説明

皮膚の色の発現形態の分類法及びこれに基づいた化粧料の選択方法

【課題】 MC1RのSNPを利用した、客観的に皮膚の色の発現形態を分類方法を提供し、以て、個々人に適した化粧料を選択する手段をも提供する。
【解決手段】 皮膚の色の発現形態を分類する場合において、刺激による皮膚の黒くなりやすさと、皮膚自体の色の黒さの2軸で特性を鑑別する方法であって、ヒトメラノサイト刺激ホルモン1受容体のDNA塩基配列の内、プロモーター部分490位、445位及び226位の塩基の組み合わせを指標とすることを特徴とする、皮膚の色の発現形態の分類法に従って分類し、該分類に従って化粧料を選択する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒトメラノサイト刺激ホルモン1受容体のDNA配列のプロモーター部分の一塩基置換を利用した皮膚の色の発現形態の分類法及び該分類法を利用した化粧料の選択方法に関する。なお、本発明においては、コーディング部位の直前の部位をプロモーター1位と定義する。
【背景技術】
【0002】
メラノサイト刺激ホルモンは、メラニンの産生や炎症に関わるホルモンであり、そのうちメラノサイト刺激ホルモン1は主としてメラニンの産生に関わっていると言われている。メラノサイト刺激ホルモン1受容体(以後、単にMC1Rと称する場合がある。)はこの意味で、生体のメラニン産生と深く関わっていると言える。又、かかるMC1RをコードしたDNAについても、その塩基配列は明らかにされている。かかるMC1Rの954塩基対(合計317アミノ酸)からなるコーディング領域については、アミノ酸92位のバリン、同163位のアルギニン等に一塩基置換(以後、単にSNPと称することもある。)が存在することが知られている(例えば、非特許文献1、非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4)し、この様なSNPの中には、肌色や、毛髪の色などに影響を及ぼすものも存することが知られている。しかしながら、ヒトメラノサイト刺激ホルモン1受容体をコードした核酸のコーディング部位の直前の部位をプロモーター1位と定義した場合の、プロモーター部分の塩基配列の一塩基置換の存在の有無、又、その利用については全く知られていないのが現状であった。
【0003】
一方、皮膚についての個人差の大きさは、化粧品技術者の誰もが認識するところであり、この個人差を克服して、個人個人に適した化粧料を提供することは、化粧品技術者の誰もが見る夢であるが、どのように個人個人に適しているか否かを判別することについては、確固たる技術は存しておらず、経験によるところが少なくなかった。この意味で、客観的な化粧料の選択方法の開発が望まれていると言える。
【0004】
【非特許文献1】Am.J.Hum.Genet.,2000,vol.66,1351-1361
【非特許文献2】Human Molecular Genetics,2000.vol.9(17),2531-2537
【非特許文献3】Journal of Cell Science,2002,vol.115,2349-2355
【非特許文献4】Human Molecular Genetics,2001,vol.10(16),1701-1708
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、この様な状況下為されたものであり、MC1RのSNPを利用した、客観的に皮膚の色の発現形態を分類方法を提供し、以て、個々人に適した化粧料を選択する手段をも提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この様な状況に鑑みて、本発明者らは、個々人に適した化粧料を選択する手段を提供すべく、MC1RのSNPを利用した、客観的に皮膚の色の発現形態を分類方法を求めて、鋭意研究努力を重ねた結果、ヒトメラノサイト刺激ホルモン1受容体のDNA塩基配列の内、前記プロモーター部分490位、445位及び226位の塩基の組み合わせを指標とすることにより、この様な分類ができることを見いだし、発明を完成させるに至った。即ち、本発明は以下に示す通りである。
(1)皮膚の色の発現形態を分類する場合において、刺激による皮膚の黒くなりやすさと、皮膚自体の色の黒さの2軸で特性を鑑別する方法であって、ヒトメラノサイト刺激ホルモン1受容体のDNA塩基配列の内、プロモーター部分490位、445位及び226位の塩基の組み合わせを指標とすることを特徴とする、皮膚の色の発現形態の分類法。
(2)ヒトメラノサイト刺激ホルモン1受容体のDNA塩基配列の内、プロモーター部分490位、445位及び226位の塩基の組み合わせによる分類が、1)490位C、445位G、226位A/490位C、445位G、226位Aと2)490位C、445位G、226位A/490位T、445位A、226位Tと3)490位T、445位A、226位T/490位T、445位A、226位Tの何れかに属するで分類することを特徴とする、(1)に記載の皮膚の色の発現形態の分類法。
(3)ヒトメラノサイト刺激ホルモン1受容体のDNA塩基配列の内、プロモーター部分に490位C、445位G、226位Aの塩基配列を持つ蓋然性が高い場合、定常的なメラニン産生量が多い人と分類することを特徴とする、(1)又は(2)に記載の皮膚の色の発現形態の分類法。
