説明

皮膚症状の治療に有用なベンゾジアゼピノン化合物

本発明は、ベンゾジアゼピノン化合物のファミリおよびその医薬組成物を提供するものである。また、本発明は、ベンゾジアゼピノンを投与することによるアトピー性皮膚炎、酒さまたは乾癬などの特定の皮膚症状を治療する方法ならびに、当該細胞をベンゾジアゼピノンに曝露することによる、ケラチノサイト細胞の増殖を低減させる方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2007年11月6日に出願された米国仮特許出願第60/985,898号(その内容を本明細書に援用する)の優先権の利益を主張するものである。
【0002】
連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載
本発明は、U.S.Department of Health & Human Servicesにより認められた助成番号AI47450にて連邦政府からの助成金を受けてなされたものである。よって、政府は本発明に対して一定の権利を留保する。
【0003】
本発明は、広義には異常な皮膚状態の治療に有用な製剤化合物の分野に関する。特に、本発明は、乾癬などの表皮過形成に関連した皮膚状態を治療するためのベンゾジアゼピノン化合物ならびに、これを使用する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
皮膚の異常な状態は、世界中で何百万人もの人々を悩ませている。皮膚症状のある患者は、その症状がゆえに痛みおよび/または不快感を経験することが多い。患者によっては、痛みまたは不快感が極めて重篤になり得る。眠る、日常業務をこなすおよび/または特定のスポーツに参加するなどの患者の能力が、いくつかの皮膚症状によって影響される可能性がある。また、物理的な病気だけでなく、皮膚症状は患者の心理的に健康な状態に悪影響をおよぼすこともある。たとえば、皮膚症状の中には患者の皮膚に醜いただれを生じるものがあり、これが原因で社会的な交流を避けるおよび/または感情的に沈んだ状態になる患者もいる。そのような症状のひとつが心理的な影響を持ち得る酒さである。それが顔に赤いしみを引き起こし、ざ瘡の吹き出物のような醜い外見になることが多いためである。
【0005】
多数の皮膚症状のうちの特徴的なひとつに、表皮過形成がある。表皮過形成とは、表皮組織において正常な配置にある正常細胞数の異常な増加である。研究によって、表皮過形成には一般にケラチノサイト細胞の過剰な成長が関与していることが明らかになっている。表皮過形成は、複雑な多細胞炎症イベントを伴うと想定される。しかしながら、全トランス型レチノイン酸(RA)またはその前駆物質、全トランス型レチノール(ROL)での皮膚の局所治療も、結果として表皮過形成につながる。たとえば、Varani J,et al.,(2001)J.Invest.Dermatol,117:1335〜1341(非特許文献1)を参照のこと。
【0006】
表皮過形成に関連する代表的な皮膚症状としては、乾癬およびアトピー性皮膚炎があげられる。たとえば、Krueger GC,et al.,(1984)J.Am.Acad.Dermatol.11:937〜947(非特許文献2);Fry L.(1988).Brit.J.Dermatol.119:445〜461(非特許文献3)を参照のこと。
【0007】
乾癬は、一般人口の2%を冒している慢性かつ炎症性の異常増殖皮膚症状である。毎年150,000前後の新たな乾癬症例と、乾癬による死亡例400前後が報告されている。Stern,R.S.(1995)Dermatol.Clin.13:717〜722(非特許文献4)を参照のこと。乾癬の典型的な症候としては、皮膚病変、赤みあるいは、ひび割れおよび/または痛みのある、乾燥して赤く、銀色の鱗屑で覆われた皮膚の炎症または斑点があげられる。別の症候として、関節痛または痛みがあるが、これらの症候は一般に乾癬性関節炎と関連している。乾癬は、皮膚のあらゆる部分に起こり得るが、体躯、頭皮、肘、膝の皮膚あるいは、手指の爪または足指の爪に多く見られる。乾癬の症候は、切り傷、火傷、虫さされまたは他の皮膚の怪我に応じて悪化することがある。また、AIDSに悩まされている患者や癌の化学療法中の患者など、免疫不全のある患者では、乾癬の症候がひどくなる可能性もある。
【0008】
乾癬には、いくつかのタイプがある。最も一般的なタイプの乾癬は、尋常性の慢性症候群である。このタイプの乾癬は、症状のある間に寛解と再発の期間が何度かある。治療せずに放置すると、尋常性乾癬は膿疱性乾癬または乾癬性紅皮症などのさらに重い症状に進展することがある。膿疱性乾癬では、皮膚の赤い部分に膿を伴う水疱ができる。乾癬性紅皮症は、赤くおよび落屑になる皮膚の大きな斑点を特徴とする。乾癬性紅皮症に罹患している患者は、患部の皮膚斑点がかゆいおよび/または痛みがあると訴えることが多い。一般に皮膚のひだに見られる皮膚の滑らかな炎症部分を特徴とするのが、逆乾癬である。皮膚で多数の涙形に見えるのは滴状乾癬であり、連鎖球菌による咽頭感染に関連していることが多い。また、手足指の爪の変化を特徴とするのが爪乾癬である。この形態の乾癬では、爪の下が変色したり、爪の下にある皮膚が厚くなったりすることが多い。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Varani J,et al.,(2001)J.Invest.Dermatol,117:1335〜1341
【非特許文献2】Krueger GC,et al.,(1984)J.Am.Acad.Dermatol.11:937〜947
【非特許文献3】Fry L.(1988).Brit.J.Dermatol.119:445〜461
【非特許文献4】Stern,R.S.(1995)Dermatol.Clin.13:717〜722
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
乾癬を治療するための現行の方法には、多数の欠点がある。たとえば、現在利用できる局所用抗乾癬薬の多くが皮膚を刺激し、長期間は使用できないおよび/または治療を突然に終了すると乾癬症状の激しい再発につながる。抗炎症薬では、特定の症候を緩和することはできるが根底にある疾患を治癒させることはない。現段階でのもうひとつの治療上の選択肢に光化学療法があるが、これは扁平上皮細胞および黒色腫の皮膚癌につながりかねない。
【0011】
したがって、乾癬などの皮膚症状の治療に効果的である、新たな組成物および方法に対する需要が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、ベンゾジアゼピノン化合物、ベンゾジアゼピノン化合物を用いてさまざまな症状を治療するための方法、ベンゾジアゼピノン化合物を用いてケラチノサイト細胞の増殖を低減させるための方法を提供するものである。
【0013】
一態様では、本発明は、その塩、エステル、およびプロドラッグを含む、式I

で表される化合物であって、式中、
は、HまたはC1〜6アルキルであり、
は、HまたはC1〜6アルキルであり、
は、C1〜6アルキルであり、
は、ヒドロキシルまたはフルオロであり、
式Iで表される化合物の立体中心における立体化学配置が、R、Sまたはこれらの混合物であり、ただし、前記化合物が、

ではない、化合物を提供するものである。
【0014】
式Iに採用された化合物のファミリは、本明細書に記載の化合物と薬学的に許容されるキャリアとを含む医薬組成物中に存在し得るものである。特定の実施形態では、医薬組成物が、ステロイド、シクロスポリン、ビタミンD、ビタミンD類似体、角質溶解薬、局所用レチノイド、カルシニューリン阻害剤またはコールタールをさらに含む。
【0015】
もうひとつの態様では、本発明は、皮膚症状の治療方法を提供するものである。この方法は、症状の症候を寛解させるために、本明細書に記載の式Iの化合物を、それを必要とする被検体に治療有効量で投与することを含む。特に表皮過形成と関連するものなどの多岐にわたる皮膚症状を治療可能である。特定の実施形態では、皮膚症状が、アトピー性皮膚炎、酒さまたは乾癬である。
【0016】
もうひとつの態様では、本発明は、表皮過形成の治療方法を提供するものである。この方法は、表皮過形成の症候を寛解させるために、本明細書に記載の式Iの化合物を、それを必要とする被検体に治療有効量で投与することを含む。
【0017】
特定の実施形態では、本発明は、併用療法を含む。たとえば、特定の実施形態では、上述した方法のうちの1つがさらに、ステロイド、シクロスポリン、ビタミンD、ビタミンD類似体、角質溶解薬、局所用レチノイド、カルシニューリン阻害剤、およびコールタールからなる群から選択される治療薬を被検体に投与することを含む。多岐にわたる異なるステロイド、シクロスポリン、ビタミンD類似体、角質溶解薬、局所用レチノイド、カルシニューリン阻害剤およびコールタールが、本発明に包含される。特定の実施形態では、ステロイドが局所用コルチコステロイドである。特定の実施形態では、局所用コルチコステロイドがトリアムシノロンアセトニドまたはジプロピオン酸ベタメタゾンであり、ビタミンD類似体がカルシポトリエンであり、角質溶解薬がアントラリンであり、局所用レチノイドがトレチノインまたはタザロテンであり、カルシニューリン阻害剤が、タクロリムス、ピメクロリムス、アスコマイシンまたはISA247である。
【0018】
もうひとつの態様では、本発明は、ケラチノサイト細胞の増殖を低減させる方法を提供するものである。この方法は、ケラチノサイト細胞を本明細書に記載の式Iの化合物に曝露することを含む。
【発明を実施するための形態】
【0019】
定義:本発明についての理解を容易にするために、以下の用語は下記に定義する意味を持つ。
【0020】
「ベンゾジアゼピン」という用語は、フェニル環に縮合された7員環の非芳香族複素環を示し、この場合の7員の環は複素環の一部として2個の窒素原子を有する。2個の窒素原子は、以下の一般構造から明らかなように、1位と4位にある。

