説明

皮革の装飾層を備えた車両の内装品にレーザーによって弱化線を付与するための方法

皮革の装飾層を備えた車両の内装品を製造するための方法であって、該皮革の繊維構造が、レーザーによって弱化線が作成される前およびレーザー処理の間に、少なくとも所望の弱化線に沿って、過冷却または固定剤(5)によって固定される方法。該皮革は、裏面(3)を有する真皮(2)と、装飾面を有する表皮(1)とを備えている。弱化線は、好ましくは一連の穿孔(6)によって形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
最近の高品質の自動車では、シートクッション、背もたれ、ヘッドレストおよびアームレストなどのクッション付きの車両用装備品が自動車用皮革(レザー)で覆われている。また、ダッシュパネル、コンソール、ハンドルカバー、サンバイザおよびドアの内装などの車両内の硬質の内装品も、乗員室側に皮革の装飾層を備えた状態で作製される。
【背景技術】
【0002】
これらの車両内装品の周縁部(曲線)を覆って皮革をしっかりと付着させるために、または、皮革が、車両の内装品、たとえばエアバッグカバーに設けられた所定の破断線に沿ってより低い引裂き強度を有するように、皮革は、所望の曲線または所定の破断線に沿って弱化されるかまたは切断され、その後再び機能糸によって縫合される。この機能糸は、デザイン上の理由で望ましくないことが多い。
【0003】
実際には、皮革は、ナイフを用いて裏面から切除または剥離することによって弱化される。
【0004】
皮革とは、元の繊維構造がほとんど損なわれずに保たれたなめし皮に対する一般用語である。なめし加工の前に取り除かれ、基本的に自動車用皮革として利用されない皮の剥片や各部を除くと、皮革は、表皮、および真皮を備えている。表皮は皮革の全厚のうちのほんの一部しか構成していないが、引裂き強度を実質的に決定する。
【0005】
皮革の厚さのばらつきおよび表皮の比較的薄い厚さのため、ナイフによって切除されるときの切除深さは、表皮を傷付けずにおくように選択される。これには、真皮が完全に切断されるときでさえ、皮革の引裂き強度がおよそ半分だけしか低減されないという欠点がある。さらに、無傷の表皮の厚さの生来のばらつきの結果としての引裂き強度のばらつきにも幅がある。
【0006】
一般に、特にエアバッグカバーの所定の破断線についての、再現可能な所定の低い引裂き強度に対する規制の要件は非常に厳しく、機械的な切除では達成されない。
【0007】
2つの隣接する外面が180°の角度を成している場合、曲線のための切除は実質的に有効でない。この理由は、このとき皮革の裏面領域が押されて、表側の面を浮き上がらせるためである。明らかに、この欠点は、材料が、所定の曲線に沿って単に切断されるだけではなく除去される場合に克服可能なものである。
【0008】
当業者は、特に、車両の内装品に一体化されたエアバッグカバーを製造する方法に関する多くの公報から、線に沿って弱化するための材料の除去をレーザーによって実現可能であることを認識している。
【0009】
公知の方法の目的は、基本的に、乗員室から見える車両の内装品の表面には弱化線が肉眼で見えず、かつ弱化線に沿った引裂き強度が規定され、それができる限り小さくなるように、材料の除去を制御または調整することにある。一定の深さまたは一定の残留壁厚を有する溝が作成される解決法、一定のまたは可変の深さまたは残留壁厚を有する連続または非連続の穿孔の列が所定の破断線を形成する解決法、および、溝および穿孔を組み合わせた解決法がある。
【0010】
特許文献1には、さまざまな技術によって上述したタイプの弱化線を作成する際の難点が記載されている。つまり、弱化線の溝の深さは、外側カバー層(装飾層)の確実な破断がちょうど適切な時点で引き起こされるように慎重に制御されなければならない。一方、開口部がそれほど大きくない場合に、抵抗に打ち勝つように溝の深さは浅過ぎてはならず、他方、弱化線が極端に見えないように十分な材料が残存していなければならない。また、当該文献には、むらのある内面を有するカバー層では、残る残留壁厚が一定になるように溝の深さを制御しなければならないことについても述べられている。この問題を解決するために、特許文献1には、レーザー光線によって連続した溝を切除することが提案されている。レーザー光線は、溝の下の残る材料の一定の厚さまたは一定の溝の深さを達成するように制御される。さまざまな開口抵抗を有する弱化線を作成するために、溝は、キャリア層、発泡材料層および装飾層を含む部分内で、さまざまな深さを有するように作成される。例として述べられる全ての深さにおいて、キャリア層は完全に切断され、発泡材料層の少なくとも一部分は、該発泡材料層が装飾層内に完全に連通するまで穿孔される。溝の下に残る残留壁厚は無制限に最小化することはできないが、この理由は、さもなければ、溝が溝内に沈降する残留材料のために見えるようになる場合があるからである。発泡材料層が、少なくとも部分的に装飾層のための支持層として保持されている限りは、いかなる装飾層の弱化も実行できない。
