説明

皮膚の構造を改善するために美容上適用するためのトリペプチドおよびその誘導体

【課題】皮膚の構造を改善するために美容上適用するためのトリペプチドおよびその誘導体の提供。
【解決手段】一般式(I)の化合物、その製造、および式(I)の少なくとも1種類の化合物を含有する美容活性組成物。



[式中、R1は、H、−C(O)−R6、など;R2およびR4は、互いに独立して、(CH2)n−NH2または(CH2)3−NHC(NH)NH2を表し;nは、1〜4に等しく;R3は、ヒドロキシルで場合により置換された、直鎖または分枝鎖C1〜C4アルキルを表し;R5およびR6は、互いに独立して、水素、場合により置換されたC1〜C24アルキル、など;Xは、酸素(−O−)または−NH−を表すか;あるいはX=OであるXR5は、α−トコフェロール、トコトリエノールまたはレチノールのエステルも表すが、同時に、R1およびR5が水素を表さず、Xが酸素を表さない]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
序論
内因性の(年齢に関係する)、または外因性の(光で誘導される)加齢は、組織、特に皮膚の不可逆的変性へと導くことが公知である。これらの変質は、コラーゲンおよびエラスチン、すなわち皮膚基質の二大成分の同化反応(合成)の低下と、異化反応(減成)の増大とから生じる。
【0002】
皮膚基質における合成反応は、大部分は、ポリペプチド、いわゆる成長因子およびサイトカインによって調節される。これらのペプチドのうちでも、TGFβ1は、この皮膚基質の合成反応に関与する最も重要な調節物質の一つである。それは、ケラチノサイトおよび線維芽細胞によって潜伏的な形態で皮膚基質に分泌され、細胞レセプターによって認識されて、生物学的応答(コラーゲンおよびエラスチン合成)を誘導できるようにするためには、活性化されなければならない。潜伏的形態の2種類のTGFβ1が利用可能である:
【0003】
−いわゆる「潜伏関連タンパク質」(LAP)に非共有結合で結合している二つのTGFβ鎖からなる、小型の潜伏複合体、
【0004】
−小型の潜伏的なTGFβ1複合体が、LAPによって、もう一つのいわゆる「潜伏TGFβ結合タンパク質」(LTBP)に共有結合(ジスルフィド結合)で結合されている、大型の潜伏TGFβ1複合体。最近、ヒトの皮膚では、この大型の潜伏TGFβ1複合体がフィブリリン、すなわちミクロフィブリル形成分子と会合し、これらのミクロフィブリル自体がエラスチンに結合することが見出された。したがって、大型の潜伏TGFβ1複合体は、皮膚における潜伏TGFβ1の最大の貯蔵庫を構成する。
【0005】
TGFβ1を活性化するためのいくつかの生理学上の機序が存在する。in vivoでの主要な方法は、トロンボスポンジン−1(TSP−1)、すなわち皮膚細胞によって分泌されるタンパク質による潜伏TGFβ1の活性化である。この活性化は、潜伏TGFβ1のLAPとTSP−1のトリペプチド配列RFK(Arg−Phe−Lys)との相互作用に基づいていて、XFX(X=塩基性アミノ酸である)は、潜伏TGFβ1の活性化に必要とされる最小の配列である。
【0006】
加齢の過程の際に、生物利用能およびTGFβ1活性は、遺伝子発現の減少、および線維芽細胞レセプターへの固着能力の変質によって低下する。これらの変質は、エラスチンおよびコラーゲン線維の合成反応の弱化を生じる。皮膚基質における変性反応は、主として、タンパク質分解酵素、すなわち基質プロテイナーゼ(MMPs)によって生成される。
【0007】
皮膚の線維芽細胞が分泌するMMP−1(またはコラゲナーゼ)およびMMP−2(またはゼラチナーゼA)は、時間誘導性の加齢過程に関与する。その数は、加齢する皮膚で増加して、コラーゲンおよびエラスチン線維の変質へと導く。光誘導性の加齢過程には、MMP−9(またはゼラチナーゼB)およびMMP−3(白血球エラスターゼ)が関与する。これらは、UVで誘導される炎症過程の際に、ケラチノサイトおよび/または多核好中球によって分泌されて、それにより、エラスチンおよびコラーゲン線維が、分解かつ減少する(弾力線維症)。
【0008】
その結果、皮膚基質における高分子の低下した同化、および増大した異化は、不均衡へと導かれて、それが下記の臨床的症状、すなわち皮膚の萎縮、軽減および弾性の喪失を伴う機械的特性の喪失、皮膚の弛緩、深い模擬しわ、しわおよび条痕の加速された形成、ならびに自然な皮膚の線の消失の出現の原因となる。
【0009】
上に列挙された変質および臨床的症状を防止し、特にしわの深さを軽減し、細かいしわを除去することによって、皮膚表面の外見を改善するためには、下記の効果を同時に発揮することができる物質を適用することが実際的であろう:
【0010】
−細胞外基質の高分子の同化を担当する成長因子(TGFβ1)の活性を刺激することによる、皮膚基質における合成反応の活性化、
【0011】
−細胞外基質における高分子の異化を担当するメタロプロテイナーゼ活性を調整することによる、皮膚基質における減成反応の低下及びこれらの酵素の影響からのこれらの成分の防護。
【0012】
コラーゲンは、皮膚タンパク質の約80%を占めることから、その組織濃度の最小限の減損が、皮膚の機械的および生理学的特性に顕著な結果を有し得ることは、容易に理解できる。
【0013】
驚異的にも、細胞膜を通じて細胞内の作用部位まで急速に、かつ充分な濃度で拡散し、コラーゲン合成の迅速かつ強力な刺激を生じ得る、美容活性トリペプチドおよびその誘導体(以下、「本発明の化合物」と称する)、ならびに時間および光で誘導される皮膚加齢に対抗する、局所的に適用できる美容組成物(抗加齢生成物)を合成するのが可能であることが見出された。これは、皮膚基質における高分子の同化を担当する成長因子TGFβ1を特異的に刺激することによって、皮膚基質における合成反応を活性化する、本発明の化合物の能力から生じる。
【0014】
そのため、本発明の化合物は、細胞外基質についての刺激効果を発揮して、それが、皮膚の機械的および生理学的外見に決定的な影響を与える。
【0015】
TSP−1のトリペプチド配列RFK(Arg−Phe−Lys)の中心のアミノ酸を、場合によりヒドロキシルで置換されたアルキル鎖を側鎖として有するアミノ酸で置き換えるとともに、このペプチドを、貫通を促進する親油性の基で置換することは、細胞膜から細胞内の作用部位までの、より高い濃度での、より速やかな拡散を招き、そのため、本発明の化合物は、最新の技術水準に相当し、2001年12月21日に公開された、特許出願FR2810323に記載された、化合物エライジル−Lys−Phe−Lysより速やかで、より強力な、コラーゲン合成の刺激を生じることを示すことができた。
【0016】
本発明は、一般式I:
【0017】
【化1】

【0018】
[式中、R1は、H、−C(O)−R6、−SO2−R6または−C(O)−XR6を表し、
2およびR4は、互いに独立して、(CH2n−NH2または(CH23−NHC(=NH)NH2を表し、
nは、1〜4に等しく、
3は、ヒドロキシルで場合により置換された、直鎖または分枝鎖C1〜C4アルキルを表し、
5およびR6は、互いに独立して、水素、場合により置換されたC1〜C24アルキル、場合により置換されたC2〜C24アルケニル、場合により置換されたフェニル、場合により置換されたフェニル−C1〜C4アルキル、または9−フルオレニルメチルを表し、
Xは、酸素(−O−)または−NH−を表すか、あるいは
X=OであるXR5は、α−トコフェロール、トコトリエノールまたはレチノールのエステルも表す]
の、ラセミ化合物または純粋な鏡像異性体として、またその塩としての、美容活性剤として適用するためのトリペプチドおよびトリペプチド誘導体に関する。
【0019】
