酸を過剰に加えた場合、プロセスパラメータは特に有利である。所望の錯体によって、多官能性酸の金属イオンに対するモル比がおよそ3:2になるように金属対カチオン成分を加える。
【0018】
実施形態では、配位元素は1つ以上のイオン化合物として存在し、これらは1つ以上の独立した第1タイプの配位元素の分子又はイオンと第2タイプの配位元素の分子又はイオンをイオン結合で中央ユニットに結合することで形成される。例えば、反応生成物は三核カチオンの形態であり、その場合は構造的に独立した配位元素の水和物が中央ユニットによって架橋される。しかし、配位元素源や合成条件により種々の配位態様が可能である。実施形態では、中央ユニットは、8員環、6員環、4員環メタロサイクルなどの多員環であって、配位元素成分間を架橋又はキレートする。従って、反応生成物の結晶構造は、イオン性ポリマーから3次元ポリマーまで非常に広範となり得る。実施形態では、反応生成物は、いくつかの水和物や多形で存在する。
【0019】
実施形態では、適当な反応生成物は、銅、亜鉛、アルミニウム、及び/又は銀成分を含む非毒性の多金属錯体であってもよい。そのような銅、亜鉛、アルミニウム、及び/又は銀の反応生成物としては、限定的ではないが、銅、亜鉛、アルミニウム、及び/又は銀を含む化合物が挙げられる。二金属錯体の非限定例としては、クエン酸銅−亜鉛、クエン酸銅−銀、クエン酸銀−亜鉛、シュウ酸銅−亜鉛、シュウ酸銅−銀、シュウ酸銀−亜鉛、酒石酸銅−亜鉛、酒石酸銅−銀、酒石酸銀−亜鉛、リンゴ酸銅−亜鉛、リンゴ酸銅−銀、リンゴ酸銀−亜鉛、コハク酸銅−亜鉛、コハク酸銅−銀、コハク酸銀−亜鉛、マロン酸銅−亜鉛、マロン酸銅−銀、マロン酸銀−亜鉛、マレイン酸銅−亜鉛、マレイン酸銅−銀、マレイン酸銀−亜鉛、アスパラギン酸銅−亜鉛、アスパラギン酸銅−銀、アスパラギン酸銀−亜鉛、グルタミン酸銅−亜鉛、グルタミン酸銅−銀、グルタミン酸銀−亜鉛、グルタル酸銅−亜鉛、グルタル酸銅−銀、グルタル酸銀−亜鉛、フマル酸銅−亜鉛、フマル酸銅−銀、フマル酸銀−亜鉛、グルカル酸銅−亜鉛、グルカル酸銅−銀、グルカル酸銀−亜鉛、ポリアクリル酸銅−亜鉛、ポリアクリル酸銅−銀、ポリアクリル酸銀−亜鉛、及びその組み合わせが挙げられる。実施形態では、銅、亜鉛、アルミニウム、及び銀の有機多カルボン酸塩は、本開示で使用するのに適している。実施形態では、配位化合物の単位格子がそこに分散した亜鉛又は銀成分を有するように適当な化合物をドープすることができる。そのような亜鉛又は銀成分を別の金属成分に置換したり、単位格子中の既存のボイドに充填することができる。
【0020】
実施形態では、適当な反応生成物は亜鉛又は銀成分を有する銅化合物である。例えば、亜鉛又は銀は、銅成分を置換したり、銅化合物の単位格子中の既存のボイドを充填できる。多金属錯体を形成するのに使用できる銅化合物の適当な非限定例としては、マロン酸銅(II)、及び、マロン酸銅(II)2水和物、マロン酸銅(II)3水和物、及びマロン酸銅4水和物などの任意の水和物形が挙げられる。適当な銅有効成分の他の適当な非限定例としては、クエン酸銅、シュウ酸銅、酒石酸銅、リンゴ酸銅、コハク酸銅、マロン酸銅、マレイン酸銅、アスパラギン酸銅、グルタミン酸銅、グルタル酸銅、フマル酸銅、グルカル酸銅、ポリアクリル酸銅、及びその組み合わせが挙げられる。実施形態では、化合物の単位格子がそこに分散した亜鉛又は銀成分を有するように適当な銅化合物をドープすることができる。そのような亜鉛又は銀成分を銅成分に置換するか、又は単位格子中の既存のボイドに充填することができる。
【0021】
実施形態では、組成物は任意の有効成分を含むことができ、或いは、その内容全体を本願明細書に引用したものとする「Anti−aging Treatment Using Copper−Zinc Compositions」と題された米国特許出願(2006年6月14日出願の米国特許出願第11/452,642号)に記載されているように組成物を調合し、塗布することができる。
【0022】
多官能性化合物としてアミノ酸類を使用してもよい。アミノ酸類は、当業者に公知であり、少なくともジカルボン酸官能性及びアミノ官能性を有するものが挙げられる。適当なアミノ酸類としては、天然アミノ酸類及び合成アミノ酸類が挙げられる。アミノ酸類の非限定例としては、限定的ではないが、アミノポリカルボン酸類(例:アスパラギン酸、β−ヒドロキシアスパラギン酸、グルタミン酸、β−ヒドロキシグルタミン酸、β−メチルアスパラギン酸、β−メチルグルタミン酸。アミノポリカルボン酸類、例:アスパラギン酸、β−ヒドロキシアスパラギン酸、グルタミン酸、β−ヒドロキシグルタミン酸、β−メチルアスパラギン酸、β−メチルグルタミン酸、β,β−ジメチルアスパラギン酸、γ−ヒドロキシグルタミン酸、β,γ−ジヒドロキシグルタミン酸、β−フェニルグルタミン酸、γ−メチレングルタミン酸、3−アミノアジピン酸、2−アミノピメリン酸、2−アミノスベリン酸、及び2−アミノセバシン酸が挙げられる。用いた配位元素と錯体を形成するならば、ポリアミノ酸類を使用してもよい。
【0023】
Cu/Znマロン酸の実施形態
実施形態では、マロン酸を水溶液中で銅及び亜鉛成分を含有する化合物と反応させる。マロン酸:銅成分:亜鉛成分は少なくとも約3:1:1のモル比で存在させた場合に、マロン酸銅−亜鉛が高収率且つ高結晶純度で得られることが判った。
マロン酸は1,3−プロパン二酸とも称し、CH(COOH)の構造をもつジカルボン酸、即ち、
【化1】

である。
【0024】
マロン酸のイオン形のみならず、そのエステルや塩は、マロネートとして知られている。例えば、マロン酸ジエチルはマロン酸のエチルエステルである。本明細書で使用する「マロン酸銅−亜鉛」なる語は、銅と亜鉛成分を有するマロン酸から形成した任意の塩物質のことをいう。
【0025】
マロン酸銅−亜鉛の形成に適当な原料成分としては、マロン酸、銅及び亜鉛の1つ以上の塩基、及び水が挙げられる。反応水溶液で適当な塩形がマロネートアニオンに結合できる銅及び亜鉛カチオンをもたらす。マロン酸銅−亜鉛の形成に適切な他の原料成分としては、銅及び亜鉛の塩基を銅及び亜鉛の金属形で置換したものである。銅及び亜鉛の元素形は、銅金属及び亜鉛金属として知られ、マロン酸と反応する際に酸性水媒体に溶ける。
【0026】
