説明

盗難抑止装置

【課題】特にキック始動式の自動二輪車に搭載される盗難抑止装置において、ユーザー認証に失敗したときに自動二輪車を安全に停止させる。
【解決手段】エンジンが回転している状態でユーザー認証を行う(ステップS1〜S3)。ユーザー認証に失敗したとき、ユーザー認証が終了した時点でエンジンのエンジン回転速度が所定の安全停止速度より大きい場合には、エンジンのエンジン回転速度を徐々に低下させ、安全停止速度以下になった時点でエンジンを停止させる(ステップS6〜S14)。これにより、エンジンの急停止に起因する自動二輪車の転倒を防止して自動二輪車を安全に停止させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にキック始動式の自動二輪車に搭載して使用するのに好適な盗難抑止装置(イモビライザー)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の自動二輪車に盗難抑止装置を装着した場合、バッテリーがオープン状態になっていると、盗難抑止装置に電源が供給されないため、ユーザー認証を行うことができない。その結果、正規のユーザーであっても自動二輪車を運転することができなくなる。
【0003】
こうした不便を解消するため、バッテリーがオープン状態になっていても、一旦エンジンをキック始動して盗難抑止装置に電源を供給することにより、エンジンが回転している状態でユーザー認証を行わせる方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この方法では、ユーザー認証に成功したとき(正規のユーザーであると認定されたとき)にはエンジンの継続回転を許可するとともに、ユーザー認証に失敗したとき(正規のユーザーであると認定されなかったとき)にはエンジンを停止させる。
【特許文献1】特開2001−18753号公報(段落〔0005〕〜〔0007〕の欄、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これでは、ユーザー認証が終了する前(つまり、正規のユーザーであるか否かが判定される前)にエンジンが始動してしまうので、ユーザー認証中は、正規のユーザーでなくても自動二輪車を走行させることが可能となる。そのため、自動二輪車を走行させた者が正規のユーザー以外の者である場合、とりわけコーナリングなどで車体が傾いてるときに、ユーザー認証に失敗してエンジンが急に停止することによって車両が転倒する事態を避けるべく、車両を安全に停止させることが強く要請されていた。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑み、ユーザー認証に失敗したときに自動二輪車などの車両を安全に停止させることが可能な盗難抑止装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、エンジンが回転している状態でユーザー認証を行い、このユーザー認証に失敗したときに前記エンジンを停止させるように構成された盗難抑止装置であって、前記エンジンのエンジン回転速度を検出するエンジン監視手段と、前記ユーザー認証が終了して当該ユーザー認証に失敗したとき、当該ユーザー認証が終了した時点で前記エンジンのエンジン回転速度が所定の安全停止速度より大きい場合に、当該エンジンのエンジン回転速度を徐々に低下させるエンジン減速手段と、前記エンジンのエンジン回転速度が前記安全停止速度以下になった時点で当該エンジンを停止させるエンジン停止手段とが設けられている盗難抑止装置としたことを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の構成に加え、前記エンジン減速手段は、前記エンジンのエンジン回転速度を低下させる際に、当該エンジン回転速度を所定の差分回転速度ずつ段階的に低下させることを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の構成に加え、前記安全停止速度は、アイドリング回転速度であることを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の構成に加え、前記エンジン監視手段は、レクチファイアーレギュレータから出力される電圧波形に基づいて前記エンジンのエンジン回転速度を検出することを特徴とする。
【0010】