【0021】
ベンゾジアゼピンは、1つのケト基(一般に2位)または2つのケト基(2位と5位に1つずつ)で置換されていてもよい。本発明の目的で、ベンゾジアゼピン化合物は、さまざまな置換基を7員環の非芳香族複素環に包含する。
【0022】
「アルキル」という用語は、従来技術において認識されており、直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、シクロアルキル基、アルキル置換シクロアルキル基、およびシクロアルキル置換アルキル基をはじめとする飽和脂肪族基を含む。代表例として、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、およびシクロプロピルメチルがあげられる。
【0023】
「ヒドロキシル」という用語は、−OHを意味する。たとえば、ヒドロキシル基で置換されたペンタンは、式CH(CHCHOHを有する。
【0024】
「医薬組成物」という用語は、特にin vivoまたはex vivoでの診断用途または治療用途に適した組成物をなす活性剤とキャリア(不活性または活性)との組み合わせを示す。
【0025】
「薬学的に許容されるキャリア」という用語は、リン酸緩衝生理食塩水、水、エマルション(油/水または水/油エマルションなど)、さまざまなタイプの湿潤剤などの標準的な製剤キャリアを示す。また、この組成物は、安定剤や保存料を含むものであってもよい。キャリア、安定剤、およびアジュバントの例については。(たとえば、Martin,Remington’s Pharmaceutical Sciences,15th Ed.,Mack Publ.Co.,Easton,PA[1975]を参照のこと)。
【0026】
「薬学的に許容される塩」という用語は、被検体への投与時に、本発明の化合物またはその活性代謝物または残基を提供できる本発明の化合物の薬学的に許容される塩(酸または塩基など)を示す。当業者間で周知のように、本発明の化合物の「塩」は、無機または有機の酸および塩基に由来するものであってもよい。酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、コハク酸、トルエン−p−スルホン酸、酒石酸、酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、安息香酸、マロン酸、ナフタレン−2−スルホン酸、ベンゼンスルホン酸などがあげられるが、これに限定されるものではない。ときにそれ自体は薬学的に許容されるものではないが、本発明の化合物ならびにその薬学的に許容される酸付加塩を得る際の中間体として有用な塩の調製に、シュウ酸などの他の酸を使用できることもある。塩基の例として、アルカリ金属(ナトリウムなど)水酸化物、アルカリ土類金属(マグネシウムなど)水酸化物、アンモニア、および式NWの化合物があげられるが、式中、WはC1〜4アルキルなどである。塩の例として、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、硫酸水素塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、二グルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、フルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2?ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2?ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パルモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩、ウンデカン酸塩などがあげられるが、これに限定されるものではない。塩の他の例として、Na、NH、NW/(式中、WはC1〜4アルキル基である)などの好適なカチオンと配合した本発明の化合物のアニオンがあげられる。
【0027】
治療用途では、本発明の化合物の塩は薬学的に許容されると想定される。しかしながら、非薬学的に許容される酸および塩基の塩にも、たとえば、薬学的に許容される化合物の調製または精製などの用途がある場合もある。
【0028】
本発明のいくつかの化合物の構造は不斉炭素原子を含む点に注意されたい。特に明記しないかぎり、このような不斉(あらゆるエナンチオマーおよびジアステレオマーなど)から得られる異性体も本発明の範囲に含まれることは、理解できよう。このような異性体は、伝統的な分離技術や立体化学的に制御された合成によって、実質的に純粋な形態で得られる。さらに、本出願で論じる構造および他の化合物および部分は、そのあらゆる互変異性体も含む。アルケンには、適宜E−またはZ−ジオメトリのいずれかを含み得る。
【0029】
オルト、メタ、パラという用語は、従来技術において認識され、それぞれ1,2−、1,3−および1,4−二置換ベンゼンを示す。たとえば、1,2−ジメチルベンゼンとオルト−ジメチルベンゼンという呼び名は同義である。
【0030】
一般的な事項として、パーセンテージを指定してある組成物は、特に明記しないかぎり重量パーセントである。さらに、定義に変数がない場合、その変数についての先の定義が適用される。
【0031】
「過形成」という用語は、構造または機能の有意な変動のない、組織または臓器における細胞数の増加を伴う細胞増殖の一形態を示す。病理学的過形成には、正常な細胞成長の通常の制限がきかない細胞の増殖を伴う。腫瘍細胞、新生細胞、悪性細胞、転移性細胞を含む、増生細胞または癌細胞に、過形成が認められることがある。
【0032】
「表皮過形成」という用語は、表皮組織において正常な配置にある正常な細胞の異常な分裂増殖またはその数の異常な増加を示す。表皮過形成は、乾癬を含むがこれに限定されるものではない、多数の皮膚症状の特徴である。
【0033】
「ケラチノサイト」という用語は、表皮の角質化層の皮膚細胞を示す。
【0034】
「線維芽細胞」という用語は、線維性プロコラーゲン、フィブロネクチンおよびコレゲナーゼ(collegenase)を分泌する結合組織の中胚葉由来の常在細胞を示す。
【0035】
「EC50」という用語は、従来技術において認識され、化合物の最大効果の50%が観察される濃度を示す。
【0036】
「被検体」という用語は、本発明の方法による治療対象となる生物体を示す。このような生物体は、好ましくは、哺乳動物(ネズミ、サル、ウマ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコなど)を含み、最も好ましくはヒトを含む。
【0037】
「有効量」という用語は、有益な結果または所望の結果を得るのに十分な化合物(ベンゾジアゼピノン化合物など)の量を示す。有効量については、1回または複数回の投与、塗布または服用によって投与すればよく、特定の製剤または投与経路に限定されるものでもなければ、限定を意図したものでもない。
【0038】
「第2の作用剤」という用語は、本発明によるベンゾジアゼピノン化合物以外の治療薬を示す。特定の場合において、第2の作用剤は抗増殖剤である。
【0039】
「併用投与」という用語は、少なくとも2種類の作用剤(本発明の化合物など)または処置剤を被検体に投与することを示す。いくつかの実施形態では、2種類以上の作用剤/処置剤の併用投与が同時である。他の実施形態では、第1の作用剤/処置剤を投与した上で第2の作用剤/処置剤を投与する。使用する製剤および/またはさまざまな作用剤/処置剤の投与経路を変えてもよいことは、当業者であれば理解できる。併用投与での適切な薬用量は、当業者が容易に判断可能なものである。いくつかの実施形態では、作用剤/処置剤を併用投与する場合、それぞれの作用剤/処置剤を、それらを単独で投与するのに適した薬用量よりも少なめに投与する。このため、作用剤/処置剤の併用投与によって周知の潜在的に有害な(有毒であるなど)作用剤の必要な薬用量を減らす実施形態では、併用投与が特に望ましい。
【0040】
「併用療法」という用語は、ベンゾジアゼピノン本発明の化合物と、少なくとも第2の作用剤とを、これらの治療薬の同時作用から有益な効果を提供することを意図した特定の治療計画の一部として、投与することを示す。組み合わせの有益な効果として、治療薬の組み合わせに起因する薬物動態学的または薬力学的な同時作用があげられるが、これに限定されるものではない。これらの治療薬の組み合わせでの投与は一般に、規定の時間(通常、選択する組み合わせに応じて数分、数時間、数日または数週間)にわたって実施される。「併用療法」は、偶然かつ任意に本発明の組み合わせにつながる別々の単剤療法投与計画の一部として、これらの治療薬のうちの2種類以上の投与を包含することを意図したものであってもよいが、通常はそうではない。「併用療法」は、これらの治療薬の逐次投与すなわち、各治療薬を異なる時点で投与することならびに、これらの治療薬または少なくとも2種類の治療薬を、実質的に同時に投与することを含むよう意図したものである。実質的に同時の投与は、たとえば、各治療薬の比が一定のカプセル1個を被検体に投与するか、各治療薬のカプセル1個ずつを複数投与することで達成可能である。各治療薬の逐次または実質的に同時の投与は、経口経路、静脈内経路、筋肉内経路、粘膜組織経由の直接吸収を含むがこれに限定されるものではない、適切な経路で実施すればよい。これらの治療薬は、同一経路または異なる経路で投与可能である。たとえば、選択した組み合わせの第1の治療薬を静脈注射で投与する一方で、他の組み合わせの治療薬を経口投与してもよい。あるいは、たとえば、すべての治療薬を経口投与してもよいし、すべての治療薬を静脈注射によって投与してもよい。治療薬の投与順序は、それほど厳密ではない。また、「併用療法」には、上述したような治療薬を他の生物学的に活性な成分および非医薬品療法(外科手術または放射線療法など)とさらに組み合わせて投与することも含み得る。併用療法がさらに非医薬品治療を含む場合、この非医薬品治療は、治療薬と非医薬品治療との組み合わせの同時作用による有益な効果が達成されるかぎりにおいて、任意の好適な時点で実施すればよい。たとえば、適切な事例では、おそらくは数日または数週間ですら非医薬品治療を一時的に治療薬の投与から外しても、依然として有益な効果が達成される。
【0041】
本発明は、ベンゾジアゼピノン化合物および当該化合物を治療薬として用いて多数の異なる症状を治療する方法を提供するものである。本発明の例示としての組成物および方法については、I.ベンゾジアゼピノン化合物、II.ベンゾジアゼピノン化合物の治療への応用、III.医薬組成物、製剤、例示としての投与経路および投薬時の考慮事項の各章で一層詳細に説明する。
【0042】
本発明の実施には、特に明記しないかぎり、有機化学、薬理学、分子生物学(組換え技術を含む)、細胞生物学、生化学、および免疫学の従来の技術を利用するが、これらは当業者のスキルの範囲内である。こうした技術については、“Comprehensive Organic Synthesis”(B.M.Trost & I.Fleming,eds.,1991〜1992);“Molecular cloning:a laboratory manual”Second Edition(Sambrook et al.,1989);“Oligonucleotide synthesis”(MJ.Gait,ed.,1984);“Animal cell culture”(R.I.Freshney,ed.,1987);シリーズ“Methods in enzymology”(Academic Press,Inc.);“Handbook of experimental immunology”(D.M.Weir & CC.Blackwell,eds.);“Gene transfer vectors for mammalian cells”(J.M.Miller & M.P.Calos,eds.,1987);“Current protocols in molecular biology”(F.M.Ausubel et al.,eds.,1987および定期的な更新物);“PCR:the polymerase chain reaction”(Mullis et al.,eds.,1994);および“Current protocols in immunology”(J.E.Coligan et al.,eds.,1991)(各々をその内容全体を本明細書に援用する)などの文献に十分な説明がなされている。
【0043】
I.ベンゾジアゼピノン化合物
一態様では、本発明は、その塩、エステル、およびプロドラッグを含む、式I

で表される化合物であって、式中、
は、HまたはC1〜6アルキルであり、
は、HまたはC1〜6アルキルであり、
は、C1〜6アルキルであり、
は、ヒドロキシルまたはフルオロであり、
式Iで表される化合物の立体中心における立体化学配置が、R、Sまたはこれらの混合物であり、ただし、前記化合物が、

ではない、化合物を提供するものである。
【0044】
特定の実施形態では、Rがフルオロである。特定の他の実施形態では、化合物が構造

を有する。
【0045】
特定の他の実施形態では、Rがヒドロキシルである。特定の他の実施形態では、化合物が構造

を有する。
【0046】
特定の他の実施形態では、化合物が構造

を有する。
【0047】
特定の他の実施形態では、RおよびRがC1〜3アルキルである。特定の他の実施形態では、RおよびRがメチルである。特定の他の実施形態では、RおよびRがエチルである。特定の他の実施形態では、RおよびRがイソプロピルである。特定の他の実施形態では、Rがメチルである。特定の他の実施形態では、RがHであり、Rがイソプロピルである。特定の他の実施形態では、RがHまたはメチルであり、RおよびRがC1〜3アルキルである。特定の他の実施形態では、化合物が、

である。
【0048】
特定の他の実施形態では、化合物が

である。
【0049】
特定の実施形態では、化合物が、以下の表に示すとおりである。
【0050】
(表1)


【0051】
(表2)


【0052】
上記の化合物は、本明細書に記載の化合物と薬学的に許容されるキャリアとを含む医薬組成物中に存在し得るものである。特定の実施形態では、医薬組成物が、第2の治療薬をさらに含む。特定の実施形態では、第2の治療薬が、ステロイド、シクロスポリン、ビタミンD、ビタミンD類似体、角質溶解薬、局所用レチノイド、カルシニューリン阻害剤またはコールタールである。多岐にわたる異なるステロイド、シクロスポリン、ビタミンD類似体、角質溶解薬、局所用レチノイド、カルシニューリン阻害剤およびコールタールが本発明で受け入れられる。特定の実施形態では、ステロイドが局所用ステロイドである。局所用ステロイドは、プラーク形成を低減し、抗炎症作用を有する。局所用ステロイドが、多用な刺激に対する身体の免疫応答を調節することもある。局所用ステロイドは、特定の実施形態では、トリアムシノロンアセトニド(Artistocort、Kenalog)(0.1%クリーム)またはジプロピオン酸ベタメタゾン(Diprolene、Diprosone)(0.05%クリーム)などの局所用コルチコステロイドであってもよい。特定の実施形態では、第2の治療薬が、シクロスポリンAまたはシクロスポリンAの誘導体などのシクロスポリンである。特定の実施形態では、第2の治療薬がビタミンDまたはビタミンD類似体である。ビタミンD類似体は、過去の治療手順に対する耐性の生じた病変のある患者や、皮膚が薄くなることで化粧上の問題が生じる顔面または露出した部分に病変のある患者に用いられることもある。特定の実施形態では、ビタミンD類似体がカルシポトリエンである。特定の実施形態では、第2の治療薬が角質溶解薬である。角質溶解薬は、被検体の鱗屑を取り除き、皮膚をなめらかにして、過角化症を治療するのに使用可能である。特定の実施形態では、角質溶解薬が、アントラリン、特にアントラリン0.1〜1%(Drithocreme、Anthra−Derm)である。
【0053】
特定の実施形態では、第2の治療薬が、局所用レチノイドなどのレチノイドである。局所用レチノイドは、濾胞上皮細胞の凝集を低減して有糸分裂を刺激でき、結果として濾胞上皮細胞の代謝回転率が高まる。特定の実施形態では、局所用レチノイドがトレチノインまたはタザロテンである。特定の実施形態では、局所用レチノイドが、Retin−AまたはAvitaとして販売されている製剤のトレチノインである。特定の実施形態では、局所用レチノイドが、Tazoracとして販売されている製剤のタザロテンである。
【0054】
特定の実施形態では、第2の治療薬が、タクロリムス、ピメクロリムス、アスコマイシンまたはISA247などのカルシニューリン阻害剤である。FK506としても知られるタクロリムスは、米国特許第4,894,366号明細書、同第4,916,138号明細書、同第4,929,611号明細書(各々、本明細書に援用する)に記載されている。ピメクロリムスは、T細胞および肥満細胞による炎症性サイトカインの生成を阻害することが報告されているマクロラクタムである。ピメクロリムスは、本明細書に援用する米国特許第5,912,238号明細書に記載されている。アスコマイシンは、CE.Griffiths in Br.J.Dermatol.2001.Apr;144(4):679〜81に記載されているタクロリムスのエチル類似体である。ISA247は、米国特許第6,605,593号明細書および同第6,613,739号明細書(各々、本明細書に援用する)に記載されたシクロスポリン誘導体である。
【0055】
特定の実施形態では、第2の治療薬がコールタールである。コールタールは、シャンプーやローションの売場で入手可能な安価な治療薬であり、毛の生えた部分に特に有用である。コールタールの一例が、コールタール(DHS Tar、Doctar、Theraplex T)−鎮痒薬である。特定の実施形態では、コールタールは、2〜10重量パーセントの濃度で存在する。
【0056】
スキーム1に示す手順に基づいて、上述したベンゾジアゼピノン化合物を調製可能である。
スキーム1.

【0057】
化合物Aを水素化ナトリウムとアルキルまたはハロゲン化ベンジルで処理することで、無水イサト酸AのN−アルキル化を実施できる。化合物Aとハロゲン化p−メトキシベンジルなどのハロゲン化ベンジルとの反応を実施して保護基を導入することができるのに対し、化合物Aとヨウ化メチルまたはヨウ化エチルなどのさまざまなハロゲン化アルキルとの反応を実施すれば、ベンゾジアゼピン環のN1−位にアルキル置換を導入できる。グリシンとの反応時に無水イサト酸BをベンゾジアゼピノンCに変換することが可能である。Indian J.Chem.Sect.B.1985,24,905〜907を参照のこと。この手法によって、ベンゾジアゼピノンC1およびC2が良好な収率で得られ、これをPOClで処理して塩化イミドイルD1またはD2を得た。
【0058】
Nadinおよび同僚らによって説明されている手順に従って、アリールボロン酸のスズキカップリングで「南の」アリール環(置換基Ar)を導入することが可能である。J.Org.Chem.2003,68,2844〜2852を参照のこと。特に、塩化イミドイルD1およびD2と(4−メトキシフェニル)ボロン酸とのスズキカップリングによって、5−アリールベンゾジアゼピノンE1およびE2は、バルク量で得られた。
【0059】
ベンゾジアゼピノン環のC3−位でのアルキル化で「東の」アリール環(置換基Ar)を導入することが可能である。カリウムtert−ブトキシドなどの強塩基を用いるC−3での脱プロトン化に続いて、置換ハロゲン化ベンジルを加えることで、ベンゾジアゼピノンGを得た。この反応でのハロゲン化ベンジルは、業務入手することも可能であるし、ベンジルアルコールを塩化チオニルで処理するなどの周知の手順で対応するベンジルアルコールから調製しても構わない。多岐にわたるベンジルアルコールが市販されている。また、以下の方法のうちのいずれか1つを用いて、多岐にわたるベンジルアルコールを調製できる。i)市販のカルボン酸の還元(水素化アルミニウムリチウムを用いる還元など);ii)PdCl(dppf)などのパラジウム触媒の存在下、たとえばジアルキル亜鉛試薬を使用して、ジブロモ−ベンジルアルコールからジアルキル−ベンジルアルコールへの変換;iii)酢酸ジブロモベンジルから酢酸ジアルキルベンジルへの変換に続いて加水分解;iv)適当な芳香族化合物のホルミル化に続いて還元;またはv)Fe(acac)などの鉄触媒の存在下、たとえば、グリニャール試薬を使用して、反応性クロロ安息香酸エステルからそれぞれのアルキル安息香酸エステルへの変換と、これに続く還元。
【0060】
「東の」芳香環の置換基は、芳香環のC3−アルキル化後に導入可能なものである。たとえば、臭化3−ブロモベンジルでのC3−アルキル化に、芳香環に対するアルキル基のPd−触媒結合が続いた。
【0061】
上記のスキーム1で表されるように、塩化イミドイルDのC3−アルキル化後にパラジウム−カップリング反応を実施して「南の」芳香環を導入する合成戦略でベンゾジアゼピノンGを調製することも可能である。この合成戦略は、広範囲にわたる基質に合うはずではあるが、C3−アルキル化反応の水性処理(aqueous work−up)を低温ですみやかに実施して、塩化イミドイル基の加水分解を最小限に抑える必要がある。このパラジウム−カップリング反応で用いるボロン酸アリールは、商業ソースから入手してもよいし、容易に調製も可能である。たとえば、パラジウム触媒の存在下、臭化アリールをビス(ピナコラート)ジボロンで処理すれば、ボロン酸アリールを調製できる。
【0062】
合成時に保護基を用いる状況では、従来技術において周知の標準的な手順で化合物Gの保護基を除去すればよい。たとえば、AlClを用いてArのメトキシ保護基を除去し、p−ヒドロキシフェニル基を得ることが可能である。同様に、セリウム(IV)硝酸アンモニウムを用いて、文献に記載の手順でp−メトキシベンジル基をN−脱保護してもよい。
【0063】
II.ベンゾジアゼピン化合物の治療への応用
式Iのベンゾジアゼピノン化合物は、さまざまな皮膚症状に罹患した患者に治療的な利点を提供するものであると企図される。一態様では、本発明は、その塩、エステル、およびプロドラッグを含む、式I