上に用いられた一般的な用語を、下記のとおりに定義する:すなわち、アルキルは、直鎖ならびに分枝鎖アルキル基を含む。その例は、非分枝鎖残基としては、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−ウンデカニル、n−ドデカニル、n−トリデカニル、n−ヘキサデカニル、n−ヘプタデカニル、n−オクタデカニルまたはn−ノナデカニルであり、分枝鎖残基としては、イソプロピル、t−ブチル、イソブチル、s−ブチル、イソアミルである。R5およびR6は、場合により置換されたアルキルとして、かつ互いに独立して、好ましくはC2〜C24アルキル、好ましくはC3〜C18アルキルを表す。
【0020】
アルケニルは、たとえば、8(Z)−ヘプタデセニル、8(Z),11(Z)−ヘプタデカジエニル、4(Z),7(Z),10(Z),13(Z)−ノナデカテトラエニル、8(Z)−11−ヒドロキシオクタデセニルのような、モノ−またはポリ−不飽和の、場合により置換されたアルキル基の名称を有する。
【0021】
α−トコフェロールは、(D)−、(L)−または(DL)−2,5,7,8−テトラメチル−2−(4’,8’,12’−トリメチルトリデシル)−6−クロマニルを意味し、トコトリエニルは、2,5,7,8−テトラメチル−2−(4’,8’,12’−トリメチル−3’,7’,11’−トリデカトリエニル)−6−クロマニルのいかなる異性体も意味し、レチニルは、3,7−ジメチル−9−(2,6,6−トリメチル−1−シクロヘキセニル)−2,4,6,6−ノナテトラエン−1−イルを意味する。
【0022】
式(I)の化合物は、酸と一緒になって、一価または多価の、均質であるか、もしくは混合した塩を、たとえば、塩酸、臭化水素酸、硫酸またはリン酸のような無機酸;または適切なカルボン酸、たとえば、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、コハク酸、フマル酸、マロン酸、マレイン酸、シュウ酸、フタル酸、クエン酸、乳酸または酒石酸のような脂肪族のモノ−もしくはジ−カルボン酸;または安息香酸またはサリチル酸のような芳香族カルボン酸;またはマンデル酸もしくは桂皮酸のような芳香族−脂肪族カルボン酸;、またはニコチン酸のようなヘテロ芳香族カルボン酸;またはメタンスルホン酸もしくはトルエンスルホン酸のような脂肪族もしくは芳香族スルホン酸と一緒になって、形成することができる。皮膚科学的に許容される塩が好ましい。
【0023】
一般式(I)は、可能なすべての異性体形態はもとより、その混合物、たとえば、ラセミ混合物および回転異性体の混合物も包含する。
【0024】
1が−C(O)−R6を意味し、R2およびR4が(CH2n−NH2を意味し、R3が直鎖または分枝鎖C1〜C4アルキルを意味し、R5が水素、C1〜C24アルキル、C2〜C24アルケニル、フェニル、フェニル−C1〜C4アルキル、好ましくは水素を意味し、R6がC1〜C24アルキルまたはC2〜C24アルケニルを意味する、一般式Iの化合物が好ましい。
【0025】
更に、下記の化合物が好ましい:
【表1】





【0026】
本発明の化合物は、0.5〜5,000ppm(重量比)、好ましくは1〜1,000ppm(重量比)にわたる濃度で、美容上の最終製品に用いることができる。本発明の化合物は、溶液、分散、乳濁液としてか、あるいはマクロ−、ミクロ−もしくはナノ−カプセルのような担体中にか、またはリポソームもしくはキロミクロン中に封入してか、あるいはマクロ−、ミクロ−もしくはナノ−粒子、またはミクロスポンジに封入してか、あるいは粉末化された有機重合体、タルク、ベントナイトまたは他の鉱物性担体に吸着させて、用いることができる。
【0027】
本発明の化合物は、いかなる生薬(galenic)形態でも:すなわちO/WおよびW/O乳濁液、乳液、ローション剤、軟膏、ゼラチン性かつ粘稠であり、界面活性性かつ乳化性の重合体、ポマード、シャンプー、石鹸、ゲル、粉末、スティックおよびペンシル、噴霧剤、ボディーオイル、顔面マスクまたは硬膏としても用いることができる。
【0028】
本発明の化合物はもとより、それを含有する美容組成物も、皮膚手入れ製品として、特に、しわの形成および増加、ならびに自然であるか、または加速された(日光、汚染)皮膚加齢のすべての結果に対するものとして用いられる。
【0029】
下記の組成物は、本発明の更に一つの態様を構成する:
【0030】
一般式(I)の化合物のトリペプチド誘導体は、少なくとも1種類の追加的皮膚手入れ活性剤とともに構成することができる。これらの組成物は、皮膚科学的に許容され得る追加の担体を含有してもよい。
【0031】
追加の皮膚手入れ活性剤:
組成物がヒトの角質組織と接触しなければならない、好適実施態様では、追加的成分は、角質組織への適用に適さなければならない。すなわち、組成物に組み込まれたとき、健全な医学的判断の範囲内で、不当な毒性、非融和性、不安定性、アレルギー応答等なしに、ヒトの角質組織に接触させて用いるのに適する。「CTFA Cosmetic Ingredient Handmook」、第2版(1992)は、皮膚手入れ業界に一般的に用いられる非限定的な、非常に様々な美容および薬学的成分を記載していて、それらは、本発明の組成物に用いるのに適する。これらの成分群の例は、研磨剤、吸収剤;香料、顔料/着色料/着色剤、精油、皮膚増感剤(sensates)、収斂剤等(たとえば丁子油、メントール、カンフル、ユーカリ油、オイゲノール、乳酸メンチル、アメリカマンサク留出物)のような審美的成分;にきび止め剤、ケーキング防止剤、消泡剤、抗菌剤(たとえばヨードプロピニル ブチルカルバマート)、抗酸化剤、結合剤、生物学的添加物、緩衝剤、充填剤、キレート化剤、化学的添加物、着色剤、化粧用収斂剤、化粧用殺生物剤、変性剤、薬物収斂剤、外用鎮痛剤;薄膜形成剤または材料、たとえば、組成物の薄膜形成特性および実質性を助けるための重合体(たとえばエイコセンとビニルピロリドンとの共重合体);不透明化剤、pH調整剤、プロペラント、還元剤、金属イオン封鎖剤、皮膚漂白および光沢剤(たとえばα−またはβ−アルブチン、ヒドロキノン、コウジ酸、アスコルビン酸、リン酸アスコルビルマグネシウム、アスコルビルグルコサミン)、皮膚調整剤(たとえば、雑多な密封性のものを包含する保湿剤)、皮膚無痛化および/または治癒剤(たとえばパンテノールおよび誘導体(たとえばエチルパンテノール)、真性アロエ(aloe vera)、パントテン酸およびその誘導体、アラントイン、ビサボロールおよびグリチルリチン酸ジカリウム)、皮膚手当て剤、増粘剤(thickeners)、ならびにビタミンおよびその誘導体を包含する。
【0032】
しかし、本発明のいかなる実施態様においても、本明細書での有用な活性剤は、それらが与える利益、またはその前提とされる作用様式によって類別することができる。しかし、本明細書での有用な活性剤は、ある場合には、一つ以上の利益を与えるか、または一つ以上の作用様式で作用することができる。したがって、本明細書での分類は、便宜上なされ、活性剤を、その特定の適用または列挙された適用に限定しようとするものではない。
【0033】
ファルネソール:
本発明の局所組成物は、安全かつ効果的な量のファルネソールを含有してよい。ファルネソールは、天然に産する物質であって、スクアレンおよびステロール、特に、コレステロールの生合成での前駆体および/または中間体として作用すると考えられる。ファルネソールは、タンパク質の修飾および調節(たとえば、タンパク質のファルネシル化)にも関与し、ファルネソールに応答する細胞核レセプターが存在する。
【0034】
化学的には、ファルネソールは、[2E,6E]−3,7,11−トリメチル−2,6,10−ドデカトリエン−1−オールであり、本明細書に用いられる限りで、「ファルネソール」は、そのようなものの異性体および互変異性体を包含する。ファルネソールは、たとえば、ファルネソール(Dragoco, 10 Gordon Drive, Totowa, N.J.、米国からの異性体混合物)およびtrans−trans−ファルネソール(Sigma Chemical Company, P.O. Box 14508, St. Louis, Mo.、米国)の名称の下に、商業的に入手可能である。
