説明

皮膚又は毛髪の増進用組成物

【課題】皮膚又は毛髪の特質の増進に有効な組成物の提供。
【解決手段】(A)皮膚処理用化合物又は毛髪処理用化合物、(B)構造:


(式中、X及びYは酸素、硫黄等である。m及びnは1〜20の整数であり、p、q及びrは0又は1の整数である。Rは水素又は1〜6の炭素原子を有するアルキル基であって直鎖状でも分枝状でもよい。)を有する増進剤、(C)担体、及び任意に(D)化粧用添加剤を含む、皮膚又は毛髪の特質を増進するための組成物並びにその使用。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
発明の分野
本発明は、身体の生理学的状態を改善するための手段に関する。より詳しくは、本発明は、皮膚又は毛髪の特質の増進に有効な組成物に関する。
皮膚の種々の特性、例えば、皮膚の滑らかさ及び皮膚のきめのような特性の増進に有効な材料には様々な種類のものが存在することが知られている。そのような材料としては、例えば、ビタミン、酸化防止剤、増殖因子及びステロイドが挙げられる。同様に、毛髪の種々の特性を増進するのに有効な材料にも様々な種類のものがあることは知られており、例えば、ヘアーコンディショナーとして作用する材料及び毛髪の扱いやすさを改善するように作用する材料が挙げられる。
本発明は、皮膚又は毛髪の特質を増進するための改良型組成物の提供に関する。
発明の概要
本発明によれば、(A)皮膚処理用化合物又は毛髪処理用化合物、(B)下記に示したような増進剤、(C)担体、及び場合によっては(D)化粧用添加剤を含む、皮膚又は毛髪の特質の増進に有効な組成物が提供される。
本発明の別の観点では、皮膚又は毛髪に本発明の組成物を塗布することを含む、皮膚又は毛髪の1つ以上の特性を増進する方法が提供される。好ましい態様においては、組成物は、クリーム又はローションの状態で身体部分に塗布される。
本発明によって提供される多くの利点は、下記の実施例から明らかになるであろう。
発明の詳細な説明
上記のように、本発明の組成物は、皮膚処理用化合物又は毛髪処理用化合物、増進剤、担体、及び場合によっては化粧用添加剤を含む。
「皮膚処理用化合物」という用語は、皮膚の1つ以上の特性を増進するのに有効な材料を意味するものであり、これは、当業者に公知の標準的な評価方法を用いて、処理されていない皮膚の特質と前記材料で処理された皮膚の特質の間の、信頼度95%での統計学的有意差によって証明される。皮膚処理用化合物によって改善することができる皮膚の特徴又は特性としては、例えば、(A)皮膚の滑らかさ、(B)皮膚の表皮層の厚さ、(C)皮膚の細胞密度の増大、(D)骨間のくぼみの深さの減少、(E)皮膚の弾性、及び(F)皮膚のきめが挙げられる。上記タイプの皮膚特性を客観的に評価する方法は当業者には周知である。そのような方法としては、例えば、臨床評価、写真評価、シラスチックのキャスティング、超音波評価、組織学的検査、パンチ生検、及びテープストリッピングの使用が挙げられる。
本発明の実施において皮膚処理用化合物として使用するための材料の種類としては、例えば、栄養分、改質剤、若返り剤(回春剤)、ホルモン、調節因子、免疫モジュレーター、加湿剤、及び刺激剤が挙げられる。本発明の実施において使用するための皮膚処理用材料としては、例えば栄養分、すなわちビタミン、アミノ酸、及び炭水化物;改質剤、すなわちメラニン及び酸化防止剤;若返り剤、すなわち増殖因子及びヒト成長ホルモン;ホルモン、すなわちエストロゲン、プロゲステロン及びその他のステロイド、並びに成長ホルモン;調節因子、すなわちペプチド、タンパク質、及び抗センス変異体(aniti−sense variations);免疫モジュレーター、すなわちβ−1,3−グルカン及びファルネソール(farnesol);加湿剤、すなわち植物油、密ろう、及びその他のろう、ラノリン、脂肪酸エステル、鉱物油、並びにその他の疎水性材料;並びに刺激剤、すなわちニコチン酸トコフェリル、レチノイド及びα−ヒドロキシ酸が挙げられる。組成物には複数の皮膚処理用化合物を使用することができる。