の化合物であって、式中、
は、HまたはC1〜6アルキルであり、
は、HまたはC1〜6アルキルであり、
は、C1〜6アルキルであり、
は、ヒドロキシルまたはフルオロであり、
式Iで表される化合物の立体中心における立体化学配置が、R、Sまたはこれらの混合物であり、ただし、前記化合物が、

ではない、化合物を、皮膚症状の症候を寛解させるために、それを必要とする被検体に治療有効量で投与することを含む、皮膚症状の治療方法を提供するものである。
【0064】
特定の実施形態では、Rがフルオロである。特定の他の実施形態では、化合物が、構造

を有する。
【0065】
特定の他の実施形態では、Rがヒドロキシルである。特定の他の実施形態では、化合物が、構造

を有する。
【0066】
特定の他の実施形態では、化合物が、構造

を有する。
【0067】
特定の他の実施形態では、RおよびRがC1〜3アルキルである。特定の他の実施形態では、RおよびRがメチルである。特定の他の実施形態では、RおよびRがエチルである。特定の他の実施形態では、RおよびRがイソプロピルである。特定の他の実施形態では、Rがメチルである。特定の他の実施形態では、RがHであり、Rがイソプロピルである。特定の他の実施形態では、RがHまたはメチルであり、RおよびRがC1〜3アルキルである。特定の他の実施形態では、化合物が、

である。
【0068】
特定の他の実施形態では、化合物が、

である。
【0069】
特定の他の実施形態では、化合物が、表1または表2に列挙した化合物のうちの1つである。特定の他の実施形態では、皮膚症状が表皮過形成と関連している。特定の他の実施形態では、皮膚症状が、アトピー性皮膚炎、酒さまたは乾癬である。特定の他の実施形態では、皮膚症状が乾癬である。乾癬にも多岐にわたる形態があり、尋常性乾癬、滴状乾癬、爪乾癬、逆乾癬、および頭皮乾癬が含まれる。本明細書に記載のベンゾジアゼピノンを投与することで、乾癬のこれらの形態のうちの1つ以上を治療できると企図される。
【0070】
もうひとつの態様では、本発明は、表皮過形成の症候を寛解させるために、本明細書に記載の式Iの化合物を、それを必要とする被検体に治療有効量で投与することを含む、表皮過形成の治療方法を提供するものである。特定の実施形態では、化合物が、構造

を有し、式中、RはHまたはC1〜6アルキルであり、RはHまたはC1〜6アルキルであり、RはC1〜6アルキルであり、化合物の立体中心における立体化学配置が、R、Sまたはこれらの混合物である。
【0071】
特定の他の実施形態では、化合物が、構造

を有し、式中、RはHまたはC1〜6アルキルであり、RはHまたはC1〜6アルキルであり、RはC1〜6アルキルであり、化合物の立体中心における立体化学配置が、R、Sまたはこれらの混合物である。
【0072】
特定の他の実施形態では、RおよびRがC1〜3アルキルである。特定の他の実施形態では、RおよびRがメチルである。特定の他の実施形態では、RおよびRがエチルである。特定の他の実施形態では、RおよびRがイソプロピルである。特定の他の実施形態では、Rがメチルである。特定の他の実施形態では、RがHであり、Rがイソプロピルである。特定の他の実施形態では、RがHまたはメチルであり、RおよびRがC1〜3アルキルである。特定の他の実施形態では、化合物が、

である。
【0073】
特定の他の実施形態では、化合物が、

である。
【0074】
特定の他の実施形態では、化合物が、表1または表2に列挙した化合物のうちの1つである。
【0075】
特定の実施形態では、被検体がヒトである。特定の他の実施形態では、この方法がさらに、ステロイド、シクロスポリン、ビタミンD、ビタミンD類似体、角質溶解薬、局所用レチノイド、カルシニューリン阻害剤、およびコールタールからなる群から選択される治療薬を被検体に投与することを含む。特定の実施形態では、ステロイドが局所用コルチコステロイドである。特定の他の実施形態では、局所用コルチコステロイドがトリアムシノロンアセトニドまたはジプロピオン酸ベタメタゾンであり、ビタミンD類似体がカルシポトリエンであり、角質溶解薬がアントラリンであり、局所用レチノイドがトレチノインまたはタザロテンであり、カルシニューリン阻害剤が、タクロリムス、ピメクロリムス、アスコマイシンまたはISA247である。特定の他の実施形態では、治療薬がステロイドである。
【0076】
もうひとつの態様では、本発明は、ケラチノサイト細胞を本明細書に記載の式Iの化合物に曝露することを含む、ケラチノサイト細胞の増殖を低減させる方法を提供するものである。特定の実施形態では、化合物が、構造

を有し、式中、RはHまたはC1〜6アルキルであり、RはHまたはC1〜6アルキルであり、RはC1〜6アルキルであり、化合物の立体中心における立体化学配置が、R、Sまたはこれらの混合物である。
【0077】
特定の他の実施形態では、化合物が、構造

を有し、式中、RはHまたはC1〜6アルキルであり、RはHまたはC1〜6アルキルであり、RはC1〜6アルキルであり、化合物の立体中心における立体化学配置が、R、Sまたはこれらの混合物である。
【0078】
特定の他の実施形態では、RおよびRがC1〜3アルキルである。特定の他の実施形態では、RおよびRがメチルである。特定の他の実施形態では、RおよびRがエチルである。特定の他の実施形態では、RおよびRがイソプロピルである。特定の他の実施形態では、Rがメチルである。特定の他の実施形態では、RがHであり、Rがイソプロピルである。特定の他の実施形態では、RがHまたはメチルであり、RおよびRがC1〜3アルキルである。特定の他の実施形態では、化合物が、

