説明

皮膚外用剤

【課題】S100A8の発現を促進する皮膚外用剤を提供する。
【解決手段】ホウライシダ科又はユリ科に属する植物から選ばれる1以上を有効成分とする。ホウライシダ科に属する植物としてはラニ・シンカ(Cheilanthes albomarginata L.B.)、上記ユリ科に属する植物としてはロウロ(Diuranthera minor (C.H. Wright) Hemsl.)を挙げることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、S100A8の発現を促進することができる皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
S100A8(別名:カルグラニュリンA又はMRP-8)は、カルシウム応答性を有するカルシウム結合タンパク質である(非特許文献1)。S100A8は、カルシウム結合タンパク質のカルシウム結合部位に共通してみられるEFハンド(EF-hand)と呼ばれる立体構造を有する。
【0003】
近年、急性期応答、創傷治癒及び乾癬などの角化亢進に伴い、S100A8の発現が亢進することが報告されている(非特許文献2〜4)。また、S100A8はケラチン繊維と結合するなど、細胞外及び細胞内における分子間相互作用に関与することが報告されている(非特許文献5〜6)。さらにS100A8は紫外線照射により発現上昇すること、アトピー性皮膚炎において発現亢進がみられることから紫外線障害やアトピー性皮膚炎のマーカーとして利用されうることが報告されている(特許文献1〜2)。
【0004】
一方、S100A8遺伝子やS100A8の発現を促進する物質が、S100A8の減少に伴う皮膚疾患、創傷、創傷治癒遅延及び毛髪の成長促進に有効であることが報告されている(特許文献3〜4)。
【0005】
さらに、S100A8の機能として、好中球及び単球の遊走活性を上昇させること(非特許文献7)及び抗菌活性を示すこと(非特許文献8)が報告されている。
【0006】
顆粒放出能を有する細胞系における活性型S100A8を制御することで、顆粒放出反応を制御できることが見出されている(特許文献5)。上記細胞系を、活性型S100A8を増加せしめる処理に供することで、該細胞系は顆粒放出し、一方、活性型S100A8を減少せしめる処理に供することで、該細胞系の顆粒放出が減少する。例えば、顆粒放出能を有する細胞系である好中球を、活性型S100A8を減少せしめる処理に供することによって、好中球の顆粒放出反応を抑制し、血管内膜の障害を抑制できることが報告されている。
【0007】
最近では、ヒト皮膚表皮においてS100A8が表皮再生のマーカーである可能性を報告している(非特許文献9)。
【0008】
【特許文献1】特表2005-520483号公報
【特許文献2】特開2005-110602号公報
【特許文献3】米国特許出願公開第2003/0003482号明細書
【特許文献4】特表2000-501115号公報
【特許文献5】国際公開第00/18970号パンフレット
【非特許文献1】Donato, R., Biochim. Biophys. Acta., 1450, 191-231, 1999
【非特許文献2】Thorey, I.S.ら, J. Biol. Chem., 276, 35818-25, 2001
【非特許文献3】Siegenthaler, G.ら, J. Biol. Chem., 272, 9371-77, 1997
【非特許文献4】Broome, AM.ら, J. Histochem. Cytochem., 51, 675-685, 2003
【非特許文献5】Donato, R., International J. Biochem. & Cell Biology, 33, 637-668, 2001
【非特許文献6】Goebeler, M.ら, Biochem. J., 309, 419-424, 1995
【非特許文献7】Geczy, C.L., Biochim. Biophys. Acta., 1313, 246-253, 1996
【非特許文献8】Murthy, A.R.K.ら, J. Immunol., 151, 6291-6301, 1993
【非特許文献9】Marionnet Cら, J. Invest. Dermatol. 121, 1447-58, 2003