(4)人より採取した毛髪より、DNAを抽出し、該DNAのメラノサイト刺激ホルモン1受容体に関するプロモーター領域とコーディング領域を含む882塩基対をttgacagctgagttgctgct(配列式1)のオリゴヌクレオチドとaggaagagcccgtcagagat(配列式2)のオリゴヌクレオチドをプライマーとして、これらの存在下増幅し、しかる後、acccctgtcctccctgag(配列式3)、caggaaggcaggagacagag(配列式4)、tcagagatggacacctccag(配列式5)、gacacctcctggcatctacc(配列式6)のオリゴヌクレオチドをプライマーして、これらの存在下シークエンス反応を行い、しかる後に配列を解読し、プロモーター部分490位、445位及び226位の塩基を同定し、該塩基のパターンより、1)490位C、445位G、226位A/490位C、445位G、226位Aと2)490位C、445位G、226位A/490位T、445位A、226位Tと3)490位T、445位A、226位T/490位T、445位A、226位Tの何れかに分類し、1)に分類される人には定常的にメラニンの生成を抑制する化粧料を勧め、2)に分類される人には、定常的にメラニンの生成を抑制する化粧料と、紫外線防護化粧料とを併用することを勧め、3)に分類される人には紫外線防護化粧料の定常的に使用することを勧めることを特徴とする、(1)〜(3)何れか1項に記載の皮膚の色の発現形態の分類法に基づいた化粧料の選択方法。
(5)ヒトメラノサイト刺激ホルモン1受容体をコードした核酸のプロモーター部分の塩基配列490位、445位及び226位の塩基の一塩基置換の化粧料の選択のための使用。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、MC1RのSNPを利用した、客観的に皮膚の色の発現形態を分類方法を提供し、以て、個々人に適した化粧料を選択する手段をも提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の中心部分は、MC1Rをコードする核酸のプロモーター部分にSNPが存在し、該SNPの種類により、発現系である皮膚の色が影響を受けていること見いだしたこと、該SNPより、1)490位C、445位G、226位A(以後、単にCGAと記す場合もある)/490位C、445位G、226位Aと2)490位C、445位G、226位A/490位T、445位A、226位T(以後、単にTATと記す場合もある)と3)490位T、445位A、226位T/490位T、445位A、226位Tの3分類とすることができ、この3分類の何れかに分類することができ、CGAの個数が多いほど定常的なメラニン産生能が高まり、TATの個数が多いほど刺激に反応して産生されることを見いだしたことである。
【0009】
前記SNPを検出するに当たり、人よりDNAを抽出し、MC1Rコード部分を増幅する必要が存するが、ヒトMC1Rの塩基配列に関しては、既に公知であり(例えば、GenBank Accession No.NM_002386参照)、この配列を元にプライマーを常法に従って設計し、PCRにかけて増幅することができる。この様なプライマーとしては、ttgacagctgagttgctgct(配列式1)のオリゴヌクレオチドとaggaagagcccgtcagagat(配列式2)のオリゴヌクレオチドとプライマーとして用いることが好適に例示できる。又、DNAを抽出するためのサンプルとしては、口腔内粘膜細胞、毛髪、眉毛などが例示でき、眉毛をサンプルとして、市販のDNA抽出キットを用いて抽出することが好ましく例示できる。この様な抽出キットとしては、例えば、ISO HAIR kit(ニッポンジーン社製)等が好適に例示できる。斯くして、増幅されたMC1RのDNAより、SNPを検出するわけであるが、かかる検出には、通常用いられている方法が例示でき、例えば、MC1R遺伝子の全塩基配列を決定しても良いし、1塩基のみを指標にして解析しても良い。1塩基だけを指標として解析する方法としては、例えば、RPA(Rnase Protection assay)法、DGGE(denaturing gradient gel electrophoresis)法、SSCP(single strand conformation polymorphism)法、MASA(mutant-allele-specific amplification)法、ASO(allele-specific-oligonucleotide)ハイブリダイゼーション法、オリゴヌクレオチドアレイ法などが好ましく例示できる。この一例を以下に示す。
【0010】
増幅したMC1RのDNAはシークエンス反応に付す。即ち、ABI BigDye Terminator Cycle Sequencing kit(Ver.3.1 アプライドバイオ社製)を用い、プライマーはacccctgtcctccctgag(配列式3)、caggaaggcaggagacagag(配列式4)、tcagagatggacacctccag(配列式5)及びgacacctcctggcatctacc(配列式6)の4種を使用した。反応条件は98℃5分、98℃10秒―50℃5分―60℃4分を25サイクルで行った。シークエンス反応物をDyeEXTM Spin Kit(キアゲン社製)を用いてカラムによる未反応物の除去による精製を行った。シークエンス反応物をABI PRISM 3100 Genetic Analyzer(アプライドバイオ社製)を用いて配列の解読をし、精度よく解読されたプロモーター領域718bpについて、SeqScape Ver.2.(アプライドバイオ社製)を用いてSNP判定を行った。
【0011】
この結果、前記のCGA/CGA、CGA/TAT及びTAT/TATの3種のSNPの組み合わせが存することがわかった。245名の男女(年齢20〜55歳)のパネラーより採取した眉毛より求めた、SNPの組み合わせは表1に示すとおりであった。
【0012】
【表1】