である。
【0079】
特定の他の実施形態では、化合物が、

である。
【0080】
特定の他の実施形態では、化合物が、表1または表2に列挙した化合物のうちの1つである。
【0081】
特定の他の実施形態では、本明細書に記載の方法はさらに、前記被検体を紫外線に曝露することを含む。光線療法が乾癬の治療を助けることが明らかになっている。光線療法には主に、UVB光線療法とPUVA光線療法の2つの形態がある。UVBすなわち紫外線Bの光線療法では、波長が290〜320nmの範囲の光を使う。このような光線療法は、i)コールタールを局所的に適用後、UVBを使用、ii)コールタール浴を使用後、UVBを使用し、さらにアントラリンを局所的に適用;またはiii)コルチコステロイド、カルシポトリエン、タザロテンまたは単に当たり障りのない皮膚軟化剤の局所適用とUVBを併用することを含む1種類以上の局所治療と組み合わせられることが多い。PUVAでは、光感受性の医薬品であるメトキサレン(8−メトキシソラレン)をUVA光(波長320〜400nmの範囲)との関連で使用する。PUVAは、DNA合成に干渉(メトキサレンがDNAのピリミジン塩基と共有結合する)し、細胞増殖を抑え、皮膚リンパ球のアポトーシスを誘導して局所的な免疫抑制につながると考えられている。
【0082】
III.医薬組成物、製剤、例示としての投与経路および投薬時の考慮事項
企図されるさまざまな薬物および医薬組成物の例示としての実施形態を以下にあげておく。
【0083】
A.薬物の調製
本発明の化合物は、多岐にわたる皮膚症状を治療または研究するための薬物の調製に有用である。特定の実施形態では、皮膚症状が表皮過形成と関連している。
【0084】
また、この化合物は、化合物の有効性が周知であるか予測される他の皮膚症状を治療または研究するための薬物の調製にも有用である。本発明の化合物の薬物を調製するための方法および技術は従来技術において周知である。例示としての製剤処方薬および送達経路については後述する。
【0085】
B.例示としての医薬組成物および製剤
本発明のいくつかの実施形態では組成物を単独で投与するが、他のいくつかの実施形態では、上述したように、組成物が、固相支持体と一緒にあるいは、1種類以上の薬学的に許容されるキャリアならびに、任意に他の治療薬と一緒に、少なくとも1種の有効成分/作用剤を含む製剤処方薬中に存在すると好ましい。各キャリアは、製剤の他の成分と共存可能かつ被検体に害がないという観点で、「許容可能な」ものでなければならない。
【0086】
企図される製剤は、経口、直腸、経鼻、局所(経皮、頬側、および舌下を含む)、膣内、非経口(皮下、筋肉内、静脈内、および皮内を含む)および経肺投与に適したものを含む。いくつかの実施形態では、製剤が適宜単位剤形で提示され、薬学の従来技術において周知の任意の方法で調製される。このような方法は、1種類以上の副成分をなす有効成分をキャリアと会合させるステップを含む。通常、有効成分を液体キャリアまたは微粉砕した固体キャリアまたはその両方と均一かつ相互に会合させ(混合など)、必要であればその生成物を成形して、製剤を調製する。
【0087】
経口投与に適した本発明の製剤は、カプセル、サシェまたは錠剤などの別個の単位として提示できるものであり、この場合、それぞれが、粉末または顆粒として、水性または非水性液体中の溶液または懸濁液として、あるいは水中油滴型液体エマルションまたは油中水滴型液体エマルションとして、好ましくはあらかじめ定められた量の有効成分を含む。他の実施形態では、有効成分が、ボーラス、舐剤またはペーストなどとして提示される。
【0088】
いくつかの実施形態では、錠剤が少なくとも1種の有効成分を含み、任意に、それぞれの作用剤を圧縮または成形して1種以上の副作用剤/キャリアが作られる。いくつかの実施形態では、好適な機械で、粉末または顆粒などの自由流動状態の有効成分を、任意にバインダー(ポビドン、ゼラチン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなど)や潤滑剤、不活性希釈剤、保存剤、崩壊剤(ナトリウムスターチグリコレート、架橋したポビドン、架橋したナトリウムカルボキシメチルセルロース)表面活性剤または分散助剤と混合して圧縮し、圧縮錠剤を調製する。湿製錠は、好適な機械で、粉末化合物(有効成分など)を不活性液体希釈剤で湿らせた混合物を成形して作られる。錠剤には、任意にコーティングをほどこしたり割線を入れておいたりしてもよく、所望の放出プロファイルが得られるようなさまざまな割合でヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いるなどして、内部の有効成分がゆっくりと放出すなわち徐放されるように処方してもよい。錠剤に、任意に腸溶コーティングをほどこして、胃以外の腸の一部で放出されるようにしてもよい。
【0089】
口での局所投与に適した製剤として、通常はスクロースおよびアカシアまたはトラガカントである香味のついた基剤に有効成分を含む薬用ドロップ;ゼラチンおよびグリセリンあるいは、スクロースおよびアカシアなどの不活性基剤に有効成分を含むトローチ;好適な液体キャリア中に有効成分を含む洗口剤があげられる。
【0090】
本発明による局所投与用の医薬組成物は、任意に、軟膏、クリーム、懸濁液、ローション、粉末、溶液、ペースト、ゲル、スプレー、エーロゾルまたは油として配合される。別の実施形態では、局所製剤が、有効成分を含浸させた包帯または絆創膏などのパッチまたは被覆材と、任意に1種類以上の賦形剤または希釈剤とを含む。いくつかの実施形態では、局所製剤が、皮膚または他の患部を介した活性剤の吸収または浸透を促進する化合物を含む。このような皮膚浸透エンハンサーの例として、ジメチルスルホキシド(DMSO)および関連の類似体があげられる。
【0091】
必要があれば、クリームベースの水性相が、たとえば、少なくとも約30%w/wの多価アルコールすなわち、プロピレングリコール、ブタン−1、3−ジオール、マンニトール、ソルビトール、グリセロール、ポリエチレングリコールおよびこれらの混合物など、2つ以上のヒドロキシル基を有するアルコールを含む。
【0092】
いくつかの実施形態では、本発明の油相エマルションが、周知の成分から周知の方法で構成される。この相は一般に、独立した乳化剤(そうでなければエマルジェントとして知られる)を含み、実施形態によっては、この相が少なくとも1種の乳化剤と脂肪または油との混合物あるいは、脂肪と油の両方との混合物をさらに含むと望ましい。
【0093】
好ましくは、親水性乳化剤は、安定剤として作用するように親油性乳化剤と一緒に含まれる。実施形態によっては、油と脂肪を両方とも含むと好ましい。乳化剤は、安定剤と一緒にまたは安定剤を使用せずに、いわゆる乳化ワックスを構成し、ワックスは油および/または脂肪と一緒に、クリーム製剤の油性分散相を形成するいわゆる乳化性軟膏ベースを構成する。
【0094】
本発明の製剤で用いるのに適したエマルジェントおよびエマルション安定剤としては、Tween 60、Span 80、セトステアリルアルコール、ミリスチルアルコール、モノステアリン酸グリセリル、ラウリル硫酸ナトリウムがあげられる。
【0095】
製剤用の好適な油または脂肪に何を選択するかは、所望の特性(化粧特性など)を達成できるように決められる。これは、エマルション製剤処方薬として利用されることの多いほとんどの油に対する活性化合物/作用剤の溶解性が極めて低いためである。よって、クリームは、好ましくは非グリース状かつ非染色性で、洗い流すことが可能な生成物で、チューブや他の容器から漏れないようにコンシステンシーが好適なものである。ジイソアジペート、ステアリン酸イソセチル、ココナッツ脂肪酸のプロピレングリコールジエステル、ミリスチン酸イソプロピル、オレイン酸デシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、パルミチン酸2−エチルヘキシルあるいは、Crodamol CAPとして知られる分岐鎖エステルのブレンドなどの直鎖または分岐鎖の一塩基または二塩基性アルキルエステルを使用でき、最後の3つが好ましいエステルである。これらは、必要な特性に応じて単独で使用してもよいし、組み合わせで使用してもよい。あるいは、白色のソフトパラフィンおよび/または流動パラフィンまたは他の鉱油などの高融点液体も使用可能である。
【0096】
眼への局所投与に適した製剤は、特に作用剤用の水性溶媒である好適なキャリアに有効成分が溶解または懸濁された点眼剤も含む。
【0097】
直腸投与用の製剤は、たとえば、カカオバターまたはサリチル酸塩などを含む好適なベースを用いた坐剤として提示してもよいものである。
【0098】
膣内投与に適した製剤は、作用剤に加えて、適していることが従来技術において周知のものなどのキャリアを含むペッサリー、クリーム、ゲル、ペースト、フォームまたはスプレー製剤として提示してもよいものである。
【0099】
キャリアが固体である場合の経鼻投与に適した製剤は、たとえば、嗅ぎ薬を嗅ぐ方法すなわち、鼻に近づけて持った粉末の入った容器から経鼻経路でのすみやかな吸入(強制など)で投与される粒度約20から約500ミクロンの範囲の粗粉末を含む。投与用のキャリアが液体である他の好適な製剤としては、点鼻薬、滴またはネブライザによるエーロゾルがあげられるが、これに限定されるものではなく、作用剤の水性または油性溶液を含む。
【0100】
非経口投与に適した製剤としては、酸化防止剤、緩衝液、静菌剤、意図したレシピエントの血液と製剤とを等張にする溶質を含んでもよい水性および非水性の等張滅菌注射溶液ならびに、化合物を血液成分または1つ以上の臓器に標的するよう設計された懸濁剤および増粘剤、リポソームまたは他の微粒子系を含んでもよい水性および非水性の滅菌懸濁液があげられる。いくつかの実施形態では、製剤を、たとえばアンプルやバイアルなどの単用量または反復投与用の密閉容器で提示/配合し、使用の直前に注射用水などの滅菌された液体キャリアを添加しさえすればよいフリーズドライ(凍結乾燥)状態で保管しておいてもよい。上述したような種類の滅菌粉末、顆粒、錠剤から即時注射溶液および懸濁液を調製してもよい。
【0101】
好ましい単位薬用量は、上記にて述べたように、作用剤を1日用量または単位で、1日用量よりも少ない量で、あるいはその適当な一部を含むものである。
【0102】
特に上述した成分に加え、本発明の製剤は、目的の製剤のタイプに関して従来技術において周知の他の作用剤を含むものであってもよい。たとえば、経口投与に適したものが、甘味料、増粘剤、香味剤などの別の作用剤を含むものであってもよい点は理解されたい。また、本発明の作用剤、組成物および方法を他の好適な組成物および治療法と組み合わせることも意図される。さらに他の製剤は、任意に、食品添加物(好適な甘味料、香味料、着色料など)、植物栄養塩(亜麻仁油など)、ミネラル(Ca、Fe、Kなど)、ビタミン、他の許容可能な組成物(コンジュゲートリノール酸など)、エキステンダ、および安定剤などを含む。
【0103】
C.例示としての投与経路および投薬時の考慮事項
リポソームでのカプセル化、微小粒子、マイクロカプセル、受容体によるエンドサイトーシスなど、さまざまな送達系が周知であり、本発明の治療薬(上述したような例示としての化合物など)を投与するのに使用可能である。送達方法としては、動脈内、筋肉内、静脈内、鼻腔内、および経口経路があげられるが、これに限定されるものではない。特定の実施形態では、本発明の医薬組成物を、治療が必要な部分に局所投与すると望ましいことがある。これは、限定ではなく、たとえば、手術時の局所点滴またはカテーテルによって達成できる。
【0104】
標的細胞の病理学的成長または関連症状の疑いがあるまたはそれを発症する危険性のある被検体または個体に、同定された作用剤を投与することが可能である。マウス、ラットまたはヒト患者などの被検体に作用剤を投与する際、この作用剤を薬学的に許容されるキャリアに加えて、被検体に全身または局所投与することが可能である。有益に治療可能な患者を識別するには、組織試料を患者から採取し、その作用剤への感受性について細胞をアッセイする。
【0105】
いくつかの実施形態では、治療期間をとおして連続的または間接的な一用量のin vivo投与が効果的である。最も効果的な手段と投与薬用量を判断する方法は当業者間で周知であり、その治療法に用いる組成物、治療法の目的、処理対象となる標的細胞、治療対象となる被検体によって異なる。治療にあたる医師が選択する用量レベルとパターンで、単回投与または反復投与する。
【0106】
好適な処方剤および作用剤の投与方法は、当業者によって容易に判断される。好ましくは、約0.01mg/kgから約200mg/kg、一層好ましくは約0.1mg/kgから約100mg/kg、なお一層好ましくは約0.5mg/kgから約50mg/kgで化合物を投与する。本明細書に記載の化合物を別の作用剤(増感剤など)と併用投与する場合、その作用剤を単独使用するときよりも有効量が少なくなることがある。
【0107】
この医薬組成物は、経口、鼻腔内、非経口または吸入療法で投与可能であり、錠剤、薬用ドロップ、顆粒、カプセル、ピル、アンプル、坐剤またはエーロゾル形態の形を取り得る。また、有効成分が水性または非水性希釈剤に入った懸濁液、溶液およびエマルション、シロップ、顆粒または粉末の形を取ってもよい。本発明の作用剤に加えて、医薬組成物には、他の薬学的に活性な化合物または複数の本発明の化合物を含有することが可能である。
【0108】
特に、本発明の作用剤は、本明細書では有効成分とも呼ばれ、経口、直腸、経鼻、局所(経皮的、エーロゾル、頬側、舌下を含むがこれに限定されるものではない)、膣内、非経口(皮下、筋肉内、静脈内、皮内を含むがこれに限定されるものではない)および経肺などであるがこれに限定されるものではない、好適な経路での治療用に投与できる。また、レシピエントの状態や年齢、治療対象となる疾患次第で好ましい経路が変わることは、理解できよう。
【0109】
理想的には、作用剤を投与して、疾患部位で活性化合物のピーク濃度を達成する。これは、任意に生理食塩水に入れた作用剤の静脈内注射などによって、あるいは、有効成分を含有する錠剤、カプセルまたはシロップとしての経口投与によって達成できるものである。
【0110】
作用剤の望ましい血中濃度は、疾患組織内での治療量の有効成分を提供するための連続点滴によって維持できる。作用的な組み合わせを使用することで、個々の治療用化合物または医薬品を単独で用いる場合に必要であろう量よりも各成分となる抗ウイルス剤の必要な総薬用量が少ない治療的な組み合わせが得られ、よって副作用が低減されることが企図される。
【0111】
D.例示としての併用投与経路および投薬時の考慮事項
上述したように、本発明は、本明細書に記載の化合物と1種類以上の別の活性剤との併用投与を伴う方法を含む。特に、本発明の化合物を併用投与することで、従来技術の治療法および/または医薬組成物を増強するための方法を提供することは、本発明のさらに別の態様である。併用投与法では、作用剤を同時に投与してもよいし、順次投与してもよい。一実施形態では、他の活性剤よりも前に本明細書に記載の化合物を投与する。製剤処方薬および投与モードは、上述したうちのどのようなものであってもよい。適当なタイプと放射線治療の線量の判断も当業者が対応できる範囲内であるか、比較的容易に判断可能なものである。
【0112】
権利請求した化合物の増感機能も、周知の治療手順における毒性作用に関連する問題に対処している。周知の作用剤が有毒な場合、あらゆる事例、特に、薬剤耐性によって必要な薬用量が増したような事例では、投与薬用量を制限すると望ましい。権利請求した化合物を周知の作用剤と併用投与する場合、それによって必要な薬用量が減り、結果として有害作用を減らすことができる。
【実施例】
【0113】
さて、すでに概要を説明した本発明について、以下の実施例を参照することで一層容易に理解できよう。これらの実施例は、単に本発明の特定の態様および実施形態を例示する目的でのみ取り上げたものであり、本発明を限定することを意図したものではない。
【0114】
実施例1
イサト酸無水物のN−アルキル化のための代表的な手順

6−クロロ−1−メチル−1H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2,4−ジオン(B1)。攪拌機、添加用漏斗、熱電対およびN流入口を設けた3L容の3つ首RBFにて、NaH(30.4g)を無水テトラヒドロフラン(THF、400mL)に懸濁させた。室温にて攪拌しながら、5−クロロイソトニック(chloroisotonic)無水物をTHF(400mL)に入れた懸濁液を45分間かけて数回に分けて加えた。反応混合物を50分間攪拌した(反応温度を18から28℃まで上げた)。これに、CHI(285g、125mL)を15分間かけて加えた。次に、この混合物を42℃で16時間攪拌した。TLCによって、未反応の開始材料が依然として反応混合物中に存在することが明らかになったため、さらに30mLのCHIを加え、反応混合物を42℃でさらに3時間攪拌した。反応混合物を冷却(RT)し、AcOH(55mL)をゆっくりと(40分間)加えてクエンチした。反応混合物を濃縮して、濃いシロップ状の生成物275gを取得し、これをさらに精製することなく使用した。

【0115】

6−クロロ−1−(4−メトキシベンジル)−1H−ベンゾ[d][1,3]オキサジン−2,4−ジオン(B2)。攪拌機、熱電対およびN流入口を設けた3L容の3つ首RBFにて、5−クロロイソトニック(chloroisotonic)無水物90g(0.455mol)を無水THF(0.9L)に懸濁させた。N下で、4−メトキシベンジルクロリド(75g、0.48mol)を加えた後、ヨウ化テトラブチルアンモニウム(84g、0.23mol)を加えた。反応混合物を室温にて5分間攪拌した後、NaH20g(0.5mol)を20分間かけて数回に分けて加えた(発熱により反応温度が29℃まで上昇したため、反応混合物を水浴中に入れて温度を30℃未満に保った)。反応物を16時間(RT)攪拌した。翌日、HPLCで約26%の未反応の5−クロロイソトニック(chloroisotonic)無水物が認められた。NaH(1g)をさらに加え、反応混合物を32℃まで加熱し、さらに5時間攪拌した。NMRによって、すべての開始材料が消費されたことが分かった。氷酢酸10gをゆっくりと加えて反応物をクエンチした後、30分間攪拌した。反応混合物をセライトで濾過し、濾過ケークをTHFで洗浄した。濾液を濃縮し、粗生成物(黄土色の固体)280gを得た。これをさらに精製することなく使用した。

【0116】
実施例2
無水イサト酸をベンゾジアゼピン−ジオンに変換するための代表的な手順

7−クロロ−1−メチル−3,4−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2,5−ジオン(C1)。攪拌機、冷却器およびN流入口を設けた2L容のRBFにて、粗B1(107g、0.506mol)にグリシン(38g、0.506mol)を加えた後、AcOH(500mL)を加えた。反応フラスコを130℃の油浴中で7時間加熱した。溶媒を吸引下で加熱しながら蒸発させた(50〜60℃)。この濃いシロップ状の粗生成物に、1LのEtOAcを加えた後、水性NaHCO(飽和)をゆっくりと加えて、pHを約7に調節した。次に、2MのNaOHを10mL加え、pHを約9〜10に調節した。この混合物では、固体と一緒に有機層と水性層が得られた。固体を濾過し、若干の不純物を含む生成物を得た。この固体を400mLのジクロロメタン(DCM)と200mLのNaHCOとに分け、得られたスラリーを20分間攪拌した後、濾過して不溶性の不純物を除去した。DCM層を分離し、3%NaHCOで洗浄した後、ブライン(200mL)で洗浄した。DCM層を乾燥させ(MgSO)、濾過し、濃縮して純粋な生成物50gを得た。EtOAc層を濃縮し、若干の不純物を含む固体生成物67gを得た。水性層をEtOAcで抽出(2×400mL)した。混合有機物をNaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮して、さらに6.7gの粗生成物を得た。合計123.4gの生成物が得られ、このうち50gが非常に綺麗であった(収率定量)。

【0117】

7−クロロ−1−(4−メトキシベンジル)−3,4−ジヒドロ−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2,5−ジオン(C2)。攪拌機、冷却器およびN流入口を設けた2L容のRBFにて、B2(280g)にグリシン(34g、0.45mol)を加えた後にAcOH(500mL)を加えた。反応フラスコを加熱した130℃の油浴中にて8時間加熱した。ロータリーエバポレータにて50〜60℃で溶媒を除去した。この濃いシロップ状の粗生成物にヘプタン(1L)とHO(1L)とを加えた後、NaHCOを加えてpHを約8〜9に調節した。この混合物では、固体と一緒に有機層と水性層が得られた。有機層および水性層をデカントし、固体を500mLの5%NaHCO溶液でスラリー化した。NaHCO層をデカントし、粘着性のある固体を700mLの酢酸エチル(EtOAc)と300mLのジクロロメタンに懸濁させた(DCM)。混合物を20分間攪拌し、濾過し、濾過ケークを1LのDCMで洗浄した。濾液を濃縮し、残渣を25/75から75/25EtOAc/ヘプタン(合計8L)で330gのシリカゲルプラグに通した。綺麗な画分を組み合わせ、純粋な生成物58gを得た。これよりは純度の低い画分から、約70%純粋な生成物が別に13g得られた。収率は2工程で47%であった。