【0035】
フィタントリオール:
本発明の局所組成物は、安全かつ効果的な量のフィタントリオールを含有してよい。フィタントリオールは、3,7,11,15−テトラメチルヘキサデカン−1,2,3−トリオールとして知られる化学物質に対する一般名である。フィタントリオールは、たとえばクモ状血管腫(spider vessel)/赤色斑点の修復剤、目の隈/腫れ目修復剤、白目の黄ばみ修復剤、たるみ修復剤、かゆみ止め、皮膚肥厚化剤、細孔低減剤、油/光沢低減剤、炎症後色素過剰沈着修復剤、創傷処置剤、抗セリュライト剤、およびしわや細かい線を含む、皮膚の肌理を調節する薬剤として有用である。
【0036】
落屑活性剤:
本発明の組成物には、安全かつ効果的な量、より好ましくは組成物の約0.1〜約10重量%、はるかに好ましくは約0.2〜約5重量%、やはり好ましくは約0.5〜約4重量%の落屑活性剤を加えてよい。落屑活性剤は、本発明の皮膚の外見上の利益を増強する。たとえば、落屑活性剤は、皮膚の肌理(たとえば滑らかさ)を改良する傾向がある。本明細書での使用に適切である一つの落屑系は、スルフヒドリル化合物および両性イオン界面活性剤を含有し、BissettへのUS-A-5,681,852に記載されていて、引用により本明細書に援用される。本明細書での使用に適切であるもう一つの落屑系は、サルチル酸および両性イオン界面活性剤を含有し、BissettへのUS-A-5,652,228に記載されていて、引用により本明細書に援用される。これらの出願に記載されたような両性イオン界面活性剤は、本明細書での落屑活性剤としても有用であり、セチルベタインが特に好ましい。
【0037】
にきび止め活性剤:
本発明の組成物は、安全かつ効果的な量の1種類以上のにきび止め活性剤を含有してよい。有用なきび止め活性剤の例は、レゾルシノール、硫黄、サリチル酸、過酸化ベンゾイル、エリスロマイシン、亜鉛等を包含する。適切なにきび止め活性剤の更なる例は、1997年3月4日にMcAteeに交付されたUS-A-5,607,980に更に詳しく記載されている。
【0038】
しわ止め活性剤/抗萎縮活性剤:
本発明の組成物は、安全かつ効果的な量の1種類以上のしわ止め活性剤または抗萎縮活性剤を更に含有してよい。本発明の組成物に用いるのに適切な、例示的なしわ止め活性剤/抗萎縮活性剤は、含硫黄DおよびLアミノ酸およびその誘導体ならびに塩、特にN−アセチル誘導体(その好適な例は、N−アセチル−L−システインである);チオール、たとえばエタンチオール;ヒドロキシ酸(たとえば、乳酸およびグリコール酸のようなα−ヒドロキシ酸、またはサリチル酸、およびオクタノイル誘導体のようなサリチル酸誘導体のようなβ−ヒドロキシ酸)、フィチン酸、リポ酸;リゾホスファチド酸、皮膚剥離剤(たとえばフェノールなど)、ビタミンB3化合物、ならびにレチノイドを包含して、これらは、特にケラチン性組織の状態、たとえば皮膚の状態を調節するのに、本発明の角質組織の外見上の利益を高める。
【0039】
(a)ビタミンB3化合物:
本発明の組成物は、安全かつ効果的な量のビタミンB3化合物を含有してよい。ビタミンB3化合物は、1997年4月11日付同時継続中の米国特許出願第08/834,010号明細書(1997年10月30日刊行の国際公開特許第97/39733 A1号公報に対応)に記載されたような、皮膚の状態を調節するのに特に有用である。前記ビタミンB3化合物の例示的な誘導体は、ニコチン酸の非血管拡張性エステルを含む、ニコチン酸エステル(たとえばニコチン酸トコフェリル)、ニコチニルアミノ酸、カルボン酸のニコチニルアルコールエステル、ニコチン酸N−オキシドおよびナイアシンアミドN−オキシドを包含する。
【0040】
(b)レチノイド:
本発明の組成物は、レチノイドも含有してよい。本明細書に用いられる限りで、「レチノイド」は、ビタミンAのすべての天然および/もしくは合成類似体、または皮膚におけるビタミンAの生物学的活性を有するレチノール様化合物はもとより、これらの化合物の幾何異性体および立体異性体も包含する。レチノイドは、好ましくは、レチノール、レチノールエステル(たとえば、パルミチン酸レチニル、酢酸レチニル、プロピオン酸レチニルを含む、レチノールのC2〜C22アルキルエステル)、レチナールおよび/またはレチノイン酸(全てのtrans−レチノイン酸および/または13−cis−レチノイン酸を包含)、より好ましくはレチノイン酸以外のレチノイドである。適切なその他のレチノイドは、レチノイン酸トコフェリル[(trans−またはcis−)レチノイン酸のトコフェロールエステル]、アダプタレン{6−[3−(1−アダマンチル)−4−メトキシフェニル]−2−ナフトエ酸}、およびタザロテン(6−[2−(4,4−ジメチルチオクロマン−6−イル)エチニル]ニコチン酸エチルである。好適なレチノイドは、レチノール、パルミチン酸レチニル、酢酸レチニル、プロピオン酸レチニル、レチナールおよびそれらの組合せである。本発明の組成物は、安全かつ効果的な量のレチノイドを含有してよく、その結果、得られる組成物は、角質組織の状態を調節するのに、好ましくは皮膚における視覚的および/または触覚的不連続性を調節するのに、より好ましくは皮膚加齢の徴候を調節するのに、はるかに好ましくは皮膚加齢に付随する皮膚の肌理における視覚的および/または触覚的不連続性を調節するのに安全かつ効果的である。
【0041】
(c)ヒドロキシ酸
本発明の組成物は、安全かつ効果的な量のヒドロキシ酸を含有してよい。本発明の組成物に用いるのに好適なヒドロキシ酸は、サリチル酸およびサリチル酸誘導体を包含する。
【0042】
ペプチド:
ジ−、トリ−、テトラ−およびペンタ−ペプチドおよびその誘導体を非限定的に包含する、追加のペプチドが、安全かつ効果的である量で本発明の組成物に含まれてよい。本明細書に用いられる限りで、「ペプチド」は、天然に産するペプチドと合成されたペプチドとの双方を意味し、ペプチド模倣体、および「ペプチド」の金属錯体も包含する。やはり本明細書で有用なものは、ペプチドを含有する、天然に産し、商業的に入手できる組成物である。
【0043】
本明細書に用いるのに適切なジペプチドは、カルノシン(β−Ala−His)を包含する。本明細書に用いるのに適切なトリペプチドは、Gly−His−Lys、Arg−Lys−ArgおよびHis−Gly−Glyを包含する。好適なトリペプチドおよびその誘導体は、Biopeptide CL(登録商標)(Sederma、フランス国から商業的に入手できる100ppmのパルミトイル−Gly−His−Lys)として購入し得る、パルミトイル−Gly−His−Lys;ペプチドCK(Arg−Lys−Arg);ペプチドCK+(Ac−Arg−Lys−Arg−NH2);およびSigma(St. Louis, Mo、米国)からLaminとして販売される、Gly−His−LysまたはHis−Gly−Glyの銅錯体を包含する。本明細書に用いるのに適切なテトラペプチドは、ペプチドE、すなわちArg−Ser−Arg−Lysを包含する。ペンタペプチドの例は、Sederma、フランス国から入手できるマトリキシル(パルミトイル−Lys−Thr−Thr−Lys−Ser)、およびWO03/037933に記載されたもの(Pentapharm、スイス国)を包含する。
【0044】
抗酸化剤/ラジカル捕集剤:
本発明の組成物は、安全かつ効果的な量の抗酸化剤/ラジカル捕集剤を含んでよい。抗酸化剤/ラジカル捕集剤は、角質層(stratum)に落屑の増加もしくは肌理の変化を生じさせ得るUV放射、または皮膚の損傷を生じさせ得るその他の環境的作用剤に対する防護を与えるのに特に有用である。
【0045】