【0013】
又、既に知られているMC1R遺伝子のコーディング領域163位のSNPの組み合わせとの相関性を見てみると以下の表2に示すようになる。即ち、コーディング領域アミノ酸Gln/Glnとプロモーター部TAT/TATが、アミノ酸Gln/ArgとCGA/TATが、アミノ酸Arg/ArgとCGA/CGAとが非常に相関していることがわかる。コーディング領域のSNPの発現への影響を除去するために、CGA/TATについては、Gln/Argの人だけを、CGA/CGAについては、Arg/Argの人だけを解析対象とした。
【0014】
【表2】

【0015】
この様な前提のもとに、CGA/CGAのタイプの人と、CGA/TATタイプの人の肌の特性の比較を行った。
(1) 顔色 (ITA 値)をコニカミノルタ社製の色彩色差計を用いて計測した。結果を表3に示す。TAT/OGAタイプの人の方がCGA/OGAタイプの人よりITA値が低く、顔の色が定常的に黒いことがわかる。TATパターンのSNP組み合わせを持つことにより、定常的な紫外線刺激に対するメラニン産生能が高いことが示唆される。
【0016】
【表3】

【0017】
(2)スキンタイプの鑑別を行った。スキンタイプは照射ドーズを振って、紫外線を照射し、最少紅斑量を求めることにより、最少紅斑量の多少と、照射後24時間、48時間、96時間の皮膚反応より、下記の基準に従って、スキンタイプを決定した。SNPの組み合わせとスキンタイプの関係を表4に示す。これよりTAT/CGAの人はCGA/CGAタイプの人より、スキンタイプ3の性質を有する蓋然性が高いことがわかる。
スキンタイプ1:照射後24時間以内に紅斑が出現し、96時間では黒化を経ずに紅斑が消衰する。最少紅斑量は少ない。
スキンタイプ2:照射後24時間以内に紅斑が出現し、48時間で黒化に転じ、96時間では赤みがなく、黒くなる。最少紅斑量は多くも少なくもない。
スキンタイプ3:紅斑が出現せずに、そのまま黒化する。最少紅斑量は多い。
【0018】
【表4】

【0019】
(3)これらのパネラーについて、黒子の存在状況を第三者によって観察した。観察の基準は、距離100cmで顔を観察して、目立つ黒子の数を計数し、10個未満の場合には「黒子が少ない」に、10以上20未満の場合に「黒子が中程度」に、20個以上の場合には「黒子が多い」に分類した。客観性を維持するために、観察者は3名とし、観察結果が割れた場合には多数の方に分類した。結果を表5に示す。これより、黒子のたくさん存在する蓋然性は、TAT/CGAの人の方がCGA/CGAタイプの人より高いことがわかる。
【0020】
【表5】

【0021】
これらのデータより、TATのSNPの組み合わせを有することにより、UV刺激を受けて、メラニン産生を亢進させやすい基質を有するようになることが推察された。このこと検証する為に、更に、コーディング163位アミノ酸Gln/Argの人について、CGA/CGA、CGA/TAT及びTAT/TATについての解析を同様に行った。
【0022】
(4)腕の色についての解析
紫外線が当たりにくく、光の刺激のないところでの肌の色に代替する、上腕内側部の色を顔の色と同様に測定し、比較した。結果を表6に示す。CGA/CGAとTAT/TATの間では、P=0.0368で有意差が認められた。これより、CGAのSNPの組み合わせを有することにより、刺激を受けない基底状態でのメラニン産生が亢進する基質を有しやすいことがわかる。
【0023】
【表6】

