説明

皮膚治療組成物

本発明は、ミクロコッカス・ルテウスを含む組成物に関する。当該組成物は、細菌が原因となる皮膚疾患を制御するために有用である。本発明は、これらの組成物において有用なミクロコッカス・ルテウスの新たな株も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚障害を制御するのに有用な組成物を含むミクロコッカス・ルテウス(Micrococcus luteus)に関し、より特には、本発明は、細菌が体臭、皮膚感染、及びにきびの如き原因成分となる皮膚障害を予防又は治療するための局所的適用を目的とする組成物に関する。これらの組成物において有用なミクロコッカス・ルテウスの新たな株も提供する。
【背景技術】
【0002】
悪臭を含む皮膚障害は、皮膚上の細菌の作用にしばしば起因する。タンパク質、脂質、塩及び酸を含む様々な産生物は、皮膚の腺より分泌される。初期分泌物はしばしば臭いがないが、当該分泌された産生物の微生物による分解が不快な臭いの産生をもたらす。
【0003】
体臭の制御は、通常、制汗剤又は体臭防止剤の使用により解決される。体臭防止剤は、通常、不快な臭いを隠すこと又はそのような産生物を予防することを目的とする。制汗剤は、皮膚上の汗を予防又は調節することを目的とし、体臭防止剤としても機能し得る。
【0004】
大抵の体臭防止剤又は制汗剤は、アルミニウム塩又は亜鉛塩を利用する。これらの化合物は、敏感肌の個体に、苛立ち、そう痒、及び熱を生じさせる。特に体臭防止剤中のアルミニウム又は他の金属塩の使用の健康効果について、様々な消費者群に健康上の懸念がある。Gravesら,1990 Journal of Clinical Epidemiology vol.43.35−44、及びP.D Dabre.,2003 Journal of Applied Toxicology vol.23,第2刷,89−95の如き研究は、アルミニウムとアルツハイマー病、及びアルミニウムと乳がんとの関連性を暗示する。従って、アルミニウム又は亜鉛フリーの体臭防止剤又は制汗剤製品の開発が望まれる。
【0005】
皮膚感染は、スタフィロコッカス(Staphyloccus)種{特にS.アウレウス(aureus)}、プロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes)、コリネバクテリウムSPS(Corynebacterium sps)、及びストレプトコッカス(Streptcoccus)種、並びに有酸素ジフテロイドを含む様々な細菌により引き起こされ得る。かかる感染の例は、つま先感染、か疹、毛嚢炎、蜂巣炎、腫脹、よう、乳腺炎、及びにきびである。治療は、抗生物質、抗菌剤、そしてある場合にはステロイドの局所的投与、及び経口投与をしばしば含む。抗生物質、及び抗菌剤は、非病原性の有意義な微生物を全滅させ、再感染も引き起こし得る。さらに、微生物は次第に抗生物質耐性となっていく。例えば、Antibiotic Resistance;Stephen Gillespieed;Humana Press,1 September 2000を参照のこと。従って、他の形態の治療についての継続的な必要性がある。
【0006】
本発明は、ミクロコッカス・ルテウス(Micrococcus luteus)を使用する皮膚疾患を制御するための組成物、及び方法に広く関し、又は少なくとも有用な選択肢に関する刊行物を提供する。
【発明の開示】
【0007】
本発明の概要
第1態様において、本発明は、受託番号DSM17172の下、Deutsche Sammlung von Mikroorganisms Und Zellkulturen GmbH,Braunschweig,Germanyに寄託したM.ルテウス(luteus)株Q24の生物学的に純粋な培養物、あるいはその同定された特性を有する培養物を提供する。
【0008】
本発明は、希釈剤、担体、及び/又は賦形剤と共に、M.ルテウス株Q24を含む組成物、又はその同定された特性を有する培養物も提供する。
【0009】
更なる態様において、本発明は、スタフィロコッカス(Staphylococcus)種、プロピオニバクテリウム(Propionibacterium)種、コルネバクテリウム(Corynebacterium)種、及びストレプトコッカス(Streptcoccus)種、及び有酸素ジフテロイドからなる群より選択される1又は複数の細菌を少なくとも阻害するのに有効なM.ルテウス株を含む組成物を提供する。
【0010】
更なる態様において、本発明は、希釈剤、担体、及び/又は賦形剤と共に、プロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes)、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、スタフィロコッカス・サプロフィチクス(Staphylococcus saprophyticus)、スタフィロコッカス・シムラン(Staphylococcus simulans)、コリネバクテリウム・ディフセリアエ(Corynebacterium diphtheriae)、コリネバクテリウム・ウルセランス(Corynebacterium ulcerans)、コリネバクテリウム・ミニュテッシウム(Corynebacterium minutissium)、コリネバクテリウム・テヌイス(Corynebacterium tenuis)、ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)、ストレプトコッカス・アガラクチアエ(Streptococcus agalactiae)、及びストレプトコッカス・ディスガラクチアエ(Streptococcus dysgalactiae)からなる群より選択される1又は複数の細菌の成長を少なくとも阻害するのに有効なM.ルテウス株を含む組成物を提供する。
【0011】
ある態様において、当該M.ルテウス株は、上記細菌群の少なくとも4つ、好ましくは8、より好ましくは11全てを阻害する。これらの細菌は、通常、皮膚細菌として認識される。
【0012】
ある態様において、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)は、メチシリン耐性である。
【0013】
好ましくは、M.ルテウスは、Q24株である。
【0014】
好ましくは、前記組成物は、局所的投与のために配合される。
【0015】
局所的投与形態は、粉末、エマルジョン、軟膏、ペースト、オイル、ゲル、ローション、クリーム、懸濁液、鼻腔用スプレー、ロールオン、スティック又はエアゾールスプレー、半固形製剤、及び固形製剤を含む。
【0016】