アスコルビン酸(ビタミンC)およびその塩、脂肪酸のアスコルビルエステル、アスコルビン酸誘導体(たとえば、リン酸アスコルビルマグネシウム、リン酸アスコルビルナトリウム、ソルビン酸アスコルビル)、トコフェロール(ビタミンE)、ソルビン酸トコフェロール、酢酸トコフェロール、トコフェロールのその他のエステル、ブチル化されたヒドロキシ安息香酸およびその塩、6−ヒドロキシ−2,5,7,8−テトラメチルクロマン2−カルボン酸(Trolox(登録商標)の商品名の下に商業的に入手可能)、没食子酸およびそのアルキルエステル、特に没食子酸プロピル、尿酸およびその塩やアルキルエステル、ソルビン酸およびその塩、リポ酸、アミン(たとえばN,N−ジエチルヒドロキシルアミン、アミノグアニジン)、スルフヒドリル化合物(たとえばグルタチオン)、ジヒドロキシフマル酸およびその塩、ピドル酸ベタイン(lycine pidolate)、ピドル酸アルギニン、ノルジヒドログアイアレチン酸(nordihydroguaiaretic acid)、ビオフラボノイド、クルクミン、リシン、1−メチオニン、プロリン、スーパーオキシドジスムターゼ、シリマリン、茶エキス、ブドウ樹皮/種子エキス、メラニンおよびローズマリーエキスのような抗酸化剤/ラジカル捕集剤を用いてよい。好適な抗酸化剤/ラジカル捕集剤は、ソルビン酸トコフェロール、およびトコフェロールのその他のエステル、より好ましくはソルビン酸トコフェロールから選ばれる。たとえば、本発明に適用できる局所組成物にソルビン酸トコフェロールを用いることは、1989年7月11日にDonald L. Bissett、Rodney D. BushおよびRanjit Chatterjeeに交付されたUS-A-4,847,071に記載されている。
【0046】
キレーター:
本発明の組成物は、安全かつ効果的な量のキレーターまたはキレート化剤を含有してもよい。本明細書に用いられる限りで、「キレーター」または「キレート化剤」は、金属イオンを、錯体を形成することによって系から除去することができる活性化剤を意味し、その結果、該金属イオンが容易に化学反応に参加するか、またはそれを触媒することができない。キレート化剤を含ませることは、過剰な落屑もしくは皮膚の肌理変化に寄与し得るUV放射、および皮膚の損傷を生じさせ得るその他の環境的作用剤に対する防護を与えるのに特に有用である。
【0047】
本明細書での有用な例示的なキレーターは、1996年1月30日にBissettらに交付されたUS-A-5,487,884、1995年10月31日に発行されたBushらの国際公開第91/16035号公報、および1995年10月31日に発行されたBushuらの国際公開第91/16034号公報に開示されている。本発明の組成物に有用な好適なキレーターは、フリルジオキシム、フリルモノオキシムおよびその誘導体である。
【0048】
フラボノイド:
本発明の組成物は、場合により、フラボノイド化合物を含有してよい。フラボノイドは、US-A-5,686,082およびUS-A-5,686,367に幅広く開示されていて、両者とも、引用によって本明細書に援用する。本発明に用いるのに適切なフラボノイドは、非置換フラバノン、モノ置換フラバノンおよびそれらの混合物から選ばれるフラバノン;非置換カルコン、モノ置換カルコン、ジ置換カルコン、トリ置換カルコンおよびそれらの混合物から選ばれるカルコン;非置換フラボン、モノ置換フラボン、ジ置換フラボンおよびそれらの混合物から選ばれるフラボン;1種類以上のイソフラボン;非置換クマリン、モノ置換クマリン、ジ置換クマリンおよびそれらの混合物から選ばれるクマリン;非置換クロモン、モノ置換クロモン、ジ置換クロモンおよびそれらの混合物から選ばれるクロモン;1種類以上のジクマロール;1種類以上のクロマノン;1種類以上のクロマノール;その異性体(たとえばcis/trans−異性体)ならびにそれらの混合物である。本明細書に用いられる限りでの用語「置換」は、1個以上の水素原子が、独立して、ヒドロキシル、C1〜C8アルキル、C1〜C4アルコキシル、O−グリコシドなど、またはこれらの置換基の混合物で置き換えられた、フラボノイドを意味する
【0049】
適切なフラボノイドの例は、非置換フラバノン、モノヒドロキシフラバノン(たとえば2’−ヒドロキシフラバノン、6−ヒドロキシフラバノン、7−ヒドロキシフラバノン等々)、モノアルコキシフラバノン(たとえば5−メトキシフラバノン、6−メトキシフラバノン、7−メトキシフラバノン、4’−メトキシフラバノン等)、非置換カルコン(特に非置換trans−カルコン)、モノヒドロキシカルコン(たとえば2’−ヒドロキシカルコン、4’−ヒドロキシカルコン等)、ジヒドロキシカルコン(たとえば2’,4−ジヒドロキシカルコン;2’,4’−ジヒドロキシカルコン、2,2’−ジヒドロキシカルコン、2’,3−ジヒドロキシカルコン、2’,5’−ジヒドロキシカルコン等)およびトリヒドロキシカルコン(たとえば2’,3’,4’−トリヒドロキシカルコン、4,2’,4’−トリヒドロキシカルコン、2,2’,4’−トリヒドロキシカルコン等)、非置換フラボン、7,2’−ジヒドロキシフラボン、3’,4’−ジヒドロキシナフトフラボン、4’−ヒドロキシフラボン、5,6−ベンゾフラボンおよび7,8−ベンゾフラボン、非置換イソフラボン、ダイズゼイン(7,4’−ジヒドロキシイソフラボン)、5,7−ジヒドロキシ−4’−メトキシイソフラボン、ダイズイソフラボン(ダイズから抽出された混合物)、非置換クマリン、4−ヒドロキシクマリン、7−ヒドロキシクマリン、6−ヒドロキシ−4−メチルクマリン、非置換クロモン、3−ホルミルクロモン、3−ホルミル−6−イソプロピルクロモン、非置換ジクマロール、非置換クロマノン、非置換クロマノール、ならびにそれらの混合物を非限定的に包含する。
【0050】
本明細書に用いるのに好ましいものは、非置換フラバノン、メトキシフラバノン、非置換カルコン、2’,4−ジヒドロキシカルコン、およびそれらの混合物である。より好ましいものは、非置換フラバノン、非置換カルコン(特にtrans異性体)、およびそれらの混合物である。
【0051】
抗炎症剤:
たとえばより均一で許容され得る、皮膚の色調または色彩に寄与する薬剤のような、抗炎症剤は、本発明の皮膚の外見という利益を増強する。
【0052】
ステロイド系抗炎症剤、すなわち、ヒドロコルチゾン、ヒドロキシルトリアムシノロン、α−メチルデキサメタゾン、リン酸デキサメタゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、吉草酸クロベタゾール、デソニド、デスオキシメタゾン、酢酸デスオキシコルチコステロン、デキサメタゾン、ジクロリゾン、二酢酸ジフロラゾン、吉草酸ジフルコルトロン、フルアドレノロン、フルクロロンアセトニド、フルドロコルチゾン、ピバル酸フルメタゾン、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルコルチンブチルエステル、フルオコルトロン、酢酸フルプレドニデン(フルプレドニリデン)、フルアンドレノロン、ハルシノニド、酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロンアセトニド、コルチゾン、コルトドキソン、フルセトニド、フルドロコルチゾン、二酢酸ジフルオロゾン、フルラドレノロン、フルドロコルチゾン、二酢酸ジフルオロゾン、フルラドレノロンアセトニド、メドリゾン、アムシナフェル、アムシナフィド、ベタメタゾンおよびその残余のエステル、クロロプレドニゾン、酢酸クロロプレドニゾン、クロコルテロン、クレスシノロン、ジクロリゾン、ジフルプレドナート、フルクロロニド、フルニゾリド、フルオロメタロン、フルペロロン、フルプレドニゾロン、吉草酸ヒドロコルチゾン、シクロペンチルプロピオン酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルタマート、メプレドニゾン、パラメタゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、二プロピオン酸ベクロメタゾン、トリアムシノロン、ならびにそれらの混合物を非限定的に包含むものを用いてよい。用いるのに好適なステロイド系抗炎症剤は、ヒドロコルチゾンである。
【0053】
