説明

皮膚の接着効力を改善する処方

【課題】本発明は、ヒトの皮膚と、該皮膚に取付けられる、たとえば人工肛門または創傷ケア装具のハイドロコロイド接着剤との少なくとも初期結合を増強する、接着力−増強材料を提供する。
【解決手段】本発明の接着力−増強材料は、たとえばシアノアクリレートモノマーからなり、該モノマーは非活性状態で皮膚に適用され;また該モノマーの重合は、接着剤装具を皮膚に押圧したときに、ハイドロコロイド接着剤中の物質によって開始する。該接着力−増強材料はさらに、低Tg(たとえば<10℃)の可塑剤を含有してもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば着用者の皮膚に製品を取付けるための、皮膚用接着剤の分野に関する。本発明は特に、創傷ケアや人工肛門の分野で有用であるが、本発明はこれらの用途分野に限定されるものではない。1つの非制限的側面において、本発明は、皮膚の準備材料(preparation material)と皮膚用接着剤の組合せに関係しうる。
【背景技術】
【0002】
多くの人工肛門および創傷ケア製品には、使用者の皮膚に結合する皮膚にやさしいハイドロコロイド接着剤が使用される。ハイドロコロイド接着剤は一般に、排出物への露出から皮膚を保護しながら、皮膚との優れた結合を付与する。またハイドロコロイド接着剤は、使用後に、皮膚上に残余をほとんどもしくは全く残さないで、皮膚から剥がすこともできる。しかしながら、ハイドロコロイド接着剤と皮膚間の結合強さは、ハイドロコロイド接着剤を最初に適用したときに比較的弱く、そして60分までの接触後に、その最大強さに到達しうるにすぎない。結合強さは典型例として、最初の15〜60分の着用中に、徐々に発現する。初期の段階では、発現する結合強さは排出物との接触により害され、接着剤の性能は結合強さおよび接着剤の有効な持続期間に関して低下する。このことは、望ましくない短い着用時間や、排出物漏出の危険に導く可能性があり、着用者に対し潜在的な不快と困惑を起させる。
【0003】
ハイドロコロイド接着剤の分野に関連しないが、皮膚用接着剤として2−オクチルシアノアクリレート含有パラベンの形態が知られている。この皮膚用接着剤は液体で、該接着剤を重合する活性剤を含有する特別なアプリケーターの使用により、皮膚に直接適用される。アプリケーターの使用は、接着剤を硬化させるため重合を開始するのに不可欠である。該液体がいったんアプリケーターの活性剤と接触すると、接着剤は素早く硬化を始めるので、直ちに皮膚へ適用しなければならない。
【0004】
このような接着技法は、切り傷や擦過傷のシールには有効であるが、人工肛門用装具(ostomy appliance)などのデバイスを皮膚に取付ける、通常のハイドロコロイド接着剤の代用物として全く非実用的である。特別なアプリケーター使用適用後の液体の急な硬化は、(i)特別なアプリケーターを用い所望の皮膚領域に素早くかつ正確に液体を適用し;次いで(ii)接着剤が硬化する前に、正しい位置に素早く人工肛門用デバイスを適用するためには、かなりの器用さが必要となることを意味する。このような器用さは、多くの人工肛門患者(多くの場合、年配者および/または虚弱者)の能力を完全に超えるものである。また、器用な人工肛門患者の場合でも、使用の困難さは極度に不快となるだろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述の問題を心に留めて案出されたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの側面は、接着剤人体装具と共用する接着力−増強材料を提供する。接着力−増強材料は、以下に示す特徴の1つ以上を付与する:
(a)接着剤装具の皮膚への結合(たとえば初期結合)の増強;
(b)ハイドロコロイド接着剤であること;
(c)皮膚と接着剤装具の接着剤との界面物質(interface)として作用し、または使用されること;
(d)接着剤装具を皮膚に適用する前に、皮膚準備材料または接着剤装具の表面として皮膚への適用;
【0007】
(e)シアノアクリレートなどのモノマー、たとえばα−シアノアクリレート;
(f)適用プロセス中、モノマーの重合開始のための追加の活性剤を使用しない適用(たとえば使用者の皮膚、または接着剤装具の接着剤のいずれかへの適用);