皮膚処理用化合物によって皮膚に付与され、上記のように統計学的有意差を構成する改善の最小パーセントは、評価される皮膚特性並びに標本の大きさ及び分布によって変化する。例えば、表皮厚を評価する場合、当業者は、10%以上の改善を統計学的有意差とみなす。一方、皮膚の弾性を評価する場合、当業者は、少なくとも約30%の改善を統計学的有意差を構成するものとみなす。
皮膚処理用化合物は、下記の式Iの範囲に含まれる化合物である増進剤とともに使用される。

式中、X及びYは酸素、硫黄、又は構造=N−Rからなるイミノ基である。ただし、Yがイミノ基の場合、Xはイミノ基であり、Yが硫黄の場合、Xは硫黄

びYは前記のとおりである。m及びnは1〜20の整数であり、m+nの合計は25以下である。pは0又は1の整数である。qは0又は1の整数である。rは0又は1の整数である。Rは水素又は1〜6の炭素原子を有するアルキル基であって直鎖状でも分枝状でもよい。ただし、p、q及びrが0であって、Yが酸素の場合には、m+nは少なくとも11である。Rがアルキルの場合、Rは、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、アミル、ヘキシルなどであり得る。複数の増進剤を使用することができる。本発明の実施において使用するための増進剤は、非毒性であり、本発明の組成物を含む皮膚/毛髪処理用化合物と相溶性がある。皮膚処理用化合物とともに増進剤を使用することによって皮膚の特質がさらに改善される。そのような改善は、皮膚処理用化合物に関して上記したものと同じ方法論を使用することによって特定され、評価される。
好ましくは、増進剤は、環状ラクトン化合物(XとYが両方とも酸素であり、qが1であり、rが0である化合物)、環状ジエステル(XとYが両方とも酸素であり、qとrが両方とも1である化合物)、及び環状ケトン(qとrが両方とも0であり、Yが酸素である化合物)である。増進剤が環状ジエステルである場合、m+nは好ましくは少なくとも3である。増進剤が環状ケトンである場合、m+nは好ましくは11〜15であり、pは好ましくは0である。本発明の実施における使用に特に好ましい増進剤としては、上記(式I)の大環状ケトン及びラクトンが挙げられる。非常に好ましい増進剤はシクロペンタデカノリドである。
皮膚処理用化合物又は皮膚処理用化合物の混合物は、皮膚の特質を改善するのに有効な量で使用される。改善を得るのに必要な最小量は、使用される特定の皮膚処理用化合物又は皮膚処理用化合物の混合物によって変化する。一般的に、皮膚処理用化合物は組成物の少なくとも約0.01重量%で含まれるものと考えられる。典型的には、皮膚処理用化合物は組成物の約0.1〜約10重量%で含まれる。好ましくは、皮膚処理用化合物は、組成物の約0.5〜約3重量%で含まれる。
増進剤又は増進剤の混合物は、少なくとも、皮膚のさらなる改善、すなわち、皮膚処理用化合物によってもたらされる改善以上の改善を付与するのに有効な量で使用され得る。大部分の用途に対して、増進剤は組成物の約0.1〜約30重量%で含まれ、好ましくは約0.5〜約10重量%であり、特に好ましくは組成物の約2〜約5重量%で含む範囲であると考えられる。
本発明の皮膚改善用組成物は、一般的には、組成物を構成するその他の成分を溶解するか、又は固体粒子又は液体粒子の状態で分散させる担体も含む。任意の適当な材料、例えば、医薬組成物及び化粧組成物における使用に適する材料を担体として使用することができる。担体としては、例えば、水、アルコール、グリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール、植物及び動物からの油類、ろう類、酸類、アルコール類、エステル類、エーテル類、アミド類、エトキシレート類及びプロポキシレート類、エチレン類及びプロピレングリコールエーテル類、鉱油類及び鉱ろう類、シリコーン油類及びシリコーンワックス類、並びに界面活性剤が挙げられる。担体は、1つ以上の化合物を含むこともある。一般的に、担体は、組成物の約10〜約95重量%になる。
場合によっては、典型的に、組成物には、組成物にその他の所望の特性を付与する1つ以上の化合物も含まれる。そのような化合物は、典型的には、化粧組成物において添加剤として使用される種類の材料を含む。かかる材料としては、例えば、芳香剤、顔料又は染料などの着色剤、防腐剤、増粘剤、pH調節剤、安定剤、界面活性剤、及び乳化剤が挙げられる。