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、例えば、S100A8の発現低下に関連して生じる各種症状や疾患の予防又は治療に有用な皮膚外用剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、S100A8の発現を調節する天然物質について検討したところ、S100A8の発現を促進する作用を有する特定の植物を同定することができ、当該植物の皮膚外用剤としての新規用途を見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明に係る皮膚外用剤はホウライシダ科又はユリ科に属する植物を有効成分としている。ここで、上記ホウライシダ科に属する植物としてはラニ・シンカ(Cheilanthes albomarginata L.B.)、上記ユリ科に属する植物としてはロウロ(Diuranthera minor (C.H. Wright) Hemsl.)を挙げることができる。
【0012】
特に、上記有効成分は95%エタノールを溶剤としたラニ・シンカの溶剤抽出物又は50%エタノールを溶剤としたロウロの溶剤抽出物であることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、S100A8の発現低下に関連して生じる各種症状や疾患の予防又は治療に有用な皮膚外用剤を提供することができる。本発明に係る皮膚外用剤は、有効成分として天然物質に由来するものを含有することから安全に使用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0015】
本発明に係る皮膚外用剤は、ホウライシダ科又はユリ科に属する植物を有効成分とするものである。本発明に係る皮膚外用剤を、皮膚に塗布等することによって皮膚組織を含む生体内においてS100A8の発現を促進することができる。
【0016】
ここで、「S100A8発現促進」とは、S100A8をコードする遺伝子レベル及び/又はS100A8タンパク質レベルでの発現促進を意味する。
【0017】
本発明に係る皮膚外用剤において使用するホウライシダ科又はユリ科の植物としては、特に限定されるものではないが、下記に示す植物が好ましい。
ホウライシダ科:ラニ・シンカ(学名:Cheilanthes albomarginata L.B.、Rani sinka)
ユリ科:ロウロ(Diuranthera minor (C.H. Wright) Hemsl.、生薬名:漏蘆)
【0018】
本発明に係る皮膚外用剤においては、上記植物を、その植物の全草、葉、樹皮、枝、果実又は根等をそのまま用いることができる。あるいは、当該植物の全草、葉、樹皮、枝、果実又は根等を粉砕して用いてもよい。
【0019】
上記で具体的に列挙した植物について使用することが好ましい部位を、下記に示す。
ラニ・シンカ:全草
ロウロ:根
【0020】
一方、本発明に係る皮膚外用剤において、植物の抽出物は、植物を常温又は加温下にて抽出するか又はソックスレー抽出器等の抽出器具を用いて抽出することにより得られる。
【0021】
本発明において、植物の抽出物とは、上記抽出方法で得られた各種溶剤抽出液、その希釈液、その濃縮液又はその乾燥末を意味する。
【0022】
植物の抽出物を得るために用いられる抽出溶剤としては、極性溶剤又は非極性溶剤のいずれをも使用することができる。抽出溶剤としては、例えば、水;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;プロピレングリコール、ブチレングリコール等の多価アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等の鎖状及び環状エーテル類;ポリエチレングリコール等のポリエーテル類;スクワラン、ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル等の炭化水素類;トルエン等の芳香族炭化水素類;ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;及び二酸化炭素等が挙げられる。あるいは、上記溶剤の2種以上を組み合わせた混合物を、抽出溶剤として用いることができる。
【0023】