該組成物に有用な抗炎症剤の第二の分類群は、非ステロイド系抗炎症剤を包含する。この群が包含する様々な化合物は、当業者には周知である。非ステロイド系抗炎症剤の化学的構造、合成、副作用等々の詳細な開示については、Anti-Inflammatory and Anti-Rheumatic Drugs, K.D. Rainsford, Vol. I-III, CRC Press, Boca Raton, (1985)、およびAnti-Inflammatory Agents, Chemistry and Pharmacology, 1, R.A. Scherrerら、Academic Press, New York, (1974)を含む、標準的な教科書を参照し得る。
【0054】
本発明の組成物に有用な、特定の非ステロイド系抗炎症剤は、
(1)オキシカム、たとえばピロキシカム、イソキシカム、テノキシカム、スドキシカムおよびCP−14,304;
(2)サリチル酸塩、たとえばアスピリン、ジサルシド、ベノリラート、トリリサート、サファプリン、ソルプリン、ジフルニサルおよびフェンドサル;
(3)酢酸誘導体、たとえばジクロフェナク、フェンクロフェナク、インドメタシン、スリンダク、トルメチン、イソキセパク、フロフェナク、チオピナク、ジドメタシン、アセマタシン、フェンチアザク、ゾメピラク、クリンダナク、オキセピナク、フェルビナクおよびケトロラク;
(4)フェナム酸塩、たとえばメフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、ニフルミン酸およびトルフェナム酸;
(5)プロピオン酸誘導体、たとえばイブプロフェン、ナプロキセン、ベノキサプロフェン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、フェノプロフェン、フェンブフェン、インドプロフェン、ピルプロフェン、カルプロフェン、オキサプロジン、プラノプロフェン、ミロプロフェン、チオキサプロフェン、スプロフェン、アルミノプロフェンおよびチアプロフェン酸;ならびに
(6)ピラゾール、たとえばフェニルブタゾン、オキシフェンブタゾン、フェプラゾン、アザプロパゾンおよびトリメタゾン
を非限定的に包含する。
【0055】
これらの非ステロイド系抗炎症剤の混合物は、これらの薬剤の皮膚科学的に許容され得る塩およびエステルとしても、同じく用いてよい。たとえば、フルフェナム酸誘導体であるエトフェナマートは、局所的適用に特に有用である。非ステロイド系抗炎症剤のうち、イブプロフェン、ナプロキセン、フルフェナム酸、エトフェナマート、アスピリン、メフェナム酸、メクロフェナム酸、ピロキシカムおよびフェルビナクが好ましく;イブプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン、エトフェナマート、アスピリンおよびフルフェナム酸が、より好ましい。
【0056】
最後に、いわゆる「天然の」抗炎症剤は、本発明の方法に有用である。そのような薬剤は、天然の入手源(たとえば植物、真菌、微生物の副生物)からの適切な物理的および/または化学的単離による抽出物として、適切に得られ得るか、あるいは合成的に製造され得る。たとえば、キャンデリラワックス、ビサボロール(たとえばα−ビサボロール)、真性アロエ、植物ステロール(たとえばフィトステロール)、マンジスタ(アカネ(Rubia)属、特にアカネRubia cordifoliaの植物から抽出)、およびグガル(コンミフォラ属の植物、特にコンミフォラ・ムクルCommiphora mukulから抽出)、コーラエキス、カモミール、ムラサキツメクサ(red clover)エキス、ならびに海藻エキスを用いてよい。
【0057】
本明細書での有用な追加の抗炎症剤は、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸およびその誘導体(たとえば塩およびエステル)を含む、カンゾウ(植物属/種:Glycyrrhiza glabra)の群の化合物を包含する。前記化合物の適切な塩は、金属およびアンモニウム塩を包含する。
【0058】
抗セリュライト剤:
本発明の組成物は、安全かつ効果的な量の抗セリュライト剤も含有してよい。適切な薬剤は、キサンチン化合物(たとえばカフェイン、テオフィリン、テオブロミンおよびアミノフィリン)を非限定的に包含する。
【0059】
日焼け活性剤:
DHAまたは1,3−ジヒドロキシ−2−プロパノンとしても公知のジヒドロキシアセトンは、白色ないし灰色がかった白色の結晶質粉末である。この化合物は、単量体および二量体の混合物として存在することができて、固体の結晶状態では二量体が優勢である。加熱または融解すると、二量体が分解して、単量体を生じる。二量体形態から単量体形態へのこの転換は、水溶液中でも生じる。更に一つの例は、エリトルロースであって、Pentapharm、スイス国から入手できる。DHAおよびエリトルロースは、組み合わせて投与することができる。
【0060】
皮膚光沢剤:
適切な皮膚光沢剤は、コウジ酸、アルブチン、α−アルブチン、アスコルビン酸およびその誘導体(リン酸アスコルビルマグネシウムまたはリン酸アスコルビルナトリウム)、ならびに抽出物(たとえばクワノミエキス、胎盤エキス)を含む、当技術に公知のものを含む。
【0061】
皮膚無痛化および皮膚治癒活性剤:
本発明の組成物は、皮膚無痛化または皮膚治癒活性剤を含んでよい。本明細書での使用に適切な皮膚無痛化または皮膚治癒活性剤は、パントテン酸誘導体(パンテノール、デキサパンテノール、エチルパンテノールを含む)、真性アロエ、アラントイン、ヒサボロールおよびグリチルリチン酸ジカリウムを包含する。
【0062】
ビサボロール:
本発明の局所組成物は、安全かつ効果的な量のビサボロールも含有してよい。ビサボロールは、天然に産する、不飽和の単環式テルペンアルコールであって、下記の構造を有する:
【0063】
【化2】

【0064】
それは、カモミールエキス/油の主要な活性成分である。ビサボロールは、起源が合成による(d,1−α−異性体または(+/−)−α−異性体)か、天然((−)−α−異性体)であることができ、本質的に純粋な化合物、または化合物の混合物(たとえばカモミールのような天然の入手源からの抽出物)として用いることができる。ビサボロールのα形態(α−ビサボロール)は、皮膚調整または無痛化剤として、様々な化粧品に用いられる。本明細書に用いられる限りで、「ビサボロール」は、カモミール抽出物または油、ならびにそのようなもののいかなる異性体および互変異性体も包含する。適切なビサボロール化合物は、天然材料として、Dragoco(Totowa, N. J.、米国)からα−ビサボロールナチュラルの製品名の下に、また合成材料として、Fluka(Milwaukee, Wis.、米国)からα−ビサボロールの製品名の下に商業的に入手可能である。
【0065】
抗菌および抗真菌活性剤:
本発明の組成物は、抗菌または抗真菌活性剤を含有してよい。そのような活性剤は、微生物を破壊するか、微生物の発生を防止するか、または微生物の病原作用を防止することができる。本明細書での有用な活性剤の好適な例は、サリチル酸、過酸化ベンゾイル、3−ヒドロキシ安息香酸、グリコール酸、乳酸、4−ヒドロキシ安息香酸、アセチルサリチル酸、2−ヒドロキシブタン酸、2−ヒドロキシペンタン酸、2−ヒドロキシヘキサン酸、cis−レチノイン酸、trans−レチノイン酸、レチノール、フィチン酸、N−アセチル−L−システイン、リポ酸、アゼライン酸、アラキドン酸、過酸化ベンゾイル、テトラサイクリン、イブプロフェン、ナプロキセン、ヒドロコルチゾン、アセトミノフェン、レゾルシノール、フェノキシエタノール、フェノキシプロパノール、2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテル、3,4,4’−トリクロロカルボアニリド、オクトピロックス、塩酸リドカイン、クロトリマゾール、ミコナゾール、ケトコナゾール、硫酸ネオマイシンおよびそれらの混合物から選ばれるものを包含する。