組成物の性状は液体、半固体、又は固体であり得る。組成物は、エアゾール容器から散塗できるように処方することができる。塗布の利便及び簡便さのため、組成物をクリーム又はローション状で使用することが推奨される。
皮膚改善組成物は、所望の改善を得るのに必要な頻度で皮膚に塗布することができる。塗布の回数は、組成物の性質及び対象となる皮膚の状態によって左右される。一般的には、組成物を1日2回(例えば、朝と晩)塗布することが多くの状態を処理するのに適しており、所望の結果を得るのに必要な期間、例えば、数週間、数ヶ月間又は永久的に継続することができる。一部の状態に対しては、組成物は2日又は3日毎に塗布することもできる。手の皮膚を処理する場合、洗浄後毎回組成物を塗布することを考慮に入れるべきである。
毛髪を処理するための組成物も本発明の範囲に含まれる。そのような組成物は、例えば、毛髪処理用化合物、例えば、ヘアコンディショナーとして作用する材料及び毛髪の扱いやすさを改善する化合物を含むこともある。かかる組成物は、毛髪処理用化合物及び上記の(式I)の増進剤、並びにその他の成分を、皮膚改善組成物に関して上記したような量で含むこともできる。
本発明の増進剤は、皮膚の上皮バリアに容易に又は簡単には浸透しない1つ以上の皮膚処理用化合物を含むいかなるタイプの皮膚増進組成物において有利に使用できることも認識されるべきである。そのような組成物は、当業者には周知である。かかる組成物の代表的なものは、酸化防止用組成物である。そのような組成物は、典型的には、種々の天然栄養分を含み、例えばビタミンが挙げられ、これは皮膚を回春させ、皮膚の老化徴候を遅延させ、皮膚細胞の活力を維持するように作用する。本発明の範囲に含まれる酸化防止用組成物と、レチンA(Retin A)、すなわちそのしわ防止特性が十分に記録されている材料とを使用した場合の生体内での比較研究において、本発明の組成物の効能は、上皮の厚さの増大を引き起こすという点でレチンAの効能と等しいが、レチンAで経験した副作用が無いということが確認された。
下記の実施例1〜3は、皮膚細胞に有益な天然栄養分を与えることによって天然修復プロセスを促進し、皮膚の老化を遅延させる酸化防止用組成物の実例である。この組成物で用いた増進剤はシクロペンタデカノリドである。増進剤は、皮膚細胞にそれらの滋養のために栄養分を効率的に送達することを促進するように作用するものと考えられている。これにより、皮膚の若返りが生じ、皮膚に輝くような若々しい外観が付与される。組成物の中での主な差違は成分の粘性及び濃度の相違に関係する。そのような相違は、例えば、日中の反復使用のために、特に身体又は手などの身体の一部を洗浄又はきれいにした後毎回使用するために、あるいは夜就寝前の塗布のために、塗布の簡便さ及び有効性に合せて組成物を調整することができることを示すものである。
実施例1−ハンド兼ボディローション
ビタミンAパルミチン酸エステル 0.38重量%
アスコルビン酸リン酸マグネシウム 0.75
ビタミンE酢酸エステル 0.38
α−ビスアボロール(Bisabolol) 0.38
パンテノール(パントテニルアルコール) 0.25
エデテート二ナトリウム 0.10
クエン酸ナトリウム 0.60
トロラミン(トリエタノールアミン) 1.70
ジエタノールアミンメトキシ桂皮酸エステル 2.00
(DEAメトキシ桂皮酸エステル)
アロエヴェラゲル(Aloe Vera Gel)濃縮物 1.00
白密ろう 0.50
軽鉱油 4.00
パルミチン酸セチル 1.00
大豆ステロール 1.00
セチルアルコール 2.00
ステアリン酸 3.00
カルボメル934(Carbomer934) 0.10
ビニルピロリドン/1−エイコセンコポリマー 1.00
メチルパラベン 0.20
プロピルパラベン 0.10
イミダゾリジニル尿素(イミドウレア) 0.30
ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT) 0.20
シクロペンタデカノリド 4.00
芳香剤 QS(適量)
水 QS(適量)
合計 100.00重量%
実施例2−ハンド兼ボディクリーム
ビタミンAパルミチン酸エステル 0.50重量%