更なる態様において、本発明は、M.ルテウス感受性細菌の成長を少なくとも阻害するための方法であって、当該感受性細菌を、阻害有効量のM.ルテウス株又は本発明の組成物と接触させることを含む、前記方法を提供する。
【0017】
本発明は、それを必要とする個体における皮膚障害のための処置の予防又は治療方法も提供する。当該方法は、前記個体に、皮膚障害を引き起こす1若しくは複数の細菌の成長を少なくとも阻害するのに有効量の、又はM.ルテウスによる当該個体の皮膚の効果的なコロニー形成を可能にする量の、M.ルテウス株又は本発明の組成物を投与することを含む。
【0018】
更なる態様において、本発明は、皮膚障害の発生率、及び/又は重篤度を制御する方法であって、当該皮膚障害の発生率又は重篤度を制御するのに有効量のM.ルテウス又は本発明の組成物を当該個体の皮膚に導入することを含む、上記方法を提供する。
【0019】
本発明による処置の影響を受けやすい皮膚障害は、か疹の如き皮膚感染、丹毒(erysiphelas)、毛嚢炎、にきび、腫脹、よう、蜂巣炎、陥凹性角質溶解、間擦疹、毛髪糸状菌症、乳腺炎、白癬の如きつま先の感染、及び体臭を含む。
【0020】
本発明によって制御され得る皮膚疾患に関与する細菌は、プロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes)を含むプロピオニバクテリウム種、ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)、ストレプトコッカス・アガラクチアエ(Streptococcus agalactiae)、及びストレプトコッカス・ディスガラクチアエ(Streptococcus dysgalactiae)を含むストレプトコツキイ(Streptococci)種、スタフィロコッカス・シムラン(Staphylococcus simulans)、スタフィロコッカス・サプロフィチクス(Staphylococcus saprophyticus)、及びスタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)を含むスタフィロコッカス種、コリネバクテリウム・ディフセリアエ(Corynebacterium diphtheriae)、コリネバクテリウム・ウルセランス(Corynebacterium ulcerans)、コリネバクテリウム・テヌイス(Corynebacterium tenuis)、及びコリネバクテリウム・ミヌティシマム(Corynebacterium minutissimum)を含むコリネバクトリウム種を含む。有酸素ジフテロイドがこの群に含まれる。これは、体臭の少なくとも一部に関与すると一般的にみなされるコリネバクテリウムの群である。
【0021】
場合により、皮膚ミクロフローラの存在量は、本発明の方法を使用する処置に先立って、あるいはそれと同時に低減される。
【0022】
本発明は、上記方法における本発明のM.ルテウス又は組成物の使用にも関する。特に、体臭、皮膚感染(特ににきび)、及びつま先の感染を含む上記皮膚障害の処置における使用のための薬剤の製造におけるM.ルテウスの使用に関する。
【0023】
本発明は、上記のように広範であるけれども、それに限定されず、下記の実施例の態様をも含むことが、当業者により理解されるだろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の詳細な説明
上記のように、本発明は、第1態様において、M.ルテウス株Q24に関する。このM.ルテウス株を、Deutsche Sammlung von Mikroorganisms Und Zellkulturen GmbH,Braunschweig,Germanyに寄託し、受託番号DSM17172であった。
【0025】
M.ルテウスは、グラム陽性球状腐生細菌である。当該細菌は、ヒトの皮膚に自然に存在し、場合により、粘膜内に見つかる。非病原性であると考えられ、直接的な接触を通じて広がり得る。環境においてよくあることだが、土壌又は水において、限られた時間のみしか生存できない。当該種は、非胞子形成であり、乳白色〜黄色の不溶性色素を製造する必須の好気性細菌である。全ての形態学的記述は、実施例において提供される。実施例に記載のQ24の同定された特性を有するM.ルテウス株も、本明細書中に企図される。これらの株は、天然物の突然変異体、あるいは化学的、若しくはUV突然変異生成又は遺伝子組み換えの如き操作により人工的に製造される。
【0026】
M.ルテウスQ24、及びそれらの同定された特性を有する他のM.ルテウス株は、プロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes)を含むプロピオニバクテリウム種;スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)(24の試験株の全ては、メチシリン耐性である20を含み感受性だった)、スタフィロコッカス・サプロフィチコス(Staphylococcus saprophyticus)、及びスタフィロコッカス・シムラン(Staphylococcus simulans)を含むスタフィロコッカス種;コリネバクテリウム・ディフセリアエ(Corynebacterium diphtheriae)、コリネバクテリウム・ウルセランス(Corynebacterium ulcerans)、コリネバクテリウム・テヌイス(Corynebacterium tenuis)、コリネバクテリウム・ミヌティシマム(Corynebacterium minutissimum)を含むコリネバクテリウム種、ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)、ストレプトコッカス・アガラクチアエ(Streptococcus agalactiae)、及びストレプトコッカス・ディスガラクチアエ(Streptococcus dysgalactiae)の如き細菌の成長を少なくとも阻害するために有用である。有酸素ジフテロイドが、この群に含まれる。これは体臭の少なくとも一部に関与するように通常みなされるコリネバクテリウムの群である。
【0027】
理論に拘束されることなく、M.ルテウスは、現在のところ、皮膚障害の原因に関与する細菌を置換するためのエフェクター株として有用であると信じられる。エフェクター株は、いずれかの競合作用(例えば付着部位に対する;他の代謝関連副産物による阻害;又はその組合せ)を介して、障害の原因となる細菌と首尾よく競合するものである。
【0028】