特に、ラニ・シンカの溶剤抽出物を有効成分とする場合、溶剤としては極性溶剤が好ましく、特にアルコール溶剤を使用することが好ましく、95%エタノール溶剤を使用することが最も好ましい。ロウロの溶剤抽出物を有効成分とする場合、溶剤としては極性溶剤が好ましく、特にアルコール溶剤を使用することが好ましく、50%エタノール溶剤を使用することが最も好ましい。
【0024】
本発明に係る皮膚外用剤としては、上記植物の抽出物を、そのまま用いることもできるが、当該抽出物を希釈、濃縮若しくは凍結乾燥した後、粉末又はペースト状に調製して用いることもできる。また、上記植物等の抽出物をクロマトグラフィー液々分配等の分離技術に供し、当該抽出物から不活性な夾雑物を除去したものを用いることもできる。
【0025】
なお、本発明に係る皮膚外用剤においては、ラニ・シンカの抽出物及びロウロの抽出物を混合して用いてもよい。
【0026】
本発明に係る皮膚外用剤を医薬又は医薬部外品として使用する場合には、剤形としては、特に限定されるものではないが、例えば、軟膏、水剤、エキス剤、ローション剤及び乳剤等が挙げられる。当該医薬又は医薬部外品には、植物の抽出物の他に、助剤、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、吸収促進剤及び界面活性剤等の薬学的に許容される担体を任意に組合せて配合することができる。
【0027】
一方、本発明に係る皮膚外用剤を化粧料として使用する場合には、剤形としては、特に限定されるものではないが、例えば、油中水型又は水中油型の乳化化粧料、クリーム、ローション、ジェル、フォーム、エッセンス、ファンデーション、パック、スティック及びパウダー等が挙げられる。当該化粧料には、植物の抽出物の他に、化粧料成分として一般に使用されている油分、界面活性剤、紫外線吸収剤、アルコール類、キレート剤、pH調整剤、防腐剤、増粘剤、色素類、香料及び各種皮膚栄養剤等を任意に組合せて配合することができる。具体的には、本発明に係る皮膚外用剤には、皮膚化粧料に配合される薬効成分、例えば微粒子酸化亜鉛、酸化チタン、パーソールMCX、パーソール1789等の紫外線吸収剤、アスコルビン酸等のビタミン類、ヒアルロン酸ナトリウム等の保湿剤、ホルモン剤、及びコウジ酸、アルブチン、プラセンタエキス、ルシノール等の他の美白成分を添加配合することができる。
【0028】
本発明に係る皮膚外用剤を医薬、医薬部外品又は化粧料として使用する場合、植物の抽出物の配合量は、乾燥物として計算して、通常、医薬、医薬部外品又は化粧料の全組成の0.00001〜5重量%、特に0.0001〜0.1重量%とすることが好ましい。
【0029】
また、本発明に係る皮膚外用剤を医薬として用いる場合、植物の抽出物の塗布量は、通常の成人で固形分残量にして0.01mg〜1g/1日とすることが望ましい。なお、本発明に係る皮膚外用剤は、有効成分の含有量により異なるが、例えばクリーム状、軟膏状の場合には皮膚面1cm2当たり1〜20mg、液状製剤の場合には同じく1〜20mg使用するのが好ましい。
【0030】
また、本発明に係る皮膚外用剤を化粧品、医薬又は医薬部外品として使用する場合、例えばチョーク、タルク、フラー土、カオリン、デンプン、ゴム、コロイドシリカナトリウムポリアクリレート等の粉体;例えば鉱油、植物油、シリコーン油等の油又は油状物質;例えばソルビタントリオレエート、ソルビタントリステアレート、グリセロールモノオレエート、高分子シリコーン界面活性剤等の乳化剤;パラ−ヒドロキシベンゾエートエステル等の防腐剤;ブチルヒドロキシトルエン等の酸化防止剤;グリセロール、ソルビトール、2−ピロリドン−5−カルボキシレート、ジブチルフタレート、ゼラチン、ポリエチレングリコール等の湿潤剤;トリエタノールアミン又は水酸化ナトリウムのような塩基を伴う乳酸等の緩衝剤;グリセロールエーテル及び合成、動物性又は植物性セラミド等の界面活性剤;密ろう、オゾケライトワックス、パラフィンワックス等のワックス類;増粘剤;活性増強剤;着色料;香料等、を必要に応じ適宜組合せて用いることができる。
【0031】
本発明に係る皮膚外用剤は、例えば、以下のようにin vitroで薬理評価を行なうことができる。
【0032】
in vitroでの薬理評価としては、例えば、S100A8を発現する細胞系を用いた方法が挙げられる。正常ヒト新生児包皮由来表皮角化細胞などの細胞系に、本発明に係るS100A8発現抑制剤又は皮膚外用剤を作用又は接触させる。次いで、作用又は接触させた細胞を培養し、培養後、当該細胞からタンパク質又はmRNAを抽出する。さらに、得られたタンパク質を、例えばELISAやウエスタンブロッティングに供する。あるいは、得られたmRNAを、例えばPCRやノーザンハイブリダイゼーションに供する。