【0066】
日焼け止め活性剤:
紫外光への被曝は、角質層の過剰な落屑および肌理の変化を生じ得る。そのため、本発明の組成物は、場合により、日焼け止め活性剤を含有してよい。本明細書に用いられる限りで、「日焼け止め活性剤」は、日焼け止め剤と物理的遮光剤との双方を包含する。適切な日焼け止め活性剤は、有機または無機物であり得る。
【0067】
本明細書での有用な無機日焼け止め剤は、下記の金属酸化物を包含する:二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化鉄およびそれらの混合物。
【0068】
有機日焼け止め剤の例は、2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナマート(PARSOL MCXとして商業的に入手できる)、4,4’−t−ブチルメトキシジベンゾイルメタン(PARSOL 1789として商業的に入手できる)、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、オクチルジメチル−p−アミノ安息香酸、ジガロイルトリオレアート、2,2−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、エチル−4−(ビス(ヒドロキシプロピル))アミノベンゾアート、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリラート、2−エチルヘキシルサリチラート、グリセリル−p−アミノベンゾアート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシルサリチラート、メチルアントラニラート、p−ジメチルアミノ安息香酸またはアミノベンゾアート、2−エチルヘキシル−p−ジメチルアミノベンゾアート、2−フェニルベンズイミダゾール−5−スルホン酸、2−(p−ジメチルアミノフェニル)−5−スルホン酸ベンゾキサジン酸、オクトクリレン、Ciba SCからTINOSORB(登録商標)Mとして入手できる2,2’−メチレン−ビス[6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール]、Ciba SCからTINOSORB(登録商標)Sとして入手できる2,4−ビス[(4−(2−エチルヘキシルオキシ)−2−ヒドロキシ)フェニル]−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、およびこれらの化合物の混合物である。
【0069】
該組成物にまた特に有用なものは、1990年6月28日にSabatelliに交付されたUS-A-4,937,370、および1991年3月12日にSabatelliおよびSpirnakに交付されたUS-A-4,999,186に開示されたもののような、日焼け止め活性剤である。そこに開示された日焼け止め剤は、単分子中に、異なる紫外線吸収スペクトルを示す二つの別個の発色団部分を有する。発色団部分の一方は、UVB放射線範囲で優先的に吸光し、他方は、UVA放射線範囲内で強力に吸光する。
【0070】
この分類群の日焼け止め剤の好適な成員は、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノンの4−N,N−(2−エチルヘキシル)メチルアミノ安息香酸エステル;4−ヒドロキシジベンゾイルメタンとのN,N−ジ−(2−エチルヘキシル)−4−アミノ安息香酸エステル;4−ヒドロキシジベンゾイルメタンとの4−N,N−(2−エチルヘキシル)メチルアミノ安息香酸エステル;2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゾフェノンの4−N,N−(2−エチルヘキシル)メチル−アミノ安息香酸エステル;4−(2−ヒドロキシエトキシ)ジベンゾイルメタンの4−N,N−(2−エチルヘキシル)メチルアミノ安息香酸エステル;2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゾフェノンのN,N−ジ(2−エチルヘキシル)−4−アミノ安息香酸エステル;および4−(2−ヒドロキシエトキシ)ジベンゾイルメタンのN,N−ジ−(2−エチルヘキシル)−4−アミノ安息香酸エステル;ならびにそれらの混合物である。厳密な量は、選ばれた単数または複数の日焼け止め、ならびに望みの日光防護因子(SPF)に応じて変化することになる。
【0071】
調整剤:
本発明の組成物は、湿潤剤、加湿剤または皮膚コンディショナーから選ばれる、調整剤を含有してよい。これらの材料は、グアニジン、尿素、グリコール酸およびグリコール酸塩(たとえばアンモニウムおよび第4級アルキルアンモニウム)、サリチル酸;乳酸および乳酸塩(たとえばアンモニウムおよび第4級アルキルアンモニウム);その様々な形態のいずれかの真性アロエ(たとえば真性アロエゲル);ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリトロトール、グリセロール、ヘキサントリオール、ブタントリオール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコールなどのような多価アルコール;ポリエチレングリコール;糖(たとえばメリビオース)および澱粉、砂糖および澱粉誘導体(たとえばアルコキシル化されたグルコース、フルクトース、グルコサミン)、ヒアルロン酸、ラクトアミドモノエタノールアミン、アセトアミドモノエタノールアミン、パンテノール、アラントイン、ならびにそれらの混合物を非限定的に包含する。やはり本明細書での有用なものは、1990年12月11日に交付されたOrrらへのUS-A-4,976,953に記載されたプロポキシル化されたグリセロールである。
【0072】
やはり有用なものは、糖および関連する物質の、様々なC1〜C30モノエステルおよびポリエステルである。これらのエステルは、糖またはポリオール部分、および一つ以上のカルボン酸部分から誘導される。
【0073】
好ましくは、調整剤は、尿素、グアニジン、ショ糖ポリエステル、パンテノール、デキサパンテノール、アラントインおよびそれらの組合せから選ばれる。
【0074】
皮膚科学的に許容され得る担体:
本発明の局所組成物は、皮膚科学的に許容され得る担体も含有してよい。句「皮膚科学的に許容され得る担体」は、本明細書に用いられる限りで、該担体が、角質組織への局所的な適用に適切であり、優れた審美的特性を有し、本発明の活性剤およびその他のいかなる成分とも融和性であり、いかなる不適当な安全性または毒性の懸念も生じないことを意味する。
【0075】
該担体は、非常に様々な形態であり得る。たとえば、水中−油、油中−水、水中−油中−水およびシリコーン中−水中−油乳濁液を非限定的に包含する、乳濁液担体は、本明細書では有用である。
【0076】
(A)シリコーン中−水乳濁液
シリコーン中−水乳濁液は、連続的なシリコーン相、および分散した水相を有する。
【0077】
(B)水中−油乳濁液
その他の好適な局所的担体は、連続的な水相およびその中に分散した疎水性の水不溶相(「油相」)を有する水中−油乳濁液を包含する。適切な水中−油乳濁液担体の例は、1991年12月17日にD.J. Turnerらに交付されたUS-A-5,073,371、および1991年12月17日にD.J. Turnerらに交付されたUS-A-5,073,372に記載されている。
【0078】
下記の実施例は、本発明をその範囲を限定することなく例示するものである。下記の略語は、本文および実施例1〜7に用いられる:
AcOH:酢酸
AB: 抗体
Boc: t−ブチルオキシカルボニル
BSA: ウシ血清アルブミン
Dab: 2,4−ジアミノ酪酸
Dap: 2,3−ジアミノプロピオン酸
DBU: 1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデカ−7−エン(1,5−5)