本発明のM.ルテウスは、広域抗菌作用を示す。それ故、M.ルテウスは、それ自体抗菌剤として、並びに治療的に有用である。当該M.ルテウスは、それ自体、抗真菌薬としても有用である。これに関して、「治療的」とは、予防的処置を含む。治療的使用は、細菌感染、特にスタフィロコッカス、ストレプトコッカス、プロピオニバクテリウム、及びコリネバクテリウム感染の治療又は予防を含む。本発明のミクロコッカス・ルテウス(Micrococcus luteus)は、細菌である、S.アウレウス(aureus)、P.アクネス(acnes)、コリネバクテリウム・ミヌティシマム(Corynebacterium minutissimum)、及びS.ピオゲネス(pyogenes)に対する使用に特に好適である。本発明の株又は組成物での治療可能な症状は、皮膚感染(にきびを含む)、つま先の感染、及び体臭を含む。
【0029】
よく見られる皮膚障害、及び当該障害の少なくとも一部の原因となる、微生物は以下の通りである。
表A
障害 細菌
か疹 ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)、及び/又は
スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)
丹毒(Erysiphelas) ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)
毛嚢炎 スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)
腫脹 スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)
よう スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)
にきび プロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes)
陥凹性角質溶解 コリネフォルム細菌/有酸素ジフテロイド
間擦疹1 常在細菌、及び一過性細菌の異常増殖
紅斑(Erythasma) コリネバクテリウム・ミヌティシマム(Corynebacterium minutissimum)
毛髪糸状菌症 コリネバクテリウム・テヌイス(Corynebacterium tenuis)
足趾の間の感染2 コリネフォルム細菌/有酸素ジフテロイド
体臭 有酸素ジフテロイド
白癬3 スタフィロコッカス種、及び
ストレプトコッカス種
乳腺炎4 スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、
ストレプトコッカス・アガラクチアエ(Streptococcus agalactiae)、
ストレプトコッカス・ディスガラクチアエ(Streptococcus dysgalactiae)
【0030】
1間擦疹は、感染が皮膚の一般的によくある微生物による感染にしばしば起因する、多くの皮膚障害のような多菌性障害である。常在細菌、及び一過性細菌は、最も一般的に、スタフィロコッカス種、ストレプトコッカス種、プロピオニバクテリア種種、有酸素ジフテロイド、及びカンジダ種を含む。
【0031】
2足趾の間の感染は、コリネフォルム細菌、有酸素ジフテロイド、ブレビバクテリウム、及びグラム陰性桿菌を含む多菌性の感染である。
【0032】
3白癬は、白癬菌、表皮糸状菌属、及び小胞子菌の如き皮膚糸状菌類を通常含む多菌性の感染である。白癬において、第2細菌感染も通常関係しているとみなされる。原因となる細菌は、スタフィロコッカス種、ストレプトコッカス種、シュードモナス菌、及びコリネバクテリウム・ミヌティシマムを含む(Gupta AKら,Dermatology Clinics vol21;p431−62,2003 Treatments of Tinea pedisを参照のこと)。
【0033】
4乳腺炎も多菌性の感染である。鍵となる原因細菌は、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、ストレプトコッカス・アガラクチアエ(Streptococcus agalactiae)、ストレプトコッカス・ディスガラクチアエ(Streptococcus dysgalactiae)、大腸菌(エシュリキア)、及び肺炎桿菌を含む。
【0034】
本明細書中に記載される用語「皮膚疾患」は、それ故、スタフィロコッカス、ストレプトコッカス、コリネバクテリウム、及びプロピオニバクテリウムの属の1又は複数の細菌に、あるいは有酸素ジフテロイド群の細菌に少なくとも一部起因する、皮膚及び粘膜の細菌性疾患を含むように広範に理解される。
【0035】
本明細書における特異的な皮膚障害は、S.サプロフィチクス(saprophyticus)、S.シムラン(simulans)、S.アウレウス(aureus)、S.ピオゲネス(pyogenes)、S.アガラクチアエ(agalactiae)、S.ディスガラクチアエ(dysgalactiae)、C.ディフセリアエ(diphtheriae)、C.ウルセランス(ulcerans)、C.ミニュテッシウム(minutissium)、C.テヌイス(tenuis)、及びP.アクニース(acnies)により少なくとも一部起因するものである。
【0036】
皮膚障害の治療について、局所的な治療剤が、特に有用である。本明細書中に使用される用語「局所的」とは、体の皮膚又は粘膜の表面に適用するために好適な組成物をいう。粘膜表面は、鼻腔を含む。
【0037】
「治療製剤」は、同等物を必要とする個体、特に皮膚疾患の影響を受け易い個体へのM.ルテウス株の投与に好適な製剤である。一般的に、本発明の治療製剤は、本発明のM.ルテウス株、及び許容される担体、希釈剤、及び/又は賦形剤からなる。
【0038】
「許容され得る担体、希釈剤、及び又は賦形剤」は、個体への本発明のM.ルテウス株のデリバリーのための媒体を意味し、当該媒体は、細菌性細胞の生存と互換性がある。本発明の生存M.ルテウス株の投与における使用に好適な許容され得る担体は、当業者によく知られている。好適な担体は、通常、不活性であり、そして固体か液体となり得る。
【0039】
ある態様において、当該担体は、医薬として許容される担体である。本明細書中に記載されるM.ルテウス株と一緒の使用に好適な医薬として許容される担体は、緩衝生理食塩溶液(例えば、リン酸緩衝生理食塩水)、医薬として許容される培地(例えば、TSB)又は微生物の生存を維持する他の溶液を非制限的に含む。さらに、かかる医薬として許容される担体は、非水溶液、懸濁液、及びエマルジョンとなり得る。生存又は凍結乾燥された細菌の投与に好適な様々な医薬として許容される担体は、本分野においてよく知られている(引用により本発明に援用される、Remington’s Pharmaceutical Sciences 第18版 Gennaro,ed.,1990,Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,を参照のこと)。本分野において知られる好適な固体担体は、例えば、マグネシウム・カルボネート;マグネシウム・ステアレート;セルロース;滑石;フルクトース、スクロース、デキストロース、トレハロース、マンニトール、ラクトースの如き糖;デンプン;及び小麦粉を非制限的に含む。