【0033】
本発明に係る皮膚外用剤に作用又は接触させていない細胞に比べて、本発明に係る皮膚外用剤に作用又は接触させた細胞において、S100A8タンパク質量又はS100A8をコードするmRNA量が、1.5〜10倍、好ましくは2〜5倍増加した場合、in vitroレベルで発現を促進することができたと判断することができる。
【0034】
本発明に係る皮膚外用剤において有効成分として含有する植物の抽出物は、後記実施例に示すように、S100A8の発現を促進することから、その有効量をヒトの皮膚に、例えば塗布することにより、皮膚組織を含む生体内においてS100A8の発現を促進することができる。
【0035】
すでに述べたように、S100A8遺伝子やS100A8の発現を促進する物質は、S100A8の減少に伴う皮膚疾患、創傷、創傷治癒遅延や毛髪の成長促進に有効であることが報告されている(特許文献1〜2)。さらに、S100A8の機能として、好中球及び単球の遊走活性を上昇させること(非特許文献7)及び抗菌活性を示すこと(非特許文献8)が報告されている。また、S100A8の発現量を増減せしめることによって、細胞系(好中球等)において顆粒放出反応を制御できることが報告されている(特許文献3)。
【0036】
以上の事実を考慮すると、本発明に係る皮膚外用剤は、S100A8の発現低下に関連して生じる症状又は疾患、例えば、創傷の予防や創傷治癒の促進等の皮膚性状の保護や治療剤、感染症の予防又は治療剤、毛髪の成長促進剤、顆粒(エラスターゼ、ラクトフェリン等)放出促進剤等として使用できる。また、ホウライシダ科又はユリ科に属する植物を、S100A8の発現低下に関連して生じる症状又は疾患の予防や改善、治療のための剤を製造するために使用することができる。
【0037】
さらに、本発明によれば、ホウライシダ科又はユリ科に属する植物を有効成分とする皮膚外用剤を、皮膚に塗布する工程を含むS100A8の発現低下に関連して生じる各種症状や疾患の予防方法又は治療方法を提供することができる。
【実施例】
【0038】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれら実施例にその技術的範囲が限定されるものではない。
【0039】
〔実施例1〕 植物抽出物の製造
(1)ラニ・シンカ抽出物の製造:
ラニ・シンカの全草100gに対し、95%エタノール1,000mLを加え、室温で7日間抽出後、濾過して抽出物を得た。抽出物の収量は816mL、蒸発残分0.55w/v%であった。
(2)ロウロ抽出物の製造
ロウロの根100gに対し、50%エタノール1,000mLを加え、室温で7日間抽出後、濾過して抽出物を得た。抽出物の収量は797mL、蒸発残分2.45w/v%であった。
【0040】
〔実施例2〕 S100A8の発現調節効果
本例では、実施例1で製造した抽出物を使用してS100A8の発現調節効果を検証した。
(1)材料及び方法
試験には、正常ヒト新生児包皮由来表皮角化細胞(KK-4009、Strain No 3C0660、クラボウ)を用いた。
まず、1穴あたりDefined-ケラチノサイト-SFM培地2mlを含有する6穴プレートに、細胞をプレーティングし、50〜60%コンフルエントになるまで培養した。なお、培養は5%CO2、37℃条件下で行った。50〜60%コンフルエントに達した後、細胞を試験に用いるために、被験物質添加24時間前に、培地を添加剤不含のDefined-ケラチノサイト-SFM培地(以下、「Defined-ケラチノサイト-SFM(-)培地」という)1mlに交換し、馴化させた。
【0041】
次いで、培地を、1.5ミリモル濃度のカルシウムを含むDefined-ケラチノサイト-SFM(-)培地に交換し、さらに、被験物質を0.1%vol濃度(すなわち、2μlを添加)となるように直接培地中に添加することで、試験を開始した。試験開始から24時間培養した後、培地を吸引除去し、PBS(-)で細胞を2回洗浄した。洗浄後、1穴あたりCelLytic-M(C-2978、シグマ)300μlを添加し、細胞からタンパク質を抽出した。
【0042】