(g)接着力−増強材料を接着剤と接触させると、重合が自動的に開始すること、たとえば初めに接着力−増強材料を皮膚に適用すれば、皮膚上の接着力−増強材料に接着剤装具の接着剤を押圧すると、重合が開始すること;
【0008】
(h)接着剤に含有される物質によって、重合が開始すること、たとえばモノマーは、接着剤中に存在させてもよい、弱求核試薬または弱塩基性化合物によって反応開始するようになっていること;
(i)重合後でも、多少の柔軟性を持つ接着力−増強材料を付与できるように、比較的低いTgを有する、モノマーと共重合してコポリマーを形成する反応性可塑剤またはポリシアノアクリレートと別個に残存する非反応性可塑剤;
【0009】
(j)接着剤と皮膚間直接の初期結合よりも強い、皮膚と重合した接着力−増強材料間および重合した接着力−増強材料と接着剤間の初期結合;
(k)接着力−増強材料との結合から、下にある皮膚との結合へ移動する接着剤の結合;および
(l)皮膚から剥がしたときに、接着剤と共に実質上そのままの状態で(intact)残存する接着力−増強材料(この結果、接着力−増強材料は、皮膚上に実質的追加の残余を生成しないこと)。
【0010】
別の側面から見れば、シアノアクリレートモノマーは、たとえばヒトの皮膚に取付けられる人工肛門または創傷ケア装具の、皮膚とハイドロコロイド接着剤間の少なくとも初期結合を増強する接着力−増強材料として使用される。該モノマーは、非活性状態で皮膚に適用される。モノマーの重合は、接着剤装具を皮膚に押圧したときに、ハイドロコロイド接着剤中の物質によって開始する。接着力−増強材料はさらに、低Tg(たとえば<10℃)を有する反応性または非反応性可塑剤を含有してもよい。
本発明の他の特徴は、特許請求の範囲に規定され、および/または当業者にとって理解できるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は、接着剤装具を皮膚に取付ける第1例の工程のフローチャートである。
図2は、第1例に係る皮膚準備材料としての、ヒトの小孔周囲皮膚に適用した接着力−増強材料の概略断面図である。
図3は、第1例に従って皮膚に適用した接着剤装具の接着剤部分の概略断面図である。
図4は、接着剤装具を皮膚に取付ける第2例の工程のフローチャートである。
【0012】
図面を参照すれば、接着力−増強材料10は、ヒトの皮膚12と接着剤装具14の接着剤18との接着力を増強するのが例証される。皮膚12と接着剤18との界面物質として
、接着力−増強材料10が設置もしくは使用される。
接着剤装具14は、たとえば人工肛門用パウチまたは該パウチ用の体側カップリング部材などの人工肛門用装具であってよい。皮膚12は、小孔16(点線で図示)を囲む小孔周囲皮膚であってよい。別法として、接着剤装具14は、創傷ケア装具、あるいは他の幾つかの装具、たとえば医療または非医療装具、あるいは個人の衛生装具であってよい。
【0013】
接着剤装具14は、接着剤18の層またはパッドもしくはウェファーからなる。接着剤18は、皮膚にやさしい接着剤である。接着剤18は、ハイドロコロイド含有(たとえばハイドロコロイドをベースにした)接着剤である。接着剤18はたとえば、Bristol−Myers Squibb Companyの一部門のConva Tecから入手しうる、Stomahesive(登録商標)またはDurahesive(登録商標)であってよい。
【0014】
接着力−増強材料10は、モノマーからなる(接着力−増強材料の適用後、少なくとも活性化の前に)。モノマーは好ましくは、非活性状態で適用される(たとえば、接着力−増強材料10の適用中、追加の活性剤を使用せずに)。モノマーは、接着剤18に含有される物質によって反応開始できる種類のものが好ましい。たとえば、モノマーの重合は、弱求核試薬または弱塩基性化合物によって開始しうる。
【0015】
接着剤18中の活性剤物質は、接着剤組成の標準成分(たとえばカルボキシメチルセルロース・ナトリウム(NaCMC))であってよく、あるいは接着剤18に加えられ、それ単独で接着力−増強材料10の活性剤として役立つ物質であってもよい。モノマーは好ましくは、たとえば室温または標準の皮膚表面温度にて、周囲条件で反応開始できる種類のものである。上記が好ましい方法であるが、モノマーの適用前に皮膚表面に開始剤を適用することも可能である。