【0040】
本発明の組成物における使用に好適な油性担体は、グリセロール、ミネラルオイル、エッセンシャルオイル、脂肪、脂肪酸、及びそれらのエステル、グリセリド、プロピレン・グリコール、ラノリン及び誘導体、レシチン及び誘導体、白色ワセリン(white petrolatum petroleum jelly)、油と水から形成されたエマルジョンを含み、液体、ゲル、クリーム、エマルジョン、ペースト、懸濁液、半固体、固体又はそれらのエアロゾルを形成するために混合され得る。Tween80の如き洗剤、及び界面活性剤も添加され得る。
【0041】
現在のところ使用に好まれるものは、ココバター、シアバター、ブドウの種オイル、及びカモミールオイルの如き油及び脂肪である。
【0042】
油相にM.ルテウス又は本発明の組成物を有する水相及び油相を含む相の製剤も、実現可能である。ある態様において、当該相の製剤は、1つの油相と1つの水相を伴う2つの相製剤である。
【0043】
前記組成物は、賦形剤も含み得、例えば、本分野において知られる防腐剤;増粘剤;乳白剤;結合剤;酸化防止剤;乳化剤;緩衝液;着色剤;抗ケーキング剤;賦形剤;無機塩;エッセンシャルオイル;植物抽出物;及び必要に応じて、香料である。M.ルテウスの生存能力を維持するための栄養素(例えば、キシリトール、ラクトース、及びマルトースなどの如き糖質、及び/又はカゼインの如きタンパク質)も含まれ得る。美容特性を改良するため、及び当該組成物の適用を促進するための皮膚軟化剤も含まれ得る。皮膚軟化剤の例は、非制限的に、DC246及びDC556(Dow Corning,USA)の如きシリコーン、Esto/RTM1517(Unichem)の如き脂肪酸エステルである。選択された担体、及び賦形剤は、M.ルテウスの抗菌活性に重大な影響を与えてはならない。
【0044】
現在のところ好まれる組成物は、非制限的に岩塩又は塩化ナトリウムの如き塩を含む。皮膚障害に関する多くの細菌及び糸状菌が塩分感受性であるので、当該組成物中の塩の含有は、皮膚、爪又は粘膜上の微生物数の低減も手助けする。このことは、M.ルテウス株による効果的なコロニー形成を可能とする。
【0045】
塩は、最も一般的に当該組成物の1〜10重量%、好ましくは3〜7重量%、及びさらに好ましくは5重量%の濃度で含まれる。
【0046】
本発明のM.ルテウスは、粘膜への投与を含む局所的投与に適した様々な組成物のいずれかにおいて配合され得る。例えば、当該M.ルテウス株は、M.ルテウス培養物から製造される凍結乾燥物又は細胞ペーストとして投与のために配合され得、あるいは皮膚障害の部位に直接的に投与され得る。当該株は、非制限的に、クリーム、ゲル、エマルジョン、オイル、ペースト、ローション、洗剤、懸濁液、スプレー(鼻腔用スプレーを含む)、粉末、スティック、ロールオン又はエアロゾル、固形又は半固形製剤形態においても投与され得る。
【0047】
体臭の治療のために、ロールオン粉末、エアロゾル又はスティック体臭防止剤が適している。現在のところ使用に好まれるのは、スティック剤形である。全ての剤形は、本分野の技術によって容易に製造され得る。例えば、体臭防止剤スティックは、ココバター及びシアバターを融解し、そして凍結乾燥されたM.ルテウス粉末を混合することにより製造され得る。次いで、当該混合物は、体臭防止剤スティック用容器に注がれ、そして固形となるまで冷やされる。
【0048】
にきび処置のため、M.ルテウスは、洗顔料、せっけん、ローション、クリーム軟膏ゲル、エマルジョンなどの成分となり得る。当該M.ルテウスは、都合良く、既存の皮膚処置型製品の一部を形成し得る。例えば、洗顔料、クレンザー又は保湿剤である。
【0049】
白癬を含む皮膚感染のために、M.ルテウスは、粉末、オイル、洗剤、クリーム、せっけん、軟膏、ローション又はスプレー(鼻腔用スプレーを含む)として配合され得る。
【0050】
バスオイル、及びせっけんの如き配合は、本明細書中に同定される皮膚感染の処置に有用である。
【0051】
一般的な抗菌使用について、製剤は、非制限的に経皮投与可能な剤形を含む投与の他の方法のためにも製造され得る。
【0052】
本発明のM.ルテウス、組成物、及び製剤は、皮膚又は粘膜と接触するための材料中のように、間接的にも局所的投与され得る。例えば、おむつ、おしぼり、生理用ナプキン、衣服などである。M.ルテウスは、噴霧、及び乾燥の如き知られた技術により当該材料に適用され得る。
【0053】
本発明の製剤、及び組成物は、1又は複数の第2抗菌剤をさらに含み得る。これらの第2剤は、例えば、抗生物質、あるいは他の抗菌剤又は抗菌的に製造される微生物となり得る。有用な抗菌物質は、例えば、ナイシン、エピデルミン、及びサリバリシンA、A1、A2、及びBの如きバクテリシオン様阻害物質(BLIS)を含む。カリウムミョウバンの如き他の抗菌化合物もまた含まれ得る。いずれの抗菌物質も、M.ルテウスの生存能力と互換性がなければならない。当該第2抗菌剤は、当該組成物の1〜20重量%、一般に3〜15重量%、好ましくは4〜10重量%、より好ましくは1〜9重量%の含有量で含まれ、さらにより好ましくは7.5重量%で含まれ得る。
【0054】
当該M.ルテウスは、最終組成物の約0.01〜99重量%を含み、局所的投与に好適な組成物又は製剤の一般的に0.05〜50重量%、好ましくは0.075〜20重量%、より好ましくは0.1〜10重量%含む。
【0055】
皮膚障害の治療において、本発明のM.ルテウス株は、いずれかの感染しやすい個体に投与され得る。
【0056】
本明細書中に使用される用語「個体」とは、ヒト、ウマ、イヌ、ネコ、ブタ、ヒツジ、ウシ、ヤギを非制限的に含む。好ましくは、当該個体はヒトである。当該M.ルテウス株は、例えば、幼年期、青年期又は成人期の年代の個体に投与され得る。
【0057】
本発明のM.ルテウスは、様々な方法において投与され得る。例えば、上記の組成物又は製剤の形態において、あるいは懸濁液、持続放出製剤又は凍結乾燥粉末としてである。当該M.ルテウス株は、個体の病気に冒された皮膚、爪又は粘膜表面に、凍結乾燥物質、培養物質又は細胞のペーストの直接的適用によっても投与され得る。いずれかの投与方法は、当該治療製剤が皮膚又は粘膜に適用される限り、好適である。
【0058】
一般的に、個体に投与されるM.ルテウスの量は、当該個体の皮膚上における皮膚障害の原因細菌の置換のための有効量となるだろう。「当該個体の皮膚上における皮膚障害の原因細菌又は糸状菌の置換のために有効量」とは、(例えば、栄養素、接合部位のための細菌の競合による、及び/又は抗菌作用による)M.ルテウスによる皮膚コロニー形成、及び常在の皮膚障害原因細菌の著しい低減のための有効量を意味する。