各被験物質に供した細胞から得られたタンパク質10μgをウエスタンブロットに供した。ウエスタンブロットは、SDS−PAGEした後、PVDFメンブレンにウェット法により転写した。転写後のメンブレンをS100A8特異的抗体(抗MRP8抗体 T−1030、BMA Biomedicals)、ペルオキシターゼ標識抗マウスIgG抗体およびECLアドバンス試薬(GEヘルスケア社)をもちいてウエスタンブロット法により、S100A8タンパク質のバンドをオートラジオグラフィーフィルム(GEヘルスケア社)で検出した。検出したバンドのシグナル積算値をLane&Spot Analyzer(アトー社)により測定し、当該サンプル中のS100A8タンパク質量を算出した。なお、対照として、被験物質を添加しない以外は上記と同様にして培養した細胞を用いた。
【0043】
(2)結果
試験結果を図1に示す。なお、図1において、S100A8タンパク質量は、対照の細胞から得られたS100A8タンパク質量を1とした場合に対する相対値で表す。
【0044】
図1から明らかなように、ラニ・シンカ及びロウロは、正常ヒト新生児包皮由来表皮角化細胞においてS100A8タンパク質の発現を促進した。この結果から、ホウライシダ科に属するラニ・シンカ、及びユリ科に属するロウロの溶剤抽出物は、皮膚外用剤として使用できることが実証された。
【0045】
〔実施例3〕皮膚外用剤調製例1
本例では、ラニ・シンカ及びロウロの溶剤抽出物を用いて皮膚外用剤の一例として、表1の組成からなる化粧水を調製した。
【0046】
【表1】

【0047】
得られた化粧水(調製例1及び2)は、皮膚表面を保護し、また使用感に優れるものであった。
【0048】
〔実施例4〕皮膚外用剤調製例2
本例では、ラニ・シンカ及びロウロの溶剤抽出物を用いて皮膚外用剤の一例として、表2の組成からなるO/W乳液を調製した。
【0049】
【表2】

【0050】
得られたO/W乳液(調製例1及び2)は、皮膚表面を保護し、また使用感に優れるものであった。
【0051】
〔実施例5〕皮膚外用剤調製例3
本例では、ラニ・シンカ及びロウロの溶剤抽出物を用いて皮膚外用剤の一例として、表3の組成からなるヘアーローションを調製した。
【0052】
【表3】

【0053】
得られたヘアーローション(調製例1及び2)は、頭皮を保護し、毛成長促進効果を有し、また使用感に優れるものであった。
【0054】
〔実施例6〕皮膚外用剤調製例4
本例では、ラニ・シンカ及びロウロの溶剤抽出物を用いて皮膚外用剤の一例として、表4の組成からなるヘアートリートメントを調製した。
【0055】
【表4】

【0056】
得られたヘアートリートメント(調製例1及び2)は、毛髪及び頭皮を保護し、毛成長促進効果を有し、また使用感に優れるものであった。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】S100A8タンパク質の発現促進作用を示す特性図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホウライシダ科又はユリ科に属する植物を有効成分とする皮膚外用剤。
【請求項2】
上記ホウライシダ科に属する植物はラニ・シンカ(Cheilanthes albomarginata L.B.)であり、上記ユリ科に属する植物はロウロ(Diuranthera minor (C.H. Wright) Hemsl.)であることを特徴とする請求項1記載の皮膚外用剤。
【請求項3】
上記有効成分は上記植物の溶剤抽出物であることを特徴とする請求項1記載の皮膚外用剤。
【請求項4】
上記有効成分は、アルコール水溶液を溶剤としたラニ・シンカの溶剤抽出物であることを特徴とする請求項1記載の皮膚外用剤。
【請求項5】
上記有効成分は、アルコール水溶液を溶剤としたロウロの溶剤抽出物であることを特徴とする請求項1記載の外用剤。

【図1】
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【公開番号】特開2008−105995(P2008−105995A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−290029(P2006−290029)
【出願日】平成18年10月25日(2006.10.25)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】