【0016】
モノマーは、1,1−ジ置換エチレンモノマーであってよい。モノマーは、下式で示されるものであってよい。
【化1】

式中、Rは
(i)炭素数が少なくとも1で、好ましくは20を越えないアルキル基;
(ii)炭素数1〜20の直鎖または分枝鎖アルキル基を含む、ヒドロカルビル(hydrocarbyl)基または置換ヒドロカルビル基;
(iii)アシルオキシ基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子またはシアノ基の1以上で置換された、直鎖または分枝鎖C−C20アルキル基;
【0017】
(iv)炭素数2〜20の直鎖または分枝鎖アルケニル基;
(v)炭素数2〜12の直鎖または分枝鎖アルキニル基;
(vi)シクロアルキル基;
(vii)アラルキル基;
(viii)アルキルアリール基;
(ix)アリール基;
(x)炭素数1〜8の、アルキレンアルコキシ置換炭化水素基;および
(xi)炭素数1〜8のアルキルおよびアルキレン基(アルキレンの炭素数1〜2)を有するアルキルエステル
の1以上から選ばれる。
【0018】
モノマーはシアノアクリレート、たとえばポリシアノアクリレートであってよい。モノマーはたとえば、2−オクチルシアノアクリレート、デシルシアノアクリレート、2−エチルヘキシルシアノアクリレート、ブチルシアノアクリレート、メチルシアノアクリレート、3−メトキシブチルシアノアクリレート、2−ブトキシエチルシアノアクリレート、2−イソプロポキシエチルシアノアクリレート、1−メトキシ−2−プロピルシアノアクリレートのいずれかであってよい。
【0019】
接着力−増強材料10は、さらに可塑剤を含有する。可塑剤は、重合後の接着力−増強材料10の柔軟性を改善する。可塑剤は低Tgを有する。たとえばTgは、20℃以下、好ましくは10℃以下である。Tgの値が低ければ低いほど、接着力−増強材料10の脆性が小さくなる(たとえば重合後)。接着剤装具14を皮膚12に取付けるには、接着剤18と接着力−増強材料10の層は、皮膚12に合致するのに十分な柔軟性を有することが望ましい。
【0020】
また、接着力−増強材料10と接着剤18は、人体の動きあるいは皮膚12の他の形状変化に応じて屈曲しうることが望ましい。このことは、接着剤装具14の着用時間を通じて、皮膚準備層10および接着剤18の組合せと、皮膚12間の良好な接触を確実にする。可塑剤としては、シロキサン、シトレートおよび末端封鎖(end capped)ポリエチレングリコールから選ばれる1種(または2種以上の混合物)が挙げられる。
【0021】
次に接着力−増強材料10の2つの異なる使用例について説明する。第1の例では、接着力−増強材料10を皮膚準備材料として直接、皮膚12に適用してから、その後に該皮膚12に接着剤18を押圧して、接着剤装具14を取付ける。第2の例では、接着剤18の接着面に接着力−増強材料10を適用した後、該接着剤18を皮膚12に押圧して、接着剤装具14を取付ける。
【0022】
いずれの例においても、接着力−増強材料10は、液体形状またはペーストもしくはゲルであってよい。皮膚準備材料10の供給および/または適用は、適当な形態で行なってよく、たとえば、塗布綿棒;スプレーボトル;滴壜;ロールオンボトル;アプリケーターワイプ付ホイルパケット(foil packet);われやすいアンプル;ブラシアプリケーター付ボトル;ディスペンサー・ホイルパケット;フェルトペンマーカー;ペーストチューブ;われやすい使い捨て容器(たとえばプラスチック製)を用いて行なう。
【0023】
接着力−増強材料10は、実質上透明(無色)のもの、あるいは視覚助成として軽くまたは濃く着色してもよい。接着力−増強材料10は、厚みがたとえば接着剤18のそれより小さい、薄層もしくはコーティングで適用されてよい。このような薄いコーティングは、(i)接着剤18と皮膚12間の直接結合、および(ii)接着剤18と中間物の接着力−増強材料10間および接着力−増強材料10と皮膚12間の間接結合(たとえば多段結合)として発現する平行結合(parallel bonds)を可能ならしめる。
【0024】