【0059】
本発明の治療製剤への言及において使用される際の用語「単位用量」は、個体に対する単位投薬量として好適な物理的不連続単位をいい、各単位は、必要とされる希釈剤、担体又は賦形剤と共に、所望の治療効果を産生するために計算された活性材料(生存可能なM.ルテウス)の所定の量を含む。
【0060】
特異的な投薬量は、大きさ、体重、年齢、疾患の重篤度(例えば、皮膚障害の原因となる常在細菌、若しくは糸状菌の強さ、及び/又は数)、及び治療の反応性(例えば、コロニー形成に対する個体の皮膚の感受性)を含む様々な個体変数によって、広範に渡り変化し得る。好適な投与経路及び投薬量の決定方法は、それを好適とみなす消費者、又は主治医、薬剤師、若しくは他の臨床医によるケースバイケースの原則により決定される。かかる決定は、当業者にとってありふれたものである(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,第8版 Gennaro,ed.,Mack Publishing Company,Easton,Pa.,1990を参照のこと)。
【0061】
一般的に、個体に投与されるM.ルテウスの数は、約102〜1015細菌数、好ましくは約103〜1010細菌数、より好ましくは約104〜108細菌数となり、通常1回分あたり約106〜107のコロニー形成単位(CFU)となるだろう。
【0062】
当該M.ルテウス株の複数回投与は、常在の皮膚障害の原因となる細菌又は糸状菌のコロニー形成、及び置換を達成するように投与され得る。当該M.ルテウス株は、1回で又は繰り返して患者に投与される必要があるかもしれない。繰り返し処置は、月に1回、週に1回、日に1回、日に2,3回又は別段必要とされるようになり得る。都合の良いことに、当該投与は、患者の所定のみだしなみの一部として有効となり得る。
【0063】
体臭の治療について、本発明のM.ルテウス又は組成物は、わきの下、脚の付け根、足、及び皮膚のひだの如き影響を受ける体の部分に適用されるべきである。最も都合の良い適用は、シャワーの後に適用することである。
【0064】
にきび処置は、顔において最も一般的に必要である。M.ルテウスの適用は、洗顔料、クレンザー、保湿剤又は一連の身だしなみにおいて使用される類似物の形態となり得、あるいは、クリームなどの形態において適用され得る。
【0065】
皮膚感染は、皮膚のひだを含む様々な表面、及び体の部分に影響を及ぼし得る。白癬は、足(Tinea pedis)、脚の付け根(Tinea cruris)、体(Tinea corporis)、足指の爪(Tinea unguium)又は頭皮(Tinea capitis)において一般的に生ずる。上記のように、白癬は、多菌性の皮膚感染である。水虫は、患部に対する本発明の微生物又は組成物の直接的適用により処置される。オイル、及び粉末は、この目的のために特に有用である。
【0066】
多くの感染は、ひっかき傷、擦り傷、及び切り傷の如き外傷部位でも発生する。これらの外傷部位は、皮膚の正常な共生生物により、コロニー形成を可能とする。本発明のM.ルテウス又は組成物を使用する治療可能な一般的な皮膚感染物質は、上記のものであり、S.ピオゲネス(pyogenes)、S.アウレウス(aureus)、P.アクネス(acnes)、及び有酸素コリネフォルムを含む。
【0067】
スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)(メチシリン耐性株を含む)は、一般的に、皮膚上、並びに鼻腔及び肺に運ばれる。本発明の鼻腔用スプレーは、S.アウレウス、及び類似の病原菌の輸送を処置又は除外するために使用され得る。皮膚、及び鼻腔から耐性S.アウレウスを除外するための健康、及び食品産業労働者の治療処置は、感染の拡散を予防することが望ましい。
【0068】
乳腺炎は、皮膚細菌による乳腺感染に関する。乳腺炎の予防又は治療は、通常、乳首又は乳頭の洗浄により達せられる。
【0069】
コロニー形成を促進するために、ある態様において、本発明の治療方法は、皮膚表面に存在する通常のミクロフローラを少なくとも低減するように、個体を前処置する予備ステップを含む。この前処置は、石けんや水で洗浄すること又は塩磨きを使用すること、シャワー、皮膚の洗浄、及びにきびのための通常の処置の如き通常の身づくろい手段を実施することと同じくらい単純となり得る。本発明のM.ルテウスは、次いで、菌の減少した環境に投与され、同じように住み着く。
【0070】
M.ルテウス株による個体の皮膚の成功したコロニー形成は、当該個体の皮膚の細菌を培養すること、そして16sRNA同定の如き細菌株同定のために本分野においてよく知られる方法を使用してM.ルテウスを同定することにより確証され得る。
【0071】
本発明の方法、及び使用は、上記のように、1又は複数の第2抗菌剤の使用をさらに含み得る。
【0072】
本発明のM.ルテウス、及び組成物は、非制限的に、にきび治療用品、体臭防止剤及び制汗剤、クレンザー、化粧水、並びに保湿剤の如き既存の治療用品と併用しても使用され得る。
【0073】
用語「含む(compise)」、「含む(comprises)」、「含まれる(comprised)」又は「含んでいる(comprising)」が本明細書中に使用されるとき、それらは、言及された規定の特徴、整数、ステップ又は成分の存在を明示することとして解釈されるが、1又は複数の他の特徴、整数、ステップ、成分又はその群の存在又は追加を除外することとして解釈されない。
【0074】
本発明の様々な態様は、以下の実施例への言及により非制限的に例示されるだろう。
【実施例】
【0075】
実施例1:ミクロコッカス・ルテウス(Micrococcus luteus)Q24の単離、及び特徴づけ
M.ルテウス株Q24を、健康な成人男性被験者の皮膚から単離し、血液寒天プレートにおいて培養した。当該プレートを、空気中に5%のCO2、35〜37℃でインキュベートした。増幅された16SrRNAバリアブル遺伝子領域とデータベースとの比較は、その細菌がミクロコッカス・ルテウス(Micrococcus luteus)であると確証した。血液寒天上のその出現は、ミクロコッカス・ルテウスと一致する。各コロニーは、凸状、円形、完全、滑らかであり、長期のインキュベーションで乳黄色に色づく。グラム染色による出現は、むらのある群におけるグラム陽性球菌(1マイクロメーター直径)のものである。
【0076】
M.ルテウスQ24の生理学的、及び生化学的特性
生化学的特性を、ID32Staph、及びAPI50CHキット(bioMerieux)を使用して決定した。
色素沈着 黄色
ウレアーゼ 陽性
硝酸塩還元 陰性
アセトイン産生 陰性
ノボビオシン感度 感受性
エスクリン加水分解 陰性
カゼイン加水分解 陽性
【0077】
発酵:
グリセロール 陰性
エリトリトール 陰性