【0118】
実施例3
塩化イミドイルを合成するための代表的な手順

(E)−5,7−ジクロロ−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン(D1)。攪拌機、冷却器およびN流入口を設けた1L容の2つ首RBFにて、C1(42.5g、0.189mol)を400mLのトルエンに懸濁させた。これに、N,N−ジメチルアナリン(dimethylanaline)(45.5g、0.375mol)を加えた後、POCl(29g、0.189mol)を加え、反応混合物を室温(RT)にて3分間攪拌した。反応フラスコを90℃の油浴中に入れ、反応混合物を7時間攪拌/加熱した後、RTに9時間おいた。500mLの氷水を入れて15分間攪拌することで、反応物をクエンチした。有機層を分離し、冷たい0.5MのHCl(300mL)と、冷水(300mL)とですみやかに洗浄し、続いて冷たい飽和NaHCO(300mL)でも洗浄した。有機層を乾燥させ(MgSO)、濾過し、ロータリーエバポレータで濃縮して、黄色の固体40gを得た。収率87.5%。

【0119】

(E)−5,7−ジクロロ−1−(4−メトキシベンジル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン。マグネチックスターラーバー、冷却器およびN流入口を設けた1L容の3つ首RBFにて、C2(45g、0.136mol)を400mLのトルエンに懸濁させた。これに、N,N−ジメチルアナリン(dimethylanaline)(33g、0.272mol)を加えた後、POCl(23g)を加え、反応物を3分間(RT)攪拌した。反応フラスコを90℃の油浴中に入れ、反応混合物を5時間加熱した後、冷却した。450mLの氷水を加えて反応物をクエンチし、15分間攪拌した。有機層を分離し、すみやかに冷水で洗浄(2×250mL)し、ブライン(300mL)でも洗浄した。有機層をMgSO上で乾燥させ、濾過し、ロータリーエバポレータで濃縮して、黒色の粗生成物57gを得た。この粗生成物をさらに精製することなく次のステップで使用した。収率87.5%。
【0120】
実施例4
ハロゲン化ベンジルを調製するための代表的な手順
ハロゲン化ベンジルを、対応するベンジルアルコールから、ベンジルアルコールを塩化チオニルで処理するなどの周知の手順で調製することができる。多岐にわたるベンジルアルコールが市販されている。また、以下の方法で、多岐にわたるベンジルアルコールを調製可能である。i)市販のカルボン酸の還元(水素化アルミニウムリチウムを用いる還元など);ii)PdCl(dppf)などのパラジウム触媒の存在下、たとえばジアルキル亜鉛試薬を使用して、ジブロモ−ベンジルアルコールからジアルキル−ベンジルアルコールへの変換;iii)酢酸ジブロモベンジルから酢酸ジアルキルベンジルへの変換に続いて加水分解;iv)適当な芳香族のホルミル化に続いて還元;またはv)Fe(acac)などの鉄触媒の存在下、たとえば、グリニャール試薬を使用して、反応性クロロ安息香酸エステルからそれぞれのアルキル安息香酸エステルへの変換と、これに続く還元。
【0121】
パートI:ジブロモトルエンから置換ベンジルアルコールを調製するための代表的な手順
1,3−ジブロモ−2−(ブロモメチル)ベンゼン。2,6−ジブロモトルエン(22.9g、92mmol)と、N−ブロモスクシンイミド(ΝBS)(15g、84mmol)と、CCL(250mL)と、ベンゾイルパーオキサイド(0.03eq)との混合物を85℃(高温油浴温度)で16時間攪拌し、RTまで冷却し、濾過し、NaHSO水溶液で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、水分を蒸発させて29.5g(収率98%)の表題生成物を白色の固体として得た。この固体には未反応の開始材料が10%含まれていたが、それ以上精製することなく使用することができた。

【0122】
酢酸2,6−ジブロモベンジル。1,3−ジブロモ−2−(ブロモメチル)ベンゼン(27.6g、84mmol)と、NaOAc(35.5g、5eq.)と、ジメチルホルムアミド(DMF)(150mL)との混合物を100℃(高温油浴温度)で1.75時間攪拌し、自然に冷ました後、ヘプタン(500mL)と水(200mL)とに分けた。有機層を取り除いた後、水性層をヘプタン(200mL)で抽出した。混合有機物をHOで洗浄(2×300mL)し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、水分を蒸発させて24.57g(収率95%)の表題生成物を無色の油として得た。この油には未反応の開始材料が13%含まれていたが、それ以上精製することなく使用することができた。

【0123】
酢酸2,6−ジエチルベンジル。酢酸2,6−ジブロモ−ベンジル(5.05g、16.4mmol)とPdCl(dppf)(0.08eq)とを乾燥THF(50mL)に入れて冷却した(ドライアイス−アセトン浴)混合物に、1.1MのEtZn(60mL、66mmol、4eq)を加えた。得られた混合物をRTまで温め、45℃(プログラムしたブロック温度、約40時間)で攪拌し、希HClとヘプタン/EtOAcの攪拌混合物に加えた。有機層を乾燥させ(NaSO)、濾過し、水分を蒸発させた。クロマトグラフィ(2%〜10%EtOAc/ヘプタンで段階勾配)によって、2.12g(収率63%)の表題生成物が、0.20gの2,6−ジエチルベンジルアルコールとともに得られた。

上記の手順に対して適切な置き換えをすることで、以下の化合物を調製した。
【0124】
酢酸2,6−ジメチルベンジル。

【0125】
(2,6−ジエチルフェニル)メタノール。酢酸2,6−ジエチルベンジル(2.11g、10.2mmol)と、MeOH(20mL)と、HO(6mL)と、NaOH(1.99g、50mmol、5eq)との混合物をRTで一晩攪拌した。濃縮後、この混合物をヘプタン(50mL)で抽出した。有機層を乾燥させ(NaSO)、濾過し、水分を蒸発させて1.90gの表題生成物を得た。

上記の手順に対して適切な置き換えをすることで、以下の化合物を調製した:(2,6−ジメチルフェニル)メタノール。

【0126】
パート2:ハロ置換安息香酸エステルからアルキル置換安息香酸エステルを合成するための代表的な手順
2,4−ジエチル安息香酸メチル。−20℃にて窒素下で、Fe(acac)(0.34g、0.96mmol)と、2,4−ジクロロ安息香酸メチル(4.0g、19.6mmol)と、N−メチル−2−ピロリジノン(8mL)とをTHF(100mL)に入れた混合物に、臭化エチルマグネシウム(40.0mL、40.0mmol)のテトラヒドロフラン(THF)溶液(1.0M)を約5分間の時間をかけて加えた。得られた混合物を徐々に周囲温度まで温めながら攪拌した。攪拌をさらに17時間継続した。反応混合物を水とジクロロメタンとに分けた。有機層を分離し、ブラインで洗浄し、乾燥させ(MgSO4)、減圧下でポンプを使って蒸発乾固させた。褐色の残渣をカラムクロマトグラフィ(SiO、20%EtOAc/ヘプタン)で精製して、1.2gの所望の生成物を、透明な油(収率32%)として1.1gの4−エチル安息香酸メチルと一緒に得た。

【0127】
パート3:アルキル置換ベンゼンからアルキル置換ベンズアルデヒドを合成するための代表的な手順
2,5−ジイソプロピルベンズアルデヒド。マグネチックスターラーバーを設けた200mLの単首(single neck)RBFにて、1,4−ジイソプロピルベンゼン(4g、25mmol)を50mLのクロロホルムに溶解させた。この溶液に、SnCl(11.5g、5.2mL、4.5mmol)を注射器で5分間かけて加えた。反応混合物を5分間攪拌した後、ClCHOMe(2.8g、24mmol)を注射器で15分間かけて加えた。反応混合物を20時間(RT)攪拌し、反応の進み具合をGC/MSで追跡した。70mLの水を加えて混合物を10分間攪拌することで、反応物をクエンチした。有機層を分離し、3NのHClで洗浄(2×50mL)した。有機層をMgSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮して、4gの粗生成物を得た。これに対し、80gのシリカを使用して、移動相としては100%ヘプタンから95:5ヘプタン:EtOAcまでを用いて、カラムクロマトグラフィを実施し、2.4gの生成物(収率56%)を得た。

【0128】
上記の手法で以下の化合物を調製した:3,4−ジエチルベンズアルデヒド。

【0129】
パート4:アルキル置換ベンズアルデヒドからアルキル置換ベンジルアルコールを合成するための代表的な手順
(2,5−ジイソプロピルフェニル)メタノール。マグネチックスターラーバーおよびN流入口を設けた2つ首RBFにて、2,5−ジイソプロピルベンズアルデヒド(1.7g、9mmol)を30mLのEtOHに溶解させ、NaBH(0.37g、10mmol)を20分間かけて(少しずつ)加えた。RTで18時間の攪拌後、約95%の溶媒をロータリーエバポレータで除去し、続いて0.5MのHClを5mL加えて、生成物を25mLのEtOAcで抽出した。15mLのHOと15mLのブラインで有機層を洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、濃縮乾固させて粗生成物を得た。この材料に、ヘプタン:EtOAcを移動相として用いてクロマトグラフィを実施し、1.1gの純粋な生成物を得た。収率65%。

【0130】
パート5:ジブロモベンジルアルコールからアルキル置換ベンジルアルコールを合成するための代表的な手順
(3,5−ジエチルフェニル)メタノール。3,5−ジブロモベンジルアルコール(1g、3.8mmol)とPdCl(dppf)[0.07eq]とを乾燥THF(10mL)に入れた冷却(ドライアイス)混合物に、1.1MのEtZn(15mL、16mmol、4.4eq)を加えた。得られた混合物をRTまで温め、45℃(プログラムしたブロック温度、一晩)で攪拌した。反応を終了(開始材料とモノアルキル化生成物の療法の消失)させるために、45℃での攪拌を継続(再度、一晩)しながら1.1MのEtZn(10mL、11mmol、2.9eq)をさらに加えた。冷却後、反応混合物を希HClとヘプタン/EtOAcの攪拌混合物(2:1;約200mL)に加え、有機層を乾燥させ(NaSO)、濾過し、水分を蒸発させた。クロマトグラフィ(10%EtOAc/ヘプタン)によって、0.33g(収率53%)の表題生成物を得た。

【0131】
上記の手順に対して適切な置き換えをすることで、以下の化合物を調製した。
【0132】
(2,5−ジエチルフェニル)メタノール。

【0133】
(3,4−ジエチルフェニル)メタノール。

【0134】
パート6:アルキル置換ベンジルエステルからアルキル置換ベンジルアルコールを合成するための代表的な手順
(2,4−ジエチルフェニル)メタノール。室温にて窒素下で水素化アルミニウムリチウム(0.47g、11.8mmol)を無水THF(20mL)に入れた懸濁液に、2,4−ジエチル安息香酸メチル(1.5g、7.8mmol)をTHF(15mL)に入れた溶液を攪拌しながら約5分間の時間をかけて加えた。得られた混合物を室温で60分間攪拌した後、酢酸エチルを(気泡の発生が止まるまで)ゆっくりと加えながらクエンチした。この混合物を酢酸エチルと1NのHCl(aq)とに分け、水性層を分離し、酢酸エチルで抽出した。有機層を組み合わせ、乾燥させ(MgSO)、蒸発乾固させて1.3gの所望のアルコールを透明な油(収率100%)として得た。

【0135】
パート7:アルキル置換ベンジルアルコールからハロゲン化アルキル置換ベンジルを合成するための代表的な手順
2−(クロロメチル)−1,3−ジエチルベンゼン。(2,6−ジエチルフェニル)メタノール(1.83g、11.1mmol)と、トルエン(20mL)と、DMF(6滴)との混合物に、SOCl(2.1g、1.6eq)を加えた。得られた溶液をRTで(1時間)攪拌した。蒸発乾固後、残渣をヘプタン(約50mL)に取り、水(約5mL)で洗浄し、乾燥させ(NaSO)、濾過し、水分を蒸発させて1.97g(収率97%)の表題生成物を得た。

【0136】
上記の手順に対して適切な置き換えをすることで、以下の化合物を調製した。
【0137】
1−(クロロメチル)−2,3−ジメチルベンゼン。

【0138】
1−(ヨードメチル)−2,4−ジメチルベンゼン。

【0139】
1−(クロロメチル)−3,4−ジメチルベンゼン。

【0140】
2−(クロロメチル)−1,3−ジメチルベンゼン。

【0141】
2−(ヨードメチル)−1,4−ジメチルベンゼン。

【0142】
1−(クロロメチル)−2−エチルベンゼン。

【0143】
1−(クロロメチル)−2,4−ジエチルベンゼン。
H NMR(300MHz、CDCl)δ1.27(m,6H)、2.69(q,2H)、2.78(q,2H)、4.66(s,2H)、6.98−7.10(m,2H)、7.26(m,1H、クロロホルムシグナルを含む)。
【0144】
1−(クロロメチル)−3,4−ジエチルベンゼン。

【0145】
1−(クロロメチル)−3,5−ジエチルベンゼン。

【0146】
2−(クロロメチル)−1,4−ジエチルベンゼン。

【0147】
2−(ブロモメチル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン。

【0148】
1−(クロロメチル)−4−エチルベンゼンおよび1−(クロロメチル)−4−イソプロピルベンゼン。
【0149】
実施例5
塩化イミドイルからベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オンを合成するための代表的な手順
パートI:パラジウム−カップリング反応。
(Z)−7−クロロ−5−(4−メトキシフェニル)−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン(E1)。マグネチックスターラーバー、冷却器、熱電対およびN流入口を設けた1L容の3つ首RBFにて、粗D1(30g、0.124mol)を300mLのエチレングリコールジメチルエーテル(DME)に溶解させた。これに、NaCO溶液(21g、200mLのHOに0.2mol)を加えた後、4−メトキシフェニルボロン酸(22g、0.145mol)とPd(PPh(1.2g、8.3mmol)とを加えた。反応混合物を85℃の油浴中でN下にて2時間加熱した後、室温まで冷ました。これに200mLのEtOAcを加え、混合物を5分間攪拌した。有機層を分離し、HO(200mL)とブライン(200mL)で洗浄した。有機層をMgSO上で乾燥させた後、濃縮乾固して53gの粗生成物を得た。この材料に対し、210gのシリカゲルおよびEtOAc/ヘパテン(hepatene)(12:88から30:70、さらに50:50、70:30へ;合計で移動相8L)を用いてシリカゲルクロマトグラフィを実施した。純粋な生成物を含む画分を組み合わせ、濃縮乾固して42.7gの純粋な生成物をほぼ定量的収率で得た。