【0024】
(5)スキンタイプの解析
(2)と同様にスキンタイプの解析を行った。結果を表7に示す。これより、(2)と同様にTATのSNPの組み合わせが紫外線に反応してメラニンを作りやすい形質を受け継ぐことがわかる。
【0025】
【表7】

【0026】
(6)シミの解析
(3)黒子の黒子の解析の手技と同様の手技で観察対象をシミにして、同様にシミの判定を行った。判定基準は次に示すものを用いた。即ち、観察の基準は、距離100cmで顔を観察して、目立つシミの数を計数し、シミが見あたらない場合は「シミスコア1」に、1個以上10個未満の場合には「シミスコア2」に、10以上15未満の場合に「シミスコア3」に、15個以上20個未満の場合には「シミスコア4」に、20個以上の場合には「シミスコア5」に分類した。結果を表8に示す。これより、CGA/CGA>CGA/TAT>TAT/TATの順でシミが重篤になることがわかる。CGAのSNP組み合わせを有することは、シミを重篤化させやすい形質を引き継ぐ傾向にあることがわかる。
【0027】
【表8】

【0028】
以上の解析結果より、MC1Rのプロモーター領域にCGAのSNP組み合わせによって発現される形質は、定常的にメラニンの産生が亢進している形質で光などの刺激の非存在下でもメラニン産生が亢進され、肌の色が黒くなりやすい形質となる。この様な形質に対しては普段の肌の手入れにおいて、常に美白作用を有する化粧料を使用することが好ましい。取り分け、美白作用に於いては、メラニン産生抑制作用のみならず、例えば、メラノサイトのデンドライトの伸長を抑制する成分や、メラニン顆粒を分解する成分を併せて含有させ、メラニンの産生を多面的に抑制することが好ましい。メラニン産生抑制成分としては、アルブチン、トラネキサム酸、アスコルビン酸リン酸エステル、アスコルビン酸グルコシド或いはこれらの塩等が好ましく例示でき、デンドライトの伸長を抑制する成分としては、センタウレイジンやメチルオフィオポゴナノンB等が好ましく例示でき、メラニン産生抑制成分としてはイソフラバノン類が好ましく例示できる。これらの成分の含有量は、それぞれ0.1〜5質量%が好ましい。TATのSNP組み合わせによって発現される形質は光に敏感に反応して、メラニンの産生を亢進させる形質であり、この様な形質に於いては、光の刺激を生体が受けないことが肝要であり、二酸化チタンや酸化亜鉛を配合した紫外線防護化粧料で紫外線からの防護に注力するとともに、光刺激によってメラニンの生じるのを速やかに抑制するための美白化粧料を使用することが好ましい。この場合、メラニンの生成抑制については、定常的にはメラニンの産生は高いわけではないので、多面的な抑制は要しない。この様な基準で化粧料を選択し、勧めることで、個々人に適合して、白く美しい肌を実現し、これを維持することができる。総括すれば、CGA/CGAに分類される人には定常的にメラニンの生成を抑制する化粧料を勧め、CGA/TATに分類される人には、定常的にメラニンの生成を抑制する化粧料と、紫外線防護化粧料とを併用することを勧め、TAT/TATに分類される人には紫外線防護化粧料の定常的に使用することを勧めることが好ましいと言える。
【0029】
以下に、実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明を加えるが、本発明が、かかる実施例にのみ限定されないことは言うまでもない。
【実施例1】
【0030】
本発明の皮膚の色の発現形態の分類法と、それを利用した化粧料の選択方法の効果を確かめるために、パネラーを用いて使用テストを行った。パネラーは1群20名とし、本発明の皮膚の色の発現形態の分類法と、それを利用した化粧料の選択方法群(本発明群)と、対照としての自由選択群(対照群)の2群の計40名(男性、25〜55歳)を用意した。各パネラーは試験開始前に眉毛を採取され、この眉毛より、前述の方法でMC1Rのプロモーター領域のSNPの組み合わせを判定しておいた。40人のパネラーはパネラー属性に差が生じないように又、化粧料としては、各人2種を選択してもらう試験設計とし、1種として紫外線防護化粧料を「紫外線防護化粧料1」と「紫外線防護化粧料2」(プラシーボ)の何れかを、残る1種として、美白化粧料を「美白化粧料1」(多面的メラニン産生抑制効果を有する)と「美白化粧料2」(メラニン産生抑制剤としてアルブチンのみを含有)の何れかを選択してもらった。選択に際しては、本発明群は、CGA/CGAの人は紫外線防護化粧料2と美白化粧料1を、CGA/TATの人は、紫外線防護化粧料1と美白化粧料1を、TAT/TATの人は紫外線防護化粧料1と美白化粧料2を渡した。対照群は、個人の選択に任せて紫外線防護化粧料と美白化粧料とを選択してもらった。提供した化粧品以外の化粧品の使用は控えてもらった。選択した化粧料は28日間連日使用してもらった。試験開始前と28日間の連用試験の終了後に肌の色を前述の方法と同じ方法で測定した。試験前のITA値から試験後のITA値を減じたΔITAを算出し、各群ごとに平均と偏差を求めた。結果を表13に示す。これより、本発明の皮膚の色の発現形態の分類法を利用した化粧料の選択方法によって、化粧料を選択した群の方がΔITAの値が大きく、肌色改善効果に優れることがわかる。
【0031】
【表9】