さらに、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の構成に加え、前記エンジン監視手段は、パルサー発生装置から出力される点火タイミング信号を利用して前記エンジンのエンジン回転速度を検出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、ユーザー認証に失敗したときでも、安全停止速度以下になってからエンジンが停止するため、エンジンの急停止に起因する車両の転倒を防止して車両を安全に停止させつつ、車両の盗難を抑止することが可能となる。
【0012】
また、請求項2に記載の発明によれば、エンジン回転速度が段階的に低下するため、エンジン回転速度が一気に低下して車両が急に失速する事態を回避し、安全性を一層向上させることができる。
【0013】
また、請求項3に記載の発明によれば、請求項1、2に記載の発明と同じ効果を奏する。
【0014】
また、請求項4に記載の発明によれば、既存の部品(レクチファイアーレギュレータ)を有効活用してエンジン回転速度を検出することができるので、部品点数の増加による製造コストの高騰を回避することが可能となる。
【0015】
さらに、請求項5に記載の発明によれば、既存の部品(パルサー発生装置)を有効活用してエンジン回転速度を検出することができるので、部品点数の増加による製造コストの高騰を回避することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
[発明の実施の形態1]
【0017】
図1乃至図3には、本発明の実施の形態1を示す。
【0018】
まず、構成を説明する。
【0019】
スクーター型の自動二輪車1は、図1に示すように、ACマグネトウジェネレーター4、半波整流型のレクチファイアーレギュレータ3、バッテリー5、ヘッドライトなどのAC負荷6、メータなどのDC負荷7、メインスイッチ9、ピックアップコイルなどのパルサー発生装置10、点火ユニット11、盗難抑止装置2などから構成されており、キックレバー(図示せず)を踏み下ろしてエンジンを始動するキック始動式となっている。また、盗難抑止装置2内には、マイコン(マイクロコンピュータ)21、入力回路22、AD変換回路25、出力制御回路26、電源回路27が組み込まれている。
【0020】
ここで、ACマグネトウジェネレーター4には、図1に示すように、レクチファイアーレギュレータ3およびAC負荷6が接続されている。レクチファイアーレギュレータ3には、バッテリー5が着脱自在に接続されているとともに、DC負荷7が接続されている。さらに、レクチファイアーレギュレータ3には、メインスイッチ9を介して盗難抑止装置2の入力回路22が接続されているとともに、盗難抑止装置2の電源回路27が接続されている。また、点火ユニット11には、パルサー発生装置10が接続されているとともに、盗難抑止装置2の出力制御回路26が接続されている。
【0021】
また、盗難抑止装置2内において、入力回路22はAD変換回路25に接続されており、AD変換回路25はマイコン21に接続されており、さらに、マイコン21は出力制御回路26に接続されている。また、電源回路27は、入力回路22、AD変換回路25、マイコン21および出力制御回路26に電源を供給できるように構成されている。
【0022】
さらに、マイコン21には、図2に示すユーザー認証プログラムPRGが読み出し自在に格納されている。さらに、マイコン21には、差分回転速度dF、安全停止速度Feが読み出し自在に格納されている。ここで、差分回転速度dFは、エンジン回転速度を徐々に低下させる際の1回分の低下量を意味するものであり、例えば、500rpmである。また、安全停止速度Feは、走行中の自動二輪車1を安全に停止できるエンジン回転速度を意味するものであり、ここでは、アイドリング回転速度(例えば、1,500rpm)が安全停止速度Feに設定されている。
【0023】
次に、作用について説明する。
【0024】
以上のような構成を有する自動二輪車1において、エンジンをかける際には、メインスイッチ9をONし、このエンジンをキック始動する。すると、ACマグネトウジェネレーター4が回転して発電し、レクチファイアーレギュレータ3から電圧波形が出力されて盗難抑止装置2に入力され、盗難抑止装置2から点火ユニット11に電源が供給される。その結果、プラグ(図示せず)が点火し、エンジンが回転し始める。このとき、ACマグネトウジェネレーター4の回転に応じて、パルサー発生装置10から点火ユニット11に点火タイミング信号が出力されるため、エンジンは円滑に回転することになる。
【0025】
そして、正規のユーザー以外の者による自動二輪車1の盗難を抑止すべく、盗難抑止装置2のマイコン21は、図2に示すユーザー認証プログラムPRGを読み出し、以下に述べるとおり、このユーザー認証プログラムPRGに基づくユーザー認証動作を実行する。
【0026】