銅及び亜鉛成分を含有する1つ以上の化合物が、水溶液中でマロン酸と接触する量で存在する。本開示によるマロン酸銅−亜鉛組成物の生成に適当な化合物としては、銅及び/又は亜鉛の錯体形成性金属イオンを含有する化合物が挙げられる。実施形態では、水溶液は、炭酸第二銅(CuCO・Cu(OH))、炭酸亜鉛(3Zn(OH)・2ZnCO)、金属銅、金属亜鉛、及びその組み合わせなどの1つ以上の金属化合物を含むことができる。塩基性亜鉛化合物、塩基性銅化合物、及びその組み合わせなどの塩基性化合物も、本開示で使用するのに適している。実施形態では、適当な金属塩基性化合物は、炭酸銅、酸化銅、及び水酸化銅などの銅(I)及び(II)化合物;炭酸亜鉛、酸化亜鉛、及び水酸化亜鉛などの亜鉛化合物である。
【0027】
リストされた化合物は、本開示により使用するのに適している化合物の一部でしかないことを理解すべきである。例えば、無機化合物は、多官能性化合物を有する水溶液に入れた時に銅及び亜鉛カチオンを提供できるものであれば、適当である。従って、上記の化合物のリストは、非限定的な例示のリストと考えられるべきである。
【0028】
プロセスの実施において、反応液は、水中に種々の原料成分を混合することで調製することができ、ここで、化合物をもたらすマロン酸と配位元素はイオン化し、より反応性に富むことができる。混合物中の水は、マロン酸銅−亜鉛を形成するのに十分な量で加えられる。反応混合物中の銅及び亜鉛化合物が不溶性であり、分散液(例えば、低温で)を形成する場合、反応物を可溶化し、反応を開始させるために、反応物を40〜100℃にするよう混合及び加熱工程を適用することができる。これにより、マイクロ波加熱、或いは熱湯を加えるなどのエネルギー入力を通して反応速度を高めることができる。水性反応混合物を加熱できる任意の機器を通してエネルギーの入力を行うことができる。マロン酸銅−亜鉛錯体の生成が連続プロセスで起こるように、溶液中に形成されたマロン酸銅−亜鉛錯体は、直ちに分離することができる。マロン酸銅−亜鉛生成物の反応時間が短く、結晶化が急速であることにより、変換を連続的に行うことができ、濾過、遠心分離、又は沈殿などの任意の従来の方法により、得られた固形生成物の回収を行うことができる。
【0029】
反応混合物の生成に当って、多官能性化合物の濃度と銅及び亜鉛成分の濃度は、形成される生成物の総濃度が溶解度平衡を超えるように予め選択することができる。それにより生成物が溶液から固形で沈澱し、回収が容易になる。
【0030】
実施形態では、最終組成物は、高収率且つ高結晶純度をもつ深青色結晶である。本開示により形成する適当なマロン酸銅−亜鉛としては、マロン酸を1つ以上の銅含有分子と1つ以上の亜鉛含有分子で中和して形成される任意の塩が挙げられる。その例としては、水溶液中のマロン酸を炭酸第二銅(CuCO・Cu(OH))及び炭酸亜鉛(3Zn(OH)・2ZnCO)で中和して形成される塩が挙げられる。ここで、本開示を塩を得るために亜鉛を最初に加えその後に銅を加えてもよい。
【0031】
実施形態では、マロン酸銅−亜鉛は、1つ以上の独立の銅分子又はイオンと1つ以上の独立の亜鉛分子又はイオンをイオン結合で中央ユニットに結合することで形成される1以上のイオン性化合物である。例えば、マロン酸銅−亜鉛は三核カチオンの形をしており、構造的に独立の銅と亜鉛の水和物が、8面体のジアクアジマロナト銅(II)ユニットなどの中央ユニットで架橋されている。しかしながら、銅及び亜鉛源や合成条件によって種々の配位態様が可能である。実施形態では、中央ユニットマロネートイオンは、8員環、6員環、4員環メタロサイクルなどの多員環であって、銅及び亜鉛成分間を架橋又はキレートする。従って、マロン酸銅−亜鉛の結晶構造は、イオン性ポリマーから3次元ポリマーまで非常に広範となり得る。実施形態では、マロン酸銅−亜鉛は、いくつかの水和物や多形で見ることができる。
【0032】
実施形態では、金属対カチオン成分と比較して多官能性化合物を過剰に加えた場合、プロセスパラメータは特に有利である。所望の錯体によって、多官能性化合物の金属イオンに対するモル比がおよそ3:2になるように金属対カチオン成分を加える。
【0033】
多金属錯体含有製剤
同一分子内に少なくとも2つの金属カチオンを有する得られた化合物は、ここに記載されている皮膚の治療レジメンに使用される多金属錯体含有組成物中の有効成分として機能する。そのような有効成分は、多くの原料成分と組み合わせることによって多くの化学用途、例えば、触媒剤、ポリマーの架橋剤、超伝導電気材料、医薬品、補助食品等の製品を形成する。適当な組成物中の有効成分は、ヒトや他の哺乳動物の皮膚、或いは他の組織に局所的に塗布することができる。そのような製品としては、皮膚科学的又は薬学的に許容される担体、賦形剤、又は媒体、例えば、塗布する組織と適合する担体、賦形剤、又は媒体を挙げることができる。本明細書で使用する「皮膚科学的又は薬学的に許容される」なる語は、そのように記載されている組成物又はその成分が、一般的に、過度の毒性、不適合性、不安定性、アレルギー反応等がなく、これらの組織と接触して使用する、或いは患者に使用するのに適当であることを意味している。実施形態では、本開示による組成物は、化粧品及び/又は皮膚科で従来使用されている任意の原料成分を含むことができる。実施形態では、有効成分は、溶液中で結晶のみならず、固形をもたらすように調合される。
【0034】
実施形態では、有効成分として本開示による反応生成物を含有する製品は、溶液剤、エマルション剤(ミクロエマルションも含む)、懸濁剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、粉末剤、又は、損傷した皮膚の治療に用いる他の一般的な固体或いは液体組成物の形態とすることができる。そのような組成物は、本開示による反応生成物に加えて、かかる製品、例えば、抗菌剤、保湿剤及び水和剤、浸透剤、防腐剤、乳化剤、天然又は合成油、溶剤、界面活性剤、洗剤、ゲル化剤、皮膚軟化剤、酸化防止剤、芳香剤、充てん剤、増粘剤、ワックス剤、臭気吸収剤、染料、着色剤、粉末剤、粘度調節剤、及び水、尚且つ、必要に応じて、麻酔剤、かゆみ止め剤、植物抽出物、品質改良剤、色素沈着剤又は美白剤、光沢材、保湿剤、雲母、ミネラル、ポリフェノール、シリコーン又はその誘導体、日焼け止め、ビタミン、及び植物薬剤(phytomedicinals)に一般に用いられる他の原料成分を含有してもよい。
【0035】
代表的な例として、製品は、全組成の約0.001〜約5重量%の量で多金属錯体を含有するように調合することができる。実施形態では、製品は、全組成の約0.05〜約1.0重量%の量で多金属錯体を含有するように調合することができる。他の実施形態では、多金属錯体の量は、全組成の約0.1〜約0.5重量%である。ここで、存在する多金属錯体は、薬学的に許容される塩形であってもよい。他の有効成分を同一濃度で製剤中に提供してもよい。
【0036】
以下の表1は、1つ以上の多金属錯体を含有する組成物に適当な例示エマルション製剤を提供する。