【0011】
装飾層を弱化しながら、発泡材料層を、弱化線の領域で、少なくとも部分的に装飾フォイルのための支持層として保持するという基本的な考えは、ポケット孔による弱化線の形成に結び付く。
【0012】
特許文献2は、ポケット孔の形態で材料を除去することによる弱化線の利点について以下のように記載している。特許文献1に従って弱化線を作成する場合、開口抵抗(引裂き強度)に影響を及ぼすために、幾何学量として溝の下の残留壁厚のみが変更可能であるのに対し、ポケット孔が一列に配置される場合(穿孔の線)は、ポケット孔間のウェブ幅を効果的に変更することも可能である。
【0013】
溝の形態に材料を除去する場合、残留材料には、溝内に沈降して見えるようにならない程度に十分な強度がなくてはならない。この沈降は、残留壁厚が薄い場合でも、ポケット孔間に残って支持体として働くウェブのおかげで、ポケット孔が一列に配置される場合防がれる。また、ポケット孔が、周期的に繰り返される異なる残留壁厚を有する場合、穿孔の線全体にわたって一定の引裂き強度を実現することも可能である。
【0014】
異なる残留壁厚のポケット孔の作成は、残留壁厚の薄さおよびウェブの狭さが高い熱応力の原因になる場合があり、老化によって引き起こされる材料の弛緩と同様に、この高い熱応力によって、残留材料がポケット孔へ沈降し、それによって弱化線が見えるようになるという考えに基づいている。このことを防ぐために、材料は、異なる深さで周期的に異なるように装飾層内へと除去される。浅い深さにおいては、かなり大きなウェブ幅が発泡材料層に保持され、装飾層にかかる熱応力が小さい。視認性が生じる危険は、引裂き強度を少し増大させるだけでより確実に防がれる。
【0015】
しかし、実用試験が示しているように、発泡材料のウェブが実際に保持されるためには、装飾層を貫通するポケット孔間の選択された距離を非常に大きくする必要がある。キャリア層および装飾層を除去するのに必要な放射線エネルギーは非常に高いため、発泡材料層の広い部分がポケット孔の周りで焦げる。しかしながら、ポケット孔間の距離が大きいことの結果として、特により強度の高い材料を装飾層に用いた場合、必要となる開口力は非常に大きい。
【0016】
上述した解決法は、一方で、弱化線の低い開口抵抗を実現するための、可能な限り薄い残留壁厚および薄いウェブ幅と、他方で、弱化線が乗員に見えないようにするための、十分に厚い残留壁厚および厚いウェブ幅との妥協案を提示するものである。
【0017】
特許文献3は、フォイルで覆われると共に一体化されたエアバッグフラップを有する自動車用インストルメントパネルを示している。フォイル(装飾層)は、材料を完全に貫通する一列の穿孔によって形成された弱化線を備えている。この解決法における当該発明の考えは、レーザー切除溝を弱化線に重ねることによって弱化線の視認性を低下させることにある。
【0018】
また、視認性の低い弱化線を作成する目的で、特許文献4には、実際の所定の破断線と交互でありかつ装飾層の表面構造と類似している弱化線の作成が提案されている。
【0019】
上述した解決法はいずれも、天然皮革、特に自動車用皮革を備えた装飾層、またはかかる装飾層を備えた車両の内装品に、肉眼で見えない所定の破断線を作成するのには適していない。
【0020】
レーザー放射線が作用すると、皮革が所定の破断線に沿って目に見えるほど浮き上がることが試験によって示されている。この結果は、レーザー放射線によって生じる焦げと、結果として生じる、熱負荷による膠原繊維の収縮とによって説明される。この浮きは、次の平滑化法、たとえば、研摩加工、ロール加工、またはブラシ加工によって実質的に解消可能であるが、これは、特に皮革が、車両の内装品の他の材料層と既に結合されている場合、難しく、かつ永続的なものではないことが分かっている。
【0021】
特許文献5は、皮革の装飾層で覆われたエアバッグと、エアバッグカバー用の、皮革の装飾層の処理方法とについて開示している。エアバッグカバーは通常、引裂き線に沿ってノッチ付きの、従って弱化された、ビニル製の装飾層を備えていることが説明されている。エアバッグカバー用の装飾層には、ビニルのより高級な代替物として皮革が望ましいが、皮革はノッチ加工に弱いため、皮革をこの目的に用いることはできない。皮革の軟質で可撓性の品質は、皮革に適切に穿孔した場合でさえ、制御されたやり方での引裂きに適していない。この問題を克服するために、硬化剤に部分的に浸すことによって、意図された引裂き線に沿って皮革を脆化させることが提案されている。硬化されると粉末化するラッカーが硬化剤の例として述べられている。当該発明によれば、厚さを薄くしかつ硬化された皮革片のノッチ感度を弱めることによって、硬化された皮革片をノッチ加工し、従って弱化させる。