まず、バッテリー状態判定工程(ユーザー認証プログラムPRGのステップS1)で、マイコン21は、レクチファイアーレギュレータ3から出力されてメインスイッチ9経由で盗難抑止装置2の入力回路22に入力される電圧波形の形状に基づき、バッテリー5がオープン状態になっているか否かを判定する。すなわち、この電圧波形が、半波整流されたままで平滑化されていない場合は、バッテリー5がオープン状態になっていると判定し、半波整流されるとともに平滑化されている場合は、バッテリー5がオープン状態になっていない(クローズド状態になっている)と判定する。
【0027】
この判定の結果、バッテリー5がオープン状態になっている場合は、バッテリー5からは盗難抑止装置2に給電できないため、エンジン点火一時許可工程(ユーザー認証プログラムPRGのステップS2)に移行し、マイコン21は、出力制御回路26をONして、エンジン点火を一時的に許可する。すると、キック始動により、ACマグネトウジェネレーター4からレクチファイアーレギュレータ3を経由して盗難抑止装置2に給電されることになる。次いで、ユーザー認証工程(ユーザー認証プログラムPRGのステップS3)に移行し、マイコン21は、ユーザー認証を行う。
【0028】
一方、バッテリー状態判定工程(ユーザー認証プログラムPRGのステップS1)での判定の結果、バッテリー5がオープン状態になっていない場合は、バッテリー5から盗難抑止装置2に給電することができるので、直ちにユーザー認証工程(ユーザー認証プログラムPRGのステップS3)に移行し、マイコン21は、ユーザー認証を行う。
【0029】
そして、ユーザー認証が終了した時点で、ユーザー認証結果判定工程(ユーザー認証プログラムPRGのステップS4)に移行し、マイコン21は、ユーザー認証に成功したか失敗したかを判定する。
【0030】
この判定の結果、ユーザー認証に成功したときは、自動二輪車1を運転しようとしているのは正規のユーザーであると考えられるため、エンジン点火許可継続工程(ユーザー認証プログラムPRGのステップS5)に移行し、マイコン21は、出力制御回路26のON状態を継続して、引き続きエンジン点火を許可する。これにより、正規のユーザーは自動二輪車1を通常どおり運転することができる。
【0031】
一方、ユーザー認証結果判定工程(ユーザー認証プログラムPRGのステップS4)での判定の結果、ユーザー認証に失敗したときは、自動二輪車1を運転しようとしているのは正規のユーザーでないと考えられるため、自動二輪車1の盗難の抑止すべく、エンジンを停止させる。このとき、ユーザー認証が終了した時点でエンジン回転速度が安全停止速度Feより大きい場合には、以下に述べる手順(ユーザー認証プログラムPRGのステップS6〜S14)により、エンジン回転速度を安全停止速度Feまで徐々に低下させる。
【0032】
まず、第1現在エンジン回転速度読取工程(ユーザー認証プログラムPRGのステップS6)で、マイコン21は、レクチファイアーレギュレータ3から出力される電圧波形に基づき、現在エンジン回転速度F0を検出して読み取る。この現在エンジン回転速度F0は、現時点でのエンジン回転速度を意味し、経時的に変化するものである。すなわち、バッテリーオープン時には、図3に示すように、レクチファイアーレギュレータ3によって半波整流された電圧波形が出力されてメインスイッチ9経由で盗難抑止装置2の入力回路22に入力される。このとき、エンジン1回転で発生する電圧波形の回数は、ACマグネトウジェネレーター4の極数に比例する。例えば、ACマグネトウジェネレーター4が8極である場合は、エンジン1回転で4回の電圧波形が発生し、ACマグネトウジェネレーター4が6極である場合は、エンジン1回転で3回の電圧波形が発生する。したがって、この比例関係に基づき、マイコン21は、この電圧波形の周期T(電圧が所定の閾値電圧Vrefを超えてから次に閾値電圧Vrefを超えるまでの時間)からエンジン回転速度を算出し、これを現在エンジン回転速度F0とする。
【0033】
次に、目標エンジン回転速度設定工程(ユーザー認証プログラムPRGのステップS7)に移行し、マイコン21は、現在エンジン回転速度F0を目標エンジン回転速度F1とする。この目標エンジン回転速度F1は、制御したいエンジン回転速度を意味し、経時的に変化するものである。
【0034】
その後、第1現在エンジン回転速度判定工程(ユーザー認証プログラムPRGのステップS8)に移行し、マイコン21は、安全停止速度Feを読み出し、現在エンジン回転速度F0が安全停止速度Fe以下であるか否かを判定する。
【0035】