【0032】
【表10】

【0033】
【表11】

【0034】
【表12】

【0035】
【表13】

【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、個人個人に適した化粧料を選択するカウンセリング販売に応用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚の色の発現形態を分類する場合において、刺激による皮膚の黒くなりやすさと、皮膚自体の色の黒さの2軸で特性を鑑別する方法であって、ヒトメラノサイト刺激ホルモン1受容体のDNA塩基配列の内、プロモーター部分490位、445位及び226位の塩基の組み合わせを指標とすることを特徴とする、皮膚の色の発現形態の分類法。
【請求項2】
ヒトメラノサイト刺激ホルモン1受容体のDNA塩基配列の内、プロモーター部分490位、445位及び226位の塩基の組み合わせによる分類が、1)490位C、445位G、226位A/490位C、445位G、226位Aと2)490位C、445位G、226位A/490位T、445位A、226位Tと3)490位T、445位A、226位T/490位T、445位A、226位Tの何れかに属するで分類することを特徴とする、請求項1に記載の皮膚の色の発現形態の分類法。
【請求項3】
ヒトメラノサイト刺激ホルモン1受容体のDNA塩基配列の内、プロモーター部分に490位C、445位G、226位Aの塩基配列を持つ蓋然性が高い場合、定常的なメラニン産生量が多い人と分類することを特徴とする、請求項1又は2に記載の皮膚の色の発現形態の分類法。
【請求項4】
人より採取した眉毛より、DNAを抽出し、該DNAのメラノサイト刺激ホルモン1受容体に関するプロモーター領域とコーディング領域を含む882塩基対をttgacagctgagttgctgct(配列式1)のオリゴヌクレオチドとaggaagagcccgtcagagat(配列式2)のオリゴヌクレオチドをプライマーとして、これらの存在下増幅し、しかる後、acccctgtcctccctgag(配列式3)、caggaaggcaggagacagag(配列式4)、tcagagatggacacctccag(配列式5)、gacacctcctggcatctacc(配列式6)のオリゴヌクレオチドをプライマーして、これらの存在下シークエンス反応を行い、しかる後に配列を解読し、プロモーター部分490位、445位及び226位の塩基を同定し、該塩基のパターンより、1)490位C、445位G、226位A/490位C、445位G、226位Aと2)490位C、445位G、226位A/490位T、445位A、226位Tと3)490位T、445位A、226位T/490位T、445位A、226位Tの何れかに分類し、1)に分類される人には定常的にメラニンの生成を抑制する化粧料を勧め、2)に分類される人には、定常的にメラニンの生成を抑制する化粧料と、紫外線防護化粧料とを併用することを勧め、3)に分類される人には紫外線防護化粧料の定常的に使用することを勧めることを特徴とする、請求項1〜3何れか1項に記載の皮膚の色の発現形態の分類法に基づいた化粧料の選択方法。
【請求項5】
ヒトメラノサイト刺激ホルモン1受容体をコードした核酸のプロモーター部分の塩基配列490位、445位及び226位の塩基の一塩基置換の化粧料の選択のための使用。

【公開番号】特開2007−252348(P2007−252348A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−84710(P2006−84710)
【出願日】平成18年3月27日(2006.3.27)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【Fターム(参考)】