別の形態において、接着力−増強材料10は、液体、ペーストまたはゲルで適用する代わりに、別個の部材(図示せず)の形状または該部材に支持されてよい。
図1〜3を参照すれば、使用者は使用に際し、接着剤装具14の装着前の第1工程30として、皮膚準備材料としての接着力−増強材料10の層を、皮膚12の領域に適用し、該皮膚領域に接着剤装具14を装着する。接着力−増強材料10は、いずれの活性剤も用いずに適用でき、この結果、少なくとも接着力−増強材料10が皮膚12面上で孤立して残存している間は、モノマーは非活性のままでいる(未重合)。このことは、接着力−増強材料10をゆっくり適用できるようにし、また接着力−増強材料10が皮膚12の所望領域にわたって容易に広がるのを可能ならしめる。またかかる技法は、使用者が接着剤装具14を即座に装着する必要をも回避する。
【0025】
次工程32において(図1)、使用者が接着力−増強材料10の適用配分に満足した後、使用者は皮膚12の目標領域に、接着剤装具14の接着剤18を押圧する。ウェファー18の接着面は最初に、保護シート(たとえばシリコーン剥離紙(図示せず))でカバーしておき、これを剥がすことにより、ウェファー18の接着面を露出させてもよい。
【0026】
接着力−増強材料10と接着剤装具14の組合せは、以下に示す事項の1つ以上を達成しうるようになっている:
(a)モノマーを含有する接着力−増強材料10は、重合活性剤を用いずに適用され、この結果、接着力−増強材料10を非活性状態で適用しうる。
(b)接着力−増強材料10の硬化時間が十分に長いため、接着力−増強材料10に接着剤装具18を押圧すると、皮膚12および接着剤18を湿らすことができ、これによって、皮膚12、接着力−増強材料10および接着剤18間の優れた接触が得られる。
【0027】
(c)接着力−増強材料10のコーティングに、接着剤装具14の接着剤18を押圧接触させると、接着剤装具14の接着剤18の1種以上の成分によって開始するモノマーの重合が開始し、このため、使用者によって使用すべき追加の活性剤の必要が回避される。
(d)重合時、接着力−増強材料10と皮膚12間および接着力−増強材料10と接着剤18間の結合の組合せは、接着剤18と皮膚12間の初期結合よりも強い結合を付与し、これによって、接着力−増強材料10を用いずに皮膚12に直接接着剤18を適用した場合と比較して、接着剤18の初期結合強さを有意義に改善することができる。
【0028】
(e)接着剤18と皮膚12間の直接結合の初期発現中でも、皮膚12および接着剤18の下面は、腐食性排出物から保護される。
(f)柔軟性(たとえば可塑剤による)が、接着剤装具14の、下にある皮膚12への優れた合致性を可能ならしめる。
(g)通気性によって、たとえば皮膚12から接着剤18への水分透過が可能となる。
(h)接着剤18と下にある皮膚12間の直接の結合強さが、通常のハイドロコロイド接着剤と同様に発現する。
【0029】
(i)接着力−増強材料10と皮膚12間の結合強さは、接着力−増強材料10と接着剤18間の結合強さよりもゆっくりと低下する。
(j)移動する結合強さは主として、接着力−増強材料10および皮膚12によって得られる間接結合よりむしろ、接着剤18と皮膚12間に発現する直接結合にある。
および
(h)皮膚12から接着剤装具14を剥がしたときに、接着力−増強材料10は接着剤18と共にそのままの状態で残存し、これによって、皮膚12上に残余がほとんどもしくは全くない。
【0030】
次に図4を参照して、第2例についてより詳しく説明する。第2例において、接着力−増強材料10を直接皮膚に適用する代わりに、第1工程36として、接着剤18の接着面に接着力−増強材料10を適用してもよい。上述の如く、接着剤18の表面を最初にシート(図示せず)で保護し、該シートを剥がしてから、該接着剤18に接着力−増強材料10を適用する。
その後、第2工程38として、接着力−増強材料10を持った接着剤18を、皮膚12に対し押圧し、この結果、接着力−増強材料10は接着剤18と皮膚12間に界面物質(interface)を付与する(図3)。
【0031】