【0150】
(Z)−7−クロロ−1−(4−メトキシベンジル)−5−(4−メトキシフェニル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン(E2)。マグネチックスターラーバー、冷却器、熱電対およびN流入口を設けた1L容の3つ首RBFにて、粗D2(54g)を360mLのDMEに溶解させた。これに、NaCO溶液(23g、250mLのHOに0.15mol)を加えた後、4−メトキシフェニルボロン酸(22.7g、0.15mol)とPd(PPh(1.4g、1.2mmol)とを加えた。反応混合物を85℃の油浴中で2時間加熱した後、冷却した(RT)。これに200mLのEtOAcを加え、混合物を5分間攪拌した。有機層を分離し、200mLのHOで洗浄した後、ブラインでも洗浄した。有機層を濃縮乾固して、68gの粗生成物を得た。この材料に対し、550gのシリカゲルと25/75から60/40のEtOAc/ヘプタンを用いてカラムクロマトグラフィを実施した。純粋な生成物を含む画分を組み合わせ、21gの純粋な生成物を得た。(TLCで)少量の不純物を含む他の画分から、さらに20gの生成物を得た。両方のロットのH NMRスペクトルは同一に見えた。合計41gの生成物が得られ、2工程で生成物の収率72%となった。

【0151】
パートII:ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オンのC3−アルキル化
(Z)−7−クロロ−5−(4−メトキシフェニル)−1−メチル−3−(2−メチルベンジル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン。E1(0.50g、1.59mmol)をTHF(8mL)に入れて攪拌および冷却した(ドライアイス/アセトン浴)溶液に、1MのKOBu(2.4mL、2.4mmol、1.5eq)をゆっくりと加えた。得られた深紅の混合物をドライアイス/アセトン浴上で約10分間攪拌した後、臭化2−メチルベンジル(0.46g、2.5mmol、1.5eq)をTHF(2mL)に入れた溶液をゆっくりと加えた。さらに−78℃で約35分間攪拌した後、反応混合物を水でクエンチし、EtOAcで希釈した。有機層を乾燥させ(NaSO)、濾過し、水分を蒸発(rotovapに続いて高真空)させた。20〜40%EtOAc/ヘプタンを用いるシリカゲル上でのクロマトグラフィによって、0.56g(収率84%)の表題生成物を得た。塩化ベンジルをアルキル化剤として用いる場合、アルキル化剤と一緒に低温でヨウ化テトラブチルアンモニウムを加えることに注意されたい。

【0152】
上記の手順に対して適切な置き換えをすることで、以下の化合物を調製した。
【0153】
(Z)−7−クロロ−5−(4−メトキシフェニル)−3−(3−ブロモベンジル)−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン。

【0154】
(Z)−7−クロロ−5−(4−メトキシフェニル)−3−(3−メチルベンジル)−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン。

【0155】
(Z)−7−クロロ−3−(2,6−ジメチルベンジル)−5−(4−メトキシフェニル)−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン。

【0156】
(Z)−7−クロロ−3−(3,5−ジメチルベンジル)−5−(4−メトキシフェニル)−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン。

【0157】
(Z)−3−(2,6−ジエチルベンジル)−7−クロロ−5−(4−メトキシフェニル)−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン。
H NMR(300MHz、CDCl)δ1.13(t,6H)、2.65−2.8(m,2H)、2.8−2.95(m,2H)、3.43(s,3H)、3.49(dd,1H)、3.68(dd,1H)、3.8−3.95(m,4H、3.84にOMeの一重線を含む)、6.87(d,2H)、7.04(dd,2H)、7.13(dd,1H)、7.20(fine d,1H)、7.28(d,1H)、7.40(d,2H)、7.47(dd,1H)。
【0158】
(Z)−3−(3,4−ジエチルベンジル)−7−クロロ−5−(4−メトキシフェニル)−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン。
H NMR(300MHz、DMSO−d)δ1.12(m,6H)、2.45−2.75(m,4H;DMSOシグナルを含む)、3.3−3.45(m,2H;ベンジリックプロトン、N−Me、およびHOシグナルを含む)、3.69(m,1H)、3.81(s,3H)、6.99(m,3H)、7.09(m,1H)、7.21(s,2H)、7.48(d,2H)、7.62(d,1H)、7.70(fine dd,1H)。
【0159】
(Z)−3−(3,5−ジエチルベンジル)−7−クロロ−5−(4−メトキシフェニル)−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン。
H NMR(300MHz、CDCl)δ1.21(t,6H)、2.58(q,4H)、3.40(s,3H)、3.52(d,2H)、3.69(t,1H)、3.84(s,3H)、6.85−6.95(m,3H;6.90にdを含む)、7.02(fine d,2H)、7.2−7.3(m,2H;CHClシグナルとオーバーラップ)、7.47(dd,1H)、7.53(d,2H)。
【0160】
(Z)−3−(4−イソプロピルベンジル)−7−クロロ−5−(4−メトキシフェニル)−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン。

【0161】
(Z)−3−(2,5−ジイソプロピルベンジル)−7−クロロ−5−(4−メトキシフェニル)−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン。

【0162】
(Z)−3−(3−ブロモベンジル)−1−(4−メトキシベンジル)−7−クロロ−5−(4−メトキシフェニル)−1H−ベンゾ[e][1,4]−ジアゼピン−2(3H)−オン。E2(6.00g、14.2mmol)をTHF(80mL)に入れて攪拌および冷却した(ドライアイス/アセトン浴)溶液に、1MのKOBu(21mL、21mmol、1.5eq)をゆっくりと加えた。得られた深紅の混合物をドライアイス/アセトン浴上で約10分間攪拌した後、臭化3−ブロモベンジル(5.10g、21.4mmol、1.5eq)をTHF(15mL)に入れた溶液をゆっくりと加えた。さらに−78℃で約45分間攪拌した後、反応混合物を飽和ブラインでクエンチし、EtOAcで希釈した。有機層を乾燥させ(NaSO)、濾過し、水分を蒸発(rotovapに続いて高真空)させた。10〜30%EtOAc/ヘプタンを用いるシリカゲル上でのクロマトグラフィによって、7.08g(収率84%)の表題生成物を得た。塩化ベンジルをアルキル化剤として用いる場合、アルキル化剤と一緒に低温でヨウ化テトラブチルアンモニウムを加えることに注意されたい。

【0163】
上記の手順に対して適切な置き換えをすることで、以下の化合物を調製した。
【0164】
(Z)−3−(2,6−ジメチルベンジル)−7−クロロ−1−(4−メトキシベンジル)−5−(4−メトキシフェニル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン。

【0165】
(Z)−3−(3,5−ジメチルベンジル)−7−クロロ−1−(4−メトキシベンジル)−5−(4−メトキシフェニル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン。

【0166】
(Z)−3−(3,4−ジメチルベンジル)−7−クロロ−1−(4−メトキシベンジル)−5−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン。
H NMR(300MHz、DMSO−d)δ2.10(s,6H;2メチル基)、3.39(m,2H、ベンジリックプロトンおよびHOシグナルを含む)、3.68(s,3H)、3.81−3.89(m,4H、N−PMB−OMeシグナルを含む)、4.99(d,1H)、5.41(d,1H)、6.71(d,2H)、6.88(d,2H)、7.0−7.2(m,6H)、7.31(d,2H)、7.65(m,2H)。
【0167】
(Z)−3−(2,6−ジエチルベンジル)−7−クロロ−1−(4−メトキシベンジル)−5−(4−メトキシフェニル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン。

【0168】
(Z)−3−(3,4−ジエチルベンジル)−7−クロロ−1−(4−メトキシベンジル)−5−(4−メトキシフェニル)−1H−ベンゾ−[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン。
【0169】
(Z)−3−(3,5−ジエチルベンジル)−1−(4−メトキシベンジル)−7−クロロ−5−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン。
H NMR(300MHz、CDCl)δ1.21(t,6H)、2.59(q,4H)、3.5−3.65(m,2H)、3.70(s,3H)、3.76(dd,1H)、3.85(s,3H)、6.61(d,2H)、6.8−6.95(m,5H)、7.04(fine d,2H)、7.10(fine d,1H)、7.2−7.28(m,2H;CHClシグナルとオーバーラップ)、7.30(d,1H)、7.37(dd,1H)。
【0170】
(Z)−3−(4−イソプロピルベンジル)−7−クロロ−1−(4−メトキシベンジル)−5−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン。

【0171】
(Z)−3−(2,5−ジイソプロピルベンジル)−1−(4−メトキシベンジル)−7−クロロ−5−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン。

【0172】
7−クロロ−5−(4−フルオロフェニル)−3−(2−メチルベンジル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン。7−クロロ−5−(4−フルオロフェニル)−1−(4−メトキシベンジル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン(90mg、0.220mmol)を乾燥THF(2mL)に溶解させ、窒素下で−78℃まで冷却した。カリウムtert−ブトキシド(49mg、0.437mmol)を固体で一部を加え、得られた赤い溶液を5分間強く攪拌した。この溶液に、臭化2−メチルベンジル(25μL、0.262mmol)を注射器で加えた。混合物を−78℃で1時間攪拌した後、冷浴を取り除いた。さらに1時間(室温まで温める)後、反応物をMeOHでクエンチし、酢酸エチルで希釈した。有機層を水で2回洗浄し、ブラインで1回洗浄した後、MgSO上で乾燥させた。100%ヘキサンからヘキサン中30%酢酸エチルまで溶出するシリカゲルでのクロマトグラフィによって、7−クロロ−5−(4−フルオロフェニル)−1−(4−メトキシベンジル)−3−(2−メチルベンジル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン(44mg、39%)が得られた。

【0173】
実施例6

(Z)−7−クロロ−3−(3−エチルベンジル)−5−(4−メトキシフェニル)−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン。攪拌して冷却したArBr(1.21g、2.5mmol)およびPdCl(dppf)[0.22g]を乾燥THF(10mL)に入れた(ドライアイス−アセトン浴)溶液を、1MのEtZn(9.3mL、10mmol、4eq)に加えた。RTまで温めた後、HPLCによって反応が終わることが分かるまで、50℃で反応混合物を攪拌した。水性処理後、クロマトグラフィによって0.95g(収率88%)の表題生成物を得た。

【0174】
上記の手順に対して適切な置き換えをすることで、以下の化合物を生成した。
【0175】
(Z)−7−クロロ−3−(3−エチルベンジル)−1−(4−メトキシベンジル)−5−(4−メトキシフェニル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン。

【0176】
(Z)−7−クロロ−3−(3−イソプロピルベンジル)−5−(4−メトキシフェニル)−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン。
H NMR(300MHz、CDCl)δ1.24/1.25(2オーバーラップ二重線、6H)、2.88(heptet,1H)、3.38(s,3H)、3.5−3.6(m,2H)、3.69(t,1H)、3.84(s,3H)、6.89(d,2H)、7.07(dt,1H)、7.13(dt,1H)、7.15−7.3(m,4H;CHCl一重線を含む)、7.47(dd,1H)、7.52(d,2H)。
【0177】
実施例7
p−メトキシベンジル基を除去するための代表的な手順。
方法A

(Z)−3−(3−エチルベンジル)−7−クロロ−5−(4−メトキシフェニル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン。N1−PMB保護ベンゾジアゼピノン(1g)をMeCN(17mL)およびHO(3mL)に入れた溶液に、硝酸アンモニウムセリウム(IV)(7g)を加えた。得られた混合物をTLCによって反応が完全であることが示されるまで攪拌した後、水、EtOAcおよびヘプタンで希釈した。有機層を乾燥させ(NaSO)、濾過し、粗固体になるまで水分を蒸発させた。ヘプタン中のDCM/EtOAc(1:1)の量を少しずつ増やしながら(最大25:25:50DCM/EtOAc/ヘプタン)クロマトグラフィ処理をし、表題生成物0.55g(収率57%)を得た。
H NMR(300MHz、DMSO−d)δ1.19(t,3H)、2.57(q,2H)、3.2−3.4(m,2H)、3.7−3.8(m,4H;3.79にOMe一重線を含む)、7.0−7.1(m,3H)、7.1−7.35(m,5H)、7.39(d,2H)、7.71(dd,1H)、10.9(br s,1H)。
【0178】
上記の手順に対して適切な置き換えをすることで、以下の化合物を生成した。
【0179】
(Z)−3−(2,5−ジメチルベンジル)−7−クロロ−5−(4−メトキシフェニル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン。

【0180】
(Z)−3−(3,5−ジメチルベンジル)−7−クロロ−5−(4−メトキシフェニル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン。

【0181】
(Z)−3−(4−イソプロピルベンジル)−7−クロロ−5−(4−メトキシフェニル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン。