D−アラビノース 陰性
L−アラビノース 陰性
D−キシロース 陰性
アドニトール 陰性
α−メチル−キシロシド 陰性
ガラクトース 陰性
D−グルコース 陰性
D−フルクトース 陰性
L−ソルボース 陰性
マルトース 陰性
ラクトース 陰性
トレハロース 陰性
D−マンノース 陰性
ラフィノース 陰性
マンノース 陰性
マンニトール 陰性
リボース 陰性
ズルシトール 陰性
イノシトール 陰性
ソルビトール 陰性
サッカロース 陰性
N−アセチルグルコサミン 陰性
D−ツラノース 陰性
アラビノース 陰性
セロビオース 陰性
α−メチル−D−マンノシド 陰性
【0078】
α−メチル−D−グルコース 陰性
アミグダリン 陰性
サリシン 陰性
メリビオース 陰性
イヌリン 陰性
メレジトース 陰性
アミドン 陰性
グリコーゲン 陰性
キシリトール 陰性
β−ゲンチオビオース 陰性
D−タガトース 陰性
D−フコース 陰性
L−フコース 陰性
D−アラビトール 陰性
L−アラビトール 陰性
グルコネート 陰性
2セト−グルコネート 陰性
5セト−グルコネート 陰性
【0079】
β−ガラクトシダーゼ 陰性
アルギニン・ホスファターゼ 陽性
ピロリドニル・アクリルアミダーゼ 陰性
β−グルクロニダーゼ 陰性
アルギニン・ジハイドロリアーゼ 陰性
オルニチン・デカルボキシラーゼ 陰性
【0080】
ミクロコッカス・ルテウスの阻害活性
皮膚障害に関する細菌を阻害するためのM.ルテウス株Q24の能力を、9つの標準指示菌に対する異なるアンタゴニズム試験において評価した。
【0081】
P分類試験は、第1に対角線ストリーク培養として血液寒天上の試験株を増大することを含む。この成長を除去した後、当該寒天表面をクロロホルム蒸気で滅菌し、乾かし、そして、9つの標準指示菌(表1に示す)を、試験株接種材料の線を横切りクロスストリークした。インキュベーション後、元々のストリーク近辺における指示菌の成長への干渉は、阻害活性の暗示としてとらえられる。関連領域の大きさを、+−(およそ元々のストリークの幅における指示菌の成長低減)から+++(元々のストリークの3倍幅の明らかな阻害領域)の大きさで定性的に表示した。
【0082】
結果を表1に示す。
【表1】

【0083】
表1は、全9つの指示菌に対する阻害活性を示すP型の777パターンを表示する。活性は、ミクロコッカス株、S.ピオゲネス(pyogenes)、L.ラクチス(lactis)、及びS.エクイシミリス(equisimilis)に対して、特に強力だった。
【0084】
この遅延アンタゴニズム試験により、M.ルテウスQ24の阻害スペクトルをさらに評価し、その結果を表2に示す。
【0085】
【表2】

【表3】

【0086】
実施例2
A.体臭を予防するための局所的適用
シャワー後、数人の被験者の内の幾人かの片方のわきの下に塗ることにより、1用量あたり約1×106CFUの濃度のM.ルテウスQ24の生食懸濁液を植菌した。
【0087】
当該植菌された株は、少なくとも24時間、生存を示す。被験者、及び「目を隠した」評価人による、2つのわきの下の体臭の自覚的比較は、対照となるわきの下と比較したとき、Q24を植菌されたわきの下において相対的に体臭がなくなることを見出した。
【0088】
B.わきの下の体臭に関するM.ルテウスの効果
体臭防止剤のスティック製剤
ココバター 16g
シアバター 12g
カリウムミョウバン 2.3g
Q24凍結乾燥粉末 0.04g
【0089】
体臭防止スティックを、40℃で、ココバター、及びシアバター融解することにより製造した。M.ルテウスQ24凍結乾燥粉末を当該融解バターと混合し、そして体臭防止剤スティック容器の中に注いだ。当該混合物を固形となるまで、4℃で冷却した。
【0090】
当該体臭防止剤スティックのためのQ24細胞数は、5×106cfu/gだった。
【0091】
当該被験者は、いつものようにシャワーを浴び、次いで、左のわきの下にQ24体臭防止剤スティックを適用した。右のわきの下を対照として使用した。消毒綿を、無菌食塩水/1%Tween80に浸し、そしてわきの下領域をぬぐうために使用した。当該ぬぐいサンプルを1ml生理食塩水/1%Tween80に再懸濁した。当該サンプルの10倍希釈物を、血液寒天プレート又はコリネバクテリウム単離培地(コロンビア血液寒天ベース 22g、カルシウムカルボネート 0.5g、レシチン 0.5g、Tween80 2.5ml、ヒト血液寒天 20.5ml、ソジウム・テルライト 10ml、蒸留水 500ml)にスパイラルプレートした。当該プレートを、37℃、空気中5%のCO2でインキュベートした。24時間インキュベート後、スタフィロコッシ数を、当該血液寒天プレートから測定し、2日後、コリネバクテリア数を、選択的培地上でカウントした。
【0092】
体臭を、自分自身のわきの下を嗅ぐことにより自己評価した(0−臭いなし、1−僅かな臭いあり、3−強い臭いあり、5−非常に強い臭いあり)。
【表4】

【表5】

【0093】
M.ルテウスQ24は、スタフィロコッカス細胞数に関して僅かな効果があったが、7時間(表3)でのコリネバクテリア細胞数において0.6対数減少(log reduction)であった。対照わきの下における臭いスコアは、24時間に渡り増大したが、処置されたわきの下はわずかに増大しただけだった(表4)
【0094】
これらの結果により、Q24が体臭を低減するのに効果的であるという初期評価を確認する。これは、体臭に一般的に関与する有酸素ジフテロイドに対する作用によるものだと信じられる。
【0095】
実施例3
水虫におけるM.ルテウスの効果
配合
ブドウの種オイル 2.0g
カモミールオイル 0.06g
Q24凍結乾燥粉末 0.1g
【0096】
当該オイル製剤を、M.ルテウス凍結乾燥粉末と両オイルと混合し懸濁液製剤を製造することにより製造した。
【0097】
体臭防止剤スティックについてのQ24細胞数は、1.2×107cfu/gだった。
【0098】
当該製剤を、水虫を有する5人の被験者の感染領域に、毎日3日間、適用した。10分以内に、かゆみ徴候が消失した。3日後、感染の徴候の停止に起因し、さらなる適用は必要なかった。
【0099】
本明細書中に引用される特許権、及び刊行物を含む全ての引用文献を、引用することにより本明細書中に援用する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受託番号DSM17172の下、Deutsche Sammlung von Mikroorganisms Und Zellkulturen GmbH,Braunschweig,Germanyに寄託されたM.ルテウス(luteus)株Q24の生物学的に純粋な培養物、あるいはその同定される特性を有する培養物。
【請求項2】