第2例において、接着力−増強材料10の重合は、接着剤18の表面に接着力−増強材料を適用したときに開始する。従って、使用者は余儀なく、接着力−増強材料10の接着剤18への適用後、比較的素早く皮膚12に接着剤装具14を装着させられる。それにもかかわらず、第2例の工程はなお、接着力−増強材料10を最初に活性状態で皮膚12に適用した場合よりも、ゆっくりと実施することができる。また第2例は、第1例の特徴および利点(a)および(c)〜(k)の全てを同程度に十分達成せしめることができる。別法として、接着剤18および接着力−増強材料10が、皮膚12に対し押圧したときに、体温まで温まるまで、重合を遅延する(または少なくとも遅らせる)ことができる。
【0032】
上記の説明は、本発明の好ましい具体例を例証したものにすぎない。本発明の技術的範囲および/または精神の範囲内で、多くの改変および等価物を採用することができよう。特に、本発明は上記説明した特定の材料にのみに限定されるものでなく;及び上記説明と同じ原理に基づき、他のシアノアクリレートまたは非シアノアクリレート物質を用いても、上記効果の幾つかもしくは全てを達成しうることが理解されるであろう。それでもやはり、シアノアクリレートが、その優れた結合強さゆえに、接着力−増強材料の極めて好ましいモノマーである。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る接着力−増強材料の使用態様の第1例を示すフローチャートである。
【図2】図1の第1例において、接着力−増強材料をヒトの小孔周囲皮膚に適用した状態を示す概略断面図である。
【図3】図2の状態に接着剤装具を取付けた状態を示す概略断面図である。
【図4】本発明に係る接着力−増強材料の使用態様の第2例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0034】
10:接着力−増強材料
12:皮膚
14:接着剤装具
16:小孔
18:接着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトの皮膚と接着剤装具の皮膚にやさしい接着剤との接着力を増強する接着力−増強材料であって、該接着力−増強材料は、重合活性剤を用いずに適用されるモノマーからなり、接着剤装具とヒトの皮膚との界面物質として役立ち;および上記モノマーは、接着剤装具に含有される物質によって反応開始するようになっていることを特徴とする接着力−増強材料。
【請求項2】
接着力−増強材料が、重合活性剤を用いずに直接、ヒトの皮膚に適用されるようになっている請求項1に記載の接着力−増強材料。
【請求項3】
接着力−増強材料が、重合活性剤を用いずに直接、接着剤装具の接着剤表面に適用されるようになっている請求項1に記載の接着力−増強材料。
【請求項4】
接着力−増強材料が、弱求核試薬および/または弱塩基性化合物によって反応開始するようになっている請求項1に記載の接着力−増強材料。
【請求項5】
モノマーが1,1−ジ置換エチレンモノマーである請求項1に記載の接着力−増強材料。
【請求項6】
1,1−ジ置換エチレンモノマーが、シアノアクリレートモノマーである請求項5に記載の接着力−増強材料。
【請求項7】
シアノアクリレートモノマーが、下式で示される請求項6に記載の接着力−増強材料:
【化1】

式中、Rは
(i)炭素数1〜20のアルキル基;
(ii)炭素数1〜20の直鎖または分枝鎖アルキル基を含む、ヒドロカルビル基および/または置換ヒドロカルビル基;
(iii)アシルオキシ基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子またはシアノ基の1以上で置換された、直鎖または分枝鎖C−C20アルキル基;
(iv)炭素数2〜20の直鎖または分枝鎖アルケニル基;
(v)炭素数2〜12の直鎖または分枝鎖アルキニル基;
(vi)シクロアルキル基;
(vii)アリール基;
(viii)アルキルアリール基;
(ix)炭素数1〜8の、アルキレンアルコキシ置換炭化水素基;および
(x)炭素数1〜8のアルキルおよびアルキレン基(アルキレンの炭素数1〜2)を有するアルキルエステル
の1以上から選ばれる。
【請求項8】
接着力−増強材料が、さらに可塑剤を含有する請求項1に記載の接着力−増強材料。
【請求項9】
可塑剤が低Tg を有する請求項8に記載の接着力−増強材料。
【請求項10】