【表1】

*ニュージャージー州フェアフィールド所在のSeppic Corporationから市販
**ニュージャージー州イスリン所在のEngelhard Corporationから市販のFlamenco Satin Green P860;ニュージャージー州サウスプレーンフィールド所在のKobo Productsから市販のKobo BPD 500、及び/又は、ニュージャージー州サマセット所在のPresperse Inc.から市販のCloverleaf AR−80として存在する場合もある。
【0037】
レチノイド組成物
多金属錯体含有組成物の塗布に先立ち、レチノイドとヒドロキノンの両方を塗布することで本レジメンに従って皮膚を治療する。レチノイドは、レチノイド、及び皮膚科学的又は薬学的に許容される担体を含有する組成物として塗布することができる。
【0038】
適当なレチノイドの非限定例としては、イソトレチノイン、レチナール、レチノール、レチノイン酸、酢酸レチニル、パルミチン酸レチニル、プロピオン酸レチニル、合成レチノイド模倣体、及びトレチノインが挙げられる。実施形態では、レチノイドはトレチノインである。レチノイドは、組成物の約0.005〜約1.0重量%の範囲の量で組成物中に存在していてもよい。一実施形態では、例えば、レチノイドは、約0.025〜約0.75重量%の範囲の量で存在する。別の実施形態では、レチノイドは、約0.50重量%の量で存在する。レチノイドは、当業者の範囲内の技術を用いて調合した従来の原料成分を用いて局所塗布に適当な組成物に調合してもよい。
【0039】
第2の組成物として使用するのに適当なレチノイド組成物は、市販されており、限定的ではないが、RETIN−A MICRO(登録商標)(ニュージャージー州スキルマン所在のOrthoneutrogenaから市販)、RENOVA(登録商標)(ニュージャージー州スキルマン所在のOrthoneutrogenaから市販)、AVAGE(登録商標)(カリフォルニア州アーバイン所在のAllergan,Inc.から市販)、TAZARAC(登録商標)(カリフォルニア州アーバイン所在のAllergan,Inc.から市販)、TAZAROTENE(登録商標)(カリフォルニア州アーバイン所在のAllergan,Inc.から市販)、ADAPALENE(登録商標)(テキサス州フォートワース所在のGalderma Laboratories,LPから市販)、DIFFERIN(登録商標)(テキサス州フォートワース所在のGalderma Laboratories,LPから市販)、AVITA(登録商標)(カリフォルニア州フォスターシティ所在のRenederm Inc.から市販)、AFFIRM(登録商標)(ジョージア州アトランタ所在のCosMedix,LLCから市販)が挙げられる。
【0040】
本レジメンによれば、多金属錯体含有組成物の塗布に先立ち、ヒドロキノンも皮膚に塗布する。ヒドロキノンは、レチノイドの塗布前、塗布後、或いは、レチノイドと同時に塗布することができる。
【0041】
本開示のヒドロキノン組成物は、ヒドロキノン又はヒドロキノン誘導体、及び、皮膚科学的又は薬学的に許容される担体を含有する。ヒドロキノンは、一般式:
【化2】

を有する公知の化合物である。
【0042】
ヒドロキノンは、ユーザの皮膚に恩恵をもたらす量で存在する。実施形態では、ヒドロキノンは、色素脱失を行うのに十分な量で存在する。一般的に、全組成の約0.1〜約10重量%の量のヒドロキノンが適当である。実施形態では、ヒドロキノンは、全組成の約1〜約5重量%の量で存在する。さらに他の実施形態では、ヒドロキノンは、全組成の約2.5〜約4.5重量%の量で存在する。
本発明の治療レジメンで使用するのに適当なヒドロキノン組成物としては、限定的ではないが、例えば、GLYTONE(登録商標)Fading Lotion(2% HQ)、La Roche−PosayによるMELA−D(登録商標)、ExuvianceによるESSENTIAL SKIN LIGHTENER(登録商標)、PCA SKINによるPIGMENT GEL−Phaze 13(登録商標)、Physician’s Complexによる6% SKIN BLEACHING CREAM、BiomedicによるCONDITIONING GEL PLUS、pH AdvantageによるPIGMENTAION FADER、LumediaによるLUMEDIA、Peter Thomas RothによるPOTENT SKIN LIGHTENING GEL COMPLEX、NeoStrataによるHQ SKIN LIGHTENING GEL PHA、B.KaminsによるSKIN LIGHTENING TREATMENTなどの市販製品が挙げられる。
【0043】
本開示の文脈の中で、「ヒドロキノン誘導体」なる語は、置換ヒドロキノンである化合物を意味すると理解される。ここで、置換は、ヒドロキノンの酵素阻害機能、ヒドロキノンの抗メラニン作用(melanocidal activity)、又はヒドロキノンの還元力の1つ以上に大きな影響を及ぼさない。ヒドロキノン誘導体は、次式:
【化3】

を有し、
式中、Rは、ヒドロキノンの美白機能性を維持し、かつ、ユーザ皮膚の局所塗布に適当な非毒性化合物をもたらす基である。
【0044】
実施形態では、R基は、ヒドロキノンのグリコシドの生成をもたらす。そのような実施形態では、Rは、五炭糖残基、六炭糖残基、アミノ糖残基、又はウロン酸残基、或いは皮膚治療ベースにおけるそのメチル化生成物を表す。そのような化合物の調製技術は、米国特許第5,310,730号に開示されており、その内容全体を文献引用によって本願明細書に組み込んだものとする。アルブチンは、ヒドロキノンの1つの適当なグリコシドの例である。
【0045】
適当な置換ヒドロキノンの他の例としては、モノアルキルエーテル類、及びヒドロキノンモノアリールエーテル類が挙げられる。そのようなヒドロキノンエーテル類は、日本特許出願第06−192062号、及び日本特許出願第61−159943号に開示されており;ヒドロキノン及び複素環アルコールのエーテルは、米国特許第6,139,854号に開示されており、その内容全体もまた本願明細書に引用したものとし;(2,5−ジヒドロキシフェニル)カルボン酸誘導体は、例えば、米国特許出願第5,449,518号に記載されており、その内容全体もまた本願明細書に引用したものとし;ヒドロキノンは、特に、アルキルチオ又はアルコキシ基で置換される。
【0046】