希釈剤、担体、及び/又は賦形剤と共に、請求項1に記載されるM.ルテウス株を含む、組成物。
【請求項3】
スタフィロコッカス(Staphylococcus)種、プロピオニバクテリウム(Propionibacterium)種、コリネバクテリウム(Corynebacterium)種、ストレプトコッカス(Streptococcus)種、及び有酸素ジフテロイドからなる群より選択される1又は複数の細菌を少なくとも阻害するのに効果的であるM.ルテウス(luteus)株を含む組成物。
【請求項4】
プロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes)、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、スタフィロコッカス・サプロフィチカス(Staphylococcus saprophyticus)、スタフィロコッカス・シムラン(Staphylococcus simulans)、コリネバクテリウム・ディフセリアエ(Corynebacterium diphtheriae)、コリネバクテリウム・ウルセランス(Corynebacterium ulcerans)、コリネバクテリウム・ミニュテッシウム(Corynebacterium minutissium)、コリネバクテリウム・テヌイス(Corynebacterium tenuis)、ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)、ストレプトコッカス・アガラクチアエ(Streptococcus agalactiae)、及びストレプトコッカス・ディスガラクチアエ(Streptococcus dysgalactiae)からなる群より選択される1又は複数の細菌の成長を少なくとも阻害する効果のあるM.ルテウス(luteus)株を、希釈剤、担体、及び/又は賦形剤と共に含む、組成物。
【請求項5】
前記細菌群の少なくとも4つ、好ましくは8つ、最も好ましくは全11を阻害するのに効果的である、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)が、メチシリン耐性である、請求項4に記載の組成物。
【請求項7】
前記M.ルテウス(luteus)がQ24株である、請求項3〜6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
局所性投与のために配合される、請求項2〜7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
洗剤、クリーム、ローション、ゲル、オイル、エマルジョン、軟膏、懸濁液、粉末、エアゾールスプレー、鼻腔用スプレー、ロールオン、スティック、半固形製剤又は固形製剤である、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
1又は複数の第2抗菌剤をさらに含む、請求項2〜8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
前記第2抗菌剤が、バクテリオシン様阻害物質(BLIS)である、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
前記BLISが、ナイシン、エピデルミン、及びサリバリシンA、サリバリシンA1、サリバリシンA2、及びサリバリシンBから選択される、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記第2抗菌剤が、カリウムミョウバンである、請求項10に記載の組成物。
【請求項14】
単位剤形である、請求項2〜13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
1用量あたりM.ルテウス(luteus)の約104〜108CFU、好ましくは106〜107CFUを含む、請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
前記M.ルテウス(luteus)が、前記組成物の0.01〜99重量%、好ましくは0.05〜50重量%、好ましくは0.075〜20重量%、好ましくは1〜10重量%で含まれる、請求項2に記載の組成物。
【請求項17】
治療製剤である、請求項2〜16のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項18】
粉末、ロールオン、スティック又はエアゾールスプレー形態の体臭防止剤である、請求項9に記載の組成物。
【請求項19】
スティック体臭防止剤の形態である、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
洗剤、クリーム、ローション、ゲル、オイル、エマルジョン、軟膏又は懸濁液形態の皮膚感染治療用組成物である、請求項9に記載の組成物。
【請求項21】
にきび治療用組成物である、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
粉末又はオイル形態の白癬治療用組成物である、請求項9に記載の組成物。
【請求項23】
鼻腔用スプレーとして配合される、請求項9に記載の組成物。
【請求項24】
M.ルテウス(luteus)感受性細菌の成長を少なくとも阻害するための方法であって、前記感受性細菌を、阻害有効量のM.ルテウス(luteus)株又は請求項2〜23のいずれか1項に記載の組成物と接触させることを含む、前記方法。
【請求項25】
必要とする個体における皮膚障害のための予防又は治療方法であって、当該個体に、当該皮膚障害の少なくとも一部の原因となる1若しくは複数の細菌の成長を少なくとも阻害するのに有効量の、又はM.ルテウス(luteus)による当該個体の皮膚の効果的なコロニー形成を可能にする量のM.ルテウス(luteus)株又は請求項2〜23のいずれか1項に記載の組成物を投与することを含む、上記方法。
【請求項26】
前記皮膚障害の発生率又は重篤度を制御するために有用量のM.ルテウス(luteus)又は請求項2〜23のいずれか1項に記載の組成物を、前記個体の皮膚に導入することを含む、皮膚障害の発生率、及び/又は重篤度を制御する方法。
【請求項27】
前記皮膚障害が、皮膚感染、つま先の感染、及び体臭から選択される、請求項25又は26に記載の方法。
【請求項28】