可塑剤が約10℃以下のTg を有する請求項8に記載の接着力−増強材料。
【請求項11】
可塑剤がシロキサン、シトレートおよび末端封鎖ポリエチレングリコールから選ばれる少なくとも1種の物質からなる請求項8に記載の接着力−増強材料。
【請求項12】
接着力−増強材料が、ハイドロコロイド接着剤といっしょに使用されるようになっている請求項1に記載の接着力−増強材料。
【請求項13】
接着力−増強材料が、皮膚と接着力−増強材料間および接着力−増強材料と接着剤間の初期結合強さが接着剤と皮膚間の初期結合強さより大きくなるようになっている請求項1に記載の接着力−増強材料。
【請求項14】
接着力−増強材料が、接着力−増強材料と皮膚間の結合強さが接着力−増強材料と接着剤間の結合強さよりも短時間で減退するようになっている請求項1に記載の接着力−増強材料。
【請求項15】
皮膚と該皮膚に取付けられる接着剤装具との結合を増強する接着力−増強材料であって、
モノマー;および
低Tg を有する可塑剤
から成ることを特徴とする接着力−増強材料。
【請求項16】
モノマーが、弱求核試薬によって反応開始する請求項15に記載の接着力−増強材料。
【請求項17】
モノマーが、弱塩基性化合物によって反応開始する請求項15に記載の接着力−増強材料。
【請求項18】
モノマーが1,1−ジ置換エチレンモノマーである請求項15に記載の接着力−増強材料。
【請求項19】
1,1−ジ置換エチレンモノマーが、シアノアクリレートモノマーである請求項18に記載の接着力−増強材料。
【請求項20】
シアノアクリレートモノマーが、下式で示される請求項19に記載の接着力−増強材料:
【化2】

式中、Rは
(i)炭素数1〜20のアルキル基;
(ii)炭素数1〜20の直鎖または分枝鎖アルキル基を含む、ヒドロカルビル基および/または置換ヒドロカルビル基;
(iii)アシルオキシ基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子またはシアノ基の1以上で置換された、直鎖または分枝鎖C−C20アルキル基;
(iv)炭素数2〜20の直鎖または分枝鎖アルケニル基;
(v)炭素数2〜12の直鎖または分枝鎖アルキニル基;
(vi)シクロアルキル基;
(vii)アリール基;
(viii)アルキルアリール基;
(ix)炭素数1〜8の、アルキレンアルコキシ置換炭化水素基;および
(x)炭素数1〜8のアルキルおよびアルキレン基(アルキレンの炭素数1〜2)を有するアルキルエステル
の1以上から選ばれる。
【請求項21】
可塑剤が約10℃以下のTg を有する請求項15に記載の接着力−増強材料。
【請求項22】
可塑剤がシロキサン、シトレートおよび末端封鎖ポリエチレングリコールから選ばれる少なくとも1種の物質からなる請求項15に記載の接着力−増強材料。
【請求項23】
皮膚にやさしい接着剤材料と、該接着剤材料と接触して接着力を増強する接着力−増強材料とから成る材料であって、
上記接着剤材料は、感圧接着剤とモノマーおよび該モノマーの活性剤から選ばれる1つの物質とからなり;
上記接着力−増強材料は、上記モノマーおよび活性剤から選ばれる他の物質からなり;
ここで、接着剤材料と接着力−増強材料は別々に分離され、およびモノマーの重合が、接着剤材料と接着力−増強材料を互いに接触させると開始する
ことを特徴とする材料。
【請求項24】
接着剤材料が活性剤を含有し、接着力−増強材料がモノマーを含有する請求項23に記載の材料。
【請求項25】
活性剤が、弱求核試薬および/または弱塩基性化合物からなる請求項23に記載の材料。
【請求項26】
活性剤がカルボキシメチルセルロースからなる請求項25に記載の材料。
【請求項27】
接着剤材料がハイドロコロイド接着剤と含有する請求項23に記載の材料。
【請求項28】
モノマーが1,1−ジ置換エチレンモノマーである請求項23に記載の材料。
【請求項29】
1,1−ジ置換エチレンモノマーが、シアノアクリレートモノマーである請求項28に記載の材料。
【請求項30】
シアノアクリレートモノマーが、下式で示される請求項29に記載の材料:
【化3】

式中、Rは
(i)炭素数1〜20のアルキル基;
(ii)炭素数1〜20の直鎖または分枝鎖アルキル基を含む、ヒドロカルビル基および/または置換ヒドロカルビル基;