【0182】
方法B
(Z)−3−(2,6−ジメチルベンジル)−7−クロロ−5−(4−メトキシフェニル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン。PMB保護ベンゾジアゼピノン(0.78g、1.45mmol)、アニソール(25mL)、AlBr(3.8g)の混合物を85℃で攪拌(1時間)し、自然に冷却した後、氷で処理してEtOAcおよびヘプタンで希釈した。有機層を取り除き、乾燥させ(NaSO)、濾過し、容量約2mLまで濃縮して、クロマトグラフィ処理して(最大50%EtOAc/ヘプタンまで段階的勾配)収率89%で表題生成物を得た。
H NMR(300MHz、CDCl)δ2.42(s,6H)、3.43(dd,1H)、3.65−3.9(m,5H;3.82にOMe一重線を含む)、6.88(d,2H)、7.0−7.1(m,4H)、7.2−7.3(m,1H;CHClシグナルとオーバーラップ)、7.32(d,2H)、7.43(dd,1H)、7.9(s,1H)。
【0183】
上記の手順に対して適切な置き換えをすることで、以下の化合物を生成した。
【0184】
(Z)−3−(2,6−ジエチルベンジル)−7−クロロ−5−(4−メトキシフェニル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン。
H NMR(300MHz、CDCl)δ1.20(t,6H)、2.7−3.0(m,4H)、3.51(dd,1H)、3.68(dd,1H)、3.75−3.9(m,4H;3.83にOMe一重線を含む)、6.86(d,2H)、7.0−7.2(m,4H)、7.2−7.3(m,1H;CHClシグナルとオーバーラップ)、7.32(d,2H)、7.43(dd,1H)、7.96(br s,1H)。
【0185】
(Z)−3−(3,4−ジエチルベンジル)−7−クロロ−5−(4−メトキシフェニル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン。
H NMR(300MHz、DMSO−d)δ1.12(m,6H)、2.45−2.75(m,4H;DMSOシグナルを含む)、3.2−3.35(m,2H;ベンジリックプロトンおよびHOシグナルを含む)、3.65(m,1H)、3.80(s,3H)、6.99(d,2H)、7.09(m,1H)、7.15(s,1H)、7.21−7.27(m,2H)、7.38(d,2H)、7.62(fine dd,1H)、10.71(s,1H)。
【0186】
(Z)−3−(3,5−ジエチルベンジル)−7−クロロ−5−(4−メトキシフェニル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン。

【0187】
(Z)−3−(2,5−ジイソプロピルベンジル)−7−クロロ−5−(4−メトキシフェニル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン。MS、m/z=475.2[M+1]。
【0188】
方法C
7−クロロ−5−(4−フルオロフェニル)−3−(2−メチルベンジル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン。7−クロロ−5−(4−フルオロフェニル)−1−(4−メトキシベンジル)−3−(2−メチルベンジル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン(44mg、0.086mmol)を窒素下でジクロロエタン(1mL)に溶解させ、200μLのアニソールを加えた後にAlCl(69mg、0.515mmol)を加えた。この混合物を2.5時間で85℃まで加熱した後、自然に冷却して酢酸エチルと氷で希釈した。この二相混合物を20分間強く攪拌した後、分割し、水で2回二続いてブラインで1回有機層を洗浄した。水性層を酢酸エチルで逆抽出し、混合有機エキスをシリカゲル(ヘキサン中、酢酸エチル5%−30%−40%−50%)でのMgSOクロマトグラフィで乾燥させたところ、表題化合物(27mg、80%)が黄色の固体として得られた。

【0189】
実施例8
p−メトキシベンジル基のO−デメチル化の代表的な手順
(Z)−7−クロロ−5−(4−ヒドロキシフェニル)−3−(2−メチルベンジル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン。ArOMe前駆物質(0.6g、1.4mmol)をCHBr(20mL)に入れた溶液に、EtSH(7mL)を加え、続いてAlBr(1.7g、6.3mmol、4.5eq)を加えた。得られた混合物を一晩攪拌し、続いて氷(20g)で処理し、1時間後に濾過した。得られた固体を50%DCM/ヘプタンで粉砕した後、真空乾燥させて、表題生成物445mg(収率80%)を淡黄色の固体として得た。

【0190】
上記の手順に対して適切な置き換えをすることで、以下の化合物を生成した。
【0191】
(Z)−7−クロロ−5−(4−ヒドロキシフェニル)−3−(2−メチルベンジル)−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン。
H NMR(300MHz、DMSO−d)δ2.32(s,3H)、3.3−3.5(m,5H;3.36でNMeの一重線を含む)、3.90(t,1H)、6.87(d,2H)、7.05−7.15(m,3H)、7.20(m,1H)、7.29(fine d,1H)、7.35(d,2H)、7.65(d,1H)、7.78(dd,1H)、9−11(br s,1H)。MS、m/z 405.3[M+1]。
【0192】
(Z)−3−(2,3−ジメチルベンジル)−7−クロロ−5−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン。
H NMR(300MHz、DMSO−d)δ2.18(d,6H;2メチル基)、3.35−3.5(m,2H;HOシグナルを含む)、3.65(t,1H)、6.78(d,2H)、6.98(d,2H)、7.09(t,1H)、7.22−7.27(m,4H)、7.62(dd,1H)、9.92(br s,1H)、10.7(s,1H)。MS、m/z 405.2[M+1]。
【0193】
(Z)−3−(2,6−ジメチルベンジル)−7−クロロ−5−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン。

【0194】
(Z)−3−(2,6−ジメチルベンジル)−7−クロロ−5−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン。

【0195】
(Z)−3−(3,5−ジメチルベンジル)−7−クロロ−5−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン。

【0196】
(Z)−3−(3,5−ジメチルベンジル)−7−クロロ−5−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン。

【0197】
(Z)−3−(3,4−ジメチルベンジル)−7−クロロ−5−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン。
H NMR(300MHz、DMSO−d)δ2.18(fine d,6H)、3.15−3.45(m,2H;水のシグナルを含む)、3.59(t,1H)、6.80(d,2H)、7.01(s,2H)、7.08(s,1H)、7.22(m,2H)、7.28(d,2H)、7.59(fine dd,1H)、9.98(br s,1H)、10.65(s,1H);MS、m/z 405.8[M+1]。
【0198】
(Z)−3−(2,6−ジエチルベンジル)−7−クロロ−5−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン。
H NMR(300MHz、DMSO−d)δ1.09(t,6H)、2.6−2.9(m,4H)、3.27(m,HOシグナルとオーバーラップ)、3.51(dd,1H)、3.61(dd,1H)、6.77(d,2H)、6.96−7.2(m,6H)、7.26(d,1H)、7.60(d,1H)、9.93(br s,1H)、10.7(s,1H);MS、m/z 433.2[M+1]。
【0199】
(Z)−3−(2,6−ジエチルベンジル)−7−クロロ−5−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン。
H NMR(300MHz、DMSO−d)δ1.07(t,6H)、2.6−2.85(m,4H)、3.2−3.4(m,C−3メチンプロトン、NMe、およびHOのシグナルを含む)、3.5−3.7(m,2H)、6.78(d,2H)、6.94−7.02(m,2H)、7.08(dd,1H)、7.18(fine d,1H)、7.23(d,2H)、7.60(d,1H)、7.69(dd,1H)、9.97(s,1H);MS、m/z 447.3[M+1]。
【0200】
(Z)−3−(3,4−ジエチルベンジル)−7−クロロ−5−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン。
H NMR(300MHz、DMSO−d)δ1.07(m,6H)、2.48−2.69(m,4H、DMSOシグナルを含む)、3.20−3.45(m,ベンジリックプロトンおよびHOのシグナルを含む)、3.64(fine dd,1H)、6.82(d,2H)、7.03(m,2H)、7.12(s,1H)、7.2−7.25(m,2H)、7.29(d,2H)、7.60(fine dd,1H)、9.97(s,1H)、10.68(s,1H);MS、m/z 433.3[M+1]。
【0201】
(Z)−3−(3,4−ジエチルベンジル)−7−クロロ−5−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン。
H NMR(300MHz、DMSO−d)δ1.07(m,6H)、2.48−2.59(m,4H、DMSOシグナルを含む)、3.25−3.33(m,ベンジリックプロトン、NMe、およびHOのシグナルを含む)、3.64(fine dd,1H)、6.82(d,2H)、7.01(s,2H)、7.09(s,1H)、7.23(fine d,1H)、7.38(d,2H)、7.59(d,1H)、7.68(fine dd,1H)、9.97(s,1H);MS、m/z 447.2[M+1]。
【0202】
(Z)−3−(3,5−ジエチルベンジル)−7−クロロ−5−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン。

【0203】
(Z)−3−(3,5−ジエチルベンジル)−7−クロロ−5−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン。
H NMR(300MHz、DMSO−d)δ1.14(t,6H)、2.52(q,DMSO多重線とオーバーラップ)、3.30(t,2H)、3.68(t,HOシグナルとオーバーラップ)、6.78−6.86(m,3H)、6.96(fine d,1H)、7.22(fine d,1H)、7.37(d,2H)、7.59(d,1H)、7.69(dd,1H)、10.00(br s,1H);MS、m/z 447.3[M+1]。
【0204】
(Z)−3−(4−イソプロピルベンジル)−7−クロロ−5−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン。

【0205】
(Z)−3−(4−イソプロピルベンジル)−7−クロロ−5−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン。

【0206】
(Z)−3−(2,5−ジイソプロピルベンジル)−7−クロロ−5−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン。

【0207】
(Z)−3−(2,5−ジイソプロピルベンジル)−7−クロロ−5−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン。

【0208】
実施例9
C5−フルオロフェニル−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オンを生成するための代表的なパラジウムカップリング手順
(Z)−7−クロロ−3−(3,4−ジエチルベンジル)−5−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン。10mLの封管に、(E)−5,7−ジクロロ−3−(3,4−ジエチルベンジル)−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン(0.25g、0.505mmol、1当量)と、4−フルオロフェニルボロン酸(0.071g、0.505mmol、1当量)と、Pd(OAc)(0.2当量)と、PPh(0.2当量)と、CsCO(2当量)と、DMF(3mL)とを仕込んだ。管を脱気し、窒素ガスでフラッシュし、100℃で1.5時間油浴中においた。混合物を周囲温度まで冷却し、酢酸エチル(10mL)および水(5mL)で希釈し、セライトパッドで濾過した。層同士を分離し、有機相をブラインで洗浄(3×10mL)し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をクロマトグラフィ(シリカゲル、70:30ヘキサン:酢酸エチル)で精製して、油を得た。この油を、アセトニトリル(3mL)と水(1mL)との混合物に溶解させ、溶液を一晩凍結乾燥させて、(Z)−7−クロロ−3−(3,4−ジエチルベンジル)−5−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン(0.12g、43%)をオフホワイトの固体として得た。mp54〜56℃;

【0209】
実施例10
塩化アルミニウムを用いるデメチル化のための代表的な手順。
(Z)−7−クロロ−3−(3,4−ジエチルベンジル)−5−(4−フルオロフェニル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン。(Z)−7−クロロ−3−(3,4−ジエチルベンジル)−5−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン(0.1g、0.18mmol)をアニソール(3mL)に入れた攪拌溶液に、塩化アルミニウム(0.144g、1.08mmol)を加えた。この混合物を85℃で1時間加熱し、周囲温度まで冷却し、氷/水(10mL)と酢酸エチル(20mL)との混合物に注ぎ、10分間強く攪拌した。層同士を分離し、有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過した後、濃縮した。残渣をクロマトグラフィ(シリカゲル、95:5CHCl:MeOH)で精製して油を得て、これをアセトニトリル(3mL)と水(1mL)との混合物に溶解させた。この溶液を一晩凍結乾燥させて、(Z)−7−クロロ−3−(3,4−ジエチルベンジル)−5−(4−フルオロフェニル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オンをオフホワイトの固体として得た。mp88〜90℃;

【0210】
実施例11
化学名(Z)−7−クロロ−3−(2,6−ジメチルベンジル)−5−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オンの化合物(すなわち、「化合物H」)の毒性と、14全トランス型レチノイン酸(RA)によって誘導される表皮過形成の阻害を評価した。
【0211】
基本手順:
ヒトの皮膚。乾癬のあるヒトの皮膚ドナーから、乾癬性プラーク状皮膚の6mm厚全体の重複試験向け生検試料をパンチして得た。これらの生検試料を移植試験に用いた。非乾癬性ドナーの太陽光の当たらない(臀部)皮膚の6mmパンチ生検試料を、対照として入手した。また、太陽光の当たらない臀部皮膚の2mm厚全体の重複試験向けパンチ生検試料を、臓器培養研究のために正常なドナーから得た。
【0212】
ヒトの皮膚臓器培養。生検直後に、2mmの重複試験向けパンチ生検試料(非乾癬性皮膚のみ)を、ケラチノサイト基礎培地(KBM)(Lonza,Walkersville,MD)からなる培養液に浸漬した。KBMは、MCDB−153培地を低Ca2+無血清状態に変えたものである。これにCaClを補って最終的なCa2+濃度1.4mMにした。(RAおよび/または化合物Hで)さらに処理するか何ら処理をせずに、Ca2+追加KBM400μlの入った24ウェルのディッシュで生検試料をインキュベートした。95%が空気、5%がCOの雰囲気下で、37℃にて培養をインキュベートした。組織を最小量の培地に保つ以外、厳密な空気−液体界面を保証するために特に何もしなかった。2日ごとに培地を交換して新たな処理をほどこして、インキュベーションを8日間続けた。インキュベーション時間の終了時に、10%緩衝ホルマリンに組織を固定し、ヘマトキシリン・エオシン染色後に組織学的に検査した。常に、各ブロックから3〜6の組織切片を調製した。各組織切片のいくつかの部位で表皮厚(真皮−表皮接合部から上皮の生存可能な部分の一番上までの距離)を測定した。ここで用いた臓器培養手順については、過去に説明されている(Varani et al.(1993)Amer.J.Pathol.142:189〜198;Varani et al.,(1994)J.Clin.Invest.94:1747〜1753)。化合物Hの毒性を評価するために、組織を組織学的に検査して、壊死を0〜4+の尺度で評価した。この場合、0が対照との間で変化のないことを示し、4+は表皮の完全な壊死(n=6)を示す。評点1以下を正常とした。
【0213】
結果:
化合物Hには、用量0.5μMまたは1.0μMで検出可能な毒性はなかった。2.0μM用量の化合物Hで、わずかな毒性が観察された。RA誘導表皮過形成の阻害を、表皮厚の減少率(n=3)として測定した。RAの非存在下での平均表皮厚は70〜90μmであったのに対し、RAに曝露した細胞では平均表皮厚が275μmであった。表3から明らかなように、化合物Hが、RAだけに曝露した細胞と比較した場合の表皮厚の減少で測定されるレチノイド誘導過形成の低減につながった。
【0214】
(表3)化合物HによるRA誘導表皮過形成の阻害