ヒドロキノン誘導体の非限定例としては、2,5−ジヒドロキシフェニルプロピオン酸、2,5−ジヒドロキシフェニルプロピオン酸のエチルエステル;2,5−ジヒドロキシフェニルプロピオン酸のラウリルエステル;メチル2,5−ジヒドロキシ−3,4−ジメチルフェニル酢酸エステル;2,5−ジヒドロキシ−4−メチルフェニル酢酸;2,5−ジヒドロキシ−4−メチルフェニル酢酸のアルキルエステル;2,5−ジヒドロキシ−4−メチルフェニルプロピオン酸;2,5−ジヒドロキシ−4−フェニルプロピオン酸のエチルエステル;2,5−ジヒドロキシ−4−メチル安息香酸;2,5−ジヒドロキシ−4−メチル安息香酸のメチルエステル;2,5−ジヒドロキシ−4−メチル安息香酸のエチルエステル;2,5−ジヒドロキシ−4−エチル安息香酸;2,5−ジヒドロキシ−4−メトキシ安息香酸;2,5−ジヒドロキシ−4−メトキシ安息香酸のメチルエステル;2,5−ジヒドロキシ−4−エトキシ安息香酸;3−(2,5−ジヒドロキシ−4’−メチルフェニル)−1−N−(.オメガ.−カルボキシデシル)プロピルアミド;2,5−ジヒドロキシ−4−メチルフェニルブタン酸;2,5−ジヒドロキシ−4−メチルフェニルヘキサン酸;2,5−ジヒドロキシ−4−メトキシフェニル酢酸;2,5−ジヒドロキシ−4−メトキシフェニル酢酸のメチルエステル;2,5−ジヒドロキシ−4−メトキシベンジルアミド;メチル2,5−ジヒドロキシ−3−メトキシフェニル酢酸;2,5−ジヒドロキシ−3−メトキシフェニルペンタデシル酸;2,5−ジヒドロキシ−3−メトキシフェニルペンタデシル酸のメチルエステル;2,5−ジヒドロキシフェニルブタン酸;2,5−ジヒドロキシフェニルブタン酸のメチルエステル;2,5−ジヒドロキシフェニルブチルアミド;2,5−ジヒドロキシフェニルペンタン酸;2,5−ジヒドロキシフェニルヘキサン酸;2,5−ジヒドロキシフェニルオクタン酸;2,5−ジヒドロキシフェニルデシル酸;2,5−ジヒドロキシフェニルデシル酸のメチルエステル;2,5−ジヒドロキシフェニルウンデシル酸;2,5−ジヒドロキシフェニルウンデシル酸のメチルエステル;2,5−ジヒドロキシ−3,4−ジメチルフェニル酢酸;エチル−2,5−ジヒドロキシ−4,6−ジメチルフェニル酢酸エステル;2−(2,5−ジヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−N−オクチルアセトアミド;6−(2,5−ジヒドロキシ−4−メトキシフェニル)ヘキサン酸;4−[(6−メトキシテトラヒドロ−2H−ピラノ−2−イル)オキシフェノール;4−[(テトラヒドロ−2H−ピラノ−2−イル)オキシ]フェノール;及び、4−[(テトラヒドロ−2H−チオピラノ−2−イル)オキシ]フェノールが挙げられる。
【0047】
実施形態では、ヒドロキノン誘導体は、2,5−ジヒドロキシフェニルプロピオン酸;2,5−ジヒドロキシ−3,4−ジメチルフェニル酢酸;メチル2,5−ジヒドロキシ−3,4−ジメチルフェニル酢酸;2,5−ジヒドロキシ−4−メチルフェニル酢酸;2,5−ジヒドロキシ−3,4−ジメチルフェニルプロピオン酸;メチル2,5−ジヒドロキシ−4−メチルフェニル酢酸;エチル2,5−ジヒドロキシ−4−メチルフェニル酢酸エステル;プロピル2,5−ジヒドロキシ−4−メチルフェニル酢酸エステル;イソプロピル2,5−ジヒドロキシ−4−メチルフェニル酢酸エステル;ブチル2,5−ジヒドロキシ−4−メチルフェニル酢酸エステル;ペンチル2,5−ジヒドロキシ−4−メチルフェニル酢酸エステル;イソアミル2,5−ジヒドロキシ−4−メチルフェニル酢酸エステル;及び、2−(2,5−ジヒドロキシ−4−メチルフェニル)−N−オクチルアセトアミドから選択される。
【0048】
実施形態では、レチノイド及びヒドロキノンを順次塗布する。他の実施形態では、レチノイドを別々に提供し、デコルタージュへの塗布に先立ち、ヒドロキノン含有配合組成物とプレミックスする。別々に提供する場合、レチノイドは局所塗布用に調合される必要はなく、配合組成物は、必要な、薬学的又は皮膚科学的に許容される担体を提供してもよい。
【0049】
ヒドロキノン含有配合組成物は、皮膚に塗布するトレチノインとブレンドするよう設計されている。特に有用な配合組成物は、水、グリセリン、セチルアルコール、PPG−2ミリスチルエーテルプロピオン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、サリチル酸TEA、乳酸、フェニルトリメチコン、酢酸トコフェロール、メタ重亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸、メチルパラベン、サポニン、EDTA2ナトリウム、BHT、及びプロピルパラベンの塩基組成物中に有効成分を含有する。1つの適当なヒドロキノン含有配合組成物は、カリフォルニア州ロングビーチ所在のOMP,Inc.から市販のOBAGI NU−DERM(登録商標)BLENDER(登録商標)である。
【0050】
表2に特定された原料成分に従って適当な配合組成物を作ることもできる。
【表2】

【0051】
配合組成物に使用するのに適当な防腐剤としては、安息香酸、ベンジルアルコール、ブチルパラベン、ジアゾリジニル尿素、2,3−イミダゾリジンジオン、イソプロピルパラベン、イソブチルパラベン、メチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベンナトリウム、ソルビン酸、又はこれらの防腐剤の組み合わせがさらに挙げられる。
【0052】
配合組成物に使用するのに適当なキレート剤としては、クエン酸、エデト酸2ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸、エチドロン酸、ジヒドロキシエチルグリシン酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸、及びこれらの薬剤の組み合わせがさらに挙げられる。
【0053】
配合組成物に使用するのに適当な乳化剤としては、セテアリルアルコール、エトキシ化脂肪アルコール、PEG−1000モノセチルエーテル、アルキルトリメチル臭化アンモニウム、ポリオールエステルグリセロールモノステアレート、ステアリン酸カリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、セテアリル硫酸ナトリウム、サポニン、及びこれらの薬剤の組み合わせがさらに挙げられる。
【0054】