FCS: ウシ胎児血清
TFA: トリフルオロ酢酸
Gly: グリシン
Hse: ホモセリン
Ile: イソロイシン
MEM: 最小必須培地
NEAA:非必須アミノ酸
NLe: ノルロイシン
NVa: ノルバリン
Orn: オルニチン
Palm:パルミトイル
PBS: リン酸緩衝生理食塩水
Pe: 石油エーテル
RT: 室温
tBu: t−ブチル
tBuGly:t−ブチルグリシン
TBTU:O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム−テトラフルオロボラート
TGFβ1:形質転換成長因子−β1
【0079】
実施例1
本発明のトリペプチド誘導体での処理による線維芽細胞培養体におけるI型コラーゲン合成の刺激の決定
in vitroで培養した皮膚線維芽細胞のI型コラーゲンを、ELISA(酵素結合免疫吸収アッセー)で検出した。細胞のコラーゲン産生の増加を、この方法を用いることによって、ペプチド性活性剤の存在下で定量した。ヒト皮膚線維芽細胞を、包皮から単離し、培地中で増殖させた。
【0080】
対応するペプチド(活性剤)とともに温置して72時間後に、I型コラーゲンに特異的な抗体を用いて、定量的決定を実施した。
【0081】
【表2】

【0082】
第一AB(MAB1340;Chemicon)および第二AB(31430;Socochim S.A.)を、AB希釈液で1/500に希釈した。
【0083】
方法:
線維芽細胞を、96穴プレートの1ウェルあたり約5,000細胞の密度で、培地中で3日間、密集期(density)まで温置した(37℃/5%CO2)。培地を、異なる3種類の濃度の試験物質を有する、三重の試験培地と交換した。各プレート上で、下記の対照を試験した:
【0084】
【表3】

【0085】
プレートを更に72時間温置した後、沈澱したI型コラーゲンを下記のプロトコルに従って検出かつ定量した:
・培地を捨て、200μl/ウェルのPBSで洗浄する。
・600rpmの振盪器上で、100μl/ウェルのメタノールで、室温で15分間固定する。
・メタノールを捨て、600rpmの振盪器上で、200μl/ウェルの乳液で、室温で30分間遮断する。
・乳液を捨て、600rpmの振盪器上で、100μl/ウェルの第一AB希釈液とともに室温で2時間温置する。
・第一AB希釈液を捨て、200μl/ウェルの洗浄緩衝液で3回洗浄する。
・600rpmの振盪器上で、100μl/ウェルの第二AB希釈液とともに室温で3時間温置する。
・第二AB希釈液を捨て、200μl/ウェルの洗浄緩衝液で3回および100μl/ウェルのPBSで1回洗浄する。
・600rpmの振盪器上で、100μl/ウェルの基質溶液を室温で20分間加える。
・50μl/ウェルのH2SO4(2M)で反応を停止し、492nmで測定する。
【0086】
【表4】

【0087】
実施例2
軟膏の形成
方法:成分1〜5(A)を70℃に加熱した。成分6〜7(B)を75℃に加熱した。撹拌しつつ、BをAに加え、50℃に冷却し、均質化し、30℃に冷却する。その後、成分8〜9(C)および成分10(D)を逐次加え、混合物を撹拌冷却する。
【0088】
【表5】

【0089】
実施例3
ゲルの形成:
方法:成分2〜6(A)を脱イオン水に逐次溶解する。成分7(B)でpHを6.0に調整して、成分8(C)を加える。
【0090】
【表6】

【0091】
実施例4〜8
下記の実施態様4〜8は、本発明の式(I)の化合物およびそのような化合物の塩の合成を記載する。実施例に従って得られた溶出液および生成物は、プロトンNMR、HPLC−エレクトロスプレーMSまたは微量分析を用いて分析する。化合物は、以下に記載する公知の方法に従って製造する(M. Bodanszky, "The Practice of Peptide Synthesis", Springer, 2nd Ed., 1994からの一般的な教示)。従って、アミノ酸、たとえばリシンを、固相合成におけるカルボキシル末端にて樹脂に結合し、この際、そのアミノ基は、保護基、たとえばFmoc保護基で保護される。側鎖は、たとえばBocまたはt−ブチルで保護される。必要ならば、更なるアミノ酸誘導体と結合するために、望みの鎖が完全に構築されるまで、ペプチド合成に一般的に用いられる試薬で保護基を選択的に切断する。その後、ペプチドを、カルボキシル末端にて樹脂から切り離し、粗製ペプチドを、適切な溶媒混合物に浸漬すること(instillation)によって沈澱させる。混合物をHPLCによって、場合により、反対のイオン中で交換しつつ、精製し、この物質を凍結乾燥する。
【0092】
実施例4
エライドイル−Lys−Thr−Lys−OH *2TFA
保護ペプチドを、Fmoc−Thr(tBu)−OH、Fmoc−Lys(Boc)−OHおよびエライドイル−OSuを用いて、H−Lys(Boc)−2−クロロトリチル樹脂1.00g(0.78mmol)上で構築する。樹脂を、95%TFA8mlで30分間処理し、溶液をEt2O100ml中に一滴ずつ注ぎ込む。沈澱を、吸引捕集し、洗浄し、分取HPLCによって精製し、乾燥し、凍結乾燥する。
収量:73mg(0.097mmol、12%)
【0093】
実施例5
H−Lys−Thr−Lys−OH *3TFA
保護ペプチドを、Fmoc−Thr(tBu)−OHおよびZ−Lys(Z)−OHを用いて、H−Lys(Boc)−2−クロロトリチル樹脂3.00g(2.58mmol)上で構築する。樹脂を、95%TFA20mlで30分間処理し、溶液を400mlのtBuOMe:PE=1:1中に一滴ずつ注ぎ込む。沈澱を、吸引捕集し、洗浄し、分取HPLCによって精製し、乾燥する。
【0094】
部分的に保護されたペプチドを、50mlのジオキサン:水=4:6に溶解し、Pd/C200mgおよび3当量のTFAと混合し、H2雰囲気下で5時間還元する。混合物を、セライト越しに濾過し、回転し、分取HPLCによって精製し、凍結乾燥する。
【0095】
実施例6
パルミトイル−Lys−Val−Lys−OH *2AcOH
保護ペプチドを、Fmoc−Val−OH、Fmoc−Lys(Boc)−OHおよびパルミトイル−OSuを用いて、H−Lys(Boc)−2−クロロトリチル樹脂1.00g(0.80mmol)上で構築する。樹脂を、95%TFA8mlで30分間処理し、溶液をEt2O100ml中に浸漬した。沈澱を、吸引捕集し、洗浄し、分取HPLCによって精製し、乾燥する。この物質を、30mlのジオキサン:水=4:6中で希釈し、BioRad樹脂(酢酸塩形態)2.0gで終夜処理し、濾過し、回転し、凍結乾燥する。
収量:110mg(0.15mmol、19%)
【0096】
実施例7
H−Lys−Val−Lys−NH−セチル *3TFA
保護ペプチドを、Fmoc−Val−OHおよびBoc−Lys(Boc)−OHを用いて、H−Lys(Boc)−2−クロロトリチル樹脂13.5g(10.8mmol)上で構築する。樹脂を、塩化メチレン中1%のTFA80mlで3x10分間処理し、溶液をピリジン:メタノール溶液で中和し、分取HPLCによって精製する。
収量:Boc−Lys(Boc)−Val−Lys(Boc)−OH4.66g(6.915mmol、64%)
【0097】
DIPEA84μl(0.441mmol)、TBTU78.5mg(0.245mmol)およびセチルアミン59.1mg(0.245mmol)を、DMF5ml中のBoc−Lys(Boc)−Val−Lys(Boc)−OH150mg(0.223mmol)に加える。30分後、反応溶液を、水性抽出に付し、有機相からの残渣を、95%TFAで30分間処理し、分取HPLCによって精製する。
収量:H−Lys−Val−Lys−NH−セチル *3TFA48.2mg(0.051mmol、23%)
【0098】
実施例8
H−Lys−Val−Lys−O−オクチル *3TFA