アスコルビン酸リン酸マグネシウム 0.75
ビタミンE酢酸エステル 1.50
α−ビスアボロール(Bisabolol) 1.00
パンテノール(パントテニルアルコール) 1.00
エデテート二ナトリウム 0.10
クエン酸ナトリウム 0.60
トロラミン(トリエタノールアミン) 0.50
ジエタノールアミンメトキシ桂皮酸エステル 2.00
(DEAメトキシ桂皮酸エステル)
アロエヴェラゲル濃縮物 1.00
スクアレン 3.00
セチルエステル 2.00
ステアリルアルコール 4.00
PEG−40ステアレート 4.00
モノステアリン酸グリセリン 3.00
メチルパラベン 0.20
プロピルパラベン 0.10
イミダゾリジニル尿素(イミドウレア) 0.30
ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT) 0.20
シリコーン油 5.50
シクロペンタデカノリド 4.00
芳香剤 QS(適量)
水 QS(適量)
合計 100.00重量%
実施例3−ナイトクリーム
ビタミンAパルミチン酸エステル 0.375重量%
アスコルビン酸リン酸マグネシウム 3.000
ビタミンE酢酸エステル 1.500
α−ビサボロール(Bisabolol) 1.000
パンテノール(パントテニルアルコール) 1.000
エデテート二ナトリウム 0.100
クエン酸ナトリウム 0.600
トロラミン(トリエタノールアミン) 0.500
ジエタノールアミンメトキシ桂皮酸エステル 2.000
(DEAメトキシ桂皮酸エステル)
アロエヴェラゲル濃縮物 1.000
スクアレン 3.000
セチルエステル 2.000
軽鉱油 4.000
ステアリルアルコール 4.000
PEG−40ステアレート 2.500
モノステアリン酸グリセリン 4.500
メチルパラベン 0.200
プロピルパラベン 0.100
イミダゾリジニル尿素(イミドウレア) 0.300
ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT) 0.200
シリコーン油 5.000
シクロペンタデカノリド 4.000
芳香剤 QS(適量)
水 QS(適量)
合計 100.00重量%
実施例1〜3の組成物の成分を、高剪断ミキサー、静止ミキサー又はその他のミキサーなどの標準的な混合装置、攪拌装置又は剪断装置を用いて、例えば室温〜90℃にて実質的に均一な組成物になるように配合することにより滑らかな感じのクリーム状のエマルション又はローションを形成させる。得られた組成物は、適宜、プラスチックもしくはアルミニウム製のチューブ、ガラスもしくはプラスチック製のジャー、又はガラスもしくはプラスチック製のボトルに包装することができる。この組成物は、極端な条件下、例えば、60℃で3ヶ月間という条件でさえ全体としての物理安定性を示すものである。
実施例2のハンド兼ボディクリームを、ヒト(白人15人、年齢50歳以上)ヲ対象とした試験において、その有効性について評価する。被験者は、最初の2ヶ月間、ブラインドコードにしたがって実施例2の組成物又はプラシーボクリームを使用し、その後被験者全てが実施例2の組成物を使用する。被験者は毎晩就寝する前に試験組成物を手に擦り込む。下記の技術:(A)写真;(B)シラスチックのキャスティング;(C)超音波B−モードスキャン;(D)組織学的検査のためのバイオプシー;及び、(E)バリストメトリー(ballistometry)を用いて、手の甲におけるこの組成物の効能を評価する。実施例2の組成物の評価において、それを使用した結果観察された全体的な効果を下記に要約する。
上記の写真による評価(A)に基づき被験者を比較することにより、実施例2の組成物の使用の結果、手の甲の表面の外観が徐々に改善されていることがわかる。写真を検討することにより、線の数が減少し、骨間のくぼみの深さが減少し、皮膚の滑らかさが全般的に改善されていることがわかる。実施例2の組成物の使用により、角質層の特質並びに表皮及び真皮の水分補給の両方が改善されることは明らかである。深さの減少によって示されたような骨間のくぼみの深さの改善は、皮膚の改善を示すものである。