この判定の結果、現在エンジン回転速度F0が安全停止速度Fe以下である場合は、このままエンジンを停止しても安全であると考えられるため、第1エンジン点火停止工程(ユーザー認証プログラムPRGのステップS9)に移行し、マイコン21は、出力制御回路26をOFFして、エンジン点火を停止する。その結果、自動二輪車1の転倒を防止して自動二輪車1を安全に停止させつつ、自動二輪車1の盗難を抑止することが可能となる。
【0036】
一方、第1現在エンジン回転速度判定工程(ユーザー認証プログラムPRGのステップS8)での判定の結果、現在エンジン回転速度F0が安全停止速度Fe以下でない(つまり、現在エンジン回転速度F0が安全停止速度Feを超えている)場合は、このままエンジンが停止すれば自動二輪車1が転倒する恐れがあるため、第2現在エンジン回転速度判定工程(ユーザー認証プログラムPRGのステップS10)に移行し、マイコン21は、現在エンジン回転速度F0が目標エンジン回転速度F1以下であるか否かを判定する。
【0037】
この判定の結果、現在エンジン回転速度F0が目標エンジン回転速度F1以下である場合は、エンジン点火許可工程(ユーザー認証プログラムPRGのステップS11)に移行し、マイコン21は、出力制御回路26をONして、エンジン点火を許可する。
【0038】
その後、目標エンジン回転速度設定工程(ユーザー認証プログラムPRGのステップS12)で、マイコン21は、差分回転速度dFを読み出し、現在エンジン回転速度F0から差分回転速度dFを減じ、この差を目標エンジン回転速度F1とする。
【0039】
次に、第2現在エンジン回転速度読取工程(ユーザー認証プログラムPRGのステップS13)で、マイコン21は、上述した第1現在エンジン回転速度読取工程(ユーザー認証プログラムPRGのステップS6)と同じ手順により、現在エンジン回転速度F0を読み取る。
【0040】
次いで、第1現在エンジン回転速度判定工程(ユーザー認証プログラムPRGのステップS8)に戻り、マイコン21は、同じ動作を繰り返す。
【0041】
一方、第2現在エンジン回転速度判定工程(ユーザー認証プログラムPRGのステップS10)での判定の結果、現在エンジン回転速度F0が目標エンジン回転速度F1以下でない(つまり、現在エンジン回転速度F0が目標エンジン回転速度F1を超えている)場合は、エンジン回転速度を低下させるために、第2エンジン点火停止工程(ユーザー認証プログラムPRGのステップS14)に移行し、マイコン21は、出力制御回路26を一時的にOFFして、エンジン点火を一時的に停止した後、再び出力制御回路26をONする。
【0042】
その後、第2現在エンジン回転速度読取工程(ユーザー認証プログラムPRGのステップS13)に移行し、マイコン21は、それ以降、同じ手順(ユーザー認証プログラムPRGのステップS8〜S14)を繰り返す。
【0043】
そうすると、エンジン回転速度は現在エンジン回転速度F0から差分回転速度dFずつ段階的に低下し、エンジン回転速度が安全停止速度Fe以下になれば、エンジンが停止することになる。
【0044】
ここで、ユーザー認証プログラムPRGに基づくユーザー認証動作が終了する。
【0045】
このように、自動二輪車1におけるユーザー認証動作においては、ユーザー認証を行った結果、ユーザー認証に失敗したとき、エンジン回転速度が低下して安全停止速度Fe以下になった時点で、エンジンが停止する。そのため、正規のユーザー以外の者が、ユーザー認証が終了した時点で車体を傾けて自動二輪車1を走行させていたとしても、自動二輪車1の転倒を防止して自動二輪車1を安全に停止させつつ、自動二輪車1の盗難を抑止することが可能となる。
【0046】
しかも、このとき、エンジン回転速度は差分回転速度dFずつ段階的に低下するため、エンジン回転速度が一気に低下して自動二輪車1が急に失速する事態を回避し、安全性を一層向上させることができる。
【0047】
また、エンジン回転速度を検出するのに、既存の部品であるレクチファイアーレギュレータ3を有効活用することができるので、新たな部品や配線を追加する必要がない。そのため、部品点数の増加による製造コストの高騰を回避することが可能となる。
[発明のその他の実施の形態]
【0048】
なお、上述した実施の形態1では、バッテリーオープン時にレクチファイアーレギュレータ3から出力される電圧波形を利用してエンジン回転速度を検出する場合について説明した。しかし、図1に破線で示すように、盗難抑止装置2内に入力回路23を設けてマイコン21に接続し、この入力回路23を介してパルサー発生装置10の点火タイミング信号を盗難抑止装置2に入力することにより、エンジン回転速度を検出するように構成してもよい。
【0049】