配合組成物に使用するのに適当な保湿剤としては、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ポリグリセリン、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、エチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、グルコース、マルトース、スクロース、ラクトース、キシリトース、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、マルチトール、パンテノール、ペンタエリスリトール、ヒアルロン酸、及びこれらの保湿剤の組み合わせがさらに挙げられる。
【0055】
配合組成物に使用するのに適当なpH調整剤としては、クエン酸、リン酸、乳酸、グリコール酸、及びこれらのpH調整剤の組み合わせがさらに挙げられる。
【0056】
配合組成物に使用するのに適当な酸化防止剤としては、パルミチン酸アスコルビル、2,6−ジターシャリーブチル−4−メチルフェノール、ブチル化ヒドロキシアニソール、トコフェロール、酢酸トコフェロール、没食子酸プロピル、及びこれらの酸化防止剤の組み合わせがさらに挙げられる。
【0057】
配合組成物に使用するのに適当な皮膚軟化剤としては、セチルアルコール、ステアリルアルコール、液体炭化水素油、液体天然油、液体脂肪アルコール、液体脂肪酸、液体脂肪酸エステル、液体シリコーン油、ペーストワックス、及びこれらの皮膚軟化剤の組み合わせがさらに挙げられる。
【0058】
配合組成物に使用するのに適当な還元剤としては、アスコルビン酸、没食子酸プロピル、メタ重亜硫酸ナトリウム、及びこれらの還元剤の組み合わせがさらに挙げられる。
【0059】
治療レジメン
本開示によるデコルタージュの治療レジメンは、レチノイド及びヒドロキノンをデコルタージュに順次塗布した後に多金属錯体含有組成物を塗布することを含む。レチノイド及び/又はヒドロキノンを塗布する前に多金属錯体を塗布してもよいことは当然理解されるべきである。
【0060】
実施形態では、治療レジメンは朝の塗布と夕の塗布を含む。朝の塗布には、レチノイド及びヒドロキノンの順次塗布後に多金属錯体含有組成物の塗布を含む。夕の塗布には、ヒドロキノンの塗布後に多金属錯体含有組成物の塗布を含む。或いは、朝及び夕の治療を交換し、ヒドロキノンの塗布後に多金属錯体含有組成物の塗布を含む朝の塗布と、レチノイド及びヒドロキノンの塗布後に多金属錯体含有組成物の塗布を含む夕の塗布を行うことができる。朝と夕の治療レジメンを逆にしてもよいことは当然理解されるべきである。
【0061】
実施形態では、レチノイド及びヒドロキノンを順次塗布する。他の実施形態では、デコルタージュに塗布する直前に調製されたプレミックスとしてレチノイド及びヒドロキノンを塗布する。そのような実施形態では、レチノイドを提供し、かつ、ヒドロキノン含有配合組成物を提供する。デコルタージュに塗布する直前にレチノイドをヒドロキノン含有配合組成物と混合する。従って、実施形態において、本発明の治療レジメンは、レチノイドをヒドロキノン含有配合組成物とプレミックスする工程と、デコルタージュの皮膚にプレミックス製剤を塗布する工程と、プレミックス組成物で予め治療したデコルタージュの皮膚に多金属錯体含有組成物を塗布する工程とを含む。
【0062】
実施形態では、治療レジメンは朝の塗布と夕の塗布を含む。朝の塗布は、レチノイドをヒドロキノン含有配合組成物とプレミックスする工程と、デコルタージュの皮膚にプレミックス製剤を塗布する工程と、プレミックス組成物で予め治療したデコルタージュの皮膚に多金属錯体含有組成物を塗布する工程とを含む。夕の塗布は、デコルタージュの皮膚にヒドロキノン含有配合組成物(レチノイド無)の塗布後に、配合組成物で予め治療したデコルタージュの皮膚に多金属錯体含有組成物の塗布を含む。或いは、朝及び夕の治療を交換し、デコルタージュの皮膚にヒドロキノン含有配合組成物(レチノイド無)の塗布後に、配合組成物で予め治療したデコルタージュの皮膚に多金属錯体含有組成物の塗布を含む朝の塗布と、レチノイドをヒドロキノン含有配合組成物とプレミックスする工程と、デコルタージュの皮膚にプレミックス製剤を塗布する工程と、プレミックス組成物で予め治療したデコルタージュの皮膚に多金属錯体含有組成物を塗布する工程とを含む夕の塗布を行うことができる。プレミックス組成物を形成するのではなく、上記レジメンのそれぞれで別々のレチノイドとヒドロキノン組成物を順次塗布してもよいことは当然理解されるべきである。
【0063】
治療レジメンの製品を含有する予め包装されたキットを提供してもよい。実施形態では、キットは、複数の別の容器を含み、各々は、皮膚、特に、デコルタージュの治療用の併用療法に有用な少なくとも1つの活性薬剤を含有する。キットは、レチノイドを含有する第1の容器と、ヒドロキノンを含有する第2の容器と、多金属錯体を含む組成物を含有する第3の容器とを含む。キットの容器は、例えば、ダンボール箱又はプラスチックの箱、或いは種々の容器を内包する収縮包装の外皮などの一般的な外装内に収容してもよい。実施形態では、レチノイド、ヒドロキノン、及び多金属錯体含有組成物は、局所塗布用に皮膚科学的に許容される担体で各々個々に調合される。他の実施形態では、多金属錯体含有組成物とヒドロキノンは局所塗布用に調合され、レチノイドは、塗布前にヒドロキノンと混合して提供される。実施形態では、キットは、第1の治療レジメンと一緒に使用される第1セットの製品と、上述のように第2の治療レジメンと一緒に使用される第2セットの製品とを含む。
【0064】
キットは、上述の製品を提供する消費者包装又は医療用包装の形態であってもよい。実施形態では、消費者包装と医療用薬品(単数又は複数)との組み合わせを得ることができる。包装には、使用方法、及び/又は、上述のように1つ以上の治療レジメン用の製品を組み合わせた取扱説明書又は取扱指示書を提供してもよい。
【0065】
本開示によるレジメンは、皮膚のデコルタージュか或いは他の任意の領域の治療に用いることができる。本明細書で使用する「治療する」、「治療している」、或いは「治療」なる語は、望ましくない皮膚疾患の大流行を予防するため予防的に、或いは、既存の皮膚疾患を改善するため治療的に、及び/又は、皮膚治療の美的効果の期間を延ばすために本開示のレジメンを用いることを言う。本明細書で使用する「望ましくない皮膚疾患」とは、望ましくない外観及び/又は嫌な触感の1つ以上を有する皮膚を含む任意の種類の治療を必要する任意の皮膚疾患のことを言う。この語はさらに、任意の美容上望ましくない皮膚疾患のみならず、任意の望ましくない罹患又は損傷の皮膚疾患のことを言う。
【0066】