(iii)アシルオキシ基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子またはシアノ基の1以上で置換された、直鎖または分枝鎖C−C20アルキル基;
(iv)炭素数2〜20の直鎖または分枝鎖アルケニル基;
(v)炭素数2〜12の直鎖または分枝鎖アルキニル基;
(vi)シクロアルキル基;
(vii)アリール基;
(viii)アルキルアリール基;
(ix)炭素数1〜8の、アルキレンアルコキシ置換炭化水素基;および
(x)炭素数1〜8のアルキルおよびアルキレン基(アルキレンの炭素数1〜2)を有するアルキルエステル
の1以上から選ばれる。
【請求項31】
さらに可塑剤を含有する請求項23に記載の材料。
【請求項32】
可塑剤がモノマーと同じ材料に含有される請求項31に記載の材料。
【請求項33】
可塑剤が接着力−増強材料に含有される請求項31に記載の材料。
【請求項34】
可塑剤が低Tg を有する請求項31に記載の材料。
【請求項35】
可塑剤が0℃から実質的に10℃を越えない範囲のTg を有する請求項31に記載の材料。
【請求項36】
可塑剤がシロキサン、シトレートおよび末端封鎖ポリエチレングリコールから選ばれる少なくとも1種の物質からなる請求項31に記載の材料。
【請求項37】
皮膚と重合モノマー間および重合モノマーと接着剤材料間の初期結合強さが、接着剤材料と皮膚間の初期結合強さより大きい請求項23に記載の材料。
【請求項38】
重合モノマーと皮膚間の結合強さが、重合モノマーと接着剤材料間の結合強さよりも短時間で減退する請求項23に記載の材料。
【請求項39】
皮膚と接着剤装具間の界面に接着力−増強材料を設置して、皮膚と接着剤材料間の少なくとも初期結合強さを増強する方法であって、接着力−増強材料は、接着剤装具に含有される物質によって重合可能なモノマーからなることを特徴とする増強法。
【請求項40】
モノマーを非活性状態で直接、皮膚に適用する請求項39に記載の増強法。
【請求項41】
モノマーを皮膚に適用した後、該モノマー上に接着剤装具を適用する請求項40に記載の増強法。
【請求項42】
接着剤装具がハイドロコロイド接着剤を含有する請求項39に記載の増強法。
【請求項43】
皮膚と該皮膚に取付けられる接着剤装具との少なくとも初期結合強さを増強する方法であって、
接着剤装具に含有される物質によって重合可能なモノマーを、非活性状態で適用し、適用したモノマーが皮膚と接着剤装具との界面物質として役立つことを特徴とする増強法。
【請求項44】
モノマーを適用する工程が、モノマーを直接皮膚に適用することからなる請求項43に記載の増強法。
【請求項45】
モノマーを皮膚に適用した後、接着剤装具を皮膚に適用する工程をさらに包含する請求項44に記載の増強法。
【請求項46】
接着剤装具をヒトの皮膚に取付けるためのアタッチメントを準備する方法であって、
皮膚との結合をなす重合可能なモノマーを準備し;次いで(i)モノマーを重合する活性剤および(ii)モノマーとは無関係に皮膚に結合する感圧接着剤からなる接着剤装具を準備し、これによって、使用中にモノマーと接着剤装具を組合せることにより、アタッチメントを準備することを特徴とする準備法。
【請求項47】
接着剤装具をヒトの皮膚に取付ける方法であって、
皮膚との結合をなす重合可能なモノマーを準備し;次いで(i)モノマーを重合する活性剤および(ii)モノマーとは無関係に皮膚に結合する感圧接着剤からなる接着剤装具を準備し;次いでモノマーを接着剤装具といっしょに用いて、接着剤装具を皮膚に取付けることを特徴とする取付法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2007−209759(P2007−209759A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−29081(P2007−29081)
【出願日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【出願人】(391015708)ブリストル−マイヤーズ スクイブ カンパニー (494)
【氏名又は名称原語表記】BRISTOL−MYERS SQUIBB COMPANY
【Fターム(参考)】