上記(B)のシラスチックのキャスティングは、2つの別々の箇所の評価値によって評価し比較する。皮膚の外形における変化は、下記のスケールにしたがって評価する。すなわち、陽性反応;反応無し又は変化無し;並びに、陰性反応又は悪化である。次いで、これらの結果を平均する。30日目には、皮膚の外形に有意差はなかった。90日目に、シラスチックのキャスティングによる評価では、被験者の60%が皮膚の外形に陽性反応を示し、180日目には、被験者の73%が陽性反応を示すことがわかる。
上記(C)の超音波評価に基づき、実施例2の組成物の使用によって得られる全体的な効果は、3つの観察結果、すなわち(1)被験者の大部分において表皮が厚くなっており、水分補強が良好になっていること、(2)乳頭状真皮の密度が増大していること、及び(3)網状真皮の密度が増大していること、に要約することができる。事象の時間進行を見ると、最大3ヶ月又は4ヶ月までは厚さ及び密度が緩やかに増大していることがわかる。この期間後は、増大は定常状態に到達するか又はわずかに低下する。これらの知見は、その組成物の表皮における初期増殖作用、その後の皮膚再構成を示唆するものである。
上記(D)の組織学的検査によって、染色された部分を下記のパラメーターについて検査し評価する。(1)表皮の厚さ;(2)顆粒層の大きさ;(3)角質層の外観;及び、(4)真皮の外観。表皮の厚さは、調査の全過程に亘って19%増大し、何人かの被験者においては表皮の厚さの50%の増大が観察された。顆粒層は被験者全てにおいて、厚さが少なくとも2倍増大している。この増大は顆粒細胞の数によって評価される。角質層の外観は、大部分の被験者において著しく異なっている。角質層は、引き締まった初期の外観から、より若い表皮と関連しているバスケットを織ったようなパターンを呈する。特別な染色を用いない皮膚評価は、評価するのが難しい。全体的に大部分の被験者は真皮の細胞充実性の増大を示す。この知見は、真皮の再構成過程と一致するものである。
上記(E)のバリストメーターの評価によれば、10人の被験者が陽性反応を示しており、4人の被験者では有意な変化を示していない。1人の被験者では、陰性反応を示している。この試験は、皮膚変化(表皮変化ではない)を測定するものであり、真皮の再構成が多少生じていることを示唆するものである。
実施例2の組成物の使用の評価で得られたデータに基づいて、実施例2の組成物の使用に関して、(1)この組成物は表皮の厚さの増大に有効であり、(2)この組成物は滑らかで十分に組織化された角質の生成に有効でおり、(3)この組成物は表皮増殖を増大させ、(4)この組成物は皮膚弾性を増大させ、(5)この組成物は皮膚構造の修復を助け、そして(6)この組成物は老化した手をより若い外観になるまで回復させるのに有効であると結論付けることができる。
次の2つの実施例は、遮光用組成物における本発明の増進剤の使用を例示するものである。そのような組成物は、典型的には、複数の遮光剤、すなわち潜在的に有害な紫外線の種々の波長を吸収するその能力によって皮膚を保護するように作用する化合物を含む。遮光用組成物は、例えば、(A)関係する紫外線を吸収する基本的能力、(B)長期間紫外線を吸収し続ける能力、及び、(C)水及び/又は汗に曝された場合に除去されにくいという能力などの特性を組み合わせて有するべきである。種々の遮光剤は比較的急速に皮膚に浸透し、その後下方の皮膚層(真皮)に、最終的に全身系循環に消失することが知られている。本発明の開発においては、本発明の組成物中の遮光剤は表皮に長期間高濃度で保持されることが観察された。表皮における遮光剤の濃縮は、物理的接触及び汗などの水分への曝露による除去に対する自然抵抗性を付与するのを助長するものと考えられる。この「保持」の有効性の程度は、用いられる特定の遮光剤及び担体並びに増進剤の濃度に依存する。実施例4及び5の組成物のそれぞれに用いられる増進剤はシクロペンタデカノリドである。
実施例4−遮光用ローション
ベンゾフェノン−3(オキシベンゾン) 3.0重量%
ジエタノールアミンメトキシ桂皮酸エステル 3.0
(DEAメトキシ桂皮酸エステル)
シクロペンタデカノリド 4.0
シリコーン油 5.0
モノステアリン酸グリセリン 5.0
PEG−40ステアレート 1.0
ラウリル硫酸ナトリウム 0.5