本開示による組成物の局所塗布で治療可能な望ましくない皮膚疾患の非限定例としては、尋常性座瘡(面皰);アトピー性皮膚炎;新生児斑;カフェオレ斑点;一般に良性の皮膚腫瘍又は皮膚増殖;眼瞼接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎、細菌性皮膚感染症(膿痂疹、又は結膜炎)、黄色板腫、汗腺腫、懸垂繊維腫、粟粒腫、母斑、及び/又はポートワイン母斑などの眼のまわりの一般的な皮膚疾患;刺激性接触性皮膚炎、アレルギー性接触性皮膚炎、接触じんま疹、真菌感染、爪甲周囲炎、及び/又はウイルス性疣贅などの家事関連の一般的な皮膚疾患;脂漏性皮膚炎、頭皮乾癬、扁平苔癬、円板状エリテマトーデス(DLE)、円形脱毛症、脂漏性角化症(脂漏性疣贅、年齢からくるシミ)、日光角化症、血管肉腫、真菌感染(白癬、頭部白癬)、毛嚢の細菌感染(毛嚢炎、腫脹)、及び/又は帯状疱疹(帯状ヘルペス)などの頭皮の一般的疾患;アトピー性皮膚炎、アトピー性湿疹、貨幣状湿疹、白色粃糠疹、白斑、及び/又は円形脱毛症などの子供の一般的疾患;口腔カンジダ症、口腔白板症、口内炎、及び/又は口腔扁平苔癬などの口及び唇の一般的疾患;外見及び質感の変化、老人性紫斑病、乾皮性/皮脂欠乏性湿疹、皮膚感染/外寄生、色素変化、水疱疾患、非癌性皮膚腫瘍、癌性皮膚腫瘍、薬物有害反応、及び/又は鬱血性皮膚炎などの老人の一般的皮膚疾患;一般的なウイルス性疣贅;接触アレルギー;おむつカンジダ症、薬物アレルギー、毛嚢炎;雀卵斑;白色斑、汗疱状白癬、股部白癬、及び/又はモニリア症/カンジダ症などの皮膚の真菌感染;滴状色素減少症;脱毛;手湿疹;膿痂疹;縞線、小皺、皺等;黒皮症;伝染性軟属腫;炎症及び/又はアレルギーなどの職業性皮膚病;炎症後色素沈着;乾癬;酒さ;帯状疱疹;皮膚癌;真性糖尿病の皮膚疾患;妊娠中の皮膚疾患;刺激性接触性皮膚炎及び/又はアレルギー性接触性皮膚炎、化粧品誘発の面皰(座瘡)、日焼け止めアレルギー、及び/又は特殊化粧品アレルギー、日光性色素斑などの化粧品によって生じる皮膚疾患;頭部白癬;ウイルス性疣贅;白斑;これらの望ましくない皮膚疾患の組み合わせが挙げられる。
【0067】
実施形態では、本開示による組成物は、罹患皮膚の治療、皮膚に何らかの影響を及ぼす菌類、ウイルス、及び/又はバクテリアなど過剰量の病原菌から生じ得る任意の疾患の治療に適している。
【0068】
実施形態では、望ましくない皮膚疾患とは、乾癬、瘤、かみそり負け、及び/又は、斑点などの荒い肌合い又は不均一な外観をもつ皮膚である。
【0069】
組成物中の特定の濃度は、一般的に、組成物を塗布する目的による。例えば、用量及び塗布回数は、皮膚疾患の種類及び重症度により変更できる。一般に、患者は、本明細書に記載の、ヒドロキノン、レチノイド、及び多金属錯体を含有する組成物を症状を患うデコルタージュの皮膚に局所塗布し、治療目標に達するまで治療される。しかしながら、治療期間は、疾患の重症度により変更できる。例えば、治療目標が皮膚疾患を軽減させるか或いは取り除くかどうかにより、治療を数週間から数カ月間まで継続できる。
【0070】
治療実施形態では、本開示による組成物及び方法は、他の皮膚治療システムと組み合わせてもよい。例えば、カリフォルニア州ロングビーチ所在のO.M.P.Inc.製のOBAGI NU−DERM(登録商標)皮膚治療システム及び関連のObagiスキンケア製品などの皮膚治療システムと組み合わせて多金属塩錯体を皮膚に塗布してもよい。より詳細には、システムの有益効果を促進するために、マロン酸銅−亜鉛組成物をOBAGI NU−DERM(登録商標)皮膚治療システムと組み合わせてもよい。当業者であれば分かるように、OBAGI NU−DERM(登録商標)皮膚治療システムには、フォーミングジェル(クレンザー)又はジェントルクレンザー、トナー、クリア、EXFODERM(登録商標)又はEXFODERM(登録商標)Forte、BLENDER(登録商標)、及びヘルシースキンプロテクションSPF35又はSUNFADER(登録商標)としてO.M.P.Inc.により称される一連の製品の使用を含む。これらの製品及びこれらを使用する方法に関する詳細は、Obagi Medical Products,Inc.の公式ホームページから分かるであろう。本開示による有効成分及び製剤は、他の製品製剤に組み込んでもよく、或いは、他の皮膚治療の前、後、及び/又は治療中に塗布してもよい。
【0071】
本開示による組成物及び方法を以下の非限定例でさらに説明する。
【0072】
(実施例1)
以下の実施例1は、本開示による多金属錯体含有組成物に使用するマロン酸銅−亜鉛を形成する反応混合物の適当な原料成分を示す。
【表3】

【0073】
(実施例2)
マロン酸(CH(COOH))1.8gを炭酸第二銅(CuCO・Cu(OH))0.632g、炭酸亜鉛(3Zn(OH)・2ZnCO)0.676g、及び水100mlと混合し、分散液を生成した。この溶液を反応物が溶液に溶けるまで加熱した。くっきりとした深青色結晶が沈殿し、室温で保持していたマロン酸、炭酸第二銅、及び炭酸亜鉛(3:1:1のモル比)の水溶液から分離した。同一分子中で酸性基を銅及び亜鉛カチオンに置換することで二重塩を生成した。深青色結晶は、約210℃の融点をもつことが分かった。
【0074】
ASTM−D−1971−95(その内容全体を本願明細書に引用したものとする)により試料を調製し、方法6010(I.C.P.)(その内容全体を本願明細書に引用したものとする)により分析し、16.5%の銅と12.4%の亜鉛を示した。
【0075】
(実施例3)
マロン酸(CH(COOH))1.8gを炭酸第二銅(CuCO・Cu(OH))0.632g、炭酸亜鉛(3Zn(OH)・2ZnCO)0.676g、及び熱湯100mlと混合した。室温で一週間保持しておいたマロン酸、炭酸第二銅、及び炭酸亜鉛(3:1:1のモル比)の水溶液からくっきりとした深青色結晶を分離した。
【0076】
(実施例4)
熱湯100ml(およそ95〜100℃)を含有する撹拌反応槽内で、マロン酸3モルを(炭酸第二銅として)銅1モル及び(炭酸亜鉛として)亜鉛1モルと完全に混合した。冷却しながら短い反応時間の後、マロン酸銅−亜鉛が高収率で溶液から沈殿した。濾過工程を用いて、粉末剤として錯体を単離した。融点が約210℃の深青色結晶を得た。
【0077】
(実施例5)
実施形態では、本レジメンの多金属錯体含有組成物として使用するのに適当なマロン酸銅−亜鉛製剤は、以下の組成を有する。
【表4】

【0078】
(実施例7)
以下の表5に示した量で記載の原料成分を有する多金属錯体含有組成物を調製する。
【表5】

ミシガン州ミッドランド所在のDow Chemical Companyから市販のCarbowax 300
ニュージャージー州サマセット所在のPresperse Inc.から市販のPermethyl 101A