【0022】
ノッチ感度とは、ノッチ加工される箇所、鋭い周縁部、または壁厚の急な変わり目、すなわち応力が集中する箇所における材料の割れの生じやすさを示すのに用いられる当該出願人に公知の技術用語である。
【0023】
ノッチ感度を決定するために、ノッチ衝撃強度がノッチ付きの試験片で測定され得る。ノッチ感度が高いほど、衝撃強度に比較したノッチ衝撃強度が低くなる(ISO180)。衝撃強度は、材料が破壊されることなく衝撃エネルギーおよび衝撃力を吸収する能力の尺度である。
【0024】
1993年に出願された特許文献5の中で、上述された意味で「ノッチ感度」という用語が用いられていることは疑いないと思われる。この文献の記載から、ノッチ加工とは、たとえば切除部が皮革の厚さの中心まで貫通している切除を意味していることがわかる。図面により、溝が形成されるために材料が切断されるだけでなく除去されるように剥離も行われるという結論が導かれる。ノッチ加工の方法は、機械的方法でなければならないことが推定される。特許文献5に説明されているように、ノッチ加工は、当該ノッチに沿って皮革を引裂くには不十分である。
【0025】
1993年の時点とは異なり、特にエアバックカバーまたはエアバックカバー用の装飾層にもレーザーによって弱化線を穿孔することが、現行の先端技術である。肉眼では見えない、全くまたはほとんど全く見えない穿孔を含む穿孔の線が皮革を貫通し、従って皮革の硬い表層もまた、この線に沿って、所定の適切な力によって皮革を引裂くのに十分に皮革を弱化する。このようにして作成された弱化線には、弱化線に沿って皮革を脆化する必要がない。
【0026】
しかし、上記に既に説明したように、目に見える浮きがレーザー穿孔中にまだ発生するため、求められる外観の結果を考えると、すなわち、弱化線が皮革の可視面で永続的に見えないようにするためには、皮革にレーザー穿孔を用いることはできない。
【0027】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0 711 627 A2号明細書
【特許文献2】独国特許発明第196 36 429 C1号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第195 40 563 A1号明細書
【特許文献4】独国特許出願公開第196 36 428 A1号明細書
【特許文献5】米国特許第5,611,564号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
本発明の目的は、皮革の装飾層、特に自動車用皮革またはかかる装飾層を備えた車両の内装品に、所定の低い引裂き強度を有すると共に車両の乗員の肉眼では見えない弱化線をレーザーによって作成することである。
【課題を解決するための手段】
【0029】
この目的は、請求項1に記載の、皮革の装飾層を備えた車両の内装品を製造する方法において達成される。
【0030】
(特に膠原繊維を含む)皮革の繊維構造が、レーザー処理の前に少なくとも所望の弱化線に沿って固定されることは、本発明にとって不可欠である。これは、広範囲にわたる過冷却または固定剤の塗布によって実行可能である。また、本発明による方法は好都合にも、真皮のみを含む床革すなわち止め革にも利用可能であるため、次の説明は皮革の裏面3および装飾面4について言及する。従って、表皮1および真皮2を備えた皮革では、真皮2の剥き出しの面が裏面3であり、表皮1の可視面が装飾面4である。皮革の繊維は、所望の弱化線に沿って過冷却または固定剤の塗布によって裏面3に固定され、それによって、皮革がレーザーの直接の作用領域の外側は変わらないままであり、別の場合には弱化線に沿って生じると思われる浮きが結果として防がれる。皮革の有用な特性を保持するために、皮革に化学変化を引き起こさない固定剤が用いられるのが好ましい。固定剤は、実質的に皮革の可撓性を変化させないもの(たとえば、皮革の装飾には用いられるような通気性塗料)である必要があり、または固定剤が皮革を硬化する場合、その作用は可逆性がなければならない。
【0031】
本発明を、実施形態を参照しながら、図面を用いて以下にさらに十分に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
第1の実施形態では、弱化線が個々の皮革層に個別に設けられる。このことは、たとえば、エアバッグの出口または乗員室に縁部が突出している車両の内装品を備えた予め製造されたダッシュパネルが皮革で覆われる場合に好都合である。