ステアリルアルコール 7.1
セチルエステル 5.0
プロピルパラベン 0.2
ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT) 0.2
ジエチレングリコールモノメチルエーテル 30.0
水 QS(適量)
合計 100.00重量%
実施例5−遮光剤ローション
ベンゾフェノン−3(オキシベンゾン) 3.00重量%
ジエタノールアミンメトキシ桂皮酸エステル 3.00
(DEAメトキシ桂皮酸エステル)
シクロペンタデカノリド 4.00
シリコーン油 1.00
グリセリン(グリセロール) 5.00
プロピレングリコール 5.00
カルボメル941 0.25
スクアレン 3.00
ステアリン酸 1.50
セチルエステル 0.50
セチルアルコール 0.50
モノステアリン酸グリセリン 3.00
PEG−40ステアレート 1.50
トロラミン(トリエタノールアミン) 0.50
メチルパラベン 0.20
プロピルパラベン 0.10
イミダゾリジニル尿素(イミドウレア) 0.30
芳香剤 QS(適量)
水 QS(適量)
合計 100.00重量%
本発明は、身体に有益な効果を有する種々のタイプの材料を身体へ供給することを改善するための有効な手段を提供するものであることを認識すべきであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚又は毛髪の性質を増進するにあたって有効な組成物であって、(A)皮膚処理用化合物又は毛髪処理用化合物、(B)構造:

(式中、X及びYは酸素、硫黄、又は構造=N−Rからなるイミノ基である。ただし、Yがイミノ基の場合、Xはイミノ基であり、Yが硫黄の場合、Xは硫

びYは前記のとおりである。m及びnは1〜20の整数であり、m+nの合計は25以下である。pは0又は1の整数である。qは0又は1の整数である。rは0又は1の整数である。Rは水素又は1〜6の炭素原子を有するアルキル基であって直鎖状でも分枝状でもよい。ただし、p、q及びrが0であって、Yが酸素の場合には、m+nは少なくとも11である。)
を有する増進剤、(C)担体、及び場合によって(D)化粧用添加剤を含むことを特徴とする組成物。
【請求項2】
前記組成物中の前記化合物の量が少なくとも0.01重量%であることを特徴とする請求の範囲1に記載の組成物。
【請求項3】
前記化合物を0.1〜10重量%と、前記増進剤を0.1〜30重量%とを含むことを特徴とする請求の範囲1に記載の組成物。
【請求項4】
前記化合物を0.5〜3重量%と、前記増進剤を0.5〜10重量%とを含むことを特徴とする請求の範囲3に記載の組成物。
【請求項5】
前記増進剤を2〜5重量%含むことを特徴とする請求の範囲3に記載の組成物。
【請求項6】
請求の範囲2に記載の組成物が酸化防止組成物であり、前記化合物が酸化防止材料を含むことを特徴とする請求の範囲2に記載の組成物。
【請求項7】
前記増進剤が実質的にシクロペンタデカノリドからなることを特徴とする請求の範囲1に記載の組成物。
【請求項8】
前記皮膚処理用化合物を含むことを特徴とする請求の範囲1に記載の組成物。
【請求項9】
前記皮膚処理用化合物が遮光剤を含むことを特徴とする請求の範囲8に記載の組成物。
【請求項10】
皮膚又は毛髪に塗布することにより皮膚又は毛髪の性質を増進させるための、請求の範囲1に記載の組成物の使用。
【請求項11】
皮膚に塗布するための、皮膚処理用化合物を含む請求の範囲1に記載の組成物の使用。
【請求項12】
毛髪に塗布するための、毛髪処理用化合物を含む請求の範囲1に記載の組成物の使用。

【公開番号】特開2006−124399(P2006−124399A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−367082(P2005−367082)
【出願日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【分割の表示】特願平10−535143の分割
【原出願日】平成9年1月9日(1997.1.9)
【出願人】(305055013)コンレックス・ファーマスーティカル・コーポレーション (1)
【Fターム(参考)】