ペンシルベニア州アンブラー所在のCognis Chemicalから市販のCetiol LC
ニュージャージー州サマセット所在のPresperse Inc.から市販のGemseal 25
ニュージャージー州パターソン所在のLipo Chemicals,Inc.から市販
ニュージャージー州イスリン所在のEngelhard Corporationから市販
ニュージャージー州サウスプレーンフィールド所在のKobo Productsから市販
ニュージャージー州サマセット所在のPresperse Inc.から市販
【0079】
組成物を調製するため、水相の原料成分を第1の容器内で室温(25〜35℃)で混合する。次に、70〜75℃に加熱しながら油相の原料成分を第2の容器内で組み合わせる。次に水相を70〜75℃に加熱し、撹拌しながら油相に加える。実施例2に従って調製した多金属錯体(全エマルションの1.1528%相当量)を80℃で撹拌しながら加える。Simugel NS(全エマルションの2%相当量)を55〜60℃で撹拌しながら加える。ブルーベリー抽出物(全エマルションの0.02%相当量)を40〜45℃で撹拌しながら加え、5%NaOH溶液によりpHをpH4.2〜4.4に調整する。
【0080】
(実施例8)
本開示による治療レジメンの耐容性を評価するためランダム化比較試験を行った。治療レジメンには、実施例7の組成物、市販の2%ヒドロキノン及びトレチノイン含有OBAGI NU−DERM(登録商標)BLENDER(登録商標)を0.025%又は0.05%のいずれかで塗布することを含めた。40〜60歳の女性40人が試験に参加し、対象者の半分には0.025%トレチノインを使用し、残りの半分には0.05%トレチノインを使用した。対象者自身(自己評価)により、及び後述する治療を適用した熟練医師によって耐容性を評価した。
【0081】
各対象者は、最初の訪問日から21日目まで毎日(診療所が閉まっている週末及び休日は除く)診療所に来てもらい、診療所職員の監督及び指揮下で適用した治療システム製品の朝の塗布を行った。各対象者は、治療システム製品の夕の塗布については自宅で行った。診療所が閉まっている週末及び休日には、各対象者は、朝と夕の塗布両方を自宅で行った。
【0082】
診療所での治療システム製品の朝の塗布の順序は以下の通りであった。
1)「10セント」サイズの量のヒドロキノン含有配合物と、「10セント」サイズの量のトレチノインを絞り取って手のひらに乗せ、指先で一緒に混合した。次に、反対の手の指先を用いて、プレミックス製品をデコルタージュに均一に塗布し、製品を首までフェザーリングして終えた。
2)2ポンプ分の多金属錯体含有組成物を手のひらに注出した。反対の手の指先を用いて、製品全量をデコルタージュに塗布し、製品を首までたっぷりとフェザーリングして終えた。
3)治療システム製品を塗布した後に手を洗い、眼や口に触れないように注意した。
【0083】
自宅での治療システム製品の夕の塗布の順序は以下の通りであった。
1)「10セント」サイズの量のヒドロキノン含有配合物を指先に絞り取ってデコルタージュに均一に塗布し、製品を首までフェザーリングして終えた。
2)2ポンプ分の多金属錯体含有組成物を手のひらに注出した。反対の手の指先を用いて、製品全量をデコルタージュに塗布し、製品を首までたっぷりとフェザーリングして終えた。
3)治療システム製品を塗布した後に手を洗い、眼や口に触れないように注意した。
朝と夕の塗布間隔は少なくとも8時間置いた。
【0084】
治療レジメンの両方とも対象者に良好な耐容性を示したが、0.025%トレチノインレジメンが0.05%トレチノインレジメンよりも耐容性が良好であった。
【0085】
本開示のいくつかの実施形態を示したが、本開示をそれらに限定しようとするものではなく、本開示を当該技術分野で可能な限り広範囲なものとし、本明細書も同様に読まれることを意図するものである。従って、上記の説明は、限定するものと解されるべきではなく、単なる例示の実施形態に過ぎない。当業者であれば、本明細書に添付されている請求項の範囲及び精神を逸脱しない他の変更が考えられるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レチノイド及びヒドロキノンを非顔面皮膚領域に局所的に塗布する工程と、
少なくとも1つの多金属錯体を含む組成物をレチノイド及びヒドロキノンで予め治療した前記非顔面皮膚領域に局所的に塗布する工程と、
を含む皮膚を治療する方法。
【請求項2】
前記非顔面皮膚領域が、デコルタージュである請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記レチノイド及びヒドロキノンを前記非顔面皮膚領域に順次塗布する請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記レチノイド及び前記ヒドロキノンを前記非顔面皮膚領域に同時に塗布する請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記レチノイドがレチノールである請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記レチノイドがトレチノインである請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ヒドロキノンがアルブチンである請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記多金属錯体が、中央ユニットを含み、前記中央ユニットが、少なくとも2つのカルボン酸基を有するポリカルボン酸類及びアミノ酸類から選択される少なくとも1つの化合物から得られ、かつ、前記中央ユニットが、配位結合によって1つ以上の銅分子と1つ以上の亜鉛分子を架橋する請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記多金属錯体が、2つ以上のカルボン酸基を有する化合物と、1つ以上の銅、銀、金、アルミニウム、スカンジウム、チタニウム、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、カドミウム、及びインジウムから選択される2つ以上の配位元素の塩基性塩との反応生成物を含み、
前記2つ以上の配位元素が、2つ以上のカルボン酸基を有する前記化合物から得られた中央ユニットに結合される請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記多金属錯体が、配位結合によって1つ以上の銅分子と1つ以上の亜鉛分子を架橋する中央マロン酸エステルユニットを含む請求項1に記載の方法。