【0033】
装飾された皮革は、先行技術から原理上公知であるように、レーザー放射線による実際の切除の前に固定剤で処理される。固定剤は、適切な方法、たとえばブラシ塗布またはスプレー塗布によって、皮革の裏面3の表面全体に塗布されるのが好ましく、これによって、皮革のいかなる視認可能な変化も全体の均質な印象に影響を及ぼさなくなるであろう。固定剤を効率よく利用するために、固定剤を所望の弱化線に沿ってだけ塗布してもよい。効果がそのときに限られ、従って皮革の長期的な性質に影響を及ぼさない固定剤が好都合である。
【0034】
所望の効果は、市販のヘアラッカーまたはヘアスプレーを塗布することによっても達成される。示されているように、レーザー切除の前の固定剤の塗布は、皮革だけでなく他の繊維材料、たとえば不織布または成形された布を加工する場合にもプラスの効果をもたらす。
【0035】
固定剤は所望の弱化線に沿って皮革の中に浸透し、皮革の繊維を結合させた後に固定させ、それによって、熱を導入することから生じる、レーザー放射線の直接の作用領域の周辺の領域の繊維構造の変化を妨げる。たとえば使用される固定剤のメーカーによって推奨される乾燥段階の後に、実際のレーザー処理を開始することができる。市販のヘアラッカーを用いる場合には、2〜15分の乾燥段階で十分であることが分かっている。
【0036】
図1は、装飾面4を備えた表皮1と裏面3を備えた真皮2とを含む皮革の断面図を示している。裏面3に塗布される固定剤5は、皮革の中に部分的に浸透する(図面では濃く塗られた領域で示される)。レーザー放射線によって設けられる弱化線は、複数の穿孔6を含む。
【0037】
理論上は、本明細書の導入部で述べたレーザー切除法の全ては、本発明によれば、浮きを引き起こさずに、所望の弱化線に沿って前処理の後に適用可能である。
【0038】
しかし、実際には、完全な穿孔が特に好都合であることが分かっている。このために、パルス幅および出力などのレーザーパラメータが、皮革の可視面上の穿孔6の直径が非常に小さく皮革の気孔程度の大きさであるため肉眼で視認できないように、順方向の送り速度に応じて選択される。特に皮革の表皮1の材料除去は、引裂き強度のかなりの低減をもたらすことが示されている。反対に、真皮の材料除去は、弱化線に沿った引裂き強度をほんのわずかしか低減しない。これに対し、真皮における可能な限り少ない材料除去、従って真皮における低い熱負荷が、弱化線の永続的な不可視性に関して好都合であることが示されている。
【0039】
ほんのわずかな熱負荷および穿孔6の特に小さな直径は、適切な間隔で短レーザーパルスおよび超短レーザーパルスによって切除を行う場合に達成される。わずかな低い圧力、たとえば0.5〜1バールで、切除ガスとして窒素ガスを使用することは、皮革の浮きを防ぎ、焦げ滓の低減に寄与することも示されている。
【0040】
所定の破断線に沿った引裂き強度、従って必要とされる引裂き力は、穿孔6間の間隔および皮革自体の引裂き強度によって実質的に決定される。
【0041】
機械的に切除された所定の破断線と比較して、本発明の所定の破断線で達成可能である引裂き強度の低さに加えて、該所定の破断線に沿った引裂き強度のばらつきの範囲もかなり縮小される。これは所定の引裂き力に対する要求に対応する。
【0042】
既述したように、本発明による方法は、皮革に所定の破断線を作成するだけでなく、曲線を作成するのにも適している。これは、所定の小さな引裂き力によってではなく、真皮からの材料の除去によって対処する必要がある。当業者は、たとえば連続的深さで材料を除去する(溝を作成する)ためのプロセスパラメータの選択の仕方を認識している。
【0043】
また、本発明による方法は、情報を伝える目的でまたは装飾目的で、皮革に目に見える孔パターンを作成するのにも適している。プロセスパラメータは、はっきりと目に見える孔が所定のパターンで形成されるように選択される。
【0044】
たとえば欧州特許出願公開第711 627号明細書に記載されているように、固定剤5の塗布の直後に皮革のレーザー処理を行う代わりに、皮革をまず他の層に接合させて、合わせて車両の内装品を形成してから、これらの他の層との複合材としてレーザー処理を施すこともできる。この場合、当該文献に記載されているように超短パルスを皮革に適用しながら、連続的に操作されるレーザーによって第1の層を迅速に切除することができる。
【0045】
層構造の残りの部分および特に皮革と連通している他の材料が本発明にとって不可欠でないことは当業者には理解されるであろう。たとえば、皮革を(たとえば、ハンドルカバー、合成スペーサ布地、発泡体層、布地層またはフォイルを形成する)プラスチック基材に直接付着させることも可能である。