【0215】
実施例12
基本手順:
単層膜培養におけるヒト表皮ケラチノサイトおよび真皮線維芽細胞。上述したようにして表皮ケラチノサイトを新鮮な組織生検試料から単離した(Varani et al.,(1994)J.Clin.Invest.94:1747〜1753)。一次および初期継代細胞をケラチノサイト成長培地(KGM)(Lonza)で維持した。KGMは、KBMと同じ基礎培地を含有するが、1mLあたり0.1ngのEGFと、1mLあたり0.5μgのインスリンと、0.4%ウシ脳下垂体エキスとを含む成長因子の混合物をさらに補充してある。低継代のケラチノサイトを用いることに加え、本発明者らは、いくつかの実験で不死化ヒト表皮ケラチノサイトのHaCat系統も用いた。不死化ケラチノサイトについては、厳密に低継代ケラチノサイトとして扱った。
【0216】
非必須アミノ酸と10%ウシ胎仔血清(DMEM−FBS)を補充したダルベッコ変法最小基本培地を培養液として用いて、同一の組織から得た線維芽細胞を単層膜培養で増殖させた。ケラチノサイトと線維芽細胞のどちらも、95%が空気で5%がCOの雰囲気下で、37℃に維持した。トリプシン/エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)に曝露することで細胞を継代し、継代2〜4として用いた。
【0217】
増殖アッセイ。KGMを培養液として用いて、24ウェルのプレートで1ウェルあたり4×10個の細胞を播種して、ケラチノサイトの増殖を評価した。細胞が付着した後(一晩)、これを洗浄し、ゼロ時のカウントのために3組の試料を収集した。次に、試験試薬の濃度を表3に示すように変えて、残りの細胞をKGM中でインキュベートした。DMSOを負の対照とした。トリプシン/EDTAで細胞を放出し、粒子カウンタ(Coulter Electronics、Hialeah、FL)を用いてこれらの細胞を計数して、2日目に増殖を測定した。1.4mMのCa2+を補充したKBMを培養液として用いたこと以外は同様にして、線維芽細胞の増殖研究を実施した。
【0218】
結果:
細胞増殖アッセイの結果を表4に示す。KCは、ヒトケラチノサイトを示す。HFFは、ヒト包皮線維芽細胞を示す。cLogP値については、ChemDraw(商標)(CambridgeSoft)を用いて計算で求めた。
【0219】
(表4)


【0220】
細胞増殖アッセイでのデータによれば、化合物Hはヒトケラチノサイト細胞の増殖に対するEC50が0.7±0.1μMであり、ヒト包皮線維芽細胞の増殖に対するEC50は1.4±0.3μMである。
【0221】
実施例13
ATPの合成とATPの加水分解を測定すれば、本明細書に記載の化合物のF−ATPaseに対する活性を試験することが可能である。また、本明細書に記載の化合物のラモス細胞に対する細胞毒性を評価することもできる。F−ATPaseによるATP合成と加水分解の阻害ならびに、ラモス細胞での細胞毒性については、K.M.Johnson et al.in Chemistry & Biology (2005)Vol.12,pp.485〜496に記載されているようにして測定可能である。これらの手順で7−クロロ−5−(4−フルオロフェニル)−3−(2−メチルベンジル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オンを試験したところ、この化合物のIC50がATPaseによるATP合成の阻害時に9.1μM、ラモス細胞の死を引き起こす上でのEC50が7.9μMであることが分かった。
【0222】
援用
本明細書に引用した特許文書および技術論文それぞれの開示内容全体を、あらゆる目的で援用する。
【0223】
等価物
本発明の主旨または本質的な特徴から逸脱することなく、これを他の具体的な形態で実施してもよい。したがって、上記の実施形態は、あらゆる観点で本明細書に記載の本発明を限定するものではなく例示的なものとみなされる。よって、本発明の範囲は、上記の説明ではなく添付の特許請求の範囲に示され、請求項に対する等価物の範囲と意味に含まれるあらゆる変更は、そこに包含されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
その塩、エステル、およびプロドラッグを含む、式I

で表される化合物であって、式中、
は、HまたはC1〜6アルキルであり、
は、HまたはC1〜6アルキルであり、
は、C1〜6アルキルであり、
は、ヒドロキシルまたはフルオロであり、
式Iで表される化合物の立体中心における立体化学配置が、R、Sまたはこれらの混合物であり、ただし、前記化合物が、

ではない、化合物。
【請求項2】
がフルオロである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
構造

を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
がヒドロキシルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
構造

を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
構造

を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
およびRがC1〜3アルキルである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
およびRがメチルである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
およびRがエチルである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
およびRがイソプロピルである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
がHであり、Rがイソプロピルである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
がHまたはメチルであり、RおよびRがC1〜3アルキルである、請求項5に記載の化合物。
【請求項13】
(Z)−7−クロロ−5−(4−ヒドロキシフェニル)−3−(2−メチルベンジル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−5−(4−ヒドロキシフェニル)−3−(3−メチルベンジル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−5−(4−ヒドロキシフェニル)−3−(4−メチルベンジル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(2,3−ジメチルベンジル)−5−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(2,4−ジメチルベンジル)−5−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(2,5−ジメチルベンジル)−5−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(2,6−ジメチルベンジル)−5−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(3,4−ジメチルベンジル)−5−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(3,5−ジメチルベンジル)−5−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(2−エチルベンジル)−5−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(3−エチルベンジル)−5−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(4−エチルベンジル)−5−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(2,3−ジエチルベンジル)−5−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(2,4−ジエチルベンジル)−5−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(2,5−ジエチルベンジル)−5−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(2,6−ジエチルベンジル)−5−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(3,4−ジエチルベンジル)−5−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(3,5−ジエチルベンジル)−5−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−5−(4−ヒドロキシフェニル)−3−(2−イソプロピルベンジル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−5−(4−ヒドロキシフェニル)−3−(3−イソプロピルベンジル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−5−(4−ヒドロキシフェニル)−3−(4−イソプロピルベンジル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(2,3−ジイソプロピルベンジル)−5−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(2,4−ジイソプロピルベンジル)−5−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(2,5−ジイソプロピルベンジル)−5−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(2,6−ジイソプロピルベンジル)−5−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(3,4−ジイソプロピルベンジル)−5−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(3,5−ジイソプロピルベンジル)−5−(4−ヒドロキシフェニル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−5−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチル−3−(2−メチルベンジル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−5−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチル−3−(3−メチルベンジル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−5−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチル−3−(4−メチルベンジル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(2,3−ジメチルベンジル)−5−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(2,4−ジメチルベンジル)−5−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(2,5−ジメチルベンジル)−5−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(2,6−ジメチルベンジル)−5−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(3,5−ジメチルベンジル)−5−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;
(Z)−7−クロロ−3−(2−エチルベンジル)−5−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(3−エチルベンジル)−5−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(4−エチルベンジル)−5−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(2,3−ジエチルベンジル)−5−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(2,4−ジエチルベンジル)−5−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(2,5−ジエチルベンジル)−5−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(2,6−ジエチルベンジル)−5−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(3,4−ジエチルベンジル)−5−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(3,5−ジエチルベンジル)−5−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−5−(4−ヒドロキシフェニル)−3−(2−イソプロピルベンジル)−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−5−(4−ヒドロキシフェニル)−3−(3−イソプロピルベンジル)−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−5−(4−ヒドロキシフェニル)−3−(4−イソプロピルベンジル)−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(2,3−ジイソプロピルベンジル)−5−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(2,4−ジイソプロピルベンジル)−5−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(2,5−ジイソプロピルベンジル)−5−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(2,6−ジイソプロピルベンジル)−5−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(3,4−ジイソプロピルベンジル)−5−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(3,5−ジイソプロピルベンジル)−5−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−5−(4−フルオロフェニル)−3−(2−メチルベンジル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−5−(4−フルオロフェニル)−3−(3−メチルベンジル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−5−(4−フルオロフェニル)−3−(4−メチルベンジル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(2,3−ジメチルベンジル)−5−(4−フルオロフェニル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(2,4−ジメチルベンジル)−5−(4−フルオロフェニル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(2,5−ジメチルベンジル)−5−(4−フルオロフェニル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(2,6−ジメチルベンジル)−5−(4−フルオロフェニル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(3,4−ジメチルベンジル)−5−(4−フルオロフェニル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(3,5−ジメチルベンジル)−5−(4−フルオロフェニル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(2−エチルベンジル)−5−(4−フルオロフェニル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(3−エチルベンジル)−5−(4−フルオロフェニル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(4−エチルベンジル)−5−(4−フルオロフェニル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(2,3−ジエチルベンジル)−5−(4−フルオロフェニル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(2,4−ジエチルベンジル)−5−(4−フルオロフェニル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(2,5−ジエチルベンジル)−5−(4−フルオロフェニル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(2,6−ジエチルベンジル)−5−(4−フルオロフェニル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(3,4−ジエチルベンジル)−5−(4−フルオロフェニル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(3,5−ジエチルベンジル)−5−(4−フルオロフェニル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−5−(4−フルオロフェニル)−3−(2−イソプロピルベンジル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−5−(4−フルオロフェニル)−3−(3−イソプロピルベンジル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−5−(4−フルオロフェニル)−3−(4−イソプロピルベンジル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(2,3−ジイソプロピルベンジル)−5−(4−フルオロフェニル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;
(Z)−7−クロロ−3−(2,4−ジイソプロピルベンジル)−5−(4−フルオロフェニル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(2,5−ジイソプロピルベンジル)−5−(4−フルオロフェニル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(2,6−ジイソプロピルベンジル)−5−(4−フルオロフェニル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(3,4−ジイソプロピルベンジル)−5−(4−フルオロフェニル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(3,5−ジイソプロピルベンジル)−5−(4−フルオロフェニル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−5−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−3−(2−メチルベンジル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−5−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−3−(3−メチルベンジル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−5−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−3−(4−メチルベンジル)−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(2,3−ジメチルベンジル)−5−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(2,4−ジメチルベンジル)−5−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(2,5−ジメチルベンジル)−5−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(2,6−ジメチルベンジル)−5−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(3,4−ジメチルベンジル)−5−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(3,5−ジメチルベンジル)−5−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(2−エチルベンジル)−5−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(3−エチルベンジル)−5−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(4−エチルベンジル)−5−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(2,3−ジエチルベンジル)−5−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(2,4−ジエチルベンジル)−5−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(2,5−ジエチルベンジル)−5−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(2,6−ジエチルベンジル)−5−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(3,4−ジエチルベンジル)−5−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(3,5−ジエチルベンジル)−5−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−5−(4−フルオロフェニル)−3−(2−イソプロピルベンジル)−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−5−(4−フルオロフェニル)−3−(3−イソプロピルベンジル)−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−5−(4−フルオロフェニル)−3−(4−イソプロピルベンジル)−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(2,3−ジイソプロピルベンジル)−5−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(2,4−ジイソプロピルベンジル)−5−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(2,5−ジイソプロピルベンジル)−5−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(2,6−ジイソプロピルベンジル)−5−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン;(Z)−7−クロロ−3−(3,4−ジイソプロピルベンジル)−5−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オンまたは(Z)−7−クロロ−3−(3,5−ジイソプロピルベンジル)−5−(4−フルオロフェニル)−1−メチル−1H−ベンゾ[e][1,4]ジアゼピン−2(3H)−オン、あるいはそれらの薬学的に許容される塩である、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】

である、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】

である、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか一項に記載の化合物と、薬学的に許容されるキャリアとを含む、医薬組成物。
【請求項17】
ステロイド、シクロスポリン、ビタミンD、ビタミンD類似体、角質溶解薬、局所用レチノイド、カルシニューリン阻害剤またはコールタールをさらに含む、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
ステロイドがトリアムシノロンアセトニドまたはジプロピオン酸ベタメタゾンであり、ビタミンD類似体がカルシポトリエンであり、角質溶解薬がアントラリンであり、局所用レチノイドがトレチノインまたはタザロテンであり、カルシニューリン阻害剤が、タクロリムス、ピメクロリムス、アスコマイシンまたはISA247である、請求項17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
ステロイドをさらに含む、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項20】
皮膚症状を治療する方法であって、前記症状の症候を寛解させるために、請求項1〜15のいずれか一項に記載の化合物を、それを必要とする被検体に治療有効量で投与する段階を含む、方法。
【請求項21】
皮膚症状が表皮過形成と関連している、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
皮膚症状がアトピー性皮膚炎、酒さまたは乾癬である、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
皮膚症状が乾癬である、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
化合物が、請求項5または6に記載の化合物である、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
化合物が、請求項12に記載の化合物である、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
化合物が、

である、請求項20に記載の方法。
【請求項27】
皮膚症状が乾癬である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
表皮過形成を治療する方法であって、表皮過形成の症候を寛解させるために、請求項1〜15のいずれか一項に記載の化合物を、それを必要とする被検体に治療有効量で投与する段階を含む、方法。
【請求項29】
化合物が、請求項5または6に記載の化合物である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
化合物が、請求項12に記載の化合物である、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
化合物が、

である、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
被検体がヒトである、請求項20〜31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
ステロイド、シクロスポリン、ビタミンD、ビタミンD類似体、角質溶解薬、局所用レチノイド、カルシニューリン阻害剤、およびコールタールからなる群から選択される治療薬を被検体に投与する段階をさらに含む、請求項20〜31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
ステロイドがトリアムシノロンアセトニドまたはジプロピオン酸ベタメタゾンであり、ビタミンD類似体がカルシポトリエンであり、角質溶解薬がアントラリンであり、局所用レチノイドがトレチノインまたはタザロテンであり、カルシニューリン阻害剤が、タクロリムス、ピメクロリムス、アスコマイシンまたはISA247である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
治療薬がステロイドである、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
ケラチノサイト細胞の増殖を低減させる方法であって、前記細胞を請求項1〜15のいずれか一項に記載の化合物に曝露する段階を含む、方法。
【請求項37】
化合物が、請求項5または6に記載の化合物である、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
化合物が、請求項12に記載の化合物である、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
化合物が、

である、請求項36に記載の方法。

【公表番号】特表2011−503011(P2011−503011A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−532341(P2010−532341)
【出願日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際出願番号】PCT/US2008/082629
【国際公開番号】WO2009/061916
【国際公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【出願人】(510041142)ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ ミシガン (20)
【Fターム(参考)】