この場合、エンジン回転速度を検出するのに、既存の部品であるパルサー発生装置10と入力回路23とを結ぶ配線を追加するだけで済み、新たな部品を追加する必要がない。そのため、部品点数の増加による製造コストの高騰を回避することが可能となる。
【0050】
また、上述した実施の形態1では、ACマグネトウジェネレーター4から出力される電圧波形をレクチファイアーレギュレータ3で半波整流する場合について説明したが、この電圧波形に基づいてエンジン回転速度を算出するときの閾値電圧Vrefを適当に決めておけば、この電圧波形を全波整流することもできる。
【0051】
さらに、上述した実施の形態1では、アイドリング回転速度が安全停止速度Feに設定されている場合について説明したが、安全停止速度Feは、自動二輪車1の走行特性などに応じて、アイドリング回転速度と関係なく独自に設定することも可能である。
【0052】
さらにまた、上述した実施の形態1では、スクーター型の自動二輪車1について説明したが、スクーター型以外の形式(例えば、鞍乗型など)の自動二輪車1に本発明を同様に適用することも勿論できる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、自動二輪車、自動三輪車、四輪車その他の車両に対する盗難行為を抑止するための盗難抑止装置に広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施の形態1に係る盗難抑止装置が装着された自動二輪車のブロック図である。
【図2】同実施の形態1に係るユーザー認証プログラムを示すフローチャートである。
【図3】バッテリーオープン時にレクチファイアーレギュレータから出力される電圧波形を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
【0055】
1……自動二輪車(車両)
2……盗難抑止装置
3……レクチファイアーレギュレータ
4……ACマグネトウジェネレーター
5……バッテリー
6……AC負荷
7……DC負荷
9……メインスイッチ
10……パルサー発生装置
11……点火ユニット
21……マイコン(エンジン監視手段、エンジン減速手段、エンジン停止手段)
22、23……入力回路
25……AD変換回路
26……出力制御回路
27……電源回路
dF……差分回転速度
F0……現在エンジン回転速度
F1……目標エンジン回転速度
Fe……安全停止速度
PRG……ユーザー認証プログラム
T……周期
Vref……閾値電圧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンが回転している状態でユーザー認証を行い、このユーザー認証に失敗したときに前記エンジンを停止させるように構成された盗難抑止装置であって、
前記エンジンのエンジン回転速度を検出するエンジン監視手段と、
前記ユーザー認証が終了して当該ユーザー認証に失敗したとき、当該ユーザー認証が終了した時点で前記エンジンのエンジン回転速度が所定の安全停止速度より大きい場合に、当該エンジンのエンジン回転速度を徐々に低下させるエンジン減速手段と、
前記エンジンのエンジン回転速度が前記安全停止速度以下になった時点で当該エンジンを停止させるエンジン停止手段と
が設けられていることを特徴とする盗難抑止装置。
【請求項2】
前記エンジン減速手段は、前記エンジンのエンジン回転速度を低下させる際に、当該エンジン回転速度を所定の差分回転速度ずつ段階的に低下させることを特徴とする請求項1に記載の盗難抑止装置。
【請求項3】
前記安全停止速度は、アイドリング回転速度であることを特徴とする請求項1または2に記載の盗難抑止装置。
【請求項4】
前記エンジン監視手段は、レクチファイアーレギュレータから出力される電圧波形に基づいて前記エンジンのエンジン回転速度を検出することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の盗難抑止装置。
【請求項5】
前記エンジン監視手段は、パルサー発生装置から出力される点火タイミング信号を利用して前記エンジンのエンジン回転速度を検出することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の盗難抑止装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−126293(P2011−126293A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−85623(P2008−85623)
【出願日】平成20年3月28日(2008.3.28)
【出願人】(000191858)ヤマハモーターエレクトロニクス株式会社 (98)
【Fターム(参考)】