【0046】
スプレー塗布またはブラシ塗布の他に、固定剤は、皮革の下にある層に接着される際に皮革の中に浸透可能でもある。このために、固定剤を接着剤に加えて、該接着剤を、皮革または上に該皮革が配置される層に直接塗布する。
【0047】
また、2成分接着剤によって、皮革とその下にある層との間の接着接合を形成することも可能である。一方の成分は皮革に塗布され、もう一方の成分はその下にある層に塗布され、皮革の中に浸透する固定剤は、成分の結合の間に遊離(release)される。
【0048】
また、繊維構造の固定は、レーザー処理の直後に皮革を過冷却することによって、または皮革を予備収縮することによっても実行可能である。
【0049】
本発明の方法の各特定の実施形態では、レーザー処理の前の、過冷却、予備収縮または固定剤5の塗布が、レーザー処理中の皮革の浮き上がりを防ぐ。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】機械加工された皮革の断面図を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
裏面(3)および装飾面(4)を備えた皮革の装飾層を有する、車両の内装品を製造する方法であって、レーザー放射線によって前記裏面(3)から弱化線が設けられる方法において、
前記弱化線に沿った目に見える浮きを防ぐために、前記皮革の繊維構造が、レーザー処理の前およびレーザー処理の間に、少なくとも所望の弱化線に沿って固定されることを特徴とする方法。
【請求項2】
固定剤(5)が、前記皮革の裏面(3)の表面全体にわたって塗布され、前記皮革の中に浸透することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記固定剤(5)が、ブラシ塗布されるラッカーであることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記固定剤(5)が、スプレー塗布されるラッカーであることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記皮革が、前記固定剤(5)を塗布した後に、車両の内装品を形成するさらなる層に接合され、複合材としてレーザー放射線によって処理されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記皮革が、前記固定剤(5)を塗布した後にレーザー処理を施され、その後、さらに、予め製造された内装品に付着されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記皮革が、レーザー処理の直前に、少なくとも所望の弱化線に沿って過冷却されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記弱化線が、内装品のエアバッグ開口部の輪郭を画定する所定の破断線であることを特徴とする請求項2または7に記載の方法の使用。
【請求項9】
前記弱化線が、曲線であることを特徴とする請求項2または7に記載の方法の使用。
【請求項10】
前記弱化線が、装飾面から見える孔パターンを形成することを特徴とする請求項2または7に記載の方法の使用。
【請求項11】
前記皮革が内装品を形成するさらなる層に接合される前に、前記固定剤(5)が前記皮革に塗布される接着剤に加えられることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項12】
前記固定剤(5)が、上に前記皮革が配置される内装品の層に塗布される接着剤に加えられることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項13】
前記皮革が、レーザー処理の前に予備収縮されることを特徴とする請求項1に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2007−515504(P2007−515504A)
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−537063(P2006−537063)
【出願日】平成16年11月5日(2004.11.5)
【国際出願番号】PCT/DE2004/002479
【国際公開番号】WO2005/049261
【国際公開日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(502122347)イェーノプティク アウトマティジールングステヒニーク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (29)
【Fターム(参考)】