オクタノール10mlを−10℃に冷却し、SOCl275μl(1.03mmol)を注意深く加える。10分後、Boc−Lys(Boc)−Val−Lys(Boc)−OH150mg(0.223mmol)を加え、混合物を3日間撹拌する。生成物を、分取HPLC越の精製によって得る。
収量:H−Lys−Val−Lys−O−オクチル *3TFA165.6mg(0.200mmol、90%)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式I:
【化3】


[式中、R1は、H、−C(O)−R6、−SO2−R6または−C(O)−XR6を表し、
2およびR4は、互いに独立して、(CH2n−NH2または(CH23−NHC(NH)NH2を表し、
nは、1〜4に等しく、
3は、ヒドロキシルで場合により置換された、直鎖または分枝鎖C1〜C4アルキルを表し、
5およびR6は、互いに独立して、水素、場合により置換されたC1〜C24アルキル、場合により置換されたC2〜C24アルケニル、場合により置換されたフェニル、場合により置換されたフェニル−C1〜C4アルキル、または9−フルオレニルメチルを表し、
Xは、酸素(−O−)または−NH−を表すか、あるいは
X=OであるXR5は、α−トコフェロール、トコトリエノールまたはレチノールのエステルも表すが、
同時に、R1およびR5が水素を表さず、Xが酸素を表さない]
で示されるトリペプチド誘導体。
【請求項2】
1が−C(O)−R6を表すことを特徴とする、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
2およびR4が(CH2n−NH2を表すことを特徴とする、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
5が水素を表すことを特徴とする、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
式Iの化合物が、酸、好ましくは無機酸、または適切な有機脂肪族飽和もしくは不飽和カルボン酸、または芳香族カルボン酸、または芳香族−脂肪族カルボン酸、またはヘテロ芳香族カルボン酸、または脂肪族もしくは芳香族スルホン酸、好ましくは酢酸、トリフルオロ酢酸および/もしくは乳酸と一緒になって、一価または多価の均質であるか、もしくは混合した塩を形成することができることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項記載の化合物。
【請求項6】
純粋な異性体、または異なる異性体の混合物として、および回転異性体の混合物として存在することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項記載の化合物。
【請求項7】
1が−C(O)−R6を表し、R2およびR4が(CH2n−NH2を表し、nが1〜4に等しく、R3が、ヒドロキシルで場合により置換された、直鎖または分枝鎖C1〜C4アルキルを表し、R5が、水素、場合により置換されたC1〜C24アルキル、または場合により置換されたC2〜C24アルケニルを表し、R6が、場合により置換されたC1〜C24アルキル、または場合により置換されたC2〜C24アルケニルを表し、Xが酸素(−O−)または−NH−を表すか、あるいはX=OであるXR5が、α−トコフェロール、トコトリエノールまたはレチノールのエステルも表すことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項記載の化合物。
【請求項8】
式:
【表7】






で示される化合物、およびその酸付加塩。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項記載の化合物を合成する方法であって、それ自体はペプチド化学に公知である方法を適用することによって、式Iの化合物を完全に組み立てる工程、場合により、残余の保護基を切断する工程、場合により、自由なアミノ基をアシル化もしくはスルホニル化する工程、ならびに/または得られた化合物を酸付加塩へと転換する工程、および/もしくは得られた酸付加塩を、対応する共役塩基またはもう一つの塩へと転換する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
美容活性剤、特にヒトの皮膚におけるコラーゲンおよびエラスチン産生を増大させるためのそれとしての、請求項1〜8のいずれか一項記載の化合物の使用。
【請求項11】
美容活性組成物、特に皮膚手入れ製品として、特にしわの形成および増加、ならびに自然であるか(内因性)、または加速された(外因性)皮膚加齢のすべての結果を防止するためのそれとしての美容活性組成物を製造するための、請求項1〜8のいずれか一項記載の化合物の使用。
【請求項12】
請求項1〜8のいずれか一項記載の少なくとも1種類の化合物を、本発明の化合物および担体の重量を基準に算出して、好ましくは、0.5〜1,000ppm(重量比)、好ましくは1〜100ppm(重量比)にわたる量で含む美容活性組成物。
【請求項13】
(a)請求項1〜8のいずれか一項記載の一般式(I)で示される少なくとも1種類のトリペプチド誘導体および
(b)落屑活性剤、にきび止め剤、ビタミンB3化合物、レチノイド、ジ−、トリ−、テトラ−およびペンタ−ペプチドおよびその誘導体、ヒドロキシ酸、ラジカル捕集剤、抗炎症剤、日焼け活性剤、美白剤、抗セリュライト剤、フラボノイド、抗微生物活性剤、皮膚治癒剤、抗真菌活性剤、日焼け止め剤、ファルネソール、フィタントリオール、アラントイン、グルコサミン、ならびにそれらの混合物を含む群から選ばれる、安全かつ効果的な量の、少なくとも1種類の追加の皮膚手入れ活性剤
を含むことを特徴とする美容活性組成物。
【請求項14】
皮膚科学的に許容され得る担体を含む、請求項13記載の皮膚手入れ組成物。
【請求項15】
溶液、分散、乳濁液の形態をなすか、または担体、好ましくはマクロ−、ミクロ−もしくはナノ−カプセル、リポソームもしくはキロミクロンに封入されているか、あるいはマクロ−、ミクロ−もしくはナノ−粒子、またはミクロスポンジに封入されているか、あるいは粉末化された有機重合体、タルク、ベントナイトまたは他の鉱物性担体に吸着されていることができることを特徴とする、請求項12〜14のいずれか一項記載の組成物。
【請求項16】
経皮適用のための、乳濁液、乳液、ローション剤、軟膏、ゲル形成性かつ粘稠であり、界面活性性かつ乳化性の重合体、ポマード、シャンプー、石鹸、ゲル、粉末、スティックもしくはペンシル、噴霧剤、ボディーオイル、顔面マスクまたは硬膏の形態をなすことができることを特徴とする、請求項12〜14のいずれか一項記載の組成物。
【請求項17】
美容活性剤、特にヒトの皮膚におけるコラーゲンおよびエラスチン産生を増大させるためのそれとして、皮膚手入れ製品、特にしわの形成および増加、ならびに自然であるか(内因性)、または加速された(外因性)皮膚加齢のすべての結果を防止するためのそれとしての、請求項12〜16のいずれか一項記載の組成物。
【請求項18】
ヒトの皮膚におけるコラーゲンおよび/もしくはエラスチン産生を増大させるか、ならびに/または皮膚加齢を遅延もしくは処置するための方法であって、請求項1〜8のいずれか一項記載の化合物を、皮膚に適用することを特徴とする方法。

【公開番号】特開2011−137021(P2011−137021A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−33175(P2011−33175)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【分割の表示】特願2006−504188(P2006−504188)の分割
【原出願日】平成16年5月7日(2004.5.7)
【出願人】(503220392)ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. (873)
【Fターム(参考)】