前記皮膚障害が、か疹、丹毒、毛嚢炎、腫脹、よう、セルライト、にきび、陥凹性角質溶解、間擦疹、赤血病又は毛髪糸状菌症である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記つま先の感染が、足趾の間の感染又は白癬である、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記皮膚障害が体臭である、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記皮膚障害が、1又は複数のプロピオニバクテリウム(Propionibacterium)種、スタフィロコッカス(Staphylococcus)種、ストレプトコッカス(Streptococcus)種、コリネバクテリウム(Corynebacterium)種、及び有酸素ジフテロイドに、少なくとも一部起因する、請求項25〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記皮膚障害が、1又は複数のプロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes)、ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)、ストレプトコッカス・アガラクチアエ(Streptococcus agalactiae)、ストレプトコッカス・ディスガラクチアエ(Streptococcus dysgalactiae)、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、スタフィロコッカス・サプロフィチクス(Staphylococcus saprophyticus)、スタフィロコッカス・シムラン(Staphylococcus simulans)、コリネバクテリウム・ディフセリアエ(Corynebacterium diphtheriae)、コリネバクテリウム・ウルセランス(Corynebacterium ulcerans)、コリネバクテリウム・ミヌティシマム、及びコリネバクテリウム・テヌイス(Corynebacterium tenuis)に起因する、請求項25〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
皮膚ミクロフローラの存在量を低減する予備ステップを含む、請求項25〜32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
請求項2〜9、及び18のいずれか1項に記載の組成物を患部に適用することを含む、個体の体臭を治療する方法。
【請求項35】
請求項2〜9、及び20のいずれか1項に記載の組成物を患部に適用することを含む、個体における皮膚感染を治療する方法。
【請求項36】
前記皮膚感染が、にきび又は乳腺炎である、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
請求項2〜9又は22のいずれか1項に記載の組成物を白癬患部に適用することを含む、個体における白癬を治療する方法。
【請求項38】
前記白癬が、足白癬(水虫)である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
必要とする個体における皮膚障害の治療のための組成物の製造における、請求項1に記載の生物学的に純粋な培養物の使用。
【請求項40】
必要とする個体における皮膚障害の発生率、及び/又は重篤度を制御するための組成物の製造における、請求項1に記載の生物学的に純粋な培養物の使用。
【請求項41】
前記皮膚障害が、皮膚感染、つま先の感染、及び体臭から選択される、請求項39又は40に記載の使用。
【請求項42】
前記皮膚障害が、か疹、丹毒、毛嚢炎、腫脹、よう、セルライト、にきび、陥凹性角質溶解、間擦疹、赤血病又は毛髪糸状菌症である、請求項41に記載の使用。
【請求項43】
前記つま先の感染が、足趾の間の感染又は白癬である、請求項41に記載の使用。
【請求項44】
前記皮膚障害が体臭である、請求項41に記載の使用。
【請求項45】
前記皮膚障害が、1又は複数のプロピオニバクテリウム(Propionibactetrium)種、スタフィロコッカス(Staphylococcus)種、ストレプトコッカス(Streptcoccus)種、コリネバクテリウム(Corynebacterium)種、及び有酸素ジフテロイドに少なくとも一部起因する、請求項39〜41のいずれか1項に記載の使用。
【請求項46】
前記皮膚障害が、1又は複数のプロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes)、ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)、ストレプトコッカス・アガラクチアエ(Streptococcus agalactiae)、ストレプトコッカス・ディスガラクチアエ(Streptococcus dysgalactiae)、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、スタフィロコッカス・サプロフィチクス(Staphylococcus saprophyticus)、スタフィロコッカス・シムラン(Staphylococcus simulans)、コリネバクテリウム・ディフセリアエ(Corynebacterium diphtheriae)、コリネバクテリウム・ウルセランス(Corynebacterium ulcerans)、コリネバクテリウム・ミヌティシマム、及びコリネバクテリウム・テヌイス(Corynebacterium tenuis)に起因する、請求項39〜41又は45のいずれか1項に記載の使用。
【請求項47】
必要とする個体における体臭を治療するための組成物の製造における、請求項1に記載の生物学的に純粋な培養物の使用。
【請求項48】
必要とする個体における皮膚感染を治療するための組成物の製造における、請求項1に記載の生物学的に純粋な培養物の使用。
【請求項49】
前記皮膚感染が、にきび又は乳腺炎である、請求項48に記載の使用。
【請求項50】
必要とする個体における白癬を治療するための組成物の製造における、請求項1に記載される生物学的に純粋な培養物の使用。
【請求項51】
前記白癬が足白癬(水虫)である、請求項50に記載の使用。
【請求項52】
メチシリン耐性S.アウレウス(aureus)感染を治療するための組成物の製造における、請求項1に記載の生物学的に純粋な培養物の使用。

【公表番号】特表2008−537549(P2008−537549A)
【公表日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−503984(P2008−503984)
【出願日】平成18年3月29日(2006.3.29)
【国際出願番号】PCT/NZ2006/000060
【国際公開番号】WO2006/104403
【国際公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【出願人】(507324555)ブリス テクノロジーズ リミティド (1)
【Fターム(参考)】