【請求項11】
レチノイド、ヒドロキノン、及び多金属錯体を局所塗布する工程を含む第1の治療を皮膚領域に塗布し、所定時間後に、ヒドロキノン、及び多金属錯体を局所塗布する工程を含む第2の治療を皮膚領域に塗布する工程と、
を含む皮膚を治療する方法。
【請求項12】
前記第1の治療と前記第2の治療の間は、少なくとも4時間あける工程をさらに含む請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の治療を朝に行う請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記第2の治療を夕に行う請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の治療を夕に行う請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の治療の前記レチノイド、前記ヒドロキノン、及び前記多金属錯体を順次塗布する工程をさらに含む請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の治療を前記皮膚領域に塗布する実質的に直前に、前記第1の治療の前記レチノイド及び前記ヒドロキノンをプレミックスする工程をさらに含む請求項11に記載の方法。
【請求項18】
プレミックス製剤を生成するためレチノイドとヒドロキノン含有組成物をプレミックスする工程と、
前記プレミックス製剤を前記皮膚に塗布する工程と、
多金属錯体を含む組成物を前記皮膚に塗布する工程と、
を含む方法。
【請求項19】
前記多金属錯体を含む前記組成物に先立ち、前記プレミックス製剤を前記皮膚に塗布する請求項18に記載の方法。
【請求項20】
レチノイドを含有する第1の容器と、
ヒドロキノンを含有する第2の容器と、
多金属錯体を含む組成物を含有する第3の容器と、
前記第1、第2、及び第3の容器は、共通の外装内に密閉され、
前記組成物の各々をユーザの非顔面皮膚領域に塗布するための取扱説明書と、
を含むキット。
【請求項21】
前記レチノイドを調合してヒドロキノンを含む前記組成物と混合する請求項20に記載のキット。
【請求項22】
レチノイドを含む組成物を含有する第1の容器と、
ヒドロキノンを含む組成物を含有する第2の容器と、
多金属錯体を含む組成物を含有する第3の容器と、
を含むキットであって、
前記第1、第2、及び第3の容器は、共通の外装内に密閉されるキット。
【請求項23】
ヒドロキノンを含む前記組成物とレチノイドを含む前記組成物を調合して単一組成物に混合する請求項22に記載のキット。
【請求項24】
前記レチノイドがレチノールである請求項22に記載のキット。
【請求項25】
前記レチノイドがトレチノインである請求項22又は請求項23に記載のキット。
【請求項26】
前記ヒドロキノンがアルブチンである請求項22〜25のいずれか1項に記載のキット。
【請求項27】
前記多金属錯体が中央ユニットを含み、前記中央ユニットが、少なくとも2つのカルボン酸基を有するポリカルボン酸類及びアミノ酸類から選択される少なくとも1つの化合物から得られ、かつ、前記中央ユニットが、配位結合によって前記1つ以上の銅分子と1つ以上の亜鉛分子を架橋する請求項22〜26のいずれか1項に記載のキット。
【請求項28】
前記多金属錯体が、2つ以上のカルボン酸基を有する化合物と、1つ以上の銅、銀、金、アルミニウム、スカンジウム、チタニウム、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、カドミウム、及びインジウムから選択される2つ以上の配位元素の塩基性塩との反応生成物を含み、
前記2つ以上の配位元素が、2つ以上のカルボン酸基を有する前記化合物から得られた中央ユニットに結合される請求項22〜26のいずれか1項に記載のキット。
【請求項29】
前記多金属錯体が、配位結合によって前記1つ以上の銅分子と1つ以上の亜鉛分子を架橋する中央マロン酸エステルユニットを含む請求項22〜28のいずれか1項に記載のキット。
【請求項30】
皮膚疾患の治療処置用の複合製剤を製造するためのヒドロキノンを含む組成物とレチノイドを含む組成物の使用。
【請求項31】
ヒドロキノンを含む皮膚科学的に許容される組成物とレチノイドを含む皮膚科学的に許容される組成物を順次塗布する場合、望ましくない皮膚疾患の予防又は治療用として、非顔面皮膚領域の治療用薬剤の調製用に少なくとも1つの多金属錯体を含む組成物の使用。
【請求項32】
ヒドロキノンを含む前記組成物とレチノイドを含む前記組成物を前記皮膚への同時塗布用に調合する請求項31に記載の使用。
【請求項33】
前記レチノイドがレチノールである請求項31に記載の使用。
【請求項34】
前記レチノイドがトレチノインである請求項31に記載の使用。
【請求項35】
前記ヒドロキノンがアルブチンである請求項31〜34のいずれか1項に記載の使用。
【請求項36】
前記多金属錯体が中央ユニットを含み、前記中央ユニットが、少なくとも2つのカルボン酸基を有するポリカルボン酸類及びアミノ酸類から選択される少なくとも1つの化合物から得られ、かつ、前記中央ユニットが、配位結合によって前記1つ以上の銅分子と1つ以上の亜鉛分子を架橋する請求項31〜35のいずれか1項に記載の使用。
【請求項37】
前記多金属錯体が、2つ以上のカルボン酸基を有する化合物と、1つ以上の銅、銀、金、アルミニウム、スカンジウム、チタニウム、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、カドミウム、及びインジウムから選択される2つ以上の配位元素の塩基性塩との反応生成物を含み、
前記2つ以上の配位元素が、2つ以上のカルボン酸基を有する前記化合物から得られ、中央ユニットに結合される請求項31〜36のいずれか1項に記載の使用。
【請求項38】
前記多金属錯体が、配位結合によって前記1つ以上の銅分子と1つ以上の亜鉛分子を架橋する中央マロン酸エステルユニットを含む請求項31〜37のいずれか1項に記載の使用。


【公開番号】特開2009−161529(P2009−161529A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−329696(P2008−329696)
【出願日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【出願人】(507301925)ジェイアール ケム エルエルシー (4)
【Fターム(参考)】